JPWO2009025364A1 - 非特異反応抑制剤 - Google Patents

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Abstract

非特異反応因子に特異的に結合する抗体又はその断片と高分子化合物との複合体を含む、免疫学的測定用の非特異反応抑制剤を開示する。前記非特異反応抑制剤は、免疫測定法において、微量物質を正確に検出、定量する際の障害となる非特異反応を抑制することができる。

Description

本発明は、免疫測定法において、微量物質を正確に検出、定量する際の障害となる非特異反応を抑制するための非特異反応抑制剤に関する。
従来より抗原・抗体反応を利用する特異性の高い免疫学的測定法であっても、試料によっては測定しようとする抗原が存在しない場合であっても陽性の測定値を示し、真値とは異なる測定値を示す問題があった。非特異反応と呼ばれる現象である。
測定する抗原に特異的に結合する抗体を不溶性担体へ固相化する免疫学的測定方法として、ラテックス凝集光学的測定法やエンザイムイムノアッセイ法がある。当該測定法を使用し、試料中の抗原濃度を測定する場合、測定対象とする試料によっては、抗原以外にも固相化抗体を認識しこれに反応する因子(非特異反応因子)が存在する場合がある。この場合、測定しようとする抗原が試料中に存在しない場合であっても陽性の測定値を示し、真値とは異なる測定値を示す問題が生じる。
試料中に存在する非特異反応因子としては、測定対象とする抗原以外であって、抗体を固相化した担体に反応するものであれば、特に限定されないが、発生頻度が高い因子としてIgM、IgG、IgAの自然抗体を挙げることができる。試料がヒト体液、例えば、血清や血漿である場合には、ヒトIgMやヒトIgGが非特異反応に高い頻度で関与し、ラテックス凝集光学的測定法においては非特異的なラテックス担体の凝集を発生させる。
当該非特異反応因子による非特異反応を抑制する方法として、抗ヒトIgM、抗ヒトIgG抗体等を測定試薬に共存させ、ヒトIgMやヒトIgGによる影響を回避する方法がある。この場合具体的に添加される抑制剤として、ヒト以外の動物種より得られる血清成分が提案されている(特許文献1)。また、特許文献2には、非特異反応因子を何れかの動物に免疫することで得られた抗体を測定試薬に共存させる方法が記載されている。この種の抗体を測定試薬に共存させることで、非特異反応を低減させることは可能である。
しかしながら、動物血清より得られるIgGやIgMは抗原を認識する部位を複数箇所含有する。例えば、1分子のIgGには2箇所、IgMにおいては少なくとも10箇所の抗原認識部位を有する。それに加えIgGやIgMは、他のタンパク質に比べ疎水性が高い特徴がある。これらの理由により、IgGあるいはIgMと、その標的となる抗原とを同反応液中で共存させた場合、免疫比ろう反応が生じる。免疫比ろう反応とは、複数の抗原がIgGやIgMにより架橋され、巨大な免疫複合体を形成し、光学的に濁度として検出される程度の濁りが発生する現象である。例えば、ヒトIgMに結合する抗体を含む反応液に、ヒトIgMを添加すると免疫比ろう反応が生じ、反応液に濁りが発生する。この場合、光学的に濁度を測定し抗原量を測定するラテックス凝集光学的測定法においては、免疫比ろう反応により正確な測定値を示さない場合がある。そのため、非特異反応因子による非特異反応は回避が可能であるが、当該回避により二次的に生じる免疫比ろう反応が新たに発生するという問題が残る。これらに加え、IgGやIgM分子は、リウマチ因子が試料中に存在する場合、抗体分子内のFc領域にリウマチ因子が結合し、免疫比ろう反応を更に増強するという問題点がある。
当該問題点の対処方法として、測定試薬に添加する抗体量を少なくすることが可能である。しかし、添加量が非特異反応因子による影響を十分に抑制する程度の添加量に達していない場合、非特異反応の抑制は不十分である。
このような背景の基で、非特異反応を抑制する物質として、「抗体」を分解することで得られる「抗体断片」を利用する方法を検討した。例えば、IgG分子をタンパク質分解酵素であるペプシンにより分解し得られるF(ab’)を非特異反応抑制剤として利用する方法を挙げることができる。IgG分子やIgM分子は疎水性の高いFc領域を有する一方、F(ab’)においてはFc領域を含まない。このため、F(ab’)は抗体の添加で認められる免疫比ろう反応は生じにくくなり、測定薬への多量の添加が可能である。また、Fc領域を有しないために、前記リウマチ因子からの影響も解消する。従って、IgGの添加で問題となった、免疫比ろう反応、リウマチ因子の影響はF(ab’)を利用することで回避することができる。また、F(ab’)の非特異反応の抑制効果は、IgGと同程度であった。以上の点より、抗体断片であるF(ab’)を非特異反応抑制剤として利用する方法は、前記抗体を利用する発明に比し、更に実用性の高い方法である。一方、当該抑制剤を含む測定薬についての有用性を評価したところ、測定薬の非特異抑制効果の持続性が不良と判明した。
F(ab’)分子は、ヒンジ部領域のジスルフィド結合を介し2分子のFab’が結合した分子である。F(ab’)の特徴として、酸化還元反応に感受性が高い性質が挙げられる。F(ab’)は容易に還元され、2分子のFab’へ分解される。また、血清成分にはF(ab’)のヒンジ部にてペプチド結合を切断する、タンパク質分解酵素が含まれており、血清からF(ab’)の精製が不充分であった場合、あるいは測定試薬にタンパク質分解酵素等がコンタミネーションする場合ではF(ab’)は分解される。そのため、測定試薬とF(ab’)を共存させた場合、測定試薬の保存方法により、容易にF(ab’)の分解が生じる。Fab’の非特異反応を抑制する効果については、抗体あるいはF(ab’)に比し非常に弱いことから、測定試薬中でのF(ab’)の分解が非特異抑制効果の持続性の悪さの原因と予想された。実際Fab’を非特異抑制の目的で添加した測定試薬では、有意な非特異抑制効果は示さなかった。
一方、これまで述べた免疫学的測定における非特異反応抑制とは別の技術として、化学修飾したFab’を抗腫瘍剤として使用することが公知である。例えば、Delgado
C.等の文献(非特許文献1)においては、Fab’にポリエチレングリコールを化学修飾した、抗腫瘍剤の実施例が報告されている。更に、特許文献3においては、Fab’のチオール基を介して薬剤およびポリマーを結合させた抗腫瘍剤が開示されている。
特開2006−38823号公報 特開平11−287801号公報 米国特許5,541,297号明細書 「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)」,(英国),1996年,第73巻,第2号,p. 175-182
先に述べたとおり、非特異反応抑制剤としての抗体の添加では免疫比ろう反応の影響があった。F(ab’)添加では非特異抑制効果の持続性に問題点があった。上記現状に鑑み、本発明では上記問題点を解決し、かつ経済効率の観点からより少量の添加で効果を示す非特異反応抑制剤を提供することを目的とする。
