JPH10273504A - 可視光硬化性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

可視光硬化性樹脂組成物およびその用途

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JPH10273504A
JPH10273504A JP1725098A JP1725098A JPH10273504A JP H10273504 A JPH10273504 A JP H10273504A JP 1725098 A JP1725098 A JP 1725098A JP 1725098 A JP1725098 A JP 1725098A JP H10273504 A JPH10273504 A JP H10273504A
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JP1725098A
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English (en)
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Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
Tsutayoshi Misawa
伝美 三沢
Kenichi Sugimoto
賢一 杉本
Taizo Nishimoto
泰三 西本
Takashi Tsukahara
宇 塚原
Takeshi Tsuda
武 津田
Genji Imai
玄児 今井
Hideo Kogure
英雄 木暮
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Kansai Paint Co Ltd
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光領域、特に、アルゴンレーザーおよび
YAGレーザーの第二高調波に十分な感度を有し、か
つ、保存安定性に優れた可視光感光性樹脂組成物であ
り、可視光レーザー用の優れた感光層を形成する。 【解決手段】 光硬化性樹脂、光増感剤および光反応開
始剤を含有してなる可視光硬化性樹脂組成物において、
下記式で表されるピロール化合物を光増感剤として含有
する可視光硬化性樹脂組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特異な構造を有す
るピロール化合物を光増感剤として含有する可視光領域
の光線に対し高い感度を示す可視光硬化性樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光重合反応を用いた情報、あるい
は画像記録の分野で、従来のフィルム原稿等を用いた紫
外線による記録方法に代わり、コンピューターによって
電子編集された原稿を、そのまま高出力レーザーを用い
て直接出力し、記録する方法が検討されている。この方
法は、レーザーによる直接書き込みにより、記録、画像
形成工程が、大幅に簡略化できるという利点をもつ。
【0003】現在、一般的に使用されている高出力で安
定なレーザー光源は、可視領域にその出力波長を有する
ものが多い。具体的には、波長488nmおよび51
4.5nmに安定な発振線を持つアルゴンレーザー、あ
るいは第二高調波として532nmに輝線を持つYAG
レーザー等が汎用されている。そのため、それらの波長
に対して高感度な化合物が望まれているが、従来使用さ
れてきた紫外線用の感光剤では、可視領域での感度が低
いため使用できなかった。また、ピリリウム塩やチオピ
リリウム塩類等を添加することにより、可視部での感度
の向上は可能ではあるが、その感光層の保存安定性が低
く、使用するのが困難であった。
【0004】可視領域に感光性を有する化合物として、
例えば、7−ジエチルアミノ−3−ベンゾチアゾイルク
マリン(慣用名:クマリン−6)、或いは、ビス〔3−
(7−ジエチルアミノクマリル)〕ケトン(慣用名:ケ
トクマリン)が知られているが、これらは、最大吸収波
長が450nm前後にあるために、アルゴンレーザーの
488nmよりは短波長であり、感度が不十分である。ま
た、特開平4−18088に記載の4−置換−3−ベン
ゾチアゾイルクマリン化合物は、アルゴンレーザーの4
88nmには高感光性を示すものの、514.5nmある
いはYAGレーザーの第二高調波である532nmには
吸収をほとんど持たず、感度向上の余地を残していた。
【0005】また、特開平7−5685号公報には、置
換もしくは非置換の複素環残基含有増感剤を含む光硬化
性組成物が記載されているが、このものについて、具体
的な例示もなく、その効果も記載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高出力で安
定なレーザー光源であるアルゴンレーザーの514.5
nmの発振線、あるいは、YAGレーザーの第2高調波
である532nm等の可視光領域の長波長のレーザー光
に対して高感度な光増感剤を含有する可視光硬化性樹脂
組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明は、光硬化性樹脂、光増感剤
および光反応開始剤を含有してなる光硬化性樹脂組成物
において、光増感剤として下記一般式(1)で表される
ピロール化合物を含有する可視光硬化性樹脂組成物に関
するものである。
【0008】
【化2】
【0009】〔式中、R1 は水素原子、炭素数20まで
のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアル
キル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリール
基、アラルキル基またはアルケニル基を示し、R2 〜R
10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ
基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミノカルボ
ニル基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20ま
でのアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアル
キル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル
アミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、
アルキルカルボニルアミノ基、アリール基、アラルキル
基、アリールカルボニルアミノ基、アリールアミノカル
ボニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニ
ル基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキ
シカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカル
ボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル
基、モノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、
ジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基、モノ
(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基、ジ(アル
コキシアルキル)アミノカルボニル基またはアルケニル
基を表す〕
【0010】また本発明は、上記の可視光硬化性樹脂組
成物と溶剤とを含有してなる可視光硬化材料用インキ、
並びに上記の可視光硬化性樹脂組成物を基材上に含有し
てなる可視光硬化材料に関する。なお、本発明で言う
「可視光硬化材料用インキ」とは、後述するように、可
視光感光材料用の感光液、電着塗装用の塗料等を意味す
る。また、「可視光硬化材料」とは、可視光感光材料、
電着塗装用感光材料、ドライフィルムレジスト等を意味
するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の可視光硬化性樹脂組成物
は、光増感剤として前記一般式(1)で表されるピロー
ル化合物を含有するものである。
【0012】一般式(1)で表されるピロール化合物
は、光増感剤として極めて有用な化合物であり、アルゴ
ンレーザー光やYAGレーザーの第2高調波光の波長に
極めて大きな吸収を有し、かつ、それらの光に対し非常
に高感度であり、光硬化性樹脂(例えば、エチレン型不
飽和結合を分子中に少なくとも1個以上有する光重合ま
たは光架橋可能な化合物など)、ならびに光反応開始剤
を用いる光硬化に際して適用可能な、極めて有用な化合
物である。
【0013】また、従来の光増感剤は塗布方式の違いに
よって感度が大きく変動していたが、本発明で光増感剤
として用いる一般式(1)で表されるピロール化合物
は、いずれの方式においても安定した感度を示すもので
ある。
【0014】以下、本発明について、さらに詳細に説明
する。本発明の一般式(1)で表される化合物におい
て、R1 は水素原子、炭素数20までのアルキル基、ヒ
ドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキ
シカルボニルアルキル基、アリール基、アラルキル基ま
たはアルケニル基を示す。R1 の具体例としては、水素
原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、n−ヘキシル
基等のアルキル基;ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキ
シエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキ
シプロピル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ
アルキル基;メトキシメチル基、2−メトキシエチル
基、2−エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、3
−エトキシプロピル基等のアルコキシアルキル基;メト
キシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2
−エトキシカルボニルエチル基等のアルコキシカルボニ
ルアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル、3−
メチルフェニル、2−メチルフェニル、2,4−ジメチ
ルフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル
基等のアラルキル基;アリル基、2−ブテニル基、2−
ペンテニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
【0015】また、一般式(1)において、R2 〜R10
としては、例えば、水素原子;ニトロ基;シアノ基;ヒ
ドロキシ基;アミノ基;アミノカルボニル基;カルボキ
シル基;スルホン酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原
子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−
ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、
シクロヘキシル基等のアルキル基;クロロメチル基、ジ
クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチ
ル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基
等のハロゲノアルキル基;メトキシエチル基、エトキシ
エチル基、イソプロピルオキシエチル基、3−メトキシ
プロピル基、2ーメトキシブチル基等のアルコキシアル
キル基;
【0016】ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニ
ル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボ
ニル基、イソブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニ
ル基、イソペンチルカルボニル基、ベンジルカルボニル
基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカル
ボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオ
キシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、
n−デシルオキシカルボニル基,シクロペンチルオキシ
カルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、4
−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基等のアルコ
キシカルボニル基;メチルアミノカルボニル基、n−ブ
チルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニ
ル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、4−メチル
シクロヘキシルアミノカルボニル基等のアルキルアミノ
カルボニル基;ジメチルアミノカルボニル基、ジエチル
アミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル
基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−オ
クチルアミノカルボニル基、N−イソアミル−N−メチ
ルアミノカルボニル基等のジアルキルアミノカルボニル
基;アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、イ
ソブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルア
ミノ基;
【0017】フェニル基、3−ニトロフェニル基、4−
シアノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メ
チルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−ト
リフルオロメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、
4−メトキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェ
ニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フ
ェネチル基等のアラルキル基;フェニルカルボニルアミ
ノ基、4−エチルフェニルカルボニルアミノ基、3−イ
ソプロピルフェニルカルボニルアミノ基、2−メトキシ
フェニルカルボニルアミノ基等のアリールカルボニルア
ミノ基;フェニルアミノカルボニル基、4−メチルフェ
ニルアミノカルボニル基、2−メトキシフェニルアミノ
カルボニル基、4−n−プロピルフェニルアミノカルボ
ニル基等のアリールアミノカルボニル基;フェノキシ
基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ
基、4−t−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノ
キシ基、4−イソプロピルフェノキシ基等のアリールオ
キシ基;フェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキ
シカルボニル基、3−メチルフェノキシカルボニル基、
2−メチルフェノキシカルボニル基、2,4−ジメチル
フェノキシカルボニル基、2,6−ジメチルフェノキシ
カルボニル基、2,4、6−トリメチルフェノキシカル
ボニル基、4−フェニルフェノキシカルボニル基等のア
リールオキシカルボニル基;
【0018】ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オ
キサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル
基、チアジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾチアゾ
イル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾイミダゾイル
基、ベンゾフラニル基、インド−3−イル基等のヘテロ
アリール基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピ
ルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イ
ソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、3,5,5−トリ
メチルヘキシルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチ
オ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニ
ルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチ
オ基等のアリールチオ基;アリルオキシカルボニル基、
2−ブテノキシカルボニル基等のアルケニルオキシカル
ボニル基;ベンジルオキシカルボニル基、4−メチルベ
ンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニ
ル基等のアラルキルオキシカルボニル基;メトキシカル
ボニルメトキシカルボニル基、エトキシカルボニルメト
キシカルボニル基、n−プロポキシカルボニルメトキシ
カルボニル基、イソプロポキシカルボニルメトキシカル
ボニル基等のアルコキシカルボニルアルコキシカルボニ
ル基;メチルカルボニルメトキシカルボニル基、エチル
カルボニルメトキシカルボニル基等のアルキルカルボニ
ルアルコキシカルボニル基;
【0019】ヒドロキシエチルアミノカルボニル基、2
−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基、3−ヒドロ
キシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシ
アルキル)アミノカルボニル基;ジ(ヒドロキシエチ
ル)アミノカルボニル基、ジ(2−ヒドロキシプロピ
ル)アミノカルボニル基、ジ(3−ヒドロキシプロピ
ル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルキル)
アミノカルボニル基;メトキシメチルアミノカルボニル
基、メトキシエチルアミノカルボニル基、エトキシメチ
ルアミノカルボニル基、エトキシエチルアミノカルボニ
ル基、プロポキシエチルアミノカルボニル基等のモノ
(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;ジ(メト
キシメチル)アミノカルボニル基、ジ(メトキシエチ
ル)アミノカルボニル基、ジ(エトキシメチル)アミノ
カルボニル基、ジ(エトキシエチル)アミノカルボニル
基、ジ(プロポキシエチル)アミノカルボニル基等のジ
(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;ビニル
基、プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル
基、2−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、
2,2−ジシアノビニル基、1,2,2−トリシアノビ
ニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
【0020】本発明の一般式(1)で表されるピロール
化合物は、代表的には、例えば、臭化水素酸やトリフル
オロ酢酸等の酸触媒の存在下、一般式(2)で表される
化合物と一般式(3)および一般式(4)で表される化
合物とを反応させた後、クロラニール等で酸化し、最後
に三フッ化ホウ素と反応させることにより、容易に製造
できる。
【0021】
【化3】 (上式中、R1 〜R10は前記と同じ意味を示す)
【0022】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、光硬
化性樹脂、光増感剤および光反応開始剤を含有してなる
光硬化性樹脂組成物において、光増感剤として一般式
(1)で表されるピロール化合物を含有するもので、光
硬化性樹脂、光反応開始剤(例えば、光ラジカル重合開
始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等)、および一般式
(1)で表されるピロール化合物等を混合して得られる
ものである。
【0023】本発明で用いる光硬化性樹脂としては、一
般に使用されている光照射により架橋もしくは重合しう
る感光性基を有する光硬化性樹脂であれば特に限定され
るものではなく、少なくとも1個のエチレン性不飽和二
重結合を有する化合物で、モノマー、プレポリマー、2
量体、3量体等のオリゴマー、それらの混合物ならびに
それらの共重合体などである。単官能および多官能(メ
タ)アクリレートが一般的であり、例えば、特開平3−
223759号公報の第2頁右下欄第6行〜第6頁左下
欄第16行目に記載の感光性基として(メタ)アクリロ
イル基を含むアニオン性光硬化性樹脂、感光性基として
シンナモイル基を含む光硬化性樹脂、感光性基としてア
リル基を含む光硬化性樹脂等が挙げられる。該樹脂は下
記光ラジカル重合開始剤と組合せて使用することが好ま
しい。これらの光硬化性樹脂は、単独で用いてもよく、
混合して用いてもよい。
【0024】上記公報において、光硬化性樹脂成分(a
2)のエチレン性不飽和化合物に記載の脂肪族ポリヒド
ロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化物の具
体例として、分子量300〜1000のポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート等も使用することがで
きる。
【0025】また、本発明で言う光硬化性樹脂として
は、上記した感光性基を有する光硬化性樹脂以外に、光
酸発生剤から発生する酸を触媒として、重合反応、エー
テル化反応、ピナコール転移、シラノール脱水反応、分
子内脱水縮合反応、加水分解縮合反応等の反応により硬
化(不溶化)する化合物を使用することができる。該化
合物としては、例えば、ビスフェノールA型ジグリシジ
ルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテ
ル等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物類、3,4
−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシ
クロヘキサンカルボキシレート、ジシクロペンタジエン
ジオキサイド、エポキシシクロヘキセンカルボン酸エチ
レングリコールジエステル、1,3−ビス〔2−{3
(7−オキサビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル)}エチ
ル〕テトラメチルジシロキサン( J. Polym. Sci. : Pa
rt A :Polym. Chem. 28, 479, 1990 参照)等の脂環型
エポキシ化合物類、ブチレングリコールジビニルエーテ
ル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)メチ
ルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニ
ル)ブチルエーテル、トリメチロールプロパンジ(1−
プロペニル)オクチルエーテル、トリメチロールプロパ
ンジ(1−プロペニル)フェニルエーテル、トリメチロ
ールプロパンジ(1−プロペニル)エーテルアセテー
ト、トリメチロールプロパンジ(1−プロペニル)エー
テルアクリレート、トリメチロールプロパンジ(1−プ
ロペニル)−N−ブチルカーボネート等のビニルエーテ
ル化合物類( J. Polym. Sci. : PartA : Polym. Chem.
