JPWO2008099579A1 - プラズマ成膜装置 - Google Patents

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Abstract

減圧容器(4)と、プラズマガン(1)と、減圧容器(4)の一部を成しプラズマが流動するシートプラズマ変形室(2)と、シートプラズマ変形室(2)の外側に流動するプラズマをシート状のプラズマに変形するシートプラズマ変形機構(50)と、減圧容器(4)の一部を成しシート状のプラズマが流動する成膜室(3)と、シートプラズマ変形室(2)及び成膜室(3)に設けられた第1及び第2排気口(25、41)と、第1及び第2排気口(25、41)を通じて減圧容器(4)の内部を排気して減圧する減圧装置(120、130)と、制御装置(110)と、を備え、制御装置(110)は、シートプラズマ変形室(2)と成膜室(3)との間に所定の圧力差が形成されるように減圧装置(120、130)を制御する、プラズマ成膜装置。

Description

本発明は、プラズマ成膜装置、特にシート状にしたプラズマで成膜するシートプラズマ成膜装置に関する。
シートプラズマ成膜装置は、円柱状のプラズマビームを挟んで同極同士を対向させて配置した永久磁石の反発磁場により円柱状のプラズマをシート状に変形し、この変形されたシート状のプラズマ(以下、シートプラズマという)をイオン源として成膜材料をスパッタリングして基板を成膜する装置である(例えば、特許文献1参照)。このシートプラズマ成膜装置では、プラズマをシート状に広げるため、プラズマ密度が低下し、また、均一なプラズマを得ることが難しいという問題があった。
このような問題に対して、シートプラズマを構成する電子を収束させる電子誘導用電極の電位を変化させるプラズマ成膜装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。図6は、特許文献2に開示されているプラズマ成膜装置の概略構成を示す模式図である。
図6に示すように、特許文献2に開示されているプラズマ成膜装置では、カソード電極81とアノード電極82の間で生成されたプラズマ中の電子が、加速電極83と環状コイル84によって処理室88内に移送される。処理室88内に引き込まれた電子は、永久磁石85及びソレノイドコイル86によって形成される磁場によって、偏平状に圧縮され、偏平面に沿って移送される。そして、移送された電子は、磁場収束用永久磁石87によって収束される。このようにして、処理室88内に引き込まれた電子は、シート状のプラズマ領域を形成する。この際、磁場収束用永久磁石87の背面に設けられている電子誘導用電極89の電位を変化させることにより、プラズマ領域に引き込まれる電子の量が増大されると共に、電子がプラズマ領域外への回りこみが抑制され、プラズマ密度を高めることができる。
特許第2952639号公報 特開平5−343197号公報
しかしながら、特許文献2に開示されたプラズマ成膜装置では、電子誘導用電極89の電位を変化させても、永久磁石85等の各磁力線を均一に形成させることはできないため、永久磁石85等によって形成される磁場は、不均一な状態のままであった。このため、シートプラズマを均一にすることはできず、未だ改善の余地があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シートプラズマのプラズマ密度を高い状態に保ち、かつ、プラズマ密度を均一にすることができるプラズマ成膜装置を提供することを目的とする。また、シートプラズマのプラズマ密度を均一にすることにより、生産効率の高いプラズマ成膜装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係るプラズマ成膜装置は、内部を減圧可能な減圧容器と、該減圧容器の内部にプラズマを発生させるプラズマガンと、前記減圧容器の内部において前記プラズマを受けるアノードと、前記減圧容器の一部を成し前記プラズマが流動するシートプラズマ変形室と、該シートプラズマ変形室の外側に前記流動するプラズマをシート状のプラズマに変形するシートプラズマ変形機構と、前記減圧容器の一部を成し前記シート状のプラズマが流動する成膜室と、前記シートプラズマ変形室及び前記成膜室にそれぞれ設けられた第1及び第2排気口と、前記第1及び第2排気口を通じて前記減圧容器の内部を排気して減圧する減圧装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記シートプラズマ変形室と前記成膜室との間に所定の圧力差が形成されるように前記減圧装置を制御する。
これにより、シートプラズマのプラズマ密度を高い状態に保ち、かつ、プラズマ密度を均一にすることができる。
また、本発明に係るプラズマ成膜装置では、前記制御装置は、前記減圧装置の排気能力を変更することにより前記所定の圧力差が形成されるように前記減圧装置を制御されてもよい。
また、本発明に係るプラズマ成膜装置では、前記制御装置は、前記減圧装置の作動時間を変更することにより前記所定の圧力差が形成されるように前記減圧装置を制御されてもよい。
また、本発明に係るプラズマ成膜装置では、前記減圧装置は、前記第1及び第2排気口にそれぞれ設けられ該第1及び第2排気口の開口度合いをそれぞれ調整する第1及び第2調整弁と、前記第1及び第2排気口に接続され前記減圧容器の内部を排気して減圧する排気装置と、を有してもよい。
また、本発明に係るプラズマ成膜装置では、前記排気装置は、前記第1及び第2排気口にそれぞれ接続された第1及び第2排気装置で構成されていてもよい。
