JPWO2009099169A1 - ケージド化合物 - Google Patents

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哲雄 長野
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泰照 浦野
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Abstract

下記一般式(I):〔式中、R1はアリール基;R2、R4、R5、及びR7はC1−6アルキル基;R3及びR6は水素原子、C1−6アルキル基など;R8及びR9はフッ素原子又は下記一般式(a):[式中、R10はカルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物の残基(ただし、該カルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基から1個の水素原子を除去した残基である);R11は水素原子又はベンゼン環上に存在する置換基]で表される基を示し、ただしR8及びR9が同時にフッ素原子であることはない〕で表される光分解性保護基を有するケージド化合物又はその塩。

Description

本発明は光分解性保護基により活性を一時的に抑制したケージド化合物に関する。
BDP(ボロンジピロメテン、boron dipyrromethene)は、生体分子ラベルや蛍光分子プローブの骨格として生命科学分野で広く利用されている優れた蛍光団のひとつであるが、4位ホウ素を修飾したBDP誘導体(4位修飾BDP)の報告は極めて少ない。BDP骨格をベースにこれまで開発されてきた機能性分子は、ジピロメテン(dipyrromethene)骨格の炭素に対する構造修飾を利用したものであった。
Figure 2009099169
4位修飾BDPはその合成も数例報告されているのみで、その光化学的特性についてはほとんど知られていない。4位ホウ素の修飾は、ジピロメテン骨格炭素の修飾と結合様式が異なるだけでなく、ホウ素修飾基の結合方向が蛍光団平面と直交するため4位修飾基と蛍光団が電子的に独立しているなど電子構造的にも興味深い。
一方、ケージド化合物とは、光分解性保護基によって活性を一時的に抑制した機能性分子で、解除光照射によって任意の時空間で分子活性を発現させることができるため、時間と空間を観測軸に持つ複雑な生命現象の解明に重用されてきた。しかし、o-nitrobenzyl基に代表される従来の光分解性保護基は、解除光に350 nm程度の紫外領域の光が必要であり、解除光照射の際の光毒性が大きな問題となっていた。BDPを光分解性保護基として利用したケージド化合物を開発することができれば、解除光の光毒性の問題を克服することが可能となる。
本発明の課題は光分解性保護基によって活性を一時的に抑制したケージド化合物を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、優れた特性を有する光分解性保護基を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく4位に種々の置換基を有するフェノキシ基を持つ BDP誘導体の光化学的性質を精査したところ、4位に電子供与性の置換基を有するフェノキシ基を持つ BDP誘導体においてBDPの吸収領域である500 nmの可視光の照射に伴ってメタノールやH2Oなどのプロトン溶媒分子と4位修飾基との置換反応が生じ、4位の電子供与性の置換基を有するフェノキシ基がBDPから脱離することを見出した。
すなわち、本発明により、下記の一般式(I):
Figure 2009099169
〔式中、R1は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R2、R4、R5、及びR7はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R3及びR6はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、カルボキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、又はスルホ基を示し;R8及びR9はそれぞれ独立にフッ素原子又は下記の一般式(a):
Figure 2009099169
[式中、R10はカルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物の残基(ただし、該カルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基から1個の水素原子を除去した残基である)を示し、R11は水素原子又はベンゼン環上に存在する任意の位置及び個数の置換基を示す]で表される基を示し、ただしR8及びR9が同時にフッ素原子であることはない〕で表される化合物又はその塩が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、R10に置換するカルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物が生理活性化合物である上記の化合物又はその塩;及びR1がフェニル基であり、R2、R4、R5、及びR7がメチル基であり、R3及びR6が水素原子であり、R10がカルボキシ基を有する化合物の残基(ただし該カルボキシ基のヒドロキシ基から水素原子を除去した残基である)である上記の化合物又はその塩が提供される。
別の観点からは、下記の一般式(II):
Figure 2009099169
で表される光分解性保護基(R1ないしR7及びR11は上記と同義である)が本発明により提供される。
本発明のケージドグルタミン酸(10)に500nmの光照射をした結果を示した場合の蛍光HPLCクロマトグラム(励起340 nm, 蛍光455 nm)である。(a)ケージドグルタミン酸(10)への光照射前 (b)光照射150分後 (c)遮光150分後 (d)グルタミン酸標品 (e) (b)+(d) 蛍光誘導体化条件:o-phthalaldehyde/2-mercaptoethanol 光照射条件:Xe ランプ, 470-495 nmバンドパスフィルター, 20 mW at 488 nm
本明細書において、「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシカルボニル基など)のアルキル部分は炭素数1〜6個、好ましくは炭素数1〜4個の直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味している。より具体的には、アルキル基として低級アルキル基(炭素数1〜4個のアルキル基)が好ましい。低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピルメチル基などを挙げることができる。
