JP5880029B2 - 2またはそれ以上の種類の形態で存在する物質の測定方法 - Google Patents

2またはそれ以上の種類の形態で存在する物質の測定方法 Download PDF

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本発明は、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在しうる測定対象物質の全量を測定する方法に関するものである。
近年、血液に由来する試料や河川や湖沼に由来する試料等に含まれる物質の存在量を測定する技術が開発され実用化されている。例えば血液に由来する試料(以下単に「血液試料」と略記することがある)中に含まれる抗原性物質をそれに対する抗体等を用いて測定する免疫測定は、いまや臨床診断の分野で欠かせない技術である。例えば前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen、以下「PSA」と略記することがある)は前立腺上皮細胞から分泌されるが、前立腺癌細胞によっても血中に分泌される。そのためPSAは、早期の前立腺癌において陽性となり、その免疫学的な測定は、前立腺癌の診断、治療後の経過のモニタなどに広く利用されている。
測定の対象となる物質は、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在する場合がある。例えば、測定の対象となる物質は、試料中に、単に遊離した形態で存在するほか、他の物質と結合して一種又はそれ以上の複合体を形成して存在する場合がある。また、測定の対象となる物質は、試料中に、遊離した形態では存在せず、他の物質として結合して二種またはそれ以上の複合体を形成して存在する場合がある。例えばPSAは、血液試料中にPSA分子単独が遊離した形態(遊離PSA又はフリーPSAと呼ばれ、以下「fPSA」と略記することがある)、α1−アンチキモトリプシン(ACT)と結合し複合体を形成した形態(以下「PSA−ACT」と略記することがある)、及びマクログロブリンと結合して複合体を形成した形態で存在する。これらの内、マクログロブリンと結合したものは、マクログロブリン分子内に取り込まれた形態となっているため、PSAに対する抗体を用いる免疫学的方法では測定できない。よって、免疫学的に測定できるのはfPSA量か、PSA−ACT量か、fPSAとPSA−ACTの全量(トータルPSA、以下「tPSA」と略記することがある)である。
以下、免疫測定を例にして説明すると、トータルPSAの測定は、一般的にはfPSAとPSA−ACTの両形態と特異的に結合可能な抗体、言い換えればPSAがACTと複合体を形成しても、なおPSAとの結合性が阻害されないPSAの部位を認識する抗体を用いた免疫測定によって行なわれる。図1は、PSA上の異なる部位A及び部位Bを認識する抗体(それぞれ抗体A及び抗体Bとする)によるサンドイッチアッセイの概念図である。この部位A及び部位Bは、PSAがACTと結合し複合体を形成しても、抗体A又は抗体Bとの反応性が影響を受けない部位である。
上述したような免疫測定では、fPSAもPSA−ACTも、同じモル数に対して同じ測定値(シグナル強度)を示す。これを「等モル反応性」という。しかし、等モル反応性が成立するのは、理論的には免疫反応が平衡に達した後のことである。免疫反応が平衡に達する前に免疫反応を打ち切ると、等モル反応性は成立せず、fPSAとPSA−ACTは同じモル数に対して異なった測定値(シグナル強度)を与える(図2;非特許文献1の転載)。
PSA及びPSA−ACTは、それぞれを単一の分子と見た場合に大きさが異なる。具体的には、PSAの分子量は約3万3千であるが、PSA−ACTの分子量は約10万1千(PSAは約3万3千であり、ACTは約6万8千であるので、合計すると約10万1千)である。このため、PSA−ACTと抗体との反応速度は、fPSAと抗体との反応
速度と比較して低い。よって、等モルのfPSAとPSA−ACTを測定する際に、免疫反応が平衡に達する前に免疫反応を打ち切ると、fPSAの存在量が見掛け上大きくなってしまう。このように、fPSAとPSA−ACTでは抗体との反応性が顕著に異なるため、等モル反応性を成立させるには長い反応時間が必要となる。測定開始後一刻も早く測定結果を得たいという臨床検査分野における要望に従い、等モル反応性が成立する前に免疫反応を終了させようとすると、存在形態の異なる測定対象物質が異なる値(存在量)として測定される危険性がある。
特許文献1には、ポリクローナル抗体を用いた免疫測定によりPSAを測定する場合において、同ポリクローナル抗体にfPSAとPSA−ACTの両方に結合できる抗体と、fPSAとは結合できるがPSA−ACTとは結合できない抗体が含まれている場合に、fPSAにおける後者の抗体の結合エピトープを他の抗体でマスクすることにより、同ポリクローナル抗体のfPSAとPSA−ACTに対する反応性のバイアスを軽減または排除できることが開示されている。
しかしながら、上述したような分子量に基づく反応性の違いを解消し、実質的な等モル反応性を達成する手段は知られていない。
特許第3486413号公報
R.T.McCormack et al.,Urology,45(5),729−744(1995).FIGURE 5
本発明は、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質に対して実質的な等モル反応性を簡便に成立させることにより、測定対象物質の全量を測定する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、固相抗体および標識抗体を利用したサンドイッチ法によるPSAの測定において、fPSAおよびPSA−ACTのそれぞれと固相抗体との結合に競合する抗体を共存させることにより、fPSAおよびPSA−ACTの両形態について実質的な等モル反応性を成立させることができることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を鑑みてなされた本発明は、以下の態様を包含する:
[1]
2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質の全量を測定する方法であって、
前記2またはそれ以上の種類の形態が、(A)遊離した形態および他の物質が結合した1またはそれ以上の種類の複合体の形態、または、(B)他の物質が結合した2またはそれ以上の種類の複合体の形態であり、
(ア)検出可能な標識物質が結合した、測定対象物質の全形態と特異的に結合する物質(標識特異物質)、(イ)水不溶性担体に結合した、測定対象物質の全形態と特異的に結合する物質(固相特異物質)、及び(ウ)測定対象物質の全形態と固相特異物質との結合を阻害する物質(阻害特異物質)を使用し、前記標識特異物質と前記固相特異物質は、各
々別の部位で測定対象物質に同時に結合し得るものであり、以下の(1)から(5)の各工程を含むこと、を特徴とする、測定対象物質の全量を測定する方法:
(1)試料中の測定対象物質に標識特異物質を接触させる工程、
(2)前記工程(1)の前、工程(1)と同時、又は工程(1)の後のいずれかに、試料中の測定対象物質に阻害特異物質を接触させる工程、
(3)前記工程(2)の前、工程(2)と同時、又は工程(2)の後のいずれかに、試料中の測定対象物質に固相特異物質を接触させる工程、
