JPWO2007061011A1 - 化成処理金属板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

化成処理金属板であって、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)を少なくとも1つ含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を金属板の表面に有する化成処理金属板である。クロメート皮膜と同程度の耐食性(特に加工部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない表面化成処理層を有する金属板の提供できる。

Description

本発明は化成処理金属板およびその製造方法に関する。
亜鉛系めっき鋼板はもちろんのこと、ほとんどすべての金属材料は、大気環境中に放置されると、大気から物理吸着した水分の存在のもと、SO、NO、飛来海塩粒子等の腐食促進付着物質の作用により、その表面に腐食を生じる。
この腐食を防止するために、従来から亜鉛系めっき鋼板等の金属材料の防食法として、クロム酸クロメート等のクロムを含有する処理液に金属材料表面を接触させてクロメート皮膜を析出させる、または塗布して乾燥する等して金属材料表面にクロメート皮膜を形成させる方法がある。
金属材料の表面を処理液と接触させてクロメート皮膜を析出させる代表的なものとしては、クロム酸クロメート化成処理とりん酸クロメート化成処理とがある。
前者のクロム酸クロメート化成処理は1950年頃に実用化され、現在も亜鉛系めっき鋼板等に幅広く使用されている。このクロム酸クロメート化成処理に用いられる処理液はクロム酸(CrO)とフッ化水素酸(HF)を主成分として含み、さらに促進剤が添加されているもので、六価クロムを含有する析出皮膜を形成し得る。
また、後者のりん酸クロメート化成処理は1945年に提案された特許文献1に記載の方法によるものであり、この化成処理液はクロム酸(CrO)、りん酸(HPO)、およびフッ化水素酸(HF)を含み、形成される析出皮膜は水和したりん酸クロム(CrPO・4HO)を主成分として含むものである。
このように多くの場合、これらのクロメートタイプ表面処理液は有害な六価クロムを含有している。
このような六価クロムを含む処理液を用いる表面処理方法は、環境面、安全面から問題のある六価クロムはもちろんのこと、三価クロムでさえその使用を規制されていく時代の流れにあって、クロムを全く含有しない方法であるノンクロメートタイプの表面処理法への転換が望まれている。
ノンクロメートタイプの表面処理法には析出型および塗布型があるが、析出型は、アルミニウム含有金属材料の表面処理法として既に実績がある。
アルミニウム含有金属材料に対し、比較的早期からノンクロメートタイプの処理液が適用されてきた理由は、アルミニウム缶等食品と接する材質としてこの金属材料が多く使われてきたことによる。
アルミニウム含有金属材料に対するノンクロメートタイプの化成析出型表面処理液の代表的なものとしては、特許文献2に記載の処理液が挙げられる。
この処理液はジルコニウムまたはチタン、あるいはこれらの混合物、ホスフェートおよびフッ化物を含有し、かつ、pHが約1.0〜4.0の酸性の水系表面処理液である。この化成処理液を用いて処理を行うと、アルミニウム含有金属材料表面上に、ジルコニウムあるいはチタンのりん化合物を主成分とする析出皮膜が形成される。
このようなアルミニウム含有金属材料用の化成析出型表面処理液に比べ、亜鉛系めっき鋼板用のノンクロメートタイプの化成析出型表面処理液に対する既存技術や実績はほとんどない。
また、亜鉛系めっき鋼板のシートコイルメーカーでは現在、析出型の表面処理よりも塗布型表面処理が主流となりつつある。しかし、シートコイルメーカーのラインによっては、塗布型表面処理の導入が、設備コストや立地上の都合により不可能な場合もあり、析出型の設備によって既存のクロメート処理をノンクロメートタイプの処理に置き換えたいという要望は強い。
また、析出型表面処理は、亜鉛系めっき鋼板等の金属板の両面を同時に処理できる点、その後の洗浄工程で可溶成分を除去できるため耐食性等の向上効果が期待できる点、その洗浄により次工程の処理液中への前処理液の持ち込みが極めて少ない点等魅力的なメリットを多く有している。
また、特許文献3には、アルミニウム、鉄またはマグネシウムの合金類を被覆するための水性組成物であって、チタン、ジルコニウム等、マグネシウムおよびカルシウム、溶解されたフッ素イオンを含み、pHが2.0〜5.0であり、エッチングをほとんどまたは全く生じないように皮膜を形成する水性組成物が記載されている。しかし、この水性組成物を亜鉛めっき鋼板に適用することは記載されていない。
米国特許第2,438,877号明細書 特開昭52−131937号公報 特表平9−503823号公報
本発明は、従来技術の抱える上記の問題を解決するためのものであり、具体的には、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特に加工部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない化成処理金属板を提供することを目的とする。
また、従来、析出型表面処理により形成されたクロメート皮膜上に、上層としてさらに1〜3層程度の樹脂系皮膜層を形成して、耐食性、耐指紋性等の高機能性を有する多層コート皮膜を有する金属板を形成してきた。
本発明は、このような樹脂系塗装の下地用に用いられる、クロメート皮膜層の代替物として用いることができるノンクロメートタイプの化成処理金属板を提供することにある。
また、この化成処理金属板の上面に樹脂層を有する上層被覆金属板を提供することにある。
また、本発明は、このような化成処理金属板および上層被覆金属板を製造できる製造方法、さらにこれらの製造方法において用いることができる表面化成処理液を提供することにある。
上記の課題は以下の本発明により解決することができる。
本発明は以下の(1)〜(20)である。
(1)化成処理金属板であって、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)を少なくとも1つ含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を金属板の表面に有し、前記表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量が、金属板単位面積当り5〜50mg/mである化成処理金属板。
(2)前記金属板が亜鉛系めっき鋼板である上記(1)に記載の化成処理金属板。
(3)上記(1)または(2)のいずれかに記載の化成処理金属板と、この化成処理金属板の前記表面化成処理層の上側の樹脂層とを有する上層被覆金属板。
(4)前記樹脂層が耐指紋性を有する樹脂層である上記(3)に記載の上層被覆金属板。
(5)前記樹脂層が、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含む、上記(3)または(4)に記載の上層被覆金属板。
(6)前記樹脂層が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の上層被覆金属板。
(7)前記樹脂層の厚さが0.1〜5μmである、上記(3)〜(6)のいずれかに記載の上層被覆金属板。
(8)金属板表面処理用の表面化成処理液であって、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)の少なくとも1つと、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つである酸成分(b)と、Fe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(c)の少なくとも1つとを含有し、遊離フッ素イオン濃度が1〜30mg/Lであり、前記化合物(c)中のFe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeの元素の合計質量濃度Cと、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計質量濃度Aとの比であるC/Aが1〜200であり、pHが2.0以上であり、さらに、pH≦−0.02×(C/A)+6を満たす、前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液。
(9)前記化合物(a)および前記化合物(c)が、有機錯化合物、フッ化物錯体、硫酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記(8)に記載の表面化成処理液。
(10)前記化合物(a)の含有量が、この化合物(a)中の前記元素の量で0.01〜10g/lであり、前記酸性分(b)の含有量が、0.05〜200g/lである、上記(8)または(9)に記載の表面化成処理液。
(11)さらに、Si含有添加剤(d)を含有し、この含有量が、このSi含有添加剤(d)中のSi元素の量で0.02〜20g/lである、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の表面化成処理液。
(12)さらに、アミノ基を有する有機化合物(e)を0.01〜20g/l含有する、上記(8)〜(11)のいずれかに記載の表面化成処理液。
