JPWO2009025145A1 - 有機圧電体膜、その形成方法、それを用いた超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置 - Google Patents

有機圧電体膜、その形成方法、それを用いた超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置 Download PDF

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Abstract

少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて形成される有機圧電体膜であって、圧電性に優れ、かつ低コストで容易に形成(製造)できる有機圧電体膜及びその形成方法を提供する。本発明の有機圧電体膜は、少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて熱重合と分極処理により形成された有機圧電体膜であって、当該原料の当量混合溶液を基板上に塗布し、熱重合と分極処理を同時進行させながら形成されたことを特徴とする。

Description

本発明は、有機圧電体膜、その形成方法、それを用いた超音波振動子、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置に関する。
詳しくは、例えば、マイクロホン、スピーカー用の振動板等の音響機器、各種熱センサー、圧力センサー、超音波探蝕子、遺伝子やタンパク等の変異を高感度に検出する振動センサー等、機械刺激を電気エネルギーに変換するために用いることができる高い圧電性を持つ有機圧電体膜とその形成方法等に関する。
従来、圧電体としては、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3などの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O3系などの焼結体を分極処理した、いわゆる無機材質の圧電セラミックスが広く利用されている。
これに対して、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの有機系高分子物質を利用した有機圧電体(「圧電高分子材料」、「ポリマー圧電物質」ともいう。)も開発されている(例えば特許文献1参照)。この有機圧電体は、セラミックス圧電体と比較して、可撓性が大きく、薄膜化、大面積化、長尺化が容易で任意の形状、形態のものを作ることができる、誘電率εが小さく、静水圧電圧出力係数(gh定数)は極めて大となるので感度特性に優れる、さらに低密度、低弾性であるため、効率のよいエネルギー伝播が可能である、等の特性を有する。有機圧電体は、上記の特性のため、特にスピーカー、マイクロホン、超音波探触子、ハイドロフォン、震動計、ひずみ計等への適用が期待されている。
有機圧電体(圧電性樹脂)膜を形成する方法としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)のようなジイソシアナート化合物と、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)のようなジアミン化合物を同時に蒸発させてポリ尿素膜を形成する、いわゆる蒸着重合法が知られている(例えば特許文献2〜4参照)。
特許文献2に開示されている方法の場合、ジイソシアナート化合物と、ジアミン化合物の2種類のモノマーを同時に蒸発させてポリ尿素を形成するようにしているため、各モノマーの蒸発温度が異なることにより形成されるポリ尿素膜内のモノマーの組成比が、化学量論組成比とは異なったものになってしまうという問題があり、各モノマーを別々に設定し、温度をコントロールしながら蒸着する必要があった。またジイソシアナート化合物と、ジアミン化合物の組み合わせによっては、反応性が思わしくないときがあり、蒸着する基板の温度を適切に調整しないと重合が進行せず、所望の有機圧電体膜は得られない。更に蒸着重合では、厚い膜を形成するには時間がかかること、大きな真空設備が必要であり、基板温度調整用の装置が必要となること、多大な設備投資および製造時間が必要となることが大きな問題となる。
一方で、蒸着重合法では、蒸着により生成する化合物は5量体程度の尿素のオリゴマーであり、そのオリゴマーに対し分極処理を施すので、分子の運動性の面から配向がかかり難く、結果的に膜中に存在する全ての尿素結合を配向させるのは困難であり、思わしい有機圧電体膜が得られないことが考えられる。
また特許文献3に開示されている方法の場合、蒸着重合と分極処理を別々に行うのではなく、同時に行うことで、蒸着分子を配向させながら重合を行うことができるため、形成される高分子膜は双極子が配向しており、良好な有機圧電体膜が得られる。しかしながら、分極処理と蒸着重合を同時に行うためには、成膜する基板近くに分極処理に必要な基材を設置するため、装置内が複雑になり操作性が低下する。また蒸着装置内は、モノマーの付着物などで汚染され、頻繁に清掃する必要があるが、その際にも煩雑になることは避けられない。
上記のような問題を解決するために、特許文献4に開示されているような、蒸着重合ではなく熱重合により有機圧電体膜を得る方法が見出された。この方法では、大きな双極子を有する架橋剤を含有するポリマーを基板に塗布し、分極処理を行いながら熱重合を行うため、蒸着重合のような大きな設備投資は必要ではなく、容易に有機圧電体膜を作製することができる。
しかしながら、上記方法では、有機圧電体膜に含まれる架橋剤中の大きな双極子をもつ構造の架橋剤のみが配向し圧電性を誘発するので、有機圧電体膜全体としての圧電性は低い。また通常の架橋剤ではなく、大きな双極子を有する架橋剤を準備する必要があり、多大な費用が必要となる。
ところで、超音波は、通常、16000Hz以上の音波を総称して言われ、非破壊および無害でその内部を調べることが可能なことから、欠陥の検査や疾患の診断などの様々な分野に応用されている。その一つに、被検体内を超音波で走査し、被検体内からの超音波の反射波(エコー)から生成した受信信号に基づいて当該被検体内の内部状態を画像化する超音波診断装置がある。この超音波診断装置では、被検体に対して超音波を送受信する超音波探触子が用いられている。この超音波探触子としては、送信信号に基づいて機械振動して超音波を発生し、被検体内部で音響インピーダンスの違いによって生じる超音波の反射波を受けて受信信号を生成する振動子を備えて構成される超音波送受信素子が用いられる。
そして、近年では、超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。このハーモニックイメージング技術は、(1)基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、(2)周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、(3)近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および(4)焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きく取れることなどの様々な利点を有している。このハーモニックイメージング用の超音波探触子は、基本波の周波数から高調波の周波数までの広い周波数帯域が必要とされ、その低周波側の周波数領域が基本波を送信するための送信用に利用される。一方、その高周波側の周波数領域が高調波を受信するための受信用に利用される(例えば特許文献5参照)。
この特許文献5に開示されている超音波探触子は、被検体にあてがわれて当該被検体内に超音波を送信し当該被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信する超音波探触子である。この超音波探触子は、所定の第1の音響インピーダンスを有する配列された複数の第1の圧電素子からなる、所定の中心周波数の超音波からなる基本波の、被検体内に向けた送信、および当該被検体内で反射して戻ってきた超音波のうちの基本波の受信を担う第1圧電層を備えている。また、前記第1の音響インピーダンスよりも小さい所定の第2の音響インピーダンスを有する配列された複数の第2の圧電素子からなる、前記被検体内で反射して戻ってきた超音波のうちの高調波の受信を担う第2圧電層を備えている。なお、当該第2圧電層は、前記第1圧電層の、この超音波探触子が被検体にあてがわれる側の全面に重ねられている。したがって、当該超音波探触子は、このような構成によって広い周波数帯域で超音波を送受信することができる。
