JP5392913B2 - 圧電体膜を用いた振動ジャイロ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電体膜を用いた振動ジャイロに関するものである。
近年、圧電材料を用いた振動ジャイロは盛んに開発されている。従来から、特許文献1に記載されているような振動体自体が圧電材料で構成されるジャイロが開発される一方、振動体上に形成される圧電体膜を利用するジャイロも存在する。例えば、特許文献2では、圧電材料であるPZT膜を用いて、振動体の一次振動を励起し、かつその振動体に角速度が与えられた際に発生するコリオリ力によって生じるジャイロの一部の歪みを検出する技術が開示されている。
他方、ジャイロが搭載される各種機器のサイズが日進月歩で小型化されている中で、ジャイロ自身の小型化も重要な課題である。ジャイロの小型化を達成するためには、ジャイロを構成する各部材の加工精度を格段に高めることが必要となる。また、単に小型化をするだけでなく、ジャイロとしての性能、換言すれば、角速度の検出精度を更に高めることが産業界の要望といえる。しかしながら、特許文献2に示されているジャイロの構造は、ここ数年来の小型化及び高性能化の要求を満足するものではない。
特開平8−271258号公報 特開2000−9473号公報
上述の通り、圧電体膜を用いた振動ジャイロの小型化と高い加工精度を達成しつつ、ジャイロとしての高性能化の要求を同時に満足することは非常に難しい。一般的には、ジャイロが小型化されると、振動体に角速度が与えられた場合に、ジャイロの検出電極によって検出される信号が微弱になるという問題がある。従って、小型化された振動ジャイロは本来検出すべき信号と外部からの不意の衝撃(外乱)によって発生する信号との差が小さくなるため、ジャイロとしての検出精度を高めることが難しくなる。
ところで、外部からの不意の衝撃の中には、様々な種類の衝撃が存在する。例えば、上述の特許文献2に記載されたリング状の振動体では、リングの中心の固定ポストを軸として、リングの存在する面の上下方向にシーソーのような動きを与える衝撃がある。この衝撃により、ロッキングモードと呼ばれる振動が励起される。他方、前述の固定ポストに支持された振動体のリング状部材の全周が同時に、リングの存在する面の上方又は下方に曲げられる衝撃も存在する。この衝撃により、バウンスモードと呼ばれる振動が励起される。これらのような衝撃が振動ジャイロに生じたとしても、正確な角速度を検出する技術を確立することは極めて困難である。
本発明は、上述の技術課題を解決することにより、圧電体膜を用いた振動ジャイロの小型化及び高性能化に大きく貢献するものである。発明者らは、まず、上記の技術課題のうち、外乱に対する影響が比較的小さいと考えられるリング状の振動ジャイロを基本構造として採用した。その上で、発明者らは、一次振動の励起とコリオリ力により形成される二次振動の検出を、圧電体膜に担わせることによって上記各技術課題を解決する構造について鋭意研究を行った。その結果、高い加工精度を達成しうるドライプロセスが圧電体膜を用いた振動ジャイロに適用されるためには、振動ジャイロにおける各種電極の特有の配置が必要であることを見出した。本発明はこのような視点で創出された。なお、本出願では、「円環状又は多角形状の振動ジャイロ」を、簡略化して「リング状振動ジャイロ」とも呼ぶ。
本発明の1つの振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体と、そのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、その平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極及び固定電位電極とを備えている。ここで、前述の複数の電極は、Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードでそのリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、前述の各々の駆動電極から時計回り又は反時計回りに(90/N)°離れた角度に配置され、かつ前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する一群の第1検出電極と、前述の各々の第1検出電極から(180/N)°離れた角度に配置され、かつ前述の二次振動を検出する一群の第2検出電極とを含んでいる。さらに、前述の各々の駆動電極、前述の各々の第1検出電極、及び前述の各々の第2検出電極は、前述のリング状振動体の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域又は内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置されている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって、上記の特有の領域に圧電素子が電極として形成されているため、一軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロでは、上記の特有な領域に圧電素子を配置することにより、Nを2以上の自然数とした場合のcosNθの振動モードに適用しうる自由度を備えている。なお、cosNθの振動モードの複数の例は、例えば、特表2005−529306号公報、又は、本願出願人による特許出願である特願2007−209014に記載されている。また、本出願において、「柔軟な」とは「振動体が振動可能な程度に」という意味である。
本発明の1つの振動ジャイロは、平面を一様に備えたリング状振動体と、そのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、その平面上に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極及び固定電位電極とを備えている。ここで、前述の複数の電極は、Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードでそのリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、前述の各々の駆動電極から(180/N)°離れた角度に配置された一群のモニタ電極と、前述の各々の駆動電極から時計回り又は反時計回りに(90/N)°離れた角度に配置され、かつ前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する一群の第1検出電極と、前述の各々の第1検出電極から(180/N)°離れた角度に配置され、かつ前述の二次振動を検出する一群の第2検出電極とを含んでいる。さらに、前述の各々の駆動電極、前述の各々のモニタ電極、前述の各々の第1検出電極、及び前述の各々の第2検出電極は、前述のリング状振動体の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域又は内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置されている。
この振動ジャイロによれば、リング状振動体が備える平面上であって上記の特有の領域に、圧電素子が電極として形成されているため、一軸の角速度センサとして一次振動の励起と二次振動の検出が可能となる。つまり、この振動ジャイロでは、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きを制御する構造を有しているため、ドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロでは、上記の特有な領域に圧電素子を配置することにより、Nを2以上の自然数とした場合のcosNθの振動モードに適用しうる自由度を備えている。