(4)前記工程(3)の後に、固相特異物質に結合していない成分と結合した成分とを分離する工程、
(5)前記工程(4)の後に、固相特異物質に結合していない成分又は結合した成分のいずれかの成分に含まれる標識を検出する工程。
[2]
前記他の物質が複合体1分子あたり1分子結合している、[1]に記載の方法。
[3]
阻害特異物質と固相特異物質は、測定対象物質の同一の部位に結合する物質であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
測定対象物質がタンパク質であり、標識特異物質、固相特異物質、及び阻害特異物質が測定対象物質に結合する抗体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
前記工程(3)が、前記工程(1)及び工程(2)の後に行われる、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
測定対象物質が前立腺特異抗原であり、
2またはそれ以上の種類の形態が、遊離の前立腺特異抗原及び前立腺特異抗原とα1−アンチキモトリプシンとの複合体であり、
標識特異物質が、標識物質が結合した第一の抗前立腺特異抗原抗体であり、
固相特異物質が、固相に結合した、第一の抗前立腺特異抗原抗体とは抗原結合部位が異なる第二の抗前立腺特異抗原抗体であり、
阻害特異物質が、第二の抗前立腺特異抗原抗体と競合する抗体であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]
阻害特異物質が第二の抗前立腺特異抗原抗体と同じ抗体である、[6]に記載の方法。
本発明によれば、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質の全量を、迅速かつ簡便に測定することが可能となる。具体的には、標識特異物質及び固相特異物質を利用したサンドイッチ法によって測定対象物質を測定するに際し、測定対象物質の全形態と固相特異物質との結合に競合する阻害特異物質を使用することで、測定対象物質と固相特異物質との反応が平衡に達する以前に実質的な等モル反応性を達成させ、迅速、簡便かつ正確に測定対象物の全量を測定できる。また、本発明によれば、特に、測定対象物質と固相特異物質とを接触させて反応させる前に、測定対象物質と阻害特異物質とを接触させて反応させることにより、固相として微粒子を利用するような反応系においても実質的な等モル反応性を達成することができる。
図1は、二つのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ法におけるPSA−ACTと抗体との反応模式図である。また、図1は、PSA上にあるそれぞれのエピトープ(抗体結合部位)とACT結合部位の位置関係を示す。 図2は、1ステップサンドイッチ放射免疫測定(RIA)法において、fPSAおよびPSA−ACTをそれぞれ単独に等モル濃度だけ含む溶液に対する応答をインキュベーション時間に対してプロットした応答曲線である。固相に結合した抗体との反応においては、PSA−ACTの方がfPSAよりも反応が遅いため、平衡点に達しない時間域における同じ反応時間後ではfPSAよりも低い測定結果(シグナル強度)が得られる。なお、図2は、非特許文献1からの転載である。 図3は、粒子径が約3μmの微粒子を固相として使用した場合の、fPSAと固相抗体の反応性(速度)と、PSA−ACTと固相抗体の反応性(速度)の違いを示す図である。固相に結合した抗体との反応においては、PSA−ACTの方がfPSAよりも反応が遅いため、平衡点に達しない時間域における同じ反応時間後ではfPSAよりも低い測定結果(シグナル強度)が得られる。縦軸の「反応率」は、平衡点に達した際の測定結果(シグナル強度)を100とした際の、測定結果(シグナル強度)の相対値を示す。 図4は、阻害特異物質(抗体)を使用することによる影響を示す模式図である。阻害特異物質を使用することにより、平衡点に達しない時間域における同じ反応時間後であってもfPSAとPSA−ACTの測定結果(シグナル強度)が一致する点が生じる。 図5は、微粒子を固相として使用し、全特異物質と試料とを同時に反応させた場合の、阻害特異物質(抗体)を使用することによる影響を示す図である。凡例のカッコ内の数字は、濃度(ng/mL)を示す。 図6は、微粒子を固相として使用し、標識特異物質と阻害特異物質を先に、固相特異物質を後に、試料と反応させた場合の、阻害特異物質(抗体)を使用することによる影響を示す図である。凡例のカッコ内の数字は、濃度(ng/mL)を示す。 図7は、微粒子を固相として使用し、標識特異物質と固相特異物質を先に、阻害特異物質を後(遅延時間は6分)に、試料と反応させた場合の、阻害特異物質(抗体)を使用することによる影響を示す図である。凡例のカッコ内の数字は、濃度(ng/mL)を示す。固相特異物質と試料との接触を遅らせることにより、低濃度の阻害特異物質(抗体)の使用でもfPSAとPSA−ACTの測定値(シグナル強度)を一致させることが可能となる。 図8は、阻害特異物質(抗体)を使用することにより、fPSAとPSA−ACTとの間で等モル反応性が成立したことを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質の全量を、後述する標識特異物質、固相特異物質、及び阻害特異物質(以下、標識特異物質、固相特異物質、及び阻害特異物質を総称して「特異物質」と略記することがある)を使用して測定する方法である。
本発明において、測定対象物質が取り得る「2またはそれ以上の種類の形態」とは、(A)遊離した形態および他の物質が結合した1またはそれ以上の種類の複合体の形態、または、(B)他の物質が結合した2またはそれ以上の種類の複合体の形態、をいう。
すなわち、(A)の場合、測定対象物質は、遊離した形態および他の物質が結合した1またはそれ以上の種類の複合体の形態で試料中に存在しうる。(B)の場合、測定対象物質は、遊離の形態では存在せずに、他の物質が結合した2またはそれ以上の種類の複合体の形態で試料中に存在しうる。「他の物質が結合した複合体の形態」とは、遊離した形態の測定対象物質に、他の物質が結合してなる複合体の形態をいう。「他の物質」とは、遊離した形態の測定対象物質とは異なる物質をいう。遊離した形態の測定対象物質に結合する他の物質は、形成される複合体1種類当たり1種類であってもよく、2種類またはそれ
以上であってもよい。また、遊離した形態の測定対象物質に結合する他の物質の分子数は、形成される複合体1分子当たり1分子であってもよく、2分子またはそれ以上であってもよい。上記(A)において、形成される複合体の種類は、1種類であってもよく、2種類またはそれ以上であってもよい。上記(B)において、形成される複合体の種類は、2種類であってもよく、3種類またはそれ以上であってもよい。
形成される複合体が2種類またはそれ以上である場合としては、例えば、測定対象物質が、他の物質Aと結合した第1の複合体の形態と、当該他の物質Aとは異なる他の物質Bと結合した第2の複合体の形態を形成する場合が挙げられる。また、形成される複合体の種類が2種類またはそれ以上である場合としては、他の物質Cと結合した第1の複合体の形態と、第1の複合体とは異なる結合態様で当該他の物質Cと結合した第2の複合体の形態を形成する場合が挙げられる。他の物質の結合態様が異なるとは、例えば、第1の複合体と第2の複合体とで、複合体1分子当たりの他の物質の分子数が異なる場合や、他の物質の結合位置が異なる場合をいう。上記では、形成される複合体が2種類またはそれ以上である場合として、形成される複合体が2種類である場合を例示したが、上記の説明は、形成される複合体が3種類またはそれ以上である場合にも準用できる。