IgGやF(ab’)は非特異抑制効果を保有する一方、Fab’においては非特異抑制能が非常に低かった。この原因として、(1)Fab’は抗原結合部位を1つしか持たないこと、(2)Fab’は抗原に結合することはできても非特異抑制能を示さない、
すなわち、ある程度の分子サイズがなければ、非特異反応因子に結合可能であっても、非特異反応因子による非特異反応を抑制することができない可能性が示唆された。そこで、本発明者は、Fab’に様々な高分子を結合させ、巨大化し、非特異抑制効果を回復するのかを検討した。その結果、高分子を修飾する際の結合様式は問わず、ポリエチレングリコール、デキストラン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリグルタミン酸のいずれにおいても該高分子の修飾を施すことにより、Fab’の非特異抑制効果が回復した。この事実より、Fab’が非特異抑制効果を消失する原因は後者の仮説(2)が主因であることが明らかとなった。特にポリエチレングリコールを結合させたFab’は、IgGやF(ab’)に比し、1/5ないし1/10程度少量の添加で非特異抑制効果を示すことがわかった。また、免疫比ろう反応を生じにくい性質を示すことが明らかとなった。
従来より、タンパク質をポリエチレングリコールで修飾することが行われてきた。その殆どがタンパク質の安定性を向上させることを目的とするものである。タンパク質を治療薬としてヒトやその他動物に投与する場合に、体内のプロテアーゼの影響の回避する目的や、血中半減期を伸ばすことを目的としてポリマー修飾が実施される場合が多い。しかし、本発明でのポリマー修飾の目的は、抗体断片を巨大化することにあり、安定性向上を目的とした従来のポリマー修飾物とは、目的を異にする点が特徴である。
タンパク質をポリマーにより化学修飾する方法は公知技術である。Roberts

.J.等の総説(Advanced Drug Delivery Reviews 2002, 54, 459-476)やFrancesco M.等の総説(Biomaterials 2001, 22, 405-417)にその主要な方法が記載され
ている。例えば、タンパク質を構成するアミノ酸の側鎖のアミノ基、システイン残基のチオール基、カルボキシル基末端のカルボキシル基、またはアミノ基末端のアミノ基、セリン残基又はスレオニン残基等のヒドロキシル基を標的として、ポリマーを結合する方法が挙げられている。また、抗体あるいは抗体断片へポリマーを結合させる方法も公知技術である。特に抗体を化学修飾する場合には、抗体活性、すなわち、抗原に結合する能力を消失させない方法で、化学修飾体を調製することが有用と考えられている。Andrew
P.等の総説(Advanced Drug Delivery Reviews, 2002, 54, 531-545)に記載されてい
るように、アミノ基やカルボキシル基は抗原認識部位にも存在するため、それらの官能基を標的としてポリマーを結合させた場合、抗原の認識部位がポリマーによりマスクされ、結果として化学修飾により抗体活性を低減するケースが多い。こうしたポリマー修飾による不利益を回避する目的で、例えばFab’のヒンジ部のチオール基、または還元したIgGのチオール基を標的としてポリマーを結合させる方法がある。実際、Slinkin
M.A.等の文献(Bioconjug Chem. 1992, 3(6), 477-483)では、抗体断片のFab’のチオール基へポリマーを結合させた実施例が報告がされている。また、Delgado
C.等の文献(Br J Cancer. 1996, 73(2), 175-182)においては、Fab’にポリエチレングリコールを化学修飾した、抗腫瘍剤の実施例が報告されている。更に米国特許5,541,297号明細書においては、Fab’のチオール基を介して薬剤およびポリマーを結合させた抗腫瘍剤が開示されている。
診断や治療は、体内へ投与する場合(イン・ビボ)と試験管内等の体外で行われる場合(イン・ビトロ)に、一般に分類できる。ポリマー修飾化抗体の用途は、イン・ビボの治療や診断で利用するケースが殆どである。例えば、抗体に薬物またはアイソトープを結合させ、腫瘍等の病変の治療剤あるいは検出剤として体内へ投与する際、ポリマー修飾が施される。その一方でイン・ビトロ診断では、ポリマー修飾化抗体の利用用途が見出されず、利用されてこなかった。イン・ビボと異なりイン・ビトロでは体内へ投与されない。従って、利用を検討する場合、安定性の向上以外で著しい利点が必要であった。従って、本発明は、「非特異反応抑制剤」としての有用性を新たに見出すことで、イン・ビトロの診断での利用用途を新たに提供するものである。
すなわち、本発明は、「非特異反応抑制剤」としての新たな用途を提供するものであり、かつ従来の非特異反応抑制技術より優れた効果を示すものである。
本発明者は、非特異反応抑制剤について鋭意研究した結果、非特異反応物質に対する抗体又はその断片にポリマーを化学結合させることで、免疫比ろう反応、保存における持続性の問題を解消し、かつ少量で非特異抑制効果を示すことを見出した。
本発明は、非特異反応因子に特異的に結合する抗体又はその断片と高分子化合物との複合体を含む、免疫学的測定用の非特異反応抑制剤に関する。
本発明の非特異反応抑制剤の好ましい態様によれば、前記高分子化合物が、多糖類、タンパク質、及び有機高分子重合体からなる群から選んだ化合物であり、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
また、本発明の非特異反応抑制剤の別の好ましい態様によれば、前記高分子化合物の分子量が200Da〜1000kDaである。
本発明の非特異反応抑制剤の更に別の好ましい態様によれば、抗体断片が、F(ab’)、Fab’、Fab、Fd、L鎖、H鎖、又は還元型IgG(rIgG)である。
本発明の非特異反応抑制剤の更に別の好ましい態様によれば、抗体又はその断片と高分子化合物との結合が、チオール基、アミノ基、ヒドロキシル基、若しくはカルボキシル基を利用する化学修飾、又はビオチン−アビジン結合によるものである。
更に、本発明は、非特異反応因子に特異的に結合する抗体又はその断片と高分子化合物との複合体を用いることを特徴とする、免疫学的測定方法に関する。
本発明の免疫学的測定方法の好ましい態様によれば、免疫学的測定方法が、ラテックス凝集光学的測定法、エンザイムイムノアッセイ、免疫比ろう法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、又は放射免疫測定法である。
本発明によれば、抗非特異反応因子抗体断片又はその断片にポリマーを結合させると、非特異抑制効果が著しく増強され、従来の修飾を施さない抗体に比し、5分の1ないし10分の1程度の少ない添加量で抑制が可能となる。同時に、本発明によれば、従来抗体の添加で問題であった免疫比ろう反応の発生の問題や持続性の問題も解消する。