(13)前記有機化合物(e)が、ビニルアミン、ポリビニルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリアミンポリアミド、アミン変性フェノール樹脂、アミン変性ポリビニルフェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記(12)に記載の表面化成処理液。
(14)上記(8)〜(13)のいずれかに記載の表面化成処理液を用いて、非塗布型の表面化成処理層を金属板の表面に形成する化成処理金属板の製造方法。
(15)上記(8)〜(13)のいずれかに記載の表面化成処理液を金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させ、その後、水洗する、上記(14)に記載の化成処理金属板の製造方法。
(16)陰極とした前記金属板の表面に上記(8)〜(13)のいずれかに記載の表面化成処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させ、その後、水洗する、上記(15)に記載の化成処理金属板の製造方法。
(17)温度を30〜70℃とした前記表面化成処理液を、前記金属板の表面に0.5〜20秒間接触させ、前記金属板の表面に、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量で5〜50mg/mの表面化成処理層を形成する、上記(14)〜(16)のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法。
(18)上記(14)〜(17)のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に前記樹脂層を形成する工程を具備する、上層被覆金属板の製造方法。
(19)上記(14)〜(17)のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法により製造される化成処理金属板。
(20)上記(18)に記載の上層被覆金属板の製造方法により製造される上層被覆金属板。
本発明によれば、クロメート皮膜と同程度の耐食性(特に加工部および疵部の耐食性)および塗膜密着性を有し、かつ、クロムを含まない化成処理金属板を提供することができる。
また、さらにこの化成処理金属板の上面に樹脂層を有する、耐食性に優れた上層被覆金属板を提供することができる。
また、このような化成処理金属板および上層被覆金属板を製造できる製造方法、さらにこの製造方法において用いることができる表面化成処理液を提供することができる。
また、この表面化成処理液は、亜鉛系めっき鋼板に適用した場合に、短時間で高付着量の皮膜を形成することができる。この表面化成処理液を用いる本発明の化成処理金属板および上層被覆金属板を製造できる製造方法によって、短時間で高付着量の皮膜を形成することができる。
引用文献3には亜鉛めっき鋼板に用いることは記載されていない。本発明者が引用文献3に記載の水性組成物を亜鉛めっき鋼板に適用したところ、短時間で高付着量の皮膜を形成することができないことがわかった。これに対して本発明は短時間で高付着量の皮膜を形成することができる。
以下に本発明について説明する。
本発明は、化成処理金属板であって、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)を少なくとも1つ含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を金属板の表面に有し、前記表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量が、金属板単位面積当り5〜50mg/mである化成処理金属板である。
このような化成処理金属板を、以下では「本発明の化成処理金属板」ともいう。
また、本発明は、本発明の化成処理金属板と、この表面化成処理層の上側の樹脂層とを有する上層被覆金属板である。
このような上層被覆金属板を、以下では「本発明の上層被覆金属板」ともいう。
また、本発明は、金属板表面処理用の表面化成処理液であって、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)の少なくとも1つと、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つである酸成分(b)と、Fe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(c)の少なくとも1つとを含有し、遊離フッ素イオンが1〜30mg/Lであり、前記化合物(c)中のFe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeの元素の合計質量濃度Cと、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計質量濃度Aとの比であるC/Aが1〜200であり、pHが2.0以上であり、さらに、pH≦−0.02×(C/A)+6を満たす、前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液である。
このような表面化成処理液を、以下では「本発明の処理液」ともいう。
また、本発明は、本発明の処理液を用いて、非塗布型の表面化成処理層を金属板の表面に形成する化成処理金属板の製造方法である。
このような化成処理金属板の製造方法を、以下では「本発明の化成処理金属板の製造方法」ともいう。
さらに、本発明は、本発明の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に前記樹脂層を形成する工程を具備する、上層被覆金属板の製造方法である。
このような上層被覆金属板の製造方法を、以下では「本発明の上層被覆金属板の製造方法」ともいう。
本発明の化成処理金属板は、本発明の処理液を用いた本発明の化成処理金属板の製造方法によって製造することができる。
また、本発明の上層被覆金属板は、本発明の処理液を用いた本発明の上層被覆金属板の製造方法によって製造することができる。
初めに、本発明の化成処理金属板について説明する。
本発明の化成処理金属板は、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)を少なくとも1つ含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を金属板の表面に有する。
ここで、化合物(a)は、Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む、例えば、酸化物、水酸化物、錯化合物、無機酸、または有機酸の塩等である。後述する化合物(c)も、同様にこのような化合物である。これらの中でも、有機錯化合物、フッ化物錯体、硫酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。後述する化合物(c)も、同様である。これら酸およびその塩類のアニオン成分は、化成処理後の洗浄工程で容易に除去でき、また仮に僅かに残留しても耐食性に対し悪影響を与えにくいためである。
この化合物(a)としては、例えば、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコンフッ化水素酸、硫酸チタニル、乳酸とチタニウムアルコキシドとの反応物、チタンラウレート、チタンフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、テトラエトキシシラン等の各種ケイ素アルコキシド、乳酸ハフニウム、硝酸ハフニウム、フッ化ハフニウム、ハフニウムフッ化水素酸が挙げられる。
本発明の化成処理金属板において表面化成処理層はこのような化合物(a)の少なくとも1つを含有する。
また、この表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量が、金属板単位面積当り5〜50mg/mである。この範囲は10〜40mg/mであることが好ましく、20〜30mg/mであることが好ましい。5mg/m以上であると耐食性が十分になり、また50mg/m以下であると伸縮性に十分であり、表面化成処理層の加工部の密着性が十分になる。
また、前記表面化成処理層は、さらにSi含有添加剤(d)を含有することが好ましい。このSi含有添加剤(d)を含有すると、前記表面化成処理層の金属板表面への密着性が向上する。
Si含有添加剤(d)としては、シランカップリング剤、水分散性シリカが好ましく例示できる。
シランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3−(メチルジエトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランが挙げられる。
また、水分散性シリカとしては液相シリカ(コロイダルシリカ)、気相シリカを好ましく例示できる。