また、本発明に係るプラズマ成膜装置では、前記制御装置は、前記第1調整弁の開度を100%に制御し、前記第2調整弁の開度を40%以上80%以下に制御してもよい。
さらに、本発明に係るプラズマ成膜装置では、前記制御装置は、前記第2調整弁の開度を60%以上80%以下に制御してもよい。
なお、本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明のプラズマ成膜装置によれば、シートプラズマのプラズマ密度を高い状態に保ち、かつ、プラズマ密度を均一にすることが可能となり、また、シートプラズマのプラズマ密度を均一にすることにより、生産効率を高くすることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係るプラズマ成膜装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、図1に示したシートプラズマ成膜装置のII−II線断面図である。 図3は、図1に示した制御装置の記憶部に格納されたシートプラズマ成膜装置の圧力調整と圧力差の形成プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。 図4は、第2調整弁における弁の開度を調整し、シートプラズマ変形室及び成膜室の真空度(圧力値)を測定した結果を示すグラフである。 図5は、第2調整弁における弁の開度を調整し、測定ポイントにおけるシートプラズマのプラズマ密度を測定した結果を示すグラフである。 図6は、特許文献2に開示されているプラズマ成膜装置の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1 プラズマガン
2 シートプラズマ変形室
3 成膜室
4 減圧容器
5 第1ボトルネック部
6 第2ボトルネック部
10 第1筒部材
11 放電空間
12 蓋部材
13 補助陰極
14 主陰極
15 カソード
16 保護部材
17 窓部材
18 主電源
19 中間電極
20 中間電極
21 第1電磁コイル
22 第2筒部材
23 輸送空間
24 第1調整弁
25 第1排気口
26A 永久磁石
26B 永久磁石
27 成形電磁コイル
28 第3筒部材
29 第1蓋部材
30 第2蓋部材
31 第1スリット孔
32 第2バイアス電源
33 基板
34 基板ホルダ
34a ホルダ部
34b 支持部
35 第2駆動装置
36 第1バイアス電源
37 ターゲット
38 ターゲットホルダ
38a ホルダ部
38b 支持部
39 第1駆動装置
40 成膜空間
41 第2排気口
42 第2調整弁
43 第2電磁コイル
44 第3電磁コイル
45 第2スリット孔
46 第4筒部材
47 蓋部材
48 アノード
49 永久磁石
50 シートプラズマ変形機構
51 第1圧力検出器
52 第2圧力検出器
81 カソード電極
82 アノード電極
83 加速電極
84 環状コイル
85 永久磁石
86 ソレノイドコイル
87 磁場収束用磁石
88 処理室
89 電子誘導用電極
100 プラズマ成膜装置
101 シートプラズマ成膜装置
110 制御装置
111 演算処理部
112 記憶部
113 表示部
114 操作入力部
120 第1真空ポンプ
130 第2真空ポンプ
CP 円柱プラズマ
M1 測定ポイント
M2 測定ポイント
M3 測定ポイント
M4 測定ポイント
R1 抵抗体
R2 抵抗体
R3 抵抗体
SP シートプラズマ
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るプラズマ成膜装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施の形態1に係るプラズマ成膜装置100は、シートプラズマ成膜装置101と、制御装置110と、第1真空ポンプ120と、第2真空ポンプ130と、を有している。
シートプラズマ成膜装置101は、プラズマガン1と減圧容器4を有しており、プラズマガン1と減圧容器4は、気密的に連通されている。プラズマガン1は、ここでは、公知の圧力勾配型のプラズマガンと複合陰極型プラズマガンの両者を組み合わせたデュアルタイプのプラズマガンが採用されている。
減圧容器4は、シートプラズマ変形室2と成膜室3を有している。シートプラズマ変形室2には、第1排気口25が設けられており、第1排気口25には、適宜な配管を介して第1真空ポンプ120が接続されている。また、成膜室3には、第2排気口41が設けられており、第2排気口41には、適宜な配管を介して第2真空ポンプ130が接続されている。さらに、第1及び第2排気口25、41には、それぞれ第1及び第2調整弁24、42が設けられており、第1及び第2調整弁24、42における弁の開度を変更することで第1及び第2排気口25、41の開口度を調整している。この第1及び第2真空ポンプ120、130により、シートプラズマ成膜装置101内がプラズマを形成可能な真空度にまで減圧される。なお、第1及び第2調整弁24、42と、第1及び第2真空ポンプ120、130と、により、減圧装置が構成されている。
また、成膜室3の内部には、アノード48が気密的に設けられており、アノード48は、直流電源からなる主電源18の正極と電気的に接続されている。一方、主電源18の負極には、抵抗体R1を介してプラズマガン1が接続されている。これにより、主電源18からプラズマガン1にマイナス電圧が印加され、プラズマが発生する。
