JPWO2009004762A1 - 成膜装置及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の成膜装置は、プラズマ流出口(91)を有する容器(25)と、カソード(15)と、を有するプラズマガン(1)と、成膜室(3)と、プラズマ流出口(91)を閉鎖又は開放するシャッタ装置(30)と、成膜室(3)の内部に配設されたアノード(74)と、直流電源(27)と、制御装置(102)と、を備え、制御装置(102)は、シャッタ装置(30)がプラズマ流出口(91)を閉鎖し、直流電源(27)がカソード(15)に電圧を印加し、カソード(15)でグロー放電を発生させ、シャッタ装置(30)がプラズマ流出口(91)を開放し、直流電源(27)がカソード(15)に印加する電圧を変更してカソード(15)でアーク放電を発生させることによりプラズマが生成されるように制御する。

Description

本発明は、成膜装置及び成膜装置の使用方法、特に、プラズマガンで生成されたプラズマを用いて基板を成膜する成膜装置及びその運転方法に関する。
プラズマ成膜装置は、プラズマガンで生成されたプラズマをイオン源として用いて基板を成膜する装置である。プラズマ成膜装置では、プラズマガンのカソードでプラズマを生成させる工程、発生させたプラズマを用いて基板を成膜する工程、プラズマの発生を停止させ、カソードを自然冷却する工程、装置内を大気開放して成膜された基板を取り出す工程、といった一連の動作を経て、成膜工程が終了する。このため、複数の基板を連続して成膜を行うような場合、1の基板に対して一連の成膜工程を行ってから、次の基板を装置内に配置して成膜を行わなければならず、非常に効率が悪いものであった。
このような問題に関して、成膜時はプラズマチャンバーの真空容器と成膜チャンバーの真空容器との間に配置された仕切りバルブを開放し、成膜時以外は仕切りバルブを閉鎖してプラズマチャンバーの真空容器内でプラズマ生成状態を維持するアーク放電型真空成膜装置および成膜方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されているアーク放電型真空成膜装置および成膜方法では、成膜時以外でもプラズマ生成状態を維持することにより、カソードの冷却工程やプラズマの生成工程を省略することができ、複数の基板を効率よく連続して成膜することができる。
特開2005−146382号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているアーク放電型真空成膜装置および成膜方法では、成膜装置の更なる低コスト化、成膜装置の製造工程の簡略化の観点から、未だ改善する余地があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、成膜装置の更なる低コスト化、成膜装置の製造工程の簡略化を図ることができ、また、効率よく連続して基板に成膜を繰り返すことができる成膜装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記従来技術の課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得て本発明に到達した。
すなわち、本発明者等は、カソードとアノードとの間に形成される放電空間が遮蔽されるような場合であっても、プラズマガン内の圧力を0.01〜1.0Pa程度にして、100V程度の電圧をカソードと中間電極との間に印加すると、カソードと中間電極との間でグロー放電が生じ、また、このとき、カソードと中間電極との間に流れる電流は、数アンペア(10A以下)と低いため、アーク放電には到らず、グロー放電の状態が維持されることを見出し、本発明を想到するに到った。
前記課題を解決するために本発明に係る成膜装置は、プラズマ流出口を有する容器と、前記容器の内部に配設され放電によりプラズマを生成するカソードと、前記容器の内部を排気及び封止するための排気バルブと、を有するプラズマガンと、プラズマ流入口を有し、その内部が該プラズマ流入口及びプラズマ流出口を通じて前記容器の内部と連通するように配設され、前記内部を減圧可能な成膜室と、前記容器の前記プラズマ流出口を閉鎖又は開放するシャッタ装置と、前記成膜室の内部に配設されたアノードと、前記カソードに負極が接続され前記アノードに正極が接続され、前記カソードに電圧を印加する直流電源と、制御装置を備え、前記制御装置は、前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を閉鎖し、前記直流電源が前記カソードに電圧を印加して、前記カソードでグロー放電を発生させるように制御し、前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を開放し、前記直流電源が前記カソードに印加する電圧を変更して、前記カソードでアーク放電を発生させることにより前記プラズマが生成されるように制御する。
