本発明は、一般家庭やレストランなどで使用される赤外線センサを用いた誘導加熱調理器に関するものである。
従来の誘導加熱調理器では、図5に示すように加熱コイル43の中央に赤外線センサ45を配置し、赤外線センサ45からの出力に応じて制御部48がインバータ回路44の出力を制御している。赤外線センサ45の上方には、非磁性金属材料で構成される導波管46が配置されている。導波管46は、負荷鍋41から放射される赤外線のみを赤外線センサ45に導く。導波管46の周囲には、加熱コイル43からの磁束による導波管46の自己発熱を低減するために、第1防磁部材49と第2防磁部材50がそれぞれ配置されている。第1防磁部材49は、加熱コイル43の下方に配置され、第2防磁部材50は、加熱コイル43の内側に配置されている。これにより、従来の誘導加熱調理器では、負荷鍋41の底部以外からの赤外線放射の影響を受けないようにしていた(例えば、特許文献1:特開2005−38660号公報参照)。
しかしながら、前記従来の構成では、負荷鍋41からの赤外線放射量が増加しないと赤外線センサ45の出力が変化しないため、赤外線センサ45の上方に負荷鍋41が適切に載置されていないと温度検知ができないという課題がある。また、赤外線センサ45がどの部分に配置されているのかを使用者がわかるようにトッププレート42に印刷をしていたとしても、使用環境が暗い場合にはその印刷が見え難い。このため、前記従来の構成では、赤外線センサ45を加熱コイル43の略中央に配置して、使用者が赤外線センサ45の位置を意識しなくても赤外線センサ45上に負荷鍋41を置くことができるようにしている。
一方、前記従来の構成では、赤外線センサ45及び温度算出部47の異常については、負荷鍋41が温度上昇しないと検出できないという課題もある。また、ピーク感度波長が1μm近傍の赤外線センサ45を使用する場合には、負荷鍋41が200℃以上の高温になるまで赤外線センサ45の出力が変化しない。このため、赤外線センサ45の近傍に配置したサーミスタなどを用いて前記異常を自己診断した時には、既に鍋が異常高温になっている恐れがある。このため、赤外線センサ45による温度検知は、湯沸かしや炊飯など100℃近傍の温度領域までの使用に制限されていた。
上記の課題を解決する手段として、赤外線センサ45の近傍にLED等で構成される発光素子を設け、鍋を置く位置を示すために発光素子を点灯させるとともに、加熱開始までの間に発光素子の明るさを切り替えて、その明るさの変化に対する赤外線センサの反応を確認することが挙げられる。これにより、赤外線センサの異常検知を行うことができる。
しかしながら、上記構成では、一般的に赤外線センサの近傍には高温になる箇所であるので、その環境下で発光素子を点灯させ続けると、長期間の使用により発光素子の性能が早く劣化してしまうという課題が有る。また、上記構成では、発光素子を常時点灯させることにより、加熱調理をしていない間も電力を余分に消費し続けてしまうという課題も有る。
本発明は上記課題を解決するものであって、発光装置の耐久性を向上させるとともに、発光装置による消費電力を低減することができる誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、加熱制御部による加熱動作が停止してから所定時間(予め設定した待機時間)経過すると、発光装置を消灯する構成としたものである。
これにより、赤外線センサの近傍に設けた発光装置の発光により赤外線センサの位置がトッププレートを介して認識できるとともに、発光装置の点灯する時間を抑えることにより、発光装置の耐久性を高めることができ、且つ、発光装置による消費電力を抑えることができる。
本発明の第1態様によれば、前記調理容器を載置するとともに、光透過可能な材料で形成されたトッププレートと、
前記調理容器を誘導加熱するために高周波電流を流す加熱コイルと、
前記トッププレート下方に入射口を有し、前記トッププレートを透過し前記入射口から入射した前記調理容器底面から放射された赤外線を検出する赤外線センサと、
前記入射口の近傍に配置された発光部から前記トッププレート裏面に光を照射する発光装置と、
指示情報を入力するための1つ以上の操作部と、
全ての前記操作部の入力操作が不可能な電源オフ状態から、いずれかの操作部により前記指示情報が入力可能でかつ前記加熱コイルの加熱動作が停止された待機状態に移行するための電源スイッチと、
前記赤外線センサの出力に基づいて前記加熱コイルを制御して、前記調理容器への加熱動作を制御する加熱制御部と、
を備え、
前記発光装置は、前記電源スイッチの操作により少なくとも前記電源オフ状態から前記待機状態に移行すると前記第1の輝度で光の照射を開始し、前記加熱動作を停止してから当該加熱動作停止の状態のまま予め設定した待機時間が経過したとき、前記光の照射を停止するか又は前記光の輝度を前記第1の輝度より低い第2の輝度で前記光の照射を行う誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記加熱コイルを複数有し、
前記赤外線センサ及び前記発光装置は、前記複数の加熱コイルのうち少なくとも2個以上の加熱コイルのそれぞれに対応するように複数設けられ、
前記複数の前記発光装置は、対応する前記加熱コイルの加熱動作の停止に連動して、それぞれが独立して前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で前記光の照射を行う第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記加熱コイルを複数有し、
前記赤外線センサ及び発光装置は、前記複数の加熱コイルのうち少なくとも2個以上の加熱コイルのそれぞれに対応するように複数設けられ、
前記複数の発光装置は、前記発光装置が対応して設けられている全ての前記加熱コイルによる前記加熱動作が停止してから当該加熱動作停止の状態のまま前記待機時間が経過したとき、それぞれ、前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で前記光の照射を行う第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記発光装置は、前記加熱動作を停止してから、当該加熱動作停止の状態のままで且つ前記操作部への入力が行われずに前記待機時間が経過したとき、前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で前記光の照射を行う第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第5態様によれば、予め設定した第2待機時間の間、前記加熱動作停止の状態が継続したとき、前記加熱動作の開始を示す指示情報の入力ができないように前記操作部への入力を制限する入力制限部をさらに有し、
前記発光装置は、前記入力制限部が前記操作部への入力を制限する間、前記光の照射を停止する第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記発光装置は、前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で光の照射を行っているときに、いずれかの操作部により前記指示情報が入力された場合に、前記第1の輝度で前記光の照射を開始する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
本発明の第7態様によれば、前記入力制限部は、前記加熱動作の開始を示す指示情報以外の指示情報が前記操作部に入力されたとき、前記操作部への入力の制限を解除し、
前記発光装置は、前記操作部への入力の制限が解除されたとき、前記第1の輝度で前記光の照射を開始する第5態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第8態様によれば、人が周囲にいることを検知する人感センサをさらに有し、
前記発光装置は、予め設定した第3待機時間、前記人感センサが周囲に人がいることを検知したとき、前記光の照射を開始する第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の誘導加熱調理器によれば、加熱動作を停止している間はできる限り、発光装置を消灯している。これにより、発光装置の耐久性を向上させることが可能となり、その発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知という機能を維持し続けることができる。また、発光素子による消費電力を抑えることも可能となる。
また、本発明の第1態様にかかる誘導加熱調理器によれば、発光装置が点灯する時間を少なくすることができるので、発光装置の耐久性を向上させることができるともに、発光装置による消費電力を低減することが可能となる。
また、本発明の第2実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、複数の発光装置がそれぞれ独立して光の照射を停止することができるので、光の照射が必要な発光装置のみ駆動することができ、それぞれの発光装置の耐久性をできる限り向上させることが可能となる。
また、本発明の第3実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、1つの加熱コイルが加熱動作を停止して、当該1つの加熱コイルに対応する発光装置が消灯しており、他の加熱コイルが加熱動作中又は加熱動作停止後で且つ待機時間経過前であって、前記他の加熱コイルに対応する発光装置が点灯している場合に、加熱動作を停止している前記1つの加熱コイルに対応する発光装置の消灯が故障であると使用者が誤認してしまうことを防ぐことが可能となる。