さらに、減圧容器4(正確には、シートプラズマ変形室2)の外部には、シートプラズマ変形機構50が設けられており、シートプラズマ変形機構50は、プラズマガン1で発生したプラズマをアノード側に移動させ、かつ、シート状に変形させる。そして、成膜室3では、シート状に変形したプラズマ(以下、シートプラズマという)を用いて、ここでは、ターゲット37をスパッタして基板33を成膜する。
第1及び第2真空ポンプ120、130は、ここでは、公知のターボ分子ポンプを使用しているが、減圧容器4内を減圧することができれば、どのような減圧装置を使用してもよい。また、ここでは、第1及び第2真空ポンプ120、130と2つの真空ポンプを使用したがこれに限定されず、例えば、1つの真空ポンプによって、減圧容器4内を減圧してもよく、また、複数の真空ポンプを用いてもよい。
制御装置110は、マイコン等のコンピュータによって構成されており、CPU等からなる演算処理部111、メモリ等からなる記憶部112、モニター等の表示部113、及びキーボード等の操作入力部114を有している。演算処理部111は、記憶部112に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、プラズマ成膜装置100に関する各種の制御を行う。また、演算処理部111は、記憶部112に記憶されたデータや操作入力部114から入力されたデータを処理する。そして、特に、第1及び第2調整弁24、42における弁の開度を調整して、シートプラズマ変形室2と成膜室3内の圧力を調整し、これらの間で所定の圧力差を形成するように制御する。圧力調整及び圧力差の形成制御については、後述する。
ここで、本明細書において、制御装置とは、単独の制御装置だけでなく、複数の制御装置が協働してプラズマ成膜装置100の制御を実行する制御装置群をも意味する。このため、制御装置110は、単独の制御装置から構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置され、それらが協働してプラズマ成膜装置100を制御するように構成されていてもよい。
次に、本実施の形態1に係るプラズマ成膜装置100のシートプラズマ成膜装置101について図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。
図2は、図1に示すシートプラズマ成膜装置101のII−II線断面図である。なお、図1及び図2に示すように、シートプラズマ成膜装置101の方向を、X軸、Y軸及びZ軸によって表している。また、図2においては、一部を省略している。
図1に示すように、本実施の形態1に係るシートプラズマ成膜装置101は、Z軸方向から見て順番に、プラズマガン1と、シートプラズマ変形室2と、成膜室3と、を備えており、プラズマガン1、シートプラズマ変形室2、及び成膜室3は、互いに気密状態を保って連通されている。
プラズマガン1は、円筒状の第1筒部材10を有している。第1筒部材10の内部空間により、放電空間11が形成される。第1筒部材10の一方の端部は、放電空間11を塞ぐように蓋部材12が配置されている。蓋部材12には、該蓋部材12の中心部を気密的に貫通して、Z軸に沿って延びるように、円筒状の補助陰極13が配設されており、補助陰極13は、タンタル(Ta)で構成されている。補助陰極13の基端は、図示されないアルゴン(Ar)ガス供給装置と適宜な配管により接続されており、補助陰極13の先端からArガスが放電空間11内に供給される。また、補助陰極13の先端近傍の外周面には、円環状の主陰極14が設けられており、主陰極14は、6ホウ化ランタン(LaB)で構成されている。補助陰極13と主陰極14によって、カソード15が構成されている。カソード15は、直流電源からなる主電源18の負極と抵抗体R1を介して電気的に接続されている。
プラズマガン1には、補助陰極13と同軸状に、補助陰極13よりも径の大きい円筒状の保護部材16が、蓋部材12にZ軸に沿って延びるように配設されている。保護部材16は、モリブデン(Mo)、又は、タングステン(W)で構成されており、また、保護部材16の先端には、円環状の窓部材17が設けられている。窓部材17は、タングステンで構成されており、この保護部材16と窓部材17により、カソード15が保護される。
プラズマガン1は、一対の円環状の中間電極19、20を有している。これらの中間電極19、20は、それぞれ主電源18と適宜の抵抗体R2、R3を介して電気的に接続されている。中間電極19、20には、主電源18から所定のプラス電圧が印加される。これにより、カソード15で発生したアーク放電が維持され、プラズマガン1の放電空間11には、荷電粒子(ここではArと電子)の集合体としてのプラズマが形成される。
プラズマガン1の周囲には、環状の第1電磁コイル21が、第1筒部材10の周壁を取り囲むように設けられている。そして、第1電磁コイル21に電流を流し、中間電極19、20に所定のプラス電圧を印加することにより、第1電磁コイル21によるコイル磁界及び中間電極19、20による電界が発生し、プラズマガン1の放電空間11には、このコイル磁界及び電界に基づく磁束密度の勾配がZ軸方向に形成される。このような磁束密度のZ軸方向の勾配により、プラズマを構成する荷電粒子は、磁力線の回りを旋回しながらZ軸方向に進み、このため、荷電粒子の集合体としてのプラズマが、Z方向の輸送中心60に対して略等密度分布してなる円柱状のプラズマ(以下、円柱プラズマという)CPとして、シートプラズマ変形室2へ引き出される。
