JP2008036202A - 圧電材料、超音波探触子、圧電材料の製造方法、および、超音波探触子の製造方法 - Google Patents

圧電材料、超音波探触子、圧電材料の製造方法、および、超音波探触子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、超音波診断装置の超音波探触子に用いられる、電極、有機圧電材料、無機圧電材料の重層複合化での有機圧電材料としてのフッ素系の高分子材料の接着性不良を改善し、超音波探触子の圧電材料としての送受信の耐久性を向上させることができるにもかかわらず、かつ、誘電率、圧電性に優れる、有機圧電材料及びその製造方法を提供することにある。また、微粒子分散技術を使用することで、蒸着やCVD設備を使用しない低コストの有機圧電材料及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させ、塗設または成形し、分極処理したことを特徴とする圧電材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、圧電材料、超音波探触子、圧電材料の製造方法、および、超音波探触子の製造方法、に関し、詳しくは、特に高感度で医用診断に好適な、圧電材料、超音波探触子、圧電材料の製造方法、および、超音波探触子の製造方法、に関する。
圧電材料は、機械の微少な動きを制御するアクチュエーターや超音波発信や受信に使用される。超音波発信や受信をもちいる超音波診断装置は、特に医用の応用においては、X線を使用しないため、被爆を避ける検診に使用される。超音波診断装置は超音波パルス反射法により、体表から生体内の軟組織の断層像を無侵襲に得る医療用画像機器である。ドップラー効果を応用すると血流イメージングが可能であり、精密な反射波の映像解析は、循環器系(心臓の冠動脈)、消化器系(胃腸)、内科系(肝臓、膵臓、脾臓)、泌尿科系(腎臓、膀胱)、及び産婦人科系などで広く利用されている。このような医療用超音波診断装置に使用される超音波探触子は、高感度、高解像度の超音波の送受信を行うために、無機圧電素子の圧電効果が一般的に利用される。
さらに、感度向上を目的として超音波送受信素子にするために圧電無機素子を積層化し(特許文献1参照)、見かけ上のインピーダンスを低下させ駆動回路との電気的な整合条件を良好にし、素子にかかる電界強度を大きくして大きな歪を発生させ送信感度を向上させることが行われている。しかしながら、積層構造では送信感度が積層数に応じて増大するものの、受信感度は積層数に反比例するため、高調波画像形成には不利となっている。
そこで、弗化ビニリデンを主成分とする広帯域の有機の圧電素子が注目されたが(特許文献1参照)、しかし、高分子樹脂となるモノマー溶液に開始剤を使用して重合せしめた樹脂を更にその後1軸又は2軸延伸し、分極処理を施して圧電性能を得るというプロセスが必要であり設備コストが掛かっていた。
そこで、特許文献2に記載のモノマーを真空中で蒸着させ、蒸着させて重合させる方法が提案された(特許文献2参照)。しかしながら、2種以上のモノマーを蒸発させ、或いはそのモノマーの蒸気圧が異なる場合、それぞれの適した温度に設定して蒸発させ、ないと所望のモノマー組成の高分子が得られないという欠点を有していた。また、蒸着しても重合が進まず、重合を進ませるための技術が必要であった。重合を進ませる技術としてプラズマ処理をするという技術が提案されたが(特許文献3参照)、設備コストが高くなるという欠点があった。
特開平7−74407号公報 特開2001−261867号公報 特開2002−275266号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、超音波診断装置の超音波探触子に用いられる、電極、有機圧電材料、無機圧電材料の重層複合化での有機圧電材料としてのフッ素系の高分子材料の接着性不良を改善し、超音波探触子の圧電材料としての送受信の耐久性を向上させることができるにもかかわらず、かつ、誘電率、圧電性に優れる、有機圧電材料及びその製造方法を提供することにある。また、微粒子分散技術を使用することで、蒸着やCVD設備を使用しない低コストの有機圧電材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させ、塗設または成形し、分極処理したことを特徴とする圧電材料。
2.前記フッ素系の高分子材料の微粒子の平均粒子径が5nm〜5μmであることを特徴とする1に記載の圧電材料。
3.前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料が、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1または2に記載の圧電材料。
4.前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、弗化ビニリデン、3弗化エチレン、ヘキサフルオロプロペン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の圧電材料。
5.前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に、フッ素系の圧電材料のフッ素系の高分子材料を微粒子分散させる際に、予めフッ素系の高分子材料の微粒子を、平均粒子径5nm〜5μmに分散して含有させるか、又は300sec-1〜5000sec-1の剪断力で剪断分散する、ことを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の圧電材料。
6.前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に存在する割合が、5質量%以上90質量%以下であることを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載の圧電材料。
7.前記分極処理が直流又は交流電圧印加処理或いはコロナ放電処理であることを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載の圧電材料。
8.1〜7のいずれか1項に記載の圧電材料を用いたことを特徴とする超音波探触子。
9.非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させ、塗設または成形し、分極処理したことを特徴とする圧電材料の製造方法。
10.前記フッ素系の高分子材料の微粒子の平均粒子径が5nm〜5μmであることを特徴とする9に記載の圧電材料の製造方法。
11.前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料が、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする9または10に記載の圧電材料の製造方法。
12.前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、弗化ビニリデン、3弗化エチレン、ヘキサフルオロプロペン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする9〜11のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
