JP2013208889A - 着色樹脂塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも片面に厚さ0.3〜2.2μmの着色樹脂層を備えたノンクロメート系金属板であって、着色樹脂層は、顔料を1種または2種以上(黒色顔料単独使用を除く)と、0.03〜3.8質量%のポリアミド系チクソトロピック剤を含む着色樹脂塗装金属板である。
【選択図】図1
Description
た、最上層にクリアー塗膜を備えた着色樹脂塗装金属板は、耐摩耗性や耐テープ剥離性にも優れたものとなった。
本発明の着色樹脂塗装金属板の原板は、冷延鋼板、溶融純亜鉛めっき鋼板(GI)、または合金化溶融Zn−Feめっき鋼板(GA)、合金化溶融Zn−5%Alめっき鋼板(GF)、電気純亜鉛めっき鋼板(EG)、電気Zn−Niめっき鋼板、アルミニウム板、チタン板、ガルバリウム鋼板等であり、ノンクロメートのものである。
薄膜塗装に用いられる塗料(着色樹脂層形成用樹脂組成物)は固形分濃度が低いことから、金属板上に塗布された直後の塗膜は、媒体である水が完全に乾燥するまでは、塗膜中に含まれる樹脂成分や顔料が塗膜の中で移動して、前記したように、図1のような濃淡状態を形成する。このため、本発明では、着色樹脂層形成用樹脂組成物中にチクソトロピック剤を添加する。特にポリアミド系のチクソトロピック剤が顔料移動の抑制に効果的であった。その理由は明確にはなっていないが、ポリアミドはアミド結合によって多数のモノマーが結合したポリマーであり、水素結合によって顔料に吸着するため、吸着したポリマーの立体障害によって顔料の分散安定性が高まることと、ポリアミド分子鎖同士の水素結合によって塗膜中に網目構造を形成するため、顔料の移動や偏析を防ぐのではないかと考えられる。ポリアミド系チクソトロピック剤は、着色樹脂層形成用樹脂組成物の粘度が、フォードカップ#4で10〜20秒程度になるように添加する。固形分換算では、0.03〜3.8質量%の範囲で使用する。0.03質量%より少ないと、顔料移動の抑制が不充分となって色むらの発生を解決できない。3.8質量%より多いと、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、塗装性が劣るため好ましくない。
AQシリーズでは以下の化学式で示すポリアミドを主成分として用いており、そのポリアミドの分子量は3000以下である。化学式におけるR、R’はアルキル基である。
本発明においては、着色樹脂層形成用樹脂組成物に顔料分散剤を添加してもよい。好適な顔料分散剤は、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレンアクリル樹脂およびノニオン系界面活性剤よりなる群から選択される1種以上である。なお、これらを用いた場合、着色塗膜には顔料分散剤が残存することになる。
に0.05〜6.2質量%含まれるように使用することが好ましい。多すぎると、耐食性や耐薬品性が低下するおそれがあり、少なすぎると、分散性の向上効果が望めないことがある。
本発明の着色樹脂塗装金属板は、上記原板の片面または両面に着色樹脂層が形成されたものであり、そのベース用樹脂としては水性ポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。水性ポリウレタン樹脂としては、特開2005−199673号公報に記載されている酸価が10〜60mgKOH/gのカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が好適に用い得る。このカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を有するポリオールを必須的に用いて合成されるポリウレタン樹脂の水分散体である。原料としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、平均分子量400〜4000程度のポリテトラメチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を有するポリオール等のポリオール成分と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート成分が用いられる。鎖延長剤は、エチレンジアミン等のポリアミン類が好ましい。
着色塗膜を形成する際には、シリカ粒子を上記水性ポリウレタン樹脂と共に組成物として用いることが好ましい。シリカ粒子は、組成物100質量%中、10〜30質量%程度が好ましい。シリカ粒子としては、表面積平均粒子径10〜20nmのコロイダルシリカが好ましく、このようなコロイダルシリカは、日産化学工業社から、スノーテックス(登録商標)40として入手可能である。
