JP6578119B2 - 前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット - Google Patents

前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット Download PDF

Info

Publication number
JP6578119B2
JP6578119B2 JP2015073912A JP2015073912A JP6578119B2 JP 6578119 B2 JP6578119 B2 JP 6578119B2 JP 2015073912 A JP2015073912 A JP 2015073912A JP 2015073912 A JP2015073912 A JP 2015073912A JP 6578119 B2 JP6578119 B2 JP 6578119B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
specific antigen
prostate
psa
fab
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015073912A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016194437A (ja
Inventor
旭 張
旭 張
周平 松下
周平 松下
小野 智子
智子 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
LSI Medience Corp
Original Assignee
LSI Medience Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by LSI Medience Corp filed Critical LSI Medience Corp
Priority to JP2015073912A priority Critical patent/JP6578119B2/ja
Publication of JP2016194437A publication Critical patent/JP2016194437A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6578119B2 publication Critical patent/JP6578119B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、前立腺特異抗原の測定方法及び測定キットに関する。
前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen;以下、PSAと略称する)は、前立腺上皮細胞から分泌される特異抗原で、前立腺癌のマーカーとして広く利用されている。前立腺癌は主に60歳以上の男性に発病し、生活の欧米化に伴い前立腺癌の死亡率は年々増加傾向にあり、日本では65歳以上のがんによる死亡原因の1位となっている。
血中におけるPSAは、非結合の遊離型PSA(free−PSA;以下、fPSAと略称する)、α1−アンチキモトリプシン(ACT)と結合した複合型PSA(以下、PSA−ACTと略称する)、α2−マクログロブリン(MG)と結合した複合型PSA(PSA−MG)の3種類の形態で存在する(図1)。その60〜90%が複合体(PSA−ACTまたはPSA−MG)を形成し、残り5〜40%がfPSAの形で存在している。これらのうちPSA−MGは、PSA分子の表面がMGで覆われているために免疫学的に測定できない。そのため血中PSAと言えば、fPSAとPSA−ACTの総和である総PSA(total−PSA;以下、tPSAと略称する)を指すと考えられている。
PSAは、前立腺癌のスクリーニング、診断、経過観察などの最も優れた血清学的指標として汎用されている。前立腺癌の診断では、tPSA濃度で4ng/mL以下、4.1〜10ng/mL、10.1ng/mL以上の3つの群に分け、その後の診断方針を決定している。tPSAは前立腺肥大症でも軽度上昇を示すことから、癌症例と前立腺肥大症例とのいずれもが高頻度に分布し得る4.1〜10ng/mLの領域は「グレーゾーン」と呼ばれている。「グレーゾーン」では、直腸診や超音波診断などの精密検査を行い、最終的には生検が行われている。近年の研究により、前立腺癌では前立腺肥大症等の良性疾患に比べて、tPSAに対するfPSAの存在比が低い傾向にあることが明らかになり、tPSA濃度に対するfPSA濃度の比率(F/T比「%」)を求めることで前立腺癌を効率よく鑑別でき、受診者の負担を軽減できると考えられている。
また検診では、将来の前立腺癌の罹患リスクをtPSA濃度とF/T比を用いて判別する「前立腺がん予測ツール」が欧州泌尿器科学会から公開されている。tPSA濃度が0〜1ng/mLのとき、F/T比が25%以上では5年ごと、F/T比が25%以下のケースでは1年ごとに検診を受診することとし、tPSA濃度が1〜2ng/mLのときは、F/T比が18%以上では3年ごとの検診、F/T比が18%以下なら毎年検診を受けることを提唱している。
さらに術後の経過観察においては、再発のカットオフ値を0.2ng/mLとすべきであると言われており、より高感度に、より低濃度域から高濃度域までを測定できるtPSAの測定系が求められている。
広くF/T比が用いられていることから、tPSAの測定は、血中のfPSAとPSA−ACTの両分子を同等に捉えられる等モル反応性(Equimolar response)で測定することが不可欠である。等モル反応性とは、異なる存在様式の測定対象分子において、同じモル数(分子の個数)に対して同じ測定値(シグナル)を示すことを意味する。
しかし、1990年代に市販されている各社のtPSA測定試薬の測定値の間に無視できないほどの差が存在した。日本泌尿器科学会と日本臨床病理学会で構成された「血清tPSA測定に関する調査研究委員会」は1997年に22社28種のキットが参加するサーベイを実施し、それぞれのキットのfPSAとPSA−ACTに対する免疫反応特性を定量的に解析した。その結果、半数の14キットがfPSAに偏った反応を有することが分かった。このような免疫反応性の違いがキット間の測定値の差の主たる要因だと明らかにした。偏った反応を示した試薬キットは等モル反応性にないことが示唆された。
