JP5261179B2 - シートプラズマ装置及びシート状プラズマ調整方法 - Google Patents

シートプラズマ装置及びシート状プラズマ調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、シート状に形成されたプラズマを用いてスパッタリングによる成膜を行うシートプラズマ装置及びこれにより形成されたシート状プラズマの調整方法に関する。
近年、プラズマ源から発生する円柱状のプラズマ(以下、円柱状プラズマという)に永久磁石による磁界を作用させて形成したシート状のプラズマ(以下、シート状プラズマという)を用いて成膜を行うシートプラズマ装置が注目されている(特許文献1参照)。このシートプラズマ装置は、陰極側からの円柱状プラズマ流を永久磁石によりシート状プラズマに形成し、このシート状プラズマを磁場コイルを用いて陽極に導く。そして、流動中のシート状プラズマの作用により、スパッタリング室でターゲットからスパッタ粒子を発生させ、基材に成膜する。これにより、大面積の基材に対しても成膜をすることが可能になる。
特開2005−179767号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、形成されたシート状プラズマのプラズマ密度がその幅方向において不均衡である場合には、形成されたシート状プラズマがシートプラズマ装置の構成要素を加熱させて損傷を引き起こす可能性があった。
また、特許文献1の構成では、プラズマ密度が不均衡になると、成膜の対称性、特に、膜厚の対称性に影響を与える可能性があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、シート状プラズマの幅方向における不均衡による、装置の構成要素の損傷と成膜の対称性の悪化とを防止可能なシートプラズマ装置及びシート状プラズマ調整方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のシートプラズマ装置は、内部を減圧可能な減圧容器と、前記減圧容器の内部にプラズマを発生させるプラズマガンと、前記減圧容器の内部において前記プラズマを受ける陽極と、前記プラズマガンで発生したプラズマを円柱状に成形し前記陽極の側へ流動させるプラズマ流動手段と、前記減圧容器の一部を成し前記円柱状のプラズマが流動するように形成されたシートプラズマ変形槽と、前記シートプラズマ変形槽の外側に前記流動するプラズマを挟んで同極同士が対向するように設けられ、前記シートプラズマ変形槽の内部において前記円柱状のプラズマをシート状のプラズマに変形する一対の永久磁石と、該一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させる移動機構と、前記減圧容器の一部を成すように形成された成膜槽と、前記シート状のプラズマの幅方向において前記円柱状のプラズマの中心軸を挟む位置に設けられた、プラズマ密度と関連する物理量を検知するための一対のセンサと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記一対のセンサにより検知された前記物理量に基づいて、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させて前記シート状のプラズマの幅方向におけるプラズマ密度のバランスを調整するよう構成されている。
ここで、「プラズマ密度と関連する物理量」とは、温度や電流などのプラズマ密度と間接的に関連する物理量のみならず、プラズマ密度そのものを含む概念である。
このような構成とすると、一対のセンサにより検知されたプラズマ密度と関連する物理量によって、形成されたシート状プラズマの幅方向においてプラズマ密度のバランスの程度を判断することができる。そして、シート状プラズマのプラズマ密度のバランスが不適切である場合には、移動機構によって一対の永久磁石を円柱状プラズマの中心軸に対し相対的に移動させて、これを調整することができる。これにより、形成されるシート状プラズマがシートプラズマ装置の構成要素に干渉することが防止され、構成要素の損傷が防止される。また、成膜の対称性、特に、膜厚の対称性を維持することができる。
前記一対のセンサは、前記円柱状のプラズマの中心軸に対称な位置に配設され、前記制御装置は、前記一対のセンサにより検知されたそれぞれの前記物理量の差が所定の閾値を越える場合にはこれらの差が小さくなるよう、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させるよう構成されていてもよい。
このような構成とすると、一対のセンサにより検知されたプラズマ密度と関連する物理量の差が所定の閾値を越える場合には、形成されたシート状プラズマの幅方向において不均衡が生じていることがわかる。そして、形成されたシート状プラズマの幅方向において不均衡が生じている場合には、一対のセンサにより検知された物理量の差を小さくするよう、移動機構により一対の永久磁石を円柱状プラズマの中心軸に対し相対的に移動されるので、形成されるシート状プラズマの幅方向のプラズマ密度の不均衡を解消することができる。これにより、形成されるシート状プラズマがシートプラズマ装置の構成要素に干渉することが防止され、構成要素の損傷が抑制される。また、成膜の対称性、特に、膜厚の対称性を維持することができる。
前記一対のセンサが、前記一対の永久磁石の近傍かつ前記シートプラズマ変形槽の外側に設けられていてもよい。
