JP2013208889A - 着色樹脂塗装金属板 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速ラインでも製造可能な薄膜の樹脂でノンクロメートの原板を着色することを前提とし、色むらのない高意匠性を示す着色樹脂塗装金属板を提供すること。
【解決手段】少なくとも片面に厚さ0.3〜2.2μmの着色樹脂層を備えたノンクロメート系金属板であって、着色樹脂層は、顔料を1種または2種以上(黒色顔料単独使用を除く)と、0.03〜3.8質量%のポリアミド系チクソトロピック剤を含む着色樹脂塗装金属板である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や家庭電気製品の筐体や内装・外装部品、鋼製家具等の外板材や建築材料等に用いられる着色樹脂塗装金属板に関し、詳細には、原板を隠蔽せずに着色することで、顔料色と金属調とが美麗に組み合わされた意匠性に優れた着色樹脂塗装金属板に関するものである。
従来から、自動車、電気製品や建材等には亜鉛系めっき鋼板が汎用されている。しかし、亜鉛系めっき金属板は、そのままでは耐食性や塗料との密着性が不充分であるため、ノンクロメート処理やリン酸塩処理が施され、さらに高度な耐食性が求められる場合は、これらの化成処理層の上に樹脂皮膜が設けられる。一方、外観の美麗さや製品としての完成度の観点から、最上層の樹脂皮膜にはユーザーが要求する色調や高い意匠性が求められる。樹脂を着色するには、一般に無機系顔料や有機系顔料が用いられるが、通常は、原板を隠蔽することが前提となる。原板を隠蔽し、美麗な外観を得るには、通常10g/m2以上の付着量の塗膜が必要であり、塗料の費用や長大な焼き付け工程が必要となるため、製造コストが高くなる。
このため、原板を隠蔽せずに、半透明な樹脂薄膜で着色することが試みられてきた。例えば、特許文献1には、クロメート処理後の原板に着色顔料を含有する樹脂塗膜が形成された着色樹脂塗装金属板が示されている。しかし、現在はノンクロメートが主流であり、特許文献1に記載の技術をそのままノンクロ系金属板に適用することはできない。
また、長大な焼付け工程を必要とせず、高速ラインでも製造可能な薄膜にすると、色むらが目立つようになり、この色むらの改善が重要課題となっていた。
特開平9−122578号公報
本発明は上記諸事情を考慮して、高速ラインでも製造可能な薄膜の樹脂でノンクロメートの原板を着色することを前提とし、色むらのない高意匠性を示す着色樹脂塗装金属板の提供を課題として掲げた。
本発明の着色樹脂塗装金属板は、少なくとも片面に厚さ0.3〜2.2μmの着色樹脂層を備えたノンクロメート系金属板であって、着色樹脂層は、顔料を1種または2種以上(黒色顔料単独使用を除く)と、0.03〜3.8質量%のポリアミド系チクソトロピック剤を含むことを特徴とする。
本発明には、着色樹脂層の上にクリアー塗膜を備えた着色樹脂塗装金属板も含まれ、この場合、クリアー塗膜の膜厚は、0.4〜4.5μmであることが好ましい。
本発明により塗膜乾燥前の顔料の移動を抑制できたため、色むらのない薄膜を形成することができ、高意匠性を示す着色樹脂塗装金属板を低コストで提供することができた。ま
た、最上層にクリアー塗膜を備えた着色樹脂塗装金属板は、耐摩耗性や耐テープ剥離性にも優れたものとなった。
従って、本発明の着色樹脂塗装金属板は、家電製品、建築材料、自動車部品等、各種用途に適用可能である。
顔料の移動状態を説明する説明図である。 色むら品と正常品の図面代用写真である。
本発明者等は、半透明な薄膜樹脂で着色塗装を行って、得られる着色樹脂塗装金属板の外観について検討した。その結果、薄膜であるがために色むらが目立つことが分かった。より詳細に検討を進めていくと、この色むらは、着色樹脂層用の組成物を原板上に塗布した後、塗膜中の水が乾燥するまでの間に、顔料粒子が、凝集しない程度の距離を保ちつつ集合してしまって、塗膜中に顔料濃度の濃い部分と薄い部分とが形成され、そのまま乾燥してしまうことが原因であることが明らかとなった。図1は顔料の移動状態をモデル的に表した説明図である。図2には、色むら品と正常品をデジタルカメラで写した写真を示した。
顔料が図1のように集団を形成する理由は定かではないが、薄膜を形成するため、着色樹脂層用の組成物は固形分が低いことから、顔料が移動しやすいことも一因であると考えられた。表面張力を調整するレベリング剤の添加を検討したが、レベリング剤では、色むらを防止することができなかった。レベリング剤は、主に塗膜表面の表面張力を低下させ、膜厚を均一化することに有効に機能するに留まるため、塗膜内部の顔料移動を抑制できなかったものと推定される。
