JP2010219868A - 有機圧電体、超音波振動子および超音波探触子 - Google Patents

有機圧電体、超音波振動子および超音波探触子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、受信感度に優れる超音波探触子を与え、圧電特性および耐熱性に優れる超音波振動子を与える有機圧電体を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする有機圧電体。
【化1】
Figure 2010219868

【選択図】なし

Description

本発明は、超音波を送信、受信して超音波検査を行う超音波探触子ならびにそれに用いられる超音波振動子および有機圧電体に関する。
超音波探蝕子などのセンサーに用いられる圧電体としては、無機圧電体および有機圧電体が知られている。
無機圧電体を用いた無機圧電材料としては、例えば水晶、LiNbO、LiTaO、KNbOなどの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O系などの焼結体を分極処理した無機圧電材料が知られている。
しかしながら、これら無機材質の圧電材料は、弾性スティフネスが高く、機械的損失係数が高い、密度が高く誘電率も高いなどの性質がある。
有機圧電体を用いた有機圧電材料としては、例えば、フッ化ビニリデンの重合体あるいは共重合体、シアン化ビニリデンの重合体あるいは共重合体を用いた有機圧電材料が知られている(例えば特許文献1参照。)。
また、蒸着重合で得られたポリ尿素膜からなる有機圧電材料(特許文献2参照)、尿素樹脂、ポリエステルなどの非フッソ系樹脂とフッ化ビニリデンの重合体などのフッソ系重合体の微粒子とを含有する有機圧電材料(特許文献3参照)などが知られている。
有機圧電体は、無機材質の圧電体に対して、薄膜化、大面積化等の加工性に比較的優れ、任意の形状、形態の物が作ることができ、弾性率が低い、誘電率が低い等の特徴を持つため、センサーとしての使用に際しては、高感度な検出を可能とする特徴を持っている。
他方、近年では、超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。
このハーモニックイメージング技術は、(1)基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、(2)周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、(3)近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および、(4)焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きくとれることなどの様々な利点を有しており、高精度な診断を可能としている。
そして、有機圧電体は、高周波特性、広帯域特性を必要とする上記ハーモニックイメージング技術における圧電材料に用いられる圧電体として適している。
また、上記のような有機圧電体の音響インピーダンスは生体のそれに近いという特徴があり、被検体が生体の場合、音響整合がとりやすいという利点を有している。
しかしながら、上記のような有機圧電体を用いた圧電材料を有する素子は、無機圧電体を用いた圧電材料を有する素子に比べ、相転移温度が低いことなどから耐熱性が充分でないという問題があり、これらの素子を用いて構成した超音波探触子は、使用時間が長くなると、構成部材の発熱により圧電特性が低下する場合があるという問題があった。
2008−171935号公報 2006−225565号公報 2008−36202号公報
本発明の目的は、受信感度に優れる超音波探触子を与え、圧電特性および耐熱性に優れる超音波振動子を与える有機圧電体を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
1.下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする有機圧電体。
Figure 2010219868
〔式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。pは、2から4の整数を表す。Aは、アルキレン基またはポリオキシアルキレン基を表し、当該アルキレン基またはポリオキシアルキレン基の主鎖の途中には、脂環式環状部分を有してもよい。〕
2.前記一般式(1)におけるAが、アルキレン基であることを特徴とする前記1に記載の有機圧電体。
3.前記化合物の質量平均分子量が、10,000から500,000であることを特徴とする前記1または2に記載の有機圧電体。
4.前記有機圧電体のガラス転位温度Tgが、100℃〜180℃であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の有機圧電体。
5.前記1から4のいずれか1項に記載の有機圧電体を含有する圧電材料と、電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
6.前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする前記5に記載の超音波振動子。
7.前記5または6に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
本発明の上記手段により、受信感度に優れる超音波探触子を与え、圧電特性および耐熱性に優れる超音波振動子を与える有機圧電体が提供できる。
本発明の超音波振動子の例の模式断面図である。 本発明の超音波探触子の例の模式断面図である。 本発明の超音波探触子を用いた画像検出装置の例の主要部の構成を示す概念図である。
本発明は、有機圧電体であって、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする。
有機圧電体とは、機械的力や歪みを加えることにより、電荷を発生する正圧電効果または、電界を加えると力や歪みを発生する逆圧電効果を有する有機物質をいう。
本発明においては、特に下記特定の繰り返し単位を有する化合物を有機圧電材料に用いることで、圧電特性に優れ、かつ測定の安定性に優れる超音波振動子が得られ、受信感度に優れる超音波探触子を得ることができる。
Figure 2010219868
