JPWO2007135907A1 - 多層光記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

多層光記録媒体の製造方法は、信号記録及び再生側に複数の信号記録層と、信号記録層間に樹脂層からなる中間層を有し、最外層の厚み10〜150μmの透明保護層を有し、信号記録領域の内径より内側の領域であって、直径23mm以上の領域がクランプ領域である多層光記録媒体の製造方法であって、信号記録及び再生側の主面側に信号記録層を有すると共に、直径22mmより内側の領域に突起部を有し、直径23mmと直径21mmの段差が20μm以下である基板を用意する工程と、スタンパを用意する工程と、基板又はスタンパの前記クランプ領域に対応する箇所より半径方向について内側から中間層用の放射線硬化樹脂を塗布する工程と、放射線硬化樹脂を挟むように基板とスタンパとを重ねる工程と、放射線硬化樹脂を硬化させる工程と、スタンパを基板から剥離して、基板上に硬化後の放射線硬化樹脂の層を中間層として得る工程と、を含む。

Description

本発明は、信号記録及び再生側の最外層として厚み10〜150μmの透明保護層を有する多層光記録媒体の製造方法に関する。特に、各信号記録層の間を分離する層を中間層とした場合、直径23mmより内側から中間層を形成することを特徴とする多層光記録媒体の製造方法に関する。
高密度光記録媒体として、片面2層再生DVDのような厚み方向に信号記録面を複数層有する、多層光記録媒体が提案されている。たとえば、片面2層再生のDVDは2枚の基板のうち1枚の信号記録層に金、シリコン等の透光性の反射層を、もう一枚の信号記録層に従来のアルミニウム等からなる反射層を、それぞれ成膜し、これらの信号記録層が内側になるように貼り合せた構造となっている。
さらに、1層あたりの面記録密度を向上するために、青紫色レーザ光源(波長400nm前後)と高NAのレンズを用い、厚さが0.1mm等の薄型の透明保護層をもつ高密度光記録媒体が実用化されている。この高密度光記録媒体は、厚い信号基板の表面に信号の案内溝あるいはピットを形成して、その上に書き換え可能な記録多層膜を成膜し、さらにその上に透明保護層が形成された構造を有する。この透明保護層タイプの高密度光情報記録媒体においても2つ以上の信号記録層を有するものが考えられる。その作製方法の一つの例としては以下の方法が挙げられる。
(1)表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され、書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板を用意する。
(2)基板の上に、さらに紫外線硬化樹脂を用いて分離層を形成するとともに、その分離層の表面に2層目の信号の案内溝あるいはピットを形成する。
(3)2層目の信号の案内溝あるいはピットの上に書き換え可能な透光性の記録多層膜を成膜する。
(4)厚さが0.1mmの薄型の透明保護層を形成する。
具体的な作製方法として特開2003−203402号公報では、上記(2)の工程のためにプラスチック製のスタンパを用いる。そのスタンパ上の信号案内溝あるいはピットに紫外線硬化樹脂を塗布し硬化した後、異なる性質を有するもう1つの紫外線硬化樹脂を用いて、1層目の記録多層膜が成膜された基板と貼り合わせる。紫外線硬化樹脂を硬化させた後、スタンパを剥離する。このような方法を用いれば、剛性のある厚い基板をベースとして、その上に分離層を介して、もう一層、さらには複数の信号記録層を積み上げて多層光記録媒体を作製することができる。
また、透明保護層の形成方法としては、特開2002−184073号公報や国際公開WO01/086648号に示されたように、厚み精度を有した透明なフィルムを接着剤で接着して、フィルムと接着剤を併せて透明保護層とする方法がある。また、特開2006−12412号公報に示されたように、透明な紫外線硬化樹脂を2層目の信号記録層の上に塗布し、透明保護層とする方法がある。
特開2003−203402号公報 特開2002−184073号公報 国際公開WO01/086648号 特開2006−12412号公報
しかしながら、透明保護層が0.1mm程度の多層光記録媒体をNA0.7〜0.9、例えばNA0.85等の高NAの光ヘッドで記録及び再生を行う場合、多層光記録媒体に反りがあると、光ヘッドに対して傾きを生じる。このとき、光ヘッドにより集光されたレーザ光にはコマ収差が発生し、信号記録層上でのビームの絞りが悪くなる。これにより、記録あるいは再生される信号品質が悪化し、安定性が乏しくなる。また、多層光記録媒体自体の反りが小さくても、光記録媒体の保持領域(クランプエリア)の平坦性に乏しい場合、ドライブ上で光記録媒体を保持する際、実質的に光記録媒体は光ヘッドに対して傾いてしまう。一般的には、光記録媒体の直径23mmより外側の領域がクランプエリアとして用いられる。多層光記録媒体では、特に、信号記録層間を分離する中間層を形成する際、クランプエリアの内径付近(23mm付近)で中間層がはがれる等によって平坦性を欠くことが多い。そのため、その上に形成される透明保護層も含めて、クランプエリアの平坦性が乏しくなる。
本発明は、上記課題に鑑み、クランプエリアの平坦性に優れ、信号記録及び再生時に安定な信号記録及び再生が可能な多層光記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法は、 信号記録及び再生側に複数の信号記録層と、2層の前記信号記録層の間には樹脂層からなる中間層を有し、最外層として厚み10〜150μmの透明保護層を有し、前記信号記録領域の内径より内側の領域であって、直径23mm以上の領域がクランプ領域である多層光記録媒体の製造方法であって、
信号記録及び再生側の主面側に信号記録層を有すると共に、直径22mmより内側の領域に突起部を有し、直径23mmの位置と直径21mmの位置の主面上の段差が20μm以下である基板を用意する工程と、
スタンパを用意する工程と、
前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方の前記クランプ領域に対応する箇所より半径方向について内側から中間層用の放射線硬化樹脂を塗布する工程と、
前記放射線硬化樹脂を挟むように前記基板と前記スタンパとを互いに対向させて重ねる工程と、
前記放射線硬化樹脂を硬化させる工程と、
前記スタンパを前記基板から剥離して、前記基板上に硬化後の前記放射線硬化樹脂の層を中間層として得る工程と、
を含むことを特徴とする。
上記本発明の多層光記録媒体の製造方法によれば、直径23mmの位置と直径21mmの位置の基板の段差が20μm以下であるため、基板の段差の影響は小さくなる。また、基板の直径23mmより内側から中間層用の放射線硬化樹脂を容易に塗工できるので、クランプエリアとなる直径23mm以上の領域のエッジ領域でクランプエリアの平坦性を確保できる。さらに、放射線硬化樹脂によりスタンパから容易にかつ安定に信号を転写することができる。
さらに、上記多層光記録媒体の製造方法では、2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの中間層を形成してもよい。上記構成によれば、基板と中間層の接着力、中間層とスタンパの剥離性の両方を両立できるように、2つの樹脂を選ぶことができ、より安定な信号転写と剥離を実現することが出来る。また、スタンパからの剥離性が向上することで、クランプエリアで中間層が基板から剥離することを防ぐことができる。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合、
前記スタンパ上に前記放射線硬化樹脂Aを塗布し、
前記基板上に前記放射線硬化樹脂Bを塗布しておき、
前記放射線硬化樹脂Aと前記放射線硬化樹脂Bとを挟むようにして、前記スタンパと前記基板とを互いに対向させて重ね合わせて、前記放射線硬化樹脂Aと前記放射線硬化樹脂Bとを貼り合わせて一つの中間層を形成してもよい。
さらに、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記スタンパ上に塗布する前記放射線硬化樹脂Aの塗布位置の内径R(A)と、前記基板上に塗布する前記放射線硬化樹脂Bの塗布位置の内径R(B)とは、
R(B) =< R(A)
の関係を満たすように前記放射線硬化樹脂A、Bをそれぞれ塗布することが好ましい。上記の製造方法によって前記放射線硬化樹脂Aが形成されている領域の内径DUVAと、前記放射線硬化樹脂Bが形成されている領域の内径DUVBとについて、DUVB=<DUVAの関係を満たす多層光記録媒体が得られる。上記構成によれば、基板と中間層の接着性を保証する放射線硬化樹脂Bの塗布領域がスタンパから剥がれる放射線硬化樹脂Aの塗布領域をカバーしているため、剥離性を向上でき、中間層の平坦性を向上することができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記多層記録媒体が複数の信号記録層及び複数の中間層を有する場合であって、n(nは2以上)層の信号記録層を有し、前記基板側から最外層の前記透明保護層に向かって順に第1信号記録層、・・・、第(n−1)信号記録層、第n信号記録層とし、第k(kは1以上n−1以下)信号記録層と第(k+1)信号記録層との間の中間層を第k中間層とし、
前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方に前記中間層を形成するための放射線硬化樹脂を塗布する工程において、前記第k中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k)と、前記第(k+1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k+1)とは、
R(k)=<R(k+1)
の関係を満たすようにそれぞれの前記放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
また、前記第(n−1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(n−1)と、前記透明保護層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径RCとは、
R(n−1)=<RC
の関係をみたすように前記放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
上記の製造方法によって、前記第k中間層の形成されている領域の内周エッジの直径をDSL(k)、前記透明保護層の形成されている領域の内周エッジの直径をDCVとした場合、いずれのm(mは2以上n−1以下)に対しても、
DSL(m−1) =< DSL(m)
の関係を満たすと共に、且つ、
DSL(n−1) =< DCV
の関係を満たす多層光記録媒体が得られる。
上記構成によれば、信号記録層が多数となり、中間層も多数となっても、各中間層を形成する場合に、その下地となる面の全面に中間層が形成されているので、中間層を形成する領域のエッジ部、とくに内周エッジもきれいに塗布することがでる。これによって、クランプエリアの平坦性を保つことができる。また、中間層の上に形成する最外層の透明保護層の内周エッジもきれいに形成でき、透明保護層のクランプエリアの平坦性も保つことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる工程をさらに備えてもよい。この場合、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域内において照射する放射線に強度分布を持たせて放射線照射を行うことが好ましい。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる際に、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域では、前記信号記録領域に照射する放射線強度よりも下げて放射線照射を行って、前記信号記録領域より硬化度を落としてもよい。上記構成によれば、信号領域内径より内側の領域、つまりクランプ領域において中間層の剥離が安定になり、中間層の平坦性が向上し、結果として透明保護層の形成も安定化することになり、クランプ領域の平坦性を向上することができる。
さらに、前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる際に、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域において照射する放射線の照射強度を信号記録領域の照射強度に対して35%から85%の強度に下げてもよい。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板の前記突起部は、前記基板の上に積層する最外層の前記透明保護層の表面よりも突出していることが好ましい。上記構成によれば、平面に対して透明保護層が下になるように多層光記録媒体が置かれても、突起部と平面が接触することで多層光記録媒体の表面に傷が生じることを防ぐことができる。
さらに、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板と互いに対向して重ね合わせた場合に、前記基板の前記突起部と対向する位置に前記突起部を逃げるための凹部形状の突起部逃げを有するスタンパを用いることが好ましい。上記構成によれば、基板上に突起部がある場合、中間層を形成するためにスタンパと基板が中間層を介して重ね合わされた際、突起部逃げによりスタンパと基板上の突起部との干渉を防ぐことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板及び前記スタンパをスピンさせて、前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程をさらに含んでもよい。上記構成によれば、基板とスタンパを共にスピンすることで中間層を面内に配置できるため、量産性に優れる。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方をスピンすることによって前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程をさらに含んでもよい。上記構成によれば基板とスタンパとを重ねる前に放射線硬化樹脂を延伸して面内に広げるため、中間層の形成される領域の内径を制御しやすくなる。その結果、クランプ領域の平坦性を安定に保つことができる。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記中間層は、直径22.5mmより内側から形成することが好ましい。上記構成によれば、直径23mmより一層内側から中間層を形成するため、直径23mmより外側の透明保護層の平坦性を向上できる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Aを前記スタンパ上に滴下し、延伸させて前記スタンパ上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
(b)前記スタンパと前記基板との間に放射線硬化樹脂Bを配置して、前記基板と前記スタンパを共にスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Bを延伸する工程と、
(c)放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Bを硬化する工程と、
をさらに含んでもよい。
また、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Bを前記基板上に滴下し、延伸させて前記基板上に面状に配置し、その後放射線によって硬化する工程と、
(b)前記基板と、前記スタンパとの間に前記放射線硬化樹脂Aを配置して、前記基板と前記スタンパを共にスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Aを延伸する工程と、
(c)放射線によって前記放射線硬化樹脂Aを硬化する工程と、
を含んでもよい。
上記2つの構成によれば、放射線硬化樹脂Aによって転写性と剥離性を保証し、放射線硬化樹脂Bによって接着性を保証することができる。さらに、中間層に混入する気泡を延伸により記録媒体外へ押し出すことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Aを前記スタンパ上に滴下し、延伸させて前記スタンパ上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
(b)前記基板上に前記放射線硬化樹脂Bを滴下して、前記基板をスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Bを延伸する工程と、
(c)前記放射線硬化樹脂A、Bを挟むように、前記基板と前記スタンパとを減圧環境下で重ねあわせた後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Bを硬化する工程と、
を含んでもよい。
また、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Bを前記基板上に滴下し、延伸させて前記基板上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