このような構成とすると、シートプラズマ変形槽における、円柱状プラズマからシート状プラズマに変形される位置におけるプラズマ密度と関連する物理量を検知することができる。また、シートプラズマ変形槽の外側に一対のセンサを設けることから、一対のセンサをシートプラズマ変形槽の内側に設ける場合に比べて構成が容易になる。
前記1対のセンサが前記減圧容器の、前記シートプラズマ変形槽と前記成膜槽との間の部分の外側に設けられていてもよい。
このような構成とすると、シートプラズマ変形槽と成膜槽との間の、損傷を引き起こしやすい構成要素(例えば、Oリング等)の近傍の位置に形成される、減圧容器内のシート状プラズマのプラズマ密度に関連する物理量を検知することができる。
前記一対のセンサが、それぞれ温度センサで構成されていてもよい。
このような構成とすると、プラズマ密度と関連する物理量である温度を検知することにより、減圧容器内に形成されるシート状プラズマの幅方向における不均衡が生じているかどうかを容易に判断することができる。
また、本発明のシート状プラズマ調整方法は、内部を減圧可能な減圧容器と、前記減圧容器の内部にプラズマを発生させるプラズマガンと、前記減圧容器の内部において前記プラズマを受ける陽極と、前記プラズマガンで発生したプラズマを円柱状に成形し前記陽極の側へ流動させるプラズマ流動手段と、前記減圧容器の一部を成し前記円柱状のプラズマが流動するように形成されたシートプラズマ変形槽と、前記シートプラズマ変形槽の外側に前記流動するプラズマを挟んで同極同士が対向するように設けられ、前記シートプラズマ変形槽の内部において前記円柱状のプラズマをシート状のプラズマに変形する一対の永久磁石と、該一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させる移動機構と、前記減圧容器の一部を成すように形成された成膜槽と、前記シート状のプラズマの幅方向において前記円柱状のプラズマの中心軸を挟む位置に設けられた、プラズマ密度と関連する物理量を検知するための一対のセンサと、を備えたシートプラズマ装置におけるシート状プラズマ調整方法であって、前記一対のセンサにより検知された前記物理量に基づいて、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させて前記シート状のプラズマの幅方向におけるプラズマ密度のバランスを調整するステップを含む。
本発明のシート状プラズマ調整方法においては、前記一対のセンサは、前記円柱状のプラズマの中心軸に対称な位置に配設されており、前記ステップにおいて、前記一対のセンサにより検知されたそれぞれの前記物理量に差がある場合にはこれらの差が小さくなるよう、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させてもよい。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明のシートプラズマ装置及びシート状プラズマ調整方法は、上記のように構成され、シート状プラズマの幅方向における不均衡による、装置の構成要素の損傷と成膜の対称性の悪化とを防止することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るシートプラズマ装置の概略構成の一例を示す正面図である。 図2は、本実施形態のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す平面図である。 図3は、本実施形態のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す正面図である。 図4は、第1実施形態に係るシートプラズマ装置の変形例の概略構成を示す図であって、本変形例のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す平面図である。 図5は、本変形例のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す正面図である。
符号の説明
10 プラズマガン
11 フランジ
12 陰極
13 筒状部材
14 放電空間
15 絶縁体
16 マスフローコントローラ
17 放電ガス導入管
19 筒状部材
20 シートプラズマ変形槽
21 輸送空間
22 円柱状プラズマ
22A 円柱状プラズマの中心軸
23 第一電磁コイル(プラズマ流動手段)
24A,24B 永久磁石
27 シート状プラズマ
27a シート状プラズマの左側部分
27b シート状プラズマの右側部分
28 第二電磁コイル(プラズマ流動手段)
29 第一フランジ
30 成膜槽
31 成膜空間
31A ターゲット空間
31B 基材空間
32 排気口
33 ターゲットホルダ
33A スパッタリングターゲット
33B ホルダ
33C 支軸
33D 絶縁部材
34 基材ホルダ
34A 基材
34B ホルダ
34C 支軸
34D 絶縁部材
35 上蓋
36 下蓋
37 バルブ
38 真空ポンプ
40 チャンバ
42 第一開口部
45 第二開口部
47 第二フランジ
48 第三電磁コイル(プラズマ流動手段)
50 陽極槽
51 陽極
52 永久磁石
53 筒状部材
60 減圧容器
70 永久磁石の移動機構
71 スライド体
71a スライド体の摺動部
71b スライド体の本体
71c ネジ孔
72 固定部材
73 スライドガイド
73a スライドガイドの溝
75(M) モータ
76 ボールネジ
77 支持棒
80 永久磁石の左右への移動方向
100 シートプラズマ装置
第一中間電極
第二中間電極