本明細書において、ある官能基について「置換基を有していてもよい」と言う場合には、置換基の種類、個数、置換位置は特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれでもよい)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、アルキルスルホネート基などを置換基として有していてもよい。また、本明細書においてアリール基という場合には、単環性又は多環性のアリール基のいずれであってもよいが、好ましくはフェニル基を用いることができる。R1としてはフェニル基が好ましい。
R2、R4、R5、及びR7としてはメチル基又はエチル基などが好ましい。R3及びR6が示す置換基を有していてもよいC1-6アルキル基としては、例えば、カルボキシ置換C1-6アルキル基、アルコキシカルボニル置換C1-6アルキル基、スルホン酸置換C1-6アルキル基、又はアルキルスルホネート置換C1-6アルキル基などを例示することができる。
R10が示すカルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物の残基を構成する化合物の種類は特に限定されないが、例えば生理活性化合物であることが好ましい。これらの化合物は、該カルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基から1個の水素原子を除去した残基としてR10を構成する。R11は水素原子又はベンゼン環上の任意の位置及び個数の置換基を示すが、置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基、アルキル基などを挙げることができ、好ましくは電子供与性の置換基が好ましい。R8及びR9のうちの一方がフッ素原子である化合物が好ましいが、両方が一般式(a)で表される基である場合も好ましい。R8及びR9がともに一般式(a)で表される基である場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(I)で表される本発明の化合物は酸付加塩又は塩基付加塩として存在することができる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、又はメタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩などを挙げることができ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩などの有機アミン塩などを挙げることができる。これらのほか、グリシンなどのアミノ酸との塩を形成する場合もある。本発明の化合物又はその塩は水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。
上記一般式(I)で表される本発明の化合物は、置換基の種類により、1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、1個又は2個以上の不斉炭素に基づく光学活性体や2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体などの立体異性体のほか、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明の化合物の代表的化合物の製造方法を本明細書の実施例に具体的に示した。従って、当業者は、これらの説明を基にして反応原料、反応条件、及び反応試薬などを適宜選択し、必要に応じてこれらの方法に修飾や改変を加えることによって、上記一般式(I)で表される本発明の化合物をいずれも製造することができる。BDP骨格については、例えば、特開平10-338695号公報及び特開平11-5796号公報のほか、New J. Chem., 25, pp.289-292, 2001; Tetrahedron Letters, 42, pp.6711-6713, 2001; Angew. Chem. Int. Ed., 40, pp.385-387, 2001;及び特願2002-80230号明細書(特開2003-277385号公報)などに合成方法が示されているので、これらの刊行物を参照することにより当業者は本発明の化合物をさらに容易に製造可能である。
本発明の化合物はメタノールやH2Oなどのプロトン溶媒分子の存在下で可視光照射することによりキノンメチド構造が開裂してカルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物を脱離する性質を有している。よって、本発明の化合物は、例えば500 nm程度の光毒性のない可視光により脱保護を行うことができることから、生理活性化合物のケージド化合物として極めて有用である。
また、上記一般式(II)で表される基は保護対象物質の窒素原子又は酸素原子などに結合して光分解性の保護基として作用することができる。例えば、保護対象物質のアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホスホノ基などの窒素原子又は酸素原子に結合することができ、除去するためには可視光線、例えば500 nm程度の光を照射すればよい。この置換基の生理活性化合物(光分解の保護対象化合物)への導入は、以下の実施例に具体的に記載されたケージドグルタミン酸の製造方法に準じて行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:BDP4位修飾基からの光誘起電子移動
例2の化合物6から化合物7を合成する工程に準じ、BDPの4位に種々の置換フェノール類を導入したBDP誘導体を合成し、その蛍光量子収率を測定したところ、電子密度の低い置換フェノール類(4-nitrophenol、4-cyanophenol)を導入したBDP誘導体は高い蛍光量収率を示したのに対し、電子密度の高い置換フェノール類(3-(dimethylamino)phenol、3,4-dimethoxyphenol、3-methoxyphenol)を導入したBDP誘導体はほとんど消光していることがわかった(表1)。この結果は、電子密度の高い4位修飾基からBDPへの光誘起電子移動(PeT)が起きていることを示唆しており、4位修飾基からのPeTによるBDP蛍光団の蛍光制御が可能であることが明らかになった。PeTは、励起した蛍光団が蛍光を発して基底状態に戻るよりも前に、近傍の電子供与体から電子を受け取ることで蛍光が消光する現象である。