(b)前記スタンパ上に前記放射線硬化樹脂Aを滴下して、前記スタンパをスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Aを延伸する工程と、
(c)前記放射線硬化樹脂A、Bを挟むように、前記基板と前記スタンパとを減圧環境下で重ねあわせた後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Aを硬化する工程と、
を含んでもよい。
上記構成によれば、放射線硬化樹脂Aによって転写性と剥離性を保証し、放射線硬化樹脂Bによって接着性を保証することができる。さらに、減圧下での重ね合せにより中間層に混入する気泡を防ぐことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板の中心孔を塞ぐキャップを用いて前記キャップ上に前記透明保護層を形成するための放射線硬化樹脂を滴下する工程と、
前記基板をスピンさせて前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程と、
前記キャップを除去した後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂を硬化させて前記透明保護層を形成する工程と、
をさらに含んでもよい。この場合、前記キャップの直径は前記中間層が形成された領域の内径よりも大きく、直径24mm以下の直径を有することが好ましい。上記構成によれば、滴下時にキャップを用いることで透明保護層の厚み分布(とくに信号記録領域の内周領域において)を均一にすることができる。さらに、キャップ直径が24mm以下であれば、キャップを除去したあとの放射線硬化樹脂の内周エッジの直径が23mm以下となり直径23mm以上のクランプエリアにおいて透明保護層を平坦にすることができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記スタンパの中心孔の直径は、前記基板の中心孔の直径よりも小さく、前記スタンパを前記基板から剥離する工程において、前記基板の中心孔より内側の前記スタンパの中心孔の周辺の部分に前記基板がある側とは反対の方向に応力を印加することによって、前記スタンパを剥離してもよい。上記構成によれば、スタンパの中心孔周辺を押すだけでスタンパを安定かつ容易に剥がすことができる。また、その他の方法としては、中心孔が無いスタンパを用いてもよい。
以上のように、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法では、基板の段差が20μm以下であり、中間層を直径23mmより内側から形成するため、クランプエリアの平坦性に優れた多層光記録媒体を得ることができる。これによって得られた多層光記録媒体は、記録あるいは再生時に保持される際に傾きを生じることが無く、安定かつ良好な信号を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法における中間層用の放射線硬化樹脂の滴下方法を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の基板を作製するための金型の構成を示す概略断面図である。 基板とスタンパとを回転させて中間層用の放射線硬化樹脂を延伸させる工程を示す図である。 放射線を照射して中間層用の放射線硬化樹脂を硬化させる工程を示す図である。 基板からスタンパを剥離する工程を示す図である。 (a)〜(d)は、段差の大きさとカエリの大きさの関係を示す図である。 信号記録膜を形成する方法を示す図である。 キャップを用いて透明保護層を形成する方法を示す図である。 透明保護層の硬化前の透明保護層の状態を示す図である。 放射線照射時に放射線カットフィルタを用いて放射線の強度分布を設ける方法を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、基板を回転させて中間層用の放射線硬化樹脂を延伸させる工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、減圧槽内でスタンパと基板とを重ね合わせる工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、中間層用の放射線硬化樹脂を硬化させる工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、中間層用の放射線硬化樹脂として感圧性粘着剤シートを用いる例を示す概略図である。 本発明の実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法において、スタンパ上に放射線硬化樹脂Aを滴下し、スタンパを回転させて延伸させる工程を示す概略図である。 本発明の実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法において、減圧槽内でスタンパと基板とを重ね合わせる工程を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法において、基板とスタンパとを回転させて中間層用の放射線硬化樹脂を延伸させる工程を示す図である。 本発明の実施の形態4に係る多層光記録媒体の複数の中間層の内周エッジ位置の関係を示す概略断面図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態5に係る多層光記録媒体の製造方法におけるスタンパの剥離方法を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態5に係る多層光記録媒体の製造方法におけるスタンパの別の剥離方法を示す図である。 従来の多層光記録媒体の構成を示す概略断面図である。 従来の多層光記録媒体を主面側から見た平面図である。 従来のスタンパ用の金型の構造を示す概略断面図である。
符号の説明
100,201,601,1500,2200,2400 基板
101,602,2401 第1信号記録層
102,2402 第2信号記録層
2403 第3信号記録層
2404 第4信号記録層
2405 第5信号記録層
2406 第6信号記録層
2403 第3信号記録層
2410 6層光記録媒体
2411 第1中間層
2412 第2中間層
2413 第3中間層
2414 第4中間層
2415 第5中間層
103,1503,2203 中間層
104,1504,2420 透明保護層
106,606 突起部
107 中心孔
111,204,2430 段差
110,1510 多層光記録媒体
200,1401 ディスペンスノズル
201 オレフィンスタンパ
202,600 放射線硬化樹脂
203 突起部逃げ
205,500 信号
400,800 放射線源
401,801 放射線
402 放射線カットフィルタ
700,2201,2301 スタンパ
710 減圧槽
900 UV−PSAシート
901 ローラ
1000 放射線硬化樹脂A
1001 PCスタンパ
1200 放射線硬化樹脂B
1300 スパッタターゲット
1303 第2信号記録膜
1400 キャップ
1402 透明保護層用放射線硬化樹脂
1501 溝
1700 平坦性が保たれている領域の内周エッジ
1900,2001 ホルダ
2000 マスタスタンパ
2002 テーパ部
2100 カエリ
2205 プッシャー
CA,CA1,CA2,CA3 クランプエリア
以下、本発明の実施の形態に係る多層光記録媒体の製造方法について、添付図面を用いて詳細に説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
<多層光記録媒体>
図1は、本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体110の構成を示す概略断面図である。この多層光記録媒体110は、厚み25μmの中間層103を介して第1信号記録層101と第2信号記録層102を有する2層光記録媒体である。第2信号記録層102の上には厚み75μmの透明保護層104が形成されている。すなわち、透明保護層104の表面から第1信号記録層101までの層の厚さは100μmとなる。第1信号記録層101は基板100上に形成された案内溝あるいはピット等の信号に記録多層膜あるいは反射膜が成膜されたものである。波長405nmの波長を使用したNA0.85の光ヘッドを用いる場合、トラックピッチ0.32μmの案内溝又はピットであれば、各信号記録層の記録容量は23〜27ギガバイトとなる。多層記録膜は、銀、アルミ、ニッケル合金からなる反射膜、硫化亜鉛や窒化アルミ等が主成分の誘電体層、Ge、Sb、Te、Ag、In、Bi等の元素から選ばれる元素からなる化合物で構成される記録層等からなる。また、記録層材料としては色素も用いることができる。反射膜は、単独で構成される場合は、銀、アルミを主成分とする合金が用いられる。
第1、第2信号記録層101、102の内周の透明保護層104の部分はクランプエリアCAである。クランプエリアCAの内径は23mmである。クランプエリアCAとは、記録あるいは再生する際に多層光記録媒体110を保持する部分である。そのため、クランプエリアCAの表面は平坦である必要がある。この多層光記録媒体110では、クランプエリアCAの部分だけでなく、直径21mmよりも内側まで中間層103が形成されている。そのため、直径23mmから始まるクランプエリアCAは平坦性に優れている。
この多層光記録媒体110では、中間層103がより内側まで形成されるように、基板100の直径22.1mm付近にある段差111は20μm以下となっている。また、基板100の直径21mmより内側の部分には、中心孔107との間に突起部106を有する。突起部106は、透明保護層104の表面よりも突出している。基板100に突起部106があるため、多層光記録媒体110が透明保護層104を下になるように平面上に置かれても、透明保護層104の表面は平面から離れるため、透明保護層104の表面の傷を防ぐことができる。突起部106は基板100を射出成形で作製する際、金型上に突起部106に対応する溝を形成しておき、射出成形によって基板100上に成形される。
<従来の多層光記録媒体の製造方法>
本発明に係る多層光記録媒体の製造方法の特徴について説明するために、比較のため、図22、図23を用いて、従来の多層光記録媒体及びその製造方法について説明する。従来の多層光記録媒体1510では、図1の本発明に係る多層光記録媒体110と比較すると、以下の点で異なる。
a)直径22.5mm付近より内側に溝1501があること、
b)溝1501があるため、中間層1503は溝の外周端より外側にのみ形成されていること、
c)溝1051の内側に突起部がないこと、
である。溝1051の内側の突起部が無いのは、従来の多層光記録媒体1510はカートリッジと呼ばれる筐体に常時収められて使用されるため、透明保護層1504の面は保護され、突起部が必要ないためである。
溝1501は、射出成形で基板1500を作製する際に用いる金型に突起があるために、基板1500に形成されてしまう。具体的には、第1信号記録層の案内溝あるいはピットを形成するための射出成形用スタンパの中心孔周辺を金型に保持するための治具によって金型上は200μm以上の突起ができてしまう。すなわち、溝1501の深さは200μmもある。
この溝1501があるため、中間層1503の内周側エッジは溝1501の外周側エッジ、つまり直径22.5mm付近となる。中間層1503の上のクランプエリアはある半径方向では直径23mmまで平坦性が得られるが、多層光記録媒体1510の別の半径方向では、図22に示すように、クランプエリアCA2の平坦性が乏しくなってしまう。これは、中間層1503が溝1501の内部まで形成されてしまっているため、直径23mmでの中間層1503の表面が平坦では無く、中間層1503の厚みが5μm程度しかない部分ができたためである。そのため、その表面の透明保護層1504も平坦性を欠き、20μm程度の表面のうねりを発生し、クランプエリアは平坦性に乏しくなる。
図23は、多層光記録媒体1510を透明保護層1504側から見た平面図である。図22のクランプエリアCA2は、多層光記録媒体1510をA’で切った断面である。破線で示すクランプエリア内には平坦性が保たれている領域の内周エッジ1700があり、それより内周側では図22のCA2の内周部分のように平坦性が損なわれている。平坦性が保たれている領域の内周エッジ1700はドーナツ状のクランプエリアとは同心円ではない。そのため、多層光記録媒体1510をクランプエリアで保持すると、周方向に変形を生じ、周方向に反りの変化を生じてしまう。記録あるいは再生時には、反りによって信号劣化を生じ、安定な信号記録や再生が困難になってしまうという問題がある。
図22、23の従来の多層光記録媒体1510と比べ、本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体110では、基板100の段差111が20μm以下であるため、その内側から中間層103を形成することができる。そのために、直径23mmから始まるクランプエリアにおいて良好な平坦性が確保できる。
<実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法>
次に、図2から図11を用いて、本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法について説明する。この製造方法では中間層形成用のスタンパとして透明なオレフィン樹脂から成るスタンパを使用する。オレフィン樹脂としては、例えば、日本ゼオン製のゼオノア(商標名)を用いる。
(a)まず、オレフィン製のスタンパ201を用意する。オレフィン製のスタンパ201は、例えばニッケル製のマスタスタンパを用いて射出成形により作製できる。オレフィン製のスタンパ201上には案内溝あるいはピット等の信号205が転写されている。また、図24に示すような、従来の金型に使用される突起をもつホルダ1900を用いた場合には、オレフィン製のスタンパ201上にできる段差204は比較的大きくなる。一方、図3のように、突起をもたないホルダ2001を用いた場合(テーパ部2002でマスタスタンパ2000をかしめて保持)には、オレフィン製のスタンパ201上にできる段差204は非常に小さくなる。さらに、テーパ部2002でのみマスタスタンパ2000を保持するため、段差204の位置を直径22.1mmと、ホルダ1900を使用した場合の段差位置22.5mmより内周にすることができる。また、基板100の突起部106との干渉を避けるため、基板100の突起部と対応する箇所に凹部形状の突起部逃げ203を射出成形時に形成しておく。
(b)次に、図2のようにオレフィン製のスタンパ201上に、ディスペンスノズル200を用いて放射線硬化樹脂202を滴下する。なお、中間層用の樹脂としては、放射線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、又は、熱硬化樹脂等を用いることができる。ここでは中間層用の樹脂として紫外線硬化樹脂の日本化薬製DVD−003(粘度450mPa・s)を用いる。放射線硬化樹脂202を3g、リング状に滴下する。
なお、放射線硬化樹脂202のスタンパ201上への滴下位置は、完成した中間層の内周エッジが所望の半径位置(たとえば、直径21mmの位置)となるように決定する。具体的には、放射線硬化樹脂202をクランプ領域の内周端に対応する直径23mm以下の内周側の箇所から塗布することが好ましい。
(c)信号記録及び再生側の主面側に第1信号記録層101が形成され、直径22mmより内側の領域に突起部106を有する基板100を用意する。さらに、基板100として、直径23mmの位置と直径21mmの位置の主面上の段差111が20μm以下であるものを用いることが好ましい。この基板100では、段差111は直径22.1mm付近にあり、およそ20μm以下である。この段差111は、基板100を射出成形で作製する際、図3で示したような突起をもたないホルダ2001を用いて作製すれば20μm以下とできる。突起部106は凹部形状のホルダを用いて基板100を射出成形することによって設けることができる。
(d)次に、図4に示すように、第1信号記録層101の形成された基板100とオレフィン製のスタンパ201とを互いに対向させて重ねる。このとき、基板100の突起部106はスタンパ201の凹部形状の突起部逃げ203に入り込み、互いの干渉は無い。放射線硬化樹脂202は基板100の重量によって押し拡げられ、滴下された位置より内周側及び外周側に広がる。
(e)基板100とスタンパ201とを共に4500rpmで5秒間回転させ、放射線硬化樹脂202を外周まで延伸させる。これにより、放射線硬化樹脂202の厚みは25μm程度になる。
ここで、基板100の段差111の大きさと中間層の平坦性の関係について、下記表1と図7とを用いて説明する。表1は段差111の大きさと中間層の平坦性の関係を示す表である。段差111の大きさによって、その部分に生じるカエリ2100の高さh(図7(a)参照)が異なる。カエリ2100が発生するメカニズムは、以下の通りである。まず、図3で示したようなホルダ2001のテーパ部2002の部分になっているアンダーカット部分に、基板の成形に用いるプラスチック樹脂が入り込む。その後、金型から基板が取り出されるとき、アンダーカット部分の樹脂が信号面側に起き上がることでカエリ2100が発生する。下記表1からも段差111の大きさとほぼ同じ高さのカエリが発生することがわかる。段差111の大きさによって中間層のクランプエリアにおける平坦性の歩留が左右される。
Figure 2007135907