本発明では、ポリアミド系のチクソトロピック剤を用いることにより、乾燥前塗膜の内部における顔料移動の抑制に成功したものである。以下、本発明の着色樹脂塗装金属板の構成材料を説明する。
[原板]
本発明の着色樹脂塗装金属板の原板は、冷延鋼板、溶融純亜鉛めっき鋼板(GI)、または合金化溶融Zn−Feめっき鋼板(GA)、合金化溶融Zn−5%Alめっき鋼板(GF)、電気純亜鉛めっき鋼板(EG)、電気Zn−Niめっき鋼板、アルミニウム板、チタン板、ガルバリウム鋼板等であり、ノンクロメートのものである。
原板には、リン酸系化成処理を施しておいてもよく、特に、特開2005−264312号公報に示されたような、コロイダルシリカとリン酸アルミニウム塩化合物を含む酸性水溶液によって化成処理を施しておくことが好ましい。コロイダルシリカとリン酸アルミニウム塩化合物を含む酸性水性液を化成処理液として使用すると、酸性水性液によって亜鉛系めっき層の表面がエッチングされながら、亜鉛系めっき層の表面にリン酸アルミニウムの中でも難溶性(水またはアルカリ性水溶液に溶けにくい)のAlPO4やAl2(HPO43主体の反応層が形成される。この反応層にシリカ微粒子が沈着して取り込まれることでリン酸アルミニウムとシリカ微粒子が複合一体化する。また、エッチングにより粗面化された亜鉛系めっき層との間で緻密な反応層が形成され、この反応層の上に形成される樹脂塗膜との結合も緻密で強固なものとなる。また、上記酸性水溶液にポリアクリル酸等の水溶性樹脂を含有させておくと、得られる反応層中のシリカ微粒子の沈着状態を一層強固なものとすることができる。
原板は500〜600nmの平均反射率が50%以上であることが好ましい。反射率の大きい原板を用いれば、原板を隠蔽しない半透明な着色樹脂層を形成した後の塗装金属板の反射率も高くなって、色むらが目立ちにくい意匠性に優れた着色樹脂塗装金属板となる。原板の厚みは特に限定されないが、0.3〜1mm程度が好ましい。
[チクソトロピック剤]
薄膜塗装に用いられる塗料(着色樹脂層形成用樹脂組成物)は固形分濃度が低いことから、金属板上に塗布された直後の塗膜は、媒体である水が完全に乾燥するまでは、塗膜中に含まれる樹脂成分や顔料が塗膜の中で移動して、前記したように、図1のような濃淡状態を形成する。このため、本発明では、着色樹脂層形成用樹脂組成物中にチクソトロピック剤を添加する。特にポリアミド系のチクソトロピック剤が顔料移動の抑制に効果的であった。その理由は明確にはなっていないが、ポリアミドはアミド結合によって多数のモノマーが結合したポリマーであり、水素結合によって顔料に吸着するため、吸着したポリマーの立体障害によって顔料の分散安定性が高まることと、ポリアミド分子鎖同士の水素結合によって塗膜中に網目構造を形成するため、顔料の移動や偏析を防ぐのではないかと考えられる。ポリアミド系チクソトロピック剤は、着色樹脂層形成用樹脂組成物の粘度が、フォードカップ#4で10〜20秒程度になるように添加する。固形分換算では、0.03〜3.8質量%の範囲で使用する。0.03質量%より少ないと、顔料移動の抑制が不充分となって色むらの発生を解決できない。3.8質量%より多いと、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、塗装性が劣るため好ましくない。
本発明で用い得るポリアミド系のチクソトロピック剤は、ジカルボン酸とジアミンとを反応させて得られるものであり、ポリアミド系であれば特に限定されない。水系塗料用のポリアミド系チクソトロピック剤は、例えば、ディスパロン(登録商標)AQシリーズとして、楠本化成社等から入手可能である。
AQシリーズでは以下の化学式で示すポリアミドを主成分として用いており、そのポリアミドの分子量は3000以下である。化学式におけるR、R’はアルキル基である。
なお、黒色顔料を単独使用すると光吸収性が高く、チクソトロピック剤を配合しても色の濃淡が目立ってしまい、本発明による効果は若干認められるものの、実施用上、問題のない外観を得るには至らなかった。
[顔料分散剤]
本発明においては、着色樹脂層形成用樹脂組成物に顔料分散剤を添加してもよい。好適な顔料分散剤は、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレンアクリル樹脂およびノニオン系界面活性剤よりなる群から選択される1種以上である。なお、これらを用いた場合、着色塗膜には顔料分散剤が残存することになる。