Figure 2009099169
Figure 2009099169
合成したBDPの4位に種々の置換フェノール類を導入したBDP誘導体の光化学的性質を精査したところ、電子密度の高い4位修飾基を持つ4位修飾BDP誘導体において、BDPの吸収領域の光照射に伴ってメタノールやH2Oなどのproticな溶媒分子との置換反応が起り、4位から電子密度の高い置換フェノール類が脱離することが明らかになった。この光依存的な脱離反応は、電子密度の低い置換フェノール類を4位修飾基として持つBDP誘導体においては観測されず、4位修飾基からBDPへのPeTと光脱離反応との関連性が示唆された。
Figure 2009099169
例2:ケージドグルタミン酸の合成
例1で観察された4位を置換フェノールで修飾したBDP誘導体の光脱離反応は、BDPが光分解性保護基としての機能を有することを示しており、これまで前例のない500 nmもの長波長の光でケージ解除されるケージド化合物の開発が可能であることを示唆している。光分解性保護基としてのBDPの有用性を示すため、ケージ対象分子として、現在もそのケージド化合物が広く利用されているグルタミン酸を選択し、BDPケージドグルタミン酸の開発に着手した。BDPの4位とグルタミン酸の間には、水系溶媒中でフェノキサイドからカルボン酸を放出するキノンメチド構造を組み込み、BDPの4位からの光脱離と同時にグルタミン酸が放出されるよう分子設計を行なった。
Figure 2009099169
Figure 2009099169
(1) N-[(9H-fluoren-9-ylmethoxy)carbonyl]-L-glutamic acid 1-(9H-fluoren-9-ylmethyl) ester (3)の合成
300 mg(0.71 mmol)の1とN,N-diisopropylethylamine(DIEA) 100 mg(0.77 mmol)、N,N-dimethyl-4-aminopyridine 5 mgをDCM 7 mLに溶解させ、攪拌しながら氷浴で0 ℃に冷却した。この反応液に、9-fluorenylmethyl chloroformate 177 mg(0.68 mmol)を溶解させたdichloromethane(DCM) 2 mLを加え、0 ℃で150分間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、得られた個体をシリカゲルクロマトグラフィー(acetic acid/hexane)で精製して得られた2をDCM 4 mLに溶解させた。trifluoroacetic acid(TFA) 2 mLを加え、室温下30分間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。得られた個体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物195 mg(0.36 mmol; yield 50%)を得た。
(2) 4,4-difluoro-1,3,5,7-tetramethyl-8-phenyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene (6)の合成
benzaldehyde 427 mg(4.0 mmol)と2,4-dimethylpyrrole(4)787 mg(8.3 mmol)をDCM 500 mLに溶解させ、これにTFA1滴を加え、室温下19時間攪拌した。反応液に2,3-dichloro-5,6-dicyanobenzoquinone(DDQ) 1.20 g(5.3 mmol)を加え、10分間室温で攪拌した後に、溶液を水で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後に、これを無水のsodium sulfonate(Na2SO4)で乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた個体をアルミナカラムクロマトグラフィーで濾過し、固体を得た。得られた個体をtoluene 200 mLに溶解させ、DIEA 4 mLとtrifluoroborane etherate(BF3・OEt2) 5 mLを滴下し、室温中で10分間攪拌した。反応液を水、飽和食塩水で洗浄した後に、無水Na2SO4で乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた個体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物648 mg(2.0 mmol; yield 50%)を得た。
(3) 4-fluoro-4-(4'-formylphenoxy)-1,3,5,7-tetramethyl-8-phenyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene(7)の合成
200 mg(0.62 mmol)の6とaluminum chloride(AlCl3) 92 mg(0.69 mmol)を乾燥したDCM 10 mLに溶解させ、アルゴン雰囲気下5分間還流した。これに、4-hydroxybenzaldehyde 92 mg(0.75 mmol)をDCM 2 mLに溶解させた溶液をシリンジで加えて5分間還流し、空冷して液温を室温まで下げた。減圧下溶媒を留去して液量を減らし、アルミナカラムクロマトグラフィーで濾過した後、減圧下溶媒を留去して個体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物56 mg(0.13 mmol; yield 21%)を得た。
(4) 4-fluoro-4-(4'-hydroxymethylphenoxy)-1,3,5,7-tetramethyl-8-phenyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene(8)の合成
56 mg(0.13 mmol)の7をmethanol 40 mLに溶解させ、sodium borohydride(NaBH4) 9 mg(0.24 mmol)を溶解させたmethanol 1 mLを加え、室温下5分間攪拌した。反応液にacetone 1 mLを加え、減圧下溶媒を留去し、固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物53 mg(0.12 mmol; yield 95%)を得た。