液相シリカとしては、例えば、スノーテックスC、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックスUP、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40(何れも日産化学工業社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、気相シリカとしては、例えば、アエロジル50、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルMOX80、アエロジルMOX170(何れも日本アエロジル社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようなSi含有添加剤(d)はこれらシランカップリング剤および水分散性シリカからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
前記表面化成処理層はこのようなSi含有添加剤(d)を含有することが好ましく、この含有率は特に限定されないものの、前述の表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量に対して、0.1〜300質量%であることが好ましく、1〜100質量%であることがさらに好ましく、5〜50質量%であることが最も好ましい。このような範囲であると、めっき素地および樹脂層との両界面に対する密着性が向上し、さらに前記表面化成処理層の高度が向上するという効果を奏する。
また、前記表面化成処理層は、さらにアミノ基(イミノ基、−NRR´の構造を有する官能基、−NRR´R´´の構造を有する官能基(R、RR´、R´´は1価の有機基)を含む。以下同じ。)を有する有機化合物(e)を含有することが好ましい。この有機化合物(e)を含有すると、前記表面化成処理層の構造が密になり、より耐食性が向上するからである。このように耐食性が向上する理由は、これらの官能基がインヒビター作用を有するためと考えられる。
このアミノ基を有する有機化合物(e)は、アミノ基を有する有機高分子や有機樹脂であってもよい。
アミノ基を有する有機化合物(e)は特に限定されない。好ましくは、ビニルアミン、ポリビニルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリアミンポリアミド、アミン変性フェノール樹脂、アミン変性ポリビニルフェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物である。これらの中でも、アリルアミン、ポリアリルアミンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましい。
ここで、誘導体としては、例えば、ビニルアミン、ポリビニルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリアミンポリアミド、アミン変性フェノール樹脂およびアミン変性ポリビニルフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1つを分子内に含む化合物、さらにこの化合物から誘導される化合物、さらにこれらの化合物の塩が挙げられる。具体的には、例えば、ビニルアミン塩、マレイン酸−ジアリルアミン共重合体、ジアリルアミン−二酸化硫黄共重合体が挙げられる。
前記表面化成処理層はこのような有機化合物(e)を含有することが好ましく、この含有率は特に限定されないものの、前述の表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量に対して、0.5〜120質量%であることが好ましく、2〜80質量%であることがさらに好ましく、10〜50質量%であることが最も好ましい。このような範囲であると、前記表面化成処理層の構造がより密になり、より耐食性が向上するという効果を奏する。
また、前記表面化成処理層は、さらに水溶性樹脂および/またはエマルション樹脂を含有することできる。これらを含有するとこの表面化成処理層がより柔軟になり、このような表面化成処理層を有する本発明の化成処理金属板および本発明の上層被覆金属板を成形加工しても、金属板の表面に形成した表面化成処理層はより剥がれ難くなる。
この水溶性樹脂またはエマルション樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレンブタジエン樹脂等、相溶する水溶性のものが挙げられる。
前記表面化成処理層はこのような水溶性樹脂および/またはエマルション樹脂を含有することが好ましく、この含有率は特に限定されないものの、前述の表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量に対して、0.5〜300質量%であることが好ましく、2〜150質量%であることがさらに好ましく、5〜100質量%であることが最も好ましい。このような範囲であると、前記表面化成処理層がより柔軟になり、このような表面化成処理層を有する本発明の化成処理金属板および本発明の上層被覆金属板を成形加工しても、金属板の表面に形成した表面化成処理層はより剥がれ難くなるという効果を奏する。また、このような範囲であると、耐食性が向上するという効果を奏する。
また、前記表面化成処理層は、これを形成した金属板の成分を含有する場合がある。例えばこの表面化成処理層を形成するために用いた表面化成処理液中にNi、Co、Cu、Sn等が含有し、金属板の表面にZnやAlが存在する場合、これら元素が置換され、表面化成処理層中にこれらZnやAl元素が含まれる場合がある。このように金属板表面に存在していた元素であって、表面化成処理層中に存在することになった元素の量の合計量は、金属板単位面積当り0.1〜50mg/mであることが好ましく、0.5〜20mg/mであることがさら好ましく、1〜5mg/mであることが最も好ましい。
また、前記表面化成処理層は、後述する成分(c)の元素を含有する場合がある。
本発明の化成処理金属板は、このような表面化成処理層を金属板の表面に有する。
ここで、金属板は特に限定されない。例えば、亜鉛系めっき鋼板、アルミめっき鋼板、スズめっき鋼板、冷延鋼板、アルミ板が挙げられる。
また、この亜鉛系めっき鋼板とは亜鉛を含有するめっき層を有する鋼板である。例えば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、55%アルミ亜鉛めっき鋼板、5%アルミ亜鉛めっき鋼板、スズ亜鉛めっき鋼板、亜鉛ニッケルめっき鋼板、鉄亜鉛めっき鋼板が挙げられる。
これらの中でも亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板が好ましい。理由は、他の金属板の場合と比較して、表面に形成された表面化成処理層が緻密になり、さらに金属板と表面化成処理層との密着性が向上するからである。
これらの金属板自体の製造方法は特に限定されず、例えば公知の方法で製造することができる。亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板の場合であれば、例えば、公知の鋼板を公知の電気亜鉛めっき法、溶融亜鉛めっき法により処理して製造することができる。
また、この金属板は大きさや厚さも限定されない。
例えば電気亜鉛めっき法により処理された亜鉛系めっき鋼板であれば、例えば、厚さが0.4〜2.3mm、幅が500〜2080mmのコイル状のものが挙げられる。
電気亜鉛めっき層の厚さも限定されない。通常、片面で1〜50g/m程度である。
また、例えば溶融亜鉛めっき法により処理された亜鉛系めっき鋼板であれば、例えば、厚さが0.23〜3.2mm、幅が500〜1850mmのコイル状のものが挙げられる。
溶融亜鉛めっき層の厚さも限定されない。通常、片面で20〜150g/m程度である。
後述する本発明の化成処理金属板の製造方法または本発明の上層被覆金属板の製造方法によれば、このようなコイル状の金属板を連続的に処理することができる。
本発明の化成処理金属板は、このような金属板の表面に前記化合物(a)を少なくとも1つ含む表面化成処理層を有し、この表面化成処理層は自己析出または電解析出する。
ここで自己析出とは、前記化合物(a)を含有する処理液、例えば後述する本発明の表面化成処理液を前記金属板に接触させただけで、この表面化成処理層が形成されることをいう。
また、ここで電解析出とは、前記化合物(a)を含有する処理液、例えば後述する本発明の表面化成処理液を、陰極とした前記金属板に接触させることで、この表面化成処理層が形成されることをいう。
次に、本発明の上層被覆金属板について説明する。
本発明の上層被覆金属板は、本発明の化成処理金属板と、この表面化成処理層の上側の樹脂層とを有するものである。
本発明の上層被覆金属板は、本発明の化成処理金属板と、この表面化成処理層の上面の樹脂層とを有するものであることが好ましい。
この樹脂層は複数の樹脂層からなっていてもよい。
また、この樹脂層は耐指紋性を有する樹脂層であることが好ましい。
また、この樹脂層が、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含むことが好ましい。
また、この樹脂層はラミネート鋼板用の被覆層であることが好ましい。
この樹脂層の材質は特に限定されず、例えば、現在クロメート前処理皮膜の上面に施されている耐食性付与、耐指紋性付与または潤滑性付与を目的としたコーティング剤を用いて形成することができるものである。
この樹脂層が耐指紋性を有する樹脂層である場合、樹脂層の材質は、樹脂層に耐指紋性を付与するものであれば特に限定されない。
例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。樹脂層の耐指紋性が向上するからである。
