JP3987628B2 - 可視光硬化性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特異な構造を有する有機ホウ素化合物を光増感剤として含有する可視光領域の光線に対し高い感度を示す可視光硬化性樹脂組成物及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光重合反応を用いた情報、あるいは画像記録の分野で、従来のフィルム原稿等を用いた紫外線による記録方法に代わり、コンピューターによって電子編集された原稿を、そのまま、高出力レーザーを用いて直接出力し、記録する方法が検討されている。この方法は、レーザーによる直接書き込みにより、記録、画像形成工程が、大幅に簡略化できるという利点をもつ。
【0003】
現在、一般的に使用されている高出力で安定なレーザー光源は、可視領域にその出力波長を有するものが多い。具体的には、波長488nmおよび514.5nmに安定な発振線を持つアルゴンレーザー、あるいは第二高調波として532nmに輝線を持つYAGレーザー等が汎用されている。そのため、それらの波長に対して高感度な化合物が望まれているが、従来使用されてきた紫外線用の感光剤では、可視領域での感度が低いため使用できなかった。また、ピリリウム塩、またはチオピリリウム塩類等の添加で、可視部での感度の向上は可能ではあるが、その感光層の保存安定性が低く、使用するのが困難であった。
【0004】
可視領域に感光性を有する化合物として、例えば、7−ジエチルアミノ−3−ベンゾチアゾイルクマリン(慣用名:クマリン−6)、或いは、ビス〔3−(7−ジエチルアミノクマリル)〕ケトン(慣用名:ケトクマリン)が知られているが、これらは、最大吸収波長が450nm前後にあるために、アルゴンレーザーの488nmよりは短波長であり、感度が不十分である。また、特開平4−18088に記載の4−置換−3−ベンゾチアゾイルクマリン化合物は、アルゴンレーザーの488nmでは高感光性を示すものの、514.5nmあるいはYAGレーザーの第二高調波である532nmには吸収をほとんど持たず、感度向上の余地を残していた。
【0005】
また、欧州特許第0619520号、アメリカ特許第5498641号、特開平8−6245、特開平7−225474、特開平7−219223、特開平7−5685、特開平5−241338には、ビスピロメテン系ホウ素化合物が開示されているが、これを用いた場合、上記レーザー光に対する感度や、感光層の保存安定性に改良の余地が残されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高出力で安定なレーザー光源であるアルゴンレーザーの514.5nmの発振線、あるいは、YAGレーザーの第二高調波である532nm等の可視光領域の長波長のレーザー光に対して高感度で、保存安定性に優れた光増感剤を含有する可視光硬化性樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、光増感剤として下記一般式(1)で表される有機ホウ素化合物を含有する光硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、該可視光硬化性樹脂組成物と溶剤とを含有してなる可視光硬化材料インキに関する。更に本発明は、該組成物を基板上に有してなる可視光感光性材料に関するものである。なお、本発明で言う「可視光硬化材料用インキ」とは、後述するように、可視光感光性材料用の感光液、電着塗装用の塗料等を意味する。また、「可視光硬化材料」とは、可視光感光材料、電着塗装用感光材料、ドライフィルムレジスト等を意味するものである。
【0008】
【化2】
〔式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールアミノカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、モノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、モノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基、ジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基またはアルケニル基を表し、R1、R2、R3、R5、R6、R7の内、少なくとも1つ以上はアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基であり、R4は水素原子、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表し、R8,R9はハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシアルコキシ基、ハロゲノアルキル基、アルキルチオアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキルチオアルコキシ基、ジアルキルアミノアルコキシ基、ジアルキルアミノアルコキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシアルキルチオ基、アルキルチオアルキルチオ基、ジアルキルアミノアルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロアリールオキシ基またはヘテロアリールチオ基を表す。〕
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、ピロール環上の置換基として、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基の内、少なくとも1つ以上を含有することを特徴とするジピロメテン系ホウ素化合物であり、アルゴンレーザー光やYAGレーザー高調波光の波長に極めて大きな吸収を有しており、かつ、それらの光に非常に高感度であり、光硬化樹脂(例えば、エチレン型不飽和結合を分子中に少なくとも1個以上有する光重合または光架橋可能な化合物など)ならびに光重合開始剤を用いる光硬化に適用可能な、極めて有用な化合物である。
【0010】
従来の光増感剤は、塗布方式の違いによって感度が大きく変動していたが、本発明の光増感剤は、いずれの方式においても安定した感度を示すものである。さらに、従来の可視光硬化性樹脂組成物は、保存安定性に問題があったが、本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、長期間の保存に耐えうる、経時保存安定性に優れたものである。