また、本発明の1つの振動ジャイロの製造方法は、シリコン基板上に、一様に絶縁膜を形成する工程と、その絶縁膜上に、一様に下層金属膜を形成する工程と、その下層金属膜上に、一様に圧電体膜を形成する工程と、その圧電体膜上に、一様に上層金属膜を形成する工程と、その上層金属膜上に第1レジスト膜をパターニングする工程と、その上層金属膜をドライエッチングして前述の圧電体膜を露出させる工程と、その上層金属膜及びその圧電体膜上に第2レジスト膜をパターニングする工程と有している。さらに、本発明の1つの振動ジャイロの製造方法は、そのパターニングの後、前述の第2レジスト膜、前述の上層金属膜、又は前述の圧電体膜をエッチングマスクとして、その下層金属膜、その絶縁膜、及びそのシリコン基板をドライエッチングすることにより、リング状振動体及びそのリング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部、並びに、Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードでそのリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、前述の各々の駆動電極から時計回り又は反時計回りに(90/N)°離れた角度に配置され、かつそのリング状振動体に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する一群の第1検出電極と、前述の各々の第1検出電極から(180/N)°離れた角度に配置され、かつ前述の二次振動を検出する一群の第2検出電極とが形成される工程を有している。
この振動ジャイロの製造方法によれば、ドライプロセス技術による高精度の加工が可能となるため、リング状振動体が備える平面上の特有の領域に圧電素子を形成することが可能となる。その結果、圧電素子をリング状振動体の側面に配置することなく、その平面上の圧電素子のみが一軸の角速度センサとしての一次振動の励起と二次振動の検出の役割を担うことができる振動ジャイロが製造される。
また、リング状振動体をシリコン基板から形成するため、レジスト膜との選択比も十分に高い公知のシリコントレンチエッチング技術が適用できる。なお、仮にそのレジスト膜が消失しても、その下層にある上層金属膜又は圧電体膜がシリコンのエッチングの際のマスクとしての役割を果たす十分な選択比を備えている。
また、本発明のもう1つの振動ジャイロの製造方法は、シリコン基板上に、一様に絶縁膜を形成する工程と、その絶縁膜上に、一様に下層金属膜を形成する工程と、その下層金属膜上に、一様に圧電体膜を形成する工程と、その圧電体膜上に、一様に上層金属膜を形成する工程と、その上層金属膜上に第1レジスト膜をパターニングする工程と、その第1レジスト膜をエッチングマスクとして、前述の上層金属膜及び前述の圧電体膜をドライエッチングして前述の下層金属膜を露出させる工程と、その上層金属膜及びその下層金属膜上に第2レジスト膜をパターニングする工程とを有している。さらに、本発明のもう1つの振動ジャイロの製造方法は、そのパターニングの後、前述の第2レジスト膜、前述の上層金属膜、又は前述の下層金属膜をエッチングマスクとして、その絶縁膜、及びそのシリコン基板をドライエッチングすることにより、リング状振動体及び前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部、並びに、Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前述のリング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、前述の各々の駆動電極から時計回り又は反時計回りに(90/N)°離れた角度に配置され、かつ前述のリング状振動体に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する一群の第1検出電極と、前述の各々の第1検出電極から(180/N)°離れた角度に配置され、かつ前述の二次振動を検出する一群の第2検出電極とが形成される工程を有している。
この振動ジャイロの製造方法によっても、ドライプロセス技術による高精度の加工が可能となるため、リング状振動体が備える平面上の特有の領域に圧電素子を形成することが可能となる。その結果、圧電素子をリング状振動体の側面に配置することなく、その平面上の圧電素子のみが一軸の角速度センサとしての一次振動の励起と二次振動の検出の役割を担うことができる振動ジャイロが製造される。
本発明の1つの振動ジャイロによれば、リング状振動体の側面に圧電素子を形成せずに、リング状振動体上の圧電素子が配置される平面と同一平面内で一次振動が励起され、かつリング状振動体の動きも制御され得る。また、リング状振動体が備える平面に対するドライプロセス技術を用いて高精度に電極及びリング状振動体の加工を行うことが可能となる。また、この振動ジャイロは、特有な領域に圧電素子を配置することにより、Nを2以上の自然数とした場合のcosNθの振動モードに適用しうる自由度を備えている。一方、本発明の1つの振動ジャイロの製造方法によれば、ドライプロセス技術による高精度の加工が可能となるため、リング状振動体が備える平面上の特有の領域に圧電素子を形成することが可能となる。その結果、圧電素子をリング状振動体の側面に配置することなく、その平面上の圧電素子のみが一軸の角速度センサとしての一次振動の励起と二次振動の検出の役割を担うことができる振動ジャイロが製造される。
本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図1に示す構造体の斜視図である。 図2Aの一部(W部)の拡大図である。 図1のX−X断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態におけるリング状振動ジャイロの一部の製造工程の過程を示す断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図5のY−Y断面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図7のZ−Z断面図である。 第1検出電極と第2検出電極の電気的信号の正負を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 本発明の他の実施形態におけるリング状振動ジャイロの中心的役割を果たす構造体の正面図である。 図15AのT−T断面図である。 本発明の他の実施形態におけるcos3θの振動モードの一次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態におけるcos3θの振動モードの二次振動を概念的に説明する図である。 本発明の他の実施形態における振動体形状を説明する図である。
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示されていない。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態におけるリング状振動ジャイロ100の中心的役割を果たす構造体の正面図である。図2Aは、図1に示す構造体の斜視図であり、図2Bは、図2Aの一部(W部)の拡大図である。また、図3は、図1のX−X断面図である。
図1乃至図3に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、大きく3つの領域に分類される。第1の領域は、シリコン基板10から形成されるリング状振動体11の上部の平面(以下、上面という)上に、シリコン酸化膜20を備え、さらにその上に、圧電体膜40が下層金属膜30及び上層金属膜50に挟まれることにより形成される複数の電極13a〜13dを備えた領域である。本実施形態では、複数の電極13a〜13dを構成する上層金属膜50の外側端部は、約40μm幅のリング状平面を有するリング状振動体11の外周縁から約1μm内側に形成され、その幅は約18μmである。また、その上層金属膜50は、リング状振動体11の上面であるリング状平面の幅の両端間の中央を結ぶ線(以下、単に中央線という)よりも外側に形成されている。
ところで、本実施形態では、cos2θの振動モードでリング状振動ジャイロ100の一次振動が励起される。従って、前述の複数の電極13a〜13dの内訳は、互いに円周方向に180°離れた角度に配置された2つの駆動電極13a,13aと、駆動電極13a,13aから円周方向であって90°離れた角度に配置された2つのモニタ電極13c,13cと、リング状振動ジャイロ100に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する、第1検出電極13b,13b及び第2検出電極13d,13dである。本実施形態では、第1検出電極13b,13bは、駆動電極13a,13aから円周方向であって時計回りに45°離れた角度に配置される。また、第2検出電極13d,13dは、第1検出電極から円周方向であって90°離れた角度、換言すれば、駆動電極13a,13aから円周方向であって反時計回りに45°離れた角度に配置される。
