JP2010147136A - 有機圧電体膜、超音波振動子、超音波探触子および有機圧電体膜の形成方法 - Google Patents

有機圧電体膜、超音波振動子、超音波探触子および有機圧電体膜の形成方法 Download PDF

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雄一 西久保
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Abstract

【課題】本発明の目的は、超音波圧電特性に優れ、受信感度に優れる超音波振動子および超音波探触子を与える有機圧電体膜、それを用いた超音波振動子および超音波探触子を提供することにある。
【解決手段】有機圧電体および、カーボンナノチューブ(CNT)を含有するCNT粒子を含有する有機圧電体膜であって、該CNT粒子は、有機圧電体膜を厚さ方向に垂直に切断し互いに60°異なる3つの断層面を有する正三角柱を切り出したときの、該3つの各々の断層面の電子顕微鏡による断層写真において、カーボンナノチューブ粒子の長軸方向線と、断面の垂直線とのなす角度のうち小さい方の角度をθとしたときに、3つの断層面全てで、θが45°以下であるCNT粒子の占める割合が、カーボンナノチューブ粒子全体の55%(数%)以上である、配向を有していることを特徴とする有機圧電体膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、超音波を送信、受信して超音波検査を行う超音波画像検出装置に用いられる超音波探触子、超音波振動子および有機圧電体膜に関する。
超音波探蝕子などのセンサーに用いられる圧電体としては、無機圧電体および有機圧電体が知られている。
無機圧電体を用いた無機圧電材料としては、例えば水晶、LiNbO、LiTaO、KNbOなどの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O系などの焼結体を分極処理した無機圧電材料が知られている。
そして、これら無機材質の圧電材料は、弾性スティフネスが高く、機械的損失係数が高い、密度が高く誘電率も高いなどの性質がある。
有機圧電体を用いた有機圧電材料としては、例えば、特開2008−171935号公報に記載のようにフッ化ビニリデンの重合体あるいは共重合体、シアン化ビニリデンの重合体あるいは共重合体を用いた有機圧電材料が知られている。
ポリフッ化ビニリデン系以外の有機圧電材料としては、特開2006−225565号公報に記載の蒸着重合で得られたポリ尿素膜からなる有機圧電材料が知られている。
また、有機高分子圧電材料のマトリックス中に無機圧電材料微粒子を分散含有させた有機圧電材料(特許文献1参照)、フッ化ビニリデン共重合体にカーボンナノチューブを含有させた有機圧電材料(非特許文献1参照)が知られている。
有機圧電体は、無機材質の圧電体に対して、薄膜化、大面積化等の加工性に比較的優れ、任意の形状、形態の物が作ることができ、弾性率が低い、誘電率が低い等の特徴を持つため、センサーとしての使用に際しては、適用範囲が広く汎用性が高いなどの特徴を持っている。
他方、近年では、超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。
このハーモニックイメージング技術は、(1)基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、(2)周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、(3)近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および、(4)焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きくとれることなどの様々な利点を有しており、高精度な診断を可能としている。
そして、有機圧電体は、高周波特性、広帯域特性を必要とする上記ハーモニックイメージング技術における圧電材料に用いられる圧電体として適している。
また、上記のような有機圧電体の音響インピーダンスは生体のそれに近いという特徴があり、被検体が生体の場合、音響整合がとりやすいという利点を有している。
しかしながら、上記のような有機圧電材料を有する素子は、超音波振動子として機能する場合、無機圧電材料を有する素子に比べ、広帯域特性には比較的優れるものの、受信感度がまだ不十分であるという問題があった。
特開2008−47693号公報 TEXTILE RESEARCH JOURNAL,2005年,75(9),p.670−680
本発明の目的は、超音波圧電特性に優れ、受信感度に優れる超音波振動子および超音波探触子を与える有機圧電体膜、それを用いた超音波振動子および超音波探触子を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.有機圧電体および、カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ粒子を含有する有機圧電体膜であって、該カーボンナノチューブ粒子は、
有機圧電体膜を厚さ方向に垂直に切断し互いに60°異なる3つの断層面を有する正三角柱(正三角柱の三角形の一辺は、200μmとする)を切り出したときの、該3つの各々の断層面の電子顕微鏡による断層写真において、カーボンナノチューブ粒子の長軸方向線(断層写真におけるカーボンナノチューブ粒子の形状において、粒子の外郭線上の2点を結ぶ直線のうち最大の長さを有する直線を含む直線)と、断面の垂直線とのなす角度のうち小さい方の角度をθとしたときに、3つの断層面全てで、θが45°以下であるCNT粒子の占める割合が、カーボンナノチューブ粒子全体の55%(数%)以上である、
配向を有していることを特徴とする有機圧電体膜。
2.前記カーボンナノチューブの含有量が、0.1〜1.0質量%であることを特徴とする前記1に記載の有機圧電体膜。
3.前記カーボンナノチューブ粒子の平均長軸径が、500nm〜10μmであることを特徴とする前記1または2に記載の有機圧電体膜。
4.前記有機圧電体が、フッ化ビニリデンの重合体または共重合体、ポリウレア樹脂およびポリチオウレア樹脂の少なくとも一つであることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の有機圧電体膜。
5.電場により分極処理が施されていることを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の有機圧電体膜。
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の有機圧電体膜と、電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
7.前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする前記6に記載の超音波振動子。
8.前記6または7に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
9.有機圧電体および、カーボンナノチューブを含有する溶液を用い、有機圧電体膜を形成する有機圧電体膜の形成方法であって、基材上に該溶液を塗布し、塗布した塗布膜の膜厚方向に磁場をかけつつ該溶液中の溶媒を除去して、有機圧電体膜を形成することを特徴とする有機圧電体膜の形成方法。
10.前記磁場が、5〜20Tであることを特徴とする前記9に記載の有機圧電体膜の形成方法。
11.前記有機圧電体とカーボンナノチューブとの合計量に対するカーボンナノチューブの量の割合が、0.05〜1.0質量%であることを特徴とする前記9または10に記載の有機圧電体膜の形成方法。