これにより、上記特許文献1に開示されているアーク放電型真空成膜装置とは異なり、カソードとシャッタ装置の間に別途アノードを設ける必要がないため、成膜装置の更なる低コスト化、成膜装置の製造工程の簡略化を図ることができる。
また、本発明に係る成膜装置の運転方法は、プラズマ流出口を有する容器と、前記容器の内部に配設され放電によりプラズマを生成するカソードと、前記容器の内部を排気及び封止するための排気バルブと、を有するプラズマガンと、プラズマ流入口を有し、その内部が該プラズマ流入口及びプラズマ流出口を通じて前記容器の内部と連通するように配設され、前記内部を減圧可能な成膜室と、前記容器の前記プラズマ流出口を閉鎖又は開放するシャッタ装置と、前記成膜室の内部に配設されたアノードと、前記カソードに負極が接続され前記アノードに正極が接続され、前記カソードに電圧を印加する直流電源と、を備える、成膜装置の運転方法であって、前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を閉鎖し、前記直流電源が前記カソードに電圧を印加して、前記カソードでグロー放電を発生させるステップと、前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を開放し、前記直流電源が前記カソードに印加する電圧を変更して、前記カソードでアーク放電を発生させることにより前記プラズマが生成するステップと、からなる。
これにより、上記特許文献1に開示されているアーク放電型真空成膜装置とは異なり、カソードとシャッタ装置の間に別途アノードを設ける必要がないため、成膜装置の更なる低コスト化、成膜装置の製造工程の簡略化を図ることができる。
また、本発明に係る成膜装置の運転方法では、前記成膜室の内部に基板を配置し、前記生成したプラズマを用いて前記基板を成膜するステップと、前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を閉鎖し、前記直流電源が前記カソードに印加する電圧を変更して、グロー放電を維持するステップと、をさらに備えてもよい。
これにより、効率よく連続して基板に成膜を繰り返すことができる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の成膜装置及びその使用方法によれば、成膜装置の更なる低コスト化、成膜装置の製造工程の簡略化を図ることができ、また、効率よく連続して基板に成膜を繰り返すことができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 図2は、図1に示す成膜装置のシャッタ装置がプラズマ流出口を開放した状態を示す模式図である。 図3は、図1に示す成膜装置における制御装置の図示されない記憶部に格納されたシートプラズマ成膜装置の制御プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。 図4は、図1に示す成膜装置における制御装置の図示されない記憶部に格納された成膜装置の繰り返し運転プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
符号の説明
1 プラズマガン
2 シートプラズマ変形室
3 成膜室
10 第1筒部材
11 放電空間
12 第1蓋部材
13 補助陰極
14 主陰極
15 カソード
16 保護部材
17 窓部材
18 第2蓋部材
19 中間電極
20 中間電極
21 第1排気バルブ
22 真空ポンプ接続口
23 第1電磁コイル
24 電圧検出器
25 容器
26 第1主電源
27 第2主電源
28 第1圧力検出器
29 切り替えスイッチ
30 シャッタ装置
31 開閉部材
32 駆動器
41 第2筒部材
42 第3蓋部材
43 第4蓋部材
44 貫通孔
45 輸送空間
46 第1スリット孔
47 成形電磁コイル
48 永久磁石
50 第1ボトルネック部
51 第3筒部材
52 第4筒部材
53 第5蓋部材
54 第6蓋部材
55 成膜空間
56 第2圧力検出器
57 基板
58 基板ホルダ
58a ホルダ部
58b 支持部
59 第2駆動機構
60 第2バイアス電源
61 ターゲット
62 ターゲットホルダ
62a ホルダ部
62b 支持部
63 第1駆動機構
64 第1バイアス電源
65 第2排気バルブ
66 真空ポンプ接続口
67 第2電磁コイル
68 第3電磁コイル
69 第3スリット孔
70 第2ボトルネック部
71 第7蓋部材
72 第4スリット孔
73 第8蓋部材
74 アノード
75 永久磁石
91 プラズマ流出口
92 第2スリット孔(プラズマ流入口)
100 成膜装置
101 シートプラズマ成膜装置
102 制御装置
103 第1真空ポンプ
104 第2真空ポンプ
CP 円柱プラズマ
R1 抵抗体
R2 抵抗体
R3 抵抗体
SP シートプラズマ
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図2は、図1に示す成膜装置のシャッタ装置がプラズマ流出口を開放した状態を示す模式図である。なお、本実施の形態では、成膜装置の構造における方向を、便宜上、図1及び図2に示す、三次元直交座標系のX軸、Y軸及びZ軸の方向で表わす。
