この発明は、車両用電線ハーネス部構造に関するものである。
自動車などの車両には、車体を補強するため金属製の車体強度部材が車体に設置されている。例えば、図6に示すように、車室の前部に設けられたインストルメントパネル1(車室前部構成部品または車室前部内装パネル)の内部には、ほぼ車幅方向2に延び左右の車体パネル間を連結するようにした車体強度部材3が設けられている。この車体強度部材3は、ステアリングサポートメンバまたはクロスカービームなどと呼ばれており、通常は、金属製の筒状部材(例えば、鉄パイプなど)によって形成されている。
通常、この金属製の車体強度部材3にほぼ沿って、車両用電線ハーネス部4が設けられている。この車両用電線ハーネス部4は、車体の各部へ電力や信号を供給し得る各種の電線を有している。例えば、このような車両用電線ハーネス部4は、メインハーネスなどと呼ばれ、通常、多数本の電線(ビニール被覆電線やシールド電線)の束から構成されている。
図7は、このような従来の車両用電線ハーネス部の構成を示す。
即ち、図7において、車載バッテリー6が、1本の電源用電線(大電流用電線)7を介して、ヒューズボックス8に接続される。なお、通常、車載バッテリー6は、エンジンルーム内に設けられ、ヒューズボックス8は、車室内(インストルメントパネル1の内部や下部など)に設けられる。このヒューズボックス8の内部には、電源変換部11(電源変換回路部)と、この電源変換部11に接続されるヒューズ部12とが設けられている。電源変換部11に対し、ヒューズ部12は、1個又は複数接続される。更に、このような電源変換部11とヒューズ部12との組合せは、複数並列に設けられる。
上記1本の電源用電線(大電流用電線)7は、ヒューズボックス8の各電源変換部11によって、電流値及び通電モードの異なる複数の個別の電源用電線(弱電流用電線)13に変換、分配される。上記車両用電線ハーネス部4は、こうして変換、分配された複数の個別の電源用電線(弱電流用電線)13と、その他の電線とが共に束ねられることによって、構成される。
近年、このような、電線の束で構成された車両用電線ハーネス部4を、ケースに直接収納すること(例えば、特許文献1参照)、あるいは、ハーネス部を基板化してケースに収納することによってモジュール(いわゆるハーネスモジュール)を形成すること(例えば、特許文献2参照)が試みられている。
このように、車両用電線ハーネス部4をケースに収納し、あるいはモジュール化する(ハーネスモジュールとする)ことにより、車両用電線ハーネス部4の小型化、特に、小径化、組付の容易化などを図ることができるものと期待されている。
特許第3390519号
特開2006−205979号
しかしながら、近年の車両のオートメーション化により、車載される電装部品が増加していることから、車両用電線ハーネス部4を構成する電線の本数も増加している。特に、ノイズ対策のための径の太いシールド線が著しく増加されている。これによって、車両用電線ハーネス部4が大径化、大型化していた。
そのため、車両用電線ハーネス部4の小径化、小型化を図って、上記したように、車両用電線ハーネス部4をケースに収納したり、モジュール化したりするようなことが試みられているが、この場合にも、この車両用電線ハーネス部4を収納保持するケースがハーネス部によって圧迫されて破損されるおそれがあった。しかも、インストルメントパネル1の内部の車体強度部材3の周辺は部品によって過密状態となっていることから、例えば、ケースの壁厚を増加する等、ケースの剛性を増加する対策を取ることが困難である。
本発明の目的は、車両用電線ハーネス部を、小型化、小径化することができるにもかかわらず、十分な強度を達成することができ、且つ組み立てが容易な車両用電線ハーネス部構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一実施例に係る車両用電線ハーネス部構造は、車体に設置された車体強度部材に沿って、車両用電線ハーネス部が配置され、この車両用電線ハーネス部が、車載バッテリーに常時通電可能に接続されて、下流負荷電流を通電可能な統合電源線部と、該統合電源線部に接続される電源分配部とを備えている。
本発明の他の実施例に係る車両用電線ハーネス部構造は、車体に設置された車体強度部材に沿って、複数の電送路を有する車両用電線ハーネス部が配置され、この車両用電線ハーネス部を基板化してハーネス基板が構成され、該ハーネス基板が、メイン基板と、サブ基板とに分けて構成されている。
本発明の実施例1に係る車両用電線ハーネス部構造の回路構成図。
図1の車両用電線ハーネス部の車体強度部材に対する組付状態を示す図。
図2の分解斜視図。
図3のメインハーネス部の断面図。
本発明の実施例2に係る車両用電線ハーネス部構造の分解斜視図。
従来例および本発明の説明に用いたインストルメントパネル部分の分解斜視図。
従来の車両用電線ハーネス部構造を示す回路構成図。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、好ましい実施例に基づいて、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の実施例1に係る車両用電線ハーネス部構造を示す。