水溶性アクリル樹脂や水溶性スチレンアクリル樹脂としては、酸価が50〜300程度であることが好ましい。具体的には、水溶性アクリル樹脂は、50質量%以下の(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体のアルカリ中和物である。水溶性スチレンアクリル樹脂は、スチレンおよび/またはメチルスチレン50〜95質量%と、(メタ)アクリル酸やマレイン酸等との共重合体のアルカリ中和物である。他に共重合可能なモノマーとしては、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、水溶性スチレンアクリル樹脂においても(メタ)アクリル酸エステル等を用いてもよい。これらの樹脂の数平均分子量は、2500〜15000程度が好ましい。
ノニオン系界面活性剤は、各種メーカーから市販されており、ノニオン系であればいずれも使用可能である。
顔料分散剤は、予め顔料に添加されていることが多いので、後述する顔料を用いることで、顔料分散剤を樹脂組成物中に含有させることができる。顔料分散剤は、着色樹脂層中
に0.05〜6.2質量%含まれるように使用することが好ましい。多すぎると、耐食性や耐薬品性が低下するおそれがあり、少なすぎると、分散性の向上効果が望めないことがある。
[着色樹脂層形成用水性ポリウレタン樹脂]
本発明の着色樹脂塗装金属板は、上記原板の片面または両面に着色樹脂層が形成されたものであり、そのベース用樹脂としては水性ポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。水性ポリウレタン樹脂としては、特開2005−199673号公報に記載されている酸価が10〜60mgKOH/gのカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が好適に用い得る。このカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を有するポリオールを必須的に用いて合成されるポリウレタン樹脂の水分散体である。原料としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、平均分子量400〜4000程度のポリテトラメチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を有するポリオール等のポリオール成分と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート成分が用いられる。鎖延長剤は、エチレンジアミン等のポリアミン類が好ましい。
本発明で使用するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の水性液の作製は、公知の方法を採用することができ、例えば、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーのカルボキシル基を塩基で中和して、水性媒体中に乳化分散して鎖延長反応させる方法、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を乳化剤の存在下で、高せん断力で乳化分散して鎖延長反応させる方法等がある。
まず、上述したポリイソシアネートと上述したポリオールとを使用して、NCO/OH比でイソシアネート基が過剰になるようにして比較的低分子量のカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを作製する。ウレタンプレポリマーを合成する温度は、特に限定されないが、50〜200℃の温度で合成することができる。
ウレタンプレポリマー反応終了後、得られたカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、塩基で中和することによって、水中へ乳化分散できる。前記中和剤としては、特に限定されるものではないが、アンモニア;トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を使用することができ、好ましくは、トリエチルアミンを使用する。
カルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを乳化分散した後、水中でポリミアンなどの鎖延長剤を使用して鎖延長反応を行うことができる。なお、鎖延長反応は、使用する鎖長延長剤の反応性に応じて、乳化分散前、乳化分散と同時、或いは、乳化分散後に適宜行うことができる。
[着色樹脂層形成用水性ポリウレタン樹脂組成物]