まず、本実施の形態1に係る成膜装置の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態1に係る成膜装置100は、シートプラズマ成膜装置101と、制御装置102と、を備えている。シートプラズマ成膜装置101は、YZ平面において略十字形を成しており、Z軸方向から見て順番に、プラズマを高密度に生成するデュアルタイプのプラズマガン1と、Z軸方向の軸を中心とした円筒状のシートプラズマ変形室2と、Y軸方向の軸を中心とした円筒状の非磁性(例えばステンレス製)の成膜室3と、を有している。なお、プラズマガン1、シートプラズマ変形室2及び成膜室3は、互いに気密状態を保って連通されている。
ここで、シートプラズマ成膜装置101について、詳細に説明する。
プラズマガン1は、円筒状の第1筒部材10を有している。第1筒部材10の内部空間により、放電空間11が形成される。第1筒部材10の一方の端部には、放電空間11を塞ぐように第1蓋部材12が配置されている。また、第1筒部材10の他方の端部には、円環状の第2蓋部材18が配設されており、第2蓋部材18の内部空間が、プラズマ流出口91を構成している。そして、第1筒部材10と、第1及び第2蓋部材12、18から容器25が構成される。
第1蓋部材12には、該第1蓋部材12の中心部を気密的に貫通して、Z軸に沿って延びるように、タンタル(Ta)で構成された円筒状の補助陰極13が配設されている。補助陰極13の基端は、図示されないアルゴン(Ar)ガス供給装置と適宜な配管により接続されており、補助陰極13の先端からArガスが放電空間11内に供給されるように構成されている。また、補助陰極13の先端近傍の外周面には、6ホウ化ランタン(LaB)で構成された円環状の主陰極14が設けられている。これら補助陰極13と主陰極14によって、カソード15が構成される。
また、第1蓋部材12には、補助陰極13よりも径の大きい円筒状の保護部材16が、補助陰極13と同軸状に、かつ、Z軸に沿って延びるように配設されている。保護部材16は、モリブデン(Mo)、又は、タングステン(W)で構成されており、保護部材16の先端には、円環状の窓部材17が設けられている。窓部材17は、タングステンで構成され、これら保護部材16と窓部材17により、カソード15が保護される。
カソード15は、直流電源からなる第1主電源26の負極と抵抗体R1を介して電気的に接続されており、また、カソード15には、第2主電源27の負極が接続されている。また、第1及び第2主電源26、27の出力電圧を検出するための電圧検出器24が、第1及び第2主電源26、27の両端に接続されている。電圧検出器24で検出する電圧は、後述する制御器102の演算処理部に伝達される。なお、第1主電源26又は第2主電源27からカソード15に電圧が印加されることにより、プラズマが形成される。このプラズマの形成については、後述する。
第1筒部材10の周壁には、一対の円環状の中間電極19、20が、該第1筒部材10を気密的に貫通するように設けられている。中間電極19、20は、それぞれ、抵抗体R2、R3を介して、切り替えスイッチ29により、第1主電源26又は第2主電源27と選択的に接続され、第1主電源26又は第2主電源27から所定のプラス電圧が印加される。なお、第1筒部材10と、中間電極19、20と、カソード15は、適宜な手段によって、互いに絶縁されている。
また、第1筒部材10の他方の端部側の周壁には、第1排気バルブ21により第1筒部材10の内部を排気及び封止することが可能な真空ポンプ接続口22が設けられている。真空ポンプ接続口22には、適宜な配管を介して第1真空ポンプ103(例えば、ドライポンプ)が接続されている。第1真空ポンプ103により真空引きされると、放電空間11はプラズマを発生可能なレベルにまで速やかに減圧される。このとき、放電空間11には、中間電極19、20によって空気の流れが妨げられるので、カソード15側の圧力が高くなるような圧力勾配が生じる。
第1筒部材10の放電空間11の適所には、第1圧力検出器28が気密的に設けられている。第1圧力検出器28は、放電空間11の圧力を検出して、制御装置102にその検出した圧力を伝達するように構成されている。なお、第1圧力検出器28は、ここでは、イオンゲージを使用しており、圧力を検出することができれば、例えば、ペニングゲージやピラニゲージを使用してもよい。
第1筒部材10の径方向の外側には、磁力の強さをコントロールできる環状の第1電磁コイル23が、該第1筒部材10周壁を取り囲むように設けられている。より詳しくは、第1電磁コイル23は、第1筒部材10と同心に、かつ、Z軸方向において中間電極20と第2蓋部材18との間に位置するように設けられている。
