JPWO2008038649A1 - 光走査装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この光スキャナは、図21に示すように、光を反射するための板状のマイクロミラー121と、一直線上に位置してマイクロミラー121の両側を支持する一対の回転支持体122と、一対の回転支持体122が接続され、ミラー121の周辺を囲う枠部123と、枠部123に並進運動を加える圧電素子124とを備え、かつ、一対の回転支持体122を結ぶ直線上以外の場所にミラー121の重心を位置させた構成となっている。
圧電素子124に電圧を加えると、圧電素子124は伸縮を行い、Z軸方向に振動し、この振動は枠部123に伝達される。マイクロミラー121は、駆動された枠部123に対して相対運動を起こし、Z軸方向の振動成分がマイクロミラー121に伝えられると、マイクロミラー1はX軸回転支持体2で成す軸線に対して左右非対称の質量成分を持つので、X軸回転支持体122を中心にマイクロミラー121に回転モーメントが生じる。このようにして、圧電素子124によって枠部3に加えられた並進運動は、マイクロミラー1のX軸回転支持体2を中心とした回転運動に変換される。
また、図22に示すように、振動子131において可動部132の両側からはり部133、133が互いに反対方向にのび、固定部136の2つの腕部134、134につながっており、固定部136の腕部134、134にはそれぞれ圧電薄膜135、135が設けられ、これらの圧電薄膜135、135は高次振動周波数を含む同じ信号により駆動されるようにした光走査装置が特開平10−104543号公報(特許文献4参照。以下「従来技術4」という。)に記載されている。
この共振周波数fは、例えば、従来技術1のねじり変形部(捻れ梁部)のばね定数をk,回転軸(Y軸またはZ軸)のまわりのモーメントをIとすると,振動子1における共振周波数fは次式で表される。
すなわち、フレーム部から出た2本の捻じれ梁を支持する2本の幅の細い片持ち梁部分に圧電膜を形成すると、この部分の剛性が増加し、圧電膜に誘起された振動が、効率よく捻り梁部に伝達されず、結果、ミラーの捻じれ振動が小さくなる。また、2つの片持ち梁部とその上に形成される圧電膜とで構成される振動源部分の振動特性を正確に一致させないと、ミラーの捻じれ振動の振動振幅が抑制されるのと同時に、捻じれ振動以外の振動モードが重畳し、正確なレーザービームの走査が実現できない。さらに、ミラーの駆動力を増加させるため圧電膜部分の面積を大きくするには、上記片持ち梁部の幅を大きくする必要が有り、このため同片持ち梁部に2次元的な不要の振動モードを発生させ、ミラーの捻じれ振動の振動振幅が抑制されるのと同時に、捻じれ振動以外の振動モードが重畳し、正確なレーザービームの走査が実現できないなどの問題がある。また、上記片持ち梁の幅が細く制限されるため、この部位に形成された圧電膜を駆動するための上部電極の形成は、幅が細いため容易でなく、量産時の歩留まりに大きく影響するなどの問題点があった(以下「課題4」という。)。
図24に、図23に示すフレーム部から出た2本の捻じれ梁を支持する2本の幅の細い片持ち梁部分に圧電膜を形成する構成のミラーの振れ角を示す。駆動電圧は1Vとし、圧電体の電気特性は、典型的なパラメータであるPZT−5Aの特性、スキャナーフレーム本体の材質はSUS304の特性を用いた。ミラー部の振れ角は、0.63度と小さいものであった。
また、本発明は、効率的にミラー部に捻れ振動を発生することができる光走査装置を提供することを目的とする。
まず、図1に本発明の対象となる光走査装置の基本構成を示す。
図1において、基板10は、例えば、板材をエッチングあるいはプレス加工等により、ミラー部11及び捻れ梁部12を残して中抜きされた形状に作製されており、ミラー部11は基板10に連結された捻れ梁部12、12により両側から支持され、また、捻れ梁部12、12の外側端はそれぞれ片持ち梁部14に支持される構造となっている。
また、基板10は、例えば、その一端が支持部材13に片持ち状に支持されている。
本明細書において、基板10とは、ミラー部11、捻れ梁部12を除く装置のフレーム構造部を指しており、片持ち梁部14を含むものである(以下、基板10をフレーム構造部ということがある。)。なお、基板10のうち、片持ち梁部14を除いた部分を基板本体20という。
基板10と捻れ梁部12との連結部から離れた基板10の一部に、エアロゾルデポジション法(以下、「AD法」と略す場合がある。)、スパッタリング法あるいはゾル−ゲル法等の薄膜形成技術を用いて、あるいはバルク材の圧電薄板を張り付けて、光走査駆動用圧電膜15を形成し、電源16から光走査駆動用圧電膜15上の上部電極17及び下部電極としての基板10に電圧を印加すると光走査駆動用圧電膜15が圧電振動し、基板10に板波あるいは振動を誘起し、これを利用してミラー部11に捻れ振動を生じさせることにより、簡単な構造で効率的にミラー部11に捻れ振動を発生することができる。