12.前記カーボンナノチューブ粒子の平均長軸径が、10nm〜10μmであることを特徴とする前記9から11のいずれか1項に記載の有機圧電体膜の形成方法。
本発明の上記手段により、超音波圧電特性に優れ、受信感度に優れる超音波振動子および超音波探触子を与える有機圧電体膜、それを用いた超音波振動子および超音波探触子が提供できる。
本発明は、カーボンナノチューブ(以下CNTとも言う)を含有するカーボンナノチューブ粒子(以下CNT粒子とも言う)を含有する有機圧電体膜であって、該カーボンナノチューブ粒子は、有機圧電体膜を厚さ方向に垂直に切断し互いに60°異なる3つの断層面を有する正三角柱(正三角柱の三角形の一辺は、200μmとする)を切り出したときの、該3つの各々の断層面の電子顕微鏡による断層写真において、CNT粒子の長軸方向線(断層写真におけるCNT粒子の形状において、粒子の外郭線上の2点を結ぶ直線のうち最大の長さを有する直線を含む直線)と、断面の垂直線とのなす角度のうち小さい方の角度をθとしたときに、3つの断層面全てで、θが45°以下であるCNT粒子の占める割合が、CNT粒子全体の55%(数%)以上である、配向を有していることを特徴とする。
また、本発明においては特に、有機圧電体および、カーボンナノチューブを含有する溶液を用い、有機圧電体膜を形成する有機圧電体膜の形成方法であって、基材上に該溶液を塗布し、塗布した塗布膜の膜厚方向に磁場をかけつつ該溶液中の溶媒を除去して、膜を形成することにより、受信感度に優れる有機圧電体材料を与える有機圧電体膜が形成できる。
本発明において、有機圧電体膜は有機圧電体および、カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ粒子を含有し、このカーボンナノチューブ粒子が上記特定の配向を有している。
(有機圧電体)
有機圧電体とは、機械的力や歪みを加えることにより、電荷を発生する正圧電効果または、電界を加えると力や歪みを発生する逆圧電効果を有する有機物質をいう。
有機圧電体としては、フッ素を含むフッ素系樹脂およびフッ素を含まない非フッ素系樹脂が挙げられる。
フッ素系樹脂としては、フッ化ビニリデンの重合体および、フッ化ビニリデンとトリフッ化エチレン、テトラフッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル等のフッ化ビニリデンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
これらの共重合体としては、フッ化ビニリデンを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む共重合体が好ましく用いられる。
非フッ素系樹脂としては、ウレア樹脂、チオウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも特に、ウレア樹脂、チオウレア樹脂が好ましく用いられる。
ポリウレア樹脂の合成は、ジイソシアナート化合物とジアミン化合物の付加反応、ジアミンとカルボニル基導入試薬とのカップリング反応により得ることができる。
原料とする好ましいジアミン化合物として以下の化合物を挙げることができる。
1級アミノ基を有するジアミン化合物として、例えば、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、ビス−(3−アミノプロピル)−ジエチレングリコールエーテル、ビス−(3−アミノプロピル)−ジプロピレングリコールエーテル等の脂肪族ジアミン;ビスアミノプロピルポリエチレングリコールエーテル、ビスアミノプロピルポリプロピレングリコールエーテル、ビスアミノプロピルポリテトラメチレングリコールエーテル、ジアミノポリエチレングリコール、ジアミノポリプロピレングリコール、ジアミノポリテトラメチレングリコール、ポリアミノポリエチレングリコール、ポリアミノポリプロピレングリコール、ポリアミノポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンポリエーテルジアミン;ジアミノジフェニルエーテル等を挙げることができる。
また、脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミンもしくは、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
脂環式ジアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。複素環式ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、メチルピペラジン、アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
ジイソシアナート化合物(イソシアナート基、即ち、−N=C=O基を有する化合物)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネート−1−1−メチルシクロヘキサン、ジイソシアネートシクロブタン、テトラメチレンジイソシアネート、o−、m−もしくはp−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートカーボジイミド変性ジフェニルメタジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、フェニルエーテルジイソシアネート等のイソシアネートモノマー類等が挙げられる。
カルボニル導入試薬としては、ホスゲン、1,1′−カルボニルジイミダゾール、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、炭酸ビス(トリクロロメチル)、が挙げられる。
樹脂にするための合成に際しての有機溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸(イソ)プロピル、酢酸(イソ)ブチル、エチレングリコールジエチルエステル如きエステル系溶剤;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルグリコールアセテート、酢酸セロソルブ、ブチルグリコールアセテート、酢酸メトキシプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ソルフィットアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンもしくはデカン等のパラフィン系炭化水素溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン等のナフテン系炭化水素溶剤等が挙げられる。
上記ジイソシアナート化合物と上記ジアミン化合物をそのまま無溶媒で重合してもよいし、DMF、DMSO、アセトン、MEK等の極性溶媒に溶解して重合することもできる。
上記重合は室温から上記溶媒の沸点までの温度範囲で重合反応を進めることができる。
チオウレア樹脂の合成は、ジイソチオシアナート化合物とジアミン化合物の付加反応、ジアミンとチオカルボニル基導入試薬とのカップリング反応により得ることができる。
原料とする好ましいジアミン化合物としてはウレア樹脂の合成にあげたジアミン化合物を挙げることができる。
ジイソチオシアナート化合物(イソチオシアナート基、即ち、−N=C=S基を有する化合物)としては、ウレア樹脂の合成にあげたジイソシアネート化合物と同様の骨格を有するジイソチオシアネート化合物を挙げることができる。
チオカルボニル基導入試薬としては、チオホスゲン、1,1′−チオカルボニルジイミダゾール、ジメチルカルボノチオエート、ジフェニルカルボノチオエート、チオ炭酸ビス(トリクロロメチル)、が挙げられる。
