JP6112849B2 - 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ - Google Patents

導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ Download PDF

Info

Publication number
JP6112849B2
JP6112849B2 JP2012274553A JP2012274553A JP6112849B2 JP 6112849 B2 JP6112849 B2 JP 6112849B2 JP 2012274553 A JP2012274553 A JP 2012274553A JP 2012274553 A JP2012274553 A JP 2012274553A JP 6112849 B2 JP6112849 B2 JP 6112849B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive polymer
acid
dopant
amide bond
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012274553A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014120603A (ja
Inventor
佐藤 弘樹
弘樹 佐藤
康久 菅原
康久 菅原
寛之 出水
寛之 出水
泰宏 冨岡
泰宏 冨岡
幸治 坂田
幸治 坂田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokin Corp
Original Assignee
NEC Tokin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Tokin Corp filed Critical NEC Tokin Corp
Priority to JP2012274553A priority Critical patent/JP6112849B2/ja
Priority to US14/107,653 priority patent/US20140168858A1/en
Publication of JP2014120603A publication Critical patent/JP2014120603A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6112849B2 publication Critical patent/JP6112849B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/0029Processes of manufacture
    • H01G9/0036Formation of the solid electrolyte layer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES OR LIGHT-SENSITIVE DEVICES, OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/15Solid electrolytic capacitors

Description

本発明は、導電性高分子溶液、該導電性高分子溶液から得られる導電性高分子材料、該導電性高分子材料を固体電解質に用いた固体電解コンデンサに関する。
タンタル、アルミニウムなどの弁作用金属の多孔質体に、陽極酸化法によって誘電体酸化皮膜を形成した後、この酸化皮膜上に導電性高分子層を形成し、これを固体電解質とする固体電解コンデンサが開発されている。
この固体電解コンデンサの固体電解質となる導電性高分子層の形成方法としては、化学酸化重合と電解酸化重合とに大別される。導電性高分子を構成する単量体(モノマー)としては、ピロール、チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アニリンなどが知られている。
このような固体電解コンデンサは、二酸化マンガンを固体電解質とするコンデンサよりも等価直列抵抗(以下、ESRと称す)が低く、さまざまな用途に用いられ始めている。また、近年、集積回路の高周波化、大電流化のトレンドに伴い、ESRが低く、大容量かつ損失の小さい固体電解コンデンサが求められている。
特許文献1から5には、ポリチオフェン等にドーパントとしてポリアニオンをドープした導電性高分子が記載されている。一方、特許文献6には、ポリスチレンのスルホン化方法が記載されている。
特許第4991208号公報 特開2011−63820号公報 特表2011−523427号公報 国際公開第2009/131012号 特開平7−90060号公報 特公平5−82401号公報
しかしながら、特許文献1から5に記載された導電性高分子は耐薬品性が低く、特に炭化水素系溶剤に溶解しやすい。また、該導電性高分子は導電性が不十分である。さらに、該導電性高分子を固体電解コンデンサの固体電解質に用いた場合、ESRが高い。
本発明は、耐薬品性が高く、導電率の高い導電性高分子を含む導電性高分子溶液を提供することを目的とする。また、低ESRの固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明に係る導電性高分子溶液は、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を含む導電性高分子溶液であって、前記導電性高分子はアミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がドープされており、前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がアミド結合を含む主鎖骨格を有する。
本発明に係る導電性高分子材料は、本発明に係る導電性高分子溶液を乾燥して得られる。
本発明に係る固体電解コンデンサは、本発明に係る導電性高分子材料を含む固体電解質層を備える。
本発明に係る導電性高分子溶液の製造方法は、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を、水中または水と水混和性溶剤とを含む水溶液中で酸化重合する導電性高分子溶液の製造方法であって、前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がアミド結合を含む主鎖骨格を有する。
本発明に係る導電性高分子溶液の製造方法は、ドーパントである低分子有機酸またはその塩を含む溶液中で、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を酸化重合することにより導電性高分子(P1)を得る工程と、前記導電性高分子(P1)を精製する工程と、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩を含む溶液中で、前記精製された導電性高分子(P1)と酸化剤(O2)とを混合して、導電性高分子溶液を得る工程と、を含む導電性高分子溶液の製造方法であって、前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がアミド結合を含む主鎖骨格を有する。
本発明によれば、耐薬品性が高く、導電率の高い導電性高分子を含む導電性高分子溶液を提供することができる。また、低ESRの固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を示す模式的断面図である。
[導電性高分子溶液]
本発明に係る導電性高分子溶液は、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を含む導電性高分子溶液であって、前記導電性高分子はアミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がドープされている。
特許文献1から5に記載された導電性高分子は耐薬品性が不十分である。特に、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸がドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOT/PSSと示す)は、炭化水素系溶剤等の有機溶剤に溶解しやすい課題を有する。ドーパントであるポリスチレンスルホン酸は、ポリスチレンを無水硫酸等でスルホン化することにより製造されるため、ポリスチレンスルホン酸には未反応のポリスチレン部分が残存している。また、耐湿性能の改善等の理由のため意図的にスルホン化していないポリスチレン部分を残しておく場合もある。該ポリスチレン部分は炭化水素系溶剤等の有機溶剤に溶解しやすいため、PEDOT/PSSは炭化水素系溶剤等の有機溶剤に溶解しやすい。また、ポリスチレンスルホン酸等のドーパントを用いた導電性高分子は導電率が不十分である。