【0011】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表される化合物において、R1、R2、R3、R5、R6、R7の具体例としては、水素原子;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシ基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;
クロロメチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基等のハロゲノアルキル基;
メトキシエチル基、エトキシエチル基、イソプロピルオキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2ーメトキシブチル基等のアルコキシアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;
メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−(イソプロピルオキシ)プロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;
【0012】
フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基等のアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;
ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ベンジルカルボニル基等のアシル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基,シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;
アミノカルボニル基;メチルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、4−メチルシクロヘキシルアミノカルボニル基等のアルキルアミノカルボニル基;
【0013】
ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−オクチルアミノカルボニル基、N−イソアミル−N−メチルアミノカルボニル基等のジアルキルアミノカルボニル基;
アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基;
フェニルアミノカルボニル基、4−メチルフェニルアミノカルボニル基、2−メトキシフェニルアミノカルボニル基、4−n−プロピルフェニルアミノカルボニル基等のアリールアミノカルボニル基;
フェニルカルボニルアミノ基、4−エチルフェニルカルボニルアミノ基、3−イソプロピルフェニルカルボニルアミノ基、2−メトキシフェニルカルボニルアミノ基等のアリールカルボニルアミノ基;
フェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、3−メチルフェノキシカルボニル基、2−メチルフェノキシカルボニル基、2,4−ジメチルフェノキシカルボニル基、2,6−ジメチルフェノキシカルボニル基、2,4、6−トリメチルフェノキシカルボニル基、4−フェニルフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;
【0014】
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;
フェニル基、3−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基、ナフチル基などのアリール基;
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、チアジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インド−3−イル基等のヘテロアリール基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基等のアルキルチオ基;
フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;
アリルオキシカルボニル基、2−ブテノキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基;
ベンジルオキシカルボニル基、4−メチルベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;
【0015】
メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、エトキシカルボニルメトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルメトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルメトキシカルボニル基、エチルカルボニルメトキシカルボニル基等のアルキルカルボニルアルコキシカルボニル基;
ヒドロキシエチルアミノカルボニル基、2−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基、3−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;
ジ(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル基、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル基、ジ(3−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;
メトキシメチルアミノカルボニル基、メトキシエチルアミノカルボニル基、エトキシメチルアミノカルボニル基、エトキシエチルアミノカルボニル基、プロポキシエチルアミノカルボニル基等のモノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;ジ(メトキシメチル)アミノカルボニル基、ジ(メトキシエチル)アミノカルボニル基、ジ(エトキシメチル)アミノカルボニル基、ジ(エトキシエチル)アミノカルボニル基、ジ(プロポキシエチル)アミノカルボニル基等のジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;
ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、1,2,2−トリシアノビニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
