JP2010123845A - 有機圧電体、有機圧電材料、超音波振動子および超音波探触子 - Google Patents

有機圧電体、有機圧電材料、超音波振動子および超音波探触子 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電特性、受信感度に優れかつ耐熱性に優れた有機圧電体材料を与える有機圧電体、それを用いた有機圧電材料および超音波振動子ならびに測定の安定性に優れる超音波探触子を提供する。
【解決手段】超音波振動子10は、圧電材料1の両側に電極2が配置されている。電極2は、必要に応じ、圧電材料1の全面にわたり配置されてもよいし、有機圧電材料1の一部分に配置されてもよい。有機圧電材料1は、主鎖に、π共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物であり、鎖状に繰り返し構造単位を有する重合体であって、繰り返し構造単位として、2つ以上の二重結合が単結合を介してつながったπ共役系骨格からなるπ共役系ラジカルカチオン構造を有する。この骨格を形成する1つ以上の原子の非共有電子対から電子を各1つ除去することにより不対電子、つまりラジカルカチオンができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波を送信、受信して超音波検査を行う超音波探触子ならびにそれに用いられる超音波振動子、有機圧電材料および有機圧電体に関する。
超音波探蝕子などのセンサーに用いられる圧電体としては、無機圧電体および有機圧電体が知られている。
無機圧電体を用いた無機圧電材料としては、例えば水晶、LiNbO、LiTaO、KNbOなどの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O系などの焼結体を分極処理した無機圧電材料が知られている。
これら無機材質の圧電材料は、弾性スティフネスが高く、機械的損失係数が高い、密度が高く誘電率も高いなどの性質がある。
有機圧電体を用いた有機圧電材料としては、例えば特開2008−171935号公報に記載のフッ化ビニリデンの重合体あるいは共重合体、シアン化ビニリデンの重合体あるいは共重合体を用いた有機圧電材料が知られている。
また、蒸着重合で得られたポリ尿素膜からなる有機圧電材料(特許文献1参照)、ポリエステル、ポリウレアなどの非フッソ系樹脂とフッ化ビニリデンの重合体などのフッソ系重合体の微粒子とを含有する有機圧電材料(特許文献2参照)などが知られている。
さらに、簡便にポリマー圧電物質を作製する方法として、ゴム、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリハロオレイン、ポリエチレンイミン、スルロースなどのポリマーを2官能性極性架橋剤を用い配向的に架橋させたポリマー圧電物質を用いる方法が知られている(特許文献3参照)。
有機圧電体は、無機材質の圧電体に対して、薄膜化、大面積化等の加工性に比較的優れ、任意の形状、形態の物が作ることができ、弾性率が低い、誘電率が低い等の特徴を持つため、センサーとしての使用に際しては、適用範囲が広く汎用性が高いなどの特徴を持っている。
他方、近年では、超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。
このハーモニックイメージング技術は、(1)基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、(2)周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、(3)近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および、(4)焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きくとれることなどの様々な利点を有しており、高精度な診断を可能としている。
そして、有機圧電体は、無機圧電体に比して、高周波特性、広帯域特性を必要とする上記ハーモニックイメージング技術における圧電材料、特に受信用の圧電材料に用いられる圧電体として適している。
また、有機圧材料の音響インピーダンスは生体のそれに近いという特徴があり、被検体が生体の場合、音響整合がとりやすいという利点を有している。
しかしながら、これらの有機圧電材料を有する素子は、無機圧電材料を有する素子に比べ、受信感度、圧電特性がまだ不十分である、使用時間が長くなると、構成部材の発熱により圧電特性が低下する場合があるという問題があった。
特開2006−225565号公報 特開2008−36202号公報 特開2006−49418号公報
本発明は、上記問題、状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、圧電特性、受信感度に優れかつ耐熱性に優れた有機圧電体材料を与える有機圧電体、それを用いた有機圧電材料および超音波振動子ならびに測定の安定性に優れる超音波探触子を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.主鎖に、π共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物であることを特徴とする有機圧電体。
2.前記π共役系ラジカルカチオン構造が、ラジカルカチオン化した、トリフェニルアミンの2価の残基またはピリジンの2価の残基であることを特徴とする1に記載の有機圧電体。
3.前記高分子化合物が、ウレア構造またはチオウレア構造を有することを特徴とする1または2に記載の有機圧電体。
