JP2004273744A - 熱可塑性樹脂材料およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂材料およびプリント配線板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高密度回路の形成が可能で、優れた接着性を持ち、しかも高温・高湿の環境においても接着強度を維持することができ、熱可塑性樹脂プリント配線板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層後に金属箔を除去することによって表面に凹凸形成する、あるいはこのような表面処理と可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理を組み合わせた処理を行う、ことにより得た熱可塑性樹脂フィルムを用いてプリント配線板の製造を行うことにより、上記課題を達成しうる。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂と粗化表面を有する金属箔とを積層後に金属箔を除去することによって表面に凹凸形成する、あるいはこのような表面処理と可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理を組み合わせた処理を行う、ことにより得た熱可塑性樹脂フィルムを用いてプリント配線板の製造を行うことにより、上記課題を達成しうる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器等に広く使用される、熱可塑性樹脂材料であって、熱可塑性樹脂材料の表面に無電解めっき皮膜を形成した場合、その表面粗度が小さいにもかかわらず、4N/cm以上の接着強度を発現するような熱可塑性樹脂材料に関する。さらに詳しくは、該熱可塑性樹脂材料をプリント配線板の製造法に関し、詳しくはビアホール形成工程、デスミヤ工程など、通常のプリント配線板の製造プロセスが適用可能であり、さらに接着性、環境安定性に優れた、高密度フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB(Tape Automated Bonding)用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF(Chip On Film)基板、MCM(Multi Chip Module)基板、等に好適にしようできる熱可塑性樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に回路を形成したプリント配線板が、電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられ、近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、その様なプリント配線板には、回路の高密度化や薄型化が強く望まれている。特にライン/スペースの間隔が25μm/25μm以下であるような微細回路形成方法の確立はプリント配線板分野の重要な課題である。
【0003】
通常プリント配線板においては、基板となる高分子フィルムと回路との間の接着はアンカー効果と呼ばれる表面の凹凸によって達成されている。そのため一般にフィルム表面を粗化する工程が設けられ、通常その表面にはRz値換算で4〜5μm程度の凹凸がつけられる。この様な基板表面の凹凸は形成される回路のライン/スペースの値が30/30μm以上である場合には問題とならないが、30/30μm以下、特に25/25μm以下の線幅の回路形成には重大な問題となる。その理由はこの様な高密度の細線である回路線が基盤表面の凹凸の影響をうけるためである。従って、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路の形成には、表面平滑性の高い高分子基板への回路形成技術が必要となり、その平面性はRz値換算で3μm以下、さらに望ましくは2μm以下である必要がある。しかし、一般的にこの場合には、接着力として上記アンカー効果は期待できなくなり、接着強度の向上は見込めないと考えられている。例えば、樹脂表面を粗化する方法として、エポキシ系樹脂表面の粗化表面に無電解めっきさせる方法が開示されている。しかし、表面粗度Rzが3μm以上であれば良好に接着するが、3μm以下、特に1μm程度では3N/cm程度の接着性を示すのみであり、従来のフィルム表面を粗化する方法では、アンカー効果を期待するには、表面粗度が大きいことが必要と考えられてきた。そこで、別の接着方法の開発が必要となった。
【0004】
一方、回路基板にはより高密度の微細配線が求められると同時に、高温高湿などのより厳しい環境下での安定性が求められるようになってきており、特に高分子フィルムと回路配線の接着性についても高温・高湿の環境に耐えることが要求されている。
【0005】
さらに、、両面プリント配線板や多層プリント配線板のような場合には、配線板の両面を導通させるビアホールの形成が不可欠である。そのため、その様なプリント配線板は通常、レーザーによるビアホール形成工程、デスミヤ工程、触媒付与工程、無電解めっき銅を施す工程、等を経て回路形成がおこなわれる。
【0006】
さらに、回路形成はエッチングによるいわゆるサブトラクティブ法により行われる場合や、レジスト膜を形成する工程、無電解めっき膜が露出している部分への電解銅めっき工程、レジスト被膜の除去工程、余分な無電解銅めっき皮膜のエッチング工程から成る、いわゆるセミアディティブ法により製造される場合もある。したがって、配線回路と高分子フィルム間の接着性はこれらのプロセスに耐えるものである必要がある事は言うまでもない。
【0007】
このように、フィルムの表面粗度の小さい場合において、煩雑な方法をとらないでも充分な接着強度が得られ、しかも、高温・高湿の環境においても接着強度を維持することができ、かつ配線板の製造工程に耐えうる材料はこれまで見出されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−198907
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、(1)従来よりも小さな表面粗度を有する熱可塑性樹脂材料で、(2)無電解めっきを形成した場合、4N/cm以上の接着強度を発現出来、接着安定性に優れたプリント配線板を提供する事、(2)表面粗度が小さいことに由来し微細な回路配線を形成できる事、である
本発明者らは、上記した問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの条件を満足する、表面処理を施した熱可塑性樹脂材料とそれらを用いたプリント配線板の製造方法を開発し本発明に至った。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂を用いる事により、高密度で耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の新規な熱可塑性樹脂材料およびその製造方法、該熱可塑性樹脂材料を用いたプリント配線板の製造方法に関し、これにより上記課題を解決しうる。
1)表面の十点平均表面粗さRzが3μm以下であって、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合4N/cm以上の接着強度を有する表面処理が施されたことを特徴とする熱可塑性樹脂材料。
2)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂材料の表面に凹凸を形成する表面処理であることを特徴とする1)記載の熱可塑性樹脂材料。
3)前記表面処理が、熱可塑性樹脂材料に粗化表面を有する金属箔とを積層し、該金属箔を除去することにより表面に凹凸を形成する処理であることを特徴とする2)記載の熱可塑性樹脂材料。
4)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する処理であることを特徴とする1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
5)前記表面処理が、2)記載の表面処理と4)記載の表面処理を併用することを特徴とする1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
6)前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、から選ばれた少なくとも一種類である1)〜5)記載の熱可塑性樹脂。
7)前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
【0011】
【化2】
(式中、Xは、0以上、1未満の任意の数、Yは0以上、1未満の任意の数を示す)、で表される構造を有する樹脂である1)〜5)記載の熱可塑性樹脂材料。
8)1)〜7)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂材料を用いてなるプリント配線板の製造方法。
9)少なくとも無電解めっき銅を施す工程を含む8)記載のプリント配線板配線板の製造方法。
10)少なくとも熱可塑性樹脂材料を貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含む9)記載のプリント配線板配線板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。まず、本発明に係る、熱可塑性樹脂材料について説明する。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂材料は種々形態をとることができ、成形体、単層フィルム、または支持体上に熱可塑性樹脂からなる層を形成した積層体等を取ることができる。本発明の一つであるプリント配線板に適用する為には熱可塑性樹脂からなる単層フィルムまたは積層体であることが好ましい。積層体の場合、支持体は非熱可塑性フィルムであることが耐熱性、寸法安定性、界面の密着性等の観点より好ましく使用される。