樹脂にするための合成に際しての有機溶剤は、ウレア樹脂の合成にあげた溶剤が挙げられる。
上記ジイソチオシアナート化合物と上記ジアミン化合物をそのまま無溶媒で重合してもよいし、DMF、DMSO、アセトン、MEK等の極性溶媒に溶解して重合することもできる。
上記重合は室温から上記溶媒の沸点までの温度範囲で重合反応を進めることができる。
そのほかの有機圧電体としては、ポリアミドが挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミドMXD6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、メトキシ化ポリアミド(既存化学句物質(7)−383)等が挙げられる。
これらの樹脂は、市販品で入手可能である。
(併用可能な有機圧電体)
本発明の有機圧電体と共に、併用可能な他の有機圧電体としては、混合した場合に相分離を起こさない有機圧電体を選択して用いることができる。
他の有機圧電体の割合は、圧電体膜に対して、50質量%以下が好ましく、0〜30質量%が好ましい。
他の有機圧電体としては、本発明の有機圧電体の双極子モーメント量を増加させる作用を有する電子吸引性基を持つ、重合性化合物により形成した有機高分子材料であることが好ましい。
このような有機高分子材料であれば、双極子モーメント量を増加させる作用を有することから、有機圧電材料(膜)として用いた場合、優れた圧電特性を得ることができる。
なお、「電子吸引性基」とは、電子吸引性の度合いを示す指標としてハメット置換基定数(σp)が0.10以上である置換基をいう。ここでいうハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
例えば、σpの値が0.10以上の置換基または原子としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルチオメチル、トリフルオロメタンスルホニルメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくは芳香族複素環アシル基(例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル)、脂肪族・芳香族もしくは芳香族複素環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、置換アリール基(例えばペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル)、芳香族複素環基(例えば2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンズチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アシロキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)などが挙げられる。
重合性化合物の具体例としては、以下の化合物、もしくはその誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4′−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジシクロヘキシルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−t−ブチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−シクロヘキシルアニリン)、4,4′−メチレンビス(3,5−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,5−ジメチルアニリン)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)トルエン、4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジクロロアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジブロモアニリン)、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノオクタフルオロジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルジスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4′−ジアミノスチルベン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4′−ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,3′−ジアミノベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′−ジヒドロキシベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−5,5′−ジメチルベンジジン、4,4″−ジアミノ−p−ターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、3,3′−ジメチルナフチジン、2,7−ジアミノカルバゾール、3,6−ジアミノカルバゾール、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ジアミノペンタン、1.6−ジアミノヘキサン、1,7−ジミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−1:4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジメチルアミノ−3,3′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−5,5′−ジエチル−3,3′−ジフルオロベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラフルオロベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジブロモジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラフルオロジフェニルジスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−クロロ−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノ−3−ブロモフェニル)スルホキシド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ジアニリン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(2,6−ジクロロアニリン)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)マロン酸ジエチル、2,2−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)マロン酸ジエチル、4−(ジp−アミノフェニルメチル)ピリジン、1−(ジp−アミノフェニルメチル)−1H−ピロール、1−(ジp−アミノフェニルメチル)−1H−イミダゾール、2−(ジp−アミノフェニルメチル)オキサゾール等のジアミン化合物とそれら誘導体と、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジシクロヘキシルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−エチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−t−ブチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−シクロヘキシルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(3,5−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,5−ジメチルフェニルイソシアナート)、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−イソシアナートフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−イソシアナートフェニル)トルエン、4,4′−メチレンビス(2,6−ジクロロフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−クロロフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジブロモフェニルイソシアナート)、m−キシリレンジイソシアナート、4,4′−ジイソシアナート−3,3′−ジメチルビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、1,3−ビス(2−イソシアナート−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,7−フルオレンジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアン酸、3,3′−ジクロロベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアン酸、5,5′−ジエチル−3,3′−ジフルオロベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアン酸、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−イソシアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−イソシアネートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−イソシアネートフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジフルオロ−4−イソシアネートフェニル)エーテル、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジブロモ−4−イソシアネートフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアネートフェニル)ジスルフィド、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルホン、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−イソシアネートフェニル)スルホキシド、1,1−ビス(4−イソシアネートフェニル)シクロプロパン、1,1−ビス(4−イソシアネートフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−イソシアネートフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−イソシアネートフェニル)シクロヘキサン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(イソシアネートベンゼン)、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(1−イソシアネート−2−クロロベンゼン)、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)マロン酸ジエチル、2,2−ビス(3−クロロ−4−イソシアネートフェニル)マロン酸ジエチル、4−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)ピリジン、1−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)−1H−ピロール、1−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)−1H−イミダゾール、2−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)オキサゾール等のジイソシアネート化合物とそれら誘導体と、4,4′−ジフェニルメタンジイソチオシアナート、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソチオシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソチオシアナート)、1,3−ビス(イソチオシアナートメチル)シクロヘキサン、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソチオシアン酸、3,3′−ジフルオロベンゾフェノン−4,4′−ジイソチオシアン酸、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−イソチオシアネートフェニル)プロパン、ビス(4−イソチオシアネートフェニル)エーテル、ビス(4−イソチオシアネートフェニル)スルホン、ビス(4−イソチオシアネートフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−イソチオシアネートフェニル)スルホキシド、1,1−ビス(4−イソチオシアネートフェニル)シクロプロパン、1,1−ビス(4−イソチオシアネートフェニル)シクロオクタン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(イソチオシアネートベンゼン)、2,2−ビス(4−イソチオシアネートフェニル)マロン酸ジエチル、1−(ジp−イソチオシアネートフェニルメチル)−1H−ピロール、2−(ジp−イソチオシアネートフェニルメチル)オキサゾール等のジイソチオシアネート化合物とそれら誘導体である。
以下、併用することができる、他の有機圧電体について更に詳細な説明をする。
本発明においては、併用しうる有機圧電体が、ウレア結合もしくはチオウレア結合を有する化合物を構成成分として含有することが好ましく、当該化合物が、下記一般式(A)〜(C)で表される化合物もしくはこれらの化合物の誘導体を原料として形成されたものであることも好ましい。
Figure 2010147136
(式中、R11およびR12は、各々独立に水素原子、アルキル基、3〜10員の非芳香族環基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、これらの基は更に置換基を有しても良い。R21〜R26は、各々独立に水素原子、アルキル基、電子吸引性基を表す。)
Figure 2010147136
(式中、R13は、各々独立にカルボキシル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基を表し、これらの活性水素は、更にアルキル基、3〜10員の非芳香族環基、アリール基、またはヘテロアリール基等で置換されてもよい。R21〜R26は上記一般式(A)のR21〜R26と同義の基を表す。)
Figure 2010147136