本発明の方法によれば、上述したような2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る物質であって、各形態について後述する特異物質を調製し得るものであれば、特に制限されずその全量を測定することができる。
本発明の方法により全量の測定が可能となる測定対象物質としては、例えば、前立腺特異抗原(PSA)のような蛋白質、ホルモン、糖鎖、脂質等の生体高分子、ウイルス、および医薬品のような有機・無機化合物を例示することができる。
例えば、前立腺特異抗原(PSA)の場合には、血液由来試料に遊離した形態(fPSA)と、ACTと結合した複合体の形態(PSA−ACT)が混在する。また、PSAは、上記形態以外に、マクログロブリンと結合した複合体の形態で試料中に存在するが、後述する特異物質としてPSAに対する抗体を用いる場合、前記した通り、マクログロブリンと結合したPSAは測定対象とはならない。本発明においては、ある測定法においてもともと測定対象とならない形態は、当該測定法においては測定対象物質が取り得る形態に含まれないものとする。すなわち、PSAは、例えば特異物質としてPSAに対する抗体を用いる場合、遊離した形態および他の物質が結合した1種類の複合体の形態で試料中に存在する測定対象物質である。
また、本発明において、測定対象物質の「全量」とは、測定対象となる全形態の合計量をいう。本発明においては、ある測定法においてもともと測定対象とならない形態の量は、当該測定法においては全量に含まれないものとする。すなわち、例えば、特異物質としてPSAに対する抗体を用いる場合、PSAの全量とはfPSAとPSA−ACTの合計量であって、マクログロブリンと結合したPSA量は全量に含まれない。
なお、本発明でいう「2またはそれ以上の種類の形態で存在しうる」とは、ある物質が、天然に2またはそれ以上の種類の形態をとる場合に限られず、人為的な操作によって2またはそれ以上の種類の形態をとる場合を含む。すなわち、測定対象物質が取り得る形態は、天然に存在する形態であってもよく、天然には存在しない形態であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
本発明において、「試料」とは、測定対象物質を含むものであれば特に制限されない。試料としては、例えば、PSAのような蛋白質やホルモン等を含む血液、唾液等の体液に代表される生体試料、蛋白質や化学物質を含む河川、湖沼、下水等の環境水、食品、医薬
品等が挙げられる。本発明は液相系での反応を利用するものであることから、本来液体ではない試料を測定する場合は、当該試料自体を液体に懸濁等したもの、又は、当該試料から測定対象物質を抽出して得られる液体を試料とすることができる。測定対象物質の抽出は、例えば、当業者によく知られた手法により行えばよい。試料は、特段の前処理なく測定に用いてもよく、前処理を行ってから測定に用いてもよい。例えば、特異物質と測定対象物質との反応を阻害し得る妨害物質が試料中に存在する場合には、当該妨害物質を事前に除去等することが好ましい。
標識特異物質は標識物質と測定対象物質に特異的に結合する物質とから構成され、固相特異物質は固相と測定対象物質に特異的に結合する物質とから構成され、そして阻害特異物質は測定対象物質と固相特異物質の結合を阻害する物質から構成される。本発明でいう「測定対象物質に特異的に結合する物質」には、測定対象物質以外の物質への結合性(交差反応性)を有しない物質や、交差反応性を有していても当該交差反応性が測定対象物質の測定に実質的に影響しない物質が含まれる。「交差反応性を有していても当該交差反応性が測定対象物質の測定に実質的に影響しない物質」としては、例えば、測定対象物質以外の物質に結合しても、その結合が測定対象物質に対する結合と比較して無視し得るほど低い物質や、測定対象物質以外の物質に結合し、かつ、その結合が測定対象物質に対する結合と比較して無視し得ない程度であるが、後述する試料中にそのような測定対象物質以外の物質が存在しないか、又は存在したとしてもその量が測定対象物質の量と比較して無視し得るほど低いか、本発明の適用に先立ってそのような測定対象物質以外の物質を完全に、または、無視し得るほど低濃度まで除去し得るか、の少なくともいずれかを満たす物質等が挙げられる。
特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」は、試料中に存在する、全量を測定しようとする測定対象物質の全ての形態に対して結合し得る必要がある。ここでいう「全ての形態」とは、測定しようとする全ての形態である。言い換えれば、試料中にある種の形態で存在したとしても、当該形態で存在する限りは調製したいずれの特異物質も結合し得ないのであれば、当該形態のものは測定対象物質には含まれない。例えば、上述の通り、特異物質としてPSAに対する抗体を用いてPSAの全量を測定する場合、マクログロブリンと結合したPSAは測定対象とはならず、PSAの全量とはfPSAとPSA−ACTの合計量を意味する。
特異物質を構成する、測定対象物質に特異的に結合する物質としては、測定対象物質といわゆる「鍵と鍵穴」の関係をもって特異的に結合する物質等が例示できる。そのような関係を有する物質の組み合わせとしては、抗原と抗体、リガンドとレセプター、アビジンとビオチン、抗体とプロテインA等が挙げられる。リガンドとレセプターとしては、例えば、抗体とFcレセプター等が挙げられる。また、例えば、測定対象物質に特異的に結合する物質として、プロテアーゼを測定対象物質とする場合にはそのインヒビター等が、タンパク質のサブユニットを測定対象物質とする場合には当該サブユニットに結合する他のサブユニット等が、それぞれ挙げられる。
本発明で使用する標識特異物質は、検出可能な「標識物質」と「測定対象物質に特異的に結合する物質」を結合したものである。標識物質としては、それ自体が例えば光学的な検出や放射能の検出により検出し得る物質や、他の物質に作用して例えば光学的な検出を可能とする物質が挙げられる。標識物質として、具体的には、酵素、化学発光物質、生物発光物質、放射性同位元素、呈色物質等を例示することができる。標識物質と、測定対象物質に特異的に結合する物質とは、例えば共有結合等の化学的な方法により、又は両者に結合させた親和性物質同士の結合により、相互に結合することができる。本発明においては、予め両者を結合したものを標識特異物質として使用することもできるが、本発明の実施の過程で両者を親和性物質同士の結合によって結合することもできる。なお、標識特異
物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」は単一の物質である必要はなく、二種類以上の物質の混合物であっても良い。具体的には、例えば、当該物質として抗体を利用する場合、抗体はモノクローナル抗体であってもよく、二種類以上の抗体の混合物であるポリクローナル抗体であってもよい。