熱可塑性樹脂材料として、フィルムを製造する為には幾つかの方法が考えられる。熱可塑性樹脂が溶媒に不溶性である場合は、加熱融解した樹脂をフィルム状に押し出して成型すればよい。また、熱可塑性ポリイミドが溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性樹脂溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布すれば良い。上記支持体に銅箔を用いた場合、銅箔は、支持体として利用できるとともに、その後、後述する表面処理を、熱可塑性樹脂に施す際にも利用することができるので、好ましく用いることができる。
【0014】
積層体を形成する方法としては、予め熱可塑性樹脂のフィルムを製造した後、非熱可塑性フィルムにプレス加工、ラミネート加工等の公知の積層方法で積層体を得ることも可能である。
【0015】
上記種々の方法で得られるフィルムは、公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理、等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施せば、さらに良好な特性を付与することができる。
【0016】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶高分子などを挙げることが出来る。
また、前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
【0017】
【化3】
(式中、Xは、0以上、1未満の任意の数、Yは0以上、1未満の任意の数を示す)、で表される構造を有する樹脂であることがプリント配線板用途に必要とされる耐熱性が高い点から好ましい。一般式(1)で表される構造は50%以上含まれていることが好ましい。
【0018】
次に本発明の熱可塑性樹脂への表面処理の方法について説明する。本発明の表面処理を行った熱可塑性樹脂は、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合、該皮膜と強固に接着し、具体的には4N/cm以上の接着強度を有するものであり、熱可塑性樹脂材料に適切な表面処理方法を施すことにより、従来よりも表面粗度の小さな表面を有する樹脂材料であるにもかかわらずに強固に無電解めっき皮膜を接着させることが可能となった。前記、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合の接着強度とは、パラジウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボンなどを用いるダイレクトプレーティングのいずれかの方法を用いて無電解銅めっきを施し次いで電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成した場合の強度をいう。
【0019】
本発明の表面処理の方法としては幾つかの適切な方法とそれらの組み合わせが有効である。それらを具体的に説明する。
【0020】
先ず、熱可塑性樹脂表面に凹凸を形成する表面処理が挙げられる。凹凸面の粗度を大きくするほど無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向があるが、すでに述べた様に配線の高密度化には好ましくない。しかし、本発明者らによって、熱可塑性樹脂材料の表面に凹凸を形成する表面処理を施すことで、従来よりも小さな表面粗度を有する樹脂材料であっても、無電解めっき皮膜を形成した場合、強固に接着できるものでることが見出された。従って、配線を強固に接着する事と配線の微細化を同時に実現でき、プリント配線板の高密度化要求に応えられるものである。
【0021】
具体的な凹凸形成方法として、熱可塑性樹脂材料と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理方法が挙げられる。金属箔は公知の金属箔を用いることができ、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔等が挙げられるが工業的に広く一般的に用いられている銅箔はコスト的にも種類の豊富さの面でも有利であり、好ましく使用できる。本金属箔は熱可塑性樹脂材料の表面に粗化表面を形成する目的で使用され、熱可塑性樹脂材料と金属箔を熱プレス加工、熱ラミネート加工等公知の方法で積層し、該金属箔を物理的に引き剥がす、金属箔を溶解させる等の方法により除去する、ことにより熱可塑性樹脂材料の表面に粗化表面が形成される。従って、金属箔の少なくとも一方の表面に粗化表面を有することが必要である。
【0022】
金属箔の粗化表面の粗度は熱可塑性樹脂と無電解めっき皮膜との接着強度の大きさと配線のピッチの細かさに影響を与える。即ち、金属箔の粗度が大きいと、熱可塑性樹脂表面に形成される凹凸面の粗度も大きくなり、無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向がある。しかし、前述のように大きな粗度は配線の高密度化には好ましくない。
具体的には金属箔の粗化表面の表面粗度Rz(十点平均表面粗さ)が4μm以下、好ましくは3m以下であることが好ましく、これにより熱可塑性樹脂表面に形成された凹凸面の表面粗度Rzは3m以下とすることが可能になるので、ライン/スペースが25μm/25μm以下の微細な配線形成が可能であり、しかも接着強度は4N/cm以上となり好ましい。銅箔の種類には電解銅箔と圧延銅箔が広く利用されており、何れも樹脂との接着強度を上げる目的で少なくとも片面に粗化表面、即ちマット面を有する。このマット面の大きさは銅箔の製品により各種入手可能であるが、圧延銅箔のマット面は比較的表面粗度Rzが小さく本発明の目的には特に好ましく用いられる。
【0023】
熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する別の方法として、エンボス加工、サンドブラスト加工、研磨加工も好ましく使用できる。エンボス加工では表面に凹凸を形成した金属材料に熱可塑性樹脂材料を接触させることにより、樹脂表面に凹凸を形成する。この際、加熱、加圧を伴なうことが好ましく、この意味で熱可塑性樹脂を用いる事が好ましい。
【0024】
また、本発明の表面処理として、熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理も好ましく適用できる。この表面処理方法は熱可塑性樹脂の表面の適度な厚みを溶解させることを目的としており、それにより無電解めっき皮膜との接着性を高めることが可能である。この事はこの表面処理により、樹脂表面に凹凸が形成されるか、および/または、熱可塑性樹脂の表層を溶解により除去することにより化学構造の変化が生じ、無電解めっきとの接着性に良い影響を与えると推察している。ここで「一部除去する」とは熱可塑性樹脂の表層全体が均一に除去される状態、または表層が不均一に、即ち島状に除去されるまたは島状に表層が残る状態を表わしている。
【0025】
具体的に熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理としては、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線、レーザー、RIE等の気相で処理する方法、また熱可塑性樹脂を溶解する液体により処理する液相処理が挙げられる。これらの処理には、熱可塑性樹脂表面に微小な凹凸面を形成し強固に無電解めっき皮膜を接着する効果があるとともに、樹脂表面を化学的に活性化させる効果がある。これらの処理のうち、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線の気相で処理する方法、および液相処理する方法が工業的に簡便であり好ましく実施される。また、溶剤による液相処理は熱可塑性樹脂を溶解または膨潤させ、本発明の目的を達成するものであれば特に限定されない。具体的には広く工業的に、特にプリント配線板製造におけるデスミア工程やエッチングに使用されている過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物を含む水溶性液体、あるいはそれぞれの熱可塑性樹脂を溶解させる能力のある有機溶剤等が好ましく使用される。
【0026】
以上、熱可塑性樹脂の表面処理方法について、「熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」、「熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理」に分けて、説明したが、これらを組み合わせることによりより一層接着強度向上の効果がある。具体的には「熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と「熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理」を併用することであり、種々組み合わせに効果がある。この中で「熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と熱可塑性樹脂を溶解させる液相処理を併用する事は特に好ましく用いられ、その中でも金属箔を用いて凹凸を形成する表面処理を行った熱可塑性樹脂表面を過マンガン酸塩または有機アルカリ化合物、あるいは有機溶剤で処理することは特に効果的である。
【0027】
