JPWO2007058119A1 - 導電性樹脂組成物、それを用いてなる導電性フィルム、及びそれを用いてなる抵抗膜式スイッチ - Google Patents
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Abstract
本発明により、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を含有する導電性樹脂組成物であって、該複合体の導電率が0.30S/cm以上である、導電性樹脂組成物が提供される。この組成物は、該組成物を導電層とする導電性フィルムの製造に好適であり、該導電性フィルムは、抵抗膜式スイッチに好適に用いられる。
Description
本発明は、抵抗膜式スイッチに好適に使用可能な導電性樹脂組成物、該導電性樹脂組成物を用いて形成される導電性フィルム、および該導電性フィルムを用いた抵抗膜式スイッチに関する。
抵抗膜式スイッチの最も一般的な例としてタッチスクリーンが挙げられる。
タッチスクリーンは、液晶表示器、ブラウン管、エレクトロルミネッセンス(EL)表示器等の表示装置の表示画面に用いられている。タッチスクリーンは、二次元情報抵抗膜式スイッチの1種である。このタッチスクリーンは、例えば、スクリーン面の任意の位置が指またはペンの先端などで押圧されると、その押圧位置(導通場所)とタッチスクリーンの所定の位置に形成された電極(例えば、銀電極)の位置との距離から得られる抵抗値によりタッチ位置が算出され、その位置を電気信号としてコンピュータ機器に出力可能となるように設計されている。
近年、携帯型情報端末などの普及・進展に伴い、上記タッチスクリーンは、そのデータ入力における優れたマン−マシンインターフェイス性能が評価されて、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話、PHS、電卓、時計、GPS、銀行ATMシステム、自動販売機、POSシステム(Point of Sales System)など多方面に応用されている。該タッチスクリーンの中でも、特に抵抗タッチスクリーン型膜スイッチが、各種スイッチに応用可能である。抵抗タッチスクリーン型膜スイッチは、一般に、導電性を有する透明フィルムと、導電性を有する透明基体とが絶縁性スペーサーを介して対向配置する構造を有する。この透明フィルムにおける任意の部分が、指、ペンの先端などで押圧されると、該透明フィルムが撓んで前記透明基体に部分的に接触し、電気が導通し、信号等が出力される。
従来、上記タッチスクリーンに利用される透明フィルムとしては、ITO(インジウム錫酸化物)導電層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが多用されてきた。このようなITO導電層を有するPETフィルムを押圧により変形させると、繰り返しの変形によりITO層が破壊されるおそれがある。ITO自体は、セラミックスの一種であり可撓性に乏しいためである。このように、長期間にわたる繰り返しの使用によってITO層の脆性破壊が生じ、抵抗が大きくなり、品質が劣化するという問題が生じる。また、前記ITO導電層の場合、スパッタリングなどにより前記PETフィルム上の全面にITO導電層が形成されるのが通常であり、そのパターニングにはフォトリソグラフィー等の煩雑な手法が必要である。さらに、配線パターンが形成される部分を、フォトレジスト、ソルダーレジスト、絶縁ペースト、絶縁フィルム等により被覆して絶縁部分を形成しなければならないという問題がある。
上述の問題を克服するため、WO96/39707には、上記ITO導電層上に、導電性ポリマーと非導電性ポリマーとの混合物で形成された被覆層を更に設けることが提案されている。このような構造を有することにより、長期間にわたる繰り返しの使用により前記ITO導電層が脆性破壊しても、該被覆層により前記ITO導電層の抵抗が高くならない。しかし、この場合には、上記被覆層の形成に多大なコストを要してしまうという問題がある。
特開平7−219697号公報および特開2000−123658号公報には、上記ITO導電層の代わりにITOなどを主成分とする導電性微粒子を含む高分子層を形成することにより、低い表面抵抗率を達成可能な導電性フィルムが提案されている。しかし、このような導電性フィルムを用いてタッチスクリーンを形成すると、該タッチスクリーンの表面で光の乱反射が起こる結果、タッチスクリーンが見難くなるという問題がある。
また、ITOの原料であるインジウムは希少金属であり、近年、透明電極用途としての需要も高まっていることから、原料価格が高騰しているのが現状である。
上述のような性能上の欠点および経済的な不利益のため、前記ITO導電層に代わる導電層として導電性高分子膜による導電性フィルムの研究が行われているが、前記導電性高分子膜による導電性フィルムは、その表面抵抗率がITO導電層による導電性フィルムと比較して高いという問題がある。そのため、導電性高分子膜による表面抵抗率の低い導電性フィルムを開発すべく種々の検討が行われている。
特開2002−60736号公報には、ポリチオフェン誘導体、水溶性化合物、および自己乳化型ポリエステル樹脂水分散体を含有する帯電防止用の導電性コーティング剤が提案されている。しかし、この公報に記載のポリチオフェン誘導体は導電性が不充分であり、かつこのコーティング剤を用いて基体上に形成した薄膜は、高温多湿の条件下で長時間保持すると表面抵抗率が高くなる場合がある。タッチスクリーンに用いる場合には、高温多湿などの環境変化に対しても高い信頼性が得られることが好ましく、さらなる改良が望まれている。
特開2005−146259号公報には、ポリチオフェン誘導体と、水溶性有機化合物と、ドーパントと、水溶性エポキシモノマーとを少なくとも含む導電性コーティング剤が提案されている。しかし、この導電性コーティング剤を用いて得られる導電性フィルムの表面抵抗率は比較的高く、タッチスクリーン用途としてはさらに表面抵抗率の低いものが望まれる。
タッチスクリーンなどの抵抗膜式スイッチに使用される導電性フィルムは、透明性、導電性、荷重をかけた(所定の部分を押圧した)ときの導通性、ガラス、プラスチックス等でなる基体に対する密着性に優れており、特に表面抵抗率が低いことが重要である。しかしながら、これらの性能を全て有する導電性フィルムを形成可能な導電性樹脂組成物は現時点では提供されていない。
タッチスクリーンは、液晶表示器、ブラウン管、エレクトロルミネッセンス(EL)表示器等の表示装置の表示画面に用いられている。タッチスクリーンは、二次元情報抵抗膜式スイッチの1種である。このタッチスクリーンは、例えば、スクリーン面の任意の位置が指またはペンの先端などで押圧されると、その押圧位置(導通場所)とタッチスクリーンの所定の位置に形成された電極(例えば、銀電極)の位置との距離から得られる抵抗値によりタッチ位置が算出され、その位置を電気信号としてコンピュータ機器に出力可能となるように設計されている。
近年、携帯型情報端末などの普及・進展に伴い、上記タッチスクリーンは、そのデータ入力における優れたマン−マシンインターフェイス性能が評価されて、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話、PHS、電卓、時計、GPS、銀行ATMシステム、自動販売機、POSシステム(Point of Sales System)など多方面に応用されている。該タッチスクリーンの中でも、特に抵抗タッチスクリーン型膜スイッチが、各種スイッチに応用可能である。抵抗タッチスクリーン型膜スイッチは、一般に、導電性を有する透明フィルムと、導電性を有する透明基体とが絶縁性スペーサーを介して対向配置する構造を有する。この透明フィルムにおける任意の部分が、指、ペンの先端などで押圧されると、該透明フィルムが撓んで前記透明基体に部分的に接触し、電気が導通し、信号等が出力される。
従来、上記タッチスクリーンに利用される透明フィルムとしては、ITO(インジウム錫酸化物)導電層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが多用されてきた。このようなITO導電層を有するPETフィルムを押圧により変形させると、繰り返しの変形によりITO層が破壊されるおそれがある。ITO自体は、セラミックスの一種であり可撓性に乏しいためである。このように、長期間にわたる繰り返しの使用によってITO層の脆性破壊が生じ、抵抗が大きくなり、品質が劣化するという問題が生じる。また、前記ITO導電層の場合、スパッタリングなどにより前記PETフィルム上の全面にITO導電層が形成されるのが通常であり、そのパターニングにはフォトリソグラフィー等の煩雑な手法が必要である。さらに、配線パターンが形成される部分を、フォトレジスト、ソルダーレジスト、絶縁ペースト、絶縁フィルム等により被覆して絶縁部分を形成しなければならないという問題がある。
上述の問題を克服するため、WO96/39707には、上記ITO導電層上に、導電性ポリマーと非導電性ポリマーとの混合物で形成された被覆層を更に設けることが提案されている。このような構造を有することにより、長期間にわたる繰り返しの使用により前記ITO導電層が脆性破壊しても、該被覆層により前記ITO導電層の抵抗が高くならない。しかし、この場合には、上記被覆層の形成に多大なコストを要してしまうという問題がある。
特開平7−219697号公報および特開2000−123658号公報には、上記ITO導電層の代わりにITOなどを主成分とする導電性微粒子を含む高分子層を形成することにより、低い表面抵抗率を達成可能な導電性フィルムが提案されている。しかし、このような導電性フィルムを用いてタッチスクリーンを形成すると、該タッチスクリーンの表面で光の乱反射が起こる結果、タッチスクリーンが見難くなるという問題がある。
また、ITOの原料であるインジウムは希少金属であり、近年、透明電極用途としての需要も高まっていることから、原料価格が高騰しているのが現状である。
上述のような性能上の欠点および経済的な不利益のため、前記ITO導電層に代わる導電層として導電性高分子膜による導電性フィルムの研究が行われているが、前記導電性高分子膜による導電性フィルムは、その表面抵抗率がITO導電層による導電性フィルムと比較して高いという問題がある。そのため、導電性高分子膜による表面抵抗率の低い導電性フィルムを開発すべく種々の検討が行われている。
特開2002−60736号公報には、ポリチオフェン誘導体、水溶性化合物、および自己乳化型ポリエステル樹脂水分散体を含有する帯電防止用の導電性コーティング剤が提案されている。しかし、この公報に記載のポリチオフェン誘導体は導電性が不充分であり、かつこのコーティング剤を用いて基体上に形成した薄膜は、高温多湿の条件下で長時間保持すると表面抵抗率が高くなる場合がある。タッチスクリーンに用いる場合には、高温多湿などの環境変化に対しても高い信頼性が得られることが好ましく、さらなる改良が望まれている。
特開2005−146259号公報には、ポリチオフェン誘導体と、水溶性有機化合物と、ドーパントと、水溶性エポキシモノマーとを少なくとも含む導電性コーティング剤が提案されている。しかし、この導電性コーティング剤を用いて得られる導電性フィルムの表面抵抗率は比較的高く、タッチスクリーン用途としてはさらに表面抵抗率の低いものが望まれる。