34, 2051, 1996参照)、ドデシルアレン(DA)、ジ
エチレングリコールジアレン(DEGA)、トリエチレ
ングリコールジアレン(TEGA)、1−テトラヒドロ
フルフリルアレンエーテル(THFA)、N−ヘキシロ
キシ−1,2−プロパジエン(HA)、1,4−ジ−N
−ブトキシ−1,2−ブタジエン(DBB)、1,4−
ジエトキシ−1,2−ブタジエン、N−ヘキシルプロパ
ジルエーテル(HPE)等のアルコキシアレン化合物類
( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 33, 249
3, 1995参照)、
【0026】3−エチル−3−フェノキシメチルオキセ
タン、フェノキシメチルオキセタン、メトキシメチルオ
キセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン
等のオキセタン化合物類( J. Polym. Sci. : Part A :
Polym. Chem. 33, 1807, 1995参照)、2−プロピリデ
ン−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−プ
ロピリデン−4−メチル−1,3−ジオキソラン、3,
9−ジブチリデン−2,4,8,10−テトラオキサピ
ロ〔5.5〕ウンデカン等のケテンアセタール化合物類
( J. Polym. Sci. : Part A : Polym. Chem. 34, 309
1, 1996参照)、1−フェニル−4−エチル−2,6,
7−トリオキサビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のビ
シクロオルソエステル化合物類( J. Polym. Sci. : Po
lym. Lett. Ed. 23, 359, 1985参照)、プロピオラクト
ン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロ
ラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクト
ン、クマリン等のラクトン化合物類、メトキシ−α−メ
チルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、ビニルカルバ
ゾール等の複素環ビニル化合物類、ヘキサメチロールメ
ラミン、ヘキサメトキシメラミン等のメラミン化合物
類、p−ビニルフェノールとp−ビニルベンジルアセテ
ートとの共重合体、トリメチロールベンゼン、トリ(ア
セトキシカルボニルメチル)ベンゼン等のその他の芳香
族化合物類等をあげることができる。これらの化合物は
酸のプロトンにより硬化するものであれば、ポリマー構
造を有していても構わない。
【0027】また、光塩基発生剤から発生する塩基を触
媒として重合反応、縮合反応により硬化(不溶化)する
化合物、例えば、エポキシ基やシラノール基等の官能基
を含有する化合物を使用することができる。
【0028】更に、光酸又は塩基発生剤から発生する触
媒により硬化する上記した化合物以外に、必要に応じ
て、従来から公知のアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ゴ
ム、ウレタン樹脂等を配合することができる。
【0029】本発明で光増感剤として用いる一般式
(1)で表されるピロール化合物は、400〜700n
mの可視光領域の光、特に、400〜600nmの光を
吸収することにより励起され、光硬化性樹脂や、光反応
開始剤と相互作用を有する化合物である。ここで言う
「相互作用」には、励起された本発明の化合物から光硬
化性樹脂または光反応開始剤へのエネルギー移動や電子
移動が包含される。このことから、本発明の化合物は、
光増感剤として極めて有用な化合物である。
【0030】本発明においては、光増感剤は、一般式
(1)で表されるピロール化合物を少なくとも1種含有
するものであり、その他の公知の光増感剤を併用してい
てもよい。公知の光増感剤としては、一般に使用されて
いる光増感剤であれば特に限定はされないが、ケトクマ
リン、クマリン−6および特開平4−18088号に記
載されたクマリン化合物等が挙げられる。
【0031】この場合、光増感剤中の一般式(1)で表
されるピロール化合物の含有量としては、特に制限はな
いが、本発明で所望の効果を得るためには、光増感剤中
の一般式(1)で表されるピロール化合物の含有量は、
10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは
20重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以
上であり、50重量%以上含有する光増感剤は特に好ま
しい。
【0032】また、本発明の可視光硬化性樹脂組成物に
おいて、光増感剤としてのピロール化合物の使用量は、
一般式(1)で表されるピロール化合物の種類や、相互
作用すべき光硬化性樹脂成分の種類により異なるが、通
常、光硬化性樹脂成分100重量部当たり、ピロール化
合物の使用量が0.1〜10重量部、好ましくは0.3
〜5重量部の範囲内が適当である。ピロール化合物の使
用量が0.1重量部より少なすぎると、形成される被膜
の感光性が低下する傾向があり、10重量部より多くな
ると、溶解性の点から、組成物を均一な状態に保つこと
が困難になる傾向がみられる。
【0033】本発明で用いられる光反応開始剤として
は、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤
を使用することができる。光ラジカル重合開始剤として
は、一般に使用されている光ラジカル重合開始剤であれ
ば特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、ベン
ゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、ベンジル、キサントン、チオキサントン、アントラ
キノン等の芳香族カルボニル化合物;アセトフェノン、
プロピオフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノ
ン、α,α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノ
ン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノ
ン、アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイル
パーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルジパ
ーオキシイソフタレート、3,3',4,4'−テトラ(t