これらの処理により得られる熱可塑性樹脂の表面粗度は微細配線を形成する観点より、表面粗度Rzが3μm以下であることが好ましい。表面が平滑であることはライン/スペース25/25μm以下の高密度回路を形成するのに好適であり、エッチング工程において樹脂表面の凹凸にエッチング残りが生じない点からも好適である。RzはJIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計やB0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0028】
熱可塑性樹脂材料の表面に、このような表面処理を用いることにより、従来よりも小さな粗化表面に強固に無電解めっき皮膜を接着することを実現でき、またプレッシャークッカーテスト後にも優れた接着強度を実現できる。さらにプリント配線板における微細配線形成が可能になる。
【0029】
次に本発明の熱可塑性樹脂を用いた配線板の製造方法について述べる。
【0030】
まず、「片面に表面処理を施した熱可塑性樹脂フィルム」における配線板の製造法を説明する。第一のプリント配線板の製造方法では、表面処理を施した熱可塑性樹脂材料表面に無電解めっき金属層を施す。この無電解めっきは、パラジウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらに無電解めっき層上にレジスト膜を形成し、露光、エッチングにより回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっき法により回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。ここで無電解めっき皮膜は公知の方法で形成することができ、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきが好ましく使用され、無電解銅めっきが最も好ましく用いられる
この方法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。まず上記と同様に、表面処理を施した熱可塑性樹脂材料表面に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅を施し、電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光工程、現像により回路の形成しない部分のレジスト膜を除去し、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き、回路を形成する。
【0031】
次に、「両面に表面処理を施した熱可塑性樹脂フィルム」の場合の配線板の製造方法ついて説明する。第一のプリント配線板の製造方法では、まず熱可塑性樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いた穴開け法によって行う。小さなビアホールを形成する場合レーザーを用いた穴開け法が好ましく使用される。ビアホールを形成後、ビアホール内部および周辺に出来た樹脂分解物や熱による炭化物を主成分とするスミヤを除去するデスミア工程を実施する。このデスミア工程は公知の方法を利用でき過マンガン酸塩を用いるウェットプロセスやプラズマ等のドライデスミアを用いることも可能である。次に、熱可塑性樹脂材料表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。上記と同様にこの無電解めっきは、パラジュウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらにレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき層が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。この回路形成法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。すなわち、まず、両面に表面処理を施した熱可塑性樹脂材料を貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ工程を経て、熱可塑性樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅によりパネルめっきを施して、両面をビアホールによって電気的に接続し、次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0032】
次に、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/金属箔層」からなるフィルムを用いた場合のプリント配線板の製造法についてのべる。第一のプリント配線板の製造方法では、熱可塑性樹脂材料を貫通して金属箔層にいたる/または貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いる。ビアホール形成後、熱可塑性樹脂表面およびビアホール内部をデスミアする。次に熱可塑性樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。次に無電解めっき銅上にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。すなわち、まず、熱可塑性樹脂材料を貫通して金属銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ、無電解めっき銅層を形成する。次に無電解めっき銅層に電解めっき銅を施して、両面がビアホールによって電気的に接続された積層体を作製する。次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0033】
本発明においては必要に応じて、本発明の熱可塑性樹脂と他の支持体や接着剤との組み合わせて得た種々の積層体を用いる事が出来る。具体的には「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/表面処理を施した熱可塑性樹脂材料」、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/金属箔層」、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、などである。
【0034】
この様な積層体における熱可塑性層の厚さは、回路基板として低熱膨張性、耐熱性、電気特性等種々の優れた特性を持つ非熱可塑性フィルムの物性を生かすために非熱可塑性フィルムより薄い事が好ましく、更には熱可塑性層の厚さは非熱可塑性層の1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下である。非熱可塑性フィルムの厚み、形成する熱可塑性層の表面粗度Rzの大きさ、熱可塑性層の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整可能である。
【0035】
この様な積層体における金属箔層としては、凹凸の形成された銅箔の直接接着された物でも良く、あるいは適当な接着剤を介して銅箔と張り合わされた様な形態でも良い。接着剤を介してフィルムと銅箔を積層する方法は、熱ラミネート、熱プレス等公知の方法が使用できる。
この様な積層体における接着層としては通常の接着性樹脂が用いられ、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤、の二種類を使用する事ができる。このような本発明の積層体に用いる接着剤として、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格、等の観点からポリイミド樹脂やエポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系、あるいはこれらをブレンドして用いたものを好ましく使用できる。
【0036】
例えば、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」からなる積層体の場合、まず接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ加熱および/または加圧を伴った方法で積層し、あとはすでに述べた手法と同様に回路を形成すれば良い。
【0037】
以上幾つかの例を挙げて説明した様に、本発明の熱可塑性樹脂材料の表面処理は、熱可塑性樹脂材料または各種積層体において予め行っておいてもよく、プリント配線板の製造工程中に行っても良い。
【0038】
例えば、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、「金属箔/熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」なる構成の積層体を接着層を内層回路を有する内層基板と対向させ、積層した後、金属箔をエッチング等の方法で除去し、熱可塑性樹脂への表面処理」からなる積層体とすればよい。また、別の例としては、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/表面処理を施した熱可塑性樹脂材料いてプリント配線板を製造する場合、「表面処理を行っていない熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/熱可塑性樹脂材料」なる構成の積層体に対し、レーザー、パンチング、ドリリング等の方法で積層体を貫通するヴィアホールを形成した後、例えば過マンガン酸溶液による表面処理を実施し、熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が行われることとなる。この場合、ヴィアホールのデスミアが表面処理と同時に行われることとなり好ましく実施される。