また、本発明の第4実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、加熱動作停止からの時間と操作部への入力が無い状態の継続とを両方考慮することにより、使用者が調理器を使用しないか否かを、より精度良く判断することが可能である。さらに、発光装置を消灯する妥当性を高めることが可能となる。
また、本発明の第5実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、第2待機時間の間、前記加熱手動作停止の状態が継続したとき、前記加熱動作の開始(再開)を示す指示情報の入力ができないように操作部への入力を制限するので、発光装置が光を照射する前に加熱動作が開始することを防ぐことができる。
また、本発明の第6実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、前記発光装置が前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で光の照射を行っているときに、いずれかの操作部により前記指示情報が入力された場合に、前記第1の輝度で前記光の照射を開始するようにしているので、前記加熱動作が開始されるときに、発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知を行うことができる。
また、本発明の第7実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、加熱動作の開始を示す指示情報以外の指示情報が前記操作部に入力されたときに、操作部への入力の制限が解除され、発光装置が光の照射を開始するようにしているので、加熱動作を開始する前に確実に発光装置を点灯させることができる。これにより、発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知を加熱動作の開始前に確実に行うことができる。
また、本発明の第8実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、人感センサが周囲に人がいることを感知したときに、発光装置が光の照射を開始するようにしているので、加熱動作を開始する前に確実に発光装置を点灯させることができる。これにより、発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知を加熱動作の開始前に確実に行うことができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の概略構成図であり、
図2は、本発明の第1実施形態における発光装置の消灯動作のフローチャートであり、
図3は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の操作部の一部を示す図であり、
図4は、本発明の第2実施形態における誘導加熱調理器の上面図であり、
図5は、従来の誘導加熱調理器の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の概略構成図を示すものである。
図1において、トッププレート2は、調理容器1が載置される板状部材である。このトッププレート2の下方には、加熱コイル3と、赤外線センサ4と、温度検出装置(図示せず)と、発光装置6と、加熱制御部7とが配設されている。赤外線センサ4は調理容器1の底部にトッププレート2を介して対向するように配置されている。前記温度検出装置は、図1では図示していないが、赤外線センサ4と加熱制御部8との間に接続され、赤外線センサ4の受光したエネルギ量から調理容器1の温度を換算するものである。発光装置6は、トッププレート12の方向に向けて取り付けられている発光部の一例である発光ダイオード(LED)等の発光素子にて構成されている。加熱制御部8は、加熱コイル3に高周波電流を流して調理容器1を誘導加熱するものである。また、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器は、図1では図示していないが、指示情報を入力するための1つ以上の操作部と、全ての操作部の入力操作が不可能な電源オフ状態から、いずれかの操作部により指示情報が入力可能でかつ加熱コイル3の加熱動作が停止された待機状態に移行するための電源スイッチと、を備えている。
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下、その動作及び作用を説明する。
まず、図示していないが加熱制御部8に接続された操作部などによって誘導加熱調理器に加熱動作開始の指示が発せられると、加熱制御部8は、接続されている加熱コイル3に高周波電流を供給する。このとき、調理容器1は、加熱コイル3の上方にあるトッププレート2上に載置されており、加熱コイル3とは磁気結合している状態にある。高周波電流を供給された加熱コイル3からは高周波磁界が発生する。この高周波磁界により、調理容器1内には電磁誘導による渦電流が流れ、それにより生じるジュール熱により調理容器1が誘導加熱される。
赤外線センサ4は、トッププレート2の下方に入射口を有し、トッププレート2を透過して前記入射口から入射した調理容器1の底面から放射されてくる赤外線を受光(検出)する。赤外線センサ4が赤外線を受光した情報は、前記温度検出装置に送られる。前記温度検出装置は、赤外線センサ4の受光したエネルギ量により調理容器1の温度を演算し、その温度情報を加熱制御部8に送る。
加熱制御部8は、使用者の指定した加熱電力量に制御する一方、前記温度検出装置から得た温度情報によって加熱電力量の抑制又は加熱動作の停止を行う。例えば、揚げ物調理を行うモードで加熱動作を開始した場合には、調理容器1を所定の温度で維持するように加熱制御部8は加熱電力量を制御する。また、通常の加熱を行っていた際に調理容器1が異常な高温になっている場合には、加熱制御部8は加熱電力量の抑制又は加熱動作の停止を行う。これにより、油発火等がないように安全性を確保している。加熱制御部8は、前記温度検出装置と一体のものであってもよく、DSP(Digital Signal Processor)やマイコン等が使用されてもよい。なお、本発明は、それに限定されるものではなく、加熱制御部8はカスタムICのようなものであっても構わない。
ここで、調理容器1は、加熱コイル3と磁気結合するものであり、通常は磁性材料で構成されるものである。なお、調理容器1が非磁性であり且つ低抵抗な金属である銅やアルミなどで構成されている場合は、通常の誘導加熱調理器では加熱できない。しかしながら、近年、低抵抗な金属でも加熱できる誘導加熱調理器が実用化されているので、本第1実施形態の誘導加熱調理器を低抵抗な金属でも加熱できるように構成すれば、調理容器1は低抵抗な金属で構成されても構わない。また、誘導加熱調理器は、通常、調理容器1の径が小さい場合や、トッププレート2と調理容器1の間に大きなギャップがある場合には、加熱することができないような設計となっている。
トッププレート2は、誘導加熱調理器の外観を形成する一部であり、調理容器1が載置される板状部材である。トッププレート2は、耐熱強化ガラス等の光透過可能な材料で作られ、載置面が平担であることから掃除のし易さや美観といった面で優れている。
赤外線センサ4は、調理容器1から放射されてくる赤外線を受光するものである。赤外線センサ4は複数個設けられても良い。なお、従来の誘導加熱調理器では、トッププレート2の下部と接触するように取り付けられた熱電対やサーミスタなどの接触式の温度センサが使用されている。調理容器1が加熱された場合には、調理容器1の底部とトッププレート2とが接触している部分の熱伝導と輻射熱によって、トッププレート2の上部が温められ、その熱がトッププレート2の下部の方に伝導する。従来の誘導加熱調理器では、前記接触式の温度センサにより、そのトッププレート2の下部の温度を計測する。すなわち、従来の誘導加熱調理器では、トッププレート2を介して間接的に調理容器1の底部の温度を測定することになる。このため、調理容器1の温度変動に対する応答性が、調理容器1とトッププレート2との接触面積の大きさやトッププレート2の熱容量などに左右されるという課題がある。しかしながら、本第1実施形態の誘導加熱調理器のように赤外線センサ4を用いる場合には、調理容器1からの赤外線を赤外線センサ4で直接受光するため、調理容器1の温度変動に対する応答性が良いという利点がある。すなわち、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、調理容器1の温度変動に対する応答性が、調理容器1とトッププレート2との接触面積の大きさやトッププレート2の熱容量に左右されない。
また、例えば、調理容器1の中に被調理物が入っていない状態で加熱を行った場合には、調理容器1は急激に温度が上昇する。その状態で、調理容器1の中に油を滴下すると発火する可能性がある。このため、本第1実施形態の誘導加熱調理器には、調理容器1が油の発火点以上とならないように安全装置(図示せず)が設けられている。従来の誘導加熱調理器では、上述のように調理容器1の温度変動に対して遅れがある(応答性が悪い)ため、油の発火点に達する前に十分に余裕を持って加熱動作を停止できるように安全装置の設計がなされている。しかしながら、この場合、フライパンの予熱等の加熱動作でも安全装置が機能する場合があり、使い勝手を悪くしている場合がある。これに対して、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、赤外線センサ4を使用するので、熱応答の遅れに対する余裕を考慮する必要がない。従って、そのような状況を回避することができる。