4.前記π共役系ラジカルカチオン構造の前記高分子化合物に対する含有割合(含有率)が、5%〜15%であることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の有機圧電体。
5.1から4のいずれか1項に記載の有機圧電体を含有することを特徴とする有機圧電材料。
6.前記有機圧電材料が、分極処理を施されたものであることを特徴とする5に記載の有機圧電材料。
7.5または6に記載の有機圧電材料と、電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
8.前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする7に記載の超音波振動子。
9.7または8に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
本発明の上記手段により、圧電特性、受信感度に優れかつ耐熱性に優れた有機圧電体材料を与える有機圧電体、それを用いた有機圧電材料および超音波振動子ならびに測定の安定性に優れる超音波探触子が提供できる。
本発明は有機圧電体であって、主鎖にπ共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物であることを特徴とする。
本発明においては特に、有機圧電体として主鎖にπ共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物を用いることにより、受信感度が良好で圧電特性に優れ、かつ耐熱性に優れた有機圧電体材料およびそれを用いた超音波振動子が得られる。
(主鎖にπ共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物)
本発明に係る、主鎖にπ共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物は、鎖状に繰り返し構造単位を有する重合体であって、繰り返し構造単位として、π共役系ラジカルカチオン構造を有する。
π共役系ラジカルカチオン構造とは、2つ以上の二重結合が単結合を介してつながったπ共役系骨格からなる。
この骨格を形成する1つ以上の原子の非共有電子対から電子を各1つ除去することにより不対電子、つまりラジカルカチオンができる。
このようなπ共役系骨格の原子がラジカルカチオン化された状態の構造をπ共役系ラジカルカチオン構造という。
また主鎖に、とは上記カチオン部が、主鎖の連結部の一部となっていることをいう。
π共役系ラジカルカチオン構造の好ましいものとして、下記一般式(1)または一般式(2)に示すラジカルカチオン化したトリフェニルアミンまたはピリジンの2価の残基が挙げられる。
Figure 2010123845
主鎖にπ共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物である有機圧電体は、次の方法により得ることができる。
π共役系の非共有電子対を有する、官能性基を2つ有する2官能性化合物を第一の重合性モノマーとする。
第一の重合性モノマーの官能性基と結合反応を起こす官能基を2つ有し、圧電性を発現する重合性モノマーを、第2の重合性モノマーとする。
第1の重合性モノマーと第2の重合性モノマーによる重合反応を行うことにより、主鎖にπ共役系の非共有電子対を有する高分子化合物を得る。
続いて、得られたπ共役系の非共有電子対を有する高分子化合物を溶媒に溶解させ、ラジカルカチオン化剤を添加して高分子化合物の非共有電子対部分のラジカルカチオン化を行うことにより、主鎖にπ共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物を得ることができる。
上記のπ共役系の非共有電子対を有する第1の重合性モノマーとしては、例えば官能性基としてアミノ基を2つ導入した、ジアミン・モノマーが挙げられる。
この場合、π共役系非共有電子対を有するジアミン・モノマーと重合反応を起こす第2の重合性モノマーとしては、例えば(チオ)ホスゲン、ジ(チオ)イソシアネートなどが挙げられるが、特に、(チオ)ホスゲン、ジ(チオ)脂肪族イソシアネートが好ましく用いられる。
即ち、本発明の有機圧電体としては、ウレア構造またはチオウレア構造を有することが好ましく、特に下記一般式(3)で表される繰り返し単位と、下記一般式(4)または下記一般式(5)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物が、圧電特性、耐熱性の面から好ましい。
Figure 2010123845
一般式(3)中、Rはアルキレン基を、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。
アルキレン基としては、直鎖のアルキレン基であっても、分岐アルキレン基であってもよいが、直鎖アルキレン基が好ましい。
直鎖アルキレン基としては、炭素数が2から4のアルキレン基の場合がさらに好ましい。
上記一般式(3)で表される繰り返し単位と、下記一般式(4)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物は、脂肪族のジアミンおよび4,4’−ジアミノトリフェニルアミン混合物と(チオ)ホスゲンとの反応生成物をラジカルカチオン化することにより得ることができる。
また、脂肪族のジアミンおよび4,4’−ジアミノトリフェニルアミン混合物と脂肪族ジ(チオ)イソシアネートとの反応生成物をラジカルカチオン化することにより得ることもできる。
上記一般式(3)で表される繰り返し単位と、下記一般式(5)または下記一般式(4)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物は、脂肪族のジアミンおよび2,6−ジアミノピリジン混合物と(チオ)ホスゲンの反応生成物をラジカルカチオン化することにより得ることができる。