タッチスクリーンなどの抵抗膜式スイッチに使用される導電性フィルムは、透明性、導電性、荷重をかけた(所定の部分を押圧した)ときの導通性、ガラス、プラスチックス等でなる基体に対する密着性に優れており、特に表面抵抗率が低いことが重要である。しかしながら、これらの性能を全て有する導電性フィルムを形成可能な導電性樹脂組成物は現時点では提供されていない。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を含有する導電性樹脂組成物であり、該複合体の導電率が0.30S/cm以上である導電性樹脂組成物を用いることによって、抵抗膜式スイッチを調製するのに最適な機能を有する導電性フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の導電性樹脂組成物は、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を含有し、該複合体の導電率が0.30S/cm以上である。
ひとつの実施態様によれば、上記ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で、酸化剤を用いて、水系溶媒中で重合させる工程を含む方法により製造される。
本発明の導電性フィルムは、透明基体上に導電層が形成されており、該導電層は、上記導電性樹脂組成物により形成される。
本発明の抵抗膜式スイッチは、第一導電層を透明基体上に有する第一導電性部材、第二導電層を基体上に有する第二導電性部材、および絶縁スペーサーを有し、該第一導電層は、上記導電性樹脂組成物からなる薄膜で構成され、該絶縁性スペーサーは、第二導電層上の一部に設けられ、そして第一導電層と第二導電層とは対向するように配置されている。
上述のように、本発明により、0.30S/cm以上の導電率を有するポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を導電成分として含有する導電性樹脂組成物が提供される。この組成物をガラス、プラスチックなどでなる基体(例えば、フィルム)表面に付与して導電性薄膜を形成すると、透明性および導電性に優れた積層体(例えば、導電性フィルム)が得られる。上記薄膜は、基体との密着性に優れ、表面抵抗率が低い。基体の種類を選択することにより、可撓性に優れたフィルムが得られる。この導電性フィルムは、容易かつ低コストで生産され得、量産が可能である。この導電性フィルムを抵抗膜式スイッチに用いられると、所定の部分を押圧したときの導通性に優れる。高温高湿の条件下で長時間保持した場合であっても、表面抵抗率が高くなるのが効果的に抑制される。従って、このような導電性フィルムは、タッチスクリーンなどの抵抗膜式スイッチに好適に用いられる。
本発明はまた、上記導電性フィルムを有し、高い導電率を有し、繰り返し使用しても劣化しない、高品質な抵抗膜式スイッチを提供する。
本発明の導電性樹脂組成物は、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を含有し、該複合体の導電率が0.30S/cm以上である。
ひとつの実施態様によれば、上記ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で、酸化剤を用いて、水系溶媒中で重合させる工程を含む方法により製造される。
本発明の導電性フィルムは、透明基体上に導電層が形成されており、該導電層は、上記導電性樹脂組成物により形成される。
本発明の抵抗膜式スイッチは、第一導電層を透明基体上に有する第一導電性部材、第二導電層を基体上に有する第二導電性部材、および絶縁スペーサーを有し、該第一導電層は、上記導電性樹脂組成物からなる薄膜で構成され、該絶縁性スペーサーは、第二導電層上の一部に設けられ、そして第一導電層と第二導電層とは対向するように配置されている。
上述のように、本発明により、0.30S/cm以上の導電率を有するポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を導電成分として含有する導電性樹脂組成物が提供される。この組成物をガラス、プラスチックなどでなる基体(例えば、フィルム)表面に付与して導電性薄膜を形成すると、透明性および導電性に優れた積層体(例えば、導電性フィルム)が得られる。上記薄膜は、基体との密着性に優れ、表面抵抗率が低い。基体の種類を選択することにより、可撓性に優れたフィルムが得られる。この導電性フィルムは、容易かつ低コストで生産され得、量産が可能である。この導電性フィルムを抵抗膜式スイッチに用いられると、所定の部分を押圧したときの導通性に優れる。高温高湿の条件下で長時間保持した場合であっても、表面抵抗率が高くなるのが効果的に抑制される。従って、このような導電性フィルムは、タッチスクリーンなどの抵抗膜式スイッチに好適に用いられる。
本発明はまた、上記導電性フィルムを有し、高い導電率を有し、繰り返し使用しても劣化しない、高品質な抵抗膜式スイッチを提供する。
図1は、本発明の抵抗膜式スイッチの一実施形態を示す模式断面図である。
図2(a)および(b)は、各々本発明の抵抗膜式スイッチの第一導電性部材および第二導電性部材の1態様を示す模式平面図である。
図2(a)および(b)は、各々本発明の抵抗膜式スイッチの第一導電性部材および第二導電性部材の1態様を示す模式平面図である。
以下に、本発明の導電性樹脂組成物、該組成物を用いて得られる導電性フィルム、および該導電性フィルムを用いた抵抗膜式スイッチについて、順次説明する。
(I)導電性樹脂組成物
本発明の導電性樹脂組成物は、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体、および必要に応じて、有機化合物、導電性向上剤、架橋剤、塗布性向上剤、溶剤、およびその他の成分を含む。
(I.1) ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体
ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で酸化剤を用いて重合させることにより得られる。この複合体の導電率は0.30S/cm以上、好ましくは、0.4S/cm以上、通常0.6〜30S/cmである。複合体の導電性が0.30S/cm未満であると、該導電性樹脂組成物の表面抵抗率が高く、良好な導電性が得られない。ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、好適には水分散体の形態で調製されるので、この複合体の導電率は、具体的には、後述の実施例に記載のように、該複合体を含む水分散体を基体上に塗布・乾燥して薄膜を形成し、該基体上の薄膜について、導電率を測定することにより得られる。
このポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、例えば、 以下の式(1)で表される3,4−ジアルコキシチオフェン
(式中、R1およびR2は相互に独立して水素またはC1−4のアルキル基であるか、あるいは一緒になってC1−4のアルキレン基を形成し、該アルキレン基は任意に置換されてもよい)を、ポリ陰イオンの存在下で、ペルオキソ二硫酸などの酸化剤を用い、水系溶媒中で重合させることにより、水分散体の形態で得られる。
上記3,4−ジアルコキシチオフェンにおいて、R1およびR2のC1−4のアルキル基としては、好適には、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが挙げられる。R1およびR2が一緒になって形成されるC1−4のアルキレン基としては、1,2−アルキレン基、1,3−アルキレン基などが挙げられ、好適には、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基などが挙げられる。このうち、1,2−エチレン基が特に好適である。また、C1−4のアルキレン基は置換されていてもよく、置換基としては、C1−12のアルキル基、フェニル基などが挙げられる。置換されたC1−4のアルキレン基としては、1,2−シクロヘキシレン基、2,3−ブチレン基などが挙げられる。このようなアルキレン基の代表例として、R1およびR2が一緒になって形成されるC1−12のアルキル基で置換された1,2−アルキレン基は、エテン、プロペン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、スチレンなどのα−オレフィン類を臭素化して得られる1,2−ジブロモアルカン類から誘導される。
上記方法に用いられる、ポリ陰イオンとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などのポリカルボン酸類;ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などのポリスルホン酸類などが挙げられる。これらの中で、ポリスチレンスルホン酸が特に好適である。これらのカルボン酸およびスルホン酸類はまた、ビニルカルボン酸類またはビニルスルホン酸類と他の重合可能なモノマー類(例えば、アクリレート類、スチレンなど)との共重合体であっても良い。また、上記ポリ陰イオンの数平均分子量は、1,000から2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは、2,000から500,000の範囲であり、最も好ましくは、10,000から200,000の範囲である。ポリ陰イオンの使用量は、上記チオフェン100重量部に対して、50から3,000の範囲が好ましく、より好ましくは100から1,000の範囲であり、最も好ましくは、150から500の範囲である。
上記方法に用いられる溶媒は水系溶媒であり、特に好ましくは水である。メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどのアルコール;アセトン、アセトニトリルなどの水溶性の溶媒を水に添加して用いてもよい。
本発明の方法において、3,4−ジアルコキシチオフェンの重合反応を行う際の酸化剤としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、無機酸化第二鉄塩、有機酸化第二鉄塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、過ホウ酸アルカリ塩、銅塩など。これらのうち、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、およびペルオキソ二硫酸アンモニウムが最も好適である。酸化剤の使用量は、上記チオフェン1モル当たり、1から5当量の範囲が好ましく、より好ましくは、2から4当量の範囲である。
上記材料を用いた重合反応により、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)が生成する。このポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)は、ポリ陰イオンがドープした状態であると考えられ、本明細書では、これを「ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体」、あるいは単に「複合体」と記載する。
ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の、本発明の導電性樹脂組成物中における含有量は、特に制限はないが、充分な導電性を確保するために、好ましくは1〜99質量%であり、より好ましくは、20〜80質量%である。この含有量は、組成物全体の質量を基準とする固形分換算量である。後述の有機化合物、導電性向上剤、架橋剤、および塗布性向上剤についても同様である。
各成分についても同様である。含有量が、上記範囲を外れると、該導電性樹脂組成物からなる薄膜を形成したときに、その表面抵抗率高く、良好な導電性が得られない場合がある。さらに、抵抗膜式スイッチを形成し、所定の部分を押圧したときに充分な導通性が得られない場合がある。
(I.2)有機化合物