一般式(1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。pは、2から4の整数を表す。式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。pは、2から4の整数を表す。Aは、アルキレン基またはポリオキシアルキレン基を表し、当該アルキレン基またはポリオキシアルキレン基の主鎖の途中には、脂環式環状部分を有してもよい。
アルキレン基としては、主鎖の炭素数が、3〜5のものが好ましく用いられる。また、アルキレン基の水素原子は、フッ素原子、酸素原子などで、置換されていてもよい。
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基が好ましく、主鎖の炭素数としては、2〜10のものが好ましく用いられる。
また、pとしては、2〜3が好ましく、特に2が好ましい。
Aの具体例を下記に挙げる。
Figure 2010219868
Figure 2010219868
Figure 2010219868
一般式(1)で表される繰り返し単位としては、下記のものが挙げられる。
Figure 2010219868
これらの中でも、P−003、P−005、P−006、P−008が好ましく用いられる。
これらの繰り返し単位を有する本発明の有機圧電体としては、上記P−001〜P−012の、各々の分子量が、1000であるもの、10000であるもの、100000であるもの、500000であるものが挙げられる。
本発明に係る有機圧電体は、上記繰り返し単位を有する化合物であり、特に高分子化合物であることが好ましく、その質量分子量は、1000〜500000であることが好ましく、特に10000〜500000であることが好ましい。
なお、重量平均分子量及び分子量分布の測定は、下記の方法・条件等に準拠して行うことができる。
溶媒 :30mM LiBr in N−メチルピロリドン
装置 :HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel SuperAWM−H×2本(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度 :1.0g/L
注入量 :40μl
流量 :0.5ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=580〜2,560,000までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
一般式(1)で表される化合物としては、耐熱性の面から、ガラス転位温度が、100〜180℃であるものが好ましく用いられる。
本発明に係るガラス転移温度は、JIS C 6481の(2)DSC方により求めた値であり、示差走査熱量計を用い(DSC法)、20℃/分で昇温させる条件にて測定して得られたガラス転移温度をいう。
即ち、試験片を室温から20℃/分の割合で昇温させ、示差走査熱量計にて発熱量を測定し、吸熱曲線(または発熱曲線)を作成し、吸熱曲線(または発熱曲線)に2本の延長線を引き、延長線間の1/2直線と吸熱曲線の交点からガラス転移温度(Tg)を求める。
一般式(1)で表される化合物は、p=2の構造を有するものは、Aの構造を有するジイソシアネート化合物もしくはジイソチオシアネート化合物とアンモニアを反応させることにより合成できる。p=3の構造を有するものは、Aの構造を有するジイソシアネート化合物もしくはジイソチオシアネート化合物と、尿素もしくはチオ尿素を反応させることにより合成できる。p=4の構造を有するものは、Aの構造を有するジイソシアネート化合物もしくはジイソチオシアネート化合物と、(Z)−N′−カルバモイルカルバミディック酸または(Z)−N′−カルバモチオイルカルバミドチオイック酸と反応させることにより合成できる。
合成に際しての有機溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸(イソ)プロピル、酢酸(イソ)ブチル、エチレングリコールジエチルエステル如きエステル系溶剤;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルグリコールアセテート、酢酸セロソルブ、ブチルグリコールアセテート、酢酸メトキシプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ソルフィットアセテート、ジメトキシエタン等のグリコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンもしくはデカン等のパラフィン系炭化水素溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン等のナフテン系炭化水素溶剤、DMF、DMSO、アセトン、MEK等の非プロトン性極性溶剤等、使用することができる。
(超音波振動子)
本発明の超音波振動子は、本発明の有機圧電体を含有する圧電材料と、電極とを有する。
圧電材料は、必要に応じ、有機圧電体を膜状にし、分極処理を施すことで得られるが、さらに延伸処理、アニール処理が施されていてもよい。これらの処理は併用してなされてもよい。
有機圧電体の膜を作製する方法としては、溶融・流延法、上記有機圧電体を溶解してなる溶液を基板上に塗布し、乾燥して得る方法、上記有機圧電体の原料化合物を用いて従来公知の溶液重合塗布法などにより高分子膜を形成する方法が挙げられる。
分極処理の方法としては、従来公知の直流電圧印加処理、交流電圧印加処理またはコロナ放電処理方法が適用され得る。例えば、コロナ放電処理法による場合には、コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択すればよいが、高電圧電源の電圧としては−1〜−20kV、電流としては1〜80mA、電極間距離としては、1〜10cm、印加電圧としては、0.5〜2.0MV/mである条件が好ましい。
分極処理に用いられる電極としては、従来から用いられている針状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電極を用いることができる。分極処理は、超音波振動子が有する、下述する電極を付す前に行ってもよいし、電極を付した後に、当該電極を使用して分極処理を行ってもよい。
延伸処理としては、種々の公知の方法を採用することができる。延伸処理は、所定形状の有機圧電体膜が破壊されない程度に一軸・二軸方向に延伸することができる。延伸倍率としては、2〜10倍、好ましくは2〜6倍の範囲で行うことができる。例えば、本発明の化合物を、溶媒に溶解した液をガラス板などの基板上に流延し、常温にて溶媒を乾燥させ、所望の厚さのフィルムを得て、このフィルムを室温で所定の倍率の長さに延伸する方法などが挙げられる。