R1、R2、R3、R5、R6、R7の内、少なくとも1つ以上は、上記のアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基を表す。
【0016】
R4の具体例としては、水素原子;シアノ基;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;
フェニル基、3−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基、ナフチル基などのアリール基;
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、チアジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インド−3−イル基等のヘテロアリール基;
ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2,2−ジシアノビニル基、1,2,2−トリシアノビニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
【0017】
R8,R9の具体例としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;
フェニル基、3−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基、ナフチル基などのアリール基;
ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、チアジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インド−3−イル基等のヘテロアリール基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;
【0018】
メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−(イソプロピルオキシ)プロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;
メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、3-( メトキシエトキシ) プロポキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基;
クロロメチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基等のハロゲノアルキル基;
2-メチルチオエチル基、2-エチルチオエチル基、2-n-プロピルチオエチル基、2-iso-プロピルチオエチル基、2-n-ブチルチオエチル基、2-iso-ブチルチオエチル基等のアルキルチオアルキル基;
2-ジメチルアミノエチル基、2-(2- ジメチルアミノエトキシ) エチル基、4-ジメチルアミノブチル基、1-ジメチルアミノプロパン-2- イル基、3-ジメチルアミノプロピル基、2-ジ-iso- プロピルアミノエチル基、2-ジ-n- ブチルアミノエチル基等のジアルキルアミノアルキル基;
2-メチルチオエトキシ基、2-エチルチオエトキシ基、2-n-プロピルチオエトキシ基、2-iso-プロピルチオエトキシ基、2-n-ブチルチオエトキシ基、2-iso-ブチルチオエトキシ基等のアルキルチオアルコキシ基;
2-ジメチルアミノエトキシ基、2-(2- ジメチルアミノエトキシ) エトキシ基、4-ジメチルアミノブトキシ基、1-ジメチルアミノプロパン-2- イルオキシ基、3-ジメチルアミノプロポキシ基、2-ジメチルアミノ-2- メチルプロポキシ基、2-ジエチルアミノエトキシ基、2-(2- ジエチルアミノエトキシ) エトキシ基、3-ジエチルアミノプロポキシ基、1-ジエチルアミノプロポキシ基、2-ジ-iso- プロピルアミノエトキシ基、2-ジ-n- ブチルアミノアミノエトキシ基等のジアルキルアミノアルコキシ基;
【0019】
ジメチルアミノエトキシエトキシ基、ジメチルアミノエトキシプロポキシ基、ジエチルアミノエトキシプロポキシ基等のジアルキルアミノアルコキシアルコキシ基;
フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-t-ブチルフェノキシ基、2-メトキシフェノキシ基、4-iso-プロピルフェノキシ基等のアリールオキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基、1,1-ジメチルプロピルチオ基等のアルキルチオ基;
メトキシメチルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基等のアルコキシアルキルチオ基;
メチルチオメチルチオ基、メチルチオエチルチオ基、エチルチオエチルチオ基等のアルキルチオアルキルチオ基;
2-ジメチルアミノエチルチオ基、4-ジメチルアミノブチルチオ基等のジアルキルアミノアルキルチオ基;
フェニルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、4-t-ブチルフェニルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、4-t-ブチルフェニルチオ基等のアリールチオ基;
ピロリルオキシ基、チエニルオキシ基、フラニルオキシ基、オキサゾイルオキシ基等のヘテロアリールオキシ基;
ピロリルチオ基、チエニルチオ基、フラニルチオ基、オキサゾイルチオ基等のヘテロアリールチオ基等を挙げることができる。
【0020】
表−1に、一般式(1)で表される有機ホウ素化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
本発明の一般式(1)で表される有機ホウ素化合物は以下の方法で製造することができる。即ち、公知の方法(例えば、Aust. J. Chem., 1965, 11, 1835-45 、Liebigs Ann. Chem., 1973, 146-60)に従い合成した下記一般式(2)で表される化合物を、三フッ化ホウ素と反応することにより、下記一般式(3)で表される化合物を得た後、最後にフッ素原子を置換して一般式(1)で示される有機ホウ素化合物を得ることができる。
【0025】
【化3】
【化4】
(上式中、R1〜R7は前記に同じであり、Xはハロゲン原子を表す。)
【0026】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、400〜700nmの可視光領域の光、特に、400〜600nmの光を吸収することにより励起され、光硬化性樹脂や、光反応開始剤(例えば、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等)と相互作用を有する化合物である。ここで言う「相互作用」には、励起された本発明の化合物から光硬化性樹脂または光反応開始剤へのエネルギー移動や電子移動が包含される。このことから、本発明の化合物は、光増感剤として極めて有用な化合物である。