本発明では、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子のドーパントとして、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩を用いる。ドーパントがアミド結合を有することにより、炭化水素系溶剤等の有機溶剤への溶解性が低下し、耐薬品性が付与される。これにより工程上で炭化水素系溶剤等の有機溶剤の使用によって、導電性高分子が溶け出すという課題を解決することができる。例えば固体電解コンデンサの製造に用いた場合、導電性高分子の溶解等によるESRの増加を防ぐことができる。また、ドーパントがアミド結合を有することによりドーパント骨格間に水素結合が生じ、結晶化度が高くなるため、導電性が向上する。これにより、本発明に係る導電性高分子溶液を乾燥させて得られる導電性高分子材料を固体電解コンデンサの固体電解質に用いた場合、ESRが低下する。
なお、本発明における導電性高分子溶液とは、前記ドーパントまたはその塩がドープされている前記導電性高分子が、溶媒中に溶解または分散されている状態のものを示す。
(導電性高分子)
本発明に係る導電性高分子は、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を繰り返し単位として含む。本発明に係る導電性高分子は、一重結合と二重結合が交互に並んだ構造を有するπ共役系が数多く繋がったπ共役系導電性高分子であることができる。
導電性高分子の繰り返し単位を形成するモノマーとしては、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を用いることができる。チオフェンの誘導体の具体例としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体、3−ヘキシルチオフェン等の3−アルキルチオフェン、3−メトキシチオフェン等の3−アルコキシチオフェン等が挙げられる。アニリンの誘導体の具体例としては、2−メチルアニリン等の2−アルキルアニリン、2−メトキシアニリン等の2−アルコキシアニリン等が挙げられる。ピロールの誘導体の具体例としては、3−ヘキシルピロール等の3−アルキルピロール、3,4−ジヘキシルピロール等の3,4−ジアルキルピロール、3−メトキシピロール等の3−アルコキシピロール、3,4−ジメトキシピロール等の3,4−ジアルコキシピロール等が挙げられる。
前記モノマーの中でも、3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体が好ましい。3,4−エチレンジオキシチオフェンの誘導体としては、3,4−(1−ヘキシル)エチレンジオキシチオフェン等の3,4−(1−アルキル)エチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。前記モノマーは、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(ドーパント)
本発明に係る導電性高分子は、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がドープされている。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは特に限定されない。また、ドーパントまたはその塩が有するアミド結合は特に限定されない。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩が持つアミド結合としては、例えばカルボン酸アミド、スルホンアミド、りん酸アミド等を用いることができる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ドーパントまたはその塩としてはカルボン酸アミドが好ましい。具体的には、前記ドーパントまたはその塩としては、多価アミンまたはその誘導体(a)と、多価カルボン酸またはその誘導体(b)とを含むモノマーの共重合体、ラクタム又はその誘導体を含むモノマーの共重合体、アニオン基およびアミノ基を有する化合物またはその誘導体を含むモノマーの共重合体などが挙げられる。これらの中でも、多価アミンまたはその誘導体(a)と、多価カルボン酸またはその誘導体(b)とを含むモノマーの共重合体を用いることで、重合度が高いポリアミドが得られ、また使用するモノマーにより物性のコントロールも簡便であり、結晶度も高くすることができるため好ましい。
多価アミンまたはその誘導体(a)としては、ポリアミドの原料物質として公知のものであれば、脂肪族アミン化合物、脂環式アミン化合物、芳香族アミン化合物等何如なるものでも使用することができる。多価アミンまたはその誘導体(a)の多価アミンの価数は特に限定されないが、例えば2価または3価であることができる。
ジアミンまたはその誘導体としては、例えば、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MDP)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、4,4’−エチレンジアミン、4,4−イソプロピリデンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、4,4’−スルホニルジアニリン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、1,3−ビス(m−アミノフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニルメルカプト)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニルメルカプト)ベンゾフェノン、2,2’−ビス〔4−(2−トリフルオロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス〔4−(3−トリフルオロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス〔4−(3−トリフルオロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス〔4−(2−トリフルオロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス〔4−(4−トリフルオロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス〔4−(2−ノナフルオロブチル−5−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス〔4−(4−ノナフルオロブチル−5−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、o−トリジン、o−ジアニシジン、2,5−ジアミノピリジン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、それらの誘導体等が挙げられる。
3価以上の多価アミンまたはその誘導体としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリアミン等が挙げられる。これらの多価アミンまたはその誘導体は単独で使用してもよく、また複数を併用してもよい。
多価カルボン酸またはその誘導体(b)としては、脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン酸等何如なるものでも使用することができる。多価カルボン酸またはその誘導体(b)の多価カルボン酸の価数は特に限定されないが、例えば2価または3価であることができる。
ジカルボン酸またはその誘導体としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、アセチレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、2−オキソグルタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジカルボン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、フェニルマロン酸、ベンジルマロン酸、フェニルスクシン酸、3−フェニルグルタル酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、4−カルボキシフェニル酢酸、5−ブロモ−N−(カルボキシメチル)アントラニル酸、m−カルボキシシナモン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシ−2,5−ジカルボキシピリジン、それらの誘導体等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、アコニット酸、クエン酸、オキサロコハク酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ベンゾフェノン−2,4,5−トリカルボン酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、4−カルボキシフタル酸無水物等が挙げられる。これらの多価カルボン酸またはその誘導体は単独で使用してもよく、また複数を併用してもよい。
多価アミンまたはその誘導体(a)と、多価カルボン酸またはその誘導体(b)との比率としては特に限定されない。しかしながら、例えばジアミンとジカルボン酸とを用いた場合には、両者を等モル用いることが、高重合度のアニオン基を含むポリアミドを合成することができる観点から好ましい。なお、いずれか一方の比率を高くして合成した平均重合度の小さいポリアミドを用いてもよい。
