本発明は、データの光学的な記録および/または再生を行うための光ピックアップ装置、およびその光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置に関する。
映像、音声、文書、プログラム等のデータを記録するための高密度・大容量の記録媒体として光ディスク媒体を用いる光メモリ技術が普及しており、特にピット状パターンを有するDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などが普及している。この光メモリ技術では、データは微小に集光された光ビームを用いて光ディスク媒体へ高い精度と信頼性をもって記録される。
その記録の原理を簡単に説明する。例えば相変化材料を備えた光ディスク媒体にデータを記録する場合、パルス状に変調した光を再生時に比べて比較的高いパワーで光ディスク媒体に照射することで相変化材料に断続的に相変化を行わせ、相変化材料の反射率の変化パターンを作ることで、データの記録を行っている。
また、再生時には、相変化材料の相変化が起きない程度の低いパワーの光を光ディスク媒体に照射することで相変化材料の反射率の変化パターンを検出し、データを再生している。
このような記録再生動作は、光ピックアップ装置により行われている。光ピックアップ装置の機能は、光源から出力された光を収束することによる回折限界の微小スポットの形成、フォーカシング制御、トラッキング制御、ピット信号の検出等に大別される。これらの機能は、その目的と用途に応じた各種の光学系と光電変換検出方式との組み合わせによって実現されている。
光を回折限界まで集光させるために、光源としては一般に半導体レーザ素子が用いられており、光ピックアップ装置には小型の半導体レーザ素子が搭載されている。
光ディスク媒体の用途の拡大に伴い、より記録密度の高い光ディスク媒体のフォーマットが開発され、データの記録再生時に形成される光スポットのサイズがさらに小さくなってきている。レーザ光の光スポットのサイズは集光させる対物レンズのNAに反比例し、レーザ光の波長に比例する。このため、光スポットのサイズを微小にするために、レーザ光の波長も短くなってきている。
このように、より記録密度の高い光ディスク媒体が開発される状況下において、ユーザが過去に取得したデータおよび資産の有効利用の観点から、光ディスク装置は、互いにフォーマットが異なる複数種類の光ディスク媒体に対して記録再生が行えることが求められている。
複数のフォーマットに対応させるために、複数の光ピックアップ装置を光ディスク装置に搭載する手法もある。しかしながら、装置の小型化を考慮すると、1つの光ピックアップ装置を複数のフォーマットに対応させることが望ましい。そのためには、1つの光ピックアップ装置に、発振波長が互いに異なる複数の半導体レーザ素子を搭載させると共に、半導体レーザ素子のそれぞれに対応する受光素子、高記録密度化に対応して光学部品の位置を高精度に制御するアクチュエータ等も複数個搭載する必要がある。
そのため、光ピックアップ装置に対して信号を入出力するための回路配線数も多くなってきており、光ディスク装置内で占有するスペースも大きくならざるを得ない。このため、部品配置の制約や、配線パターンの狭ピッチ化による信号の劣化や電流容量の制限という問題が発生する。
このような問題に対応して、光ピックアップ装置から引き出す信号線数を減らす手法が特許文献1に開示されている。
特許文献1の光ピックアップ装置からは、製造時の装置の調整時のみに用いられる配線が引き出されている。調整用の配線には装置の調整を行う調整回路が接続されている。
光ピックアップ装置の調整時には、調整用の配線を用いて光ピックアップ装置への調整用信号の供給を行ない、各構成要素の位置調整および特性調整等の各種調整を行なう。調整の後、調整のみに必要な配線は、光ピックアップ装置端部に近い箇所で切断される。調整のみに必要な配線を切断することにより、光ピックアップ装置から引き出す配線の数を減らすことができる。
特開2005−85299号公報
しかしながら、光ピックアップ装置の構成要素の調整の後、不要となった配線を切断し、切断された部分は調整回路と共に廃棄されるため、資源の無駄および材料費の上昇を招くことになる。
また、切断部での銅箔パターンにバリが発生し、隣接する配線同士が接触して光ピックアップ装置が誤動作を起こす可能性がある。
また、調整用の配線を切断してしまうため、光ピックアップ装置の再調整が必要となった場合や不良品が発生した場合の解析時に全ての機能を動作させることが困難となる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、フレキシブルプリント配線板から引き出される配線の数を減らすとともに、資源の無駄および材料費の上昇を抑制し、また、光ピックアップ装置の再調整や不良品の解析等を容易にする光ピックアップ装置および光ディスク装置を提供する。また、本発明は、信号の劣化を抑制すると共に許容電流値が高いフレキシブルプリント配線板およびそれを備えた光ディスク装置を提供する。
本発明の光ディスク装置は、光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置の動作を制御する制御部とを備えた光ディスク装置であって、前記光ピックアップ装置は、前記制御部からの信号を伝導するための複数の第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記光ディスク装置は、前記コネクタ部に接続され、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するフレキシブルプリント配線板をさらに備え、前記フレキシブルプリント配線板は、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続する複数の第3配線を備え、前記フレキシブルプリント配線板のうちの前記コネクタ部に隣接する領域での前記複数の第3配線のピッチよりも、前記フレキシブルプリント配線板の中央部での前記複数の第3配線のピッチの方が広いことを特徴とする。
ある実施形態によれば、前記コネクタ部は前記第2配線と電気的に接続されており、前記コネクタ部に接続された前記フレキシブルプリント配線板は、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するが、前記第2配線は前記制御部に電気的に接続しない。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、レーザ光を出力する半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を駆動する駆動回路とをさらに備え、前記光ピックアップ装置は複数の前記第2配線を備え、前記第2配線の1つは、前記半導体レーザ素子のアノードに電気的に接続されており、前記第2配線の他の1つは、前記半導体レーザ素子のカソードに電気的に接続されている。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光を出力する光源を駆動する駆動回路をさらに備え、前記駆動回路は、デジタル信号を受け取った時には前記デジタル信号に基づいて前記光源を駆動し、アナログ信号を受け取った時には前記アナログ信号に基づいて前記光源を駆動し、前記第2配線は、前記駆動回路に前記アナログ信号を入力するための信号線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光を出力する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路が前記光源を駆動するために出力する高周波電流の振幅を調整するデジタルポテンショメーターとをさらに備え、前記第2配線は、前記ポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光を出力する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路が前記光源を駆動するために出力する高周波電流の周波数を調整するデジタルポテンショメーターとをさらに備え、前記第2配線は、前記ポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光源から出力された光の一部を受光し、受光した光の量に応じた受光信号を出力する前光モニタと、前記前光モニタのゲインを調整するデジタルポテンショメーターとをさらに備え、前記第2配線は、前記ポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、複数の領域に分割された受光領域を有する受光素子をさらに備え、前記受光素子は、前記複数の領域のそれぞれが受光した光の量に基づいて生成した複数種類の受光信号を出力し、前記複数種類の受光信号は、前記受光素子の位置調整用の受光信号を含み、前記第2配線は、前記位置調整用の受光信号を伝送するための信号線である。
本発明のフレキシブルプリント配線板は、光ピックアップ装置と前記光ピックアップ装置の動作を制御する制御部とを電気的に接続するためのフレキシブルプリント配線板であって、前記光ピックアップ装置は、前記制御部からの信号を伝導するための複数の第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記フレキシブルプリント配線板は、前記コネクタ部および前記制御部に接続されたときに、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するための複数の第3配線を備え、前記フレキシブルプリント配線板のうちの前記コネクタ部に接続される領域での前記複数の第3配線のピッチよりも、前記フレキシブルプリント配線板の中央部での前記複数の第3配線のピッチの方が広いことを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置は、光ピックアップ装置の動作を制御する制御部からの信号を伝導するための第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1および第2配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記光ピックアップ装置の調整時には、前記第1および第2配線を調整用回路に電気的に接続する第1フレキシブルプリント配線板が前記コネクタ部に接続され、前記調整の後に、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するが、前記第2配線は前記制御部に電気的に接続しない第2フレキシブルプリント配線板が前記コネクタ部に接続されることを特徴とする。