図7(b)、(c)、(d)は、それぞれ段差111が10μm、20μm、25μmの場合の概略図である。25μmの厚みの中間層103を形成した場合、スタンパとの間と基板のカエリとの間の隙間がそれぞれ15μm、5μm、0μmとなる。隙間が小さくなると、例えば0μmになる(カエリと基板とが接触)と、段差(直径22.1mmの位置)の外周、直径22.5mmの位置での中間層の平坦性は極端に悪化する。すなわち、カエリによって中間層がカエリの外周部分と内周部分で切られ、スタンパを剥離する際に直径22.5mmの中間層が部分的にスタンパにくっついたままになってしまうことが発生した。さらには、直径23mmで中間層がスタンパ側にくっついたため、基板上に中間層が無いものも発生した。この結果、透明保護層を形成した後で直径23mmの位置でのクランプエリアの平坦性の歩留りは大きく悪化した。この結果より、基板上の段差は20μm以下であれば、歩留り良く多層光記録媒体を作製することが可能となることが分かる。
なお、図3のような金型を基板作製のために使用すると、カエリは自然的に発生するものであるため、本発明の実施の形態に示す図7以外の図ではカエリを簡単化のため敢えて図示しない。
(d)次に、図5のように、放射線源400から放射線401をスタンパ201側から照射して、放射線硬化樹脂202を硬化する。放射線硬化樹脂202は紫外線硬化樹脂なので、放射線源400として紫外線ランプを用いる。紫外線ランプとしては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が使用できる。スタンパ201は紫外線に対して比較的透明であるため、放射線硬化樹脂202を硬化することができる。
(e)次に、図6に示すようにオレフィン製のスタンパ201を基板100から剥離する。オレフィン樹脂は一般的に、放射線硬化樹脂202との接着力が弱いため、放射線硬化樹脂202は基板100側に残ることになり、オレフィン製のスタンパ201を安定に剥離することができる。放射線硬化樹脂202が硬化した中間層103の上にはスタンパ201から転写された信号500が形成されている。剥離方法としては、基板100とオレフィンスタンパ201との間に楔状の治具を挿入して、機械的に剥がす方法や、また楔状の治具とともに圧縮空気を導入して剥離する方法がある。剥離後の中間層103の内周エッジは直径23mmより内側まで形成されるように、図2で示した滴下位置を決定すればよい。直径22.5mmより内側まで形成されていると、透明保護層を形成するときのプロセスマージンが広がる。
以上、中間層形成方法を説明してきたが、次いで、第2信号記録層の形成方法、透明保護層の形成方法について説明する。
(f)次に、第2信号記録層の形成方法を説明する。図8は、第2信号記録層の形成方法を示す概略図である。第2信号記録層102は中間層上に形成された信号500と第2信号記録膜1303から成る。第2信号記録層102も図1で示した第1信号記録層101同様の材料から作製することが出来る。すなわち、第2信号記録膜1303は、記録多層膜あるいは反射膜である。記録多層膜は、銀、アルミ、ニッケル合金からなる反射膜、硫化亜鉛や窒化アルミ等が主成分の誘電体層、Ge、Sb、Te、Ag、In、Bi等の元素から選ばれる元素からなる化合物で構成される記録層等からなる。また、記録層材料としては色素も用いることができる。反射膜単独で構成される場合は、銀、アルミを主成分とする合金が用いられる。第2信号記録膜1303をスパッタリングにより形成する。所望の材料から成るスパッタターゲット1300を用いてスパッタリングにより第2信号記録膜1303を形成する。第2信号記録膜1303が複数の層からなる場合は、所望のターゲットを用いて複数回スパッタリングして、膜を積層することとなる。また、色素膜等はスパッタリング以外にも蒸着法やスピンコーティング法によっても形成できる。
<キャップを用いた透明保護層の形成>
(g)さらに、透明保護層の形成方法について説明する。図9は、キャップ1400を用いて透明保護層を形成する方法の一例を示す概略図である。
(i)基板100の中心孔107に係合するようなキャップ1400を用いて、基板100の中心孔107を塞ぐように配置する。キャップ1400の外径は直径24mm以下であり、中間層103が形成されている領域の内周エッジより大きい。中間層が22.5mmよりも内側まで形成されているため、キャップ外径は23mmのものを用いる。
(ii)キャップ1400の上からディスペンスノズル1401を用いて透明保護層用の放射線硬化樹脂1402を滴下し、基板100を回転させる。透明保護層用の放射線硬化樹脂1402としては、中間層同様、紫外線硬化樹脂を用いることができる。ここでは、一例として粘度2000mPa・sの紫外線硬化樹脂を用いる。なお、熱硬化樹脂を用いてもよい。キャップ1400に1.5gの放射線硬化樹脂1402をリング状に滴下して、加速時間0.7秒で基板100の回転数を4650rpmまで到達させて、その後0.8秒間保持する。これにより、放射線硬化樹脂1402の厚みは75μm程度となる。
(iii)この後、紫外線ランプを用いて、放射線硬化樹脂1402を硬化する。紫外線ランプとしては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が使用できる。なお、基板100の外周縁に放射線硬化樹脂1402が盛り上がった部分ができるが、基板100を回転しながら放射線硬化樹脂1402を硬化する等の手法を用いて除去できる。
以上の工程によって多層光記録媒体を作製できる。
図10は、図9の方法で作製された多層光記録媒体の構成を示す概略図である。外径23mmのキャップ1400を用いて透明保護層104を形成した場合、キャップ1400を除去したのち、硬化するまでの間に放射線硬化樹脂1402は直径23mmより内周側に流れ、直径DCAまで到達するため、クランプエリアCA3では少なくとも直径23mmから外側の平坦性は得ることができる。下記表2にキャップ外径とクランプエリアでの平坦性の関係を示す。キャップ外径が23mmであれば、直径23mmの位置でも平坦性に優れていることが分かる。しかし、キャップ外径が大きくなるにつれ平坦性が失われ、平坦性が20μm以上となっていくことがわかる。この表からキャップ外径24mm以下であれば、平坦性が20μmより小さく、信号記録あるいは再生上は問題ない。
Figure 2007135907
<放射線カットフィルタの使用>
なお、上記多層光記録媒体の製造方法の、放射線照射によって放射線硬化樹脂1402を硬化させる工程において、放射線カットフィルタを用いて信号記録領域より内側における放射線の透過率を制御する方法について図11を用いて説明する。
スタンパ201の信号領域より内側に段差204があると、スタンパ201を剥離する際に段差204付近の放射線硬化樹脂202が転写できずに剥離して樹脂クズを発生する場合がある。これを防ぐため、図11のように信号領域より内側では、放射源400とスタンパ201の間に放射線カットフィルタ402を設けて、部分的に硬化度を落としたほうが望ましい。ここでは放射線カットフィルタ402の透過率は約65%とする。段差204近傍の放射線硬化樹脂202の硬化度を落とすことで、スタンパ201からの剥離の際に段差204によってカエリを発生したり、剥がれて樹脂クズになったりすることが無くなる。したがって、樹脂クズによるクランプエリアの平坦性を欠如は大きく改善することができる。下記表3に放射線カットフィルタを貼った部分の透過率(カットフィルタの無い信号記録領域の透過率を100%とする)に対しての樹脂クズの発生頻度と硬化度合の関係を示す。この表3から、放射線カットフィルタを貼った部分の透過率が35%〜85%であれば、樹脂クズの発生抑制と硬化度合の両立ができることが分かる。透過率が35%〜85%であれば、その部分の放射線の照射強度は、放射線カットフィルタが無い部分(信号記録領域)の照度の35%〜85%となる。
Figure 2007135907
以上のように、実施の形態1には、基板の段差111が20μm以下であり、中間層が直径23mmより内側まで形成され、クランプエリアの平坦性に優れた多層光記録媒体について説明した。この多層光記録媒体はクランプエリアの平坦性に優れているため、記録あるいは再生時に保持される際に傾きを生じることが無く、安定かつ良好な信号を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、中間層形成用のスタンパとして、オレフィン製のスタンパを使用したが、透明であれば、PMMAのようなアクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂のような放射線硬化樹脂との接着力の小さい樹脂材料やさらにはガラス等でもスタンパとして使用できる。また、基板100の材料として、ポリカーボネートのように、スタンパ201よりも放射線硬化樹脂の接着力の高い材料であれば、他の材料も使用できる。また、透明保護層や中間層用の樹脂として、放射線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂のほかに、熱硬化樹脂も使用できる。このとき、放射線硬化樹脂は、スタンパよりも基板あるいは第1信号記録層に接着しやすいものを選ぶ必要がある。また、図5では、放射線401をオレフィン製のスタンパ201側から照射したが、基板側から照射してもよい。第1信号記録層が使用する放射線に対してある程度透過率を有している場合、基板側から照射し、第1信号記録層を介して放射線硬化樹脂202を硬化することは可能である。また、図2では放射線硬化樹脂202をオレフィン製のスタンパ201上に滴下したが、基板100上に滴下して、その後スタンパ201を重ねて、ともに回転してもよい。さらに、基板100とスタンパ201の両方に放射線硬化樹脂を滴下しても構わない。
また、透明保護層を形成するために、プラスチック製のフィルム(たとえば、帝人化成製のピュアエース(商標名):ポリカーボネート製フィルム)を用い、それを放射線硬化樹脂(たとえば、紫外線硬化樹脂)、感圧性接着剤を用いて貼り付けて、透明保護層としてもよい。なお、透明保護層としてフィルムを用いた場合でも、下地となる中間層の平坦性が乏しければ、透明保護層の表面の平坦性は乏しくなる。本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法によれば、中間層は良好な平坦性が得られるので、透明保護層の表面の平坦性も良好なものとなる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、中間層形成方法の第2の方法として、再生専用(ROM型)の多層光記録媒体の製造方法について説明する。
(a)図12に示すように、基板601上に放射線硬化樹脂600を滴下し、基板601を回転させて、放射線硬化樹脂600を基板外周端まで広げる。放射線硬化樹脂600としては実施の形態1で説明したものと同様のものが使用できる。ここでは、実施の形態1と同じくDVD−003を使用する。また、基板601についても、実施の形態1で説明したものと同様のものが使用できるが、ポリカーボネートが最適である。第1信号記録層602は紫外線に対してある程度の透過率を有する材料からなる。再生専用の光記録媒体の場合には、銀合金の反射膜が挙げられる。銀合金の反射膜であれば、40nmの厚みで再生波長に対して十分反射光量が得られ、かつ紫外線の透過率が高い。
基板601を回転させる場合の回転数や回転時間は、放射線硬化樹脂600の層を厚み25μm程度になるように適した種々の条件を選ぶことができる。また、図9のようなキャップを用いて、キャップの上から放射線硬化樹脂600を滴下して、基板601を回転しても良い。キャップを使用することによって、より均一な厚みの放射線硬化樹脂600の層が形成することができる。
(b)次に、図13に示すように、基板601とスタンパ700とを減圧槽710の中で重ねあわせる。スタンパ700はニッケル等の金属からなるスタンパである。スタンパ700の中心孔径は、基板601の突起部606の外径よりも大きいものを用いる。これは、金属製スタンパの場合、突起部606との干渉を防ぐための凹部形状の突起部逃げが作製しづらいからである。2kPaまで減圧した雰囲気下で重ね合わせを行うと、スタンパ700と放射線硬化樹脂600の間に入る気泡の発生を防ぐことが出来る。また、重ね合わせた後、図13のように、放射線硬化樹脂600は直径23mmよりも内側、例えば、22.5mmより内側まで到達していることが好ましい。
(c)基板601とスタンパ700とを重ね合わせた後、図14のように、基板601側から放射線源800を用いて放射線801を照射する。ここでは、放射線801は紫外線であり、放射線源800としては実施の形態1記載と同様のランプを使用することができる。また、基板601側から放射線801を照射する理由は、スタンパ700は金属製であるため、放射線である紫外線を透過しないためである。紫外線であれば、銀合金からなる第1信号記録層602は透過することができ、放射線硬化樹脂600を硬化させることができる。
(d)この後、基板601とスタンパ700の間に楔状の治具や圧縮空気を導入して、スタンパ700を基板601から剥離する。
(e)次に、図8に示す方法と同様にして、スパッタリングによって、第2信号記録層102として銀合金反射膜22nmを形成する。
(f)さらに、図9に示す方法と同様にして透明保護層104を形成する。
以上のような方法によって中間層及び透明保護層を形成することができ、平坦性に優れたクランプエリアを有する多層光記録媒体を得ることができる。なお、中間層が形成されている領域の内径やキャップ外径による平坦性の確保は実施の形態1で説明したため、その説明を割愛する。
なお、本実施の形態2では、基板601上に放射線硬化樹脂600を滴下し、延伸したが、スタンパ700上に滴下して、スタンパ700を回転させて延伸させてもよい。また、基板601、スタンパ700の双方に滴下してもよい。また、例として、ROM型の光記録媒体を使って説明したが、第1および第2信号記録層が記録多層膜であってもよい。ただし、使用する放射線をある程度透過する材料である必要がある。
図14では、基板601側からのみ放射線801を照射したが、スタンパ700側からその他の放射線を照射して放射線硬化樹脂600の硬化を促進してもよい。例えば、紫外線硬化樹脂であれば、スタンパ700側から赤外線や遠赤外線で熱を与えることで硬化を促進できる。また、スタンパ700として、金属製のものではなく、不透明なプラスチック製のものでもよく、さらには透明性のあるガラスやプラスチック(オレフィン系、ノルボルネン系、アクリル系等)からなるものでもよい。たとえば、本実施の形態1で使用したオレフィンスタンパをそのまま使用して、本実施の形態2の製造方法を実施することも可能である。透明性のあるスタンパであれば、スタンパ側から、紫外線等、スタンパをある程度透過する放射線を照射することで、硬化を促進できる。
また、放射線硬化樹脂600に代えて図15に示すようにUV−PSAシート900を使用してもよい。UV−PSAシートとは感圧性の粘着剤で、紫外線硬化性を備えたものである。UV−PSAシートは、粘度が非常に高く、ゲル状であるのでフィルムのように扱うことができ、中間層の内径はUV−PSAシートの内径で制御できる。また、ローラ901で容易に基板601上に貼ることができ、大気中でも基板601との間に混入する気泡を防ぐことができる。さらに、ゲル状であるので、スタンパ700上の信号も転写することができる。
また、透明保護層を形成する際、実施の形態1同様、プラスチック製のフィルムを用いてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3では、2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの中間層を形成する方法について説明する。2種類の放射線硬化樹脂としては、スタンパと接し、スタンパから信号を転写させ、スタンパから剥離しやすい放射線硬化樹脂Aと、基板と接し基板と接着しやすく、放射線硬化樹脂Bと接着させるための放射線硬化樹脂Bとを用いる。この方法は特にスタンパの材料が中間層である放射線硬化樹脂と剥がれにくい場合に有効である。例えば、基板とスタンパが同一材料である場合、スタンパからの剥離性が良好な放射線硬化樹脂を用いると、同じ樹脂については基板からも剥離しやすくなるという問題がある。そのため、スタンパからの剥離性が良好な放射線硬化樹脂Aを使用し、一方、基板との接着性が高い放射線硬化樹脂Bを使用し、2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの中間層を形成することによって、上記問題を効果的に解決できる。
<多層光記録媒体の製造方法>
以下に本実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法について説明する。
(a)まず、図16に示すように、PCスタンパ1001の上に放射線硬化樹脂A1000を滴下し、スタンパ1001を回転させて、放射線硬化樹脂Aを延伸させる。例えば、粘度200mPa・sの樹脂を放射線硬化樹脂A1000として用いた場合、スタンパ1001を4500rpmで5秒間延伸すれば、約20μmの厚みの層が形成できる。PCスタンパとはポリカーボネート樹脂からなるスタンパ1001であり、一般の基板成形のようにマスタスタンパを用いて射出成形により作製される。ポリカーボネート樹脂としては例えば、帝人化成製のAD5503等が使用できる。また、放射線硬化樹脂A1000としては、ポリカーボネート樹脂から剥離しやすい樹脂を選ぶ必要がある。例えば、硬化後の硬さが硬いものなどは、ポリカーボネート樹脂からはがれやすい傾向がある。ここでは、紫外線硬化樹脂を放射線硬化樹脂Aとして使う。