ラクタム又はその誘導体としては、例えば、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、それらの誘導体などが挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
アニオン基およびアミノ基を有する化合物またはその誘導体(c)としては、例えば、アラニン、グリシン、4−アミノ酪酸、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、フェニルアラニン、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、アミノエチルスルホン酸、それらの誘導体などが挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記アミド結合及びアニオン基を有するドーパントまたはその塩は、アミド結合を側鎖、主鎖どちらか少なくとも1つに持つことが考えられる。アミド結合を持つ位置は特に限定されないが、主鎖骨格にアミド結合を有することが好ましい。主鎖骨格中にアミド結合を有することにより、側鎖のみにアミド結合を持つ場合と比較して強固な結合を作ることができ、さらに耐薬品性が向上する。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩は、芳香族環を含む主鎖骨格を有することが好ましい。主鎖骨格中に芳香族環を有することによりπ−π相互作用が生じ、導電性高分子の結晶性、耐熱性が向上する。また、結晶性の向上により該導電性高分子の導電性が向上するため、本発明に係る導電性高分子材料を固体電解コンデンサの固体電解質に用いた場合、低ESRを実現することができる。
主鎖骨格中に芳香族環を有するドーパントまたはその塩としては、例えば芳香族多価アミンまたはその誘導体と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体とを含むモノマーの共重合体、脂肪族多価アミンまたはその誘導体と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体とを含むモノマーの共重合体、芳香族多価アミンまたはその誘導体と、脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体とを含むモノマーの共重合体等を用いることができる。具体的には、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを含むモノマーの共重合体、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを含むモノマーの共重合体、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを含むモノマーの共重合体などを用いることができる。また、これらのモノマーは、前記ラクタム又はその誘導体や、前記アニオン基およびアミノ基を有する化合物またはその誘導体(c)を含んでもよい。
前記主鎖骨格が芳香族環を含む割合としては、5%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。なお、該主鎖骨格が芳香族環を含む割合は100%であってもよい。該主鎖骨格が芳香族環を含む割合が5%以上であることにより、π−π相互作用がより発現され、導電性高分子の結晶性が高くなるため、導電性高分子の導電性が向上する。なお、主鎖骨格が芳香族環を含む割合とは、前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の全繰り返し単位数に対する、芳香族環を含む繰り返し単位数の割合を示す。主鎖骨格が芳香族環を含む割合は、芳香族環を含むモノマーと、芳香族環を含まないモノマーとの配合比率で制御することができる。
前記芳香族環の少なくとも一部はアニオン基で置換されていることが、分散性の観点から好ましい。前記芳香族環のアニオン基による置換率としては、5%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。なお、前記芳香族環のアニオン基による置換率は100%であってもよい。前記芳香族環のアニオン基による置換率が5%以上であることにより、ドープ率が向上し、また導電性高分子溶液中の導電性高分子の分散性が向上する。なお、前記芳香族環のアニオン基による置換率とは、主鎖骨格中の全芳香族環数に対する、アニオン基により置換された芳香族環数の割合を示す。前記芳香族環のアニオン基による置換率は、芳香族環の一部がアニオン基で置換されたモノマーと、芳香族環がアニオン基で置換されていないモノマーとの配合比率で制御することができる。
また、前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の主鎖骨格は、共重合し得る他の主鎖骨格を含んでもよい。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基としては、特に限定されないが、例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基等の官能基が挙げられる。これらの中でもアニオン基としては、ドープしやすさの観点から、スルホ基、りん酸基、カルボキシル基が好ましい。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率としては、特に限定されない。しかしながら、水溶性の性質を持たせることができ、導電性高分子へのドープ率を向上させることができる観点から、前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の全繰り返し単位数に対する、アニオン基を含む繰り返し単位数の割合が5%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。なお、該割合は100%であってもよい。また、該割合は、アミド結合を形成するアニオン基以外のアニオン基を含むモノマーと、アミド結合を形成するアニオン基以外のアニオン基を含まないモノマーとの配合比率で制御することができる。
またアニオン基以外の置換基を含んでも良く、種類は特に制限されない。例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノ−ル基、エステル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基等が挙げられる。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の重量平均分子量としては、1000〜5000000が好ましく、2000〜1000000がより好ましく、2500〜600000がさらに好ましい。該重量平均分子量が1000以上であることにより、十分な導電率が得られる。また、該重量平均分子量が5000000以下であることにより、溶液の粘度を低下させることができる。なお、該重量平均分子量は、クロマトグラフィー法により測定した値である。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の製造方法は特に限定されない。例えば、該ドーパントまたはその塩がカルボン酸アミドの場合、カルボン酸とアミンとを溶融重合させる方法、カルボン酸の反応性を上げた酸塩化物および活性アミドと救核剤とを反応させる方法、カルボン酸を活性アシル体として救核剤と反応させる方法等が挙げられる。例えば特許第2745381号公報に記載の方法などが挙げられる。また、ラクタム又はその誘導体を用いる場合には、例えば、カプロラクタムを水の存在下20kg/cm2G以下、好ましくは3〜10kg/cm2Gの圧力で、240〜290℃の温度で加水分解により開環させる。その後放圧し、同程度の温度で常圧または数kPaまでの減圧下、重縮合させることによりポリアミドを製造することができる。また、アニオン基およびアミノ基を有する化合物またはその誘導体を用いる場合には、公知の技術を用いることができる。例えば以下の方法が挙げられる。
1.N−保護されたアニオン基およびアミノ基を有する化合物(保護基は一般にt−ブトキシカルボニル)を、固体の不溶性担体(一般にポリスチレン樹脂)に、そのカルボキシル末端で結合基(一般にベンジルエステル)を介して結合させる。
2.アニオン基およびアミノ基を有する化合物を前記担体から離脱しない手段によりN−保護基を除去分離し、かつ第2のN−保護されたアニオン基およびアミノ基を有する化合物を、すでに結合している前記化合物に(一般にカルボジイミドカップリング剤の使用により)結合させる。
3.所望のアニオン基およびアミノ基を有する化合物の繰り返し単位が形成され、さらにそのアニオン基末端で前記担体に結合するまでに必要なN−保護されたアニオン基およびアミノ基を有する化合物を使用して前記手順を繰り返す。
4.最終のN−保護基を除去し、アニオン基およびアミノ基を有する化合物を前記担体から結合基の開裂により(一般に強酸を使用することにより)分離する。
(ポリスチレンスルホン酸)