13.前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させる際に、予めフッ素系の高分子材料の微粒子を、平均粒子径5nm〜5μmに分散して含有させるか、又は300sec-1〜5000sec-1の剪断力で剪断分散する、ことを特徴とする9〜12のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
14.前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に存在する割合が、5質量%以上90質量%以下であることを特徴とする9〜13のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
15.前記分極処理が直流又は交流電圧印加処理或いはコロナ放電処理であることを特徴とする9〜14のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
16.9〜15のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法を用いたことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
本発明によれば、超音波診断装置の超音波探触子に用いられる、電極、有機圧電材料、無機圧電材料の重層複合化での有機圧電材料としてのフッ素系の高分子材料の接着性不良を改善し、超音波探触子の圧電材料としての送受信の耐久性を向上させることができるにもかかわらず、かつ、誘電率、圧電性に優れる、有機圧電材料及びその製造方法を提供することができる。また、微粒子分散技術を使用することで、蒸着やCVD設備を使用しない低コストの有機圧電材料及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の圧電材料及びその製造方法は、非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料のフッ素系の高分子材料を微粒子分散させ、塗設または成形し、分極処理したことを一つの特徴とする。
本発明に係る非フッ素系の圧電材料の非フッ素系の高分子材料としては、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を代表的な樹脂として挙げることができる。特に極性基として−NHCO−基を有する尿素樹脂とポリアミド樹脂が好ましい。
尿素樹脂の合成は、ジイソシアナート化合物とジアミン化合物の付加反応により得ることができる。原料とする好ましいジアミン化合物として以下の化合物を挙げることができる。
1級アミノ基をするジアミン化合物として、例えば、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、ビス−(3−アミノプロピル)−ジエチレングリコールエーテル、ビス−(3−アミノプロピル)−ジプロピレングリコールエーテル等の脂肪族ジアミン;ビスアミノプロピルポリエチレングリコールエーテル、ビスアミノプロピルポリプロピレングリコールエーテル、ビスアミノプロピルポリテトラメチレングリコールエーテル、ジアミノポリエチレングリコール、ジアミノポリプロピレングリコール、ジアミノポリテトラメチレングリコール、ポリアミノポリエチレングリコール、ポリアミノポリプロピレングリコール、ポリアミノポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンポリエーテルジアミン;ジアミノジフェニルエーテル;等を挙げることができる。また、脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミンもしくは、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。脂環式ジアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。複素環式ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、メチルピペラジン、アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
イソシアナート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネート−1−1−メチルシクロヘキサン、ジイソシアネートシクロブタン、テトラメチレンジイソシアネート、o−、m−もしくはp−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートカーボジイミド変性ジフェニルメタジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、フェニルエーテルジイソシアネート等のイソシアネートモノマー類等が挙げられる。
オリゴマー合成にさいしての有機溶剤としては例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸(イソ)プロピル、酢酸(イソ)ブチル、エチレングリコールジエチルエステル如きエステル系溶剤;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルグリコールアセテート、酢酸セロソルブ、ブチルグリコールアセテート、酢酸メトキシプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ソルフィットアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n(イソ)−プロパノール、n(イソ)−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンもしくはデカン等のパラフィン系炭化水素溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン等のナフテン系炭化水素溶剤;等が挙げられる。
上記ジイソシアナート化合物とジアミン化合物をそのまま無溶媒で重合してもよいし、DMF、DMSO、アセトン、MEK等の極性溶媒に溶解して重合することもできる。
重合は室温から上記溶媒の沸点までの温度範囲で重合反応を進めることができる。
ポリアミド樹脂は代表的なものは市販品で入手可能である。例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミドMXD6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、メトキシ化ポリアミド(既存化学句物質(7)−383)等である。ポリイミドは、NASAが開発した既存化学物質番号(7)−2211(CASNo.611−79−0)を挙げることができる。