本発明の光ディスク装置の製造方法は、光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置の動作を制御する制御部とを備えた光ディスク装置の製造方法であって、前記光ピックアップ装置は、前記制御部からの信号を伝導するための第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1および第2配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記製造方法は、前記第1および第2配線を調整用回路に電気的に接続する第1フレキシブルプリント配線板を前記コネクタ部に接続し、前記光ピックアップ装置の調整を行う第1工程と、前記第1工程の後に、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するが、前記第2配線は前記制御部に電気的に接続しない第2フレキシブルプリント配線板を前記コネクタ部に接続する第2工程とを包含することを特徴とする。
本発明によれば、光ピックアップ装置は、制御部からの信号を伝導するための第1配線と、光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、第1および第2配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備えている。コネクタ部に接続されるフレキシブルプリント配線板は、第1配線を制御部に電気的に接続するが、第2配線は制御部に電気的に接続しない。
このフレキシブルプリント配線板では、第2配線と制御部とを電気的に接続するための配線が設けられておらず、その分のスペースを第3配線に割り当てることができる。第3配線は第1配線を制御部に電気的に接続する配線である。第3配線の配線ピッチを広くする(すなわち、第3配線を太くしたり、第3配線同士の間隔を広げたりする)ことで、第3配線の許容電流値を高くするとともに信号の劣化を防止し、記録再生動作の安定性を向上させることができる。
また、コネクタ部を介して光ピックアップ装置にフレキシブルプリント配線板が接続され、フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、調整後に配線パターンを切断する必要が無い。第1および第2配線を調整用回路に電気的に接続する調整用フレキシブルプリント配線板の再利用が可能なので、廃棄されるフレキシブルプリント配線板を大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができる。また、フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、調整用フレキシブルプリント配線板および調整用回路の光ピックアップ装置への再接続が容易であり、光ピックアップ装置の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。
ある実施形態によれば、複数の第2配線のうちの1つは、半導体レーザ素子のアノードに電気的に接続され、第2配線の他の1つは、半導体レーザ素子のカソードに電気的に接続されている。調整用回路に簡易な電流源を用意するだけで半導体レーザ素子を発光させることができ、調整用フレキシブルプリント配線板の脱着も容易であるので、半導体レーザ素子の製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、光源を駆動する駆動回路は、デジタル信号を受け取った時にはデジタル信号に基づいて光源を駆動し、アナログ信号を受け取った時にはアナログ信号に基づいて光源を駆動する回路であり、第2配線は、駆動回路にアナログ信号を入力するための信号線である。調整用回路に簡易なアナログ回路を用意するだけで半導体レーザ素子を発光させることができ、調整用フレキシブルプリント配線板の脱着も容易であるので、半導体レーザ素子の製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、第2配線は、光源の駆動回路が出力する高周波電流の振幅および/または周波数を調整するデジタルポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。調整用フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、デジタルポテンショメーターの製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、第2配線は、前光モニタのゲインを調整するデジタルポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。調整用フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、デジタルポテンショメーターの製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、第2配線は、受光素子が出力する位置調整用の受光信号を伝送するための出力線である。調整用フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、受光素子の製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
(a)および(b)は、本発明の実施形態1による光ディスク装置を示す図である。
本発明の実施形態1による光ピックアップ装置を示す図である。
(a)および(b)は、本発明の実施形態1による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態2による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態2による光ピックアップ装置を示す図である。
符号の説明
1b 製品時に使用する移送部FPC
2 製品時に使用する信号線
3 製品時に使用する受光素子の信号線
4 製品時に使用する受光素子の信号線
5 半導体レーザ素子
6 半導体レーザ素子駆動IC
7 高周波重畳振幅可変用デジタルポテンショメーター
8 高周波重畳周波数可変用デジタルポテンショメーター
9 前光モニタ
10 前光モニタ出力ゲイン調整用デジタルポテンショメーター
11 主FPC
12b 製品時に使用する制御部
13 受光素子
21 半導体レーザ素子のアノードに接続される信号線
22 半導体レーザ素子のカソードに接続される信号線
23 デジタルポテンショメーター7の制御線
24 デジタルポテンショメーター8の制御線
25 デジタルポテンショメーター10の制御線
26 製造時に使用する受光素子の信号線
27 製造時に使用する受光素子の信号線
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同様の構成要素には同様の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明による光ディスク装置の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の光ディスク装置100を模式的に示す図である。光ディスク装置100は、光ディスク媒体110に対するデータの光学的な記録および/または再生を行う記録再生装置、再生装置、記録装置等である。
図1(a)を参照して、光ディスク装置100は、光ピックアップ装置101と、光ディスク媒体110を支持して回転させるモーター102と、光ピックアップ装置101の動作を制御する制御部12bと、光ピックアップ装置101と制御部12bとを電気的に接続する移送部フレキシブルプリント配線板1bと、制御部12bへ電力を供給する電源装置103と、光ピックアップ装置101を支持するガイドシャフト104とを備える。
光ピックアップ装置101には移送部フレキシブルプリント配線板1bを光ピックアップ装置101に接続するコネクタ14が設けられている。制御部12bには移送部フレキシブルプリント配線板1bを制御部12bに接続するコネクタ14bが設けられている。
次に、光ディスク装置100の基本的な動作を説明する。
光ディスク装置100にセットされた光ディスク媒体110は、モーター102によって回転される。光ピックアップ装置101は、光ディスク媒体110との位置関係を示す信号を制御部12bへ送る。制御部12bはこの信号を演算して、光ピックアップ装置101をガイドシャフト104に沿って略半径方向に移動させる信号と、光ピックアップ装置101内の対物レンズ(図示せず)を微動させるための信号とを移動機構(図示せず)へ出力する。これにより、光ディスク媒体110に対するフォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御が行われ、光ディスク媒体110に対するデータの記録、再生もしくは消去が行われる。電源装置103は、制御部12b、光ピックアップ装置101、モーター102および光ピックアップ装置101の駆動機構(図示せず)へ電力を供給する。なお、電源もしくは外部電源との接続端子は各駆動回路にそれぞれ設けられていてもよい。以下、フレキシブルプリント配線板をFPC(Flexible Print Circuit)と称す。
図1(b)は、移送部FPC1bとガイドシャフト104との位置関係を示す斜視図である。移送部FPC1bは2本のガイドシャフト104の間に配置されているため、その幅はガイドシャフト104間の長さ未満に制限される。このように、移送部FPC1bの幅に制限があるため、移送部FPC1bを通る配線のピッチや数にも制限がかかる。
移送部FPC1bの幅は設計により異なるが、例えば最大で40mmである。移送部FPC1bの両サイド0.5mmの領域には配線を配置しないとすると、配線を配置する領域の幅は39mmとなる。安全に屈曲に耐える配線の最小幅を0.15mmとし、配線間の距離を0.1mmとすると、幅39mmの領域には最大で156本の配線の配置が可能な計算となる。しかし、例えば0.1mm幅の銅配線の許容電流が約0.1mAであることを考慮すれば、実際の配線はもっと太くする必要があり、配置可能な配線数は遥かに少なくなる。例えば、対物レンズやモーター、アクチュエータの駆動用配線の幅は0.4〜0.6mm/本となる。また、レーザ駆動用配線には数百mAの電流を流す必要があるので、広い幅が必要となる。アース線も広い幅が必要である。また、互いに隣接する配線間でのクロストークを抑制するためには、例えば配線間の距離を0.2mm以上にする必要がある。このように、移送部FPC1bを通る配線の幅、間隔、本数等には様々な制限がかかる。このような制限の中で、本発明では、移送部FPC1bを通る配線のピッチを広くする。配線ピッチの詳細は後述する。