前記温度検出装置は、赤外線センサ4の出力を温度に換算するものである。赤外線センサ4が受光したエネルギは、そのエネルギによって決まる電圧、電流、又は周波数などに変換されて出力される。前記温度検出装置では、それらの物理量を温度に変換する。当該変換された温度は、加熱電力量の制御に必要な情報として利用される。前記温度検出装置は、赤外線センサ4の物理量を入力する機能と、当該物理量を温度に換算する演算機能と、当該換算した温度を出力する機能とを有する。前記換算された温度情報は加熱制御部8に送られる。加熱制御部8は、その温度に応じて様々な制御を行う。
本第1実施形態では、赤外線センサ4の検出域を調理容器1の底部が全て覆っており、赤外線センサ4が検出するエネルギの全てが調理容器1からの赤外線エネルギであることが好ましい。調理容器1の底部が赤外線センサ4の検出域を覆っていない部分が存在すると、その部分から外乱光が侵入し、赤外線センサ4がその外乱光のエネルギを受光してしまう恐れがある。外乱光のエネルギは、調理容器1から放射する赤外線エネルギよりも大きい。このため、調理容器1からの赤外線エネルギは検出不能となる。
このような状況を回避するために、本第1実施形態では発光装置6の発光部が赤外線センサ4の前記入射口の近傍に設けられている。発光装置6がトッププレート2の方向に発光部から光を照射することにより、赤外線センサ4の位置、すなわち調理容器1を載置するのに最適な位置を使用者に明確に知らせることができる。これにより、調理を行う際に、赤外線センサ4が調理容器1の底部で全て覆われるように促すことができる。
また、赤外線センサ4が調理容器1の底部で覆われているときに、発光装置6の光の出力を変化させ、そのときの赤外線センサ4の出力の変化を検知することにより、赤外線センサ4が故障しているか否かを検知することが可能である。
次に、発光装置6を消灯するときの動作について図2を用いて説明する。
図2は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の発光装置の消灯動作のフローチャートである。
初めに電源スイッチ(図示せず)をオンすると、STEP1において、発光装置6の一例であるLEDが点灯する。これにより、誘導加熱調理器が、全ての操作部の入力操作が不可能な電源オフ状態から、いずれかの操作部により指示情報が入力可能でかつ加熱コイル3の加熱動作が停止された待機状態に移行する。なお、この時点では、LEDが点灯しているだけで、加熱等の動作は行われていない。
STEP2では、時間の計測を開始する。
STEP3では、使用者からの前記操作部への操作(入力)を待ち受ける。使用者からの操作が無いとき、STEP4に移行し、使用者からの前記操作部への操作を受け付けたとき、STEP6に移行する。
STEP4では、STEP2から計測している時間が所定時間(予め設定した待機時間:本第1実施形態では5分とする)経過しているか否かを判断する。所定時間経過している場合には、STEP5に移行する。一方、所定時間経過していない場合には、STEP3に戻る。
STEP5では、LEDを消灯する。STEP5にてLEDを消灯した後は、後述するSTEP10に移行する。
STEP6では、STEP2から計測している時間をリセットする。
STEP7では、使用者の操作が加熱動作開始の操作か否かを判断する。使用者の操作が加熱動作開始の操作でない場合、STEP2に戻る。一方、使用者の操作が加熱開始の操作である場合には、STEP8に移行する。
STEP8では、調理容器1の加熱を開始する。
STEP9では、調理容器1の加熱動作を停止したか否かを判断する。ここで、加熱動作停止に至るには色々なケースがある。例えば、使用者による加熱動作停止の操作があった場合や、加熱動作中に調理容器1が取られてトッププレート2上から無くなったことを検知し、誘導加熱調理器自体が加熱動作を自動的に停止させた場合などがある。
前記加熱動作停止を検知した場合には、STEP2に戻る。
以上のように、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、加熱動作を停止している状態で且つ使用者からの操作の受付が無い状態が所定時間以上経過したときに、自動的にLEDを消灯するようになっている。
STEP10では、使用者からの操作を受け付けたか否かを検知する。使用者からの操作を受け付けた場合には、STEP1に戻り、LEDを点灯させる。なお、STEP10における使用者の操作は、これから使用者が加熱調理を行おうとしていることを示すものと考えられる。従って、使用者からの操作を受け付けたときにLEDを点灯させることで、赤外線センサ4の位置を使用者に知らせることできる。よって、使用者は、赤外線センサ4上に確実に調理容器1を置くことができる。これにより、赤外線センサ4が検出するエネルギの全ては調理容器1からの赤外線エネルギとなる。
最後に、STEP11にて電源スイッチがオフされると、前記電源オフ状態に移行し、一連の動作が終了する。
次に、操作部7による操作と発光装置6の動作との連動について、図1及び図3を用いて説明する。ここで、操作部7は、加熱動作に関連する使用者の指示情報、例えば熱動作の開始及び停止の指示情報、メニュー選択情報、調理時間設定情報などを入力可能なものである。
図3は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の操作部7の一部を示すものである。
図3において、操作部7は、操作キー7a〜7fで構成されている。
操作キー7bは、メニューを選択するメニューキーである。ここでいうメニューとは、誘導加熱調理器における加熱動作モードのことである。当該メニューとしては、通常の加熱モード、温度制御を行いながら調理容器1の中の温度を所定温度に保つ揚物モード、湯沸しモード、及び自動炊飯モードなどがある。それらのモードを選択するのが、ここでいうメニューキー7bの役割である。
操作キー7aは入切キーであり、メニューキー7bにより選択したメニューの加熱動作の入り/切りを行うキーである。
操作キー7cはアップキーであり、操作キー7dはダウンキーである。メニューによってアップキー7c及びダウンキー7dの役割は異なる。アップキー7cとダウンキー7dは、例えば、メニューが加熱モードである場合には、単純に火力のアップ又はダウンの目的で使用され、メニューが揚物モードである場合には、調理容器1の中の設定温度をアップ又はダウンするために使用される。また、アップキー7cとダウンキー7dは、例えば、メニューが自動炊飯モードである場合には、炊飯にて炊くお米の合数の設定に使用される。
操作キー7eはタイマーアップキーであり、操作キー7fはタイマーダウンキーである。この2つの操作キー7e,7fは、例えば加熱調理を継続する時間をダイレクトに設定するのに用いられる。操作キー7e,7fにより設定された時間が経過すると、加熱動作は自動的に停止する。
以下、本第1実施形態にかかる誘導加熱調理器の動作について詳細を述べる。
まず初めに、商用電源を供給するための電源スイッチ(図示せず)がオンされると、誘導加熱調理器に商用電源が供給される。この時点で、前記電源オフ状態から前記待機状態に移行して、発光装置6が点灯され、調理容器1を置く位置が明確に表示される。
発光装置6の点灯から所定時間(予め設定した待機時間)の一例である5分の間、操作部に入力が全く無い状態が継続すると、発光装置6は消灯される。
一方、電源スイッチがオンされた後、使用者がメニューキー7bを押すことにより、加熱動作モードが選択される。なお、電源スイッチがオンされた後、5分以内に操作部7にて操作された(操作キーが押された)場合には、発光装置6は点灯の状態を継続する。
次いで、使用者が選択したメニューの加熱動作を行うために入切キー7aを押すと、加熱動作が開始する。なお、加熱調理中に火力設定を行う場合には、使用者は、アップキー7c又はダウンキー7dを操作することで火力設定することができる。また、煮込み調理などの長時間低火力にて調理する場合には、タイマー調理が大変有効である。この場合、使用者は、タイマーアップキー7e又はタイマーダウンキー7fを操作することで、タイマー設定することができる。
上述したようなキー操作が行われて加熱調理が継続している間は、発光装置6の点灯が継続されるようになっている。これにより、使用者は、調理容器1が赤外線センサ4を覆う適切な位置に置かれているか否かを確認することができ、赤外線センサ4を正確に働かせることができる。但し、発光装置6の点灯は、使用者から見て赤外線センサ4の位置を認識できるものであれば良い。例えば、発光装置6の点灯は、常時ではなく、断続的であってもよい。
なお、前記加熱調理の終了後、しばらくの間は、発光装置6の点灯が継続していることが好ましい。これは、一般的な家庭での調理に言えることであるが、例えば、フライパンによる加熱調理が終って動作を停止した後、多少のインターバルを空けて、別の調理を再開する場合があるためである。すなわち、そのような場合に、赤外線センサ4の位置が継続して確認できる方が、使い勝手がよいためである。
なお、加熱動作を一旦停止した後の加熱動作停止の状態において、操作部7への入力が無い状態が続くと、次の調理動作を再開する意図が使用者には無いと判断することができる。
本第1実施形態では、5分間、前記加熱動作停止の状態が継続すると、調理動作をすぐに再開する意図が使用者には無いと判断し、発光装置6の発光を停止(消灯)する。