着色塗膜を形成する際には、シリカ粒子を上記水性ポリウレタン樹脂と共に組成物として用いることが好ましい。シリカ粒子は、組成物100質量%中、10〜30質量%程度が好ましい。シリカ粒子としては、表面積平均粒子径10〜20nmのコロイダルシリカが好ましく、このようなコロイダルシリカは、日産化学工業社から、スノーテックス(登録商標)40として入手可能である。
また、上記水性ポリウレタン樹脂組成物には、ワックスが含まれていてもよい。工業的に好ましいのは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、変性ワックス、エチレンやプロピレンとの共重合系ワックス、エチレン系共重合ワックスで、これらの酸化物、及び、カルボキシル基を付与した誘導体等、また酸基を付与したパラフィン系ワックス、カルナバワックス等である。ワックスは、組成物100質量%中、0.5〜20質量%程度が好ましい。
水性ポリウレタン樹脂を架橋するために、架橋剤を加えてもよい。反応性の点からはエポキシ系架橋剤が好ましく、ソルビトールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類や、ポリグリシジルアミン類等が挙げられる。このようなエポキシ系架橋剤としては、DIC社製のエピクロン(登録商標)CR75やCR5L等が入手可能である。架橋剤は、樹脂100質量部に対し、5〜20質量部程度とすることが好ましい。
[着色樹脂層形成用水性ポリエチレン樹脂組成物]
本発明の着色樹脂塗装金属板においては、ベース用樹脂組成物として水性ポリエチレン樹脂組成物を用いてもよい。水性ポリエチレン樹脂としては、例えば特開2011−92837号に記載されている、表面積平均粒子径の異なる複数種のコロイダルシリカから構成される無機成分を60〜80質量部と、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、α,β−不飽和カルボン酸重合体、およびアクリル変性エポキシ樹脂から構成される樹脂成分を20〜40質量部含有すると共に、前記無機成分と前記樹脂成分との合計100質量部に対し、さらに、グリシドキシ基含有シランカップリング剤5〜15質量部とメタバナジン酸塩0.5〜3質量部を含有するものが好ましい。
コロイダルシリカとしては、表面積平均粒子径4〜6nmのものと表面積平均粒子径10〜20nmのものを併用することが好ましく、前者としては、日産化学工業社製の「スノーテックス(登録商標)XS」が挙げられ、後者としては、前記「スノーテックス(登録商標)40」が挙げられる。両者の混合比は特に限定されないが、同量ずつが好ましい。
オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としては、オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体であって、エチレン、プロピレンといったオレフィン由来の構成単位が共重合体中に50質量%以上(すなわち、(メタ)アクリル酸といったα,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位が50質量%以下)であるものを意味する。特にエチレン−アクリル酸共重合体が好ましい。なお「α,β−不飽和カルボン酸」には、中和剤でカルボキシル基の一部が中和された「α,β−不飽和カルボン酸塩」も含まれる。
α,β−不飽和カルボン酸重合体としては、α,β−不飽和カルボン酸を単量体として得られる重合体(共重合体も含む)であって、α,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位が重合体中に90質量%以上であるものを意味する。特にポリマレイン酸が好ましい。
オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体とα,β−不飽和カルボン酸重合体の混合比率は、100:1〜100:5程度が好ましい。
アクリル変性エポキシ樹脂は水分散体を用いることが好ましく、このような水性のアクリル変性エポキシ樹脂は市販されており、例えば、荒川化学工業社製の「モデピクス(登録商標)301」、「モデピクス(登録商標)302」、「モデピクス(登録商標)303」、「モデピクス(登録商標)304」等が入手可能である。アクリル変性エポキシ樹脂は、樹脂成分100質量%中、2質量%〜15質量%程度が好ましい。
グリシドキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニル
トリス(β-メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
メタバナジン酸塩としては、例えば、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)、メタ
バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)、メタバナジン酸カリウム(KVO3)等が挙げ
られる。
水性ポリエチレン樹脂組成物には、カルボジイミド基含有化合物を含有させてもよい。市販されているカルボジイミド基含有化合物として、例えばN,N−ジシクロへキシルカルボジイミド、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド等や、日清紡社製のポリカルボジイミド(1分子中に複数のカルボジイミド基を有する重合体)である「カルボジライト(登録商標)」シリーズを挙げることができる。「カルボジライト(登録商標)」のグレードとしては、水溶性の「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」や、エマルションタイプの「E−01」、「E−02」等がある。
カルボジイミド基含有化合物量は、架橋相手であるオレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体とα,β−不飽和カルボン酸重合体の量に応じて設定する。これらの合計100質量部に対し、0.5〜20質量部程度が好ましい。
[顔料]
下記のそれぞれの色に着色するための顔料種類の例としては、赤色:不溶性アゾ系(ナフトール系およびアニライド系)または溶性アゾ系等の有機系顔料や、べんがら、カドミウムレッド、鉛丹等の無機系顔料、黄色:不溶性アゾ系(ナフトール系およびアニライド系)、溶性アゾ系、キナクリドン系等の有機系顔料や、クロムエロー、カドミウムエロー、ニッケルチタンエロー、黄丹、ストロンチウムクロメート等の無機系顔料、緑色:有機フタロシアニン系顔料、青色:有機フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、紺青、群青、コバルト青、エメラルドグリーン等の無機系顔料、橙色:ベンズイミダゾロン系、ピラゾロン系等の有機系顔料、黒色:アニリンブラック、ニグロシン等の有機系顔料、カーボンブラック等の無機系顔料、鉄黒等の無機系顔料、白色:酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リトポン、鉛白等の無機系顔料等が挙げられる。上記着色顔料のうち、同色でも化学構造の異なるもの、あるいは異なる色の着色顔料を2種類以上適当な配合比で混合することにより、灰色、茶色、紫色、赤紫色、青紫色、橙色、黄金色等所望の色に着色することができる。
前記した顔料分散剤とともに分散顔料として市販されているものには、黒色:カーボンブラックと水溶性アクリル樹脂からなる「AFブラックE−2B」(大日精化工業社製)、カーボンブラックと水溶性スチレンアクリル樹脂からなる「SAブラックDY−6」(御国色素社製)、カーボンブラックとノニオン系界面活性剤とからなる「PSMブラック12578」(御国色素社製)、白色:酸化チタンと水溶性アクリル樹脂からなる「AFホワイトE−3D」(大日精化工業社製)、酸化チタンと水溶性スチレンアクリル樹脂からなる「SAホワイトNF−3769」(御国色素社製)、酸化チタンとノニオン系界面活性剤とからなる「GPホワイト13600」(御国色素社製)、青色:シアニン系色素と水溶性アクリル樹脂からなる「AFブルーE−2B」(大日精化工業社製)、シアニン系色素と水溶性スチレンアクリル樹脂からなる「SAブルーDY−12」(御国色素社製)、シアニン系色素とノニオン系界面活性剤とからなる「PSMブルーHB」(御国色素社製)、黄色:ジスアゾ系色素と水溶性アクリル樹脂からなる「AFイエローE−12」(大日精化工業社製)、ジスアゾ系色素と水溶性スチレンアクリル樹脂からなる「SAエローRS」(御国色素社製)、ジスアゾ系色素とノニオン系界面活性剤とからなる「PSMエローRS」(御国色素社製)、緑:シアニン系色素と水溶性アクリル樹脂からなる「AFグリーンE−1」(大日精化工業社製)、シアニン系色素と水溶性スチレンアクリル樹脂とからなる「SAグリーンDY−4」(御国色素社製)、赤紫色:キナクリドン系色素と水溶性アクリル樹脂からなる「AFレッドE−17」(大日精化工業社製)、キナクリドン系色素とノニオン系界面活性剤とからなる「PSMピンクKR」(御国色素社製)、青紫色:ジオキサジン系顔料と水溶性スチレンアクリル樹脂とからなる「SA青紫#800」(御国色素社製)等がある。
これらの市販の顔料は、着色樹脂層の膜厚に応じて添加量を調整する必要がある。膜厚が例えば3μm以下の薄膜で、金属調の意匠性を活用するには原板を隠蔽しないことが前提であるため、顔料の含有量の上限は、20質量%程度とすることが好ましい。