S1,S2 温度センサ
主バイアス電圧印加装置
,V バイアス電圧印加装置
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るシートプラズマ装置の概略構成の一例を示す正面図である。図2は、本実施形態のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す平面図である。図3は、本実施形態のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す正面図である。なお、図1においては、図2及び図3に示した永久磁石の移動機構及びセンサの図示を省略している。また、図2及び図3においては、理解を容易にするため、減圧容器60の内部に形成される円柱状プラズマ及びシート状プラズマを実線で描いてある。さらに、図3においては、モータMの図示を省略している。以下、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態に係るシートプラズマ装置について説明する。なお、ここでは便宜上、図1に示すように、プラズマ輸送の方向をZ方向にとり、このZ方向に直交し、かつ永久磁石24A、24B(後述)の磁化方向をY方向にとり、これらのZ方向及びY方向の両方に直交する方向をX方向にとって、このシートプラズマ装置の構成を説明する。
<一般的構成>
まず、本実施形態のシートプラズマ装置100の一般的構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態のシートプラズマ装置100は、プラズマ輸送の方向(Z方向)から見て順番に、プラズマを高密度に形成するプラズマガン10と、Z方向の軸を中心とした円筒状のシートプラズマ変形槽20と、Y方向の軸を中心とした円筒状の成膜槽30と、Z方向の軸を中心とした円筒状の陽極槽50と、を備えて構成されている。ここで、シートプラズマ変形槽20と、成膜槽30と、陽極槽50と、後述するフランジ29,47とが、減圧容器60を構成する。なお、これらの各部10、20、29、30、47、50は、プラズマを輸送する通路を介して互いに気密状態を保って連通されている。
プラズマガン10は、筒状部材13から構成される減圧可能な放電空間14を有し、このプラズマガン10のZ方向の一端は、この放電空間14を塞ぐようにフランジ11が配置されている。筒状部材13は、例えば、ガラスで構成される。フランジ11には、プラズマ放電誘発用の熱電子を放出する陰極12が配置されている。そして、フランジ11には、この放電により電離される放電ガスとしてのアルゴン(Ar)ガスを、この放電空間14に導くガス導入手段17が設けられている。ガス導入手段17には、マスフローコントローラ16が配設されている。マスフローコントローラ16は、放電空間14への放電ガスの流量を調節する。なお、放電ガスとしては、アルゴン以外の希ガス等の不活性ガスを用いることができる。
そして、上記陰極12と、後述する陽極51とが、抵抗体Rを介して主バイアス電圧印加装置Vの負極端子及び正極端子にそれぞれ接続されている。プラズマガン10は、第一中間電極Gと第二中間電極Gとを備えている。第一中間電極Gは、抵抗体Rを介して上記主バイアス電圧印加装置Vの正極端子と接続されている。第二中間電極Gは、抵抗体Rを介して上記主バイアス電圧印加装置Vの正極端子と接続されている。そして、陰極12と陽極51との間でプラズマ放電(グロー放電)を維持するため、直流の主バイアス電圧印加装置Vと適宜の抵抗体R、R、Rとの組合せにより所定のプラス電圧が印加される。このようなプラズマ放電により、プラズマガン10の放電空間14には、荷電粒子(ここではArと電子)の集合体としてのプラズマが形成される。なおここでは、主バイアス電圧印加装置Vに基づく低電圧かつ大電流の直流アーク放電により、陰極12と後述する陽極51との間に高密度のプラズマ放電を可能にする、公知の圧力勾配型のプラズマガン10が採用されている。プラズマガン10は、円柱状のソースプラズマ(以下、「円柱状プラズマ22」という)を発生させる。
プラズマガン10のZ方向の他端には、シートプラズマ変形槽20が配設されている。プラズマガン10とシートプラズマ変形槽20とは、絶縁物15を介して接続されている。シートプラズマ変形槽20は、筒状部材19を備えている。筒状部材19の内部は、Z方向の軸を中心とした円柱状の輸送空間21を有する。筒状部材19は、非磁性体で構成されており、例えば、ガラスやステンレスを用いて構成される。筒状部材19のXY平面に平行な断面の形状は、例えば、円形又は四角形であり、本実施形態においては円形に構成されている。筒状部材19の外側には、一対の永久磁石24A,24Bが配設されている。一対の永久磁石24A,24Bは、各永久磁石24A,24BのN極を、筒状部材19をY方向において挟んで対向させるように配設されている。筒状部材19の長さ方向において永久磁石24A,24Bの両側に、第一電磁コイル(プラズマ流動手段)23と第二電磁コイル(プラズマ流動手段)28とが配設されている。第一電磁コイル23は、プラズマガン10から筒状部材19へと円柱状プラズマ22を引き出すために用いられる。第一電磁コイル23及び第二電磁コイル28は、後述するシート状プラズマ27の幅方向(X方向)の形状を整えるために用いられる。なお、第一電磁コイル23、第二電磁コイル28、及び後述する第三電磁コイル48は、永久磁石24A,24Bが配設されていないと仮定した場合において、プラズマガン10で発生された円柱状プラズマ22を、その円柱状の形状に規制しながら陽極51の側に流動させるプラズマ流動手段である。換言すると、第一電磁コイル23、第二電磁コイル28、及び後述する第三電磁コイル48は、プラズマガン10から発生された、減圧容器60内において拡散しようとするソースプラズマを円柱状に成形し、この成形された円柱状プラズマ22を陽極51の側に流動させるプラズマ流動手段である。また、第二電磁コイル28、及び後述する第三電磁コイル48は、本実施形態のように永久磁石24A,24Bが配設されている場合において、シート状プラズマ27を、その形状を規制しながら陽極51の側に流動させるプラズマ流動手段である。
