JP5156677B2 - 免疫学的測定試薬および免疫学的測定方法 - Google Patents

免疫学的測定試薬および免疫学的測定方法 Download PDF

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本発明は、遊離型と複合型の2つの型を有する抗原の測定法に関し、さらに詳しくは補助抗体を用いた免疫学的凝集法および試薬に関する。
血液中などに存在する蛋白質には、遊離型として単独で存在するものと、別の蛋白質と結合して複合型蛋白質として存在するものがあり、その一例として前立腺特異抗原(以下「PSA」と略)がある。
PSAは、1979年にWangらによって最初に精製された抗原であり、前立腺上皮細胞より産生される分子量約34,000のセリンプロテアーゼである。アミノ酸配列と蛋白質分解酵素の機能に関する研究から、PSAは、1964年に原らにより見出されたγ−セミノプロテインと同一物質であることが明らかとなった。
PSAの分泌は、男性の前立腺に特異的ではあるが、前立腺癌に特異的というわけではない。たとえば、PSAの血中濃度は、前立腺肥大症や前立腺炎等の前立腺癌以外の前立腺疾患でも上昇することが報告されている。また、PSAは、正常な前立腺細胞でも産生され、血液中に浸出する場合がある。
PSAは、精液という比較的入手しやすい検体からも精製可能であるため、前立腺癌の各種治療の効果判定、治療後の再発・再燃の評価、さらには根治的前立腺全摘除術後の残存腫瘍の早期検出等の、前立腺癌に関連する幅広い用途に対し、非常に有用な指標となりうる。そのためPSAは、従来利用されてきた前立腺酸性ホスファターゼに代わって、前立腺特異的な腫瘍マーカーとして位置付けられている。
健常な成人男子では、血液中のPSAの濃度は、0.1ng/mL以下と非常に低濃度である。一方、前立腺疾患患者では、悪性、良性を問わず、血液中のPSAの濃度は、健常な成人男子の数10倍の濃度となる。前立腺疾患において血清中に放出されたPSAの大部分は、蛋白質分解酵素による組織障害を防ぐ作用のあるα1−アンチキモトリプシン(以下「ACT」と略)やα2−マクログロブリン(以下「α2M」と略)等の蛋白質分解酵素阻害蛋白との複合型として存在している。しかし、PSAの一部は、非複合型である遊離型PSA(以下「F−PSA」と略)として存在しているため、ACT複合型であるPSA(以下「PSA−ACT」と略)の濃度を測定しただけでは、PSAの濃度を正確に測定することはできない。
したがって、F−PSAとPSA−ACTの総PSAの濃度(以下「T−PSA」と略)を正確に測定することが、前立腺疾患の検出等においては非常に重要である。なお、免疫学的に測定される複合型PSAは、通常PSA−ACTである。α2Mと結合しているPSAは、PSA抗原全体がα2Mで覆われており、抗PSA抗体では認識できず、PSAとして免疫学的に測定することはできないと考えられている。
PSAの測定法はいくつか開発されているが、免疫放射定量法(以下「IRMA法」と略)や化学発光免疫測定法(以下「CLIA法」と略)等の免疫学的測定法が主流である。現在、T−PSA測定用として、免疫学的測定法を利用した様々なキットが市販されている。しかし、血清中のT−PSA濃度の測定値がキット間で大きく異なる点が問題とされている。これは、F−PSAとPSA−ACTのそれぞれに対する試薬の反応性が、キット毎に異なることが主な原因であると考えられている。特に、複合体であるPSA−ACTに対する各試薬の反応性の違いが、キット間の測定値のばらつきの原因であると考えられている。また、PSA−ACTに比べてF−PSAの存在比が低くなると、キット間の測定値のばらつきがさらに顕著になると報告されている。
1997年以降、血清T−PSAの標準化を目指した調査が、日本泌尿器科学会主催で行われている。T−PSAの標準化においては、臨床や検診の場で最も問題となる、20ng/mL以下(特に4〜10ng/mLのグレーゾーン)の濃度でT−PSAを正確に測定できる試薬キットが要望されている。そのため、T−PSAを精度良く測定するために、血清中のF−PSAとPSA−ACTの存在比に関係なく、それぞれに対する反応性が等価(等モル反応)となるような測定法が求められている。