第1筒部材10の他方の端部には、シートプラズマ変形室2が配設されており、シートプラズマ変形室2とプラズマガン1とは、適宜な手段により、気密的に接続されており、かつ、電気的に絶縁されている。
シートプラズマ変形室2は、Z軸方向の軸を中心とした第2筒部材22を有しており、第2筒部材22は、非磁性体(例えば、ステンレスやガラス)で構成されている。そして、第2筒部材22の内部空間により、輸送空間23が形成される。
第2筒部材22の適所には、第1調整弁24により開閉可能な第1排気口25が設けられている。第1排気口25には、適宜な配管を介して第1真空ポンプ120が接続されている。この第1真空ポンプ120により、真空引きされ、シートプラズマ変形室2の内部空間(輸送空間23)は、円柱プラズマCPを輸送可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。なお、第1調整弁24は、制御装置110により弁の開度を調整されるように構成されている。また、ここでは、第1調整弁24は、バタフライバルブを使用しており、第1排気口25の開口度を調整することができれば、例えば、ゲートバルブのような圧力調整弁を使用してもよい。また、第2筒部材22の適所には、第1圧力検出器51が気密的に設けられており、輸送空間23の圧力を検出して、制御装置110にその検出した圧力を伝達する。なお、第1圧力検出器51は、ここでは、イオンゲージを使用しており、圧力を検出することができれば、例えば、電離真空計を使用してもよい。
さらに、第2筒部材22の外側(シートプラズマ変形室2の周囲)には、第2筒部材22(正確には、輸送空間23)を挟んで、互いに同極(ここではN極)が対向するようにして、一対の角形の永久磁石26A、26Bが、X軸方向に延びるように設けられている。
また、永久磁石26A、26Bのカソード15に近い側には、環状の成形電磁コイル(空心コイル)27が、第2筒部材22の周面を囲むように配設されている。なお、成形電磁コイル27には、カソード15側をS極、アノード48側をN極とする向きの電流が通電されている。この永久磁石26A、26Bと成形電磁コイル27からシートプラズマ変形機構50が構成される。
そして、シートプラズマ変形室2の輸送空間23には、成形電磁コイル27に電流を流すことによってコイル磁界が形成され、このコイル磁界と永久磁石26A、26Bによって形成される磁石磁界との相互作用により、円柱プラズマCPがシートプラズマ変形室2の輸送空間23をZ軸方向に移動する。この間に、円柱プラズマCPは、XZ平面に沿って拡がる、均一なシート状のプラズマ(以下、シートプラズマという)SPに変形される(図2参照)。このようにして変形されたシートプラズマSPは、成膜室3へ流入する。
成膜室3は、Y軸方向の軸を中心とした円筒状の第3筒部材28とZ軸方向の軸を中心とした円筒状の第4筒部材46を有しており、第3筒部材28は、非磁性体(例えば、ステンレス)で構成されている。第3筒部材28の一方の端部は、第1蓋部材29で閉鎖されており、また、他方の端部は、第2蓋部材30で閉鎖されている。なお、第3筒部材28の内部空間により、成膜空間40が形成される。また、第4筒部材46については後述する。
第3筒部材28のシートプラズマ変形室2近傍側の周面の中央部には、X軸方向に延びる第1スリット孔31が形成されている。この第1スリット孔31には、シートプラズマ変形室2と成膜室3の内部空間が連続するように、筒状の第1ボトルネック部5が気密的に設けられている。なお、第1ボトルネック部5の高さ(Y軸方向内寸法)及び長さ(Z軸方向内寸法)並びに幅(X軸方向内寸法)は、シートプラズマSPを適切に通過するように設計されている。また、第1スリット孔31の幅は、変形されたシートプラズマSPの幅よりも大きく形成されていればよく、適宜な大きさに設計される。これにより、シートプラズマSPを構成しない余分なアルゴンイオン(Ar+)と電子が、成膜室3に導入されるのを防止することができる。
また、第3筒部材28の内部には、シートプラズマSPを挟んで対抗するように、基板ホルダ34と成膜材料としてターゲット37が配設されている。基板ホルダ34は、基板33を保持しており、基板ホルダ34は、ホルダ部34aと支持部34bを有している。支持部34bは、第2蓋部材30を気密的に、かつ、摺動自在に貫通しており、第2駆動機構35と接続されている。また、支持部34bは、Y軸方向に移動可能に構成されている。さらに、基板ホルダ34は、第2バイアス電源32の負極と適宜な配線により電気的に接続されており、第2バイアス電源32は、ホルダ部34aにシートプラズマSPに対して負のバイアス電圧を印加する。なお、基板ホルダ34の支持部34bと第2蓋部材30とは、絶縁されている。
一方、ターゲット37は、ターゲットホルダ38に保持されており、該ターゲットホルダ38は、ホルダ部38aと支持部38bを有している。支持部38bは、第1蓋部材29を気密的に、かつ、摺動自在に貫通しており、第1駆動機構39と接続されている。また、支持部38bは、Y軸方向に移動可能に構成されている。さらに、ターゲットホルダ38は、第1バイアス電源36の負極と適宜な配線により電気的に接続されており、第1バイアス電源36は、ホルダ部38aにシートプラズマSPに対して負のバイアス電圧を印加する。なお、ターゲットホルダ38の支持部38bと第1蓋部材29とは、絶縁されている。また、第1駆動機構39及び第2駆動機構35は、公知の駆動機構を使用しており、例えば、エアシリンダ等を使用することができる。