本発明に係る導電性高分子溶液は、さらにポリスチレンスルホン酸を含むことが分散性の観点から好ましい。ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量としては特に限定されないが、例えば2000〜500000であることができる。導電性高分子溶液中のポリスチレンスルホン酸の含有量は特に限定されないが、例えばアミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩100質量%に対して0.001質量%以上、1000質量%以下とすることができる。これは、0.001質量%以下では分散性が十分に発揮されない場合があり、1000質量%以上だと耐薬品性が低下する場合があるためである。より好ましくは、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩100質量%に対して0.1〜100質量%である。
(溶媒)
本発明に係る導電性高分子溶液に含まれる溶媒としては水が好ましいが、水と水溶性の有機溶媒との混和溶媒であってもよい。水溶性の有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸等のプロトン性極性溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これらの中でも、水溶性の有機溶媒としては導電率の観点から非プロトン性極性溶媒が好ましく、ジメチルスルホキシドがより好ましい。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(バインダー)
本発明に係る導電性高分子溶液は、膜強度、コンデンサへの結合性の観点からバインダーとして結合機能を有する樹脂を添加してもよい。該樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはその変性体等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。導電性高分子溶液中の該樹脂の含有量は、導電性の低下を防ぐ観点から、導電性高分子溶液100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましい。
[導電性高分子溶液の製造方法]
本発明に係る導電性高分子溶液の製造方法は、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を、水中または水と水混和性溶剤とを含む水溶液中で酸化重合する。
また、本発明に係る導電性高分子溶液の製造方法は、ドーパントである低分子有機酸またはその塩を含む溶液中で、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を酸化重合することにより導電性高分子(P1)を得る工程と、前記導電性高分子(P1)を精製する工程と、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩を含む溶液中で、前記精製された導電性高分子(P1)と酸化剤(O2)とを混合して、導電性高分子溶液を得る工程と、を含む。
導電性高分子(P1)を合成した後に精製を行い、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩を含む溶液中で導電性高分子(P1)と酸化剤(O2)とを混合することにより、導電性高分子(P1)から、不純物となるモノマー、酸化剤が取り除かれるため、高純度の導電性高分子を得ることができる。なお、精製とは、具体的には酸化重合して得られた導電性高分子(P1)を含む反応液から、導電性高分子(P1)を分離し、洗浄することで、ドーパント、モノマー(M1)、酸化剤(O1)および反応後の酸化剤を除去することを示す。洗浄は、導電性高分子(P1)を溶解することなく、モノマー(M1)および/または酸化剤(O1)を溶解可能な溶媒を用いて行うことが好ましい。洗浄溶媒の具体例としては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。洗浄溶媒は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。洗浄の程度は、洗浄後の洗浄溶媒のpH測定や比色観察を行うことにより、確認することができる。
前記ドーパントである低分子有機酸またはその塩の具体例としては、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸およびそれらの誘導体等、ならびにそれらの鉄(III)塩が挙げられる。低分子有機酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。ベンゼンスルホン酸の誘導体の具体例としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体の具体例としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸が挙げられる。アントキノンスルホン酸の誘導体の具体例としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸が挙げられる。これらの中でも、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはこれらの鉄(III)塩が好ましい。重合物の高結晶化への影響が大きいため、カンファースルホン酸がより好ましい。カンファースルホン酸は、光学活性体でもよい。また、酸化剤の機能を兼ねる性質を有していることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)も好ましい。前記ドーパントは、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。前記ドーパントの使用量は特に制限はないが、高い導電率を有する導電性高分子が得られる観点から、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体1質量部に対して1〜100質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
重合に用いる酸化剤としては、特に制限はなく、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和物(n=1,6)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II)塩;テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素;p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩を用いることができる。これらの中でも、無機酸もしくは有機酸の鉄塩(III)、または過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウムまたはp−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ましい。特に、有機酸ドーパントを兼ねる性質を有していることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)が好ましい。これらの酸化剤は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸化剤の使用量は特に制限はないが、より穏やかな酸化雰囲気で反応させて高導電率の重合体を得る観点から、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体1質量部に対して0.5〜100質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。
反応溶液中のチオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体の濃度は、特に制限はないが、高い導電率を有する導電性高分子を収率良く得られる観点から、0.5〜70質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましい。
前記酸化重合としては、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれも採用することができる。
化学酸化重合を行う場合、重合時の温度は特に制限されないが、水が溶液状態である0〜100℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、6時間〜48時間がより好ましい。
前記以外の方法としては、ポリスチレンスルホン酸、その他ポリ酸、低分子酸またはその塩の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはその誘導体を酸化重合した後、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはその誘導体を酸化重合する方法が挙げられる。
また、アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはその誘導体を酸化重合した後、ポリスチレンスルホン酸、その他ポリ酸、低分子酸またはその塩を用いて酸化重合する方法が挙げられる。
また、前記方法により得られる導電性高分子を混合することによって、結果的にアミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩と、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を含む導電性高分子溶液を製造してもよい。