[着色樹脂層の膜厚]
本発明では、着色樹脂層の膜厚は、0.3〜2.2μmとする。0.3μmよりも薄いと着色の効果や意匠性が発現しない。2.2μmを超えると、薄膜にして低コスト化を図るという本発明の目的に反するため好ましくない。
[着色樹脂層形成用樹脂組成物およびその塗工方法]
本発明で用いる着色樹脂層形成用組成物を調製するには、各成分を混合すればよい。必要により、各成分を一緒に、または別々に乳化して、水分散体として混合することが好ましい。
上記樹脂組成物を原板に塗布する方法は特に限定されず、バーコーター法、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法等が採用可能である。塗布後は80〜130℃程度で加熱乾燥を行うことが好ましい。
[クリアー塗膜]
本発明の着色樹脂塗装金属板は、着色樹脂層の上にクリアー塗膜を備えたものであってもよい。クリアー塗膜の素材は特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂およびこれら樹脂の混合物または変性した樹脂等が挙げられる。硬度、耐摩耗性、耐テープ剥離性等を考慮すると、有機溶剤可溶型(非晶性)のポリエステル樹脂が好ましい。有機溶剤可溶型のポリエステル樹脂としては、東洋紡績社製の「バイロン(登録商標)」シリーズが、豊富な種類のものを入手することができる点で好適である。
ポリエステル樹脂は、メラミン樹脂等で架橋してもよい。メラミン樹脂としては、住友化学社製の「スミマール(登録商標)」シリーズや、三井サイテック社製の「サイメル(登録商標)」シリーズがある。なお、架橋剤は、硬度、耐摩耗性、耐テープ剥離性等を考慮して、樹脂100質量部に対し、架橋剤が5〜30質量部となるように配合することが好ましい。塗布方法は、上記と同じ方法が採用可能である。また、クリアー塗膜の膜厚は特に限定されないが、0.4〜4.5μm程度が好ましい。
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更実施は本発明に含まれる。以下では、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示すものとする。また、実施例で用いた評価方法は、以下の通りである。
[評価方法]
(1)外観
塗装サンプル(100mm×100mm)の外観を目視により、下記基準で評価した。
☆:色むらなし、◎:かすかな色むらのみ、○:部分的に軽度の色むら、△:全面に軽度の色むら、×:全面に色むら
(2)耐摩耗性
着色樹脂層の上にクリアー塗膜を積層した2コートの塗装サンプル(50×100mm)を用い、ヘイドン試験機で消しゴム(右川ゴム製造所社製)を相手材とし、荷重16.1±0.05N、ストローク長25.4mm、1往復/2秒の速度でサンプル表面を擦り、原板素地が見えるまでの回数(摩耗回数)を測定した。
(3)加工部密着性
着色樹脂層の上にクリアー塗膜を積層した2コートの塗装サンプル(50×50mm)を用い、常温で2T曲げを行って、曲げ部にセロハンテープを貼って剥離試験を行った。○は剥離なし、△は剥離面積50%以下、×は剥離面積50%超として評価した。
[原板]
表1に示した5種類の原板を用いた。原板には、ノンクロメート系化成処理を施した。処理液として、ポリアクリル酸(試薬、平均分子量25000)、重リン酸アルミニウム(日本化学工業社製、固形分50質量%)、コロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックス(登録商標);ST−O)、シランカップリング剤(信越化学工業社製;KBM−403;固形分100%)を混合した酸性水性液を使用した。各成分の配合比は、固形分換算で、ポリアクリル酸4.4%、重リン酸アルミニウム57.8%、コロイダルシリカ31.1%、シランカップリング剤6.7%とした。この処理液をアルカリ脱脂した原板に、スプレーで吹き付け、余分な溶液をリンガーロールで除去した後、スプレー圧100kPaで5秒間水洗し、40℃で乾燥することにより、各種鋼板およびAl板上にノンクロメート処理層を設けた。
[顔料]
次の各色の顔料(分散剤込み)を用いた。
調製例1(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂水性液の調製およびポリウレタン系着色樹脂層形成用樹脂組成物の調製)