【0027】
本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、光増感剤として一般式(1)で表される有機ホウ素化合物を、少なくとも1種含有するものであり、さらに、その他の公知の光増感剤を含有していてもよい。
【0028】
その他の公知の光増感剤としては、一般に使用されている光増感剤であれば特に限定はされないが、ケトクマリン、クマリン−6および特開平4−18088号に記載されたクマリン化合物等が挙げられる。
【0029】
この場合、光増感剤中の一般式(1)で表される有機ホウ素化合物の含有量としては、特に制限はないが、本発明で所望の効果を得るためには、光増感剤中の一般式(1)で表される有機ホウ素化合物の含有量は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上であり、50重量%以上含有する光増感剤は特に好ましい。
【0030】
本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、一般式(1)で表される有機ホウ素化合物を含有する光増感剤と、光硬化性樹脂、光反応開始剤等を混合して得られる。本発明の可視光硬化性樹脂組成物において、本発明の光増感剤の使用量は、光増感剤中に含有される一般式(1)で表される有機ホウ素化合物の種類や量、相互作用すべき光硬化性樹脂成分の種類により異なるが、通常、光硬化性樹脂成分100重量部当たり、本発明の有機ホウ素化合物の使用量が0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の範囲内が適当である。本化合物の使用量が0.1重量部より少なすぎると、形成される被膜の感光性が低下する傾向があり、10重量部より多くなると、溶解性の点から、組成物を均一な状態に保つことが困難になる傾向がみられる。
【0031】
本発明で用いる光硬化性樹脂としては、一般に使用されている光照射により架橋もしくは重合しうる感光性基を有する光硬化性樹脂であれば特に限定されるものではなく、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物で、モノマー、プレポリマー、2量体、3量体等のオリゴマー、それらの混合物ならびにそれらの共重合体などである。単官能および多官能(メタ)アクリレートが一般的であり、例えば、特開平3−223759号公報の第2頁右下欄第6行〜第6頁左下欄第16行目に記載の感光性基として(メタ)アクリロイル基を含むアニオン性光硬化性樹脂、感光性基としてシンナモイル基を含む光硬化性樹脂、感光性基としてアリル基を含む光硬化性樹脂等が挙げられる。該樹脂は下記光ラジカル重合開始剤と組合せて使用することが好ましい。これらの光硬化性樹脂は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0032】
上記公報において、光硬化性樹脂成分(a2)のエチレン性不飽和化合物に記載の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化物の具体例として、分子量300〜1000のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等も使用することができる。
【0033】
また、上記した光硬化性樹脂以外に、光酸発生剤から発生する酸を触媒として、重合反応、エーテル化反応、ピナコール転移、シラノール脱水反応、分子内脱水縮合反応、加水分解縮合反応等の反応により硬化(不溶化)する化合物を使用することができる。該化合物としては、例えば、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物類、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、エポキシシクロヘキセンカルボン酸エチレングリコールジエステル、1,3−ビス〔2−{3(7−オキサビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル)}エチル〕テトラメチルジシロキサン( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 28, 479, 1990 参照)等の脂環型エポキシ化合物類、ブチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)メチルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)ブチルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)オクチルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)フェニルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)エーテルアセテート、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)エーテルアクリレート、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)−N−ブチルカーボネート等のビニルエーテル化合物類( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 34, 2051, 1996参照)、ドデシルアレン(DA)、ジエチレングリコールジアレン(DEGA)、トリエチレングリコールジアレン(TEGA)、1−テトラヒドロフルフリルアレンエーテル(THFA)、N−ヘキシロキシ−1,2−プロパジエン(HA)、1,4−ジ−N−ブトキシ−1,2−ブタジエン(DBB)、1,4−ジエトキシ−1,2−ブタジエン、N−ヘキシルプロパジルエーテル(HPE)等のアルコキシアレン化合物類( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 33, 2493, 1995参照)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、フェノキシメチルオキセタン、メトキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン等のオキセタン化合物類( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 