次に、光ピックアップ装置101をより詳細に説明する。
図2は、光ディスク装置100の製造時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。光ピックアップ装置101は、主FPC11を備える。
主FPC11には金属箔で配線パターンが形成されており、光ピックアップ装置101が備える構成要素に対する電気信号の入出力および電力供給のために用いられる。光ピックアップ装置101が備える構成要素の一部は主FPC11に設けられている。
光ピックアップ装置101は、レーザ光を出力する光源である半導体レーザ素子5と、半導体レーザ素子5を駆動する半導体レーザ素子駆動IC(Integrated Circuit)6と、半導体レーザ素子5のアノード側に電気的に接続された信号線21と、半導体レーザ素子5のカソード側に電気的に接続された信号線22と、半導体レーザ素子駆動IC6が半導体レーザ素子5を駆動するために出力する高周波電流の振幅を調整するデジタルポテンショメーター7と、その高周波電流の周波数を調整するデジタルポテンショメーター8と、デジタルポテンショメーター7を制御するための制御信号を伝送する制御線23と、デジタルポテンショメーター8を制御するための制御信号を伝送する制御線24とを備える。
半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5を駆動して所望の光量で発光させる駆動回路である。デジタルポテンショメーター7および8は、半導体レーザ素子5へ供給する駆動電流に重畳する高周波電流の振幅および周波数を調整する。
光ピックアップ装置101はさらに、半導体レーザ素子5の光量制御のために半導体レーザ素子5から出力された光の一部を受光し、光電変換して、受光した光の量に応じた受光信号を出力する前光モニタ9と、前光モニタ9が出力する受光信号のゲインを調整するデジタルポテンショメーター10と、デジタルポテンショメーター10を制御するための制御信号を伝送する制御線25と、複数の領域に分割された受光領域を有する受光素子13と、受光素子13が出力した信号を伝送する信号線3、4、26、27と、光ピックアップ装置101の構成要素へ信号または電力を供給する信号線2とを備える。半導体レーザ素子5から出射して光ディスク媒体110(図1)で反射し、データを含んで戻ってきたレーザ光を、受光素子13は受光して、光電変換により受光信号に変換して出力する。信号線2は、製造された光ディスク装置が製品として出荷されて実際にユーザの手元で用いられるとき(以下、製品時と称する)の記録再生等の動作に必要な配線である。信号線2は、光ピックアップ装置101の製造時の調整動作でも用いられる。信号線2は、図示しない配線パターンを介して光ピックアップ装置101の構成要素に電気的に接続されている。信号線2の一部は電源線である。
移送部FPC1aは、光ピックアップ装置101の製造時に光ピックアップ装置101に接続されるFPCである。主FPC11上に実装されているコネクタ14は、主FPC11の各配線と電気的に接続されている。移送部FPC1aは、コネクタ14によって主FPC11の各配線と電気的に接続される。
調整用回路12aは、光ピックアップ装置101の製造時に光ピックアップ装置101の構成要素の調整(構成要素の位置調整および特性調整等)を行うための回路である。移送部FPC1aは、調整用回路12a上に実装されているコネクタ14aを介して調整用回路12aと電気的に接続される。これにより、調整用回路12aと主FPC11とが電気的に接続され、移送部FPC1aを介して調整用回路12aと主FPC11との間で信号が伝送される。移送部FPC1aおよび調整用回路12aは、光ピックアップ装置101の製造時の他、修理時の再調整や不良品解析時等でも用いられる。
図3(a)は、光ディスク装置100の製品時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。
図1を参照して説明したように、移送部FPC1bは製品時に使用されるFPCであり、主FPC11の配線の一部を制御部12bに電気的に接続する複数の第3配線1cを備える。移送部FPC1bは、コネクタ14に接続されることによって主FPC11の配線の一部と電気的に接続されている。移送部FPC1bは、制御部12b上に実装されているコネクタ14bに接続されることによって制御部12bと電気的に接続される。これにより、制御部12bと主FPC11とが電気的に接続され、移送部FPC1bを介して制御部12bと主FPC11との間で信号が伝送される。
図2および図3を参照して、半導体レーザ素子駆動IC6は、調整用回路12aまたは制御部12bからの信号で動作するが、記録動作時の複雑なストラテジに対応して半導体レーザ素子5を発光させるために、デジタルのシリアルデータを受けて動作する。そのため、調整用回路12aおよび制御部12bは、そのようなデータ転送に対応した複雑なデジタル回路を備える必要がある。
しかしながら、光ピックアップ装置101の製造工程の中では、複雑なストラテジで半導体レーザ素子5を発光させることが不要な工程もある。例えば、半導体レーザ素子5の発光テストや一部の光学部品の光軸合わせ等では、適当なパワーでCW(Continious Wave)発光させるだけでも構わない。光ピックアップ装置101では、半導体レーザ素子5のアノードおよびカソードには信号線21および22が直接的に接続されている。製造時に用いられる移送部FPC1aには、信号線21および22と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられている。調整用回路12aが備える単純な電流源回路から信号線21および22に電流を供給するだけで半導体レーザ素子5を発光させることができる。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
製品時では、信号線21および22を用いて直接的に半導体レーザ素子5を発光させることは必要ない。このため、図3(a)に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、信号線21および22と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは信号線21および22と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。
図3(b)は移送部FPC1bが備える配線1cのピッチを示す図である。上述の理由により、移送部FPC1bのうちのコネクタ部14に隣接する領域(コネクタ部14への接続領域)での配線1cのピッチ1eよりも、FPCの中央部1dでの配線1cのピッチ1fの方を広くすることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの配線1cを太くすることができるので、上述の効果が得られる。また、互いに隣接する配線1c間の距離を長くすることもでき、配線間でのクロストークを抑制することができる。上述したように、FPCが備える配線には個々に様々な太さや配線間距離が要求されるが、本発明によりそれら個々の配線の設計の自由度を高くすることができる。
また、コネクタ部14によって主FPC11にFPC1aまたは1bが接続されるので、FPC1aおよび1bの脱着が容易である。このため、製造時の調整後に移送部FPC1aの配線パターンを切断する必要が無い。移送部FPC1aの再利用が可能なので、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができる。また、FPC1aおよび1bの脱着が容易であるので、FPC1aの主FPC11への再接続が容易であり、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、簡易な電流源を用いて半導体レーザ素子5を発光させる必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
次に、デジタルポテンショメーター7および8とその配線を説明する。半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5のRIN(Relative Intensity Noise)低減のために半導体レーザ素子5の駆動電流に高周波電流を重畳する。デジタルポテンショメーター7は、半導体レーザ素子駆動IC6の高周波電流振幅調整用端子(図示せず)に接続されており、デジタルポテンショメーター7の特性値を変化させることにより、半導体レーザ素子5へ出力する高周波電流の振幅を変更することができる。また、デジタルポテンショメーター8は、半導体レーザ素子駆動IC6の高周波電流周波数調整用端子(図示せず)に接続されており、デジタルポテンショメーター8の特性値を変化させることにより、半導体レーザ素子5へ出力する高周波電流の周波数を変更することができる。これら振幅と周波数の調整は、半導体レーザ素子5および半導体レーザ素子駆動IC6の発振回路の特性ばらつきを吸収して最適な発光特性を得るために行う。
製造時に用いられる移送部FPC1aには、制御線23および24と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられており、調整用回路12aからデジタルポテンショメーター7および8へ指令を送って高周波電流の振幅と周波数の調整を行う。デジタルポテンショメーター7および8の調整値は、デジタルポテンショメーター7および8に内蔵の不揮発性メモリで保持する。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
デジタルポテンショメーター7および8の調整値は、デジタルポテンショメーター7および8に内蔵の不揮発性メモリで保持されているため、光ピックアップ装置101の製造時に調整した後には、制御線23および24は不要となる。そこで、図3に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、制御線23および24と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは制御線23および24と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの信号線を太くすることができる。
また、上述と同様に、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができるとともに、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、高周波電流の振幅と周波数を再調整する必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
