JPWO2009119204A1 - 圧電体膜を用いた振動ジャイロ - Google Patents

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Abstract

本発明の振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体11と、リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部15と、固定電位電極16、及び平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極13a,13b,・・・,13fとを備えている。ここで、代表的には、図1に示すように、cosNθの振動モードでリング状振動体11の一次振動を励起する駆動電極13aの1つを基準駆動電極とした場合に、その他の複数の電極13b,・・・,13fが特定の箇所に配置される。この配置により、この振動ジャイロは、アウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードの一次振動が励起されるとともに、cos3θのイン・プレーンの振動モードの二次振動検出手段を用いて1軸乃至2軸の角速度を検出することができる。

Description

本発明は、圧電体膜を用いた振動ジャイロ、より具体的には、最大で2軸の角速度変化を測定しうる振動ジャイロに関するものである。
近年、圧電材料を用いた振動ジャイロは盛んに開発されている。従来から、特許文献1に記載されているような振動体自体が圧電材料で構成されるジャイロが開発される一方、振動体上に形成される圧電体膜を利用するジャイロも存在する。例えば、特許文献2では、圧電材料であるPZT膜を用いて、振動体の一次振動を励起し、かつその振動体に角速度が与えられた際に発生するコリオリ力によって生じるジャイロの一部の歪みを検出する技術が開示されている。
他方、ジャイロが搭載される各種機器のサイズが日進月歩で小型化されている中で、ジャイロ自身の小型化も重要な課題である。ジャイロの小型化を達成するためには、ジャイロを構成する各部材の加工精度を格段に高めることが必要となる。また、単に小型化をするだけでなく、ジャイロとしての性能、換言すれば、角速度の検出精度を更に高めることが産業界の要望といえる。しかしながら、特許文献2に示されているジャイロの構造は、ここ数年来の小型化及び高性能化の要求を満足するものではない。
上述の技術的な課題に対し、本願出願人は、基本的に全ての製造工程をドライプロセスで行うことにより、高い加工精度を達成しつつ、振動ジャイロとしての高性能化の要求を同時に満足する技術思想の一つを提案している(特許文献3)。
また、上述の技術課題に加え、複数軸の回転に対する角速度をも測定する振動ジャイロに対する期待も高まっている(例えば、特許文献4)。しかし、小型化を可能にする簡便な構造を有する振動ジャイロの開発は未だ道半ばである。
特開平8−271258号公報 特開2000−9473号公報 特願2008−28835号公報 特願2005−529306号公報 特表2002−509615号公報 特表2002−510398号公報
上述の通り、圧電体膜を用いた振動ジャイロの小型化と高い加工精度を達成しつつ、ジャイロとしての高性能化の要求を同時に満足することは非常に難しい。一般的には、ジャイロが小型化されると、振動体に角速度が与えられた場合に、ジャイロの検出電極によって検出される信号が微弱になるという問題がある。加えて、上述の特許文献4に記載されている振動ジャイロは、複数の回転軸に対する角速度の測定が可能であるが、実質的に静電容量の変化を測定する方式が採用されているため、当該文献の図2及び図3に示されるように、幾つかの電極が振動体上とは異なる場所に配置されるという複雑な構造を備えている。すなわち、振動ジャイロが、小型化を可能にする簡易な構造によって複数の回転軸に対する角速度をも測定することが出来るようになれば、その振動ジャイロの技術的価値は一段と高まることになる。
本発明は、上述の技術課題を解決することにより、単数又は複数の回転軸に対する角速度を測定し得る圧電体膜を用いた振動ジャイロの小型化及び高性能化に大きく貢献するものである。発明者らは、一次振動の励起とコリオリ力により形成される二次振動の検出を、圧電体膜に担わせることによって上記各技術課題を解決する構造について鋭意研究を行った。その結果、圧電体膜が構成する各種電極の配置と振動体を支持する構造を工夫することによって、単数の回転軸のみならず複数の回転軸に対する角速度をも測定されることを知見した。さらに、発明者らは、それらの配置が高い加工精度を満足し得るドライプロセスによって達成できることを見出した。本発明はこのような視点で創出された。なお、本出願では、「円環状又は多角形状の振動ジャイロ」を、簡略化して「リング状振動ジャイロ」とも呼ぶ。
本発明の1つの振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体と、そのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、固定電位電極、及び前述の平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
(1)Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度に配置された電極及び/又はその基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極とを有している。
さらに、前述の各々の駆動電極は、前述の平面内の第1電極配置領域上に配置され、前述の各々の検出電極は、その第1電極配置領域と電気的に接しない前述のリング状振動体の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置されている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面上に圧電素子を形成せずに、リング状振動体の平面上に形成された圧電素子のみにより、圧電素子が配置される平面を外れた振動モード(以下、アウト・オブ・プレーンの振動モードともいう)の一次振動が励起されるのみならず、平面内の振動モード(以下、イン・プレーンの振動モードともいう)の二次振動を検出することができる。また、圧電素子がリング状振動体の平面上にのみ形成されているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、全ての本出願に係る発明において、「柔軟な」とは「振動体が振動可能な程度に」という意味である。
さらに、前述の1軸の振動ジャイロにおける複数の電極において、前述の検出電極を第1検出電極としたときに、次の(3)の構成を備えた検出電極が第2検出電極として追加されれば、合計2軸(例えば、X軸とY軸)のイン・プレーンの振動モードを用いた角速度の検出が可能となる点が大きな利点といえる。但し、(4)の構成を備えた検出電極は、前述の第2電極配置領域上に配置される。
(3)上述の二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、上述の基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又はその基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の第2検出電極
本発明のもう1つの振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体と、そのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、固定電位電極、及び前述の平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