図1に示すように、プラズマガン10から放出された円柱状プラズマ22は、輸送空間21の永久磁石24A,24Bが配設された位置にまで進むと、永久磁石24A,24Bによって形成された磁界により、シート状に変形される(以下、シート状プラズマ27という)。シート状プラズマ27は、第二電磁コイル28により、その幅方向(X方向)の形状が規制される。形成されたシート状プラズマ27は、後述する陽極51へと導かれる。
シートプラズマ変形槽20のZ方向の前端は、成膜槽30と連結されている。連結部分には、図示しないOリングが用いられている。成膜槽30は、円筒状の導電性のチャンバ40を備えている。チャンバ40の一方の端部は上蓋35により閉鎖されており、チャンバ40の他方の端部は下蓋36により閉鎖されている。チャンバ40は、非磁性の材料、例えば、ステンレスで構成される。チャンバ40には、その高さ方向(Y方向)のほぼ中間に、第一開口部42が設けられている。第一開口部42の内部空間は、形成されたシート状プラズマ27が該開口を通り抜けることができる大きさに形成されている。第一開口部42には、該開口と接合する第一フランジ29が配設されている。シートプラズマ変形槽20と成膜槽30とは、チャンバ40の側壁に形成された第一開口部42及び第一フランジ29を介して連結されている。
チャンバ40は、その内部に成膜空間31を有する。ここで、以下においては、成膜空間31は、その機能上、上下方向(Y方向)において、第一開口部42の内部空間に対応する水平面(XZ平面)に沿った中央空間を境にして、後述するスパッタリングターゲット33Aを格納する囲い部により区画されたターゲット空間31Aと、後述する基材34Aを格納する囲い部により区画された基材空間31Bと、に区分けして説明する。なお、上記中央空間は、成膜槽30においてシートプラズマ27の高密度部分が輸送される空間である。
ターゲット空間31Aには、スパッタリングターゲット33Aを保持する導電性のターゲットホルダ33が配設されている。ターゲットホルダ33は、円板状の導電性のホルダ33Bを備えている。該ホルダ33Bには、Y方向に延びる円柱状の導電性の支軸33Cが接続されている。そして、支軸33Cは、前記成膜槽30の上蓋35に設けられた貫通穴(図示せず)に挿通されている。支軸33Cは、絶縁部材33Dを介して上蓋35に取り付けられている。すなわち、支軸33Cは、成膜槽30と短絡しないよう、成膜槽30に対して電気的に絶縁されている。絶縁部材33Dとしては、アルミナセラミック等の絶縁碍子や、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂が用いられる。支軸33Cは、成膜槽30内部の成膜空間31の真空度を保つことができるよう、チャンバ40に対して気密的に配設されている。スパッタリングターゲット33Aの材料としては、単体の金属材料や誘電体等の絶縁物材料その他の材料を用いることができる。この材料は、後述する基材34Aに形成される膜に応じて適宜選択される。
ターゲットホルダ33には、バイアス電圧印加装置Vが接続されている。このバイアス電圧印加装置Vにより、ターゲットホルダ33を介してスパッタリングターゲット33Aに、シート状プラズマ27の電位に対する負の直流バイアス電圧が印加される。
また、基材空間31Bには、基材34Aを保持する導電性の基材ホルダ34が配設されている。基材ホルダ34は、円板状の導電性のホルダ34Bを備えている。該ホルダ34Bには、Y方向に延びる円柱状の導電性の支軸34Cが接続されている。そして、支軸34Cは、前記成膜槽30の下蓋36に設けられた貫通穴(図示せず)に挿通されている。支軸34Cは、絶縁部材34Dを介して下蓋36に取り付けられている。すなわち、支軸34Cは、成膜槽30と短絡しないよう、成膜槽30に対して電気的に絶縁されている。絶縁部材34Dとしては、アルミナセラミック等の絶縁碍子や、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂が用いられる。基材ホルダ34は、形成されたシート状プラズマ27を挟んで前記ターゲットホルダ33と対向するよう(ここでは共に水平に)配設されている。支軸34Cは、成膜槽30内部の成膜空間31の真空度を保つことができるよう、成膜槽30に対して気密的に配設されている。
基材ホルダ34には、バイアス電圧印加装置Vが接続されている。このバイアス電圧印加装置Vにより、基材ホルダ34を介して基材34Aに、シート状プラズマ27の電位に対する負の直流バイアス電圧が印加される。
チャンバ40の適所には、該チャンバ40内の成膜空間31を真空引きするための排気口32が設けられている。排気口32は、バルブ37により開閉可能に構成されている。排気口32には、真空ポンプ38が接続されている。真空ポンプ38は、シート状プラズマ27が輸送できるレベルにまで、成膜空間31内を速やかに減圧する。