【0039】
すなわち、本発明の表面処理実施のタイミングは本発明の熱可塑性樹脂材料および各種形態の積層体の権利の範囲を限定するものではなく、いずれかのタイミングで熱可塑性樹脂への表面処理が実施される事が重要であり、このことにより、良好な接着強度が発現する事が本発明にとって重要である。
【0040】
また、本発明のプリント配線板の製造方法においは所望するプリント配線板の仕様等から要請される必要性に応じ工法、プロセス条件を適宜選択することは可能であり、またその他の公知の技術を組み合わせることも可能であり、全て本発明のプリント配線板の製造方法の範疇に含まれる。
【0041】
即ち、ビアホール形成は公知の炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーやエキシマレーザー、パンチング、ドリリング等を用いることが可能であり、また、デスミア工程は過マンガン酸塩、有機アルカリ溶液等を用いたウェットプロセス、プラズマを利用したドライプロセス等が適用可能であるが、本発明の各種積層体はプリント配線板製造プロセスにおいて一般的な過マンガン酸塩を用いたデスミアプロセスに対する耐久性を有しており好ましく使用でき、また無電解めっきの種類としてはパラジウム等の貴金属の触媒作用を利用した化学めっき、更には析出する金属の種類としては銅、ニッケル、金等が使用可能である、あるいはパラジウム、カーボン、有機マンガン導電皮膜、導電性高分子を用いたダイレクトプレーティング等を適用可能であり、またレジストは液状レジストやドライフィルムレジスト等が適用可能であり、特に取扱い性に優れたドライフィルムレジストは好ましく使用可能であり、また、セミアディティブ法で回路形成する場合の給電層除去為のエッチングにはプロセスで用いる無電解めっきの種類により適宜選択され、無電解めっきが銅である場合、硫酸/過酸化水素、過硫酸アンモニウム/硫酸系エッチャントが好ましく使用され、また、無電解めっきがニッケル、金等の場合、それらを選択的にエッチングできるエッチャントの使用も好ましい。
【0042】
以上、述べた様に本発明の製造方法を用いることにより、デスミヤ工程や無電解めっき工程などの通常の製造工程が適用出来、ライン/スペースが25μm/25μm以下であるような高密度回路形成が可能で、優れた接着性と高温・高湿、等の厳しい環境における高い接着信頼性を持つプリント配線板を得る事ができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、及び改変を行い得る。なお、実施例に用いた熱可塑性樹脂、非熱可塑性フィルム、積層体の作製、接着層の作製、無電解めっき、各種測定・評価は以下通りである。
【0044】
(熱可塑性樹脂)
代表的な熱可塑性材料として、以下の8種類の代表的な熱可塑性材料の市販ペレット材料を熱プレス法によりフィルム化した。
ポリアリレート(ユニチカ(株)製Uポリマー)、ポリアミドイミド(三菱化成(株)社製Torlon)、ポリエーテルイミド(GE社製、Ultem)、ポリアセタール(ポリプラスチック(株)製、ジュラコン)、液晶ポリマー(ベクトラ)(ポリプラスチック(株)製)、芳香族ポリエステル(住友化学社製、S200)、ポリスルフォン(UCC社製、P−1700)、ポリエーテルスルホン(ICI社製、4100G)
(無電解めっき)
下表に示すアトテック社製無電解めっきプロセスを用いて行った。
<無電解めっき条件>
【0045】
【表1】
(接着強度の測定)
IPC―TM−650−method.2.4.9に従い、パターン幅3mm、剥離角度90度、剥離速度50mm/minで測定した。
【0046】
(プレッシャークッカー試験)
121℃、100%RH、96時間、の条件下で試験を行った。
【0047】
(表面粗さの測定)
光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0048】
(実施例1〜8)
厚み50μmの熱可塑性樹脂フィルムの片面に熱ロールラミネートにより銅箔を圧着した。銅箔にはジャパンエナジー製18μm圧延銅箔BHY−22B−T(Rz値:1.72μm)を使用した。続いてラミネートした銅箔を塩酸/塩化第二鉄系エッチャントで完全に除去し、表面処理された熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する本発明の積層体を得た。表面処理された表面粗度の測定を行った。
続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表2にしめす。
【0049】
(比較例1〜3)
実施例3,4,8において表面処理をしない熱可塑性樹脂フィルムを用いた以外は同じにして実験したところ接着性は1N/cm以下となり、非常に低かった。その結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
この結果から、本発明の積層体では適度に小さな粗化表面上に4N/cm以上の高い接着性を有する無電解めっき層を形成できる事がわかった。
【0051】
(実施例9〜16)
実施例1と同様に銅箔をエッチャントで取り除く処理を行い、しかる後にその表面層を溶剤処理で除去した。除去に用いた溶剤の種類と処理時間は表2にしめした。この様な処理を行った熱可塑性フィルムに対して実施例1と同じ方法で、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度を測定した。その結果を表3にしめす。
【0052】
【表3】
この結果から、本発明の積層体では適度に小さな粗化表面上に5N/cm以上の高い接着性を有する無電解めっき層を形成できる事がわかった。
【0053】
(実施例17〜23)
表面粗度の異なる7種類の銅箔(オーリンXTF(Rz=3.34)、三井金属3EC−VLP(Rz=4.61)、三井金属TQ−VLP(Rz=1.91)、ジャパンエナジーBHY−22B−T(Rz=1.72)、ジャパンエナジーAM−FN(Rz=3.69)、古河電工FO−WS(Rz=1.93)、古河電工F2WS(Rz=3.17))を用いて、実施例16と同じ方法で銅箔積層、エッチングによる除去を行い、液晶ポリマー表面に凹凸を作製した。これを過マンガン酸塩デスミヤ液(アトテック株式会社製過マンガン酸デスミアシステム)に浸漬して処理した。処理方法は以下の通りである。
【0054】
(過マンガン酸デスミア条件)
【表4】
【0055】
【表5】
次に、表面処理を施した表面の凹凸を測定した。続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ9μmの銅層を形成し、その常温での接着強度を測定した。それらの結果を表5にしめす。
Rz値に換算した液晶ポリマー表面の凹凸は用いた銅箔自体のRz値の60〜70%になっていた。接着強度は表面凹凸の大きいほど大きくなる傾向があり本発明の方法で処理することによっていずれも優れた接着性を持つ銅層が形成できた。
次に、形成した9μmの厚さの銅層を用いてエッチングにより、ライン/スペース=25/25(μm)の回路を作製した。具体的には、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが25/25レジストパターンを形成した。こうして作製したパターンをもちいて通常のサブトラクティブ法(薬品名:塩化第二鉄)により回路を形成した。
【0056】
その結果いずれの試料においても良好な回路形成が可能で、この結果から表面粗度が3μm以下の表面粗度の場合には、ライン/スペースが25/25(μm)の微細回路が形成できる事が分かった。
【0057】
(実施例24)
実施例17と同じ方法で液晶ポリマー表面に凹凸を形成し、有機アルカリ溶液で表面処理した。有機アルカリ化合物を用いた表面処理は、水酸化カリウム/エタノールアミン/水を重量比2/5/1で混合した混合液に30℃5分間浸漬し、十分水洗することにより行った。続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ9μmの銅層を形成し、その常温での接着強度を測定した。その結果、接着強度は8N/cmであり、良好な接着性を示した。
【0058】
(実施例25)
実施例17と同じ方法で液晶ポリマーフィルム(25μm)の両面に凹凸を形成した。
次に、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmのフィルムを貫通するビアホールを形成し、実施例17と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に銅めっき層を形成した。次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが15/15のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有していた。また、回路パターンは8N/cmの強さで強固に接着していた。
【0059】
【発明の効果】