次に、デジタルポテンショメーター10およびその配線を説明する。前光モニタ9は、半導体レーザ素子5が出力したレーザ光の一部を受光して、光電変換により生成した電気信号を出力する。その電気信号によりレーザ光の強度が制御されるため、半導体レーザ素子5が出力するレーザ光と前光モニタ9が出力する電気信号とが一定の比となることが必要である。
デジタルポテンショメーター10は、前光モニタ9の出力ゲイン調整用端子(図示せず)に接続されており、デジタルポテンショメーター10の特性値を変化させることで、前光モニタの出力電圧を変えることができる。これにより、半導体レーザ素子5が出力するレーザ光と前光モニタ9が出力する電気信号とが一定の比となるように前光モニタの出力電圧を調整することができる。
製造時に用いられる移送部FPC1aには、制御線25と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられているので、調整用回路12aからデジタルポテンショメーター10へ指令を送って前光モニタの出力電圧の調整を行う。デジタルポテンショメーター10の調整値は、デジタルポテンショメーター10に内蔵の不揮発性メモリで保持する。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
デジタルポテンショメーター10の調整値は、デジタルポテンショメーター10に内蔵の不揮発性メモリで保持されているため、光ピックアップ装置101の製造時に調整した後には、制御線25は不要となる。そこで、図3に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、制御線25と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは制御線25と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの信号線を太くすることができる。
また、上述と同様に、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができるとともに、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、前光モニタ9の出力ゲインを再調整する必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
次に、受光素子13およびその配線を説明する。
受光素子13は、光ディスク媒体で反射して戻ってきたレーザ光を受光して光電変換により電気信号を生成して出力する。受光素子13は、複数の領域に分割された受光領域を備えており、複数の領域のそれぞれは受光した光の量に応じた電気信号を生成する。複数の領域が生成した信号を組み合わせた複数種類の受光信号が受光素子13から出力される。出力された受光信号は、データの再生、フォーカシング制御およびトラッキング制御等に用いられる。
受光信号を伝送する信号線3、4、26、27のうち、信号線26および27は、光ピックアップ装置101の製造時には使用されるが製品時には使用されない。例えば、受光素子13の位置調整を高精度に行うために、受光素子13よりも相対的に小さな調整用受光素子(図示せず)を受光素子13に設け、受光素子13へ入射するレーザ光の一部を調整用受光素子で受光し、その受光に対応した位置調整用の受光信号が信号線3および4を介して出力される。製造時に用いられる移送部FPC1aには、信号線26および27と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられているので、調整用回路12aで位置調整用の受光信号を受けて受光素子13の位置調整等を行うことができる。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
製造時に受光素子13の位置調整をした後には、接着等の手段で受光素子13の位置を固定するため、信号線26および27は不要となる。このため、図3に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、信号線26および27と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは信号線26および27と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの信号線を太くすることができる。
また、上述と同様に、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができるとともに、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、受光素子13の位置を再調整する必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
(実施形態2)
次に、図4および図5を参照して、本発明による光ピックアップ装置の第2の実施形態を説明する。
図4は、製造時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。図5は、製品時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。
図4を参照して、本実施形態の半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5の駆動命令としてデジタル信号を受け取った時にはデジタル信号に基づいて半導体レーザ素子5を駆動し、アナログ信号を受け取った時には半導体レーザ素子5に基づいて光源を駆動する。主FPC11は、半導体レーザ素子駆動IC6にアナログ信号を入力するための信号線29を備える。
図4および図5を参照して、半導体レーザ素子駆動IC6は、調整用回路12aまたは制御部12bからの信号で動作するが、記録動作時の複雑なストラテジに対応して半導体レーザ素子5を発光させるために、デジタルのシリアルデータを受けて動作する。そのため、調整用回路12aおよび制御部12bは、そのようなデータ転送に対応した複雑なデジタル回路を備える必要がある。
しかしながら、光ピックアップ装置101の製造工程の中では、複雑なストラテジで半導体レーザ素子5を発光させることが不要な工程もある。例えば、半導体レーザ素子5の発光テストや一部の光学部品の光軸合わせ等では、適当なパワーでCW(Continious Wave)発光させるだけでも構わない。
本実施形態の半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5の駆動命令として、デジタルシリアルデータ以外にアナログ信号を入力し、アナログ信号に比例した駆動電流を出力する。
主FPC11は信号線28を備える。信号線28は、半導体レーザ素子駆動IC6をデジタル信号入力による動作からアナログ信号入力による動作に切り替えるために調整用回路12aから出力される切り替え信号を半導体レーザ素子駆動IC6へ伝送する。信号線29は、調整用回路12aから出力されるアナログ信号を半導体レーザ素子駆動IC6へ伝送し、半導体レーザ素子駆動IC6は、入力されたアナログ信号に比例した駆動電流を出力する。製造時に用いられる移送部FPC1aには、信号線28および29と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられている。調整用回路12aは、信号線28に切り替え信号を出力する回路と、信号線29にアナログ信号を出力する回路を備えており、複雑なデジタルデータの伝送を行うことなく半導体レーザ素子5を発光させることができる。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
製品時では、複雑なストラテジで発光させるので低速のアナログ入力のみで発光させることはなく、信号線28および29を用いて半導体レーザ素子5を発光させることは必要ない。このため、図5に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、信号線28および29と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは信号線28および29と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。図3(b)を参照して説明したように、上述の理由により、移送部FPC1bのうちのコネクタ部14に隣接する領域(コネクタ部14への接続領域)での配線1cのピッチ1eよりも、FPCの中央部1dでの配線1cのピッチ1fの方を広くすることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの配線1cを太くすることができるので、上述の効果が得られる。また、互いに隣接する配線1c間の距離を長くすることもでき、配線間でのクロストークを抑制することができる。上述したように、FPCが備える配線には個々に様々な太さや配線間距離が要求されるが、本発明によりそれら個々の配線の設計の自由度を高くすることができる。
また、コネクタ部14によって主FPC11にFPC1aまたは1bが接続されるので、FPC1aおよび1bの脱着が容易である。このため、製造時の調整後に移送部FPC1aの配線パターンを切断する必要が無い。移送部FPC1aの再利用が可能なので、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができる。また、FPC1aおよび1bの脱着が容易であるので、FPC1aの主FPC11への再接続が容易であり、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、簡易なアナログ回路で半導体レーザ素子5を発光させる必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
なお、上述の実施形態の説明で示した配線パターンおよび本数は一例であり、本発明はそれに限定されない。
また、上述の実施形態の説明では、半導体レーザ素子、前光モニタ、受光素子の数が1つずつであるが、いずれも2つ以上であってもよい。本発明によれば、光ピックアップ装置の構成要素の配置スペースに余裕ができるので、それらの構成要素を複数個実装させることが容易となる。
また、光ピックアップ装置の組立ての容易さやFPCの材料の都合等により、主FPCが複数のFPCを接続した構成であってもよい。
また、情報記録媒体として光ディスク媒体を例示して説明したが、光カード媒体、光磁気記録媒体等であってもよい。
以上、説明したように、本発明の光ピックアップ装置および光ディスク装置は、情報記録媒体へのデータの光学的な記録および/または再生を行うための技術分野において特に有用である。