そして、この第1電磁コイル23に電流を流し、中間電極19、20に所定のプラス電圧を印加することにより、プラズマガン1の放電空間11には、第1電磁コイル23によるコイル磁界及び中間電極19、20による電界に基づき、磁束密度のZ軸方向の勾配が形成される。この磁束密度のZ軸方向の勾配により、プラズマを構成する荷電粒子は、放電空間11内をカソード15からZ軸方向に運動するよう、磁力線の回りを旋回しながらZ軸方向に進み、これらの荷電粒子の集合体としてのプラズマが、略等密度分布してなる円柱状のプラズマ(以下、円柱プラズマという)CPとして、シートプラズマ変形室2側へ引き出される(図2参照)。
第2蓋部材18には、厚み方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔が設けられており、該貫通孔がプラズマ流出口91を構成する。また、第2蓋部材18には、プラズマ流出口91からプラズマの流出を阻止又は許容するためのシャッタ装置30が気密的に設けられている。シャッタ装置30は、プラズマ流出口91を開閉する開閉部材31と、開閉部材31をプラズマ流出口91の開口面に平行に移動させる駆動器32と、を有する。開閉部材31は、プラズマ流出口91を閉鎖したときに、放電空間11内の気密状態を保てるように構成されている。本実施の形態では、シャッタ装置30は、ゲートバルブで構成され、開閉部材31がその弁体で構成され、駆動器32がその弁体駆動装置(電磁駆動機構、エアシリンダ等)で構成されている。
なお、図1及び図2には、駆動器32を構成する弁体駆動装置のアクテュエータのみが示されている。また、第2蓋部材18は、シートプラズマ変形室2と気密的に接続されており、プラズマ流出口91は、その形状や高さ(Y軸方向寸法)及び幅(X軸方向寸法)は、円柱プラズマCPを適切に通過させるように設計されている。
シートプラズマ変形室2は、円筒状の第2筒部材41を有している。第2筒部材41の内部空間により、輸送空間45が形成される。第2筒部材41の一方(プラズマガン1側)の端部は、第3蓋部材42により閉鎖されており、他方の端部は、第4蓋部材43により閉鎖されている。第3蓋部材42の中心部には、貫通孔44が設けられ、該貫通孔44が第2蓋部材18に設けられたプラズマ流出口91と連通し、かつ、第1筒部材10と同軸状(中心軸を共有するように)に、第2筒部材41が配設されている。また、第4蓋部材43の中心部には、第1スリット孔46がX軸方向に延びるように形成されている。
第2筒部材41の外側には、第2筒部材41(正確には、輸送空間45)を挟み、互いに同極(ここではN極)が対向するようにして、一対の角形の永久磁石48、48が設けられている。一対の永久磁石48、48は、Y軸方向に磁化されており、X軸方向に延びるように設けられている。また、永久磁石48のカソード15に近い側には、環状の成形電磁コイル47が、第2筒部材41の周面を囲むように配設されている。なお、成形電磁コイル47には、カソード15側をS極、後述するアノード74側をN極とする向きの中心磁界が発生するように電流が通電されている。
そして、成形電磁コイル47に電流を流すことにより、シートプラズマ変形室2の輸送空間45に形成されるコイル磁界と、一対の永久磁石48、48により、輸送空間45に形成される磁石磁界との相互作用により、シートプラズマ変形室2の輸送空間45を円柱プラズマCPがZ軸方向に移動する。この間に、円柱プラズマCPは、XZ平面に沿って拡がる、均一なシート状のプラズマ(以下、シートプラズマという)SPに変形される。このようにして変形されたシートプラズマSPは、第2筒部材41の第4蓋部材43と成膜室3の側壁との間に介在するスリット状の第1ボトルネック部50を介して成膜室3へ流入する。
なお、第2筒部材41は、永久磁石48等の磁力を円柱プラズマに作用させやすい観点から、ガラスやSUS等の非磁性の材料で構成されている。また、シートプラズマ変形室2は、プラズマガン1と適宜な手段により、電気的に絶縁されている。さらに、第1スリット孔46の高さ及び幅は、変形されたシートプラズマSPの幅よりも大きく形成されていればよく、適宜な大きさに設計される。
成膜室3は、Y軸方向の軸を中心とした円筒状の第3筒部材51とZ軸方向の軸を中心とした円筒状の第4筒部材52を有しており、第3筒部材51は、非磁性体(例えば、ステンレス)で構成されている。第3筒部材51の一方の端部は、第5蓋部材53で閉鎖されており、また、他方の端部は、第6蓋部材54で閉鎖されている。なお、第3筒部材51の内部空間により、成膜空間55が形成される。また、第4筒部材52については後述する。
第3筒部材51のシートプラズマ変形室2近傍側の周面の中央部には、X軸方向に延びる第2スリット孔(プラズマ流入口)92が形成されている。この第2スリット孔92には、シートプラズマ変形室2と成膜室3の内部空間が連続するように、筒状の第1ボトルネック部50が気密的に設けられている。このように、プラズマ流入口92は、プラズマ流出口91とシートプラズマ変形室2を介して連通されている。なお、第1ボトルネック部50の高さ(Y軸方向内寸法)及び長さ(Z軸方向内寸法)並びに幅(X軸方向内寸法)は、シートプラズマSPを適切に通過するように設計されている。また、第2スリット孔92の高さ及び幅は、上述した第1スリット孔46と同様に構成されている。これにより、シートプラズマSPを構成しない余分なアルゴンイオン(Ar)と電子が、成膜室3に導入されるのを防止することができる。