実施例1で調製したFab’Mal及びチオール基封鎖Fab’のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果を示す、図面である。 本発明の非特異反応抑制剤である、20kDaのポリエチレングリコールで修飾したF(ab’)Suc、Fab’Suc、及びFab’Malの非特異反応抑制効果(被検試料=試料A)を、未修飾のF(ab’)と比較して示すグラフである。 本発明の非特異反応抑制剤である、20kDaのポリエチレングリコールで修飾したF(ab’)Suc、Fab’Suc、及びFab’Malの非特異反応抑制効果(被検試料=試料B)を、未修飾のF(ab’)と比較して示すグラフである。 本発明の非特異反応抑制剤である、20kDaのポリエチレングリコールで修飾したFab’Malの非特異反応抑制効果を、未修飾のIgG及びF(ab’)と比較して示すグラフである。 本発明の非特異反応抑制剤である、20kDaのポリエチレングリコールで修飾したFab’Malの免疫比ろう反応を、吸光度の変化により検出し、未修飾のIgGと比較して示すグラフである。 本発明の非特異反応抑制剤である、20kDaのポリエチレングリコールで修飾したFab’Malの保存安定性を、未修飾のF(ab’)と比較して示すグラフである。 実施例6で調製したFab’BSAのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果を示す、図面である。
本発明の非特異反応抑制剤は、非特異反応因子に特異的に結合する抗体(抗非特異反応因子抗体)又はその断片と高分子化合物との複合体(以下、高分子化抗体と称することがある)を含む。
本明細書における「非特異反応因子」とは、抗原抗体反応を利用する免疫学的測定法において非特異的な反応を惹起する物質である。具体的な因子としては、ヒト体液を試料とする場合、ヒトIgM、ヒトIgG、ヒトIgA、ヒトIgE、ヒトIgDおよび当該抗体に結合する因子、例えば、補体、リウマチ因子、Fc受容体等が挙げられ、ヒト以外の動物の体液を試料とする場合は、当該動物のIgM、IgG、IgA、IgE、および当該抗体に結合する因子等が挙げられる。非特異反応因子に対する抗体は、例えば、IgM型の非特異反応因子の場合には、抗ヒトIgM抗体である。またIgA型の非特異反応因子の場合は、抗ヒトIgA抗体である。本発明の非特異反応抑制剤を免疫測定試薬へ添加する場合であって、複数の非特異反応因子が非特異反応を起こすと想定する場合、例えば、IgM、IgG、IgAが非特異反応因子であると想定する場合は、抗IgM抗体、抗IgG抗体、抗IgA抗体から調製した本発明の非特異反応抑制剤を添加することが望ましい。従って、1種類のみの非特異反応抑制剤を添加するように限定はしない。
上記免疫学的測定法としては、例えば、ラテックス凝集光学的測定法、エンザイムイムノアッセイ、免疫比ろう法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法等が挙げられる。何れも抗原抗体反応を利用するが、標的抗原を検出する抗体には、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体がある。
非特異反応因子に特異的に結合する抗体は、非特異反応因子を動物に免疫して得られる抗血清および血漿、正常動物血清、非特異反応因子を認識するモノクローナル抗体、非特異反応因子を認識する遺伝子工学的に作製された抗体(キメラ抗体を含む)等を、一般的に用いられる方法で精製することにより調製することができる。抗体には、ポリクローナル抗体と、モノクローナル抗体がある。抗体のクラスは、各動物種ごとで異なるが、IgG、IgM、IgA等がある。上記動物としては、例えばウサギ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ブタ、ニワトリ等が挙げられる。上記精製方法としては、例えば、塩析方法、電気泳動法、ゲルろ過法、疎水性クロマトグラフィー法、アフィニティークロマトグラフィー法等が挙げられる。
抗体断片は、上記抗体を、例えば、酵素、還元剤、または酵素と還元剤を組み合わせて反応させて得られる抗体の一部分であって、非特異抑制因子に結合することができる限り、特に限定されるものではない。抗体断片の作製は、酵素(例えば、パパイン、ペプシン、トリプシン等)による消化、あるいは、還元剤によるジスルフィド結合の切断、あるいは、これらを組み合わせた公知の方法で行うことができる。例えば、抗体(完全抗体)をパパインで消化すると、FabとFc断片に切断することができる。ペプシンで消化すると、F(ab’)が得られ、更に、還元剤(例えば、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、TCEP・HCl[Tris(2-carboxyethyl)phosphine hydrochloride]、2−メルカプトエチルアミン等)で還元すればFab’断片が得られる。次いで、SH試薬(例えば、ヨードアセトアミド)で処理すれば、L鎖とFdに切断できる。抗体(完全抗体)を還元剤(例えば、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、TCEP・HCl[Tris(2-carboxyethyl)phosphine hydrochloride]、2−メルカプトエチルアミン等)で還元し、次いで、SH試薬(例えば、ヨードアセトアミド)で処理すればL鎖、H鎖、あるいはH鎖間のみが切断されたrIgGを調製することができる。
本発明で使用する抗体断片は、非特異抑制因子に結合することができればよく、例えば、F(ab’)、Fab’、Fab、Fd、L鎖、H鎖、rIgGは抗原結合能を保有する抗体断片である。実施例で具体的に記載したF(ab’)、Fab’以外の抗体断片である、例えば、Fab、Fd、L鎖、H鎖、rIgGであっても、例えば、保有するチオール基、アミノ基、カルボキシル基を標的としてポリマーを結合させたものは、本発明の非特異反応抑制剤の有効成分として使用することができる。なお、本発明においてはFab’にポリマーを修飾させたものを非特異反応抑制剤の有効成分として用いるのが好ましい。
本発明の非特異反応抑制剤の有効成分として用いる高分子化抗体(すなわち、抗非特異反応因子抗体又はその断片と高分子化合物との複合体)としては、例えば、抗非特異反応因子抗体又はその断片を高分子化合物で化学修飾した化学修飾化抗体、あるいは、ビオチン−アビジン結合で結合された、抗非特異反応因子抗体又はその断片と高分子化合物との複合体を挙げることができる。
上記化学修飾では、例えば、チオール基、アミノ基、ヒドロキシル基、あるいはカルボキシル基を標的として、「反応性誘導体」を介して結合させることができる。