本発明の着色樹脂塗装金属板においては、ベース用樹脂組成物として水性ポリエチレン樹脂組成物を用いてもよい。水性ポリエチレン樹脂としては、例えば特開2011−92837号に記載されている、表面積平均粒子径の異なる複数種のコロイダルシリカから構成される無機成分を60〜80質量部と、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、α,β−不飽和カルボン酸重合体、およびアクリル変性エポキシ樹脂から構成される樹脂成分を20〜40質量部含有すると共に、前記無機成分と前記樹脂成分との合計100質量部に対し、さらに、グリシドキシ基含有シランカップリング剤5〜15質量部とメタバナジン酸塩0.5〜3質量部を含有するものが好ましい。
ロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニル
トリス(β-メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)、メタバナジン酸カリウム(KVO3)等が挙げ
られる。
下記のそれぞれの色に着色するための顔料種類の例としては、赤色:不溶性アゾ系(ナフトール系およびアニライド系)または溶性アゾ系等の有機系顔料や、べんがら、カドミウムレッド、鉛丹等の無機系顔料、黄色:不溶性アゾ系(ナフトール系およびアニライド系)、溶性アゾ系、キナクリドン系等の有機系顔料や、クロムエロー、カドミウムエロー、ニッケルチタンエロー、黄丹、ストロンチウムクロメート等の無機系顔料、緑色:有機フタロシアニン系顔料、青色:有機フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、紺青、群青、コバルト青、エメラルドグリーン等の無機系顔料、橙色:ベンズイミダゾロン系、ピラゾロン系等の有機系顔料、黒色:アニリンブラック、ニグロシン等の有機系顔料、カーボンブラック等の無機系顔料、鉄黒等の無機系顔料、白色:酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リトポン、鉛白等の無機系顔料等が挙げられる。上記着色顔料のうち、同色でも化学構造の異なるもの、あるいは異なる色の着色顔料を2種類以上適当な配合比で混合することにより、灰色、茶色、紫色、赤紫色、青紫色、橙色、黄金色等所望の色に着色することができる。
本発明では、着色樹脂層の膜厚は、0.3〜2.2μmとする。0.3μmよりも薄いと着色の効果や意匠性が発現しない。2.2μmを超えると、薄膜にして低コスト化を図るという本発明の目的に反するため好ましくない。
本発明で用いる着色樹脂層形成用組成物を調製するには、各成分を混合すればよい。必要により、各成分を一緒に、または別々に乳化して、水分散体として混合することが好ましい。
本発明の着色樹脂塗装金属板は、着色樹脂層の上にクリアー塗膜を備えたものであってもよい。クリアー塗膜の素材は特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂およびこれら樹脂の混合物または変性した樹脂等が挙げられる。硬度、耐摩耗性、耐テープ剥離性等を考慮すると、有機溶剤可溶型(非晶性)のポリエステル樹脂が好ましい。有機溶剤可溶型のポリエステル樹脂としては、東洋紡績社製の「バイロン(登録商標)」シリーズが、豊富な種類のものを入手することができる点で好適である。
(1)外観
塗装サンプル(100mm×100mm)の外観を目視により、下記基準で評価した。
☆:色むらなし、◎:かすかな色むらのみ、○:部分的に軽度の色むら、△:全面に軽度の色むら、×:全面に色むら
着色樹脂層の上にクリアー塗膜を積層した2コートの塗装サンプル(50×100mm)を用い、ヘイドン試験機で消しゴム(右川ゴム製造所社製)を相手材とし、荷重16.1±0.05N、ストローク長25.4mm、1往復/2秒の速度でサンプル表面を擦り、原板素地が見えるまでの回数(摩耗回数)を測定した。
着色樹脂層の上にクリアー塗膜を積層した2コートの塗装サンプル(50×50mm)を用い、常温で2T曲げを行って、曲げ部にセロハンテープを貼って剥離試験を行った。○は剥離なし、△は剥離面積50%以下、×は剥離面積50%超として評価した。