本発明の表面処理を施した熱可塑性樹脂材料を用いて作製したプリント配線板は高密度配線が可能で、接着性とその耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器等に広く使用される、熱可塑性樹脂材料であって、熱可塑性樹脂材料の表面に無電解めっき皮膜を形成した場合、その表面粗度が小さいにもかかわらず、4N/cm以上の接着強度を発現するような熱可塑性樹脂材料に関する。さらに詳しくは、該熱可塑性樹脂材料をプリント配線板の製造法に関し、詳しくはビアホール形成工程、デスミヤ工程など、通常のプリント配線板の製造プロセスが適用可能であり、さらに接着性、環境安定性に優れた、高密度フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB(Tape Automated Bonding)用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF(Chip On Film)基板、MCM(Multi Chip Module)基板、等に好適にしようできる熱可塑性樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に回路を形成したプリント配線板が、電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられ、近年の電子機器の小型化、高機能化の要求に伴い、その様なプリント配線板には、回路の高密度化や薄型化が強く望まれている。特にライン/スペースの間隔が25μm/25μm以下であるような微細回路形成方法の確立はプリント配線板分野の重要な課題である。
【0003】
通常プリント配線板においては、基板となる高分子フィルムと回路との間の接着はアンカー効果と呼ばれる表面の凹凸によって達成されている。そのため一般にフィルム表面を粗化する工程が設けられ、通常その表面にはRz値換算で4〜5μm程度の凹凸がつけられる。この様な基板表面の凹凸は形成される回路のライン/スペースの値が30/30μm以上である場合には問題とならないが、30/30μm以下、特に25/25μm以下の線幅の回路形成には重大な問題となる。その理由はこの様な高密度の細線である回路線が基盤表面の凹凸の影響をうけるためである。従って、ライン/スペースの値が25/25μm以下の回路の形成には、表面平滑性の高い高分子基板への回路形成技術が必要となり、その平面性はRz値換算で3μm以下、さらに望ましくは2μm以下である必要がある。しかし、一般的にこの場合には、接着力として上記アンカー効果は期待できなくなり、接着強度の向上は見込めないと考えられている。例えば、樹脂表面を粗化する方法として、エポキシ系樹脂表面の粗化表面に無電解めっきさせる方法が開示されている。しかし、表面粗度Rzが3μm以上であれば良好に接着するが、3μm以下、特に1μm程度では3N/cm程度の接着性を示すのみであり、従来のフィルム表面を粗化する方法では、アンカー効果を期待するには、表面粗度が大きいことが必要と考えられてきた。そこで、別の接着方法の開発が必要となった。
【0004】
一方、回路基板にはより高密度の微細配線が求められると同時に、高温高湿などのより厳しい環境下での安定性が求められるようになってきており、特に高分子フィルムと回路配線の接着性についても高温・高湿の環境に耐えることが要求されている。
【0005】
さらに、、両面プリント配線板や多層プリント配線板のような場合には、配線板の両面を導通させるビアホールの形成が不可欠である。そのため、その様なプリント配線板は通常、レーザーによるビアホール形成工程、デスミヤ工程、触媒付与工程、無電解めっき銅を施す工程、等を経て回路形成がおこなわれる。
【0006】
さらに、回路形成はエッチングによるいわゆるサブトラクティブ法により行われる場合や、レジスト膜を形成する工程、無電解めっき膜が露出している部分への電解銅めっき工程、レジスト被膜の除去工程、余分な無電解銅めっき皮膜のエッチング工程から成る、いわゆるセミアディティブ法により製造される場合もある。したがって、配線回路と高分子フィルム間の接着性はこれらのプロセスに耐えるものである必要がある事は言うまでもない。
【0007】
このように、フィルムの表面粗度の小さい場合において、煩雑な方法をとらないでも充分な接着強度が得られ、しかも、高温・高湿の環境においても接着強度を維持することができ、かつ配線板の製造工程に耐えうる材料はこれまで見出されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−198907
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を改善するために成されたもので、その目的とするところは、(1)従来よりも小さな表面粗度を有する熱可塑性樹脂材料で、(2)無電解めっきを形成した場合、4N/cm以上の接着強度を発現出来、接着安定性に優れたプリント配線板を提供する事、(2)表面粗度が小さいことに由来し微細な回路配線を形成できる事、である
本発明者らは、上記した問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの条件を満足する、表面処理を施した熱可塑性樹脂材料とそれらを用いたプリント配線板の製造方法を開発し本発明に至った。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂を用いる事により、高密度で耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の新規な熱可塑性樹脂材料およびその製造方法、該熱可塑性樹脂材料を用いたプリント配線板の製造方法に関し、これにより上記課題を解決しうる。
1)表面の十点平均表面粗さRzが3μm以下であって、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合4N/cm以上の接着強度を有する表面処理が施されたことを特徴とする熱可塑性樹脂材料。
2)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂材料の表面に凹凸を形成する表面処理であることを特徴とする1)記載の熱可塑性樹脂材料。
3)前記表面処理が、熱可塑性樹脂材料に粗化表面を有する金属箔とを積層し、該金属箔を除去することにより表面に凹凸を形成する処理であることを特徴とする2)記載の熱可塑性樹脂材料。
4)前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する処理であることを特徴とする1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
5)前記表面処理が、2)記載の表面処理と4)記載の表面処理を併用することを特徴とする1)記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
6)前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、から選ばれた少なくとも一種類である1)〜5)記載の熱可塑性樹脂。
7)前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
【0011】
【化2】
(式中、Xは、0以上、1未満の任意の数、Yは0以上、1未満の任意の数を示す)、で表される構造を有する樹脂である1)〜5)記載の熱可塑性樹脂材料。
8)1)〜7)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂材料を用いてなるプリント配線板の製造方法。
9)少なくとも無電解めっき銅を施す工程を含む8)記載のプリント配線板配線板の製造方法。
10)少なくとも熱可塑性樹脂材料を貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含む9)記載のプリント配線板配線板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。まず、本発明に係る、熱可塑性樹脂材料について説明する。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂材料は種々形態をとることができ、成形体、単層フィルム、または支持体上に熱可塑性樹脂からなる層を形成した積層体等を取ることができる。本発明の一つであるプリント配線板に適用する為には熱可塑性樹脂からなる単層フィルムまたは積層体であることが好ましい。積層体の場合、支持体は非熱可塑性フィルムであることが耐熱性、寸法安定性、界面の密着性等の観点より好ましく使用される。
熱可塑性樹脂材料として、フィルムを製造する為には幾つかの方法が考えられる。熱可塑性樹脂が溶媒に不溶性である場合は、加熱融解した樹脂をフィルム状に押し出して成型すればよい。また、熱可塑性ポリイミドが溶媒溶解性を示す場合、一度熱可塑性樹脂を粉体状、繊維状、フィルム状の形態で得た後、溶媒に溶解した熱可塑性樹脂溶液を支持体上にフィルム状に流延塗布すれば良い。上記支持体に銅箔を用いた場合、銅箔は、支持体として利用できるとともに、その後、後述する表面処理を、熱可塑性樹脂に施す際にも利用することができるので、好ましく用いることができる。
【0014】
積層体を形成する方法としては、予め熱可塑性樹脂のフィルムを製造した後、非熱可塑性フィルムにプレス加工、ラミネート加工等の公知の積層方法で積層体を得ることも可能である。
【0015】
上記種々の方法で得られるフィルムは、公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤や酸化防止剤を添加してもよく、またコロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理、等の公知の物理的表面処理や、プライマー処理等の化学的表面処理を施せば、さらに良好な特性を付与することができる。
【0016】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶高分子などを挙げることが出来る。
また、前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)
【0017】
【化3】
(式中、Xは、0以上、1未満の任意の数、Yは0以上、1未満の任意の数を示す)、で表される構造を有する樹脂であることがプリント配線板用途に必要とされる耐熱性が高い点から好ましい。一般式(1)で表される構造は50%以上含まれていることが好ましい。
【0018】