成膜槽30のチャンバ40の後端(Z方向)には第二開口部45が形成されている。第二開口部45には、該開口に接合する第二フランジ47が配設されている。成膜槽30と後述する陽極槽50とは、第二開口部45及び第二フランジ47を介して連結されている。
陽極槽50は、筒状部材53を備えている。筒状部材53は、本実施形態ではガラスで構成される。陽極槽50は、上記第二フランジ47に筒状部材53の一端が接続され、該筒状部材53の他端が陽極51で閉鎖されて形成されている。筒状部材53の周囲には、第三電磁コイル(プラズマ流動手段)48が配設されている。該第三電磁コイル48は、形成されたシート状プラズマ27の幅方向の形状を整えるために用いられる。筒状部材53と陽極51とは、絶縁物(図示せず)を介して接続されている。陽極51の裏面には、永久磁石52が配設されている。永久磁石52は、そのS極が陽極51と接触するように配設されている。永久磁石52は、シート状プラズマ27のZ方向の末端の形状を整える。本実施形態では、陽極51が接地されている。
また、本実施形態のシートプラズマ装置100は、制御装置90を備えている。制御装置90は、主バイアス電圧印加装置V、真空ポンプ38、バイアス電圧印加装置V,V、及び後述するモータM等の動作を制御する。制御装置90は、マイコン等の演算装置で構成され、シートプラズマ装置100の所要の構成要素を制御して、シートプラズマ装置100の動作を制御する。ここで、本明細書においては、制御装置90とは、単独の制御器だけでなく、複数の制御器が協働して制御を実行する制御器群をも意味する。よって、制御装置90は、必ずしも単独の制御器で構成される必要はなく、複数の制御器が分散配置されていて、それらが協働してシートプラズマ装置100の動作を制御するよう構成されていてもよい。
なお、本実施形態においては、円柱状プラズマ22及びシート状プラズマ27の形状を整えるための磁場の発生手段として第一電磁コイル23乃至第三電磁コイル48を用いたが、その他の手段を用いることも可能である。例えば、第一電磁コイル23乃至第三電磁コイル48の替わりに、永久磁石や、超伝導体(により発生するマイスナー効果)を用いることもできる。
<特徴的構成>
次に、本実施形態のシートプラズマ装置100の特徴的構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。
本実施形態では、シートプラズマ変形槽20の外側に、プラズマ密度に関連する物理量である温度を検知する温度センサS1と温度センサS2とが配設されている。温度センサS1と温度センサS2とは、シート状プラズマ27の幅方向において円柱状プラズマ22の中心軸22Aに対称な位置に設けられている。また、温度センサS1及びS2は、一対の永久磁石24A,24Bの近傍かつシートプラズマ変形槽20の外側に配設されている。温度センサS1は、シートプラズマ変形槽20の左側に配設されている。温度センサS2は、シートプラズマ変形槽20の右側に配設されている。
なお、プラズマ密度に関連する物理量は、温度でなく、例えば、電流等であってもかまわない。この場合には、電流等を検知する他の種類のセンサをシートプラズマ変形槽20の内側に配設する。
次に、永久磁石の移動機構を説明する。
図2及び図3に示すように、永久磁石の移動機構70は、スライドガイド73を備えている。スライドガイド73は、柱状に形成され、その上面にその中心軸の延在方向に延びる溝73aが形成されている。このスライドガイド73が、シートプラズマ変形槽20の下方に平面視においてシートプラズマ変形槽20の両側に突出して左右方向に延在するように配設されている。このスライドガイド73の溝73aにスライド体71が摺動自在に嵌挿されている。スライド体71は、左右方向に延びる柱状の本体71bとこの本体71bから下方に突出する摺動部71aとを有している。摺動部71aはスライドガイド73の溝73aに嵌合する形状に形成されていて、スライド体71は、この摺動部71aにおいて、スライドガイド73の溝73aに嵌挿されている。スライド体71の上面の両端部には1対の支持棒77,77が鉛直方向に延びるように配設されている。各支持棒77は適宜な固定部材72によってスライド体71に固定されている。この1対の支持棒77に1対の永久磁石24A,24Bが固定されている。各々の永久磁石24A,24Bは四角柱の形状に形成されていて、その一対の側面がそれぞれN極及びS極の磁極面に形成されている。この1対の永久磁石24A,24Bが各々の端部に形成された貫通孔に1対の支持棒77,77を挿通せしめるようにして該1対の支持棒77,77に固定されている。1対の永久磁石24A,24Bは、互いに同じ磁性の磁極面(ここではN極面)が共に水平であり、かつ互いに平行でかつ対向するように配置されている(図1参照)。また、1対の永久磁石24A,24Bは、それぞれ、シートプラズマ変形槽20の上方及び下方に平面視においてシートプラズマ変形槽20の両側に突出して左右方向に延在するように配置されている。さらに、1対の永久磁石24A,24Bは、上下方向において、円柱状プラズマの中心軸22Aからの距離が等しくなるように配置されている。
また、スライド体71の本体部71bには、その中心軸の延在方向(左右方向)に貫通するようにネジ孔71cが形成されていて、このネジ孔71cにボールネジ76が螺合するようにして挿通されている。このボールネジ76はモータM(75)の主軸に接続されている。そして、このモータMの回転が制御装置90によって制御される。