また、放射線硬化樹脂Aをスタンパ1001に滴下する位置の内径R(A)は、実施の形態1と同様に、完成した中間層の内周エッジが所望の半径位置(たとえば、直径21mmの位置)となるように決定する。具体的には、放射線硬化樹脂Aをクランプ領域の内周端に対応する直径23mm以下の内周側の箇所から塗布することが好ましい。
(b)放射線硬化樹脂Aを延伸させて面状に広げた後、放射線である紫外線を紫外線ランプによって照射して、硬化させる。なお、PCスタンパ1001は比較的透明であるため、PCスタンパ1001を介しての放射線照射による硬化も可能である。また、紫外線ランプは実施の形態1、2で使用したものから選べばよい。
(c)上記スタンパ1001における放射線硬化樹脂Aの塗布(a)及び硬化処理(b)と並行して、ポリカーボネート製の基板601上にも放射線硬化樹脂Bを配置する。例えば、図12の放射線硬化樹脂600を放射線硬化樹脂Bとして基板601上に滴下し、延伸させればよい。放射線硬化樹脂Bとしては、上記実施の形態1で用いたDVD−003(日本化薬製、粘度450mPa・s)を用いてもよい。また、基板601を回転数5000rpmで30秒間回転させることによって、放射線硬化樹脂Bの厚さ約5μmの層が得られる。なお、図15のUV−PSAシート900を放射線硬化樹脂Bとしてもよい。なお、放射線硬化樹脂A、Bの層の厚みは、完成した中間層の厚みが所望の厚み(たとえば、25μm)になるように調整すればよい。
また、放射線硬化樹脂Bを基板601に滴下する位置の内径R(B)は、放射線硬化樹脂Aと同様に、完成した中間層の内周エッジが所望の半径位置(たとえば、直径21mmの位置)となるように決定する。具体的には、放射線硬化樹脂Bをクランプ領域の内周端に対応する直径23mm以下の内周側の箇所から塗布することが好ましい。さらに、スタンパ1001上に塗布する放射線硬化樹脂Aの塗布位置の内径R(A)と、基板上に塗布する放射線硬化樹脂Bの塗布位置の内径R(B)とは、
R(B) =< R(A)
の関係を満たすように放射線硬化樹脂A、Bをそれぞれ塗布することが好ましい。
(d)次に、図17に示すように、減圧槽710内を減圧して、放射線硬化樹脂A、Bを挟むようにして基板601とPCスタンパ1001と互いに対向させて重ねる。減圧条件が2kPa程度であれば放射線硬化樹脂A、Bの間に混入する気泡を防ぐことができる。
上記の場合、放射線硬化樹脂Aの塗布されている領域の内径DUVAと放射線硬化樹脂Bの塗布されている領域の内径DUVBはともに直径23mmより小さく(可能であれば、2.5mmよりも小さく)、且つ、
DUVB=<DUVA
の関係にあることが好ましい。逆にいえば、DUVB=<DUVAの関係になるように、放射線硬化樹脂A,Bの塗布工程(a)及び(c)において、放射線硬化樹脂A,Bの塗布位置の内径R(A)、R(B)をあらかじめ決定し、塗布しておく必要がある。硬化後の放射線硬化樹脂A,Bのそれぞれの内径が、DUVB=<DUVAの関係を満たすことにより、PCスタンパ1001上の放射線硬化樹脂A1000はすべて放射線硬化樹脂Bと接するため、PCスタンパ1001を剥離する際、すべての放射線硬化樹脂A1000をPCスタンパ1001から剥離することができる。なお、剥離及び透明保護層の形成方法は実施の形態1、2と同様の方法によって実現できるので、ここでは説明を割愛する。
次に、別例として、図17の場合とは異なって、図18に示すように、放射線硬化樹脂Bが塗られていない基板100とPCスタンパ1001との間に放射線硬化樹脂B1200を配置してもよい。この場合、基板100とPCスタンパ1001とを共に回転して、放射線硬化樹脂B1200を延伸する。この場合にも、延伸後の放射線硬化樹脂A及びBのそれぞれの内径DUVA及びDUVBは、DUVB=<DUVA<22.5mmの関係になっていることが好ましい。
以上のように、2種類の放射線硬化樹脂A及びBを用いる場合には、それぞれの硬化後の内径DUVA及びDUVBについて、DUVB=<DUVA<22.5mmの関係を満たすことが好ましい。この硬化後の内径の条件を満たすように、それぞれの放射線硬化樹脂A及びBを基板601、100に近い側の放射線硬化樹脂をより内径に近い側から塗布しておくが好ましい。これによって、実施の形態1、2と同じように、最外層に設ける透明保護層のクランプエリアにおける平坦性に優れた多層光記録媒体が作製できる。
なお、本実施の形態3では、スタンパとしてPCスタンパを使用したが、基板の材料と異なる材料のスタンパを用いる場合でも、2種類の放射線硬化樹脂を用いることで、プロセス安定性、とくに剥離安定性を向上させることができる。
また、図16では液体状の放射線硬化樹脂Aを用いたが、これに限られず、図15のようなスタンパと剥離しやすいUV−PSAシートを放射線硬化樹脂Aとしてもよい。さらに、基板と放射線硬化樹脂Aを接着するための放射線硬化樹脂Bの代わりに、放射線硬化性を持たないPSA(感圧性接着剤)を使用してもよい。
放射線硬化樹脂A、Bを滴下、延伸する際、実施の形態1、2での説明同様、図9に示すようなキャップを使用して、放射線硬化樹脂A、Bの径方向の厚み分布を制御し、合わせて中間層の厚み分布を均一にすることができる。
透明保護層を形成する際、実施の形態1、2同様に、プラスチック製のフィルムを用いてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態1から3では、2層の信号記録層を有する光記録媒体について説明したが、2層に限らず3層以上の信号記録層を有する多層光記録媒体であってもよい。また、実施の形態1から3の方法のいずれかを用いることにより、クランプエリアの平坦性に優れた、3層以上の信号記録層を有する多層光記録媒体を作製することができる。本実施の形態4では、3層以上の信号記録層を有する多層光記録媒体の構成とその製造方法について説明する。
<多層光記録媒体の構成>
図19は、6つの信号記録層を有する6層光記録媒体2410の構成を示す概略図である。透明保護層2420から近い順に第6信号記録層2506、第5信号記録層2505、第4信号記録層2504、第3信号記録層2503、第2信号記録層2502、第1信号記録層2501(これは基板2400に形成されている。)となる。また、2層の信号記録層の間の中間層は、たとえば、第4信号記録層2504と第5信号記録層2505の間の中間層は第4中間層2414となる。つまり、第k信号記録層と第k+1信号記録層(この実施の形態では、kは1以上5以下)の間の中間層は第k中間層となる。第6信号記録層2406の上には透明保護層2420がある。また、透明保護層2420の直径23mmより外側かつ信号記録領域の間はクランプエリアCAとなる。また、基板2400の中心孔の周囲には突起部106があり、その先端は透明保護層2420の表面より突出している。さらに、基板2400の直径22.1mmのところには段差2430があり、その高さは20μm以下となっている。
ここで、図19中で図示されているX部の拡大図について説明する。拡大図からわかるように、第1中間層2411、第2中間層2412、第3中間層2413、第4中間層2414、第5中間層2415、透明保護層2420が形成されている領域の内径をそれぞれ、DSL(1)、DSL(2)、DSL(3)、DSL(4)、DSL(5)、DCVとすると、
DSL(1)<DSL(2)<DSL(3)<DSL(4)<DSL(5)<DCV
という関係を満たしていることが特徴である。これに加えて、DCV<23mmとなっている。また、DSL(1)=<DSL(2)=<DSL(3)=<DSL(4)=<DSL(5)=<DCV、且つ、DCV=<23mmと、いずれかの内径同士が同じであって、DCVが23mm以下でもよい。
上記関係をより一般化すると、n層の信号記録層を有する光記録媒体において、いずれのm(mは2以上、n−1以下)に対しても、
DSL(m−1)=<DSL(m)
且つ、
DSL(n−1)=<DCV
となる。
上記の関係を満たしていれば、第m中間層(mは2以上n−1以下)を形成する場合、その下地となる面の全面に第m−1中間層が形成されているので、形成領域のエッジ部、とくに内周エッジもきれに塗布することができ、第m中間層のクランプエリアの平坦性を保つことができる。また、第n−1中間層の上に形成する透明保護層2420の内周エッジもきれいに形成でき、透明保護層2420のクランプエリアの平坦性も保つことができる。なお、第1中間層2411においては、基板2400に直に形成されることになるので、段差2430が小さいほうがよい。段差2430の大きさ20μm以下であれば、表1に示したように、第1中間層2411の平坦性は保証できる。
本実施の形態4では、中間層の内径の関係について、説明したが、このような光記録媒体を製造するためには、上記実施の形態1、2、3の方法を用いればよい。
<多層光記録媒体の製造方法>
基板又は前記スタンパの少なくとも一方に中間層を形成するための放射線硬化樹脂を塗布する工程において、第k中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k)と、第(k+1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k+1)とは、
R(k)=<R(k+1)
の関係を満たすようにそれぞれの放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
さらに、第(n−1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(n−1)と、透明保護層2420を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径RCとは、
R(n−1)=<RC
の関係を満たすように放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
なお、信号記録層の数によって、透明保護層の厚みや中間層の厚み、さらにはそれらの厚み精度の最適値は異なるため、その最適値になるように各層の厚みを調整する必要がある。
(実施の形態5)
本実施の形態5では、スタンパの剥離方法について説明する。図20、図21はいずれも、スタンパの中心孔を基板の中心孔より小さくした場合に有効な剥離方法である。この実施の形態5に係る製造方法では、スタンパの中心孔を小さくすることを特徴とする。
図20は、スタンパの中心孔の直径DSTを基板の中心孔の直径DSが小さくした場合の構成を示す概略図である。また、図21は、スタンパの中心孔をなくした場合である。プッシャー2205によって、スタンパ2201の中心孔の周辺あるいはスタンパ2301の中心部を上方へ押す。このとき、基板2200を固定しておけば、スタンパ2201あるいは2301を上方へ剥離することができる。また、補助として中間層2203とスタンパ2201あるいは2301の間に圧縮空気を入れて、より剥離を簡単にすることもできる。
中心孔の直径11mmのオレフィンスタンパ(厚み0.6mm)、Ag合金を信号記録膜として成膜した中心孔の直径15mmのポリカーボネート製基板(厚み1.1mm)、紫外線硬化樹脂(日本化薬製DVD003)を中間層として、サンドイッチ構造を作製して、図20に示す方法のように、外径14.5mmのプッシャー2205で押すことによって、容易にオレフィンスタンパを剥離することができた。
この剥離方法をもちいれば、実施の形態1で説明したような楔状の治具を用いなくても安定にスタンパを剥離することができ、かつ、楔状の治具よりスタンパあるいは基板への接触が弱いため、スタンパあるいは基板の機械的なダメージを軽減でき、さらにはスタンパあるいは基板からのダスト発生を抑制することができる。
なお、上で説明したスタンパの剥離方法は、基板より中心孔が小さいスタンパを用いれば、実施の形態1から4で示した多層光記録媒体とその製造方法にも適用することができる。
本発明に係る多層光記録媒体の製造方法は、複数の信号記録層を有する光情報記録媒体を作製する場合に有用である。
本発明は、信号記録及び再生側の最外層として厚み10〜150μmの透明保護層を有する多層光記録媒体の製造方法に関する。特に、各信号記録層の間を分離する層を中間層とした場合、直径23mmより内側から中間層を形成することを特徴とする多層光記録媒体の製造方法に関する。
高密度光記録媒体として、片面2層再生DVDのような厚み方向に信号記録面を複数層有する、多層光記録媒体が提案されている。たとえば、片面2層再生のDVDは2枚の基板のうち1枚の信号記録層に金、シリコン等の透光性の反射層を、もう一枚の信号記録層に従来のアルミニウム等からなる反射層を、それぞれ成膜し、これらの信号記録層が内側になるように貼り合せた構造となっている。
さらに、1層あたりの面記録密度を向上するために、青紫色レーザ光源(波長400nm前後)と高NAのレンズを用い、厚さが0.1mm等の薄型の透明保護層をもつ高密度光記録媒体が実用化されている。この高密度光記録媒体は、厚い信号基板の表面に信号の案内溝あるいはピットを形成して、その上に書き換え可能な記録多層膜を成膜し、さらにその上に透明保護層が形成された構造を有する。この透明保護層タイプの高密度光情報記録媒体においても2つ以上の信号記録層を有するものが考えられる。その作製方法の一つの例としては以下の方法が挙げられる。
(1)表面に信号の案内溝あるいはピットが形成され、書き換え可能な記録多層膜が成膜された厚い基板を用意する。
(2)基板の上に、さらに紫外線硬化樹脂を用いて分離層を形成するとともに、その分離層の表面に2層目の信号の案内溝あるいはピットを形成する。
(3)2層目の信号の案内溝あるいはピットの上に書き換え可能な透光性の記録多層膜を成膜する。
(4)厚さが0.1mmの薄型の透明保護層を形成する。
具体的な作製方法として特開2003−203402号公報では、上記(2)の工程のためにプラスチック製のスタンパを用いる。そのスタンパ上の信号案内溝あるいはピットに紫外線硬化樹脂を塗布し硬化した後、異なる性質を有するもう1つの紫外線硬化樹脂を用いて、1層目の記録多層膜が成膜された基板と貼り合わせる。紫外線硬化樹脂を硬化させた後、スタンパを剥離する。このような方法を用いれば、剛性のある厚い基板をベースとして、その上に分離層を介して、もう一層、さらには複数の信号記録層を積み上げて多層光記録媒体を作製することができる。
また、透明保護層の形成方法としては、特開2002−184073号公報や国際公開WO01/086648号に示されたように、厚み精度を有した透明なフィルムを接着剤で接着して、フィルムと接着剤を併せて透明保護層とする方法がある。また、特開2006−12412号公報に示されたように、透明な紫外線硬化樹脂を2層目の信号記録層の上に塗布し、透明保護層とする方法がある。
特開2003−203402号公報 特開2002−184073号公報 国際公開WO01/086648号 特開2006−12412号公報
しかしながら、透明保護層が0.1mm程度の多層光記録媒体をNA0.7〜0.9、例えばNA0.85等の高NAの光ヘッドで記録及び再生を行う場合、多層光記録媒体に反りがあると、光ヘッドに対して傾きを生じる。このとき、光ヘッドにより集光されたレーザ光にはコマ収差が発生し、信号記録層上でのビームの絞りが悪くなる。これにより、記録あるいは再生される信号品質が悪化し、安定性が乏しくなる。また、多層光記録媒体自体の反りが小さくても、光記録媒体の保持領域(クランプエリア)の平坦性に乏しい場合、ドライブ上で光記録媒体を保持する際、実質的に光記録媒体は光ヘッドに対して傾いてしまう。一般的には、光記録媒体の直径23mmより外側の領域がクランプエリアとして用いられる。多層光記録媒体では、特に、信号記録層間を分離する中間層を形成する際、クランプエリアの内径付近(23mm付近)で中間層がはがれる等によって平坦性を欠くことが多い。そのため、その上に形成される透明保護層も含めて、クランプエリアの平坦性が乏しくなる。
本発明は、上記課題に鑑み、クランプエリアの平坦性に優れ、信号記録及び再生時に安定な信号記録及び再生が可能な多層光記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法は、 信号記録及び再生側に複数の信号記録層と、2層の前記信号記録層の間には樹脂層からなる中間層を有し、最外層として厚み10〜150μmの透明保護層を有し、前記信号記録領域の内径より内側の領域であって、直径23mm以上の領域がクランプ領域である多層光記録媒体の製造方法であって、
信号記録及び再生側の主面側に信号記録層を有すると共に、直径22mmより内側の領域に突起部を有し、直径23mmの位置と直径21mmの位置の主面上の段差が20μm以下である基板を用意する工程と、
スタンパを用意する工程と、
前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方の前記クランプ領域に対応する箇所より半径方向について内側から中間層用の放射線硬化樹脂を塗布する工程と、
前記放射線硬化樹脂を挟むように前記基板と前記スタンパとを互いに対向させて重ねる工程と、
前記放射線硬化樹脂を硬化させる工程と、
前記スタンパを前記基板から剥離して、前記基板上に硬化後の前記放射線硬化樹脂の層を中間層として得る工程と、
を含むことを特徴とする。
上記本発明の多層光記録媒体の製造方法によれば、直径23mmの位置と直径21mmの位置の基板の段差が20μm以下であるため、基板の段差の影響は小さくなる。また、基板の直径23mmより内側から中間層用の放射線硬化樹脂を容易に塗工できるので、クランプエリアとなる直径23mm以上の領域のエッジ領域でクランプエリアの平坦性を確保できる。さらに、放射線硬化樹脂によりスタンパから容易にかつ安定に信号を転写することができる。