(1)Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又はその基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極とを有している。
さらに、前述の各々の駆動電極は、前述の平面内の第1電極配置領域上に配置され、前述の各々の検出電極は、その第1電極配置領域と電気的に接しない前述のリング状振動体の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置されている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面上に圧電素子を形成せずに、リング状振動体の平面上に形成された圧電素子のみにより、アウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動が励起されるのみならず、イン・プレーンの振動モードの二次振動を検出することができる。また、圧電素子がリング状振動体の平面上にのみ形成されているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体と、そのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、固定電位電極、及び前述の平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
(1)Nを3以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N−2(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度に配置された電極及び/又はその基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極とを有している。
前述の各々の駆動電極は、前述の平面内の第1電極配置領域上に配置され、前述の各々の検出電極は、その第1電極配置領域と電気的に接しない前述のリング状振動体の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置されている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面上に圧電素子を形成せずに、リング状振動体の平面上に形成された圧電素子のみにより、アウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動が励起されるのみならず、イン・プレーンの振動モードの二次振動を検出することができる。また、圧電素子がリング状振動体の平面上にのみ形成されているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。
さらに、前述の1軸の振動ジャイロにおける複数の電極において、前述の検出電極を第1検出電極としたときに、次の(3)の構成を備えた検出電極が第2検出電極として追加されれば、合計2軸(例えば、X軸とY軸)のイン・プレーンの振動モードを用いた角速度の検出が可能となる点が大きな利点といえる。但し、(4)の構成を備えた検出電極は、前述の第2電極配置領域上に配置される。
(3)上述の二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N−2(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、上述の基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又はその基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の第2検出電極
また、本発明のもう1つの振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体と、そのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、固定電位電極、及び前述の平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備えている。加えて、それらの複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
(1)Nを3以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
(2)前述の駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N−2(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又はその基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極とを有している。
前述の各々の駆動電極は、前述の平面内の第1電極配置領域上に配置され、前述の各々の検出電極は、その第1電極配置領域と電気的に接しない前述のリング状振動体の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置されている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面上に圧電素子を形成せずに、リング状振動体の平面上に形成された圧電素子のみにより、アウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動が励起されるのみならず、イン・プレーンの振動モードの二次振動を検出することができる。また、圧電素子がリング状振動体の平面上にのみ形成されているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。
なお、前述の2軸の各振動ジャイロにおける複数の電極に、次の(4)の構成を備えたモニタ電極が追加されることは、特に小型化されたリング状振動体の限定された平面領域の中で他の電極群の配置及び/又は引き出し電極の配置を容易にすることになる点で好ましい一態様である。
(4)Nを2以上の自然数とした場合であって、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、上述の基準駆動電極から円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置された一群のモニタ電極
本発明の1つの振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、1軸乃至2軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面上に圧電素子を形成せずに、リング状振動体の平面上に形成された圧電素子のみにより、アウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動が励起されるのみならず、イン・プレーンの振動モードの二次振動を検出することができる。また、圧電素子がリング状振動体の平面上にのみ形成されているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。
