JPWO2009107878A1 - アデニンを高濃度に含有する野菜エキス、該野菜エキスを含むアデニン含有容器詰飲料、該野菜エキスを有効成分として含有してなる経口血圧降下剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
アデニンを高濃度に含有する野菜エキス、該野菜エキスを含むアデニン含有容器詰飲料、該野菜エキスを有効成分として含有してなる経口血圧降下剤組成物及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
野菜乃至野菜果汁ジュース中に含まれるアデニン含量は低濃度であり、またアデニン単独では水溶性が極めて悪くその特性を十分に利用できない。したがって、本発明の目的は、アデニンを高濃度に含有するアデニン含有野菜エキス、容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物を提供することである。本発明のアデニン含有野菜エキスは、乾燥野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することによって得られる。また、容器詰飲料は、8ppm以上、Brixを指標とした場合にはBrix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有している。
Description
本発明は、血圧降下作用を有する水溶性のアデニンを高濃度に含量する野菜エキスとその製造方法乃至抽出方法、アデニンと可溶性固形分を含有するアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られるアデニン含量8ppm以上又はBrixを指標としてBrix1.0当り0.8ppmのアデニンを含有してなるアデニン含有容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物並びにその製造方法に関する。
1.高血圧症について;
現在日本では、約3500万人の人が高血圧症にかかっていると言われている。わが国の死亡原因の2位は心疾患、3位は脳血管疾患であるが、これらの疾患の原因には高血圧症が深く関わっている。高血圧症には自覚症状がないため気がつかないうちに動脈硬化を発症し、更にこの動脈硬化によって心疾患、狭心症、脳出血、脳梗塞、腎臓病その他の様々な合併症を引き起こす。
従来、高血圧症の予防及び治療方法としては、一般療法と薬物療法が用いられている。
一般療法は減量、節酒、好気的運動等の運動療法、減塩等の食事療法を行うことにより治療する方法であって、本態性高血圧症の治療の基本である。一般療法は、薬物を使用しないため、副作用の懸念あるいは経済的負担という点では利点があるものの、個人の意欲と周囲の協力態勢に依存し、必ずしも一定の高血圧改善効果を得られない等の問題点がある。
一方、薬物療法は、食事療法や運動療法の効果が不充分な場合等、一般療法で血圧が正常化しない場合や、症状が重い高血圧症に対し用いる療法であり、確実な降圧が期待できる。薬物療法において使用される薬物は、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン転換酵素(Angiotensin I Converting Enzyme;以下ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、交感神経抑制薬等多岐にわたる。しかしこれらの血圧降下剤として用いられる薬物は、長期的な服用を必要とするため、一般的に消化器症状、起立性低血圧、代謝機能の変化等の副作用を伴う。特にACE阻害薬は副作用として空咳、めまい、立ちくらみ、悪心、口渇、過度の鎮静等が広く知られており、QOLを低下させ、コンプライアンスの低下にもつながる要因となっている。また、一度服薬を開始した場合には継続する必要があり、患者の判断によって途中で服薬を中止したり量を変えたりすることができない為、経済的及び精神的な負担も多くなる。その為、副作用の恐れがなく、経済的精神的負担も軽く、安全で長期間継続することが可能であり、かつ効果的な療法が望まれてきた。
2.健康食品、機能性食品、健康補助食品等;
そこで、上記課題を解決するために注目されるものが、血圧降下剤による薬物療法と一般療法の中間に位置するともいえる食品による治療又は予防方法である。このような食品は、健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品と呼ばれることもあり、日常的に摂取する食品中に、血圧降下作用を有する物質を添加したもの等がある。
例えば、血圧が高めの人に適した飲料として、植物由来のペプチドを含む茶飲料が販売されている。一例として、ゴマを脱脂した後、蛋白質を抽出し分解酵素を作用させて得られるゴマ蛋白質分解物(ゴマペプチド含有)のLeu−Val−Tyr(LVY)を関与成分とするものが挙げられるが、これはACE阻害を作用機序とするものである。
その他にも、血圧降下作用を謳った多くの健康食品、飲料等が販売されているが、さらに効き目のある商品、安心して長期に渡って服用できる商品、経済的負担がより少ない商品が、常に求められている。
その他、乳蛋白質、大豆蛋白質あるいは魚肉蛋白質等に様々なACE阻害ペプチドが含まれていることが報告されており、これら天然物由来のACE阻害物質は低毒性で安全性の高い降圧剤として実用化が検討されている。しかし、これらの天然物由来ペプチド群に含まれる血圧降下ペプチドは微量であり、現実的な経口での摂食量では大きい効果が期待出来ないものや、ACE阻害活性は強いが血圧降下作用はあまり強くないものが多い。
以上のように、血圧降下作用の原因物質が明らかで、工業的に安定した生産が可能であり、従来品以上に有効性、安全性の高い天然物由来の血圧降下物質およびそれらを含有した健康食品、健康飲料等が求められている。
3.モロヘイヤ;
モロヘイヤ(学名:Corchorus olitorius L.)はエジプトを中心とした地中海地方を原産地とする黄麻の一種であり、その栄養価の高さから、近年特に注目されてきた食品素材のひとつである。モロヘイヤは、細かく刻んだり茹でたりすると、オクラやヤマイモの様に独特のヌメリを生じ、このヌメリは植物ゴム(Plant gum)及び粘質多糖(ムコ多糖)を含んでいる。また栄養学的にはモロヘイヤの葉及び茎は、カリウム、カルシウム等のミネラル、βカロチン及びビタミン類の含有量が他の野菜に比べて非常に豊富であり、血液中の過剰のコレステロールや中性脂肪を低下させる作用ならびに血糖を低下させる作用を有する粘液多糖類、例えばグルコース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸等を多く含有している。カロチンはブロッコリーの約12倍、ビタミンB1はトマトの約3倍、ビタミンB2はピーマンの約14倍、カルシウムは牛乳の約2.4倍、食物繊維はレタスの約20倍と言われている。そのため、最近、我が国でも栽培され、生葉と共にその乾燥粉末が食品素材として注目を集めつつある。
現在までに、モロヘイヤに関してはモロヘイヤ粉末やモロヘイヤ抽出物、それらを含有する食品や組成物、或いはその製造方法が多数提案されている。例えば、山本隆士等は、モロヘイヤエキスを飲料に使用するためにその粘性を低下させることを目的として、有機酸を添加してモロヘイヤエキスを抽出する製造方法について報告している(特許文献1参照)。そして、具体的な抽出方法として「抽出温度は、約90〜約95℃が好ましい。90℃よりも著しく低いと、モロヘイヤのエキスを十分に抽出できなくなり、95℃よりも著しく高いと、過熱・過抽出となってモロヘイヤ特有の風味が損なわれるおそれがあり、場合によってはコゲが発生することもある。」と報告している。また、印南敏等は、モロヘイヤ葉の水溶性画分のエタノール析出物を有効性成分として含有する組成物について報告している(特許文献2参照)。しかしながら、この有効性成分は食物繊維である。
また、遠藤普克等はヒジキ抽出物またはモロヘイヤ抽出物からなるヒアルロニダーゼ活性阻害剤について報告をしており、その中で「抽出温度は特に限定はない」旨を、「モロヘイヤの場合は50〜80℃程度の熱水で1〜2時間抽出するのが好ましい。」旨を、また実施例において「1平方センチの大きさに刻んだモロヘイヤ162グラムを水1.3リットルに入れ、攪拌しながら加熱し60℃で1時間抽出した。その後冷却し上澄み液を濾過し、濃縮及び凍結乾燥してモロヘイヤの熱水抽出物1.5グラムを得た。」旨を述べている(特許文献3参照)。しかし、ここで使用されるモロヘイヤは生葉であり、加水量もモロヘイヤ生葉に対して約8倍量、乾燥葉換算で約54倍量であり、抽出物の収量も約0.9%である。しかも、アデニンの溶解性や降圧作用については勿論のこと、アデニンそれ自体に関する記載も見出すことはできない。
上記のとおり、モロヘイヤの抽出条件については、モロヘイヤ葉を用いて約90〜約95℃で抽出する方法や50〜80℃程度の熱水で抽出する方法等、様々な方法が知られているが、抽出温度とエキス収量やアデニン含量との関係は一切知られていない。
4.モロヘイヤの血圧降下作用;
モロヘイヤの血圧降下作用については、モロヘイヤのスラリーを50〜80℃に加熱処理して凍結乾燥した乾燥粉末が試験管レベルのACE阻害活性を有することが確認されている(特許文献4参照)。更に、モロヘイヤエキスのACE阻害活性成分としてニコチアナミンが単離されている(非特許文献1、2、3参照)。また、山口典男らは、大豆の水抽出液から効率よくニコチアナミンを製造する方法を提案している(特許文献5参照)。しかし、ニコチアナミンはモロヘイヤに極微量しか含まれておらず、実際に血圧降下剤として利用するには大量の原料と複雑な精製工程が必要であり現実的ではないという問題点が指摘されている。
他方、我々本発明者等は、既にモロヘイヤにアデニンが含まれ、かつアデニンが降圧作用を有することを見出している。
5.アデニン;
アデニン(6−アミノプリン)は人体の遺伝子を構成している核酸塩基の一種であり、またアデノシン、アデノシンリン酸(ATP、cAMP、ADP、AMP)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアデニンジヌクレオチド(NAD)、補酵素Aなど生体機能物質の構成成分として広く生体に存在しており、多様な生理作用や病態と密接に関連している。アデニンは生体内では遊離した単体として存在することは少ない。アデニンは、医薬品としては、白血球減少症治療薬等として利用される。また、牧敬文等は、特定のアデニン誘導体がアンジオテンシンII拮抗作用を有し、高血圧症及び心不全などの治療及び予防に有用であることを報告している(特許文献6参照)。しかしながら、通常、野菜中に含まれるアデニンは極めて少量であり、しかも水に対して非常に難溶性であり、その溶解度は20℃で約0.1%であることからアデニンの効果は期待できない。
また、現在市販されている野菜飲料も、その中に含まれるアデニン含量は約0.05mg/100mL(約0.5ppm)から0.65mg/100mL(約6.5ppm)であり、アデニンの効果は期待できない。
6.ブランチング処理;
一般的に加工用の乾燥野菜は、加工乃至保存中にポリフェノールオキシダーゼによる褐変や、ビタミンC酸化酵素によるビタミンCの分解などが生ずることがある。そこで、野菜を長期保存する場合には、褐変等の変質を防止するために野菜中の酵素を失活させることを目的としてブランチング処理を施すのが一般的である。ブランチング処理とは、果実・野菜等の加工操作にあたって熱水もしくは蒸気で加熱してこれらの酵素を不活性化するための処理をいう。このブランチングには殺菌の効果もあり、加工中の微生物による変敗防止も兼ねるものである。実験室における試作は別にして、市販の乾燥野菜原料は緑色を保持するためのブランチングや殺菌工程により、大方の野菜は90乃至95度の高温で処理されている。
特開平10−191922号公報
特開平7−69910公報
特開2003−238434号公報
特開2007−244313
特開2003−231675号公報
特開平8−165292号公報
食品の試験と研究,31号,78−79,1996「モロヘイヤの栄養成分とアンジオテンシンI変換酵素阻害活性」、荒川彰彦
東京家政大学研究紀要,第38集(2),59−63,1998「食品中のACE阻害物質に関する研究」、木元幸一、清水恵美子、黒田裕子
日本食生活学会誌,10巻,3号,20−25,1999「食品中の高血圧抑制物質について」、木元幸一
現在日本では、約3500万人の人が高血圧症にかかっていると言われている。わが国の死亡原因の2位は心疾患、3位は脳血管疾患であるが、これらの疾患の原因には高血圧症が深く関わっている。高血圧症には自覚症状がないため気がつかないうちに動脈硬化を発症し、更にこの動脈硬化によって心疾患、狭心症、脳出血、脳梗塞、腎臓病その他の様々な合併症を引き起こす。
従来、高血圧症の予防及び治療方法としては、一般療法と薬物療法が用いられている。
一般療法は減量、節酒、好気的運動等の運動療法、減塩等の食事療法を行うことにより治療する方法であって、本態性高血圧症の治療の基本である。一般療法は、薬物を使用しないため、副作用の懸念あるいは経済的負担という点では利点があるものの、個人の意欲と周囲の協力態勢に依存し、必ずしも一定の高血圧改善効果を得られない等の問題点がある。
一方、薬物療法は、食事療法や運動療法の効果が不充分な場合等、一般療法で血圧が正常化しない場合や、症状が重い高血圧症に対し用いる療法であり、確実な降圧が期待できる。薬物療法において使用される薬物は、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン転換酵素(Angiotensin I Converting Enzyme;以下ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、交感神経抑制薬等多岐にわたる。しかしこれらの血圧降下剤として用いられる薬物は、長期的な服用を必要とするため、一般的に消化器症状、起立性低血圧、代謝機能の変化等の副作用を伴う。特にACE阻害薬は副作用として空咳、めまい、立ちくらみ、悪心、口渇、過度の鎮静等が広く知られており、QOLを低下させ、コンプライアンスの低下にもつながる要因となっている。また、一度服薬を開始した場合には継続する必要があり、患者の判断によって途中で服薬を中止したり量を変えたりすることができない為、経済的及び精神的な負担も多くなる。その為、副作用の恐れがなく、経済的精神的負担も軽く、安全で長期間継続することが可能であり、かつ効果的な療法が望まれてきた。
2.健康食品、機能性食品、健康補助食品等;
そこで、上記課題を解決するために注目されるものが、血圧降下剤による薬物療法と一般療法の中間に位置するともいえる食品による治療又は予防方法である。このような食品は、健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品と呼ばれることもあり、日常的に摂取する食品中に、血圧降下作用を有する物質を添加したもの等がある。
例えば、血圧が高めの人に適した飲料として、植物由来のペプチドを含む茶飲料が販売されている。一例として、ゴマを脱脂した後、蛋白質を抽出し分解酵素を作用させて得られるゴマ蛋白質分解物(ゴマペプチド含有)のLeu−Val−Tyr(LVY)を関与成分とするものが挙げられるが、これはACE阻害を作用機序とするものである。
その他にも、血圧降下作用を謳った多くの健康食品、飲料等が販売されているが、さらに効き目のある商品、安心して長期に渡って服用できる商品、経済的負担がより少ない商品が、常に求められている。