ハーモニックイメージングにおける基本波は、出来る限り狭い帯域巾を有する音波がよい。それを担う圧電体には、無機圧電体が広く利用されている。一方で高周波側の受信波を検知する圧電素子には、より広い帯域巾の感度が必要でこれらの無機材料は適さない。高周波、広帯域に適した圧電素子としては、有機系高分子物質を利用した有機圧電体が知られているが、しかしながら感度としては十分で無く、高周波を高感度に受信することはできなかった。
特開平6−216422号公報 特開平7−258370号公報 特開平5−311399号公報 特開2006−49418号公報 特開平11−276478号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて形成される有機圧電体膜であって、圧電性に優れ、かつ低コストで容易に形成(製造)できる有機圧電体膜を提供すること及びその形成方法を提供することである。
更に、高周波を高感度に受信することが可能でハーモニックイメージング技術に適した超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は以下の手段により解決される。
1.少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて熱重合と分極処理により形成された有機圧電体膜であって、当該原料の当量混合溶液を基板上に塗布し、熱重合と分極処理を同時進行させながら形成されたことを特徴とする有機圧電体膜。
2.前記カルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物が、ジカルボン酸ジハロゲン化物、テトラカルボン酸二無水物、カルボン酸ハロゲン化物の無水物、又はジイソシアナート化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機圧電体膜。
3.前記チオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物が、ジイソチオシアナート化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機圧電体膜。
4.前記1乃至3のいずれか一項に記載の有機圧電体膜であって、それを構成する化合物が、芳香族縮環構造を有することを特徴とする有機圧電体膜。
5.前記1乃至4のいずれか一項に記載の有機圧電体膜の形成方法であって、熱重合における温度が−50〜250℃であることを特徴とする有機圧電体膜の形成方法。
6.前記1乃至4のいずれか一項に記載の有機圧電体膜の形成方法であって、分極処理における分極処理方法がコロナ放電によるものであり、印加電圧が0.5〜2.0MV/mであることを特徴とする前記5に記載の有機圧電体膜の形成方法。
7.前記1乃至4のいずれか一項に記載の有機圧電体膜を用いたことを特徴とする超音波振動子。
8.超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備する超音波探触子であって、前記1乃至4のいずれか一項に記載の有機圧電体膜を用いた超音波振動子を超音波受信用振動子として具備したことを特徴とする超音波探触子。
9.電気信号を発生する手段と、前記電気信号を受けて超音波を被検体に向けて送信し、前記被検体から受けた反射波に応じた受信信号を生成する複数の振動子が配置された超音波探触子と、前記超音波探触子が生成した前記受信信号に応じて、前記被検体の画像を生成する画像処理手段とを有する超音波医用画像診断装置において、前記超音波探触子が、前記8に記載の超音波探触子であることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
本発明の上記手段により、少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて形成される有機圧電体膜であって、圧電性に優れ、かつ低コストで容易に形成(製造)できる有機圧電体膜を提供すること及びその形成方法を提供することができる。
更に、高周波を高感度に受信することが可能でハーモニックイメージング技術に適した超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置を提供することができる。
超音波医用画像診断装置の主要部の構成を示す概念図
符号の説明
1 受信用圧電材料(膜)
2 支持体
3 送信用圧電材料(膜)
4 バッキング層
5 電極
6 音響レンズ
本発明の有機圧電体膜は、少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて熱重合と分極処理により形成された有機圧電体膜(ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ尿素等を主成分とする樹脂膜)であって、当該原料の当量混合溶液を基板上に塗布し、熱重合と分極処理を同時進行させながら形成されたことを特徴とする。この特徴は、請求の範囲第1項乃至第9項に係る発明に共通する技術的特徴である。
以下、本発明とその構成要素、及び発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
(ジアミン化合物)
本発明に係るジアミン化合物のとしては、機能性高分子や有機圧電体等の原料として従来公知の種々のジアミン化合物、若しくはそれら化合物のアミノ基が異なる場所に結合している位置異性体を用いることができるが、アミノ基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい置換基がある化合物、若しくはジアミン化合物中に電子吸引性の置換基を有しており、アミノ基の求核性が低下した化合物が好ましい。勿論アミノ基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい電子吸引性の置換基がある化合物も好ましいことは言うまでもない。
なお、本願において、「電子吸引性基」とは、電子吸引性の度合いを示す指標としてハメット置換基定数(σp)が0.10以上である置換基をいう。ここでいうハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
例えば、σpの値が0.10以上の置換基または原子としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルチオメチル、トリフルオロメタンスルホニルメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくは芳香族複素環アシル基(例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル)、脂肪族・芳香族もしくは芳香族複素環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、置換アリール基(例えばペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル)、芳香族複素環基(例えば2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンズチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アシロキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)などが挙げられる。