本発明は、データの光学的な記録および/または再生を行うための光ピックアップ装置、およびその光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置に関する。
映像、音声、文書、プログラム等のデータを記録するための高密度・大容量の記録媒体として光ディスク媒体を用いる光メモリ技術が普及しており、特にピット状パターンを有するDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などが普及している。この光メモリ技術では、データは微小に集光された光ビームを用いて光ディスク媒体へ高い精度と信頼性をもって記録される。
その記録の原理を簡単に説明する。例えば相変化材料を備えた光ディスク媒体にデータを記録する場合、パルス状に変調した光を再生時に比べて比較的高いパワーで光ディスク媒体に照射することで相変化材料に断続的に相変化を行わせ、相変化材料の反射率の変化パターンを作ることで、データの記録を行っている。
また、再生時には、相変化材料の相変化が起きない程度の低いパワーの光を光ディスク媒体に照射することで相変化材料の反射率の変化パターンを検出し、データを再生している。
このような記録再生動作は、光ピックアップ装置により行われている。光ピックアップ装置の機能は、光源から出力された光を収束することによる回折限界の微小スポットの形成、フォーカシング制御、トラッキング制御、ピット信号の検出等に大別される。これらの機能は、その目的と用途に応じた各種の光学系と光電変換検出方式との組み合わせによって実現されている。
光を回折限界まで集光させるために、光源としては一般に半導体レーザ素子が用いられており、光ピックアップ装置には小型の半導体レーザ素子が搭載されている。
光ディスク媒体の用途の拡大に伴い、より記録密度の高い光ディスク媒体のフォーマットが開発され、データの記録再生時に形成される光スポットのサイズがさらに小さくなってきている。レーザ光の光スポットのサイズは集光させる対物レンズのNAに反比例し、レーザ光の波長に比例する。このため、光スポットのサイズを微小にするために、レーザ光の波長も短くなってきている。
このように、より記録密度の高い光ディスク媒体が開発される状況下において、ユーザが過去に取得したデータおよび資産の有効利用の観点から、光ディスク装置は、互いにフォーマットが異なる複数種類の光ディスク媒体に対して記録再生が行えることが求められている。
複数のフォーマットに対応させるために、複数の光ピックアップ装置を光ディスク装置に搭載する手法もある。しかしながら、装置の小型化を考慮すると、1つの光ピックアップ装置を複数のフォーマットに対応させることが望ましい。そのためには、1つの光ピックアップ装置に、発振波長が互いに異なる複数の半導体レーザ素子を搭載させると共に、半導体レーザ素子のそれぞれに対応する受光素子、高記録密度化に対応して光学部品の位置を高精度に制御するアクチュエータ等も複数個搭載する必要がある。
そのため、光ピックアップ装置に対して信号を入出力するための回路配線数も多くなってきており、光ディスク装置内で占有するスペースも大きくならざるを得ない。このため、部品配置の制約や、配線パターンの狭ピッチ化による信号の劣化や電流容量の制限という問題が発生する。
このような問題に対応して、光ピックアップ装置から引き出す信号線数を減らす手法が特許文献1に開示されている。
特許文献1の光ピックアップ装置からは、製造時の装置の調整時のみに用いられる配線が引き出されている。調整用の配線には装置の調整を行う調整回路が接続されている。
光ピックアップ装置の調整時には、調整用の配線を用いて光ピックアップ装置への調整用信号の供給を行ない、各構成要素の位置調整および特性調整等の各種調整を行なう。調整の後、調整のみに必要な配線は、光ピックアップ装置端部に近い箇所で切断される。調整のみに必要な配線を切断することにより、光ピックアップ装置から引き出す配線の数を減らすことができる。
特開2005−85299号公報
しかしながら、光ピックアップ装置の構成要素の調整の後、不要となった配線を切断し、切断された部分は調整回路と共に廃棄されるため、資源の無駄および材料費の上昇を招くことになる。
また、切断部での銅箔パターンにバリが発生し、隣接する配線同士が接触して光ピックアップ装置が誤動作を起こす可能性がある。
また、調整用の配線を切断してしまうため、光ピックアップ装置の再調整が必要となった場合や不良品が発生した場合の解析時に全ての機能を動作させることが困難となる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、フレキシブルプリント配線板から引き出される配線の数を減らすとともに、資源の無駄および材料費の上昇を抑制し、また、光ピックアップ装置の再調整や不良品の解析等を容易にする光ピックアップ装置および光ディスク装置を提供する。また、本発明は、信号の劣化を抑制すると共に許容電流値が高いフレキシブルプリント配線板およびそれを備えた光ディスク装置を提供する。
本発明の光ディスク装置は、光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置の動作を制御する制御部とを備えた光ディスク装置であって、前記光ピックアップ装置は、前記制御部からの信号を伝導するための複数の第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記光ディスク装置は、前記コネクタ部に接続され、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するフレキシブルプリント配線板をさらに備え、前記フレキシブルプリント配線板は、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続する複数の第3配線を備え、前記フレキシブルプリント配線板のうちの前記コネクタ部に隣接する領域での前記複数の第3配線のピッチよりも、前記フレキシブルプリント配線板の中央部での前記複数の第3配線のピッチの方が広いことを特徴とする。
ある実施形態によれば、前記コネクタ部は前記第2配線と電気的に接続されており、前記コネクタ部に接続された前記フレキシブルプリント配線板は、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するが、前記第2配線は前記制御部に電気的に接続しない。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、レーザ光を出力する半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を駆動する駆動回路とをさらに備え、前記光ピックアップ装置は複数の前記第2配線を備え、前記第2配線の1つは、前記半導体レーザ素子のアノードに電気的に接続されており、前記第2配線の他の1つは、前記半導体レーザ素子のカソードに電気的に接続されている。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光を出力する光源を駆動する駆動回路をさらに備え、前記駆動回路は、デジタル信号を受け取った時には前記デジタル信号に基づいて前記光源を駆動し、アナログ信号を受け取った時には前記アナログ信号に基づいて前記光源を駆動し、前記第2配線は、前記駆動回路に前記アナログ信号を入力するための信号線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光を出力する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路が前記光源を駆動するために出力する高周波電流の振幅を調整するデジタルポテンショメーターとをさらに備え、前記第2配線は、前記ポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光を出力する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路が前記光源を駆動するために出力する高周波電流の周波数を調整するデジタルポテンショメーターとをさらに備え、前記第2配線は、前記ポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、光源から出力された光の一部を受光し、受光した光の量に応じた受光信号を出力する前光モニタと、前記前光モニタのゲインを調整するデジタルポテンショメーターとをさらに備え、前記第2配線は、前記ポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。
ある実施形態によれば、前記光ピックアップ装置は、複数の領域に分割された受光領域を有する受光素子をさらに備え、前記受光素子は、前記複数の領域のそれぞれが受光した光の量に基づいて生成した複数種類の受光信号を出力し、前記複数種類の受光信号は、前記受光素子の位置調整用の受光信号を含み、前記第2配線は、前記位置調整用の受光信号を伝送するための信号線である。
本発明のフレキシブルプリント配線板は、光ピックアップ装置と前記光ピックアップ装置の動作を制御する制御部とを電気的に接続するためのフレキシブルプリント配線板であって、前記光ピックアップ装置は、前記制御部からの信号を伝導するための複数の第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記フレキシブルプリント配線板は、前記コネクタ部および前記制御部に接続されたときに、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するための複数の第3配線を備え、前記フレキシブルプリント配線板のうちの前記コネクタ部に接続される領域での前記複数の第3配線のピッチよりも、前記フレキシブルプリント配線板の中央部での前記複数の第3配線のピッチの方が広いことを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置は、光ピックアップ装置の動作を制御する制御部からの信号を伝導するための第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1および第2配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記光ピックアップ装置の調整時には、前記第1および第2配線を調整用回路に電気的に接続する第1フレキシブルプリント配線板が前記コネクタ部に接続され、前記調整の後に、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するが、前記第2配線は前記制御部に電気的に接続しない第2フレキシブルプリント配線板が前記コネクタ部に接続されることを特徴とする。