等モル反応性が成立しない原因として、主にエピトープと反応時間の2つの要因が考えられている(非特許文献1)。エピトープに関しては、PSAとACTが複合体を形成することにより、一部あるいは完全にマスクされるエピトープが存在するため、fPSAのエピトープ数はPSA−ACTよりも多いことが挙げられている。そのため、ポリクローナル抗体を用いた測定系では、PSA−ACTよりもfPSAが優位に検出される。
上記問題を解決するために、特許文献1では、反応混合液にfPSA上のACTと結合する領域に対する抗体を加えることで、PSA−ACTでは隠れているfPSA上のエピトープをマスクし、ポリクローナル抗体を用いたPSA免疫検定法で見られるバイアスを是正できることが開示されている。
もう一つの要因として、単位時間内でのPSA−ACTと抗体との反応速度は、fPSAと抗体との反応速度と比較して遅いことが挙げられている。エピトープが同一の場合、等モル反応性は抗原抗体反応が平衡に達することで成立するが、それには長い反応時間を必要とする(図2;非特許文献1の転載)。しかし、一刻も早く測定結果を得たいという検査現場の要望から、平衡に達する前に反応を打ち切ると、やはりPSA−ACTよりもfPSAが優位に検出されてしまう。
このような問題を解決するために、特許文献2では、やはりPSA−ACTとは反応しないfPSAに対する抗体を試料に添加するラテックス凝集法が開示されている。添加する抗体については、IgG分画、あるいはその抗体断片であるF(ab’)分画、Fab分画のいずれにおいても、検出用抗体に対するfPSAの反応性とPSA−ACTの反応性が近づくことが示されている。
特表平9−508969号公報 特開2001−311733号公報
Robert T.McCormack,et al.,MOLECULAR FORMS OF PROSTATE−SPECIFIC ANTIGEN AND THE HUMAN KALLIKREIN GENE FAMILY:A NEW ERA.Urology,May.1995,Volume45,Number5,729−744
しかしながら、特許文献1の方法は、fPSA上のエピトープをマスクする必要があることから十分な反応時間を必要とする。また、特許文献2のラテックス凝集法は、測定感度が低く、測定可能範囲も狭いという問題があった。
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、高感度かつ広い測定範囲を有し、fPSAとPSA−ACTの反応性を等しく測定することが可能な総PSAの測定方法およびその測定キットを提供するものである。
本発明者らは、上記のような課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、総PSAの測定において、抗fPSA抗体のFabまたはFab’フラグメントを試料に添加することにより、fPSAとPSA−ACTの抗体との反応速度差を解消し、低濃度域から高濃度域までの広い測定範囲で、等モル反応性を成立させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の発明に関する:
[1]遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する抗体と、
遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントとを含む、
PSA測定キット。
[2]遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体が、固相化または標識化されている、[1]のPSA測定キット。
[3]遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体として、エピトープの異なる二種類の抗体を含む、[1]又は[2]のPSA測定キット。
[4]遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する固相化第一抗体と、
遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応し、且つ、前記第一抗体とは異なるエピトープを認識する標識化第二抗体と、
遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントとを含む、
PSA測定キット。
[5]前記Fab又はFab’フラグメントが、検体処理液に含まれている、[1]〜[4]のいずれかのPSA測定キット。
[6]各抗体及びFab又はFab’フラグメントがモノクローナル抗体である、[1]〜[5]のいずれかのPSA測定キット。
[7]試料に、遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントを添加する工程、
遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する抗体を添加する工程
を含む、PSA測定方法。
[8]さらに、B/F分離工程を含む、[7]のPSA測定方法。
[9]遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体が、固相化または標識化されている、[7]又は[8]のPSA測定方法。
[10]遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体として、エピトープの異なる二種類の抗体を含む、[7]〜[9]のいずれかのPSA測定方法。
[11]試料に、遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントを添加する工程、
遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する固相化第一抗体を添加する工程、
遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応し、且つ、前記第一抗体とは異なるエピトープを認識する標識化第二抗体を添加する工程、
