JPWO2008114539A1 - 無接着剤フレキシブルラミネート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
に関する。
このメタライジング法においては、金属層とポリイミドフィルムとの密着力を高めるために、金属層を形成するに先立ち、ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理により、表面の汚染物質の除去ならびに表面粗さの向上を目的として改質を行うことが行われている(特許文献1及び2参照)。
この方法は極めて有効な方法ではあるが、回路形成時の熱処理や使用環境での長期信頼性などにおいて密着力が低下する問題があることが分かり、さらに改善が求められるようになった。
また、ポリイミドフィルムの表面を化学的にエッチングして表面を粗化し、そこに下地層とさらにその上に銅の蒸着層を形成するTABやFPCに使用する金属膜付のポリイミドフィルムの提案がなされている(特許文献4参照)。しかし、この技術における表面の粗化処理は、あくまで化学エッチングによるもので、ポリイミドフィルムの表面プラズマ処理という固有の問題を解決することは不可能である。
1)少なくとも一方の面をプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、プラズマ処理された面に形成したタイコート層と、タイコート層上に形成した金属導体層からなる無接着剤フレキシブルラミネートであって、タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが2以上であることを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネートを提供する。
ここで、タイコート層はポリイミドフィルム層と金属導体層との密着性を高めるための中間層を意味する。「タイコート層」の用語は、前記特許文献1(特許第3173511号公報)でも使用されているもので、一般的な技術用語として知られているものである。本願明細書においては「タイコート層」の用語を使用する。
3)金属導体層としては、銅または銅合金を使用することができる。これも同様に他の材料の選択を否定するものではない。
4)さらに、タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが4以上であることが望ましい。この条件において、加熱エージング後(150°C、大気中に168時間放置された後)の密着力を、さらに高めることが可能となる。
上記5)及び6)の条件は、いずれも本願発明の無接着剤フレキシブルラミネートを作製する上で、全てタイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzを2以上とすること、さらに好適には、7)比T/Rzが4以上を達成できるように調整することが必要であることは言うまでもない。
ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にタイコート層を、さらにその表面に金属導体層を形成することにより、無接着剤フレキシブルラミネートを作製することを基本とする。ここで、ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理することにより、表面の汚染物質の除去と表面の改質を行い、その結果として表面粗さが大きくなる。
プラズマ処理条件と表面粗さとの関係を予め取得することにより、所定の条件でプラズマ処理して所望の表面粗さを有するポリイミドフィルムを得ることができる。
したがって一つの実施態様として、予めプラズマ処理条件と表面粗さを知ることにより、プラズマ処理後のポリイミドフィルム表面をT/Rzが2以上、さらに好ましくはT/Rzが4以上となるべき表面粗さとしておくことができる。
ポリイミドフィルムをプラズマ処理した面にタイコート層及び金属導体層を形成した無接着剤フレキシブルラミネートのポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力については、一般に「常態ピール強度」として測定するが、この常態ピール強度は、プラズマ処理面の粗さRzが2.5〜20nmの範囲では、プラズマ処理面粗さには依存しない。但し、タイコート層を施さない場合は、常態ピール強度は半分程度に低下する。
これを層間の現象でみると、表面粗さの大きい方が、金属導体層からポリイミドフィルムへの拡散が進行しているが、金属導体層からポリイミドフィルムへの拡散が大きいほど、耐熱ピール強度が弱くなっているのが分かった。
以上から、プラズマ処理の電力を大きくして、ポリイミドフィルムの表面の粗さを増加させ、タイコート層及び金属導体層との密着性を上げるという手法は必ずしも有効でないことが分かる。
これはプラズマ電力を制御することにより行うが、これがポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力を向上させると共に、加熱エージング後の密着力を高めることができる大きな理由となる。