撹拌機、温度計、温度コントローラーを合成装置に、ポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000;保土谷化学工業社製)を60部、1,4−シクロヘキサンジメタノール14部、ジメチロールプロピオン酸20部を仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン30部を加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネートを104部仕込み、80℃〜85℃に昇温し、5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16部を加えて中和を行い、エチレンジアミン16部と水480部の混合水溶液を加えて、50℃で4時間乳化しつつ鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性液を得た(不揮発性樹脂成分29.1%、酸価41.4)。
上記で得たカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂水性液、コロイダルシリカ(日産化学工業社製ST−40:粒子径10〜20nm)、エポキシ系架橋剤(DIC社製:エピクロン(登録商標)CR75)、ポリエチレンワックス粒子(三井化学社製:ケミパール(登録商標)W−700、平均粒子径1μm、軟化点132℃)、上記の各種顔料、シリコーン系レベリング剤(楠本化成社製:水系塗料用ディスパロン(登録商標)LS−900)、アクリルシリコーン系レベリング剤(楠本化成社製:水系塗料用ディスパロン(登録商標)AQ−7120)、ポリアミド系チクソトロピック剤(楠本化成社製:水系塗料用ディスパロン(登録商標)AQ−607)を混合して、ポリウレタン系着色樹脂層形成用樹脂組成物を調製した。
各成分の配合比は、固形分換算で、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂58.5〜72.5部、コロイダルシリカ20部、エポキシ系架橋剤2部、ポリエチレンワックス粒子3.5部、シリコーン系またはアクリルシリコーン系レベリング剤またはポリアミド系チクソトロピック剤1.0部、各種顔料(分散剤含む)1〜15部となるように配合し、全量を100部とした。
調製例2(水性ポリエチレン樹脂の調製およびポリエチレン系着色樹脂層形成用樹脂組成物の調製)
撹拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレーブに、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としてエチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製:プリマコール(登録商標)5990I、アクリル酸ユニット:20質量%、Mw:20,000、MI:1300、酸価:150)200.0部、α,β−不飽和カルボン酸重合体としてポリマレイン酸水溶液(日油社製:ノンポール(登録商標)PMA−50W、Mw:約1100(ポリスチレン換算)、50%品)8.0部、トリエチルアミン35.5部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.63当量)、48%NaOH水溶液6.9部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.15当量)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製:ハートールFA3)3.5部、イオン交換水792.6部を加えて密封し、150℃および5気圧で3時間高速撹拌してから、30℃まで冷却した。
次いでグリシドキシ基含有シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(旧社名:GE東芝シリコーン)社製:TSL8350、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)10.4部、カルボジイミド基含有化合物(日清紡社製:カルボジライト(登録商標)SV−02、ポリカルボジイミド、Mw:2,700、固形分40%)31.2部、イオン交換水72.8部を添加し、10分間撹拌して、エチレン−アクリル酸共重合体とポリマレイン酸の乳化物(エマルション)を調製した(固形分濃度約20%、JIS K6833に準じて測定)。