さらに、上記多層光記録媒体の製造方法では、2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの中間層を形成してもよい。上記構成によれば、基板と中間層の接着力、中間層とスタンパの剥離性の両方を両立できるように、2つの樹脂を選ぶことができ、より安定な信号転写と剥離を実現することが出来る。また、スタンパからの剥離性が向上することで、クランプエリアで中間層が基板から剥離することを防ぐことができる。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合、
前記スタンパ上に前記放射線硬化樹脂Aを塗布し、
前記基板上に前記放射線硬化樹脂Bを塗布しておき、
前記放射線硬化樹脂Aと前記放射線硬化樹脂Bとを挟むようにして、前記スタンパと前記基板とを互いに対向させて重ね合わせて、前記放射線硬化樹脂Aと前記放射線硬化樹脂Bとを貼り合わせて一つの中間層を形成してもよい。
さらに、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記スタンパ上に塗布する前記放射線硬化樹脂Aの塗布位置の内径R(A)と、前記基板上に塗布する前記放射線硬化樹脂Bの塗布位置の内径R(B)とは、
R(B) =< R(A)
の関係を満たすように前記放射線硬化樹脂A、Bをそれぞれ塗布することが好ましい。上記の製造方法によって前記放射線硬化樹脂Aが形成されている領域の内径DUVAと、前記放射線硬化樹脂Bが形成されている領域の内径DUVBとについて、DUVB=<DUVAの関係を満たす多層光記録媒体が得られる。上記構成によれば、基板と中間層の接着性を保証する放射線硬化樹脂Bの塗布領域がスタンパから剥がれる放射線硬化樹脂Aの塗布領域をカバーしているため、剥離性を向上でき、中間層の平坦性を向上することができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記多層記録媒体が複数の信号記録層及び複数の中間層を有する場合であって、n(nは2以上)層の信号記録層を有し、前記基板側から最外層の前記透明保護層に向かって順に第1信号記録層、・・・、第(n−1)信号記録層、第n信号記録層とし、第k(kは1以上n−1以下)信号記録層と第(k+1)信号記録層との間の中間層を第k中間層とし、
前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方に前記中間層を形成するための放射線硬化樹脂を塗布する工程において、前記第k中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k)と、前記第(k+1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k+1)とは、
R(k)=<R(k+1)
の関係を満たすようにそれぞれの前記放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
また、前記第(n−1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(n−1)と、前記透明保護層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径RCとは、
R(n−1)=<RC
の関係をみたすように前記放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
上記の製造方法によって、前記第k中間層の形成されている領域の内周エッジの直径をDSL(k)、前記透明保護層の形成されている領域の内周エッジの直径をDCVとした場合、いずれのm(mは2以上n−1以下)に対しても、
DSL(m−1) =< DSL(m)
の関係を満たすと共に、且つ、
DSL(n−1) =< DCV
の関係を満たす多層光記録媒体が得られる。
上記構成によれば、信号記録層が多数となり、中間層も多数となっても、各中間層を形成する場合に、その下地となる面の全面に中間層が形成されているので、中間層を形成する領域のエッジ部、とくに内周エッジもきれいに塗布することができる。これによって、クランプエリアの平坦性を保つことができる。また、中間層の上に形成する最外層の透明保護層の内周エッジもきれいに形成でき、透明保護層のクランプエリアの平坦性も保つことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる工程をさらに備えてもよい。この場合、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域内において照射する放射線に強度分布を持たせて放射線照射を行うことが好ましい。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる際に、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域では、前記信号記録領域に照射する放射線強度よりも下げて放射線照射を行って、前記信号記録領域より硬化度を落としてもよい。上記構成によれば、信号領域内径より内側の領域、つまりクランプ領域において中間層の剥離が安定になり、中間層の平坦性が向上し、結果として透明保護層の形成も安定化することになり、クランプ領域の平坦性を向上することができる。
さらに、前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる際に、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域において照射する放射線の照射強度を信号記録領域の照射強度に対して35%から85%の強度に下げてもよい。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板の前記突起部は、前記基板の上に積層する最外層の前記透明保護層の表面よりも突出していることが好ましい。上記構成によれば、平面に対して透明保護層が下になるように多層光記録媒体が置かれても、突起部と平面が接触することで多層光記録媒体の表面に傷が生じることを防ぐことができる。
さらに、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板と互いに対向して重ね合わせた場合に、前記基板の前記突起部と対向する位置に前記突起部を逃げるための凹部形状の突起部逃げを有するスタンパを用いることが好ましい。上記構成によれば、基板上に突起部がある場合、中間層を形成するためにスタンパと基板が中間層を介して重ね合わされた際、突起部逃げによりスタンパと基板上の突起部との干渉を防ぐことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板及び前記スタンパをスピンさせて、前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程をさらに含んでもよい。上記構成によれば、基板とスタンパを共にスピンすることで中間層を面内に配置できるため、量産性に優れる。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方をスピンすることによって前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程をさらに含んでもよい。上記構成によれば基板とスタンパとを重ねる前に放射線硬化樹脂を延伸して面内に広げるため、中間層の形成される領域の内径を制御しやすくなる。その結果、クランプ領域の平坦性を安定に保つことができる。
また、上記多層光記録媒体の製造方法では、前記中間層は、直径22.5mmより内側から形成することが好ましい。上記構成によれば、直径23mmより一層内側から中間層を形成するため、直径23mmより外側の透明保護層の平坦性を向上できる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Aを前記スタンパ上に滴下し、延伸させて前記スタンパ上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
(b)前記スタンパと前記基板との間に放射線硬化樹脂Bを配置して、前記基板と前記スタンパを共にスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Bを延伸する工程と、
(c)放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Bを硬化する工程と、
をさらに含んでもよい。
また、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Bを前記基板上に滴下し、延伸させて前記基板上に面状に配置し、その後放射線によって硬化する工程と、
(b)前記基板と、前記スタンパとの間に前記放射線硬化樹脂Aを配置して、前記基板と前記スタンパを共にスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Aを延伸する工程と、
(c)放射線によって前記放射線硬化樹脂Aを硬化する工程と、
を含んでもよい。
上記2つの構成によれば、放射線硬化樹脂Aによって転写性と剥離性を保証し、放射線硬化樹脂Bによって接着性を保証することができる。さらに、中間層に混入する気泡を延伸により記録媒体外へ押し出すことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Aを前記スタンパ上に滴下し、延伸させて前記スタンパ上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
(b)前記基板上に前記放射線硬化樹脂Bを滴下して、前記基板をスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Bを延伸する工程と、
(c)前記放射線硬化樹脂A、Bを挟むように、前記基板と前記スタンパとを減圧環境下で重ねあわせた後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Bを硬化する工程と、
を含んでもよい。
また、前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
(a)前記放射線硬化樹脂Bを前記基板上に滴下し、延伸させて前記基板上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
(b)前記スタンパ上に前記放射線硬化樹脂Aを滴下して、前記スタンパをスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Aを延伸する工程と、
(c)前記放射線硬化樹脂A、Bを挟むように、前記基板と前記スタンパとを減圧環境下で重ねあわせた後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Aを硬化する工程と、
を含んでもよい。
上記構成によれば、放射線硬化樹脂Aによって転写性と剥離性を保証し、放射線硬化樹脂Bによって接着性を保証することができる。さらに、減圧下での重ね合せにより中間層に混入する気泡を防ぐことができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記基板の中心孔を塞ぐキャップを用いて前記キャップ上に前記透明保護層を形成するための放射線硬化樹脂を滴下する工程と、
前記基板をスピンさせて前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程と、
前記キャップを除去した後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂を硬化させて前記透明保護層を形成する工程と、
をさらに含んでもよい。この場合、前記キャップの直径は前記中間層が形成された領域の内径よりも大きく、直径24mm以下の直径を有することが好ましい。上記構成によれば、滴下時にキャップを用いることで透明保護層の厚み分布(とくに信号記録領域の内周領域において)を均一にすることができる。さらに、キャップ直径が24mm以下であれば、キャップを除去したあとの放射線硬化樹脂の内周エッジの直径が23mm以下となり直径23mm以上のクランプエリアにおいて透明保護層を平坦にすることができる。
上記多層光記録媒体の製造方法では、前記スタンパの中心孔の直径は、前記基板の中心孔の直径よりも小さく、前記スタンパを前記基板から剥離する工程において、前記基板の中心孔より内側の前記スタンパの中心孔の周辺の部分に前記基板がある側とは反対の方向に応力を印加することによって、前記スタンパを剥離してもよい。上記構成によれば、スタンパの中心孔周辺を押すだけでスタンパを安定かつ容易に剥がすことができる。また、その他の方法としては、中心孔が無いスタンパを用いてもよい。
以上のように、本発明に係る多層光記録媒体の製造方法では、基板の段差が20μm以下であり、中間層を直径23mmより内側から形成するため、クランプエリアの平坦性に優れた多層光記録媒体を得ることができる。これによって得られた多層光記録媒体は、記録あるいは再生時に保持される際に傾きを生じることが無く、安定かつ良好な信号を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る多層光記録媒体の製造方法について、添付図面を用いて詳細に説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
<多層光記録媒体>
図1は、本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体110の構成を示す概略断面図である。この多層光記録媒体110は、厚み25μmの中間層103を介して第1信号記録層101と第2信号記録層102を有する2層光記録媒体である。第2信号記録層102の上には厚み75μmの透明保護層104が形成されている。すなわち、透明保護層104の表面から第1信号記録層101までの層の厚さは100μmとなる。第1信号記録層101は基板100上に形成された案内溝あるいはピット等の信号に記録多層膜あるいは反射膜が成膜されたものである。波長405nmの波長を使用したNA0.85の光ヘッドを用いる場合、トラックピッチ0.32μmの案内溝又はピットであれば、各信号記録層の記録容量は23〜27ギガバイトとなる。多層記録膜は、銀、アルミ、ニッケル合金からなる反射膜、硫化亜鉛や窒化アルミ等が主成分の誘電体層、Ge、Sb、Te、Ag、In、Bi等の元素から選ばれる元素からなる化合物で構成される記録層等からなる。また、記録層材料としては色素も用いることができる。反射膜は、単独で構成される場合は、銀、アルミを主成分とする合金が用いられる。
第1、第2信号記録層101、102の内周の透明保護層104の部分はクランプエリアCAである。クランプエリアCAの内径は23mmである。クランプエリアCAとは、記録あるいは再生する際に多層光記録媒体110を保持する部分である。そのため、クランプエリアCAの表面は平坦である必要がある。この多層光記録媒体110では、クランプエリアCAの部分だけでなく、直径21mmよりも内側まで中間層103が形成されている。そのため、直径23mmから始まるクランプエリアCAは平坦性に優れている。
この多層光記録媒体110では、中間層103がより内側まで形成されるように、基板100の直径22.1mm付近にある段差111は20μm以下となっている。また、基板100の直径21mmより内側の部分には、中心孔107との間に突起部106を有する。突起部106は、透明保護層104の表面よりも突出している。基板100に突起部106があるため、多層光記録媒体110が透明保護層104を下になるように平面上に置かれても、透明保護層104の表面は平面から離れるため、透明保護層104の表面の傷を防ぐことができる。突起部106は基板100を射出成形で作製する際、金型上に突起部106に対応する溝を形成しておき、射出成形によって基板100上に成形される。
<従来の多層光記録媒体の製造方法>
本発明に係る多層光記録媒体の製造方法の特徴について説明するために、比較のため、図22、図23を用いて、従来の多層光記録媒体及びその製造方法について説明する。従来の多層光記録媒体1510では、図1の本発明に係る多層光記録媒体110と比較すると、以下の点で異なる。
a)直径22.5mm付近より内側に溝1501があること、
b)溝1501があるため、中間層1503は溝の外周端より外側にのみ形成されていること、
c)溝1051の内側に突起部がないこと、
である。溝1051の内側の突起部が無いのは、従来の多層光記録媒体1510はカートリッジと呼ばれる筐体に常時収められて使用されるため、透明保護層1504の面は保護され、突起部が必要ないためである。
溝1501は、射出成形で基板1500を作製する際に用いる金型に突起があるために、基板1500に形成されてしまう。具体的には、第1信号記録層の案内溝あるいはピットを形成するための射出成形用スタンパの中心孔周辺を金型に保持するための治具によって金型上は200μm以上の突起ができてしまう。すなわち、溝1501の深さは200μmもある。