また、脂肪族ジアミンおよび2,6−ジアミノアニリン混合物と脂肪族ジ(チオ)イソシアネートとの反応生成物をラジカルカチオン化することにより得ることもできる。
ラジカルカチオン化剤は、化合物を構成する原子の非共有電子対の電子を引き抜く酸化反応により原子の不対電子化、つまりラジカルカチオン化を進める化合物である。
ラジカルカチオン化剤としては、チアンスレンカチオンラジカルテトラフルオロボレート、二トリルヘキサフルオロホスファイト、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライド、ポリ(アリルアミン)、ポリ(アリルアミンヒドロクロライド)、ポリ(メチルジアリルアミンヒドロクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、トリフルオロ酢酸銀、トリフルオロ酢酸ナトリウム、よう化ナトリウム、よう化リチウムなどが挙げられる。
ラジカルカチオン化剤としては、チアンスレンカチオンラジカルテトラフルオロボレートが好ましく用いられる。
本発明に係る高分子化合物の分子量(質量平均分子量Mw)は、4000以上であることが好ましく、10000以上、60000以下であることが好ましく、20,000〜60,000であることが特に好ましい。
質量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値である。
東ソー社製高速液体クロマトグラフィーHLC−8220に東ソー社製カラムTSKgel α−M(7.8mmI.D.×30cm)を2本装填し、展開溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用い、流速1.0ml/分、40℃にて行い、検出器は示差屈折率検出器として測定した値である。
分子量の調整は、上記の反応時間を調整することにより行うことができる。
上記脂肪族ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、1,2ジイソシアナトエタン、1,3ジイソシアナトプロパン、1,4ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,7−ジイソシアナトヘプタン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン等が挙げられるが挙げられる。
脂肪族ジチオイソシアネートとしては、1,2−ジチオイソシアナトエタン、1,3−ジチオイソシアナトプロパン、1,4−ジチオイソシアナトブタン、1,5−ジチオイソシアナトペンタン、1,6−ジチオイソシアナトヘキサン、1,7−ジチオイソシアナトヘプタン、1,8−ジチオイソシアナトオクタン、1,9−ジチオイソシアナトノナン等が挙げられるが挙げられる。
(含有率)
本発明に係る高分子化合物中の、π共役系ラジカルカチオン構造の含有割合(含有率)は、5%から15%であることが好ましい範囲である。
含有率は、高分子化合物中のπ共役系ラジカルカチオン構造単位の数と、他の繰り返し構造単位の数とを合わせた、全体の繰り返し構造単位の数に対するπ共役系ラジカルカチオン構造単位の数の割合(%)であり、合成時のモノマーの量比率を変えることで、調製できる。
例えば、上記一般式(3)で表される単位と、一般式(4)で表される単位とを有する場合には、脂肪族ジアミン、4,4’−ジアミノトリフェニルアミンおよび脂肪族ジイソ(チオ)シアネートの比率を変えることにより調整することができる。
この場合、含有率は、一般式(3)で表される単位の数と、一般式(4)で表される単位の数との合計に対する一般式(4)で表される単位の割合であり、これが5%〜15%であることが特に好ましい。一般式(5)で表される単についても同様である。
本発明の有機圧電体を用いた超音波振動子が、良好な圧電特性を示し、耐熱性に優れる理由は、明確ではないが、以下のように推測される。
高分子化合物中にπ共役系ラジカルカチオン構造を有するため、分極処理が施される際、ラジカルカチオン部の電場応答性が高く、一定の方向に配向されやすくなると考えられる。
さらに、配向した高分子鎖間でラジカルカチオン部と高分子化合物のδ−帯電部、例えばカルボニル基の酸素原子やチオカルボニル基の硫黄原子とが、一種のイオン結合をしており、熱的変化に対して、安定な構造を有しているためと推測される。
(超音波振動子)
本発明の超音波振動子は、本発明の有機圧電体を含有する圧電材料と、電極とを有する。
圧電材料は、必要に応じ、有機圧電体を膜状にし、分極処理を施すことで得られるが、さらに延伸処理、アニール処理が施されていてもよい。
これらの処理は併用してなされてもよい。
有機圧電体の膜を作製する方法としては、溶融・流延法、上記有機圧電体を溶解してなる溶液を基板上に塗布し、乾燥して得る方法、上記有機圧電体の原料化合物を用いて従来公知の溶液重合塗布法などにより高分子膜を形成する方法が挙げられる。
分極処理の方法としては、従来公知の直流電圧印加処理、交流電圧印加処理またはコロナ放電処理方法が適用され得る。
例えば、コロナ放電処理法による場合には、コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択すればよいが、高電圧電源の電圧としては−1〜−20kV、電流としては1〜80mA、電極間距離としては、1〜10cm、印加電圧としては、0.5〜2.0MV/mである条件が好ましい。
分極処理に用いられる電極としては、従来から用いられている針状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電極を用いることができる。