次に本発明の熱可塑性樹脂への表面処理の方法について説明する。本発明の表面処理を行った熱可塑性樹脂は、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合、該皮膜と強固に接着し、具体的には4N/cm以上の接着強度を有するものであり、熱可塑性樹脂材料に適切な表面処理方法を施すことにより、従来よりも表面粗度の小さな表面を有する樹脂材料であるにもかかわらずに強固に無電解めっき皮膜を接着させることが可能となった。前記、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合の接着強度とは、パラジウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボンなどを用いるダイレクトプレーティングのいずれかの方法を用いて無電解銅めっきを施し次いで電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成した場合の強度をいう。
【0019】
本発明の表面処理の方法としては幾つかの適切な方法とそれらの組み合わせが有効である。それらを具体的に説明する。
【0020】
先ず、熱可塑性樹脂表面に凹凸を形成する表面処理が挙げられる。凹凸面の粗度を大きくするほど無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向があるが、すでに述べた様に配線の高密度化には好ましくない。しかし、本発明者らによって、熱可塑性樹脂材料の表面に凹凸を形成する表面処理を施すことで、従来よりも小さな表面粗度を有する樹脂材料であっても、無電解めっき皮膜を形成した場合、強固に接着できるものでることが見出された。従って、配線を強固に接着する事と配線の微細化を同時に実現でき、プリント配線板の高密度化要求に応えられるものである。
【0021】
具体的な凹凸形成方法として、熱可塑性樹脂材料と粗化表面を有する金属箔とを積層し、金属箔を除去することによる表面処理方法が挙げられる。金属箔は公知の金属箔を用いることができ、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔等が挙げられるが工業的に広く一般的に用いられている銅箔はコスト的にも種類の豊富さの面でも有利であり、好ましく使用できる。本金属箔は熱可塑性樹脂材料の表面に粗化表面を形成する目的で使用され、熱可塑性樹脂材料と金属箔を熱プレス加工、熱ラミネート加工等公知の方法で積層し、該金属箔を物理的に引き剥がす、金属箔を溶解させる等の方法により除去する、ことにより熱可塑性樹脂材料の表面に粗化表面が形成される。従って、金属箔の少なくとも一方の表面に粗化表面を有することが必要である。
【0022】
金属箔の粗化表面の粗度は熱可塑性樹脂と無電解めっき皮膜との接着強度の大きさと配線のピッチの細かさに影響を与える。即ち、金属箔の粗度が大きいと、熱可塑性樹脂表面に形成される凹凸面の粗度も大きくなり、無電解めっき皮膜との接着強度も大きくなる傾向がある。しかし、前述のように大きな粗度は配線の高密度化には好ましくない。
具体的には金属箔の粗化表面の表面粗度Rz(十点平均表面粗さ)が4μm以下、好ましくは3m以下であることが好ましく、これにより熱可塑性樹脂表面に形成された凹凸面の表面粗度Rzは3m以下とすることが可能になるので、ライン/スペースが25μm/25μm以下の微細な配線形成が可能であり、しかも接着強度は4N/cm以上となり好ましい。銅箔の種類には電解銅箔と圧延銅箔が広く利用されており、何れも樹脂との接着強度を上げる目的で少なくとも片面に粗化表面、即ちマット面を有する。このマット面の大きさは銅箔の製品により各種入手可能であるが、圧延銅箔のマット面は比較的表面粗度Rzが小さく本発明の目的には特に好ましく用いられる。
【0023】
熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する別の方法として、エンボス加工、サンドブラスト加工、研磨加工も好ましく使用できる。エンボス加工では表面に凹凸を形成した金属材料に熱可塑性樹脂材料を接触させることにより、樹脂表面に凹凸を形成する。この際、加熱、加圧を伴なうことが好ましく、この意味で熱可塑性樹脂を用いる事が好ましい。
【0024】
また、本発明の表面処理として、熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理も好ましく適用できる。この表面処理方法は熱可塑性樹脂の表面の適度な厚みを溶解させることを目的としており、それにより無電解めっき皮膜との接着性を高めることが可能である。この事はこの表面処理により、樹脂表面に凹凸が形成されるか、および/または、熱可塑性樹脂の表層を溶解により除去することにより化学構造の変化が生じ、無電解めっきとの接着性に良い影響を与えると推察している。ここで「一部除去する」とは熱可塑性樹脂の表層全体が均一に除去される状態、または表層が不均一に、即ち島状に除去されるまたは島状に表層が残る状態を表わしている。
【0025】
具体的に熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理としては、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線、レーザー、RIE等の気相で処理する方法、また熱可塑性樹脂を溶解する液体により処理する液相処理が挙げられる。これらの処理には、熱可塑性樹脂表面に微小な凹凸面を形成し強固に無電解めっき皮膜を接着する効果があるとともに、樹脂表面を化学的に活性化させる効果がある。これらの処理のうち、コロナ放電、大気圧プラズマ、真空プラズマ、電子線の気相で処理する方法、および液相処理する方法が工業的に簡便であり好ましく実施される。また、溶剤による液相処理は熱可塑性樹脂を溶解または膨潤させ、本発明の目的を達成するものであれば特に限定されない。具体的には広く工業的に、特にプリント配線板製造におけるデスミア工程やエッチングに使用されている過マンガン酸塩、有機アルカリ化合物を含む水溶性液体、あるいはそれぞれの熱可塑性樹脂を溶解させる能力のある有機溶剤等が好ましく使用される。
【0026】
以上、熱可塑性樹脂の表面処理方法について、「熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」、「熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理」に分けて、説明したが、これらを組み合わせることによりより一層接着強度向上の効果がある。具体的には「熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と「熱可塑性樹脂の表層を一部除去する表面処理」を併用することであり、種々組み合わせに効果がある。この中で「熱可塑性樹脂の表面に凹凸を形成する表面処理」と熱可塑性樹脂を溶解させる液相処理を併用する事は特に好ましく用いられ、その中でも金属箔を用いて凹凸を形成する表面処理を行った熱可塑性樹脂表面を過マンガン酸塩または有機アルカリ化合物、あるいは有機溶剤で処理することは特に効果的である。
【0027】
これらの処理により得られる熱可塑性樹脂の表面粗度は微細配線を形成する観点より、表面粗度Rzが3μm以下であることが好ましい。表面が平滑であることはライン/スペース25/25μm以下の高密度回路を形成するのに好適であり、エッチング工程において樹脂表面の凹凸にエッチング残りが生じない点からも好適である。RzはJIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計やB0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0028】
熱可塑性樹脂材料の表面に、このような表面処理を用いることにより、従来よりも小さな粗化表面に強固に無電解めっき皮膜を接着することを実現でき、またプレッシャークッカーテスト後にも優れた接着強度を実現できる。さらにプリント配線板における微細配線形成が可能になる。
【0029】
次に本発明の熱可塑性樹脂を用いた配線板の製造方法について述べる。
【0030】
まず、「片面に表面処理を施した熱可塑性樹脂フィルム」における配線板の製造法を説明する。第一のプリント配線板の製造方法では、表面処理を施した熱可塑性樹脂材料表面に無電解めっき金属層を施す。この無電解めっきは、パラジウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらに無電解めっき層上にレジスト膜を形成し、露光、エッチングにより回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっき法により回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。ここで無電解めっき皮膜は公知の方法で形成することができ、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきが好ましく使用され、無電解銅めっきが最も好ましく用いられる
この方法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。まず上記と同様に、表面処理を施した熱可塑性樹脂材料表面に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅を施し、電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光工程、現像により回路の形成しない部分のレジスト膜を除去し、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き、回路を形成する。
【0031】