チオール基を標的とする修飾で使用される「反応性誘導体」とは、例えば、マレイミド類やビニルスルホン類などのチオール基選択的な反応基を含む。また、ポリマーに直接反応性誘導体が結合したものを利用してもよいし、反応性誘導体を含む架橋剤を利用してもよい。
アミノ基を標的とする修飾で使用される「反応性誘導体」とは、例えば、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)エステルやN−ヒドロキシスルフォスクシミド(Sulfo−NHS)エステル等を含む。また、アルデヒド基を含有する化合物(例えば、グルタルアルデヒド)や、ポリマーであって予めアルデヒド基を含有するポリマー等がある。
カルボキシル基を標的とする修飾では、例えば、カルボジイミド(1-Ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl]carbodiimidehydrochloride)を触媒としてアミノ基と反応させる方法で得られる複合体を含む。
ヒドロキシル基を標的とする修飾では、例えば、イソシアン酸誘導体を含有する化合物を用いて調製することができる。
なお、反応性誘導体が導入されたポリマーは、市販品(例えば、日油株式会社)として取得してもよいし、通常の化学的手法を用いて調製してもよい。
また、ビオチンとアビジンの様に、抗体とポリマーの結合様式が共有結合による結合ではないが、高い親和性を有する結合様式を利用する方法も本発明に含む。
本発明で用いることのできる高分子化合物としては、例えば、多糖類、タンパク質、有機高分子重合体を挙げることができる。
上記多糖類には、例えば、デキストラン、デキストリン、アガロース、カルボキシメチル(CM)−セルロース、ヘパリン、可溶性澱粉等を含む。多糖類は直鎖であっても分技鎖を有するものであっても構わない。多糖類を用いてタンパク質に修飾するには、従来から知られている過ヨウ素酸酸化法、臭化シアン法、カルボジイミド法、塩化シアヌル法、エピクロルヒドリン法、SPDP(N-Succinimidyle 3-[2-pyridyldithio]propionate)試薬法、活性エステル法などを使用することができる。なお、反応性誘導体が導入された多糖類は市販品として取得してもよいし、通常の化学的手法を用いて調製してもよい。
上記タンパク質は、複数のアミノ酸がペプチド結合で結合した複合体であって、動物から精製したものであってもよいし、遺伝子工学で人工的に調製されたものであってもよいし、合成ペプチドのように化学合成により調製されたものでもよい。タンパク質には、例えば、カゼイン、ミルクカゼイン、ゼラチン、リコンビナントのアルブミンなどが含まれる。ポリアミノ酸としては、アルギニン、リジン、グルタミン酸などのホモポリマー、リジンとグリシン、リジンとセリンなどのランダムポリマーを含む。タンパク質の結合方法の例として、タンパク質のアミノ基、カルボキシル基、スルフィド基等を標的として架橋剤を結合させ、当該架橋剤を介して抗体へ結合させる方法がある。また、カルボジイミドを触媒として用い、抗体とタンパク質を結合させる方法もある。本発明では、タンパク質のアミノ基にEMCS[N-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimide;dojin社]やSMCC[succinimdyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane carbonate;dojin社]などの架橋剤を反応させ、抗体断片のスルフィド基へ当該架橋剤を結合させる方法が好ましい。なお、本発明品を調製する際に用いる、反応性誘導体が導入されたタンパク質は市販品として取得してもよいし、通常の化学的手法を用いて調製してもよい。
上記有機高分子重合体の例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアリルアミン、ポリサッカライドを挙げることができる。有機高分子重合体は直鎖であっても分技鎖を有してもよいし、複数種類のランダム共重合体であってもよい。また、デンドリマーのような球状構造の合成高分子でもよい。高分子は合成品であっても天然由来であってもよい。
ポリエチレングリコールは、エチレングリコールが重合した構造を基本とする高分子化合物である。ポリエチレングリコールの水酸基に他の官能基を導入し、その官能基を利用して抗体へ結合させることができる。ポリエチレングリコールと抗体を結合させる際に行う活性化には、例えば、塩化シアヌル、カルボジイミダゾール、N−ヒドロキシコハク酸イミド、カルボジイミドなどを用いる方法が挙げられる。官能基の導入されたポリエチレングリコールとして、市販品を利用することができる。ポリエチレングリコールにマレイミド基、スクシミド基、アミノ基、スルフィド基等を導入された市販品を利用すると、効率よく調製することができる。マレイミド基、スクシミド基が導入されたポリエチレングリコールは抗体との結合効率もよく、より好ましい。なお、ポリエチレングリコールは直鎖であっても分技鎖を含むものであってもよいし、ポリエチレングリコールの一部が他の化学構造で置換されたものやポリエチレングリコールに他のポリマーや化合物が修飾されたものも含む。
ポリエチレングリコール以外の有機高分子重合体による化学修飾の方法として、上記ポリエチレングリコールの化学修飾の方法と同様に、有機高分子重合体に官能基を導入して抗体へ結合させる方法がある。なお、既に反応性誘導体を含有する有機高分子重合体であっては、調製段階で有機高分子重合体への新たな官能基の導入を要しない場合もある。本発明においては、マレイミド基、スクシミド基、アミノ基、カルボキシル基を導入したポリマーを用いることが好ましい。なお、反応性誘導体が導入された有機高分子重合体は、市販品として取得してもよいし、通常の化学的手法を用いて調製してもよい。
上記の高分子化合物の分子サイズは、特に限定されるものではないが、一般には平均分子量が約200Da〜1000kDa、例えば、1kDa〜1000kDa、好ましくは10kDa〜100kDaである。ポリエチレングリコールの場合は、好ましくは20kDa〜200kDaである。用いるポリマーの種類に応じて、親水性、立体構造、非特異抑制効果などを考慮して、分子サイズを適宜選択することができる。
本発明の非特異反応抑制剤は、その有効成分である高分子化抗体(例えば、ポリマー修飾された抗非特異反応因子抗体又はその断片)を免疫測定系に添加することにより使用することができる。具体的には、修飾した非特異反応因子に対する抗体断片の溶液を用意し、測定しようとする抗原に対する抗体を抗原と反応させる前に、予め試料に前記の溶液を添加して、非特異反応因子とそれに対する抗体を反応させることにより、非特異反応因子による非特異反応を抑制してもよいし、測定しようとする抗原に対する抗体の溶液中に修飾した非特異反応因子に対する抗体断片を含ませ、この溶液を試料に添加して、非特異反応因子とそれに対する抗体を反応させることにより、非特異反応因子による非特異反応を抑制してもよい。