その他、乳蛋白質、大豆蛋白質あるいは魚肉蛋白質等に様々なACE阻害ペプチドが含まれていることが報告されており、これら天然物由来のACE阻害物質は低毒性で安全性の高い降圧剤として実用化が検討されている。しかし、これらの天然物由来ペプチド群に含まれる血圧降下ペプチドは微量であり、現実的な経口での摂食量では大きい効果が期待出来ないものや、ACE阻害活性は強いが血圧降下作用はあまり強くないものが多い。
以上のように、血圧降下作用の原因物質が明らかで、工業的に安定した生産が可能であり、従来品以上に有効性、安全性の高い天然物由来の血圧降下物質およびそれらを含有した健康食品、健康飲料等が求められている。
3.モロヘイヤ;
モロヘイヤ(学名:Corchorus olitorius L.)はエジプトを中心とした地中海地方を原産地とする黄麻の一種であり、その栄養価の高さから、近年特に注目されてきた食品素材のひとつである。モロヘイヤは、細かく刻んだり茹でたりすると、オクラやヤマイモの様に独特のヌメリを生じ、このヌメリは植物ゴム(Plant gum)及び粘質多糖(ムコ多糖)を含んでいる。また栄養学的にはモロヘイヤの葉及び茎は、カリウム、カルシウム等のミネラル、βカロチン及びビタミン類の含有量が他の野菜に比べて非常に豊富であり、血液中の過剰のコレステロールや中性脂肪を低下させる作用ならびに血糖を低下させる作用を有する粘液多糖類、例えばグルコース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸等を多く含有している。カロチンはブロッコリーの約12倍、ビタミンB1はトマトの約3倍、ビタミンB2はピーマンの約14倍、カルシウムは牛乳の約2.4倍、食物繊維はレタスの約20倍と言われている。そのため、最近、我が国でも栽培され、生葉と共にその乾燥粉末が食品素材として注目を集めつつある。
現在までに、モロヘイヤに関してはモロヘイヤ粉末やモロヘイヤ抽出物、それらを含有する食品や組成物、或いはその製造方法が多数提案されている。例えば、山本隆士等は、モロヘイヤエキスを飲料に使用するためにその粘性を低下させることを目的として、有機酸を添加してモロヘイヤエキスを抽出する製造方法について報告している(特許文献1参照)。そして、具体的な抽出方法として「抽出温度は、約90〜約95℃が好ましい。90℃よりも著しく低いと、モロヘイヤのエキスを十分に抽出できなくなり、95℃よりも著しく高いと、過熱・過抽出となってモロヘイヤ特有の風味が損なわれるおそれがあり、場合によってはコゲが発生することもある。」と報告している。また、印南敏等は、モロヘイヤ葉の水溶性画分のエタノール析出物を有効性成分として含有する組成物について報告している(特許文献2参照)。しかしながら、この有効性成分は食物繊維である。
また、遠藤普克等はヒジキ抽出物またはモロヘイヤ抽出物からなるヒアルロニダーゼ活性阻害剤について報告をしており、その中で「抽出温度は特に限定はない」旨を、「モロヘイヤの場合は50〜80℃程度の熱水で1〜2時間抽出するのが好ましい。」旨を、また実施例において「1平方センチの大きさに刻んだモロヘイヤ162グラムを水1.3リットルに入れ、攪拌しながら加熱し60℃で1時間抽出した。その後冷却し上澄み液を濾過し、濃縮及び凍結乾燥してモロヘイヤの熱水抽出物1.5グラムを得た。」旨を述べている(特許文献3参照)。しかし、ここで使用されるモロヘイヤは生葉であり、加水量もモロヘイヤ生葉に対して約8倍量、乾燥葉換算で約54倍量であり、抽出物の収量も約0.9%である。しかも、アデニンの溶解性や降圧作用については勿論のこと、アデニンそれ自体に関する記載も見出すことはできない。
上記のとおり、モロヘイヤの抽出条件については、モロヘイヤ葉を用いて約90〜約95℃で抽出する方法や50〜80℃程度の熱水で抽出する方法等、様々な方法が知られているが、抽出温度とエキス収量やアデニン含量との関係は一切知られていない。
4.モロヘイヤの血圧降下作用;
モロヘイヤの血圧降下作用については、モロヘイヤのスラリーを50〜80℃に加熱処理して凍結乾燥した乾燥粉末が試験管レベルのACE阻害活性を有することが確認されている(特許文献4参照)。更に、モロヘイヤエキスのACE阻害活性成分としてニコチアナミンが単離されている(非特許文献1、2、3参照)。また、山口典男らは、大豆の水抽出液から効率よくニコチアナミンを製造する方法を提案している(特許文献5参照)。しかし、ニコチアナミンはモロヘイヤに極微量しか含まれておらず、実際に血圧降下剤として利用するには大量の原料と複雑な精製工程が必要であり現実的ではないという問題点が指摘されている。
他方、我々本発明者等は、既にモロヘイヤにアデニンが含まれ、かつアデニンが降圧作用を有することを見出している。
5.アデニン;
アデニン(6−アミノプリン)は人体の遺伝子を構成している核酸塩基の一種であり、またアデノシン、アデノシンリン酸(ATP、cAMP、ADP、AMP)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアデニンジヌクレオチド(NAD)、補酵素Aなど生体機能物質の構成成分として広く生体に存在しており、多様な生理作用や病態と密接に関連している。アデニンは生体内では遊離した単体として存在することは少ない。アデニンは、医薬品としては、白血球減少症治療薬等として利用される。また、牧敬文等は、特定のアデニン誘導体がアンジオテンシンII拮抗作用を有し、高血圧症及び心不全などの治療及び予防に有用であることを報告している(特許文献6参照)。しかしながら、通常、野菜中に含まれるアデニンは極めて少量であり、しかも水に対して非常に難溶性であり、その溶解度は20℃で約0.1%であることからアデニンの効果は期待できない。
また、現在市販されている野菜飲料も、その中に含まれるアデニン含量は約0.05mg/100mL(約0.5ppm)から0.65mg/100mL(約6.5ppm)であり、アデニンの効果は期待できない。
6.ブランチング処理;
一般的に加工用の乾燥野菜は、加工乃至保存中にポリフェノールオキシダーゼによる褐変や、ビタミンC酸化酵素によるビタミンCの分解などが生ずることがある。そこで、野菜を長期保存する場合には、褐変等の変質を防止するために野菜中の酵素を失活させることを目的としてブランチング処理を施すのが一般的である。ブランチング処理とは、果実・野菜等の加工操作にあたって熱水もしくは蒸気で加熱してこれらの酵素を不活性化するための処理をいう。このブランチングには殺菌の効果もあり、加工中の微生物による変敗防止も兼ねるものである。実験室における試作は別にして、市販の乾燥野菜原料は緑色を保持するためのブランチングや殺菌工程により、大方の野菜は90乃至95度の高温で処理されている。
上記のように、高血圧症の改善のために、副作用の恐れがなく、経済的精神的負担も軽く、日常的に手軽に摂取することが可能であり、かつ安全性に優れた効果的な治療法、予防法が望まれている。
特に薬物療法と一般療法の中間に位置するような、健康食品、機能性食品、健康補助食品、飲料等の形体を有する血圧降下剤が強く求められていた。本発明者等は、上記のとおり、上記のとおり、野菜・果物中に含有されるアデニンが降圧作用を有することを別の研究において見出している。しかし、アデニンは難溶性であり体内に有効に吸収されないという問題があり、更に従来の抽出法では野菜中のアデニンは極微量しか抽出することができず、その効果を期待することは難しかった。
また、従来、モロヘイヤをはじめとする野菜ジュースあるいは果汁ジュース、野菜果汁ジュース等の容器詰飲料は、原料である生あるいは加工処理した野菜や果実をそのままミキサー等で破砕してジュースにしていたが、この方法では他の栄養成分は別にしても、野菜等に含まれる難溶性のアデニンは水溶性が極めて低いことから十分吸収されることなく、その役割を十分に果たし得なかった。また、従来の抽出法では野菜中のアデニンは極微量しか抽出することができず、その効果を期待することは難しかった。
従って、本発明の目的は、高血圧患者、特に、その90%を占めるといわれている本態性高血圧患者に対して効果的で、副作用の無い、長期間服用に適した安全な食物由来の血圧降下作用を有する組成物、具体的には野菜由来のアデニンを高含量で含んでなる野菜エキス、特にアデニンを高濃度に含量する野菜又は野菜果汁等のアデニン含有容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物とその製造方法を提供することであり、そのためのアデニンを高濃度に含有する水溶液、飲料を提供し、もってアデニンの有する血圧降下作用を十二分に発揮させようとするものである。
特に薬物療法と一般療法の中間に位置するような、健康食品、機能性食品、健康補助食品、飲料等の形体を有する血圧降下剤が強く求められていた。本発明者等は、上記のとおり、上記のとおり、野菜・果物中に含有されるアデニンが降圧作用を有することを別の研究において見出している。しかし、アデニンは難溶性であり体内に有効に吸収されないという問題があり、更に従来の抽出法では野菜中のアデニンは極微量しか抽出することができず、その効果を期待することは難しかった。
また、従来、モロヘイヤをはじめとする野菜ジュースあるいは果汁ジュース、野菜果汁ジュース等の容器詰飲料は、原料である生あるいは加工処理した野菜や果実をそのままミキサー等で破砕してジュースにしていたが、この方法では他の栄養成分は別にしても、野菜等に含まれる難溶性のアデニンは水溶性が極めて低いことから十分吸収されることなく、その役割を十分に果たし得なかった。また、従来の抽出法では野菜中のアデニンは極微量しか抽出することができず、その効果を期待することは難しかった。
従って、本発明の目的は、高血圧患者、特に、その90%を占めるといわれている本態性高血圧患者に対して効果的で、副作用の無い、長期間服用に適した安全な食物由来の血圧降下作用を有する組成物、具体的には野菜由来のアデニンを高含量で含んでなる野菜エキス、特にアデニンを高濃度に含量する野菜又は野菜果汁等のアデニン含有容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物とその製造方法を提供することであり、そのためのアデニンを高濃度に含有する水溶液、飲料を提供し、もってアデニンの有する血圧降下作用を十二分に発揮させようとするものである。
従来の抽出方法によって野菜から得られるアデニンは、あまりに微量であってその降圧効果を期待するのは困難であった。また、アデニンそれ自体が水に難溶性であるために、飲料等の水溶媒に多量のアデニンを溶解させるためには、加温しながら時間を掛けて徐々にアデニンを添加する必要があり、また、いったん飲料等に溶解させても時間の経過とともに沈殿や析出の恐れもあった。そのために仮に飲料等に多量のアデニンを配合したとしてもアデニン本来の機能を発揮させることは困難であった。
それに対して、本発明によれば、乾燥野菜を15倍量乃至45倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することにより、アデニンを高濃度で含有する野菜エキスを容易に製造することができる。しかも、該野菜エキス中に含まれるアデニンは水溶性に極めて優れている。本発明に従えば、従来の抽出法に比べアデニン含量が4乃至6倍の野菜エキスとすることができる。本発明の方法に従って得られるアデニンを高濃度で含有する野菜エキスは、水溶性が高く、体内への吸収性の向上も期待され、十分なアデニン摂取量を確保することが可能となる。また、それに伴って野菜由来の水溶性の優れたアデニンを高濃度に含有するアデニン含有容器詰飲料及び経口降下剤組成物の提供が可能となった。このようにして得られたアデニン含有野菜エキス、それを含む容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物は、アデニンの体内への吸収性の向上も期待され、十分なアデニン摂取量を確保することが可能となった。
本発明のアデニンを高濃度で含有する野菜エキスは、それ自体が飲食物として有用なばかりでなく、他の飲食物、例えば野菜ジュース、野菜果汁ジュースへそのまま配合することも可能であり、またこれら水溶液を濃縮乃至粉末化したものは野菜ジュース、野菜果汁ジュース等の配合剤としても有用である。しかも、飲料等に適用した場合にも、飲料本来の風味が損なわれることがなく、飲料本来の色調が維持され、保存時の安定性についても問題なく、吸収性の向上が期待される優れたアデニン高含有飲料を提供するが可能である。また、該野菜エキスを吸着処理したものを用いた場合には、粘性が低下されて操作性や凍結乾燥処理が容易となり、アデニンの高濃度化も更に容易となる。
しかも、本発明のアデニン含有野菜エキス、それを含むアデニン含有容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物は、飲料本来の風味が損なわれることがなく、飲料本来の色調が維持され、保存時の安定性についても問題なく、吸収性の向上が期待される優れたアデニン高含有飲料である。
それに対して、本発明によれば、乾燥野菜を15倍量乃至45倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することにより、アデニンを高濃度で含有する野菜エキスを容易に製造することができる。しかも、該野菜エキス中に含まれるアデニンは水溶性に極めて優れている。本発明に従えば、従来の抽出法に比べアデニン含量が4乃至6倍の野菜エキスとすることができる。本発明の方法に従って得られるアデニンを高濃度で含有する野菜エキスは、水溶性が高く、体内への吸収性の向上も期待され、十分なアデニン摂取量を確保することが可能となる。また、それに伴って野菜由来の水溶性の優れたアデニンを高濃度に含有するアデニン含有容器詰飲料及び経口降下剤組成物の提供が可能となった。このようにして得られたアデニン含有野菜エキス、それを含む容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物は、アデニンの体内への吸収性の向上も期待され、十分なアデニン摂取量を確保することが可能となった。
本発明のアデニンを高濃度で含有する野菜エキスは、それ自体が飲食物として有用なばかりでなく、他の飲食物、例えば野菜ジュース、野菜果汁ジュースへそのまま配合することも可能であり、またこれら水溶液を濃縮乃至粉末化したものは野菜ジュース、野菜果汁ジュース等の配合剤としても有用である。しかも、飲料等に適用した場合にも、飲料本来の風味が損なわれることがなく、飲料本来の色調が維持され、保存時の安定性についても問題なく、吸収性の向上が期待される優れたアデニン高含有飲料を提供するが可能である。また、該野菜エキスを吸着処理したものを用いた場合には、粘性が低下されて操作性や凍結乾燥処理が容易となり、アデニンの高濃度化も更に容易となる。
しかも、本発明のアデニン含有野菜エキス、それを含むアデニン含有容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物は、飲料本来の風味が損なわれることがなく、飲料本来の色調が維持され、保存時の安定性についても問題なく、吸収性の向上が期待される優れたアデニン高含有飲料である。
図1は、モロヘイヤエキス添加量と水溶液中の溶解アデニン含有量を示す図である。(実験例2)
図2は、抽出温度とエキス中のアデニン含量を示す図である。(実験例3)
図3は、抽出前の高温加熱によるアデニン濃度に対する影響を試験した結果である。(実験例5)
図4は、抽出前又は抽出後における高温加熱処理の影響を示す図である。
(実験例5)
図5は、野菜エキスを用いた血圧降下試験の結果を示す図である。(実験例9)
図6は、野菜エキスを用いた軽症高血圧者に対する血圧降下試験の結果を示す図である。(実験例10)
図2は、抽出温度とエキス中のアデニン含量を示す図である。(実験例3)
図3は、抽出前の高温加熱によるアデニン濃度に対する影響を試験した結果である。(実験例5)