この溝1501があるため、中間層1503の内周側エッジは溝1501の外周側エッジ、つまり直径22.5mm付近となる。中間層1503の上のクランプエリアはある半径方向では直径23mmまで平坦性が得られるが、多層光記録媒体1510の別の半径方向では、図22に示すように、クランプエリアCA2の平坦性が乏しくなってしまう。これは、中間層1503が溝1501の内部まで形成されてしまっているため、直径23mmでの中間層1503の表面が平坦では無く、中間層1503の厚みが5μm程度しかない部分ができたためである。そのため、その表面の透明保護層1504も平坦性を欠き、20μm程度の表面のうねりを発生し、クランプエリアは平坦性に乏しくなる。
図23は、多層光記録媒体1510を透明保護層1504側から見た平面図である。図22のクランプエリアCA2は、多層光記録媒体1510をA’で切った断面である。破線で示すクランプエリア内には平坦性が保たれている領域の内周エッジ1700があり、それより内周側では図22のCA2の内周部分のように平坦性が損なわれている。平坦性が保たれている領域の内周エッジ1700はドーナツ状のクランプエリアとは同心円ではない。そのため、多層光記録媒体1510をクランプエリアで保持すると、周方向に変形を生じ、周方向に反りの変化を生じてしまう。記録あるいは再生時には、反りによって信号劣化を生じ、安定な信号記録や再生が困難になってしまうという問題がある。
図22、23の従来の多層光記録媒体1510と比べ、本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体110では、基板100の段差111が20μm以下であるため、その内側から中間層103を形成することができる。そのために、直径23mmから始まるクランプエリアにおいて良好な平坦性が確保できる。
<実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法>
次に、図2から図11を用いて、本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法について説明する。この製造方法では中間層形成用のスタンパとして透明なオレフィン樹脂から成るスタンパを使用する。オレフィン樹脂としては、例えば、日本ゼオン製のゼオノア(商標名)を用いる。
(a)まず、オレフィン製のスタンパ201を用意する。オレフィン製のスタンパ201は、例えばニッケル製のマスタスタンパを用いて射出成形により作製できる。オレフィン製のスタンパ201上には案内溝あるいはピット等の信号205が転写されている。また、図24に示すような、従来の金型に使用される突起をもつホルダ1900を用いた場合には、オレフィン製のスタンパ201上にできる段差204は比較的大きくなる。一方、図3のように、突起をもたないホルダ2001を用いた場合(テーパ部2002でマスタスタンパ2000をかしめて保持)には、オレフィン製のスタンパ201上にできる段差204は非常に小さくなる。さらに、テーパ部2002でのみマスタスタンパ2000を保持するため、段差204の位置を直径22.1mmと、ホルダ1900を使用した場合の段差位置22.5mmより内周にすることができる。また、基板100の突起部106との干渉を避けるため、基板100の突起部と対応する箇所に凹部形状の突起部逃げ203を射出成形時に形成しておく。
(b)次に、図2のようにオレフィン製のスタンパ201上に、ディスペンスノズル200を用いて放射線硬化樹脂202を滴下する。なお、中間層用の樹脂としては、放射線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、又は、熱硬化樹脂等を用いることができる。ここでは中間層用の樹脂として紫外線硬化樹脂の日本化薬製DVD−003(粘度450mPa・s)を用いる。放射線硬化樹脂202を3g、リング状に滴下する。
なお、放射線硬化樹脂202のスタンパ201上への滴下位置は、完成した中間層の内周エッジが所望の半径位置(たとえば、直径21mmの位置)となるように決定する。具体的には、放射線硬化樹脂202をクランプ領域の内周端に対応する直径23mm以下の内周側の箇所から塗布することが好ましい。
(c)信号記録及び再生側の主面側に第1信号記録層101が形成され、直径22mmより内側の領域に突起部106を有する基板100を用意する。さらに、基板100として、直径23mmの位置と直径21mmの位置の主面上の段差111が20μm以下であるものを用いることが好ましい。この基板100では、段差111は直径22.1mm付近にあり、およそ20μm以下である。この段差111は、基板100を射出成形で作製する際、図3で示したような突起をもたないホルダ2001を用いて作製すれば20μm以下とできる。突起部106は凹部形状のホルダを用いて基板100を射出成形することによって設けることができる。
(d)次に、図4に示すように、第1信号記録層101の形成された基板100とオレフィン製のスタンパ201とを互いに対向させて重ねる。このとき、基板100の突起部106はスタンパ201の凹部形状の突起部逃げ203に入り込み、互いの干渉は無い。放射線硬化樹脂202は基板100の重量によって押し拡げられ、滴下された位置より内周側及び外周側に広がる。
(e)基板100とスタンパ201とを共に4500rpmで5秒間回転させ、放射線硬化樹脂202を外周まで延伸させる。これにより、放射線硬化樹脂202の厚みは25μm程度になる。
ここで、基板100の段差111の大きさと中間層の平坦性の関係について、下記表1と図7とを用いて説明する。表1は段差111の大きさと中間層の平坦性の関係を示す表である。段差111の大きさによって、その部分に生じるカエリ2100の高さh(図7(a)参照)が異なる。カエリ2100が発生するメカニズムは、以下の通りである。まず、図3で示したようなホルダ2001のテーパ部2002の部分になっているアンダーカット部分に、基板の成形に用いるプラスチック樹脂が入り込む。その後、金型から基板が取り出されるとき、アンダーカット部分の樹脂が信号面側に起き上がることでカエリ2100が発生する。下記表1からも段差111の大きさとほぼ同じ高さのカエリが発生することがわかる。段差111の大きさによって中間層のクランプエリアにおける平坦性の歩留が左右される。
Figure 2007135907
図7(b)、(c)、(d)は、それぞれ段差111が10μm、20μm、25μmの場合の概略図である。25μmの厚みの中間層103を形成した場合、スタンパとの間と基板のカエリとの間の隙間がそれぞれ15μm、5μm、0μmとなる。隙間が小さくなると、例えば0μmになる(カエリと基板とが接触)と、段差(直径22.1mmの位置)の外周、直径22.5mmの位置での中間層の平坦性は極端に悪化する。すなわち、カエリによって中間層がカエリの外周部分と内周部分で切られ、スタンパを剥離する際に直径22.5mmの中間層が部分的にスタンパにくっついたままになってしまうことが発生した。さらには、直径23mmで中間層がスタンパ側にくっついたため、基板上に中間層が無いものも発生した。この結果、透明保護層を形成した後で直径23mmの位置でのクランプエリアの平坦性の歩留りは大きく悪化した。この結果より、基板上の段差は20μm以下であれば、歩留り良く多層光記録媒体を作製することが可能となることが分かる。
なお、図3のような金型を基板作製のために使用すると、カエリは自然的に発生するものであるため、本発明の実施の形態に示す図7以外の図ではカエリを簡単化のため敢えて図示しない。
(d)次に、図5のように、放射線源400から放射線401をスタンパ201側から照射して、放射線硬化樹脂202を硬化する。放射線硬化樹脂202は紫外線硬化樹脂なので、放射線源400として紫外線ランプを用いる。紫外線ランプとしては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が使用できる。スタンパ201は紫外線に対して比較的透明であるため、放射線硬化樹脂202を硬化することができる。
(e)次に、図6に示すようにオレフィン製のスタンパ201を基板100から剥離する。オレフィン樹脂は一般的に、放射線硬化樹脂202との接着力が弱いため、放射線硬化樹脂202は基板100側に残ることになり、オレフィン製のスタンパ201を安定に剥離することができる。放射線硬化樹脂202が硬化した中間層103の上にはスタンパ201から転写された信号500が形成されている。剥離方法としては、基板100とオレフィンスタンパ201との間に楔状の治具を挿入して、機械的に剥がす方法や、また楔状の治具とともに圧縮空気を導入して剥離する方法がある。剥離後の中間層103の内周エッジは直径23mmより内側まで形成されるように、図2で示した滴下位置を決定すればよい。直径22.5mmより内側まで形成されていると、透明保護層を形成するときのプロセスマージンが広がる。
以上、中間層形成方法を説明してきたが、次いで、第2信号記録層の形成方法、透明保護層の形成方法について説明する。
(f)次に、第2信号記録層の形成方法を説明する。図8は、第2信号記録層の形成方法を示す概略図である。第2信号記録層102は中間層上に形成された信号500と第2信号記録膜1303から成る。第2信号記録層102も図1で示した第1信号記録層101同様の材料から作製することが出来る。すなわち、第2信号記録膜1303は、記録多層膜あるいは反射膜である。記録多層膜は、銀、アルミ、ニッケル合金からなる反射膜、硫化亜鉛や窒化アルミ等が主成分の誘電体層、Ge、Sb、Te、Ag、In、Bi等の元素から選ばれる元素からなる化合物で構成される記録層等からなる。また、記録層材料としては色素も用いることができる。反射膜単独で構成される場合は、銀、アルミを主成分とする合金が用いられる。第2信号記録膜1303をスパッタリングにより形成する。所望の材料から成るスパッタターゲット1300を用いてスパッタリングにより第2信号記録膜1303を形成する。第2信号記録膜1303が複数の層からなる場合は、所望のターゲットを用いて複数回スパッタリングして、膜を積層することとなる。また、色素膜等はスパッタリング以外にも蒸着法やスピンコーティング法によっても形成できる。
<キャップを用いた透明保護層の形成>
(g)さらに、透明保護層の形成方法について説明する。図9は、キャップ1400を用いて透明保護層を形成する方法の一例を示す概略図である。
(i)基板100の中心孔107に係合するようなキャップ1400を用いて、基板100の中心孔107を塞ぐように配置する。キャップ1400の外径は直径24mm以下であり、中間層103が形成されている領域の内周エッジより大きい。中間層が22.5mmよりも内側まで形成されているため、キャップ外径は23mmのものを用いる。
(ii)キャップ1400の上からディスペンスノズル1401を用いて透明保護層用の放射線硬化樹脂1402を滴下し、基板100を回転させる。透明保護層用の放射線硬化樹脂1402としては、中間層同様、紫外線硬化樹脂を用いることができる。ここでは、一例として粘度2000mPa・sの紫外線硬化樹脂を用いる。なお、熱硬化樹脂を用いてもよい。キャップ1400に1.5gの放射線硬化樹脂1402をリング状に滴下して、加速時間0.7秒で基板100の回転数を4650rpmまで到達させて、その後0.8秒間保持する。これにより、放射線硬化樹脂1402の厚みは75μm程度となる。
(iii)この後、紫外線ランプを用いて、放射線硬化樹脂1402を硬化する。紫外線ランプとしては、水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が使用できる。なお、基板100の外周縁に放射線硬化樹脂1402が盛り上がった部分ができるが、基板100を回転しながら放射線硬化樹脂1402を硬化する等の手法を用いて除去できる。
以上の工程によって多層光記録媒体を作製できる。
図10は、図9の方法で作製された多層光記録媒体の構成を示す概略図である。外径23mmのキャップ1400を用いて透明保護層104を形成した場合、キャップ1400を除去したのち、硬化するまでの間に放射線硬化樹脂1402は直径23mmより内周側に流れ、直径DCAまで到達するため、クランプエリアCA3では少なくとも直径23mmから外側の平坦性は得ることができる。下記表2にキャップ外径とクランプエリアでの平坦性の関係を示す。キャップ外径が23mmであれば、直径23mmの位置でも平坦性に優れていることが分かる。しかし、キャップ外径が大きくなるにつれ平坦性が失われ、平坦性が20μm以上となっていくことがわかる。この表からキャップ外径24mm以下であれば、平坦性が20μmより小さく、信号記録あるいは再生上は問題ない。
Figure 2007135907
<放射線カットフィルタの使用>
なお、上記多層光記録媒体の製造方法の、放射線照射によって放射線硬化樹脂1402を硬化させる工程において、放射線カットフィルタを用いて信号記録領域より内側における放射線の透過率を制御する方法について図11を用いて説明する。
スタンパ201の信号領域より内側に段差204があると、スタンパ201を剥離する際に段差204付近の放射線硬化樹脂202が転写できずに剥離して樹脂クズを発生する場合がある。これを防ぐため、図11のように信号領域より内側では、放射源400とスタンパ201の間に放射線カットフィルタ402を設けて、部分的に硬化度を落としたほうが望ましい。ここでは放射線カットフィルタ402の透過率は約65%とする。段差204近傍の放射線硬化樹脂202の硬化度を落とすことで、スタンパ201からの剥離の際に段差204によってカエリを発生したり、剥がれて樹脂クズになったりすることが無くなる。したがって、樹脂クズによるクランプエリアの平坦性の欠如は大きく改善することができる。下記表3に放射線カットフィルタを貼った部分の透過率(カットフィルタの無い信号記録領域の透過率を100%とする)に対しての樹脂クズの発生頻度と硬化度合の関係を示す。この表3から、放射線カットフィルタを貼った部分の透過率が35%〜85%であれば、樹脂クズの発生抑制と硬化度合の両立ができることが分かる。透過率が35%〜85%であれば、その部分の放射線の照射強度は、放射線カットフィルタが無い部分(信号記録領域)の照度の35%〜85%となる。
Figure 2007135907
以上のように、実施の形態1には、基板の段差111が20μm以下であり、中間層が直径23mmより内側まで形成され、クランプエリアの平坦性に優れた多層光記録媒体について説明した。この多層光記録媒体はクランプエリアの平坦性に優れているため、記録あるいは再生時に保持される際に傾きを生じることが無く、安定かつ良好な信号を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、中間層形成用のスタンパとして、オレフィン製のスタンパを使用したが、透明であれば、PMMAのようなアクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂のような放射線硬化樹脂との接着力の小さい樹脂材料やさらにはガラス等でもスタンパとして使用できる。また、基板100の材料として、ポリカーボネートのように、スタンパ201よりも放射線硬化樹脂の接着力の高い材料であれば、他の材料も使用できる。また、透明保護層や中間層用の樹脂として、放射線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂のほかに、熱硬化樹脂も使用できる。このとき、放射線硬化樹脂は、スタンパよりも基板あるいは第1信号記録層に接着しやすいものを選ぶ必要がある。また、図5では、放射線401をオレフィン製のスタンパ201側から照射したが、基板側から照射してもよい。第1信号記録層が使用する放射線に対してある程度透過率を有している場合、基板側から照射し、第1信号記録層を介して放射線硬化樹脂202を硬化することは可能である。また、図2では放射線硬化樹脂202をオレフィン製のスタンパ201上に滴下したが、基板100上に滴下して、その後スタンパ201を重ねて、ともに回転してもよい。さらに、基板100とスタンパ201の両方に放射線硬化樹脂を滴下しても構わない。
また、透明保護層を形成するために、プラスチック製のフィルム(たとえば、帝人化成製のピュアエース(商標名):ポリカーボネート製フィルム)を用い、それを放射線硬化樹脂(たとえば、紫外線硬化樹脂)、感圧性接着剤を用いて貼り付けて、透明保護層としてもよい。なお、透明保護層としてフィルムを用いた場合でも、下地となる中間層の平坦性が乏しければ、透明保護層の表面の平坦性は乏しくなる。本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法によれば、中間層は良好な平坦性が得られるので、透明保護層の表面の平坦性も良好なものとなる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、中間層形成方法の第2の方法として、再生専用(ROM型)の多層光記録媒体の製造方法について説明する。
(a)図12に示すように、基板601上に放射線硬化樹脂600を滴下し、基板601を回転させて、放射線硬化樹脂600を基板外周端まで広げる。放射線硬化樹脂600としては実施の形態1で説明したものと同様のものが使用できる。ここでは、実施の形態1と同じくDVD−003を使用する。また、基板601についても、実施の形態1で説明したものと同様のものが使用できるが、ポリカーボネートが最適である。第1信号記録層602は紫外線に対してある程度の透過率を有する材料からなる。再生専用の光記録媒体の場合には、銀合金の反射膜が挙げられる。銀合金の反射膜であれば、40nmの厚みで再生波長に対して十分反射光量が得られ、かつ紫外線の透過率が高い。