アニール処理は、加熱処理であり、例えば100℃〜200℃で加熱する方法が挙げられる。アニール処理としては、膜状の有機圧電体を加熱処理することが好ましく、有機圧電体の膜を、膜を担持する基材と共に加熱してもよいし、膜(フィルム状)のみを加熱雰囲気中で加熱してもよい。加熱時間としては、上記温度で1分から60分間加熱する方法が挙げられる。
本発明に係る圧電材料としては、本発明の圧電体単体であってもよいし、他の有機圧電体を混合したものであってもよい。
本発明の有機圧電体と共に、併用可能な他の有機圧電体としては、混合した場合に相分離を起こさない有機圧電体を選択して用いることができる。他の有機圧電体の割合は、10質量%以下が好ましく、0〜5質量%が好ましい。
他の有機圧電体としては、本発明の有機圧電体の双極子モーメント量を増加させる作用を有する電子吸引性基を持つ、重合性化合物により形成した有機高分子材料であることが好ましい。このような有機高分子材料であれば、双極子モーメント量を増加させる作用を有することから、圧電材料(膜)として用いた場合、優れた圧電特性を得ることができる。
本発明の超音波振動子は、本発明の有機圧電体を含有する圧電材料に電極を付したものであるが、対向する一対の電極間に、有機圧電材料を有する態様が好ましい。
本発明の有機圧電体は、超音波振動子に用いられる場合、形成された膜の状態で、分極処理が施されて、使用されるが、膜としては、上記のようにさらに延伸処理が施されたものであることが好ましい。
(電極)
超音波振動子に付される電極に用いられる材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などが挙げられる。
圧電材料に電極を付す方法としては、例えば、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属およびそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する方法が挙げられる。
電極形成はスパッタ法以外でも、微粉末の金属粉末と低融点ガラスとを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
さらに、圧電材料の膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、圧電材料の膜を分極処理することができる。
超音波振動子は、超音波探触子に用いられる場合、基板と共に用いられることが好ましい。基板としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板またはフィルムでもよいし、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素等で覆ったものでもよい。
またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、希土類のハロゲン化物の単結晶の板またはフィルムでもかまわない。
本発明に係る超音波振動子は、超音波探触子に用いられる場合、受信用超音波振動子として、または送信用超音波振動子として用いられるが、特に受信用超音波振動子として用いられることが好ましい態様である。
図1を用いて、本発明の超音波振動子を説明する。
超音波振動子10は、圧電材料1の両側に電極2が配置されている。電極2は、必要に応じ、圧電材料1の全面にわたり配置されてもよいし、有機圧電材料1の一部分に配置されてもよい。
(超音波探触子)
本発明の超音波探触子は、本発明の超音波振動子を具備したものである。超音波探触子は、超音波振動子として、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子とを具備することが好ましい。
本発明の超音波探触子は、送信用超音波振動子および受信用超音波振動子の少なくとも一方が本発明の超音波振動子であることが必要であるが、特に少なくとも受信用超音波振動子が本発明の超音波振動子であることが好ましい。
本発明においては、超音波の送受信の両方を一つの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて超音波探触子内に構成されることが好ましい。
本発明の超音波振動子以外の超音波振動子を用いる場合、それは従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
送信用振動子と、受信用振動子の配列としては、各々を上下に配置する配列および並列に配置する配列のどちらでもよいが、上下に配置して積層する構造が好ましい。
積層する場合の送信用振動子および受信用振動子の厚さとしては、40〜150μmであることが好ましい。
本発明の超音波探触子は、必要に応じバッキング層、音響整合層、音響レンズなどを具備することが好ましい。
図2に本発明の超音波探触子の好ましい態様の例を示す。超音波探触子20は、バッキング層6上に、送信用圧電材料5に電極2が付された送信用超音波振動子12を有し、送信用超音波振動子12上に基板7を有し、基板7上に受信用有機圧電材料11に電極2が付された受信用超音波振動子13を有し、さらにその上に音響整合層8および音響レンズ9を有する構成を有する。
(超音波画像検出装置)
本発明の超音波探触子は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。例えば、図3に示すような超音波画像検出装置において好適に使用することができる。図3は、本発明の超音波画像検出装置の主要部の構成を示す概念図である。
超音波画像検出装置は、例えば、生体などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する超音波振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている。また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各超音波振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。
さらに、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波画像検出装置全体の制御を行う制御回路を備えている。