−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有
機過酸化物;ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフ
ェニルヨードニウムクロライド等のジフェニルハロニウ
ム塩;四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ヨード
ホルム等の有機ハロゲン化物、3−フェニル−5−イソ
オキサゾロン、2,4,6−トリス(トリクロロメチ
ル)−1,3,5−トリアジンベンズアントロン等の複
素環式および多環式化合物;2,2'−アゾ(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロ
ニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カ
ルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)等のアゾ化合物;鉄−アレン錯体(Iron-Are
ne Complex: ヨーロッパ特許152377号公報参照);チタ
ノセン化合物(特開昭63−221110号公報参
照);ビスイミダゾール系化合物;N−アリールグリシ
ン系化合物;アクリジン系化合物;芳香族ケトン/芳香
族アミンの組み合わせ;ペルオキシケタール(特開平6
−321895号公報参照)等が挙げられる。上記の光
ラジカル重合開始剤の中でも、ジ−t−ブチルジパーオ
キシイソフタレート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブ
チルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、鉄−アレ
ン錯体およびチタノセン化合物は架橋もしくは重合に対
して活性が高いので好ましい化合物である。
【0034】また、光酸発生剤は、露光により酸を発生
する化合物であり、この発生した酸を触媒として、上記
した化合物を硬化させるもので、一般に使用されている
光酸発生剤であれば、特に限定されないが、例えば、ス
ルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨー
ドニウム塩、セレニウム塩等のオニウム塩類、鉄−アレ
ン錯体類、シラノール−金属キレート錯体類、トリアジ
ン化合物類、ジアジドナフトキノン化合物類、スルホン
酸エステル類、スルホン酸イミドエステル類等を使用す
ることができる。また、上記した以外に、特開平7−1
46552号公報、特願平9−289218号に記載の
光酸発生剤も使用することができる。
【0035】また、光塩基発生剤は、露光により塩基を
発生する化合物であり、この発生した塩基を触媒とし
て、上記した化合物を硬化させるものであり、一般に使
用されている光塩基発生剤であれば、特に限定されない
が、例えば、〔(o−ニトロベンジル)オキシ〕カルボ
ニルシクロヘキシルアミン等のニトロベンジルカルバメ
ート化合物類( J. Am. Chem. Soc., Vol.113, No.11,
4305, 1991参照) 、N−〔〔1−(3,5−ジメトキシ
フェニル)−1−メチル−エトキシ〕カルボニル〕シク
ロヘキシルアミン、N−〔〔1−(3,5−ジメトキシ
フェニル)−1−メチル−エトキシ〕カルボニル〕ピリ
ジン等の光官能性ウレタン化合物類(J. Org. Chem., V
ol.55, No.23, 5919, 1990 参照)等を使用することが
できる。
【0036】これら光反応開始剤の使用量は、臨界的な
ものではなく、その種類等に応じて広い範囲で変えるこ
とができるが、一般には、前述した光硬化性樹脂固形分
100重量部当たり、0.1〜25重量部、好ましく
は、0.2〜10重量部の範囲内とすることができる。
25重量部を越えて多量に用いると、得られる組成物の
安定性が低下する傾向がみられる。
【0037】本発明の可視光硬化性樹脂組成物には、必
要に応じて、密着促進剤類、ハイドロキノン、2,6−
ジ−t−ブチル−p−クレゾール、N,N−ジフェニル
−p−フェニレンジアミン等の重合禁止剤類、ゴム、ビ
ニル重合体、不飽和基含有ビニル重合体等の有機樹脂微
粒子、着色顔料、体質顔料等の各種顔料類、酸化コバル
ト等の金属酸化物類、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオ
クチル、トリクレジルホスフェート、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール等の可塑剤等を含有
することができる。
【0038】上記した密着促進剤類は、基材に対する被
膜の密着性を向上させるために配合するものであって、
例えば、テトラゾール、1−フェニルテトラゾール、5
−アミノテトラゾール、5−アミノ−1−メチルテトラ
ゾール、5−アミノ−2−フェニルテトラゾール、5−
メルカプト−1−フェニルテトラゾール、5−メルカプ
ト−1−メチルテトラゾール、5−メチルチオテトラゾ
ール、5−クロロ−1−フェニル−1H−テトラゾール
等のテトラゾール類を挙げることができる。
【0039】次に、本発明の可視光硬化性樹脂組成物の
用途について説明する。本発明の可視光硬化性樹脂組成
物は、一般に用いられている公知の感光性材料と同様に
取り扱うことができる。すなわち、本発明の化合物を含
有する可視光硬化性樹脂組成物を溶剤又は水に分散もし
くは溶解(着色剤に顔料を用いた場合は顔料を微分散)
させて、感光液を調製し、これを基材(支持体)上に、
例えば、ローラー、ロールコーター、スピンコーター等
のごとき塗布装置を用いて塗布し、乾燥する方法によ
り、感光層を形成し、これを可視光感光材料として用い
ることができる。
【0040】また、可視光で露光し硬化させる前の被膜
表面に予めカバーコート層を設けておくことができる。
このカバーコート層は、空気中の酸素を遮断して露光に
よって発生したラジカルが酸素によって失活するのを防
止し、露光による被膜の硬化を円滑に進めるために形成
されるものである。
【0041】このカバーコート層としては、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂
フィルム(膜厚約1〜70μm)を塗装被膜表面に被せ
ることにより、また、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸
ビニルの部分ケン化物、ポリビニルアルコール−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリビニルピロリドン、プルラン等の水
溶性多糖類ポリマー類、塩基性基、酸性基、又は塩基を
含有するアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹
脂、エポキシ樹脂等の水性樹脂類を水に溶解もしくは分
散した水性液を塗装被膜表面に塗装(乾燥膜厚約0.5
〜5μm)、乾燥することによりカバーコート層を形成
することができる。このカバーコート層は、塗装被膜を
露光した後、現像処理される前に取り除くことが好まし
い。この水溶性多糖類ポリマーや水性樹脂のカバーコー
ト層は、例えば、これらの樹脂を溶解もしくは分散する
水、酸性水溶液、塩基性水溶液等の溶媒により取り除く
ことができる。
【0042】使用する溶剤としては、例えば、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、安息
香酸メチル、プロピオン酸メチル等)、エーテル類(テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン
等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等)、
芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、
トリクロロエチレン、ジクロロメタン等)、アルコール
(エチルアルコール、ベンジルアルコール等)、その他
(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)な
どが挙げられる。
【0043】支持体としては、例えば、アルミニウム、
マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄等の金
属またはそれらを成分とした合金のシート又はこれらの
金属で表面を処理したプリント基板、プラスチック、ガ
ラス又はシリコンウェハー、カーボンなどが挙げられ
る。
【0044】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、通常
の電着塗装用感光性材料と同様に取り扱うことができ、
電着塗装用の塗料として用いることもできる。
【0045】その場合、最初に可視光硬化性樹脂組成物
を水分散化物とするか、又は水溶液化物とする。光硬化
性樹脂組成物の水分散化又は水溶化は、光硬化性樹脂
組成物中にカルボキシル基等のアニオン性基が導入され
ている場合にはアルカリ(中和剤)で中和するか、又は
アミノ基等のカチオン性基が導入されている場合に
は、酸(中和剤)で中和することによって行われる。
【0046】その際に使用されるアルカリ中和剤として
は、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン
類;トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルア
ミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジイ
ソブチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノ
エタノール等のアルキルアルカノールアミン類;シクロ
ヘキシルアミン等の脂環族アミン類;カセイソーダ、カ
セイカリ等のアルカリ金属水酸化物;アンモニアなどが
挙げられる。
【0047】また、酸中和剤としては、例えば、ギ酸、
酢酸、乳酸、酪酸等のモノカルボン酸が挙げられる。こ
れらの中和剤は単独でまたは混合して使用できる。中和
剤の使用量は可視光硬化性樹脂組成物中に含まれるイオ
ン性基1当量当り、一般に、0.2〜1.0当量、特に
0.3〜0.8当量の範囲が望ましい。
【0048】水溶化または水分散化した樹脂成分の流動
性をさらに向上させるために、必要により、上記可視光
硬化性樹脂組成物に親水性溶剤、例えば、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタ
ノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブ
トキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を加えるこ
とができる。かかる親水性溶剤の使用量は、一般には、
樹脂固形成分100重量部当り、300重量部まで、好
ましくは100重量部までとすることができる。
【0049】また、被塗装物への塗着量を多くするた
め、上記可視光硬化性樹脂組成物に対し、疎水性溶剤、
例えば、トルエン、キシレン等の石油系溶剤;メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;2-エチルヘキシ
ルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類等
も加えることができる。これらの疎水性溶剤の配合量
は、樹脂固形成分100重量部当り、通常、200重量
部まで、好ましくは、100重量部以下とすることがで
きる。
【0050】電着塗料として可視光硬化性樹脂組成物の
調製は、従来から公知の方法で行うことができる。例え
ば、前記の中和により水溶化された光硬化性樹脂、本発
明の光増感剤、光反応開始剤、さらに必要に応じ、含窒
素化合物、溶剤及びその他の成分をよく混合し、水を加
えることにより調製することができる。
【0051】このようにして調製された組成物は、通常
の方法で、更に水で希釈し、例えば、pHが4〜9の範
囲内、浴濃度(固形分濃度)3〜25重量%、好ましく
は5〜15重量%の範囲内の電着塗料(または電着浴)
とすることができる。
【0052】上記のようにして調製された電着塗料は、
次のようにして、被塗物である基材(導体)表面に塗装
することができる。すなわち、まず、浴のpH及び浴濃
度を上記の範囲に調整し、浴温度を15〜40℃、好ま
しくは15〜30℃に管理する。
【0053】次いで、このように管理された電着塗装浴
に、塗装されるべき導体を、電着塗料がアニオン型の場
合には陽極として、また、カチオン型の場合には陰極と
して、浸漬し、5〜200Vの直流電流を通電する。通
電時間は30秒〜5分が適当である。また、該電着塗装
方法において、被塗物にガラス転移温度の低い電着塗料
を塗装し、次いで水洗又は水洗乾燥後、更にガラス転移
温度20℃以上の電着塗料を塗装する方法(特開平2−
20873号公報参照)、即ちダブルコート電着塗装を
行うこともできる。
【0054】得られる膜厚は乾燥膜厚で、一般に0.5
〜50μm、好適には、1〜15μmである。
【0055】電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上
げ、水洗いした後、電着塗膜中に含まれる水分などを熱
風等で乾燥、除去する。
【0056】導体としては、金属、カーボン、酸化錫等
の導電性材料またはこれらを積層、メッキ等によりプラ