この発光装置6の消灯状態において、操作部7にて再び使用者の操作を受け付けた場合には、再び発光装置6を点灯させる。すなわち、本第1実施形態では、前記加熱動作停止の状態が5分間継続すると、調理動作をすぐに再開する意図が使用者には無いと判断して発光装置6の点灯を一旦停止するが、操作部7にて再び使用者の操作を受け付けた場合には、調理動作再開の可能性があると判断し、すぐに発光装置6を点灯させる。この場合について動作の説明を以下に補足する。
本第1実施形態では、前記加熱動作停止の状態が第2所定時間(予め設定した第2待機時間:本第1実施形態では1分とする)経過したとき、操作部7の中で使用者が操作可能な操作キーがメニューキー7bに限定されるようにしている。すなわち、本第1実施形態では、操作部7の操作を制限する入力制限部(図示せず)をさらに備えている。発光装置6は、前記入力制限部が機能した後に消灯する。このため、発光装置6を再度点灯させるためには、メニューキー7bを押すことが最低限必要となる。このメニューキー7bが押されることで動作モードが選択された後、入切キー7aが押されることによって、加熱動作が開始される。すなわち、一旦、発光装置6が消灯しても、その後、再び加熱動作を開始する前には、確実に発光装置6は点灯状態になっている。言い換えれば、いかなる場合でも加熱動作を開始する前には、発光装置6は点灯状態にある。これにより、赤外線センサ4の位置、すなわち調理容器1を置いて欲しい位置を使用者に知らせるという役割を確実に果たすことができる。
以上のように、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、加熱動作を停止している状態で且つ使用者からの操作の受付が無い状態が所定時間以上経過すると、自動的に発光装置6の一例であるLEDを消灯するようになっている。これによりLEDの耐久性を向上させるとともに、LEDによる消費電力を低減することが可能である。
なお、本第1実施形態では、前記所定時間を5分としたが、これに限る必要は無い。例えば、前記所定時間は、使用者が再度調理器を使用する際に、LEDがオフしていることに不便さや不満を感じない程度の時間であればよい。
また、本第1実施形態では、発光装置6は、点灯及び消灯のいずれかの状態に切り替わるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、発光装置6の輝度を変えることによって、その2つの状態を表してもよい。すなわち、発光装置6の点灯は、第1の輝度で点灯することとし、発光装置6の消灯は、第1の輝度より低い第2の輝度で点灯することとしてもよい。この場合でも、本第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本第1実施形態では発光装置6をLEDとしたが、これに限るものではなく、少なくとも、使用者が発光していることを認識できるものであれば良い。また、発光装置6にて赤外線センサの故障検知を兼ねたい場合には、その発光装置6の出力変化によって、赤外線センサ4の出力変化量が判断可能なレベルとなるものを選択することが望ましい。
また、本第1実施形態では、操作部7の操作に制限を加える入力制限部が機能するまでの第2所定時間を1分としたが、本発明はこれに限られるものではない。前記第2所定時間は、使用者が調理を継続する際に不便さを感じない程度の時間であればよい。また、前記入力制限部は、使用者が意図せずに操作キーを押してしまい、不用意に加熱動作を行ってしまうことを防ぐことが主たる目的であることから、前記第2所定時間を長く設定し過ぎてしまうと、本来の目的を果たすその効果が薄れてしまう。従って、前記第2所定時間は、上記2つの要因のバランスによって設定されることが好ましい。
また、本第1実施形態では、所定時間を5分とし、第2所定時間を1分として、両者を異なる時間に設定しているが、両者を異なる時間にする必要は無い。但し、本第1実施形態で述べたように、少なくとも所定時間は第2所定時間以上であることが必要である。さらに、所定時間と第2所定時間とを同じ時間に設定することにより、使用者から見たときに、発光装置6の消灯状態と操作部7に制限がかかっている状態とが等しいと認識できる。これにより、例えば、発光装置6が単に消灯していると、使用者から見て、その状態が正常であるのか故障しているのか判別が困難な場合があるが、他の動作を同期させることにより、発光装置6の故障であると誤認することを防ぐことが可能になる。よって、使い勝手を向上することが可能となる。
また、本第1実施形態では、発光装置6が消灯している状態で、メニューキー7bを押すことで、発光装置6が再び点灯することとしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、加熱動作を直接始めてしまうことが無ければ良いので、加熱動作の入切以外の操作キーを押すことで、発光装置6が再び点灯するようにしてもよい。また、発光装置6を点灯させるのは、操作部7への操作が行われることに限定されない。例えば、調理器の近傍(周囲)にて人が動いたことを検知する人感センサをさらに備えて、その人感センサが人の気配を感知したときに、発光装置6を点灯させる構成としてもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態にかかる誘導加熱調理器について、図1〜4を参照しながら説明する。なお、上記第1実施形態で説明したものと同一構成部品には同一符号を用い、その説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態における誘導加熱調理器のトッププレート2を上から見た図を示す。
図4において、操作部7は2セットで構成されており、右側のセットは、右バーナー21の操作を行うものであり、左側のセットは左バーナー22の操作を行うものである。後ろバーナー23の操作を行う操作部については、トッププレート2上には無く、図示していないが、誘導加熱調理器の側面に配置されている。
ここで、図4には、トッププレート2上に、右バーナー21、左バーナー22、及び後ろバーナー23が記載されているが、これは加熱装置の位置を示している。トッププレート2の下側には、それぞれのバーナーに対応して、加熱コイル3が載置されている。
左バーナー22及び右バーナー21のほぼ中央付近に、発光装置6が配置されている。図4では、分かりやすいように黒点で示している。しかしながら、実際の調理器においては、消灯時はその存在は分からなくても良く、点灯したときに、その部分が明確に分かるように発光すれば良い。
また、後ろバーナー23には、赤外線センサ4及び発光装置6を設けない構成としている。これは、後ろバーナー23は、通常、火力が弱く設定されており、赤外線センサ4を設けるほどの性能上の必要性と効果が十分無いと考えられるためである。すなわち、本第1実施形態のように、必ずしも赤外線センサ4を全てのバーナーに設ける必要は無い。
上記構成において、発光装置6の動作を含む左バーナー22及び右バーナー21の各々の動作は、図2のフローチャートで示すようにそれぞれが独立して働くようになっている。すなわち、各バーナーの発光装置6の点灯及び消灯動作はそれぞれが独立して行われるようになっている。
これにより、他のバーナーの動作、すなわち他の発光装置6の動作に影響されないので、不必要なときはできる限り発光装置6を消灯させることができる。従って、複数個の加熱装置(加熱コイル3)を有する誘導加熱調理器においても、発光装置6の耐久性をできる限り向上させることができる。また、例えば左のバーナー22は使用せず、右のバーナー21のみ使用している場合などは、操作している側の発光装置6のみ点灯することになる。このため、どちらのバーナーの操作をしているかが明確に分かるようになるという効果も得られる。
尚、本第2実施形態では、加熱装置、言い換えればバーナーの数を3つとしたが、本発明はこれに限定するものでは無い。
また、本第2実施形態では、各バーナーの発光装置6の動作をそれぞれ独立して行う構成としているので、例えば、ひとつのバーナーの発光装置6が点灯し、且つ、他方のバーナーの発光装置6が消灯している場合などにおいて、消灯している方の発光装置6が故障していると使用者に誤認されることが有り得る。このため発光装置6の動作を各バーナーで共通としてもよい。この場合、発光装置6を有する全バーナーが停止している状態で、発光装置6を有する全バーナーの操作部7への入力が一切行われない状態が続いた場合に、全ての発光装置6を消灯させるようにすればよい。また、全ての発光装置6が消灯している状態で、発光装置6を有するいずれかのバーナーの操作部7への入力が行われた時点で、全ての発光装置6を点灯させるようにすればよい。これにより、仕様の統一感を図ることが可能となる。
なお、本第2実施形態では、発光装置6は、点灯及び消灯のいずれかの状態に切り替わるものとしたが、上記第1実施形態で説明したように、発光装置6の点灯は、第1の輝度で点灯することとし、発光装置6の消灯は、第1の輝度より低い第2の輝度で点灯することとしてもよい。
本発明にかかる誘導加熱調理器は、赤外線センサの位置を明確に表示するために点灯する発光装置を、加熱動作停止の状態で所定時間経過すると消灯させるようにしたので、発光装置の耐久性を向上させ、且つ消費電力を低減でき、例えば、赤外線センサを使用した加熱調理器等の用途に有用である。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2007年6月22日に出願された日本国特許出願No.2007−164612号の明細書、図面、および特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明は、一般家庭やレストランなどで使用される赤外線センサを用いた誘導加熱調理器に関するものである。