本発明の導電性樹脂組成物に含有され得る有機化合物は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。例えば、水溶性ポリエステル系ポリマー、水溶性ポリウレタン系ポリマー、水溶性ポリアクリル系ポリマー、水分散性ポリエステル系ポリマー、水分散性ポリウレタン系ポリマー、水分散性ポリアクリル系ポリマーなどが好適に用いられる。これらの中でも、水溶性ポリエステル系ポリマー、水分散性ポリエステルポリマーなどが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの有機化合物の組成物中の含有量は、特に限定されないが、1質量%以上、好適には5質量%以上、通常、1〜75質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、有機化合物はその中に溶解または分散する。
(I.3) 導電性向上剤
本発明の組成物に含有され得る導電性向上剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。導電性向上剤を用いると、本発明の組成物を用いて形成した導電性フィルムの表面抵抗率をより低くすることができる点で有利である。
前記導電性向上剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミドが好ましい。導電性向上剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性向上剤の、前記導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。含有量は、好適には、1質量%以上、さらに好適には2〜4質量%であり、通常、1〜10質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、導電性向上剤はその中に溶解または分散した状態で存在する。
(I.4) 架橋剤
架橋剤は、組成物中の上記有機化合物などを架橋させて、基体上に形成される薄膜全体の強度を高める効果を有する。
このような架橋剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶性アクリルモノマー、水溶性アクリルオリゴマー、水溶性アクリルポリマー、水溶性メラミンモノマー、水溶性メラミンオリゴマー、水溶性メラミンポリマー、水溶性エポキシオリゴマー、水溶性エポキシポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、水溶性アクリルモノマー、水溶性メラミンモノマーが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記架橋剤の、前記導電性樹脂組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。含有量は、好適には0.05質量%以上、通常、1〜75質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、架橋剤はその中に溶解または分散して存在する。
(I.5) 塗布性向上剤
塗布性向上剤は、組成物が溶媒を含む場合、例えば、組成物が水分散体である場合などにおいて、該水分散体を基体表面に塗布するのを容易にする機能を有する。
塗布性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶性アクリル系共重合物、シリコン変性水溶性アクリルポリマー、ポリエーテル変性水溶性ジメチルシロキサン、フッ素系変性ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、ポリエーテル変性水溶性ジメチルシロキサンが好ましい。塗布性向上剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塗布性向上剤の、前記導電性樹脂組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。含有量は、好適には0.01質量%以上、通常、0.01〜10質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、架橋剤はその中に溶解または分散した状態で存在する。
(I.6) その他の成分
組成物中に含有され得るその他の成分は、特に制限はなく、公知の添加剤等の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、表面改質剤、脱泡剤、可塑剤、抗菌剤、界面活性剤、金属微粒子などが挙げられる。上記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(I.7) 溶剤
前記溶剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、これらの中でも、水、エタノールが好ましい。溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(I.8) 導電性樹脂組成物
本発明の導電性樹脂組成物は、上述のように、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体、および必要に応じて、有機化合物、導電性向上剤、架橋剤、塗布性向上剤、溶剤、およびその他の成分を含む。この組成物は、通常、水あるいは、水と有機溶媒とを含む分散体の形態で調製される。例えば、上記複合体を水分散体の形態で調製し、これに必要に応じて、有機化合物、導電性向上剤、架橋剤などの上記各種成分を加えることにより、水分散体の形態である導電性樹脂組成物が得られる。
(II)導電性フィルム
本発明の導電性フィルムは、透明基体上に、上記導電性樹脂組成物により形成された薄膜でなる導電層を有する。この導電性フィルムは、後述の抵抗膜式スイッチをはじめ、導電性および透明性を必要とする各種電子部材に利用され得る。
(II.1) 透明基体
本発明に利用可能な透明基体としては、透明な材料でなる基体であれば特に制限はなく、その材料の種類、基体の形状、構造、大きさ、厚み等については目的に応じて適宜選択することができる。なお、本明細書において「透明」には、無色透明のほか、有色透明、無色半透明、有色半透明などが含まれる。
透明基体の材料としては、例えば、樹脂、ガラスなどが好適に挙げられる。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、この導電性フィルムを後述の抵抗膜式スイッチに用いる場合には、これらの樹脂の中でも、透明性および可撓性に優れる点で、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)が好ましい。
透明基体は、通常、フィルム状またはシート状であるが、板状であってもよい。透明基体は、例えば、単独の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよく、この場合、積層構造などであるのが好ましい。例えば、2種の樹脂フィルムからなる積層体などが挙げられる。
(II.2) 導電性フィルムの調製
本発明の導電性フィルムの調製方法は特に限定されない。通常、上記透明基体表面に、上記導電性樹脂組成物を水分散体などの液状あるいはペースト状で付与(コーティング)し、乾燥して、導電層を形成することにより得られる。
前記コーティング方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、印刷法などが好適に挙げられる。塗布方法は1種を単独で採用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塗布法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法などが挙げられる。
上記印刷法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法などが挙げられる。
本発明の導電性フィルムにおいて、導電性樹脂組成物により形成される薄膜(導電層)の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
導電層の厚みが、0.01μm未満であると、該フィルムの表面抵抗率が不安定化することがあり、10μmを超えると、透明基体との密着性に劣る場合がある。
本発明の前記導電性フィルムの表面抵抗率は、特に制限はなく、用いられる組成物の成分、形成される導電層の厚みなどを適宜調整することにより、目的に応じて所望の表面低効率を有するように調製することが可能である。例えば、後述の抵抗膜式スイッチに用いる場合には、表面抵抗率は、2,000Ω/□以下であるのが好ましく、1,500Ω/□以下であるのがより好ましい。
前記導電性フィルムの表面抵抗率が、2,000Ω/□を超えると、抵抗膜式スイッチにおいて、所定の部分を押圧したときの導通性が低下することがある。
上記表面抵抗率は、例えば、JIS K6911などに準拠して測定することができ、また、市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することもできる。
このようにして得られた本発明の導電性フィルムは、透明性、導電性に優れ、その導電層は、ガラス、プラスチックなどでなる基体に対する密着性に優れる。高温高湿の条件下で長時間保持した場合であっても表面抵抗率の上昇が効果的に抑制される。さらに、この導電性フィルムは、低コストで所望の形状に量産可能であり、基体の種類を適切に選択すれば可撓性のフィルムとすることができる。従って、後述のように、タッチスクリーン等の抵抗膜式スイッチなどに特に好適に利用される。
(III)抵抗膜式スイッチ
(III.1) 抵抗膜式スイッチの構成
以下に、本発明の抵抗膜式スイッチの構成について、その一実施形態を挙げて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の抵抗膜式スイッチの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、抵抗膜式スイッチ10は、透明基体11上に第一導電層12が形成された導電性フィルムでなる第一導電性部材1と、基体21上に第二導電層22が形成された第二導電性部材2と、絶縁性スペーサー3とを有する。絶縁性スペーサー3は、第二導電層22上に形成されている。第一導電性部材1と第二導電性部材2とは、該第一導電性部材1の第一導電層12と、該第二導電性部材2の第二導電層22とが絶縁性スペーサー3を介して対向するように配置され、該第一導電層12と該第二導電層22とは互いに接触しないように位置決めされている。
本実施形態の抵抗膜式スイッチにおいては、上記第一導電性部材1の第一導電層12および第二導電性部材2の第2導電層22のそれぞれが電源(図示せず)に接続されている。
この抵抗膜式スイッチがタッチスクリーンである場合、透明基体11の表面(第一導電層12と接していない表面)がタッチ面となる。タッチ面が指またはペンの先端などで押圧されると、第一導電性部材1が変形し、その押圧された部分の第一導電層12が第二導電層22に接触する。その結果、接触部分において電気が導通し、電気信号が出力可能となり、抵抗膜スイッチが作動あるいは駆動する。
この電気信号を利用することにより、本抵抗膜スイッチは入力装置として機能する。
以下に、本発明の抵抗膜スイッチを構成する要素、およびそれを用いた抵抗膜スイッチについて詳細に説明する。
抵抗膜スイッチの構成要素は、図1に示される第一導電性部材1、第二導電性部材、および絶縁スペーサーである。
(III.2) 抵抗膜スイッチを構成する第一導電性部材
本発明の抵抗膜式スイッチを構成する第一導電性部材1は、透明基体11上に導電性の薄膜(第一導電層)が形成されてなる。この第一導電性部材1としては、上記(II)項に記載した導電性フィルムが用いられる。このフィルムの導電層は、第一導電層12である。