表1に示した5種類の原板を用いた。原板には、ノンクロメート系化成処理を施した。処理液として、ポリアクリル酸(試薬、平均分子量25000)、重リン酸アルミニウム(日本化学工業社製、固形分50質量%)、コロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックス(登録商標);ST−O)、シランカップリング剤(信越化学工業社製;KBM−403;固形分100%)を混合した酸性水性液を使用した。各成分の配合比は、固形分換算で、ポリアクリル酸4.4%、重リン酸アルミニウム57.8%、コロイダルシリカ31.1%、シランカップリング剤6.7%とした。この処理液をアルカリ脱脂した原板に、スプレーで吹き付け、余分な溶液をリンガーロールで除去した後、スプレー圧100kPaで5秒間水洗し、40℃で乾燥することにより、各種鋼板およびAl板上にノンクロメート処理層を設けた。
次の各色の顔料(分散剤込み)を用いた。
撹拌機、温度計、温度コントローラーを合成装置に、ポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000;保土谷化学工業社製)を60部、1,4−シクロヘキサンジメタノール14部、ジメチロールプロピオン酸20部を仕込み、さらに反応溶媒としてN−メチルピロリドン30部を加えた。イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネートを104部仕込み、80℃〜85℃に昇温し、5時間反応させた。得られたプレポリマーのNCO含有量は、8.9%であった。さらにトリエチルアミン16部を加えて中和を行い、エチレンジアミン16部と水480部の混合水溶液を加えて、50℃で4時間乳化しつつ鎖延長反応させて、ポリウレタン樹脂水性液を得た(不揮発性樹脂成分29.1%、酸価41.4)。
撹拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレーブに、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体としてエチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製:プリマコール(登録商標)5990I、アクリル酸ユニット:20質量%、Mw:20,000、MI:1300、酸価:150)200.0部、α,β−不飽和カルボン酸重合体としてポリマレイン酸水溶液(日油社製:ノンポール(登録商標)PMA−50W、Mw:約1100(ポリスチレン換算)、50%品)8.0部、トリエチルアミン35.5部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.63当量)、48%NaOH水溶液6.9部(エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.15当量)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製:ハートールFA3)3.5部、イオン交換水792.6部を加えて密封し、150℃および5気圧で3時間高速撹拌してから、30℃まで冷却した。
ポリウレタン系およびポリエチレン系着色樹脂層形成用樹脂組成物のそれぞれを固形分濃度10〜18%に調整し、ディスパー撹拌機で700rpmで10分撹拌した後、前記5種類(EG1、EG2、GI、GL、AL)の原板表面にロールコーターにて塗布し、板温90〜100℃で加熱乾燥して、ポリウレタンは膜厚0.5〜2.0μm、ポリエチレンは膜厚0.3〜1.3μmの樹脂皮膜が形成された着色樹脂塗装金属板を得た。評価結果を表3〜26に示す。
ポリウレタン系着色樹脂層形成用樹脂組成物のうち、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂71.3部、コロイダルシリカ20部、エポキシ系架橋剤2部、ポリエチレンワックス3.5部、ポリアミド系チクソトロピック剤0.2部、顔料2種(SAグリーンDY−4:2.1部、SA青紫#800:0.9部)を合計で3部となるように配合したものを固形分濃度10〜18%に調整し、ディスパー撹拌機で700rpmで10分撹拌した。
み合わされた高意匠性を示す着色樹脂塗装金属板を低コストで提供することができた。また、最上層にクリアー塗膜を備えた着色樹脂塗装金属板は、耐摩耗性や耐テープ剥離性にも優れたものとなった。
Claims (3)
- 少なくとも片面に厚さ0.3〜2.2μmの着色樹脂層を備えたノンクロメート系金属板であって、着色樹脂層は、顔料を1種または2種以上(黒色顔料単独使用を除く)と、0.03〜3.8質量%のポリアミド系チクソトロピック剤を含むことを特徴とする着色樹脂塗装金属板。
- 着色樹脂層の上にクリアー塗膜を備えたものである請求項1に記載の着色樹脂塗装金属板。
- 上記クリアー塗膜の膜厚が0.4〜4.5μmである請求項2に記載の着色樹脂塗装金属板。
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