本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の図2に相当する断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図7のB−B断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図9のC−C断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるアウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の1つの実施形態におけるX軸の回りで角速度が加わる場合のイン・プレーンのcos3θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 本発明の1つの実施形態におけるY軸の回りで角速度が加わる場合のイン・プレーンのcos3θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるアウト・オブ・プレーンのcos3θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるX軸の回りで角速度が加わる場合のイン・プレーンのcos2θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるY軸の回りで角速度が加わる場合のイン・プレーンのcos2θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。
発明を実施するための形態
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態における2軸の角速度を測定するリング状振動ジャイロ100の中心的役割を果たす構造体の正面図である。図2は、図1のA−A断面図である。なお、説明の便宜上、図1には、X軸及びY軸が表記されている。
図1及び図2に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、大きく3つの構成に分類される。第1の構成は、シリコン基板10から形成されるリング状振動体11の上部の平面(以下、上面という)上に、シリコン酸化膜20を備え、さらにその上に、圧電体膜40が下層金属膜30及び上層金属膜50に挟まれることにより形成される複数の電極13a〜13fを備えた構成である。本実施形態では、複数の電極13b〜13eを構成する上層金属膜50の外側端部又は内側端部は、約40μm幅のリング状平面を有するリング状振動体11の外周縁又は内周縁から約1μm内側に形成され、その幅は約12μmである。また、その上層金属膜50のうち、また、4個の電極13a,13fは中央線を含むように形成され、その幅は約12μmである。また、12個の電極は、リング状振動体11の上面であるリング状平面の幅の両端間の中央を結ぶ線(以下、単に中央線という)よりも外側に形成され、その他の12個の電極は、中央線よりも内側に配置されている。
ところで、本実施形態では、図11Aアウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードでリング状振動ジャイロ100の一次振動が励起される。また、本実施形態の二次振動の振動モードは、図11Bに示すX軸のcos3θのイン・プレーンの振動モードと、図11Cに示すY軸のcos3θのイン・プレーンの振動モードである。
従って、前述の複数の電極13a〜13fの内訳は、次のとおりである。まず、互いに円周方向に180°離れた角度に配置された2つの駆動電極13a,13aが配置される。ここで、図面の便宜上、駆動電極13a,13aに接続する交流電源は省略されている。また、前述の2つの駆動電極13a,13aの内の1つの駆動電極13a(例えば、図1において時計の12時方向の駆動電極13a)を基準電極とした場合に、その駆動電極13aから円周方向であって90°及び270°離れた角度に2つのモニタ電極13f,13fが配置される。また、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面、換言すれば、図1における紙面をX‐Y平面とした場合に、リング状振動ジャイロ100にX軸まわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する、第1検出電極13b,13cが、基準電極から円周方向であって0°、60°、120°、180°、240°、及び300°離れた角度に配置される。同様に、リング状振動ジャイロ100にY軸まわりの角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する第2検出電極13d,13eが、基準電極から円周方向であって30°、90°、150°、210°、270°、及び330°離れた角度に配置される。
また、本実施形態では、下層金属膜30及び上層金属膜50の厚みは100nmであり、圧電体膜40の厚みは、3μmである。また、シリコン基板10の厚みは100μmである。
なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、各電極が配置されている領域が2つに分類される。1つは、リング状振動体11の上面の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置される第1検出電極13b,13c及び第2検出電極13d,13eの領域である。これを、第2電極配置領域とする。もう1つは、リング状振動体11の上面であって、その第2電極配置領域と電気的に接しないように配置される各駆動電極13a,13aが形成された領域である。これを、第1電極配置領域とする。
第2の構成は、リング状振動体11の一部と連結しているレッグ部15,・・・,15である。このレッグ部15,・・・,15もシリコン基板10から形成されている。また、レッグ部15,・・・,15上には、リング状振動体11上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40がレッグ部15,・・・,15の上面全体に形成されている。さらに、圧電体膜40の上面の中央線上には、幅約8μmの引き出し電極14,・・・,14である上層金属膜50が形成されている。
なお、本実施形態では、24本のレッグ部15,・・・,15のうち、12本のレッグ部15,・・・,15上には複数の引き出し電極14が形成されている。これらは、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域に、又は中央線を含むように配置された各電極から支柱19上の電極パッド18まで引き出すための経路を確保するために創出された。特に、本実施形態では、第2検出電極13b,13dからの電気信号の偏りを解消するために、第2検出電極13b,13dのそれぞれの両端部から引き出し電極14,14が形成されている。なお、それぞれの第2検出電極13b,13dの片側のみから引き出し電極14,14が形成されている場合であっても、振動ジャイロとしての機能を失うことはない。
第3の構成は、上述のレッグ部15,・・・,15に連結しているシリコン基板10から形成される支柱19である。本実施形態では、支柱19が、図示しないリング状振動ジャイロ100のパッケージ部に連結し、固定端としての役割を果たしている。また、支柱19は、電極パッド18,・・・,18を備えている。また、図2に示すように、支柱19の上面には、グラウンド電極である固定電位電極16を除き、レッグ部15,・・・,15上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40が形成されている。ここで、シリコン酸化膜20上に形成された下層金属膜30が固定電位電極16の役割を担っている。また、支柱19の上方に形成されている圧電体膜20の上面には、レッグ部15,・・・,15上のそれと連続する前述の引き出し電極14,・・・,14及び電極パッド18,・・・,18が形成されている。
次に、本実施形態のリング状振動ジャイロ100の製造方法について、図3A乃至図3Fに基づいて説明する。なお、図3A乃至図3Fは、図2における一部の範囲に対応する断面図である。
