JP2011061080A - 積層板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリイミド基板と金属層との密着性を向上させて、安価で高品質な積層板を提供することが可能な積層板の製造方法を提供する。
【解決手段】本積層板の製造方法では、ポリイミド基板Sの表面に表面処理層(アルカリ処理層)3を形成するアルカリ処理工程(ステップ2)を行った後、表面処理層(アルカリ処理層)3に触媒を付与する触媒付与工程(ステップ4)を行う前に、ポリイミド基板Sの熱処理を行う熱処理工程(ステップ3)を行う。
【選択図】図2
【解決手段】本積層板の製造方法では、ポリイミド基板Sの表面に表面処理層(アルカリ処理層)3を形成するアルカリ処理工程(ステップ2)を行った後、表面処理層(アルカリ処理層)3に触媒を付与する触媒付与工程(ステップ4)を行う前に、ポリイミド基板Sの熱処理を行う熱処理工程(ステップ3)を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、ポリイミド基板に金属層を形成した金属とポリイミドの積層板の製造方法に関する。
フレキシブル金属積層板は、主として、可撓性を有するプリント配線板用の基材として使用されている。近年、プリント配線板を使用した電子機器の小型化、高密度化の傾向が加速しており、プリント配線板のファインピッチ化や高誘電特性化の要求が高まってきている。そのため、基材と金属層とからなる2層構造で、接着剤を用いないフレキシブル金属積層板の開発が盛んに進められている。
特に、スパッタ蒸着や無電解めっきにより金属層を形成する方法が、ファインピッチ化に適した製造方法として検討されている。
また、ポリイミド上に形成される金属層の材料として、導電性に優れ、比較的安価な材料である銅が主として用いられる。ただし、銅をポリイミド上に直接形成した場合、銅とポリイミドとの界面において、経時変化によって銅とポリイミドとの密着性が大幅に低下することが知られている。よって、銅とポリイミドとの間に、中間層として銅以外の金属を用いるのが一般的である。例えば、中間層として用いられる銅以外の金属として、ニッケルが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリイミド上に形成される金属層の材料として、導電性に優れ、比較的安価な材料である銅が主として用いられる。ただし、銅をポリイミド上に直接形成した場合、銅とポリイミドとの界面において、経時変化によって銅とポリイミドとの密着性が大幅に低下することが知られている。よって、銅とポリイミドとの間に、中間層として銅以外の金属を用いるのが一般的である。例えば、中間層として用いられる銅以外の金属として、ニッケルが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリイミド基板/ニッケル/銅という構造において、密着性を改善するために、ニッケルの無電解めっきの前に熱処理を施す方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来の方法によって製造したフレキシブル金属積層板においては、高密度の配線を形成してFPC等に用いる各種配線基板を作製すると、ポリイミド基板から金属層(ニッケル)が剥離しやすいという課題を有している。
本発明の課題は、ポリイミド基板と金属層との密着性を向上させて、安価で高品質な積層板を提供することが可能な積層板の製造方法を提供することにある。
第1の発明に係る積層板の製造方法は、ポリイミド基板の表面にアルカリ処理層を形成するアルカリ処理工程と、ポリイミド基板の熱処理を行う熱処理工程と、アルカリ処理層に触媒を付与する触媒付与工程と、触媒を還元させる還元工程と、アルカリ処理層上に導電性膜層を形成する導電性膜積層工程と、導電性膜層上に金属層を形成する金属層積層工程と、を備えている。
第2の発明に係る積層板の製造方法は、第1の発明に係る積層板の製造方法であって、熱処理工程は、100℃以上、300℃以下で行われる。
第3の発明に係る積層板の製造方法は、第1の発明に係る積層板の製造方法であって、金属層積層工程は、湿式めっき法によって行われる。
第4の発明に係る積層板の製造方法は、ポリイミド基板の表面にアルカリ処理層を形成するアルカリ処理工程と、表面にアルカリ処理層が形成されたポリイミド基板の熱処理を行う熱処理工程と、アルカリ処理層上に導電性膜層を形成する導電性膜積層工程と、導電性膜層上に金属層を形成する金属層積層工程と、を備えている。
本発明に係る積層板によれば、アルカリ処理層に含まれる水分除去によってポリイミド基板と金属層との密着性を改善することができる。
本発明の一実施形態に係る積層板およびその製造方法について、図1〜図4を用いて以下に説明する。
<積層板10の構成>
本実施形態の積層板10は、図1に示すように、下層側から順に、ポリイミド基板S、表面処理層(アルカリ処理層)3、導電性膜層4および金属層5を備えている。