なお、この本発明に係る車両用電線ハーネス部構造において、図6および図7に示された従来の構造と同様な部分には、同一の符号が付されている。
実施例1における車両用電線ハーネス部構造は、車体強度部材3に沿って配置され且つ車載バッテリー6に接続されて車体の各部へ電力や信号を供給するようにした車両用電線ハーネス部4を有する(図2参照)。
この車体強度部材3は、この実施例では、図2および図3に示すように、ほぼ車幅方向2へ延びる車体強度部材本体15と、この車体強度部材本体15の両端部に設けられる(左右)一対のサイドブラケット16と、車体強度部材本体15の中間部に設けられるステー17とを含む車体強度部材構成部品によって構成されている。
車体強度部材本体15は、この実施例では、ほぼ車幅方向2へ延びる中空の補強部材から成っている。サイドブラケット16は、車体強度部材本体15を、図示しない左右の車体パネルに取り付ける取付部材としての機能を有する。ステー17は、車体強度部材本体15の中間部を、車体の図示しない床パネルに対して支持させる支持部材としての機能を有する。ステー17は、車体強度部材本体15の下部から床パネルへ向けて、ほぼ下方へ延びる支持脚を有する。図示の実施例では、一つのステー17が設けられているが、複数のステーを設けてもよい。
車両用電線ハーネス部4は、図1に示すように、車載バッテリー6に常時通電可能に接続されて、下流負荷電流を通電可能な統合電源線部20と、この統合電源線部20に接続された電源分配部21とを備えている。
ここで、車載バッテリー6は、通常、エンジンルーム内に設けられている。車載バッテリー6と車両用電線ハーネス部4の統合電源線部20とを接続する大電流用電線7の途中には、必要に応じて、安全器26を設けることができる。また、下流負荷電流を通電可能とするために、統合電源線部20は、例えば、30A以上の電流容量を有することが好ましい。
電源分配部21は、この実施例では、電源変換機能部22と、自動復帰可能な(即ち、ヒューズ交換の不要な)オートヒューズ部23と、接続部24とを備えている。電源変換機能部22は、例えば、通電モード及び電流値の異なる複数の電送路に変換、分配可能な電源変換回路から成っている。オートヒューズ部23は、例えば、電源変換機能部22で変換、分配された各電送路に対してそれぞれ設けられる複数の各種電子ヒューズを備え、且つこれらヒューズを統合して、更に、それぞれを制御する機能を有することが好ましい。この場合、統合電源線部20とオートヒューズ部23とは、予め個別に用意しておきこれらを組合せて一つの回路としてもよいし、図に示すようにPOWER MOSなどの1つの半導体上に、共に設けてもよい。
接続部24は、特に正確には図示しないが、下流側に外部の車両用電線ハーネス部25を接続するためのコネクタ部27や、外部の電装部品に直接接続するためのコネクタ部28などを備え、回路分岐部としての機能を有することができる。電源変換機能部22と、オートヒューズ部23と、接続部24とは、回路としては、上流側から順に接続されると共に、それぞれが複数並列に設置され構造を有することができる。なお、外部の車両用電線ハーネス部25は、適宜、集合電線や個別電線などの形態を取るため、接続部24と外部の車両用電線ハーネス部25との間には、必要に応じて、中間的な分岐機能を有する補助的なサブハーネス29などを介在させるようにしてもよい。このサブハーネス29は、一端部に、接続部24に対するコネクタ部を有すると共に、他端部に、外部の車両用電線ハーネス部25に対するコネクタ部を有し、必要数に分岐された形状にすることができる。
車両用電線ハーネス部4は、この実施例では、図2および図3に示すように、1基のメインハーネス部31と、複数のサブ基板32,33とから構成されている。メインハーネス部31は、上記した統合電源線部20を備え、各サブ基板32,33は、上記した電源変換機能部22と、自動復帰可能なオートヒューズ部23と、接続部24とを含む構成を有する。
ここで、メインハーネス部31には、上記の他に、各サブ基板32,33に対する接続用コネクタ部34,35が設けられている。一方、各サブ基板32,33には、上記の他に、メインハーネス部31の接続用コネクタ部34,35に対して装着可能な接続用コネクタ部36,37が設けられている。メインハーネス部31と各サブ基板32,33とは、接続用コネクタ部34〜37を介して接続可能に構成されている。
更に、車両用電線ハーネス部4は、車体強度部材3の構成に対応できる構成を有することが好ましい。即ち、車両用電線ハーネス部4を構成するメインハーネス部31および各サブ基板32,33は、車体強度部材本体15、サイドブラケット16、ステー17などの車体強度部材構成部品に対応させて設けることができるような構成を有する。
