JP3896657B2 - 光走査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザポインタ、レーザプリンタ、バーコードリーダ、レーザスキャンマイクロメータ等の事務機器、計測器に使用される光走査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、本出願人は、特開平9−197333号公報(特願平8−10102号)において、磁石付きミラーと交流磁場を発生させるためのコイルとを備えたガルバノ振動を用いた光走査装置について提案している。
【0003】
この光走査装置は、図4に示すように、ステンレス等からなる弾性線状部材5aが適当な張力で引っ張られた状態で、固定治具2aによってハウジング1aに固定されている。弾性線状部材5aのほぼ中央には、少なくとも片面が鏡面加工された磁石付きミラー3aが、図示しない接着剤により接着固定されている。
【0004】
一方、コア6aにはコイル7aが巻き付けられている。コイル7aは、コア6aに設けられたネジ孔8a及びハウジング1aに設けられた孔4aにおいて図示しないネジによってハウジング1aに固定されている。そして、交番パルス電流発生器9aにより所定の電流をコイルに流すことにより交流磁界が発生し、磁石付きのミラー3aが振動する。また、この交番パルスの駆動周波数は、ミラー3aと線状弾性部材5aとの機械的固有振動数に設定されている。そして、光源11aより発射されたレーザー光10aは、ミラー3aによって反射され、そのミラー3aが共振することにより被走査面12aに走査されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の共振型の光走査装置では、弾性線状部材の弾性係数がほぼ一定であるため、ミラー3aの固有振動数はほぼ一定となる。従って、共振現象によってミラー3aの振動の振幅を大きくするために、レーザー光10aが被走査面12aを走査する周波数はほぼ一定となるよう駆動され、それ故、走査周波数を大きく変化することはできなかった。
【0006】
例えば、レーザープリンタにおいてA4サイズの用紙に対する光走査に共振型の光走査装置を適用した場合を考えると、レーザー光10aによってA4サイズの用紙の短辺210mmを高解像である600dpiの解像度で走査(主走査)する場合、解像点数は210/(25.4/600)≒5000点となる。一方、長辺297mmを走査(副走査)で実現する場合、走査回数は297/(25.4/600)≒7000回となる。従って、ミラー3aの振動によるレーザー光10aの主走査において一方向のみの走査を使用するとすれば、例えばA4用紙を1分間に6枚即ち6ppmで印刷するためには、ミラーの走査周波数は6/60*7000=700Hz程度となる。実際には紙送り等の時間が必要なため、走査周波数、即ちミラーの振動数は800Hz程度に設定される。
【0007】
ところで、光走査の解像度は300dpi程度でよく、そのかわりにA4用紙全体の走査時間を短縮したいといった要求がある。例えば光走査の解像度として、300dpi程度でよい場合、A4の長辺の副走査回数は600dpiの半分の3500回でよいことから用紙全体の走査時間は1/2に短縮され、1分間の印刷枚数は12ppmとなる。しかし、従来の光走査装置では、走査周波数は共振現象の確保のために大きく変更することができず、主走査方向の時間を短縮することはできなかった。このため、さらなる時間短縮が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高解像度の光走査を行うモードと、それほど高解像を必要としない場合には非常に高速な光走査を行うモードとを有する光走査装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の光走査装置は、温度により弾性係数が変化する材料で構成されたトーションバネと、前記トーションバネの温度を変化させる温度変化手段と、前記トーションバネの中間部に固定的に支持された磁石と鏡面とを有する振動体と、磁界の作用により前記トーションバネを軸線として前記振動体を振動させる磁界発生手段とを有し、光源より発せられる光ビームを前記鏡面に入射させることにより、前記鏡面の振動に基づいて前記光ビームを走査させるようにしたものを対象として、特に、前記温度変化手段は、前記トーションバネの温度を、前記トーションバネの金属相状態がマルテンサイト変態の逆変態が生じる逆変態温度より低い第1の温度及び逆変態温度より高い第2の温度となるように、前記光ビームを走査させる解像度に応じて変化させ、前記磁界発生手段は、前記第1の温度及び前記第2の温度において、前記振動体と前記トーションバネとから形成される振動系が有する固有振動数若しくはその近傍の振動数で前記振動体を、前記光ビームを走査させる解像度に応じて振動させるように構成したものである。