本実施形態の積層板10は、図1に示すように、下層側から順に、ポリイミド基板S、表面処理層(アルカリ処理層)3、導電性膜層4および金属層5を備えている。
ポリイミド基板Sは、本実施形態では、東レデュポン社製ポリイミドフィルムのカプトン150EN−Cを用いた。
表面処理層3は、ポリイミド基板S上に積層されており、アルカリ処理液によって処理されて形成されている。
表面処理層3は、ポリイミド基板S上に積層されており、アルカリ処理液によって処理されて形成されている。
導電性膜層4は、無電解めっき法によって、表面処理層3上にニッケルリン(Ni−P)が積層されて形成されている。
金属層5は、電解めっき法によって、導電性膜層4上に銅(Cu)が積層されて形成されている。
金属層5は、電解めっき法によって、導電性膜層4上に銅(Cu)が積層されて形成されている。
<積層板10の製造方法>
図2は、本実施形態の積層板10の製造方法のフローチャートであって、図3は、本実施形態の積層板10を作製するステップ毎の構成を示すものである。
図2は、本実施形態の積層板10の製造方法のフローチャートであって、図3は、本実施形態の積層板10を作製するステップ毎の構成を示すものである。
(ステップS1:前処理工程)
まず、ステップS1では、図2に示す前処理工程として、ポリイミド基板Sの表面に付着している異物、油分などを除去する。
まず、ステップS1では、図2に示す前処理工程として、ポリイミド基板Sの表面に付着している異物、油分などを除去する。
本実施形態では、主に、ポリイミド基板Sの表面の脱脂を目的として、脱脂処理を実施した。脱脂液としては、荏原ユージライト社製の脱脂液ES−100を用いた。本実施形態では、濃度70ml/l、処理時間2分、温度50℃の条件で脱脂液ES−100を使用した。
図3(a)に、この前処理工程(ステップS1)を実施した後のポリイミド基板Sの構成を示す。
なお、このステップS1の前処理工程は、本発明に必須の工程ではなく、ポリイミド基板Sの表面がきれいな状態であれば不要である。
なお、このステップS1の前処理工程は、本発明に必須の工程ではなく、ポリイミド基板Sの表面がきれいな状態であれば不要である。
(ステップS2:アルカリ処理工程)
次に、ステップS2(アルカリ処理工程)では、ポリイミド基板Sの表面をアルカリ処理する。図3(b)に、この工程を実施した後の積層板の製造過程の構成を示す。アルカリ処理には、荏原ユージライト社製アルカリ処理液ES−200を用いた。
次に、ステップS2(アルカリ処理工程)では、ポリイミド基板Sの表面をアルカリ処理する。図3(b)に、この工程を実施した後の積層板の製造過程の構成を示す。アルカリ処理には、荏原ユージライト社製アルカリ処理液ES−200を用いた。
アルカリ処理工程では、ポリイミド基板Sの表面のイミド環がアルカリ加水分解され、カルボン酸が生成される。アルカリ処理液ES−200は、濃度20ml/l、処理時間3分、温度50℃の条件で使用した。アルカリ処理に用いられるアルカリ処理液ES−200の濃度、処理時間、温度を変更することにより、アルカリ処理の程度を制御することができる。また、濃度、処理時間、温度を適切に組み合わせることで、上記条件以外でも適切な処理を行うことができる。
なお、濃度、処理時間、温度のいずれか1つの条件を、上記記載の処理条件に対して大幅に過剰な処理になる条件に設定し、残りの条件を調整することで、アルカリ処理の程度が上記記載の条件と実質的に同等になるように処理することも可能である。
(ステップS3:熱処理工程)
次に、ステップS3では、アルカリ処理された後のポリイミド基板Sの表面に熱処理を行う。なお、図3(b)に示す状態にて熱処理を施すが、この工程における構成の変化に関しての図示はしていない。
次に、ステップS3では、アルカリ処理された後のポリイミド基板Sの表面に熱処理を行う。なお、図3(b)に示す状態にて熱処理を施すが、この工程における構成の変化に関しての図示はしていない。
具体的には、ポリイミド基板Sを、温度槽内に入れて熱処理を行った。熱処理温度としては、100℃以上、300℃以下(詳細は後述する。)、熱処理時間30分で行った。
これにより、アルカリ処理層に含まれる水分が除去されることで、アルカリ処理層と導電性膜層との密着性を向上させることができる。
これにより、アルカリ処理層に含まれる水分が除去されることで、アルカリ処理層と導電性膜層との密着性を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、温度槽による熱処理を行ったので、熱処理時間は30分とした。これは、温度槽へポリイミド基板Sの出し入れが必要なため、槽内温度が安定する時間を考慮したためである。例えば、リフロー炉タイプのヒーターにて熱処理を行う場合は、熱容量が十分大きいため、熱処理時間(リフロー炉内にて250℃に保温された状態の時間)は2〜3分でよい。
(ステップS4:触媒付与工程)