いずれの方法においても、重合液をそのまま使用することが可能なため、水中または水と水混和性溶剤とを含む水溶液中で反応を行うことが好ましい。
[導電性高分子材料]
本発明に係る導電性高分子材料は、本発明に係る導電性高分子溶液を乾燥して得られる。該導電性高分子材料は高い導電性を示す。導電性高分子溶液を乾燥する温度としては、特に限定されないが、例えば60℃以上、300℃以下とすることができる。また、導電性高分子溶液を乾燥する時間としては、特に限定されないが、例えば3分以上、300分以下とすることができる。
[固体電解コンデンサ]
本発明に係る固体電解コンデンサは、本発明に係る導電性高分子材料を含む固体電解質層を備える。本発明に係る導電性高分子溶液から溶媒を除去することで得られる導電性高分子材料は導電性が高いため、低ESRの固体電解コンデンサを得ることができる。なお、該固体電解コンデンサは、電解質として固体電解質以外に電解液を含んでもよい。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサを図1に示す。該固体電界コンデンサは、陽極導体1上に、誘電体層2、固体電解質層3および陰極導体4がこの順に積層された構造を有する。なお、本発明に係る固体電界コンデンサはこれに限定されない。
陽極導体1としては、弁作用金属の板、箔または線;弁作用金属の微粒子を含む焼結体;エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などを用いることができる。弁作用金属の具体例としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウム、これらの合金などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、タンタルおよびニオブからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。誘電体層2は陽極導体1を電解酸化して形成することができる。
固体電解質層3の形成方法としては、誘電体層2上に本発明に係る導電性高分子溶液を塗布または含浸し、該導電性高分子溶液から溶媒を除去する方法が挙げられる。塗布または含浸の方法は特に制限されない。しかしながら、十分に多孔質細孔内部へ導電性高分子溶液を充填させる観点から、塗布または含浸後に数分〜数10分放置することが好ましい。また、浸漬を繰り返し行ったり、減圧方式または加圧方式を採用したりすることが好ましい。
導電性高分子溶液からの溶媒の除去は、導電性高分子溶液を乾燥することで行うことができる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、熱による素子劣化防止の観点から300℃以下であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択できるが、導電性が低下しない範囲であれば特に制限されない。
また、固体電解質層3は、図1に示すように、第一の固体電解質層3aと第二の固体電解質層3bとの2層構造であることもできる。例えば誘電体層2上で、導電性高分子を与えるモノマーを化学酸化重合または電解酸化重合して、導電性高分子を含む第一の固体電解質層3aを形成する。第一の固体電解質層3a上に、本発明に係る導電性高分子溶液を塗布または含浸し、該導電性高分子溶液から溶媒を除去して、第二の固体電解質層3bを形成してもよい。また、第一の固体電解質層3aと第二の固体電解質層3bとを逆の順序で形成してもよい。
固体電解質層3の上には陰極導体4が形成されていてもよい。陰極導体4としては、導体であれば特に限定されないが、例えば、図1に示すように、グラファイト層4aと、銀導電性樹脂層4bとからなる2層構造であることができる。
[合成例1](芳香族ジアミンスルホン酸+芳香族ジカルボン酸)
100ml三口丸底フラスコ中に、イソフタル酸1.661g(10mmol)、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸1.882g(10mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これを乾燥窒素雰囲気下100℃で4時間反応させ、ポリマー溶液を得た。反応終了後、1リットルのメタノール中に該ポリマー溶液を注ぎ入れ、ポリマーを析出させた。ポリマーを析出させた溶液を濾過後、熱メタノール中で未反応モノマー類および無機金属塩類を除去した。この溶液を濾過後、真空乾燥し、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は60000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は50%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は50%であった。
[合成例2](芳香族ジアミン+芳香族ジカルボン酸スルホン酸)
100ml三口丸底フラスコ中に、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸2.462g(10mmol)、1,3−ジアミノベンゼン1.081g(10mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これ以降は合成例1と同様に操作して、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は60000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は50%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は50%であった。
[合成例3](芳香族ジアミンスルホン酸+芳香族ジアミン+芳香族ジカルボン酸)
100ml三口丸底フラスコ中に、イソフタル酸1.661g(10mmol)、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸0.941g(5mmol)、1,3−ジアミノベンゼン0.541g(5mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これ以降は合成例1と同様に操作して、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は60000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は25%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は25%であった。
[合成例4](脂肪族ジアミン+芳香族ジカルボン酸スルホン酸)
100ml三口丸底フラスコ中に、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸2.462g(10mmol)、1,6−ヘキサンジアミン1.162g(10mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これ以降は合成例1と同様に操作して、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は55000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は50%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は50%であった。
[合成例5](脂肪族ジカルボン酸+芳香族ジアミンスルホン酸)
100ml三口丸底フラスコ中に、アジピン酸1.461g(10mmol)、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸1.882g(10mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これ以降は合成例1と同様に操作して、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は55000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は50%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は50%であった。
[合成例6](芳香族ジアミン+芳香族ジカルボン酸スルホン酸+芳香族ジカルボン酸)
100ml三口丸底フラスコ中に、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸1.231g(5mmol)、イソフタル酸0.831g(5mmol)、1,3−ジアミノベンゼン1.081g(10mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これ以降は合成例1と同様に操作して、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は60000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は25%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は25%であった。