IRMA法やCLIA法においては、F−PSAとPSA−ACTそれぞれに対するモノクローナル抗体を組み合わせることにより、F−PSAとPSA−ACTが等モルで反応することが報告されている(非特許文献1)。IRMA法やCLIA法では、検出用抗体として使用される2つのモノクローナル抗体のうちの一方が、標識抗体として反応液中で自由に動き回れ(自由度が高い)、PSA−ACTとの反応性が高いため、等モル反応が起きやすいと考えられる。
一方、ラテックス粒子等を使用する免疫学的凝集測定法では、F−PSAとPSA−ACTの反応性を等価にすることが困難であるとされてきた。その理由は、免疫学的凝集測定法では、使用される抗体が固相化されており、CLIA法等の場合とは異なり標識抗体の自由度が低いため、検出用抗体とPSA−ACTとの反応性が制限されるためであると考えられる。
しかし、免疫学的凝集測定法は検出方法が簡便かつ迅速であるため、F−PSAとPSA−ACTを等モルで反応できるようにすることのメリットは大きい。そこで、免疫学的凝集測定法において、F−PSAとPSA−ACTの反応性を等価にする方法、またはF−PSAとPSA−ACTの両方の濃度を測定する方法として、幾つかの方法が提案されている。
例えば、F−PSAに特異的な(PSA−ACTとは反応しない)補助抗体を試料に添加し、次にPSAに対する検出用抗体を感作した担体を添加する方法が提案されている(特許文献1)。本技術は、ACTと結合可能なF−PSAの領域に、ある程度分子量の大きい蛋白質(抗体)を結合させ、F−PSAとPSA−ACTの分子量を近づけ、エピトープの数を揃えることで、検出用抗体に対するF−PSAの反応性とPSA−ACTの反応性を近づけ、PSAに対する検出用抗体を感作した担体と、補助抗体が結合したF−PSAおよびPSA−ACTとを等モル反応で測定する方法であるとされている。
また、F−PSAにもPSA−ACTにも反応するが互いに競合しない2種のモノクローナル抗体と、F−PSAには反応せずPSA−ACTには反応するモノクローナル抗体とを別々に不溶性担体に感作し、T−PSAとPSA−ACTを測定する免疫凝集測定法が開示されている(特許文献2)。本技術は、3種類のモノクローナル抗体を感作したラテックスについて、それぞれ特定の2種類を組み合わせて(混合させて)用いることで、F−PSAとPSA−ACTの存在比に影響されることなく測定できる試薬と、複合体のみに特異的な試薬であるとされている。
また、ラテックス等の不溶性担体粒子を使用した免疫学的凝集測定法において、F−PSAとPSA−ACTに対し、反応性の異なるモノクローナル抗体を利用した測定法およびそれに使用する測定試薬が開示されている(特許文献3)。本技術は、F−PSAとPSA−ACTの両方に反応するが、F−PSAより反応が遅いPSA−ACTにより強く結合することによって凝集速度を早め、F−PSAとPSA−ACTが等モル反応となるようにした測定法であるとされている。
特開2001−311733号公報 特開2001−108681号公報 特開2005−326150号公報
Stamey TA「Urology」1995年、45巻、2号、P.173−184
しかし、たとえば、特許文献1に係る方法では、必ずしもF−PSAとPSA−ACTが等モルにならないという問題があった。つまり、特許文献1に習い、F−PSA特異的なモノクローナル抗体を補助抗体として使用しても、検出用抗体に対するF−PSAおよびPSA−ACTの反応が等価にならない場合があるという問題があった。
また、特許文献2に係る方法では、F−PSAに対してもPSA−ACTに対しても結合力に違いがない補助抗体が使用されていた。その結果、検出用抗体との反応性が、F−PSAの100%に対し、PSA−ACTでは約80%しかなく、検出用抗体とF−PSAおよびPSA−ACTとを、等価に反応させることができないという問題があった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、検出用抗体が遊離型抗原および複合型抗原と等価に反応するような、補助抗体を用いた測定方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の免疫学的測定試薬は、遊離型抗原に対する反応性が、遊離型抗原と遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体の反応性を等価に補正する補助抗体を含む免疫学的測定試薬であって、補助抗体は遊離型抗原と複合型抗原の両方に結合可能であり、かつ遊離型抗原と補助抗体との反応性が複合型抗原と補助抗体との反応性よりも高く、検出用抗体が加えられた場合に、遊離型抗原と検出用抗体との反応が複合型抗原と検出用抗体との反応よりも強く抑制される。