導電性フィルムの基体11は、抵抗膜式スイッチに用いられるため、光学的に透明であることが必要である。さらに、導電層を形成して導電性フィルムを得、抵抗膜スイッチとしたときに、使用可能な可撓性と強度とを有することが必要である。
例えば、上述のように、透明性および可撓性に優れるポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)でなるフィルムが好適である。
透明基体11の大きさは、例えば、抵抗膜式スイッチがタッチスクリーン等である場合には、そのタッチスクリーン面と同等あるいはほぼ同等の大きさであるのが好ましい。透明基体の厚みは、例えば、抵抗膜式スイッチがタッチスクリーン等である場合には、機械的強度が十分でかつ適度な可撓性を示す程度の厚みであれば充分である。
第一導電性部材は、この透明基体11上に、上記のように導電性樹脂組成物を、水分散体などの液状あるいはペースト状で付与して乾燥し、薄膜(第一導電層12)を形成することにより得られる。
上記第一導電層12は、透明基体11上の全面に形成されていてもよいし、一部(部分的)に形成されていてもよい。後者の場合、抵抗膜式スイッチがタッチスクリーン等である場合において、電極や配線パターンなどを形成するスペースを確保することができる等の点で有利である。即ち、タッチスクリーン等においては、ITO導電層が全面に形成された基体を用いると、これをエッチングにより除去したり、絶縁フィルムなどにより被覆を行うという複雑で高コストな処理が必要となるのに対して、導電層が部分的に形成されている場合はこのような処理が必要ではないという点で有利である。
第一導電性部材1は、光学的には透明に優れ、可撓性であるのが好ましい。可撓性であることにより、該第一導電性部材1は、押圧により変形可能であり、押圧された場合に第二導電性部材2に部分的に接触可能とすることができる。導電性の程度、即ち抵抗率等については、特に制限はなく、目的に応じて必要とされる程度となるように適宜決定することができる。例えば、一般に用いられるタッチスクリーンにおける透明導電層の抵抗率と同様の範囲とすることができる。
なお、前記第一導電性部材1の大きさは、例えば、タッチスクリーンに利用される場合には、そのタッチスクリーン面と同等かほぼ同等の大きさであるのが好ましい。
(III.3) 抵抗膜スイッチを構成する第二導電性部材
本発明の抵抗膜式スイッチを構成する第二導電性部材2は、基体21上に導電性の薄膜(第二導電層22)が形成されてなる。この基体21の材料、色、形状、構造、大きさ等については特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基体21の具体的な材料としては、例えば、硬度に優れ、表面への導電層の形成が容易であるなどの点で、ガラス、樹脂などが好適に挙げられる。
基体21に用いられ得る樹脂としては、硬質樹脂などが挙げられる。
硬質樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリマレイミド樹脂などが挙げられる。
基体21は、光学的には不透明であってもよいが、目的に応じて透明または半透明の材料、特に透明の材料が好適に用いられる。
基体21の形状も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液晶表示器などに配置される観点から板状の形状が好適である。基体21は、例えば、単独の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよく、この場合、積層構造などであるのが好ましい。例えば、2種の樹脂フィルムからなる積層体などが挙げられる。
基体21の大きさは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記第一導電性部材1の大きさと略同等の大きさが採用される。
上記第二導電層を形成し得る材料としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる導電性材料の中から適宜選択することができる。そのような導電性材料としては、例えば、ITOが挙げられ、その他にも上記本発明の導電性樹脂組成物などが利用可能である。上記ITOでなる導電層は、蒸着法、スパッタリング法などの公知の薄膜形成方法により形成することができる。本発明の導電性樹脂組成物を用いる場合は、基体21上に、上記第一導電層と同様の塗布などの工程により導電層が形成される。
第二導電性部材2として、上記第一導電性部材1と同様の構成のフィルムとすることも可能である。この場合、第一導電性部材1および第二導電性部材2の双方が可撓性を有する結果、該抵抗膜式スイッチを曲面状に設計および配置等することができ、設置場所、デザインの選択の自由度を向上させることができる。また、ガラス等の硬質材料を使用しない場合には小型軽量化が可能であり、携帯性に優れた抵抗膜式スイッチが得られる点で有利である。
(III.4) 絶縁性スペーサー
本発明に用いられる絶縁性スペーサー3の形状、構造、材質、大きさ等については特に制限はなく、当該分野で一般に用いられるものの中から適宜選択することができる。絶縁性スペーサーの材料としては、例えば、アクリル系樹脂などが挙げられる。絶縁性スペーサーの形状としては、円柱状、半球状、直方体状などが挙げられる。この絶縁性スペーサー3は、基体21の上に形成された第二導電層22の表面に形成される。具体的には、公知のフォトリソグラフィーなどの方法が採用され得る。
(III.5) その他の部材
本発明の抵抗膜式スイッチは、上述の構成要素のほか、必要に応じて適宜選択したその他の部材を有していてもよい。その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、電極、ランドパターン、配線パターン、ドットスペーサーなどが挙げられる。
前記電極、前記ランドパターン、前記配線パターンなどを構成する材料、その形状、構造、大きさ等については、導電性の素材である限り特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記材料としては、例えば、ポリエステル系銀ペーストなどが挙げられる。
前記電極、前記ランドパターン、前記配線パターンなどの形成方法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、塗布方法、印刷方法などの方法が挙げられる。
前記ドットスペーサーの材料、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。ドットスペーサーに用いられる材料としては、例えば、アクリル系樹脂などが挙げられ、その形状としては、例えば、円柱状、半球状、直方体状などが挙げられる。
前記ドットスペーサーの形成方法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、フォトリソグラフィーなどが挙げられる。
上記その他の部材のうち、電極は、第一導電性部材1の第一導電層12および第二導電性部材2の第二導電層22に接触するように、電極以外の部材は第二導電層22上に形成される。
(III.6) 抵抗膜式スイッチ
本発明の抵抗膜式スイッチは、図1に示すように、上記第一導電性部材1と第二導電性部材2とを、該第一導電性部材1の第一導電層12と、該第二導電性部材2の第二導電層22とが絶縁性スペーサー3を介して対向するように配置することにより得られる。
このスイッチの調製工程においては、通常、まず第二導電性部材2の第二導電層22上に、フォトリソグラフィーなどの手段により、絶縁性スペーサー3を形成する。次いで、この第一導電性部材1の第1導電層12表面および第二導電性部材2の第二導電層22の一部に各々第一電極および第二電極を形成し、第一導電性部材1と第二導電性部材2とを対向配置することにより抵抗膜式スイッチが得られる。例えば、図2(a)および(b)に示すように、同じ矩形の形状の第一導電性部材1および第二導電性部材2を作成した場合、第一電極131、141は、第一導電性部材1の短辺近傍に、幅方向に沿って帯状に形成される。第二電極231、241は、該第二導電性部材2の側縁(長辺)近傍に、長手方向に帯状に形成される。この第一および第二電極は、導電性を有する材料で形成されていればよく、その材料および形状は特に限定されない。例えば、銀ペーストを帯状に塗布すること、銅薄膜を貼付することなどにより形成される。図2における13、14、23、24は、各々配線引き出し用のタブ電極であり、各々第一または第二電極に接するように形成される。次いで、第一導電性部材1および第二導電性部材2は、それらの帯状の第一および第二電極が直交するように、かつ電極同士が電気的に接触しないように張り合わせられる。
このようにして得られた本発明の抵抗膜式スイッチは、透明性、および導電層の導電性に優れ、所定の部分を押圧したときの導通性に優れ、可撓性にも優れる。さらに、高温高湿の条件下で長時間保存した場合であっても導電層の表面抵抗率の上昇が効果的に抑制される。更には、低コストで所望の形状に量産可能である。そのため、各種分野に好適に使用することができる。例えば、タッチスクリーン、メンブランスイッチなどに特に好適に使用することができる。
(I)導電性樹脂組成物
本発明の導電性樹脂組成物は、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体、および必要に応じて、有機化合物、導電性向上剤、架橋剤、塗布性向上剤、溶剤、およびその他の成分を含む。
(I.1) ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体
ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で酸化剤を用いて重合させることにより得られる。この複合体の導電率は0.30S/cm以上、好ましくは、0.4S/cm以上、通常0.6〜30S/cmである。複合体の導電性が0.30S/cm未満であると、該導電性樹脂組成物の表面抵抗率が高く、良好な導電性が得られない。ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、好適には水分散体の形態で調製されるので、この複合体の導電率は、具体的には、後述の実施例に記載のように、該複合体を含む水分散体を基体上に塗布・乾燥して薄膜を形成し、該基体上の薄膜について、導電率を測定することにより得られる。
このポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体は、例えば、 以下の式(1)で表される3,4−ジアルコキシチオフェン
(式中、R1およびR2は相互に独立して水素またはC1−4のアルキル基であるか、あるいは一緒になってC1−4のアルキレン基を形成し、該アルキレン基は任意に置換されてもよい)を、ポリ陰イオンの存在下で、ペルオキソ二硫酸などの酸化剤を用い、水系溶媒中で重合させることにより、水分散体の形態で得られる。
上記3,4−ジアルコキシチオフェンにおいて、R1およびR2のC1−4のアルキル基としては、好適には、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが挙げられる。R1およびR2が一緒になって形成されるC1−4のアルキレン基としては、1,2−アルキレン基、1,3−アルキレン基などが挙げられ、好適には、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基などが挙げられる。このうち、1,2−エチレン基が特に好適である。また、C1−4のアルキレン基は置換されていてもよく、置換基としては、C1−12のアルキル基、フェニル基などが挙げられる。置換されたC1−4のアルキレン基としては、1,2−シクロヘキシレン基、2,3−ブチレン基などが挙げられる。このようなアルキレン基の代表例として、R1およびR2が一緒になって形成されるC1−12のアルキル基で置換された1,2−アルキレン基は、エテン、プロペン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、スチレンなどのα−オレフィン類を臭素化して得られる1,2−ジブロモアルカン類から誘導される。