例えば、メインハーネス部31が車体強度部材本体15に沿って設けられ、サブ基板32,33が、サイドブラケット16やステー17に対して取付けられるように構成されている。そのために、サブ基板32,33は、サイドブラケット16やステー17の数に合わせた個数だけ設けるようにされている。この場合、サイドブラケット16には、サブ基板32を取付けるための図示しないサブブラケットなどが設けられるようにすることができる。また、一つのステー17の場合には、3つのサブ基板32,33が設けられ、2つのステー17の場合には、4つのサブ基板32,33が設けられるように設定されている。なお、サブ基板32,33は、上記したサイドブラケット16、ステー17以外の車体強度部材構成部品に対して設けるようにすることもできる。
上記において、上記以外の残りの全ての電送路を、メインハーネス部31に取込んで一体化して統合ハーネス部を形成することができる。
上記以外の残りの全ての電送路には、例えば、これまで小型化には特に寄与しないものとして扱われていた、例えば、30A以下で15A以上の電流容量を有する弱電流用電線類(駆動回路)や、信号用電線類(制御回路)などがある。これらについては、後述する(例えば、図4の符号52,53などを参照)。
上記において、車両用電線ハーネス部4の全部または少なくとも要部が、シールド装置41によって覆うようにすることができる(図4参照)。
この場合には、メインハーネス部31とサブ基板32,33とのほぼ全てをシールド装置41で覆うようにすることが好ましい。
シールド装置41は、例えば、金属筐体42(図2参照)や、シート状金属材43(図4参照)などを用いて構成することができる。また、シールド装置41の全部または一部として、車体強度部材3(車体強度部材本体15、サイドブラケット16、ステー17などの車体強度部材構成部品)を利用することもできる。
例えば、図2では、シールド装置41は、サブ基板32,33を金属筐体42内に収容するようにした構成を有する。ここで、金属筐体42は、車体強度部材3とは、別体に構成されたものをいう。但し、この金属筐体42は、車体強度部材3に対して、ほぼ一体的な状態で付設され得るものとする。なお、接続部24(コネクタ部27,28)や、接続用コネクタ部36,37については、外部からアクセス可能となるように、金属筐体42から露出させるようにする必要がある。また、図4では、メインハーネス部31をシート状金属材43により包囲して、パッケージ化するようにしている。これについては、後述する。
上記構成において、メインハーネス部31に設けられる電送路は、図4に示すように、少なくとも、大電流用電送路51、弱電流用電送路52、信号用電送路53の3種類に分類される。上記各電送路を、種別ごとに平面的に配置して、平面状電送路群54〜56をそれぞれ形成する。更に、各平面状電送路群54〜56を、それぞれシールド装置41で個々に被覆する。その上で、これらは更に積層される(電送路積層体58)。
この場合、上記統合電源線部20が大電流用電送路51に相当する。また、上記した弱電流用電線類や、信号用電線類が、それぞれ弱電流用電送路52や、信号用電送路53に相当する。なお、大電流用電送路51と、弱電流用電送路52と、信号用電送路53とは、電流容量の違いにより径の異なるように形成されている。この場合には、大電流用電送路51の径が一番太く、弱電流用電送路52の径が中間で、信号用電送路53の径が最も細くなっている。
また、大電流用電送路51については、特に図示しないが、全体を1本化すると共に、各サブ基板32,33に配電するための途中分岐部を適宜設けるようにしても良い(1本化構成)。或いは、大電流用電送路51は、上記した途中分岐部を設ける代りに、図示するように、各サブ基板32,33の枚数と対応する本数の大電流用電送路51を設けるようにしてもよい。この場合には、後者の構造を採用することにより、3枚の各サブ基板32,33に対して、3本の大電流用電送路51が設けられている。
平面状電送路群54〜56は、個別に配置することができるが、互いに接着して一体化しておくようにするのが取扱上は好ましい。
シールド装置41は、この場合、シート状金属材43を用いるようにしている。シート状金属材43には、例えば、アルミ箔や、樹脂フィルムにアルミをコーティングして成るアルミフィルムなどを用いる。そして、例えば、各平面状電送路群54〜56ごとに、その上部と、下部とを、シート状金属材43で挟み、その周縁部を互いに接着してパッケージ化(個別パッケージ)し、それ(個別パッケージ)を更に積層して、その周縁部を互いに接着してパッケージ化するようにしても良い(個別パッケージ積層体)。なお、この場合には、積層配置された各平面状電送路群54〜56の上部と、下部と、層間とに対して、シート状金属材43を介在配置し、複数枚重ねられたシート状金属材43の周縁部を互いに接着してパッケージ化することにより、層間で重複するシート状金属材43を省略し得るようにしている(簡易パッケージ)。なお、必要な場合には、個別パッケージを一部含んだ簡易パッケージなどに形成することもできる。また、接続用コネクタ部34,35については、外部からアクセス可能となるように、シート状金属材43の層間から露出させるようにすると好ましい。
また、各平面状電送路群54〜56の積層配置の順については、特に任意であってもよい。この場合には、大電流用電送路51が上層、信号用電送路53が中層、弱電流用電送路52が下層となるように、三層に積層配置される。以上の構成により、上記したメインハーネス部31は、薄型の平坦状形状を有することとなる。