基板601を回転させる場合の回転数や回転時間は、放射線硬化樹脂600の層を厚み25μm程度になるように適した種々の条件を選ぶことができる。また、図9のようなキャップを用いて、キャップの上から放射線硬化樹脂600を滴下して、基板601を回転しても良い。キャップを使用することによって、より均一な厚みの放射線硬化樹脂600の層が形成することができる。
(b)次に、図13に示すように、基板601とスタンパ700とを減圧槽710の中で重ねあわせる。スタンパ700はニッケル等の金属からなるスタンパである。スタンパ700の中心孔径は、基板601の突起部606の外径よりも大きいものを用いる。これは、金属製スタンパの場合、突起部606との干渉を防ぐための凹部形状の突起部逃げが作製しづらいからである。2kPaまで減圧した雰囲気下で重ね合わせを行うと、スタンパ700と放射線硬化樹脂600の間に入る気泡の発生を防ぐことが出来る。また、重ね合わせた後、図13のように、放射線硬化樹脂600は直径23mmよりも内側、例えば、22.5mmより内側まで到達していることが好ましい。
(c)基板601とスタンパ700とを重ね合わせた後、図14のように、基板601側から放射線源800を用いて放射線801を照射する。ここでは、放射線801は紫外線であり、放射線源800としては実施の形態1記載と同様のランプを使用することができる。また、基板601側から放射線801を照射する理由は、スタンパ700は金属製であるため、放射線である紫外線を透過しないためである。紫外線であれば、銀合金からなる第1信号記録層602は透過することができ、放射線硬化樹脂600を硬化させることができる。
(d)この後、基板601とスタンパ700の間に楔状の治具や圧縮空気を導入して、スタンパ700を基板601から剥離する。
(e)次に、図8に示す方法と同様にして、スパッタリングによって、第2信号記録層102として銀合金反射膜22nmを形成する。
(f)さらに、図9に示す方法と同様にして透明保護層104を形成する。
以上のような方法によって中間層及び透明保護層を形成することができ、平坦性に優れたクランプエリアを有する多層光記録媒体を得ることができる。なお、中間層が形成されている領域の内径やキャップ外径による平坦性の確保は実施の形態1で説明したため、その説明を割愛する。
なお、本実施の形態2では、基板601上に放射線硬化樹脂600を滴下し、延伸したが、スタンパ700上に滴下して、スタンパ700を回転させて延伸させてもよい。また、基板601、スタンパ700の双方に滴下してもよい。また、例として、ROM型の光記録媒体を使って説明したが、第1および第2信号記録層が記録多層膜であってもよい。ただし、使用する放射線をある程度透過する材料である必要がある。
図14では、基板601側からのみ放射線801を照射したが、スタンパ700側からその他の放射線を照射して放射線硬化樹脂600の硬化を促進してもよい。例えば、紫外線硬化樹脂であれば、スタンパ700側から赤外線や遠赤外線で熱を与えることで硬化を促進できる。また、スタンパ700として、金属製のものではなく、不透明なプラスチック製のものでもよく、さらには透明性のあるガラスやプラスチック(オレフィン系、ノルボルネン系、アクリル系等)からなるものでもよい。たとえば、本実施の形態1で使用したオレフィンスタンパをそのまま使用して、本実施の形態2の製造方法を実施することも可能である。透明性のあるスタンパであれば、スタンパ側から、紫外線等、スタンパをある程度透過する放射線を照射することで、硬化を促進できる。
また、放射線硬化樹脂600に代えて図15に示すようにUV−PSAシート900を使用してもよい。UV−PSAシートとは感圧性の粘着剤で、紫外線硬化性を備えたものである。UV−PSAシートは、粘度が非常に高く、ゲル状であるのでフィルムのように扱うことができ、中間層の内径はUV−PSAシートの内径で制御できる。また、ローラ901で容易に基板601上に貼ることができ、大気中でも基板601との間に混入する気泡を防ぐことができる。さらに、ゲル状であるので、スタンパ700上の信号も転写することができる。
また、透明保護層を形成する際、実施の形態1同様、プラスチック製のフィルムを用いてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3では、2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの中間層を形成する方法について説明する。2種類の放射線硬化樹脂としては、スタンパと接し、スタンパから信号を転写させ、スタンパから剥離しやすい放射線硬化樹脂Aと、基板と接し基板と接着しやすく、放射線硬化樹脂Bと接着させるための放射線硬化樹脂Bとを用いる。この方法は特にスタンパの材料が中間層である放射線硬化樹脂と剥がれにくい場合に有効である。例えば、基板とスタンパが同一材料である場合、スタンパからの剥離性が良好な放射線硬化樹脂を用いると、同じ樹脂については基板からも剥離しやすくなるという問題がある。そのため、スタンパからの剥離性が良好な放射線硬化樹脂Aを使用し、一方、基板との接着性が高い放射線硬化樹脂Bを使用し、2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの中間層を形成することによって、上記問題を効果的に解決できる。
<多層光記録媒体の製造方法>
以下に本実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法について説明する。
(a)まず、図16に示すように、PCスタンパ1001の上に放射線硬化樹脂A1000を滴下し、スタンパ1001を回転させて、放射線硬化樹脂Aを延伸させる。例えば、粘度200mPa・sの樹脂を放射線硬化樹脂A1000として用いた場合、スタンパ1001を4500rpmで5秒間延伸すれば、約20μmの厚みの層が形成できる。PCスタンパとはポリカーボネート樹脂からなるスタンパ1001であり、一般の基板成形のようにマスタスタンパを用いて射出成形により作製される。ポリカーボネート樹脂としては例えば、帝人化成製のAD5503等が使用できる。また、放射線硬化樹脂A1000としては、ポリカーボネート樹脂から剥離しやすい樹脂を選ぶ必要がある。例えば、硬化後の硬さが硬いものなどは、ポリカーボネート樹脂からはがれやすい傾向がある。ここでは、紫外線硬化樹脂を放射線硬化樹脂Aとして使う。
また、放射線硬化樹脂Aをスタンパ1001に滴下する位置の内径R(A)は、実施の形態1と同様に、完成した中間層の内周エッジが所望の半径位置(たとえば、直径21mmの位置)となるように決定する。具体的には、放射線硬化樹脂Aをクランプ領域の内周端に対応する直径23mm以下の内周側の箇所から塗布することが好ましい。
(b)放射線硬化樹脂Aを延伸させて面状に広げた後、放射線である紫外線を紫外線ランプによって照射して、硬化させる。なお、PCスタンパ1001は比較的透明であるため、PCスタンパ1001を介しての放射線照射による硬化も可能である。また、紫外線ランプは実施の形態1、2で使用したものから選べばよい。
(c)上記スタンパ1001における放射線硬化樹脂Aの塗布(a)及び硬化処理(b)と並行して、ポリカーボネート製の基板601上にも放射線硬化樹脂Bを配置する。例えば、図12の放射線硬化樹脂600を放射線硬化樹脂Bとして基板601上に滴下し、延伸させればよい。放射線硬化樹脂Bとしては、上記実施の形態1で用いたDVD−003(日本化薬製、粘度450mPa・s)を用いてもよい。また、基板601を回転数5000rpmで30秒間回転させることによって、放射線硬化樹脂Bの厚さ約5μmの層が得られる。なお、図15のUV−PSAシート900を放射線硬化樹脂Bとしてもよい。なお、放射線硬化樹脂A、Bの層の厚みは、完成した中間層の厚みが所望の厚み(たとえば、25μm)になるように調整すればよい。
また、放射線硬化樹脂Bを基板601に滴下する位置の内径R(B)は、放射線硬化樹脂Aと同様に、完成した中間層の内周エッジが所望の半径位置(たとえば、直径21mmの位置)となるように決定する。具体的には、放射線硬化樹脂Bをクランプ領域の内周端に対応する直径23mm以下の内周側の箇所から塗布することが好ましい。さらに、スタンパ1001上に塗布する放射線硬化樹脂Aの塗布位置の内径R(A)と、基板上に塗布する放射線硬化樹脂Bの塗布位置の内径R(B)とは、
R(B) =< R(A)
の関係を満たすように放射線硬化樹脂A、Bをそれぞれ塗布することが好ましい。
(d)次に、図17に示すように、減圧槽710内を減圧して、放射線硬化樹脂A、Bを挟むようにして基板601とPCスタンパ1001と互いに対向させて重ねる。減圧条件が2kPa程度であれば放射線硬化樹脂A、Bの間に混入する気泡を防ぐことができる。
上記の場合、放射線硬化樹脂Aの塗布されている領域の内径DUVAと放射線硬化樹脂Bの塗布されている領域の内径DUVBはともに直径23mmより小さく(可能であれば、2.5mmよりも小さく)、且つ、
DUVB=<DUVA
の関係にあることが好ましい。逆にいえば、DUVB=<DUVAの関係になるように、放射線硬化樹脂A,Bの塗布工程(a)及び(c)において、放射線硬化樹脂A,Bの塗布位置の内径R(A)、R(B)をあらかじめ決定し、塗布しておく必要がある。硬化後の放射線硬化樹脂A,Bのそれぞれの内径が、DUVB=<DUVAの関係を満たすことにより、PCスタンパ1001上の放射線硬化樹脂A1000はすべて放射線硬化樹脂Bと接するため、PCスタンパ1001を剥離する際、すべての放射線硬化樹脂A1000をPCスタンパ1001から剥離することができる。なお、剥離及び透明保護層の形成方法は実施の形態1、2と同様の方法によって実現できるので、ここでは説明を割愛する。
次に、別例として、図17の場合とは異なって、図18に示すように、放射線硬化樹脂Bが塗られていない基板100とPCスタンパ1001との間に放射線硬化樹脂B1200を配置してもよい。この場合、基板100とPCスタンパ1001とを共に回転して、放射線硬化樹脂B1200を延伸する。この場合にも、延伸後の放射線硬化樹脂A及びBのそれぞれの内径DUVA及びDUVBは、DUVB=<DUVA<22.5mmの関係になっていることが好ましい。
以上のように、2種類の放射線硬化樹脂A及びBを用いる場合には、それぞれの硬化後の内径DUVA及びDUVBについて、DUVB=<DUVA<22.5mmの関係を満たすことが好ましい。この硬化後の内径の条件を満たすように、それぞれの放射線硬化樹脂A及びBを基板601、100に近い側の放射線硬化樹脂をより内径に近い側から塗布しておくのが好ましい。これによって、実施の形態1、2と同じように、最外層に設ける透明保護層のクランプエリアにおける平坦性に優れた多層光記録媒体が作製できる。
なお、本実施の形態3では、スタンパとしてPCスタンパを使用したが、基板の材料と異なる材料のスタンパを用いる場合でも、2種類の放射線硬化樹脂を用いることで、プロセス安定性、とくに剥離安定性を向上させることができる。
また、図16では液体状の放射線硬化樹脂Aを用いたが、これに限られず、図15のようなスタンパと剥離しやすいUV−PSAシートを放射線硬化樹脂Aとしてもよい。さらに、基板と放射線硬化樹脂Aを接着するための放射線硬化樹脂Bの代わりに、放射線硬化性を持たないPSA(感圧性接着剤)を使用してもよい。
放射線硬化樹脂A、Bを滴下、延伸する際、実施の形態1、2での説明同様、図9に示すようなキャップを使用して、放射線硬化樹脂A、Bの径方向の厚み分布を制御し、合わせて中間層の厚み分布を均一にすることができる。
透明保護層を形成する際、実施の形態1、2同様に、プラスチック製のフィルムを用いてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態1から3では、2層の信号記録層を有する光記録媒体について説明したが、2層に限らず3層以上の信号記録層を有する多層光記録媒体であってもよい。また、実施の形態1から3の方法のいずれかを用いることにより、クランプエリアの平坦性に優れた、3層以上の信号記録層を有する多層光記録媒体を作製することができる。本実施の形態4では、3層以上の信号記録層を有する多層光記録媒体の構成とその製造方法について説明する。
<多層光記録媒体の構成>
図19は、6つの信号記録層を有する6層光記録媒体2410の構成を示す概略図である。透明保護層2420から近い順に第6信号記録層2506、第5信号記録層2505、第4信号記録層2504、第3信号記録層2503、第2信号記録層2502、第1信号記録層2501(これは基板2400に形成されている。)となる。また、2層の信号記録層の間の中間層は、たとえば、第4信号記録層2504と第5信号記録層2505の間の中間層は第4中間層2414となる。つまり、第k信号記録層と第k+1信号記録層(この実施の形態では、kは1以上5以下)の間の中間層は第k中間層となる。第6信号記録層2406の上には透明保護層2420がある。また、透明保護層2420の直径23mmより外側かつ信号記録領域の間はクランプエリアCAとなる。また、基板2400の中心孔の周囲には突起部106があり、その先端は透明保護層2420の表面より突出している。さらに、基板2400の直径22.1mmのところには段差2430があり、その高さは20μm以下となっている。
ここで、図19中で図示されているX部の拡大図について説明する。拡大図からわかるように、第1中間層2411、第2中間層2412、第3中間層2413、第4中間層2414、第5中間層2415、透明保護層2420が形成されている領域の内径をそれぞれ、DSL(1)、DSL(2)、DSL(3)、DSL(4)、DSL(5)、DCVとすると、
DSL(1)<DSL(2)<DSL(3)<DSL(4)<DSL(5)<DCV
という関係を満たしていることが特徴である。これに加えて、DCV<23mmとなっている。また、DSL(1)=<DSL(2)=<DSL(3)=<DSL(4)=<DSL(5)=<DCV、且つ、DCV=<23mmと、いずれかの内径同士が同じであって、DCVが23mm以下でもよい。
上記関係をより一般化すると、n層の信号記録層を有する光記録媒体において、いずれのm(mは2以上、n−1以下)に対しても、
DSL(m−1)=<DSL(m)
且つ、
DSL(n−1)=<DCV
となる。
上記の関係を満たしていれば、第m中間層(mは2以上n−1以下)を形成する場合、その下地となる面の全面に第m−1中間層が形成されているので、形成領域のエッジ部、とくに内周エッジもきれいに塗布することができ、第m中間層のクランプエリアの平坦性を保つことができる。また、第n−1中間層の上に形成する透明保護層2420の内周エッジもきれいに形成でき、透明保護層2420のクランプエリアの平坦性も保つことができる。なお、第1中間層2411においては、基板2400に直に形成されることになるので、段差2430が小さいほうがよい。段差2430の大きさ20μm以下であれば、表1に示したように、第1中間層2411の平坦性は保証できる。
本実施の形態4では、中間層の内径の関係について、説明したが、このような光記録媒体を製造するためには、上記実施の形態1、2、3の方法を用いればよい。
<多層光記録媒体の製造方法>
基板又は前記スタンパの少なくとも一方に中間層を形成するための放射線硬化樹脂を塗布する工程において、第k中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k)と、第(k+1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k+1)とは、
R(k)=<R(k+1)
の関係を満たすようにそれぞれの放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
さらに、第(n−1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(n−1)と、透明保護層2420を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径RCとは、
R(n−1)=<RC
の関係を満たすように放射線硬化樹脂を塗布することが好ましい。
なお、信号記録層の数によって、透明保護層の厚みや中間層の厚み、さらにはそれらの厚み精度の最適値は異なるため、その最適値になるように各層の厚みを調整する必要がある。
(実施の形態5)
本実施の形態5では、スタンパの剥離方法について説明する。図20、図21はいずれも、スタンパの中心孔を基板の中心孔より小さくした場合に有効な剥離方法である。この実施の形態5に係る製造方法では、スタンパの中心孔を小さくすることを特徴とする。
図20は、スタンパの中心孔の直径DSTを基板の中心孔の直径DSが小さくした場合の構成を示す概略図である。また、図21は、スタンパの中心孔をなくした場合である。プッシャー2205によって、スタンパ2201の中心孔の周辺あるいはスタンパ2301の中心部を上方へ押す。このとき、基板2200を固定しておけば、スタンパ2201あるいは2301を上方へ剥離することができる。また、補助として中間層2203とスタンパ2201あるいは2301の間に圧縮空気を入れて、より剥離を簡単にすることもできる。
中心孔の直径11mmのオレフィンスタンパ(厚み0.6mm)、Ag合金を信号記録膜として成膜した中心孔の直径15mmのポリカーボネート製基板(厚み1.1mm)、紫外線硬化樹脂(日本化薬製DVD003)を中間層として、サンドイッチ構造を作製して、図20に示す方法のように、外径14.5mmのプッシャー2205で押すことによって、容易にオレフィンスタンパを剥離することができた。