この場合、光走査駆動用圧電膜15が基板10を振動させる駆動源となる。
駆動源である光走査駆動用圧電膜15に電圧を印加した状態でミラー部11に光源18から光ビームを照射すると、ミラー部11が振動するため、ミラー部11で反射した光は一定の振れ角で振動する。
なお、図2(a)は従来装置を示している。
なお、本明細書において、捻れ梁部のばね定数の変化には、捻れ梁部の形状を変えることによりばね定数が変化するものも含まれる。
図5は、本発明に係る振動源である圧電膜15を基板10に1つ形成する構成の光走査装置を、y=0の面を対称面とし,半分のみモデル化した平面図である。
光走査装置の基本構成となるミラー部11の寸法や捻れ梁部12の寸法、捻れ梁部12のミラー部11への取り付け位置(ミラー部の重心位置)、基板10の形状ならびにその支持方法、さらに圧電膜15の厚みや膜面積の合計値も同じにしてある。違いは、圧電膜15の形成位置だけである。
図6に、図5に示す装置のミラー部11の振れ角を示す。駆動電圧は1Vとし、圧電体の電気特性は、典型的なパラメータであるPZT−5Aの特性、スキャナーフレーム本体の材質はSUS304の特性を用いた。基本的に、図16に示す従来技術4と図5に示す本発明の共振周波数はほぼ同じだが、ミラー部11の振れ角は、従来技術4のものでは0.63度であるのに対し、図5に示す本発明によるものでは2.69度(30V換算で80.7度)と、4.3倍程度大きく振れることが確認された。
尚、ミラーの走査振幅を大きくするために、基板に配置される振動源を複数もう於けることも可能であるが、この場合、振動源の特性や取り付け位置、接着、成膜による取り付け状態のバラツキのため、基板部にミラー部を支持する捻れ梁に垂直方向の対称軸に対し非対称な2次元振動が誘起され易くなり、ミラーの捻れ振動による光ビームの走査精度は低下する。これに対し本発明では、振動源が一つでも効率よくミラー部に捻れ振動を誘起し、光ビームの走査ジッターの低減と製品のバラツキを大幅に抑えることができる。
そこで、本発明では、図8に示すように、片持ち支持されている光走査装置全体を囲むように配置された剛性の高い基板固定フレーム22に、幅の細い基板接続用梁23で、光走査装置を支持部材13による支持部から離れた位置で固定する。
このとき、基板接続用梁23の固定位置によって光走査装置自体の共振状態が変化し、ミラー部11の走査角度や共振周波数が影響を受ける。
これに対して、図10に示す基板接続用梁23で接続されていない状況で、ミラー部11が捻り共振している時に、光走査装置基板10の縁部分(図10の符号24で示された箇所)のZ軸方向の振動振幅が最小となる節25近傍の箇所で、図9−dに示すように基板接続用梁23で接続固定した場合は、ミラー部11の走査振幅は、約55°と基板固定フレーム22に固定しない場合よりもむしろ若干大きな走査振幅となる。この場合は、光走査装置基板10全体の振動モードを変化させないので、固定していない場合とほぼ等価な共振状態を維持でき、基板接続用梁23による光走査装置基板10固定のミラー部11の走査振幅への影響は、最小となる。
従って、光走査装置の外縁部で、ミラー共振時に振動の節あるいは、振動振幅が最も小さく、かつなるべく光走査装置支持部材13から遠い箇所で、基板接続用梁23により光走査装置を固定すると、ミラー部11の走査振幅を減衰させることなく、光走査装置を外乱振動に対し安定に支持することができる。
(1)ミラー部を支持する捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数に分布を持たせることにより、捻れ梁部のばね定数に分布を持たない場合と比較し、共振周波数と走査角度双方において、捻れ梁部の長さを短く設計できる。
(2)ミラー部を支持する捻れ梁部の実質長を捻れ梁部両端のミラー部端面と基板との間隔より長くすることから実現することにより、ミラー部と捻れ梁部の全長を代えることなく、ミラーサイズを大きく取ることができる。
(3)ミラー部を初期セット位置から捻れ梁部の支持軸回りに回動し、捻れ梁部に塑性変形を与えることによりミラー部を任意の位置にセットすることにより、ミラー部を角度をつけた位置で調整、固定でき、反射ミラーを使うことなく、ミラー部に入射し、走査する光ビームに偏向角を与えることができ、構造上、上記光走査装置を小型に設計できる。
