JPWO2009057595A1 - セラミックヒータ、並びにこのセラミックヒータを用いた酸素センサおよびヘアアイロン - Google Patents

セラミックヒータ、並びにこのセラミックヒータを用いた酸素センサおよびヘアアイロン Download PDF

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Abstract

【課題】従来のリード部材は、長手方向に垂直な断面が円形であったため、ロウ材との大きな接合面積を得ることが困難であった。そのため、リード部材とロウ材の接合性に寄与するこれらの接触面積を増大させるためにはリード部材自体を大きくしなければならなかった。【解決手段】リード部材の長手方向に垂直な断面において、リード部材の外周のうちのロウ付けされた部分の一点からリード部材の中心までの距離よりも、ロウ付けされた部分の他の一点から中心までの距離を大きくすることにより、リード部材とロウ材との接触面積を増大させることが可能となる。【選択図】図2

Description

本発明は、酸素センサ、空燃比センサ、グロープラグ、ヘアアイロン等に用いられるセラミックヒータに関するものである。
従来、エンジンを始動させるための熱源や室内暖房の補助熱源などの熱源、空燃比センサ加熱用ヒータ等にセラミックヒータが用いられている。これらの用途に用いられるセラミックヒータとしては、例えば、図7に示すように、セラミック基体103中に発熱抵抗体が埋設され、この発熱抵抗体の端部と電気的に接続された外部電極107(電極パッド)にロウ材109を介してリード部材111が接続された構成のセラミックヒータ101が知られている(特許文献1)。ここで、図7は、従来のセラミックヒータを示す図であって、リード部材の長手方向に垂直な面での断面図である。
特開2005−331502号公報
上記の用途に代表されるセラミックヒータには、その使用時に、熱履歴が繰り返し加わることや振動などによる引っ張りやねじれといったストレスが加わる。強いストレスがセラミックヒータに繰り返し加わった場合、ロウ材を介して接合される外部電極とリード部材との接合面に上記のストレスによる影響が強く表れることから、ロウ材とリード部材の接合性が低下する可能性がある。しかしながら、近年、セラミックヒータには、より急速での、あるいは、より高温での昇降温を繰り返すような過酷な使用環境下においても十分な耐久性を備えることが求められている。
図7に示すように、従来のセラミックヒータ101におけるリード部材111は、長手方向に垂直な断面が円形である。長手方向に垂直な断面が円形である場合、この断面におけるリード部材111の、断面積に対する外周の長さが極小となる。そのため、リード部材111とロウ材109の接合性に寄与するこれらの接触面積を増大させるためにはリード部材111自体を大きくしなければならなかった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、リード部材とロウ材との接合性を高めることにより、高い耐久性を有するセラミックヒータを提供することを目的とする。
本発明のセラミックヒータは、セラミック基体と、該セラミック基体に埋設された発熱抵抗体と、前記セラミック基体の側面に配設され、前記発熱抵抗体と電気的に接続された外部電極と、該外部電極にロウ付けされたリード部材と、を備え、前記リード部材の長手方向に垂直な当該リード部材の断面において、前記リード部材の外周のうちの前記ロウ付けされた部分の一点から前記リード部材の中心までの距離よりも、前記ロウ付けされた部分の他の一点から前記中心までの距離が大きいことを特徴とする。
また、前記リード部材が、前記長手方向に垂直な断面において、前記ロウ付けされた部分に凹部を有していることが好ましい。さらに、前記凹部に前記ロウ材が充填されていることがより好ましい。
また、前記凹部が、前記セラミック基体側に開口していることが好ましい。また、前記リード部材は、複数の前記凹部を有していることが好ましい。さらに、前記リード部材が、1つの前記長手方向に垂直な断面において、複数の前記凹部を有していることがより好ましい。さらに、前記リード部材が、前記長手方向に垂直な断面において、前記リード部材の中心と前記セラミック基体の中心とを通る直線を介して分けられる2つの領域のそれぞれに前記凹部を有していることがさらにより好ましい。さらに、前記直線に対して対称な位置に前記凹部を有していることがさらにより好ましい。また、前記リード部材が、前記長手方向に垂直な断面において全周にわたってロウ材で被覆されていることが好ましい。