また、第2蓋部材30の適所には、第2調整弁42により開閉可能な第2排気口41が設けられている。第2排気口41には、第2真空ポンプ130が接続されている。この第2真空ポンプ130により真空引きされ、第3筒部材28の内部空間(成膜空間40)は、スパッタリングプロセス可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。なお、第2調整弁42は、制御装置110によりその開度を調整されるように構成されている。また、ここでは、第2調整弁42は、バタフライバルブを使用しており、第2排気口41の開口度を調整することができれば、例えば、ゲートバルブのような圧力調整弁を使用してもよい。
さらに、第2蓋部材30の適所には、第2圧力検出器52が気密的に設けられており、成膜空間40の圧力を検出して、制御装置110にその検出した圧力を伝達する。なお、第2圧力検出器52は、ここでは、第2蓋部材30に設けられているが、これに限定されず、成膜空間40の圧力を検出することができれば、例えば、第1蓋部材29に設けられてもよい。また、第2圧力検出器52は、第1圧力検出器51と同様に、ここでは、イオンゲージを使用しているが圧力を検出することができれば、例えば、電離真空計を使用してもよい。
第3筒部材28の外部には、磁力の強さをコントロールできる第2電磁コイル43及び第3電磁コイル44が、互いに対を成して第3筒部材28の周面を囲むように配設されている。第2電磁コイル43と第3電磁コイル44は、互いに異なる極(ここでは、第2電磁コイル43はN極、第3電磁コイル44はS極)を向かい合わせて設けられている。
この第2電磁コイル43及び第3電磁コイル44に電流を流すことにより作られるコイル磁界(例えば10G〜300G程度)は、ミラー磁界として、成膜室3の成膜空間40をZ軸方向に移動するシートプラズマSPの幅方向の拡散を適切に抑えるように、シートプラズマSPの形状を整形する。
また、第3筒部材28のアノード48側の周面の中央部には、X軸方向に延びる第2スリット孔45が形成されている。この第2スリット孔45には、第3筒部材28と第4筒部材46の内部空間が連続するように、筒状の第2ボトルネック部6が気密的に設けられている。なお、第2ボトルネック部6の高さ(Y軸方向内寸法)及び長さ(Z軸方向内寸法)並びに幅(X軸方向内寸法)は、第1ボトルネック部5と同様にシートプラズマSPを適切に通過するように設計されている。また、第2スリット孔45の高さ及び幅は、上述した第1スリット孔31と同様に構成されている。
第4筒部材46は、非磁性体(例えば、ステンレス)で構成されている。第4筒部材46の一方の(成膜室4側)端部には、第2ボトルネック部6が気密的に設けられている。そして、他方の端部には、その内部空間を塞ぐように蓋部材47が気密的に設けられている。
蓋部材47のカソード15に近い方の面には、アノード48が設けられている。アノード48は、主電源18の正極と適宜な配線により電気的に接続されている。主電源18によってアノード48には、カソード15との間で適宜の正の電圧(例えば100V)が印加される。
蓋部材47の裏面(カソード15から遠い方の面)には、アノード48側をS極、大気側をN極とした永久磁石49が配置されている。これにより、永久磁石49のN極から出てS極に入るXZ平面に沿った磁力線により、アノード48に向かうシートプラズマSPの幅方向(X軸方向)の拡散を抑えるようにシートプラズマSPが幅方向に収束され、シートプラズマSPの荷電粒子が、アノード48に適切に回収される。
なお、本実施の形態では、プラズマガン1、シートプラズマ変形室2及び成膜室3における第4筒部材46のXY平面の断面を、円形であると説明したが、これに限定されるものではなく、多角形等であってもよい。また、成膜室3における第3筒部材28のXZ平面の断面を、円形であると説明したが、これに限定されるものではなく、多角形等であってもよい。
次に、本実施の形態1に係るプラズマ成膜装置100の動作について説明する。なお、以下の諸動作は、制御装置110によって制御される。
まず、シートプラズマ成膜装置101の成膜室3内に、基板33とターゲット37が搬入される。そして、第1及び第2真空ポンプ120、130の真空引きにより、シートプラズマ成膜装置101を構成するプラズマガン1、シートプラズマ変形室2、及び成膜室3内のそれぞれが真空状態になる。なお、シートプラズマ成膜装置101におけるシートプラズマ変形室2及び成膜室3内の真空度の調整(圧力差の形成)については、後述する。
次に、プラズマガン1に設けられた補助陰極13の先端から、Arガスが放電空間11内に供給され、補助陰極13でグロー放電が行われる。このグロー放電により、補助陰極13の先端部分の温度が上昇すると、この熱で主陰極14が加熱されて高温になり、アーク放電が行われる。このようにして、カソード15からプラズマ放電誘発用熱電子が放出され、プラズマが発生する。発生したプラズマは、中間電極19、20による電界と第1電磁コイル21による磁界により、カソード15からアノード48側に引き出され、円柱状に成形される。そして、このようにして形成された円柱プラズマCPは、第1電磁コイル21によって形成される磁場の磁力線に沿ってシートプラズマ変形室2に導かれる。
シートプラズマ変形室2に導かれた円柱プラズマCPは、一対の永久磁石26A、26Bと成形電磁コイル27から発生する磁場によってシート状に(輸送中心60に対してX軸方向に対称に広がるようにしてXZ平面に延びるように)広がって、シートプラズマSPに変形される。このシートプラズマSPは、第1ボトルネック部5及び第1スリット孔31を通過して成膜室3に導かれる。