本発明で使用する固相特異物質は、「水不溶性(water−insoluble)の固相」と「測定対象物質に特異的に結合する物質」を結合したものである。固相特異物質を使用することにより、いわゆるB/F(Bound/Free)分離の操作によって、固相特異物質に結合した測定対象物質を液相から分離することができる。固相は、アガロースやデキストランといった天然の材料、ポリエチレンやポリスチレンといった合成ポリマー材料、金属材料等、さまざまな水不溶性材料で調製することができる。固相の形状は特に制限されず、例えば、粒子状や平板状であってよい。また、例えば、本発明を実施するための容器の内壁を固相として利用することもできる。これらの中でも、測定対象物質に特異的に結合する物質を多量に結合するため、比較的大きい表面積を提供し得るものが好ましい。固相の大きさとしては特に制限はないが、測定対象物質との反応性を向上し、等モル反応の達成を短時間内に実現するためには球状で、粒径0.1μmから100μmの微粒子状固相を使用することが好ましく、粒径1μmから10μmの微粒子状固相を使用することがより好ましい。なお固相は、磁力による攪拌やB/F分離操作のために、磁性物質を内包するなどしていても良い。すなわち、微粒子状固相としては、例えば、磁性微粒子が好ましい。また固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」は単一の物質である必要はなく、二種類以上の物質の混合物であっても良い。具体的には、例えば、当該物質として抗体を利用する場合、抗体はモノクローナル抗体であってもよく、二種類以上の抗体の混合物であるポリクローナル抗体であってもよい。
固相と、測定対象物質に特異的に結合する物質とは、例えば共有結合等の化学的な方法や物理的吸着により、又は両者に結合した親和性物質同士の結合により、相互に結合することができる。本発明においては、予め両者を結合したものを固相特異物質として使用することもできるが、本発明の実施の過程で両者を親和性物質同士の結合によって結合することもできる。
本発明において、標識特異物質と固相特異物質は測定対象物質に対して同時に結合し得るものである。すなわち、例えば、標識特異物質と固相特異物質は、それぞれ測定対象物質の異なる位置に結合する。
本発明で使用する阻害特異物質は、測定対象物質の全形態と固相特異物質との結合を阻害する物質、即ち、測定対象物質との結合において、固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」と競合する物質である。阻害特異物質として、例えば、固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」が結合する測定対象物質中の部位に対して結合する物質や、測定対象物質と結合することにより、固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」と測定対象物質との結合を立体的に阻害する物質等が挙げられる。阻害特異物質としては、固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」が結合する測定対象物質中の部位に対して結合する物質を使用することが好ましい。すなわち、阻害特異物質と固相特異物質は、測定対象物質の同一の部位に結合する物質であるのが好ましい。中でも、固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」と同一の物質を阻害特異物質として使用することが、特異物質の調製を簡便化する上で特に好ましい。この場合、標識特異物質及び固相特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」の調製を完了すれば、本発明で使用する全ての特異物質の調製が完了したことになるからである。またこれまでの説明から明らかであるが、阻害特異物質を構成する「測定対象物質に特異的に結合する物質」も単一の物質である必要はなく、二種類以上の物質の混合物であっても良い。具体的には、例え
ば、当該物質として抗体を利用する場合、抗体はモノクローナル抗体であってもよく、二種類以上の抗体の混合物であるポリクローナル抗体であってもよい。
また、本発明において、通常は、標識特異物質と阻害特異物質は測定対象物質に対して同時に結合し得るものである。すなわち、例えば、標識特異物質と阻害特異物質は、それぞれ測定対象物質の異なる位置に結合する。
本発明に用いられる「測定対象物質に特異的に結合する物質」が抗体である場合、各特異物質を構成する抗体は、ポリクローナル抗体同士の組み合わせであってもよく、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の組み合わせであってもよく、モノクローナル抗体同士の組み合わせであってもよい。これらの中でも、ひとたびハイブリドーマを確立した後は抗体の調製が容易であり、かつ、反応性が均一であることから、モノクローナル抗体同士の組み合わせが好ましい。
本発明に用いられる「測定対象物質に特異的に結合する物質」は、例えば、公知の手法により調製してもよく、市販品を用いてもよい。
例えば、測定対象物質に対する抗体は、測定対象物質そのもの、測定対象物質の一部、または測定対象物質がタンパク質である場合には測定対象物質の全長または部分領域をコードするポリヌクレオチドなどを免疫原として、動物に免疫することで得ることができる。免疫に用いる動物は、抗体産生能を有するものであれば特に限定はなく、マウス、ラット、ウサギなど通常免疫に用いる哺乳動物でもよいし、ニワトリなど鳥類を用いてもよい。
抗体としてモノクローナル抗体を用いる場合は、測定対象物質を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を樹立し、モノクローナル抗体を調製すればよい。ハイブリドーマ細胞の樹立は、公知の手法により行うことができる。一例として、前述した方法で免疫した動物からB細胞を採取し、前記B細胞とミエローマ細胞とを電気的にまたはポリエチレングリコール存在下で融合させ、HAT培地によりハイブリドーマ細胞の選択を行ない、選択したハイブリドーマ細胞を限界希釈法によりモノクローン化を行なうことで、測定対象物質を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を樹立することができる。
以上に説明したように、標識特異物質と固相特異物質とは測定対象物質に対して同時に結合し得るものである一方、固相特異物質と阻害特異物質とは、二者択一的にいずれか一方しか測定対象物質に結合し得ないものである。そして本発明は、これらの特異物質を使用して、以下の工程(1)〜(5)を行うことにより実施される。
工程(1)は、試料中の測定対象物質に標識特異物質を接触させる工程である。
工程(2)は、試料中の測定対象物質に阻害特異物質を接触させる工程である。この工程(2)は工程(1)の前、工程(1)と同時、又は工程(1)の後のいずれかに実施すれば良い。
工程(3)は、試料中の測定対象物質に固相特異物質を接触させる工程である。この工程(3)は工程(2)の前、工程(2)と同時、又は工程(2)の後のいずれかに実施すれば良い。
工程(4)は、固相特異物質に結合していない成分と結合した成分とを分離する工程である。この工程(4)は、工程(3)の後に実施する。
そして工程(5)は、固相特異物質に結合していない成分又は結合した成分のいずれかの成分に含まれる標識について検出をする工程である。この工程(5)は、工程(4)の後に実施する。