次に、ステップS4では、触媒付与工程として、表面処理層3の表面に触媒の付与を行う。図3(c)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
次に、ステップS4では、触媒付与工程として、表面処理層3の表面に触媒の付与を行う。図3(c)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
触媒付与工程では、図3(c)に示すように、パラジウムを含む溶液に対してポリイミド基板Sを接触させる。パラジウムを含む溶液としては、荏原ユージライト社製の触媒液ES−300を用いた。
そして、触媒付与工程では、溶液に含まれるパラジウム錯体がポリイミド樹脂表面のカルボン酸と結合して、表面処理層3の表面に取り込まれる。触媒液ES−300は、濃度250ml/l、処理時間2分、温度60℃の条件で使用した。
なお、触媒付与量は、濃度、処理時間、温度によって変化し、各条件を適切に組み合わせることで、上記条件と異なる条件であっても同程度の触媒付与が可能である。
(ステップS5:還元工程)
次に、ステップS5では、還元工程として、表面処理層3中の表面部分にある触媒の還元処理を行う。図3(d)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
次に、ステップS5では、還元工程として、表面処理層3中の表面部分にある触媒の還元処理を行う。図3(d)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
この還元工程では、図3(d)に示すように、パラジウム錯体の還元液に、ポリイミド基板Sを接触させる。これにより、表面処理層3の表面に結合した触媒(パラジウム錯体)の一部が、還元された触媒(パラジウム)として還元される。
なお、還元工程で用いる還元溶液としては、荏原ユージライト社製の還元液ES−400を、濃度10ml/l、処理時間2分、温度55℃の条件で使用した。また、還元処理に関しても、前記の条件以外の組み合わせによっても同等の効果を得ることができる。
(ステップS6:導電性膜積層工程)
次に、ステップS6では、導電性膜積層工程として、表面処理層3上に導電性膜層4を成膜する。図3(e)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
次に、ステップS6では、導電性膜積層工程として、表面処理層3上に導電性膜層4を成膜する。図3(e)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
本実施形態においては、図3(e)に示すように、無電解めっき法によって、導電性膜層4として、ニッケルリン(Ni−P)を積層した。ニッケルリン(Ni−P)めっき液としては、荏原ユージライト社製のニッケルめっき液ES−500を用いた。ニッケルめっき液ES−500については、温度38℃、処理時間5分の条件で使用した。そして、めっき膜厚が80〜120nmの範囲で、リン濃度が1.5%程度から4%程度になるようにニッケルリン(Ni−P)膜を形成した。
(ステップS7:金属層積層工程)
最後に、ステップS7では、金属層積層工程(ステップS7)において、導電性膜層4上に金属層5を成膜する。図3(f)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
最後に、ステップS7では、金属層積層工程(ステップS7)において、導電性膜層4上に金属層5を成膜する。図3(f)に、この工程を実施した後の積層板10の製造過程の構成を示す。
本実施形態においては、湿式めっき法によって、金属層5として銅(Cu)を積層した。銅電解めっき液としては、荏原ユージライト社製の銅めっき液CU−BRITEを用いた。
以上のように、図3(a)〜図3(f)に示すように、アルカリ処理後、触媒付与前に熱処理を行うことによって、アルカリ処理層に含まれる水分が除去されることにより、積層板10におけるポリイミド基板Sと金属層5との間における密着性を向上させることができる。
<密着強度の測定>
図4は、本実施形態の積層板10における熱処理温度に対する密着強度を示すグラフである。
図4は、本実施形態の積層板10における熱処理温度に対する密着強度を示すグラフである。
密着強度は、日本電子回路工業規格(JPCA-BM01 11.5.3)に基づいて測定を行った。
密着強度は、実用性の観点から、0.45(N/mm)以上、好ましくは0.50(N/mm)が必要とされている。
密着強度は、実用性の観点から、0.45(N/mm)以上、好ましくは0.50(N/mm)が必要とされている。
熱処理なしの場合、密着強度は0.36(N/mm)と低い数値を示し、実用性に乏しいものとなっている。しかしながら、100℃以上300℃以下の熱処理を行った場合、密着強度は0.50(N/mm)以上を示している。そのため、上記熱処理工程(ステップS3)では、250℃を用いた。