また、本実施形態では、下層金属膜30及び上層金属膜50の厚みは100nmであり、圧電体膜40の厚みは、3μmである。また、シリコン基板10の厚みは100μmである。なお、図1においてVで示される斜線領域又は図2BにおいてVで示される領域は、リング状振動ジャイロ100を構成する構造体が何も存在しない空間又は空隙部分であり、図面を分かりやすくするために便宜上設けられた領域である。
第2の領域は、リング状振動体11の一部と連結しているレッグ部15,・・・,15である。このレッグ部15,・・・,15もシリコン基板10から形成されている。また、レッグ部15,・・・,15上には、リング状振動体11上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40がレッグ部15,・・・,15の上面全体に形成されている。さらに、圧電体膜40の上面の中央線上には、幅約8μmの引き出し電極14,・・・,14である上層金属膜50が形成されている。
第3の領域は、上述のレッグ部15,・・・,15に連結しているシリコン基板10から形成される支柱19及び電極パッド18,・・・,18を備えた電極パッド用固定端部17,・・・,17である。本実施形態では、支柱19が、図示しないリング状振動ジャイロ100のパッケージ部に連結し、固定端としての役割を果たしている。また、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、支柱19以外の固定端として、電極パッド用固定端部17,・・・,17を備えている。この電極パッド用固定端部17,・・・,17は、支柱19及び上述のパッケージ部のみに連結しているため、実質的にリング状振動体11の動きを阻害しない。また、図3に示すように、支柱19及び電極パッド用固定端部17,・・・,17の上面には、グラウンド電極である固定電位電極16を除き、レッグ部15,・・・,15上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40が形成されている。ここで、シリコン酸化膜20上に形成された下層金属膜30が固定電位電極16の役割を担っている。また、支柱19及び電極パッド用固定端部17,・・・,17上に形成されている圧電体膜20の上面には、レッグ部15,・・・,15上のそれと連続する前述の引き出し電極14,・・・,14及び電極パッド18,・・・,18が形成されている。
次に、本実施形態のリング状振動ジャイロ100の製造方法について、図4A乃至図4Fに基づいて説明する。なお、図4A乃至図4Fは、図3における一部の範囲に対応する断面図である。
まず、図4Aに示すように、シリコン基板10上に、シリコン酸化膜20、下層金属膜30、圧電体膜40、及び上層金属膜50が積層されている。前述の各膜は公知の成膜手段によって形成されている。本実施形態では、シリコン酸化膜20は公知の手段による熱酸化膜である。また、下層金属膜30、圧電体膜40、及び上層金属膜50は、いずれも公知のスパッタリング法により形成されている。なお、これらの膜の形成は、前述の例に限定されず、他の公知の手段によっても形成され得る。
次に、上層金属膜50の一部がエッチングされる。本実施形態では、上層金属膜50上に公知のレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術により形成されたパターンに基づいてドライエッチングを行うことにより、図4Bに示される上層金属膜50が形成される。ここで、上層金属膜50のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われた。
その後、図4Cに示すように、圧電体膜40の一部がエッチングされる。まず、上述の同様、フォトリソグラフィ技術によりパターニングがされたレジスト膜に基づいて、圧電体膜40がドライエッチングされる。なお、本実施形態の圧電体膜40のドライエッチングは、アルゴン(Ar)とCガスの混合ガス、又はアルゴン(Ar)とCガスとCHFガスの混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われた。
続いて、図4Dに示すように、下層金属膜30の一部がエッチングされる。本実施形態では、下層金属膜30を利用した固定電位電極16が形成されるように、再度、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたレジスト膜を用いてドライエッチングされる。本実施形態では、固定電位電極16は、グラウンド電極として利用される。なお、本実施形態の下層金属膜30のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われた。
ところで、本実施形態では、前述の再び形成されたレジスト膜をエッチングマスクとして、その後のシリコン酸化膜20及びシリコン基板10を連続的にエッチングするため、このレジスト膜の厚みは、約4μmになるように形成されている。但し、万一、このレジスト膜がシリコン基板10のエッチング中に消失した場合であっても、シリコン基板10に用いられるエッチャントに対するエッチングレートの選択比が有利に働くため、前述のエッチングによって下層金属膜30の性能は実質的に影響を受けない。
次に、図4E及び図4Fに示すように、上述の通り、下層金属膜30をエッチングするためのレジスト膜を利用して、シリコン酸化膜20及びシリコン基板10をドライエッチングする。本実施形態のシリコン酸化膜20のドライエッチングは、アルゴン(Ar)又はアルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた公知のリアクティブイオンエッチング(RIE)条件によって行われた。また、本実施形態のシリコン基板10のドライエッチングの条件は、公知のシリコントレンチエッチング技術が適用される。ここで、シリコン基板10は貫通エッチングされる。従って、前述のドライエッチングは、貫通時にシリコン基板10を載置するステージをプラズマに曝さないようにするための保護基板をシリコン基板10の下層に伝熱性の優れたグリース等により貼り付けた状態で行われる。そのため、例えば、貫通後にシリコン基板10の厚さ方向に垂直な方向の面、換言すればエッチング側面が侵食されることを防ぐために、特開2002−158214に記載されているドライエッチング技術が採用されることは好ましい一態様である。
上述の通り、シリコン基板10及びシリコン基板10上に積層された各膜のエッチングによって、リング状振動ジャイロ100の中心的な構造部が形成されたのち、公知の手段によるパッケージへの収容工程、及び配線工程を経ることにより、リング状振動ジャイロ100が形成される。
次に、リング状振動ジャイロ100が備える各電極の作用について説明する。上述の通り、本実施形態はcos2θの振動モードの一次振動が励起される。なお、固定電位電極16が接地されるため、固定電位電極16と連続して形成されている下層電極膜30は一律に0Vになっている。
最初に、図1に示すように、2つの駆動電極13a,13aに1VP−0の交流電圧が印加される。その結果、圧電体膜40が伸縮して一次振動が励起される。ここで、本実施形態では上層金属膜50がリング状振動体11の上面における中央線よりも外側に形成されているため、リング状振動体11の側面に形成されることなく圧電体膜40の伸縮運動をリング状振動体11の一次振動に変換することが可能となる。
次に、図1に示すモニタ電極13c,13cが、上述の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。本実施形態のフィードバック制御回路は、駆動電極13a,13aに印加される交流電圧の周波数とリング状振動体11が持つ固有周波数が一致するように制御するとともに、リング状振動体11の振幅がある一定の値となるようにモニタ電極13c,13cの信号を用いて制御している。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