また、この樹脂層が耐指紋性を有する樹脂層は、さらにシリカゾルを含有することが好ましい。この場合、耐指紋性と耐食性がバランス良く発揮されるからである。
さらに、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを20〜97質量%、シリカゾルを2〜50質量%、水系ワックスを1〜30質量%含有することが好ましい。この場合には、特に耐指紋性と耐食性がバランス良く発揮されるからである。
このような耐指紋性を有する樹脂層の厚さは、乾燥ベースの厚さで0.1〜5μmであることが好ましく、0.4〜5μmであることがより好ましく、0.4〜3μmであることがさらに好ましい。この樹脂層は複数層を含むものであってもよい。
また、本発明の上層被覆金属板の、本発明の化成処理金属板と、この表面化成処理層の上の耐指紋性を有する樹脂層との間に、さらに、無機物および/または有機物からなる層を有することが好ましい。この層は0.01〜0.2μmの厚さであることが好ましい。この層はクロムを含まない金属カチオンを含むことが好ましい。ここで用いることができる有機物としては、例えば、前記有機化合物(e)、前記水溶性樹脂または前記エマルション樹脂等を用いることができる。
また、この樹脂層は、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含むことが好ましい。
ここでノンクロメートプライマー塗料としては、クロメート系の防錆顔料を含有しないノンクロメートプライマー塗料が使用できる。
ノンクロメートプライマーは、樹脂を含有し、必要に応じ着色顔料や防錆顔料等を含有してもよい。樹脂としては水系、溶剤系、紛体系等のいずれの形態のものでもよい。樹脂の種類としては一般に公知のもので例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂等をそのままあるいは組み合わせて使用することができる。
また、この着色顔料としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe、Fe)等の無機顔料や、ハンザエロー、ピラゾロンオレンジ、アゾ系顔料等の有機顔料など公知の着色顔料を用いることができる。防錆顔料としては一般に公知のもの、例えばリン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウムなどのリン酸系防錆顔料、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウムなどのモリブデン酸系防衛顔料、酸化バナジウムなどのバナジウム系防錆顔料、水分散性シリカ、フュームドシリカなどの微粒シリカなども用いることができる。しかし、ストロンチウムクロメート、ジンクロメート、カルシウムクロメート、カリウムクロメート、バリウムクロメートなどのクロメート系防錆顔料は環境上有毒であるため使用しないことが望ましい。また、消泡剤、分散補助剤、塗料粘度を下げるための希釈剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
このようなノンクロメートプライマー塗料からなる層の厚さは、乾燥後で1〜30μmであることが好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましい。1μm以上であると耐食性が高く、また30μm以下であると加工時の密着性が高い。
また、ここでトップコート塗料としては、特に限定されず通常の塗装用トップコートを使用することができる。
例えば樹脂を含有し、必要に応じさらに着色顔料や防錆顔料等を含有することができる。樹脂、着色顔料および防錆顔料、ならびに添加物としてはノンクロメートプライマーで使用したものと同様のものを用いることができる。
このようなトップコート塗料からなる層の厚さは、乾燥後で3〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがさらに好ましい。このような範囲であると、耐食性が高いという効果を奏するので好ましい。この厚さが厚すぎると密着性が低下する傾向がある。
このようなノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含む樹脂層を有する本発明の上層被覆金属板は、優れた耐食性、塗膜密着性を有するノンクロメートの高機能コート金属板、ノンクロメートのプレコート金属板である。この2つの層を有する樹脂層は、通常、さらに、耐アルカリ性、潤滑性、耐滑り性(コインスクラッチ性)をも具備する。
次に、本発明の化成処理金属板の製造方法について説明する。
本発明の化成処理金属板の製造方法は、本発明の処理液を用いる。
本発明の処理液は、前記化合物(a)の少なくとも1つを含有する。
ここで溶媒は水、有機溶媒を用いることができ、これらを混合したものも用いることができる。有機溶媒としてはエタノールやアセトンを例示できる。溶媒は水であることが好ましい。
この化合物(a)について、好ましい態様等は前述と同様である。
ここで、本発明の処理液における前記化合物(a)の含有量は、特に限定されないが、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSi元素の合計量の処理液中での濃度(合計質量濃度A)で、0.01〜10g/lであることが好ましく、0.05〜5g/lであることがより好ましく、0.1〜1g/lであることがさらに好ましい。0.01g/l以上であると、表面化成処理層の形成速度がより迅速になるので、工業的に利用する上で好ましい。また、10g/l以下であると、本発明の処理液中において前記化合物(a)の溶解安定性をより容易に保つことができるので好ましい。
また、本発明の処理液は、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つである酸成分(b)を含有する。
ここで酸成分(b)としては、本発明の処理液を前記金属板の表面に塗布等した際に、この金属板の表面をエッチングすることができるフッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであれば特に限定されない。
例えば、フッ化水素酸(HF)、ジルコンフッ化水素酸(HZrF)、チタンフッ化水素酸(HTiF)またはハフニウムフッ化水素酸(HHfF)等のフッ化物錯体による酸、さらには硝酸、硫酸またはそれらの塩等が挙げられる。
本発明の処理液では、このような酸成分(b)として用いることができる。つまり、複数の無機酸を混合して用いてもよいし、1以上の無機酸と1以上の有機酸とを混合して用いてもよい。
酸性分(b)は、フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであるので、適度なエッチング性を有し、さらに化成処理後の洗浄工程で容易に除去でき、また仮に僅かに残留しても耐食性に対し悪影響を与え難い。
また、本発明の処理液における前記酸成分(b)の含有量は特に限定されないが、0.05〜200g/lであることが好ましく、0.2〜100g/lであることがより好ましい。0.05g/l以上であると、本発明の処理液を塗布等する前記金属板の表面に対する十分なエッチング能を期待できる。200g/l以下であると、エッチング能力が適度となり均一な表面化成処理層を析出させることができる。
また、本発明の処理液は、Fe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(c)の少なくとも1つを含有する。なかでもMg、Al、CuおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物であることが好ましい。遊離フッ素イオンと錯体を形成しやすいからである。
ここで化合物(c)としては、例えば、過マンガン酸、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリム、硝酸マンガン、硫酸マンガン、フッ化マンガン、炭酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸セリウム(III)、酢酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(III)、硝酸セリウム(IV)、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、フッ化ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、フッ化コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、塩化銀、硫酸銀、硝酸銀、フッ化銀、酸化銀、水酸化銀、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、フッ化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が挙げられる。
また、本発明の処理液は、遊離フッ素イオン濃度が1〜30mg/Lであり、前記化合物(c)中のFe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeの元素の合計量の処理液中での濃度である合計質量濃度Cと、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計質量濃度Aとの比であるC/Aが1〜200であり、pHが2.0以上であり、さらに、pH≦−0.02×(C/A)+6を満たす。このような条件の全てを満たす場合に、本発明の効果が顕著となることを、本発明者は見出した。