(式中、Yは、各々独立にケト基、オキシム基、置換ビニリデン基を表し、R21〜R26は、上記一般式(A)のR21〜R26と同義の置換基を表す。)
好ましい例としては、前記一般式(A)〜(C)で表される化合物もしくはこれらの化合物の誘導体を挙げることができる。
《一般式(A)で表される化合物》
一般式(A)で表される化合物としては、2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジニトロフルオレン、2,7−ジアミノ−3,4,5、6−テトラクロロフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジフルオロフルオレン、2,7−ジアミノ−9−(n−ヘキシル)フルオレン、9、9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−ベンジルフルオレン、9,9−ビスフェニル−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−メチルフルオレン、9,9−ビス(3,4−ジクロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−クロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(メチルオキシエチル)−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジメチル−9−アミノメチルフルオレン、などが挙げられるがこの限りではない。
《一般式(B)で表される化合物》
一般式(B)で表される化合物としては、2,7−ジアミノ−9−フルオレンカルボン酸、2,7−ジアミノ−9−フルオレンカルボキシアルデヒド、2,7−ジアミノ−9−ヒドロキシフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジフルオロ−9−ヒドロキシフルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジブロモ−9−メルカプトフルオレン、2,7,9−トリアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−ヒドロキシメチルフルオレン、2,7−ジアミノ−9−(メチルオキシ)フルオレン、2,7−ジアミノ−9−アセトキシフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジエチル−9−(パーフルオロフェニルオキシ)フルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジフルオロ−9−(アセトアミド)フルオレン、2,7−ジアミノ−N−イソプロピルフルオレン−9−カルボキシアミド、2,7−ジアミノ−4,5−ジブロモ−9−メチルスルフィニルフルオレン、などが挙げられるがこの限りではない。
《一般式(C)で表される化合物》
一般式(C)で表される化合物としては、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレノン、2,7−ジアミノ−9−ベンジルフルオレノン、9,9−ビスフェニル−2,7−ジアミノフルオレノン、2,7−ジアミノ−9−メチルフルオレノン、9,9−ビス(3,4−ジクロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレノン、9,9−ビス(3−メチル−4−クロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレノン、9−ヘキシリデン−2,7−ジアミノ−4,5−ジクロロフルオレン、1−(2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン)−2−フェニルヒドラジン、2−((2,7−ジアミノ−1,8−ジメチル−9−フルオレニリデン)メチル)ピリジン、などが挙げられるがこの限りではない。
本発明においては、その他の有機高分子材料として以下に示すポリスチレン誘導体も使用できる。
Figure 2010147136
(式中、Raは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは、結合しうる炭素以外の原子、もしくはなくてもよい。nはXの原子価−1以下の整数を表す。)
一般式(D)で表される化合物で表される化合物としては、p−アセトキシスチレン、p−アセチルスチレン、p−ベンゾイルスチレン、p−トリフルオロアセチルスチレン、p−モノクロロアセチルスチレン、p−(パーフルオロブチリルオキシ)スチレン、p−(パーフルオロベンゾイルオキシ)スチレン、S−4−ビニルフェニルピリジン−2−カルボチオエート、およびN−(4−ビニルフェニル)ピコリナミド、などが挙げられるがこの限りではない。
Figure 2010147136
(式中、Rbは、各々独立に電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは結合しうる炭素以外の原子、又はなくてもよい。nはXの原子価−1以下。)
一般式(E)で表される化合物としては、p−トリフルオロメチルスチレン、p−ジブロモメチルスチレン、p−トリフルオロメトキシスチレン、p−パーフルオロフェノキシスチレン、p−ビス(トリフルオロメチル)アミノスチレン、およびp−(1H−イミダゾリルオキシ)スチレン、などが挙げられるがこの限りではない。
Figure 2010147136
(式中、Rcは、各々独立に電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは結合しうる炭素以外の原子、又はなくてもよい。nはXの原子価−1以下の整数を表す。)
一般式(F)で表される化合物としては、p−(メタンスルホニルオキシ)スチレン、p−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スチレン、p−トルエンスルホニルスチレン、p−(パーフルオロプロピルスルホニルオキシ)スチレン、p−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)スチレン、および(4−ビニルフェニル)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、などが挙げられるがこの限りではない。
なお、本発明においては、エチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、4,4−メチレンビスフェノールなどのアルコール化合物等、さらにアミノ基と水酸基の両方を有するエターノルアミン、アミノブチルフェノール、4−(4−アミノベンジル)フェノール(ABP)などのアミノアルコール類、アミノフェノール類等も用いることができる。
(カーボンナノチューブ粒子)
カーボンナノチューブ粒子は、CNTが複数集合した粒子であり、機械的に切断され生じたCNTの断片を集合させ微粒子とすることで得られる。
本発明に用いられるCNTは、CVD法、レーザー蒸発法、アーク放電法により合成することができる。
合成法により、単層CNT、多層CNTが合成されるが、本発明で用いるCNT粒子は、どちらから形成されてもよい。
CNT粒子は、CNTの断片が複数個集合した微粒子であるが、CNT同士を溶剤中で衝突させることにより調製できる。
CNTの断片は、合成されたCNTを機械的に切断することで得られる。
また切断後、分散性を保つために分散剤を予め添加することもある。
なおこの分散剤は、本発明に用いる有機圧電体でもかまわない。
CNTを切断する際に使用しうる溶剤としては、DMF、MEKなど何でもよいが、有機圧電体を溶解するのに用いた溶剤と同様のものが、CNT粒子の分散性を維持する点で好ましい。