本発明の光ディスク装置の製造方法は、光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置の動作を制御する制御部とを備えた光ディスク装置の製造方法であって、前記光ピックアップ装置は、前記制御部からの信号を伝導するための第1配線と、前記光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、前記第1および第2配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備え、前記製造方法は、前記第1および第2配線を調整用回路に電気的に接続する第1フレキシブルプリント配線板を前記コネクタ部に接続し、前記光ピックアップ装置の調整を行う第1工程と、前記第1工程の後に、前記第1配線を前記制御部に電気的に接続するが、前記第2配線は前記制御部に電気的に接続しない第2フレキシブルプリント配線板を前記コネクタ部に接続する第2工程とを包含することを特徴とする。
本発明によれば、光ピックアップ装置は、制御部からの信号を伝導するための第1配線と、光ピックアップ装置の調整に用いるための第2配線と、第1および第2配線と電気的に接続されたコネクタ部とを備えている。コネクタ部に接続されるフレキシブルプリント配線板は、第1配線を制御部に電気的に接続するが、第2配線は制御部に電気的に接続しない。
このフレキシブルプリント配線板では、第2配線と制御部とを電気的に接続するための配線が設けられておらず、その分のスペースを第3配線に割り当てることができる。第3配線は第1配線を制御部に電気的に接続する配線である。第3配線の配線ピッチを広くする(すなわち、第3配線を太くしたり、第3配線同士の間隔を広げたりする)ことで、第3配線の許容電流値を高くするとともに信号の劣化を防止し、記録再生動作の安定性を向上させることができる。
また、コネクタ部を介して光ピックアップ装置にフレキシブルプリント配線板が接続され、フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、調整後に配線パターンを切断する必要が無い。第1および第2配線を調整用回路に電気的に接続する調整用フレキシブルプリント配線板の再利用が可能なので、廃棄されるフレキシブルプリント配線板を大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができる。また、フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、調整用フレキシブルプリント配線板および調整用回路の光ピックアップ装置への再接続が容易であり、光ピックアップ装置の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。
ある実施形態によれば、複数の第2配線のうちの1つは、半導体レーザ素子のアノードに電気的に接続され、第2配線の他の1つは、半導体レーザ素子のカソードに電気的に接続されている。調整用回路に簡易な電流源を用意するだけで半導体レーザ素子を発光させることができ、調整用フレキシブルプリント配線板の脱着も容易であるので、半導体レーザ素子の製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、光源を駆動する駆動回路は、デジタル信号を受け取った時にはデジタル信号に基づいて光源を駆動し、アナログ信号を受け取った時にはアナログ信号に基づいて光源を駆動する回路であり、第2配線は、駆動回路にアナログ信号を入力するための信号線である。調整用回路に簡易なアナログ回路を用意するだけで半導体レーザ素子を発光させることができ、調整用フレキシブルプリント配線板の脱着も容易であるので、半導体レーザ素子の製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、第2配線は、光源の駆動回路が出力する高周波電流の振幅および/または周波数を調整するデジタルポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。調整用フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、デジタルポテンショメーターの製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、第2配線は、前光モニタのゲインを調整するデジタルポテンショメーターを制御するための制御信号を伝導する制御線である。調整用フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、デジタルポテンショメーターの製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
また、ある実施形態によれば、第2配線は、受光素子が出力する位置調整用の受光信号を伝送するための出力線である。調整用フレキシブルプリント配線板の脱着が容易であるので、受光素子の製造時の調整、再調整、不良品解析等を容易に行うことができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同様の構成要素には同様の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明による光ディスク装置の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の光ディスク装置100を模式的に示す図である。光ディスク装置100は、光ディスク媒体110に対するデータの光学的な記録および/または再生を行う記録再生装置、再生装置、記録装置等である。
図1(a)を参照して、光ディスク装置100は、光ピックアップ装置101と、光ディスク媒体110を支持して回転させるモーター102と、光ピックアップ装置101の動作を制御する制御部12bと、光ピックアップ装置101と制御部12bとを電気的に接続する移送部フレキシブルプリント配線板1bと、制御部12bへ電力を供給する電源装置103と、光ピックアップ装置101を支持するガイドシャフト104とを備える。
光ピックアップ装置101には移送部フレキシブルプリント配線板1bを光ピックアップ装置101に接続するコネクタ14が設けられている。制御部12bには移送部フレキシブルプリント配線板1bを制御部12bに接続するコネクタ14bが設けられている。
次に、光ディスク装置100の基本的な動作を説明する。
光ディスク装置100にセットされた光ディスク媒体110は、モーター102によって回転される。光ピックアップ装置101は、光ディスク媒体110との位置関係を示す信号を制御部12bへ送る。制御部12bはこの信号を演算して、光ピックアップ装置101をガイドシャフト104に沿って略半径方向に移動させる信号と、光ピックアップ装置101内の対物レンズ(図示せず)を微動させるための信号とを移動機構(図示せず)へ出力する。これにより、光ディスク媒体110に対するフォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御が行われ、光ディスク媒体110に対するデータの記録、再生もしくは消去が行われる。電源装置103は、制御部12b、光ピックアップ装置101、モーター102および光ピックアップ装置101の駆動機構(図示せず)へ電力を供給する。なお、電源もしくは外部電源との接続端子は各駆動回路にそれぞれ設けられていてもよい。以下、フレキシブルプリント配線板をFPC(Flexible Print Circuit)と称す。
図1(b)は、移送部FPC1bとガイドシャフト104との位置関係を示す斜視図である。移送部FPC1bは2本のガイドシャフト104の間に配置されているため、その幅はガイドシャフト104間の長さ未満に制限される。このように、移送部FPC1bの幅に制限があるため、移送部FPC1bを通る配線のピッチや数にも制限がかかる。
移送部FPC1bの幅は設計により異なるが、例えば最大で40mmである。移送部FPC1bの両サイド0.5mmの領域には配線を配置しないとすると、配線を配置する領域の幅は39mmとなる。安全に屈曲に耐える配線の最小幅を0.15mmとし、配線間の距離を0.1mmとすると、幅39mmの領域には最大で156本の配線の配置が可能な計算となる。しかし、例えば0.1mm幅の銅配線の許容電流が約0.1mAであることを考慮すれば、実際の配線はもっと太くする必要があり、配置可能な配線数は遥かに少なくなる。例えば、対物レンズやモーター、アクチュエータの駆動用配線の幅は0.4〜0.6mm/本となる。また、レーザ駆動用配線には数百mAの電流を流す必要があるので、広い幅が必要となる。アース線も広い幅が必要である。また、互いに隣接する配線間でのクロストークを抑制するためには、例えば配線間の距離を0.2mm以上にする必要がある。このように、移送部FPC1bを通る配線の幅、間隔、本数等には様々な制限がかかる。このような制限の中で、本発明では、移送部FPC1bを通る配線のピッチを広くする。配線ピッチの詳細は後述する。
次に、光ピックアップ装置101をより詳細に説明する。
図2は、光ディスク装置100の製造時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。光ピックアップ装置101は、主FPC11を備える。
主FPC11には金属箔で配線パターンが形成されており、光ピックアップ装置101が備える構成要素に対する電気信号の入出力および電力供給のために用いられる。光ピックアップ装置101が備える構成要素の一部は主FPC11に設けられている。
光ピックアップ装置101は、レーザ光を出力する光源である半導体レーザ素子5と、半導体レーザ素子5を駆動する半導体レーザ素子駆動IC(Integrated Circuit)6と、半導体レーザ素子5のアノード側に電気的に接続された信号線21と、半導体レーザ素子5のカソード側に電気的に接続された信号線22と、半導体レーザ素子駆動IC6が半導体レーザ素子5を駆動するために出力する高周波電流の振幅を調整するデジタルポテンショメーター7と、その高周波電流の周波数を調整するデジタルポテンショメーター8と、デジタルポテンショメーター7を制御するための制御信号を伝送する制御線23と、デジタルポテンショメーター8を制御するための制御信号を伝送する制御線24とを備える。
半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5を駆動して所望の光量で発光させる駆動回路である。デジタルポテンショメーター7および8は、半導体レーザ素子5へ供給する駆動電流に重畳する高周波電流の振幅および周波数を調整する。