図4は、抽出前又は抽出後における高温加熱処理の影響を示す図である。
(実験例5)
図5は、野菜エキスを用いた血圧降下試験の結果を示す図である。(実験例9)
図6は、野菜エキスを用いた軽症高血圧者に対する血圧降下試験の結果を示す図である。(実験例10)
本発明者等は、上記課題を解決するべく、安全性や栄養の観点から、また摂取の容易性の観点から、素材として野菜に焦点を絞り、中でも近年栄養価の高い食品素材として注目されてきているモロヘイヤ等に注目して、その血圧降下作用について鋭意検討を重ねた結果、アデニンが優れた降圧作用を有し、また、野菜から抽出されたアデニン含有野菜エキス、特にアデニン含有モロヘイヤエキス溶液が、アデニン化合物を水に溶解させた場合に比べて格段と優れた水溶性を有することを見出して本発明を完成した。
本発明によれば、本来難溶性であるはずのアデニンの水溶性が飛躍的に改善され、そのことにより、より優れた血圧降下作用、血管拡張乃至血管弛緩作用を有するアデニン含有容器詰飲料及び経口血飲料圧降下剤組成物の提供が可能となった。
本発明は、具体的には以下のとおりである。
第1番目の発明は、野菜を抽出して得られるアデニンと可溶性固形分を含有する野菜エキスであって、Brix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有することを特徴とするアデニン含有野菜エキスに関する。
第2番目の発明は、上記第1番目の発明において、野菜が、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は漬け菜であることを特徴とするものである。
第3番目の発明は、上記第1番目又は第2番目の発明において、野菜が、乾燥野菜であることを特徴とするものである。
第4番目の発明は、上記第1番目の発明のアデニン含有野菜エキスの製造方法に関するものであり、野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することを特徴とするものである。
第5番目の発明は、上記第4番目の発明において、野菜が、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は漬け菜であることを特徴とするものである。
第6番目の発明は、上記第4番目又は第5番目の発明において、野菜が、乾燥野菜であることを特徴とするものである。
第7番目の発明は、上記第6番目のアデニン含有野菜エキスの製造方法に関するものであり、乾燥野菜が90℃以上の高温ブランチング処理を施していない野菜であることを特徴とするものである。
第8番目の発明は、上記第4番目乃至第7番目のいずれかの発明で得られたアデニン含有野菜エキスを更に合成樹脂吸着剤で吸着処理しその吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することを特徴とする吸着処理アデニン含有野菜エキスの製造方法に関する。
第9番目の発明は、第8番目の発明において、合成樹脂吸着剤で吸着処理するのに先立って、野菜をプロテアーゼ処理しておくことを特徴とするものである。
第10番目の発明は、上記第1番目乃至第3番目のいずれかの発明のアデニン含有野菜エキスを飲料として許容され得る水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brixを指標とした場合、Brix1.0当りアデニン含量が0.8ppm以上であるアデニン含有容器詰飲料に関するものである。
第11番目の発明は、上記第4番目乃至第9番目のいずれかの発明に従って得られたアデニン含有野菜エキスを飲料として許容され得る水溶媒に溶解させてアデニン含有飲料溶液となし、更に、加熱殺菌した後に容器詰め処理を行い、又は容器詰めした後に加熱殺菌処理をすることを特徴とするアデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上であるアデニン含有容器詰飲料の製造方法に関するものである。
第12番目の発明は、上記第1番目乃至第3番目の発明のいずれかのアデニン含有野菜エキス、即ちBrix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有するアデニン含有野菜エキスを有効成分として含有してなる経口血圧降下剤組成物に関する。
第13番目の発明は、第12番目の経口血圧降下剤組成物に関するものであって、アデニン含有野菜エキスが、上記第4番目乃至第9番目のいずれかの発明に従って得られたアデニン含有野菜エキスであることを特徴とするものである。
第14番目の発明は、上記第1番目乃至第3番目の発明のいずれかの発明のアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有してなる経口血圧降下剤組成物に関する。
第15番目の発明は、上記第4番目乃至第9番目のいずれかの発明に従って得られたアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有してなる経口血圧降下剤組成物に関する。
使用する野菜について;
野菜は、アデニンを含有する野菜であれば特に限定されるものではない。可溶性固形分は野菜中に必須成分として含まれる。アデニン含量の観点からすると、好ましくはコマツナ、ロケット、チンゲンサイ、ターサイ、ミズナ、ハクサイ、中島菜、キャベツ、ブロッコリー等のアブラナ科野菜;モロヘイヤ等のシナノキ科野菜;セロリ等のセリ科野菜であり、特に好ましくは、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は中島菜であり、最も好ましくはモロヘイヤ、ブロッコリーである。これら野菜は単独であっても併用であってもよい。野菜の形態としては、ピューレであってもよいが、好ましくは乾燥野菜である。生野菜のみを使用した場合は、得られる野菜エキス中のアデニン含量が少ない点で好ましくない。
乾燥野菜は、冷凍乾燥野菜であってもよい。更に好ましくは、エキス中のアデニン含量の観点からすると、乾燥野菜が高温加熱処理を施していない野菜、具体的には90℃以上の高温ブランチング処理を施していない乾燥野菜である。
高温ブランチング処理を施していない乾燥野菜;
通常、加工用の乾燥野菜は、野菜の変質防止のためブランチング処理や殺菌処理が施される。また、使用に先立って乾燥野菜を再乾燥処理する場合もある。しかし、本発明者らの研究の結果、特に90℃以上のブランチング処理等の高温加熱処理を施していない野菜から得られるエキスは、このような処理を施した野菜から得られるエキスに比べてアデニン含量が6倍程度にまで向上することが判明した。抽出前の再乾燥に関してはアデニン含量が徐々に減少する傾向が観察されたが、130℃3時間処理まではBrix(可溶性固形分)1.0当りアデニンを10ppm以上(12.6ppm)含むモロヘイヤエキスが得られた。したがって、抽出前に90℃以上ブランチング処理等の高温加熱処理を施していない乾燥野菜を抽出対象とするのが好ましい。好適な乾燥野菜は、高温加熱処理を施していないモロヘイヤ、ブロッコリー又は中島菜、特に好ましくはモロヘイヤ又はブロッコリーである。乾燥野菜は冷凍乾燥野菜であってもよい。なお、本発明者等は、抽出後の高温加熱はアデニン濃度や水溶性に何ら問題がないことを確認しているので、殺菌等が必要な場合には、抽出後、例えば容器詰の前後に加熱殺菌すればよい。
このように、ブランチング処理等の高温加熱処理を施していない野菜から得られるエキスは、ブランチング処理を施した野菜から得られるエキスに比べてアデニン含量が6倍まで向上する。抽出前の再乾燥に関しても同様である。
したがって、好ましいアデニン含有野菜エキスは、高温加熱処理を施していない乾燥野菜から得られる野菜エキスである。生野菜を使用した場合は、得られる野菜エキス中のアデニン含量が少ない点で好ましくない。
アデニン含有野菜エキスのアデニン含量;
アデニン含有野菜エキスのアデニン含量は、Brix1.0当り10ppm以上、より具体的にはBrix1.0当り10ppm乃至450ppmであることが好ましい。
血圧降下作用に代表されるアデニンの作用を効率よく発揮させるためには、溶解度が高く、かつアデニンを高含量で含むエキスが好ましい。アデニン含量がBrix1.0当り10ppm以上である野菜エキスとしては、好適にはモロヘイヤエキス、ブロッコリーエキス、中島菜エキスである。好ましくはこれらの乾燥野菜から得られる。野菜エキス中のアデニン含量がBrix1.0当り10ppmを下回る場合には、所望の血圧降下作用を発揮させるためには多量のエキスを配合しなければならず、モロヘイヤやブロッコリー等の野菜味が強くなりすぎて味覚上の問題が生じる。
容器詰飲料におけるアデニン濃度について;
8ppmを下回る場合、あるいはBrixを指標としてBrix1.0当り0.8ppmを下回る場合には、所望の血圧降下作用を期待することができない。
現在市販されている野菜飲料をはじめとする飲料は、アデニン濃度は上限でも6.5ppm程度であり、多くは2ppm以下である。これに対して、本発明の容器詰飲料は、8ppm以上、好ましくは20ppm乃至150ppmのアデニンを含有するものである。
また、現在市販されている野菜飲料には野菜汁の他にも果汁等が含まれており、その可溶性固形分濃度(Brix)は概ね10(重量%)程度である。また、これら市販野菜飲料のアデニン濃度は上限でも6.5ppm程度であり、多くは2ppm以下である。したがって、これら市販の野菜飲料はBrix1.0当りに換算したアデニン含量は最大でも0.65ppmである。これに対して、本発明の容器詰飲料は、Brix1.0当り0.8ppm以上、好ましくは1.0ppm以上のアデニンを含有するものである。なお、風味の観点からすると、後述の実験例からも伺えるようにその上限は4.5ppm/Brix以下が好ましい。なお、一般的にはアデニン濃度はppm単位で表現するのがベターであり十分であるが、可溶性繊維等の可溶性固形分を含有する飲料、例えば野菜果汁ジュース等に本エキスを配合するような場合には、その飲料濃度との関係を考慮してBrix を指標として表すのがよい。
Brixとは溶液の中に含まれる可溶性固形分の%濃度を意味し、可溶性固形分とは糖を初めとして、塩類、蛋白質、酸など水に溶ける物質すべてであり、測定値はそれらの合算値となる。
容器詰飲料について;
容器詰飲料とは、PET等のプラスチック容器、紙容器、缶詰容器に詰められており、かつ、加熱殺菌された飲料を意味する。アデニン含有野菜エキス容器詰飲料は、これらエキスを飲料として許容される飲料用水溶液(水溶媒)、例えば天然水に溶解したものであっても、あるいは他の飲料に該アデニン含有野菜エキスを混合乃至配合したものであってもよい。混合乃至配合の対象となる飲料は、特に限定されるものではないが、好ましい飲料用水溶液は、水分量が少なくとも20重量%以上、好ましくは85重量%以上でかつ水以外の固形分量が0.01乃至15重量%のものが好適である。好ましい水溶媒としては、各種野菜ジュース、果汁ジュース、野菜果汁ミックスジュース、乳酸飲料等の乳製品飲料、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク、サイダー等を挙げることができ、特に好適には野菜ジュース又は野菜果汁ミックスジュースである。更に好適な野菜ジュース又は野菜果汁ミックスジュースは、水分量が少なくとも20重量%以上、好ましくは85重量%以上で、かつ水以外の可溶性固形分量(Brix)が0.01乃至20重量%、好ましくは5乃至20重量%、更に好ましくは5乃至15重量%のものが好適である。
アデニン含有容器詰飲料は、下記のごとき方法によって得られるアデニン含有野菜エキス、好ましくはBrix1.0当り10ppm以上のアデニン含有野菜エキスを水溶媒に適宜希釈倍率で溶解させることによってそのアデニン含量を8ppm以上、あるいはBrix を指標としてBrix1.0当り0.8ppm以上とし、常法に従ってPET容器等のプラスチック容器、紙容器、缶詰等へ容器詰めし、加熱殺菌することによって得ることができる。加熱殺菌した後に容器詰め処理を行ってもよいし、又は容器詰めした後に加熱殺菌処理を施してもよい。例えば熱の影響を受けやすいPET容器、紙容等の場合は加熱殺菌した後に容器詰めを行うのが好ましく、また缶詰容器等の場合は容器に詰めた後に加熱殺菌してもよい。後述の実験から明らかな通り、抽出前の高温加熱はアデニン濃度に悪影響を与えるが、抽出後の高温加熱はエキス中のアデニン濃度に関して何ら影響を与えるものではなかった。
使用するアデニン含有エキスとして好ましい高濃度アデニン含有エキスは、Brix1.0当り10ppm乃至450ppm、好ましくは20ppm以上、具体的にはBrix1.0当り20ppm乃至450ppmの濃度でアデニンを含有するエキスである。
本発明の容器詰飲料は、例えば、100ppmのアデニン含有野菜エキスを5倍量の野菜ジュース等の水溶媒に溶解させこれを容器詰めして加熱殺菌することによりアデニン含量が20ppmの容器詰飲料とすることができる。
高濃度にアデニンを含有する野菜エキスの製造方法;
高濃度に含量する野菜エキスは、即ち、アデニン含量がBrix1.0当り10ppm以上のアデニン含有野菜エキスは、乾燥野菜、例えば、硬い茎の部分を除去したモロヘイヤ乾燥葉を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することによって製造することができる。
野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出した野菜エキス中のアデニン含量はBrix1.0当り10ppm乃至35ppmであって、降圧効果を発揮するのに十分なアデニンを含有していた。
更に、吸着処理を施した野菜エキスにおいては、驚くべきことに、エキス中のアデニン含量は10ppm乃至450ppmであった。
なお、加水倍率を高くすると当然のこととして抽出液中の可溶性固形分濃度は減少するが、得られるエキスの組成比は異なることがないので、加水倍率に関わらずそのBrix濃度(可溶性固形分濃度)に対するアデニン濃度は一定である。したがって、Brix1.0当りのアデニン量を指標にすることにより、実質的なアデニン濃度とすることができる。
このようにして得られた野菜エキス含有容器詰飲料は優れた降圧作用を有するのみならず、水溶性に優れたアデニンを豊富に含むので、アデニンの有する降圧作用を利用した野菜ジュース等としてその応用が期待される。
高濃度にアデニンを含有する野菜エキスの製造条件;
前述のとおり、Brix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有する野菜エキスは、乾燥野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することによって得られる。
抽出温度に関しては、抽出温度を30℃乃至75℃とすることにより、水溶性アデニンを高含有量で含有する野菜抽出エキスを収率よく得ることが可能であり、その結果、より高濃度のアデニン含有水溶液を提供することが可能である。特に好ましい抽出温度は、40℃乃至70℃であり、最適には60℃である。抽出温度は、抽出時間中一定に保ってもよいし、あるいは、所望の温度、例えば30℃乃至75℃に加温した後、加温乃至保温を停止して徐々に放冷してもよい。抽出温度が30℃を下回る場合は、抽出効率が悪く、抽出に長時間を要するのみならず十分なアデニン含量を期待できない。また、75℃を超えて加熱した場合はアデニン含量が少なく十分な効果を期待できないばかりか、苦味成分等の好ましくない成分が混入したり、場合によってはコゲが発生することもあって好ましくない。