以上の構成により、制御装置90に制御されてモータMが回転すると、ボールネジ76が回転し、それにより、スライド体71がスライドガイド73に案内されつつ左右方向に移動する。すると、1対の永久磁石24A,24Bが左右方向に移動し(図2中の矢印80)、それにより、シート状プラズマ27の幅方向(左右方向)におけるバランス、すなわち、その左側部分27aのプラズマ密度(ひいては形状)とその右側部分27bのプラズマ密度(ひいては形状)とのバランスが変化する。これにより、制御装置90が、モータMの回転を制御することにより、シート状プラズマ27の幅方向におけるバランスを調整することができる。なお、1対の永久磁石24A,24Bの移動は、1対の支持棒77,77とシートプラズマ変形槽20とが当たらない範囲に限られる。
<動作>
次に、本実施形態のシートプラズマ装置100の動作を説明する。ここで、シートプラズマ装置100の動作は、制御装置90によって遂行される。
まず、本実施形態のシートプラズマ装置100の一般的な動作について、簡単に説明する。
本実施形態のシートプラズマ装置100においては、成膜槽30内を、真空ポンプ38により1×10−6Paのオーダーまで真空引きする。次に、シートプラズマ変形槽20内に、プラズマガン10で形成した円柱状プラズマ22を導入する。そして、この円柱状プラズマ22は、一対の永久磁石24A,24Bにより、シート状プラズマ27に形成され、成膜槽30内に導入される。その後、成膜槽30内の圧力は、1×10−2Paのオーダーとされる。
成膜槽30内においては、バイアス電圧印加装置Vから負のバイアス電圧がターゲットホルダ33を介してターゲット33Aに印加されている。一方、バイアス電圧印加装置Vから負のバイアス電圧が基材ホルダ34を介して基材34Aに印加されている。そして、ターゲット33Aが負バイアスに帯電することにより、シート状プラズマ27中のアルゴンイオンがターゲット33Aへと引き付けられる。ターゲット33Aに引き付けられたアルゴンイオンは、ターゲット33A中のターゲット原子をスパッタする。スパッタされたターゲット原子は、シート状プラズマ27中を該厚み方向へ通過して、その際にイオンへと変換される。変換されたイオンは、基材34Aの表面に堆積することによって膜を形成する。
次に、本実施形態のシートプラズマ装置100の特徴的な動作について説明する。
まず、制御装置90は、温度センサS1及び温度センサS2を介して、プラズマ密度と関連する物理量である温度を取得する。ここで、シート状プラズマ27は、幅方向(図1におけるX軸方向、図2における左右方向)に拡がっている。そして、シートプラズマ変形槽20の内部に形成されるシート状プラズマ27の左側部分27aのプラズマ密度が、その右側部分27bのプラズマ密度よりも高い場合には、温度センサS1によりシートプラズマ変形槽20の外壁を通して検知される温度が、温度センサS2によりシートプラズマ変形槽20の外壁を通して検知される温度よりも高くなる。一方、シートプラズマ変形槽20の内部に形成されるシート状プラズマ27の右側部分27bのプラズマ密度が、その左側部分27aのプラズマ密度よりも高い場合には、温度センサS2によりシートプラズマ変形槽20の外壁を通して検知される温度が、温度センサS1によりシートプラズマ変形槽20の外壁を通して検知される温度よりも高くなる。したがって、シートプラズマ変形槽20の左側に配設された温度センサS1により検知された温度と、シートプラズマ変形槽20の右側に配設された温度センサS2により検知された温度とを比較することにより、シート状プラズマ27の幅方向のプラズマ密度のバランスが正常であるかどうかを判断することができる。
制御装置90は、シートプラズマ変形槽20の左側の温度センサS1によって検知された温度と、右側の温度センサS2によって検知された温度との差が所定の閾値以下である場合には、差がないと判定する。なお、この「所定の閾値」は、シートプラズマ変形槽20等のシートプラズマ装置100の各構成要素の大きさ、形状、材質等によって適宜、決定される。差がないと判定した場合には、シート状プラズマ27の幅方向におけるプラズマ密度のバランスが正常である。したがって、この場合には、永久磁石の移動機構70を動作させず、その状態(永久磁石24A,24Bの位置)を維持する。
一方、制御装置90は、シートプラズマ変形槽20の左側の温度センサS1によって検知された温度と、右側の温度センサS2によって検知された温度との差が所定の閾値を越える場合には、差があると判定する。この場合には、シート状プラズマ27の左側部分27aのプラズマ密度と右側部分27bのプラズマ密度のバランスに不均衡が生じている。したがって、これらの温度差を小さくするよう、永久磁石の移動機構70によって永久磁石24A,24Bを、左右方向のいずれかに、円柱状プラズマ22の中心軸22Aに対して相対的に移動させる。この場合において、制御装置90は、左側の温度センサS1によって検知された温度と右側の温度センサS2によって検知された温度とのうちのどちらの温度がどれだけ高いかに応じて、モータMの回転角及び回転方向を制御することにより、永久磁石の移動機構70による永久磁石24A,24Bの移動方向及び移動距離を調整する。これにより、シート状プラズマ27の幅方向におけるプラズマ密度のバランスが調整される(不均衡が修正される)。
本発明のシートプラズマ装置100は、上記のような構成としたため、一対の温度センサにより検知されたプラズマ密度と関連する物理量(温度)によって、形成されたシート状プラズマ27の幅方向においてプラズマ密度のバランスの程度を判断することができる。