光ピックアップ装置101はさらに、半導体レーザ素子5の光量制御のために半導体レーザ素子5から出力された光の一部を受光し、光電変換して、受光した光の量に応じた受光信号を出力する前光モニタ9と、前光モニタ9が出力する受光信号のゲインを調整するデジタルポテンショメーター10と、デジタルポテンショメーター10を制御するための制御信号を伝送する制御線25と、複数の領域に分割された受光領域を有する受光素子13と、受光素子13が出力した信号を伝送する信号線3、4、26、27と、光ピックアップ装置101の構成要素へ信号または電力を供給する信号線2とを備える。半導体レーザ素子5から出射して光ディスク媒体110(図1)で反射し、データを含んで戻ってきたレーザ光を、受光素子13は受光して、光電変換により受光信号に変換して出力する。信号線2は、製造された光ディスク装置が製品として出荷されて実際にユーザの手元で用いられるとき(以下、製品時と称する)の記録再生等の動作に必要な配線である。信号線2は、光ピックアップ装置101の製造時の調整動作でも用いられる。信号線2は、図示しない配線パターンを介して光ピックアップ装置101の構成要素に電気的に接続されている。信号線2の一部は電源線である。
移送部FPC1aは、光ピックアップ装置101の製造時に光ピックアップ装置101に接続されるFPCである。主FPC11上に実装されているコネクタ14は、主FPC11の各配線と電気的に接続されている。移送部FPC1aは、コネクタ14によって主FPC11の各配線と電気的に接続される。
調整用回路12aは、光ピックアップ装置101の製造時に光ピックアップ装置101の構成要素の調整(構成要素の位置調整および特性調整等)を行うための回路である。移送部FPC1aは、調整用回路12a上に実装されているコネクタ14aを介して調整用回路12aと電気的に接続される。これにより、調整用回路12aと主FPC11とが電気的に接続され、移送部FPC1aを介して調整用回路12aと主FPC11との間で信号が伝送される。移送部FPC1aおよび調整用回路12aは、光ピックアップ装置101の製造時の他、修理時の再調整や不良品解析時等でも用いられる。
図3(a)は、光ディスク装置100の製品時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。
図1を参照して説明したように、移送部FPC1bは製品時に使用されるFPCであり、主FPC11の配線の一部を制御部12bに電気的に接続する複数の第3配線1cを備える。移送部FPC1bは、コネクタ14に接続されることによって主FPC11の配線の一部と電気的に接続されている。移送部FPC1bは、制御部12b上に実装されているコネクタ14bに接続されることによって制御部12bと電気的に接続される。これにより、制御部12bと主FPC11とが電気的に接続され、移送部FPC1bを介して制御部12bと主FPC11との間で信号が伝送される。
図2および図3を参照して、半導体レーザ素子駆動IC6は、調整用回路12aまたは制御部12bからの信号で動作するが、記録動作時の複雑なストラテジに対応して半導体レーザ素子5を発光させるために、デジタルのシリアルデータを受けて動作する。そのため、調整用回路12aおよび制御部12bは、そのようなデータ転送に対応した複雑なデジタル回路を備える必要がある。
しかしながら、光ピックアップ装置101の製造工程の中では、複雑なストラテジで半導体レーザ素子5を発光させることが不要な工程もある。例えば、半導体レーザ素子5の発光テストや一部の光学部品の光軸合わせ等では、適当なパワーでCW(Continious Wave)発光させるだけでも構わない。光ピックアップ装置101では、半導体レーザ素子5のアノードおよびカソードには信号線21および22が直接的に接続されている。製造時に用いられる移送部FPC1aには、信号線21および22と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられている。調整用回路12aが備える単純な電流源回路から信号線21および22に電流を供給するだけで半導体レーザ素子5を発光させることができる。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
製品時では、信号線21および22を用いて直接的に半導体レーザ素子5を発光させることは必要ない。このため、図3(a)に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、信号線21および22と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは信号線21および22と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。
図3(b)は移送部FPC1bが備える配線1cのピッチを示す図である。上述の理由により、移送部FPC1bのうちのコネクタ部14に隣接する領域(コネクタ部14への接続領域)での配線1cのピッチ1eよりも、FPCの中央部1dでの配線1cのピッチ1fの方を広くすることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの配線1cを太くすることができるので、上述の効果が得られる。また、互いに隣接する配線1c間の距離を長くすることもでき、配線間でのクロストークを抑制することができる。上述したように、FPCが備える配線には個々に様々な太さや配線間距離が要求されるが、本発明によりそれら個々の配線の設計の自由度を高くすることができる。
また、コネクタ部14によって主FPC11にFPC1aまたは1bが接続されるので、FPC1aおよび1bの脱着が容易である。このため、製造時の調整後に移送部FPC1aの配線パターンを切断する必要が無い。移送部FPC1aの再利用が可能なので、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができる。また、FPC1aおよび1bの脱着が容易であるので、FPC1aの主FPC11への再接続が容易であり、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、簡易な電流源を用いて半導体レーザ素子5を発光させる必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
次に、デジタルポテンショメーター7および8とその配線を説明する。半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5のRIN(Relative Intensity Noise)低減のために半導体レーザ素子5の駆動電流に高周波電流を重畳する。デジタルポテンショメーター7は、半導体レーザ素子駆動IC6の高周波電流振幅調整用端子(図示せず)に接続されており、デジタルポテンショメーター7の特性値を変化させることにより、半導体レーザ素子5へ出力する高周波電流の振幅を変更することができる。また、デジタルポテンショメーター8は、半導体レーザ素子駆動IC6の高周波電流周波数調整用端子(図示せず)に接続されており、デジタルポテンショメーター8の特性値を変化させることにより、半導体レーザ素子5へ出力する高周波電流の周波数を変更することができる。これら振幅と周波数の調整は、半導体レーザ素子5および半導体レーザ素子駆動IC6の発振回路の特性ばらつきを吸収して最適な発光特性を得るために行う。
製造時に用いられる移送部FPC1aには、制御線23および24と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられており、調整用回路12aからデジタルポテンショメーター7および8へ指令を送って高周波電流の振幅と周波数の調整を行う。デジタルポテンショメーター7および8の調整値は、デジタルポテンショメーター7および8に内蔵の不揮発性メモリで保持する。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
デジタルポテンショメーター7および8の調整値は、デジタルポテンショメーター7および8に内蔵の不揮発性メモリで保持されているため、光ピックアップ装置101の製造時に調整した後には、制御線23および24は不要となる。そこで、図3に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、制御線23および24と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは制御線23および24と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの信号線を太くすることができる。
また、上述と同様に、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができるとともに、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、高周波電流の振幅と周波数を再調整する必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
次に、デジタルポテンショメーター10およびその配線を説明する。前光モニタ9は、半導体レーザ素子5が出力したレーザ光の一部を受光して、光電変換により生成した電気信号を出力する。その電気信号によりレーザ光の強度が制御されるため、半導体レーザ素子5が出力するレーザ光と前光モニタ9が出力する電気信号とが一定の比となることが必要である。
デジタルポテンショメーター10は、前光モニタ9の出力ゲイン調整用端子(図示せず)に接続されており、デジタルポテンショメーター10の特性値を変化させることで、前光モニタの出力電圧を変えることができる。これにより、半導体レーザ素子5が出力するレーザ光と前光モニタ9が出力する電気信号とが一定の比となるように前光モニタの出力電圧を調整することができる。
製造時に用いられる移送部FPC1aには、制御線25と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられているので、調整用回路12aからデジタルポテンショメーター10へ指令を送って前光モニタの出力電圧の調整を行う。デジタルポテンショメーター10の調整値は、デジタルポテンショメーター10に内蔵の不揮発性メモリで保持する。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