ここで、遊離フッ素イオン濃度は、前記化合物(c)中の前記元素の添加量(つまり、合計質量濃度C)を調整することで1〜30mg/Lに調整することができる。
また、この本発明の処理液のpHは、前記酸成分(b)の含有量およびアルカリ性物質の添加によって調整することができる。このアルカリ性物質は限定されず、本発明の処理液の性能を大きく劣化させずにpHを調整することができるものであればよい。このようなアルカリ性物質として、アンモニア、炭酸ナトリウム、有機アミン類(ジエタノールアミン、トリエチルアミン等)、無機水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を好ましく例示することができる。
本発明の処理液は、さらに前記Si含有添加剤(d)を含有することが好ましい。このSi含有添加剤(d)を含有すると、本発明の処理液によって形成された表面化成処理層の金属板表面への密着性が向上する。
このSi含有添加剤(d)について、好ましい態様等は前述と同様である。
ここで、本発明の処理液における、このSi含有添加剤(d)の含有量は、このSi含有添加剤中のSi元素の量で0.02〜20g/lであることが好ましく、0.1〜5g/lであることがさらに好ましい。このような含有量でSi含有添加剤(d)を含有すると、本発明の処理液によって形成された表面化成処理層の金属板表面への密着性がより向上する。
本発明の処理液は、さらに前記有機化合物(e)を含有することが好ましい。この有機化合物(e)を含有すると、本発明の処理液によって形成された表面化成処理層の構造がより密になり、さらに耐食性が向上する。
この有機化合物(e)について、好ましい態様等は前述と同様である。
ここで、この有機化合物(e)の含有量は0.01〜20g/lであることが好ましく、0.05〜10g/lであることがさらに好ましく、0.1〜1.0g/lであることが最も好ましい。
このような含有量であると、本発明の処理液から形成された表面化成処理層の構造がより密になり、さらに耐食性が向上する。
本発明の処理液は、使用条件によってはスラッジが生じる場合がある。例えば、本発明の処理液を塗布等する金属板として亜鉛系めっき鋼板を用いた場合であって、本発明の処理液のpHが4.5超程度の場合に、亜鉛系めっきから本発明の処理液へ溶出して生じたZnイオンが、本発明の処理液中で水酸化物等の塩を形成してスラッジを生じる場合がある。
このような場合は、溶出したイオン、例えば上記のような場合に溶出したZnイオンに対しキレート能を有する封鎖剤を本発明の処理液に添加することが好ましい。ここでこの添加量は、本発明の処理液において0.01〜50g/lとなるように添加することが好ましい。
この封鎖剤としては、例えば、フッ化水素酸、グルコン酸、ペプトグルコン酸、シュウ酸、酒石酸、有機ホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ酢酸(NTA)が挙げられる。この封鎖剤は、複数組み合わせて使うこともできる。なお、ここに例示した封鎖剤はZr、Ti、HfおよびSiに対しキレート能を発揮するが、Znイオンに対し、特に好ましくキレート能を発揮する。
本発明の処理液は、さらに酸化剤を含有することが好ましい。また、本発明の処理液を塗布等する金属板がめっき皮膜を有する金属板の場合、そのめっき素材よりも貴な金属イオン(以下、促進剤ともいう)を含有することができる。この酸化剤、促進剤を含むことによって、前記表面化成処理層を形成する反応を促進することができる。
この酸化剤としては、HClO、HBrO、HNO、HMnO、HVO、H、HWO、HMoOおよびこれらの塩類が挙げられる。これら酸化剤は、金属板表面のエッチングを促進し、前記表面化成処理層の形成反応を促進する(表面化成処理層の析出効率を高める)と考えられる。
また、金属板として亜鉛系めっき鋼板を用いる場合であれば、促進剤としては、例えばNi、Co、Cu、およびSn等を含む化合物等が挙げられる。これらは、めっき素材を形成する金属と置換してめっき表面に析出し、無数のミクロなガルバニ電池を形成する作用によりエッチングを促進し、前記表面化成処理層の形成反応を促進する(表面化成処理層の析出効率を高める)と考えられる。
これらの酸化剤および促進剤は、製造ライン設備の都合上、金属板と本発明の処理液との接触時間を長く設けることができない場合等に有効である。
本発明の処理液は、さらに前記水溶性樹脂および/またはエマルション樹脂を含有することができる。これらを含有すると、本発明の処理液を用いて形成される表面化成処理層が、より柔軟になる。そして本発明の処理液を用いて製造した本発明の化成処理金属板および本発明の上層被覆金属板を成形加工しても、金属板の表面に形成した表面化成処理層はより剥がれ難くなる。
この水溶性樹脂および/またはエマルション樹脂の好ましい態様等は前述と同様である。
ここで、この水溶性樹脂および/またはエマルション樹脂の含有量は0.1〜200g/lであることが好ましく、0.5〜100g/lであることがさらに好ましく、1〜50g/lであることが最も好ましい。このような範囲であると、本発明の処理液を用いて形成される表面化成処理層が、より柔軟になるので好ましい。
本発明の処理液は、さらにノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの界面活性剤を含有することが好ましい。これによって、本発明の処理液を塗布等する金属板の表面を予め脱脂処理によって清浄化しておかなくても、良好な皮膜(表面化成処理層)を形成することができる。すなわち、界面活性剤を含有する場合の本発明の処理液は、脱脂化成兼用の表面処理液として用いることができる。
ここで、この界面活性剤の含有量は0.05〜50g/lであることが好ましく、0.5〜30g/lであることがさらに好ましく、1〜20g/lであることが最も好ましい。このような範囲であると、十分な脱脂性を発揮するからという効果を奏するので好ましい。このような範囲よりも大きすぎると、脱脂の際の発泡が激しくなる傾向があり、また、この界面活性剤の使用量に対する洗浄性が高くなり難い傾向がある。この場合、コスト的に不利になる傾向がある。
本発明の処理液は、長期ランニング性を考慮し、金属板から混入すると考えられる、例えばZn、Al等の金属イオンを予め処理液に対し適宜添加することができる。これにより、建浴初期から一定のエッチング性を有することとなる傾向があり、一定品質の表面化成処理層の形成が容易になるという効果を奏する。
ここで、この金属イオンの含有量は操業条件によってラインごとに決定するものではあるものの、通常、0.1〜50g/lであることが好ましく、0.5〜25g/lであることがさらに好ましく、1〜15g/lであることが最も好ましい。このような範囲であると、建浴初期から一定のエッチング性を有することとなる傾向があり、一定品質の表面化成処理層の形成が容易になるという効果を奏する。
このような本発明の処理液は、後述するように、金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液である。
本発明の化成処理金属板の製造方法は、このような本発明の処理液を用いて、非塗布型の表面化成処理層を金属板の表面に形成する製造方法である。
ここで「非塗布型の表面化成処理層」とは、前記金属板の表面に接することで自己析出する表面化成処理層、または、陰極とした前記金属板の表面に接することで電解析出する表面化成処理層を意味する。
本発明の化成処理金属板の製造方法において用いる金属板は特に限定されず、前述の通りである。
好ましい態様、大きさ等も前述の通りである。
本発明の化成処理金属板の製造方法では、前記金属板の表面を洗浄した後、非塗布型の表面化成処理層を形成することが好ましい。
この洗浄方法は、前記金属板の表面に付着した油分、汚れを取り除いて洗浄する方法であり、特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、アルカリ脱脂剤や酸性脱脂剤で洗浄する方法、湯洗や溶剤洗浄が挙げられる。
また、このような前記金属板の表面を洗浄する前および/または後に、酸、アルカリ等による表面調整を行ってもよい。理由は、本発明の処理液を塗布等して形成した前記表面化成処理層の前記金属板の表面への密着性が向上するからである。また、この表面化成処理層の時間当たりの形成(析出)効率が向上するからである。
なお、このような金属板の表面の洗浄および/または表面調整を行った後は、洗浄剤等が金属板の表面に残留しないようにさらに水洗することが好ましい。
本発明の化成処理金属板の製造方法では、好ましくはこのような処理をした金属板の表面に、本発明の処理液を用いて非塗布型の表面化成処理層を形成する。
具体的には本発明の処理液を前記金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させ、その後、水洗することで表面化成処理層を形成する。
または、陰極とした前記金属板の表面に本発明の処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させ、その後、水洗することで表面化成処理層を形成する。