免疫測定試薬の測定項目としては、例えば、エラスターゼ、シスタチンC、sEs(可溶性Eセレクチン)、SF(可溶性フィブリン)、PC(プロテインC)、PPI(プラスミンプラスミンインヒビター)、cTn(トロンボモジュリン)、ミオグロビン、CK−MB、BNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)、AFP(α−フェトプロテイン)、β2m(β−2−ミクログロブリン)、CEA(癌胎児性抗原)、フェリチン、CA19−9(糖質抗原19−9)、PAP(前立腺酸性フォスファターゼ)、PSA(前立腺特異性抗原)、CRP(C−反応性タンパク質)、Mb(ミオグロビン)、RF(リウマチ因子)、ASO(抗ストレプトリジン−O)、FDP(フィブリン分解生成物)、ATIII(抗トロンビンIII)、プラスミノーゲン、α2PI(α−2−プラスミンインヒビター)、D−ダイマー(フィブリン分解生成物D−フラグメント二量体)、IgG(免疫グロブリンG)、IgA(免疫グロブリンA)、IgM(免疫グロブリンM)、IgE(免疫グロブリンE)、C3(補体第3成分)、C4(補体第4成分)、尿アルブミン、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)、hPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)、インスリン、HBs抗原(B型肝炎表面抗原)、HBs抗体(抗B型肝炎表面抗原抗体)、HBc抗体(抗B型肝炎コア抗原抗体)、HCV抗体(抗C型肝炎ウィルス抗体)、トレポネーマ(抗梅毒トレポネーマ抗体)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、ジゴキシン、ジギトキシン、キニジン、プロカインアミド、NAPA(N−アセチルプロカインアミド)、テオフィリン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、バルプロン酸、エトスクシイミド、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ジンコマイシン、シクロスポリンA、B12(ビタミンB12)、葉酸、T3(トリヨードチロニン)、T4(チロキシン)、エストロゲンが含まれる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
[目的]
抗非特異反応因子のIgGやF(ab’)は良好な非特異抑制効果を有するが、Fab’においてはその効果が弱い。その原因として、(1)非特異抑制効果を示すには1分子中に複数の抗原認識部位が必要である可能性、(2)非特異反応抑制剤の分子サイズが抑制効果に影響する可能性が考えられた。本実施例は、これらの仮説を検証する目的で実施した。Fab’のように抗原認識部位が1つであっても、非特異抑制効果を示せば、(1)の可能性を否定することができる。また、後者については、様々な大きさの高分子の修飾を施し、非特異抑制効果を検討すれば検証が可能である。
[方法]
ヒトIgMに結合するIgGの抗体の断片(Fab’)を用い、ポリエチレングリコール修飾による非特異抑制効果を検討する目的で、ポリエチレングリコール修飾Fab’(以下、Fab’Malと称する)の調製を実施した。ポリエチレングリコールの修飾様式は、1分子のFab’に、ヒンジ部のチオール基を介して1分子のポリエチレングリコールを結合させることとした。これは、ポリエチレングリコールがFab’の抗原認識部に結合する状況を回避するためである。Fab’の動物種はウサギを選択し、片側の末端のみにマレイミド基を有するポリエチレングリコールを修飾剤として用いることとした。更に、修飾するポリエチレングリコールの長さ(分子量)の違いによる非特異抑制効果の違いを調べる目的で、2kDa、5kDa、12kDa、20kDa、30kDaの各長さのポリエチレングリコールを修飾剤として用い、各種分子量のFab’Malを調製した。陰性コントロールとしては、Fab’からF(ab’)への可逆反応を阻止する目的で、チオール基をN−エチルマレイミドにて封鎖したFab’(以下、チオール基封鎖Fab’と称する)を利用することとした。チオール基封鎖Fab’、2kDaのFab’Mal、5kDaのFab’Mal、12kDaのFab’Mal、20kDaのFab’Mal、30kDaのFab’Malの各々についてその非特異抑制効果を調べることとした。
[Fab’Malの調製]
ウサギ抗ヒトIgMポリクローナルIgG(自家製)をペプシンにて消化し、F(ab’)を調製した。F(ab’)は、150mmol/L NaCl含有200mmol/Lトリス(ヒトロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.2)にて5mg/mLに調製した。F(ab’)は、10mmol/L 2−メルカプトエチルアミンにて37℃で30分間還元し、5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)をランニングバッファーとしてゲルろ過し、Fab’分画を回収した。5mg/mL Fab’溶液に、マレイミド基が結合した30kDaのポリエチレングリコール(日油社製)を加え、4℃で4時間攪拌しながら反応させた。反応液はゲルろ過し、Fab’Malの分画を回収し、5mg/mL程度まで濃縮した。同方法により、2kDa、5kDa、12kDa、20kDaの各分子量のFab’Malを調製した。
[チオール基封鎖のFab’の調製]
ウサギ抗ヒトIgMポリクローナルIgG(自家製)をペプシンにて消化し、F(ab’)を調製した。F(ab’)は、150mmol/L NaCl含有200mmol/Lトリス(ヒトロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.2)にて5mg/mLに調製した。F(ab’)は、10mmol/L 2−メルカプトエチルアミンにて37℃で30分間還元し、5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)をランニングバッファーとしてゲルろ過し、Fab’分画を回収した。5mg/mL Fab’溶液に、5mmol/L N−エチルマレイミド(シグマアルドリッチ社製)を4℃で4時間攪拌しながら反応させた。反応液はゲルろ過し、チオール基封鎖Fab’の分画を回収し、5mg/mL程度まで濃縮した。
得られたFab’Mal及びチオール基封鎖Fab’のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果を図1に示す。図1において、左のレーンより、マーカー、チオール基封鎖Fab’、30kDa Fab’Mal、20kDa Fab’Mal、12kDa Fab’Mal、5kDa Fab’Mal、2kDa Fab’Mal、チオール基封鎖Fab’、マーカーを示す。