CNT粒子に用いられるCNTの大きさとしては、チューブの径が、0.5〜100nmが好ましく、長さとしては、1〜5μmが好ましい。
CNT粒子の大きさとしては、平均長軸径が10nm〜50μmであるものが均一分散性の面から好ましく、特に500nm〜10μmであるものが好ましい。
長軸径は、電子顕微鏡観察によるCNT粒子の形状において、粒子の外郭線上の2点を結ぶ直線のうち最大の長さを有する直線の長さをいい、平均長軸径は、粒子100個について長軸径を測定し、その平均値をいう。
有機圧電体膜中のCNTの含有量は、均一分散性と成膜性の面から、0.05〜1.0質量%が好ましく、特に0.1〜1.0質量%が好ましい。
本発明において、CNT粒子は有機圧電体中で下記の配向を有している。
有機圧電体膜を厚さ方向に垂直に切断し、互いに60°異なる3つの断層面を有する正三角柱を切り出し、該3つの断層面の電子顕微鏡による断層写真を評価する。
正三角柱の三角形の一辺は、200μmとする。
3つの断層面各々の断層写真において、CNT粒子の長軸方向線と断面の垂直線とのなす角度のうち小さい方の角度をθとしたときに、3つの断層面全てで、θが45°以下であるCNT粒子の占める割合が、CNT粒子全体の55%(数%)以上(断層面全体について測定する)である。
長軸方向線とは、断層写真におけるCNT粒子の形状において、粒子の外郭線上の2点を結ぶ直線のうち最大の長さを有する直線を含む直線である。
図1に、角度θ(長軸方向線Aと断層面の垂直線Bとのなす角度のうち小さい方の角度)と、長軸方向線Aと断面の垂直線Bとの関係を示す。
図1のaは、正三角柱101の概略斜視図であり、図1のbは、この断層面の断層写真の模式図である(1つのCNT粒子についての拡大模式図である)。
正三角柱101の1断層面102における断層面の垂直線Bは、膜の表面に垂直な線である。
長軸方向線Aは、CNT粒子103の外郭線104上の2点を結ぶ直線のうち最大の長さを有する直線を含む直線である。
角度θは、長軸方向線Aと断層面の垂直線Bとのなす角度のうち小さい方の角度である。
(有機圧電体膜の形成方法)
本発明の有機圧電体膜は、上記有機圧電体および上記のように調製したCNT粒子を含有する溶液を用い、基材上にこの溶液を塗布し、塗布した塗布膜の膜厚方向に磁場をかけつつ該溶液中の溶媒を除去して、膜を形成することで得られる。
溶媒としては、上記有機圧電体を溶解する、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)等の非プロトン性高極性溶媒、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を挙げることができるなどが挙げられる。
これらの中でも、DMF、MEKが好ましく用いられる。
これらの溶媒中に、有機圧電体を溶解し、溶解した溶液とCNT粒子を含有する分散液とを混合し、さらに分散を行いCNT粒子が分散した溶液を得る。
有機圧電体を溶解した溶液の濃度としては、10〜25質量%が好ましい。
CNT分散液の濃度としては、0.005〜1質量%の範囲で行うことが好ましい。
混合した溶液の濃度としては、5〜20質量%の範囲が好ましい。
上記混合した溶液中の、有機圧電体とCNTとの合計量に対するCNTの割合は、0.05〜1.0質量%であることが、圧電性の面から好ましい。
本発明では、CNTおよび有機圧電体を含有する溶液を、例えば、ガラスなどの基材の上に塗布し、乾燥して溶液中の溶媒を除去して、膜を形成する。
本発明では、塗布した塗布膜の膜厚方向に磁場をかけつつ溶液中の溶媒を除去する。
膜厚方向に磁場をかけるとは、膜厚方向に磁力線が透過することである。
磁力線の方向としては、膜厚方向に対して、0〜10°が好ましく、0°即ち膜厚方向に対して、垂直な方向が好ましい。
磁場をかけつつ溶媒を除去するとは、溶媒を除去する工程の間に磁場をかける工程を有することである。
溶媒を除去する工程における溶媒の除去は、連続的であっても、断続的であってもよい。
溶媒の除去が断続的の場合、磁場をかける工程は、溶媒が除去されている間であってもよいし、溶媒が除去されず中断されている間であってよい。
使用する溶媒と、乾燥温度にもよるが、概ね塗布直後1分後から磁場をかけることが好ましい。
塗布直後すぐの場合、塗布液の拡散による流動配向が磁場配向に勝るためであり、それ以上遅くなると乾燥が進み、粘性上昇によりCNT粒子の配向が阻害されるためである。
磁場をかける時間としては、塗布膜が完全に乾燥するまでの時間が好ましい。
磁場の磁束密度としては、CNT粒子の配向と塗布膜の均一性の点で、1〜30Tが好ましく、5〜20Tが特に好ましい。
磁場は、超低温に冷却したコイルに大電流を流すことにより上記条件の範囲で、磁場をかけることができる。
基材に、有機圧電体とCNTを含む溶液を塗布する方法としては、ブレード塗布、押し出しコータ塗布、カーテン塗布、ワイヤバー塗布など公知の塗布を用いることができる。
本発明の有機圧電体膜は、分極処理を施されて超音波振動子に用いられる。
分極処理の方法としては、従来公知の直流電圧印加処理、交流電圧印加処理またはコロナ放電処理方法が適用され得る。
例えば、コロナ放電処理法による場合には、コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択すればよいが、高電圧電源の電圧としては−1〜−20kV、電流としては1〜80mA、電極間距離としては、1〜10cm、印加電圧としては、0.5〜2.0MV/mである条件が好ましい。
分極処理に用いられる電極としては、従来から用いられている針状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電極を用いることができる。
分極処理は、超音波振動子が有する、下述する電極を付す前に行ってもよいし、電極を付した後に、当該電極を使用して分極処理を行ってもよい。
また塗布膜に磁場をかけながら乾燥する際に、同時に分極処理を行ってもよい。
また、本発明の有機圧電体膜は、加熱処理が施されても良い。
加熱処理としては、100℃〜200℃で加熱する方法が挙げられ、有機圧電体膜を、膜を担持する基材と共に加熱してもよいし、膜(フィルム状)のみを加熱雰囲気中で加熱してもよい。
加熱時間としては、上記温度で1分から60分間加熱する方法が挙げられる。
加熱処理は、分極処理と同時に行ってもよい。
本発明の有機圧電体膜が、良好な受信感度を示す理由は、明確ではないが、以下のように推定される。
CNTは良好な電気伝導性を有しているため、圧電体内部で発生した電荷を好適に捕らえ、表面に誘起させることができることと、CNT自身が圧電性を有していることと推定される。
(超音波振動子)
本発明の超音波振動子は、本発明の有機圧電体膜と、電極とを有する。
(電極)
超音波振動子に付される電極に用いられる材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などが挙げられる。
圧電体膜に電極を付す方法としては、例えば、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属およびそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する方法が挙げられる。
電極形成はスパッタ法以外でも、微粉末の金属粉末と低融点ガラスとを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
さらに、有機圧電体膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、有機圧電体膜を分極処理することができる。
超音波振動子は、超音波探触子に用いられる場合、基板と共に用いられることが好ましい。