この2つの方法について、以下により具体的に説明する。
本発明の処理液を前記金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させる方法は、特に限定されず、例えば公知の方法である浸漬法やスプレー法を適用することができる。
ここで本発明の処理液と前記金属板との接触時間は特に限定されないものの、0.5〜20秒間であることが好ましく、1〜10秒間であることがより好ましく、0.5〜5秒間であることがさらに好ましい。この接触時間が短すぎると本発明の処理液と前記金属板の表面が十分に反応せず、耐食性の優れた表面化成処理層が得られない場合がある。また、この接触時間が長すぎると、得られる表面化成処理層の性能向上は見られないうえ、ラインにおける操業効率の点からも好ましくない。
ここでスプレー法による場合は、0.2〜5秒の間隔をおいて2回以上の間欠スプレーを施すことにより表面化成処理層の形成効率(析出効率)が高まる傾向がある。この場合、本発明の処理液が発泡し問題を生ずる場合には、本発明の処理液に消泡剤を添加することが好ましい。この消泡剤の種類には特に限定はなく、後の塗料密着性を損なうようなものでなければ公知のものを用いることができる。
なお、本発明において、本発明の処理液と前記金属板との接触時間とは、例えば、浸漬法による場合であれば、前記金属板が本発明の処理液に浸漬している時間を意味する。また、スプレー法による場合であれば、本発明の処理液を前記金属板の表面にスプレーで吹付けている時間を意味する。
このような方法により本発明の処理液を前記金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させることができる。
そして、その後に水洗する。
この水洗の方法は特定に限定されないが、例えば公知の浸漬法、およびスプレー法により行うことができる。水洗温度(水洗水の温度)は特に限定されず通常適用される温度でよいが、5〜60℃であることが好ましく、15〜40℃であることがより好ましい。このような温度であると洗浄効率が高いからである。
水洗に使用する水洗水は、ドレン水、工業用水、市水、および脱イオン水を好適に用いることができる。
また、洗浄時間も特に限定されないが例えば浸漬法またはスプレー法の場合は、0.1〜10秒であることが好ましく、1〜5秒であることがより好ましい。水洗時間が短すぎると前記金属板の表面に残存する余剰の可溶性反応型処理液成分の除去が十分に行われず、耐食性に優れた表面化成処理層を得られないことがある。また、水洗時間が長すぎても得られる表面化成処理層の性能向上は見られないうえ、ラインにおける操業効率の点からも好ましくない。
なお、この洗浄時間とは、例えば、浸漬法による場合であれば、前記金属板が水洗水に浸漬している時間を意味する。また、スプレー法による場合であれば、水洗水を前記金属板の表面にスプレーで吹付けている時間を意味する。
このような水洗をした後は、その表面を乾燥させることが好ましい。付着水の除去だけ行う場合は、風乾、もしくはエアーブロー等の物理的除去でも構わない。形成した表面化成処理層を金属板の表面に強固に密着させ、また化学的にも安定な状態にするためには、加熱乾燥処理が効果的である。その場合の加熱条件は、表面化成処理層を形成した金属板の表面の最高到達温度(PMT)が30〜250℃となるように加熱乾燥処理することが好ましい。この温度が40〜150℃とするのがより好ましい。
また、陰極とした前記金属板の表面に本発明の処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させる方法は、特に限定されず、公知の電解法を適用することができる。例えば、前記金属板を陰極とし、0.05〜50A/dmの電流を0.2〜10秒通電することで電解析出させることができる。この電流値は0.5〜20A/dmであることが好ましく、1〜10A/dmであることがより好ましい。この電流値が低すぎると表面化成処理層の形成(析出)速度が遅くなる傾向がある。また、この電流値が高すぎると、電気量に対する表面化成処理層の形成(析出)効率が下がるため不経済になるばかりでなく、表面化成処理層の厚さが均一になり難い傾向がある。また、通電時間の好ましい範囲は0.5〜5秒である。
また、このような電解処理に際し対極は、本発明の処理液に溶解しないものであれば、特に限定されない。例えば、白金もしくは白金被覆金属、各種ステンレス、またはカーボン等が挙げられる。
このような方法により陰極とした前記金属板の表面に本発明の処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させることができる。
そして、この後に水洗する。
この水洗方法は、前述の本発明の処理液を前記金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させる方法において説明した方法を適用することができる。
水洗の後に、乾燥する場合も同様である。
このような2つの方法、つまり、本発明の処理液を前記金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させ、その後、水洗することで表面化成処理層を形成する方法、および、陰極とした前記金属板の表面に本発明の処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させ、その後、水洗することで表面化成処理層を形成する方法において、本発明の処理液の温度は、前記金属板と本発明の処理液とが反応する温度ならば特に限定されないが、5℃〜70℃であることが好ましい。この温度は30〜70℃であることがより好ましく、40〜60℃であることがより好ましく、30〜55℃であることがさらに好ましい。このような温度であると、適切な反応速度を保つことができ、さらにエネルギー効率的が高まり、コストデメリットが生じ難いからである。
このような本発明の化成処理金属板の製造方法により、本発明の化成処理金属板を製造することができるが、本発明の化成処理金属板において、前記表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量が、金属板単位面積当り5〜50mg/mである。上記のような本発明の化成処理金属板の製造方法において、このような範囲には、表面化成処理液の濃度および温度、ライン速度を変化させることが調整する。つまり、表面化成処理液の濃度が高いほど、温度が高いほど、ライン速度が遅いほど、前記表面化成処理層が含有する前記元素の合計量は高まる。
本発明の化成処理金属板の製法方法において、前記金属板の表面に表面化成処理層が析出するメカニズムは次のように考えられる。まず、本発明の処理液中に含まれる酸成分(b)によって、金属板の表面のエッチングが起きる。これによって、金属板の表面と本発明の処理液との界面におけるpHが局所的に上昇し、それまで本発明の処理液中に溶解していた化合物(a)、さらにはめっき鋼板等の金属板から溶出してきた金属イオンが、その界面部においてのみ本発明の処理液中に溶解していられない非平衡状態が生じる。この際にできた不溶性の複合体(化合物等)は、前記金属板の表面に沈殿析出し表面化成処理層を形成すると考えられる。
推測の域を出ないが、こうして得られる析出皮膜(表面化成処理層)の成分は、主に化合物(a)の水酸化物あるいは酸化物であり、そこに一部、亜鉛系めっき鋼板等の金属板から溶出した亜鉛等の水酸化物あるいは酸化物が入り込んだ形態になっていると考えられる。また、化合物(a)の金属アニオンが、酸成分(b)のカチオンと不溶性の塩を生じる組み合わせの場合、析出皮膜(表面化成処理層)はその不溶性の塩と水酸化物とが混在した形態となる場合もあると考えられる。
このような本発明の化成処理金属板の製造方法により、本発明の化成処理金属板を製造することができる。
次に、本発明の上層被覆金属板の製造方法について説明する。
本発明の上層被覆金属板の製造方法は、本発明の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に前記樹脂層を形成する工程を具備する製造方法である。
この樹脂層の材質は前述と同様である。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む水系処理剤を公知の方法、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、エアースプレー法、エアレススプレー法等によって塗布し、その後、乾燥することによって形成することができる。
ここで用いる水系処理剤は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを20〜97質量%、シリカゾルを2〜50質量%、水系ワックスを1〜30質量%含有する水系処理剤であることが好ましい。この場合には、特に耐指紋性と耐食性とがバランス良く発揮されるからである。
また、この樹脂層は、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含むことが好ましい。
ここでノンクロメートプライマー塗料としては、クロメート系の防錆顔料を含有しないノンクロメートプライマー塗料が使用できる。
また、ここでトップコート塗料としては、特に限定されず通常の塗装用トップコートを用いて形成することができる。