従来の誘導加熱調理器では、図5に示すように加熱コイル43の中央に赤外線センサ45を配置し、赤外線センサ45からの出力に応じて制御部48がインバータ回路44の出力を制御している。赤外線センサ45の上方には、非磁性金属材料で構成される導波管46が配置されている。導波管46は、負荷鍋41から放射される赤外線のみを赤外線センサ45に導く。導波管46の周囲には、加熱コイル43からの磁束による導波管46の自己発熱を低減するために、第1防磁部材49と第2防磁部材50がそれぞれ配置されている。第1防磁部材49は、加熱コイル43の下方に配置され、第2防磁部材50は、加熱コイル43の内側に配置されている。これにより、従来の誘導加熱調理器では、負荷鍋41の底部以外からの赤外線放射の影響を受けないようにしていた(例えば、特許文献1:特開2005−38660号公報参照)。
しかしながら、前記従来の構成では、負荷鍋41からの赤外線放射量が増加しないと赤外線センサ45の出力が変化しないため、赤外線センサ45の上方に負荷鍋41が適切に載置されていないと温度検知ができないという課題がある。また、赤外線センサ45がどの部分に配置されているのかを使用者がわかるようにトッププレート42に印刷をしていたとしても、使用環境が暗い場合にはその印刷が見え難い。このため、前記従来の構成では、赤外線センサ45を加熱コイル43の略中央に配置して、使用者が赤外線センサ45の位置を意識しなくても赤外線センサ45上に負荷鍋41を置くことができるようにしている。
一方、前記従来の構成では、赤外線センサ45及び温度算出部47の異常については、負荷鍋41が温度上昇しないと検出できないという課題もある。また、ピーク感度波長が1μm近傍の赤外線センサ45を使用する場合には、負荷鍋41が200℃以上の高温になるまで赤外線センサ45の出力が変化しない。このため、赤外線センサ45の近傍に配置したサーミスタなどを用いて前記異常を自己診断した時には、既に鍋が異常高温になっている恐れがある。このため、赤外線センサ45による温度検知は、湯沸かしや炊飯など100℃近傍の温度領域までの使用に制限されていた。
上記の課題を解決する手段として、赤外線センサ45の近傍にLED等で構成される発光素子を設け、鍋を置く位置を示すために発光素子を点灯させるとともに、加熱開始までの間に発光素子の明るさを切り替えて、その明るさの変化に対する赤外線センサの反応を確認することが挙げられる。これにより、赤外線センサの異常検知を行うことができる。
しかしながら、上記構成では、一般的に赤外線センサの近傍には高温になる箇所であるので、その環境下で発光素子を点灯させ続けると、長期間の使用により発光素子の性能が早く劣化してしまうという課題が有る。また、上記構成では、発光素子を常時点灯させることにより、加熱調理をしていない間も電力を余分に消費し続けてしまうという課題も有る。
本発明は上記課題を解決するものであって、発光装置の耐久性を向上させるとともに、発光装置による消費電力を低減することができる誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、加熱制御部による加熱動作が停止してから所定時間(予め設定した待機時間)経過すると、発光装置を消灯する構成としたものである。
これにより、赤外線センサの近傍に設けた発光装置の発光により赤外線センサの位置がトッププレートを介して認識できるとともに、発光装置の点灯する時間を抑えることにより、発光装置の耐久性を高めることができ、且つ、発光装置による消費電力を抑えることができる。
本発明の第1態様によれば、前記調理容器を載置するとともに、光透過可能な材料で形成されたトッププレートと、
前記調理容器を誘導加熱するために高周波電流を流す加熱コイルと、
前記トッププレート下方に入射口を有し、前記トッププレートを透過し前記入射口から入射した前記調理容器底面から放射された赤外線を検出する赤外線センサと、
前記入射口の近傍に配置された発光部から前記トッププレート裏面に光を照射する発光装置と、
指示情報を入力するための1つ以上の操作部と、
全ての前記操作部の入力操作が不可能な電源オフ状態から、いずれかの操作部により前記指示情報が入力可能でかつ前記加熱コイルの加熱動作が停止された待機状態に移行するための電源スイッチと、
前記赤外線センサの出力に基づいて前記加熱コイルを制御して、前記調理容器への加熱動作を制御する加熱制御部と、
を備え、
前記発光装置は、前記電源スイッチの操作により少なくとも前記電源オフ状態から前記待機状態に移行すると前記第1の輝度で光の照射を開始し、前記加熱動作を停止してから当該加熱動作停止の状態のまま予め設定した待機時間が経過したとき、前記光の照射を停止するか又は前記光の輝度を前記第1の輝度より低い第2の輝度で前記光の照射を行う誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記加熱コイルを複数有し、
前記赤外線センサ及び前記発光装置は、前記複数の加熱コイルのうち少なくとも2個以上の加熱コイルのそれぞれに対応するように複数設けられ、
前記複数の前記発光装置は、対応する前記加熱コイルの加熱動作の停止に連動して、それぞれが独立して前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で前記光の照射を行う第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記加熱コイルを複数有し、
前記赤外線センサ及び発光装置は、前記複数の加熱コイルのうち少なくとも2個以上の加熱コイルのそれぞれに対応するように複数設けられ、
前記複数の発光装置は、前記発光装置が対応して設けられている全ての前記加熱コイルによる前記加熱動作が停止してから当該加熱動作停止の状態のまま前記待機時間が経過したとき、それぞれ、前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で前記光の照射を行う第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記発光装置は、前記加熱動作を停止してから、当該加熱動作停止の状態のままで且つ前記操作部への入力が行われずに前記待機時間が経過したとき、前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で前記光の照射を行う第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第5態様によれば、予め設定した第2待機時間の間、前記加熱動作停止の状態が継続したとき、前記加熱動作の開始を示す指示情報の入力ができないように前記操作部への入力を制限する入力制限部をさらに有し、
前記発光装置は、前記入力制限部が前記操作部への入力を制限する間、前記光の照射を停止する第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記発光装置は、前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で光の照射を行っているときに、いずれかの操作部により前記指示情報が入力された場合に、前記第1の輝度で前記光の照射を開始する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
本発明の第7態様によれば、前記入力制限部は、前記加熱動作の開始を示す指示情報以外の指示情報が前記操作部に入力されたとき、前記操作部への入力の制限を解除し、
前記発光装置は、前記操作部への入力の制限が解除されたとき、前記第1の輝度で前記光の照射を開始する第5態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の第8態様によれば、人が周囲にいることを検知する人感センサをさらに有し、
前記発光装置は、予め設定した第3待機時間、前記人感センサが周囲に人がいることを検知したとき、前記光の照射を開始する第1態様に記載の誘導加熱調理器を提供する。
本発明の誘導加熱調理器によれば、加熱動作を停止している間はできる限り、発光装置を消灯している。これにより、発光装置の耐久性を向上させることが可能となり、その発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知という機能を維持し続けることができる。また、発光素子による消費電力を抑えることも可能となる。
また、本発明の第1態様にかかる誘導加熱調理器によれば、発光装置が点灯する時間を少なくすることができるので、発光装置の耐久性を向上させることができるともに、発光装置による消費電力を低減することが可能となる。
また、本発明の第2実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、複数の発光装置がそれぞれ独立して光の照射を停止することができるので、光の照射が必要な発光装置のみ駆動することができ、それぞれの発光装置の耐久性をできる限り向上させることが可能となる。
また、本発明の第3実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、1つの加熱コイルが加熱動作を停止して、当該1つの加熱コイルに対応する発光装置が消灯しており、他の加熱コイルが加熱動作中又は加熱動作停止後で且つ待機時間経過前であって、前記他の加熱コイルに対応する発光装置が点灯している場合に、加熱動作を停止している前記1つの加熱コイルに対応する発光装置の消灯が故障であると使用者が誤認してしまうことを防ぐことが可能となる。