上述の一次振動が励起された後、図1に示すリング状振動ジャイロ100の配置された平面に垂直な軸(紙面に垂直な方向の軸、以下、単に「垂直軸」という)の回りで角速度が加わると、cos2θの振動モードである本実施形態では、コリオリ力により一次振動の振動軸に対して両側に45°傾いた新たな振動軸を有する二次振動が生じる。
この二次振動が2つの第1検出電極13b,13bと、2つの第2検出電極13d,13dによって検出される。本実施形態では、図1に示すように、第1検出電極13b,13b及び第2検出電極13d,13dは、それぞれ二次振動の振動軸に対応して配置されている。また、全ての第1検出電極13b,13b及び第2検出電極13d,13dは、リング状振動体11の上面における中央線よりも外側に形成されている。従って、角速度を受けて励起される二次振動によって生じる第1検出電極13b,13bと第2検出電極13d,13dの電気的信号の正負が逆になる。これは、図9に示すように、例えば、リング状振動体11が縦に楕円となる振動体11aの振動状態に変化した場合、中央線より外側に配置されている第1検出電極13bの位置の圧電体膜40は、Aに示す矢印の方向に伸びる一方、中央線より外側に配置されている第2検出電極13dの位置の圧電体膜40は、Aに示す矢印の方向に縮むため、それらの電気的信号は逆になる。同様に、リング状振動体11が横に楕円となる振動体11bの振動状態に変化した場合、第1検出電極13bの位置の圧電体膜40は、Bに示す矢印の方向に縮む一方、第2検出電極13dの位置の圧電体膜40は、Bに示す矢印の方向に伸びるため、この場合も、それらの電気的信号が逆になる。
ここで、公知の差分回路である演算回路60において、第1検出電極13b,13bと第2検出電極13d,13dの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号は第1検出信号又は第2検出信号のいずれか一方のみの場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
一方、本実施形態では、レッグ部15,・・・,15上に、引き出し電極14としての上層金属膜50、圧電体膜40、及び下層金属膜30が形成されている。ここで、仮に、リング状振動ジャイロ100に対して既に述べたバウンスモードを励起する振動を伴う外乱(衝撃)が発生した場合、レッグ部15,・・・,15がリング状振動ジャイロ100の垂直軸の一方向に動くため、レッグ部15,・・・,15上の圧電体膜40の伸縮に伴う電気信号が発生する。しかしながら、この場合は、二次振動を検出するための全ての電極に連結するレッグ部の前述の電気信号の正負は一致しているため、演算回路60においてそれらの差分を取ることにより、各レッグ部15からの信号は実質的にキャンセルされることになる。
他方、ロッキングモードの振動を励起する外乱が発生した場合、例えば、図1に示すとおり、第1検出電極13b,13bは、それぞれ円周方向に180°離れた場所に配置されているため、各々の第1検出電極13b,13bに連結するレッグ部上の圧電体膜40の伸縮は逆になる。その結果、各第1検出電極13bの電気信号の正負が逆になる。従って、それらの電気信号は互いに相殺し合うことになる。上述の現象は、各第2検出電極13dに連結するレッグ部の前述の電気信号にも当てはまる。このため、ロッキングモードの振動による演算回路60への実質的な影響はなくなる。
上述の通り、本実施形態のリング状振動ジャイロ100は、2つの第1検出電極13b,13b及び2つの第2検出電極13d,13dを備えることにより、二次振動の検出能力が高められるとともに、バウンスモードやロッキングモードの振動を励起する外部衝撃に対する耐衝撃性も高められる。
<第2の実施形態>
図5は、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ200の中心的役割を果たす構造体の正面図である。また、図6は、図5のY−Y断面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、第1の実施形態における圧電体膜40及び上層金属膜50を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図5では、図面を見易くするため、便宜的に図1における演算回路60が省略されている。
図5及び図6に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、第1の実施形態の第2検出電極13d,13dの代わりに、第2検出電極213d,213dを備える。本実施形態の第2検出電極213d,213dの上層金属膜50の外側端部は、リング状振動体11の内周縁から約1μm内側に形成され、その幅は約18μmである。また、それらの上層金属膜50は、リング状振動体11のリング状平面の中央線よりも内側に形成されている。
本実施形態では、図6に示すように、実質的に上層金属膜50が形成されている領域に合わせて圧電体膜40がエッチングされている。このため、下層金属膜30が形成されている領域に影響されずに、上層金属膜50に印加された交流電圧が鉛直下向きのみに印加されるため、圧電体膜40の望ましくない伸縮や電気信号の発信が防がれる。なお、本実施形態では、上層金属膜50のドライエッチング工程の後、上層金属膜50上の残留レジスト膜又は上記金属膜50自身をエッチングマスクとして、引き続いて第1の実施形態と同条件によるドライエッチングを行うことにより、前述の圧電体膜40が形成される。また、図6に示すように、本実施形態では圧電体膜40が傾斜状(例えば、傾斜角が75°)にエッチングされている。しかしながら、図6のような急峻な傾斜を有する圧電体膜40は、図5に示すリング状振動ジャイロ200の正面視においては、他の領域と比較して実質的に視認されないものとして本出願では取り扱われる。
ここで、第1の実施形態と同様の一次振動が励起されたリング状振動ジャイロ200に対し、リング状振動ジャイロ200の垂直軸(紙面に垂直な方向)の回りで角速度が加わると、二次振動が2つの第1検出電極13b,13bと、2つの第2検出電極213d,213dによって検出される。
本実施形態では、図5に示すように、第1検出電極13b,13b及び第2検出電極213d,213dは、それぞれ二次振動の振動軸に対応して配置されている。また、第1検出電極13b,13bは、リング状振動体11の上面における中央線よりも外側に形成されている。他方、第2検出電極213d,213dは、リング状振動体11の上面における中央線よりも内側に形成されている。従って、角速度を受けて励起される二次振動によって生じる第1検出電極13b,13bと第2検出電極213d,213dの電気的信号の正負が一致することになる。
ここで、図示しない公知の加算回路である演算回路において、第1検出電極13b,13bと第2検出電極213d,213dの電気信号の和が算出される。その結果、検出信号は第1検出信号又は第2検出信号のいずれか一方のみの場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。なお、前述の加算回路の代わりに、第1検出電極13b,13bと第2検出電極213d,213dからの引き出し電極14,・・・,14を単に接続することによっても、前述の加算回路と同等の効果が奏されるため、本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、回路設計上極めて簡便化される利点を備える。
ところで、本実施形態においてロッキングモードの振動を励起する外乱として発生した場合、例えば、図5に示すとおり、第1検出電極13b,13bは、それぞれ円周方向に180°離れた場所に配置されているため、第1検出電極13b,13bに連結するレッグ部上の圧電体膜40の伸縮は逆になる。その結果、各第1検出電極13bの電気信号の正負が逆になる。従って、それらの電気信号は互いに相殺し合うことになる。上述の現象は、各第2検出電極213dに連結するレッグ部の前述の電気信号にも当てはまる。このため、ロッキングモードの振動に対する演算回路への実質的な影響はなくなる。
なお、本実施形態では、バウンスモードの振動を励起する外乱(衝撃)が発生した場合、二次振動を検出するための全ての電極に連結するレッグ部の電気信号の正負が一致するため、演算回路においてそれらの和を取ると、第1の実施形態のようにキャンセルされない。従って、本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、バウンスモードの振動を励起する耐衝撃性を有しない。