上記構成において、電送路として、マグネットワイヤー61を使用することができる。
ここで、マグネットワイヤー61は、電磁石のコイルなどに使用可能な電送路の総称である。大電流用電送路51と、弱電流用電送路52と、信号用電送路53との、全部をマグネットワイヤー61とすることができる。
マグネットワイヤー61には、例えば、エナメル線を用いることができる。エナメル線は、一般に、導線62(芯線)の周囲に絶縁塗料を塗布し、必要に応じて更に、焼付処理を行うことにより、その外周に絶縁被膜63を形成するようにしたものである。通常のエナメル線には、導線62に銅線を使用し、絶縁塗料に絶縁ワニスを使用している。但し、導線62と絶縁塗料とは、銅線および絶縁ワニスと同等の機能を有するものにそれぞれ代替することができる。このようなエナメル線は、絶縁塗料によるきわめて薄い絶縁被膜63を用いることにより、小径寸法を有することができると共に、高い絶縁性、耐食性、耐酸性を有することができる。なお、このエナメル線は、構造的にも、径寸法(太さ)的にも、通常の(ビニール)被覆電線とは全く異なるものとして、一般に認識されている。
以上の構成によって、車体に設置された金属製の車体強度部材3にほぼ沿って、少なくとも一本の電送路を有する車両用電線ハーネス部4が配索された車両用電線ハーネス部4設置構造であって、車両用電線ハーネス部4が、車載バッテリー6に常時通電可能に接続されて、下流負荷電流を通電可能な統合電源線部20と、統合電源線部20に接続される電源分配部21とを備えたことによって、車両用電線ハーネス部4が、車載バッテリー6に常時通電可能に接続される。また、下流負荷電流を通電可能な統合電源線部20(大電流用電送路51)を組込んだことにより、これまで統合されていなかった電源系統の統合が可能となる。これによって、電源系統のシンプル化、スプライスレス化(電線より継ぎ状態の改善)を図ることができる。また、統合電源線部20によって、これまで車両用電線ハーネス部4の大径化、大型化の要因となっていた多数本の個別の電源線部(弱電流用電送路52)を、そのままの形で全て組込む必要性をなくすことができる。これによって、車両用電線ハーネス部4の根本的な小径化、小型化を図ることが可能となる。また、上記したように、統合電源線部20によって、個別の電源線部を削減することができるので、接続コネクタなども小型化することが可能である。
一方、車両用電線ハーネス部4が、電源分配部21を備えることにより、これまで外部に設けられていたヒューズボックスなどをなくすことができると共に、車両用電線ハーネス部4の内部で、統合電源線部20を個別の電源線部(弱電流用電送路52)に変換、分配することができるようになる。よって、電装部品が増加した場合でも、余裕で対応することが可能となる。
車両用電線ハーネス部4が、一つのメインハーネス部31と、複数のサブ基板32,33とで構成され、メインハーネス部31が、統合電源線部20を備えると共に、各サブ基板32,33が、電源分配部21を備えているため、車両用電線ハーネス部4の構成および配置を、合理的に構成することができる。例えば、車両用電線ハーネス部4を、車体強度部材3の構成に相応させることができることにより、車両用電線ハーネス部4の構成を、より簡潔に整理し、機能分化されると共に、車体強度部材3に対して合理的に組込むことが可能となる。
しかも、メインハーネス部31が、統合電源線部20を備えると共に、各サブ基板32,33が、電源分配部21を備えることによって、車両用電線ハーネス部4を、上記に対してより一層、合理的に機能分化することができる。また、メインハーネス部31とサブ基板32,33との間の電送路の接続本数を大幅に削減して、それぞれを1個の小型のコネクタで接続することが可能となる。また、外部の各電子部品との間の配電については、各サブ基板32,33などを介して、これまでと同様に行うことができるので、取扱性が変わらず、便宜が良い。
メインハーネス部31およびこのメインハーネス部とサブ基板32,33との間の電送路以外の残りの全ての電送路を、メインハーネス部31に取込んで一体化したことによって、外部に別の電線ハーネス部(サブハーネスなど)などを設ける必要がなく、車両用電線ハーネス部4を1つにまとめることができるようになり、車両用電線ハーネス部4の全体としての大幅な小型化(容積低減)や、電線の削減による銅などの使用量削減が可能となる。
上記構成において、車両用電線ハーネス部4の全部または一部を、シールド装置41で覆うことにより、車室内のノイズの影響を排除することができるため、これまで必要としていた高価なシールド電線などをなくしたり一般電送路に置換えたりすることが可能となる。また、一般電送路についても、シールド装置41によってシールド効果を得ることが可能となる。車両用電線ハーネス部4がシールド装置41で覆われていることにより、電送路を伝わってくるノイズの車体強度部材3からの再放射を防止することができるため、外部の電装部品に対してノイズの影響を与えることがない。