加水量は15重量倍量乃至45重量倍量であり、好ましくは20重量倍量乃至40重量倍量である。加水量が15重量倍量以下の場合は野菜中に含まれる苦味等の望ましくない成分が一緒に抽出されるだけでなく、葉が膨潤して固液分離が困難となるため生産性が低下し、更には粘性が高くなって粉末化等の後処理が困難となって好ましくない。また、45重量倍量以上の場合は、生産性が低下する抽出液量の増加とともにアデニン濃度が著しく低下して濃縮の必要性が生じ、飲料に配合したり凍結乾燥して粉末化するに当っても不都合を生じ好ましくない。なお、加水倍率を高くすると当然のこととして抽出液中のアデニン濃度は減少するが、得られるエキスの組成比は異なることがないので、加水倍率に関わらずそのBrix濃度(可溶性固形分濃度)に対するアデニン濃度は一定である。したがって、Brix1.0当りのアデニン量を指標にすることにより、実質的なアデニン濃度とすることができる。
抽出時間は5分以上、好ましくは10分以上より好ましくは15分乃至2時間、特に好ましくは30分乃至90分である。抽出時間は5分以下の場合はアデニンの抽出効率が悪く、2時間以上の長時間抽出は苦味成分等の好ましくない成分が混入し、好ましくない。
また、所望により抽出完了後に野菜を含有する抽出液を90℃以上、例えば95℃で高温再加熱してもよい。高温再加熱することにより、抽出液を含んで膨潤していた葉が沈み、葉からの液切れが向上し、固液分離が容易となる。特に、粘性の高いモロヘイヤの固液分離に有効である。なお、アデニン含有エキスの抽出時の液温は上記のとおり30℃乃至75℃であって、90℃を超えた高温加熱は避けなければならないが、エキスを抽出後における90℃以上の高温再加熱や加熱殺菌処理は抽出エキス中のアデニン濃度や水溶性に何ら悪影響を及ぼさないことを本発明者等は別の試験において確認している。したがって、抽出後の加熱殺菌処理は抽出エキス中のアデニン濃度や水溶性に何ら悪影響を及ぼさない。
このようにして得られた野菜エキス中のアデニン含量はBrix1.0当り10ppm乃至35ppmであって、降圧効果を発揮するのに十分なアデニンを含有し、かつ水溶性に優れていた。更に、下記に詳述する吸着処理を施した野菜エキスにおいては、驚くべきことに、エキス中のアデニン含量は10ppm乃至450ppmであり、水溶性も優れていた。
高濃度にアデニンを含有する野菜エキス;
このようにして得られた野菜エキスは、それ自体が飲食物として有用なばかりでなく、そのまま飲料用水溶液、具体的には野菜ジュース、果物ジュース、その他飲料水に添加配合して使用することができる。また、このようにして得られた野菜エキスは、エキス原液であってもよいし、濃縮して濃縮野菜エキスとすることも可能であり、或いはこの濃縮野菜エキスを凍結乾燥等の手段によって粉末状、あるいは更に錠剤化してもよい。これら濃縮野菜エキスや粉末状エキスは、上記野菜エキスと同様に配合剤として飲料用水溶液、具体的には野菜ジュース、果物ジュース、その他飲料水に添加配合して使用することができ、或いはサプリメント、食品添加物として使用することができる。
本発明のアデニン含有野菜エキスは、通常の抽出方法に比べて豊富にアデニンを含有するが、その理由は、野菜中に含まれるアデノシンが何らかの理由によって分解して新たにアデニンを生じるためと考えられる。
また、本発明の野菜エキス中のアデニンは、アデニン含量が高いだけでなく、通常のアデニンに比較して高い水溶性を有しており、体内への改善された吸収性を有するものと期待される。
なお、アデニンの溶解度について試験を行ったところ、標準品アデニン(和光純薬工業製)の溶解度は約1.2g/Lであったのに対して、モロヘイヤエキスとした場合のアデニンの溶解度は約6g/Lであって、その溶解度は約5倍であった。正確な理由は不明であるが、野菜エキスとして飲料用水溶媒に混合することにより、アデニンリッチな飲料の提供が可能となった。
吸着処理;
吸着処理アデニン含有野菜エキスは、例えば、乾燥野菜から得られたBrix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有するアデニン含有野菜エキスを合成樹脂吸着剤で吸着処理しその吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することによって得ることができる。
より具体的には、吸着処理アデニン含有野菜エキスは、下記イ、ロ及びハから選ばれるアデニン含有野菜エキスを更に合成樹脂吸着剤で吸着処理し、その吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することによって得ることができる。
イ.野菜から抽出した通常のアデニン含有野菜エキス;
ロ.アデニン含量がBrix1.0当り10ppm以上であるアデニン含有野菜エキス;
ハ.乾燥野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出したアデニン含有野菜エキス;
野菜エキスの水又は温水からの抽出工程は上記と同様である。吸着処理野菜エキスは、上記イ、ロ又はハの野菜エキス溶液を、合成樹脂吸着剤で吸着処理し、合成樹脂吸着剤へ通液し水押し後、例えば60%エタノールを通液して回収することにより溶出処理して樹脂吸着画分として回収することによって得ることができる。このような吸着処理を施して得られる野菜エキスは、アデニン含量が多いだけでなく、粘性が低下されており、粉末化などの後処理に好都合である。
ちなみに、このような吸着処理を施していない野菜エキス中のアデニン含量はBrix1.0当り10ppm乃至35ppmであるのに対して、吸着処理を施した野菜エキス中のアデニン含量は10ppm乃至450ppmであった。
吸着剤としては、親水性合成樹脂吸着剤、疎水性合成樹脂吸着剤の何れであってもよいが、効果的な血圧降下組成物を回収するために好ましい吸着剤は、疎水性合成樹脂吸着剤である。疎水性合成樹脂吸着剤の樹脂母体として、例えば、スチレン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−アクリル酸アミドの共重合体、フェノール樹脂等が挙げられる。好ましい合成樹脂吸着剤は、分子量1000以下の水溶性低分子物質を吸着するのに適した多孔性の吸着剤、具体的には、多孔性修飾ポリスチレン系合成吸着剤、即ち、スチレン等の芳香族系の樹脂母体に臭素等の極性基を化学的に修飾結合させてなる多孔性修飾ポリスチレン系合成吸着剤である。表面積の大きい多孔性の合成樹脂吸着剤が好ましい。合成樹脂吸着剤の比表面積としては、100〜1200m2/g、好ましくは250〜800m2/g程度である。また、合成樹脂吸着剤の好ましい細孔容積、粒度分布、最頻度半径は、それぞれ0.9〜1.6mL/gであり、250μmで90%以上、60〜200オングストロームである。より具体的には、セパビーズ(登録商標;三菱化学株式会社)、特にセパビーズSP70、SP700、SP850、SP207、さらに好ましくはSP207(比表面積、細孔容積、粒度分布、最頻度半径は、それぞれ590m2/g、1.16mL/g、250μmで90%以上、120オングストローム)を挙げることができる。
これら合成樹脂吸着剤は、吸着処理に先立って予め前処理しておいてもよい。例えば、吸着剤をメタノールなどの溶媒で洗浄して不純物を除去した後、さらに水で洗浄してメタノールなどの溶媒を除去することにより行うことができる。
また、これら吸着剤による処理は、バッチ法、カラム法の何れで行ってもよいが、比較的少量の吸着剤により効率よく処理できるカラム法が好ましい。吸着剤による処理は、少なくとも一回行えばよい。吸着剤と抽出液の割合は、使用する吸着剤の種類などに応じて選択できる。
酵素処理;
吸着処理に先立って、タンパク分解酵素、好ましくはエンドペプチダーゼ、より好適にはBacillus由来のエンドペプチダーゼで酵素処理を施しておいてもよい。蛋白質分解酵素処理を施すことにより、通常のエキスと比較して、より優れた血圧降下作用を有するエキスとすることができる。
プロテアーゼ処理する際のpH、処理温度、処理時間、処理濃度は、特に限定されるものではないが、使用酵素によって適宜選択し得る。好ましくは、pH5.0〜8.5、より好ましくはpH5.5〜7.0、処理温度40℃乃至70℃、好ましくは、50℃乃至65℃、そして処理時間30分乃至3時間、好ましく1時間乃至2時間、また、好ましい酵素濃度はモロヘイヤの乾燥重量に換算して0.01乃至3重量%、好適には0.05〜2重量%、更に好適には0.1〜1.5重量%である。しかしながら、酵素の種類により、これら条件を変更してもよいことは勿論である。例えば、Bacillussubtilis由来のプロテアーゼを使用する場合には、pH6.0乃至7.0、処理温度55℃乃至60℃、処理時間1時間乃至2時間、処理濃度はモロヘイヤの乾燥重量の0.1乃至1.0重量%が好ましい。また、Bacillusthermoproteolyticus由来のプロテアーゼのひとつを使用する場合には、pH6.0乃至7.0、処理温度60℃乃至70℃、処理時間1時間乃至2時間、処理濃度はモロヘイヤの乾燥重量の0.1乃至1.0重量%が好ましい。
蛋白質分解酵素処理は、アデニンの溶解度等に何ら影響を与えるものではなかった。
本発明を適用して得られたアデニン含有野菜エキス、容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物は、味・臭いに特異な厭味が少ないことから液状形態で摂取することが可能である。本発明を適用して得られたアデニン含有野菜エキス、容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物の好ましい形態は果汁ジュース、野菜ジュース、果物野菜ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク等の容器詰飲料である。容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物中のアデニン含有野菜エキスの好ましい摂取量は、年齢、血圧の程度により異なるが、アデニンの有する降圧効果の観点から、エキス粉体換算で通常1回10mg〜2000mgであり、好ましくは1回50mg〜1000mg、さらに好ましくは1回100mg〜500mgである。また1日1〜3回の摂取回数で効果が得られるが、必要に応じて回数を増やすこともできる。また、飲料に含有させる場合は、500mL当り50mg〜2000mg、さらに好ましくは1回500mg〜1500mgである。
以下、実験例、参考例に基づいて本発明について説明する。しかし、本発明がこれら実験例等に限られるものでないことは勿論である。
[参考例1]モロヘイヤ葉由来のアデニン含有野菜エキスの調製;
(1)モロヘイヤエキスAの調製;
硬い茎を除去したモロヘイヤ葉を80℃でブランチング後、破砕し熱風乾燥を行い、モロヘイヤ乾燥葉を得た。このモロヘイヤ乾燥葉50gに20倍重量の60℃前後の蒸留水熱水を加水し、ウォーターバス中で液温60℃に保ち、原料の乾燥モロヘイヤ葉に対して0.7%重量のプロテアーゼNアマノG(株式会社天野エンザイム社製)を少量の水に溶解して添加した。その後、液温60℃に保ったまま10分おきに撹拌を行った。酵素添加から1時間経過後、95℃達温で5分間保持し、目の開き850μmのふるいでろ過後、次いでNo.2のろ紙を使用し吸引ろ過を行い、モロヘイヤ酵素処理エキスAを得た。この酵素処理エキスを適当な濃度まで減圧濃縮した。
(2)モロヘイヤ吸着画分エキスBの調製;
純水に湿潤状態の合成吸着剤SP207(三菱化学社製)300ccをガラスカラムへ充填し、十分な純水を通液してSP207充填カラムとした。上記(1)で得られたモロヘイヤ酵素処理エキスA800mL(Brix6,pH6.0)を前記ガラスカラムへSV=4の速度で通液後、5bed容量の純水にて十分にモロヘイヤエキスを洗い出した。モロヘイヤ酵素処理エキス通液開始直後からカラム排出液を回収し、素通り画分とした。次いで、60%濃度に調整したエタノールを5bed容量通液し、通液開始から1/2bed容量のカラム排出液を廃棄した後、カラム排出液の回収を開始しエタノール通液終了まで回収した。これを吸着画分とした。吸着画分を減圧濃縮した後、凍結乾燥して、吸着画分処理エキスB7.1gを得た。なお、「bed」とは、吸着剤の充填容積(=かさ)を示す。
(3)モロヘイヤ吸着画分エキスCの調製;
酵素処理を行わない以外は上記参考例2と同様にして抽出して吸着画分処理エキスCを得た。
以下、上記処方によって得られたエキスを用いた。
[参考例2]アデニンの分析条件;
アデニン含有量の測定は、下記のとおりHPLCで行った。
[実験例1]容器詰飲料の製造;
野菜汁としてホウレンソウ、ニンジン、セロリ、アスパラ、インゲン、グリーンピースの混合汁(飲料全体の20%)、果汁としてリンゴ、グレープ、グレープフルーツの混合汁(飲料全体の80%)を配合する果実野菜ミックス飲料を試作し、1本当り190gの容量とした。この果実野菜ミックス飲料に参考例1(2)で得られたモロヘイヤ由来の抽出エキスBを0、452、900、1750、3500ppmの濃度となるように添加し、缶容器に充填し、120℃で加熱殺菌して容器詰飲料を試作した。なお、エキス中のアデニン含量は1.26%であった。結果を下記表に示す。
結果;
下記表より、モロヘイヤ由来の抽出エキス添加による果実野菜ミックス飲料のアデニン含量を増大させることができること、また風味の観点からするとアデニン含量は4.5ppm/Brix以下が好ましいことが判明した。降圧効果の観点からするとアデニンは多い方がよいが、風味を踏まえて総合的に判断すると、好ましい溶液に対するアデニン含量は0.8ppm/Brix〜4.5ppm/Brix、特に好ましくは0.8ppm/Brix〜4ppm/Brixである。血圧降下作用の観点からするとアデニン含量は0.8ppm/Brix以上が好ましく、また風味の観点からするとアデニン含量は40ppm以下、Brixを指標とした場合は4.5ppm/Brix以下が好ましい。
[実験例2]エキスとした場合のアデニンの水溶性試験;
野菜エキス中のアデニンの溶解性が優れていることを示すために、化学物質としての標準品アデニン(和光純薬工業製)とアデニン含有野菜エキス中に含まれるアデニンの溶解性試験を行った。上記参考例1(2)で得たモロヘイヤエキス粉末B(アデニン含有量;約1.2重量%)を蒸留水(常温)へ添加し15分間振とう後、溶解性を評価した。エキスを添加した各溶液を少量採取し、0.45μmメンブレンフィルターによるろ過を行い、そのろ過液をHPLCにてアデニン含有量の測定を実施し併せて目視評価を行なった。結果を下表に示す。(5a)のモロヘイヤエキスは、酵素処理を行わない以外は上記参考例2と同様にして抽出したエキスCである。また、この結果を図に示せば図1のとおりである。
なお、図1中の1200mg/Lの横線は、標準品アデニンの溶解限界を示すものである。
結果;
上記試験結果から明らかなとおり、標準品アデニン(和光純薬工業製)の溶解度は約1.2g/Lであったのに対して、モロヘヤエキスとした場合のアデニンの溶解度は約6.0g/Lであって、その溶解度は5倍に向上した。このことからも、野菜から抽出したアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させることにより、アデニンを高濃度に含有する容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物の製造が可能であることは明らかである。
ところで、水溶媒に溶解させる野菜エキス中のアデニン濃度が高い程、高濃度アデニン含有容器詰飲料の製造が効率的であり、あるいは、より高濃度のアデニンを含有する容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物が得られることは明らかである。
そこで、以下、アデニン含有野菜エキスの血圧降下作用、アデニンをより高濃度で含有する野菜エキスの製造方法について述べる。
[実験例3]抽出温度及び加水倍率に関する検討;