成膜室3に導入されたシートプラズマSPは、第2電磁コイル43、第3電磁コイル43による磁場によって、幅方向の形状が整えられ、ターゲット37と基板33の間の空間にまで導かれる。ターゲット37には、ターゲットホルダ38を介して、シートプラズマSPに対して負のバイアス電圧が印加される。また、基板33にも、基板ホルダ34を介して、シートプラズマSPに対して負のバイアス電圧が印加される。ターゲット37が負にバイアスされることにより、Arイオンがターゲットを効率よくスパッタする。スパッタされたターゲット37を構成する原子は、垂直方向にシートプラズマSP中を通過し、このとき陽イオンにイオン化される。この陽イオンは、負にバイアスされた基板33上に堆積し、電子を受け取り、基板33を成膜する。
そして、シートプラズマSPは、永久磁石49の磁力線により幅方向に収束され、アノード48が、シートプラズマSPを受ける。
次に、本実施の形態1に係るプラズマ成膜装置100におけるシートプラズマ成膜装置101のシートプラズマ変形室2と成膜室3内の圧力調整とこれらの間に形成される圧力差の形成方法について説明する。
図3は、図1に示した制御装置110の記憶部112に格納されたシートプラズマ成膜装置101の圧力調整と圧力差の形成プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
まず、制御装置110の演算処理部111は、第1及び第2調整弁24、42にそれぞれの弁の開度を100%にする指令を出し(ステップS1)、ついで、第1及び第2真空ポンプ120、130に作動開始指令を出す(ステップS2)。これにより、プラズマガン1及び減圧容器4の内部が減圧される。
次に、演算処理部111は、第2圧力検出器52から成膜室3内の圧力値(真空度)P2情報を取得して(ステップS3)、記憶部112に記憶されている所定の圧力値と比較する(ステップS4)。ここで、所定の圧力値とは、プラズマガン1のカソード15からプラズマを発生させることができるシートプラズマ成膜装置101内の圧力値をいい、ここでは、10−6〜10−4Paで設定されている。なお、プラズマを安定に発生させる観点から、この所定の圧力値は、上記範囲の中でより低い方が好ましい。
そして、演算処理部111は、ステップS3で取得した圧力値P2が、所定の圧力値に達していない(所定の圧力値よりも高い)場合、ステップS3に戻り、圧力値P2が所定の圧力値に達するまで、ステップS3及びステップS4を繰り返す。一方、圧力値P2が、所定の圧力値に達した場合には、ステップS5に進む。なお、ここでは、成膜室3の圧力値を検出して、プラズマを発生させることができるか否かの判定を行ったがこれに、限定されず、シートプラズマ変形室2の圧力値によって判定してもよい。
ステップS5では、制御装置110の演算処理部111は、第1調整弁24に弁の開度を0%にする指令を出す。これにより、第1排気口25が閉じられる。そして、演算処理部111は、図示されないアルゴンガス供給装置にArガス供給開始指令を出し(ステップS6)、Arガスが、シートプラズマ成膜装置101内に供給される。
次に、演算処理部111は、シートプラズマ成膜装置101及び主電源18にプラズマガン1の作動指令を出す(ステップS7)。これにより、主電源18からプラズマガン1(正確には、カソード15)に対して、中間電極18、19及びアノード48に所定のプラス電圧が印加され、補助陰極13でグロー放電が開始される。そして、上述したように、グロー放電によって主陰極14が充分に加熱されると、アーク放電が開始される。演算処理部111は、適宜な手段(例えば、操作入力部114からアーク放電が開始したことが入力される等)によってこのアーク放電が開始されたことを確認する(ステップS8)。
次に、演算処理部111は、再度、第1及び第2調整弁24、42に開度指令を出す(ステップS9)。具体的には、第1調整弁24に弁の開度を100%にする指令を出し、第2調整弁42に弁の開度を40〜80%にする指令を出す(ステップS9)。そして、演算処理部111は、第1及び第2圧力検出器51、52から成膜室3の圧力値P2とシートプラズマ変形室2の圧力値P1情報を取得する(ステップS10)。そして、演算処理部111は、ステップS10で取得した圧力値P2と圧力値P1の比であるP2/P1を算出し、この算出したP2/P1が1より小さいか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、シートプラズマ変形室2の圧力値P1より、成膜室3の圧力値P2の方が小さい場合に、シートプラズマ変形室2と成膜室3との間に所定の圧力差が形成されたと判定する。なお、シートプラズマSPのプラズマ密度を高く、かつ、均一にする観点から、所定の圧力差(圧力比)であるP2/P1は、0.83以下であることが好ましく、0.52以下であることがより好ましい。また、所定の圧力差を形成させ、シートプラズマSPのプラズマ密度を高く、かつ、均一にする観点から、成膜室3の圧力値P2は、3.4×10−2Paより小さいことが好ましく、シートプラズマSPの形成を維持させる観点から1.3×10−2Paより大きいことが好ましい。さらに、所定の圧力差をより容易に形成させる観点から、ステップS9で第2調整弁2の弁の開度は、60〜80%にすることが好ましい。
そして、演算処理部111は、ステップS11で算出したP2/P1が1以上である場合には、ステップS10に戻り、P2/P1が1より小さくなるまで、ステップS10及びステップS11を繰り返す。一方、P2/P1が1より小さい場合には、ステップS12に進む。