上述の通り、本実施形態のリング状振動ジャイロ200は、2つの第1検出電極13b,13b及び2つの第2検出電極213d,213dを備えることにより、二次振動の検出能力が高められる。
<第3の実施形態>
図7は、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ300の中心的役割を果たす構造体の正面図である。また、図8は、図7のZ−Z断面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ300は、第1の実施形態における第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法は一部を除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図7でも、図面を見易くするため、便宜的に図1における演算回路60が省略されている。
図7及び図8に示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ300は、第1の実施形態の第1検出電極13b,13bの代わりに第1検出電極313b,313bを備えるとともに、第1の実施形態の第2検出電極13d,13dの代わりに第2検出電極313d,313dを備える。本実施形態の第1検出電極313b,313b及び第2検出電極313d,313dの上層金属膜50の外側端部は、リング状振動体11の内周縁から約1μm内側に形成され、その幅は約18μmである。また、それらの上層金属膜50は、リング状振動体11の上面における中央線よりも内側に形成されている。
ここで、第1の実施形態と同様の一次振動が励起されたリング状振動ジャイロ300に対し、リング状振動ジャイロ300の垂直軸(紙面に垂直な方向)の回りで角速度が加わると、二次振動が2つの第1検出電極313b,313bと、2つの第2検出電極313d,313dによって検出される。
本実施形態では、図7に示すように、第1検出電極313b,313b及び第2検出電極313d,313dは、それぞれ二次振動の振動軸に対応して配置されている。また、第1検出電極313b,313b及び第2検出電極313d,313dは、リング状振動体11の上面における中央線よりも内側に形成されている。従って、角速度を受けて励起される二次振動によって生じる第1検出電極313b,313bと第2検出電極313d,313dの電気的信号の正負が逆になる。
ここで、図示しない公知の差分回路である演算回路において、第1検出電極313b,313bと第2検出電極313d,313dの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号は第1検出信号又は第2検出信号のいずれか一方のみの場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
一方、本実施形態では、レッグ部15,・・・,15上に、引き出し電極14としての上層金属膜50、圧電体膜40、及び下層金属膜30が形成されている。ここで、仮に、リング状振動ジャイロ300に対して既に述べたバウンスモードの振動を励起する外乱(衝撃)が発生した場合、レッグ部15,・・・,15がリング状振動ジャイロ300の垂直軸の一方向に動くため、レッグ部15,・・・,15上の圧電体膜40の伸縮に伴う電気信号が発生する。しかしながら、この場合は、二次振動を検出するための全ての電極に連結するレッグ部の前述の電気信号の正負は一致しているため、上述の演算回路においてそれらの差分を取ることにより、各レッグ部15からの信号は実質的にキャンセルされることになる。
他方、ロッキングモードの振動を励起する外乱が発生した場合、例えば、図7に示すとおり、第1検出電極313b,313bは、それぞれ円周方向に180°離れた場所に配置されているため、第1検出電極313b,313bに連結するレッグ部上の圧電体膜40の伸縮は逆になる。その結果、各第1検出電極313bの電気信号の正負が逆になる。従って、それらの電気信号は互いに相殺し合うことになる。上述の現象は、各第2検出電極313dに連結するレッグ部の前述の電気信号にも当てはまる。このため、ロッキングモードの振動に対する演算回路への実質的な影響はなくなる。
上述の通り、本実施形態のリング状振動ジャイロ300は、2つの第1検出電極313b,313b及び2つの第2検出電極313d,313dを備えることにより、二次振動の検出能力が高められるとともに、バウンスモードやロッキングモードの振動を励起する外部衝撃に対する耐衝撃性も高められる。
<第4の実施形態>
図10は、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ400の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ400は、第1の実施形態におけるモニタ電極に関わる第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成されたパターンを除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図10でも、図面を見易くするため、便宜的に演算回路60が省略されている。
本実施形態のリング状振動ジャイロ400は、図10に示すように4つのモニター電極413c,・・・,413cを備えており、それぞれのモニター電極413c,・・・,413cが引き出し電極を介して電極パッド18,・・・,18と接続している。これらのモニター電極413c,・・・,413cは、第1の実施形態と同様、リング状振動体11の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
図10に示すように、モニター電極413c,・・・,413cは、必ずしも各々の駆動電極13a,13aから(180/2)°、すなわち90°離れた角度に配置される必要はない。図10に示すモニター電極413c,・・・,413cの配置であっても、本発明の主たる効果は奏される。なお、本実施形態では、モニター電極413c,・・・,413cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、それぞれが等角度ずつ離れた角度に配置されている。このため、製造工程のバラつきが引き起こすモニター電極413c,・・・,413cの位置ずれに伴う検出感度の不均一性の影響が低減される。加えて、リング状振動体11の二次振動による逆位相の出力が相互に抑制し合うため、新たに発生する二次振動の影響を受けることなく、一次振動の大きさを一定に保つことが可能となる。
<第5の実施形態>
図11は、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ500の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ500は、第1の実施形態における第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成されたパターンを除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図11でも、図面を見易くするため、便宜的に演算回路60が省略されている。
本実施形態のリング状振動ジャイロ500は、図11に示すように2つのモニター電極513c,513cを備えており、それぞれのモニター電極513c,513cが引き出し電極を介して電極パッド18,18と接続している。これらのモニター電極513c,513cは、第1の実施形態と同様、リング状振動体11の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