本発明の別の態様は、免疫学的測定方法である。この方法は、遊離型抗原に対する反応性が、遊離型抗原と遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体の反応性を等価に補正する補助抗体を用いた免疫学的測定方法であって、遊離型抗原とも複合型抗原とも結合し、遊離型抗原との反応性が複合型抗原との反応性よりも高い補助抗体を添加し、続いて検出用抗体を用いて補助抗体を添加後の遊離型抗原と複合型抗原を含む溶液の濃度を測定する場合に、遊離型抗原の濃度の低下率を複合型抗原の濃度の低下率よりも高くした。
本発明によれば、検出用抗体が遊離型抗原および複合型抗原と等価に反応することができる。
以下、実施の形態に係る免疫学的測定試薬および免疫学的測定方法について説明する。
本実施形態は、抗原が、遊離型と複合型の2つの型を有する場合に、(1)まず補助抗体を含む第1試薬を抗原に加えることによって、遊離型抗原と複合型抗原の検出用抗体に対する反応性を等価にし、(2)次いで検出用抗体を含む第2試薬を加え、免疫学的測定法により抗原の総量を測定する技術に関する発明である。つまり、本実施形態の免疫学的測定試薬は、測定対象物である抗原と結合する抗体として、遊離型抗原と複合型抗原の反応性を等価に補正する抗体である補助抗体と、その後に抗原の濃度の測定のために用いられる検出用抗体の2種類の抗体とを含む。
本実施形態の補助抗体は、遊離型抗原に対する反応性が、遊離型抗原と遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体の反応性を等価に補正する抗体である。また、補助抗体は、遊離型抗原と複合型抗原の両方に結合可能であり、かつ遊離型抗原と補助抗体との反応性が複合型抗原と補助抗体との反応性よりも高い。その結果、検出用抗体が加えられた場合に、遊離型抗原と検出用抗体との反応が複合型抗原と検出用抗体との反応よりも強く抑制される。これにより、遊離型抗原および複合型抗原が、検出用抗体と等モルで反応するように補正することができる。補助抗体はモノクローナル抗体であることが望ましい。
本実施形態の免疫学的測定試薬は、上記の補助抗体を含む試薬であり、補助抗体を含む第1試薬に限られず、第1試薬および第2試薬を含む試薬もしくは免疫学的測定用キットであってもよい。
検出用抗体は、抗原の濃度測定のために用いられる、第2試薬に含まれる抗体である。検出用抗体は、不溶性担体粒子に感作された状態で使用される。検出用抗体は、複合型抗原と反応するポリクローナル抗体であるか、または異なるエピトープを認識し、かつ遊離型抗原および複合型抗原の両方に結合する2種類以上のモノクローナル抗体である。
本実施形態では、より具体的には、測定対象物である抗原は、前立腺特異抗原(PSA)である。PSAは、遊離型(F−PSA)および複合型(PSA−ACT)として生体中に存在する。
本実施形態に係るモノクローナル抗体は、公知の方法によって得ることができる。本実施形態に係るモノクローナル抗体は、公知の方法によって得ることができる。すなわち、マウスをポリクローナル抗体の免疫操作と同様に免疫し、抗体価の上昇を確認したところで、抗体産生細胞を回収する。回収した抗体産生細胞とミエローマとの細胞融合を行った後に、抗体を産生する不死化した細胞を選択培地によって選択する。こうして得られたハイブリドーマから、目的の抗原と反応する抗体を産生している細胞をスクリーニングし、クローニングして抗体産生株として樹立する。得られた抗体産生株をマウスの腹腔に接種して培養し、腹水としてモノクローナル抗体を得る。なお、マウスにかえて、ラット等の免疫動物を用いてもよい。また、ミエローマとの細胞融合でハイブリドーマを作製するのにかえて、B細胞をEBVトランスフォーム等により形質転換させ不死化してもよい。また、モノクローナル抗体の作製は、in vitroで抗体産生株を大量に培養することによって行ってもよい。