【0010】
従って、第1の温度と第2の温度におけるトーションバネの弾性係数の変化によって、振動体は異なる固有振動数で、前記光ビームを走査させる解像度に応じて共振振動するため、低い固有振動数を用いた高解像度の光走査のモードを有すると共に、高い固有振動数を用いた低解像度であるが非常に高速な光走査のモードを共に実現でき、解像度と走査時間を必要に応じて選択可能な光走査装置を提供できる。
【0011】
また、請求項2に記載の光走査装置は、前記トーションバネをNi−Ti、Ag−Cd、Au−Cd、Cu−Sn、Cu−Al−Ni、Ni−Al、Fe−Ptのいづれかの形状記憶合金で構成したものである。
【0012】
これらの合金は形状記憶合金として広く知られた材料であり、図2に示すような特殊な弾性係数の温度特性をもっておりながら、比較的入手が容易である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明を具体化した光走査装置の構造を示すものである。振動体を構成する小磁石3は、縦が4mm、横が8mmで厚さ0.3mmのNi−Co(ニッケルコバルト)またはSm−Co(サマリュウムコバルト)からなる小磁石であり、その表面には後述するレーザビームを反射させるために鏡面加工されたミラー3mが形成されている。尚、この小磁石3の表面を鏡面加工する代わりに、小磁石3の表面に鏡を接着等により貼り付けてもよい。この小磁石3は約10000ガウス程度の残留磁束密度を有している。小磁石3におけるミラー3mの裏面には、形状記憶合金であるNi−Tiからなるトーションバネ5が取り付けられている。また、このトーションバネ5の線径は約300μm、長さは約8.5mmとして構成されており、この長さはトーションバネ5の温度が40℃の場合に小磁石3との固有振動数がほぼ800Hzとなるよう設定されている。このトーションバネ5は、その上下端を、中央を矩形にくり貫かれた矩形状のハウジング1に対して、治具2により固定されている。
【0015】
ハウジング1に対して、トーションバネ5及び小磁石3を支持する際の方法について説明する。
【0016】
まず、トーションバネ5は所定の張力で両端を引っ張られた状態で、治具2により、ネジ止めでハウジング1に固定される。そして、このように固定されたトーションバネ5に上述した小磁石3がトーションバネ5のほぼ中央付近に接着剤にて固定される。ところで、前記トーションバネ5は、所定の応力にて引っ張られた状態でハウジング1に固定されている。
【0017】
ハウジング1には、トーションバネ5の後方に近接して、図示しない薄膜抵抗体が表面に形成された温度変化手段を構成するヒーター6が設置され、ハウジング1にはトーションバネ5を挟んで治具2と対向した面の一部に、トーションバネ5と接触するようにサーミスタ7が設置されている。
【0018】
また、ハウジング1の後面には磁界発生手段を構成するコイル8が設けられている。尚、コイル8が本発明の磁界発生手段を構成するものである。このコイル8は、円筒状のコア9の周囲に300ターン/cmの密度の巻き線を設けたものであり、コア9に形成されたネジ孔10及びハウジング1に形成された孔4を介してハウジング1にネジ止めされている。このコイル8の巻き線の両端には後述のコントローラ20内に設置された交番電圧発生器11が接続されている。そして、交番電圧発生器11により方形波電圧をコイル8に印加することにより後述するメカニズムにて小磁石3が共振し、光源12から発せられて小磁石3のミラー3mに入射したレーザビーム13は、f・arcsinθレンズ14を通して走査面15を図1に示す主走査方向に走査するよう構成されている。更に、ミラー3mと走査面15の間には、走査面15上のA4用紙サイズの短辺210mmの左端及び右端をレーザービーム13が通過した時にそれぞれ信号を発生する光センサ16a、16bが設置されている。
【0019】
前記f・arcsinθレンズ14は、ミラー3で反射された、時間に対して正弦波の角度で振動する光を、走査面15上で主走査方向に時間に対して一定の速度で走査すると共に、走査面15が主走査方向と直交する図1に示す副走査方向に一定の速度で移動されるよう構成されている。