具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジシクロヘキシルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−t−ブチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−シクロヘキシルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3,5−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルアニリン)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)トルエン、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジクロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジブロモアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノオクタフルオロジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルジスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4’−ジアミノスチルベン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルベンジジン、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、3,3‘−ジメチルナフチジン、2,7−ジアミノフルオレン、3,6−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、2,7−ジアミノカルバゾール、3,6−ジアミノカルバゾール、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ジアミノペンタン、1.6−ジアミノヘキサン、1,7−ジミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、等である。
(カルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物)
本発明に係る「カルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物」としては、機能性高分子や有機圧電体の原料として従来公知の種々のカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物、若しくはそれら化合物のカルボニル基又はチオカルボニル基が異なる場所に結合している位置異性体を用いることができるが、ジカルボン酸ジハロゲン化物、テトラカルボン酸二無水物、カルボン酸ハロゲン化物の無水物、ジイソシアナート化合物、ジイソチオシアナート化合物等が好ましい。以下、それぞれの化合物について詳細な説明をする。
〈テトラカルボン酸二無水物〉
テトラカルボン酸二無水物としては、カルボキシル基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい置換基がある化合物、若しくはテトラカルボン酸二無水物中に電子供与性の置換基を有しており、カルボニル基の求電子性が低下した化合物が好ましい。勿論カルボキシル基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい電子供与性の置換基がある化合物も好ましいことは言うまでもない。
具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ピロメリット酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−オキシジフタル酸 無水物、3,3’、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物等である。
〈ジカルボン酸ジハロゲン化物〉
ジカルボン酸ジハロゲン化物としては、カルボニル基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい置換基がある化合物、もしくはジカルボン酸ジハロゲン化物中に電子供与性の置換基を有しており、カルボニル基の求電子性が低下した化合物が好ましい。また、カルボニル基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい電子供与性の置換基がある化合物も好ましい。
具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
フタル酸二塩化物、フタル酸二臭化物、メチルフタル酸二塩化物類、エチルフタル酸二塩化物類、メトキシフタル酸二塩化物類、エトキシフタル酸二塩化物類、クロロフタル酸二塩化物類、ブロモフタル酸二塩化物類、イソフタル酸二塩化物類、メチルイソフタル酸二塩化物類、エチルイソフタル酸二塩化物類、メトキシイソフタル酸二塩化物類、エトキシイソフタル酸二塩化物類、クロロイソフタル酸二塩化物類、ブロモイソフタル酸二塩化物類、テレフタル酸二塩化物、メチルテレフタル酸二塩化物類、エチルテレフタル酸二塩化物類、メトキシテレフタル酸二塩化物類、エトキシテレフタル酸二塩化物類、クロロテレフタル酸二塩化物類、ブロモテレフタル酸二塩化物類、2,2’−ビフェニルジカルボン酸二塩化物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸二塩化物、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸二塩化物、4,4’−ジフェニルスルフィドジカルボン酸二塩化物、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸二塩化物、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸二塩化物、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸二塩化物、2,2−ビス(4−クロロフォルミルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフォルミルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ナフタレンジカルボン酸二塩化物、2,3−ナフタレンジカルボン酸二塩化物、2,6−ナフタレンジカルボン酸二塩化物、2,6−ナフタレンジカルボン酸二臭化物、等である。
〈カルボン酸ハロゲン化物の酸無水物〉
本発明に係るカルボン酸ハロゲン化物の酸無水物(カルボン酸ハロゲン化物の構造を有するカルボン酸無水物)としては、カルボニル基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい置換基がある化合物、若しくは、カルボン酸ハロゲン化物の構造を有するカルボン酸無水物中に電子供与性の置換基を有しており、カルボニル基の求電子性が低下した化合物が好ましい。また、カルボニル基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい電子供与性の置換基がある化合物も好ましい。
具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
4−(クロロフォルミル)フタル酸無水物、4−(クロロフォルミル)−3−メチルフタル酸無水物、4−(クロロフォルミル)−5−メチルフタル酸無水物、4−(クロロフォルミル)−3,5−ジメチルフタル酸無水物、等である。
〈ジイソシアナート化合物〉
本発明に係るジイソシアナート化合物としては、イソシアナート基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい置換基がある化合物、もしくはジイソシアネート化合物中に電子供与性の置換基を有しており、イソシアネート基の求電子性が低下した化合物が好ましい。またイソシアナート基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい電子供与性の置換基がある化合物も好ましい。
具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジシクロヘキシルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−エチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−t−ブチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−シクロヘキシルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(3,5−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェニルイソシアナート)、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−イソシアナートフェニル)シクロヘキサン、α、α−ビス(4−イソシアナートフェニル)トルエン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジクロロフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−クロロフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジブロモフェニルイソシアナート)、m−キシリレン ジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、1,3−ビス(2−イソシアナート−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、等である。