基板としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板またはフィルムでもよいし、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素等で覆ったものでもよい。
またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、希土類のハロゲン化物の単結晶の板またはフィルムでもかまわない。
本発明に係る超音波振動子は、超音波探触子に用いられる場合、受信用超音波振動子として、または送信用超音波振動子として用いられるが、特に受信用超音波振動子として用いられることが好ましい態様である。
図2を用いて、本発明の超音波振動子を説明する。
超音波振動子10は、有機圧電体膜1の両側に電極2が配置されている。
電極2は、必要に応じ、有機圧電体膜1の全面にわたり配置されてもよいし、有機圧電体膜1の一部分に配置されてもよい。
本発明の有機圧電体膜は、上記のように、特に超音波振動子用の有機圧電体膜として好適に用いられる。
(超音波探触子)
本発明の超音波探触子は、本発明の超音波振動子を具備したものである。
超音波探触子は、超音波振動子として、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子とを具備することが好ましい。
本発明の超音波探触子は、送信用超音波振動子および受信用超音波振動子の少なくとも一方が本発明の超音波振動子であることが必要であるが、特に少なくとも受信用超音波振動子が本発明の超音波振動子であることが好ましい。
本発明においては、超音波の送受信の両方を一つの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて超音波探触子内に構成されることが好ましい。
本発明の超音波振動子以外の超音波振動子を用いる場合、それは従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
送信用振動子と、受信用振動子の配列としては、各々を上下に配置する配列および並列に配置する配列のどちらでもよいが、上下に配置して積層する構造が好ましい。
積層する場合の送信用振動子および受信用振動子の厚さとしては、40〜150μmであることが好ましい。
本発明の超音波探触子は、必要に応じバッキング層、音響整合層、音響レンズなどを具備することが好ましい。
図3に本発明の超音波探触子の好ましい態様の例を示す。
超音波探触子20は、バッキング層6上に、送信用圧電材料5に電極2が付された送信用超音波振動子12を有し、送信用超音波振動子12上に基板7を有し、基板7上に受信用有機圧電材料11に電極2が付された受信用超音波振動子13を有し、さらにその上に音響整合層8および音響レンズ9を有する構成を有する。
本発明の超音波探触子は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。
例えば、図4に示すような超音波画像検出装置において好適に使用することができる。
図4は、超音波画像検出装置の主要部の構成を示す概念図である。
超音波画像検出装置は、例えば、生体などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する超音波振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている。
また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各超音波振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。
さらに、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波画像検出装置全体の制御を行う制御回路を備えている。
制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。
そして、超音波探触子の各超音波振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
(有機圧電体1〜6の調製)
フッ化ビニリデン(以下VDF)とトリフルオロエチレン(以下3FE)のモル比率が75:25であるポリフッ化ビニリデン共重合体粉末(重量平均分子量29万)(有機圧電体1)を50℃に加熱したエチルメチルケトン(以下MEK)、ジメチルホルムアミド(以下DMF)の9:1混合溶媒に溶解した液を作製し、有機圧電体溶液1を得た。
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、モノマーとして4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート25.0gと脱水した0℃のテトラヒドロフラン100gを添加し溶解した。
またN,N′−ジメチルヘキサメチレンジアミン17.2gと上記4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを溶解した脱水した0℃のテトラヒドロフラン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から続けて1時間攪拌した。
その後殿物を濾取し、0℃に調温したアセトンで洗浄した。
濾物を減圧乾燥して重合体2(有機圧電体2)を30.4g得た。
上記重合体2に50℃を加熱したジメチルホルムアミド(以下DMF)500mlに溶解した液を調製し、有機圧電体溶液2を得た。
表1に示すモノマーを用い、有機圧電体2と同様にして、有機圧電体3〜6を合成し、それを用い、有機圧電体溶液3〜6を調製した。
Figure 2010147136
(CNT分散液の調製)
CNTの分散液は、単層CNT30mgを50mlのMEK中で破砕、分散させた溶液(ナノフロンティアテクノロジー株式会社製)を用いた。
本分散液と各有機圧電体溶液1〜6を表2の組成になるように秤量後、緩やかに混合し、有機圧電材料溶液1〜21を調製した。
用いたCNTの平均長軸径とCNTの含有量を表2に示す。
(磁場中での成膜)
ガラス基板に前記有機圧電材料溶液1を乾燥膜厚40μmになるよう塗布し、表2に記載の磁界に励磁された超伝導マグネット(HF12−100VHT:住友重機械工業株式会社製)内に挿入し、乾燥させた。
塗布方法は、ドクターブレード法で塗布を行い、塗布1分後から固形の膜が形成されるまで、60分間磁界をかけ有機圧電体膜1を得た。
他の有機圧材料溶液2〜21についても表2に記載の条件とした他は、有機圧電材料溶液1と同様にして有機圧電体膜2〜21を形成した。
(超音波振動子1〜21の作製)
得られた有機圧電膜1を135℃に加熱したオーブンに60分間入れ、その後自然冷却し、25℃にした。
その後、得られた膜の両面に、蒸着によりアルミニウム電極を施し、高圧電源装置HARb−20R60(松定プレシジョン(株)製)と針状電極を用い、2.0MV/mの電界でコロナ放電分極処理を行い、有機圧電体膜1を用いた超音波振動子1を作製した。
また有機圧電体膜2〜21についても、有機圧電体膜1と同様にして超音波振動子2〜21を作製した。
次に、特開2006−36202号の実施例1に記載のフッ化ビニリデンとパーフルオロアルキルビニルエーテル(75/25)との共重合体を合成した。
超音波振動子11の作製において、CNTに変えてこの共重合体を用い、表に記載の量を用い、磁場をかけない他は、超音波振動子11と同様にして、超音波振動子22、23を得た。
次に、特開2008−47693号の実施例1に記載のCaBiTi15微粒子を、当該実施例に記載のように作製した。
超音波振動子11の作製において、CNTに変えてこのCaBiTi15微粒子を用い、表に記載の量を用い、表に記載の大きさの磁場をかけた他は、超音波振動子11と同様にして、超音波振動子24、25を得た。