【0020】
前記走査面15は図示しない機構により高電圧に帯電されており、レーザービーム13の光が照射された場所のみ電位が低下し、電位分布、即ち静電潜像の画像が形成されるよう構成されている。更に、図示しない周知のレーザープリンタの機構によりこの静電潜像にトナーが吸着され、そのトナーの画像が紙に転写、定着されるよう構成されている。
【0021】
さて、前記トーションバネ5を形成する形状記憶合金の横弾性係数の温度特性を、図2に示す。
【0022】
本実施の形態で使用する形状記憶合金の逆変態終了温度Af点は、通常使用温度より高い約60℃として構成されており、Af点以下の温度では形状記憶合金はマルテンサイト相の状態となり、40℃におけるトーションバネ5の横弾性定数は、約550kgf/mm2となる。また、Af点以上の温度では形状記憶合金はオーステナイト相の状態であり、80℃におけるトーションバネ5の横弾性定数は、約2200kgf/mm2と、40℃の場合の4倍の値となる。
【0023】
ここで、小磁石3とトーションバネ5により形成される固有振動数は、トーションバネ5の横弾性係数の平方根に比例するので、前述のように、固有振動数は、トーションバネ5の温度が40℃の場合の800Hzに対して、80℃では2倍の1600Hzとなる。
【0024】
ところで、前記小磁石3の振動は、図3に示すコントローラ20により制御されるよう構成されている。
【0025】
コントローラ20は、図3に示すように、600dpiまたは300dpiの解像度をスイッチまたは図示しない通信回線を通して入力する解像度選択装置21と、ヒーター6に対する基準温度を決定、出力する基準温度設定装置22と、基準温度とサーミスタ7で検出される温度を比較し、ヒーター6の抵抗体に流す電流を制御する温度比較器23と、レーザービーム13がA4用紙の短辺に相当するセンサ16aと16bの間を通過する通過時間を検出する通過時間検出器24と、解像度に応じて基準時間を決定する基準時間設定器25と、通過時間と基準時間とを比較する通過時間比較器26と、解像度に応じた周波数の方形波電圧を発生する発振器27と、通過時間比較器26の出力に応じて発振器27の出力電圧を増幅し、コイル8に方形波電圧を与える前記交番電圧発生器11と、光源12をオンオフする基準クロックを発生するドットクロック発生回路28と、光源12の発生するレーザービーム13をオンオフする光変調信号発生回路29とにより構成されている。
【0026】
前記基準温度設定装置22は、600dpi解像度の場合40℃、300dpi解像度の場合80℃に相当する信号を出力するよう構成されている。
【0027】
前記発振器27は、600dpi解像度の場合800Hz、300dpi解像度の場合1600Hzの周波数で発振するよう構成されている。
【0028】
前記基準時間設定器25は、600dpi解像度の場合は375μsec、300dpi解像度の場合は187.5μsecに相当する信号を出力するよう構成されている。これらの値は以下のような意味をもつ。つまり、ミラー3mの振動の1周期時間に対する、レーザービーム13がA4用紙の短辺の走査に相当する光センサ16aから16bを通過する時間の比、即ちデューティー比は30%となるよう選ばれている。このため、600dpi解像度の場合、ミラー3mは800Hzで駆動されるので、その1周期の30%の時間が1/800*0.3=375μsecと決められ、一方300dpi解像度の場合、ミラー3mは1600Hzで駆動されるので、その1周期の30%の時間が1/1600*0.3=187.5μsecと決められている。
【0029】
また、前記ドットクロック発生回路28は、13.3MHzの基準クロックを発生するよう構成されている。この値は以下のような意味をもつ。即ち、600dpi解像度の場合ではA4用紙の短辺の走査時間375μsec内に5000点の解像点数が必要なので1/(375μsec/5000)=13.3MHzの基準クロックが必要となる。一方、300dpi解像度の場合は600dpi解像度の場合に対して解像点数は半分の2500点、かつ、A4の短辺の走査時間も半分の187.5μsecとなるので、基準クロックは1/(187.5μsec2500)=13.3MHzと同一であり、変更する必要はない。
【0030】
次に、本発明の実施の形態における光走査装置の動作を説明する。
【0031】