上記構成において、車両用電線ハーネス部4に設けられる電送路は、少なくとも、大電流用電送路51、弱電流用電送路52、信号用電送路53の3種類に分類され、上記各電送路を、種別ごとに平面的に配置して、平面状電送路群54〜56をそれぞれ形成すると共に、各平面状電送路群54〜56が、それぞれシールド装置41で個々に覆った状態にして積層される。
従って、少なくとも、3種類に分類された大電流用電送路51、弱電流用電送路52、信号用電送路53を、種別ごとに平面的に配置することにより、形状や用途などの揃った薄型の平面状電送路群54〜56を得ることができる。また、各平面状電送路群54〜56を、それぞれシールド装置41で個々に覆うことによって、シールド装置41で個々に確実にシールドされた各平面状電送路群54〜56を得ることができ、更に、これを積層することによって、各平面状電送路群54〜56を薄型で一体の電送路積層体58などとすることができる。これにより、車両用電線ハーネス部4を、更に効率良く小型化、平坦化し、且つ、取扱性を向上することができる。
上記構成では、電送路として、マグネットワイヤー61を使用したことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、マグネットワイヤー61は、通常のビニール被覆電線やシールド電線などと比べて、極めて径が細いため、車両用電線ハーネス部4の大幅な小型化(容積低減)や、銅などの使用量削減などを図ることが可能となる。これによって、電送路の増加にも効率よく対処することが可能となる。
図5は、本発明の実施例2に係る車両用電線ハーネス部構造を示す。
この第二の実施例に係る車両用電線ハーネス部構造では、車両用電線ハーネス部101を基板化してハーネス基板102が構成される。この際、ハーネス基板102は、この実施例では、例えば、1枚のメイン基板103と、4枚のサブ基板104,105とに分けて構成される(分散型基板構造)。ここで、メイン基板103と、サブ基板104,105との個数は、この実施例に限定されず、任意に設定され得ることに留意されたい。
1枚のメイン基板103と、4枚のサブ基板104,105との少なくとも一つは、被覆装置、例えば、金属筐体または車体強度部材108で覆うようにされている。
ここで、金属筐体は、この実施例では、車体強度部材108とは別体に構成されている。但し、この金属筐体は、車体強度部材108に対してほぼ一体的な状態で設けることができる。なお、この場合には、車体強度部材108を利用することになるので、金属筐体については、特に、図示していない。なお、1枚のメイン基板3と、4枚のサブ基板104,105とは、その全てを、金属筐体または車体強度部材108で覆うようにするのが最も好ましい。
主に、車体強度部材108で覆う場合において、1枚のメイン基板103と、4枚のサブ基板104,105との少なくとも一つを、車体強度部材108を構成する車体強度部材構成部品109の内側に収納させるようにする。
なお、1枚のメイン基板103と、4枚のサブ基板104,105とは、その全てを、車体強度部材108を構成する車体強度部材構成部品109の内側に収納させるようにするのが最も好ましい。
ここで、車体強度部材構成部品109は、通常、車体強度部材本体111と、車体強度部材本体111の両端部に設けられる(左右)一対のサイドブラケット112と、車体強度部材本体111の中間部に設けられる(左右)一対のステー113とを備えている。
車体強度部材本体111は、ほぼ車幅方向114へ延びる中空の梁状補強部材である。また、サイドブラケット112は、図示しない左右の車体パネルに対する取付部材としての機能を主に備えている。このサイドブラケット112は、取付ブラケットなどとされている。ステー113は、図示しない車体強度部材本体111の中間部を、床パネルに対して支持させると共に取付ける支持取付部材としての機能を主に備えている。ステー113は、車体強度部材本体111の下部から床パネルへ向けて、ほぼ下方へ延びる支持脚を有する。
上記メイン基板103は、車体強度部材本体111の内部に収容される。また、上記4枚のサブ基板104,105のうち、2枚のサブ基板104は、一対のサイドブラケット112の内部にそれぞれ収容される。同様に、4枚のサブ基板104,105のうち、2枚のサブ基板105は、一対のステー113の内部にそれぞれ収容される。
なお、2枚のサブ基板104と2枚のサブ基板105、および、一対のサイドブラケット112と一対のステー113とは、便宜的に、左右同じ符号を付すようにしているが、完全に同じものや、左右対称のものである必要はない。
上記のように内部に収容させるようにするために、車体強度部材本体111は、強度を確保可能な中空の閉断面部121(強度確保部)と、メイン基板103を収納可能な開断面部122(メイン基板収納部)とを有する構成とする。
この場合、閉断面部121は、前後の面123と上下の面124とを有する断面矩形に形成されている。閉断面部121は、上下の面124の面積が広くなるように扁平な長方形状を有する。