まず、最初にポリイミドフィルムを真空装置内にセットし真空排気後、酸素をチャンバー内に導入し、チャンバー圧力を10Paに調整した。
プラズマ処理後の表面粗さの測定は、以下の装置を使用し次の測定条件で行った。
装置 島津製作所製 走査型プローブ顕微鏡 SPM-9600
条件 ダイナミックモード
走査範囲 1μm×1μm
画素数 512×512
さらに、上記のタイコート層の表面に電気メッキにより銅からなる金属導体層(厚さ8μm)を形成することにより、二層フレキシブル積層体を作製した。
このようにして得られた試料について、初期密着力及び加熱エージング後(150°Cで、大気中に168時間放置した後)の密着力を測定した。密着力の測定はJIS C 6471(フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法)により実施した。
ポリイミドフィルムをプラズマ処理した面にタイコート層及び金属導体層を形成した無接着剤フレキシブルラミネートのポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力、すなわち「常態ピール強度」は、0.6kN/mを超えていた。
このことから、常態ピール強度は、タイコート層を形成した場合はその厚さにも表面荒さにも依存しないことが分かった。ポリイミドフィルムと金属層間の積層後の常態ピール強度、すなわち初期密着力については、プラズマ処理面の粗さには直接影響を受けないことが明らかである。
タイコート層の膜厚が10nm(100Å)では、大気中150°Cで168時間加熱した後の密着力は、0.4kN/m未満に低下した。この耐熱ピール強度の低下は、表面粗さが大きくなるに従って強度の低下が、より大きくなった。
一方、タイコート層の膜厚を厚くすることにより、耐熱ピール強度の改善が見られた。この図2から、0.5kN/m以上にすることも可能であることが分かった。
T/Rzと密着力の関係を図3に示す。図3から明らかなように、初期密着力は、T/Rz=0(タイコート層なし)の場合を除く全てで、0.6kN/m以上であり、初期密着力として望ましい値が得られているのが分かる。
これに対し、上記図1及び図2でも示したように、加熱エージング後の密着力は、T/Rz=0の場合で0.1kN/m未満、T/Rz<2の場合で0.4kN/m未満であったが、T/Rzの増加に伴い大きくなって、T/Rz≧4でほぼ一定の0.5〜0.6kN/mとなった。
図1及び図2に示したRzの値は、予め求められたプラズマ電力とプラズマ処理後表面粗さの関係に基づき算定した値であるが、Rz=5.1nmとなるプラズマ電力で表面処理し前述の実施例に則り作製した二層フレキシブル積層体の金属導体層とタイコート層をエッチングにより除去した後のポリイミドフィルム表面粗さの実測値は5.5nmとよい一致を示した。なお、エッチングには塩化第二銅系のエッチング液を用いた。
本願発明は、プラズマ処理されたポリイミドフィルムと、プラズマ処理された面に形成したタイコート層と、タイコート層上に形成した金属導体層からなる無接着剤フレキシブルラミネートにおけるタイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzを2以上とすることにより、上記の問題を解決するものであるが、上記から本願発明の有効性が確認できる。
に関する。
このメタライジング法においては、金属層とポリイミドフィルムとの密着力を高めるために、金属層を形成するに先立ち、ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理により、表面の汚染物質の除去ならびに表面粗さの向上を目的として改質を行うことが行われている(特許文献1及び2参照)。
この方法は極めて有効な方法ではあるが、回路形成時の熱処理や使用環境での長期信頼性などにおいて密着力が低下する問題があることが分かり、さらに改善が求められるようになった。
また、ポリイミドフィルムの表面を化学的にエッチングして表面を粗化し、そこに下地層とさらにその上に銅の蒸着層を形成するTABやFPCに使用する金属膜付のポリイミドフィルムの提案がなされている(特許文献4参照)。しかし、この技術における表面の粗化処理は、あくまで化学エッチングによるもので、ポリイミドフィルムの表面プラズマ処理という固有の問題を解決することは不可能である。
1)少なくとも一方の面をプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、プラズマ処理された面に形成したタイコート層と、タイコート層上に形成した金属導体層からなる無接着剤フレキシブルラミネートであって、タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが2以上、Rzが2.5〜6.0nm、前記ポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力が0.6kN/m以上、かつ大気中、150°Cで168時間加熱した後の密着力が0.5kN/m以上であることを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネートを提供する。