本発明の酸素センサは、上記のいずれかの本発明のセラミックヒータを備えたことを特徴とする。本発明のヘアアイロンは、上記のいずれかの本発明のセラミックヒータを備えたことを特徴とする。
本発明のセラミックヒータは、リード部材の長手方向に垂直なリード部材の断面において、リード部材の外周のうちのロウ付けされた部分の一点からリード部材の中心までの距離よりも、ロウ付けされた部分の他の一点から中心までの距離が大きい。そのため、リード部材とロウ材との接触面積を増大させることができ、効果的にアンカー効果やクサビ効果を得ることができるので、リード部材とロウ材との接合強度、具体的には引張強度やねじれ強度を向上させることができる。これにより、急速な昇降温を繰り返すような環境下や高温での昇降温を繰り返すような環境下においても高い耐久性を備えることが可能となる。
本発明の酸素センサは、上記のいずれかの本発明のセラミックヒータを備えたことにより、急速に昇降温させた場合であっても、高い耐久性を維持することができる。
本発明のヘアアイロンは、上記のいずれかの本発明のセラミックヒータを備えたことにより、急速に昇温させたり急速に降温させたりした場合であっても、高い耐久性を維持することができる。
以下、本発明のセラミックヒータの実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は図1(a)に示す実施形態のセラミックヒータの外部電極(電極パッド)周辺の拡大斜視図である。図2(a)は、図1に示す実施形態にかかるセラミックヒータのリード部材の長手方向に垂直な断面での拡大断面図であり、図2(b)は、図2(a)のリード部材の部分を拡大した拡大断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態のセラミックヒータ1は、セラミック基体3と、セラミック基体3に埋設された発熱抵抗体5と、セラミック基体3の側面に配設され、発熱抵抗体5と電気的に接続された電極パッド7と、ロウ材9を介して電極パッド7にロウ付けされたリード部材11と、を備えている。
発熱抵抗体5はセラミック基体3に埋設された引き出しパターン13と接続されている。また、引き出しパターン13はセラミック基体3に形成されたスルーホール3aの内側面に配設されたスルーホール導体15を介して電極パッド7と接続されている。このようにして、発熱抵抗体5と電極パッド7とは電気的に接続されている。
図2に示すように、本実施形態のセラミックヒータ1は、リード部材11の長手方向に垂直なリード部材11の断面において、リード部材11の外周のうちロウ付けされた部分の一点からリード部材11の中心Aまでの距離L1よりも、ロウ付けされた部分の他の一点から中心Aまでの距離L2が大きく、非円形の形状であるので、従来のリード部材と比較して、同じ断面積であっても表面積(長手方向に垂直な断面における外周)を大きくすることができる。このため、リード部材11とロウ材9との接触面積を増大させることができ、リード部材11とロウ材9との接合強度を向上させることができる。
また、断面が円形のリード部材を用いた場合、このようなリード部材は中心から外周の任意の一点までの距離が一定であるので、この中心を軸として回転しやすく、リード部材がロウ材から剥離する可能性がある。しかしながら、本実施形態にかかるセラミックヒータ1のリード部材11は、その外周のうちロウ付けされた部分の一点からリード部材11の中心Aまでの距離L1がロウ付けされた部分の他の一点から中心Aまでの距離L2よりも大きいことから、この距離の大きい部分がロウ材9に引っかかるアンカーとなって、アンカー効果が得られるので上記の回転が阻害される。このように、リード部材11とロウ材9との接合強度を機械的にも向上させることができるので、リード部材11のロウ材9からの剥離を効果的に抑制させることができる。
図3(a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる他の一例を示す断面図である。図3に示すように、リード部材11が、長手方向に垂直な断面においてロウ付けされた部分に凹部17を有していることが好ましい。このようにリード部材11が凹部17を有していることにより、リード部材11とロウ材9との接合性が向上して、リード部材11のロウ材9からの完全な剥離を抑制することができる。
これは、リード部材11とロウ材9との接合面に応力が加わり、この接合面の一部で剥離が生じたとしても、リード部材11の表面のうち凹部17の表面の曲率半径が小さいため、この凹部17で上記剥離の進展が抑制されるからである。そのため、リード部材11のロウ材9からの完全な剥離が抑制され、安定して発熱抵抗体5に通電することができるようになる。