〈ジイソチオシアナート化合物〉
本発明に係るジイソチオシアナート化合物としては、イソチオシアナート基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい置換基がある化合物、若しくはジイソチオシアナート化合物中に電子供与性の置換基を有しており、イソチオシアナート基の求電子性が低下した化合物が好ましい。また、イソチオシアナート基のα位、β位、γ位に立体障害の大きい電子供与性の置換基がある化合物も好ましい。
具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
4,4’−ジフェニルメタンジイソチオシアナート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソチオシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソチオシアナート)、1,3−ビス(イソチオシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジイソチオシアナート、1,5−ペンタンジイソチオシアナート、1,7−ヘプタンジイソチオシアナート、1,9−ノナンジイソチオシアナート、1,11−ウンデカンジイソチオシアナート、等である。
〈芳香族縮環構造〉
本発明においては、有機圧電体膜の配向性を向上させるために、当該有機圧電体膜を構成する化合物が、部分構造として、芳香族縮環構造を有することが好ましい。
芳香族縮環構造としては、例えば、ナフタレン構造、キノリン構造、アントラセン構造、フェナンスレン構造、ピレン構造、トリフェニレン構造、ペリレン構造、フルオランテン構造、インダセン構造、アセナフチレン構造、フルオレン構造、フルオレン−9−オン構造、カルバゾール構造、テトラフェニレン構造、及び、これらの構造にさらに縮環した構造(例えば、アクリジン構造、ベンゾアントラセン構造、ベンゾピレン構造、ペンタセン構造、コロネン構造、クリセン構造等)等が挙げられる。
好ましい芳香族縮環構造としては、下記一般式(ACR1)〜(ACR4)の構造が挙げられる。
一般式(ACR1)において、R11及びR12は、各々独立に水素原子、又は置換基を表し、置換基としては、例えば炭素数1〜25のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アリール基(フェニル基等)、複素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を挙げることができる。好ましくは、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基又はアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基又アシルオキシ基であり、特に好ましくは水素原子又はアルキル基である。
なお、アスタリスク(*)は、結合点を表す。
一般式(ACR2)において、X2は、酸素原子、N−R23、C−R24を表し、R23としては、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基を表し、好ましくはヒドロキシル基又はアルコキシ基である。R24は、アルキル基、アリール基又は複素環基を表すが、好ましくはアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基である。
なお、アスタリスク(*)は、結合点を表す。
一般式(ACR3)において、X3は、窒素原子又はN+−R33を表し、R33は、アルキル基又はアリール基を表す。X3がN+の場合は、電荷を中和するためのカウンターイオンを有していても良く、カウンターイオンとしては、Cl-、Br-、I-、BF4 -等が挙げられる。
なお、アスタリスク(*)は、結合点を表す。
一般式(ACR4)において、アスタリスク(*)は、結合点を表す。
これらの芳香族縮環構造は、置換基を有しても良く、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜25のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルキニル基(プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル基等)、複素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を挙げることができる。又これらの基は更にこれらの基で置換されていてもよい。又、置換基が複数ある場合、同じでも異なっていても良く、互いに結合して縮環構造を形成しても良い。好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミド基、アルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミド基又はアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基である。
以下に、好ましい芳香族縮環構造の具他例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。
上記芳香族縮環構造を導入する手段としては、重合する際に第3成分として縮環系構造を有する置換もしくは無置換のジアミンもしくはジイソシアネートを添加しても良いし、または、縮環系構造を持つ本発明の化合物を重合する等の手段(方法)を挙げることができる。
以下、本発明において用いることができる有機高分子材料について更に詳細な説明をする。
本発明においては、有機圧電材料を構成する有機高分子材料が、ウレア結合もしくはチオウレア結合を有する化合物を構成成分として含有することが好ましく、当該化合物が、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物もしくはこれらの化合物の誘導体を原料として形成されものであることも好ましい。
(式中、R11及びR12は、各々独立に水素原子、アルキル基、3〜10員の非芳香族環基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、これらの基は更に置換基を有しても良い。R21〜R26は、各々独立に水素原子、アルキル基、電子吸引性基を表す。)
(式中、R13は、各々独立にカルボキシル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基を表し、これらの活性水素は、更にアルキル基、3〜10員の非芳香族環基、アリール基、またはヘテロアリール基等で置換されてもよく、また、R13は、カルボニル基、スルホニル基、チオカルボニル基、スルホン基を表し、これらの置換基は、水素原子、アリール基、またはヘテロアリール基を結合する。R21〜R26は上記一般式(5)のR21〜R26と同義の基を表す。)
(式中、Yは、各々独立にケト基、オキシム基、置換ビニリデン基を表し、R21〜R26は、上記一般式(1)のR21〜R26と同義の置換基を表す。)
好ましい例としては、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物若しくはこれらの化合物の誘導体を挙げることができる。
《一般式(1)で表される化合物》