まず、図3Aに示すように、シリコン基板10上に、シリコン酸化膜20、下層金属膜30、圧電体膜40、及び上層金属膜50が積層されている。前述の各膜は公知の成膜手段によって形成されている。本実施形態では、シリコン酸化膜20は公知の手段による熱酸化膜である。また、下層金属膜30、圧電体膜40、及び上層金属膜50は、いずれも公知のスパッタリング法により形成されている。なお、これらの膜の形成は、前述の例に限定されず、他の公知の手段によっても形成され得る。
次に、上層金属膜50の一部がエッチングされる。本実施形態では、上層金属膜50上に公知のレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術により形成されたパターンに基づいてドライエッチングを行うことにより、図3Bに示される上層金属膜50が形成される。ここで、上層金属膜50のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われる。
その後、図3Cに示すように、圧電体膜40の一部がエッチングされる。まず、上述の同様、フォトリソグラフィ技術によりパターニングがされたレジスト膜に基づいて、圧電体膜40がドライエッチングされる。なお、本実施形態の圧電体膜40のドライエッチングは、アルゴン(Ar)とCガスの混合ガス、又はアルゴン(Ar)とCガスとCHFガスの混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われる。
続いて、図3Dに示すように、下層金属膜30の一部がエッチングされる。本実施形態では、下層金属膜30を利用した固定電位電極16が形成されるように、再度、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたレジスト膜を用いてドライエッチングされる。本実施形態では、固定電位電極16は、グラウンド電極として利用される。なお、本実施形態の下層金属膜30のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われる。
ところで、本実施形態では、前述の再び形成されたレジスト膜をエッチングマスクとして、その後のシリコン酸化膜20及びシリコン基板10を連続的にエッチングするため、このレジスト膜の厚みは、約4μmになるように形成されている。但し、万一、このレジスト膜がシリコン基板10のエッチング中に消失した場合であっても、シリコン基板10に用いられるエッチャントに対するエッチングレートの選択比が有利に働くため、前述のエッチングによって上層金属膜50、圧電体膜40、及び下層金属膜30の性能は実質的に影響を受けない。すなわち、本実施形態では、リング状振動体11をシリコン基板から形成するため、レジスト膜との選択比も十分に高い公知のシリコントレンチエッチング技術が適用できる。なお、仮にそのレジスト膜が消失しても、その下層にある上層金属膜又は圧電体膜がシリコンのエッチングの際のマスクとしての役割を果たす十分な選択比を備えている。
次に、図3E及び図3Fに示すように、上述の通り、下層金属膜30をエッチングするためのレジスト膜を利用して、シリコン酸化膜20及びシリコン基板10をドライエッチングする。本実施形態のシリコン酸化膜20のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われた。また、本実施形態のシリコン基板10のドライエッチングの条件は、公知のシリコントレンチエッチング技術が適用される。ここで、シリコン基板10は貫通エッチングされる。従って、前述のドライエッチングは、貫通時にシリコン基板10を載置するステージをプラズマに曝さないようにするための保護基板をシリコン基板10の下層に伝熱性の優れたグリース等により貼り付けた状態で行われる。そのため、例えば、貫通後にシリコン基板10の厚さ方向に垂直な方向の面、換言すればエッチング側面が侵食されることを防ぐために、特開2002−158214に記載されているドライエッチング技術が採用されることは好ましい一態様である。
上述の通り、シリコン基板10及びシリコン基板10上に積層された各膜のエッチングによって、リング状振動ジャイロ100の中心的な構造部が形成されたのち、公知の手段によるパッケージへの収容工程、及び配線工程を経ることにより、リング状振動ジャイロ100が形成される。従って、この振動ジャイロ100によれば、リング状振動体11の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体11の平面上に形成された圧電素子のみにより、アウト・オブ・プレーンの一次振動の励起と、最大で2軸のイン・プレーンの二次振動の検出が可能となる。その結果、上述の高精度で安価に量産が可能なドライプロセス技術を用いて振動ジャイロ100を製造することが可能となる。
次に、リング状振動ジャイロ100が備える各電極の作用について説明する。上述の通り、本実施形態はアウト・オブ・プレーンのcos2θの振動モードの一次振動が励起される。なお、固定電位電極16が接地されるため、固定電位電極16と連続して形成されている下層電極膜30は一律に0Vになっている。
最初に、2つの駆動電極13a,13aに1VP−0の交流電圧が印加される。その結果、圧電体膜40が伸縮して一次振動が励起される。ここで、本実施形態では上層金属膜50が、平面視においてリング状振動体11の中央線を含むように形成されている。これは、イン・プレーンの振動モードとなる二次振動を圧電体膜の歪みによって励起しにくいためである。しかしながら、一次振動と二次振動のリング状振動体11の共振点が異なれば、各駆動電極13aが中央線を含まないように配置されていても良い。
次に、図1に示すモニタ電極13f,13fが、上述の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。本実施形態のフィードバック制御回路は、駆動電極13a,13aに印加される交流電圧の周波数とリング状振動体11が持つ固有周波数が一致するように制御するとともに、リング状振動体11の振幅がある一定の値となるようにモニタ電極13f,13fの信号を用いて制御している。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
ここで、上述の一次振動が励起された後、X軸の回りで角速度が加わる場合について説明する。この場合、図11Bに示すイン・プレーンのcos3θの振動モードの二次振動が生じる。
この二次振動が6つの検出電極(第1検出電極)13b,・・・,13bと、別の6つの検出電極(第1検出電極)13c,・・・,13cによって検出される。本実施形態では、図1に示すように、各検出電極13b,13cは、それぞれイン・プレーンの二次振動の振動軸に対応して配置されている。なお、本実施形態では、上述の各検出電極13b,13cは、検出対象となる二次振動、すなわちイン・プレーンの振動モードを最も検出しやすいように、リング状振動体11の上面における中央線よりも外側及び内側に配置されている。
本実施形態では、各検出電極13b,13cの配置により、角速度を受けて励起されるイン・プレーンの二次振動によって生じる各検出電極13b,13cの電気的信号の正負が逆になる。従って、公知の差分回路である演算回路において、各検出電極13b,13cの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
次に、上述の一次振動が励起された後、Y軸の回りで角速度が加わる場合について説明する。この場合、図11Cに示すイン・プレーンのcos3θの振動モードの二次振動が生じる。
この二次振動が6つの検出電極(第2検出電極)13d,・・・,13dと、別の6つの検出電極(第2検出電極)13e,・・・,13eによって検出される。本実施形態では、図1に示すように、各検出電極13d,13eは、それぞれイン・プレーンの二次振動の振動軸に対応して配置されている。なお、本実施形態では、上述の各検出電極13d,13eも、検出対象となる二次振動、すなわちイン・プレーンの振動モードを最も検出しやすいように、リング状振動体11の上面における中央線よりも外側及び内側に配置されている。