まず、解像度選択入力装置21により、600dpiまたは300dpiの解像度がスイッチまたは図示しない通信回線を通して入力され選択される。
【0032】
ここでは、始めに600dpiの解像度が入力された場合について説明する。600dpiの解像度の場合、基準温度設定器22により40℃に相当する信号が出力される。温度比較器23ではサーミスタ7で検出される検出温度θ1と設定温度θr1=40℃とを比較し、θ1≦θr1の場合にヒーター6をオン、θ1>θr1の場合ヒーター6をオフして、サーミスタ7の検出温度、即ち、サーミスタ7と接触して設置されているトーションバネ5の温度が40℃に保たれる。
【0033】
一方、600dpiの解像度の場合、発振器27からは800Hzの方形波電圧が出力され、交番電圧発生器11で増幅されて、コイル8に与えられる。そして、コイル8によって生成される交番磁界により小磁石3のN、S極に電磁力が加えられ、小磁石3が捩り運動する。ここで、前述のように、トーションバネ5を形成する形状記憶合金は40℃において小磁石3との固有振動数がほぼ800Hzとなるよう設定されているので、共振現象によって交番電圧発生器11の小さな出力電圧で小磁石3の大きな捩じれ振幅が得られる。
【0034】
そして、通過時間検出器24により検出されたレーザービーム13がセンサ1
6aから16bを通過する通過時間Ts1と、基準時間設定器25が出力する基準時間Tr1=375μsecとが、通過時間比較器26により比較され、交番電圧発生器11の出力電圧振幅が制御される。即ち、それぞれTs1>Tr1、Ts1<Tr1、Ts=Tr1の場合、出力電圧振幅をそれぞれ増加、減少、維持するよう制御される。従って、通過時間Ts1は、375μsecに保たれる。 次に、ドットクロック発生回路28により、レーザービーム13がセンサ16aを通過するタイミングを起点として13.3MHzの基準クロックが発生され、光変調信号発生回路29は、走査面15に形成すべき静電潜像パターンに基いて、基準クロックに同期して光源12の発生するレーザービーム13をオンオフする。そして、走査面15に形成された静電潜像パターン上には図示しない周知のレーザープリンタの機構によりトナーが吸着され、そのトナーの画像が紙に転写、定着される。
【0035】
従って、前述のように、13.3MHzの基準クロックによってA4用紙の短辺の主走査時間375μsecの間に5000点の解像度で画像を形成でき、600dpiの画像が形成される。
【0036】
さて、以下では解像度選択入力装置21により300dpiの解像度が入力された場合について説明する。300dpiの解像度の場合、基準温度設定器22により80℃に相当する信号が出力される。温度比較器23ではサーミスタ7で検出される検出温度θ1と設定温度θr1=80℃とを比較し、θ1≦θr1の場合にヒーターをオン、θ1>θr1の場合ヒーターをオフして、サーミスタ7の検出温度、即ちサーミスタ7と接触して設置されているトーションバネ5の温度が80℃に保たれる。
【0037】
一方、300dpiの解像度の場合、発振器27からは1600Hzの方形波電圧が出力され、交番電圧発生器11で増幅されて、コイル8に与えられる。そして、コイル8によって生成される交番磁界により小磁石3のN、S極に電磁力が加えられ、小磁石3が捩り運動する。さて、前述のようにトーションバネ5の温度が80℃の場合の固有振動数は1600Hzとなるので、共振現象によって交番電圧発生器11の小さな出力電圧で小磁石3の大きな捩じれ振幅が得られる。
【0038】
そして、通過時間検出器24により検出されたレーザービーム13がセンサ16aから16bを通過する通過時間Ts1と、基準時間設定器25が出力する基準時間Tr1=187.5μsecとが、通過時間比較器26により比較され、交番電圧発生器11の出力電圧振幅が制御される。即ち、それぞれTs1>Tr1、Ts1<Tr1、Ts=Tr1の場合、出力電圧振幅をそれぞれ増加、減少、維持するよう制御される。従って、通過時間Ts1は、187.5μsecに保たれる。
【0039】
次に、600dpiの解像度の場合と同様に、ドットクロック発生回路28により、レーザービーム13がセンサ16aを通過するタイミングを起点として13.3MHzの基準クロックが発生され、光変調信号発生回路29は、走査面15に形成すべき静電潜像パターンに基いて、基準クロックに同期して光源12の発生するレーザービーム13をオンオフする。そして、走査面15に形成された静電潜像パターン上には図示しない周知のレーザープリンタの機構によりトナーが吸着され、そのトナーの画像が紙に転写、定着される。