[合成例7](ラクタム+芳香族ジカルボン酸スルホン酸+脂肪族ジアミン+アニオン基およびアミノ基を有する化合物)
100ml三口丸底フラスコ中に、ε−カプロラクタム1.131g(10mmol)、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸0.246g(1mmol)、1,6−ヘキサンジアミン0.116g(1mmol)および水3.0gを加え、混合した。この混合液に6−アミノカプロン酸0.014g(0.11mmol)を加え、75℃に加温して均一な溶液を調製した。前記三口丸底フラスコに窒素ガス導入管を取り付けた後、窒素ガスを少量流しながら前記溶液を150℃から240℃まで15度/10分の速度で昇温した。その後、前記溶液を240℃で6時間保持し、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は10000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は8.3%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は8.3%であった。
[合成例8](スルホン化率の変更)
100ml三口丸底フラスコ中に、イソフタル酸1.661g(10mmol)、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸0.1882g(1mmol)、1,3−ジアミノベンゼン0.973g(9mmol)、塩化リチウム0.12g、塩化カルシウム0.36g、N−メチル−2−ピロリドン20ml、ピリジン3mlおよび亜リン酸トリフェニル6.2gを加えた。これ以降は合成例1と同様に操作して、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントは水に可溶であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は60000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は100%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は5%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は5%であった。
[合成例9](ラクタム+1,3,5−ペンタントリカルボン酸+1,6−ヘキサンジアミン)
100ml三口丸底フラスコ中に、ε−カプロラクタム1.131g(10mmol)、1,3,5−ペンタントリカルボン酸0.204g(1mmol)、1,6−ヘキサンジアミン0.116g(1mmol)および水3.0gを加え、混合した。この混合液に6−アミノカプロン酸0.014g(0.11mmol)を加え、75℃に加温して均一な溶液を調製した。前記三口丸底フラスコに窒素ガス導入管を取り付けた後、窒素ガスを少量流しながら前記溶液を150℃から240℃まで15℃/10分の速度で昇温した。その後、前記溶液を240℃で6時間保持し、本発明に係るアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを得た。
前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの重量平均分子量は7000であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は0%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換0%であった。前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩のアニオン基の含有率は8.3%であった。
[実施例1]
合成例1で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパント2gと、3,4−エチレンジオキシチオフェン0.5gと、硫酸鉄(III)0.05gと、酸化剤としての過硫酸アンモニウム2gとを、水20mlに溶解させた。この溶液に24時間にわたって空気を導入した後、該溶液を孔径が1μmのフィルターに通し、ポリチオフェン溶液を得た。ガラス基板上に該ポリチオフェン溶液を100μl滴下し、125℃の恒温槽中で乾燥して導電性高分子膜を形成した。四端子法(製品名:ロレスタGP−MCT−T610、株式会社 三菱化学アナリテック製)で該導電性高分子膜の表面抵抗(Ω/□)および膜厚を計測して、導電性高分子膜の導電率(S/cm)を算出した。結果を表1に示す。
[実施例2]
合成例2で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
合成例3で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
合成例4で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
合成例5で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
合成例6で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
合成例7で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
合成例8で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
合成例9で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例10]
合成例1で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントの代わりに、重量平均分子量が1000のスルホン化ポリアミドを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
なお、前記スルホン化ポリアミドの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は50%であった。前記スルホン化ポリアミドの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は100%であった。前記スルホン化ポリアミドのアニオン基の含有率は50%であった。
[実施例11]
合成例1で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントの代わりに、重量平均分子量が550000のスルホン化ポリアミドを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
なお、前記スルホン化ポリアミドの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は50%であった。前記スルホン化ポリアミドの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は100%であった。前記スルホン化ポリアミドのアニオン基の含有率は50%であった。
[実施例12]
合成例1で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパントの代わりに、重量平均分子量が700のスルホン化ポリアミドを用いた以外は、実施例1と同様にポリチオフェン溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
なお、前記スルホン化ポリアミドの主鎖骨格が芳香族環を含む割合は50%であった。前記スルホン化ポリアミドの、主鎖骨格中の芳香族環のアニオン基による置換率は100%であった。前記スルホン化ポリアミドのアニオン基の含有率は50%であった。
[実施例13]
3,4−エチレンジオキシチオフェンの代わりに、ピロールを用いた以外は実施例1と同様にポリピロール溶液を調製し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例14]
3,4−エチレンジオキシチオフェン1gと、ドーパントとしてカンファースルホン酸1gとを水100ml中に分散させた。この分散液を室温下1時間攪拌した。その後、この分散液に酸化剤として過硫酸アンモニウム2.4gを加えた。得られた分散液を室温下100時間攪拌して、化学酸化重合を行った。
得られた分散液から、遠心分離機(5,000rpm)を用いて粉末を回収した。純水を用いた遠心分離機でのデカンテーション法により該粉末を洗浄して、余剰の酸化剤およびドーパントを除去した。純水による洗浄は、上澄み液の酸性度がpH6〜7になるまで繰り返し行った。
精製後の粉末0.5gを水50ml中に分散させた。その後、この分散液に合成例1で合成したアミド結合およびアニオン基を有するドーパント3gを添加し、混合した。この混合液に、酸化剤としての過硫酸アンモニウム1.5gを添加し、室温下24時間攪拌した。得られたポリチオフェン懸濁液は濃紺色であった。
実施例1と同様に導電性高分子膜を形成し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[比較例1](PEDOT/PSS)
ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:5,000)2gと、3,4−エチレンジオキシチオフェン0.5gと、硫酸鉄(III)0.05gと、酸化剤としての過硫酸アンモニウム2gとを水20mlに溶解した。この溶液に24時間にわたって空気を導入して、ポリチオフェン溶液を調製した。その後、実施例1と同様に導電性高分子膜を形成し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[比較例2](PEDOT/PSS)
重量平均分子量が50,000のポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、比較例1と同様にポリチオフェン溶液を調製した。その後、実施例1と同様に導電性高分子膜を形成し、導電率の算出を行った。結果を表1に示す。
[実施例15](Alコンデンサ製造、1層)
弁作用金属を含む陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用いた。該陽極導体を陽極酸化することにより、アルミニウムの表面に誘電体層である酸化皮膜を形成した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体を、実施例1で合成したポリチオフェン溶液に浸漬し、引き上げた。その後、これを125℃で乾燥し、固化させることで、固体電解質層を形成した。該固体電解質層の上に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成することで、固体電解コンデンサを得た。得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、LCRメーターを用いて100kHzの周波数で測定した。なお、ESRの値は、全陰極部面積を単位面積(1cm2)に規格化した。結果を表2に示す。
[実施例16](Alコンデンサ製造、2層)
弁作用金属を含む陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用いた。該陽極導体を陽極酸化することにより、アルミニウムの表面に誘電体層である酸化皮膜を形成した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体を、モノマー(M2)としてのピロール10gを純水200mlに溶解させたモノマー液に浸漬し、引き上げた。その後、該陽極導体をドーパントとしてのp−トルエンスルホン酸20gおよび酸化剤としての過硫酸アンモニウム10gを純水200ml溶解させた酸化剤液に浸漬し、引き上げた。このモノマー溶液及び酸化剤液への浸漬、引き上げの操作を交互に10回繰り返し行い、化学酸化重合を行うことで、第一の固体電解質層を形成した。該第一の固体電解質層上に、実施例1で合成したポリチオフェン溶液を滴下した。これを125℃で乾燥し、固化させることで、第二の固体電解質層を形成した。第二の固体電解質層の上に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成して、固体電解コンデンサを得た。得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、実施例15と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
[実施例17](Taコンデンサ製造、2層)
弁作用金属を含む陽極導体として多孔質性のタンタルを用いた以外は、実施例16と同様に固体電解コンデンサを製造し、ESR(等価直列抵抗)を測定した。結果を表2に示す。
[実施例18](Alコンデンサ製造、2層)
実施例6で調製したポリチオフェン溶液を用いた以外は、実施例16と同様に固体電解コンデンサを製造し、ESR(等価直列抵抗)を測定した。結果を表2に示す。
[比較例3](Alコンデンサ製造、2層)
比較例2で調製したポリチオフェン溶液を用いた以外は、実施例16と同様に固体電解コンデンサを製造し、ESR(等価直列抵抗)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006112849
Figure 0006112849
本発明に係る導電性高分子溶液は、帯電防止膜、透明導電膜(ITO代替材料)、有機EL、防錆材料、太陽電池等に用いることができる。
1 陽極導体
2 誘電体層
3 固体電解質層
3a 第一の固体電解質層
3b 第二の固体電解質層
4 陰極導体
4a グラファイト層
4b 銀導電性樹脂層

Claims (16)

  1. チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を含む導電性高分子溶液であって、
    前記導電性高分子はアミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がドープされており、
    前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がアミド結合を含む主鎖骨格を有する導電性高分子溶液。
  2. 前記アニオン基が、スルホ基、カルボキシル基およびリン酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基である請求項1に記載の導電性高分子溶液。
  3. 前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の重量平均分子量が1000〜5000000である請求項1または2に記載の導電性高分子溶液。
  4. 前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩が、多価アミンまたはその誘導体(a)と、多価カルボン酸またはその誘導体(b)とを含むモノマーの共重合体である請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  5. 前記多価アミンまたはその誘導体(a)が、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンおよびo−フェニレンジアミン、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項に記載の導電性高分子溶液。
  6. 前記多価カルボン酸またはその誘導体(b)が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸およびそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項またはに記載の導電性高分子溶液。
  7. 前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩が芳香族環を含む主鎖骨格を有する請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  8. 前記芳香族環の少なくとも一部がアニオン基で置換されている請求項に記載の導電性高分子溶液。
  9. 前記芳香族環の5%以上がアニオン基で置換されている請求項またはに記載の導電性高分子溶液。
  10. さらにポリスチレンスルホン酸を含む請求項1からのいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  11. さらに非プロトン性極性溶媒を含む請求項1から10のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  12. さらにバインダーを含む請求項1から11のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液を乾燥して得られる導電性高分子材料。
  14. 請求項13に記載の導電性高分子材料を含む固体電解質層を備える固体電解コンデンサ。
  15. アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩の存在下、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を、水中または水と水混和性溶剤とを含む水溶液中で酸化重合する導電性高分子溶液の製造方法であって、
    前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がアミド結合を含む主鎖骨格を有する導電性高分子溶液の製造方法。
  16. ドーパントである低分子有機酸またはその塩を含む溶液中で、チオフェン、アニリン、ピロールまたはそれらの誘導体を酸化重合することにより導電性高分子(P1)を得る工程と、
    前記導電性高分子(P1)を精製する工程と、
    アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩を含む溶液中で、前記精製された導電性高分子(P1)と酸化剤(O2)とを混合して、導電性高分子溶液を得る工程と、を含む導電性高分子溶液の製造方法であって、
    前記アミド結合およびアニオン基を有するドーパントまたはその塩がアミド結合を含む主鎖骨格を有する導電性高分子溶液の製造方法。