一般式(1)で表される化合物としては、2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジニトロフルオレン、2,7−ジアミノ−3,4,5、6−テトラクロロフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジフルオロフルオレン、2,7−ジアミノ−9−(n−ヘキシル)フルオレン、9、9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−ベンジルフルオレン、9,9−ビスフェニル−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−メチルフルオレン、9,9−ビス(3,4−ジクロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−クロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(メチルオキシエチル)−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジメチル−9−アミノメチルフルオレン、などが挙げられるがこの限りではない。
《一般式(2)で表される化合物》
一般式(2)で表される化合物としては、2,7−ジアミノ−9−フルオレンカルボン酸、2,7−ジアミノ−9−フルオレンカルボキシアルデヒド、2,7−ジアミノ−9−ヒドロキシフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジフルオロ−9−ヒドロキシフルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジブロモ−9−メルカプトフルオレン、2,7,9−トリアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−ヒドロキシメチルフルオレン、2,7−ジアミノ−9−(メチルオキシ)フルオレン、2,7−ジアミノ−9−アセトキシフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジエチル−9−(パーフルオロフェニルオキシ)フルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジフルオロ−9−(アセトアミド)フルオレン、2,7−ジアミノ−N−イソプロピルフルオレン−9−カルボキシアミド、2,7−ジアミノ−4,5−ジブロモ−9−メチルスルフィニルフルオレン、などが挙げられるがこの限りではない。
《一般式(3)で表される化合物》
一般式(3)で表される化合物としては、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレノン、2,7−ジアミノ−9−ベンジルフルオレノン、9,9−ビスフェニル−2,7−ジアミノフルオレノン、2,7−ジアミノ−9−メチルフルオレノン、9,9−ビス(3,4−ジクロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレノン、9,9−ビス(3−メチル−4−クロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレノン、9−ヘキシリデン−2,7−ジアミノ−4,5−ジクロロフルオレン、1−(2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン)−2−フェニルヒドラジン、2−((2,7−ジアミノ−1,8−ジメチル−9−フルオレニリデン)メチル)ピリジン、などが挙げられるがこの限りではない。
本発明においては、例えば、上記フルオレン例示化合物を脂肪族若しくは芳香族のジオール、ジアミン、ジイソシアネート、ジイソチオシアネートなどと反応させてポリウレア若しくはポリウレタン構造等を形成してから下記一般式(4)〜(6)で表される化合物、もしくはそれらより形成される高分子量体と混ぜて複合材料とすることもできる。
(式中、Raは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは、結合しうる炭素以外の原子、もしくはなくてもよい。nはXの原子価−1以下の整数を表す。)
(式中、Rbは、各々独立に電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは結合しうる炭素以外の原子、又はなくてもよい。nはXの原子価−1以下。)
(式中、Rcは、各々独立に電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは結合しうる炭素以外の原子、又はなくてもよい。nはXの原子価−1以下の整数を表す。)
好ましい例としては、前記一般式(4)〜(6)で表される化合物若しくはこれらの化合物の誘導体を挙げることができる。
《一般式(4)で表される化合物》
一般式(4)で表される化合物で表される化合物としては、p−アセトキシスチレン、p−アセチルスチレン、p−ベンゾイルスチレン、p−トリフルオロアセチルスチレン、p−モノクロロアセチルスチレン、p−(パーフルオロブチリルオキシ)スチレン、p−(パーフルオロベンゾイルオキシ)スチレン、S−4−ビニルフェニルピリジン−2−カルボチオエート、及びN−(4−ビニルフェニル)ピコリナミド、などが挙げられるがこの限りではない。
《一般式(5)で表される化合物》
一般式(5)で表される化合物としては、p−トリフルオロメチルスチレン、p−ジブロモメチルスチレン、p−トリフルオロメトキシスチレン、p−パーフルオロフェノキシスチレン、p−ビス(トリフルオロメチル)アミノスチレン、及びp−(1H−イミダゾリルオキシ)スチレン、などが挙げられるがこの限りではない。
《一般式(6)で表される化合物》
一般式(6)で表される化合物としては、p−(メタンスルホニルオキシ)スチレン、p−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スチレン、p−トルエンスルホニルスチレン、p−(パーフルオロプロピルスルホニルオキシ)スチレン、p−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)スチレン、及び(4−ビニルフェニル)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、などが挙げられるがこの限りではない。
なお、本発明においては、エチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、4,4−メチレンビスフェノールなどのアルコール化合物等、さらにアミノ基と水酸基の両方を有するエターノルアミン、アミノブチルフェノール、4−(4−アミノベンジル)フェノール(ABP)などのアミノアルコール類、アミノフェノール類等も用いることができる。
(溶媒)
本発明で使用し得る溶媒としては、例えば、非プロトン性溶媒であるジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサンなどを挙げることができる。ジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物との両方を溶解させられる溶媒なら特に限定はない。
(有機圧電体膜)
本発明において、好ましい有機圧電体膜としては、前記原料の下記組合せにより形成される尿素樹脂を含有する有機圧電体膜を挙げることができる。
4,4’−ジアミノジフェニルメタン/3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/o−ジアニシジンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/1,5−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/o−ジアニシジンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/1,5−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアナート4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/o−ジアニシジンジイソシアナート、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン/1,5−ナフタレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/o−ジアニシジンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/p−フェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル/1,5−ナフタレンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/o−ジアニシジンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/p−フェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル/1,5−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/o−ジアニシジンジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)/1,5−ナフタレンジイソシアナート、1,3−ジアミノ−5−シアノベンゼン/2,6−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジアミノジフェニルメタン/ピロメリット酸二無水物、1,5−ジアミノナフタレン/テレフタル酸二塩化物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/4−(クロロフォルミル)−フタル酸無水物、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)/4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルアニリン)/4,4’−ジフェニルメタンジイソチオシアナート等である。
なお、本発明の有機圧電体膜には、目的に応じて当該樹脂以外の添加剤(化合物)を含有させても良い。
(基板)
基板としては、本発明の有機圧電体膜の用途・使用方法等により基板の選択は異なる。ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板又はフィルムでもよいし、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素等で覆ったものでもよい。またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、希土類のハロゲン化物の単結晶の板又はフィルムでもかまわない。
更に複層圧電素子の上に形成してもよい。圧電素子を積相する複層の使用方法においては、セラミック圧電素子の上に本発明の有機圧電体膜を電極を介して、重畳層する方法がある。セラミック圧電素子としては、PZTが使用されているが、近年は鉛を含まないものが推奨されている。PZTは、Pb(Zr1XTiX)O3(0.47≦X≦1)の式の範囲以内であることが好ましく、脱鉛としては、天然又は人工の水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブサンタンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O3]、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等である。各種セラミック材料はその使用性能において組成を適宜選択することができる。
(有機圧電体膜の形成方法)
本発明の有機圧電体膜の形成方法は、少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて熱重合と分極処理により有機圧電体膜を形成する有機圧電体膜の形成方法であって、当該原料の当量混合溶液を基板上に塗布し、熱重合と分極処理を同時進行させながら有機圧電体膜を形成することを特徴とする。
当該形成方法において、好ましい態様としては、原料の当量混合溶液を基板上に塗布し、減圧条件下である程度乾燥後(所定量の溶媒を除去した後)、加熱し、熱重合と分極処理を同時進行させながら有機圧電体膜を形成する方法が好ましい。
本発明において、熱重合と分極処理を同時進行させる際の温度は、−50〜250℃であることが好ましい。より好ましくは、−50〜200℃であることが好ましい。また場合によっては、熱重合と分極処理の同時進行中に、上述の温度範囲で、温度を徐々に上げる、もしくは温度を徐々に下げる、というような途中で温度を変化させることも好ましい。
すなわち、−50℃以上であることで重合が開始され、徐々に温度を上げることで、分子量の上昇に伴う分子運動の劣化を補いながら、分極しやすい状態を保つことができるような態様が好ましい。このような態様にすることで、基板が劣化するようなことを防ぐことができる。また250℃以下であることで分子の解重合を抑制することができる。
なお、−50℃にすることで、原料物質の反応性を室温の状態より低下させることができ、ジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物等自体の反応性を下げるような手段、例えばアミノ基の保護基による修飾といった工程は不要となる。
本発明における「当量混合溶液」とは、ジアミン化合物から供給されるアミノ基の総数とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物から供給され、且つ窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子に直接結合するカルボニル基又はチオカルボニル基の総数が、原則として、等しくなるように溶媒に溶解した溶液をいう。但し、混合比は1:1に限定されず、1:0.9〜1:1.1の比率であれば、実質的に当量混合溶液として良い。
なお、上記の「当量混合溶液」の要件を満たす限り、本発明で用いる混合溶液には、ジアミン化合物及びカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物をそれぞれ2種以上含有しても良い。また、これらの化合物以外の化合物を含有しても良い。
(分極処理)
本発明に係る分極処理における分極処理方法としては、従来公知の種々の方法が適用され得るが、コロナ放電処理法が好ましい。
コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択することが好ましいが、高電圧電源の電圧としては、絶対値で1〜20kV、電流としては1μA〜1mA、電極間距離としては、1〜10cmが好ましく、印加電圧は、0.5〜2.0MV/mであることが好ましい。
電極としては、従来から用いられている針状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電極が好ましいが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
またコロナ放電中に加熱を行うので、本発明により作製した基板が接触している電極の下部に絶縁体を介して、ヒーターを設置する必要がある。
なお、本発明において前記原料溶液の溶媒が残留している状態で、分極処理としてコロナ放電処理をする場合には、引火爆発などの危険性を避けるために溶媒の揮発成分が除去されるように十分換気しながら行うことが安全上必要である。
(超音波振動子)
本発明に係る超音波振動子は、本発明の有機圧電体膜を用いたことを特徴とする。当該超音波振動子は、超音波送信用振動子と超音波送信用振動子を具備する超音波医用画像診断装置用探触子(プローブ)に用いられる超音波受信用振動子とすることが好ましい。
なお、一般に、超音波振動子は膜状の圧電材料からなる層(又は膜)(「圧電膜」、「圧電体膜」、又は「圧電体層」ともいう。)を挟んで一対の電極を配設して構成され、複数の振動子を例えば1次元配列して超音波探触子が構成される。
そして、複数の振動子が配列された長軸方向の所定数の振動子を口径として設定し、その口径に属する複数の振動子を駆動して被検体内の計測部位に超音波ビームを収束させて照射すると共に、その口径に属する複数の振動子により被検体から発する超音波の反射エコー等を受信して電気信号に変換する機能を有している。
以下、本発明に係る超音波受信用振動子と超音波送信用振動子それぞれについて詳細に説明する。
〈超音波受信用振動子〉
本発明に係る超音波受信用振動子は、超音波医用画像診断装置用探触子に用いられる振動子であって、それを構成する圧電材料として、本発明の有機圧電体膜を用いたことを特徴とする。
なお、超音波受信用振動子に用いる有機圧電体膜は、厚み共振周波数における比誘電率が10〜50であることが好ましい。比誘電率の調整は、当該有機圧電体膜を構成する化合物が有する、CF2基、CN基のような極性官能基の数量、組成、重合度等の調整、及び上記の分極処理によって行うことができる。
〈超音波送信用振動子〉
本発明に係る超音波送信用振動子は、上記超音波受信用振動子との関係で適切な比誘電率を有する圧電体材料により構成されることが好ましい。また、耐熱性・耐電圧性に優れた圧電材料を用いることが好ましい。