また、開断面部122は、閉断面部121の上部に一体に設けられている。開断面部122は、前壁125又は後壁の一方と、上壁126とを有して、閉断面部121(の上側の面124)との間で、後側または前側からメイン基板103を差込可能なスリット状差込部127を構成する側面視L字型を呈している。なお、閉断面部121の前後の面123と、開断面部122の前壁125又は後壁とは、ほぼ面一となるように構成されている。また、閉断面部21の上側の面124と、開断面部122の上壁126とは、ほぼ同じ大きさで、ほぼ平行に形成されており、これによってスリット状差込部127は、メイン基板103の厚みとほぼ等しいかそれよも若干広い間隔を有するスリット状空間に形成されている。
このような構成により、車体強度部材本体111は、全長に亘ってほぼ均一な断面を有する、側面視ほぼ6字型などを呈している。このような、金属製の車体強度部材本体111は、押出しなどによって容易に一部材として形成することができる。
これに対し、メイン基板103は、車幅方向114に延びて、スリット状差込部27へ完全に収容可能な幅寸法および長さ寸法を有する、短冊形状を有する。メイン基板103は、例えば、両面銅張基板などから構成されている。
また、サイドブラケット112に対し、サブ基板104を収納可能な収納部が設けられている。同様に、ステー113に対し、サブ基板105を収納可能な収納部が設けられている。
この場合、サイドブラケット112は、金属製のブラケット部と、このブラケット部に付設された樹脂ケース部などによって構成される。或いは、ブラケット部をケース状にすると共に、このケース状のブラケット部を樹脂で被覆して(樹脂ケース部)、全体がケース構造部となるようにしてもよい。なお、ブラケット部と樹脂ケース部とは、インサート成形によって一体化するのが好ましい。
これに対応させて、サブ基板104を、上記樹脂ケース部に収容設置可能なものとする。サブ基板104は、例えば、両面銅張基板などで構成されるようにする。或いは、サイドブラケット112が、サブ基板104を収容可能な形状となるように設定され、調整される。
同様に、ステー113を、金属製のブラケット部と、このブラケット部に付設された樹脂ケース部などによって構成する。或いは、ブラケット部をケース状にすると共に、このケース状のブラケット部を樹脂で被覆して(樹脂ケース部)、全体がケース構造部となるようにしても良い。なお、ブラケット部と樹脂ケース部とは、インサート成形によって一体化するのが好ましい。
これに対応させて、サブ基板105を、上記樹脂ケース部に収容設置可能なものとする。サブ基板105は、例えば、FPC(フレキシブルプリント基板)などで構成されるようにする。或いは、ステー113が、サブ基板105を収容可能な形状となるように設定、調整される。なお、サブ基板105をFPCとした場合には、サブ基板105が薄いので、サブ基板105をステー113に貼付けるようにすることも可能であり、このようにしても、ステー113の内部に収容させたのとほぼ同様の作用効果を得ることができる。
メイン基板103を、車体強度部材本体111の内部に収容させ、2枚のサブ基板104を、一対のサイドブラケット112の内部にそれぞれ収容させ、2枚のサブ基板105を、一対のステー113の内部にそれぞれ収容させた状態にして、車体強度部材本体111の両端部に、一対のサイドブラケット112をそれぞれ取付けると共に、車体強度部材本体111の中間部に一対のステー113をそれぞれ取付け得るように構成する。車体強度部材本体111とサイドブラケット112との取付け、および車体強度部材本体111とステー113との取付けは、それぞれネジなどの締結部材によって固定的に行われる(締結固定構造部)。なお、車体強度部材本体111に対するサイドブラケット112の締結方向は、車幅方向114とされており、ステー113の締結方向は、車両前後方向とされている。
より具体的には、サイドブラケット112は、主に、車幅方向114とほぼ面直な面を有すると共に、その上部内側面に、車体強度部材本体111の端面に対して当接固定可能な取付部128を有するようにする。
また、ステー113は、主に、車幅方向114とほぼ面直な面を有すると共に、その上部に、車体強度部材本体111のスリット状差込部127側の側面(前面または後面)に対して当接固定可能な取付部129を有するように構成する。
なお、ステー113は、通常は、運転席側と助手席側とに対して、一対(2本)設けられるので上記構造としているが、ステー113が1本のみのものも存在している。このように、ステー113が1本の場合には、サブ基板104,105を3枚(サイドブラケット112のためのサブ基板104を2枚と、ステー113のためのサブ基板105を1枚)としても良い。
分散型基板構造とした場合には、更に、メイン基板103に、統合電源回路部131が設けられている。一方、各サブ基板104,105に、電源変換機能部135と、自動復帰可能なオートヒューズ部136と、接続部137とがそれぞれ設けられている。