B/F分離工程
を含む、PSA測定方法。
[12]前記FabまたはFab’フラグメントを添加する工程が、遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体を添加する工程より先に行われる、[7]〜[11]のいずれかのPSA測定方法。
[13]使用される抗体がすべてモノクローナル抗体である、[7]〜[12]のいずれかのPSA測定方法。
本発明によれば、総PSAの測定において、短時間に低濃度から高濃度まで、fPSAとPSA−ACTの反応性を等しく測定することが可能となる。これにより、測定試料中のPSA濃度に影響を受けることなく、高感度かつワイドレンジで総PSAを測定することが可能となった。
血中PSAの3種類の異なる存在様式を模式的に示す説明図である。 非特許文献1に記載のTandem−R PSA測定キット(dual-monoclonal sandwich assay)におけるfPSAとPSA−ACTの反応速度差を示すグラフである(非特許文献1の転載)。fPSAとPSA−ACTをそれぞれ等モル濃度含む溶液に対する応答を反応時間ごとにプロットしている。 抗fPSA抗体のフラグメントFab’をfPSAと反応させた時の状態を模式的に示す説明図である。fPSAの分子量がPSA−ACTの分子量とほぼ同等になる。
本発明は、免疫反応を利用するものであれば限定されない。免疫反応を利用した測定方法は、B/F分離を必要としないホモジニアス法と、B/F分離操作後、標識に基づくシグナルから抗体または抗原の測定が行われるヘテロジニアス法に大別されるが、測定感度も高く、特に極微量成分の測定に好適であることから、本発明ではヘテロジニアス法が特に好ましく用いられる。
B/F分離とは、標識物質で標識された標識抗原または標識化抗体と、抗体または抗原が反応した結果生じる抗原抗体複合体(Bound型:B)を、遊離の標識体(Free型:F)から分離する操作のことである。B/F分離操作としては、例えば、反応の結果生じる抗原抗体複合体を、不溶性担体上に固定化された測定対象物質に対する抗体に結合させた後、不溶性担体とともに分離する固相法、あるいは抗原抗体複合体の抗体に対する抗体(二次抗体)をさらに添加して該複合体とのさらなる複合体を形成させた後、これを沈殿物として分離する二次抗体法等が挙げられる。
ホモジニアス法としては、例えば、一元放射免疫拡散法、比濁法、比ろう法、凝集法等が挙げられ、濁度の変化等により、反応相内での抗原抗体複合体を直接測定する。
へテロジニアス法としては、例えば、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法等が挙げられる。放射免疫測定法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法はそれぞれ放射性物質、酵素、蛍光物質を、標的物質に特異的に反応する抗体に結合した標識化抗体を用いる方法で、一般的には、抗体や抗原を不溶性担体に結合した固相化抗体または固相化抗原と組み合わせた固相法で使用される。固相法には「固相化抗体−抗原−標識化抗体」複合物を作らせ測定する非競合法や、固相化抗原と検体中の遊離抗原が反応系内に添加された一定量の標識化抗体に対して競合的に反応することを原理とする競合法がある。高感度かつ広い測定範囲を有するものであれば制限はないが、増感を行いやすいため酵素反応を利用したものが好ましく、なかでも化学発光酵素免疫測定法が好ましい。また、非特異反応によるシグナルを低下させることができることから、非競合法が好ましい。
本発明における測定対象試料は、例えば、血液(全血、血清、血漿)、尿など、臨床において採取可能であり、PSAを含む検体であれば限定されない。臨床においては血液、特に利便性の観点から血清が好ましい。また、精製PSAを含む溶液、培養液、細胞あるいは臓器からの抽出液も測定対象試料として使用できる。さらに、fPSAとPSA−ACTの両方、あるいはどちらか一方を含むものも測定対象試料として使用できる。
本発明においては、従来公知の免疫学的総PSA測定キット又は測定方法で使用する「fPSAに反応し、且つ、PSA−ACTと反応する抗体」(抗tPSA抗体)に加えて、「fPSAに反応するが、PSA−ACTと反応しない抗体」(抗fPSA抗体)のFabフラグメント又はFab’フラグメントを使用する。前記抗fPSA抗体としては、ACTの結合により完全に隠れてしまうPSA上のエピトープを特異的に認識する抗体であることが好ましい。FabまたはFab’フラグメントは、酵素処理や化学処理等の公知の方法に従って、完全抗体から調製することができる。たとえば、Fabフラグメントは、抗体をパパインで消化することにより得られる。Fab’ フラグメントは、抗体をペプシンで消化することにより得られるF(ab’)フラグメントを、更に還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール又はメルカプトエチルアミン)で還元することにより調製することができる。すなわち、抗体分子のヒンジ領域には、2本のH鎖を連結するS−S結合1個が存在しており、このS−S結合のC末端側下流で、ペプシンによる分解を受けるので、F(ab’)フラグメントのC末端側領域には、前記S−S結合が残っている。続いて、還元剤により前記S−S結合を還元すると、F(ab’)フラグメント1分子から、C末端側領域にSH基1つを有するFab’ フラグメント2分子が生じる。こうして調製したFab’フラグメントは、チオール基の安定化処理を行わない場合、長期保存や溶媒の影響を受けてその全部あるいは一部分が再びF(ab’)を形成する可能性があり、長期に渡り等モル反応性を維持するためには、チオール基の安定化処理を行うほうが好ましい。安定化処理は、公知の方法に従って行うことができる。
抗fPSA抗体のFabまたはFab’フラグメントの使用濃度は、測定範囲の上限において等モル反応性を達成できる濃度を基準とすればよく、基準濃度の1〜10倍量を使用濃度とすることが好ましい。抗体の性質や反応時間によって等モル反応性を達成できる濃度が異なるが、事前に予備実験を行って基準濃度を決めればよい。