さらに、図3(b)に示すように、凹部17にロウ材9が充填されていることがより好ましい。リード部材11とロウ材9との接合面積をより増大させることができ、また、ロウ材9がリード部材11の凹部17に充填されることで、クサビとなるロウ材9の凸部が大きくなるので、より高いアンカー効果を得ることができるからである。
また、図3に示すように、凹部17の表面が曲面形状であることが好ましい。凹部17の表面の形状が曲面であって、鋭角な部分が形成されないことにより、応力の集中を抑制することができるからである。特に、凹部17が半球状であることがより好ましい。
また、図3(c)に示すように、凹部17が、セラミック基体3側に開口していることが好ましい。ロウ材9が凹部17に充填され易くなるので、より確実に凹部17にロウ材9を充填することができる。これにより、リード部材11とロウ材9との高い接合強度を得ることができるので、より耐久性に優れたセラミックヒータを提供することができる。
図4(a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる他の一例を示す拡大断面図である。リード部材11の長手方向に垂直な断面における好ましい他の形状としては、まず、図4(a)に示すような四角形状に代表される多角形の形状が挙げられる。このようにリード部材11の断面形状が多角形状である場合、リード部材11が単純な形状であって容易に加工することができるとともに、表面積を大きくすることができるので、接合性を向上させることができる。また、リード部材11が角部分を有するので、この角部分がロウ材9に引っかかることによって機械的に接合性を向上させることもできる。
また、図4(b)に示すように、長手方向に垂直な断面において、リード部材11がロウ付けされた部分に凸部21を有していることが好ましい。図4(a)に示す形態と比較して、表面積をさらに大きくすることができ、また、凸部21を有することにより、高い回転抑制の効果を得ることができるからである。
図4(a)、(b)に示す実施形態のセラミックヒータは、リード部材11とロウ材9との接合性が高いので、大きな熱履歴や大きな振動などが繰り返し加わる環境下など、リード部材11とロウ材9との間により高い接合性が求められる環境下において、特に好ましい実施形態となる。
また、図4(c)に示すように、リード部材11の長手方向に垂直な断面における形状が楕円形状であることが好ましい。図2、図4(a)および図4(b)に示す実施形態と同様に、リード部材11とロウ材9との接合による接合強度を向上させることができ、また、機械的に接合性を向上させることもできる。また、図4(c)に示すように、リード部材11の断面形状が楕円形状である場合には、リード部材11およびロウ材9の接合面が曲面形状であって角部分が形成されないので、応力の局所的な集中を抑制することができる。
なお、リード部材11が凹部17を有している場合、凹部17が複数であることが好ましい。図2に示すように、リード部材11が複数の凹部17を有していることにより、リード部材11とロウ材9との接合面積をより大きくすることができるからである。また、複数の凹部17を有していることにより、クサビとなるロウ材9の凸部が複数形成されるので、より高いアンカー効果を得ることができる。また、リード部材11とロウ材9との接合面にかかる応力を各々の凹部17に分散させることができるので、耐久性をより向上させることができる。
図5(a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミックヒータの実施形態における他の一例を示す断面図である。図5(a)〜(c)に示すように、リード部材11が、1つの長手方向に垂直な断面において、複数の凹部17を有していることがより好ましい。このように複数の凹部17を有していることにより、リード部材11がねじられる方向にかかる応力を各々の凹部17に分散させることができるので、耐久性をより向上させることができるからである。
さらに、図5(b)、(c)に示すように、リード部材11が、長手方向に垂直な断面において、リード部材11の中心とセラミック基体3の中心とを通る直線Bを介して分けられる2つの領域のそれぞれに凹部17を有していることがさらにより好ましい。大きな熱履歴や大きな振動などが繰り返し加わる環境下においては、主にセラミック基体3が変動することによりロウ材9を介してリード部材11に応力がかかる。リード部材11が凹部17を有していることにより、リード部材11の中心とセラミック基体3の中心とを含む直線方向(図5(b)、(c)においては上下方向)の応力に対する耐久性を向上させることができる。さらに、上記のように2つの領域のそれぞれに凹部17を有していることにより、上記直線方向の応力に対する耐久性に加え、冷熱サイクル等で生じる上記直線方向と垂直な方向(図5(b)、(c)においては左右方向)の応力に対する耐久性を高めることができるからである。