乾燥葉の抽出温度及び乾燥葉に対する加水倍率による野菜エキス中のアデニン溶出量への影響について以下のとおり試験を行った。
A.抽出温度に関する検討;
1.モロヘイヤエキスの準備;
野菜としては茎を除去したモロヘイヤ葉を、ブランチング処理を施すことなく、熱風乾燥して得られたモロヘイヤ乾燥葉(モロヘイヤ乾燥チップ)を用いた。モロヘイヤ乾燥チップ5gに20重量倍量の蒸留水からなる温水乃至常温水を加水した。常温水(26.7℃)を除き、それぞれ95℃、80℃、63.5℃、44℃になるように攪拌しながら加熱し、設定温度に達した後、加熱を中止した。2時間後に抽出を終了し、850μm及び106μmの金属メッシュを用いてこれを濾過して野菜エキスとした。
2.結果;
アデニン含量(ppm)の分析結果は、表4及び図2に示すとおりであった。各抽出温度におけるアデニン含量は、常温近辺(26.7℃)では11.75ppm、44℃では19.7ppm、63.5℃では26.5ppm、80℃では11.4ppm、95℃では6.1ppmであり、また、Brix1.0当りのアデニン濃度(ppm)はそれぞれ9.79ppm、15.15ppm、22.08ppm、8.77ppm、4.36ppmであった。このように、モロヘイヤ乾燥葉を比較的高温(例えば、80℃、95℃)で抽出すると、溶液中のアデニン含量が低くなる結果となった。また、常温抽出でもアデニン含量は低い結果となった。これら試験結果から、アデニンリッチな抽出物を得るためには、抽出時の加熱温度は30℃乃至75℃、より好ましくは40℃乃至70℃、特に好ましくは50℃乃至65℃であるが好適であることが判明した。またこのようにして得られた野菜エキスのBrix1.0当りのアデニン濃度(ppm)は10ppm以上であった。
B.乾燥葉に対する加水倍率に関する検討;
1.加水倍率に関する試験、及び抽出後加熱と固液分離における液切れに関する試験;
乾燥モロヘイヤチップに対し8、15、20、40、60、80倍に加水倍率を変えて抽出試験を行った。それぞれの加水倍率の試験において、抽出後60℃のまま固液分離を行った場合と60℃抽出後95℃に加温後固液分離を行った場合の2パターンで試験を行った。
より具体的には、60℃の温水200mlを用意し、これに加水倍率が8、15、20、40、60、80倍となるように、モロヘイヤチップを25g、13.33g、10g、5g、3.33g、2.5g加えて60分間抽出し、更に95℃で5分間加熱した後、850μmメッシュを通過した液を、さらに75μmに通過させ野菜エキスとした。エキスは上記と同様にしてHPLCにより分析を行った。ただし、一方は、60℃で抽出した後に更に95℃で5分間の加熱処理を施し、他方は、この加熱処理を施すことなく直ちに850μmメッシュを通過した。
[0040]
2.結果;
結果は、下表のとおりであった。加水倍率が8倍のケースでは固液分離の際の液切れが悪く、60℃抽出後に高温処理を行っても抽出液がほとんど得られない。15倍加水であれば60℃抽出後に高温処理を行う事により良好な固液分離が可能となる。一方、60倍、80倍加水のケースでは、加水倍率を高くするに従って抽出液のアデニン濃度が低下するのみで、アデニン抽出効率が著しく低下し、また、抽出液中のアデニン濃度が低下してしまうために飲料に配合したり凍結乾燥して粉末化するに当っても不都合を生じ好ましくない。
[実験例4]乾燥野菜と生野菜からの野菜エキス抽出と抽出温度の検討;
1.乾燥野菜と生野菜からの野菜エキスの抽出;
乾燥野菜として、モロヘイヤ、ブロッコリー、キャベツを用い、凍結乾燥品として中島菜を用いて試験を行った。
乾燥野菜は、生野菜を60℃で12時間乾燥させることによって乾燥野菜とした。これら乾燥野菜及び凍結乾燥野菜5gにそれぞれ20℃、40℃、60℃、80℃、95℃で、40重量倍量の水または温水を加えて、1時間抽出し、No.2ろ紙でろ過して野菜エキスとした。一方、生野菜は、下表のとおりその乾燥重量が5gに相当する量の生野菜を用いた他は乾燥野菜の場合と同様に抽出した。
2.結果;
野菜チップ5g及び生野菜(チップ5g相当)から得られる抽出液中に含まれるアデニン含量(mg)は下表のとおりであった。下表から明らかなとおり、アデニン含量の点では、モロヘイヤ、中島菜、ブロッコリーが特に優れており、かつ、生野菜より乾燥野菜の方が優れていることが明らかとなった。また、抽出温度は、好ましくは30℃乃至75℃であり、より好ましくは40℃乃至70℃、特に好ましくは50℃乃至65℃であることが本試験からも明らかとなった。生野菜20℃抽出液のBrix1.0当りのアデニン量は高いが、抽出液のBrixそれ自体は低く全体的なアデニンの収量は減少する。
[実験例5]
A.抽出前における高温加熱処理の影響の検討;
1.抽出前における高温加熱処理試験;
次に、抽出前における高温加熱処理、即ちブランチング処理の影響について試験を行った。
モロヘイヤチップ5gに20重量倍(100mL)の蒸留水を加え、抽出前に一方は95℃で高温加熱処理し、もう一方は高温加熱処理を行わず、それぞれ40℃、60℃、80℃の温度に保って1時間抽出した。加熱処理を行ったものと加熱処理を行わなかったものを、ともに500μmのふるいを通過した液を、さらに75μmに通過させモロヘイヤエキスとした。エキスは上記と同様にしてHPLCにより分析を行った。
2.結果;
結果は、図3に示すとおりであった。モロヘイヤチップに加水後、95℃以上の高温で処理することでアデニンが7ppm程度しか溶出されなくなった。この試験結果から、ブランチング等の抽出前の高温加熱、例えば90℃以上の加熱はアデニンの収量低減の原因となり望ましくないことが分かる。したがって、抽出前の高温加熱はアデニン収率に悪影響を及ぼすものであり、ブランチング処理等は好ましくないことが分かる。
また、Brix1.0当りのアデニン濃度は、40℃抽出で17.67ppm、95℃加熱後40℃抽出で4.25ppm、60℃抽出で30.67ppm、95℃加熱後60℃抽出で4.53ppm、80℃抽出で13.89ppm、95℃加熱後80℃抽出で3.59ppmとなった。
上記実験例2乃至4から明らかなとおり、抽出時の加熱温度は30℃乃至75℃、より好適には40℃乃至70℃、更に好適には50℃乃至65℃であり、アデニン含量の点では、好適な野菜はモロヘイヤ、中島菜、ブロッコリー等の乾燥野菜であり、かつ、90℃以上の加熱履歴を有さない乾燥野菜が好適であることが明らかとなった。
アデニンリッチな水溶液を得るためには、アデニン含量が多いエキスを用いる方が好ましいことは勿論である。上記試験結果から、モロヘイヤ、中島菜、ブロッコリー等の、加熱履歴を有さない乾燥野菜を原材料とし、これを30℃乃至70℃の温度で抽出したエキスが好適であろうことは明らかである。
B.抽出前又は抽出後における高温加熱処理の影響の検討;
1.抽出前又は抽出後における高温加熱処理試験;
抽出前又は抽出後における高温加熱処理の影響の検討するために、それぞれ10gの乾燥モロヘイヤ、乾燥ブロッコリー及び凍結乾燥ブロッコリーブロッコリーに200mlの温水を加えて1時間抽出した後、850μmメッシュを通過した液を、さらに75μmに通過させ野菜エキスとした。ただし、一方は、60℃で抽出する前に95℃で5分間の加熱処理を施し、他方は、60℃で抽出した後に95℃で5分間の加熱処理を施した。
2.結果;
結果は、図4に示すとおりであった。この試験結果から、抽出後の加熱は何らアデニン濃度に悪影響を与えないが、抽出前に高温条件とする事でアデニンの抽出効率が極端に減少する事が明らかとなった。したがって、加熱殺菌等を施す必要があるときは、抽出後に高温加熱すればよい。
[実験例6]高温再乾燥の影響に関する試験;
乾燥野菜は、水分を十分に除去するために使用する前に再度乾燥させることがある。そこでそれら乾燥条件がモロヘイヤのアデニン含有量にどのような影響を与えるか試験を行った。再乾燥処理以外の抽出条件は実験例5と同様である。結果は下表のとおりであり、抽出前の95℃を越える再乾燥処理は、ブランチング処理と同様に、アデニン含量の低下を招くものであった。Brix1.0当りのアデニン濃度はモロヘイヤ乾燥チップで30.4ppm、95℃3時間再乾燥チップで25.9ppm、110℃3時間再乾燥チップで22.7ppm、130℃3時間再乾燥チップで12.6ppm、焙煎モロヘイヤ茶で5.3ppmとなり、再乾燥処理の温度上昇とともにその値は徐々に減少するが、130℃3時間処理まではBrix1.0当り10ppm以上のアデニン抽出量が維持された。
[実験例7]
1.抽出時間の検討;
次に、抽出時間に関する検討を行った。モロヘイヤチップを20倍加水し、60℃でそれぞれ3分、5分、10分、20分、40分、60分、90分間抽出した。これをNo.2ろ紙でろ過した後、アデニン含量を測定した。
2.結果;
結果は、下表のとおりであった。抽出時間は5分以上、好ましくは10分以上より好ましくは15分乃至2時間、特に好ましくは30分乃至90分である。抽出時間は5分以下の場合はアデニンの抽出効率が悪く、2時間以上の長時間抽出は苦味成分等の好ましくない成分が混入し、好ましくない。
[実験例8]
1.合成樹脂吸着剤による吸着処理野菜エキス;
実験例4と同様にして得た60℃抽出モロヘイヤ抽出液、60℃抽出ブロッコリー抽出液及び抽出前に95℃で高温加熱殺菌したモロヘイヤ抽出液を合成樹脂吸着剤セパビーズ(登録商標;三菱化学株式会社)SP207カラムで吸着処理し、吸着画分に1bedの水を流して水押しし、更に2.5bedのエタノールでこれを溶出して得た野菜精製エキスを、それぞれモロヘイMP、ブロッコリーMP及び加熱モロヘイヤMPとした。
2.結果;
結果は下表のとおり、野菜精製エキスBrix1.0当りのアデニン濃度はモロヘイヤMPで約123ppm、ブロッコリーMPで428ppm、加熱モロヘイヤMPで10ppmであった。また、これら吸着処理を施した野菜エキスは粘性が低く、取り扱いが容易であり、凍結乾燥も容易であった。なお、ここでMPは精製エキスを意味する。
上記試験例1乃至8から明らかなとおり、抽出時の加熱温度は30℃乃至70℃、より好適には40℃乃至70℃、更に好適には50℃乃至65℃であり、アデニン含量の点では、好適な野菜はモロヘイヤ、中島菜、ブロッコリー等の乾燥野菜であり、かつ、90℃以上の加熱履歴を有さない乾燥野菜が好適であることが明らかとなった。
[実験例9]
下記モロヘイヤエキスを用いて血圧降下試験を行った。
[処方A]
モロヘイヤエキスAの調製;
硬い茎を除去したモロヘイヤ乾燥葉50gに20倍重量の60℃前後の蒸留水熱水を加水し、液温60℃に保ったまま10分おきに撹拌を行った。1時間後に、95℃達温で5分間保持し、目の開き850μmのふるいでろ過後、次いでNo.2のろ紙を使用し吸引ろ過を行い、モロヘイヤエキスを得た。このエキスを適当な濃度まで減圧濃縮した後、凍結乾燥を行い6.8gの褐色の粉末を得た。以下、この粉末を「A」と称する。
血圧降下作用の評価試験;
自然発症性高血圧ラット(以下、SHR)を用いて単回投与時の降圧効果を調べた。
上記処方で得られた粉末Aを1000mg/kg(SHRの体重)となるように水に溶解し、17週齢(雄性)の高血圧自然発症ラット7匹(SHR/Hos、SPF)へ胃ゾンデによる単回経口投与を行った。投与前、投与後4時間後、8時間後及び24時間後に非観血的に血圧を測定した。
結果;
投与24時間後までの平均血圧の変動を図5に示す。図から明らかなとおり本発明のアデニン含有野菜エキスは優れた血圧降下作用を示した。
ここで平均血圧とは以下の式より算出される。
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧−拡張期血圧)/3
[実験例10]
軽症高血圧者に対する血圧降下作用の確認試験を行った。
1.試験材料及び方法;
実験例1で試作した試作品No.1〜4を使用し、内容物についてブラインドを保ち、1日1本(190g)を朝食後に飲用する条件で、軽症高血圧者を対象に8週間の飲用期間にて継続飲用した。軽症高血圧とは、収縮期血圧(SBP)140〜159mmHgあるいは拡張期血圧(DBP)90〜99mmHgに該当する人であり、本試験では軽症高血圧者の20〜65歳の男女を被験者とし、各群23〜24名で実施した。
試作品摂取前(0日)、2週間後、4週間後、6週間後、8週間後で血圧測定を実施した。
2.結果;
摂取前(0日)との差分を図6に示す。各値は平均値を示す。
図より、試作品3および4において血圧の戻りがなく、8週間後まで持続した。
試作品3の4週間後、試作品4の2週間後から8週間後までの全てのポイントで統計学的に有意な変化であった。
また、試作品摂取による有害事象や特記すべき異常は確認されなかった。試作品3、試作品4はそれぞれアデニン含有量が11.3ppm23.2ppm含んでおり、この結果から10ppm以上アデニンを含有してなるアデニン含有容器詰飲料の血圧降下作用が確認された。
[実験例11]
容器詰飲料の製造;
野菜汁としてホウレンソウ、ニンジン、セロリ、アスパラ、インゲン、グリーンピースの混合汁(飲料全体の20%)、果汁としてリンゴ、グレープ、グレープフルーツの混合汁(飲料全体の80%)を配合する果実野菜ミックス飲料を試作し、1本当り190gの容量とした。この果実野菜ミックス飲料に参考例1(2)で得られたモロヘイヤ由来の抽出エキスBを0、452、900、1750、3500ppmの濃度となるように添加し、缶容器に充填し、110℃で加熱殺菌して容器詰飲料を試作した。なお、エキス中のアデニン含量は1.26%であった。結果を下記表にその示す。下記表より、モロヘイヤ由来の抽出エキス添加による果実野菜ミックス飲料のアデニン含量を増大させることができること、また風味の観点からするとアデニン含量は4.5ppm/Brix以下が好ましいことが判明した。降圧効果の観点からするとアデニンは多い方がよいが、風味を踏まえて総合的に判断すると、好ましい溶液に対するアデニン含量は0.8ppm/Brix〜4.5ppm/Brix、特に好ましくは0.8ppm/Brix〜4ppm/Brixである。血圧降下作用の観点からするとアデニン含量は0.8ppm/Brix以上が好ましく、また風味の観点からするとアデニン含量は4.5ppm/Brix以下が好ましい。
本発明によれば、本来難溶性であるはずのアデニンの水溶性が飛躍的に改善され、そのことにより、より優れた血圧降下作用、血管拡張乃至血管弛緩作用を有するアデニン含有容器詰飲料及び経口血飲料圧降下剤組成物の提供が可能となった。
本発明は、具体的には以下のとおりである。
第1番目の発明は、野菜を抽出して得られるアデニンと可溶性固形分を含有する野菜エキスであって、Brix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有することを特徴とするアデニン含有野菜エキスに関する。
第2番目の発明は、上記第1番目の発明において、野菜が、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は漬け菜であることを特徴とするものである。
第3番目の発明は、上記第1番目又は第2番目の発明において、野菜が、乾燥野菜であることを特徴とするものである。
第4番目の発明は、上記第1番目の発明のアデニン含有野菜エキスの製造方法に関するものであり、野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することを特徴とするものである。
第5番目の発明は、上記第4番目の発明において、野菜が、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は漬け菜であることを特徴とするものである。
第6番目の発明は、上記第4番目又は第5番目の発明において、野菜が、乾燥野菜であることを特徴とするものである。