本実施形態に係る検出用の抗体を感作する不溶性担体粒子としては、ラテックス粒子が好適である。ラテックス粒子は、様々な免疫化学項目の測定ができる専用型自動分析装置、および生化学活性等も測定が可能な汎用型自動分析装置で使用するのに適している。ラテックス粒子の材質としては、ポリスチレン、スチレン―ブタジエン重合体等が挙げられる。免疫学的凝集測定法で汎用されているポリスチレン製が材質として特に好ましいが、抗体感作に適していればポリスチレン製のラテックス粒子に限定されない。また、ラテックス粒子の粒子径は、不溶性担体粒子として通常使用されている50〜700nmが好ましい。ラテックス粒子の粒子径は均一であってもよく、また異なる粒子径を有するラテックス粒子が混合されていてもよい。
ラテックス粒子への抗体の感作は、公知の技術を利用して実施できる。通常は、ポリスチレンの表面は疎水性であるため、ラテックス表面への物理的吸着で抗体の感作が可能である。また、表面にアミノ基やカルボキシル基を有するラテックス粒子を用いる場合、グルタルアルデヒド、カルボジイミド試薬を使用した化学的結合によって、ラテックス粒子表面に抗体を結合させてもよい。
(測定方法)
ここで、本実施形態の免疫学的測定方法について説明する。本実施形態の免疫学的測定方法は、遊離型抗原に対する反応性が、遊離型抗原と遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体の反応性を等価に補正する補助抗体を用い、遊離型抗原とも複合型抗原とも結合し、遊離型抗原との反応性が複合型抗原との反応性よりも高い補助抗体を添加し、続いて検出用抗体を用いて補助抗体を添加後の遊離型抗原と複合型抗原を含む溶液の濃度を測定する方法である。本実施形態の免疫学的測定方法では、遊離型抗原の濃度の低下率は、複合型抗原の濃度の低下率よりも高くなっている。
本実施形態では、測定対象物である抗原は、PSAである。PSAは、遊離型(F−PSA)および複合型(PSA−ACT)として生体中に存在する。また、補助抗体はモノクローナル抗体であることが望ましい。
本実施形態では、抗原の濃度測定方法として免疫学的凝集測定法を用いたが、抗原の濃度測定は、公知の操作方法により行うことができる。例えば、抗原の濃度測定に光学的測定法を用いる場合、血清等の生体試料と、担体粒子に感作させた抗体とを反応させ、エンドポイント法またはレート法により、透過光や散乱光による吸光度を測定し、濃度を算出することができる。
本実施形態では、補助抗体を用いた補正により、抗原−補助抗体の複合体と検出用抗体との反応性が、遊離型抗原と検出用抗体との反応性と等価になることが特徴である。抗原がPSAである場合、本反応のメカニズムとしては、例えば以下のものが想定される。
F−PSAの分子量は約34,000であるが、IgGである補助抗体および検出用抗体の分子量は共に約150,000であり、F−PSAの分子量よりもIgGの分子量は4倍以上と非常に大きい。そのため、補助抗体がF−PSAに結合すると、F−PSAのエピトープ部位の大部分が補助抗体との結合により覆われてしまうと考えられる。また、補助抗体との結合に関与していないエピトープ部位についても、立体障害により、検出用抗体がF−PSAと補助抗体の複合体(以下「補正後F−PSA」と略)に接近しにくくなる可能性がある。以上の理由により、補助抗体を加えない場合に比べ、検出用抗体と補正後F−PSAとの反応性が大幅に低下するものと考えられる。
一方、PSA−ACTでは、PSAのエピトープ部位の多くは、ACTとの結合により覆われている。また、ACTにより覆われていないエピトープ部位であっても、立体障害により、PSA−ACTと補助抗体が結合できないか、または弱い結合しか形成できない可能性がある。そのため補助抗体は、ACTに覆われておらず、かつ立体障害も起こらないエピトープ部位でしかPSA−ACTとの複合体(以下「補正後PSA−ACT」と略)を形成できないと考えられる。以上の理由により、検出用抗体と補正後PSA−ACTとの反応性は、補助抗体を加えない場合と比べて、それほど大きく低下しないと考えられる。
以上のように、本実施形態の補助抗体を用いれば、検出用抗体が補正後F−PSAおよび補正後PSA−ACTと結合できる部位を、補正後F−PSAおよび補正後PSA−ACTの両方において検出用抗体が立体障害を受けることなく結合可能な部位のみに制限することができる。これにより、検出用抗体が、補正後F−PSAとも補正後PSA−ACTとも等価に反応するようになると考えられる。
本実施形態は、遊離型抗原と複合型抗原の反応性を、立体障害も考慮しつつ補正することにより、遊離型抗原と複合型抗原の反応性を等価にする技術を開示するものである。つまり、本発明の技術思想は、抗原がPSAである場合に限定されず、抗原が遊離型と複合型として存在する場合であれば、あらゆる免疫学的測定に応用可能である。