33, 1807, 1995参照)、2−プロピリデン−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−プロピリデン−4−メチル−1,3−ジオキソラン、3,9−ジブチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等のケテンアセタール化合物類( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 34, 3091, 1996参照)、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のビシクロオルソエステル化合物類( J. Polym. Sci. : Polym. Lett. Ed. 23, 359, 1985参照)、プロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクトン、クマリン等のラクトン化合物類、メトキシ−α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、ビニルカルバゾール等の複素環ビニル化合物類、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメラミン等のメラミン化合物類、p−ビニルフェノールとp−ビニルベンジルアセテートとの共重合体、トリメチロールベンゼン、トリ(アセトキシカルボニルメチル)ベンゼン等のその他の芳香族化合物類等をあげることができる。これらの化合物は酸のプロトンにより硬化するものであれば、ポリマー構造を有していても構わない。
【0034】
また、光塩基発生剤から発生する塩基を触媒として重合反応、縮合反応により硬化(不溶化)する化合物、例えば、エポキシ基やシラノール基等の官能基を含有する化合物を使用することができる。
【0035】
更に、光酸又は塩基発生剤から発生する触媒により硬化する上記した化合物以外に、必要に応じて、従来から公知のアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ゴム、ウレタン樹脂等を配合することができる。
【0036】
本発明で用いられる光反応開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤を使用することができる。光ラジカル重合開始剤としては、一般に使用されている光ラジカル重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、キサントン、チオキサントン、アントラキノン等の芳香族カルボニル化合物;アセトフェノン、プロピオフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α,α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物;ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロライド等のジフェニルハロニウム塩;四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ヨードホルム等の有機ハロゲン化物;3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンベンズアントロン等の複素環式および多環式化合物;2,2'−アゾ(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;鉄−アレン錯体(Iron-Arene Complex: ヨーロッパ特許152377号公報参照);チタノセン化合物(特開昭63−221110号公報参照);ビスイミダゾール系化合物;N−アリールグリシン系化合物;アクリジン系化合物;芳香族ケトン/芳香族アミンの組み合わせ;ペルオキシケタール(特開平6−321895号公報参照)等が挙げられる。
【0037】
上記の光ラジカル重合開始剤の中でも、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、鉄−アレン錯体およびチタノセン化合物は架橋もしくは重合に対して活性が高いので好ましい化合物である。
【0038】
また、光酸発生剤は、露光により酸を発生する化合物であり、この発生した酸を触媒として、上記した化合物を硬化させるもので、一般に使用されている光酸発生剤であれば、特に限定されないが、例えば、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩等のオニウム塩類、鉄−アレン錯体類、シラノール−金属キレート錯体類、トリアジン化合物類、ジアジドナフトキノン化合物類、スルホン酸エステル類、スルホン酸イミドエステル類等を使用することができる。また、上記した以外に、特開平7−146552号公報、特願平9−289218号に記載の光酸発生剤も使用することができる。
【0039】
また、光塩基発生剤は、露光により塩基を発生する化合物であり、この発生した塩基を触媒として、上記した化合物を硬化させるものであり、一般に使用されている光塩基発生剤であれば、特に限定されないが、例えば、〔(o−ニトロベンジル)オキシ〕カルボニルシクロヘキシルアミン等のニトロベンジルカルバメート化合物類( J. Am. Chem. Soc., Vol.113, No.11, 4305, 1991参照) 、N−〔〔1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチル−エトキシ〕カルボニル〕シクロヘキシルアミン、N−〔〔1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチル−エトキシ〕カルボニル〕ピリジン等の光官能性ウレタン化合物類( J. Org. Chem., Vol.55, No.23, 5919, 1990 参照) 等を使用することができる。
【0040】
これら光反応開始剤の使用量は、臨界的なものではなく、その種類等に応じて広い範囲で変えることができるが、一般には、前述した光硬化性樹脂固形分100重量部当たり、0.1〜25重量部、好ましくは、0.2〜10重量部の範囲内とすることができる。25重量部を越えて多量に用いると、得られる組成物の安定性が低下する傾向がみられる。
【0041】