さらに、図5(c)に示すように、直線Bに対して対称な位置に凹部17を有していることがさらにより好ましい。これにより、上記直線方向と垂直な方向にかかる応力に対しても、それぞれの凹部17により均等に応力を分散させることができるので、リード部材11とロウ材9の接合性をより高めることができるからである。
図6は、本発明のセラミックヒータの実施形態における他の一例を示す断面図である。図6に示すように、リード部材11が、長手方向に垂直な断面において全周にわたってロウ材9で被覆されていることが好ましい。リード部材11がこのようにロウ材9で被覆されていることにより、セラミック基体3側とは反対の方向(図6においては上方向)へリード部材11がロウ材9から剥離することを抑制することができるからである。
次に、本発明のセラミックヒータの製造方法について説明する。
セラミック基体3としては、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックスなどの絶縁性を備えたセラミックスを用いることができる。具体的には、アルミナ質セラミックス、窒化珪素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、炭化珪素質セラミックスなどを用いることができる。特に、耐酸化性の点からアルミナ質セラミックスを用いることが好ましい。
また、セラミック基体3としては、例えば外径が2〜20mm程度、長さが40〜60mm程度の円柱状のものが例示できる。特に、自動車の空燃比センサ加熱用のセラミックヒータとしては、リード部材11接合部分における異常高温を抑制する観点から外径を2〜4mm、長さを40〜65mmとすることが好ましい。
まず、このようなセラミック基体3を作製するため、上記のセラミックス成分に、SiO、CaO、MgO、ZrOなどの焼結助剤を合計量で4〜12質量%含有するセラミックスラリーをシート状に成形してセラミックシートを作製する。セラミックスラリーは、例えばAlを88〜95質量%、SiOを2〜7質量%、CaOを0.5〜3質量%、MgOを0.5〜3質量%、ZrOを1〜3質量%とすればよい。
このとき、Alの含有量は88〜95質量%であることが好ましい。これは、88質量%以上とすることにより、ガラス質の含有量を抑えることができるので、通電時におけるマイグレーションの発生を抑制することができるからである。また、95質量%以下とすることにより、発熱抵抗体5中に十分な量のガラス成分を拡散させることができる。
このセラミック基体3となるセラミックシートの一方の主面に、発熱抵抗体5となる導電性ペーストおよび引き出しパターン13をプリント等の手法を用いて形成する。発熱抵抗体5としては、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とするものを用いることができる。導電性ペーストは、上記の高融点金属にセラミック原料、バインダー、有機溶剤等を調合し、混練することで作製できる。またこのとき、セラミックヒータの用途に応じて、発熱抵抗体5となる導電性ペーストの折り返しパターンの距離や導電性ペーストの線幅を変更することにより、発熱位置や抵抗値を所望の値に設定することが可能である。
次に、セラミックシートにスルーホール3aを形成し、このスルーホール3aにW、Mo、Reの少なくとも1種類を主成分とする導電材料をスルーホール導体15としてスルーホール3aに充填する。さらに、セラミックシートの一方の主面に電極パッド7をプリントもしくは転写等の手法を用いて形成する。電極パッド7としては、WやNiなどの金属を用いることができる。
そして、このセラミックシートをセラミック芯材23の周囲に密着液を用いて巻き付けて密着させることにより柱状の成形体が得られる。さらに、この成形体を1500〜1650℃程度の還元雰囲気中で焼成する。
ここで、酸化による劣化を抑制するため、電極パッド7の表面にはNi、Cr等の金属からなる金属皮膜25が形成されることが好ましい。この金属皮膜25は電解メッキ法、無電解メッキ法、スパッタ、溶射、サブミクロンの貴金属粒子を含む用材を塗布乾燥させる等の方法等により形成することができる。金属皮膜25は電極パッド7の酸化を抑制するため1μm以上であることが好ましい。また、金属皮膜25内での離隔を抑制するため5μm以下であることが好ましい。