第7番目の発明は、上記第6番目のアデニン含有野菜エキスの製造方法に関するものであり、乾燥野菜が90℃以上の高温ブランチング処理を施していない野菜であることを特徴とするものである。
第8番目の発明は、上記第4番目乃至第7番目のいずれかの発明で得られたアデニン含有野菜エキスを更に合成樹脂吸着剤で吸着処理しその吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することを特徴とする吸着処理アデニン含有野菜エキスの製造方法に関する。
第9番目の発明は、第8番目の発明において、合成樹脂吸着剤で吸着処理するのに先立って、野菜をプロテアーゼ処理しておくことを特徴とするものである。
第10番目の発明は、上記第1番目乃至第3番目のいずれかの発明のアデニン含有野菜エキスを飲料として許容され得る水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brixを指標とした場合、Brix1.0当りアデニン含量が0.8ppm以上であるアデニン含有容器詰飲料に関するものである。
第11番目の発明は、上記第4番目乃至第9番目のいずれかの発明に従って得られたアデニン含有野菜エキスを飲料として許容され得る水溶媒に溶解させてアデニン含有飲料溶液となし、更に、加熱殺菌した後に容器詰め処理を行い、又は容器詰めした後に加熱殺菌処理をすることを特徴とするアデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上であるアデニン含有容器詰飲料の製造方法に関するものである。
第12番目の発明は、上記第1番目乃至第3番目の発明のいずれかのアデニン含有野菜エキス、即ちBrix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有するアデニン含有野菜エキスを有効成分として含有してなる経口血圧降下剤組成物に関する。
第13番目の発明は、第12番目の経口血圧降下剤組成物に関するものであって、アデニン含有野菜エキスが、上記第4番目乃至第9番目のいずれかの発明に従って得られたアデニン含有野菜エキスであることを特徴とするものである。
第14番目の発明は、上記第1番目乃至第3番目の発明のいずれかの発明のアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有してなる経口血圧降下剤組成物に関する。
第15番目の発明は、上記第4番目乃至第9番目のいずれかの発明に従って得られたアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有してなる経口血圧降下剤組成物に関する。
使用する野菜について;
野菜は、アデニンを含有する野菜であれば特に限定されるものではない。可溶性固形分は野菜中に必須成分として含まれる。アデニン含量の観点からすると、好ましくはコマツナ、ロケット、チンゲンサイ、ターサイ、ミズナ、ハクサイ、中島菜、キャベツ、ブロッコリー等のアブラナ科野菜;モロヘイヤ等のシナノキ科野菜;セロリ等のセリ科野菜であり、特に好ましくは、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は中島菜であり、最も好ましくはモロヘイヤ、ブロッコリーである。これら野菜は単独であっても併用であってもよい。野菜の形態としては、ピューレであってもよいが、好ましくは乾燥野菜である。生野菜のみを使用した場合は、得られる野菜エキス中のアデニン含量が少ない点で好ましくない。
乾燥野菜は、冷凍乾燥野菜であってもよい。更に好ましくは、エキス中のアデニン含量の観点からすると、乾燥野菜が高温加熱処理を施していない野菜、具体的には90℃以上の高温ブランチング処理を施していない乾燥野菜である。
高温ブランチング処理を施していない乾燥野菜;
通常、加工用の乾燥野菜は、野菜の変質防止のためブランチング処理や殺菌処理が施される。また、使用に先立って乾燥野菜を再乾燥処理する場合もある。しかし、本発明者らの研究の結果、特に90℃以上のブランチング処理等の高温加熱処理を施していない野菜から得られるエキスは、このような処理を施した野菜から得られるエキスに比べてアデニン含量が6倍程度にまで向上することが判明した。抽出前の再乾燥に関してはアデニン含量が徐々に減少する傾向が観察されたが、130℃3時間処理まではBrix(可溶性固形分)1.0当りアデニンを10ppm以上(12.6ppm)含むモロヘイヤエキスが得られた。したがって、抽出前に90℃以上ブランチング処理等の高温加熱処理を施していない乾燥野菜を抽出対象とするのが好ましい。好適な乾燥野菜は、高温加熱処理を施していないモロヘイヤ、ブロッコリー又は中島菜、特に好ましくはモロヘイヤ又はブロッコリーである。乾燥野菜は冷凍乾燥野菜であってもよい。なお、本発明者等は、抽出後の高温加熱はアデニン濃度や水溶性に何ら問題がないことを確認しているので、殺菌等が必要な場合には、抽出後、例えば容器詰の前後に加熱殺菌すればよい。
このように、ブランチング処理等の高温加熱処理を施していない野菜から得られるエキスは、ブランチング処理を施した野菜から得られるエキスに比べてアデニン含量が6倍まで向上する。抽出前の再乾燥に関しても同様である。
したがって、好ましいアデニン含有野菜エキスは、高温加熱処理を施していない乾燥野菜から得られる野菜エキスである。生野菜を使用した場合は、得られる野菜エキス中のアデニン含量が少ない点で好ましくない。
アデニン含有野菜エキスのアデニン含量;
アデニン含有野菜エキスのアデニン含量は、Brix1.0当り10ppm以上、より具体的にはBrix1.0当り10ppm乃至450ppmであることが好ましい。
血圧降下作用に代表されるアデニンの作用を効率よく発揮させるためには、溶解度が高く、かつアデニンを高含量で含むエキスが好ましい。アデニン含量がBrix1.0当り10ppm以上である野菜エキスとしては、好適にはモロヘイヤエキス、ブロッコリーエキス、中島菜エキスである。好ましくはこれらの乾燥野菜から得られる。野菜エキス中のアデニン含量がBrix1.0当り10ppmを下回る場合には、所望の血圧降下作用を発揮させるためには多量のエキスを配合しなければならず、モロヘイヤやブロッコリー等の野菜味が強くなりすぎて味覚上の問題が生じる。
容器詰飲料におけるアデニン濃度について;
8ppmを下回る場合、あるいはBrixを指標としてBrix1.0当り0.8ppmを下回る場合には、所望の血圧降下作用を期待することができない。
現在市販されている野菜飲料をはじめとする飲料は、アデニン濃度は上限でも6.5ppm程度であり、多くは2ppm以下である。これに対して、本発明の容器詰飲料は、8ppm以上、好ましくは20ppm乃至150ppmのアデニンを含有するものである。
また、現在市販されている野菜飲料には野菜汁の他にも果汁等が含まれており、その可溶性固形分濃度(Brix)は概ね10(重量%)程度である。また、これら市販野菜飲料のアデニン濃度は上限でも6.5ppm程度であり、多くは2ppm以下である。したがって、これら市販の野菜飲料はBrix1.0当りに換算したアデニン含量は最大でも0.65ppmである。これに対して、本発明の容器詰飲料は、Brix1.0当り0.8ppm以上、好ましくは1.0ppm以上のアデニンを含有するものである。なお、風味の観点からすると、後述の実験例からも伺えるようにその上限は4.5ppm/Brix以下が好ましい。なお、一般的にはアデニン濃度はppm単位で表現するのがベターであり十分であるが、可溶性繊維等の可溶性固形分を含有する飲料、例えば野菜果汁ジュース等に本エキスを配合するような場合には、その飲料濃度との関係を考慮してBrix を指標として表すのがよい。
Brixとは溶液の中に含まれる可溶性固形分の%濃度を意味し、可溶性固形分とは糖を初めとして、塩類、蛋白質、酸など水に溶ける物質すべてであり、測定値はそれらの合算値となる。
容器詰飲料について;
容器詰飲料とは、PET等のプラスチック容器、紙容器、缶詰容器に詰められており、かつ、加熱殺菌された飲料を意味する。アデニン含有野菜エキス容器詰飲料は、これらエキスを飲料として許容される飲料用水溶液(水溶媒)、例えば天然水に溶解したものであっても、あるいは他の飲料に該アデニン含有野菜エキスを混合乃至配合したものであってもよい。混合乃至配合の対象となる飲料は、特に限定されるものではないが、好ましい飲料用水溶液は、水分量が少なくとも20重量%以上、好ましくは85重量%以上でかつ水以外の固形分量が0.01乃至15重量%のものが好適である。好ましい水溶媒としては、各種野菜ジュース、果汁ジュース、野菜果汁ミックスジュース、乳酸飲料等の乳製品飲料、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク、サイダー等を挙げることができ、特に好適には野菜ジュース又は野菜果汁ミックスジュースである。更に好適な野菜ジュース又は野菜果汁ミックスジュースは、水分量が少なくとも20重量%以上、好ましくは85重量%以上で、かつ水以外の可溶性固形分量(Brix)が0.01乃至20重量%、好ましくは5乃至20重量%、更に好ましくは5乃至15重量%のものが好適である。
アデニン含有容器詰飲料は、下記のごとき方法によって得られるアデニン含有野菜エキス、好ましくはBrix1.0当り10ppm以上のアデニン含有野菜エキスを水溶媒に適宜希釈倍率で溶解させることによってそのアデニン含量を8ppm以上、あるいはBrix を指標としてBrix1.0当り0.8ppm以上とし、常法に従ってPET容器等のプラスチック容器、紙容器、缶詰等へ容器詰めし、加熱殺菌することによって得ることができる。加熱殺菌した後に容器詰め処理を行ってもよいし、又は容器詰めした後に加熱殺菌処理を施してもよい。例えば熱の影響を受けやすいPET容器、紙容等の場合は加熱殺菌した後に容器詰めを行うのが好ましく、また缶詰容器等の場合は容器に詰めた後に加熱殺菌してもよい。後述の実験から明らかな通り、抽出前の高温加熱はアデニン濃度に悪影響を与えるが、抽出後の高温加熱はエキス中のアデニン濃度に関して何ら影響を与えるものではなかった。
使用するアデニン含有エキスとして好ましい高濃度アデニン含有エキスは、Brix1.0当り10ppm乃至450ppm、好ましくは20ppm以上、具体的にはBrix1.0当り20ppm乃至450ppmの濃度でアデニンを含有するエキスである。
本発明の容器詰飲料は、例えば、100ppmのアデニン含有野菜エキスを5倍量の野菜ジュース等の水溶媒に溶解させこれを容器詰めして加熱殺菌することによりアデニン含量が20ppmの容器詰飲料とすることができる。
高濃度にアデニンを含有する野菜エキスの製造方法;
高濃度に含量する野菜エキスは、即ち、アデニン含量がBrix1.0当り10ppm以上のアデニン含有野菜エキスは、乾燥野菜、例えば、硬い茎の部分を除去したモロヘイヤ乾燥葉を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することによって製造することができる。
野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出した野菜エキス中のアデニン含量はBrix1.0当り10ppm乃至35ppmであって、降圧効果を発揮するのに十分なアデニンを含有していた。
更に、吸着処理を施した野菜エキスにおいては、驚くべきことに、エキス中のアデニン含量は10ppm乃至450ppmであった。
なお、加水倍率を高くすると当然のこととして抽出液中の可溶性固形分濃度は減少するが、得られるエキスの組成比は異なることがないので、加水倍率に関わらずそのBrix濃度(可溶性固形分濃度)に対するアデニン濃度は一定である。したがって、Brix1.0当りのアデニン量を指標にすることにより、実質的なアデニン濃度とすることができる。
このようにして得られた野菜エキス含有容器詰飲料は優れた降圧作用を有するのみならず、水溶性に優れたアデニンを豊富に含むので、アデニンの有する降圧作用を利用した野菜ジュース等としてその応用が期待される。
高濃度にアデニンを含有する野菜エキスの製造条件;
前述のとおり、Brix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有する野菜エキスは、乾燥野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することによって得られる。
抽出温度に関しては、抽出温度を30℃乃至75℃とすることにより、水溶性アデニンを高含有量で含有する野菜抽出エキスを収率よく得ることが可能であり、その結果、より高濃度のアデニン含有水溶液を提供することが可能である。特に好ましい抽出温度は、40℃乃至70℃であり、最適には60℃である。抽出温度は、抽出時間中一定に保ってもよいし、あるいは、所望の温度、例えば30℃乃至75℃に加温した後、加温乃至保温を停止して徐々に放冷してもよい。抽出温度が30℃を下回る場合は、抽出効率が悪く、抽出に長時間を要するのみならず十分なアデニン含量を期待できない。また、75℃を超えて加熱した場合はアデニン含量が少なく十分な効果を期待できないばかりか、苦味成分等の好ましくない成分が混入したり、場合によってはコゲが発生することもあって好ましくない。
加水量は15重量倍量乃至45重量倍量であり、好ましくは20重量倍量乃至40重量倍量である。加水量が15重量倍量以下の場合は野菜中に含まれる苦味等の望ましくない成分が一緒に抽出されるだけでなく、葉が膨潤して固液分離が困難となるため生産性が低下し、更には粘性が高くなって粉末化等の後処理が困難となって好ましくない。また、45重量倍量以上の場合は、生産性が低下する抽出液量の増加とともにアデニン濃度が著しく低下して濃縮の必要性が生じ、飲料に配合したり凍結乾燥して粉末化するに当っても不都合を生じ好ましくない。なお、加水倍率を高くすると当然のこととして抽出液中のアデニン濃度は減少するが、得られるエキスの組成比は異なることがないので、加水倍率に関わらずそのBrix濃度(可溶性固形分濃度)に対するアデニン濃度は一定である。したがって、Brix1.0当りのアデニン量を指標にすることにより、実質的なアデニン濃度とすることができる。
抽出時間は5分以上、好ましくは10分以上より好ましくは15分乃至2時間、特に好ましくは30分乃至90分である。抽出時間は5分以下の場合はアデニンの抽出効率が悪く、2時間以上の長時間抽出は苦味成分等の好ましくない成分が混入し、好ましくない。
また、所望により抽出完了後に野菜を含有する抽出液を90℃以上、例えば95℃で高温再加熱してもよい。高温再加熱することにより、抽出液を含んで膨潤していた葉が沈み、葉からの液切れが向上し、固液分離が容易となる。特に、粘性の高いモロヘイヤの固液分離に有効である。なお、アデニン含有エキスの抽出時の液温は上記のとおり30℃乃至75℃であって、90℃を超えた高温加熱は避けなければならないが、エキスを抽出後における90℃以上の高温再加熱や加熱殺菌処理は抽出エキス中のアデニン濃度や水溶性に何ら悪影響を及ぼさないことを本発明者等は別の試験において確認している。したがって、抽出後の加熱殺菌処理は抽出エキス中のアデニン濃度や水溶性に何ら悪影響を及ぼさない。
このようにして得られた野菜エキス中のアデニン含量はBrix1.0当り10ppm乃至35ppmであって、降圧効果を発揮するのに十分なアデニンを含有し、かつ水溶性に優れていた。更に、下記に詳述する吸着処理を施した野菜エキスにおいては、驚くべきことに、エキス中のアデニン含量は10ppm乃至450ppmであり、水溶性も優れていた。
高濃度にアデニンを含有する野菜エキス;