上記方法に用いられる、ポリ陰イオンとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などのポリカルボン酸類;ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などのポリスルホン酸類などが挙げられる。これらの中で、ポリスチレンスルホン酸が特に好適である。これらのカルボン酸およびスルホン酸類はまた、ビニルカルボン酸類またはビニルスルホン酸類と他の重合可能なモノマー類(例えば、アクリレート類、スチレンなど)との共重合体であっても良い。また、上記ポリ陰イオンの数平均分子量は、1,000から2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは、2,000から500,000の範囲であり、最も好ましくは、10,000から200,000の範囲である。ポリ陰イオンの使用量は、上記チオフェン100重量部に対して、50から3,000の範囲が好ましく、より好ましくは100から1,000の範囲であり、最も好ましくは、150から500の範囲である。
上記方法に用いられる溶媒は水系溶媒であり、特に好ましくは水である。メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどのアルコール;アセトン、アセトニトリルなどの水溶性の溶媒を水に添加して用いてもよい。
本発明の方法において、3,4−ジアルコキシチオフェンの重合反応を行う際の酸化剤としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、無機酸化第二鉄塩、有機酸化第二鉄塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、過ホウ酸アルカリ塩、銅塩など。これらのうち、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、およびペルオキソ二硫酸アンモニウムが最も好適である。酸化剤の使用量は、上記チオフェン1モル当たり、1から5当量の範囲が好ましく、より好ましくは、2から4当量の範囲である。
上記材料を用いた重合反応により、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)が生成する。このポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)は、ポリ陰イオンがドープした状態であると考えられ、本明細書では、これを「ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体」、あるいは単に「複合体」と記載する。
ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の、本発明の導電性樹脂組成物中における含有量は、特に制限はないが、充分な導電性を確保するために、好ましくは1〜99質量%であり、より好ましくは、20〜80質量%である。この含有量は、組成物全体の質量を基準とする固形分換算量である。後述の有機化合物、導電性向上剤、架橋剤、および塗布性向上剤についても同様である。
各成分についても同様である。含有量が、上記範囲を外れると、該導電性樹脂組成物からなる薄膜を形成したときに、その表面抵抗率高く、良好な導電性が得られない場合がある。さらに、抵抗膜式スイッチを形成し、所定の部分を押圧したときに充分な導通性が得られない場合がある。
(I.2)有機化合物
本発明の導電性樹脂組成物に含有され得る有機化合物は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択される。例えば、水溶性ポリエステル系ポリマー、水溶性ポリウレタン系ポリマー、水溶性ポリアクリル系ポリマー、水分散性ポリエステル系ポリマー、水分散性ポリウレタン系ポリマー、水分散性ポリアクリル系ポリマーなどが好適に用いられる。これらの中でも、水溶性ポリエステル系ポリマー、水分散性ポリエステルポリマーなどが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの有機化合物の組成物中の含有量は、特に限定されないが、1質量%以上、好適には5質量%以上、通常、1〜75質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、有機化合物はその中に溶解または分散する。
(I.3) 導電性向上剤
本発明の組成物に含有され得る導電性向上剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。導電性向上剤を用いると、本発明の組成物を用いて形成した導電性フィルムの表面抵抗率をより低くすることができる点で有利である。
前記導電性向上剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミドが好ましい。導電性向上剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性向上剤の、前記導電性樹脂組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。含有量は、好適には、1質量%以上、さらに好適には2〜4質量%であり、通常、1〜10質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、導電性向上剤はその中に溶解または分散した状態で存在する。
(I.4) 架橋剤
架橋剤は、組成物中の上記有機化合物などを架橋させて、基体上に形成される薄膜全体の強度を高める効果を有する。
このような架橋剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶性アクリルモノマー、水溶性アクリルオリゴマー、水溶性アクリルポリマー、水溶性メラミンモノマー、水溶性メラミンオリゴマー、水溶性メラミンポリマー、水溶性エポキシオリゴマー、水溶性エポキシポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、水溶性アクリルモノマー、水溶性メラミンモノマーが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記架橋剤の、前記導電性樹脂組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。含有量は、好適には0.05質量%以上、通常、1〜75質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、架橋剤はその中に溶解または分散して存在する。
(I.5) 塗布性向上剤
塗布性向上剤は、組成物が溶媒を含む場合、例えば、組成物が水分散体である場合などにおいて、該水分散体を基体表面に塗布するのを容易にする機能を有する。
塗布性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶性アクリル系共重合物、シリコン変性水溶性アクリルポリマー、ポリエーテル変性水溶性ジメチルシロキサン、フッ素系変性ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、ポリエーテル変性水溶性ジメチルシロキサンが好ましい。塗布性向上剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塗布性向上剤の、前記導電性樹脂組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。含有量は、好適には0.01質量%以上、通常、0.01〜10質量%の割合で含有される。組成物が水などの溶媒を含む場合には、架橋剤はその中に溶解または分散した状態で存在する。
(I.6) その他の成分
組成物中に含有され得るその他の成分は、特に制限はなく、公知の添加剤等の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、表面改質剤、脱泡剤、可塑剤、抗菌剤、界面活性剤、金属微粒子などが挙げられる。上記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(I.7) 溶剤
前記溶剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、これらの中でも、水、エタノールが好ましい。溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(I.8) 導電性樹脂組成物
本発明の導電性樹脂組成物は、上述のように、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体、および必要に応じて、有機化合物、導電性向上剤、架橋剤、塗布性向上剤、溶剤、およびその他の成分を含む。この組成物は、通常、水あるいは、水と有機溶媒とを含む分散体の形態で調製される。例えば、上記複合体を水分散体の形態で調製し、これに必要に応じて、有機化合物、導電性向上剤、架橋剤などの上記各種成分を加えることにより、水分散体の形態である導電性樹脂組成物が得られる。
(II)導電性フィルム
本発明の導電性フィルムは、透明基体上に、上記導電性樹脂組成物により形成された薄膜でなる導電層を有する。この導電性フィルムは、後述の抵抗膜式スイッチをはじめ、導電性および透明性を必要とする各種電子部材に利用され得る。
(II.1) 透明基体
本発明に利用可能な透明基体としては、透明な材料でなる基体であれば特に制限はなく、その材料の種類、基体の形状、構造、大きさ、厚み等については目的に応じて適宜選択することができる。なお、本明細書において「透明」には、無色透明のほか、有色透明、無色半透明、有色半透明などが含まれる。
透明基体の材料としては、例えば、樹脂、ガラスなどが好適に挙げられる。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、この導電性フィルムを後述の抵抗膜式スイッチに用いる場合には、これらの樹脂の中でも、透明性および可撓性に優れる点で、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)が好ましい。
透明基体は、通常、フィルム状またはシート状であるが、板状であってもよい。透明基体は、例えば、単独の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよく、この場合、積層構造などであるのが好ましい。例えば、2種の樹脂フィルムからなる積層体などが挙げられる。
(II.2) 導電性フィルムの調製
本発明の導電性フィルムの調製方法は特に限定されない。通常、上記透明基体表面に、上記導電性樹脂組成物を水分散体などの液状あるいはペースト状で付与(コーティング)し、乾燥して、導電層を形成することにより得られる。
前記コーティング方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、印刷法などが好適に挙げられる。塗布方法は1種を単独で採用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塗布法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法などが挙げられる。