ポリエスエル樹脂は、代表的なものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリナフタレンフタレート(PEN)等である。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等である。
本発明に係るフッ素系の圧電材料のフッ素系の高分子材料としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリ3弗化エチレン、ポリヘキサフルオロプロペン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリテトラ弗化エチレン、又はこられの組み合わせた共重合体を挙げることができる。
本発明に係るフッ素系の高分子材料の微粒子の作製は、懸濁重合、乳化重合、塊重合などで得られた重合組成物を剪断力のある分散機で分散することによって得られる。ビーズミル、ボールミル、遊星ミル等はメディアを使用して微粒子化することが可能である。その他にサンドグラインダーミル、スクリューミル、鋭利な刃が付いたプロペラ型等がある。そして、5nm〜300nmほどの大きさで分散するには、本発明に係る非フッ素系の高分子材料と本発明に係るフッ素系の高分子材料を予め小片にしたものをスクリューミルに添加して混練する方法がある。特開2005−313608号にある高剪断のスクリュー押し出し型の分散機で分散することが好ましい。通常は100〜300rpmの回転数であるが、この装置は2000〜5000rpmの回転数を達成することができ、剪断力も300sec-1〜3000sec-1を得ることができるので、5nm〜500nm程の微粒子まで砕くことが可能である。帰還型である径内を循環することによりnmサイズまで分散することができる。予め、上記分散機で平均粒子径が5nm〜5μm程の大きさになるように適宜時間を掛けて分散して、本発明に係る非フッ素系の高分子材料に混連するのが好ましい。剪断力は1000sec-1以上になると1000以上の剪断力を得ることができる。
本発明の圧電材料及びその製造方法は、本発明に係るフッ素系の高分子材料の微粒子の平均粒子径が5nm〜5μmであることが好ましい。5nm以上であることで高分子マトリクスの引き裂き強度を下げず圧電効果が奏されて好ましい。かつ、5μm以下であることで高分子マトリクス膜内から外に露出せず平滑な膜面を保持するので電極の導通効果が奏されて好ましい。
本発明の圧電材料及びその製造方法は、本発明に係るフッ素系の圧電材料のフッ素系の高分子材料が、非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に存在する割合が、5 質量%以上90質量%以下であることが好ましい。5質量%以上であることで誘電率を高める作用により圧電効果が奏されて好ましい。かつ、90質量%以下であることで絶縁破壊を防止して耐久性を上げる効果が奏されて好ましい。
本発明に係る分極処理は、直流、交流、これらのパルス電圧処理の他にコロナ放電処理も可能である。
直流や交流の電圧は、1V〜1GV/mの範囲で適宜選択することができる。コロナ放電処理は、1W〜1kW/m2/秒の放電密度で処理することができる。
コロナ放電処理の際には、誘電破壊が生じ易いので、有機薄膜上の保護として、誘電体薄膜を密着させてコロナ放電処理することが好ましい。誘電体薄膜としては、電気絶縁性であって耐熱性・耐電圧性に優れた薄膜が用いられ、例示すればポリエチレン、ポリプロピレンやα−ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂のシート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリカーボネート、四弗化エチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの合成樹脂のシート、それらの2種類以上の共重合体やブレンド成形物や無極性ガラス板などが挙げられる。
有機圧電膜を製造するに際して、基板としては、硝子、樹脂、シリコンウエハー等任意であるが、低温薄膜形成には、ポリエチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、アルキレート樹脂、シクロオレフィン樹脂等の基板を適宜選択できる。しかし、基板、基体に無機圧電材料を使用すると有機無機複層構造の圧電素子形成に便利である。そのような無機材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸タンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O3]、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)を挙げることができる。
上記に示した有機圧電膜によって、高性能な圧電膜を得て高感度な医療用超音波診断装置を実現することができる。
以下実施例で、超音波探触子の試作の結果を示す。
先ず、フッ素系の樹脂を得て微粒子とし、更に、非フッ素系の樹脂との高剪断力の混連によりフッ素系の微粒子が非フッ素系の樹脂中にナノサイズに分散された圧電性の樹脂を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《フッ素系の高分子材料の合成》
〈FP1の合成〉
P(VDF−PFA)(組成モル比:VDF/パーフロオロアルキルビニルエーテル=75/・25)のポリマーを合成した。
即ち、アセトン溶液にVDFとPFAを質量比2:1で濃度が15質量%となるように溶解し、開始剤ジ−t−ブチルペルオキシド(DTBP)を使用した。開始剤の濃度は1.2質量%濃度になるようにした。80℃3時間重合を行ってFP1を得た。
〈FP2の合成〉
P(VDF−PFA)(組成モル比:VDF/パーフロオロアルキルビニルエーテル=75/25)のポリマーを合成した。
即ち、FP1と同様に合成したが、但し、ここでは開始剤としてジ−i−プロピルペルオキシジカーボネート(IPP)を使用し、溶媒としてDMDSOを使用した。
〈FP3の合成〉
P(VDF−HFP)(組成モル比:VDF/HFP(ヘキサフルオロプロペン)=75/25)のポリマーを合成した。
即ち、FP1と同様に合成したが、但し、ここでは、PFAの代わりにHFPを使用し、開始剤としてジ−i−プロピルペルオキシジカーボネート(IPP)を使用し、溶媒としてDMFを使用した。
〈FP4の合成〉
P(VDF−TrF)(組成モル比:VDF/トリフルオロエチレン=75/25)のポリマーを合成した。
即ち、DMF溶液にVDFとTrFを質量比2:1で濃度が15質量%となるように溶解し、開始剤ジ−t−ブチルペルオキシド(DTBP)を使用した。開始剤の濃度は溶媒の0.8質量%濃度になるようにした。
《非フッ素系の高分子材料の合成》
〈NFP1の合成〉
ジフェニルメタンジイソシアナートのオリゴマーを作製した。
即ち、20℃の恒温槽に4,4′−ジフェニルメタンイソシアナートと4,4′−ジフェニルメタンジアミンをそれぞれ1:1の質量比でアセトンに30質量%濃度に溶解して添加し、11時間反応させた。溶媒は、蒸留で除去して、NFP1を得た。
〈基体:PZT無機圧電素子の作製〉