(5) 4-fluoro-4-[4'-(γ -glutaminylmethyl)phenoxy]-1,3,5,7-tetramethyl-8-phenyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene (caged Glu) (ケージドグルタミン酸; 10)の合成
Triethylamine(TEA) 20 mg(0.19 mmol)、N,N-dimethyl-4-aminopyridine 2 mg、2-methyl-6-nitro-benzoic anhydride(MNBA) 32 mg(0.094 mmol)をDCM 1 mLに溶解させ、51 mg(0.093 mmol)の3を加え、室温下15分間攪拌した。41 mg (0.095 mmol)の8を溶解させたDCM 3 mLを加え、室温下20時間攪拌し、減圧下溶媒を留去した。得られた個体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、得られた9をdimethylformamide 1 mLに溶かし、piperidine 0.25 mLを加えて室温下30分間攪拌した。反応液を分取HPLCで2度精製し、目的化合物5 mg(0.0095 mmol; yield 10%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 1.33 (s, 6H); 1.72 - 1.97 (m, 2H); 2.32 - 2.36 (m, 2H); 2.40 (s, 6H); 3.13 (t, J = 6.6 Hz, 1H); 4.88 (s, 2H); 6.11 (s, 2H); 6.42 (d, J = 8.6 Hz, 2H); 7.09 (d, J = 8.4 Hz, 2H); 7.30 - 7.32 (m, 1H); 7.40 - 7.43 (m, 1H); 7.56 - 7.64 (m, 3H).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 14.1, 14.4, 26.4, 30.1, 53.2, 65.5, 117.3, 121.7, 126.9, 127.8, 127.8, 129.3, 129.5, 130.0, 131.1, 134.1, 142.0, 142.7, 155.2, 156.0, 156.1, 169.2, 172.4.
HRMS(ESI+): calcd for [M+Na]+, 580.2395; found, 580.2426 ( + 3.1 mmu)
得られたケージドグルタミン酸(10)に生理的pHのリン酸バッファー中で光照射(500nm)を行なったところ、ケージドグルタミン酸からの光照射依存的なグルタミン酸放出がグルタミン酸蛍光誘導体化法を用いた蛍光HPLC分析により確認され、500 nmの可視光で光活性化され生理的条件下で機能するケージドグルタミン酸の開発に成功したことが確かめられた(図1)。また、キノンメチド構造が機能することが確認されたことで、カルボン酸以外のアミンやリン酸のケージも可能であることが示唆された。光分解性保護基としてのBDPの光解除効率を求めたところ、BDPは現在汎用されているケージドグルタミン酸に匹敵する値を持ち、解除効率の面でも実用に耐えうる光分解性保護基であることも明らかになった。
従来のケージド化合物は照射紫外光の細胞傷害性が問題となっていたが、4位修飾BDPを利用した本発明のケージド化合物では実験系に与えるダメージを最小限に抑えることが可能である。また、BDPの4位の置換フェノールでフェノール基のアンケージは水中でも機能し、現在ケージ基として汎用されるo-nitrobenzyl基に匹敵するアンケージ効率を持つことも明らかになった。
本発明により光分解性保護基が提供され、この保護基を利用することによって、生物活性を一時的に抑制した機能性化合物を容易に製造することができる。本発明の光分解性保護基は解除光の光毒性の問題を克服していることから極めて有用である。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(I):
    Figure 2009099169
    〔式中、R1は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R2、R4、R5、及びR7はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R3及びR6はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、カルボキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、又はスルホ基を示し;R8及びR9はそれぞれ独立にフッ素原子又は下記の一般式(a):
    Figure 2009099169
    [式中、R10はカルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物の残基(ただし、該カルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基から1個の水素原子を除去した残基である)を示し、R11は水素原子又はベンゼン環上に存在する任意の位置及び個数の置換基を示す]で表される基を示し、ただしR8及びR9が同時にフッ素原子であることはない〕で表される化合物又はその塩。
  2. カルボキシ基、ホスホノ基、又はアミノ基を有する化合物が生理活性化合物である請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. R1がフェニル基であり、R2、R4、R5、及びR7がメチル基であり、R3及びR6が水素原子であり、R10がカルボキシ基を有する化合物の残基(ただし該カルボキシ基のヒドロキシ基から水素原子を除去した残基である)である請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  4. 下記の一般式(II):
    Figure 2009099169
    で表される光分解性保護基。
  5. アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はホスホノ基の保護基である請求項5に記載の光分解性保護基。
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