また、本発明の第4実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、加熱動作停止からの時間と操作部への入力が無い状態の継続とを両方考慮することにより、使用者が調理器を使用しないか否かを、より精度良く判断することが可能である。さらに、発光装置を消灯する妥当性を高めることが可能となる。
また、本発明の第5実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、第2待機時間の間、前記加熱手動作停止の状態が継続したとき、前記加熱動作の開始(再開)を示す指示情報の入力ができないように操作部への入力を制限するので、発光装置が光を照射する前に加熱動作が開始することを防ぐことができる。
また、本発明の第6実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、前記発光装置が前記光の照射を停止するか又は前記第2の輝度で光の照射を行っているときに、いずれかの操作部により前記指示情報が入力された場合に、前記第1の輝度で前記光の照射を開始するようにしているので、前記加熱動作が開始されるときに、発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知を行うことができる。
また、本発明の第7実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、加熱動作の開始を示す指示情報以外の指示情報が前記操作部に入力されたときに、操作部への入力の制限が解除され、発光装置が光の照射を開始するようにしているので、加熱動作を開始する前に確実に発光装置を点灯させることができる。これにより、発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知を加熱動作の開始前に確実に行うことができる。
また、本発明の第8実施形態にかかる誘導加熱調理器によれば、人感センサが周囲に人がいることを感知したときに、発光装置が光の照射を開始するようにしているので、加熱動作を開始する前に確実に発光装置を点灯させることができる。これにより、発光装置の役割である調理容器を載置する場所の明示及び赤外線センサの故障検知を加熱動作の開始前に確実に行うことができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
図1は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の概略構成図である。
図2は、本発明の第1実施形態における発光装置の消灯動作のフローチャートである。
図3は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の操作部の一部を示す図である。
図4は、本発明の第2実施形態における誘導加熱調理器の上面図である。
図5は、従来の誘導加熱調理器の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の概略構成図を示すものである。
図1において、トッププレート2は、調理容器1が載置される板状部材である。このトッププレート2の下方には、加熱コイル3と、赤外線センサ4と、温度検出装置(図示せず)と、発光装置6と、加熱制御部7とが配設されている。赤外線センサ4は調理容器1の底部にトッププレート2を介して対向するように配置されている。前記温度検出装置は、図1では図示していないが、赤外線センサ4と加熱制御部8との間に接続され、赤外線センサ4の受光したエネルギ量から調理容器1の温度を換算するものである。発光装置6は、トッププレート12の方向に向けて取り付けられている発光部の一例である発光ダイオード(LED)等の発光素子にて構成されている。加熱制御部8は、加熱コイル3に高周波電流を流して調理容器1を誘導加熱するものである。また、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器は、図1では図示していないが、指示情報を入力するための1つ以上の操作部と、全ての操作部の入力操作が不可能な電源オフ状態から、いずれかの操作部により指示情報が入力可能でかつ加熱コイル3の加熱動作が停止された待機状態に移行するための電源スイッチと、を備えている。
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下、その動作及び作用を説明する。
まず、図示していないが加熱制御部8に接続された操作部などによって誘導加熱調理器に加熱動作開始の指示が発せられると、加熱制御部8は、接続されている加熱コイル3に高周波電流を供給する。このとき、調理容器1は、加熱コイル3の上方にあるトッププレート2上に載置されており、加熱コイル3とは磁気結合している状態にある。高周波電流を供給された加熱コイル3からは高周波磁界が発生する。この高周波磁界により、調理容器1内には電磁誘導による渦電流が流れ、それにより生じるジュール熱により調理容器1が誘導加熱される。
赤外線センサ4は、トッププレート2の下方に入射口を有し、トッププレート2を透過して前記入射口から入射した調理容器1の底面から放射されてくる赤外線を受光(検出)する。赤外線センサ4が赤外線を受光した情報は、前記温度検出装置に送られる。前記温度検出装置は、赤外線センサ4の受光したエネルギ量により調理容器1の温度を演算し、その温度情報を加熱制御部8に送る。
加熱制御部8は、使用者の指定した加熱電力量に制御する一方、前記温度検出装置から得た温度情報によって加熱電力量の抑制又は加熱動作の停止を行う。例えば、揚げ物調理を行うモードで加熱動作を開始した場合には、調理容器1を所定の温度で維持するように加熱制御部8は加熱電力量を制御する。また、通常の加熱を行っていた際に調理容器1が異常な高温になっている場合には、加熱制御部8は加熱電力量の抑制又は加熱動作の停止を行う。これにより、油発火等がないように安全性を確保している。加熱制御部8は、前記温度検出装置と一体のものであってもよく、DSP(Digital Signal Processor)やマイコン等が使用されてもよい。なお、本発明は、それに限定されるものではなく、加熱制御部8はカスタムICのようなものであっても構わない。
ここで、調理容器1は、加熱コイル3と磁気結合するものであり、通常は磁性材料で構成されるものである。なお、調理容器1が非磁性であり且つ低抵抗な金属である銅やアルミなどで構成されている場合は、通常の誘導加熱調理器では加熱できない。しかしながら、近年、低抵抗な金属でも加熱できる誘導加熱調理器が実用化されているので、本第1実施形態の誘導加熱調理器を低抵抗な金属でも加熱できるように構成すれば、調理容器1は低抵抗な金属で構成されても構わない。また、誘導加熱調理器は、通常、調理容器1の径が小さい場合や、トッププレート2と調理容器1の間に大きなギャップがある場合には、加熱することができないような設計となっている。
トッププレート2は、誘導加熱調理器の外観を形成する一部であり、調理容器1が載置される板状部材である。トッププレート2は、耐熱強化ガラス等の光透過可能な材料で作られ、載置面が平担であることから掃除のし易さや美観といった面で優れている。
赤外線センサ4は、調理容器1から放射されてくる赤外線を受光するものである。赤外線センサ4は複数個設けられても良い。なお、従来の誘導加熱調理器では、トッププレート2の下部と接触するように取り付けられた熱電対やサーミスタなどの接触式の温度センサが使用されている。調理容器1が加熱された場合には、調理容器1の底部とトッププレート2とが接触している部分の熱伝導と輻射熱によって、トッププレート2の上部が温められ、その熱がトッププレート2の下部の方に伝導する。従来の誘導加熱調理器では、前記接触式の温度センサにより、そのトッププレート2の下部の温度を計測する。すなわち、従来の誘導加熱調理器では、トッププレート2を介して間接的に調理容器1の底部の温度を測定することになる。このため、調理容器1の温度変動に対する応答性が、調理容器1とトッププレート2との接触面積の大きさやトッププレート2の熱容量などに左右されるという課題がある。しかしながら、本第1実施形態の誘導加熱調理器のように赤外線センサ4を用いる場合には、調理容器1からの赤外線を赤外線センサ4で直接受光するため、調理容器1の温度変動に対する応答性が良いという利点がある。すなわち、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、調理容器1の温度変動に対する応答性が、調理容器1とトッププレート2との接触面積の大きさやトッププレート2の熱容量に左右されない。
また、例えば、調理容器1の中に被調理物が入っていない状態で加熱を行った場合には、調理容器1は急激に温度が上昇する。その状態で、調理容器1の中に油を滴下すると発火する可能性がある。このため、本第1実施形態の誘導加熱調理器には、調理容器1が油の発火点以上とならないように安全装置(図示せず)が設けられている。従来の誘導加熱調理器では、上述のように調理容器1の温度変動に対して遅れがある(応答性が悪い)ため、油の発火点に達する前に十分に余裕を持って加熱動作を停止できるように安全装置の設計がなされている。しかしながら、この場合、フライパンの予熱等の加熱動作でも安全装置が機能する場合があり、使い勝手を悪くしている場合がある。これに対して、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、赤外線センサ4を使用するので、熱応答の遅れに対する余裕を考慮する必要がない。従って、そのような状況を回避することができる。