なお、例えば引用文献1に係る発明では、遊離型に特異的な補助抗体を使用しているが、検出用抗体と補正後PSA−ACTの反応において、立体障害による影響を考慮していなかった。したがって、補助抗体として用いるモノクローナル抗体のロットや実験条件によっては、検出用抗体と、補正後F−PSAおよび補正後PSA−ACTの反応性を等価にできない場合があった。
一方、本実施形態では、補助抗体を用い、立体障害も考慮しつつ、遊離型抗原だけではなく複合型抗原のエピトープ部位の反応性をも補正するものである。つまり、本実施形態は、引用文献1等に係る発明とは技術思想を異にするものである。本実施形態では、遊離型抗原と複合型抗原の反応性が、条件に左右されず等価になる。さらに、両PSA抗原の存在比や濃度に左右されることなく、等モル反応が起きるものと考えられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。
(実験1.補助抗体の取得)
F−PSAとの反応性がPSA−ACTとの反応性よりも強い補助抗体の取得を行った。本実施例では、まず以下の手順により、F−PSAに対するモノクローナル抗体(補助抗体)を得た。
ポリクローナル抗体の免疫操作と同様にマウスを免疫し、抗体価の上昇を確認したところで、その抗体産生細胞を回収した。回収した抗体産生細胞を、マウスミエローマ細胞との細胞融合により、ハイブリドーマとした。これを抗体産生能に基づきスクリーニングし、更に必要な活性を持つ抗体を産生する株をクローニングし、抗体産生株を樹立した。抗体産生株をマウスの腹腔に接種して培養し、腹水としてモノクローナル抗体を得た。
次に、得られたPSAに対するモノクローナル抗体(補助抗体)から、F−PSAとの反応性がPSA−ACTとの反応性よりも強い補助抗体を選別した。本実施形態では、二抗体法(RIA)により抗体力価の測定を行うことにより、抗PSAモノクローナル抗体の抗原に対する結合力を測定した。具体的には、以下の手順により、測定を行った。
試験管に、得られた補助抗体であるモノクローナル抗体を含む第1試薬(1mg/L)0.01mLと、125Iで標識した各抗原(F−PSA、PSA−ACT)0.2mLとを加えて混和した後、静置(2時間、室温)した。次に、検出用抗体として抗マウスIgG抗体を含む第2試薬を0.1mL加えて混和した後、静置(30分間、4℃)した。遠心(3,000rpm、30分、4℃)後、上清を吸引し、沈殿の放射能量を測定した。沈殿の放射能量の、試験管に加えた標識体の総放射能量に対する比率(%)を算出し、抗体力価とした。
本実施例の実験結果を表1に示す。F−PSAとの反応性は強いがPSA−ACTとも弱く反応する補助抗体として、抗体Lot No.PA05(以下「実施例」とする)が得られた。一方、F−PSAに特異的な補助抗体として得られた抗体Lot No.PA08(以下「比較例1」とする)も、比較のために示す。
Figure 0005156677
本実験においては、抗体(補助抗体)の抗原に対する反応性を、抗体力価の値(%)に基づき、以下の4段階に分類した。
40%以上(強く反応する場合): +++
20〜40%(中程度に反応する場合):++
5〜20%(弱く反応する場合): +
5%未満(全く反応しない場合): −
F−PSAとの反応においては、実施例、比較例1の抗体とも反応性が「+++」であり、非常に高い抗体力価を示した。一方、PSA-ACTに対する比較例1の抗体の反応性は「−」であり、抗体を加えない対照実験の抗体力価と同程度であった。また、実施例の抗体のPSA−ACTに対する反応性は「+」であり、バックグランドよりは3倍以上高かったが、実施例の抗体のF−PSAに対する反応性の1/5程度であった。
(実験2.補助抗体を用いた免疫学的測定)
実験1で得られた、F−PSAと強く反応しPSA−ACTとも弱く反応する実施例の抗体(PA05)を補助抗体として使用した。また、F−PSAに特異的な補助抗体である比較例1の抗体(PA08)も、比較のために使用した。これらの補助抗体を補正用の第1試薬に添加し、F−PSA(10ng/mL)及びPSA−ACT(10ng/mL)の各抗原と反応させた。次に、2つの抗PSAモノクローナル抗体(検出用抗体)を感作したラテックス試薬である測定用の第2試薬を用いて、生化学自動分析装置でF−PSA(10ng/mL)及びPSA−ACT(10ng/mL)の濃度を測定した。対照として、補助抗体が添加されていない第1試薬に関しても測定を行い(比較例2)、それらの測定値を比較した。