このようにして得られた野菜エキスは、それ自体が飲食物として有用なばかりでなく、そのまま飲料用水溶液、具体的には野菜ジュース、果物ジュース、その他飲料水に添加配合して使用することができる。また、このようにして得られた野菜エキスは、エキス原液であってもよいし、濃縮して濃縮野菜エキスとすることも可能であり、或いはこの濃縮野菜エキスを凍結乾燥等の手段によって粉末状、あるいは更に錠剤化してもよい。これら濃縮野菜エキスや粉末状エキスは、上記野菜エキスと同様に配合剤として飲料用水溶液、具体的には野菜ジュース、果物ジュース、その他飲料水に添加配合して使用することができ、或いはサプリメント、食品添加物として使用することができる。
本発明のアデニン含有野菜エキスは、通常の抽出方法に比べて豊富にアデニンを含有するが、その理由は、野菜中に含まれるアデノシンが何らかの理由によって分解して新たにアデニンを生じるためと考えられる。
また、本発明の野菜エキス中のアデニンは、アデニン含量が高いだけでなく、通常のアデニンに比較して高い水溶性を有しており、体内への改善された吸収性を有するものと期待される。
なお、アデニンの溶解度について試験を行ったところ、標準品アデニン(和光純薬工業製)の溶解度は約1.2g/Lであったのに対して、モロヘイヤエキスとした場合のアデニンの溶解度は約6g/Lであって、その溶解度は約5倍であった。正確な理由は不明であるが、野菜エキスとして飲料用水溶媒に混合することにより、アデニンリッチな飲料の提供が可能となった。
吸着処理;
吸着処理アデニン含有野菜エキスは、例えば、乾燥野菜から得られたBrix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有するアデニン含有野菜エキスを合成樹脂吸着剤で吸着処理しその吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することによって得ることができる。
より具体的には、吸着処理アデニン含有野菜エキスは、下記イ、ロ及びハから選ばれるアデニン含有野菜エキスを更に合成樹脂吸着剤で吸着処理し、その吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することによって得ることができる。
イ.野菜から抽出した通常のアデニン含有野菜エキス;
ロ.アデニン含量がBrix1.0当り10ppm以上であるアデニン含有野菜エキス;
ハ.乾燥野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出したアデニン含有野菜エキス;
野菜エキスの水又は温水からの抽出工程は上記と同様である。吸着処理野菜エキスは、上記イ、ロ又はハの野菜エキス溶液を、合成樹脂吸着剤で吸着処理し、合成樹脂吸着剤へ通液し水押し後、例えば60%エタノールを通液して回収することにより溶出処理して樹脂吸着画分として回収することによって得ることができる。このような吸着処理を施して得られる野菜エキスは、アデニン含量が多いだけでなく、粘性が低下されており、粉末化などの後処理に好都合である。
ちなみに、このような吸着処理を施していない野菜エキス中のアデニン含量はBrix1.0当り10ppm乃至35ppmであるのに対して、吸着処理を施した野菜エキス中のアデニン含量は10ppm乃至450ppmであった。
吸着剤としては、親水性合成樹脂吸着剤、疎水性合成樹脂吸着剤の何れであってもよいが、効果的な血圧降下組成物を回収するために好ましい吸着剤は、疎水性合成樹脂吸着剤である。疎水性合成樹脂吸着剤の樹脂母体として、例えば、スチレン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−アクリル酸アミドの共重合体、フェノール樹脂等が挙げられる。好ましい合成樹脂吸着剤は、分子量1000以下の水溶性低分子物質を吸着するのに適した多孔性の吸着剤、具体的には、多孔性修飾ポリスチレン系合成吸着剤、即ち、スチレン等の芳香族系の樹脂母体に臭素等の極性基を化学的に修飾結合させてなる多孔性修飾ポリスチレン系合成吸着剤である。表面積の大きい多孔性の合成樹脂吸着剤が好ましい。合成樹脂吸着剤の比表面積としては、100〜1200m2/g、好ましくは250〜800m2/g程度である。また、合成樹脂吸着剤の好ましい細孔容積、粒度分布、最頻度半径は、それぞれ0.9〜1.6mL/gであり、250μmで90%以上、60〜200オングストロームである。より具体的には、セパビーズ(登録商標;三菱化学株式会社)、特にセパビーズSP70、SP700、SP850、SP207、さらに好ましくはSP207(比表面積、細孔容積、粒度分布、最頻度半径は、それぞれ590m2/g、1.16mL/g、250μmで90%以上、120オングストローム)を挙げることができる。
これら合成樹脂吸着剤は、吸着処理に先立って予め前処理しておいてもよい。例えば、吸着剤をメタノールなどの溶媒で洗浄して不純物を除去した後、さらに水で洗浄してメタノールなどの溶媒を除去することにより行うことができる。
また、これら吸着剤による処理は、バッチ法、カラム法の何れで行ってもよいが、比較的少量の吸着剤により効率よく処理できるカラム法が好ましい。吸着剤による処理は、少なくとも一回行えばよい。吸着剤と抽出液の割合は、使用する吸着剤の種類などに応じて選択できる。
酵素処理;
吸着処理に先立って、タンパク分解酵素、好ましくはエンドペプチダーゼ、より好適にはBacillus由来のエンドペプチダーゼで酵素処理を施しておいてもよい。蛋白質分解酵素処理を施すことにより、通常のエキスと比較して、より優れた血圧降下作用を有するエキスとすることができる。
プロテアーゼ処理する際のpH、処理温度、処理時間、処理濃度は、特に限定されるものではないが、使用酵素によって適宜選択し得る。好ましくは、pH5.0〜8.5、より好ましくはpH5.5〜7.0、処理温度40℃乃至70℃、好ましくは、50℃乃至65℃、そして処理時間30分乃至3時間、好ましく1時間乃至2時間、また、好ましい酵素濃度はモロヘイヤの乾燥重量に換算して0.01乃至3重量%、好適には0.05〜2重量%、更に好適には0.1〜1.5重量%である。しかしながら、酵素の種類により、これら条件を変更してもよいことは勿論である。例えば、Bacillussubtilis由来のプロテアーゼを使用する場合には、pH6.0乃至7.0、処理温度55℃乃至60℃、処理時間1時間乃至2時間、処理濃度はモロヘイヤの乾燥重量の0.1乃至1.0重量%が好ましい。また、Bacillusthermoproteolyticus由来のプロテアーゼのひとつを使用する場合には、pH6.0乃至7.0、処理温度60℃乃至70℃、処理時間1時間乃至2時間、処理濃度はモロヘイヤの乾燥重量の0.1乃至1.0重量%が好ましい。
蛋白質分解酵素処理は、アデニンの溶解度等に何ら影響を与えるものではなかった。
本発明を適用して得られたアデニン含有野菜エキス、容器詰飲料及び経口血圧降下剤組成物は、味・臭いに特異な厭味が少ないことから液状形態で摂取することが可能である。本発明を適用して得られたアデニン含有野菜エキス、容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物の好ましい形態は果汁ジュース、野菜ジュース、果物野菜ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク等の容器詰飲料である。容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物中のアデニン含有野菜エキスの好ましい摂取量は、年齢、血圧の程度により異なるが、アデニンの有する降圧効果の観点から、エキス粉体換算で通常1回10mg〜2000mgであり、好ましくは1回50mg〜1000mg、さらに好ましくは1回100mg〜500mgである。また1日1〜3回の摂取回数で効果が得られるが、必要に応じて回数を増やすこともできる。また、飲料に含有させる場合は、500mL当り50mg〜2000mg、さらに好ましくは1回500mg〜1500mgである。
以下、実験例、参考例に基づいて本発明について説明する。しかし、本発明がこれら実験例等に限られるものでないことは勿論である。
[参考例1]モロヘイヤ葉由来のアデニン含有野菜エキスの調製;
(1)モロヘイヤエキスAの調製;
硬い茎を除去したモロヘイヤ葉を80℃でブランチング後、破砕し熱風乾燥を行い、モロヘイヤ乾燥葉を得た。このモロヘイヤ乾燥葉50gに20倍重量の60℃前後の蒸留水熱水を加水し、ウォーターバス中で液温60℃に保ち、原料の乾燥モロヘイヤ葉に対して0.7%重量のプロテアーゼNアマノG(株式会社天野エンザイム社製)を少量の水に溶解して添加した。その後、液温60℃に保ったまま10分おきに撹拌を行った。酵素添加から1時間経過後、95℃達温で5分間保持し、目の開き850μmのふるいでろ過後、次いでNo.2のろ紙を使用し吸引ろ過を行い、モロヘイヤ酵素処理エキスAを得た。この酵素処理エキスを適当な濃度まで減圧濃縮した。
(2)モロヘイヤ吸着画分エキスBの調製;
純水に湿潤状態の合成吸着剤SP207(三菱化学社製)300ccをガラスカラムへ充填し、十分な純水を通液してSP207充填カラムとした。上記(1)で得られたモロヘイヤ酵素処理エキスA800mL(Brix6,pH6.0)を前記ガラスカラムへSV=4の速度で通液後、5bed容量の純水にて十分にモロヘイヤエキスを洗い出した。モロヘイヤ酵素処理エキス通液開始直後からカラム排出液を回収し、素通り画分とした。次いで、60%濃度に調整したエタノールを5bed容量通液し、通液開始から1/2bed容量のカラム排出液を廃棄した後、カラム排出液の回収を開始しエタノール通液終了まで回収した。これを吸着画分とした。吸着画分を減圧濃縮した後、凍結乾燥して、吸着画分処理エキスB7.1gを得た。なお、「bed」とは、吸着剤の充填容積(=かさ)を示す。
(3)モロヘイヤ吸着画分エキスCの調製;
酵素処理を行わない以外は上記参考例2と同様にして抽出して吸着画分処理エキスCを得た。
以下、上記処方によって得られたエキスを用いた。
[参考例2]アデニンの分析条件;
アデニン含有量の測定は、下記のとおりHPLCで行った。
野菜汁としてホウレンソウ、ニンジン、セロリ、アスパラ、インゲン、グリーンピースの混合汁(飲料全体の20%)、果汁としてリンゴ、グレープ、グレープフルーツの混合汁(飲料全体の80%)を配合する果実野菜ミックス飲料を試作し、1本当り190gの容量とした。この果実野菜ミックス飲料に参考例1(2)で得られたモロヘイヤ由来の抽出エキスBを0、452、900、1750、3500ppmの濃度となるように添加し、缶容器に充填し、120℃で加熱殺菌して容器詰飲料を試作した。なお、エキス中のアデニン含量は1.26%であった。結果を下記表に示す。
結果;
下記表より、モロヘイヤ由来の抽出エキス添加による果実野菜ミックス飲料のアデニン含量を増大させることができること、また風味の観点からするとアデニン含量は4.5ppm/Brix以下が好ましいことが判明した。降圧効果の観点からするとアデニンは多い方がよいが、風味を踏まえて総合的に判断すると、好ましい溶液に対するアデニン含量は0.8ppm/Brix〜4.5ppm/Brix、特に好ましくは0.8ppm/Brix〜4ppm/Brixである。血圧降下作用の観点からするとアデニン含量は0.8ppm/Brix以上が好ましく、また風味の観点からするとアデニン含量は40ppm以下、Brixを指標とした場合は4.5ppm/Brix以下が好ましい。
野菜エキス中のアデニンの溶解性が優れていることを示すために、化学物質としての標準品アデニン(和光純薬工業製)とアデニン含有野菜エキス中に含まれるアデニンの溶解性試験を行った。上記参考例1(2)で得たモロヘイヤエキス粉末B(アデニン含有量;約1.2重量%)を蒸留水(常温)へ添加し15分間振とう後、溶解性を評価した。エキスを添加した各溶液を少量採取し、0.45μmメンブレンフィルターによるろ過を行い、そのろ過液をHPLCにてアデニン含有量の測定を実施し併せて目視評価を行なった。結果を下表に示す。(5a)のモロヘイヤエキスは、酵素処理を行わない以外は上記参考例2と同様にして抽出したエキスCである。また、この結果を図に示せば図1のとおりである。
なお、図1中の1200mg/Lの横線は、標準品アデニンの溶解限界を示すものである。
上記試験結果から明らかなとおり、標準品アデニン(和光純薬工業製)の溶解度は約1.2g/Lであったのに対して、モロヘヤエキスとした場合のアデニンの溶解度は約6.0g/Lであって、その溶解度は5倍に向上した。このことからも、野菜から抽出したアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させることにより、アデニンを高濃度に含有する容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物の製造が可能であることは明らかである。
ところで、水溶媒に溶解させる野菜エキス中のアデニン濃度が高い程、高濃度アデニン含有容器詰飲料の製造が効率的であり、あるいは、より高濃度のアデニンを含有する容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物が得られることは明らかである。
そこで、以下、アデニン含有野菜エキスの血圧降下作用、アデニンをより高濃度で含有する野菜エキスの製造方法について述べる。
[実験例3]抽出温度及び加水倍率に関する検討;
乾燥葉の抽出温度及び乾燥葉に対する加水倍率による野菜エキス中のアデニン溶出量への影響について以下のとおり試験を行った。
A.抽出温度に関する検討;
1.モロヘイヤエキスの準備;
野菜としては茎を除去したモロヘイヤ葉を、ブランチング処理を施すことなく、熱風乾燥して得られたモロヘイヤ乾燥葉(モロヘイヤ乾燥チップ)を用いた。モロヘイヤ乾燥チップ5gに20重量倍量の蒸留水からなる温水乃至常温水を加水した。常温水(26.7℃)を除き、それぞれ95℃、80℃、63.5℃、44℃になるように攪拌しながら加熱し、設定温度に達した後、加熱を中止した。2時間後に抽出を終了し、850μm及び106μmの金属メッシュを用いてこれを濾過して野菜エキスとした。
2.結果;
アデニン含量(ppm)の分析結果は、表4及び図2に示すとおりであった。各抽出温度におけるアデニン含量は、常温近辺(26.7℃)では11.75ppm、44℃では19.7ppm、63.5℃では26.5ppm、80℃では11.4ppm、95℃では6.1ppmであり、また、Brix1.0当りのアデニン濃度(ppm)はそれぞれ9.79ppm、15.15ppm、22.08ppm、8.77ppm、4.36ppmであった。このように、モロヘイヤ乾燥葉を比較的高温(例えば、80℃、95℃)で抽出すると、溶液中のアデニン含量が低くなる結果となった。また、常温抽出でもアデニン含量は低い結果となった。これら試験結果から、アデニンリッチな抽出物を得るためには、抽出時の加熱温度は30℃乃至75℃、より好ましくは40℃乃至70℃、特に好ましくは50℃乃至65℃であるが好適であることが判明した。またこのようにして得られた野菜エキスのBrix1.0当りのアデニン濃度(ppm)は10ppm以上であった。
1.加水倍率に関する試験、及び抽出後加熱と固液分離における液切れに関する試験;
乾燥モロヘイヤチップに対し8、15、20、40、60、80倍に加水倍率を変えて抽出試験を行った。それぞれの加水倍率の試験において、抽出後60℃のまま固液分離を行った場合と60℃抽出後95℃に加温後固液分離を行った場合の2パターンで試験を行った。
より具体的には、60℃の温水200mlを用意し、これに加水倍率が8、15、20、40、60、80倍となるように、モロヘイヤチップを25g、13.33g、10g、5g、3.33g、2.5g加えて60分間抽出し、更に95℃で5分間加熱した後、850μmメッシュを通過した液を、さらに75μmに通過させ野菜エキスとした。エキスは上記と同様にしてHPLCにより分析を行った。ただし、一方は、60℃で抽出した後に更に95℃で5分間の加熱処理を施し、他方は、この加熱処理を施すことなく直ちに850μmメッシュを通過した。