上記印刷法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法などが挙げられる。
本発明の導電性フィルムにおいて、導電性樹脂組成物により形成される薄膜(導電層)の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
導電層の厚みが、0.01μm未満であると、該フィルムの表面抵抗率が不安定化することがあり、10μmを超えると、透明基体との密着性に劣る場合がある。
本発明の前記導電性フィルムの表面抵抗率は、特に制限はなく、用いられる組成物の成分、形成される導電層の厚みなどを適宜調整することにより、目的に応じて所望の表面低効率を有するように調製することが可能である。例えば、後述の抵抗膜式スイッチに用いる場合には、表面抵抗率は、2,000Ω/□以下であるのが好ましく、1,500Ω/□以下であるのがより好ましい。
前記導電性フィルムの表面抵抗率が、2,000Ω/□を超えると、抵抗膜式スイッチにおいて、所定の部分を押圧したときの導通性が低下することがある。
上記表面抵抗率は、例えば、JIS K6911などに準拠して測定することができ、また、市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することもできる。
このようにして得られた本発明の導電性フィルムは、透明性、導電性に優れ、その導電層は、ガラス、プラスチックなどでなる基体に対する密着性に優れる。高温高湿の条件下で長時間保持した場合であっても表面抵抗率の上昇が効果的に抑制される。さらに、この導電性フィルムは、低コストで所望の形状に量産可能であり、基体の種類を適切に選択すれば可撓性のフィルムとすることができる。従って、後述のように、タッチスクリーン等の抵抗膜式スイッチなどに特に好適に利用される。
(III)抵抗膜式スイッチ
(III.1) 抵抗膜式スイッチの構成
以下に、本発明の抵抗膜式スイッチの構成について、その一実施形態を挙げて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の抵抗膜式スイッチの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、抵抗膜式スイッチ10は、透明基体11上に第一導電層12が形成された導電性フィルムでなる第一導電性部材1と、基体21上に第二導電層22が形成された第二導電性部材2と、絶縁性スペーサー3とを有する。絶縁性スペーサー3は、第二導電層22上に形成されている。第一導電性部材1と第二導電性部材2とは、該第一導電性部材1の第一導電層12と、該第二導電性部材2の第二導電層22とが絶縁性スペーサー3を介して対向するように配置され、該第一導電層12と該第二導電層22とは互いに接触しないように位置決めされている。
本実施形態の抵抗膜式スイッチにおいては、上記第一導電性部材1の第一導電層12および第二導電性部材2の第2導電層22のそれぞれが電源(図示せず)に接続されている。
この抵抗膜式スイッチがタッチスクリーンである場合、透明基体11の表面(第一導電層12と接していない表面)がタッチ面となる。タッチ面が指またはペンの先端などで押圧されると、第一導電性部材1が変形し、その押圧された部分の第一導電層12が第二導電層22に接触する。その結果、接触部分において電気が導通し、電気信号が出力可能となり、抵抗膜スイッチが作動あるいは駆動する。
この電気信号を利用することにより、本抵抗膜スイッチは入力装置として機能する。
以下に、本発明の抵抗膜スイッチを構成する要素、およびそれを用いた抵抗膜スイッチについて詳細に説明する。
抵抗膜スイッチの構成要素は、図1に示される第一導電性部材1、第二導電性部材、および絶縁スペーサーである。
(III.2) 抵抗膜スイッチを構成する第一導電性部材
本発明の抵抗膜式スイッチを構成する第一導電性部材1は、透明基体11上に導電性の薄膜(第一導電層)が形成されてなる。この第一導電性部材1としては、上記(II)項に記載した導電性フィルムが用いられる。このフィルムの導電層は、第一導電層12である。
導電性フィルムの基体11は、抵抗膜式スイッチに用いられるため、光学的に透明であることが必要である。さらに、導電層を形成して導電性フィルムを得、抵抗膜スイッチとしたときに、使用可能な可撓性と強度とを有することが必要である。
例えば、上述のように、透明性および可撓性に優れるポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)でなるフィルムが好適である。
透明基体11の大きさは、例えば、抵抗膜式スイッチがタッチスクリーン等である場合には、そのタッチスクリーン面と同等あるいはほぼ同等の大きさであるのが好ましい。透明基体の厚みは、例えば、抵抗膜式スイッチがタッチスクリーン等である場合には、機械的強度が十分でかつ適度な可撓性を示す程度の厚みであれば充分である。
第一導電性部材は、この透明基体11上に、上記のように導電性樹脂組成物を、水分散体などの液状あるいはペースト状で付与して乾燥し、薄膜(第一導電層12)を形成することにより得られる。
上記第一導電層12は、透明基体11上の全面に形成されていてもよいし、一部(部分的)に形成されていてもよい。後者の場合、抵抗膜式スイッチがタッチスクリーン等である場合において、電極や配線パターンなどを形成するスペースを確保することができる等の点で有利である。即ち、タッチスクリーン等においては、ITO導電層が全面に形成された基体を用いると、これをエッチングにより除去したり、絶縁フィルムなどにより被覆を行うという複雑で高コストな処理が必要となるのに対して、導電層が部分的に形成されている場合はこのような処理が必要ではないという点で有利である。
第一導電性部材1は、光学的には透明に優れ、可撓性であるのが好ましい。可撓性であることにより、該第一導電性部材1は、押圧により変形可能であり、押圧された場合に第二導電性部材2に部分的に接触可能とすることができる。導電性の程度、即ち抵抗率等については、特に制限はなく、目的に応じて必要とされる程度となるように適宜決定することができる。例えば、一般に用いられるタッチスクリーンにおける透明導電層の抵抗率と同様の範囲とすることができる。
なお、前記第一導電性部材1の大きさは、例えば、タッチスクリーンに利用される場合には、そのタッチスクリーン面と同等かほぼ同等の大きさであるのが好ましい。
(III.3) 抵抗膜スイッチを構成する第二導電性部材
本発明の抵抗膜式スイッチを構成する第二導電性部材2は、基体21上に導電性の薄膜(第二導電層22)が形成されてなる。この基体21の材料、色、形状、構造、大きさ等については特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基体21の具体的な材料としては、例えば、硬度に優れ、表面への導電層の形成が容易であるなどの点で、ガラス、樹脂などが好適に挙げられる。
基体21に用いられ得る樹脂としては、硬質樹脂などが挙げられる。
硬質樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリマレイミド樹脂などが挙げられる。
基体21は、光学的には不透明であってもよいが、目的に応じて透明または半透明の材料、特に透明の材料が好適に用いられる。
基体21の形状も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液晶表示器などに配置される観点から板状の形状が好適である。基体21は、例えば、単独の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよく、この場合、積層構造などであるのが好ましい。例えば、2種の樹脂フィルムからなる積層体などが挙げられる。
基体21の大きさは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記第一導電性部材1の大きさと略同等の大きさが採用される。
上記第二導電層を形成し得る材料としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる導電性材料の中から適宜選択することができる。そのような導電性材料としては、例えば、ITOが挙げられ、その他にも上記本発明の導電性樹脂組成物などが利用可能である。上記ITOでなる導電層は、蒸着法、スパッタリング法などの公知の薄膜形成方法により形成することができる。本発明の導電性樹脂組成物を用いる場合は、基体21上に、上記第一導電層と同様の塗布などの工程により導電層が形成される。
第二導電性部材2として、上記第一導電性部材1と同様の構成のフィルムとすることも可能である。この場合、第一導電性部材1および第二導電性部材2の双方が可撓性を有する結果、該抵抗膜式スイッチを曲面状に設計および配置等することができ、設置場所、デザインの選択の自由度を向上させることができる。また、ガラス等の硬質材料を使用しない場合には小型軽量化が可能であり、携帯性に優れた抵抗膜式スイッチが得られる点で有利である。
(III.4) 絶縁性スペーサー
本発明に用いられる絶縁性スペーサー3の形状、構造、材質、大きさ等については特に制限はなく、当該分野で一般に用いられるものの中から適宜選択することができる。絶縁性スペーサーの材料としては、例えば、アクリル系樹脂などが挙げられる。絶縁性スペーサーの形状としては、円柱状、半球状、直方体状などが挙げられる。この絶縁性スペーサー3は、基体21の上に形成された第二導電層22の表面に形成される。具体的には、公知のフォトリソグラフィーなどの方法が採用され得る。
(III.5) その他の部材
本発明の抵抗膜式スイッチは、上述の構成要素のほか、必要に応じて適宜選択したその他の部材を有していてもよい。その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、電極、ランドパターン、配線パターン、ドットスペーサーなどが挙げられる。
前記電極、前記ランドパターン、前記配線パターンなどを構成する材料、その形状、構造、大きさ等については、導電性の素材である限り特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記材料としては、例えば、ポリエステル系銀ペーストなどが挙げられる。
前記電極、前記ランドパターン、前記配線パターンなどの形成方法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、塗布方法、印刷方法などの方法が挙げられる。
前記ドットスペーサーの材料、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。ドットスペーサーに用いられる材料としては、例えば、アクリル系樹脂などが挙げられ、その形状としては、例えば、円柱状、半球状、直方体状などが挙げられる。
前記ドットスペーサーの形成方法としては、特に制限はなく、当該分野で一般に用いられる方法の中から適宜選択することができ、例えば、フォトリソグラフィーなどが挙げられる。
上記その他の部材のうち、電極は、第一導電性部材1の第一導電層12および第二導電性部材2の第二導電層22に接触するように、電極以外の部材は第二導電層22上に形成される。
(III.6) 抵抗膜式スイッチ
本発明の抵抗膜式スイッチは、図1に示すように、上記第一導電性部材1と第二導電性部材2とを、該第一導電性部材1の第一導電層12と、該第二導電性部材2の第二導電層22とが絶縁性スペーサー3を介して対向するように配置することにより得られる。