次に、「両面に表面処理を施した熱可塑性樹脂フィルム」の場合の配線板の製造方法ついて説明する。第一のプリント配線板の製造方法では、まず熱可塑性樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いた穴開け法によって行う。小さなビアホールを形成する場合レーザーを用いた穴開け法が好ましく使用される。ビアホールを形成後、ビアホール内部および周辺に出来た樹脂分解物や熱による炭化物を主成分とするスミヤを除去するデスミア工程を実施する。このデスミア工程は公知の方法を利用でき過マンガン酸塩を用いるウェットプロセスやプラズマ等のドライデスミアを用いることも可能である。次に、熱可塑性樹脂材料表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。上記と同様にこの無電解めっきは、パラジュウム触媒を用いる化学めっきあるいはパラジウム、カーボン等を用いるダイレクトプレーティングを用いることができる。さらにレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき層が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。この回路形成法はセミアディティブ法と呼ばれる方法である。第二のプリント配線板の方法は以下のように行われる。すなわち、まず、両面に表面処理を施した熱可塑性樹脂材料を貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ工程を経て、熱可塑性樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅層を形成する。次に電解めっき銅によりパネルめっきを施して、両面をビアホールによって電気的に接続し、次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0032】
次に、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/金属箔層」からなるフィルムを用いた場合のプリント配線板の製造法についてのべる。第一のプリント配線板の製造方法では、熱可塑性樹脂材料を貫通して金属箔層にいたる/または貫通するビアホールを形成する。ビアホールの形成は炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザー、パンチング、ドリリング等を用いる。ビアホール形成後、熱可塑性樹脂表面およびビアホール内部をデスミアする。次に熱可塑性樹脂表面およびビアホール内部に無電解めっき銅を施す。次に無電解めっき銅上にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に無電解めっき膜が露出する部分を給電電極として使用して電解銅によるパターンめっきを行い、回路を形成する。ついでレジスト部分を取り除き不要部分の無電解めっき層をエッチングにより取り除いて回路を形成する。第二のプリント配線板の製造方法は以下のように行われる。すなわち、まず、熱可塑性樹脂材料を貫通して金属銅箔にいたる/または貫通するビアホールを形成する。次に上記と同様にデスミヤ、無電解めっき銅層を形成する。次に無電解めっき銅層に電解めっき銅を施して、両面がビアホールによって電気的に接続された積層体を作製する。次に電解銅めっき層表面にレジスト膜を形成し、露光、現像により回路の形成を予定しない部分のレジスト被膜を取り除き、次にエッチングにより不要な金属層を取り除き回路を形成する。
【0033】
本発明においては必要に応じて、本発明の熱可塑性樹脂と他の支持体や接着剤との組み合わせて得た種々の積層体を用いる事が出来る。具体的には「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層」からなる2層構造の積層体、あるいは「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/表面処理を施した熱可塑性樹脂材料」、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/金属箔層」、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体、などである。
【0034】
この様な積層体における熱可塑性層の厚さは、回路基板として低熱膨張性、耐熱性、電気特性等種々の優れた特性を持つ非熱可塑性フィルムの物性を生かすために非熱可塑性フィルムより薄い事が好ましく、更には熱可塑性層の厚さは非熱可塑性層の1/2以下がより好ましく、特に好ましくは1/5以下である。非熱可塑性フィルムの厚み、形成する熱可塑性層の表面粗度Rzの大きさ、熱可塑性層の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整可能である。
【0035】
この様な積層体における金属箔層としては、凹凸の形成された銅箔の直接接着された物でも良く、あるいは適当な接着剤を介して銅箔と張り合わされた様な形態でも良い。接着剤を介してフィルムと銅箔を積層する方法は、熱ラミネート、熱プレス等公知の方法が使用できる。
この様な積層体における接着層としては通常の接着性樹脂が用いられ、適当な樹脂流れ性を有し、強固な接着性を実現できるものであれば公知の技術を適用することができる。この接着層に用いられる樹脂としては、大きくは、熱可塑性樹脂を用いた熱融着性の接着剤、熱硬化樹脂の硬化反応を利用した硬化型接着剤、の二種類を使用する事ができる。このような本発明の積層体に用いる接着剤として、接着性、加工性、耐熱性、柔軟性、寸法安定性、低誘電特性、価格、等の観点からポリイミド樹脂やエポキシ樹脂系、シアナートエステル樹脂系、あるいはこれらをブレンドして用いたものを好ましく使用できる。
【0036】
例えば、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」からなる積層体の場合、まず接着層と回路形成した配線板の回路面を対向させ加熱および/または加圧を伴った方法で積層し、あとはすでに述べた手法と同様に回路を形成すれば良い。
【0037】
以上幾つかの例を挙げて説明した様に、本発明の熱可塑性樹脂材料の表面処理は、熱可塑性樹脂材料または各種積層体において予め行っておいてもよく、プリント配線板の製造工程中に行っても良い。
【0038】
例えば、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」からなる3層構造の積層体を用いてプリント配線板を製造する場合、「金属箔/熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/接着層」なる構成の積層体を接着層を内層回路を有する内層基板と対向させ、積層した後、金属箔をエッチング等の方法で除去し、熱可塑性樹脂への表面処理」からなる積層体とすればよい。また、別の例としては、「表面処理を施した熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/表面処理を施した熱可塑性樹脂材料いてプリント配線板を製造する場合、「表面処理を行っていない熱可塑性樹脂材料/非熱可塑性フィルム層/熱可塑性樹脂材料」なる構成の積層体に対し、レーザー、パンチング、ドリリング等の方法で積層体を貫通するヴィアホールを形成した後、例えば過マンガン酸溶液による表面処理を実施し、熱可塑性ポリイミド樹脂への表面処理が行われることとなる。この場合、ヴィアホールのデスミアが表面処理と同時に行われることとなり好ましく実施される。
【0039】
すなわち、本発明の表面処理実施のタイミングは本発明の熱可塑性樹脂材料および各種形態の積層体の権利の範囲を限定するものではなく、いずれかのタイミングで熱可塑性樹脂への表面処理が実施される事が重要であり、このことにより、良好な接着強度が発現する事が本発明にとって重要である。
【0040】
また、本発明のプリント配線板の製造方法においは所望するプリント配線板の仕様等から要請される必要性に応じ工法、プロセス条件を適宜選択することは可能であり、またその他の公知の技術を組み合わせることも可能であり、全て本発明のプリント配線板の製造方法の範疇に含まれる。
【0041】
即ち、ビアホール形成は公知の炭酸ガスレーザーやUV−YAGレーザーやエキシマレーザー、パンチング、ドリリング等を用いることが可能であり、また、デスミア工程は過マンガン酸塩、有機アルカリ溶液等を用いたウェットプロセス、プラズマを利用したドライプロセス等が適用可能であるが、本発明の各種積層体はプリント配線板製造プロセスにおいて一般的な過マンガン酸塩を用いたデスミアプロセスに対する耐久性を有しており好ましく使用でき、また無電解めっきの種類としてはパラジウム等の貴金属の触媒作用を利用した化学めっき、更には析出する金属の種類としては銅、ニッケル、金等が使用可能である、あるいはパラジウム、カーボン、有機マンガン導電皮膜、導電性高分子を用いたダイレクトプレーティング等を適用可能であり、またレジストは液状レジストやドライフィルムレジスト等が適用可能であり、特に取扱い性に優れたドライフィルムレジストは好ましく使用可能であり、また、セミアディティブ法で回路形成する場合の給電層除去為のエッチングにはプロセスで用いる無電解めっきの種類により適宜選択され、無電解めっきが銅である場合、硫酸/過酸化水素、過硫酸アンモニウム/硫酸系エッチャントが好ましく使用され、また、無電解めっきがニッケル、金等の場合、それらを選択的にエッチングできるエッチャントの使用も好ましい。
【0042】