前記工程(1)、(2)、及び(3)は、試料中の測定対象物質と各特異物質が接触し、結合反応が生じ得るように行えばよい。前記工程(1)、(2)、及び(3)は、例えば、一定量の試料を特異物質を含む溶液等に対して添加、混合等することや、あるいは、特異物質を含む溶液等を一定量の試料等に対して添加、混合等することにより実施できる。その際の条件としては測定対象物質と各特異物質との結合反応が生じ得る限り特に制限はない。例えば、反応系に共存させる成分、pH、温度等は、測定対象物質の種類、測定対象物質に応じて選択した各特異物質の種類、各特異物質と測定対象物質との結合の態様等に応じて適宜選択・決定すれば良い。例えば特異物質として抗体を使用する場合には、反応温度として4℃から45℃、pHとしてpH4からpH9、塩濃度として1mMから150mMとなるように、例えばトリス系やリン酸系の緩衝剤や塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等を共存させることが例示できる。なお、以上の工程を迅速に実施するために、例えば、適当な容器を用意して、その中に標識特異物質、固相特異物質、阻害特異物質、及びその他の成分を含む溶液を予め投入しておき、試料を一定量投入することによって工程(1)、(2)、及び(3)を同時に実施することができる。
前記工程(4)は、本発明の実施に際して選択した固相に適した操作を選択して実施することができる。例えば、磁性物質を内包する固相を使用した場合、磁石で固相を容器の側壁に集磁しつつ、容器を傾けてデカンテーションすることにより、工程(4)を実施することができる。また、例えば、容器の内壁を固相として利用したり、板状の固相を利用した場合には、単なるデカンテーションにより工程(4)を実施することができる。工程(4)においては、上記のような単に固相と液相とを分離する操作に加えて、分離操作の後に、固相を適当な洗浄液で洗浄する操作を実施することが好ましい。洗浄のために使用する洗浄液は、測定対象物質と特異物質との結合を解除しないものであれば特に制限はなく、例えば0.01%程度という低濃度の非イオン系界面活性剤を含むpH5からpH8程度のトリス系やリン酸系の緩衝液を使用することが例示できる。
工程(5)は、本発明の実施に際して選択した標識物質に適した操作を選択して実施することができる。例えば、酵素を標識物質として使用した場合、当該酵素の作用を受けて光学的に検出可能な物質へと変換される物質を添加し、一定時間の酵素反応の後、当該物質を光学的に検出したり、一定の時間内の当該検出可能な物質の増加速度を検出することにより、標識を定量的に検出できる。このような検出として、具体的には、アルカリ性フォスファターゼ(ALP)を標識物質として使用し、その基質である4−メチルウンベリフェリルリン酸(4−MUP)を添加して、ALPによって生成する4−メチルウンベリフェロン(4−MU)の生成速度を検出することを例示できる。また例えば化学発光物質や放射性物質を標識物質として使用した場合、化学発光強度や放射能を検出することが例示できる。
工程(5)においては、固相特異物質に結合していない成分に含まれる標識を検出してもよく、固相特異物質に結合した成分に含まれる標識を検出してもよい。固相特異物質に結合した成分に含まれる標識を検出する場合には、検出された標識の量が固相特異物質に結合した測定対象物質の量を反映する。固相特異物質に結合していない成分に含まれる標識を検出する場合には、検出された標識の量と用いた標識特異物質の量から想定される標識の量との差が固相特異物質に結合した測定対象物質の量を反映する。
なお、以下、このようにして標識物質の検出を行う際に得られるシグナル強度等のデー
タを、単に「測定値」あるいは「測定値(シグナル強度)」のように記載する場合がある。
本発明の方法において、固相特異物質と阻害特異物質が測定対象物質と接触し、反応すると、その反応の開始とともに、固相特異物質と阻害特異物質との間で測定対象物質の奪い合いが生じる。このとき、測定対象物質は、その形態に応じて、分子量の小さな形態で存在するものほど高い反応速度をもって阻害特異物質と結合する。すなわち、測定対象物質のうちでも、遊離形態のものは複合体を形成した形態のものより高い反応速度をもって阻害特異物質と結合し、分子量の小さな物質と結合して複合体を形成した形態のものは、分子量のより大きな物質と結合して複合体を形成した形態のものよりも高い反応速度をもって阻害特異物質と結合する。また、同様に、上述の通り、測定対象物質は、その形態に応じて、分子量の小さな形態で存在するものほど高い反応速度をもって固相特異物質と結合する。ここで、阻害特異物質と測定対象物質との反応性は、固相特異物質と測定対象物質との反応性よりも優位であるため、阻害特異物質を固相特異物質と競合させることにより、測定対象物質の形態に応じた測定対象物質と固相特異物質との反応性の差が打ち消され、実質的な等モル反応性が達成される。
工程()は、工程()の前、工程()と同時、又は工程()の後のいずれかに実施することができる。即ち、工程(4)の前に実施される以外に時期的な制限はない。工程()において使用する阻害特異物質の量(濃度)、及び阻害特異物質を接触させてから後工程(4)を実施するまでの時間は、測定対象物質が取り得る2またはそれ以上の形態について等モル反応性が成立するよう適宜設定すればよい。このためには、測定対象
物質を決定後、各形態の測定対象物質を既知濃度含む試料を作製し、この試料について、固相特異物質を構成する、測定対象物質に特異的に結合する物質の量、反応時間、使用する阻害特異物質の量について検討を行い、工程()の詳細を決定することが好ましい。より具体的には、阻害特異物質を共存させることによって見かけ上の等モル反応性を成立させるには、共存させる阻害特異物質の量(濃度)を、測定値(シグナル強度)が、2またはそれ以上の形態で存在する測定対象物質の存在比に依存しないように、言い換えれば、試料中に存在する測定対象物質が取り得る2またはそれ以上の形態の存在比によらず、測定対象物質の全量が変わらなければ同一の測定結果が得られるように調整する。このためには、種々の濃度の阻害特異物質を使用してある形態の測定対象物質のみを測定する場合の、阻害特異物質の濃度と測定値(シグナル強度)との関係を示す曲線と、他の形態の測定対象物質のみを測定する場合の同様の曲線の両者が一点で交わる、すなわち、種々の形態で存在する同モル数の測定対象物質に対し、同一濃度の阻害特異物質を使用した場合に、同一の測定値(シグナル強度)を与える点がただひとつ存在すれば良く、工程()においては当該濃度の阻害特異物質を使用すれば良い。
上記のような量の阻害特異物質を使用することによって、測定対象物質が取り得る2またはそれ以上の形態について等モル反応性を成立させることが可能となる。その一方で、阻害特異物質を使用することにより、その使用量に依存して最終的な測定値(シグナル強度)が低下することになる。したがって前記した曲線の交点の測定値(シグナル強度)が測定可能範囲に存在することが重要である。また、固相特異物質の量を増加することによって前記交点の測定値(シグナル強度)は変化するものの、固相特異物質を無制限に多くすることは実用的ではないため、使用する阻害特異物質の量は経済的な観点等からも検討するのが好ましい。ここで、上述の通り、阻害特異物質の利用による等モル反応性の成立は、阻害特異物質と測定対象物質との反応性が、固相特異物質と測定対象物質との反応性よりも優位であることによる。よって、測定対象物質と固相特異物質との固相−液相の反応の速度が測定対象物質と阻害特異物質との液相−液相の反応の速度に近いほど、阻害特異物質と測定対象物質の反応の優位性が減少し、阻害特異物質をより大量に使用する必要が生じる。言い換えれば、阻害特異物質を使用することにより容易に等モル反応性を成立