前記の抗tPSA抗体は、例えば、標識化抗体、及び/又は固相化抗体として使用することができる。本発明で使用する標識化抗体は、fPSAとPSA−ACTで共通のエピトープを有する抗体を用いて調製することができる。使用可能な抗体としては完全抗体や、それを酵素処理や化学処理により切断したF(ab’)やFab’、Fab、Fv等のような抗体断片が挙げられる。
標識化抗体に使用される標識物質としては、例えば、酵素、蛍光物質、放射性同位元素、不溶性粒状物質などが挙げられる。該標識用の酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリン、ユーロピウムなどが挙げられる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。
また、標識物質が酵素である場合、該酵素に対する基質を用いて発光、蛍光又は発色反応を行うことにより、標識物質を測定できる。例えば、酵素がアルカリホスファターゼである場合、基質としては、CDP−star(登録商標)(4−クロロ−3−(メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2'−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、AMPPD(登録商標)(アダマンチルメトキシフェニルホスホリルジオキシセタン)、APS−5などの化学発光基質;4−メチルウンベリフェリルフォスフェート(4−methylumbelliferylphosphate)などの蛍光基質;p−ニトロフェニルホスフェート、BCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸)、NBT(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド)、INT(ヨードニトロテトラゾリウム)などの発色基質を用いることができる。
固相化抗体は、標識化抗体で使用される抗体と同様に、fPSAとPSA−ACTで共通のエピトープを有する抗体を用いて調製することができる。標識化抗体と同じエピトープを認識する抗体でもよいし、異なるエピトープを認識する抗体でもよい。異なるエピトープを認識する抗体であるとより好ましい。使用可能な抗体としては完全抗体や、それを酵素処理や化学処理により切断したF(ab’)やFab’、Fab、Fv等のような抗体断片が挙げられる。抗体を固定化する固相担体としては、マイクロタイタープレート、試験管、ビーズ、粒子、ナノ粒子などが挙げられる。粒子としては、磁性粒子、ポリスチレンラテックスのような疎水性粒子、粒子表面にアミノ基、カルボキシル基などの親水基を有する共重合ラテックス粒子、赤血球、ゼラチン粒子などが挙げられる。中でも、迅速簡便なB/F分離を実現する観点においては磁性粒子が特に好ましく、具体的には、例えば、四酸化三鉄(Fe)、三酸化二鉄(Fe)、種々のフェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属、コバルト、ニッケル、マンガンなどの合金からなる微粒子等の磁性粒子が好ましく用いられる。また、これらの磁性粒子を、ポリスチレン等の高分子のラテックスや、ゼラチン、リポソーム等の内部に含まれる形で調製したり、表面に固定化したりしたものを好ましく用いることができる。
上述の抗体(断片)はそれのみで、あるいはタンパク質、多糖類、または合成高分子物質等の他の高分子物質とともに、有機化学的手法、または生物学的親和性に基づく相互作用などを介して文献から公知の方法により、標識物質または固相担体との結合体を製造することができる。
有機化学的方法では、例えば、架橋試薬を用いて共有結合させることにより結合体を製造することができる。主な架橋試薬としてはカルボジイミド、イソシアネート、ジアゾ化合物、ベンゾキノン、グルタルアルデヒド、過ヨウ素酸、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル化合物、マレイミド化合物、ピリジル・ジスルフィド化合物等があげられる。
生物学的親和性を利用した結合体の製造方法の例としては、アビジンとビオチンの結合を利用した方法がある。例えば同一抗体の抗体(断片)とアルブミンなどの他の高分子物質の両方にビオチン分子を導入しアビジンにより架橋する方法や、あるいは両者の一方にアビジンを導入し、もう一方にビオチンを導入して架橋する方法がある。ビオチン分子の導入にはビオチニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシミニドエステルなどが試薬として使われる。
抗体(断片)と標識物質及び/又は固相担体との結合体は、本発明に係る抗原抗体反応の前に製造してもよいし、事前に一方の結合体を製造していなくても、液相中で抗原抗体反応を行った後に、標識物質または固相担体と結合させてもよい。例えば、アビジンとビオチンの結合を利用した結合体の製造方法を例にすると、ビオチンまたはアビジン等を導入した抗体(断片)を用いて抗原抗体反応を液相中で行った後に、アビジンまたはビオチン等を導入した標識物質または固相担体と反応させることにより、抗原抗体反応の後に該抗体(断片)を標識化または固定化することもできる。
標識化抗体および固相化抗体の使用濃度は測定性能を考慮して決めればよい。
本発明に係る抗体は、抗体の性質に起因するfPSAとPSA−ACTに対する反応性の差が生じないものであれば、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。抗体を産生する動物種は任意であり、マウスのほか、ラット、ニワトリ、家兎等が挙げられる。
本発明に係る抗原抗体反応は緩衝液中で行われる。使用される緩衝液は公知の通常免疫反応に使われる適当な緩衝液であってよい。また、緩衝液中に通常用いられる添加剤たとえば反応促進剤、洗浄剤または安定剤と共に使用することができる。適当な緩衝液としてグッド緩衝液等が挙げられ、例えば、20〜100mmol/Lリン酸塩緩衝液(pH6〜8)または50mmol/Lトリス−塩酸/100mmol/L NaCl(pH7〜8)などが挙げられる。反応促進剤としては例えばデキストランサルフェートまたはポリエチレングリコールなど、洗浄剤としては例えばTritonX−100、Tween20などを、また安定化剤としてアルブミン、スキムミルク、ゼラチンなどのタンパク質やアジ化ナトリウム、チメロサール、ケーソンCG、プロクリンなどの防腐剤を挙げることができる。