分極処理は、超音波振動子が有する、下述する電極を付す前に行ってもよいし、電極を付した後に、当該電極を使用して分極処理を行ってもよい。
延伸処理としては、種々の公知の方法を採用することができる。延伸処理は、所定形状の有機圧電体膜が破壊されない程度に一軸・二軸方向に延伸することができる。
延伸倍率としては、2〜10倍、好ましくは2〜6倍の範囲で行うことができる。
例えば、本発明の化合物を、溶媒に溶解した液をガラス板などの基板上に流延し、常温にて溶媒を乾燥させ、所望の厚さのフィルムを得て、このフィルムを室温で所定の倍率の長さに延伸する方法などが挙げられる。
アニール処理は、加熱処理であり、例えば100℃〜200℃で加熱する方法が挙げられる。
アニール処理としては、膜状の有機圧電体を加熱処理することが好ましく、有機圧電体の膜を、膜を担持する基材と共に加熱してもよいし、膜(フィルム状)のみを加熱雰囲気中で加熱してもよい。
加熱時間としては、上記温度で1分から60分間加熱する方法が挙げられる。
本発明に係る圧電材料としては、本発明の圧電体単体であってもよいし、他の有機圧電体を混合したものであってもよい。
本発明の有機圧電体と共に、併用可能な他の有機圧電体としては、混合した場合に層分離を起こさない有機圧電体を選択して用いることができる。
他の有機圧電体の割合は、10質量%以下が好ましく、0〜5質量%が好ましい。
他の有機圧電体としては、本発明の有機圧電体の双極子モーメント量を増加させる作用を有する電子吸引性基を持つ、重合性化合物により形成した有機高分子材料であることが好ましい。
このような有機高分子材料であれば、双極子モーメント量を増加させる作用を有することから、圧電材料(膜)として用いた場合、優れた圧電特性を得ることができる。
本発明の超音波振動子は、本発明の有機圧電体を含有する圧電材料に電極を付したものであるが、対向する一対の電極間に、有機圧電材料を有する態様が好ましい。
本発明の有機圧電体は、超音波振動子に用いられる場合、形成された膜の状態で、分極処理が施されて、使用されることが好ましい。
(電極)
超音波振動子に付される電極に用いられる材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などが挙げられる。
圧電材料に電極を付す方法としては、例えば、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属およびそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する方法が挙げられる。
電極形成はスパッタ法以外でも、微粉末の金属粉末と低融点ガラスとを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
さらに、圧電材料の膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、圧電材料の膜を分極処理することができる。
超音波振動子は、超音波探触子に用いられる場合、基板と共に用いられることが好ましい。
基板としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板またはフィルムでもよいし、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素等で覆ったものでもよい。
またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、希土類のハロゲン化物の単結晶の板またはフィルムでもかまわない。
本発明に係る超音波振動子は、超音波探触子に用いられる場合、受信用超音波振動子として、または送信用超音波振動子として用いられるが、特に受信用超音波振動子として用いられることが好ましい態様である。
図1を用いて、本発明の超音波振動子を説明する。
超音波振動子10は、圧電材料1の両側に電極2が配置されている。
電極2は、必要に応じ、圧電材料1の全面にわたり配置されてもよいし、有機圧電材料1の一部分に配置されてもよい。
(超音波探触子)
本発明の超音波探触子は、本発明の超音波振動子を具備したものである。
超音波探触子は、超音波振動子として、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子とを具備することが好ましい。
本発明の超音波探触子は、送信用超音波振動子および受信用超音波振動子の少なくとも一方が本発明の超音波振動子であることが必要であるが、特に少なくとも受信用超音波振動子が本発明の超音波振動子であることが好ましい。
本発明においては、超音波の送受信の両方を一つの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて超音波探触子内に構成されることが好ましい。
本発明の超音波振動子以外の超音波振動子を用いる場合、それは従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
送信用振動子と、受信用振動子の配列としては、各々を上下に配置する配列および並列に配置する配列のどちらでもよいが、上下に配置して積層する構造が好ましい。
積層する場合の送信用振動子および受信用振動子の厚さとしては、40〜150μmであることが好ましい。
本発明の超音波探触子は、必要に応じバッキング層、音響整合層、音響レンズなどを具備することが好ましい。
図2に本発明の超音波探触子の好ましい態様の例を示す。
超音波探触子20は、バッキング層6上に、送信用圧電材料5に電極2が付された送信用超音波振動子12を有し、送信用超音波振動子12上に基板7を有し、基板7上に受信用有機圧電材料11に電極2が付された受信用超音波振動子13を有し、さらにその上に音響整合層8および音響レンズ9を有する構成を有する。