この剥離方法をもちいれば、実施の形態1で説明したような楔状の治具を用いなくても安定にスタンパを剥離することができ、かつ、楔状の治具よりスタンパあるいは基板への接触が弱いため、スタンパあるいは基板の機械的なダメージを軽減でき、さらにはスタンパあるいは基板からのダスト発生を抑制することができる。
なお、上で説明したスタンパの剥離方法は、基板より中心孔が小さいスタンパを用いれば、実施の形態1から4で示した多層光記録媒体とその製造方法にも適用することができる。
本発明に係る多層光記録媒体の製造方法は、複数の信号記録層を有する光情報記録媒体を作製する場合に有用である。
本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の製造方法における中間層用の放射線硬化樹脂の滴下方法を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係る多層光記録媒体の基板を作製するための金型の構成を示す概略断面図である。 基板とスタンパとを回転させて中間層用の放射線硬化樹脂を延伸させる工程を示す図である。 放射線を照射して中間層用の放射線硬化樹脂を硬化させる工程を示す図である。 基板からスタンパを剥離する工程を示す図である。 (a)〜(d)は、段差の大きさとカエリの大きさの関係を示す図である。 信号記録膜を形成する方法を示す図である。 キャップを用いて透明保護層を形成する方法を示す図である。 透明保護層の硬化前の透明保護層の状態を示す図である。 放射線照射時に放射線カットフィルタを用いて放射線の強度分布を設ける方法を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、基板を回転させて中間層用の放射線硬化樹脂を延伸させる工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、減圧槽内でスタンパと基板とを重ね合わせる工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、中間層用の放射線硬化樹脂を硬化させる工程を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る多層光記録媒体の製造方法において、中間層用の放射線硬化樹脂として感圧性粘着剤シートを用いる例を示す概略図である。 本発明の実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法において、スタンパ上に放射線硬化樹脂Aを滴下し、スタンパを回転させて延伸させる工程を示す概略図である。 本発明の実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法において、減圧槽内でスタンパと基板とを重ね合わせる工程を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る多層光記録媒体の製造方法において、基板とスタンパとを回転させて中間層用の放射線硬化樹脂を延伸させる工程を示す図である。 本発明の実施の形態4に係る多層光記録媒体の複数の中間層の内周エッジ位置の関係を示す概略断面図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態5に係る多層光記録媒体の製造方法におけるスタンパの剥離方法を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態5に係る多層光記録媒体の製造方法におけるスタンパの別の剥離方法を示す図である。 従来の多層光記録媒体の構成を示す概略断面図である。 従来の多層光記録媒体を主面側から見た平面図である。 従来のスタンパ用の金型の構造を示す概略断面図である。
符号の説明
100,201,601,1500,2200,2400 基板
101,602,2401 第1信号記録層
102,2402 第2信号記録層
2403 第3信号記録層
2404 第4信号記録層
2405 第5信号記録層
2406 第6信号記録層
2403 第3信号記録層
2410 6層光記録媒体
2411 第1中間層
2412 第2中間層
2413 第3中間層
2414 第4中間層
2415 第5中間層
103,1503,2203 中間層
104,1504,2420 透明保護層
106,606 突起部
107 中心孔
111,204,2430 段差
110,1510 多層光記録媒体
200,1401 ディスペンスノズル
201 オレフィンスタンパ
202,600 放射線硬化樹脂
203 突起部逃げ
205,500 信号
400,800 放射線源
401,801 放射線
402 放射線カットフィルタ
700,2201,2301 スタンパ
710 減圧槽
900 UV−PSAシート
901 ローラ
1000 放射線硬化樹脂A
1001 PCスタンパ
1200 放射線硬化樹脂B
1300 スパッタターゲット
1303 第2信号記録膜
1400 キャップ
1402 透明保護層用放射線硬化樹脂
1501 溝
1700 平坦性が保たれている領域の内周エッジ
1900,2001 ホルダ
2000 マスタスタンパ
2002 テーパ部
2100 カエリ
2205 プッシャー
CA,CA1,CA2,CA3 クランプエリア

Claims (23)

  1. 信号記録及び再生側に複数の信号記録層と、2層の前記信号記録層の間には樹脂層からなる中間層を有し、最外層として厚み10〜150μmの透明保護層を有し、前記信号記録領域の内径より内側の領域であって、直径23mm以上の領域がクランプ領域である多層光記録媒体の製造方法であって、
    信号記録及び再生側の主面側に信号記録層を有すると共に、直径22mmより内側の領域に突起部を有し、直径23mmの位置と直径21mmの位置の主面上の段差が20μm以下である基板を用意する工程と、
    スタンパを用意する工程と、
    前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方の前記クランプ領域に対応する箇所より半径方向について内側から中間層用の放射線硬化樹脂を塗布する工程と、
    前記放射線硬化樹脂を挟むように前記基板と前記スタンパとを互いに対向させて重ねる工程と、
    前記放射線硬化樹脂を硬化させる工程と、
    前記スタンパを前記基板から剥離して、前記基板上に硬化後の前記放射線硬化樹脂の層を中間層として得る工程と、
    を含む多層光記録媒体の製造方法。
  2. 2種類の放射線硬化樹脂を用いて一つの前記中間層を形成することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  3. 前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合、
    前記スタンパ上に前記放射線硬化樹脂Aを塗布し、
    前記基板上に前記放射線硬化樹脂Bを塗布しておき、
    前記放射線硬化樹脂Aと前記放射線硬化樹脂Bとを挟むようにして、前記スタンパと前記基板とを互いに対向させて重ね合わせて、前記放射線硬化樹脂Aと前記放射線硬化樹脂Bとを貼り合わせて一つの中間層を形成することを特徴とする請求項2に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  4. 前記スタンパ上に塗布する前記放射線硬化樹脂Aの塗布位置の内径R(A)は、前記基板上に塗布する前記放射線硬化樹脂Bの塗布位置の内径R(B)とは、
    R(B) =< R(A)
    の関係を満たすように前記放射線硬化樹脂A、Bをそれぞれ塗布することを特徴とする請求項3に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  5. 前記放射線硬化樹脂Aが形成されている領域の内径DUVAと、前記放射線硬化樹脂Bが形成されている領域の内径DUVBとについて、
    DUVB=<DUVA
    の関係を満たす前記多層光記録媒体が得られることを特徴とする請求項4に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  6. 前記多層記録媒体が複数の信号記録層及び複数の中間層を有する場合であって、n(nは2以上)層の信号記録層を有し、前記基板側から最外層の前記透明保護層に向かって順に第1信号記録層、・・・、第(n−1)信号記録層、第n信号記録層とし、第k(kは1以上n−1以下)信号記録層と第(k+1)信号記録層との間の中間層を第k中間層とし、
    前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方に前記中間層を形成するための放射線硬化樹脂を塗布する工程において、前記第k中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k)と、前記第(k+1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(k+1)とは、
    R(k)=<R(k+1)
    の関係を満たすようにそれぞれの前記放射線硬化樹脂を塗布することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  7. 前記第(n−1)中間層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径R(n−1)と、前記透明保護層を形成するために塗布する放射線硬化樹脂の塗布位置の内径RCとは、
    R(n−1)=<RC
    の関係をみたすように前記放射線硬化樹脂を塗布することを特徴とする請求項6に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  8. 前記第k中間層の形成されている領域の内周エッジの直径をDSL(k)、前記透明保護層の形成されている領域の内周エッジの直径をDCVとした場合、いずれのm(mは2以上n−1以下)に対しても、
    DSL(m−1) =< DSL(m)
    の関係を満たすと共に、且つ、
    DSL(n−1) =< DCV
    の関係を満たす多層光記録媒体が得られることを特徴とする請求項7に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  9. 放射線照射によって前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる工程をさらに備え、
    前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域内において照射する放射線に強度分布を持たせて放射線照射を行うことを特徴とする請求項4に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  10. 前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる際に、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域では、前記信号記録領域に照射する放射線強度よりも下げて放射線照射を行って、前記信号記録領域より硬化度を落とすことを特徴とする請求項9に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  11. 前記放射線硬化樹脂A又はBを硬化させる際に、前記信号記録領域の内径より半径方向について内側の領域において照射する放射線の照射強度を信号記録領域の照射強度に対して35%から85%の強度に下げることを特徴とする請求項9に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  12. 前記基板の前記突起部は、前記基板の上に積層する最外層の前記透明保護層の表面よりも突出していることを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  13. 前記スタンパは、前記基板と互いに対向して重ね合わせた場合に、前記基板の前記突起部と対向する位置に前記突起部を逃げるための凹部形状の突起部逃げを有することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  14. 前記基板と前記スタンパとを重ねた後、前記基板及び前記スタンパをスピンさせて、前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  15. 前記基板又は前記スタンパの少なくとも一方をスピンすることによって前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多層記録媒体の製造方法。
  16. 前記中間層は、直径22.5mmより内側から形成することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  17. 前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
    (a)前記放射線硬化樹脂Aを前記スタンパ上に滴下し、延伸させて前記スタンパ上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
    (b)前記スタンパと前記基板との間に放射線硬化樹脂Bを配置して、前記基板と前記スタンパを共にスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Bを延伸する工程と、
    (c)放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Bを硬化する工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  18. 前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
    (a)前記放射線硬化樹脂Bを前記基板上に滴下し、延伸させて前記基板上に面状に配置し、その後放射線によって硬化する工程と、
    (b)前記基板と、前記スタンパとの間に前記放射線硬化樹脂Aを配置して、前記基板と前記スタンパを共にスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Aを延伸する工程と、
    (c)放射線によって前記放射線硬化樹脂Aを硬化する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  19. 前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
    (a)前記放射線硬化樹脂Aを前記スタンパ上に滴下し、延伸させて前記スタンパ上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
    (b)前記基板上に前記放射線硬化樹脂Bを滴下して、前記基板をスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Bを延伸する工程と、
    (c)前記放射線硬化樹脂A、Bを挟むように、前記基板と前記スタンパとを減圧環境下で重ねあわせた後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Bを硬化する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  20. 前記2種類の放射線硬化樹脂を放射線硬化樹脂A、Bとした場合であって、
    (a)前記放射線硬化樹脂Bを前記基板上に滴下し、延伸させて前記基板上に面状に配置し、その後放射線照射によって硬化する工程と、
    (b)前記スタンパ上に前記放射線硬化樹脂Aを滴下して、前記スタンパをスピンさせて、前記放射線硬化樹脂Aを延伸する工程と、
    (c)前記放射線硬化樹脂A、Bを挟むように、前記基板と前記スタンパとを減圧環境下で重ねあわせた後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂Aを硬化する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  21. 前記基板の中心孔を塞ぐキャップを用いて前記キャップ上に前記透明保護層を形成するための放射線硬化樹脂を滴下する工程と、
    前記基板をスピンさせて前記放射線硬化樹脂を延伸させる工程と、
    前記キャップを除去した後、放射線照射によって前記放射線硬化樹脂を硬化させて前記透明保護層を形成する工程と、
    をさらに含み、
    前記キャップの直径は前記中間層が形成された領域の内径よりも大きく、直径24mm以下の直径を有することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  22. 前記スタンパの中心孔の直径は、前記基板の中心孔の直径よりも小さく、
    前記スタンパを前記基板から剥離する工程において、前記基板の中心孔より内側の前記スタンパの中心孔の周辺の部分に前記基板がある側とは反対の方向に応力を印加することによって、前記スタンパを剥離することを特徴とする請求項1に記載の多層光記録媒体の製造方法。
  23. 前記スタンパは、中心孔を有しないことを特徴とする請求項22に記載の多層光記録媒体の製造方法。
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