本発明の可視光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、密着促進剤類、ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等の重合禁止剤類、ゴム、ビニル重合体、不飽和基含有ビニル重合体等の有機樹脂微粒子、着色顔料、体質顔料等の各種顔料類、酸化コバルト等の金属酸化物類、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、トリクレジルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の可塑剤等を含有することができる。
【0042】
上記した密着促進剤類は、基板に対する被膜の密着性を向上させるために配合するものであって、例えば、テトラゾール、1−フェニルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−アミノ−1−メチルテトラゾール、5−アミノ−2−フェニルテトラゾール、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、5−メチルチオテトラゾール、5−クロロ−1−フェニル−1H−テトラゾール等のテトラゾール類を挙げることができる。
【0043】
次に、本発明の可視光硬化性樹脂組成物の用途について説明する。
本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、一般に用いられている公知の感光性材料と同様に取り扱うことができる。すなわち、本発明の可視光硬化性樹脂組成物を溶剤又は水に分散もしくは溶解(着色剤に顔料を用いた場合は顔料を微分散させる)させて、感光液を調製し、これを支持体上に、例えば、ローラー、ロールコーター、スピンコーター等の塗布装置を用いて塗布し、乾燥する方法により、これを可視光感光材料として用いることができる。
【0044】
また、可視光で露光し硬化させる前の被膜表面に予めカバーコート層を設けておくことができる。このカバーコート層は、空気中の酸素を遮断して露光によって発生したラジカルが酸素によって失活するのを防止し、露光による被膜の硬化を円滑に進めるために形成されるものである。
【0045】
このカバーコート層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂フィルム(膜厚約1〜70μm)を塗装被膜表面に被せることにより、また、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、ポリビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、プルラン等の水溶性多糖類ポリマー類、塩基性基、酸性基、又は塩基を含有するアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂等の水性樹脂類を水に溶解もしくは分散した水性液を塗装被膜表面に塗装(乾燥膜厚約0.5〜5μm)、乾燥することによりカバーコート層を形成することができる。このカバーコート層は、塗装被膜を露光した後、現像処理される前に取り除くことが好ましい。この水溶性多糖類ポリマーや水性樹脂のカバーコート層は、例えば、これらの樹脂を溶解もしくは分散する水、酸性水溶液、塩基性水溶液等の溶媒により取り除くことができる。
【0046】
使用する溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等)、アルコール(エチルアルコール、ベンジルアルコール等)、その他(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)などが挙げられる。
【0047】
また、支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄等の金属またはそれらを成分とした合金のシート又はこれらの金属で表面を処理したプリント基板、プラスチック、ガラス又はシリコンウェハー、カーボンなどが挙げられる。
【0048】
また、本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、通常の電着塗装用感光性材料と同様に取り扱うことができ、電着塗装用の塗料として用いることもできる。その場合、最初に可視光硬化性樹脂組成物を水分散化物とするか、又は水溶液化物とする。
【0049】
可視光硬化性樹脂組成物の水分散化又は水溶化は、▲1▼可視光硬化性樹脂組成物中にカルボキシル基等のアニオン性基が導入されている場合にはアルカリ(中和剤)で中和するか、又は▲2▼アミノ基等のカチオン性基が導入されている場合には、酸(中和剤)で中和することによって行われる。その際に使用されるアルカリ中和剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジイソブチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノエタノール等のアルキルアルカノールアミン類;シクロヘキシルアミン等の脂環族アミン類;カセイソーダ、カセイカリ等のアルカリ金属水酸化物;アンモニアなどが挙げられる。また、酸中和剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、酪酸等のモノカルボン酸が挙げられる。これらの中和剤は単独でまたは混合して使用できる。中和剤の使用量は可視光硬化性樹脂組成物中に含まれるイオン性基1当量当り、一般に、0.2〜1.0当量、特に0.3〜0.8当量の範囲が望ましい。
【0050】
水溶化または水分散化した樹脂成分の流動性をさらに向上させるために、必要により、上記可視光硬化性樹脂組成物に親水性溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を加えることができる。かかる親水性溶剤の使用量は、一般には、樹脂固形成分100重量部当り、300重量部まで、好ましくは100重量部までとすることができる。
【0051】
また、被塗装物への塗着量を多くするため、上記可視光硬化性樹脂組成物に対し、疎水性溶剤、例えば、トルエン、キシレン等の石油系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類等も加えることができる。これらの疎水性溶剤の配合量は、樹脂固形成分100重量部当り、通常、200重量部まで、好ましくは、100重量部以下とすることができる。
【0052】
電着塗料として可視光硬化性樹脂組成物の調製は、従来から公知の方法で行うことができる。例えば、前記の中和により水溶化された光硬化性樹脂、本発明の光増感剤、光反応開始剤、さらに必要に応じ、含窒素化合物、溶剤及びその他の成分をよく混合し、水を加えることにより調製することができる。
【0053】
このようにして調製された組成物は、通常の方法で、更に水で希釈し、例えば、pHが4〜9の範囲内、浴濃度(固形分濃度)3〜25重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲内の電着塗料(または電着浴)とすることができる。