また、一対の温度センサをシートプラズマ変形槽20の外側に設けたため、シートプラズマ変形槽20(減圧容器60)内のシート状プラズマ27のプラズマ密度に関連する物理量を、シートプラズマ変形槽20(減圧容器60)の外側から検知することができる。そして、このように検知されたシート状プラズマのプラズマ密度に関連する物理量に基づいて、シート状プラズマ27の幅方向におけるプラズマ密度のバランスを調整する。これにより、シート状プラズマ27のプラズマ密度の高い部分がシートプラズマ装置100の構成要素(シートプラズマ変形槽20、成膜槽30、フランジ29,47、図示しないOリング)に干渉することが抑制され、シートプラズマ装置100の構成要素の破損が防止される。また、成膜の対称性、特に、膜厚の対称性を維持することができる。
[変形例]
図4は、第1実施形態に係るシートプラズマ装置の変形例の概略構成を示す図であって、本変形例のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す平面図である。図5は、本変形例のシートプラズマ装置における永久磁石の移動機構とセンサとの配設位置を示す正面図である。以下、図4及び図5を参照しながら、本変形例のシートプラズマ装置の構成を説明する。
本変形例のシートプラズマ装置は、第1実施形態のシートプラズマ装置において温度センサを配設する位置を変更している。すなわち、一対の温度センサは、減圧容器60の、シートプラズマ変形槽20と成膜槽30との間の部分であるフランジ29の近傍に設けられている。具体的には、温度センサS3は、第一フランジ29のシートプラズマ変形槽20側の近傍であって、シートプラズマ変形槽20の左側に配設されている。温度センサS4は、第一フランジ29のシートプラズマ変形槽20側の近傍であって、シートプラズマ変形槽20の右側に配設されている。それ以外の構成については、上述の第1実施形態のシートプラズマ装置と同様である。
このような構成としても、第1実施形態のシートプラズマ装置と同様の効果を奏する。
また、このような構成とすると、シートプラズマ変形槽20と成膜槽30との間の、損傷を引き起こしやすい構成要素(例えば、Oリング等)の近傍の位置に形成される、減圧容器60内のシート状プラズマ27の幅方向におけるプラズマ密度のバランスを調整することができる。これにより、損傷を引き起こしやすい構成要素の損傷が、防止される。
なお、上述の第1実施形態のシートプラズマ装置及び変形例のシートプラズマ装置においては、一対の温度センサは、シート状プラズマ27の幅方向において円柱状プラズマ22の中心軸22Aに対称な位置に配設されていた。ここで、一対の温度センサを円柱状プラズマ22の中心軸22Aに対称な位置ではない位置に配設し、これらの位置に配設された温度センサにより検知された温度を補正して、円柱状プラズマ22の中心軸22Aに対称な位置の温度としてもよい。このような構成としても、シート状プラズマ27の幅方向におけるプラズマ密度のバランスが正常であるかどうかを判断することができる。
また、上述の第1実施形態のシートプラズマ装置及び変形例のシートプラズマ装置においては、シート状プラズマ27の左側部分27aと右側部分27bとが均衡している状態を適正状態であると設定していた。しかし、例えば、シート状プラズマ27の左側部分27aと右側部分27bとが、不均衡である状態を適正状態であると設定して、これに合わせて、シートプラズマ装置100の構成、例えば、チャンバ40に形成された第一開口部42の形状や第一フランジ29の取り付け位置等を設計してもかまわない。このような構成としても、シートプラズマ装置100の構成要素の破損が防止される。
[実験例]
本実験例では、第1実施形態のシートプラズマ装置100を用い、永久磁石の移動機構70により一対の永久磁石24A,24Bを移動させる前と移動させた後において、放電開始から所定の期間が経過した後に、温度センサS1及び温度センサS2によって温度を検知した。その結果を、下記の表1及び表2に示す。
表1は、永久磁石の移動機構70により一対の永久磁石24A,24Bを移動させる前の、温度センサS1により検知された温度と温度センサS2により検知された温度とを示したものである。表2は、永久磁石の移動機構70により一対の永久磁石24A,24Bを移動させた後の、温度センサS1により検知された温度と温度センサS2により検知された温度と示したものである。なお、表1は放電開始後約1000秒経過後に検知された温度、表2は放電開始後約1200秒経過後に検知された温度を示すものである。以下、表1及び表2を参照しながら、本実施形態のシートプラズマ装置100の利点について説明する。
Figure 0005261179
表1に示すように、移動機構70により一対の永久磁石24A,24Bを移動させる前においては、温度センサS1によって検知された温度は90℃で、温度センサS2によって検知された温度は160℃であった。温度センサS1により検知された温度と温度センサS2により検知された温度との温度差が大きいことから、シート状プラズマ27の幅方向におけるプラズマ密度のバランスが正常でないと考えられる。具体的には、シート状プラズマの右側部分27b(図2参照)のプラズマ密度が、その左側部分27aのプラズマ密度よりもかなり高くなっていると考えられる。
そこで、永久磁石の移動機構70により、一対の永久磁石24A,24Bをそれぞれ右側に3mm移動させた。そして、放電開始後約1200秒経過後に、温度センサS1と温度センサS2により温度を検知した。
Figure 0005261179