次に、電極パッド7または金属皮膜25上にロウ材9を介してリード部材11を接合する。このとき、水蒸気を含有した還元雰囲気中でリード部材11を接合することが好ましい。ロウ材9としては、Au−Cu、Ag、Ag−Cuなどの主成分とする等を主成分とするものを用いることができる。また、リード部材11としては、Ni、Ni合金、白金、銅等の低抵抗の金属を用いることができる。
ここで、本実施形態のセラミックヒータ1は、長手方向に垂直な断面において、リード部材11の外周のうちロウ付けされる部分の一点からリード部材11の中心までの距離よりも、ロウ付けされる部分の他の一点から中心までの距離が大きいリード部材11を用いている。
このように長手方向に垂直な方向の断面が非円形形状であるリード部材11としては、例えば、多角柱の形状のもの、円柱状のリード部材11であってロウ付けされる部分にプレス加工や凹部加工をすることによって断面形状を非円形の形状としたものを用いることができる。上記のようなリード部材11を用いることにより、リード部材11とロウ材9の接触面積を大きくすることができるので、リード部材11の接合部について引張り強度やねじれに対する強度を向上させることができる。
また、電極パッド7、ロウ材9およびリード部材11の表面に、さらにAu、Cr、Ni等のメッキ層を形成することが好ましい。使用環境下での酸化による電極パッド7、ロウ材9およびリード部材11の劣化を抑制することができるからである。また、このメッキ層は、厚みが1〜10μmであることが好ましい。
以上のようにして、本実施形態にかかるセラミックヒータを製造することができる。このようにして作製されたセラミックヒータは、ヘアアイロン、酸素センサ、半田作業用こて等に利用することができる。なお、本発明のセラミックヒータは、上述の実施形態に限定されるものではなく、ロウ材9でリード部材11を接合するものであればよく、円柱状、板状等の種々の形状のセラミックヒータに適用することができる。
次に、本発明のヘアアイロンについて説明する。本実施形態にかかるヘアアイロンは、上記実施形態に代表されるセラミックスヒータが金属製のこて先に固定され、温度制御装置などの電気回路とリード部材11により接続されている。本実施形態のヘアアイロンは上記実施形態に代表されるセラミックスヒータを備えているため、ヘアアイロンを急速に昇温させたり急速に降温させたりした場合であっても、高い耐久性を維持することができる。
本発明のセラミックヒータを以下のようにして作製した。
まず、Alを主成分とし、SiO、CaO、MgO、ZrOが合計10質量%以内になるように調製したセラミックグリーンシートを作製した。さらに、このセラミックグリーンシートにスルーホール3aを形成し、Wを主成分とするペーストをスルーホール導体15としてスルーホール3aに充填した。そして、このセラミックグリーンシート表面に、発熱抵抗体5となるW−Reを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法にてプリントした。なお、導電性ペーストは、焼成後の発熱抵抗体5が長さが5mmであって抵抗値が12〜13Ωとなるようにプリントされている。
次に、Wを主成分とするペーストを用いて、スルーホール3a上に電極パッド7をスクリーン印刷法にて形成した。そして、このシートに上記のセラミックグリーンシートと略同一の組成のセラミックスを分散させた密着液を塗布して、セラミック芯材23の周囲に密着し、1500〜1600℃の還元雰囲気中で焼成した。
次に、電極パッド7上に電解メッキにて厚み2〜4μmのNiメッキ膜25を設け、ロウ材9としてAg−Cuロウを用いて電極パッド7とリード部材11とを接合した。ここで、リード部材11はφ0.8mm×長さ20mmの円柱形状のものを用い、各試料番号のセラミックヒータ1のリード部材11には、予め、プレス加工を施し、表1に示すリード部材の断面形状のような形状に加工した。なお、各セラミックヒータ1の試料の寸法は、φ3mm×長さ55mmであった。また、電極パッド7は5mm×4mmであり、スルーホール径は500μmであった。
以上のようにして作製されたセラミックヒータ1の冷熱サイクルによる耐久試験を行った。