スチック、ガラス表面に固着させたものが使用できる。
【0057】また、可視光で露光し硬化させる前の電着
塗装被膜表面に予めカバーコート層を設けておくことが
できる。このカバーコート層としては、上記したものを
挙げることができる。このカバーコート層は、電着塗装
被膜が現像処理される前に取り除くことが好ましい。水
溶性多糖類ポリマーや水性樹脂を使用したカバーコート
層は、例えば、これらの樹脂を溶解もしくは分散する
水、酸性水溶液、塩基性水溶液等の溶媒により取り除く
ことができる。
【0058】上記のようにして導体表面に形成される可
視光硬化材料被膜、及び、電着塗装によって得られる可
視光感光性電着塗膜は、画像に応じて、可視光で露光
し、硬化させ、非露光部を現像処理によって除去するこ
とにより、画像を形成することができる。
【0059】露光のための光源としては、超高圧、高
圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンア
ーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タン
グステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源のう
ち、紫外線を紫外カットフィルターによりカットした可
視領域の光線や、可視領域に発振線をもつ各種レーザー
等が使用できる。高出力で安定なレーザー光源として、
アルゴンレーザー、あるいはYAGレーザーの第2高調
波が好ましい。
【0060】現像処理は、非露光部膜がアニオン性の場
合にはアルカリ水溶液を用いて、また、カチオン性の場
合にはpH5以下の酸水溶液を用いて洗い流すことによ
り行われる。アルカリ水溶液は、通常、カセイソーダ、
炭酸ソーダ、カセイカリ、アンモニア水など塗膜中に有
する遊離のカルボン酸と中和して水溶性を与えることの
できるものが、また、酸水溶液は酢酸、ギ酸、乳酸など
が使用可能である。
【0061】また、イオン性基をもたない光硬化性樹脂
組成物の場合の現像処理は、1,1,1−トリクロロエ
タン、トリクレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン
等の溶剤を使って未露光部を溶解することによって行
う。
【0062】現像した後の塗膜は、水洗後、熱風等によ
り乾燥され、導体上に目的とする画像が形成される。ま
た、必要に応じて、エッチングを施し、露出した導体部
を除去した後、塗膜を除去し、プリント回路板の製造を
行うこともできる。
【0063】本発明の組成物は、フォトレジストをはじ
め、平板や凸版用製版材、オフセット印刷用PS板、情
報記録材料、レリーフ像作製材料等幅広い用途への応用
が可能である。
【0064】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、上記
した以外に、例えば、カバーフィルム層となるポリエチ
レンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル樹脂等の透明樹脂フ
ィルム上に、本発明の組成物をロールコータ、ブレード
コータ、カーテンフローコータ等を使用して塗布し、乾
燥して感光層(以下、レジスト被膜と称す。乾燥膜厚約
0.5〜5μm)を形成した後、該被膜表面に保護フィ
ルムを貼り付けたドライフィルムレジストとして使用す
ることができる。このようなドライフィルムレジスト
は、保護フィルムを剥離した後、レジスト被膜が面接す
るように、支持体に熱圧着させる等の方法で接着してレ
ジスト被膜を形成することができる。該レジスト被膜は
上記した電着塗装と同様の方法で、画像に応じて、可視
光で露光し、硬化させ、現像処理することにより、画像
を形成することができる。また、ドライフィルムレジス
トにおいて、上記したと同様に必要に応じて、カバーコ
ート層を設けることができる。該カバーコート層は、レ
ジスト被膜上に塗装して形成してもよいし、レジスト被
膜上に貼り付けて形成してもよい。カバーコート層は現
像処理前に除去しても、又は除去しなくてもどちらでも
構わない。
【0065】
【実施例】以下に、本発明を具体例によって説明する
が、これらは例示的なものであり、本発明は、これらに
限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は
重量%を示す。
【0066】実施例1 下記式(A)で表される化合物5部を光増感剤として使
用し、光硬化性樹脂(高分子バインダー)として、メチ
ルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシフェニル
メタクリレート/ベンジルメタクリレート=50/20
/10/20の混合物の重合体100部、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート55部、光反応開始剤とし
て下記式(a)のチタノセン化合物20部、ならびに、
溶媒としてメチルセルソルブ160部を用いて感光液を
調製した。
【0067】この感光液を、乾燥膜厚3.5g/m2
なるように、積層銅板上に、スピナーを用いて塗布し
た。次いで、1mJ/cm2 強度のアルゴンレーザー
を、上記の感光層に光照射したところ、速やかに樹脂が
硬化することが確認された。キセノンランプおよびYA
Gレーザーの第2高調波(532nm)の照射によって
も同等の結果を得た。
【0068】
【化4】
【0069】
【化5】
【0070】実施例2 下記式(B)で表される化合物5部を光増感剤として使
用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これ
を用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴン
レーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、
速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンラ
ンプおよびYAGレーザーの第2高調波(532nm)
の照射によっても同等の結果を得た。
【0071】
【化6】
【0072】実施例3 下記式(C)で表される化合物5部を光増感剤として使
用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これ
を用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴン
レーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、
速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンラ
ンプおよびYAGレーザーの第2高調波(532nm)