【0054】
上記のようにして調製された電着塗料は、次のようにして被塗物である導体表面に塗装することができる。すなわち、まず、浴のpH及び浴濃度を上記の範囲に調整し、浴温度を15〜40℃、好ましくは15〜30℃に管理する。次いで、このように管理された電着塗装浴に、塗装されるべき導体を電着塗料がアニオン型の場合には陽極として、また、カチオン型の場合には陰極として、浸漬、5〜200Vの直流電流を通電する。通電時間は30秒〜5分が適当である。
【0055】
また、該電着塗装方法において、被塗物にガラス転移温度の低い電着塗料を塗装し、次いで水洗又は水洗乾燥後、更にガラス転移温度20℃以上の電着塗料を塗装する方法(特開平2−20873号公報参照)、即ちダブルコート電着塗装を行うこともできる。
【0056】
得られる膜厚は乾燥膜厚で、一般に0.5〜50μm、好適には、1〜15μmである。電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上げ、水洗いした後、電着塗膜中に含まれる水分などを熱風等で乾燥、除去する。導体としては、金属、カーボン、酸化錫等の導電性材料またはこれらを積層、メッキ等によりプラスチック、ガラス表面に固着させたものが使用できる。
【0057】
また、可視光で露光し硬化させる前の電着塗装被膜表面に予めカバーコート層を設けておくことができる。このカバーコート層としては、上記したものを挙げることができる。このカバーコート層は、電着塗装被膜が現像処理される前に取り除くことが好ましい。水溶性多糖類ポリマーや水性樹脂を使用したカバーコート層は、例えば、これらの樹脂を溶解もしくは分散する水、酸性水溶液、塩基性水溶液等の溶媒により取り除くことができる。
【0058】
上記のようにして導体表面に形成される可視光硬化材料、及び、電着塗装によって得られる可視光感光性電着塗膜は、画像に応じて、可視光で露光し、硬化させ、非露光部を現像処理によって除去することにより、画像を形成することができる。
【0059】
露光のための光源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源のうち、紫外線を紫外カットフィルターによりカットした可視領域の光線や、可視領域に発振線をもつ各種レーザー等が使用できる。高出力で安定なレーザー光源として、アルゴンレーザー、あるいはYAGレーザーの第二高調波が好ましい。
【0060】
現像処理は、非露光部膜がアニオン性の場合にはアルカリ水溶液を用いて、また、カチオン性の場合にはpH5以下の酸水溶液を用いて洗い流すことにより行われる。アルカリ水溶液は通常、カセイソーダ、炭酸ソーダ、カセイカリ、アンモニア水など塗膜中に有する遊離のカルボン酸と中和して水溶性を与えることのできるものが、また、酸水溶液は酢酸、ギ酸、乳酸などが使用可能である。
【0061】
また、イオン性基をもたない光硬化性樹脂の場合の現像処理は、1,1,1−トリクロロエタン、トリクレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の溶剤を使って未露光部を溶解することによって行う。現像した後の塗膜は、水洗後、熱風等により乾燥され、導体上に目的とする画像が形成される。また、必要に応じて、エッチングを施し、露出した導体部を除去した後、レジスト膜を除去し、プリント回路板の製造を行うこともできる。
【0062】
本発明の組成物は、フォトレジストをはじめ、平板や凸版用製版材、オフセット印刷用PS板、情報記録材料、レリーフ像作製材料等幅広い用途への応用が可能である。
【0063】
本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、上記した以外に、例えば、ベースフィルム層となるポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル樹脂等の透明樹脂フィルム上に、本発明の組成物をロールコータ、ブレードコータ、カーテンフローコータ等を使用して塗布し、乾燥してレジスト被膜(乾燥膜厚約0.5〜5μm)を形成した後、該被膜表面に保護フィルムを貼り付けたドライフィルムレジストとして使用することができる。このようなドライフィルムレジストは、保護フィルムを剥離した後、レジスト被膜が面接するように、支持体に熱圧着させる等の方法で接着してレジスト被膜を形成することができる。得られたレジスト被膜はベースフィルム層を剥離するかもしくは剥離しないで、上記した電着塗装と同様の方法で、画像に応じて、可視光で露光し、硬化させ、ベースフィルム層がある場合にはこのものを剥離し、ない場合にはこの上から現像処理することにより、画像を形成することができる。また、ドライフィルムレジストにおいて、必要に応じて、ベースフィルム層とレジスト被膜との間に、上記と同様のカバーコート層を設けることができる。該カバーコート層は、レジスト被膜上に塗装して形成してもよいし、レジスト被膜上に貼り付けて形成してもよい。カバーコート層は現像処理前に除去しても、又は除去しなくてもどちらでも構わない。
【0064】
【実施例】
以下に、本発明を具体例によって説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。
【0065】
実施例1
光増感剤として表−1の化合物(1−1)5部を使用し、光硬化性樹脂(高分子バインダー)としてメチルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシフェニルメタクリレート/ベンジルメタクリレート=50/20/10/20の混合物の重合体100部、トリメチロールプロパントリアクリレート55部、重合開始剤として下記式(a)のチタノセン化合物20部、ならびに、溶媒としてメチルセルソルブ160部を用いて感光液を調製した。この感光液を、乾燥膜厚3.5g/m2となるように、積層銅板上に、スピナーを用いて塗布した。
次いで、アルゴンレーザーを上記感光層に光照射したところ、強度1.0mJ/cm2で速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンランプおよびYAGレーザーの第二高調波(532nm)の照射によっても同等の結果を得た。また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置した後に、同様の評価を行ったところ、前記の感光感度に変化は認められなかった。
【0066】
【化5】
【0067】
実施例2