まず、ロウ材9の融点の1/2の温度(Ag−Cuロウの場合、約400℃)に設定した恒温槽に各試料を10分間保持して25℃の空気にて強制空冷するという冷熱サイクルを4000サイクル行った。そして、この冷熱サイクルを加えた後、引張強度試験としてリード部材11の引張強度を測定し、ねじれ強度試験としてリード部材11のねじれに対する強度を測定した。引張強度は、セラミックヒータを固定し、リード部材11を垂直方向にロードセルで32mm/分の速度で引っ張り、切断した際の加重を測定することで評価した。また、ねじれに対する強度は、モーターにリード部材11を固定し、5Nの加重でリード部材11を引っ張りながら、2回転/分でリード部材11の一部に亀裂やロウ材9からの剥離が生じるまでモーターを回転させることにより評価した。結果は表1に示す通りである。
Figure 2009057595
表1に示すように、試料番号1のセラミックヒータ1は、引張強度が12Nと弱く、特に、リード部材11とロウ材9jの接合部分での耐久性が低かった。これは、リード部材11として、長手方向に垂直な断面の形状が円形である円柱状のものを用いたため、リード部材11とロウ材9jの接触面積が小さく:十分なアンカー効果が得られなかったためである。そのため、熱サイクルで生じるリード部材11とロウ材9との熱膨張差により、ロウ材9とリード部材11との間に隙間ができ、そこからロウ材9が酸化されて接合が劣化した。
これに対し、リード部材11を変形させることにより、長手方向に垂直な断面におけるリード部材11の外周のうちロウ付けされた部分の一点からリード部材11の中心までの距離がロウ付けされた部分の他の一点から中心までの距離よりも大きい非円形形状とした試料番号2−9のセラミックヒータ1では、引張強度が22N以上と、いずれの試料も耐久性が向上していることが確認された。
断面形状が楕円形である試料番号2のセラミックヒータ1は、引張強度が22Nであり、リード接合部の耐久性が向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても2回転まで耐久性が向上していることが確認された。
リード部材11の側面に凹部17が設けられるとともに、凹部17にはロウ材9が充填されていない試料番号3のセラミックヒータ1は、引張強度が35Nであり、リード接合部の耐久性がさらに向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても2回転まで耐久性が向上していることが確認された。さらに、凹部17を有していることから、凹部内への剥離の伸展が抑えられて剥離を部分的なものとすることができた。そのため、ロウ材9とリード部材11との接合箇所が部分的に残っており、引き続きセラミックヒータ1への通電が可能であった。なお、試料番号3のセラミックヒータ1は凹部17内に充填材19としてガラスビーズを入れることにより、凹部17にロウ材9が充填されていない形状としている。
リード部材11の側面に凹部17が設けられ、凹部17内にロウ材9が充填された試料番号4のセラミックヒータ1は、凹部17内にロウ材9が充填されることにより、リード部材11とロウ材9の接合性が向上したため、引張強度が44Nとなり、リード接合部の耐久性がさらに向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても2回転まで耐久性が向上していることが確認された。
また、凹部17が、セラミック基体3側に開口している試料番号5のセラミックヒータ1は、ロウ材9が凹部17に充填され易いことから、引張強度が72Nであってリード接合部の耐久性が飛躍的に向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても3回転と耐久性がさらに向上していることが確認された。
また、1つの長手方向に垂直な断面において複数の凹部17を有する試料番号6のセラミックヒータ1は、応力を各々の凹部17に分散させることができるため、引張強度が83Nと、リード接合部の耐久性がさらに向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても4回転と耐久性がさらに向上していることから、このように複数の凹部17を設けることによってリード部材11がねじられる方向にかかる応力に対する耐久性が向上することが確認された。
また、試料番号7のセラミックヒータ1は、図5(b)に示す形状のリード部材11を有していることにより、引張強度が88Nであってリード接合部の耐久性がさらに向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても4回転と耐久性が向上していることが確認された。