また、第3筒部材51の内部には、シートプラズマSPを挟んで対抗するように、基板57と成膜材料としてターゲット61が配設されている。基板57は、基板ホルダ58に保持されており、基板ホルダ58は、ホルダ部58aと支持部58bを有している。支持部58bは、第5蓋部材53を気密的に、かつ、摺動自在に貫通しており、第2駆動機構59と接続されている。また、支持部58bは、Y軸方向に移動可能に構成されている。さらに、基板ホルダ58は、第2バイアス電源60の負極と適宜な配線により電気的に接続されており、第2バイアス電源60は、ホルダ部58aにシートプラズマSPに対して負のバイアス電圧を印加する。なお、基板ホルダ58の支持部58bと第5蓋部材53とは、絶縁されている。
一方、ターゲット61は、ターゲットホルダ62に保持されており、該ターゲットホルダ62は、ホルダ部62aと支持部62bを有している。支持部62bは、第6蓋部材54を気密的に、かつ、摺動自在に貫通しており、第1駆動機構63と接続されている。また、支持部62bは、Y軸方向に移動可能に構成されている。さらに、ターゲットホルダ62は、第1バイアス電源64の負極と適宜な配線により電気的に接続されており、第1バイアス電源64は、ホルダ部62aにシートプラズマSPに対して負のバイアス電圧を印加する。なお、ターゲットホルダ62の支持部62bと第6蓋部材54とは、絶縁されている。また、第1駆動機構63及び第2駆動機構59は、公知の駆動機構を使用しており、例えば、エアシリンダ等を使用することができる。
さらに、第3筒部材51の成膜空間55の適所には、第2圧力検出器56が気密的に設けられている。第2圧力検出器56は、成膜空間55の圧力を検出して、制御装置102にその検出した圧力を伝達するように構成されている。なお、第2圧力検出器56は、ここでは、イオンゲージを使用しており、圧力を検出することができれば、例えば、ペニングゲージやピラニゲージを使用してもよい。また、ここでは、第2圧力検出器56は、成膜空間55に設ける構成としたが、これに限定されず、輸送空間45の適所に設ける構成としてもよい。
また、第5蓋部材53の適所には、第2排気バルブ65により開閉可能な真空ポンプ接続口66が設けられている。真空ポンプ接続口66には、適宜な配管を介して第2真空ポンプ104が接続されている。第2真空ポンプ104(例えばターボポンプ)により真空引きされ、成膜空間55は、スパッタリングプロセス可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。
第3筒部材51の外部には、磁力の強さをコントロールできる第2電磁コイル67及び第3電磁コイル68が、互いに対を成して第3筒部材51の周面を囲むように配設されている。第2電磁コイル67と第3電磁コイル68は、互いに異なる極(ここでは、第2電磁コイル67はN極、第3電磁コイル68はS極)が向かい合うように通電されている。この第2電磁コイル67及び第3電磁コイル68電流を流すことにより作られるコイル磁界(例えば10G〜300G程度)は、ミラー磁界として、成膜室3の成膜空間55をZ軸方向に移動するシートプラズマSPの幅方向の拡散を適切に抑えるようにして、シートプラズマSPの形状を整形する。
また、第3筒部材55のアノード74側の周面の中央部には、X軸方向に延びる第3スリット孔69が形成されている。この第3スリット孔69には、第3筒部材51と第4筒部材52の内部空間が連続するように、筒状の第2ボトルネック部70が気密的に設けられている。なお、第2ボトルネック部70の高さ(Y軸方向内寸法)及び長さ(Z軸方向内寸法)並びに幅(X軸方向内寸法)は、第1ボトルネック部50と同様にシートプラズマSPを適切に通過するように設計されている。また、第3スリット孔69の高さ及び幅は、上述した第1スリット孔46と同様に構成されている。
第4筒部材52は、非磁性体(例えば、ステンレス)で構成されている。第4筒部材52の一方の(カソード15側)端部は、第7蓋部材71により閉鎖されており、該第7蓋部材71の略中央には、第4スリット孔72が設けられている。また、第7蓋部材71には、第4スリット孔72と連通するように第2ボトルネック部70が気密的に設けられている。なお、第4スリット孔72の高さ及び幅は、上述した第1スリット孔46と同様に構成されている。
また、第4筒部材52の他方の端部には、その内部空間を塞ぐように第8蓋部材73が気密的に設けられている。第8蓋部材73のカソード15に近い方の主面には、アノード74が設けられている。アノード74は、切り替えスイッチ29によって第1主電源26又は第2主電源27と選択的に接続される。
一方、第8蓋部材73のカソード15から遠い方の主面には、アノード74側をS極、大気側をN極とした永久磁石75が配置されている。これにより、永久磁石75のN極から出てS極に入るXZ平面に沿った磁力線により、アノード74に向かうシートプラズマSPが幅方向(X軸方向)に収束され、シートプラズマSPの荷電粒子が、アノード74に適切に回収される。