させることが可能な場合とそうではない場合が存在する。具体的には、固相としてマイクロタイタープレートや容器の内壁を利用する場合、阻害特異物質と測定対象物質との反応は、固相特異物質と測定対象物質との反応に対して著しく優位であるため、少ない阻害特異物質の使用により容易に等モル反応性を成立させることができる。それに対し、微粒子、例えば粒径1μmから10μm程度の微粒子を固相として使用する場合、前記で見られた阻害特異物質と測定対象物質との反応の優位性は低下するため、比較的大量の阻害特異物質を使用する必要性が生じ、またこれによって測定値(シグナル強度)が低下するために、等モル反応の成立は比較的困難である。
上記のような困難性は、阻害特異物質と測定対象物質との液相−液相での反応の優位性を確保することにより克服できる。阻害特異物質と測定対象物質との反応の優位性は、例えば、測定対象物質と固相特異物質とを接触させて反応させる前に、測定対象物質と阻害特異物質とを接触させて反応させることにより確保するのが好ましい。
すなわち、微粒子を固相として使用する上記のような状況で等モル反応性を達成するのに好適な本発明の態様は、一般的に述べると、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質の全量を測定する方法であって、前記2またはそれ以上の種類の形態が、(A)遊離した形態および他の物質が結合した1またはそれ以上の種類の複合体の形態、または、(B)他の物質が結合した2またはそれ以上の種類の複合体の形態であり、(ア)検出可能な標識物質が結合した、測定対象物質の全形態と特異的に結合する物質(標識特異物質)、(イ)水不溶性担体に結合した、測定対象物質の全形態と特異的に結合する物質(固相特異物質)、及び(ウ)測定対象物質の全形態と固相特異物質との結合を阻害する物質(阻害特異物質)を使用し、前記標識特異物質と前記固相特異物質は、各々別の部位で測定対象物質に同時に結合し得るものであり、以下の(1)から(5)の各工程を含むこと、を特徴とする:
(1)試料中の測定対象物質に標識特異物質を接触させる工程、
(2)前記工程(1)の前、工程(1)と同時、又は工程(1)の後のいずれかに、試料中の測定対象物質に阻害特異物質を接触させる工程、
(3)前記工程(1)及び工程(2)の後に、試料中の測定対象物質に固相特異物質を接触させる工程、
(4)前記工程(3)の後に、固相特異物質に結合していない成分と結合した成分とを分離する工程、
(5)前記工程(4)の後に、固相特異物質に結合していない成分又は結合した成分のいずれかの成分に含まれる標識を検出する工程。
具体的には、試料と、阻害特異物質及び標識特異物質とを先に接触させて反応させ、一定時間経過後に、微粒子に測定対象物質と特異的に結合する物質を結合させた固相特異物質を遅らせて試料と接触させ反応させることを例示できる。阻害特異物質と試料とを接触させてから、固相特異物質と試料とを接触させるまでの遅らせる時間は、固相特異物質と測定対象物質との反応速度と阻害特異物質と測定対象物質との反応速度のバランス等によって決定すれば良いが、本発明者の知見によれば、好ましくは15秒から20分、より好ましくは1分から10分である。このように、本発明で使用する全ての特異物質を一度に試料と接触させず、固相特異物質を遅らせて試料と接触させることにより、阻害特異物質と測定対象物質との反応の優位性を確保することができる。これにより、例えば、阻害特異物質の使用量が少ない場合や、粒径1μmから10μm程度の微粒子を固相として使用する場合でも、等モル反応性を成立させることができ、よって、測定対象物質の全量を短時間で測定することができる。
本発明は、上記のようにして得られた測定値(シグナル強度)に基づき、測定対象物質の全量を算出する工程を含んでいてもよい。測定対象物質の全量を算出する場合、濃度既
知の測定対象物質を含む標準試料を用いて本発明の方法を実施し、測定対象物質の全量と得られる測定値(シグナル強度)との間の相関データを取得し、当該相関データに基づき被験試料に存在する測定対象物質の全量を算出すればよい。相関データとは、例えば検量線である。
また、本発明は、測定対象物質の全量を測定するための試薬(本発明の測定試薬ともいう)を提供する。本発明の測定試薬は、標識特異物質、阻害特異物質、および固相特異物質を含む限り特に制限されない。本発明の測定試薬において、各特異物質および必要によりその他の成分は混合して提供されてもよいし、それぞれ別個に、または任意の組み合わせで提供されてもよい。例えば、各特異物質および必要によりその他の成分の全てまたは一部を、反応用の容器に分注して提供してもよい。本発明の測定試薬に含まれる各特異物質および必要によりその他の成分の量は、本発明の方法を実施できる限り特に制限されない。すなわち、各特異物質の量は、測定対象物質の種類、測定対象物質に応じて選択した各特異物質の種類、各特異物質と測定対象物質との結合の態様、工程(1)〜(3)の順序、反応時間等の諸条件に応じて適宜設定すれば良い。例えば特異物質として抗体を使用して血液試料中のPSAの全量を測定する場合には、fPSA換算で2から30ng/mLのPSAを含む被検試料20μLに対し、固相に結合して用いられる抗体量が4ngから20μgであってよく、標識物質に結合して用いられる抗体量が2ngから0.2μgであってよい。阻害特異物質として用いられる抗体量は、等モル反応性が達成できる量であればよいが、例えば、0.5ngから1μgでありうる。本発明の測定試薬は、測定対象物質の全量を測定するためのキットとして提供されてもよい。測定対象物質の全量を測定するためのキットは、本発明の測定試薬を含む限り特に制限されない。
以下、血液試料中のPSAを測定対象物質とし、fPSAとPSA−ACTの全量(トータルPSA)を、特異物質として抗体を用いて測定(免疫測定)する形態について説明する。抗体としては、fPSAとPSA−ACTという両形態と特異的に結合可能な抗体を用いる。すなわち、固相特異物質として、水不溶性固相と結合した、PSA−ACTのACTによって被覆されないPSA部分を認識する第一の抗体を、標識特異物質として、標識物質と結合した、PSA−ACTのACTによって被覆されないPSA部分を認識する第二の抗体を用いる。第一の抗体と第二の抗体は、PSAとの結合において、互いに干渉しない。また、阻害特異物質として、前記第一の抗体と競合する第三の抗体を用いる。第三の抗体としては、fPSA及びPSA−ACTに対して前記第一の抗体と同一の位置で結合する抗体であるのが好ましく、前記第一の抗体と同一の抗体であるのがより好ましい。なお、以下の説明では、阻害特異物質として、前記第一の抗体と同一の抗体を用いた場合を例示する。第一の抗体と第二の抗体の組み合わせとしては、ポリクローナル抗体とポリクローナル抗体の組み合わせ、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の組み合わせ、モノクローナル抗体とモノクローナル抗体の組み合わせを使用することができる。これらの中でも、ひとたびハイブリドーマを確立した後は抗体の調製が容易であり、かつ、反応性が均一であることから、モノクローナル抗体とモノクローナル抗体の組み合わせが特に好ましい。