(4)ミラー部の重量と捻り梁のバネ定数で決定されるミラー部の共振周波数と基板の共振周波数とを大きくずらすことにより、ミラー部から離れた位置で発生させた振動エネルギーを効率よくミラー部の捻り振動になるエネルギーとして伝達することができる。
(5)基板本体及び片持ち梁部を囲むように基板固定フレームを配置して基板本体の固定端部側で固定するとともに、基板本体と基板固定フレームとを支持部材から離れた位置で、かつ、基板振動の最小振幅の近傍において基板接続用梁で接続することにより、ミラー部の走査振幅を減衰させることなく、光走査装置を外乱振動に対し安定に支持することができる。
11 ミラー部
12 捻れ梁部
13 支持部材
14 片持ち梁部
15 光走査駆動用圧電膜
16 電源
17 上部電極
18 光源
20 基板本体
22 基板固定フレーム
23 基板接続用梁
24 基板の縁部分
25 基板振動の振幅最小位置
図2(b)において、捻れ梁部12を囲むようにミラー部11を伸ばすか、あるいは、ミラー部11の内側に捻れ梁部12の軸方向と平行に切り込みを入れることで、捻れ梁部12をミラー部11内側まで伸ばし、実質、ミラー部11の大きさや共振周波数を図2(a)のものと変化させることなく、ミラー部11と基板10との間隔を図2(a)のものと比較して短くでき、その結果、光走査装置全体の小型化を図ることができるようにしたものである。
実験では、ミラー部11の捻れ共振周波数(500〜600Hz)と走査角度(100°)を殆ど変更することなく、図2に示されるように、ミラー部11を両側で支持する2つの捻れ梁部12、12の外側端を結ぶ長さを16mmから12mmへと約25%小さくすることができ、光走査装置の小型設計に有効であった。
図11において、上記ばね定数の分布の与え方として、図右上に示すように、捻れ梁部12の一部をバネ状のジグザグ構造にし、共振周波数と走査角度双方において捻れ梁部12のばね定数に分布を持たない図中央上の場合と比較し、2つの捻れ梁部12、12の外側端を結ぶ長さを短く設計できるようにした実施例である。
この場合、各捻れ梁部12の両端を結ぶ直線長さを一定に考えると、実質上の捻れ梁部12自体の長さが長くなることで、共振周波数を低減し、同時に走査角度を増加することが可能となる。また、図11下方の図表に示すように、同一の共振周波数で考えると、この実施例では、捻れ梁部12の両端を結ぶ直線長さを3mmから1mmへと約1/3にでき(■を参照)、その上で、走査角度は、20%程度増加でき(●参照)、光走査装置の全体サイズを小型化することができた。
また、40°以上の高い走査角度を持っていながら共振周波数を微細に調節することが可能である。
この場合、各捻れ梁部12の両端を結ぶ長さ及び各捻れ梁部の実質長が一定で、センター部分のジグザグ構造の位置を中心がら片持ち梁部側に移動することで、共振周波数を低減し、同時に走査角度を低減することが可能となる。また、センター部分のジグザグ構造の位置を中心からミーラ部11側に移動することで、共振周波数を増加し、同時に走査角度を増加することが可能となる。この手法で50°以上の高い走査角度を持っていながら共振周波数を微細に調節することができる。
また、このとき、各捻れ梁部12の両端を結ぶ長さの単位長さあたり捻れ梁部12の各部の捻れ角度は、単純な棒状の捻れ梁構造の場合より小さくなり、捻れ梁部の材質が金属などの場合は、疲労特性が改善され、また、Si単結晶などの脆性材料の場合は、脆性破壊限界以上の大きな走査角度でミラー部を共振させることができる。
図14は、上記ばね定数の分布の与えたかたとして、捻れ梁部12の一部の幅に分布を持たせることで、部分的に機械的剛性を高め、捻れ梁部12の全長を一定にしたまま、ミラー部11の捻れ共振周波数を増加させた実施例である。
図14の実験データでは、比較のために幅が一定のストレートな捻れ梁部12の長さを変えたときの共振周波数と走査角度データを示してある。両者を比較すると、上記捻れ梁部12の基板10支持部近傍を三角形にして捻れ梁部12の幅に分布を持たせた場合は、走査角度はほぼ一定に保たれている状態で、共振周波数を8.6kHzから12kHzまで約30%増加できる事が確認できた(矢印参照。)。この場合、捻れ梁部12の長さを極限まで短くした場合でも達成できない高い共振周波数を上記捻れ梁部12の基板10支持部近傍を三角形にして梁の幅に分布を持たせて実現できているのがわかる。
捻れ梁部12の片持ち梁部14支持部近傍に三角形の形象效果によって基板10側から伝達する振動エネルギーの伝達效率が強化される。これによって、走査角度はほぼ一定に保たれている状態で共振周波数を増加できるためには、三角形の高さが捻れ梁部12の全長の半分以下が望ましい。