以上、述べた様に本発明の製造方法を用いることにより、デスミヤ工程や無電解めっき工程などの通常の製造工程が適用出来、ライン/スペースが25μm/25μm以下であるような高密度回路形成が可能で、優れた接着性と高温・高湿、等の厳しい環境における高い接着信頼性を持つプリント配線板を得る事ができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、及び改変を行い得る。なお、実施例に用いた熱可塑性樹脂、非熱可塑性フィルム、積層体の作製、接着層の作製、無電解めっき、各種測定・評価は以下通りである。
【0044】
(熱可塑性樹脂)
代表的な熱可塑性材料として、以下の8種類の代表的な熱可塑性材料の市販ペレット材料を熱プレス法によりフィルム化した。
ポリアリレート(ユニチカ(株)製Uポリマー)、ポリアミドイミド(三菱化成(株)社製Torlon)、ポリエーテルイミド(GE社製、Ultem)、ポリアセタール(ポリプラスチック(株)製、ジュラコン)、液晶ポリマー(ベクトラ)(ポリプラスチック(株)製)、芳香族ポリエステル(住友化学社製、S200)、ポリスルフォン(UCC社製、P−1700)、ポリエーテルスルホン(ICI社製、4100G)
(無電解めっき)
下表に示すアトテック社製無電解めっきプロセスを用いて行った。
<無電解めっき条件>
【0045】
【表1】
(接着強度の測定)
IPC―TM−650−method.2.4.9に従い、パターン幅3mm、剥離角度90度、剥離速度50mm/minで測定した。
【0046】
(プレッシャークッカー試験)
121℃、100%RH、96時間、の条件下で試験を行った。
【0047】
(表面粗さの測定)
光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて熱可塑性ポリイミド樹脂表面の10点平均粗さを測定した。
【0048】
(実施例1〜8)
厚み50μmの熱可塑性樹脂フィルムの片面に熱ロールラミネートにより銅箔を圧着した。銅箔にはジャパンエナジー製18μm圧延銅箔BHY−22B−T(Rz値:1.72μm)を使用した。続いてラミネートした銅箔を塩酸/塩化第二鉄系エッチャントで完全に除去し、表面処理された熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する本発明の積層体を得た。表面処理された表面粗度の測定を行った。
続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度、プレッシャークッカー試験後の接着強度を測定した。その結果を表2にしめす。
【0049】
(比較例1〜3)
実施例3,4,8において表面処理をしない熱可塑性樹脂フィルムを用いた以外は同じにして実験したところ接着性は1N/cm以下となり、非常に低かった。その結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
この結果から、本発明の積層体では適度に小さな粗化表面上に4N/cm以上の高い接着性を有する無電解めっき層を形成できる事がわかった。
【0051】
(実施例9〜16)
実施例1と同様に銅箔をエッチャントで取り除く処理を行い、しかる後にその表面層を溶剤処理で除去した。除去に用いた溶剤の種類と処理時間は表2にしめした。この様な処理を行った熱可塑性フィルムに対して実施例1と同じ方法で、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ18μmの銅層を形成し、その常温での接着強度を測定した。その結果を表3にしめす。
【0052】
【表3】
この結果から、本発明の積層体では適度に小さな粗化表面上に5N/cm以上の高い接着性を有する無電解めっき層を形成できる事がわかった。
【0053】
(実施例17〜23)
表面粗度の異なる7種類の銅箔(オーリンXTF(Rz=3.34)、三井金属3EC−VLP(Rz=4.61)、三井金属TQ−VLP(Rz=1.91)、ジャパンエナジーBHY−22B−T(Rz=1.72)、ジャパンエナジーAM−FN(Rz=3.69)、古河電工FO−WS(Rz=1.93)、古河電工F2WS(Rz=3.17))を用いて、実施例16と同じ方法で銅箔積層、エッチングによる除去を行い、液晶ポリマー表面に凹凸を作製した。これを過マンガン酸塩デスミヤ液(アトテック株式会社製過マンガン酸デスミアシステム)に浸漬して処理した。処理方法は以下の通りである。
【0054】
(過マンガン酸デスミア条件)
【表4】
【0055】
【表5】
次に、表面処理を施した表面の凹凸を測定した。続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ9μmの銅層を形成し、その常温での接着強度を測定した。それらの結果を表5にしめす。
Rz値に換算した液晶ポリマー表面の凹凸は用いた銅箔自体のRz値の60〜70%になっていた。接着強度は表面凹凸の大きいほど大きくなる傾向があり本発明の方法で処理することによっていずれも優れた接着性を持つ銅層が形成できた。
次に、形成した9μmの厚さの銅層を用いてエッチングにより、ライン/スペース=25/25(μm)の回路を作製した。具体的には、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが25/25レジストパターンを形成した。こうして作製したパターンをもちいて通常のサブトラクティブ法(薬品名:塩化第二鉄)により回路を形成した。
【0056】
その結果いずれの試料においても良好な回路形成が可能で、この結果から表面粗度が3μm以下の表面粗度の場合には、ライン/スペースが25/25(μm)の微細回路が形成できる事が分かった。
【0057】
(実施例24)
実施例17と同じ方法で液晶ポリマー表面に凹凸を形成し、有機アルカリ溶液で表面処理した。有機アルカリ化合物を用いた表面処理は、水酸化カリウム/エタノールアミン/水を重量比2/5/1で混合した混合液に30℃5分間浸漬し、十分水洗することにより行った。続いて、無電解銅めっきおよび電解銅めっきを行い厚さ9μmの銅層を形成し、その常温での接着強度を測定した。その結果、接着強度は8N/cmであり、良好な接着性を示した。
【0058】
(実施例25)
実施例17と同じ方法で液晶ポリマーフィルム(25μm)の両面に凹凸を形成した。
次に、UV−YAGレーザーを用いて内径30μmのフィルムを貫通するビアホールを形成し、実施例17と同一条件の過マンガン酸デスミヤ処理によりビアホールのスミア除去と熱可塑性ポリイミド樹脂表面の表面処理を同時に行った。次に、無電解めっきを行い熱可塑性ポリイミド樹脂表面、およびビアホール内部に銅めっき層を形成した。次に、液状感光性めっきレジスト(日本合成ゴム(株)社製、THB320P)をコーティングし、次いで高圧水銀灯を用いてマスク露光を行い、ライン/スペースが15/15のレジストパターンを形成した。続いて、電解銅めっきを行って、無電解銅めっき皮膜が露出する部分の表面に、銅回路を形成した。電解銅めっきは10%硫酸中で30秒間予備洗浄し、次に室温中で40分間めっきを行なった。電流密度は2A/dm2である。電解銅膜の厚さは10μmとした。次にアルカリ型の剥離液を用いてめっきレジストを剥離し、硫酸/過酸化水素系エッチャントで無電解銅めっき層を除去しプリント配線板を得た。
得られたプリント配線板は設計値通りのライン/スペースを有していた。また、回路パターンは8N/cmの強さで強固に接着していた。
【0059】
【発明の効果】
本発明の表面処理を施した熱可塑性樹脂材料を用いて作製したプリント配線板は高密度配線が可能で、接着性とその耐環境安定性に優れたフレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板を積層した多層フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板と硬質プリント配線板を積層したリジッド・フレックス配線板、ビルドアップ配線板、TAB用テープ、プリント配線板上に直接半導体素子を実装したCOF基板、MCM基板、等を製造できる。
Claims (10)
- 表面の十点平均表面粗さRzが3μm以下であって、その表面に無電解めっき皮膜を形成した場合4N/cm以上の接着強度を有する表面処理が施されたことを特徴とする熱可塑性樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂材料の表面に凹凸を形成する表面処理であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性樹脂材料に粗化表面を有する金属箔とを積層し、該金属箔を除去することにより表面に凹凸を形成する処理であることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性樹脂材料。
- 前記表面処理が、熱可塑性ポリイミド樹脂の表層を一部除去する処理であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記表面処理が、請求項2記載の表面処理と請求項4記載の表面処理を併用することを特徴とする、請求項1記載の熱可塑性ポリイミド樹脂材料。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、から選ばれた少なくとも一種類である請求項1〜5記載の熱可塑性樹脂。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂材料を用いてなるプリント配線板の製造方法。
- 少なくとも無電解めっき銅を施す工程を含む請求項8記載のプリント配線板配線板の製造方法。
- 少なくとも熱可塑性樹脂材料を貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホール内部に無電解めっき銅を施す工程と、電解めっき銅を施す工程、を含む請求項9記載のプリント配線板配線板の製造方法。
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