本実施形態では、各検出電極13b,13cの配置により、角速度を受けて励起されるイン・プレーンの二次振動によって生じる各検出電極13d,13eの電気的信号の正負が逆になる。従って、上述と同様、公知の差分回路である演算回路において、各検出電極13d,13eの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
ところで、上述の第1の実施形態では、便宜上、角速度を検出する対象となる2軸のそれぞれを検出する検出電極に対して第1検出電極及び第2検出電極の名称を与えていたが、各軸用の検出電極の名称は、第1検出電極及び第2検出電極のうち、任意の重複しない1つの名称が与えられてもよい。
<第1の実施形態の変形例(1)>
図4は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ200の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、第1の実施形態における上層金属膜50を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の一次振動の振動モード及び二次振動の振動モードは、第1の実施形態のそれらと同じ振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
図4に示すように、本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、各検出電極13b,13c,13d,13eが1つずつ配置されている。このような各検出電極の配置であっても、本発明の効果が実質的に奏される。すなわち、各検出電極13b,13c,13d,13eが存在することにより、2軸(X軸とY軸)のイン・プレーンの振動モードを用いた角速度の検出が可能となる。なお、第1の実施形態のそれと同じ電極面積の各検出電極13b,13c,13d,13eが1つずつしか存在しないため、第1の実施形態と比較して検出能力が劣る。また、図4では、図1において便宜上図示していなかった交流電源12,12が表示されている。なお、実際の交流電源12,12は、導電性ワイヤに接続される電極パッド18を介して駆動電極13aに印加するが、本実施形態及び他の実施形態では、説明の便宜上、省略される。
また、本実施形態では、各電極が偏在しているため、引き出し電極14が形成されていないレッグ部15が存在するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、引き出し電極14が形成されていないレッグ部15が無くなっても、本実施形態と同等の効果が奏される。但し、無秩序なレッグ部15の不在はリング状振動体11の均質な振動に支障が生じ得るため、均等な角度だけ離れるように割り振られる位置にあるレッグ部15のみを無くした構造が好ましい。
<第1の実施形態の変形例(2)>
図5は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ300の中心的役割を果たす構造体の正面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ300は、第1の実施形態における上層金属膜50を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の一次振動の振動モード及び二次振動の振動モードは、第1の実施形態のそれらと同じ振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
図5に示すように、本実施形態のリング状振動ジャイロ300上には、駆動電極13a,13aと、モニタ電極13f,13fと、X軸の角速度測定用の第1検出電極のうちの1つの電極13bと、Y軸の角速度測定用の第2電極のうちの1つの電極13eのみが形成されている。また、各駆動電極13aの一部は、中央線のみならず、中央線から内周縁の近傍に至るまで配置されている。さらに、各検出電極13b,13eは、その電極領域が、中央線から外周縁の近傍に至るまで又は中央線から内周縁の近傍に至るまで広がっている。このような各検出電極の配置であっても、第1の実施形態と実質的に同様の効果が奏される。すなわち、第1の実施形態が備えるX軸用の第1検出電極13b,13cの内の少なくとも1つの電極と、同じくY軸用の第2検出電極13d,13eの内の少なくとも1つの電極が存在することにより、2軸(X軸とY軸)のイン・プレーンの振動モードを用いた角速度の検出が可能となる。
ところで、各駆動電極13aは、アウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動のみを励起し、イン・プレーンの振動モードである二次振動を励起しにくいように配置されることが好ましい。これは、仮に、角速度が加わっていない状態で二次振動が発生すると、振動ジャイロ300のゼロ点出力を発生させる要因となるからである。イン・プレーンの振動モードでは、各駆動電極13aが中央線を含むように配置されることは、中央線付近の歪みが小さいことによってイン・プレーンの振動モードである二次振動を励起しにくくなるため、好ましい一態様となる。なお、イン・プレーンの振動モードでは中央線を境として歪み方向が逆になるため、中央線に対して対称となるように各駆動電極13aが配置されることがさらに好ましい一態様となる。また、たとえ複数の駆動電極13aが中央線に対して対象となるように配置されていなくても、採用する振動モードに応じてイン・プレーンの振動モードを励起させにくい各駆動電極13aの配置は多様に存在する。従って、既述のとおり、各駆動電極13aが配置される第1電極配置領域は、第2電極配置領域と電気的に接しないリング状振動体11の上面の領域として定義される。
また、各検出電極13b、13eは、その電極領域が中央線を含むように配置されているが、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域のみ及び/又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域のみの配置の方が、イン・プレーンの二次振動の振動モードの検出感度が向上する。これは、イン・プレーンの振動モードでは、中央線を境として歪み方向が逆になるため、中央線を越えて存在する電極領域からの信号が検出信号の強さを弱めてしまうためである。
ところで、本実施形態では、第1の実施形態に採用された差分回路が不要となるため、回路の単純化が図られる。また、本実施形態では、特に、1つの駆動電極13aの面積が第1の実施形態のそれよりも大きく形成されている。このように、駆動電極13aの面積を大きく取ることにより、駆動に必要な電力を抑制することもできる。
また、本実施形態では、モニタ電極13fの面積が第1の実施形態のそれと同じであるが、これに限定されない。モニタ電極の面積を増やすことにより、検出能力が向上することは好ましい一態様である。
また、本実施形態では、各電極が偏在しているため、引き出し電極14が形成されていないレッグ部15が存在するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、引き出し電極14が形成されていないレッグ部15が取り除かれても、本実施形態と同等の効果が奏される。但し、無秩序なレッグ部15の不在は、リング状振動体11の均質な振動に支障が生じ得るため、均等な角度だけ離れるように割り振られる位置にあるレッグ部15のみが取り除かれた構造が好ましい。
<第1の実施形態の変形例(3)>
図6は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ400の中心的役割を果たす構造体の図2に相当する断面図である。