光増感剤として表−1の化合物(1−2)5部を使用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これを用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴンレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンランプおよびYAGレーザーの第二高調波(532nm)の照射によっても同等の結果を得た。
また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置した後に、同様の評価を行ったところ、前記の感光感度に変化は認められなかった。
【0068】
実施例3
光増感剤として表−1の化合物(1−3)5部を使用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これを用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴンレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンランプおよびYAGレーザーの第二高調波(532nm)の照射によっても同等の結果を得た。
また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置した後に、同様の評価を行ったところ、前記の感光感度に変化は認められなかった。
【0069】
実施例4〜40
実施例1と同様にして、表−1の有機ホウ素化合物(1−4)〜(1−40)を用いて作製した感光層を評価した結果、実施例1と同様、いずれも極めて高い感光感度を示した。
また、各感光層を室温で6ヵ月間放置した後に、同様の評価を行ったところ、いずれも感光感度に変化は認められなかった。
【0070】
実施例41
3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン20部を重合開始剤として使用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これを用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴンレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンランプおよびYAGレーザーの第二高調波(532nm)の照射によっても同等の結果を得た。
また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置した後に、同様の評価を行ったところ、前記の感光感度に変化は認められなかった。
【0071】
実施例42
ジ-t-ブチルジパーオキシイソフタレート20部を重合開始剤として使用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これを用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴンレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンランプおよびYAGレーザーの第二高調波(532nm)の照射によっても同等の結果を得た。
また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置した後に、同様の評価を行ったところ、前記の感光感度に変化は認められなかった。
【0072】
比較例1
光増感剤として下記式(b)の化合物5部を使用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これを用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴンレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、実施例1と同様の強度では樹脂は硬化せず、強度4.5mJ/cm2で、樹脂の硬化が確認された。
また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置したところ、結晶の析出により、感光層の均一性が損なわれ、感光感度が著しく悪化した。
【0073】
【化6】
【0074】
比較例2
光増感剤として下記式(c)の化合物5部を使用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これを用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴンレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、実施例1と同様の強度では樹脂は硬化せず、強度5.0mJ/cm2で、樹脂の硬化が確認された。
また、上記感光層を室温で6ヵ月間放置したところ、結晶の析出により、感光層の均一性が損なわれ、感光感度が著しく悪化した。
【0075】
【化7】
【0076】
【発明の効果】
光増感剤として有機ホウ素化合物を含有する本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、実用上極めて有用性の高い組成物である。従来、光重合反応を用いた情報記録の分野で、コンピューターによって電子編集された原稿を、そのまま直接レーザーを用いて出力し記録する方式では、感光層の経時安定性が低く、また、感度が低く、溶解性、保存安定性等の問題があった。
【0077】
しかし、本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、基本樹脂と光増感剤の相溶性が極めてよく、かつ、汎用の塗布溶液に溶解し、支持体上で均一、かつ、経時保存安定性に優れた塗面を得ることができる。
【0078】
また、本発明における有機ホウ素化合物は、488nmおよび514.5nmに安定な発振線を持つアルゴンレーザーや第二高調波として532nmに輝線を持つYAGレーザー等の汎用可視レーザーに対して、非常に高い感度を有するため、本発明の可視光硬化性樹脂組成物を用いて得られた感光材料は、このようなレーザーにより高速走査露光が可能である。また、高速走査露光により画像を形成した場合、極めて微細な高解像度の画像が得られる。
Claims (3)
- 光増感剤として一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする可視光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1記載の可視光硬化性樹脂組成物と溶剤とを含有してなる可視光硬化材料用インキ。
- 請求項1記載の可視光硬化性樹脂組成物を基材上に有してなる可視光硬化材料。
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