ステップS12では、制御装置110の演算処理部111は、シートプラズマ成膜装置101に成膜開始指令を出し、本プログラムを終了する。これにより、シートプラズマ成膜装置101内では、基板33が成膜される。
なお、本実施の形態1に係るプラズマ成膜装置100では、第1及び第2調整弁における弁の開度を調整することにより、シートプラズマ変形室2と成膜室3との間に所定の圧力差を形成させたが、これに限定されず、第1真空ポンプ120と第2真空ポンプ130の排気能力(出力)を変更する(例えば、第1真空ポンプ120の出力に比べて第2真空ポンプ130の出力を下げる等)ことによって、所定の圧力差を形成してもよい。また、第1真空ポンプ120と第2真空ポンプ130の作動時間を変える(例えば、第1真空ポンプ120の作動時間に比べて第2真空ポンプ130の作動時間を短くする等)ことによって、所定の圧力差を形成してもよい。
また、本実施の形態では、第1及び第2圧力検出器51、52を用いて、シートプラズマ変形室2及び成膜室3の真空度(圧力)をフィードバック制御したが、これに限定されず、圧力検出器を用いずにフィードフォワード制御してもよい。
さらに、ここでは、シートプラズマ成膜装置101内を真空状態にして成膜を行ったが、成膜室3に反応性のガスを導入し、このガスとターゲット37の反応物を用いて基板33を成膜するような構成としてもよい。
このような構成とすることにより、シートプラズマのプラズマ密度を高い状態に保ち、かつ、プラズマ密度を均一にすることができ、これにより、均一に基板に膜を形成させることができ、生産効率を高くすることができる。
次に、実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例1では、上記実施の形態1に係るプラズマ成膜装置100を構築し、シートプラズマ成膜装置101内に形成されたシートプラズマSPのプラズマ密度(イオン飽和電流)、具体的には、図2に示す測定ポイントM1〜M4部分のプラズマ密度、を、第1蓋部材29に設けた(図1では、図示せず)公知のラングミュアプローブを用いて測定した。なお、測定ポイントM1〜M3は、図2に示すように、輸送中心60の延長線上に位置し、測定ポイントM1はシートプラズマ変形室2に近い側に位置し、測定ポイントM2は略中央部分に位置し、測定ポイントM3はカソード48に近い側に位置する。そして、測定ポイントM4は、シートプラズマSPの幅方向(X軸方向)の端部に位置し、測定ポイントM2のX軸方向の延長線上に位置する。
そして、上記プログラムのステップS1〜ステップS8に従ってシートプラズマ成膜装置101内でシートプラズマSPを形成し、第1調整弁24の弁の開度を100%に維持した状態で、第2調整弁42における弁の開度を調整し、シートプラズマ変形室2及び成膜室3の真空度(圧力値)と測定ポイントM1〜M4におけるシートプラズマSPのプラズマ密度を測定した。その結果を示したのが、図4及び図5である。
図4は、第2調整弁42における弁の開度を調整し、シートプラズマ変形室2及び成膜室3の真空度(圧力値)を測定した結果を示すグラフである。図4において、菱形のプロットは、成膜室3の真空度を示し、丸のプロットは、シートプラズマ変形室2の真空度を示す。また、図5は、第2調整弁42における弁の開度を調整し、測定ポイントM1〜M4におけるシートプラズマSPのプラズマ密度を測定した結果を示すグラフである。図5において、菱形のプロットは測定ポイントM1におけるプラズマ密度(イオン飽和電流値)を、四角のプロットは測定ポイントM2におけるプラズマ密度を、三角のプロットは測定ポイントM3におけるプラズマ密度を、丸のプロットは測定ポイントM4におけるプラズマ密度をそれぞれ示す。
図4に示すように、第2調整弁42における弁の開度(以下、単に第2調整弁42の開度という)が0〜30%の間では、シートプラズマ変形室2の真空度の方が成膜室3の真空度より高く(第2調整弁42の開度30%で、シートプラズマ変形室2の真空度が5.9×10−2Pa、成膜室3の真空度が6.9×10−2Pa)、所定の圧力差が形成されていない。そして、この間では、図5に示すように、シートプラズマSPのプラズマ密度は不均一であった。一方、第2調整弁42の開度を90%にすると、プラズマガン1のカソード15とアノード48の間の放電電圧が100Vを超えてしまい、放電状態を維持することができなかった。
しかしながら、図4に示すように、第2調整弁42の開度を40%にすると、成膜室3の真空度が3.4×10−2Pa、シートプラズマ変形室2の真空度が4.1×10−2Paとなり、成膜室3の真空度がシートプラズマ変形室2の真空度より低い所定の圧力差が形成された。この開度のとき、図5に示すように、シートプラズマSPのプラズマ密度は、高くなり、かつ、均一化された。また、図5に示すように、第2調整弁42の開度を60%(成膜室3の真空度が1.6×10−2Pa、シートプラズマ変形室2の真空度が3.2×10−2Pa)にすると、さらにシートプラズマSPのプラズマ密度は高くなり、かつ、より均一化され、第2調整弁42の開度を80%(成膜室3の真空度が1.3×10−2Pa、シートプラズマ変形室2の真空度が2.9×10−2Pa)にすると、測定ポイントM1〜M4におけるプラズマ密度は、ほぼ同じになり、よりプラズマ密度が高く、かつ、均一化されていることが示された。