(作製した超音波振動子の圧電特性評価)
得られた超音波振動子1〜25の評価は、Nano−R2/I2クローズドループ・リニアスキャナ搭載多機能AFM(PACIFIC NANOTECHNOLOGY社製)とFCE−1型強誘電体特性評価システム(東陽テクニカ社製)で圧電d33特性を測定し、有機圧電体膜の超音波圧電特性の指標とした。
値が大きなほど超音波振動子として用いた場合の圧電性が良好である。
(正三角柱の、異なる断層面(A、B、C)についてのθが45°以下であるCNT粒子の占める割合を示した。)
結果を表2に示す。表2から、本発明の有機圧電体膜は超音波圧電特性に優れることが分かる。
実施例2
(超音波探触子の作製と評価)
〈送信用超音波振動子の作製〉
成分原料であるCaCO、La、BiとTiO、および副成分原料であるMnOを準備し、成分原料については、成分の最終組成が(Ca0.97La0.03)Bi4.01Ti15となるように秤量した。
次に、純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮焼物を作製した。
次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。微粉砕においては、微粉砕を行う時間および粉砕条件を変えることにより、それぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉末を得た。
それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。
次に、上記の成形体を焼成した。
最終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。
なお、焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
〈受信用超音波振動子の作製〉
前記実施例1において作製した有機圧電体膜1と厚さ50μmのポリエステルフィルムをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた圧電材料1を作製した。
その後、上記と同様に電極を設け、分極処理を行い、受信用超音波振動子1を作製した。
その他の有機圧電体膜2〜25についても同様にして、受信用超音波振動子2〜25を作製した。
(超音波探触子)
次に、常法に従って、上記の送信用超音波振動子の上に基板を設け、基板上に受信用超音波振動子を積層し、図3に示すように、バッキング層と音響整合層を設置し超音波探触子1を作製した。
同様にして他の有機圧電体膜2〜25を用いて、超音波探触子2〜25を作製した。
これらの超音波探触子1〜25を組み込んだ図4に示す構成を有する超音波画像検出装置を作製した。
(受信感度の評価)
下記のようにして、受信感度を測定した。
受信感度の測定は、超音波探触子1の受信感度を100としたときの相対受信感度を評価した。相対感度が基準の140%以上のときを○、100%以上140%未満を△、100%未満を×として評価した。
なお、受信感度の条件としては、5MHzの基本周波数fを発信させ、受信2次高調波fとして10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めこれを受信感度とした。
受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
得られた結果を下記表に示す。
Figure 2010147136
上記結果から、本発明の超音波振動子を具備した超音波探触子は、高い受信感度特性を有していることが分かる。
角度θと、長軸方向線Aと断面の垂直線Bとの関係を示す図である。 本発明の超音波振動子の例の模式断面図である。 本発明の超音波探触子の例の模式断面図である。 本発明の超音波探触子が用いられる超音波画像検出装置の主要部の構成を示す概念図である。
符号の説明
1 有機圧電体膜
2 電極
5 送信用圧電材料
6 バッキング層
7 基板
8 音響整合層
9 音響レンズ
10 超音波振動子
11 受信用有機圧電体膜
12 送信用超音波振動子
13 受信用超音波振動子
20 超音波探触子
101 正三角柱
102 断層面
103 カーボンナノチューブ粒子
104 外郭線
A 長軸方向線
B 垂直線

Claims (12)

  1. 有機圧電体および、カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブ粒子を含有する有機圧電体膜であって、該カーボンナノチューブ粒子は、
    有機圧電体膜を厚さ方向に垂直に切断し互いに60°異なる3つの断層面を有する正三角柱(正三角柱の三角形の一辺は、200μmとする)を切り出したときの、該3つの各々の断層面の電子顕微鏡による断層写真において、カーボンナノチューブ粒子の長軸方向線(断層写真におけるカーボンナノチューブ粒子の形状において、粒子の外郭線上の2点を結ぶ直線のうち最大の長さを有する直線を含む直線)と、断面の垂直線とのなす角度のうち小さい方の角度をθとしたときに、3つの断層面全てで、θが45°以下であるCNT粒子の占める割合が、カーボンナノチューブ粒子全体の55%(数%)以上である、
    配向を有していることを特徴とする有機圧電体膜。
  2. 前記カーボンナノチューブの含有量が、0.1〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の有機圧電体膜。
  3. 前記カーボンナノチューブ粒子の平均長軸径が、500nm〜10μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機圧電体膜。
  4. 前記有機圧電体が、フッ化ビニリデンの重合体または共重合体、ポリウレア樹脂およびポリチオウレア樹脂の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機圧電体膜。
  5. 電場により分極処理が施されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機圧電体膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機圧電体膜と、電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
  7. 前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする請求項6に記載の超音波振動子。
  8. 請求項6または7に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
  9. 有機圧電体および、カーボンナノチューブを含有する溶液を用い、有機圧電体膜を形成する有機圧電体膜の形成方法であって、基材上に該溶液を塗布し、塗布した塗布膜の膜厚方向に磁場をかけつつ該溶液中の溶媒を除去して、有機圧電体膜を形成することを特徴とする有機圧電体膜の形成方法。
  10. 前記磁場が、5〜20Tであることを特徴とする請求項9に記載の有機圧電体膜の形成方法。
  11. 前記有機圧電体とカーボンナノチューブとの合計量に対するカーボンナノチューブの量の割合が、0.05〜1.0質量%であることを特徴とする請求項9または10に記載の有機圧電体膜の形成方法。
  12. 前記カーボンナノチューブ粒子の平均長軸径が、10nm〜10μmであることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の有機圧電体膜の形成方法。
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