[非特異反応抑制剤の効果を評価するアッセイ条件]
Fab’Mal及びチオール基封鎖Fab’による非特異抑制効果をラテックス凝集光学的測定法により検討した。利用した測定抗原はDダイマーであり、Dダイマー測定試薬[エルピアエースDダイマーII;三菱化学メディエンス]において上記記載の非特異反応を呈するヒト血漿であって、非特異反応物質がIgMであることを特徴とする2種類の試料(試料A及びB)を披検試料として用いた。測定は自動分析装置のHITACHI7170(日立ハイテクノロジー社製)によるオートメーション操作で実施した。HITACHI7170による測定においては、主に2つの操作を実施させた。第一操作では、測定対象の試料を第一試薬(以下、R1と称する)により希釈させた。第二操作では、Dダイマーに反応する抗体が固相化されたラテックス粒子を含有することを特徴とする第二試薬(以下、R2と称する)を前記反応液に添加させ、ラテックスの凝集反応を生じさせた。当該凝集反応を光学的にモニターすることで、披検体中のDダイマーあるいは非特異反応因子を定量することとした。本実施例においては、R1にFab’Mal又はチオール基封鎖Fab’を添加し、第一操作中に非特異反応物質を吸収することとした。R1にはFab’Mal又はチオール基封鎖Fab’が100mg/Lとなるように添加した。なお、本実施例にて用いたFab’Mal及びチオール基封鎖Fab’は、アフィニティークロマトグラフィーにより、フィブリン分解産物(Dダイマーを含む)に反応する成分を除去する操作を施した。測定試料、R1、R2の混合比は、7μL:125μL:125μLとした。ラテックスの凝集は800nmの波長で検出した。測定値は濃度既知のDダイマーを測定して得られた検量線から、吸光度の比較により測定値を算出した。
[Dダイマー測定用R2]
三菱化学メディエンス株式会社が販売する体外診断用試薬「エルピアエースDダイマーII」の構成試薬のラテックス試薬をR2試薬として用いた。当該製品は、Dダイマーに対し特異的な結合能を有するモノクローナル抗体を化学結合により結合された不溶性担体を構成成分とする試薬である。
[試験結果]
結果を表1に示す。表1に示すように、何れの分子量のFabMal’でも非特異反応の抑制効果を示した。また、Fab’Malによる効果は分子量の大きさに依存する結果を示し、ポリエチレングリコールの修飾を施す場合、高分子のポリエチレングリコールを修飾させるほど非特異抑制効果が高いことが明らかとなった。
《実施例2》
[目的]
実施例1の結果から、Fab’のように抗原認識部位が1つであっても、ポリエチレングリコールによる修飾を施すと非特異抑制効果を示すことが明らかとなった。また、修飾する分子量が大きい程、該効果は増強した。そこで本実施例においては、高分子を抗体断片に修飾すると、修飾しない場合に比し、非特異抑制効果が増すかを検討する目的で実施した。
[方法]
非特異反応因子に反応するF(ab’)を用い、スクシミド基を片側末端に含有する20kDaのポリエチレングリコールで化学修飾した、ポリエチレングリコール修飾F(ab’)[以下、F(ab’)Sucと称する]を調製した。同様にチオール基封鎖Fab’に、同ポリエチレングリコールで化学修飾した複合物(以下、Fab’Sucと称する)を調製した。抑制効果の比較は、本発明品であるF(ab’)Suc、Fab’Suc、及びFab’Malと、F(ab’)とを比較して実施した。なお、本実施例にて用いた抗体断片あるいは化学修飾を施した抗体断片は、同一のロットの抗体より調製した。
[F(ab’)Suc及びFab’Sucの調製]
ウサギ抗ヒトIgMポリクローナルIgG(自家製)をペプシンにて消化し、F(ab’)を調製した。また、実施例1記載の方法により、チオール基封鎖Fab’を調製した。F(ab’)及びチオール基封鎖Fab’は、5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)を外液として透析を実施した。5mg/mL F(ab’)又はチオール基封鎖Fab’溶液に、スクシミド基が結合した20kDaのポリエチレングリコール(日油社製)を加え、4℃にて12時間攪拌しながら反応させた。反応液はゲルろ過し、目的物であるF(ab’)Suc及びFab’Sucの分画を回収し、5mg/mL程度まで濃縮した。
[非特異反応抑制剤の効果を評価するアッセイ条件]
実施例1記載のアッセイ条件と同様の方法にて、ポリエチレングリコール修飾を施した抗体断片と、施さないF(ab’)を比較することで非特異抑制効果を検討した。但し、本実施例においては、非特異反応抑制剤の添加濃度が0mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/LのR1において効果の評価をした。また、被検体として、実施例1で用いたのと同じ試料A及びBを使用した。
[試験結果]
結果を図2(試料A)及び図3(試料B)に示す。図2に示すように、修飾を施さないF(ab’)に比べ、20kDaのポリエチレングリコールを施したF(ab’)Suc、Fab’Suc、及びFab’Malにおいては、著しく非特異抑制効果が増すことが明らかとなった。
《実施例3》
[目的]
実施例2の結果が示すように、抗体断片をポリエチレングリコールにて修飾を施した場合、施さない場合に比べ顕著に非特異抑制効果が増強することが明らかとなった。そこで本実施例は、従来技術であるIgGの添加による効果と比較し、本発明の効果を明確にすることを目的とする。
[方法]
20kDaのFab’Mal、IgG、F(ab’)とで抑制効果の比較を実施した。上記3種類の物質は、同一のロットのIgGより調製した。
[非特異反応抑制剤の効果を評価するアッセイ条件]
実施例1記載のアッセイ条件と同様の方法にて、非特異反応抑制効果の検討を実施した。但し、実施例3においてはIgG、F(ab’)、20kDaのFab’Malをそれぞれ50mg/Lの濃度でR1へ添加し、検討に用いることとした。
[試験結果]
結果を図4に示す。図4に示すように、高分子を修飾したFab’Malは、IgGやF(ab’)に比べ、非特異抑制効果は著しく高いことが判明した。このことより、本発明品は少なくとも従来技術の、修飾されていないIgGよりも、非特異抑制効果の能力が高いことが示された。
《実施例4》
[目的]
本発明の非特異反応抑制剤であるFab’Malは、IgGやF(ab’)より非特異抑制効果が高いことが明らかとなった。次に従来技術で問題となった、免疫比ろう反応について検討することを目的として実施した。
[方法]
免疫比ろう反応は、抗原とその抗体が高濃度で共存した場合に発生し易い。本実施例では、抗原としてヒトIgM(自家製)を用い、抗体に相当するものとして20kDaのFab’Malを用いることとした。IgGまたはFab’Malを、Dダイマー測定試薬のR1へ200mg/Lの濃度で添加した。一方、測定試料は、図5に示すように、ヒトIgMを0.99mg/mL〜5.9mg/mLの範囲で含む試料を用いた。一般に健常人のIgM濃度は1.00mg/mL〜1.5mg/mLとされている。本実施例では実際にヒト血漿あるいは血清を測定する場合に想定されるIgM濃度領域を含有する。免疫比ろう反応の影響はHITACHI7170にて800nmの波長で光学的に測定した。