本発明の超音波探触子は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。例えば、図3に示すような超音波画像検出装置において好適に使用することができる。
図3は、超音波画像検出装置の主要部の構成を示す概念図である。
超音波画像検出装置は、例えば、生体などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する超音波振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている。
また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各超音波振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。
さらに、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波画像検出装置全体の制御を行う制御回路を備えている。
制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。
そして、超音波探触子の各超音波振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(4,4’−ジアミノトリフェニルアミンの合成)
100mlフラスコに4,4’−ジブロモトリフェニルアミン(シグマアルドリッチ製)10mmolとTHF50mlを添加した。
続いて、AgNO(シグマアルドリッチ製)10mmolを添加し、室温で5時間撹拌した。
この溶液を氷浴すると固体が析出した。得られた固体を減圧乾燥させた。
得られた固体とスズ粒1gを100mlビーカーに加えた。
ここへ、6M塩酸10mlを添加し90℃で1時間過熱した。
スズだけを残して、反応液を100ml三角フラスコに移し、これに6M水酸化ナトリウム約30mlをかき混ぜながら徐々に加えた。
ここへジエチルエーテルを添加した。
エテール相成分を分取し、減圧乾燥させることで4,4’−ジアミノトリフェニルアミンを得た。
(有機圧電体1−1の合成)
100mlビーカーに4,4’−ジアミノトリフェニルアミン0.5mmol、エチレンジアミン9.5mmolおよび蒸留水50mlを添加した。
ここへ、ホスゲン10mmolを含むトルエン溶液50mlを撹拌しながら滴下していった。
滴下30分後、固体が析出し始めた。
ホスゲン溶液滴下開始から4時間後、撹拌を停止させて析出した固体を採取した。
続いて、採取した固体を15mlのDMFに溶解させ、0℃に冷却したメタノール中へ滴下することで懸濁液を得た。
この懸濁液を3℃で5時間静置し、固体を沈殿させた。
沈殿した固体を採取し、減圧乾燥を行った。
続いて、得られた固体2gをDMF:トリフルオロ酢酸=1:2溶液10mlに溶解させ、チアンスレンカチオンラジカルテトラフルオロボレート13.2mmolを含むDMF:トリフルオロ酢酸:無水トリフルオロ酢酸=97:0.6:2.4(体積比)溶液50ml中に滴下し、室温で20分間撹拌した。
続いて、減圧乾燥により溶液体積を5mlとし、この溶液を0℃に冷却したメタノール中へ滴下することで懸濁液を得た。
この懸濁液を3℃で5時間静置し、固体を沈殿させた。
沈殿した固体を採取し、減圧乾燥を行うことでウレア構造を有する有機圧電体1−1を得た。(下記1−2〜−32はウレア構造を有する)
(有機圧電体1−2〜1−3の合成)
有機圧電体1−1の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−2を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−3を得た。
(有機圧電体1−4の合成)
有機圧電体1−1の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,3−プロパンジアミンとすることで有機圧電体1−4を得た。
(有機圧電体1−5〜1−6の合成)
有機圧電体1−4の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−5を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−6を得た。
(有機圧電体1−7の合成)
有機圧電体1−1の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,4−ブタンジアミンとすることで有機圧電体1−7を得た。
(有機圧電体1−8〜1−9の合成)
有機圧電体1−7の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−8を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−9を得た。
(有機圧電体1−10の合成)
有機圧電体1−1の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,5−ペンタンジアミンとすることで有機圧電体1−10を得た。
(有機圧電体1−11〜1−12の合成)
有機圧電体1−10の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−11を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−12を得た。
(有機圧電体1−13の合成)