これらからノンクロメートプライマー塗料からなる層、およびトップコート塗料からなる層を形成する方法は特に限定されず、一般に使用されるロールコート法、エアースプレー法、エアレススプレー法等を利用することができる。
ノンクロメートプライマー塗料およびトップコート塗料の焼き付け乾燥条件は限定されないが、例えば130〜250℃で、10秒〜5分の処理を行うことでノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層を形成することができる。
このような本発明の上層被覆金属板の製造方法によって、本発明の上層被覆金属板を製造することができる。
また、本発明は、本発明の化成処理金属板の製造方法により製造される化成処理金属板である。
また、本発明は、本発明の上層被覆金属板の製造方法により製造される上層被覆金属板である。
なお、本発明の化成処理金属板および本発明の上層被覆金属板は、前記表面化成処理層を前記金属板の片面に有していても、両面に有していてもよい。用途に応じて片面、両面んを選択することができる。本発明の上層被覆金属板における前記樹脂層についても同様である。
さらに、本発明の化成処理金属板の製造方法および本発明の上層被覆金属板の製造方法では、前記表面化成処理層を前記金属板の片面に形成しても、両面に形成してもよい。用途に応じて片面、両面を選択することができる。本発明の上層被覆金属板の製造方法における前記樹脂層についても同様である。
下記の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものでない。
1.供試材
以下の市販の素材を供試材として使用した。
・溶融亜鉛めっき鋼板(GI)
板厚=0.5mm、目付量=90/90(g/m
・電気亜鉛めっき鋼板(EG)
板厚=0.5mm、目付量=30/30(g/m
・5%アルミニウム含有溶融亜鉛めっき鋼板(GF)
板厚=0.5mm、目付量=90/90(g/m
・溶融55%亜鉛合金めっき鋼板(GL)
板厚=0.8mm、目付量=90/90(g/m
なお、上記目付量は一方および他方の各々の主面上への目付量を示している。例えば90/90(g/m)は、両面の各々に90g/mのめっきを有することを意味する。
2.亜鉛系めっき鋼板の清浄方法
上記4つの供試材の表面(両面)を中アルカリ脱脂剤(ファインクリーナー4336(登録商標)、日本パーカライジング株式会社製)を用いて処理し、表面に付着しているゴミや油を除去した。ここでこの中アルカリ脱脂剤は、20g/l濃度となるように水道水で溶解した後、60℃に調整して用いた。また、処理はスプレーを用い20秒間行った。そして、表面に残存している中アルカリ脱脂剤の成分を水道水により洗浄し、供試材の表面を清浄化した。
3.表面化成処理液の調整
第1表に表面化成処理液の組成を示した。成分(a)、成分(b)、成分(c)の濃度が第1表に記載のものになるように調整した。第1表にはC/Aの算出結果も示した。また、実施例10、比較例5、9には成分(d)として、液相シリカをSi換算で500mg/Lになるように調整した。実施例11、比較例6、11には成分(e)として、ポリアリルアミン(PAA:重量平均分子量6000)を200mg/Lになるように調整した。さらに、アンモニアで所定のpHになるように調整し処理液とした後、フッ素イオンメーターで遊離フッ素イオン濃度(FF)を測定した。
比較例20は、反応型クロメート(日本パーカライジング製ジンクロム3367)を用いて、製品説明書による所定条件にて建浴し処理液とした。
4.化成処理金属板の作製
4.1 化成処理金属板の作製
上記清浄後の供試材を表面化成処理液で処理した。処理条件(液温、処理時間、処理方法)および供試材の種類については第1表に示した。その後、25℃の市水を5秒間スプレーすることによって表面を清浄し、ロール絞りを用いて水切りし、化成処理金属板表面の到達板温50℃で乾燥を行った。成分(a)の付着量は蛍光X線にて測定を行った。付着量の測定結果を第1表に示す。
なお、処理方法は具体的には以下のとおりである。
・浸漬処理
所定の金属表面処理液に亜鉛系めっき材料を浸漬し、所定の時間保持した。
・スプレー処理
所定の金属表面処理液を、スプレー圧0.5kgf/cmで所定時間処理した。
・電解処理
供試材を陰極側とし、所定の金属表面処理液に浸漬すると同時に2.0A/dmの電流を供試材に通電し、所定の時間保持した。
4.2 上層被覆金属板の形成
上記化成処理金属板の一部を切り出し、その上面に(片面:評価面)に、ウレタン樹脂を80質量部、シリカ粉末(日本アエロジル社製アエロジル300)を15質量部、水系ワックスを5質量部含有する水性樹脂組成物をバーコートで塗布した。ここで膜厚は乾燥後で1μmとなるようにした。その後、到達板温度150℃で乾燥し、上層被覆金属板を得た。
このようにして各々の実施例、比較例において、同一の処理液で処理した化成処理金属板と上層被覆金属板とを製造した。
5. 評価方法
5.1 表面化成処理液の安定性評価
目視で表面化成処理液の外観を観察し、沈殿発生の有無を確認した。評価基準は以下のとおりである。
○:沈殿なし、処理可能
×:沈殿発生、処理不適
結果を、液安定性として第1表に示す。
5.2 化成処理金属板の耐食性および塗膜密着性の評価
上記化成処理金属板の耐食性および塗膜密着性を評価した。
(1)平面部耐食性試験
各化成処理金属板に対して、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を24時間実施した。そして、白錆発生面積率を目視で測定し評価を行った。ここで白錆発生面積率とは、観察部位の面積に対する白錆発生部位の面積の百分率である。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率5%未満
○:白錆発生面積率5%以上、10%未満
△:白錆発生面積率10%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上
(2)加工部耐食性試験
各化成処理金属板に対して、エリクセンにて5mmの押し出し加工を行い、JISZ2371に規定された塩水噴霧試験を24時間実施し、加工部における白錆発生面積率を目視で測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率10%未満
○:白錆発生面積率10%以上、30%未満
△:白錆発生面積率30%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上
(3)カット部耐食性試験
各化成処理金属板に対して、NTカッターでクロスカットを入れ、JISZ2371に規定された塩水噴霧試験を24時間実施し、カット部の片側最大錆幅をルーペで測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:3mm未満
○:3mm以上、5mm以下
△:5mm以上、10mm未満
×:10mm以上
(4)塗装一次密着性試験
各化成処理金属板を塗料(関西ペイント株式会社製アミラック#1000(白塗料))を用いて塗装処理した。塗装はバーコート塗布で行い、塗装後、140℃で20分間焼付けを行って、乾燥後膜厚で25μmの皮膜を形成した。ここで得られたものを「塗装後金属板A」とする。
その後、各塗装後金属板Aに対して、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これを粘着テープにより剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:剥離なし
○:剥離個数1個以上、10個未満
△:剥離個数11個以上、50個未満
×:剥離個数51個以上
(5)塗装二次密着性試験
5.2(4)塗装一次密着性試験と同じ条件で塗装等して得た塗装後金属板Aを沸騰水に2時間浸漬後、常温の室内にて24時間放置した。その後、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これを粘着テープにより剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準は5.2(4)の評価基準を用いて行った。
5.3 上層被覆金属板の評価
(1)平面部耐食性
各上層被覆金属板に、JISZ2371に規定された塩水噴霧試験を120時間実施した。白錆発生面積率を目視で測定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率5%未満
○:白錆発生面積率5%以上、10%未満
△:白錆発生面積率10%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上
(2)加工部耐食性
各上層被覆金属板に対しエリクセンにて7mmの押し出し加工を行い、JISZ2371に規定された塩水噴霧試験を120時間実施し、加工部における白錆発生面積率を目視で測定した。評価基準は5.3(1)の評価基準を用いて行った。
(3)アルカリ脱脂後耐食性
各上層被覆金属板を用いて、アルカリ脱脂剤(日本パーカライジング製CL−364S)を20g/L、60℃、10秒スプレー、スプレー圧0.5kg/cm2で脱脂した後、スプレー水洗を10秒行ってから、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を120時間実施した。評価基準は5.3(1)の評価基準を用いて行った。
(4)塗装一次エリクセン密着性試験