本発明において、抗fPSA抗体FabまたはFab’フラグメントは、固相化抗体及び/又は標識化抗体との本免疫反応の前に試料に添加してもよいし、固相化抗体及び/又は標識化抗体と同時に添加してもよい。予め適当な緩衝液中で試料と抗fPSA抗体FabまたはFab’フラグメントを反応させることで、反応初期にfPSAとPSA−ACTの分子量を同等にし、分子量の違いに起因する反応速度差を解消することが出来ることから、固相化抗体及び/又は標識化抗体との本免疫反応の前に、抗fPSA抗体のFabまたはFab’フラグメントを試料に添加することが好ましい。固相化抗体と標識化抗体は、同時に試料に添加してもよいし、どちらか一方を先に添加してもよい。検出感度を高めるには、別個に免疫反応を行うことが好ましく、第一免疫反応として標識化抗体を添加し、第二免疫反応として固相化抗体を添加してもよいし、第一免疫反応として固相化抗体を添加し、第二免疫反応として標識化抗体を添加してもよい。第一免疫反応として固相化抗体を添加すると、第一免疫反応と第二免疫反応の間においてもB/F分離を行うことができる。酵素標識化抗体を用いる場合には、固相化抗体及び標識化抗体との本免疫反応後にB/F分離を行った後、基質を添加することで測定値(シグナル強度)が得られる。
本発明のPSA測定キットとしては、従来の免疫学的PSA測定キットに抗fPSA抗体FabまたはFab’フラグメントを更に含ませたものであればよい。一般に、ELISA法による測定キットは標識化抗体、固相化抗体、標準物質などの試薬から構成され、さらに必要に応じて、検体と固相化抗体を反応させるため緩衝液、酵素反応のための発色液と反応停止液、固相を洗浄するための洗浄液、検体の前処理剤などを含んで構成される。これらの構成試薬が凍結乾燥品の場合、復元のための溶液も添付される場合がある。
本発明で使用される抗fPSA抗体FabまたはFab’フラグメントは単独でキットの構成試薬にしてもよいし、他の構成試薬に予め添加してもよい。しかし、測定操作を増やすことなしに等モル反応性を達成することを考慮すれば、構成試薬の一成分として添加するのが好ましい。例えば、検体処理液や検体と固相化抗体を反応する緩衝液や標識化抗体溶液に添加してキットの構成試薬とすることが挙げられる。これらの構成試薬が凍結乾燥品の場合には復元液に添加することもできる。固相化抗体及び/又は標識化抗体との免疫反応工程の前に試料と反応させることがよいことを考慮すれば、検体処理液に添加することが特に好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、本実施例中では、PSA−ACTの濃度はすべてfPSA濃度換算で示す。
《実施例1》
本実施例では、異なるPSA濃度を有する試料において、抗fPSA抗体のFab’フラグメントを添加することが等モル反応性に与える影響を確認した。
(1)試料の調製
測定対象試料のPSA濃度が、低濃度のものから高濃度のものまで存在することを想定し、1ng/mLまたは100ng/mLのfPSAおよびPSA−ACTを調製した。市販のfPSAおよびPSA−ACTを、WHO国際基準品(WHO Internation Standard Prostate Specific Antigen (90:10) NIBSC code:96/670)を基準として、それぞれの濃度に調製した。
(2)抗fPSA抗体溶液の作製
PSA−ACTとは反応しない抗fPSAマウスモノクローナル抗体を使用した。公知の方法により、チオール基安定化Fab’フラグメントを調製し、防腐剤を含む0.1MのHEPES緩衝液(pH8.0)に、それぞれ終濃度が、0μg/mL、0.02μg/mL、0.2μg/mL、2μg/mLになるように添加した。
(3)固相化抗体溶液の作製
磁性粒子(JSR社)に抗tPSAマウスモノクローナル抗体を感作し、防腐剤を含む0.01MのMES緩衝液(pH6.0)に分散させた。なお、使用した抗体はfPSAとPSA−ACTに共通のエピトープを認識する。
(4)標識化抗体溶液の作製
抗tPSAマウスモノクローナル抗体をアルカリホスファターゼ(ALP)標識し、0.01MのMES緩衝液(pH6.0)に分散させた。なお、使用した抗体は、fPSAとPSA−ACTに共通するエピトープであるが、固相化抗体で使用した抗体が認識するエピトープとは異なるエピトープを認識する。
(5)発光基質溶液
2−クロロ−5−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2´−(5´−クロロ)−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)−1−フェニルホスフェート・二ナトリウム(CDP−Star(登録商標):アプライドバイオシステム社)を使用した。
(6)測定法
測定には、全自動臨床検査システムSTACIA(LSIメディエンス社製)を使用した。25μLの試料に150μLの抗fPSA抗体Fab’フラグメント溶液を加え、37℃で4分間加温した。その後、60μLの固相化抗体溶液を加え、37℃で6分間加温した後、B/F分離を行い、100μLの標識化抗体溶液を加え、37℃で4分間加温し、再度B/F分離を行った後、100μLの発光基質溶液を加え、37℃で約3分反応後にシグナル強度(counts)を測定した。
比較例として、抗fPSA抗体溶液として、抗fPSA抗体のFab’フラグメントに代えて、抗fPSA抗体の完全抗体IgGを用意した。その結果を表1に示す。
等モル反応性が成立していれば、等モルに調製したfPSAとPSA−ACTのシグナル強度は一致する。一般的に、PSA−ACT/fPSA比が100±10%以内であれば等モル反応性が達成されていると言え、100±5%以内であればより好ましい。抗fPSA抗体IgGおよびそのFab’フラグメントを添加しなかった場合(0μg/mL)では、fPSAのシグナル強度が高く、fPSAが優位に検出されていることがわかる。抗fPSA抗体IgG、またはFab’フラグメントを添加した場合、PSA−ACTのシグナル強度に変化はなく、抗体添加濃度に応じてfPSAのシグナル強度のみが低下した。