【0040】
従って、前述のように、13.3MHzの基準クロックによってA4用紙の短辺の主走査時間187.5μsecの間に2500点の解像度で画像を形成でき、300dpiの画像が形成される。ここで、300dpiの解像度が選択された場合、レーザービーム13が走査面15を単位時間当たりに主走査する回数、即ち光走査周波数は、600dpiの場合に対して2倍であるので、主走査方向の走査時間は1/2と高速な走査が可能となる。従って、副走査方向の走査時間が600dpiの場合と比較して1/2の時間となるので、300dpi解像度の場合におけるA4用紙全体の走査時間は、600dpiの場合と比較して1/4となり、非常に高速となる。
【0041】
尚、本発明は以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0042】
例えば、前記実施の形態においては、形状記憶合金の逆変態終了温度Af点は、使用温度より高い60℃として構成されているが、その必要はなく、例えば使用温度より低い−10℃となるように構成してもよい。このような構成では、温度変化手段としてペルチェ素子等の冷却素子を用いてトーションバネ5を冷却しマルテンサイト相の状態にすることも可能である。一方、室温でのトーションバネ5の温度を安定化させるために、発熱体であるヒーター6と、冷却素子であるペルチェ素子を併用して構成してもよい。
【0043】
更に、前記実施の形態におけるヒーター6は、薄膜抵抗体を表面に形成して構成しているが、その代わりに内部に発熱体を有する体積抵抗体で構成してもよいし、更に、トーションバネ5に電流を流すことにより自己発熱させる構成としてもよい。
【0044】
また、前記実施の形態では、トーションバネ5と小磁石3の固有振動数はマルテンサイト相の40℃で約800Hz、オーステナイト相の80℃で約1600Hzとなるよう構成されているが、トーションバネ5の線径、長さ、小磁石3の慣性モーメントにより種々の値に構成することも可能である。更に、マルテンサイト相に対してオーステナイト相の固有振動数が2倍となるよう、トーションバネ5の温度を40℃と80℃として構成されているが、使用温度は40℃と80℃である必要はなく、Af点以下の温度T1における固有振動数に対してAf点以上の温度T2における固有振動数が2倍となるのであれば、如何なるT1、T2の組み合わせを用いて構成することも可能である。
【0045】
また、前記実施の形態では、マルテンサイト相に対してオーステナイト相の固有振動数が2倍となるよう、トーションバネ5の温度T1、T2が設定されて構成されているが、その理由は、600dpi解像度と300dpi解像度の使用時において、ドットクロック発生回路28で発生する基準クロックを同一として回路構成を簡単にするためである。例えば、オーステナイト相での固有振動数が1800Hzとなる温度で駆動された場合には、レーザービーム13がA4用紙の短辺を主走査する時間は1/1800*0.3=166.7μsecとなるので、基準クロックは1/(166.7μsec/2500)=15MHzとなるため、600dpi解像度の場合の基準クロック13.3MHzを300dpi解像度の場合は15MHzに変更する必要があり、コスト高となる可能性がある。
【0046】
もしくは基準クロックを600dpi解像度の場合と同一の13.3MHzとする場合は、A4の短辺210mmの解像点数は13.3MHz*166.7μsec=2222となるので、解像度を210/2222=0.0945mm即ち269dpiとすればよい。
【0047】
しかしながら、一般的には解像度は変換の容易さから整数比となるよう選ばれることが多く、この場合は600dpiに対して269dpiと整数比とはならないため、基準クロックの変更と同様に解像度の変換に計算コストを要する可能性がある。しかし、この影響が問題ないのであれば、T1とT2の固有振動数の比は必ずしも2倍とする必要はない。
【0048】
また、前記実施の形態ではコイル7に流す電流を小さく抑えるために共振現象を利用する構成としたが、電力に余裕があるならば若干共振点をはずして光走査装置を駆動しても機能上問題はない。
【0049】
更に、ホール素子等の磁気センサにより小磁石3の振動角度を検出し、その角度変化を用いてコイル8を駆動する電圧または電流を与え、トーションバネ5と小磁石3で決まる固有振動数で自励共振させるよう構成してもよい。