このスイッチの調製工程においては、通常、まず第二導電性部材2の第二導電層22上に、フォトリソグラフィーなどの手段により、絶縁性スペーサー3を形成する。次いで、この第一導電性部材1の第1導電層12表面および第二導電性部材2の第二導電層22の一部に各々第一電極および第二電極を形成し、第一導電性部材1と第二導電性部材2とを対向配置することにより抵抗膜式スイッチが得られる。例えば、図2(a)および(b)に示すように、同じ矩形の形状の第一導電性部材1および第二導電性部材2を作成した場合、第一電極131、141は、第一導電性部材1の短辺近傍に、幅方向に沿って帯状に形成される。第二電極231、241は、該第二導電性部材2の側縁(長辺)近傍に、長手方向に帯状に形成される。この第一および第二電極は、導電性を有する材料で形成されていればよく、その材料および形状は特に限定されない。例えば、銀ペーストを帯状に塗布すること、銅薄膜を貼付することなどにより形成される。図2における13、14、23、24は、各々配線引き出し用のタブ電極であり、各々第一または第二電極に接するように形成される。次いで、第一導電性部材1および第二導電性部材2は、それらの帯状の第一および第二電極が直交するように、かつ電極同士が電気的に接触しないように張り合わせられる。
このようにして得られた本発明の抵抗膜式スイッチは、透明性、および導電層の導電性に優れ、所定の部分を押圧したときの導通性に優れ、可撓性にも優れる。さらに、高温高湿の条件下で長時間保存した場合であっても導電層の表面抵抗率の上昇が効果的に抑制される。更には、低コストで所望の形状に量産可能である。そのため、各種分野に好適に使用することができる。例えば、タッチスクリーン、メンブランスイッチなどに特に好適に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の各実施例および比較例において、「部」は「質量部」を示し、溶液あるいは分散液を使用する場合には、そこに含有される材料の量は、固形分換算値で示される。以下の実施例において、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の導電率は、次の方法で測定した。比較例においてもポリアニリンを同様の方法で測定した。
・ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の導電率の測定法:
ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の水分散体を表面平滑な基体上に塗布・乾燥し、形成された0.15μmの薄膜について、三菱化学(株)製ロレスタ−GP(MCP−T600)を用いて測定する。
[実施例1]
ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体として、H.C.Starck社製のBaytron PH500(以下、水分散体(A)とする)を用いた。この複合体の導電率を測定したところ、0.79S/cmであった。水分散体(A)10.4部(固形分換算)に、ポリエステル樹脂水分散体(ナガセケムテックス社製:ガブセンES−210)3.0部(固形分換算)、メラミン系架橋剤(住友化学製:SumitexResinM−3)1.0部(固形分換算)N−メチルホルムアミド20部、少量の界面活性剤、少量のレベリング剤、適量の水および変性エタノールを加え、1時間攪拌したのち、400メッシュのSUS製の篩にてろ過し、コーティング剤を得た。
このコーティング剤の成分を表1に示す。後述の実施例2〜5、および比較例1についても同様に表1に示す。
[実施例2]
水分散体(A)の量を10.7部(固形分換算)に、ポリエステル樹脂水分散体の量を9.0部(固形分換算)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
[実施例3]
ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体として、H.C.Starck社製のBaytron PH510(以下、水分散体(B)とする)を用いた。この複合体の導電率を測定したところ、0.67S/cmであった。この水分散体を用い、かつメラミン系架橋剤の量を3.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
[実施例4]
ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体として、H.C.Starck社製のBaytron PHC V4 (以下、水分散体(C)とする)を用いた。この複合体の導電率を測定したところ、0.69S/cmであった。この水分散体(C)を水分散体(A)の代わりに用い、かつポリエステル樹脂水分散体をポリウレタン樹脂水分散体(第一工業製薬製:スーパーフレックス300)6.0部(固形分換算)に、メラミン系架橋剤を2.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
[実施例5]
水分散体(A)を、水分散体(C)に、ポリエステル樹脂水分散体をポリアクリル樹脂水分散体(日本純薬製:ジュリマーSEK−301)3.0部(固形分換算)に、そして、メラミン系架橋剤を3.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
比較例1
水分散体(A)を、導電率が8.0×10−6S/cmのポリアニリンを含む水溶液(三菱レイヨン社製:aquaPASS−01x)に、ポリエステル樹脂水分散体の量を5.0部(固形分換算)に、メラミン系架橋剤の量を3.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
性能評価
以下の(1)〜(8)の工程に従い、上記実施例および比較例のコーティング剤(導電性組成物)から導電性フィルムおよびタッチスクリーン試験片を得、これらについて、評価を行った。
(1)導電性フィルムの作成
実施例1〜5、および比較例1で得たコーティング剤を、ワイヤーバーNo.8(ウエット膜厚12μm)、またはNo.16(ウエット膜厚24μm)のいずれかのワイヤーバーを用いて、それぞれ基体にバーコート法により塗布し、薄膜を形成した。基体としてはPETフィルム(70mm×100mm;厚み:100μm;ルミラーTタイプ:東レ社製)を用いた。次いで、それらを130℃のオーブンに入れ15分間キュアして、導電性薄膜を表面に有する導電性フィルムを得た。
(2)全光線透過率およびヘイズ値の評価
上記(1)項で得た導電性フィルムの全光線透過率およびヘイズ値を測定した。全光線透過率およびヘイズ値は、JIS K7150に従い、スガ試験機(株)製ヘイズコンピュータHGM−2Bを用いて測定した。なお、基体として用いたPETフィルムの全光線透過率は87.8%であり、ヘイズ値は1.9%である。
(3)表面抵抗率およびヘイズ値の評価
上記(1)項で得た導電性フィルムの表面抵抗率を、JIS K6911に従い、三菱化学(株)製ロレスタ−GP(MCP−T600)を用いて測定した。
(4)密着性の評価
上記(1)項で得た導電性フィルムの表面にカッターナイフで格子状の切り込みを入れた。切り込みは、導電性薄膜を貫通して、基体のPETフィルムにまで届く程度に行った。切込みを入れた導電性フィルムに、セロハンテープを接着させた後に剥離し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
導電性薄膜は全く剥離しなかった ○
僅かに導電性薄膜が剥がれ落ちたが、実用上問題はなかった △
導電性薄膜の剥離が目立ち、実用上問題があった ×
上記(1)〜(4)項の評価において、導電性フィルムの作成に利用したワイヤーバーの種類、および各評価結果(導電性フィルムの表面抵抗率、全光線透過率、ヘイズ値、および密着性)を表2に示す。
(5)タッチスクリーン試験片の調製
タッチスクリーン試験片を以下に示す工程により調製した。
上記(1)項で得られた導電性フィルムを第一導電性部材1の調製に用いた。図2aに示すように、この第一導電性部材1の一方の長辺の両端部近傍の各々に、配線引き出し用のタブ電極13、14をつけた。次いで、第一導電層12の表面に第一電極131、141を形成した。この一対の第一電極131、141は、該第一導電性部材1の短辺近傍に、幅方向に沿って、各々タブ電極13、14と接続するように帯状に形成された。具体的には、これらの第一電極は、所定のパターンマスクを介して銀ペースト(太陽インキ製造社製、ECM−100)により塗布、乾燥することにより形成した。
次いで、全面に、厚み7μm、径50μmのドットスペーサーを所定の間隔で形成したITO導電性薄膜で−方の面が被覆されたガラス基体(70mm×100mm;厚み:1.1mm)を準備し、これを第二導電性部材2の調製に用いた。図2bに示すように、この第二導電性部材2の一方の短辺の両端部近傍の各々に、配線引き出し用のタブ電極23、24をつけた。次いで、第二導電層22の表面に第二電極231、241を形成した。この一対の第二電極231、241は、該第二導電性部材2の側縁(長辺)近傍に、長手方向に、各々タブ電極23、24と接続するように帯状に形成した。この第二電極も、第一電極と同様にパターンマスクを用いて形成された。
次に、作製した第一導電性部材1および第二導電性部材2上の銀ペースト上に両面テープを貼り付け、該第一導電性部材1における前記第一電極と、前記第二導電性部材2における前記第二電極とが互いに直交するようにして、前記第一導電性部材と前記第二導電性部材とを貼り合わせてタッチスクリーン試験片を得た。なお、上述のように、第一導電性部材1と第二導電性部材2とは両面テープで絶縁されている。
(6)タッチスクリーン試験片の導通率試験
上記(5)項で得られたタッチスクリーン試験片について導通率試験を行った。導通率試験は、以下のような手順で行った。
上記の方法にて作製したタッチスクリーン試験片を用い、タッチパネル評価装置(タッチパネル研究所社製)を用いて、第一導電性部材の基体表面に50g、100g荷重でそれぞれ100点タッチ(押圧)した時の導通回数を導通率(%)とした。その結果を表3に示す。
(7)耐熱性試験
上記(1)項で得られた導電性フィルムについて、耐熱性試験を以下に示す手順で行った。
95℃に調整したオーブンに、該導電性フィルムを入れて加熱し、100時間後における該フィルムの導電性薄膜の表面抵抗率を測定した。加熱前(処理前)の表面抵抗率を1としたときの、処理後の表面抵抗率の値を計算した。その結果を表3に示す。
(8)耐湿熱性試験
上記(1)項で得られた導電性フィルムについて、耐湿熱性試験を以下に示すような手順で行った。
60℃、相対湿度93%に調整した恒温恒湿機に、該導電性フィルムを入れて、100時間保持した。恒温恒湿機に入れる前(処理前)の該フィルムの第1導電層の表面抵抗率を1としたときの、処理後の表面抵抗率の値を計算した。その結果を表3に示す。
表2および3の結果から明らかなように、導電率0.30S/cm以上のポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を用いた場合(実施例1〜5)には、導電率8.0×10−6S/cmのポリアニリンを用いた場合(比較例1)と比較して、タッチスクリーン試験片の透明性が高く、かつ導電性フィルムの表面抵抗率が低かった。さらに、耐熱性、耐湿熱性試験においても、導通率を高く維持することができた。
以下の各実施例および比較例において、「部」は「質量部」を示し、溶液あるいは分散液を使用する場合には、そこに含有される材料の量は、固形分換算値で示される。以下の実施例において、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の導電率は、次の方法で測定した。比較例においてもポリアニリンを同様の方法で測定した。
・ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の導電率の測定法:
ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体の水分散体を表面平滑な基体上に塗布・乾燥し、形成された0.15μmの薄膜について、三菱化学(株)製ロレスタ−GP(MCP−T600)を用いて測定する。
[実施例1]
ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体として、H.C.Starck社製のBaytron PH500(以下、水分散体(A)とする)を用いた。この複合体の導電率を測定したところ、0.79S/cmであった。水分散体(A)10.4部(固形分換算)に、ポリエステル樹脂水分散体(ナガセケムテックス社製:ガブセンES−210)3.0部(固形分換算)、メラミン系架橋剤(住友化学製:SumitexResinM−3)1.0部(固形分換算)N−メチルホルムアミド20部、少量の界面活性剤、少量のレベリング剤、適量の水および変性エタノールを加え、1時間攪拌したのち、400メッシュのSUS製の篩にてろ過し、コーティング剤を得た。
このコーティング剤の成分を表1に示す。後述の実施例2〜5、および比較例1についても同様に表1に示す。
[実施例2]
水分散体(A)の量を10.7部(固形分換算)に、ポリエステル樹脂水分散体の量を9.0部(固形分換算)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
[実施例3]
ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体として、H.C.Starck社製のBaytron PH510(以下、水分散体(B)とする)を用いた。この複合体の導電率を測定したところ、0.67S/cmであった。この水分散体を用い、かつメラミン系架橋剤の量を3.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
[実施例4]
ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体として、H.C.Starck社製のBaytron PHC V4 (以下、水分散体(C)とする)を用いた。この複合体の導電率を測定したところ、0.69S/cmであった。この水分散体(C)を水分散体(A)の代わりに用い、かつポリエステル樹脂水分散体をポリウレタン樹脂水分散体(第一工業製薬製:スーパーフレックス300)6.0部(固形分換算)に、メラミン系架橋剤を2.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
[実施例5]
水分散体(A)を、水分散体(C)に、ポリエステル樹脂水分散体をポリアクリル樹脂水分散体(日本純薬製:ジュリマーSEK−301)3.0部(固形分換算)に、そして、メラミン系架橋剤を3.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
比較例1
水分散体(A)を、導電率が8.0×10−6S/cmのポリアニリンを含む水溶液(三菱レイヨン社製:aquaPASS−01x)に、ポリエステル樹脂水分散体の量を5.0部(固形分換算)に、メラミン系架橋剤の量を3.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤を得た。
以下の(1)〜(8)の工程に従い、上記実施例および比較例のコーティング剤(導電性組成物)から導電性フィルムおよびタッチスクリーン試験片を得、これらについて、評価を行った。
(1)導電性フィルムの作成
実施例1〜5、および比較例1で得たコーティング剤を、ワイヤーバーNo.8(ウエット膜厚12μm)、またはNo.16(ウエット膜厚24μm)のいずれかのワイヤーバーを用いて、それぞれ基体にバーコート法により塗布し、薄膜を形成した。基体としてはPETフィルム(70mm×100mm;厚み:100μm;ルミラーTタイプ:東レ社製)を用いた。次いで、それらを130℃のオーブンに入れ15分間キュアして、導電性薄膜を表面に有する導電性フィルムを得た。
(2)全光線透過率およびヘイズ値の評価
上記(1)項で得た導電性フィルムの全光線透過率およびヘイズ値を測定した。全光線透過率およびヘイズ値は、JIS K7150に従い、スガ試験機(株)製ヘイズコンピュータHGM−2Bを用いて測定した。なお、基体として用いたPETフィルムの全光線透過率は87.8%であり、ヘイズ値は1.9%である。
(3)表面抵抗率およびヘイズ値の評価
上記(1)項で得た導電性フィルムの表面抵抗率を、JIS K6911に従い、三菱化学(株)製ロレスタ−GP(MCP−T600)を用いて測定した。
(4)密着性の評価
上記(1)項で得た導電性フィルムの表面にカッターナイフで格子状の切り込みを入れた。切り込みは、導電性薄膜を貫通して、基体のPETフィルムにまで届く程度に行った。切込みを入れた導電性フィルムに、セロハンテープを接着させた後に剥離し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
導電性薄膜は全く剥離しなかった ○
僅かに導電性薄膜が剥がれ落ちたが、実用上問題はなかった △
導電性薄膜の剥離が目立ち、実用上問題があった ×
上記(1)〜(4)項の評価において、導電性フィルムの作成に利用したワイヤーバーの種類、および各評価結果(導電性フィルムの表面抵抗率、全光線透過率、ヘイズ値、および密着性)を表2に示す。
タッチスクリーン試験片を以下に示す工程により調製した。
上記(1)項で得られた導電性フィルムを第一導電性部材1の調製に用いた。図2aに示すように、この第一導電性部材1の一方の長辺の両端部近傍の各々に、配線引き出し用のタブ電極13、14をつけた。次いで、第一導電層12の表面に第一電極131、141を形成した。この一対の第一電極131、141は、該第一導電性部材1の短辺近傍に、幅方向に沿って、各々タブ電極13、14と接続するように帯状に形成された。具体的には、これらの第一電極は、所定のパターンマスクを介して銀ペースト(太陽インキ製造社製、ECM−100)により塗布、乾燥することにより形成した。
次いで、全面に、厚み7μm、径50μmのドットスペーサーを所定の間隔で形成したITO導電性薄膜で−方の面が被覆されたガラス基体(70mm×100mm;厚み:1.1mm)を準備し、これを第二導電性部材2の調製に用いた。図2bに示すように、この第二導電性部材2の一方の短辺の両端部近傍の各々に、配線引き出し用のタブ電極23、24をつけた。次いで、第二導電層22の表面に第二電極231、241を形成した。この一対の第二電極231、241は、該第二導電性部材2の側縁(長辺)近傍に、長手方向に、各々タブ電極23、24と接続するように帯状に形成した。この第二電極も、第一電極と同様にパターンマスクを用いて形成された。
次に、作製した第一導電性部材1および第二導電性部材2上の銀ペースト上に両面テープを貼り付け、該第一導電性部材1における前記第一電極と、前記第二導電性部材2における前記第二電極とが互いに直交するようにして、前記第一導電性部材と前記第二導電性部材とを貼り合わせてタッチスクリーン試験片を得た。なお、上述のように、第一導電性部材1と第二導電性部材2とは両面テープで絶縁されている。
(6)タッチスクリーン試験片の導通率試験
上記(5)項で得られたタッチスクリーン試験片について導通率試験を行った。導通率試験は、以下のような手順で行った。
上記の方法にて作製したタッチスクリーン試験片を用い、タッチパネル評価装置(タッチパネル研究所社製)を用いて、第一導電性部材の基体表面に50g、100g荷重でそれぞれ100点タッチ(押圧)した時の導通回数を導通率(%)とした。その結果を表3に示す。
(7)耐熱性試験
上記(1)項で得られた導電性フィルムについて、耐熱性試験を以下に示す手順で行った。
95℃に調整したオーブンに、該導電性フィルムを入れて加熱し、100時間後における該フィルムの導電性薄膜の表面抵抗率を測定した。加熱前(処理前)の表面抵抗率を1としたときの、処理後の表面抵抗率の値を計算した。その結果を表3に示す。
(8)耐湿熱性試験
上記(1)項で得られた導電性フィルムについて、耐湿熱性試験を以下に示すような手順で行った。
60℃、相対湿度93%に調整した恒温恒湿機に、該導電性フィルムを入れて、100時間保持した。恒温恒湿機に入れる前(処理前)の該フィルムの第1導電層の表面抵抗率を1としたときの、処理後の表面抵抗率の値を計算した。その結果を表3に示す。
本発明の導電性樹脂組成物は、導電性の各種材料として利用することが可能であり、特に水分散体などの形態で各種基体表面に付与し、導電薄膜を形成するのに利用される。本発明の導電性樹脂組成物、あるいはその薄膜を導電層として有する導電性フィルムは、次の用途に好適に利用可能である:タッチスクリーン等の各種の入力装置、各種導電膜、コンデンサー、二次電池、接続用部材、高分子半導体素子、帯電防止フィルム等の帯電防止材料、ディスプレイ、エネルギー変換素子、レジストなど。これらの中でも特に、タッチスクリーン、帯電防止材料などに好適に利用される。本発明の導電性樹脂組成物を前記帯電防止材料として使用した場合、完成後の製品に対しても外観に影響を与えずに容易に帯電防止機能を付与することができる点で有利である。
上記本発明の導電性フィルムは、抵抗膜式スイッチに特に好適に使用することができる。この抵抗膜式スイッチは、所定の部分を押圧したときの導通性に優れ、長期間に亘って繰返し使用しても、導電層の抵抗値が高くならない。さらに、高温高湿度の条件下で長時間保持した場合であっても、該スイッチを構成する導電性フィルムの表面抵抗率の上昇が抑制される。そのため、この抵抗膜式スイッチは、環境変化に対する信頼性に優れ、長寿命である。従って、各種の機器に好適に使用することができ、特に耐久性が要求されるタッチスクリーン等に好適に使用することができる。
上記本発明の導電性フィルムは、抵抗膜式スイッチに特に好適に使用することができる。この抵抗膜式スイッチは、所定の部分を押圧したときの導通性に優れ、長期間に亘って繰返し使用しても、導電層の抵抗値が高くならない。さらに、高温高湿度の条件下で長時間保持した場合であっても、該スイッチを構成する導電性フィルムの表面抵抗率の上昇が抑制される。そのため、この抵抗膜式スイッチは、環境変化に対する信頼性に優れ、長寿命である。従って、各種の機器に好適に使用することができ、特に耐久性が要求されるタッチスクリーン等に好適に使用することができる。
Claims (4)
- ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を含有する導電性樹脂組成物であって、
該複合体の導電率が0.30S/cm以上である、導電性樹脂組成物。 - 前記ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体が、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で、酸化剤を用いて、水系溶媒中で重合させる工程を含む方法により製造される、請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
- 透明基体上に導電層が形成された導電性フィルムであって、該導電層が、請求項1に記載の導電性樹脂組成物により形成される、導電性フィルム。
- 第一導電層を透明基体上に有する第一導電性部材、第二導電層を基体上に有する第二導電性部材、および絶縁スペーサーを有する抵抗膜式スイッチであって、
該第一導電層が、請求項1に記載の導電性樹脂組成物からなる薄膜で構成され、該絶縁性スペーサーが、第二導電層上の一部に設けられ、そして第一導電層と第二導電層とが対向するように配置された、
抵抗膜式スイッチ。
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