100ng/mLのfPSAおよびPSA−ACTを測定した場合、IgGでは0.2μg/mL以上添加した時にfPSAとPSA−ACTのシグナル強度が一致し、Fab’フラグメントでは、2μg/mLを添加にした時にfPSAとPSA−ACTのシグナル強度が一致した。しかし、1ng/mLのfPSAおよびPSA−ACTを測定した場合、IgGでは0.02μg/mL添加した時にfPSAとPSA−ACTのシグナル強度が一致したが、0.2μg/mL以上添加した時にはfPSAのシグナル強度がPSA−ACTのシグナル強度よりも低くなり、等モル反応性が崩れた。一方で、Fab’フラグメントでは0.2μg/mL添加した時にfPSAとPSA−ACTのシグナル強度が一致し、添加量を増やしても等モル反応性は維持されていた。
以上のことから、等モル反応性を達成するためには、添加する抗体量は測定対象試料中のPSA濃度によって調整する必要があることがわかった。すなわち、試料中に100ng/mLのPSAが含まれる場合では、試料中に1ng/mLのPSAが含まれる場合の10〜100倍量の抗fPSA抗体を添加する必要がある。しかし、IgGでは、試料中のPSA濃度に対して添加量が多くなりすぎると、fPSAのシグナル強度がPSA−ACTのシグナル強度よりも低くなり、等モル反応性が崩れてしまう。一方、Fab’フラグメントを添加した場合は、添加量が一定量を超えれば等モル反応性を維持できることが示された。
《実施例2》
さらに試料に添加する抗fPSA抗体の形状が等モル反応性に与える影響を確認した。抗fPSA抗体溶液として、Fab’フラグメントに変えて、完全抗体IgGまたはF(ab’)フラグメントを添加したものを用意した。抗fPSA抗体は実施例1と同じものを用い、1ng/mLのfPSAおよびPSA−ACTを測定した。それ以外は実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示す。
実施例1と同様に、抗fPSA抗体IgGおよびそのFab’フラグメントを添加しなかった場合では、fPSAのシグナル強度が高く、fPSAが優位に検出されていることがわかる。IgG、F(ab’)、Fab’を添加した場合では、PSA−ACTのシグナル強度に変化はなく、抗体添加濃度に応じてfPSAのシグナル強度のみが低下した。IgG、F(ab’)、Fab’ともに0.02μg/mLを添加した時、fPSAとPSA−ACTのシグナル強度が一致し、等モル反応性が成立した。しかし、0.2μg/mL、2μg/mLを添加した時、IgG、F(ab’)を添加した場合はfPSAのシグナル強度がPSA−ACTのシグナル強度よりも低くなり、PSA−ACTが優位に検出された。一方、Fab’を添加した場合は等モル反応性が維持されていた。
実施例1より、測定試料が100ng/mLのfPSAを含む場合に等モル反応性が達成できる抗fPSA抗体濃度は、IgGでは0.2μg/mL、Fab’フラグメントでは2μg/mLであることが明らかとなっている。しかし、その抗fPSA抗体濃度で1ng/mLのfPSAを含む試料を測定すると、Fab’を用いなければ等モル反応性を達成できないことがわかった。このことから、低濃度域から高濃度域までの広い測定範囲を有する測定系においては、試料にFab’フラグメントを添加することが、等モル反応性を達成するために有効であるとわかった。
実施例1や2において、IgGやF(ab’)フラグメントを添加した場合、fPSAとPSA−ACTのシグナル強度が逆転するポイントが観測された。この逆転現象は、fPSAと抗体の複合体の分子量が、PSA−ACTの分子量より大きくなることに起因すると考えられる。溶液中で行われる抗原抗体反応の反応速度は、多くの要因の影響を受ける。その要因の一つとして測定対象物質の形状、特に分子量が挙げられる。分子量の小さなものは分子量大きなものに比べ、溶液中での抗体との反応は速い。PSAの場合、fPSAの分子量は約34,000ダルトン、PSA−ACTの分子量は約94,000ダルトンである。抗体の分子量は150,000ダルトン、F(ab’)フラグメントの分子量は100,000ダルトンのため、fPSAと結合してできる抗原抗体複合体の分子量は、PSA−ACTの分子量よりも大きくなってしまう。しかし、Fab’やFabフラグメントの分子量は50,000ダルトンのため、fPSAと結合してできる抗原抗体複合体の分子量はPSA−ACTとほぼ同等になり(図3)、分子量の違いに起因する反応速度差を解消することができると考えられる。
《実施例3》
次に、Fab’フラグメントの濃度を2μg/mLから段階希釈した抗fPSA抗体溶液を用意した。1ng/mLまたは100ng/mLのfPSAおよびPSA−ACTを測定し、その添加量毎の効果を確認した。測定条件は実施例1と同様である。その結果を表3に示す。
抗fPSA抗体Fab’フラグメントを0.031μg/mL添加すると、1ng/mLのPSA試料において等モル反応性を達成でき、0.063μg/mL以上添加することで、試料中のPSA濃度が1ng/mLであっても、100ng/mLであっても、等モル反応性を達成できることが確認された。測定範囲の上限を100ng/mLのPSAとすると、本実施例に用いた抗体および測定条件では、抗fPSA抗体Fab’フラグメントの使用濃度が0.063μg/mLのときに、測定範囲の上限において等モル反応性を達成できることがわかった。これを基に、以後の実施例では0.25μg/mLの抗fPSA抗体Fab’フラグメントを使用することにした。
《実施例4》
fPSAとPSA−ACTの混合比率を変えた測定対象試料を用いて、抗fPSA抗体Fab’フラグメントの添加効果を確認した。
総PSAが一定量(fPSA濃度換算で1ng/mL)となるようにfPSAとPSA−ACTの混合比率を変えた試料を調製した。抗fPSA抗体溶液として0.25μg/mLのFab’フラグメントを用いた以外は、実施例1と同様に測定した。0、1、10、50、及び100ng/mLのWHO国際基準品を基に作製した検量線を用いて、試料中の総PSA濃度を求めた。その結果を表4に示す。一般的に、測定値の誤差が±10%以内であれば、等モル反応が達成されていると言えることから、PSA−ACTとfPSAの混合比率に依らず等モル反応性が達成できることが示された。
《実施例5》