[0040]
2.結果;
結果は、下表のとおりであった。加水倍率が8倍のケースでは固液分離の際の液切れが悪く、60℃抽出後に高温処理を行っても抽出液がほとんど得られない。15倍加水であれば60℃抽出後に高温処理を行う事により良好な固液分離が可能となる。一方、60倍、80倍加水のケースでは、加水倍率を高くするに従って抽出液のアデニン濃度が低下するのみで、アデニン抽出効率が著しく低下し、また、抽出液中のアデニン濃度が低下してしまうために飲料に配合したり凍結乾燥して粉末化するに当っても不都合を生じ好ましくない。
1.乾燥野菜と生野菜からの野菜エキスの抽出;
乾燥野菜として、モロヘイヤ、ブロッコリー、キャベツを用い、凍結乾燥品として中島菜を用いて試験を行った。
乾燥野菜は、生野菜を60℃で12時間乾燥させることによって乾燥野菜とした。これら乾燥野菜及び凍結乾燥野菜5gにそれぞれ20℃、40℃、60℃、80℃、95℃で、40重量倍量の水または温水を加えて、1時間抽出し、No.2ろ紙でろ過して野菜エキスとした。一方、生野菜は、下表のとおりその乾燥重量が5gに相当する量の生野菜を用いた他は乾燥野菜の場合と同様に抽出した。
野菜チップ5g及び生野菜(チップ5g相当)から得られる抽出液中に含まれるアデニン含量(mg)は下表のとおりであった。下表から明らかなとおり、アデニン含量の点では、モロヘイヤ、中島菜、ブロッコリーが特に優れており、かつ、生野菜より乾燥野菜の方が優れていることが明らかとなった。また、抽出温度は、好ましくは30℃乃至75℃であり、より好ましくは40℃乃至70℃、特に好ましくは50℃乃至65℃であることが本試験からも明らかとなった。生野菜20℃抽出液のBrix1.0当りのアデニン量は高いが、抽出液のBrixそれ自体は低く全体的なアデニンの収量は減少する。
A.抽出前における高温加熱処理の影響の検討;
1.抽出前における高温加熱処理試験;
次に、抽出前における高温加熱処理、即ちブランチング処理の影響について試験を行った。
モロヘイヤチップ5gに20重量倍(100mL)の蒸留水を加え、抽出前に一方は95℃で高温加熱処理し、もう一方は高温加熱処理を行わず、それぞれ40℃、60℃、80℃の温度に保って1時間抽出した。加熱処理を行ったものと加熱処理を行わなかったものを、ともに500μmのふるいを通過した液を、さらに75μmに通過させモロヘイヤエキスとした。エキスは上記と同様にしてHPLCにより分析を行った。
2.結果;
結果は、図3に示すとおりであった。モロヘイヤチップに加水後、95℃以上の高温で処理することでアデニンが7ppm程度しか溶出されなくなった。この試験結果から、ブランチング等の抽出前の高温加熱、例えば90℃以上の加熱はアデニンの収量低減の原因となり望ましくないことが分かる。したがって、抽出前の高温加熱はアデニン収率に悪影響を及ぼすものであり、ブランチング処理等は好ましくないことが分かる。
また、Brix1.0当りのアデニン濃度は、40℃抽出で17.67ppm、95℃加熱後40℃抽出で4.25ppm、60℃抽出で30.67ppm、95℃加熱後60℃抽出で4.53ppm、80℃抽出で13.89ppm、95℃加熱後80℃抽出で3.59ppmとなった。
上記実験例2乃至4から明らかなとおり、抽出時の加熱温度は30℃乃至75℃、より好適には40℃乃至70℃、更に好適には50℃乃至65℃であり、アデニン含量の点では、好適な野菜はモロヘイヤ、中島菜、ブロッコリー等の乾燥野菜であり、かつ、90℃以上の加熱履歴を有さない乾燥野菜が好適であることが明らかとなった。
アデニンリッチな水溶液を得るためには、アデニン含量が多いエキスを用いる方が好ましいことは勿論である。上記試験結果から、モロヘイヤ、中島菜、ブロッコリー等の、加熱履歴を有さない乾燥野菜を原材料とし、これを30℃乃至70℃の温度で抽出したエキスが好適であろうことは明らかである。
B.抽出前又は抽出後における高温加熱処理の影響の検討;
1.抽出前又は抽出後における高温加熱処理試験;
抽出前又は抽出後における高温加熱処理の影響の検討するために、それぞれ10gの乾燥モロヘイヤ、乾燥ブロッコリー及び凍結乾燥ブロッコリーブロッコリーに200mlの温水を加えて1時間抽出した後、850μmメッシュを通過した液を、さらに75μmに通過させ野菜エキスとした。ただし、一方は、60℃で抽出する前に95℃で5分間の加熱処理を施し、他方は、60℃で抽出した後に95℃で5分間の加熱処理を施した。
2.結果;
結果は、図4に示すとおりであった。この試験結果から、抽出後の加熱は何らアデニン濃度に悪影響を与えないが、抽出前に高温条件とする事でアデニンの抽出効率が極端に減少する事が明らかとなった。したがって、加熱殺菌等を施す必要があるときは、抽出後に高温加熱すればよい。
[実験例6]高温再乾燥の影響に関する試験;
乾燥野菜は、水分を十分に除去するために使用する前に再度乾燥させることがある。そこでそれら乾燥条件がモロヘイヤのアデニン含有量にどのような影響を与えるか試験を行った。再乾燥処理以外の抽出条件は実験例5と同様である。結果は下表のとおりであり、抽出前の95℃を越える再乾燥処理は、ブランチング処理と同様に、アデニン含量の低下を招くものであった。Brix1.0当りのアデニン濃度はモロヘイヤ乾燥チップで30.4ppm、95℃3時間再乾燥チップで25.9ppm、110℃3時間再乾燥チップで22.7ppm、130℃3時間再乾燥チップで12.6ppm、焙煎モロヘイヤ茶で5.3ppmとなり、再乾燥処理の温度上昇とともにその値は徐々に減少するが、130℃3時間処理まではBrix1.0当り10ppm以上のアデニン抽出量が維持された。
1.抽出時間の検討;
次に、抽出時間に関する検討を行った。モロヘイヤチップを20倍加水し、60℃でそれぞれ3分、5分、10分、20分、40分、60分、90分間抽出した。これをNo.2ろ紙でろ過した後、アデニン含量を測定した。
2.結果;
結果は、下表のとおりであった。抽出時間は5分以上、好ましくは10分以上より好ましくは15分乃至2時間、特に好ましくは30分乃至90分である。抽出時間は5分以下の場合はアデニンの抽出効率が悪く、2時間以上の長時間抽出は苦味成分等の好ましくない成分が混入し、好ましくない。
1.合成樹脂吸着剤による吸着処理野菜エキス;
実験例4と同様にして得た60℃抽出モロヘイヤ抽出液、60℃抽出ブロッコリー抽出液及び抽出前に95℃で高温加熱殺菌したモロヘイヤ抽出液を合成樹脂吸着剤セパビーズ(登録商標;三菱化学株式会社)SP207カラムで吸着処理し、吸着画分に1bedの水を流して水押しし、更に2.5bedのエタノールでこれを溶出して得た野菜精製エキスを、それぞれモロヘイMP、ブロッコリーMP及び加熱モロヘイヤMPとした。
2.結果;
結果は下表のとおり、野菜精製エキスBrix1.0当りのアデニン濃度はモロヘイヤMPで約123ppm、ブロッコリーMPで428ppm、加熱モロヘイヤMPで10ppmであった。また、これら吸着処理を施した野菜エキスは粘性が低く、取り扱いが容易であり、凍結乾燥も容易であった。なお、ここでMPは精製エキスを意味する。
[実験例9]
下記モロヘイヤエキスを用いて血圧降下試験を行った。
[処方A]
モロヘイヤエキスAの調製;
硬い茎を除去したモロヘイヤ乾燥葉50gに20倍重量の60℃前後の蒸留水熱水を加水し、液温60℃に保ったまま10分おきに撹拌を行った。1時間後に、95℃達温で5分間保持し、目の開き850μmのふるいでろ過後、次いでNo.2のろ紙を使用し吸引ろ過を行い、モロヘイヤエキスを得た。このエキスを適当な濃度まで減圧濃縮した後、凍結乾燥を行い6.8gの褐色の粉末を得た。以下、この粉末を「A」と称する。
血圧降下作用の評価試験;
自然発症性高血圧ラット(以下、SHR)を用いて単回投与時の降圧効果を調べた。
上記処方で得られた粉末Aを1000mg/kg(SHRの体重)となるように水に溶解し、17週齢(雄性)の高血圧自然発症ラット7匹(SHR/Hos、SPF)へ胃ゾンデによる単回経口投与を行った。投与前、投与後4時間後、8時間後及び24時間後に非観血的に血圧を測定した。
結果;
投与24時間後までの平均血圧の変動を図5に示す。図から明らかなとおり本発明のアデニン含有野菜エキスは優れた血圧降下作用を示した。
ここで平均血圧とは以下の式より算出される。
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧−拡張期血圧)/3
[実験例10]
軽症高血圧者に対する血圧降下作用の確認試験を行った。
1.試験材料及び方法;
実験例1で試作した試作品No.1〜4を使用し、内容物についてブラインドを保ち、1日1本(190g)を朝食後に飲用する条件で、軽症高血圧者を対象に8週間の飲用期間にて継続飲用した。軽症高血圧とは、収縮期血圧(SBP)140〜159mmHgあるいは拡張期血圧(DBP)90〜99mmHgに該当する人であり、本試験では軽症高血圧者の20〜65歳の男女を被験者とし、各群23〜24名で実施した。
試作品摂取前(0日)、2週間後、4週間後、6週間後、8週間後で血圧測定を実施した。
2.結果;
摂取前(0日)との差分を図6に示す。各値は平均値を示す。
図より、試作品3および4において血圧の戻りがなく、8週間後まで持続した。
試作品3の4週間後、試作品4の2週間後から8週間後までの全てのポイントで統計学的に有意な変化であった。
また、試作品摂取による有害事象や特記すべき異常は確認されなかった。試作品3、試作品4はそれぞれアデニン含有量が11.3ppm23.2ppm含んでおり、この結果から10ppm以上アデニンを含有してなるアデニン含有容器詰飲料の血圧降下作用が確認された。
[実験例11]
容器詰飲料の製造;
野菜汁としてホウレンソウ、ニンジン、セロリ、アスパラ、インゲン、グリーンピースの混合汁(飲料全体の20%)、果汁としてリンゴ、グレープ、グレープフルーツの混合汁(飲料全体の80%)を配合する果実野菜ミックス飲料を試作し、1本当り190gの容量とした。この果実野菜ミックス飲料に参考例1(2)で得られたモロヘイヤ由来の抽出エキスBを0、452、900、1750、3500ppmの濃度となるように添加し、缶容器に充填し、110℃で加熱殺菌して容器詰飲料を試作した。なお、エキス中のアデニン含量は1.26%であった。結果を下記表にその示す。下記表より、モロヘイヤ由来の抽出エキス添加による果実野菜ミックス飲料のアデニン含量を増大させることができること、また風味の観点からするとアデニン含量は4.5ppm/Brix以下が好ましいことが判明した。降圧効果の観点からするとアデニンは多い方がよいが、風味を踏まえて総合的に判断すると、好ましい溶液に対するアデニン含量は0.8ppm/Brix〜4.5ppm/Brix、特に好ましくは0.8ppm/Brix〜4ppm/Brixである。血圧降下作用の観点からするとアデニン含量は0.8ppm/Brix以上が好ましく、また風味の観点からするとアデニン含量は4.5ppm/Brix以下が好ましい。
野菜ジュースあるいは果汁ジュース、野菜果汁ジュースは、原料である野菜や果実をそのままミキサー等で破砕してジュースにしていたが、この方法では他の栄養成分は別にしても、アデニンの効率的な摂取は期待できず、また、従来の方法で得られた野菜エキス中のアデニン含量は極めて微量であることから血中への十分な吸収は期待できず、その役割を十分に果たし得なかった。それに対して本発明の野菜エキス、容器詰飲料乃至経口血圧降下剤組成物は、水溶性が改善されたアデニンを高濃度に含有するので、体内への吸収性が向上し、アデニンの有する降圧効果が効果的に発揮される。
本発明の野菜エキスは飲食物、特に飲料に適用することが可能であり、野菜ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク等の飲料、特に好ましくは野菜ジュース等の容器詰飲料へ適用が好適である。また、乾燥粉末化したものは、飴、ゼリー、錠菓、飲料、スープ、麺、煎餅、和菓子、冷菓、焼き菓子など各種の飲食品の配合剤として使用することができる。
本発明の野菜エキスは飲食物、特に飲料に適用することが可能であり、野菜ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク等の飲料、特に好ましくは野菜ジュース等の容器詰飲料へ適用が好適である。また、乾燥粉末化したものは、飴、ゼリー、錠菓、飲料、スープ、麺、煎餅、和菓子、冷菓、焼き菓子など各種の飲食品の配合剤として使用することができる。
Claims (15)
- 野菜を抽出して得られるアデニンと可溶性固形分を含有する野菜エキスであって、Brix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有することを特徴とするアデニン含有野菜エキス。
- 野菜が、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は漬け菜である請求項1に記載のアデニン含有野菜エキス。
- 野菜が乾燥野菜である請求項1又は請求項2に記載のアデニン含有野菜エキス。
- 野菜を15重量倍量乃至45重量倍量の水又は温水を加えて30℃乃至75℃で抽出することを特徴とする請求項1に記載のアデニン含有野菜エキスの製造方法。
- 野菜が、モロヘイヤ、キャベツ、ブロッコリー又は漬け菜である請求項4に記載のアデニン含有野菜エキスの製造方法。
- 野菜が乾燥野菜である請求項4又は請求項5に記載のアデニン含有野菜エキスの製造方法。
- 乾燥野菜が90℃以上の高温ブランチング処理を施していない野菜である請求項6に記載のアデニン含有野菜エキスの製造方法。
- 請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の製造方法で得られたアデニン含有野菜エキスを更に合成樹脂吸着剤で吸着処理しその吸着画分を溶出溶媒により溶出処理して回収することを特徴とする吸着処理アデニン含有野菜エキスの製造方法。
- 合成樹脂吸着剤で吸着処理するのに先立って、野菜をプロテアーゼ処理しておくことを特徴とする請求項8に記載の吸着処理アデニン含有野菜エキスの製造方法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアデニン含有野菜エキスを飲料として許容され得る水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上であるアデニン含有容器詰飲料。
- 請求項4乃至請求項9のいずれか1項に記載される製造方法に従って得られるアデニン含有野菜エキスを飲料として許容され得る水溶媒に溶解させてアデニン含有飲料溶液となし、更に、加熱殺菌した後に容器詰め処理を行い、又は容器詰めした後に加熱殺菌処理をすることを特徴とする請求項10に記載のアデニン含有容器詰飲料の製造方法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のBrix1.0当り10ppm以上のアデニンを含有するアデニン含有野菜エキスを有効成分として含有してなる経口血圧降下剤組成物。
- アデニン含有野菜エキスが、請求項4乃至請求項9のいずれか1項に記載される製造方法に従って得られるアデニン含有野菜エキスである請求項12に記載の経口血圧降下剤組成物。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有してなる経口血圧降下剤組成物。
- 請求項4乃至請求項9のいずれか1項に記載される製造方法に従って得られるアデニン含有野菜エキスを水溶媒に溶解させて得られる、アデニン含量が8ppm以上、又は、Brix1.0当り0.8ppm以上のアデニンを含有してなる経口血圧降下剤組成物。
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