【0050】
また、前記実施の形態では形状記憶合金であるNi−Ti合金を用いて実現したが、Ag−Cd、Au−Cd、Cu−Sn、Cu−Al−Ni、Ni−Al、Fe−Ptなどの形状記憶合金であれば、いずれを使用しても実施できる。
【0051】
また、前記実施の形態では、便宜上、コイル7の前面にトーションバネ5及び小磁石3を配置したが、コイル7の周辺であって交番磁界が小磁石3の磁気モーメントMと略直交する方向に発生する箇所ならば、どこに配置してもよい。
【0052】
また、前記実施の形態では走査幅を最大にするためコイル8に流す電圧波形を方形波としたが、走査幅に余裕があれば、正弦波、三角波などの周期波形でもよいし、コイル8に印加する電流波形を矩形波、正弦波、三角波などの周期波形として構成してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の請求項1に記載の光走査装置は、温度変化手段が、トーションバネの温度を、前記トーションバネの金属相状態がマルテンサイト変態の逆変態が生じる逆変態温度より低い第1の温度及び逆変態温度より高い第2の温度となるように、前記光ビームを走査させる解像度に応じて変化させ、磁界発生手段は、第1の温度及び第2の温度における振動体とトーションバネとから形成される振動系が有する固有振動数若しくはその近傍の振動数で振動体を、前記光ビームを走査させる解像度に応じて振動させるように構成したものである。従って、第1の温度と第2の温度におけるトーションバネの弾性係数の変化によって、振動体は異なる固有振動数で、前記光ビームを走査させる解像度に応じて共振振動するため、低い固有振動数を用いた高解像度の光走査のモードを有すると共に、高い固有振動数を用いた低解像度であるが非常に高速な光走査のモードを共に実現でき、解像度と走査時間を必要に応じて選択可能な光走査装置を提供できる優れた効果がある。
【0054】
また、請求項2に記載の光走査装置は、前記トーションバネをNi−Ti、Ag−Cd、Au−Cd、Cu−Sn、Cu−Al−Ni、Ni−Al、Fe−Ptのいづれかの形状記憶合金で構成したものである。従って、これらの合金は形状記憶合金として広く知られた材料であるため、比較的入手が容易である利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の光走査装置の構成を示す斜視図である。
【図2】 形状記憶合金の弾性係数の温度特性を表す図である。
【図3】 本実施の形態のコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】 従来の光走査装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
3 小磁石
3m 鏡面
5 トーションバネ
6 ヒーター
8 コイル
11 交番電圧発生器
12 光源
13 レーザービーム
20 コントローラ

Claims (2)

  1. 温度により弾性係数が変化する材料で構成されたトーションバネと、
    前記トーションバネの温度を変化させる温度変化手段と、前記トーションバネの中間部に固定的に支持された磁石と鏡面とを有する振動体と、
    磁界の作用により前記トーションバネを軸線として前記振動体を振動させる磁界発生手段と、を有し、
    光源より発せられる光ビームを前記鏡面に入射させることにより、前記鏡面の振動に基づいて前記光ビームを走査させるようにした光走査装置において、
    前記温度変化手段は、前記トーションバネの温度を、前記トーションバネの金属相状態がマルテンサイト変態の逆変態が生じる逆変態温度より低い第1の温度及び逆変態温度より高い第2の温度となるように、前記光ビームを走査させる解像度に応じて変化させ、
    前記磁界発生手段は、前記第1の温度及び前記第2の温度において、前記振動体と前記トーションバネとから形成される振動系が有する固有振動数若しくはその近傍の振動数で前記振動体を、前記光ビームを走査させる解像度に応じて振動させるように構成したことを特徴とする光走査装置。
  2. 前記トーションバネは、Ni−Ti、Ag−Cd、Au−Cd、Cu−Sn、Cu−Al−Ni、Ni−Al、Fe−Ptのいづれかの形状記憶合金で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
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