ここで、熱処理温度が100℃以上の場合に良好な密着強度を示しているのは、十分な脱水効果が現れ、それによって、水分による密着強度の低下を防止しているためであると考えられる。
また、310℃以上で密着強度が急激に低下しているのは、310℃近辺にて、ポリイミドが樹脂状態からガラス状態に転移してしまい、ポリイミドと導電性膜間の応力が増大するためであると考えられる。
よって、図4の結果から、熱処理工程における熱処理温度は、100℃以上300℃以下であることが好ましい。
<他の実施形態>
(A)
上記本実施形態では、ポリイミド基板Sとして、東レデュポン社製ポリイミドフィルムのカプトン150EN−Cを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。
(A)
上記本実施形態では、ポリイミド基板Sとして、東レデュポン社製ポリイミドフィルムのカプトン150EN−Cを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、宇部興産製のユーピレックスや鐘淵化学製のアピカルでも同様の方法によっても、本実施形態の積層板10を製造することが可能である。
(B)
上記本実施形態では、湿式めっき法を用いて金属層5を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。
(B)
上記本実施形態では、湿式めっき法を用いて金属層5を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、真空蒸着、物理蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition:物理気相成長法、例えば、スパッタリング法等)、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法、例えば、プラズマCVD法)等の乾式めっき法や、スピンコート法などを用いて、金属層を形成してもよい。
(C)
上記実施形態では、導電性膜層4をニッケルリン(Ni−P)を用いて形成したが、銅と比較してポリイミド樹脂との密着性に優れた材料であれば、どのような材料でもよい。
上記実施形態では、導電性膜層4をニッケルリン(Ni−P)を用いて形成したが、銅と比較してポリイミド樹脂との密着性に優れた材料であれば、どのような材料でもよい。
例えば、銅ニッケルリン(Cu−Ni−P)のような、ポリイミド樹脂との密着性に優れ、かつ電気抵抗率が低い材料であればなおよい。
(D)
上記実施形態では、導電性膜層4としてニッケルリン層を単層で形成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(D)
上記実施形態では、導電性膜層4としてニッケルリン層を単層で形成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ニッケルリン/銅ニッケルリンの2層等、複数の層にしてもよい。
本発明の積層板の製造方法によれば、ポリイミド基板と金属層との密着性を向上させて、安価で高品質な積層板を製造することができることから、携帯電話などの稼動部を有する機器や薄型テレビなどの部品設置スペースが限られる機器内部の電気的な接続部品に用いられる積層板の製造方法として特に有用である。
3 表面処理層
4 導電性膜層(Ni−P)
5 金属層(Cu)
10 積層板
S ポリイミド基板
4 導電性膜層(Ni−P)
5 金属層(Cu)
10 積層板
S ポリイミド基板
Claims (4)
- ポリイミド基板の表面にアルカリ処理層を形成するアルカリ処理工程と、
前記ポリイミド基板の熱処理を行う熱処理工程と、
前記アルカリ処理層に触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒を還元させる還元工程と、
前記アルカリ処理層上に導電性膜層を形成する導電性膜積層工程と、
前記導電性膜層上に金属層を形成する金属層積層工程と、
を備えている積層板の製造方法。 - 前記熱処理工程は、100℃以上、300℃以下で行われる、
請求項1に記載の積層板の製造方法。 - 前記金属層積層工程は、湿式めっき法によって行われる、
請求項1に記載の積層板の製造方法。 - ポリイミド基板の表面にアルカリ処理層を形成するアルカリ処理工程と、
表面に前記アルカリ処理層が形成された前記ポリイミド基板の熱処理を行う熱処理工程と、
前記アルカリ処理層上に導電性膜層を形成する導電性膜積層工程と、
前記導電性膜層上に金属層を形成する金属層積層工程と、
を備えている積層板の製造方法。
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JP2009210676A JP2011061080A (ja) | 2009-09-11 | 2009-09-11 | 積層板の製造方法 |
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