超音波送信用振動子構成用材料としては、公知の種々の有機圧電材料及び無機圧電材料を用いることができる。
有機圧電材料としては、上記超音波受信用振動子構成用有機圧電材料と同様の高分子材料を用いることできる。
無機材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸タンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O3]、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、又はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)等を用いることができる。尚、PZTはPb(Zr1nTin)O3(0.47≦n≦1)が好ましい。
〈電極〉
本発明に係る圧電(体)振動子は、圧電体膜(層)の両面上又は片面上に電極を形成し、その圧電体膜を分極処理することによって作製されるものである。当該電極は、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などを主体とした電極材料を用いて形成する。
電極の形成に際しては、まず、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属及びそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する。これらの電極形成はスパッタ法以外でも微粉末の金属粉末と低融点ガラスを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
さらに、圧電体膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、圧電体膜を分極することで圧電素子が得られる。
(超音波探触子)
本発明に係る超音波探触子は、超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備する超音波画像診断装置用探触子(プローブ)であり、受信用振動子として、本発明に係る上記超音波受信用振動子を用いることを特徴とする。
本発明においては、超音波の送受信の両方をひとつの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて探触子内に構成される。
送信用振動子を構成する圧電材料としては、従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
本発明に係る超音波探触子においては、送信用振動子の上もしくは並列に本発明の超音波受信用振動子を配置することができる。
より好ましい実施形態としては、超音波送信用振動子の上に本発明の超音波受信用振動子を積層する構造が良く、その際には、本発明の超音波受信用振動子は他の高分子材料(支持体として上記の比誘電率が比較的低い高分子(樹脂)フィルム、例えば、ポリエステルフィルム)の上に添合した形で送信用振動子の上に積層してもよい。その際の受信用振動子と他の高分子材料と合わせた膜厚は、探触子の設計上好ましい受信周波数帯域に合わせることが好ましい。実用的な超音波医用画像診断装置および生体情報収集に現実的な周波数帯から鑑みると、その膜厚は、40〜150μmであることが好ましい。
なお、当該探触子には、バッキング層、音響整合層、音響レンズなどを設けても良い。また、多数の圧電材料を有する振動子を2次元に並べた探触子とすることもできる。複数の2次元配列した探触子を順次走査して、画像化するスキャナーとして構成させることもできる。
(超音波医用画像診断装置)
本発明に係る上記超音波探触子は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。例えば、図1に示すような超音波医用画像診断装置において好適に使用することができる。
図1は、本発明の実施形態の超音波医用画像診断装置の主要部の構成を示す概念図である。この超音波医用画像診断装置は、患者などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する圧電体振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている。また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各圧電体振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。
更に、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波医用画像診断装置全体の制御を行う制御回路を備えている。
制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。そして、超音波探触子の各圧電体振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
なお、上記送受信回路が「電気信号を発生する手段」に相当し、画像データ変換回路が「画像処理手段」に相当する。
上記のような超音波診断装置によれば、本発明の圧電特性及び耐熱性に優れかつ高周波・広帯域に適した超音波受信用振動子の特徴を生かして、従来技術と比較して画質とその再現・安定性が向上した超音波像を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、カルボニル基を2つ以上有する化合物を、単に「カルボニル化合物」と称する。同様に、チオカルボニル基を2つ以上有する化合物を、単に「チオカルボニル化合物」と称する。
実施例1
《ジアミン化合物とカルボニル化合物の当量混合物1の調製》
300mlのフラスコに100mlのアセトンを加え、−30℃に温調したあと、4,4’−ジアミノジフェニルメタン9.9gとピロメリット酸二無水物10.9gを加え、5分間攪拌し、当量混合物1を調製した。
《ジアミン化合物とカルボニル化合物の当量混合物2の調製》
300mlのフラスコに100mlのアセトンを加え、−50℃に温調したあと、1,5−ジアミノナフタレン7.9gとテレフタル酸二塩化物を10.2g加え、5分間攪拌し、当量混合物2を調製した。
《ジアミン化合物とカルボニル化合物の当量混合物3の調製》
300mlのフラスコに100mlのアセトンを加え、−50℃に温調したあと、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10.0gと4−(クロロフォルミル)−フタル酸無水物10.5gを加え、5分間攪拌し、当量混合物3を調製した。
《ジアミン化合物とカルボニル化合物の当量混合物4の調製》
300mlのフラスコに100mlのアセトンを加え、−20℃に温調したあと、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)12.7gと4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)18.1gを加え、5分間攪拌し、当量混合物4を調製した。
《ジアミン化合物とチオカルボニル化合物の当量混合物5の調製》
300mlのフラスコに100mlのアセトンを加え、−30℃に温調したあと、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルアニリン)23.7gと4,4’−ジフェニルメタンジイソチオシアナート14.1gを加え、5分間攪拌し、当量混合物5を調製した。
《当量混合物を塗布した基板の作製》
前記ジイソシアネート化合物とジアミン化合物の当量混合物1〜5を、蒸着によりアルミニウム電極を施した厚さ25μmのポリイミド基板のアルミニウム電極上に、乾燥圧膜5μmの厚さになるように塗布した。これらジアミン化合物とカルボニル化合物の当量混合塗布膜を、各当量混合物を調製した温度にそれぞれ保ちながら5kPaで30分減圧乾燥し、基板上に形成された当量混合膜1〜5を得た。
《分極処理膜の作製》
熱重合と分極処理を同時進行させるべく前記当量混合膜1〜5を、表1及び2に記載の熱重合加熱温度までそれぞれ5℃/分の割合で昇温し、表1及び2に記載の時間停滞した後、自然冷却し、25℃にした。この間、高圧電源装置 HARb−20R60(松定プレシジョン(株)製)と針状電極を用い、表1及び2に記載の分極処理印加電界で放電分極処理を行い、その後得られた膜の有機圧電体側の表面に蒸着によりアルミニウム電極を施し、順に有機圧電体膜1〜5を得た。