図11に示すように、モニター電極513c,513cは、必ずしも各々の駆動電極13a,13aから(180/2)°、すなわち90°離れた角度に配置される必要はない。図11に示すモニター電極513c,513cの配置であっても、本発明の主たる効果は奏される。ここで、本実施形態では、モニター電極513c,513cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、それぞれが反時計周りに等角度ずつ離れた角度に配置されている。このため、製造工程のバラつきが引き起こすモニター電極513c,513cの位置ずれに伴う検出感度の不均一性の影響を低減することが可能となる。なお、モニター電極513c,513cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、それぞれが時計周りに等角度ずつ離れた角度に配置されていても前述と同様の効果が奏される。
<第6の実施形態>
図12は、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ600の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ600は、第1の実施形態における第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成されたパターンを除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図12でも、図面を見易くするため、便宜的に演算回路60が省略されている。
本実施形態のリング状振動ジャイロ600は、図12に示すように2つのモニター電極613c,613cを備えており、それぞれのモニター電極613c,613cが引き出し電極を介して電極パッド18,18と接続している。これらのモニター電極613c,613cは、第1の実施形態と同様、リング状振動体11の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
図12に示すように、モニター電極613c,613cは、必ずしも各々の駆動電極13a,13aから(180/2)°、すなわち90°離れた角度に配置される必要はない。図12に示すモニター電極613c,613cの配置であっても、本発明の主たる効果は奏される。ここで、本実施形態では、モニター電極613c,613cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、1つが反時計周りに、他方が時計回りに等角度ずつ離れた角度に配置されている。その結果、リング状振動体11の二次振動による逆位相の出力が相互に抑制し合うため、新たに発生する二次振動の影響を受けることなく、一次振動の大きさを一定に保つことが可能となる。
<第7の実施形態>
図13Aは、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ700の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ700は、第1の実施形態における第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成されたパターンを除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図13Aでも、図面を見易くするため、便宜的に演算回路60が省略されている。
本実施形態のリング状振動ジャイロ700は、図13Aに示すように2つのモニター電極513c,513cを備えており、それぞれのモニター電極713c,713cが引き出し電極を介して電極パッド18,18と接続している。これらのモニター電極713c,713cは、第1の実施形態と同様、リング状振動体11の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
図13Aに示すように、モニター電極713c,713cは、必ずしも各々の駆動電極13a,13aから(180/2)°、すなわち90°離れた角度に配置される必要はない。図13Aに示すモニター電極713c,713cの配置であっても、本発明の主たる効果は奏される。ここで、本実施形態では、モニター電極713c,713cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、それぞれが反時計周りに等角度ずつ離れた角度に配置されている。このため、製造工程のバラつきが引き起こすモニター電極413c,・・・,413cの位置ずれに伴う検出感度の不均一性の影響が低減される。なお、モニター電極713c,713cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、それぞれが時計周りに等角度ずつ離れた角度に配置されていても前述と同様の効果が奏される。
<第7の実施形態の変形例>
図13Bは、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ750の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ750は、第1の実施形態における第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成されたパターンを除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図13Bでも、図面を見易くするため、便宜的に演算回路60が省略されている。
本実施形態のリング状振動ジャイロ750は、図13Bに示すように2つのモニター電極753c,753cを備えており、それぞれのモニター電極753c,753cが引き出し電極を介して電極パッド18,18と接続している。これらのモニター電極753c,753cは、第1の実施形態と同様、リング状振動体11の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
図13Bに示すように、モニター電極753c,753cは、必ずしも各々の駆動電極13a,13aから(180/2)°、すなわち90°離れた角度に配置される必要はない。図13Aに示すモニター電極753c,753cの配置であっても、本発明の主たる効果は奏される。ここで、本実施形態では、モニター電極753c,753cが、各駆動電極13a,13aから90°離れた角度を中心に、リング状振動体11の外周側にある1つが反時計周りに、リング状振動体11の外周側にある他方が時計回りに等角度ずつ離れた角度に配置されている。その結果、このため、製造工程のバラつきが引き起こすモニター電極413c,・・・,413cの位置ずれに伴う検出感度の不均一性の影響が低減される。
<第8の実施形態>
図14は、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ800の中心的役割を果たす構造体の正面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ800は、第1の実施形態におけるレッグ部15,・・・,15の配置及び第1の領域の上層金属膜50の配置を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成されたパターンを除いて第1の実施形態と同じである。さらに、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態と同様、cos2θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図14でも、図面を見易くするため、便宜的に演算回路60が省略されている。
本実施形態のリング状振動ジャイロ800は、図14に示すように、各々の駆動電極13a,・・・,13a、各々の第1検出電極13b,・・・,13b、及び各々の第2検出電極13d,・・・,13dが、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域又はその内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置されている。また、各々のモニタ電極13c,13cは、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域に配置されている。なお、本実施形態では、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域の駆動電極13a,13aに対する駆動電圧の位相は、その内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域の駆動電極13a,13aに対する駆動電圧の位相と逆となる。また、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域内に配置される第1検出電極13b,13bが検出する位相は、その内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域の第1検出電極13b,13bが検出する位相と同じになる。また、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域内に配置される第2検出電極13d,13dが検出する位相は、その内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域の第2検出電極13d,13dが検出する位相と同じになる。但し、各第1検出電極13bの位相は、各第2検出電極13dの位相に対して逆となる。