前記温度検出装置は、赤外線センサ4の出力を温度に換算するものである。赤外線センサ4が受光したエネルギは、そのエネルギによって決まる電圧、電流、又は周波数などに変換されて出力される。前記温度検出装置では、それらの物理量を温度に変換する。当該変換された温度は、加熱電力量の制御に必要な情報として利用される。前記温度検出装置は、赤外線センサ4の物理量を入力する機能と、当該物理量を温度に換算する演算機能と、当該換算した温度を出力する機能とを有する。前記換算された温度情報は加熱制御部8に送られる。加熱制御部8は、その温度に応じて様々な制御を行う。
本第1実施形態では、赤外線センサ4の検出域を調理容器1の底部が全て覆っており、赤外線センサ4が検出するエネルギの全てが調理容器1からの赤外線エネルギであることが好ましい。調理容器1の底部が赤外線センサ4の検出域を覆っていない部分が存在すると、その部分から外乱光が侵入し、赤外線センサ4がその外乱光のエネルギを受光してしまう恐れがある。外乱光のエネルギは、調理容器1から放射する赤外線エネルギよりも大きい。このため、調理容器1からの赤外線エネルギは検出不能となる。
このような状況を回避するために、本第1実施形態では発光装置6の発光部が赤外線センサ4の前記入射口の近傍に設けられている。発光装置6がトッププレート2の方向に発光部から光を照射することにより、赤外線センサ4の位置、すなわち調理容器1を載置するのに最適な位置を使用者に明確に知らせることができる。これにより、調理を行う際に、赤外線センサ4が調理容器1の底部で全て覆われるように促すことができる。
また、赤外線センサ4が調理容器1の底部で覆われているときに、発光装置6の光の出力を変化させ、そのときの赤外線センサ4の出力の変化を検知することにより、赤外線センサ4が故障しているか否かを検知することが可能である。
次に、発光装置6を消灯するときの動作について図2を用いて説明する。
図2は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の発光装置の消灯動作のフローチャートである。
初めに電源スイッチ(図示せず)をオンすると、STEP1において、発光装置6の一例であるLEDが点灯する。これにより、誘導加熱調理器が、全ての操作部の入力操作が不可能な電源オフ状態から、いずれかの操作部により指示情報が入力可能でかつ加熱コイル3の加熱動作が停止された待機状態に移行する。なお、この時点では、LEDが点灯しているだけで、加熱等の動作は行われていない。
STEP2では、時間の計測を開始する。
STEP3では、使用者からの前記操作部への操作(入力)を待ち受ける。使用者からの操作が無いとき、STEP4に移行し、使用者からの前記操作部への操作を受け付けたとき、STEP6に移行する。
STEP4では、STEP2から計測している時間が所定時間(予め設定した待機時間:本第1実施形態では5分とする)経過しているか否かを判断する。所定時間経過している場合には、STEP5に移行する。一方、所定時間経過していない場合には、STEP3に戻る。
STEP5では、LEDを消灯する。STEP5にてLEDを消灯した後は、後述するSTEP10に移行する。
STEP6では、STEP2から計測している時間をリセットする。
STEP7では、使用者の操作が加熱動作開始の操作か否かを判断する。使用者の操作が加熱動作開始の操作でない場合、STEP2に戻る。一方、使用者の操作が加熱開始の操作である場合には、STEP8に移行する。
STEP8では、調理容器1の加熱を開始する。
STEP9では、調理容器1の加熱動作を停止したか否かを判断する。ここで、加熱動作停止に至るには色々なケースがある。例えば、使用者による加熱動作停止の操作があった場合や、加熱動作中に調理容器1が取られてトッププレート2上から無くなったことを検知し、誘導加熱調理器自体が加熱動作を自動的に停止させた場合などがある。
前記加熱動作停止を検知した場合には、STEP2に戻る。
以上のように、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、加熱動作を停止している状態で且つ使用者からの操作の受付が無い状態が所定時間以上経過したときに、自動的にLEDを消灯するようになっている。
STEP10では、使用者からの操作を受け付けたか否かを検知する。使用者からの操作を受け付けた場合には、STEP1に戻り、LEDを点灯させる。なお、STEP10における使用者の操作は、これから使用者が加熱調理を行おうとしていることを示すものと考えられる。従って、使用者からの操作を受け付けたときにLEDを点灯させることで、赤外線センサ4の位置を使用者に知らせることできる。よって、使用者は、赤外線センサ4上に確実に調理容器1を置くことができる。これにより、赤外線センサ4が検出するエネルギの全ては調理容器1からの赤外線エネルギとなる。
最後に、STEP11にて電源スイッチがオフされると、前記電源オフ状態に移行し、一連の動作が終了する。
次に、操作部7による操作と発光装置6の動作との連動について、図1及び図3を用いて説明する。ここで、操作部7は、加熱動作に関連する使用者の指示情報、例えば熱動作の開始及び停止の指示情報、メニュー選択情報、調理時間設定情報などを入力可能なものである。
図3は、本発明の第1実施形態における誘導加熱調理器の操作部7の一部を示すものである。
図3において、操作部7は、操作キー7a〜7fで構成されている。
操作キー7bは、メニューを選択するメニューキーである。ここでいうメニューとは、誘導加熱調理器における加熱動作モードのことである。当該メニューとしては、通常の加熱モード、温度制御を行いながら調理容器1の中の温度を所定温度に保つ揚物モード、湯沸しモード、及び自動炊飯モードなどがある。それらのモードを選択するのが、ここでいうメニューキー7bの役割である。
操作キー7aは入切キーであり、メニューキー7bにより選択したメニューの加熱動作の入り/切りを行うキーである。
操作キー7cはアップキーであり、操作キー7dはダウンキーである。メニューによってアップキー7c及びダウンキー7dの役割は異なる。アップキー7cとダウンキー7dは、例えば、メニューが加熱モードである場合には、単純に火力のアップ又はダウンの目的で使用され、メニューが揚物モードである場合には、調理容器1の中の設定温度をアップ又はダウンするために使用される。また、アップキー7cとダウンキー7dは、例えば、メニューが自動炊飯モードである場合には、炊飯にて炊くお米の合数の設定に使用される。
操作キー7eはタイマーアップキーであり、操作キー7fはタイマーダウンキーである。この2つの操作キー7e,7fは、例えば加熱調理を継続する時間をダイレクトに設定するのに用いられる。操作キー7e,7fにより設定された時間が経過すると、加熱動作は自動的に停止する。
以下、本第1実施形態にかかる誘導加熱調理器の動作について詳細を述べる。
まず初めに、商用電源を供給するための電源スイッチ(図示せず)がオンされると、誘導加熱調理器に商用電源が供給される。この時点で、前記電源オフ状態から前記待機状態に移行して、発光装置6が点灯され、調理容器1を置く位置が明確に表示される。
発光装置6の点灯から所定時間(予め設定した待機時間)の一例である5分の間、操作部に入力が全く無い状態が継続すると、発光装置6は消灯される。
一方、電源スイッチがオンされた後、使用者がメニューキー7bを押すことにより、加熱動作モードが選択される。なお、電源スイッチがオンされた後、5分以内に操作部7にて操作された(操作キーが押された)場合には、発光装置6は点灯の状態を継続する。
次いで、使用者が選択したメニューの加熱動作を行うために入切キー7aを押すと、加熱動作が開始する。なお、加熱調理中に火力設定を行う場合には、使用者は、アップキー7c又はダウンキー7dを操作することで火力設定することができる。また、煮込み調理などの長時間低火力にて調理する場合には、タイマー調理が大変有効である。この場合、使用者は、タイマーアップキー7e又はタイマーダウンキー7fを操作することで、タイマー設定することができる。
上述したようなキー操作が行われて加熱調理が継続している間は、発光装置6の点灯が継続されるようになっている。これにより、使用者は、調理容器1が赤外線センサ4を覆う適切な位置に置かれているか否かを確認することができ、赤外線センサ4を正確に働かせることができる。但し、発光装置6の点灯は、使用者から見て赤外線センサ4の位置を認識できるものであれば良い。例えば、発光装置6の点灯は、常時ではなく、断続的であってもよい。
なお、前記加熱調理の終了後、しばらくの間は、発光装置6の点灯が継続していることが好ましい。これは、一般的な家庭での調理に言えることであるが、例えば、フライパンによる加熱調理が終って動作を停止した後、多少のインターバルを空けて、別の調理を再開する場合があるためである。すなわち、そのような場合に、赤外線センサ4の位置が継続して確認できる方が、使い勝手がよいためである。
なお、加熱動作を一旦停止した後の加熱動作停止の状態において、操作部7への入力が無い状態が続くと、次の調理動作を再開する意図が使用者には無いと判断することができる。
本第1実施形態では、5分間、前記加熱動作停止の状態が継続すると、調理動作をすぐに再開する意図が使用者には無いと判断し、発光装置6の発光を停止(消灯)する。