また、試料番号8のセラミックヒータ1は、図5(c)に示す形状のリード部材11を有していることにより、引張強度が93Nであってリード接合部の耐久性がさらに向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しても5回転と耐久性が向上していることが確認された。
また、試料番号9のセラミックヒータ1は、図6に示す形状のリード部材11を有していることにより、引張強度が106Nであってリード接合部の耐久性がさらに向上していることが確認された。また、ねじれ方向の応力に対しては、8回転でリード部材11自体の一部に亀裂が生じた。しかしながら、ロウ材9とリード部材11との接合面には剥離は生じておらず、非常に高い接合性を有することが確認された。
本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は図1(a)に示す実施形態の拡大斜視図である。 (a)は、図1に示す実施形態にかかるセラミックヒータのリード部材の長手方向に垂直な断面での拡大断面図である。また、(b)は、図2(a)に示す実施形態におけるリード部材の拡大斜視図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる他の一例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる他の一例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる他の一例を示す断面図である。 本発明のセラミックヒータの実施形態にかかる他の一例を示す断面図である。 従来のセラミックヒータを示す図であって、リード部材の長手方向に垂直な面での断面図である。
符号の説明
1、101・・・セラミックヒータ
3・・・セラミック基体
3a・・・スルーホール
5・・・発熱抵抗体
7・・・電極パッド(外部電極)
9、109・・・ロウ材
11、111・・・リード部材
13・・・引き出しパターン
15・・・スルーホール導体
17・・・凹部
19・・・充填材
21・・・凸部
23・・・セラミック芯材
25・・・金属皮膜

Claims (11)

  1. セラミック基体と、該セラミック基体に埋設された発熱抵抗体と、前記セラミック基体の側面に配設され、前記発熱抵抗体と電気的に接続された外部電極と、該外部電極にロウ付けされたリード部材と、を備えたセラミックヒータであって、前記リード部材の長手方向に垂直な当該リード部材の断面において、前記リード部材の外周のうちの前記ロウ付けされた部分の一点から前記リード部材の中心までの距離よりも、前記ロウ付けされた部分の他の一点から前記中心までの距離が大きいことを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 前記リード部材は、前記長手方向に垂直な断面において、前記ロウ付けされた部分に凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載のセラミックヒータ。
  3. 前記凹部に前記ロウ材が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のセラミックヒータ。
  4. 前記凹部は、前記セラミック基体側に開口していること特徴とする請求項2または3に記載のセラミックヒータ。
  5. 前記リード部材は、複数の前記凹部を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  6. 前記リード部材は、1つの前記長手方向に垂直な断面において、複数の前記凹部を有していることを特徴とする請求項5に記載のセラミックヒータ。
  7. 前記リード部材は、前記長手方向に垂直な断面において、前記リード部材の中心と前記セラミック基体の中心とを通る直線を介して分けられる2つの領域のそれぞれに前記凹部を有していることを特徴とする請求項6に記載のセラミックヒータ。
  8. 前記直線に対して対称な位置に前記凹部を有していることを特徴とする請求項7に記載のセラミックヒータ。
  9. 前記リード部材は、前記長手方向に垂直な断面において全周にわたってロウ材で被覆されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックヒータを備えたことを特徴とする酸素センサ。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックヒータを備えたことを特徴とするヘアアイロン。
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