なお、本実施の形態では、成膜室3における第3筒部材51のXZ平面の断面を、円形であると説明したが、これに限定されるものではなく、多角形等であってもよく、第4筒部材52のXY平面の断面を、円形であると説明したが、これに限定されるものではなく、多角形等であってもよい。
次に、制御装置102について説明する。
制御装置102は、マイコン等のコンピュータによって構成されており、CPU等からなる演算処理部、メモリ等からなる記憶部、モニター等の表示部、カレンダー機能を有する時計部及びキーボード等の操作入力部(いずれも図示せず)を有している。演算処理部は、記憶部に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、成膜装置100に関する各種の制御を行う。また、演算処理部は、記憶部に記憶されたデータや操作入力部から入力されたデータを処理する。
次に、本実施の形態1に係る成膜装置100の動作について、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3は、図1に示す成膜装置100における制御装置102の図示されない記憶部に格納された成膜装置100の運転開始プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。図4は、図1に示す成膜装置100における制御装置102の図示されない記憶部に格納された成膜装置100の繰り返し運転プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
まず、成膜装置100の運転開始動作について、図3を参照しながら説明する。
制御装置102の演算処理部は、シャッタ機構30にプラズマ流出口91を閉鎖する指令を出す(ステップS1)。これにより、シャッタ機構30の駆動器32が作動して、プラズマ流出口91を開閉部材31が閉鎖する。次に、演算処理部は、第1及び第2排気バルブ21、66にそれぞれの弁の開度を100%にする指令を出し(ステップS2)、ついで、第1及び第2真空ポンプ103、104に作動開始指令を出す(ステップS3)。これにより、プラズマガン1、シートプラズマ変形室2及び成膜室3の内部が減圧される。
次に、演算処理部は、第1及び第2圧力検出器28、56からプラズマガン1及び成膜室3内の圧力値P1、P2情報を取得して(ステップS4)、記憶部に記憶されている所定の圧力値と比較する(ステップS5)。ここで、プラズマガン1における所定の圧力値とは、プラズマガン1のカソード15からプラズマを発生させることができるプラズマガン1内の圧力値をいい、また、成膜室3における所定の圧力値は、成膜する材料等により異なるが、予め実験等により求められた値である。ここでは、プラズマガン1における所定の圧力値は、0.01Paで設定されている。
そして、演算処理部は、ステップS4で取得した圧力値P1、P2が、所定の圧力値に達していない(所定の圧力値よりも高い)場合、ステップS4に戻り、圧力値P1、P2が所定の圧力値に達するまで、ステップS4及びステップS5を繰り返す。一方、圧力値P1、P2が、所定の圧力値に達した場合には、ステップS6に進む。なお、ここでは、成膜室3の圧力値を検出したが、これに限定されず、シートプラズマ変形室2の圧力値を検出して判定してもよい。
ステップS6では、制御装置102の演算処理部は、図示されないアルゴンガス供給装置にアルゴンガス供給開始指令を出し、Arガスが、シートプラズマ成膜装置101内に供給される。
次に、演算処理部は、切り替えスイッチ29を第2主電源27の正極と接続する指令を出し(ステップS7)、次いで、第2主電源27及びシートプラズマ成膜装置101に作動指令を出す(ステップS8)。これにより、第2主電源27からプラズマガン1(正確には、カソード15)に所定のマイナス電圧(例えば、−600V)が印加される。このとき、カソード15とアノード74との間にある空間(放電空間11、輸送空間45及び成膜空間55)は、開閉部材31によって遮蔽されているが、補助陰極13でグロー放電が開始される。これは、本発明者等は、カソード15と中間電極19又は中間電極20との間の電位差によって、グロー放電が生じるものと考えている。
そして、補助陰極13の先端部分の温度が上昇すると、この熱で主陰極14が加熱されて高温になる。このとき、第2主電源27から出力される電圧値は、所定の閾値(例えば、−100V)になり、安定した電圧値をとる。このため、演算処理部は、電圧検出器24から検出した第2主電源27の出力電圧値を取得し(ステップS9)、記憶部に記録されている所定の閾値と比較する(ステップS10)。
ステップS9で取得した電圧値が、所定の閾値よりも高い場合には、ステップS9に戻り、電圧値が閾値よりも低くなり、安定した電圧値となるまで、ステップS9及びステップS10を繰り返す。一方、電圧値が、閾値よりも低くなり安定した電圧値になった場合、ステップS11に進む。
ステップS11では、制御装置102の演算処理部は、シャッタ機構30にプラズマ流出口91を開放する指示を出す。これにより、シャッタ機構30の駆動器32が作動して、開閉部材31がプラズマ流出口91を開放する。