上記乳化物に、表面積平均粒子径4〜6nm(公証値)のコロイダルシリカ(A)(日産化学工業社製:ST−XS(固形分濃度20%))と表面積平均粒子径10〜20nm(公証値)のコロイダルシリカ(B)(日産化学工業社製:ST−40(固形分濃度40%))とを順次加えてよく混合した後、グリシドキシ基含有シランカップリング剤(信越化学工業社製:KBM403(固形分濃度100%))、次いでメタバナジン酸塩としてメタバナジン酸ナトリウム(新興化学工業社製、メタバナジン酸ソーダ(固形分濃度約66%))を添加した。この混合物に、さらにアクリル変性エポキシ樹脂(荒川化学工業社製、モデピクス(登録商標)302(固形分濃度33.5%))を加え、ポリエチレン樹脂組成物を作製した。各成分の配合比は、固形分換算で、エチレン−アクリル酸共重合体とポリマレイン酸25.7%、アクリル変性エポキシ樹脂1.3%、コロイダルシリカ(A)31.5%、コロイダルシリカ(B)31.5%、シランカップリング剤9.0%、メタバナジン酸ナトリウム1.0%とした。
上記のポリエチレン樹脂組成物に、ポリエチレンワックス(三井化学社製:ケミパール(登録商標)W−900、平均粒子径0.6μm、軟化点132℃)、上記の各種顔料、上記のシリコーン系レベリング剤(LS−900)、アクリルシリコーン系レベリング剤(AQ−7120)またはポリアミド系チクソトロピック剤(AQ−607)を混合して、ポリエチレン系着色樹脂層形成用樹脂組成物を調製した。
各成分の配合比は、固形分換算で、ポリエチレン樹脂組成物89.5〜94部、ポリエチレンワックス粒子3.5部、シリコーン系またはアクリルシリコーン系レベリング剤またはポリアミド系チクソトロピック剤1.0部、各種顔料1.5〜6部(分散剤含む)となるように配合し、全量を100部とした。
実験例1
ポリウレタン系およびポリエチレン系着色樹脂層形成用樹脂組成物のそれぞれを固形分濃度10〜18%に調整し、ディスパー撹拌機で700rpmで10分撹拌した後、前記5種類(EG1、EG2、GI、GL、AL)の原板表面にロールコーターにて塗布し、板温90〜100℃で加熱乾燥して、ポリウレタンは膜厚0.5〜2.0μm、ポリエチレンは膜厚0.3〜1.3μmの樹脂皮膜が形成された着色樹脂塗装金属板を得た。評価結果を表3〜26に示す。
実験例2
ポリウレタン系着色樹脂層形成用樹脂組成物のうち、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂71.3部、コロイダルシリカ20部、エポキシ系架橋剤2部、ポリエチレンワックス3.5部、ポリアミド系チクソトロピック剤0.2部、顔料2種(SAグリーンDY−4:2.1部、SA青紫#800:0.9部)を合計で3部となるように配合したものを固形分濃度10〜18%に調整し、ディスパー撹拌機で700rpmで10分撹拌した。
別途、クリアー塗膜用塗料を調製した。有機溶剤可溶型ポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン(登録商標)29)、メラミン架橋剤(住友化学社製:スミマール(登録商標)M−40ST、固形分80%)を、質量比(ドライ)100:20で混合し、希釈溶剤としてキシレン/シクロヘキサノン(質量比1:1)混合溶剤を用いて、固形分濃度が5〜20%となるように希釈した後、ディスパー撹拌機で3000rpmで5分間撹拌した。
上記ポリウレタン系着色樹脂層形成用樹脂組成物をEG1とGI原板表面にロールコーターにて塗布し、板温90〜100℃で加熱乾燥して、膜厚1.2μmの着色樹脂層を形成した後、クリアー塗膜用塗料を膜厚0.3〜5.3μmになるようにバーコーターで塗布し、到達板温220℃で60秒焼き付けて、2コート着色樹脂塗装金属板を得た。この2コート着色樹脂塗装金属板の評価結果を表27に示す。
本発明により、薄膜の樹脂でノンクロメートの原板を着色した金属調と着色樹脂とが組
み合わされた高意匠性を示す着色樹脂塗装金属板を低コストで提供することができた。また、最上層にクリアー塗膜を備えた着色樹脂塗装金属板は、耐摩耗性や耐テープ剥離性にも優れたものとなった。
従って、本発明の着色樹脂塗装金属板は、家電製品、建築材料、自動車部品等、各種用途に適用可能である。

Claims (3)

  1. 少なくとも片面に厚さ0.3〜2.2μmの着色樹脂層を備えたノンクロメート系金属板であって、着色樹脂層は、顔料を1種または2種以上(黒色顔料単独使用を除く)と、0.03〜3.8質量%のポリアミド系チクソトロピック剤を含むことを特徴とする着色樹脂塗装金属板。
  2. 着色樹脂層の上にクリアー塗膜を備えたものである請求項1に記載の着色樹脂塗装金属板。
  3. 上記クリアー塗膜の膜厚が0.4〜4.5μmである請求項2に記載の着色樹脂塗装金属板。
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