PSA−ACTと、WHOのtPSA基準品(患者実検体に近い割合でPSA−ACTとfPSAが含まれる)の混合比率を変えた測定対象試料を用いて、抗fPSA抗体Fab’フラグメントの添加効果を確認した。
総PSA濃度が1ng/mLになるようにWHOのtPSA基準品とPSA−ACTの混合比率を変えた試料を調製し、実施例4と同様に測定した。結果を表5に示す。その結果、PSA−ACTの混合比率に依らず等モル反応性が達成できることが示された。
《実施例6》
1ng/mLのfPSAおよびPSA−ACT、及びPSA濃度レベルが異なる4種類の血清サンプルを用意し、実施例4と同様に測定した。結果を表6に示す。その結果、Fab’フラグメントを添加することで、より正確な総PSA濃度の測定が可能となることが示された。
本発明によれば、測定試料中のPSA濃度に影響を受けることなく、広い測定範囲でfPSAとPSA−ACTの等モル反応性を成立させることができる。よって、総PSA濃度を短時間かつ高精度に測定することが可能となり、前立腺癌の検診や診断現場等において有用である。

Claims (12)

  1. ヘテロジニアス法によるPSA測定方法であって、
    試料に、遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントを添加する工程、
    遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する抗体を添加する工程、
    B/F分離工程
    を含み、抗原抗体反応が平衡に達する前に前記反応を打ち切ることを特徴とする、PSA測定方法。
  2. 遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体が、固相化または標識化されている、請求項に記載のPSA測定方法。
  3. 遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体として、エピトープの異なる二種類の抗体を含む、請求項1又は2に記載のPSA測定方法。
  4. ヘテロジニアス法によるPSA測定方法であって、
    試料に、遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントを添加する工程、
    遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する固相化第一抗体を添加する工程、
    遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応し、且つ、前記第一抗体とは異なるエピトープを認識する標識化第二抗体を添加する工程、
    B/F分離工程
    を含み、抗原抗体反応が平衡に達する前に前記反応を打ち切ることを特徴とする、PSA測定方法。
  5. 前記FabまたはFab’フラグメントを添加する工程が、遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体を添加する工程より先に行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のPSA測定方法。
  6. 使用される抗体がすべてモノクローナル抗体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のPSA測定方法。
  7. 遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する抗体と、
    遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントとを含む、
    抗原抗体反応が平衡に達する前に前記反応を打ち切る、請求項1に記載のPSA測定方法に用いるヘテロジニアス法用のPSA測定キット。
  8. 遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体が、固相化または標識化されている、請求項に記載のPSA測定キット。
  9. 遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する前記抗体として、エピトープの異なる二種類の抗体を含む、請求項7又は8に記載のPSA測定キット。
  10. 遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応する固相化第一抗体と、
    遊離型の前立腺特異抗原と、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体との両方に反応し、且つ、前記第一抗体とは異なるエピトープを認識する標識化第二抗体と、
    遊離型の前立腺特異抗原に反応するが、前立腺特異抗原/α1−アンチキモトリプシン複合体とは反応しない抗体のFab又はFab’フラグメントとを含む、
    抗原抗体反応が平衡に達する前に前記反応を打ち切る、請求項4に記載のPSA測定方法に用いるヘテロジニアス法用のPSA測定キット。
  11. 前記Fab又はFab’フラグメントが、検体処理液に含まれている、請求項7〜10のいずれか一項に記載のPSA測定キット。
  12. 各抗体及びFab又はFab’フラグメントがモノクローナル抗体である、請求項7〜11のいずれか一項に記載のPSA測定キット。
JP2015073912A 2015-03-31 2015-03-31 前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット Active JP6578119B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015073912A JP6578119B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015073912A JP6578119B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016194437A JP2016194437A (ja) 2016-11-17
JP6578119B2 true JP6578119B2 (ja) 2019-09-18

Family