制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。そして、超音波探触子の各超音波振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(一般式(1)で表される繰り返し単位を有する有機圧電体1〜4の合成)
(有機圧電体1(P−003、分子量25000)の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、アンモニアを1.7gと、脱水した0℃のアセトン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソシアネート化合物M−001を22.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から室温で続けて2時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、アセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体1(P−003)を20.2g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量25,000、分子量分布2.0であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、156℃であった。
(有機圧電体2(P−003、分子量670000)の合成)
0.5Lの耐圧性四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、攪拌装置及び還流冷却管を付し、アンモニアを2.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソシアネート化合物M−001を22.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後、フラスコを密閉し、室温で続けて6時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、アセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体2(P−003)を14.8g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量670,000、分子量分布2.2であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、160℃であった。
(有機圧電体3(P−005、分子量14000)の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、アンモニアを1.7gと、脱水した0℃のアセトン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソチオシアネート化合物M−002を18.8gと、脱水した0℃のアセトン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から室温で続けて2時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、アセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体3(P−005)を25.1g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量14,000、分子量分布1.3であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、124℃であった。
(有機圧電体4(P−005、分子量550000)の合成)
0.5Lの耐圧性四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、攪拌装置及び還流冷却管を付し、アンモニアを2.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソチオシアネート化合物M−002を27.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後、フラスコを密閉し、室温で続けて6時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、アセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体4(P−005)を20.9g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量550,000、分子量分布2.5であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、130℃であった。
(有機圧電体5(P−006、分子量13000)の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、チオ尿素を7.6gと、脱水した0℃のジメトキシエタン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソチオシアネート化合物M−003を41.7gと、脱水した0℃のジメトキシエタン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から室温で続けて2時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、ジメトキシエタンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体5(P−006)を45.3g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量13,000、分子量分布1.3であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、158℃であった。