ここで、メイン基板103には、上記の他に、各サブ基板104,105に対する接続用コネクタ部141,142を設けられている。このうち、接続用コネクタ部141は、メイン基板103の両端部における、サイドブラケット112の取付部128と対応する位置に設けられている。また、接続用コネクタ部142は、メイン基板103の中央部における、ステー113の取付部129と対応する位置に設けられている。一方、各サブ基板104,105には、上記の他に、メイン基板3の接続用コネクタ部141,142に対して装着可能な接続用コネクタ部143,144が設けられている。この接続用コネクタ部143,144は、車体強度部材本体111と、サイドブラケット112およびステー113とを取付ける際に、接続用コネクタ部141,142に対して装着されることにより、位置決め、仮保持の機能を果たことができる。なお、サイドブラケット112部分の接続用コネクタ部141,143の装着方向は、車幅方向114となっており、ステー113部分の接続用コネクタ部142,144の装着方向は、車両前後方向となっている。
各サブ基板104,105における、電源変換機能部135は、例えば、電流値及び通電モードの異なる複数の電送路に変換、分配可能な電源変換回路に構成することができる。また、オートヒューズ部136は、例えば、電源変換機能部135で変換、分配された各電送路に対してそれぞれ設けられる複数の各種電子ヒューズを統合してそれぞれを制御可能である。接続部137は、外部の車両用電線ハーネス部を接続するためのコネクタ部145(サブ基板104)や、外部の電装部品に直接接続するためのコネクタ部146(サブ基板104,105)などを適宜備えることができる。接続用コネクタ部143,144と、電源変換機能部135と、オートヒューズ部136と、接続部137とは、上流側から順に直列的に接続されている。なお、コネクタ部145,146は、外部へ向けて開口された状態で、サイドブラケット112およびステー113に対して取付けられるようにされている。
メイン基板103の統合電源回路部131に、下流負荷電流を通電可能な導体断面積を有する導体が統合電源線151として組込まれる。
ここで、メイン基板103の統合電源線151は、特に図示しないが、常時通電可能状態にある車載バッテリーから安全器を介して接続され、常時電力を送電可能である。統合電源線151は、メイン基板103のほぼ長手方向(車幅方向114)に延びると共に、各接続用コネクタ部141,142に対して接続されている。また、各サブ基板104,105についても、接続用コネクタ部143,144と電源変換機能部135との間の部分に、上記と同様の、下流負荷電流を通電可能な導体断面積を有する導体が統合電源線152として組込まれる。
更に、基板化されなかった残りの電線類の全てを、メイン基板103に取込むようにされている。このような基板化されなかった残りの電線類には、例えば、小型化に寄与しない(基板化による導体面積の削減など)15A以上通電する駆動回路などがある。
上記の如く、車両用電線ハーネス部101をモジュール化する(ハーネスモジュールとする)ことにより、車両用電線ハーネス部101の小型化や、車体強度部材108に対する組付の容易化などを図ることができる。
メイン基板103を、車体強度部材本体111の内部に収容させ、2枚のサブ基板104を、一対のサイドブラケット112の内部にそれぞれ収容させ、2枚のサブ基板105を、一対のステー113の内部にそれぞれ収容させた状態にして、車体強度部材本体111の両端部に、一対のサイドブラケット112をそれぞれ取付けると共に、車体強度部材本体111の中間部に一対のステー113をそれぞれ取付けることにより、同時に、メイン基板103とサブ基板104,105とが接続される。
上述の如く、本発明によれば、車両用電線ハーネス部に、車載バッテリーに常時通電可能に接続されて、下流負荷電流を通電可能な統合電源線部(大電流用電送路)を組込んだことにより、これまで統合されていなかった電源系統の統合が可能となるので、電源系統のシンプル化、スプライスレス化(電線より継ぎ状態の改善)を図ることができる。また、統合電源線部によって、これまで車両用電線ハーネス部の大径化、大型化の要因となっていた多数本の個別の電源線部(弱電流用電送路)を、そのままの形で全て組込む必要性をなくすことができる。これによって、車両用電線ハーネス部の根本的な小径化、小型化を図ることが可能となる。また、上記したように、統合電源線部によって、個別の電源線部を削減することができるので、接続コネクタなども小型化することが可能となる。一方、車両用電線ハーネス部が、電源分配部を備えたことにより、これまで外部に設けられていたヒューズボックスなどをなくすことができると共に、車両用電線ハーネス部の内部で、統合電源線部を個別の電源線部(弱電流用電送路)に変換、分配することができるようになる。よって、電装部品が増加した場合でも、適切に対応することが可能となる。