有機圧電体1−1の合成において、4,4’−ジアミノトリフェニルアミンの代わりに1,3−ジアミノアニリンとすることでる有機圧電体1−13を得た。
(有機圧電体1−14〜1−15の合成)
有機圧電体1−13の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−14を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−15を得た。
(有機圧電体1−16の合成)
有機圧電体1−13の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,3−プロパンジアミンとすることで有機圧電体1−16を得た。
(有機圧電体1−17〜1−18の合成)
有機圧電体1−16の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−17を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−18を得た。
(有機圧電体1−19の合成)
有機圧電体1−13の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,4−ブタンジアミンとすることで有機圧電体1−19を得た。
(有機圧電体1−20〜1−21の合成)
有機圧電体1−19の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−20を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−21を得た。
(有機圧電体1−22の合成)
有機圧電体1−13の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,5−ペンタンジアミンとすることで有機圧電体1−22を得た。
(有機圧電体1−23〜1−24の合成)
有機圧電体1−22の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体1−23を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体1−24を得た。
(有機圧電体1−25〜1−26の合成)
有機圧電体1−5の合成において、反応時間を30分とすることで有機圧電体1−25を、反応時間を8時間とすることで有機圧電体1−26を得た。
(有機圧電体1−27〜1−28の合成)
有機圧電体1−17の合成において、反応時間を30分とすることで有機圧電体1−27を、反応時間を8時間とすることで有機圧電体1−28を得た。
(有機圧電体1−29合成)
有機圧電体1−1の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に0mol,10molとし、ラジカルカチオン化処理を行わず有機圧電体1−29を得た。
(有機圧電体1−30〜1−32の合成)
有機圧電体1−29の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,3−プロパンジアミンとすることで有機圧電体1−30を、1,4−ブタンジアミンとすることで有機圧電体1−31を、1,5−ペンタンジアミンとすることで、有機圧電体1−32を得た。
(有機圧電体2−1の合成)
有機圧電体1−1の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることによりチオウレア構造を有する有機圧電体2−1を得た。(下記2−2〜2−32はチオウレア構造を有する)
(有機圧電体2−2〜2−3の合成)
有機圧電体2−1の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−2を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−3を得た。
(有機圧電体2−4の合成)
有機圧電体1−4の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−4を得た。
(有機圧電体2−5〜2−6の合成)
有機圧電体2−4の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−5を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−6を得た。
(有機圧電体2−7の合成)
有機圧電体1−7の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−7を得た。
(有機圧電体2−8〜2−9の合成)
有機圧電体2−7の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−8を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−9を得た。
(有機圧電体2−10の合成)
有機圧電体1−10の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−10を得た。
(有機圧電体2−11〜2−12の合成)
有機圧電体2−10の合成において、使用する4,4’−ジアミノトリフェニルアミンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−11を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−12を得た。
(有機圧電体2−13の合成)
有機圧電体1−13の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−13を得た。