ID=57323005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015073912A Active JP6578119B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6578119B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108802392A (zh) * 2018-08-29 2018-11-13 上海市东方医院 一种用于诊断前列腺癌的层析试纸条及其制备方法和应用

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111089965B (zh) * 2019-11-18 2023-09-22 宁波瑞源生物科技有限公司 一种抗原检测试剂盒及其制备方法以及一种抗原检测方法
CN117074678A (zh) * 2023-08-16 2023-11-17 中拓生物有限公司 一种利用流式细胞仪检测tPSA与fPSA的试剂盒

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5599677A (en) * 1993-12-29 1997-02-04 Abbott Laboratories Immunoassays for prostate specific antigen
JP4413371B2 (ja) * 2000-04-28 2010-02-10 日本化薬株式会社 Psaの測定方法及びその試薬
JP5156677B2 (ja) * 2009-03-31 2013-03-06 栄研化学株式会社 免疫学的測定試薬および免疫学的測定方法
WO2011126482A1 (en) * 2010-04-07 2011-10-13 Egenix, Inc. Immunoassay for the diagnosis of prostate cancer
JP5880029B2 (ja) * 2011-12-27 2016-03-08 東ソー株式会社 2またはそれ以上の種類の形態で存在する物質の測定方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108802392A (zh) * 2018-08-29 2018-11-13 上海市东方医院 一种用于诊断前列腺癌的层析试纸条及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016194437A (ja) 2016-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10830771B2 (en) PIVKA-II assay method and method for manufacturing reagent or kit for PIVKA-II immunoassay
Oh et al. Point-of-care fluorescence immunoassay for prostate specific antigen
JP4772786B2 (ja) 安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析方法
EP1678503A2 (en) Specific method for cancer detection
JPWO2018047793A1 (ja) 腫瘍マーカーの測定方法及び測定試薬
US20120252040A1 (en) Kit for diagnosing prostate cancer and diagnosis method
WO2006011543A1 (ja) プローブ複合体
JP6578119B2 (ja) 前立腺特異抗原の測定方法及び測定キット
EP3315969B1 (en) Method of detecting test substance by immune complex transfer method
CN108445215A (zh) 一种定量检测髓过氧化物酶的试剂盒及制备方法
JP4197393B2 (ja) IgA腎症の検査法
TW201802472A (zh) 抗人類血紅素單株抗體或抗體套組、抗人類血紅素單株抗體固定化不可溶性載體粒子、及使用其等之測定試劑或測定方法
JP7315968B2 (ja) 生物学的試料中の遊離aimの免疫学的分析方法及び対象におけるnashの検出方法
JP7361543B2 (ja) Afp-l3測定方法及びafp-l3測定キット、並びに、これらに用いるブロック化標識レクチン
JP2017142241A (ja) 検体中のステロイドホルモンの測定方法
WO2023163176A1 (ja) セリンプロテアーゼの検出用または測定用試薬
JP5156677B2 (ja) 免疫学的測定試薬および免疫学的測定方法
JP2010145202A (ja) ポリエチレングリコールおよび尿素による免疫反応増強方法
WO2023068249A1 (ja) I型コラーゲン架橋n-テロペプチドの測定試薬、その調製方法、及びそれを用いた免疫測定方法
WO2023013725A1 (ja) サイログロブリンのイムノアッセイ及びそのためのキット
WO2023100910A1 (ja) 糞便中エラスターゼ1を測定する方法
CN113092759B (zh) 鳞状上皮细胞癌抗原检测试剂盒
JP7459045B2 (ja) 標的物質の検出方法、標的物質の検出のための試薬、及び標的物質の検出のための試薬キット
JPH0313864A (ja) TNF―αの測定方法,キット及び診断方法
JP2001108681A (ja) 免疫凝集測定用試薬及び測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170808

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180508

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6578119

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350