固相特異物質(固相抗体)と標識特異物質(標識抗体)とを使用してfPSA又はPSA−ACTを測定する、いわゆる従来のサンドイッチ法においては、図2及び図3に示したように反応速度論的にfPSAと各抗体との反応性とPSA−ACTと各抗体との反応性とが異なるために、短時間の反応ではfPSAとPSA−ACTを等価に測定し得ない。標識抗体とfPSA又はPSA−ACTとの反応の大部分は液相−液相反応である(一部が固相抗体に結合したfPSA又はPSA−ACTとの反応になる)こと、また一般に標識抗体はトータルPSA量に対して過剰に使用することから、fPSAとPSA−ACTの標識抗体に対する反応性の違いはわずかであり、測定結果に対する影響も比較的小さいと考えられる。ところが、固相抗体とfPSA又はPSA−ACTとの反応は、固相−
液相反応であることから境膜拡散などの過程を経るために反応が遅く、fPSAとPSA−ACTとでは反応性が顕著に相違する。これは、例えば粒径がμmオーダーの微粒子等を固相として使用し、高密度かつ均一に分散させることによってfPSA及びPSA−ACTの固相表面との拡散距離を短くすることで反応性を高くしたとしても、固相抗体とfPSA又はPSA−ACTとの反応性の違いを完全に解消することは困難である。このため、従来、反応平衡に達するまでの十分な時間、反応を行うことなしにfPSAとPSA−ACTの固相抗体に対する反応性を等価にすることは、極めて困難であった。
本発明によれば、fPSAと固相抗体との反応速度がPSA−ACTと固相抗体との反応速度と異なっていても、等モル反応性を達成したのと同等の測定値(シグナル強度)を得ることができる。すなわち、fPSAの固相抗体との反応性はPSA−ACTの固相抗体との反応性よりも高いが、本発明によれば、その違いを相殺する効果を阻害特異物質(阻害抗体(添加抗体ともいう))によってもたらすことで、見かけ上の等モル反応性(擬似的等モル反応性)を成立させることができる。本発明では、fPSAの一部を、PSA−ACTとの反応性の違いを反映した割合で、固相抗体との反応から除外することで見かけ上の等モル反応性を成立させている。具体的には、阻害抗体を遊離の形態で共存させ、fPSAとPSA−ACTの固相抗体との反応性の違いを反映したかたちでPSA−ACTよりも多くのfPSAに結合させ、阻害抗体と結合したfPSAとPSA−ACTがもはや固相抗体と結合し得ないようにして、fPSAとPSA−ACTとの等モル反応性を成立させるのである。図4は、そのような反応が生じたときの、測定値(シグナル強度)と共存させた阻害抗体濃度の関係を模式的に示したものである。
反応容器のなかに固相とPSAに対する抗体で構成される固相抗体、標識物質とPSAに対する抗体で構成される標識抗体、及び、阻害抗体(固相抗体を構成する抗体と同一の抗体、当該抗体は、固相に結合することなく遊離の形態である)を投入しておき、ここにfPSA及びPSA−ACTを含む一定量の試料を加える。阻害抗体は、固相抗体とfPSA及び固相抗体とPSA−ACTとの結合を阻害するため、試料を加えて免疫反応を開始すると、固相抗体と阻害抗体との間でfPSA及びPSA−ACTの奪い合いが生じる。このとき、阻害抗体もまた、PSA−ACTに対するよりもfPSAに対してより高い反応性を示す。この結果、fPSAの、固相抗体に対するPSA−ACTよりも優位な反応性と、阻害抗体に対するPSA−ACTよりも優位な反応性とを拮抗させつつ、固相上に(固相抗体)−(fPSA又はPSA−ACT)−(標識抗体)という免疫複合体を形成させる上で、fPSAとPSA−ACTとに等モル反応性を成立させることが可能となる。
このように、阻害特異物質を共存させることによって見かけ上の等モル反応性を成立させるには、共存させる阻害抗体の量(濃度)を、トータルPSAの測定値(シグナル強度)が、fPSAの量とPSA−ACTの量の比に依存しないように、言い換えれば、試料中に存在するfPSAとPSA−ACTの存在比によらず、トータルPSA量が変わらなければ同一の測定結果が得られるように調整する。このためには、種々の濃度の阻害抗体を使用してfPSAのみを測定する場合の、阻害抗体の濃度と測定値(シグナル強度)との関係を示す曲線と、PSA−ACTのみを測定する場合の同様の曲線の両者が一点で交わる、すなわち、同モル数のfPSA及びPSA−ACTに対し、同一濃度の阻害特異物質(抗体)を共存させた場合に、同一の測定値を与える点がただひとつ存在すれば良く、当該濃度の阻害特異物質(抗体)を使用すれば良い。
また、上記では固相抗体、標識抗体、及び阻害抗体の全てを反応容器に投入し、PSAとの反応を開始させる態様を例示したが、上述の通り、阻害特異物質(阻害抗体)と測定対象物質との液相−液相での反応の優位性を確保するためには、測定対象物質と固相特異物質(固相抗体)とを接触させて反応させる前に、測定対象物質と阻害特異物質(阻害抗
体)とを接触させて反応させることが好ましい。具体的には、fPSA及びPSA−ACTを含む試料と、阻害抗体及び標識抗体を先に接触させて反応させ、一定時間経過後に、固相抗体を遅らせて試料に接触させ反応させることを例示できる。阻害抗体と試料とを接触させてから、固相抗体と試料とを接触させるまでの遅らせる時間は、固相抗体とfPSA及びPSA−ACTとの反応速度と阻害抗体とfPSA及びPSA−ACTとの反応速度のバランス等によって決定すれば良いが、本発明者の知見によれば、好ましくは15秒から20分、より好ましくは1分から10分である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。
実施例 1
磁性微粒子(粒子径2.8μm;ダイナル社製)10mgに、PSA−ACTのACTによって被覆されないPSA部分を認識する第一の抗体(東ソー製;Eテスト「TOSOH」II(PSA II)に含まれる)0.1mgを常法に従って結合させ固相抗体とした。第一の抗体と互いに結合部位を競合せずにACTによって被覆されないPSA部分に結合する第二の抗体(東ソー製;Eテスト「TOSOH」II(PSA II)に含まれる)にウシ小腸アルカリフォスファターゼを結合させたものを酵素標識抗体とした。この固相抗体400ngと酵素標識抗体25ngに加え、種々の濃度の、固相用抗体と同一の第一の抗体(以下、添加抗体と称する)を添加した溶液0.05mLを免疫反応用のカップに入れ、ここに抗原として2ng/mL又は30ng/mLのfPSAを20μL添加した(1ステップサンドイッチ法)。37℃にて9分間免疫反応を行なわせ、その後洗浄して固相の磁性微粒子上の抗体に結合していない成分を除去し、そこにジオキセタン系の化学発光基質を添加し、その発光強度変化を測定した。つぎに、抗原としてfPSAの代わりにPSA−ACTをfPSAと等モル(fPSA量換算で2ng/mL又は30ng/mLを20μL)添加し、同様に測定した。それらの結果を図5に合わせてプロットした。
添加抗体濃度が低い範囲では、同じモル濃度のfPSAとPSA−ACTとではfPSAのほうが高いシグナルを与えているが、添加抗体濃度の増加により、より優先的にfPSAのシグナル強度が低下し、両者のシグナル強度が接近し、等モル反応性を達成できることが明らかになった。しかし、両者のシグナル強度を完全に一致させるためには比較的高い濃度の添加抗体を必要とする。これは、この条件では磁性微粒子における固−液反応が比較的速いことから、添加抗体の固相抗体に対する反応優位性が比較的低いことによる。