(有機圧電体2−14〜2−15の合成)
有機圧電体2−13の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−14を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−15を得た。
(有機圧電体2−16の合成)
有機圧電体1−16の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−16を得た。
(有機圧電体2−17〜2−18の合成)
有機圧電体2−16の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−17を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−18を得た。
(有機圧電体2−19の合成)
有機圧電体1−19の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−19を得た。
(有機圧電体2−20〜2−21の合成)
有機圧電体2−19の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−20を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−21を得た。
(有機圧電体2−22の合成)
有機圧電体1−22の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−22を得た。
(有機圧電体2−23〜2−24の合成)
有機圧電体2−22の合成において、使用する2,6−ジアミノピリジンと脂肪族ジアミンの仕込み量を、順に1.5mol,8.5molとすることで有機圧電体2−23を、2.0mol,8.0molとすることで有機圧電体2−24を得た。
(有機圧電体2−25〜2−26の合成)
有機圧電体2−5の合成において、反応時間を30分とすることで有機圧電体2−25を、反応時間を8時間とすることで有機圧電体2−26を得た。
(有機圧電体2−27〜2−28の合成)
有機圧電体2−17の合成において、反応時間を30分とすることで有機圧電体2−27を、反応時間を8時間とすることで有機圧電体2−28を得た。
(有機圧電体2−29の合成)
有機圧電体1−29の合成において、ホスゲンの代わりにチオホスゲンを用いることにより有機圧電体2−29を得た。
(有機圧電体2−30〜2−32の合成)
有機圧電体2−29の合成において、使用する脂肪族ジアミンを1,3−プロパンジアミンとすることで有機圧電体2−30を、1,4−ブタンジアミンとすることで有機圧電体2−31を、1,5−ペンタンジアミンとすることで有機圧電体2−32を得た。
(有機圧電体3−1の合成)
有機圧電体3−1は特開2006−225565号公報号公報、実施例1に記載の蒸着重合法により作製されたポリウレア膜である。
特許文献内の実施例に記載された方法に従い有機圧電体3−1を得た。
(有機圧電体3−2の合成)
有機圧電体3−2は特開2006−49418号公報、実施例1に記載の方法により作製された極性基を有する架橋剤で架橋されたポリブタジエンである。
特許文献内の実施例に記載された方法に従い有機圧電体3−2を得た。
(有機圧電体3−3の合成)
有機圧電体3−3は特開2008−36202号公報、実施例1記載の方法により作製されたフッ素系微粒子が分散した非フッ素系樹脂(ポリウレア)である。特許文献内の実施例に記載された方法に従い有機圧電体3−3を得た。
[分子量(Mw)測定方法]
質量平均分子量Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値である。
東ソー社製高速液体クロマトグラフィーHLC−8220に東ソー社製カラムTSKgel α−M(7.8mmI.D.×30cm)を2本装填し、検出器は示差屈折率検出器として測定を行った。
展開溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用い、流速1.0ml/分、40℃にて行った。
[圧電体材料の作製]
前記の方法により得られた有機圧電体を用い、次の手順によりフィルムを作製した。有機圧電体粉末2.0gを60℃に加熱したジメチルホルムアミド(以下DMF)12mlに溶解した。この溶液をガラス板上に塗布した。
その後、90℃で溶媒を乾燥させ、厚さ約40μmの膜状の有機圧電体材料1−1〜1−32、2−1〜2−32、3−2〜3−3を得た。
なお、有機圧電体3−1については、下部電極となる厚さ5μmのアルミ薄膜上に直接蒸着重合させることにより得た。蒸着重合は2Å/分の析出速度で厚さ1000Åになるまで行った。
[超音波振動子の作製]
得られた有機圧電体材料の両面に表面抵抗が1Ω以下になるように金を蒸着塗布して表面電極付の試料を得た。
続いて、この電極に室温にて、0.1Hzの交流電圧を印加しながら分極処理を行い、超音波振動子1−1〜1−32、2−1〜2−32、3−2〜3−3を得た。
なお、超音波振動子3−1は、有機圧電体3−1を130℃で10分間コロナ放電処理し、続いて露出する有機膜面に表面抵抗が1Ω以下になるようにアルミを蒸着塗布して表面電極を付することにより得た。
分極処理は低電圧から行い、最終的に電極間電場が50MV/mになるまで徐々に電圧をかけ、超音波振動子を作製した。
[作製した超音波振動子の評価]
上記有機圧電体材料から作製した超音波振動子の圧電定数e31を測定し、圧電特性の指標とした。
圧電定数e31は、膜厚40μmの有機圧電体材料を用いて作製した超音波振動子について測定した値とした。
測定には、Rheolograph Solid(東洋精機社製)を用いた。