本実施形態では、図6に示すように、実質的に上層金属膜50が形成されている領域に合わせて圧電体膜40がエッチングされている。このため、下層金属膜30が形成されている領域に影響されずに、上層金属膜50に印加された交流電圧が鉛直下向きのみに印加されるため、圧電体膜40の望ましくない伸縮や電気信号の発信が防がれる。なお、本実施形態では、上層金属膜50のドライエッチング工程の後、上層金属膜50上の残留レジスト膜又は上記金属膜50自身をエッチングマスクとして、引き続いて第1の実施形態と同条件によるドライエッチングを行うことにより、前述の圧電体膜40が形成される。また、図6に示すように、本実施形態では圧電体膜40が傾斜状(例えば、傾斜角が75°)にエッチングされている。しかしながら、図6のような急峻な傾斜を有する圧電体膜40は、図6に示すリング状振動ジャイロ400の平面視においては、他の領域との対比において実質的に視認されないものとして本出願では取り扱われる。加えて、この実施形態で開示された圧電体膜40がエッチングされた態様は、少なくとも本出願の全ての実施形態で適用され得る。
<第1の実施形態の変形例(4)>
上述の第1の実施形態及びその変形例(1)乃至(3)では、2軸の角速度を検出し得る振動ジャイロの構造が説明されているが、1軸の角速度検出のための各検出電極の配置も第1の実施形態から導き出される。
例えば、第1検出電極及び第2検出電極13b,13c,13d,13eのうち、X軸の角速度測定用の第1検出電極13b,13cのみがリング状振動体11上に配置されることにより、1軸の角速度を検出する振動ジャイロが製造される。すなわち、第1検出電極及び第2検出電極のうちの1つの軸に対応する検出電極が選択されることにより、1軸の角速度を検出する振動ジャイロを得ることができる。なお、例えば、各第1検出電極13b,13cのうち、1つの第1検出電極(例えば、13b)のみが配置されることにより、本発明の効果が実質的に奏されることは既に述べたとおりである。
<第2の実施形態>
図7は、本実施形態のリング状振動ジャイロ500の中心的役割を果たす構造体の正面図である。また、図8は、図7のB−B断面図である。
図7及び図8に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ500は、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同様、複数の電極13a〜13fを備える。本実施形態では、いずれの電極も、中央線よりも外側か、又は中央線よりも内側に配置されている。
ところで、本実施形態では、図12Aに示すアウト・オブ・プレーンのcos3θの振動モードでリング状振動ジャイロ500の一次振動が励起される。他方、本実施形態の二次振動の振動モードは、イン・プレーンのcos2θの振動モードである。従って、前述の複数の電極13a〜13fの内訳は、次のとおりである。まず、互いに円周方向に120°離れた角度に配置された3つの駆動電極13a,13a,13aが配置される。また、前述の3つの駆動電極13a,13a,13aの内の1つの駆動電極13a(例えば、図9において時計の12時方向の駆動電極13a)を基準電極とした場合に、その駆動電極13aから円周方向であって60°、180°、及び300°離れた角度に3つのモニタ電極13f,13f,13fが配置される。また、リング状振動体11上の圧電素子が配置される平面、換言すれば、図9における紙面を図中のようにX‐Y平面とした場合に、X軸まわりの角速度検出用の第1検出電極13b,13cが、基準電極から円周方向であって0°、90°、180°、及び270°離れた角度に配置される。同様に、Y軸まわりの角速度検出用の第2検出電極13d,13eが、基準電極から円周方向であって45°、135°、225°、及び315°離れた角度に配置される。
このような各検出電極の配置であっても、本発明の効果が実質的に奏される。すなわち、各検出電極13b,13c,13d,13eが存在することにより、2軸のイン・プレーンのcos2θの振動モードを用いた角速度の検出が可能となる。具体的には、X軸のイン・プレーンのcos2θの振動モードは図12Bに示され、Y軸のイン・プレーンのcos2θの振動モードは図12Cに示される。
なお、本実施形態では、駆動電極13a,13aがリング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域に配置されているが、これに限定されない。各駆動電極13aは、アウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動のみを励起し、イン・プレーンの振動モードである二次振動を励起しにくいように配置されることが好ましい。これは、仮に、角速度が加わっていない状態で二次振動が発生すると、振動ジャイロ500のゼロ点出力を発生させる要因となるからである。従って、イン・プレーンの振動モードでは、各駆動電極13aが中央線を含むように配置されることは、中央線付近の歪みが小さいことによってイン・プレーンの振動モードである二次振動を励起しにくくなるため、好ましい一態様となる。なお、イン・プレーンの振動モードでは中央線を境として歪み方向が逆になるため、中央線に対して対称となるように各駆動電極13aが配置されることがさらに好ましい一態様となる。
<第2の実施形態の変形例>
図9は、第1の実施形態の一部を変形したリング状振動ジャイロ600の中心的役割を果たす構造体の正面図である。また、図10は、図9のC−C断面図である。
本実施形態のリング状振動ジャイロ600は、第2の実施形態と比較して、リング状振動体11の周囲に溝又はレッグ部17を介して固定端60が形成されている。また、レッグ部17及び固定端60上には、駆動電極13a,13a,13a及びモニタ電極13f,13f,13fを起点とする引き出し電極14及び電極パッド18が形成されている。さらに、前述のレッグ部17上の引き出し電極14が形成されたために、レッグ部15及び固定端19上の引き出し電極14及び電極パッド18は取り除かれている。さらに、本実施形態では、第2の実施形態のリング状振動ジャイロ500が有する16本のレッグ部15のうち、8本のレッグ部15は取り除かれている。本実施形態のリング状振動ジャイロ600は、上述の点以外は、第2の実施形態と同じ構成を備えている。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の一次振動の振動モード及び二次振動の振動モードは、第2の実施形態のそれらと同じ振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。また、本実施形態では、図面を見やすくするために、駆動電極13a,13a,13aに接続する交流電源は図示されていない。
本実施形態のレッグ部17の形成により、リング状振動体11上の複雑な配線が不要となる。従って、製造工程の不具合等による引き出し電極間の短絡の危険性が大きく軽減する。図9に示すとおり、各電極の幅の中央部に引き出し電極14が接合しているため、電気信号の偏りは生じない。また、各レッグ部15,17の間隔が広がるため、製造プロセス上、エッチングレートが向上することによるスループットの改善や、エッチング工程の歩留まりの向上が期待できる。他方、固定端60が形成されることにより、振動ジャイロのサイズが第1の実施形態のそれと比較して大きくなる。
ところで、上述の各実施形態は、円環状の振動体を用いた振動ジャイロで説明されているが、円環状の代わりに、多角形状の振動体であってもよい。例えば、正六角形、正八角形、正十二角形、正二十角形等の正多角形状の振動体であっても、本発明の効果と実質的に同様の効果が奏される。また、図13に示すリング状振動ジャイロ700の十二角形状の振動体111のような振動体であってもよい。振動体の正面視において点対象形状となる多角形状の振動体が採用されれば、振動体の振動時の安定性の観点で好ましい。なお、「円環状」には楕円形状が含まれる。なお、図13では、図1等とは異なり、図を見やすくするために、レッグ部及び支柱は図示されていない。