実施例および比較例1、2の測定結果を表2に示す。補助抗体を未添加の場合(比較例2)、検出用抗体のF−PSAに対する反応性(以下「反応性(1)」と略)が、検出用抗体のPSA―ACTに対する反応性(以下「反応性(2)」と略)より高く、等価な反応性を示さなかった。
また、第1試薬に比較例1の補助抗体(PA08)を添加した場合、反応性(1)、反応性(2)の値とも、補助抗体を未添加の場合よりいずれもわずかに高く、その結果、反応性(1)/反応性(2)比は補助抗体を未添加の場合(比較例2)とほぼ同程度となった。
一方、第1試薬に実施例の補助抗体(PA05)を添加した場合、反応性(2)は補助抗体を未添加の場合(比較例2)および比較例1の補助抗体を添加した場合よりわずかに高かったが、補助抗体を未添加の場合(比較例2)および比較例1の補助抗体を添加した場合よりも反応性(1)が低い値を示した。その結果、反応性(1)/反応性(2)比は1.00となった。
第1試薬に補助抗体を未添加の場合(比較例2)との比較から、F−PSAを特異的に補正する補助抗体(PA08)を補助抗体として用いた場合(比較例1)、検出用抗原に対するF−PSAおよびPSA−ACTの反応性を等価にできなかった。一方、補助抗体を未添加の場合(比較例2)および補助抗体を添加した場合(比較例1)との比較から、実施例の補助抗体(PA05)を用いた場合(実施例)、F−PSAと検出用抗体の反応性を抑制することにより、PA05およびF−PSAと、PA05およびPSA−ACTとの反応性が等価になることが確認された。
Figure 0005156677

Claims (7)

  1. 遊離型抗原に対する反応性が、前記遊離型抗原と前記遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体の反応性を等価に補正する補助抗体を含む免疫学的測定試薬であって、
    前記補助抗体は前記遊離型抗原と前記複合型抗原の両方に結合可能であり、かつ
    前記遊離型抗原と前記補助抗体との反応性が前記複合型抗原と前記補助抗体との反応性よりも高く、
    前記検出用抗体が加えられた場合に、前記遊離型抗原と前記検出用抗体との反応が前記複合型抗原と前記検出用抗体との反応よりも強く抑制されることを特徴とする免疫学的測定試薬。
  2. 前記抗原が前立腺特異抗原であることを特徴とする請求項1に記載の免疫学的測定試薬。
  3. 遊離型抗原に対する反応性が、前記遊離型抗原と前記遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体とをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の免疫学的測定試薬。
  4. 遊離型抗原に対する反応性が、前記遊離型抗原と前記遊離型抗原に結合する別の抗原とで形成される複合型抗原に対する反応性より高い検出用抗体の反応性を等価に補正する補助抗体を用いた免疫学的測定方法において、
    前記遊離型抗原とも前記複合型抗原とも結合し、前記遊離型抗原との反応性が前記複合型抗原との反応性よりも高い前記補助抗体を添加し、
    続いて検出用抗体を用いて前記補助抗体を添加後の前記遊離型抗原と前記複合型抗原を含む溶液の濃度を測定する場合に、前記遊離型抗原の濃度の低下率を前記複合型抗原の濃度の低下率よりも高くしたことを特徴とする免疫学的測定方法。
  5. 前記抗原が前立腺特異抗原であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記濃度が吸光度を測定することにより算出されるものであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 不溶性担体粒子に結合した前記検出用抗体を抗原と反応させ、抗原抗体反応によって生じる不溶性担体粒子の凝集を観察することによって抗原を検出または測定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の方法。
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