この発光装置6の消灯状態において、操作部7にて再び使用者の操作を受け付けた場合には、再び発光装置6を点灯させる。すなわち、本第1実施形態では、前記加熱動作停止の状態が5分間継続すると、調理動作をすぐに再開する意図が使用者には無いと判断して発光装置6の点灯を一旦停止するが、操作部7にて再び使用者の操作を受け付けた場合には、調理動作再開の可能性があると判断し、すぐに発光装置6を点灯させる。この場合について動作の説明を以下に補足する。
本第1実施形態では、前記加熱動作停止の状態が第2所定時間(予め設定した第2待機時間:本第1実施形態では1分とする)経過したとき、操作部7の中で使用者が操作可能な操作キーがメニューキー7bに限定されるようにしている。すなわち、本第1実施形態では、操作部7の操作を制限する入力制限部(図示せず)をさらに備えている。発光装置6は、前記入力制限部が機能した後に消灯する。このため、発光装置6を再度点灯させるためには、メニューキー7bを押すことが最低限必要となる。このメニューキー7bが押されることで動作モードが選択された後、入切キー7aが押されることによって、加熱動作が開始される。すなわち、一旦、発光装置6が消灯しても、その後、再び加熱動作を開始する前には、確実に発光装置6は点灯状態になっている。言い換えれば、いかなる場合でも加熱動作を開始する前には、発光装置6は点灯状態にある。これにより、赤外線センサ4の位置、すなわち調理容器1を置いて欲しい位置を使用者に知らせるという役割を確実に果たすことができる。
以上のように、本第1実施形態の誘導加熱調理器では、加熱動作を停止している状態で且つ使用者からの操作の受付が無い状態が所定時間以上経過すると、自動的に発光装置6の一例であるLEDを消灯するようになっている。これによりLEDの耐久性を向上させるとともに、LEDによる消費電力を低減することが可能である。
なお、本第1実施形態では、前記所定時間を5分としたが、これに限る必要は無い。例えば、前記所定時間は、使用者が再度調理器を使用する際に、LEDがオフしていることに不便さや不満を感じない程度の時間であればよい。
また、本第1実施形態では、発光装置6は、点灯及び消灯のいずれかの状態に切り替わるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、発光装置6の輝度を変えることによって、その2つの状態を表してもよい。すなわち、発光装置6の点灯は、第1の輝度で点灯することとし、発光装置6の消灯は、第1の輝度より低い第2の輝度で点灯することとしてもよい。この場合でも、本第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本第1実施形態では発光装置6をLEDとしたが、これに限るものではなく、少なくとも、使用者が発光していることを認識できるものであれば良い。また、発光装置6にて赤外線センサの故障検知を兼ねたい場合には、その発光装置6の出力変化によって、赤外線センサ4の出力変化量が判断可能なレベルとなるものを選択することが望ましい。
また、本第1実施形態では、操作部7の操作に制限を加える入力制限部が機能するまでの第2所定時間を1分としたが、本発明はこれに限られるものではない。前記第2所定時間は、使用者が調理を継続する際に不便さを感じない程度の時間であればよい。また、前記入力制限部は、使用者が意図せずに操作キーを押してしまい、不用意に加熱動作を行ってしまうことを防ぐことが主たる目的であることから、前記第2所定時間を長く設定し過ぎてしまうと、本来の目的を果たすその効果が薄れてしまう。従って、前記第2所定時間は、上記2つの要因のバランスによって設定されることが好ましい。
また、本第1実施形態では、所定時間を5分とし、第2所定時間を1分として、両者を異なる時間に設定しているが、両者を異なる時間にする必要は無い。但し、本第1実施形態で述べたように、少なくとも所定時間は第2所定時間以上であることが必要である。さらに、所定時間と第2所定時間とを同じ時間に設定することにより、使用者から見たときに、発光装置6の消灯状態と操作部7に制限がかかっている状態とが等しいと認識できる。これにより、例えば、発光装置6が単に消灯していると、使用者から見て、その状態が正常であるのか故障しているのか判別が困難な場合があるが、他の動作を同期させることにより、発光装置6の故障であると誤認することを防ぐことが可能になる。よって、使い勝手を向上することが可能となる。
また、本第1実施形態では、発光装置6が消灯している状態で、メニューキー7bを押すことで、発光装置6が再び点灯することとしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、加熱動作を直接始めてしまうことが無ければ良いので、加熱動作の入切以外の操作キーを押すことで、発光装置6が再び点灯するようにしてもよい。また、発光装置6を点灯させるのは、操作部7への操作が行われることに限定されない。例えば、調理器の近傍(周囲)にて人が動いたことを検知する人感センサをさらに備えて、その人感センサが人の気配を感知したときに、発光装置6を点灯させる構成としてもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態にかかる誘導加熱調理器について、図1〜4を参照しながら説明する。なお、上記第1実施形態で説明したものと同一構成部品には同一符号を用い、その説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態における誘導加熱調理器のトッププレート2を上から見た図を示す。
図4において、操作部7は2セットで構成されており、右側のセットは、右バーナー21の操作を行うものであり、左側のセットは左バーナー22の操作を行うものである。後ろバーナー23の操作を行う操作部については、トッププレート2上には無く、図示していないが、誘導加熱調理器の側面に配置されている。
ここで、図4には、トッププレート2上に、右バーナー21、左バーナー22、及び後ろバーナー23が記載されているが、これは加熱装置の位置を示している。トッププレート2の下側には、それぞれのバーナーに対応して、加熱コイル3が載置されている。
左バーナー22及び右バーナー21のほぼ中央付近に、発光装置6が配置されている。図4では、分かりやすいように黒点で示している。しかしながら、実際の調理器においては、消灯時はその存在は分からなくても良く、点灯したときに、その部分が明確に分かるように発光すれば良い。
また、後ろバーナー23には、赤外線センサ4及び発光装置6を設けない構成としている。これは、後ろバーナー23は、通常、火力が弱く設定されており、赤外線センサ4を設けるほどの性能上の必要性と効果が十分無いと考えられるためである。すなわち、本第1実施形態のように、必ずしも赤外線センサ4を全てのバーナーに設ける必要は無い。
上記構成において、発光装置6の動作を含む左バーナー22及び右バーナー21の各々の動作は、図2のフローチャートで示すようにそれぞれが独立して働くようになっている。すなわち、各バーナーの発光装置6の点灯及び消灯動作はそれぞれが独立して行われるようになっている。
これにより、他のバーナーの動作、すなわち他の発光装置6の動作に影響されないので、不必要なときはできる限り発光装置6を消灯させることができる。従って、複数個の加熱装置(加熱コイル3)を有する誘導加熱調理器においても、発光装置6の耐久性をできる限り向上させることができる。また、例えば左のバーナー22は使用せず、右のバーナー21のみ使用している場合などは、操作している側の発光装置6のみ点灯することになる。このため、どちらのバーナーの操作をしているかが明確に分かるようになるという効果も得られる。
尚、本第2実施形態では、加熱装置、言い換えればバーナーの数を3つとしたが、本発明はこれに限定するものでは無い。
また、本第2実施形態では、各バーナーの発光装置6の動作をそれぞれ独立して行う構成としているので、例えば、ひとつのバーナーの発光装置6が点灯し、且つ、他方のバーナーの発光装置6が消灯している場合などにおいて、消灯している方の発光装置6が故障していると使用者に誤認されることが有り得る。このため発光装置6の動作を各バーナーで共通としてもよい。この場合、発光装置6を有する全バーナーが停止している状態で、発光装置6を有する全バーナーの操作部7への入力が一切行われない状態が続いた場合に、全ての発光装置6を消灯させるようにすればよい。また、全ての発光装置6が消灯している状態で、発光装置6を有するいずれかのバーナーの操作部7への入力が行われた時点で、全ての発光装置6を点灯させるようにすればよい。これにより、仕様の統一感を図ることが可能となる。
なお、本第2実施形態では、発光装置6は、点灯及び消灯のいずれかの状態に切り替わるものとしたが、上記第1実施形態で説明したように、発光装置6の点灯は、第1の輝度で点灯することとし、発光装置6の消灯は、第1の輝度より低い第2の輝度で点灯することとしてもよい。
本発明にかかる誘導加熱調理器は、赤外線センサの位置を明確に表示するために点灯する発光装置を、加熱動作停止の状態で所定時間経過すると消灯させるようにしたので、発光装置の耐久性を向上させ、且つ消費電力を低減でき、例えば、赤外線センサを使用した加熱調理器等の用途に有用である。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2007年6月22日に出願された日本国特許出願No.2007−164612号の明細書、図面、および特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。