また有機圧電体膜6〜15の作製においては、表1及び2の条件の下、《ジアミン化合物とカルボニル化合物の当量混合物の調製》、《当量混合物を塗布した基板の作製》、《分極処理膜の作製》と同様に作製した。
《比較例1の作製》
真空処理室内に前述のポリイミド基板を取り付け、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)と4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)の蒸着重合を行い、5μm(50000Å)の膜厚まで蒸着させた。このときの条件は、ジアミン化合物は、100±3℃、カルボニル化合物は70±3℃、基板温度は25℃、蒸着処理室内は1.0×10−3Paであった。次にこの膜を取り出し、180℃で10分間、前述の高圧電源装置と針状電極を用い、1.0MV/mの電界中で放電分極処理を行い、その後得られた膜の有機圧電体側の表面に蒸着によりアルミニウム電極を施し、比較膜1を得た。
また比較例2の作製においては、表1及び2の条件の下、《比較例1の作製》と同様に作製した。
《比較例3の作製》
前記当量混合膜4を、150℃まで5℃/分の割合で昇温し、10分停滞した後、自然冷却し、25℃にし、熱処理膜を得た。その後、再び150℃まで5℃/分の割合で昇温し、10分停滞した後、自然冷却し、25℃にした。この間、前述の高圧電源装置と針状電極を用い、1.0MV/mの電界中で放電分極処理を行い、その後得られた膜の有機圧電体側の表面に蒸着によりアルミニウム電極を施し、比較膜3を得た。
《作製した膜の評価》
得られた有機圧電体膜1〜15、比較膜1〜3の評価をRheolograph Solid(東洋精機社製)で圧電性を測定した。
上記評価結果を比較例−1を100としたときの相対値にて表1及び2に示す。
表1及び2に示した結果から明らかなように、本発明に係る実施例では、圧電性が比較例に比べ優れていることが分かる。
すなわち、上記の有機圧電体膜の形成方法も考慮に入れるならば、本発明の手段により、ジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する化合物を原料として用いて形成される有機圧電体膜であって、圧電性に優れ、かつ低コストで容易に形成(製造)できる有機圧電体膜及びその形成方法を提供することができることが分かる。
実施例2
(超音波探触子の作製と評価)
〈送信用圧電材料の作製〉
成分原料であるCaCO3、La23、Bi23とTiO2、及び副成分原料であるMnOを準備し、成分原料については、成分の最終組成が(Ca0.97La0.03)Bi4.01Ti415となるように秤量した。次に、純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮焼物を作製した。次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。微粉砕においては、微粉砕を行う時間および粉砕条件を変えることにより、それぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉末を得た。それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。次に、上記の成形体を焼成した。最終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。なお、焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
〈受信用積層振動子の作製〉
前記実施例1において作製した有機圧電体膜1と厚さ50μmのポリエステルフィルムをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた積層振動子を作製した。その後、上記と同様に分極処理をした。
次に、常法に従って、上記の送信用圧電材料の上に受信用積層振動子を積層し、かつバッキング層と音響整合層を設置し超音波探触子を試作した。
なお、比較例として、上記受信用積層振動子の代わりに、比較化例−1の有機圧電体膜のみを用いた受信用積層振動子を上記受信用積層振動子に積層した以外、上記超音波探触子と同様の探触子を作製した。
次いで、上記2種の超音波探触子について受信感度と絶縁破壊強度の測定をして評価した。
なお、受信感度については、5MHzの基本周波数f1を発信させ、受信2次高調波f2として10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めた。受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
絶縁破壊強度の測定は、負荷電力Pを5倍にして、10時間試験した後、負荷電力を基準に戻して、相対受信感度を評価した。感度の低下が負荷試験前の1%以内のときを良、1%を超え10%未満を可、10%以上を不良として評価した。
上記評価において、本発明に係る受信用圧電(体)積層振動子を具備した探触子は、比較例に対して約1.2倍の相対受信感度を有しており、かつ絶縁破壊強度は良好であることを確認した。すなわち、本発明の超音波受信用振動子は、図1に示したような超音波医用画像診断装置に用いる探触子にも好適に使用できることが確認された。

Claims (9)

  1. 少なくとも一種のジアミン化合物とカルボニル基又はチオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物を原料として用いて熱重合と分極処理により形成された有機圧電体膜であって、当該原料の当量混合溶液を基板上に塗布し、熱重合と分極処理を同時進行させながら形成されたことを特徴とする有機圧電体膜。
  2. 前記カルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物が、ジカルボン酸ジハロゲン化物、テトラカルボン酸二無水物、カルボン酸ハロゲン化物の無水物、又はジイソシアナート化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機圧電体膜。
  3. 前記チオカルボニル基を2つ以上有する少なくとも一種の化合物が、ジイソチオシアナート化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機圧電体膜。
  4. 請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の有機圧電体膜であって、それを構成する化合物が、芳香族縮環構造を有することを特徴とする有機圧電体膜。
  5. 請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載の有機圧電体膜の形成方法であって、熱重合における温度が−50〜250℃であることを特徴とする有機圧電体膜の形成方法。
  6. 請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載の有機圧電体膜の形成方法であって、分極処理における分極処理方法がコロナ放電によるものであり、印加電圧が0.5〜2.0MV/mであることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の有機圧電体膜の形成方法。
  7. 請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載の有機圧電体膜を用いたことを特徴とする超音波振動子。
  8. 超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備する超音波探触子であって、請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載の有機圧電体膜を用いた超音波振動子を超音波受信用振動子として具備したことを特徴とする超音波探触子。
  9. 電気信号を発生する手段と、前記電気信号を受けて超音波を被検体に向けて送信し、前記被検体から受けた反射波に応じた受信信号を生成する複数の振動子が配置された超音波探触子と、前記超音波探触子が生成した前記受信信号に応じて、前記被検体の画像を生成する画像処理手段とを有する超音波医用画像診断装置において、前記超音波探触子が、請求の範囲第8項に記載の超音波探触子であることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
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