基板10の材質に対して、部分的に捻れ梁部12の材質を長さ方向において機械的剛性を0.7倍高めることで、走査角度はほぼ一定に保たれている状態で、共振周波数を増加することが可能となる。
また、基板10の材質に対して、部分的に捻れ梁部12の材質を長さ方向において機械的剛性を0.8倍弱くしすることで、共振周波数はほぼ一定に保たれている状態で、走査角度を増加することが可能となる。
捻れ梁部12の材質に対して、ミラー部11を支持する捻れ梁部12上の一部に捻れ梁部12の材質とは異なる材料として、機械的剛性が高い材質の材料(TiN, W、Al2O3)を一体的に設けることで、走査角度はほぼ一定に保たれている状態で、共振周波数を増加することが可能となる。特に、機械的剛性が高い材質の材料の厚みを調節することで、共振周波数を増加する側に微細に調節することようになる。また、捻れ梁部12上の一部に捻れ梁部12の材質とは異なる材料の位置及び大きさも共振周波数を微細に調節することようになる。
捻れ梁部12上に形成される捻れ梁部12とは異なる材料は、AD法により形成された厚膜が望ましい。
また、図15、図16に示すように、上記捻れ梁部12の捻りによる偏向角の増加は、ミラー部11の捻れ共振周波数に殆ど影響を与えないが、走査角度は、上記偏向角の増加に伴って減少する。
Claims (10)
- 基板と、基板に連結された捻れ梁部と、捻れ梁部により支持されるミラー部と、基板を振動させる駆動源と、ミラー部に光を投射する光源とを備え、ミラー部は駆動源によって基板に加えられる振動に応じて共振振動し、光源からミラー部に投射される光の反射光の方向がミラー部の振動に応じて変化する光走査装置において、ミラー部を支持する捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数に分布を持たせることを特徴とする光走査装置。
- 捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数の分布は、ミラー部を支持する捻れ梁部の実質長を捻れ梁部両端のミラー部端面と基板との間隔より長くすることからなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数の分布は、ミラー部を支持する捻れ梁部の幅あるいは厚みを長さ方向において変化させることからなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数の分布は、ミラー部を支持する捻れ梁部の材質を長さ方向において変化させることからなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数の分布は、ミラー部を支持する捻れ梁部上の一部に捻れ梁部の材質とは異なる部材を一体的に設ける、または捻れ梁部上に長さ方向に材質の変化する部材を一体的に設けることからなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 捻れ梁部上の一部に一体的に設ける捻れ梁部の材質とは異なる部材は、エアロゾルデポジッション法により形成された厚膜であることを特徴とする請求項5記載の光走査装置。
- 捻れ梁部の長さ方向におけるばね定数の分布は、ミラー部を支持する捻れ梁部に加えるショットピーニング加工に変化を持たせることからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光走査装置。
- 基板と、基板に連結された捻れ梁部と、捻れ梁部により支持されるミラー部と、基板を振動させる駆動源と、ミラー部に光を投射する光源とを備え、ミラー部は駆動源によって基板に加えられる振動に応じて共振振動し、光源からミラー部に投射される光の反射光の方向がミラー部の振動に応じて変化する光走査装置において、ミラー部を初期セット位置から捻れ梁部の支持軸回りに回動し、捻れ梁部に塑性変形を与えることによりミラー部を任意の位置にセットすることを特徴とする光走査装置。
- ミラー部の重量と捻り梁のバネ定数で決定されるミラー部の共振周波数と基板の共振周波数とを大きくずらすことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光走査装置。
- 基板本体及び片持ち梁部を囲むように基板固定フレームを配置して基板本体の固定端部側で固定するとともに、基板本体と基板固定フレームとを支持部材から離れた位置で、かつ、基板振動の最小振幅の近傍において基板接続用梁で接続することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の光走査装置。
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