ここで、タイコート層はポリイミドフィルム層と金属導体層との密着性を高めるための中間層を意味する。「タイコート層」の用語は、前記特許文献1(特許第3173511号公報)でも使用されているもので、一般的な技術用語として知られているものである。本願明細書においては「タイコート層」の用語を使用する。
3)金属導体層としては、銅または銅合金を使用することができる。これも同様に他の材料の選択を否定するものではない。
4)さらに、タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが4以上であることが望ましい。この条件において、加熱エージング後(150°C、大気中に168時間放置された後)の密着力を、さらに高めることが可能となる。
上記5)及び6)の条件は、いずれも本願発明の無接着剤フレキシブルラミネートを作製する上で、全てタイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzを2以上とすること、さらに好適には、7)比T/Rzが4以上を達成できるように調整することが必要であることは言うまでもない。
ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にタイコート層を、さらにその表面に金属導体層を形成することにより、無接着剤フレキシブルラミネートを作製することを基本とする。ここで、ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理することにより、表面の汚染物質の除去と表面の改質を行い、その結果として表面粗さが大きくなる。
プラズマ処理条件と表面粗さとの関係を予め取得することにより、所定の条件でプラズマ処理して所望の表面粗さを有するポリイミドフィルムを得ることができる。
したがって一つの実施態様として、予めプラズマ処理条件と表面粗さを知ることにより、プラズマ処理後のポリイミドフィルム表面をT/Rzが2以上、さらに好ましくはT/Rzが4以上となるべき表面粗さとしておくことができる。
ポリイミドフィルムをプラズマ処理した面にタイコート層及び金属導体層を形成した無接着剤フレキシブルラミネートのポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力については、一般に「常態ピール強度」として測定するが、この常態ピール強度は、プラズマ処理面の粗さRzが2.5〜20nmの範囲では、プラズマ処理面粗さには依存しない。但し、タイコート層を施さない場合は、常態ピール強度は半分程度に低下する。
これを層間の現象でみると、表面粗さの大きい方が、金属導体層からポリイミドフィルムへの拡散が進行しているが、金属導体層からポリイミドフィルムへの拡散が大きいほど、耐熱ピール強度が弱くなっているのが分かった。
以上から、プラズマ処理の電力を大きくして、ポリイミドフィルムの表面の粗さを増加させ、タイコート層及び金属導体層との密着性を上げるという手法は必ずしも有効でないことが分かる。
これはプラズマ電力を制御することにより行うが、これがポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力を向上させると共に、加熱エージング後の密着力を高めることができる大きな理由となる。
まず、最初にポリイミドフィルムを真空装置内にセットし真空排気後、酸素をチャンバー内に導入し、チャンバー圧力を10Paに調整した。
プラズマ処理後の表面粗さの測定は、以下の装置を使用し次の測定条件で行った。
装置 島津製作所製 走査型プローブ顕微鏡 SPM-9600
条件 ダイナミックモード
走査範囲 1μm×1μm
画素数 512×512
さらに、上記のタイコート層の表面に電気メッキにより銅からなる金属導体層(厚さ8μm)を形成することにより、二層フレキシブル積層体を作製した。
このようにして得られた試料について、初期密着力及び加熱エージング後(150°Cで、大気中に168時間放置した後)の密着力を測定した。密着力の測定はJIS C 6471(フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法)により実施した。
ポリイミドフィルムをプラズマ処理した面にタイコート層及び金属導体層を形成した無接着剤フレキシブルラミネートのポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力、すなわち「常態ピール強度」は、0.6kN/mを超えていた。
このことから、常態ピール強度は、タイコート層を形成した場合はその厚さにも表面荒さにも依存しないことが分かった。ポリイミドフィルムと金属層間の積層後の常態ピール強度、すなわち初期密着力については、プラズマ処理面の粗さには直接影響を受けないことが明らかである。
タイコート層の膜厚が10nm(100Å)では、大気中150°Cで168時間加熱した後の密着力は、0.4kN/m未満に低下した。この耐熱ピール強度の低下は、表面粗さが大きくなるに従って強度の低下が、より大きくなった。