このように、第1調整弁24の開度を100%に保った状態で、第2調整弁42の開度を40〜80%に調整すると、成膜室3の真空度がシートプラズマ変形室2の真空度より低くなり、所定の圧力差が形成され、シートプラズマSPのプラズマ密度は、高くなり、かつ、均一化されることが実証された。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明のプラズマ成膜装置は、シートプラズマのプラズマ密度を均一にすることにより、生産効率を高くすることができるプラズマ成膜装置として有用である。
【0021】
整弁42の開度という)が0〜30%の間では、シートプラズマ変形室2の真空度の方が成膜室3の真空度より高く(第2調整弁42の開度30%で、シートプラズマ変形室2の真空度が5.9×10−2Pa、成膜室3の真空度が6.9×10−2Pa)、所定の圧力差が形成されていない。そして、この間では、図5に示すように、シートプラズマSPのプラズマ密度は不均一であった。一方、第2調整弁42の開度を90%にすると、プラズマガン1のカソード15とアノード48の間の放電電圧が100Vを超えてしまい、放電状態を維持することができなかった。
[0079]
しかしながら、図4に示すように、第2調整弁42の開度を40%にすると、成膜室3の真空度が3.4×10−2Pa、シートプラズマ変形室2の真空度が4.1×10−2Paとなり、成膜室3の真空度がシートプラズマ変形室2の真空度より低い所定の圧力差が形成された。この開度のとき、成膜室3の圧力値とシートプラズマ変形室2の圧力値との圧力比である成膜室3の圧力値/シートプラズマ変形室2の圧力値が、3.4×10−2÷4.1×10−2≒0.82926≒0.83となり、図5に示すように、シートプラズマSPのプラズマ密度は、高くなり、かつ、均一化された。また、図5に示すように、第2調整弁42の開度を60%(成膜室3の真空度が1.6×10−2Pa、シートプラズマ変形室2の真空度が3.2×10−2Pa)にすると、さらにシートプラズマSPのプラズマ密度は高くなり、かつ、より均一化され、第2調整弁42の開度を80%(成膜室3の真空度が1.3×10−2Pa、シートプラズマ変形室2の真空度が2.9×10−2Pa)にすると、成膜室3の圧力値とシートプラズマ変形室2の圧力値との圧力比である成膜室3の圧力値/シートプラズマ変形室2の圧力値が、1.3×10−2÷2.9×10−2≒0.44827≒0.45となり、測定ポイントM1〜M4におけるプラズマ密度は、ほぼ同じになり、よりプラズマ密度が高く、かつ、均一化されていることが示された。
[0080]
このように、第1調整弁24の開度を100%に保った状態で、第2調整弁42の開度を40〜80%に調整すると、成膜室3の真空度がシートプラズマ変形室2の真空度より低くなり、所定の圧力差が形成され、シートプラズマSPのプラズマ密度は、高くなり、かつ、均一化されることが実証された。
[0081]
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり

Claims (7)

  1. 内部を減圧可能な減圧容器と、
    該減圧容器の内部にプラズマを発生させるプラズマガンと、
    前記減圧容器の内部において前記プラズマを受けるアノードと、
    前記減圧容器の一部を成し前記プラズマが流動するシートプラズマ変形室と、
    該シートプラズマ変形室の外側に前記流動するプラズマをシート状のプラズマに変形するシートプラズマ変形機構と、
    前記減圧容器の一部を成し前記シート状のプラズマが流動する成膜室と、
    前記シートプラズマ変形室及び前記成膜室にそれぞれ設けられた第1及び第2排気口と、
    前記第1及び第2排気口を通じて前記減圧容器の内部を排気して減圧する減圧装置と、
    制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記シートプラズマ変形室と前記成膜室との間に所定の圧力差が形成されるように前記減圧装置を制御する、プラズマ成膜装置。
  2. 前記制御装置は、前記減圧装置の排気能力を変更することにより前記所定の圧力差が形成されるように前記減圧装置を制御する、請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  3. 前記制御装置は、前記減圧装置の作動時間を変更することにより前記所定の圧力差が形成されるように前記減圧装置を制御する、請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  4. 前記減圧装置は、前記第1及び第2排気口にそれぞれ設けられ該第1及び第2排気口の開口度合いをそれぞれ調整する第1及び第2調整弁と、
    前記第1及び第2排気口に接続され前記減圧容器の内部を排気して減圧する排気装置と、を有する、請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  5. 前記排気装置は、前記第1及び第2排気口にそれぞれ接続された第1及び第2排気装置で構成されている、請求項4に記載のプラズマ成膜装置。
  6. 前記制御装置は、前記第1調整弁の開度を100%に制御し、前記第2調整弁の開度を40%以上80%以下に制御する、請求項5に記載のプラズマ成膜装置。
  7. 前記制御装置は、前記第2調整弁の開度を60%以上80%以下に制御する、請求項6に記載のプラズマ成膜装置。
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