(有機圧電体6(P−008、分子量330000)の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、尿素を6.0gと、脱水した0℃のDMF100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソシアネート化合物M−004を22.3gと、脱水した0℃のDMF100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から室温で続けて2時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、DMFで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体6(P−008)を22.5g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量330,000、分子量分布1.8であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、175℃であった。
(有機圧電体7(P−011、分子量100000)の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、(Z)−N′−カルバモイルカルバミディック酸を10.3gと、脱水した0℃のDMF100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソシアネート化合物M−001を22.6gと、脱水した0℃のDMF100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から室温で続けて2時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、DMFで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して有機圧電体7(P−011)を22.5g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量100,000、分子量分布1.9であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、163℃であった。
M−001:2,2,4,4−テトラフルオロペンタン−1,5−ジイソシアナト
M−002:2,2′−オキシジエタンジイソチオシアネート
M−003:1,3−ジ(チオフェン−2−イル)−4,5,6,7−テトラハイドロベンゾ[c]チオフェン−5,6−ジイソチオシアネート
M−004:4,6−ジイソシアナト−3,4,5,6−テトラハイドロ−2H−シクロペンタン[d]チアゾール−2−オン
(超音波振動子1〜7の作製)
有機圧電体1の10質量%N−メチルピロリジノン溶液を調製し、ガラス基板上に乾燥膜厚が40μmになるよう塗布し、150℃で10時間減圧乾燥した。乾燥後、基板から膜を剥離し、得られた膜の両面に、蒸着によりアルミニウム電極を施し、高圧電源装置HARb−20R60(松定プレシジョン(株)製)と針状電極を用い、2.0MV/mの電界で153℃(ガラス転移温度+10℃)の温度条件下、コロナ放電分極処理を行い、有機圧電体膜1を用いた超音波振動子1を作製した。
また有機圧電体2〜6についても、有機圧電体1と同様にして超音波振動子2〜7を作製した。
(有機圧電体比較1の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、モノマーとして1,5−ジアミノペンタンを10.2gと、脱水した0℃のDMF100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとして1,5−ジイソシアナトペンタンを15.4g、脱水した0℃のDMF100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後30℃まで徐々に昇温し、6時間攪拌した。重合溶液をメタノール1000gに添加し、その後沈殿物を濾取し、0℃に調温したアセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して比較圧電体1を23.1g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量65,000、分子量分布1.3であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、50℃であった。
(有機圧電体比較2の合成)
0.5Lの耐圧性四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、攪拌装置及び還流冷却管を付し、アンモニアを2.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてトリレン−2,4−ジイソチオシアネートを20.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後、フラスコを密閉し、室温で続けて6時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、アセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して比較圧電体2を15.5g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量58,000、分子量分布2.2であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、170℃であった。
(有機圧電体比較3の合成)
0.5Lの四つ口セパラブルフラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、1,3−ジアミノシクロヘキサンを11.4gと、脱水した0℃のアセトン100gを添加し溶解した(グランド溶液)。
またモノマーとしてジイソシアネート化合物M−001を22.6gと、脱水した0℃のアセトン100gを混合、溶解し、氷浴下、2g/分の速度でグランドに滴下し、滴下後から室温で続けて6時間攪拌した。重合溶液をメタノール400gに添加し、その溶液をヘプタン400gに添加した。その後沈殿物を濾取し、アセトンで洗浄した。得られた濾物を減圧乾燥して比較圧電体3を30.9g得た。一部を重量平均分子量及び分子量分布の測定を行ったところ、重量平均分子量74,000、分子量分布2.0であった。またDSCよりガラス転移温度を測定したところ、101℃であった。
(超音波振動子比較1〜3の作製)