本実施形態のように、各種の電極が、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域に配置されると共に、その内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置された場合であっても、本発明の効果と同様の効果が奏される。特に、リング状振動体11の外周縁からその外周縁の近傍に至るまでの領域に配置されると共に、その内周縁からその内周縁の近傍に至るまでの領域に配置された場合、各種の電極の配置が多少複雑化するが、リング状振動体11の駆動能力や二次振動の検出能力が倍増するため、本実施形態のリング状振動ジャイロ800も好ましい一態様である。
また、本実施形態のリング状振動ジャイロ800のモニター電極13c,13cの一部又は全部の配置を、第4乃至第8の実施形態のように配置した場合であっても、第4乃至第8の実施形態の効果と同様の効果が奏される。
<第9の実施形態>
図15Aは、本実施形態におけるもう一つのリング状振動ジャイロ900の中心的役割を果たす構造体の正面図である。また、図15Bは、図15AのT−T断面図である。本実施形態のリング状振動ジャイロ900は、第1の実施形態における第1の領域の上層金属膜50の配置及び電極パッド用固定端部17,・・・,17を除き、第1の実施形態のリング状振動ジャイロ100と実質的に同一の構成を備える。また、その製造方法はフォトリソグラフィ技術により形成された各種パターンを除いて第1の実施形態と同じである。他方、本実施形態の振動モードは、第1の実施形態とは異なり、cos3θの振動モードである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。なお、図15Aでは、図面を見易くするため、便宜的に演算回路が省略されている。また、説明の便宜上、図15Aには、X軸及びY軸が表記されている。加えて、本実施形態では、他の実施形態の図面内に記載される斜線及びVの文字が省略されている。
図15Aに示すとおり、本実施形態のリング状振動ジャイロ900の各上層金属膜50は、中央線よりも外側に形成されている。
ところで、本実施形態の一次振動の振動モードは、図16Aに示すイン・プレーンのcos3θの振動モードである。また、本実施形態の二次振動の振動モードとは、図16Bに示すcos3θのイン・プレーンの振動モードである。従って、複数の電極13a〜13eの内訳は、次のとおりである。まず、互いに円周方向に120°離れた角度に配置された3つの駆動電極13a,13a,13aが配置される。また、前述の3つの駆動電極13a,13aの内の1つの駆動電極13a(例えば、図15Aにおいて時計の12時方向の駆動電極13a)を基準電極とした場合に、その基準電極から円周方向であって時計回りに60°、180°、及び300°離れた角度にモニタ電極13c,13c,13cが配置される。また、第1検出電極13b,13b,13bは、その基準電極から円周方向であって時計回りに30°、150°、及び270°離れた角度に配置される。加えて、第2検出電極13d,13d,13dは、その基準電極から円周方向であって時計回りに90°、210°、及び330°離れた角度に配置される。
なお、本実施形態では、図15Aに示すように、各種の電極の1つについて、電気信号の偏りを解消するために、それぞれの両端部から引き出し電極14,14が形成されている。なお、各種の電極の片側のみから引き出し電極14が形成されている場合であっても、振動ジャイロとしての機能を失うことはない。
また、本実施形態の第3の領域は、上述のレッグ部15,・・・,15に連結しているシリコン基板10から形成される支柱19である。本実施形態では、この支柱19が第1の実施形態における電極パッド用固定端部17の機能を兼ねている。また、支柱19の上面には、グラウンド電極である固定電位電極16を除き、レッグ部15,・・・,15上のそれらと連続する上述のシリコン酸化膜20、下層金属膜30、及び圧電体膜40が形成されている。ここで、シリコン酸化膜20上に形成された下層金属膜30が固定電位電極16の役割を担っている。また、支柱19の上方に形成されている圧電体膜40の上面には、レッグ部15,・・・,15上のそれと連続する前述の引き出し電極14,・・・,14及び電極パッド18,・・・,18が形成されている。
次に、リング状振動ジャイロ900が備える各電極の作用について説明する。上述の通り、本実施形態はイン・プレーンのcos3θの振動モードの一次振動が励起される。なお、固定電位電極16が接地されるため、固定電位電極16と連続して形成されている下層電極膜30は一律に0Vになっている。
最初に、3つの駆動電極13a,13a,13aに1VP−0の交流電圧が印加される。その結果、圧電体膜40が伸縮して一次振動が励起される。ここで、本実施形態では上層金属膜50がリング状振動体11の上面における中央線よりも外側に形成されているため、リング状振動体11の側面に形成されることなく圧電体膜40の伸縮運動をリング状振動体11の一次振動に変換することが可能となる。なお、実際の交流電源12は、導電性ワイヤに接続される電極パッド18を介して駆動電極13aに印加するが、本実施形態及び他の実施形態では、説明の便宜上、省略される。
次に、図15Aに示すモニタ電極13c,13c,13cが、上述の一次振動の振幅及び共振周波数を検出して、図示しない公知のフィードバック制御回路に信号を送信する。本実施形態のフィードバック制御回路は、駆動電極13a,13a,13aに印加される交流電圧の周波数とリング状振動体11が持つ固有周波数が一致するように制御するとともに、リング状振動体11の振幅がある一定の値となるようにモニタ電極13c,13c,13cの信号を用いて制御している。その結果、リング状振動体11は、一定の振動が持続される。
ここで、リング状振動ジャイロ900に対し、リング状振動ジャイロ900の垂直軸(紙面、すなわちX−Y平面に垂直な方向)の回りで角速度が加わると、イン・プレーンのcos3θの振動モードである本実施形態では、コリオリ力により、図16Aに示す一次振動の振動軸に対して両側に30°傾いた新たな振動軸を有する図16Bに示す二次振動が生じる。
この二次振動が、3つの第1検出電極13b,13b,13bと3つの第2検出電極13d,13d,13dによって検出される。本実施形態でも、第1の実施形態と同様、公知の差分回路である演算回路において、各検出電極13b,13dの電気信号の差が算出される。その結果、検出信号はいずれか一方の検出電極の場合と比較して約2倍の検出能力を備えることになる。
上述の通り、本実施形態のリング状振動ジャイロ900は、第1検出電極13b及び第2検出電極13dを備えることにより、cos3θの振動モードであっても、二次振動の検出能力が高められるとともに、バウンスモードやロッキングモードの振動を励起する外部衝撃に対する耐衝撃性も高められる。
なお、本実施形態のリング状振動ジャイロ900のモニター電極13c,13c,13cの一部又は全部の配置を、第4乃至第8の実施形態のように配置した場合であっても、第4乃至第8の実施形態の効果と同様の効果が奏される。
ところで、上述の第1の実施形態及び第3の実施形態では、圧電体膜40はエッチングされずに、上層金属膜50のパターニングによって各電極が形成されていたが、これに限定されない。第1の実施形態又は第3の実施形態においても、第2の実施形態のように、実質的に上層金属膜50が形成されている領域に合わせて圧電体膜40がエッチングされることにより、圧電体膜40の望ましくない伸縮や電気信号の発信が防がれる。