車両用電線ハーネス部を、一つのメインハーネス部と、複数のサブ基板とに分けて構成することにより、車両用電線ハーネス部の構成および配置を、合理的にすることができる。例えば、車両用電線ハーネス部を、車体強度部材の構成に即したものなどとすることにより、車両用電線ハーネス部の構成を、より簡潔に整理し、機能分化されたものとすると共に、車体強度部材に対して合理的に組込むことが可能となる。しかも、メインハーネス部が、統合電源線部を備えると共に、各サブ基板が、電源分配部を備えるようにすることによって、車両用電線ハーネス部を、上記に対してより一層、合理的に機能分化されたものとすることができる。また、上記により、メインハーネス部とサブ基板との間の電送路の接続本数を大幅に削減して、それぞれを1個の小型のコネクタで接続することが可能となる。また、外部の各電子部品との間の配電については、各サブ基板などを介して、これまでと同様に行うことができるので、取扱性が変わらず、便宜が良い。
上記メインハーネス部と、複数のサブ基板の電送路以外の残りの電送路の全てをメインハーネス部に取込んで一体化することにより、外部に別の電線ハーネス部(サブハーネスなど)などを設ける必要をなくして、車両用電線ハーネス部を1つにまとめることができるようになり、車両用電線ハーネス部の全体としての大幅な小型化(容積低減)や、電線の削減による銅などの使用量削減が可能となる。
車両用電線ハーネス部の全部または少なくとも要部を、シールド装置で覆うことにより、車室内のノイズの影響を排除することができるため、これまで必要としていた高価なシールド電線などをなくしたり一般電送路に置換えたりすることが可能となる。また、一般電送路についても、シールド装置によってシールド効果を得ることが可能となる。車両用電線ハーネス部がシールド装置で覆われていることにより、電送路を伝わってくるノイズの車体強度部材からの再放射を防止することができるため、外部の電装部品に対してノイズの影響を与えることがない。
少なくとも、3種類に分類された大電流用電送路、弱電流用電送路、信号用電送路を、種別ごとに平面的に配置することにより、形状や用途などの揃った薄型の平面状電送路群を得ることができる。各平面状電送路群を、それぞれシールド装置で個々に覆うことによって、シールド装置で個々に確実にシールドされた各平面状電送路群を得ることができ、更に、これを積層することによって、各平面状電送路群を薄型で一体の電送路積層体などとすることができる。これにより、車両用電線ハーネス部を、更に効率良く小型化、平坦化し、且つ、取扱性を向上することができる。
マグネットワイヤーは、通常のビニール被覆電線やシールド電線などと比べて、極めて径が細いため、車両用電線ハーネス部の大幅な小型化(容積低減)や、銅などの使用量削減などを図ることが可能となる。これによって、電送路の増加にも余裕で対処することが可能となる。
ハーネス基板を、メイン基板と、サブ基板とに分けて構成することにより、ハーネス基板の構成および配置を、車体強度部材の構成に即した合理的にすることができると共に、ハーネス基板の構成を、より簡潔に整理し、機能分化させることができる。
メイン基板と、サブ基板との少なくとも一つを、金属筐体またはシート状金属材で覆うことにより、車室内のノイズの影響を排除することができるため、従来必要としていたシールド線などを一般電送路に置換えることが可能となる。また、電送路が全て金属(金属筐体または車体強度部材)で覆われていることにより、電送路を伝わってくるノイズの車体強度部材からの再放射を防止することができるため、外部の電装部品に対してノイズの影響を与えることがない。
ハーネス基板(1枚のメイン基板と、4枚のサブ基板と)を車体強度部材構成部品に融合するようにしたため、ハーネス基板を車体強度部材に合理的に設置することができると共に、車体強度部材の組付けと同時に車両用電線ハーネス部(ハーネス基板)の組付けをも、一括して行わせることができる。
メイン基板に統合電源回路部を設けることにより、これまで統合されていなかった電源系統の統合が可能となるので、電源系統のシンプル化、スプライスレス化(より継ぎ状態の改善)を図ることができる。また、上記の如く、メイン基板とサブ基板との間の電送路の接続本数を大幅に削減することができる。よって、各基板(メイン基板やサブ基板)間の接続をそれぞれ1個の小型のコネクタで行うことが可能となる。また、外部の各電子部品との間の配電については、従来と同じように各サブ基板などを介して行うことができるので、取扱性が良い。
統合電源回路部に、下流負荷電流を通電可能な導体を統合電源線として組込んだことにより、これまで基板化できなかった大電流回路の基板への取込みが可能となり、従来の電線を用いた車両用電線ハーネス部(ワイヤーハーネス)を完全になくすことができるようになる。また、統合電源線により、これまで複数本設けられていた各種の電源線を削減することができ、これに伴って、接続コネクタを小型化することも可能となる。なお、統合電源回路部の統合電源線は、常時通電可能状態にある車載バッテリーから安全器を介して直結可能にすることができる。
基板化されなかった残りの電線類の全てがメイン基板に取込まれることにより、電線で構成されていた、車両用電線ハーネス部(ワイヤーハーネス)の全てを基板に良好に取込むことができるようになり、大幅な容積低減や、電源用電線の削減による銅などの使用量削減が可能となる。
以上の如く、本発明の好ましい実施例が述べられてきたが、本発明はこれら実施例に限定されず、種々の変形および変更がこれら実施例になされ得ることを理解されたい。