比較圧電体1の10質量%N−メチルピロリジノン溶液を調製し、ガラス基板上に乾燥膜厚が40μmになるよう塗布し、150℃で10時間減圧乾燥した。乾燥後、基板から膜を剥離し、得られた膜の両面に、蒸着によりアルミニウム電極を施し、高圧電源装置HARb−20R60(松定プレシジョン(株)製)と針状電極を用い、2.0MV/mの電界で153℃(ガラス転移温度+10℃)の温度条件下、コロナ放電分極処理を行い、比較圧電体膜1を用いた比較超音波振動子1を作製した。
また比較圧電体2、3についても、比較圧電体1と同様にして比較超音波振動子2、3を作製した。
(超音波振動子比較4の作製)
特開2008−36202号公報の実施例1に記載の4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(M−020)と4,4′−ジフェニルメタンジアミン(M−021)との反応生成物を含む圧電材料を用いて、超音波振動子1と同様にして比較超音波振動子4を作製した。
(作製した超音波振動子の圧電特性評価)
得られた超音波振動子1〜7、超音波振動子比較1〜4の評価は、Nano−R2/I2クローズドループ・リニアスキャナ搭載多機能AFM(PACIFIC NANOTECHNOLOGY社製)とFCE−1型強誘電体特性評価システム(東陽テクニカ社製)で、25℃および100℃における、圧電d33特性を測定し、有機圧電体膜の超音波圧電特性の指標とした。
尚、100℃の場合は、100℃の恒温槽に3時間に静置した後、25℃で測定した。
値が大きなほど超音波振動子として用いた場合の圧電性が良好であり、100℃に加熱する前と後との圧電性の差が小さいほど耐熱性に優れる。
結果を表1に示した。
(超音波探触子の作製と評価)
〈送信用超音波振動子の作製〉
成分原料であるCaCO、La、BiとTiO、および副成分原料であるMnOを準備し、成分原料については、成分の最終組成が(Ca0.97La0.03)Bi4.01Ti15となるように秤量した。
次に、純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮焼物を作製した。
次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。微粉砕においては、微粉砕を行う時間および粉砕条件を変えることにより、それぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉末を得た。
それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。
次に、上記の成形体を焼成した。
最終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。
なお、焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
〈受信用超音波振動子の作製〉
作製した上記有超音波振動子1と厚さ50μmのポリエステルフィルムをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた圧電材料を作製した。
その後、上記と同様に電極を設け、分極処理を行い、受信用超音波振動子1を作製した。
その他の超音波振動子2〜7および比較1〜4についても同様にして、受信用超音波振動子2〜7および比較1〜4を作製した。
次に、常法に従って、上記の送信用超音波振動子の上に基板を設け、基板上に受信用超音波振動子を積層し、図3に示すように、バッキング層と音響整合層を設置し超音波探触子1を作製した。
同様にして他の受信用超音波振動子2〜7および比較1〜4を用いて、超音波探触子2〜7、比較1〜4を作製した。
(受信感度の評価)
下記のようにして、受信感度を測定した。
受信感度の測定は、超音波探触子比較4の受信感度を基準値100としたときの相対受信感度で評価した。相対感度が基準値の140%以上のときを○、95%以上140%未満を△、95%未満を×として評価した。○以上の範囲が、実用上良好な範囲であると評価した。
なお、受信感度の条件としては、5MHzの基本周波数fを発信させ、受信2次高調波fとして10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めこれを受信感度とした。
受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
結果を下記表に示す。
Figure 2010219868
表1から、本発明の有機圧電体は、圧電特性に優れ、熱安定性に優れる超音波振動子を与えることが分かる。また本発明の、超音波探触子は、受信感度が優れることが分かる。
1 有機圧電材料
2 電極
5 送信用圧電材料
6 バッキング層
7 基板
8 音響整合層
9 音響レンズ
10 超音波振動子
11 受信用有機圧電材料
12 送信用超音波振動子
13 受信用超音波振動子
20 超音波探触子

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする有機圧電体。
    Figure 2010219868
    〔式中、Xは、酸素原子または硫黄原子を表す。pは、2から4の整数を表す。Aは、アルキレン基またはポリオキシアルキレン基を表し、当該アルキレン基またはポリオキシアルキレン基の主鎖の途中には、脂環式環状部分を有してもよい。〕
  2. 前記一般式(1)におけるAが、アルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の有機圧電体。
  3. 前記化合物の質量平均分子量が、10,000から500,000であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機圧電体。
  4. 前記有機圧電体のガラス転位温度Tgが、100℃〜180℃であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機圧電体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の有機圧電体を含有する圧電材料と、電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
  6. 前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする請求項5に記載の超音波振動子。
  7. 請求項5または6に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
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