また、上述の第1の実施形態及びその変形例(1)乃至(3)では、モニタ電極13f,13fが同じ位置乃至領域内に配置されていたが、これに限定されない。すなわち、モニタ電極13fは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、必ずしも、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置される必要はない。例えば、cosNθの振動モードの場合であって、L=0,1,・・・,2N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、各モニタ電極13fが、基準駆動電極から、円周方向に(180/N)×{L+(1/2)}°離れた以外の角度の配置、又はその角度の位置に対して線対称となるような配置を避けるように配置されることにより、第1の実施形態又はその変形例による効果が実質的に奏される。なお、特に小型化されたリング状振動体11の限定された平面領域の中では、第1の実施形態で示したようなモニタ電極13fの配置が、他の電極群の配置及び/又は引き出し電極の配置を容易にすることになる。具体的には、モニタ電極13fは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置されることは好ましい一態様といえる。
上述の具体的な一例は、図14Aに示すリング状振動ジャイロ800である。リング状振動ジャイロ800のモニタ電極213f,213fは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、必ずしも、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置されていない。しかしながら、図14Aに示すモニタ電極213f,213f,213f,213fの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
また、他の一例は、図14Bに示すリング状振動ジャイロ820である。リング状振動ジャイロ820のモニタ電極313f,313fは、図14Aのリング状振動ジャイロ800のモニタ電極213f,213f,213f,213fのうちの2つが取り除かれた状態となるように配置されている。しかしながら、図14Bに示すモニタ電極313f,313fの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
また、他の一例は、図14Cに示すリング状振動ジャイロ840である。リング状振動ジャイロ840のモニタ電極413f,413fは、図14Aのリング状振動ジャイロ800のモニタ電極213f,213f,213f,213fのうちの他の2つが取り除かれた状態となるように配置されている。しかしながら、図14Cに示すモニタ電極313f,313fの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
加えて、他の一例は、図14Dに示すリング状振動ジャイロ860である。リング状振動ジャイロ860のモニタ電極513f,513fは、図14Aのリング状振動ジャイロ800のモニタ電極213f,213f,213f,213fのうちの上述とは別の2つが取り除かれた状態となるように配置されている。しかしながら、図14Dに示すモニタ電極513f,513fの配置であっても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
さらに、他の一例は、図14Eに示すリング状振動ジャイロ880である。リング状振動ジャイロ880のモニタ電極613f,613f,613f,613fの幾つかは、リング状振動体11の内周縁から中央線に至るまでの領域上に配置されている。他方、第2検出電極13d,13eの電極面積は縮小されている。しかしながら、図14Eに示すモニタ電極613f,613f,613f,613fの配置であっても、検出電極の感度が下がることによってS(信号)とN(ノイズ)比(所謂、S/N比)が悪くなる点を除いて、第1の実施形態と同様の効果が奏される。同様に、モニタ電極613f,613f,613f,613fの幾つか又は全てが、リング状振動体11の外周縁から中央線に至るまでの領域上に配置されていても、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
なお、上述のモニタ電極13fの配置の技術思想は、上述の第2の実施形態にも適用され得る。具体的には、例えば、図14Fのリング状振動ジャイロ900のモニタ電極713f,713f,713fのように、各モニタ電極が、各駆動電極から30°離れた角度以外の角度に配置されることにより、第2の実施形態による効果が実質的に奏される。
上述の各例に示すように、本発明のリング状振動ジャイロは、いずれもアウト・オブ・プレーンの振動モードの一次振動が励起されるため、リング状振動体11の平面上のモニタ電極の配置は、その内周縁から外周縁に至るまでの領域上であれば、高い自由度が与えられることになる。但し、例えば、cosNθの振動モードの場合であって、L=0,1,・・・,2N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、各モニタ電極13fは、基準駆動電極から円周方向に(180/N)×{L+(1/2)}°離れた角度の配置、又はその角度の位置に対して線対称となるような配置を避けるように配置される。前者の理由は、その位置に配置されるとリング状振動子11の歪みがゼロ(0)となるからである。また、後者の理由は、歪み方向が互いに逆方向のため、その歪みが相殺されるからである。なお、特に小型化されたリング状振動体11の限定された平面領域の中では、第1の実施形態で示したようなモニタ電極13fの配置が、他の電極群の配置及び/又は引き出し電極の配置を容易にすることになる。具体的には、モニタ電極13fは、Nを2以上又は3以上の自然数とした場合であって、駆動電極13aの1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、本パラグラフ内において同じ)とした場合に、その基準駆動電極13aから円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置されることは好ましい一態様といえる。
さらに、上述の各実施形態では、シリコンを母材とするリング状振動ジャイロが採用されているが、これにも限定されない。例えば、振動ジャイロの母材がゲルマニウム又はシリコンゲルマニウムであってもよい。上述のうち、特に、シリコン又はシリコンゲルマニウムの採用は、公知の異方性ドライエッチング技術を適用することができるため、振動体を含めたジャイロ全体の加工精度の向上に大きく寄与する。以上、述べたとおり、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、振動ジャイロとして種々のデバイスの一部として適用され得る。

Claims (11)

  1. 平面を一様に備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、
    固定電位電極、及び前記平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備え、
    前記複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