PZTとは、鉛、ジルコニウム、チタンの成分がPb(Zr1−xTix)O3(0.47≦x≦1)の式の範囲以内ものであり、ここでは、x=0.2のPZTを調製した。それぞれの酸化物を秤量して純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮焼物を作製した。次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み530μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。次に、上記の成形体を焼成して最終焼結体の厚さ41μmの焼結体を得た。なお、焼成温度は、それぞれ780℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
上記で合成した高分子材料について、表1記載の非フッ素系の高分子材料に、表1記載のフッ素系の高分子材料を特開2005−313608号公報にある高剪断混練機を使用して、表1記載のサイズになるまで混練剪断し、後、PZT無機圧電素子の上に20μm厚で塗設し、分極処理として表1記載のようにコロナ放電処理を実施して高PZT無機圧電素子の上に有機高分子圧電素子層膜(圧電材料)101〜113(ポリマーアロイ圧電層膜)を有する超音波探触子試料101〜113を作製した。分極処理の温度は180℃で行った。
《性能試験》
上記超音波探触子試料について、素子の両端から電極を引き出しこの端子に電圧を掛けて、7.5MHzの基本周波数f1を発信させ、受信高調波f2として15MHzの受信相対感度(受信相対感度とは、入力電圧に対する出力電圧の比に定数を掛けた値である。)を求めた。受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)測定システムを使用した。
結果を表1に示す。
Figure 2008036202
表1から、ポリマーアロイ状態にした本発明の場合には、受信相対感度が良好であり、良好な圧電性能が得られることがわかる。
本発明の非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料のフッ素系の高分子材料を微粒子分散させた高分子圧電性樹脂は良好な受信相対感度、圧電性を示すことがわかる。特にナノ粒子サイズに分散した系は高い受信相対感度、圧電性能が得られることがる。

Claims (16)

  1. 非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させ、塗設または成形し、分極処理したことを特徴とする圧電材料。
  2. 前記フッ素系の高分子材料の微粒子の平均粒子径が5nm〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の圧電材料。
  3. 前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料が、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電材料。
  4. 前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、弗化ビニリデン、3弗化エチレン、ヘキサフルオロプロペン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電材料。
  5. 前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に、フッ素系の圧電材料のフッ素系の高分子材料を微粒子分散させる際に、予めフッ素系の高分子材料の微粒子を、平均粒子径5nm〜5μmに分散して含有させるか、又は300sec-1〜5000sec-1の剪断力で剪断分散する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電材料。
  6. 前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に存在する割合が、5質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電材料。
  7. 前記分極処理が直流又は交流電圧印加処理或いはコロナ放電処理であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧電材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電材料を用いたことを特徴とする超音波探触子。
  9. 非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリックス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させ、塗設または成形し、分極処理したことを特徴とする圧電材料の製造方法。
  10. 前記フッ素系の高分子材料の微粒子の平均粒子径が5nm〜5μmであることを特徴とする請求項9に記載の圧電材料の製造方法。
  11. 前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料が、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9または10に記載の圧電材料の製造方法。
  12. 前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、弗化ビニリデン、3弗化エチレン、ヘキサフルオロプロペン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
  13. 前記非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に、フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料を微粒子分散させる際に、予めフッ素系の高分子材料の微粒子を、平均粒子径5nm〜5μmに分散して含有させるか、又は300sec-1〜5000sec-1の剪断力で剪断分散する、ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
  14. 前記フッ素系の圧電材料であるフッ素系の高分子材料が、非フッ素系の圧電材料の高分子材料マトリクス中に存在する割合が、5質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
  15. 前記分極処理が直流又は交流電圧印加処理或いはコロナ放電処理であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法。
  16. 請求項9〜15のいずれか1項に記載の圧電材料の製造方法を用いたことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
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