次に、演算処理部は、切り替えスイッチ29を第1主電源26の正極と接続する指令を出し(ステップS12)、次いで、第1主電源26に作動指令を出す(ステップS13)。これにより、第1主電源26からプラズマガン1(正確には、カソード15)に、所定の電流(例えば、50A)が流れるように−60〜−80Vの電圧を印加する。ついで、演算処理部は、電圧検出器24から検出した第1主電源26の出力電圧値を取得し(ステップS14)、記憶部に記録されている所定の閾値(−60〜−80V)と比較する(ステップS15)。
ステップS14で取得した電圧値が、所定の閾値よりも高い場合には、ステップS14に戻り、電圧値が所定の閾値よりも低くなり、安定した電圧値となるまで、ステップS14及びステップS15を繰り返す。一方、電圧値が、所定の閾値よりも低くなり安定した電圧値になった場合、カソード15とアノード74との間でアーク放電が行われていると判断する。
そして、シートプラズマ成膜装置101に成膜開始指令を出し(ステップS16)、基板57に成膜が開始されて、本プラグラムが終了する。
次に、成膜装置100の繰り返し運転について説明する。
まず、制御装置102の演算処理部は、適宜な手段(例えば、操作入力部から成膜動作が終了されたことが入力される等)によって、成膜動作が終了されたことを確認する(ステップS21)。
次に、演算処理部は、切り替えスイッチ29を第2主電源27の正極と接続する指令を出し(ステップS22)、次いで、第2主電源27及びシートプラズマ成膜装置101に作動指令を出す(ステップS23)。そして、シャッタ機構30にプラズマ流出口91を閉鎖する指令を出す(ステップS24)。これにより、シャッタ機構30の駆動器32が作動して、プラズマ流出口91を開閉部材31が閉鎖する。
次に、制御装置102の演算処理部は、第1排気バルブ21に弁の開度を100%にする指令を出し(ステップS25)、プラズマガン1内の放電空間11をグロー放電が維持できる程度の真空状態にする。すると、プラズマガン1内の圧力は、0.01〜1.0Pa程度になる。そして、100V程度(90〜110V)の電圧をカソード15と中間電極19、20との間に印加すると、カソード15と中間電極19、20との間に流れる電流は、数アンペア(10A以下)と低いため、アーク放電には到らず、グロー放電の状態が維持される。
そして、演算処理部は、次の基板57を成膜するように準備指令を出す(ステップS26)。具体的には、第2真空ポンプ104の作動を停止するように指令を出す。その後、作業員が、輸送空間45及び成膜空間55を大気開放して、成膜された基板57を取り出して新たな基板57を基板ホルダ58に保持させ、必要に応じてターゲット61を取り替える。そして、作業員は、適宜準備完了の合図を制御装置102に入力する(例えば、準備完了ボタンを押す等)。
これにより、演算処理部は、第1及び第2排気バルブ21、66に弁の開度を100%にする指令を出し(ステップS27)、ついで、第2真空ポンプ104に作動開始指令を出す(ステップS28)。これにより、プラズマガン1、シートプラズマ変形室2及び成膜室3の内部が減圧される。
次に、演算処理部は、第1及び第2圧力検出器28、56からプラズマガン1及び成膜室3内の圧力値P1、P2情報を取得して(ステップS29)、記憶部に記憶されている所定の圧力値と比較する(ステップS30)。そして、演算処理部は、ステップS29で取得した圧力値P1、P2が、所定の圧力値に達していない(所定の圧力値よりも高い)場合、ステップS29に戻り、圧力値P1、P2が所定の圧力値に達するまで、ステップS29及びステップS30を繰り返す。一方、圧力値P1、P2が、所定の圧力値に達した場合には、ステップS31に進む。
ステップS31では、制御装置102の演算処理部は、シャッタ機構30にプラズマ流出口91を開放する指示を出す。これにより、シャッタ機構30の駆動器32が作動して、開閉部材31がプラズマ流出口91を開放する。
次に、演算処理部は、切り替えスイッチ29にその出力端子を第1主電源26の負極と接続する指令を出し(ステップS32)、次いで、第1主電源26に作動指令を出す(ステップS33)。これにより、第1主電源26からプラズマガン1(正確には、カソード15)に、所定の電流(例えば、50A)が流れるように、−60〜−80Vの電圧を印加する。ついで、演算処理部は、電圧検出器24から検出した第1主電源26の出力電圧値を取得し(ステップS34)、記憶部に記録されている所定の閾値(−60〜−80V)と比較する(ステップS35)。
ステップS34で取得した電圧値が、所定の閾値よりも高い場合には、ステップS34に戻り、電圧値が所定の閾値よりも低くなり、安定した電圧値となるまで、ステップS34及びステップS35を繰り返す。一方、取得した電圧値が、所定の閾値よりも低くなり安定した電圧値になった場合、カソード15とアノード74との間でアーク放電が行われていると判断する。