[免疫比ろう反応を評価するアッセイ条件]
HITACHI7170にて、試料、R1、R2をそれぞれ10μL、180μL、180μLの割合で反応させ、800nmの波長で検出し、吸光度の上昇を測定した。
[試験結果]
結果を図5に示す。図5には、被検体の試料とR1液の混和開始からR2液が添加される直前までの吸光度の変化を示した。本条件では、吸光度の上昇が認められた場合に免疫比ろう反応が生じていると判断できる。
なお、800mg/Lの高濃度のFab’Malにおいても吸光度の上昇は認められないことを確認した。
《実施例5》
[目的]
実施例4より、Fab’Malは免疫比ろう反応が生じにくいことが明らかとなった。次に本発明の保存に対する持続性について検討した。
1分子のF(ab’)は2分子のFab’へ分解する。特にF(ab’)をR1へ添加して保存した場合、容易にFab’へ分解される為、問題となる。Fab’は非特異抑制効果が弱く、非特異反応を起こす検体を測定した場合、経時的な値の上昇を認めるからである。実施例5においては、Fab’Malの保存安定性を明らかにする目的で、37℃で保存した場合の非特異抑制効果を検討した。一般に免疫学的測定用試薬は、4℃にて保存するのが適切な保存方法である。試薬を37℃で保存した場合、非特異抑制効果の劣化は4℃保存に比し,短時間で観察することが可能である。これは、30℃ないしは40℃においてはFab’への分解が加速されやすい為である。該温度域では、Fab’化の主要な因子である、プロテアーゼ様因子ないしは酸化還元反応の影響を受けやすい為である。本実施例においては、F(ab’)の分解が特に顕著であり、実際試薬の劣化で問題となる要因となる、37℃での保存条件を選択し、Fab’Malの安定性を検討した例を示す。
[方法]
F(ab’)またはFab’Malを含有するR1試薬を調整し、当該R1試薬を37℃にて保存した場合の非特異反応の抑制効果を検討した。該抑制効果は前記試料Aの測定値を測定することにより評価した。
[保存安定性を評価するアッセイ条件]
200mg/LのF(ab’)またはFab’Malを含有させたR1を調整し、37℃で保存した場合の差を検討した。
本実施例においては、R1試薬を37℃にて17日間保存し、0日、5日、10日、17日の保存時点で試料Aを測定した。試料Aの測定はHITACHI7170にて、実施例1記載の条件と同様に実施した。
[試験結果]
結果を図6に示す。図6に示すように、F(ab’)はR1へ添加し37℃で保存した場合には試料Aの測定値が経時的に上昇した。一方,Fab’Malにあっては、17日まで測定値の経時的な上昇は認められなかった。このことより、Fab’MalはF(ab’)で問題であった、保存性については安定であることが明らかとなった。
《実施例6》
[目的]
Fab’Mal以外の実施例について検討する目的で、BSAをFab’のヒンジ部チオール基を介して結合させた複合体(以下、Fab’BSAと称する)を調製し、非特異抑制効果を検討した。
[方法]
BSAの表面アミノ基を介して、マレイミド基とスクシミド基を構造に含む架橋剤であるEMCS(DOJIN社製)を反応させた。次に、Fab’に、EMCS化を施したBSAを結合させた。効果の測定は実施例1に記載の方法を準用した。但し、Fab’BSAは、0mg/L、33mg/L、66mg/L、133mg/Lで添加したR1を使用した。
[Fab’BSAの調製方法]
BSA(SIGMA社製)を5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)で5mg/mLに調製し、これに5mmol/LとなるようにEMCS(Dojin社)を添加した。37℃で1時間反応させ、ゲルろ過によりBSA分画を回収した。ゲルろ過のランニングバッファーは、200mmol/L Tris,150mMmol/L NaCl含有のトリス緩衝液(pH8.2)を用いた。抗ヒトIgM抗体からのFab’の調製は、実施例1記載の方法により実施した。EMCS修飾させたBSAと5mg/mLのFab’を混和し、4℃で16時間攪拌しながら反応させた。反応液はゲルろ過し、目的物であるFab’BSAの分画を回収し、5mg/mL程度まで濃縮した。ゲルろ過のランニングバッファーは5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)により調製した。
得られたFab’BSAのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果を図7に示す。図7において、左のレーンより、Fab’BSA、Fab’BSA、F(ab’)、Fab’、マーカーの各バンドを示す。
[試験の結果]
結果を表2に示すように、本発明の実施例の1つであるFab’BSAは濃度依存的に非特異抑制効果を示した。このことにより、Fab’はポリエチレングリコール特有の効果でなくBSAを結合させた場合においても同様の効果が得られることが明らかとなった。
《実施例7》
[目的]
Fab’Mal、Fab’BSA以外の実施例について検討する目的で、ポリグルタミン酸をFab’のヒンジ部チオール基を介して結合させた複合体(以下、Fab’PGと称する)を調製し、非特異抑制効果を検討した。
[方法]
ポリグルタミン酸のアミノ基末端のアミノ基を介して、マレイミド基とスクシミド基を構造に含む架橋剤であるEMCS(DOJIN社製)を反応させた。次に、Fab’に、EMCS化を施したポリグルタミン酸を結合させた。効果の測定は、実施例1に記載の方法を準用した。但し、Fab’PGは、0mg/L、5mg/L、50mg/L、100mg/Lで添加したR1を使用した。
[Fab’PGの調製方法]
分子量15kDa〜50kDaのポリグルタミン酸(SIGMA社製より購入)を5mg/mLで5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解し、これに5mmol/LとなるようにEMCS(Dojin社)を添加した。37℃にて1時間反応させ、ゲルろ過によりポリグルタミン酸の分画を回収した。ゲルろ過のランニングバッファーには200mmol/L Tris,150mmol/L NaCl含有のトリス緩衝液(pH8.2)を用いた。抗ヒトIgM抗体からのFab’の調製は実施例1記載の方法により実施し、濃度が5mg/mLになるように、5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)で調製した。EMCS修飾させたポリグルタミン酸とFab’を混和し、4℃で16時間攪拌しながら反応させた。反応液はゲルろ過し、目的物であるFab’PGの分画を回収し、5mg/mL程度まで濃縮した。ゲルろ過のランニングバッファーは5mmol/L EDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)を用いた。