各上層被覆金属板を塗料(関西ペイント株式会社製アミラック#1000(白塗料))を用いて塗装処理した。塗装はバーコート塗布で行い、塗装後、140℃で20分間焼付けを行い、乾燥後膜厚で25μmの皮膜を形成した。ここで得られたものを「塗装後金属板B」とする。
その後、各塗装後金属板Bに対して、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で5mm押し出した後、この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:剥離なし
○:剥離個数1個以上、10個未満
△:剥離個数11個以上、50個未満
×:剥離個数51個以上
(5)塗装二次エリクセン密着性試験
上記5.3(4)塗装一次エリクセン密着性試験と同じ条件で塗装等して得た塗装後金属板Bを沸騰水に2時間浸漬後、常温の室内にて24時間放置した。その後、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、これをエリクセン試験機で5mm押し出した。この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準は5.3(4)の評価基準を用いて行った。
(6)塗装後耐食性
上記5.3(4)塗装一次エリクセン密着性試験と同じ条件で塗料等して得た塗装後金属板の塗膜に、供試材に達する傷をアクリルカッターで入れ、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を240時間実施した。その後、粘着テープにてカット部を剥離させ、剥離幅を測定した。評価基準はカット部からの塗膜剥離幅(mm)とした。
◎:3mm未満
○:3mm以上、5mm以下
△:5mm以上、10mm未満
×:10mm以上
(7)耐指紋性
各上層被覆金属板に指を押し付け、指紋の痕跡状態を目視で観察し耐指紋性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:指紋の痕跡が全く残らない。
○:指紋の痕跡がわずかに残る。
△:指紋の痕跡が軽度に残る。
×:指紋の痕跡が鮮明に残る。
第1表から明らかなように、本発明の表面化成処理液を用いて所定の条件で金属表面処理を行えば、短時間で高付着量の化成処理金属板を得ることができた。こうして作製された化成処理金属板は良好な耐食性および塗膜密着性を示し、比較例20の汎用反応型クロメート処理と同等の性能を有していた。また、化成処理金属板の上層に樹脂皮膜を形成した上層被覆金属板は良好な耐食性、塗装密着性、耐指紋性を示し、比較例20の汎用反応型クロメート処理した鋼板の上層に樹脂皮膜を形成した試験板と同等の性能を有していた。しかし、本発明の範囲外である比較例1〜19では化成処理金属板の耐食性および塗膜密着性、さらには上層被覆金属板の耐食性、塗装密着性を満足するものではなかった。比較例2〜6は、成分(a)、成分(b)または成分(c)が添加されていないため、十分な付着量が得られなかった。比較例7〜9は、C/A<1であり遊離フッ素イオン濃度が30mg/Lを超え、十分な付着量が得られなかった。比較例10〜12は、pH<2であるため、供試材のエッチング量が増加し、十分な付着量が得らなかった。比較例13〜19は、pH>−0.02×(C/A)+6であるため、表面化成処理液中に沈殿が発生し金属表面処理には不適当であった。仮に金属表面処理を行っても、沈殿発生により成分(a)の濃度が著しく低下するために十分な付着量は得られない。
Figure 2007061011
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Claims (20)

  1. 化成処理金属板であって、
    Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)を少なくとも1つ含み、自己析出または電解析出した表面化成処理層を金属板の表面に有し、前記表面化成処理層が含有するZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量が、金属板単位面積当り5〜50mg/mである化成処理金属板。
  2. 前記金属板が亜鉛系めっき鋼板である請求項1に記載の化成処理金属板。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の化成処理金属板と、この化成処理金属板の前記表面化成処理層の上側の樹脂層とを有する上層被覆金属板。
  4. 前記樹脂層が耐指紋性を有する樹脂層である請求項3に記載の上層被覆金属板。
  5. 前記樹脂層が、ノンクロメートプライマー塗料からなる層およびトップコート塗料からなる層の少なくとも2層を含む、請求項3または4に記載の上層被覆金属板。
  6. 前記樹脂層が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項3〜5のいずれかに記載の上層被覆金属板。
  7. 前記樹脂層の厚さが0.1〜5μmである、請求項3〜6のいずれかに記載の上層被覆金属板。
  8. 金属板表面処理用の表面化成処理液であって、
    Zr、Ti、HfおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(a)の少なくとも1つと、
    フッ化水素酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つである酸成分(b)と、
    Fe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(c)の少なくとも1つと
    を含有し、
    遊離フッ素イオン濃度が1〜30mg/Lであり、
    前記化合物(c)中のFe、Mn、Ni、Co、Ag、Mg、Al、Zn、CuおよびCeの元素の合計質量濃度Cと、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計質量濃度Aとの比であるC/Aが1〜200であり、
    pHが2.0以上であり、さらに、
    pH≦−0.02×(C/A)+6を満たす、
    前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を自己析出する、または、
    陰極とした前記金属板の表面に接することで表面化成処理層を電解析出する、表面化成処理液。
  9. 前記化合物(a)および前記化合物(c)が、有機錯化合物、フッ化物錯体、硫酸塩および硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項8に記載の表面化成処理液。
  10. 前記化合物(a)の含有量が、この化合物(a)中の前記元素の量で0.01〜10g/lであり、
    前記酸性分(b)の含有量が、0.05〜200g/lである、
    請求項8または9に記載の表面化成処理液。
  11. さらに、Si含有添加剤(d)を含有し、この含有量が、このSi含有添加剤(d)中のSi元素の量で0.02〜20g/lである、請求項8〜10のいずれかに記載の表面化成処理液。
  12. さらに、アミノ基を有する有機化合物(e)を0.01〜20g/l含有する、請求項8〜11のいずれかに記載の表面化成処理液。
  13. 前記有機化合物(e)が、ビニルアミン、ポリビニルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリアミンポリアミド、アミン変性フェノール樹脂、アミン変性ポリビニルフェノールおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項12に記載の表面化成処理液。
  14. 請求項8〜13のいずれかに記載の表面化成処理液を用いて、非塗布型の表面化成処理層を金属板の表面に形成する化成処理金属板の製造方法。
  15. 請求項8〜13のいずれかに記載の表面化成処理液を金属板の表面に接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を自己析出させ、その後、水洗する、請求項14に記載の化成処理金属板の製造方法。
  16. 陰極とした前記金属板の表面に請求項8〜13のいずれかに記載の表面化成処理液を接触させて、この金属板の表面に表面化成処理層を電解析出させ、その後、水洗する、請求項15に記載の化成処理金属板の製造方法。
  17. 温度を30〜70℃とした前記表面化成処理液を、前記金属板の表面に0.5〜20秒間接触させ、前記金属板の表面に、前記化合物(a)中のZr、Ti、HfおよびSiの元素の合計量で5〜50mg/mの表面化成処理層を形成する、請求項14〜16のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法。
  18. 請求項14〜17のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法に、さらに、前記表面化成処理層の上面に前記樹脂層を形成する工程を具備する、上層被覆金属板の製造方法。
  19. 請求項14〜17のいずれかに記載の化成処理金属板の製造方法により製造される化成処理金属板。
  20. 請求項18に記載の上層被覆金属板の製造方法により製造される上層被覆金属板。
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