    (1)Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N(以下、同じ)とした場合に、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×S〕°離れた角度に配置された電極及び/又は前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極と
    を有し、
    前記各々の駆動電極は、前記平面内の第1電極配置領域上に配置され、前記各々の検出電極は、前記第1電極配置領域と電気的に接しない前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置される
    振動ジャイロ。
  2. 平面を一様に備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、
    固定電位電極、及び前記平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備え、
    前記複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
    (1)Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N+1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N(以下、同じ)とした場合に、前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又は前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極と
    を有し、
    前記各々の駆動電極は、前記平面内の第1電極配置領域上に配置され、前記各々の検出電極は、前記第1電極配置領域と電気的に接しない前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置される
    振動ジャイロ。
  3. 平面を一様に備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、
    固定電位電極、及び前記平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備え、
    前記複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
    (1)Nを3以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N−2(以下、同じ)とした場合に、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×S〕°離れた角度に配置された電極及び/又は前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/2)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極と
    を有し、
    前記各々の駆動電極は、前記平面内の第1電極配置領域上に配置され、前記各々の検出電極は、前記第1電極配置領域と電気的に接しない前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置される
    振動ジャイロ。
  4. 平面を一様に備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、
    固定電位電極、及び前記平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極とを備え、
    前記複数の電極は、次の(1)及び(2)、すなわち、
    (1)Nを3以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、
    (2)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とした場合であって、前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生するcos(N−1)θの振動モードの二次振動を検出し、且つS=0,1,・・・,N−2(以下、同じ)とした場合に、前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又は前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の検出電極と
    を有し、
    前記各々の駆動電極は、前記平面内の第1電極配置領域上に配置され、前記各々の検出電極は、前記第1電極配置領域と電気的に接しない前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又はその内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域を含む第2電極配置領域上に配置される
    振動ジャイロ。
  5. 前記検出電極を第1検出電極としたときに、前記複数の電極が、次の(3)、すなわち、
    (3)前記二次振動に対して{90/(N+1)}°離れた角度の振動軸の二次振動を検出し、且つ前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又は前記基準駆動電極から〔{360/(N+1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の第2検出電極と
    をさらに有し、
    前記各々の第2検出電極が、前記第2電極配置領域上に配置される
    請求項1に記載の振動ジャイロ。
  6. 前記検出電極を第1検出電極としたときに、前記複数の電極が、次の(3)、すなわち、
    (3)前記二次振動に対して{90/(N−1)}°離れた角度の振動軸の二次振動を検出し、且つ前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(1/4)}〕°離れた角度に配置された電極及び/又は前記基準駆動電極から〔{360/(N−1)}×{S+(3/4)}〕°離れた角度に配置された電極を備える一群の第2検出電極と
    をさらに有し、
    前記各々の第2検出電極が、前記第2電極配置領域上に配置される
    請求項3に記載の振動ジャイロ。
  7. 前記複数の電極が、さらに、
    (4)M=0,1,・・・,2N−1(以下、同じ)とした場合に、前記基準駆動電極から円周方向に(180/N)×{M+(1/2)}°離れた角度以外の角度に配置された一群のモニタ電極と
    を有する
    請求項1乃至請求項6に記載の振動ジャイロ。
  8. 前記複数の電極が、さらに、
    (4)前記駆動電極の1つを基準駆動電極とし、且つM=0,1,・・・,N−1(以下、同じ)とした場合に、前記基準駆動電極から円周方向に〔(360/N)×{M+(1/2)}〕°離れた角度に配置された一群のモニタ電極と
    を有する
    請求項1乃至請求項6に記載の振動ジャイロ。
  9. 前記第1電極配置領域が、前記外周縁から前記内周縁までの幅の中央を結ぶ中央線を含む
    請求項1乃至請求項6に記載の振動ジャイロ。
  10. 前記リング状振動体がシリコン基板から形成され、
    平面視で実質的に前記上層金属膜、前記圧電体膜、及び前記下層金属膜のみが観察される
    請求項1乃至請求項6に記載の振動ジャイロ。
  11. 前記リング状振動体がシリコン基板から形成され、
    平面視で実質的に前記上層金属膜及び前記下層金属膜のみが観察される
    請求項1乃至請求項6に記載の振動ジャイロ。
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