一方、タイコート層の膜厚を厚くすることにより、耐熱ピール強度の改善が見られた。この図2から、0.5kN/m以上にすることも可能であることが分かった。
T/Rzと密着力の関係を図3に示す。図3から明らかなように、初期密着力は、T/Rz=0(タイコート層なし)の場合を除く全てで、0.6kN/m以上であり、初期密着力として望ましい値が得られているのが分かる。
これに対し、上記図1及び図2でも示したように、加熱エージング後の密着力は、T/Rz=0の場合で0.1kN/m未満、T/Rz<2の場合で0.4kN/m未満であったが、T/Rzの増加に伴い大きくなって、T/Rz≧4でほぼ一定の0.5〜0.6kN/mとなった。
図1及び図2に示したRzの値は、予め求められたプラズマ電力とプラズマ処理後表面粗さの関係に基づき算定した値であるが、Rz=5.1nmとなるプラズマ電力で表面処理し前述の実施例に則り作製した二層フレキシブル積層体の金属導体層とタイコート層をエッチングにより除去した後のポリイミドフィルム表面粗さの実測値は5.5nmとよい一致を示した。なお、エッチングには塩化第二銅系のエッチング液を用いた。
本願発明は、プラズマ処理されたポリイミドフィルムと、プラズマ処理された面に形成したタイコート層と、タイコート層上に形成した金属導体層からなる無接着剤フレキシブルラミネートにおけるタイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzを2以上とすることにより、上記の問題を解決するものであるが、上記から本願発明の有効性が確認できる。
Claims (10)
- 少なくとも一方の面をプラズマ処理されたポリイミドフィルムと、プラズマ処理された面に形成したタイコート層と、タイコート層上に形成した金属導体層からなる無接着剤フレキシブルラミネートであって、タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが2以上であることを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネート。
- タイコート層がニッケル、クロム、コバルト、ニッケル合金、クロム合金、コバルト合金のいずれか1種であることを特徴とする請求項1記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- 金属導体層が銅または銅合金のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理されたポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが4以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- ポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)が、2.5〜20nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- タイコート層の厚さ(T)が、5〜100nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- タイコート層の厚さ(T)が、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- ポリイミドフィルムをプラズマ処理した面にタイコート層及び金属導体層を形成した無接着剤フレキシブルラミネートのポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力が0.6kN/m以上であり、かつ大気中、150°Cで168時間加熱した後の密着力が0.4kN/m以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- 大気中、150°Cで168時間加熱した後の密着力が0.5kN/m以上であることを特徴とする請求項8記載の無接着剤フレキシブルラミネート。
- ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面にプラズマ処理してポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)を2.5〜20nmとした後、タイコート層の厚さ(T)とプラズマ処理したポリイミドフィルム表面の10点平均粗さ(Rz)の比T/Rzが2以上となるように、厚さ5〜100nmのタイコート層を形成し、次に該タイコート層上に金属導体層を形成して、ポリイミドフィルムと金属層間の積層後の初期密着力を0.6kN/m以上とし、かつ大気中、150°Cで168時間加熱した後の密着力を0.4kN/m以上とすることを特徴とする無接着剤フレキシブルラミネートの製造方法。
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JPWO2008114539A1 true JPWO2008114539A1 (ja) | 2010-07-01 |
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