実施例 2
免疫反応用カップにあらかじめ標識抗体は入れず、抗原と固相抗体および添加抗体との第1反応を5分、中間B/F(Bound/Free)洗浄を1分、標識抗体との第2反応を3分実施する2ステップサンドイッチ法を行い、添加抗体の効果を検討した。抗原としては、10ng/mL又は30ng/mLのfPSAを20μL、または、fPSAの代わりにPSA−ACTをfPSAと等モル(fPSA量換算で10ng/mL又は30ng/mLを20μL)添加して測定した。他の条件は実施例1と同じである。結果を図6に示す。2ステップサンドイッチ法においても1ステップサンドイッチ法の図5と同様に、添加抗体濃度を増すことによって、同じモル濃度におけるfPSAとPSA−ACTのシグナル強度が接近し、等モル反応性を達成できることが明らかになった。しかし、実施例1と同様に、両者のシグナル強度を完全に一致させるためには比較的高い濃度の添加抗体を必要とする。
実施例 3
実施例1及び2においては、添加抗体の利用により等モル反応性を達成することができたが、等モル反応性の達成には比較的高濃度の添加抗体が必要であった。そこで、その点を改良するために、固相抗体と抗原との固−液反応が開始される前に添加抗体による抗原との液−液反応を開始することを検討した。
免疫反応用カップにあらかじめ固相抗体は入れず、抗原と標識抗体および添加抗体との反応を開始させ、6分間の液−液反応を行なった。その後、固相抗体を添加し、3分間の固−液反応を行なった。抗原としては、2ng/mL、10ng/mL、又は30ng/mLのfPSAを20μL、または、fPSAの代わりにPSA−ACTをfPSAと等モル(fPSA量換算で2ng/mL、10ng/mL、又は30ng/mLを20μL)添加して測定した。他の条件は実施例1と同じである。結果を図7に示す。
固−液反応の前に液−液反応を行うことにより、抗原の濃度が2ng/mL、10ng/mL、または30ng/mLというそれぞれ大きく異なるいずれの場合にも、単一濃度(約0.08μg/mL)の添加抗体の添加で等モル反応性を達成できた。また、実施例1及び2の場合と比較して、等モル反応性の達成に必要な添加抗体濃度の大幅な低減が実現できた。
このような場合、等モル反応点を決定する要因は、液−液反応を開始してから固相抗体を添加するまでの遅延時間及び添加抗体の添加量となる。遅延時間は、一般的な臨床検査用の自動化装置を用いる場合、他の測定項目の性能要因も考慮されて一定の時間に固定される場合がほとんどである。したがって、通常、反応性の調節は、添加抗体の添加量の調節によって行うことができる。
つぎに、本発明により等モル反応性が達成できているかを直接確認するための測定を行った。トータルPSAが一定量(15ng/mL)となるようにfPSAとPSA−ACTの比率を変えた混合試料を調製し、濃度0.08μg/mLの添加抗体を添加し、それ以外の条件は実施例3と同様にして測定結果を得た。図8に各fPSA比率における測定値(3重測定の平均値±標準偏差)をPSA−ACT比率が100%(fPSA比率が0%)の際のシグナル強度に対する相対値としてプロットした。各fPSA比率におけるシグナル強度の相対値は、平均値で94%から103%までの範囲にあった。以上より、本発明によれば、PSAの遊離形態と複合体形態の比率によらず等モル反応性を達成できることが確認された。すなわち、例えば、PSAの遊離形態と複合体形態の比率は患者検体ごとに異なる可能性があるが、本発明によれば、遊離形態と複合体形態の比率にかかわらずトータルPSAを測定できることが確認された。
本発明によれば、PSA等の2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質に対し、水不溶性担体を用いた免疫測定において、等モル反応性を達成できる。よって、本発明によれば、2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質の全量を、迅速かつ簡便に測定することが可能となる。すなわち、本発明は、PSA等の測定に有用である。

Claims (7)

  1. 2またはそれ以上の種類の形態で試料中に存在し得る測定対象物質の全量を測定する方法であって、
    前記2またはそれ以上の種類の形態が、(A)遊離した形態および他の物質が結合した1またはそれ以上の種類の複合体の形態、または、(B)他の物質が結合した2またはそれ以上の種類の複合体の形態であり、
    (ア)検出可能な標識物質が結合した、測定対象物質の全形態と特異的に結合する物質(標識特異物質)、(イ)水不溶性担体に結合した、測定対象物質の全形態と特異的に結合する物質(固相特異物質)、及び(ウ)測定対象物質の全形態と固相特異物質との結合を阻害する物質(阻害特異物質)を使用し、前記標識特異物質と前記固相特異物質は、各々別の部位で測定対象物質に同時に結合し得るものであり、以下の(1)から(5)の各工程を含むこと、を特徴とする、測定対象物質の全量を測定する方法:
    (1)試料中の測定対象物質に標識特異物質を接触させる工程、
    (2)前記工程(1)の前、工程(1)と同時、又は工程(1)の後のいずれかに、試料中の測定対象物質に阻害特異物質を接触させる工程、
    (3)前記工程(2)の前、工程(2)と同時、又は工程(2)の後のいずれかに、試料中の測定対象物質に固相特異物質を接触させる工程、
    (4)前記工程(1)、(2)、及び(3)の後に、固相特異物質に結合していない成分と結合した成分とを分離する工程、
    (5)前記工程(4)の後に、固相特異物質に結合していない成分又は結合した成分のいずれかの成分に含まれる標識を検出する工程。
  2. 前記他の物質が複合体1分子あたり1分子結合している、請求項1に記載の方法。
  3. 阻害特異物質と固相特異物質は、測定対象物質の同一の部位に結合する物質であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 測定対象物質がタンパク質であり、標識特異物質、固相特異物質、及び阻害特異物質が測定対象物質に結合する抗体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記工程(3)が、前記工程(1)及び工程(2)の後に行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 測定対象物質が前立腺特異抗原であり、
    2またはそれ以上の種類の形態が、遊離の前立腺特異抗原及び前立腺特異抗原とα1−アンチキモトリプシンとの複合体であり、
    標識特異物質が、標識物質が結合した第一の抗前立腺特異抗原抗体であり、
    固相特異物質が、固相に結合した、第一の抗前立腺特異抗原抗体とは抗原結合部位が異なる第二の抗前立腺特異抗原抗体であり、
    阻害特異物質が、第二の抗前立腺特異抗原抗体と競合する抗体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 阻害特異物質が第二の抗前立腺特異抗原抗体と同じ抗体である、請求項6に記載の方法。
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