表2に示すように、永久磁石の移動機構70により一対の永久磁石24A,24Bをそれぞれ右側に3mm移動させた後においては、温度センサS1によって検知された温度は160℃で、温度センサS2によって検知された温度は200℃であった。すなわち、温度センサS1により検知された温度と温度センサS2により検知された温度との差が、移動機構70により一対の永久磁石24A,24Bを移動させる前に比べて小さくなっている。これにより、シート状プラズマ27の幅方向のプラズマ密度のバランスが調整されたことがわかった。具体的には、シート状プラズマの右側部分27bのプラズマ密度と、その左側部分27aのプラズマ密度との差が小さくなったと考えられる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明のシートプラズマ装置及びシート状プラズマ調整方法は、シート状プラズマの幅方向における不均衡による、装置の構成要素の損傷と成膜の対称性の悪化とを防止することが可能なシートプラズマ装置及びシート状プラズマ調整方法として有用である。

Claims (7)

  1. 内部を減圧可能な減圧容器と、
    前記減圧容器の内部にプラズマを発生させるプラズマガンと、
    前記減圧容器の内部において前記プラズマを受ける陽極と、
    前記プラズマガンで発生したプラズマを円柱状に成形し前記陽極の側へ流動させるプラズマ流動手段と、
    前記減圧容器の一部を成し前記円柱状のプラズマが流動するように形成されたシートプラズマ変形槽と、
    前記シートプラズマ変形槽の外側に前記流動するプラズマを挟んで同極同士が対向するように設けられ、前記シートプラズマ変形槽の内部において前記円柱状のプラズマをシート状のプラズマに変形する一対の永久磁石と、
    該一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させる移動機構と、
    前記減圧容器の一部を成すように形成された成膜槽と、
    前記シート状のプラズマの幅方向において前記円柱状のプラズマの中心軸を挟む位置に設けられた、プラズマ密度と関連する物理量を検知するための一対のセンサと、
    制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記一対のセンサにより検知された前記物理量に基づいて、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させて前記シート状のプラズマの幅方向におけるプラズマ密度のバランスを調整するよう構成されている、シートプラズマ装置。
  2. 前記一対のセンサは、前記円柱状のプラズマの中心軸に対称な位置に配設され、
    前記制御装置は、前記一対のセンサにより検知されたそれぞれの前記物理量の差が所定の閾値を越える場合にはこれらの差が小さくなるよう、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させるよう構成されている、請求項1に記載のシートプラズマ装置。
  3. 前記一対のセンサが、前記一対の永久磁石の近傍かつ前記シートプラズマ変形槽の外側に設けられている、請求項1に記載のシートプラズマ装置。
  4. 前記1対のセンサが前記減圧容器の、前記シートプラズマ変形槽と前記成膜槽との間の部分の外側に設けられている、請求項1のシートプラズマ装置。
  5. 前記一対のセンサが、それぞれ温度センサで構成されている、請求項1に記載のシートプラズマ装置。
  6. 内部を減圧可能な減圧容器と、
    前記減圧容器の内部にプラズマを発生させるプラズマガンと、
    前記減圧容器の内部において前記プラズマを受ける陽極と、
    前記プラズマガンで発生したプラズマを円柱状に成形し前記陽極の側へ流動させるプラズマ流動手段と、
    前記減圧容器の一部を成し前記円柱状のプラズマが流動するように形成されたシートプラズマ変形槽と、
    前記シートプラズマ変形槽の外側に前記流動するプラズマを挟んで同極同士が対向するように設けられ、前記シートプラズマ変形槽の内部において前記円柱状のプラズマをシート状のプラズマに変形する一対の永久磁石と、
    該一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させる移動機構と、
    前記減圧容器の一部を成すように形成された成膜槽と、
    前記シート状のプラズマの幅方向において前記円柱状のプラズマの中心軸を挟む位置に設けられた、プラズマ密度と関連する物理量を検知するための一対のセンサと、を備えたシートプラズマ装置におけるシート状プラズマ調整方法であって、
    前記一対のセンサにより検知された前記物理量に基づいて、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させて前記シート状のプラズマの幅方向におけるプラズマ密度のバランスを調整するステップを含む、シート状プラズマ調整方法。
  7. 前記一対のセンサは、前記円柱状のプラズマの中心軸に対称な位置に配設されており、
    前記ステップにおいて、前記一対のセンサにより検知されたそれぞれの前記物理量に差がある場合にはこれらの差が小さくなるよう、前記移動機構により前記一対の永久磁石を前記前記円柱状のプラズマの中心軸に対し相対的に移動させる、請求項6に記載のシート状プラズマ調整方法。
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