JP2012274553A 2012-12-17 2012-12-17 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ Active JP6112849B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012274553A JP6112849B2 (ja) 2012-12-17 2012-12-17 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ
US14/107,653 US20140168858A1 (en) 2012-12-17 2013-12-16 Electroconductive polymer solution and method for producing the same, electroconductive polymer material, and solid electrolytic capacitor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012274553A JP6112849B2 (ja) 2012-12-17 2012-12-17 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014120603A JP2014120603A (ja) 2014-06-30
JP6112849B2 true JP6112849B2 (ja) 2017-04-12

Family

ID=50930611

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012274553A Active JP6112849B2 (ja) 2012-12-17 2012-12-17 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20140168858A1 (ja)
JP (1) JP6112849B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6678301B2 (ja) * 2015-03-31 2020-04-08 パナソニックIpマネジメント株式会社 電解コンデンサおよび導電性高分子分散体
CN107533920B (zh) * 2015-04-28 2020-02-21 松下知识产权经营株式会社 电解电容器及其制造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090120775A1 (en) * 2005-11-16 2009-05-14 Yoshiyuki Morita Conductive resin composition, conductive film comprising the same, and resistive-film switch employing the same
KR100917709B1 (ko) * 2007-10-23 2009-09-21 에스케이씨 주식회사 전도성 고분자 용액 조성물을 이용한 고분자 막
JP2009158410A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Nagase Chemtex Corp 導電性積層体
JP4903760B2 (ja) * 2008-08-05 2012-03-28 Necトーキン株式会社 導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、電解コンデンサ、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法
KR20100036195A (ko) * 2008-09-29 2010-04-07 제이에스알 가부시끼가이샤 도전성 막 형성용 조성물, 도전성 막부착 적층체 및 그의 제조 방법, 터치 패널 및, 표시장치
CN103443890B (zh) * 2011-02-28 2017-03-15 Nec东金株式会社 导电性聚合物溶液及其制备方法,导电性聚合物材料,以及使用所述导电性聚合物材料的固体电解电容器及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014120603A (ja) 2014-06-30
US20140168858A1 (en) 2014-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4903760B2 (ja) 導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、電解コンデンサ、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP5441952B2 (ja) 導電性高分子懸濁溶液およびその製造方法、導電性高分子材料、ならびに電解コンデンサおよびその製造方法
JP4454041B2 (ja) 導電性組成物の分散液、導電性組成物およびその用途
JP3694038B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP5410251B2 (ja) 導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、電解コンデンサ、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法
CN103502359B (zh) 导电性组合物和使用了上述导电性组合物的导电体、以及固体电解电容器
JP5807997B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP6017148B2 (ja) 導電性高分子懸濁溶液、導電性高分子材料、ならびに電解コンデンサおよびその製造方法
EP3145980B1 (en) Particulate amine-functionalized polyaryletherketone polymer and copolymers thereof
TW201231500A (en) Polyaniline composite, method for producing same, and composition
JP2010275378A (ja) 導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料並びに、固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP5317357B2 (ja) 導電性高分子懸濁水溶液およびその製造方法、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法
JP6112849B2 (ja) 導電性高分子溶液及びその製造方法、導電性高分子材料並びに固体電解コンデンサ
WO2019131477A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JPH0335516A (ja) 固体電解コンデンサー及びその製造方法
JP7289059B2 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP2017101104A (ja) 導電性高分子、導電性高分子溶液、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法
JP3076259B2 (ja) 耐熱性導電性高分子合成用酸化剤溶液および導電性高分子の製造方法
JP2013089648A (ja) 導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、固体電解コンデンサおよびその製造方法
KR101306634B1 (ko) 폴리(3,4-에틸렌디옥시티오펜):덱스트란 공중합체를 포함하는 조성물 및 그 제조방법
JP2855206B2 (ja) ポリアニリンからなる多孔質選択性透過膜及びその製造方法
JP2012224721A (ja) 導電性膜用高分子複合体及びその製造方法、並びにその用途
JP5053461B2 (ja) 導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、電解コンデンサ、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPH053138A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4740193B2 (ja) 導電性ポリアニリン組成物とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140529

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160920

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170314

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6112849

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250