デジタルポテンショメーター10の調整値は、デジタルポテンショメーター10に内蔵の不揮発性メモリで保持されているため、光ピックアップ装置101の製造時に調整した後には、制御線25は不要となる。そこで、図3に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、制御線25と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは制御線25と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの信号線を太くすることができる。
また、上述と同様に、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができるとともに、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、前光モニタ9の出力ゲインを再調整する必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
次に、受光素子13およびその配線を説明する。
受光素子13は、光ディスク媒体で反射して戻ってきたレーザ光を受光して光電変換により電気信号を生成して出力する。受光素子13は、複数の領域に分割された受光領域を備えており、複数の領域のそれぞれは受光した光の量に応じた電気信号を生成する。複数の領域が生成した信号を組み合わせた複数種類の受光信号が受光素子13から出力される。出力された受光信号は、データの再生、フォーカシング制御およびトラッキング制御等に用いられる。
受光信号を伝送する信号線3、4、26、27のうち、信号線26および27は、光ピックアップ装置101の製造時には使用されるが製品時には使用されない。例えば、受光素子13の位置調整を高精度に行うために、受光素子13よりも相対的に小さな調整用受光素子(図示せず)を受光素子13に設け、受光素子13へ入射するレーザ光の一部を調整用受光素子で受光し、その受光に対応した位置調整用の受光信号が信号線3および4を介して出力される。製造時に用いられる移送部FPC1aには、信号線26および27と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられているので、調整用回路12aで位置調整用の受光信号を受けて受光素子13の位置調整等を行うことができる。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
製造時に受光素子13の位置調整をした後には、接着等の手段で受光素子13の位置を固定するため、信号線26および27は不要となる。このため、図3に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、信号線26および27と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは信号線26および27と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの信号線を太くすることができる。
また、上述と同様に、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができるとともに、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、受光素子13の位置を再調整する必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
(実施形態2)
次に、図4および図5を参照して、本発明による光ピックアップ装置の第2の実施形態を説明する。
図4は、製造時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。図5は、製品時の光ピックアップ装置101を模式的に示す図である。
図4を参照して、本実施形態の半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5の駆動命令としてデジタル信号を受け取った時にはデジタル信号に基づいて半導体レーザ素子5を駆動し、アナログ信号を受け取った時には半導体レーザ素子5に基づいて光源を駆動する。主FPC11は、半導体レーザ素子駆動IC6にアナログ信号を入力するための信号線29を備える。
図4および図5を参照して、半導体レーザ素子駆動IC6は、調整用回路12aまたは制御部12bからの信号で動作するが、記録動作時の複雑なストラテジに対応して半導体レーザ素子5を発光させるために、デジタルのシリアルデータを受けて動作する。そのため、調整用回路12aおよび制御部12bは、そのようなデータ転送に対応した複雑なデジタル回路を備える必要がある。
しかしながら、光ピックアップ装置101の製造工程の中では、複雑なストラテジで半導体レーザ素子5を発光させることが不要な工程もある。例えば、半導体レーザ素子5の発光テストや一部の光学部品の光軸合わせ等では、適当なパワーでCW(Continious Wave)発光させるだけでも構わない。
本実施形態の半導体レーザ素子駆動IC6は、半導体レーザ素子5の駆動命令として、デジタルシリアルデータ以外にアナログ信号を入力し、アナログ信号に比例した駆動電流を出力する。
主FPC11は信号線28を備える。信号線28は、半導体レーザ素子駆動IC6をデジタル信号入力による動作からアナログ信号入力による動作に切り替えるために調整用回路12aから出力される切り替え信号を半導体レーザ素子駆動IC6へ伝送する。信号線29は、調整用回路12aから出力されるアナログ信号を半導体レーザ素子駆動IC6へ伝送し、半導体レーザ素子駆動IC6は、入力されたアナログ信号に比例した駆動電流を出力する。製造時に用いられる移送部FPC1aには、信号線28および29と調整用回路12aとを電気的に接続する配線パターンが備えられている。調整用回路12aは、信号線28に切り替え信号を出力する回路と、信号線29にアナログ信号を出力する回路を備えており、複雑なデジタルデータの伝送を行うことなく半導体レーザ素子5を発光させることができる。
このように、製造時には、移送部FPC1aをコネクタ部14に接続し、光ピックアップ装置101の調整が行われる。この調整の後、移送部FPC1aをコネクタ部14から外し、製品時に用いられる移送部FPC1bをコネクタ部14に接続する。
製品時では、複雑なストラテジで発光させるので低速のアナログ入力のみで発光させることはなく、信号線28および29を用いて半導体レーザ素子5を発光させることは必要ない。このため、図5に示すように、製品時に用いられる移送部FPC1bには、信号線28および29と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンは設けられていない(すなわち移送部FPC1bは信号線28および29と制御部12bとを電気的に接続しない)。その設けられていない分の移送部FPC1b上のスペースを製品時に必要な他の配線に割り当てることができるため、製品時に必要な他の配線を太くすることができ、信号の劣化を防止するとともに配線の許容電流値を高くし、記録再生動作の安定性を向上させることができる。図3(b)を参照して説明したように、上述の理由により、移送部FPC1bのうちのコネクタ部14に隣接する領域(コネクタ部14への接続領域)での配線1cのピッチ1eよりも、FPCの中央部1dでの配線1cのピッチ1fの方を広くすることができる。例えば、移送部FPC1bには、製品時に用いられる信号線2〜4と制御部12bとを電気的に接続する配線パターンが設けられており、これらの配線1cを太くすることができるので、上述の効果が得られる。また、互いに隣接する配線1c間の距離を長くすることもでき、配線間でのクロストークを抑制することができる。上述したように、FPCが備える配線には個々に様々な太さや配線間距離が要求されるが、本発明によりそれら個々の配線の設計の自由度を高くすることができる。
また、コネクタ部14によって主FPC11にFPC1aまたは1bが接続されるので、FPC1aおよび1bの脱着が容易である。このため、製造時の調整後に移送部FPC1aの配線パターンを切断する必要が無い。移送部FPC1aの再利用が可能なので、廃棄されるFPCを大幅に減らすことができ、資源の無駄および材料費の上昇を抑制することができる。また、FPC1aおよび1bの脱着が容易であるので、FPC1aの主FPC11への再接続が容易であり、光ピックアップ装置101の修理時の再調整や不良品解析等を容易に行うことができる。例えば、簡易なアナログ回路で半導体レーザ素子5を発光させる必要が生じた場合にも、移送部FPC1aを主FPC11へ再接続することで容易に行うことができる。
なお、上述の実施形態の説明で示した配線パターンおよび本数は一例であり、本発明はそれに限定されない。
また、上述の実施形態の説明では、半導体レーザ素子、前光モニタ、受光素子の数が1つずつであるが、いずれも2つ以上であってもよい。本発明によれば、光ピックアップ装置の構成要素の配置スペースに余裕ができるので、それらの構成要素を複数個実装させることが容易となる。
また、光ピックアップ装置の組立ての容易さやFPCの材料の都合等により、主FPCが複数のFPCを接続した構成であってもよい。
また、情報記録媒体として光ディスク媒体を例示して説明したが、光カード媒体、光磁気記録媒体等であってもよい。
以上、説明したように、本発明の光ピックアップ装置および光ディスク装置は、情報記録媒体へのデータの光学的な記録および/または再生を行うための技術分野において特に有用である。
(a)および(b)は、本発明の実施形態1による光ディスク装置を示す図である。
本発明の実施形態1による光ピックアップ装置を示す図である。
(a)および(b)は、本発明の実施形態1による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態2による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態2による光ピックアップ装置を示す図である。
符号の説明
1b 製品時に使用する移送部FPC
2 製品時に使用する信号線
3 製品時に使用する受光素子の信号線
4 製品時に使用する受光素子の信号線
5 半導体レーザ素子
6 半導体レーザ素子駆動IC
7 高周波重畳振幅可変用デジタルポテンショメーター
8 高周波重畳周波数可変用デジタルポテンショメーター
9 前光モニタ
10 前光モニタ出力ゲイン調整用デジタルポテンショメーター
11 主FPC
12b 製品時に使用する制御部
13 受光素子
21 半導体レーザ素子のアノードに接続される信号線
22 半導体レーザ素子のカソードに接続される信号線
23 デジタルポテンショメーター7の制御線
24 デジタルポテンショメーター8の制御線
25 デジタルポテンショメーター10の制御線
26 製造時に使用する受光素子の信号線
27 製造時に使用する受光素子の信号線