また、上述の各実施形態では、シリコン基板上の絶縁膜としてシリコン酸化膜が採用されているが、これに限定されない。例えば、シリコン酸化膜の代わりに、シリコン窒化膜や、シリコン酸窒化膜が形成されていても、本発明の効果と実質的に同様の効果が奏される。
また、上述の第1乃至第8の実施形態では、cos2θの振動モードが採用されているが、これに限定されない。Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する駆動電極を採用することにより、本発明の効果と実質的に同様の効果が奏される。例えば、cos3θの振動モードが採用される第9の実施形態の各電極の配置は、当業者にとって、上述の第1乃至第8の実施形態に相当するcos3θの振動モードの各電極の配置を十分に開示するものである。すなわち、Nを2以上の自然数とした場合のcosNθの振動モードの各電極の配置は、上述の各実施形態の説明によって十分に開示されている。
また、上述の各実施形態は、円環状の振動体を用いた振動ジャイロで説明されているが、円環状の代わりに、多角形状の振動体であってもよい。例えば、正六角形、正八角形、正十二角形、正二十角形等の正多角形状の振動体であっても、本発明の効果と実質的に同様の効果が奏される。また、図17に示すリング状振動ジャイロ950の八角形状の振動体111のような振動体であってもよい。振動体の正面視において点対象形状となる多角形状の振動体が採用されれば、振動体の振動時の安定性の観点で好ましい。なお、「円環状」には楕円形状が含まれる。
さらに、上述の各実施形態では、シリコンを母材とするリング状振動ジャイロが採用されているが、これにも限定されない。例えば、振動ジャイロの母材がゲルマニウム又はシリコンゲルマニウムであってもよい。上述のうち、特に、シリコン又はシリコンゲルマニウムの採用は、公知の異方性ドライエッチング技術を適用することができるため、振動体を含めたジャイロ全体の加工精度の向上に大きく寄与する。以上、述べたとおり、本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、振動ジャイロとして種々のデバイスの一部に適用され得る。

Claims (7)

  1. 平面を一様に備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、
    前記平面の上方に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極、及び固定電位電極とを備え、
    前記複数の電極は、Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、前記各々の駆動電極から時計回り及び/又は反時計回りに(90/N)°離れた角度に配置され、かつ前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する一群の第1検出電極と、前記各々の第1検出電極から(180/N)°離れた角度に配置され、かつ前記二次振動を検出する一群の第2検出電極と、
    前記第1検出電極に電気的に接続し、上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む、前記レッグ部の上方に形成される第1引き出し電極と、
    前記第2検出電極と電気的に接続し、上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む、前記レッグ部の上方に形成される第2引き出し電極と、を含み、
    前記各々の駆動電極、前記各々の第1検出電極、及び前記各々の第2検出電極は、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又は内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域に配置され、且つ
    演算回路によって、前記第1引き出し電極及び前記第2引き出し電極から出力される信号の差分を算出する
    振動ジャイロ。
  2. 平面を一様に備えたリング状振動体と、
    前記リング状振動体を柔軟に支持するとともに固定端を有するレッグ部と、
    前記平面の上方に形成されるとともに上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む複数の電極、及び固定電位電極とを備え、
    前記複数の電極は、Nを2以上の自然数とした場合に、cosNθの振動モードで前記リング状振動体の一次振動を励起する、互いに円周方向に(360/N)°離れた角度に配置された一群の駆動電極と、前記各々の駆動電極から(180/N)°離れた角度に配置された一群のモニタ電極と、前記各々の駆動電極から時計回り及び/又は反時計回りに(90/N)°離れた角度に配置され、かつ前記リング状振動体に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する一群の第1検出電極と、前記各々の第1検出電極から(180/N)°離れた角度に配置され、かつ前記二次振動を検出する一群の第2検出電極と、
    前記第1検出電極に電気的に接続し、上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む、前記レッグ部の上方に形成される第1引き出し電極と、
    前記第2検出電極と電気的に接続し、上層金属膜及び下層金属膜により圧電体膜を厚み方向に挟む、前記レッグ部の上方に形成される第2引き出し電極と、を含み、
    前記各々の駆動電極、前記各々のモニタ電極、前記各々の第1検出電極、及び前記各々の第2検出電極は、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又は内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域に配置され、且つ
    演算回路によって、前記第1引き出し電極及び前記第2引き出し電極から出力される信号の差分を算出する
    振動ジャイロ。
  3. 前記複数の電極は、前記各々の駆動電極から(180/N)°離れた角度を除く、{(180/N)−(45/N)}°から{(180/N)+(45/N)}°までの領域内に配置された一群のモニタ電極をさらに含み、
    前記各々のモニタ電極が、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域及び/又は内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域に配置されている
    請求項1に記載の振動ジャイロ。
  4. 前記全ての第1検出電極及び前記全ての第2検出電極が、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域又は内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域のいずれか一方のみに配置されており、
    演算回路によって前記各々の第1検出電極及び前記各々の第2検出電極から出力される信号の差分を算出する
    請求項1又は請求項2に記載の振動ジャイロ。
  5. 前記全ての第1検出電極及び前記全ての第2検出電極が、前記リング状振動体の外周縁から前記外周縁の近傍に至るまでの領域又は内周縁から前記内周縁の近傍に至るまでの領域の互いに異なる領域に配置されており、
    演算回路又は前記第1検出電極及び前記第2検出電極から引き出される電極の接続によって前記各々の第1検出電極及び前記各々の第2検出電極から出力される信号の和を算出する
    請求項1又は請求項2に記載の振動ジャイロ。
  6. 前記リング状振動体がシリコン基板から形成され、
    正面視で実質的に前記上層金属膜、前記圧電体膜、及び前記下層金属膜のみが観察される
    請求項1又は請求項2に記載の振動ジャイロ。
  7. 前記リング状振動体がシリコン基板から形成され、
    正面視で実質的に前記上層金属膜及び前記下層金属膜のみが観察される
    請求項1又は請求項2に記載の振動ジャイロ。
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