そして、シートプラズマ成膜装置101に成膜開始指令を出し(ステップS36)、本プラグラムが終了する。これにより、シートプラズマ成膜装置101内では、基板57が成膜される。
このように、本実施の形態1に係る成膜装置100では、開閉部材30がプラズマ流出口91を閉鎖することにより、プラズマガン1内(放電空間11)を他の空間(輸送空間45及び成膜空間55)とは独立して真空状態を保つことができ、また、プラズマガン1内の圧力を0.01〜1.0Pa程度にして、100V程度(90〜110V)の電圧をカソード15と中間電極19、20との間に印加すると、カソード15と中間電極19、20との間でグロー放電が生じ、また、このとき、カソード15と中間電極19、20との間に流れる電流は、数アンペア(10A以下)と低いため、アーク放電には到らず、グロー放電の状態が維持される。また、アーク放電ではなくグロー放電の状態でプラズマを維持することにより、別途アノードを放電空間11に設ける必要がないため、成膜装置100の低コスト化及び成膜装置00の製造工程の簡略化を図ることができる。さらに、アーク放電を維持するような場合では、カソード15が高温にさらされるため、カソードの寿命が短くなる場合もあり得るが、本実施の形態に係る成膜装置100では、グロー放電状態を維持するため、カソード15が高温にさらされることがなく、カソード15の寿命が長くなり、成膜装置100のメンテナンスが簡略化され、また、更なる低コスト化が実現される。
なお、本発明の実施の形態では、プラズマ成膜装置内を真空状態にして成膜を行ったが、成膜室に反応性のガスを導入し、このガスと成膜材料の反応物を用いて基材を成膜するような構成としてもよい。また、上記実施の形態では、2つの主電源と切り替えスイッチによって、グロー放電とアーク放電の切り替えを行ったが、これに限定されず、1つの主電源を用いて、グロー放電とアーク放電の切り替えを行ってもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の成膜装置の使用方法は、成膜装置の更なる低コスト化、成膜装置の製造工程の簡略化を図ることができるので有用である。また、効率よく連続して基板に成膜を繰り返すことができるので有用である。

Claims (3)

  1. プラズマ流出口を有する容器と、前記容器の内部に配設され放電によりプラズマを生成するカソードと、前記容器の内部を排気及び封止するための排気バルブと、を有するプラズマガンと、
    プラズマ流入口を有し、その内部が該プラズマ流入口及びプラズマ流出口を通じて前記容器の内部と連通するように配設され、前記内部を減圧可能な成膜室と、
    前記容器の前記プラズマ流出口を閉鎖又は開放するシャッタ装置と、
    前記成膜室の内部に配設されたアノードと、前記カソードに負極が接続され前記アノードに正極が接続され、前記カソードに電圧を印加する直流電源と、
    制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を閉鎖し、前記直流電源が前記カソードに電圧を印加して、前記カソードでグロー放電を発生させるように制御し、
    前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を開放し、前記直流電源が前記カソードに印加する電圧を変更して、前記カソードでアーク放電を発生させることにより前記プラズマが生成されるように制御する、成膜装置。
  2. プラズマ流出口を有する容器と、前記容器の内部に配設され放電によりプラズマを生成するカソードと、前記容器の内部を排気及び封止するための排気バルブと、を有するプラズマガンと、プラズマ流入口を有し、その内部が該プラズマ流入口及びプラズマ流出口を通じて前記容器の内部と連通するように配設され、前記内部を減圧可能な成膜室と、前記容器の前記プラズマ流出口を閉鎖又は開放するシャッタ装置と、前記成膜室の内部に配設されたアノードと、前記カソードに負極が接続され前記アノードに正極が接続され、前記カソードに電圧を印加する直流電源と、を備える、成膜装置の運転方法であって、
    前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を閉鎖し、前記直流電源が前記カソードに電圧を印加して、前記カソードでグロー放電を発生させるステップと、
    前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を開放し、前記直流電源が前記カソードに印加する電圧を変更して、前記カソードでアーク放電を発生させることにより前記プラズマが生成されるステップと、からなる、成膜装置の運転方法。
  3. 前記成膜室の内部に基板を配置し、前記生成したプラズマを用いて前記基板を成膜するステップと、
    前記シャッタ装置が前記容器のプラズマ流出口を閉鎖し、前記直流電源が前記カソードに印加する電圧を変更して、グロー放電を維持するステップと、をさらに備える、請求項2に記載の成膜装置の運転方法。
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