[試験の結果]
結果を表3に示す。表3に示すように、本発明の実施例の1つであるFab’PGは、濃度依存的に非特異抑制効果を示した。このことにより、非特異抑制効果の獲得はポリエチレングリコール、BSAに特有の効果でなくポリグルタミン酸を結合させた場合においても同様の効果が得られることが明らかとなった。
《実施例8》
[目的]
Fab’Mal、Fab’BSA、Fab’PG以外の実施例について検討する目的で、多糖類であるデキストランをFab’のアミノ基を介して結合させた複合体(以下、Fab’DXとする)を調製し、非特異抑制効果を検討した。
[方法]
デキストランの官能基の一部をアルデヒド基に活性化された市販品を用い、当該アルデヒド基とチオール基封鎖したFab’のアミノ基を結合させ、Fab’DXを調製した。効果の測定は実施例1に記載の方法を準用した。ただしFab’DXは、0mg/L、27mg/L、53mg/L、80mg/L、101mg/L、133mg/L、195mg/Lで添加したR1を使用した。
[Fab’DXの調製方法]
分子量40kDaの活性化デキストランのカップリングキット(ピアス社製)を購入し、推奨されたプロトコールに準じてFab’とのカップリングを実施した。チオール基封鎖のFab’は実施例1記載の方法にて調製した。10mgの活性化デキストラン(リン酸緩衝液で5mg/mL溶解)と、5mgのチオール基を封鎖したFab’(リン酸緩衝液で5mg/mL溶解)と、0.4mLシアノボロハイドライド溶液(Cyanoborohydride solution)とを混和した。37℃で24時間攪拌反応させ、Trisが終濃度200mmol/Lとなるように、1mol/L Tris緩衝液(pH7.2)を添加し、37℃で1時間反応させた。反応液は、ゲルろ過し、目的物であるFab’DXの分画を回収し、5mg/mL程度まで濃縮した。ゲルろ過のランニングバッファーは5mmol/L MEDTA含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)を用いた。
[試験の結果]
結果を表4に示す。表4に示すDダイマーの測定値の単位はμg/mLである。表4に示すように、本発明の実施例の1つであるFab’DXは濃度依存的に非特異抑制効果を示した。このことにより、非特異抑制効果の獲得はポリエチレングリコール、BSA、ポリエチレングリコールに特有の効果でなくデキストランを結合させた場合においても同様の効果が得られることが明らかとなった。また、結合方法においてもFab’のアミノ基を標的としてポリマーを結合させた場合であっても効果を示すことができることを確認できた。
《実施例9》
[目的]
実施例1〜8では、IgMに起因する非特異反応について実施例を示した。本実施例ではIgAに起因する非特異反応における本発明品の効果を検討した。非特異反応抑制剤には、ヒトL鎖に親和性を示す抗体より得られたFab’をポリエチレングリコールにて修飾して得られる抗体断片複合体[以下、Fab’(L)Malとする]を用いた。ヒト免疫グロブリンのL鎖は、IgG、IgM、IgA、IgE型のいずれもの構成ドメインとして共通に保持されているため、ヒトL鎖への結合能を示す抗体は前記ヒト免疫グロブリンの何れにも結合し得る。従って、抗ヒトL鎖抗体は、IgM、IgG、IgA等に起因する非特異反応の何れをも阻害することが期待される。本実施例においては、抗IgM抗体以外の抗体を使用した場合の発明の実施例を示すと共に、当該抗体断片をポリエチレングリコールにより修飾することで、当該抗体断片による阻害効果が向上することの確認を行うことを目的とした。
[方法]
Fab’(L)Malは、抗ヒトL鎖抗体のFab’から、実施例1記載のFab’Malの調製方法と同様の方法を使用して調製した。IgA型の非特異検体におけるFab’(L)Malの抑制効果は、Fab’(L)Malの調製に用いた抗体断片のF(ab’)による効果と比較して検討した。測定試薬はDダイマーとし、当該試薬のR1へ50mg/Lの濃度で抗体タンパク質を添加し、非特異抑制効果の比較をした。測定試料には、IgAに起因する非特異反応を生じる試料Eを用いた。
[試験の結果]
結果を表5に示す。表5に示すDダイマーの測定値の単位はμg/mLである。本発明の実施例の1つであるFab’(L)Malは試料Eに対し、非特異抑制効果を示した。またこの抑制効果は、同タンパク質量のF(ab’)を添加した場合と比較すると、著しく強い効果を示すことが明らかとなった。本実施例において、抗IgM抗体以外の抗体より得られる本発明品であっても非特異抑制効果を示すことが明らかとなった。また従来技術より強い抑制効果を示すことが確認できた。試料EのDダイマーの真値は、試料を予め抗IgA抗体と接触させ、非特異反応の原因である抗体因子を除去したうえでDダイマー値を測定し、得られた値を示す。
本発明の非特異反応抑制剤は、免疫学的測定の用途に適用することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (8)

  1. 非特異反応因子に特異的に結合する抗体又はその断片と高分子化合物との複合体を含む、免疫学的測定用の非特異反応抑制剤。
  2. 前記高分子化合物が、多糖類、タンパク質、及び有機高分子重合体からなる群から選んだ化合物である、請求項1に記載の非特異反応抑制剤。
  3. 有機高分子重合体がポリエチレングリコールである、請求項1又は2に記載の非特異反応抑制剤。
  4. 前記高分子化合物の分子量が200Da〜1000kDaである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非特異反応抑制剤。
  5. 抗体断片が、F(ab’)、Fab’、Fab、Fd、L鎖、H鎖、又はrIgGである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非特異反応抑制剤。
  6. 抗体又はその断片と高分子化合物との結合が、チオール基、アミノ基、ヒドロキシル基、若しくはカルボキシル基を利用する化学修飾、又はビオチン−アビジン結合によるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非特異反応抑制剤。
  7. 非特異反応因子に特異的に結合する抗体又はその断片と高分子化合物との複合体を用いることを特徴とする、免疫学的測定方法。
  8. 免疫学的測定方法が、ラテックス凝集光学的測定法、エンザイムイムノアッセイ、免疫比ろう法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、又は放射免疫測定法である、請求項7に記載の免疫学的測定方法。
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