上記評価結果を有機圧電体3−1(比較)を100としたときの相対値にて表1、2に示す。
また、下記のように相対受信感度を求め受信感度の指標とした。
相対受信感度は、5MHzの基本周波数fを発信させ、受信2次高調波fとして10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めた。
相対受信感度の測定には、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
上記評価結果を有機圧電体3−1(比較)を1.00としたときの相対値にて表1、2に示す。
(超音波探触子の作製と評価)
[送電材料の作製]
成分原料であるCaCO、La、BiとTiO、及び副成分原料であるMnOを準備し、成分原料については、成分の最終組成が(Ca0.97La0.03)Bi4.01Ti15となるように秤量した。
次に、純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。
得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮焼物を作製した。
次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。
微粉砕においては、微粉砕を行う時間および粉砕条件を変えることにより、それぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉末を得た。それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。
次に、上記の成形体を焼成した。
最終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。
なお、焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
[受信用超音波振動子の作製]
上記作製した膜状の有機圧電体材料と厚さ50μmのポリエステルフィルムをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた。
その後、上記と同様に分極処理を行い、超音波振動子を得た。
次に、常法に従って、上記の送信用圧電材料の上に受信用積層振動子を積層し、かつバッキング層と音響整合層を設置し超音波探触子1−1〜1−32、2−1〜2−32、3−1〜3−3を作製した。
(測定の安定性評価)
下記のように、超音波探触子を用いて、耐熱性を評価し、超音波振動子の耐熱性を評価すると共に、超音波探触子における測定の安定性の指標とした。
耐熱性の測定は、超音波探触子を100℃に設定したオーブン中で24時間静置した後、室温中に戻して、相対受信感度を評価した。
感度の低下が耐熱試験前の1%以内のときを○、1%を超え10%未満を△、10%以上を×として評価した。
なお、受信感度については、5MHzの基本周波数fを発信させ、受信2次高調波fとして10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めた。
受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
結果を表1、2に示す。
Figure 2010123845
Figure 2010123845
表1、2から、本発明の有機圧電体は、圧電特性、受信感度に優れかつ耐熱性に優れる超音波振動子および測定の安定性に優れる超音波探触子を与えることが分かる。
本発明の超音波振動子の例の模式断面図である。 本発明の超音波探触子の例の模式断面図である。 本発明の超音波探触子が用いられる超音波画像検出装置の主要部の構成を示す概念図である。
符号の説明
1 有機圧電材料
2 電極
5 送信用圧電材料
6 バッキング層
7 基板
8 音響整合層
9 音響レンズ
10 超音波振動子
11 受信用有機圧電材料
12 送信用超音波振動子
13 受信用超音波振動子
20 超音波探触子

Claims (9)

  1. 主鎖に、π共役系ラジカルカチオン構造を有する高分子化合物であることを特徴とする有機圧電体。
  2. 前記π共役系ラジカルカチオン構造が、ラジカルカチオン化した、トリフェニルアミンの2価の残基またはピリジンの2価の残基であることを特徴とする請求項1に記載の有機圧電体。
  3. 前記高分子化合物が、ウレア構造またはチオウレア構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機圧電体。
  4. 前記π共役系ラジカルカチオン構造の前記高分子化合物に対する含有割合(含有率)が、5%〜15%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機圧電体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の有機圧電体を含有することを特徴とする有機圧電材料。
  6. 前記有機圧電材料が、分極処理を施されたものであることを特徴とする請求項5に記載の有機圧電材料。
  7. 請求項5または6に記載の有機圧電材料と、電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
  8. 前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする請求項7に記載の超音波振動子。
  9. 請求項7または8に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
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