の照射によっても同等の結果を得た。
【0073】
【化7】
【0074】実施例4 下記式(D)で表される化合物5部を光増感剤として使
用し、実施例1と同様の組成の感光液を調製した。これ
を用いて、実施例1と同様に感光層を形成し、アルゴン
レーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、
速やかに樹脂が硬化することが確認された。キセノンラ
ンプおよびYAGレーザーの第2高調波(532nm)
の照射によっても同等の結果を得た。
【0075】
【化8】
【0076】実施例5〜18 実施例1と同様にして、下に示したピロール化合物
(E)〜(R)を用いて感光液を調製し、これを用い
て、実施例1と同様に感光層を形成した。作製した感光
層を評価した結果、いずれも極めて高い感光感度を示し
た。
【0077】
【化9】
【0078】
【化10】
【0079】
【化11】
【0080】
【化12】
【0081】
【発明の効果】一般式(1)で表されるピロール化合物
を光増感剤として含有する本発明の可視光硬化性樹脂組
成物は、実用上極めて有用性の高い組成物である。従
来、光重合反応を用いた情報記録の分野で、コンピュー
ターによって電子編集された原稿を、そのまま直接レー
ザーを用いて出力し記録する方式では、感光層の経時安
定性が低く、また、感度が低く、溶解性、保存安定性等
の問題があった。
【0082】しかし、本発明の可視光硬化性樹脂組成物
は、基本樹脂と光増感剤の相溶性が極めてよく、かつ、
汎用の塗布溶液に溶解し、支持体上で均一で平滑な塗面
を得ることができる。
【0083】また、本発明で用いるピロール化合物は、
488nmおよび514.5nmに安定な発振線を持つ
アルゴンレーザーや、第2高調波として532nmに輝
線を持つYAGレーザー等の汎用可視レーザーに対し
て、非常に高い感度を有するため、本発明の可視光硬化
性樹脂組成物を用いて得られた可視光硬化材料は、この
ようなレーザーによる高速走査露光が可能である。ま
た、高速走査露光により画像を形成した場合、極めて微
細な高解像度の画像が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 賢一 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 西本 泰三 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 塚原 宇 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 津田 武 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 今井 玄児 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 木暮 英雄 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光硬化性樹脂、光増感剤および光反応開
    始剤を含有してなる光硬化性樹脂組成物において、光増
    感剤として一般式(1)で表されるピロール化合物を含
    有することを特徴とする可視光硬化性樹脂組成物。 【化1】 〔式中、R1 は水素原子、炭素数20までのアルキル
    基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、ア
    ルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラルキ
    ル基またはアルケニル基を示し、R2 〜R10はそれぞれ
    独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ
    基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミノカルボニル基、カ
    ルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20までのアルキ
    ル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシアルキル基、ア
    シル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカル
    ボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルカ
    ルボニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリー
    ルカルボニルアミノ基、アリールアミノカルボニル基、
    アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、ヘテ
    ロアリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アル
    ケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニ
    ル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、
    アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、モノ(ヒ
    ドロキシアルキル)アミノカルボニル基、ジ(ヒドロキ
    シアルキル)アミノカルボニル基、モノ(アルコキシア
    ルキル)アミノカルボニル基、ジ(アルコキシアルキ
    ル)アミノカルボニル基またはアルケニル基を表す〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載の可視光硬化性樹脂組成物
    と溶剤とを含有してなる可視光硬化材料用インキ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の可視光硬化性樹脂組成物
    を基材上に含有してなる可視光硬化材料。
JP1725098A 1997-01-30 1998-01-29 可視光硬化性樹脂組成物およびその用途 Withdrawn JPH10273504A (ja)

Priority Applications (1)

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JP1725098A JPH10273504A (ja) 1997-01-30 1998-01-29 可視光硬化性樹脂組成物およびその用途

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