JPWO2007046431A1 - かつら及びその製造方法 - Google Patents

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良枝 小川
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寛子 須貝
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Abstract

かつらベース(1a,1b)とこのかつらベースに植設した毛髪(12)とを備えたかつら(1)において、かつらベースは、人工皮膚(10)で成りその前縁をかつら装着者の前額部に配置するフロント部と、フロント部と接合していてかつら装着者の頭部形状に類似する型を有するキャップ部材で成るリア部とから構成され、フロント部が、人工皮膚材(11)と、この人工皮膚材の裏面に剥離不能に接着して毛髪の針足部を固定し且つ頭皮には繰り返し接着及び剥離可能に加圧接着される機能を持った接着層(30)と、を有する。

Description

本発明は、頭部のヘアラインから後頭部にかけて頭部の少なくとも一部を覆うかつら及びその製造方法に係り、とくに、かつら装着者の前額部の生え際に対応したかつらの前縁の迷彩効果を向上したかつらとその製造方法に関するものである。
従来より、頭部の毛髪が薄くなった場合に装着するかつらは、合成樹脂製の人工皮膚,網目状のネットから成るかつらベース又は人工皮膚とネットとを組み合わせたかつらベースを備え、このかつらベースを装着者の頭部形状になるべく沿うように成形し、人毛や人工毛髪を植設して作製されている。
ところで、脱毛は一般に、前額部のヘアラインが後退していくことによって進行していくことが知られている。従って、かつらを装着する場合は、かつらの前縁が使用者の通常の又は一般的なヘアラインに相当する位置にきちんと合うように位置合わせされて装着されなければならない。従来のかつらにおける問題の一つとして、装着したかつらの前縁と使用者の前額部の皮膚との境目が、容易に第三者に視認される虞があり、周囲の人間にかつらを装着していることが露見してしまう場合がある。
近年、前額部の生え際に位置する皮膚とかつらとの境目を見分けにくくしてかつらの露見を防ぐ方法がいくつか考案されている。まず、かつらベース前縁部に裏側から被覆用毛髪を植設して前縁部の外側を経て上方へ引き出して前縁部を隠すことで、露見を防ぐ方法が特許文献1に開示されている。
また、帯状ネットを2つ折りにした毛髪植設用ネットをかつらベースの周囲形状に沿って固着させ、毛髪植設用ネットに毛髪を植設し、装着者の自毛と絡ませることによってかつらベース外縁部の露見を防ぐ方法が特許文献2に開示されている。
一方、極薄人工皮膚に毛髪を植設したかつらを使用者の前額部のヘアライン対応位置に接着剤で直接貼着し、頭部とかつらとの境目を自然に見せて生え際を視認しにくくする方法が特許文献3に開示されている。
特許文献4にも、極薄人工皮膚を生え際に使用し、頭部とかつらとの境目を自然に見せて生え際部分を視認しにくくする方法が開示されている。
特許文献5には、波形を形成した針金状の枠線をかつらの前額部に取り付け、該枠線にうぶ毛のような柔らかい毛髪を植設して生え際が自然に見えるようにする方法が開示されている。
特開平8−199412号公報 実公平04−31222号公報 特開2001−89921号公報 特開平11−107023号公報 特開昭61−231204号公報
まず、特許文献1のかつらでは、前縁部のかつらベース表面とかつらベース裏面との双方に被覆用毛髪が植設されていることで、外縁部が肉厚となり、かつらベースが波を打った状態になる。その結果、所定の頭部形状の型が崩れてしまって、自然感をもたらすことができない。
特許文献2のかつらにあっては、毛髪を植設した毛髪植設用ネット部分にめくれが生じてしまうことがある。また、植毛用ネットとかつらベースの固定部分が厚くなって、かつらベース外縁部に自然感をもたせることができない。
いずれにしても特許文献1及び特許文献2の方法では、かつらベース自体の厚さは変わらないので、かつらを装着したときに特に前額部の生え際の位置において、かつらベースに相当な厚みが存在する。従って、前額部の皮膚との間で段差が生じて、かつらベースの断面部分が視認され易い傾向にある。
特許文献3では、極薄人工皮膚によって頭部全体を覆うような湾曲状のかつらを作製しようとしても、極薄人工皮膚が柔らかすぎるために頭部の湾曲状の型をつけることができないため、装着者の頭部形状に合致するかつらを作製することができない。特許文献3に記載の、かつらベース裏面全面に接着層を設け、頭部に直接貼着する方法では、貼着位置にずれが生じたり、しわが入ってしまうなど、うまく貼り付けることができないことがあり、その場合、再び貼着し直すことができないといった欠点もあった。また、特許文献3のかつらベースの接着層は、植設した毛髪の基端部をかつらベースに固定する第一接着層と、該第一接着層の上に頭部にかつらを貼着させるための第二接着層とから成るが、この場合、接着層が二層から構成されることからかつらベースが厚くなる欠点があった。
特許文献4の生え際の露見を防ぐ方法では、分髪部にのみ極薄人工皮膚が設けられており、前額部の横方向のヘアラインには、頭部とかつらの見分けが付かないようにするための工夫が施されていない。
特許文献5のかつらでは、生え際における枠線の波形が、突出が大きい場合や先端部の角度が鋭くなっている場合、頭部から枠線が浮き上がる高さが想定よりも高くなり、枠線に毛髪を植設するとき枠線に毛髪を巻回して結ぶので、枠線がより露見しやすくなり、かつらの生え際が不自然になる可能性がある。また、枠線の露見を防ぐために、うぶ毛のような柔らかい毛髪を植設することが必須となっているが、該枠線に植設するための毛髪を別に準備しなければならず、毛髪の準備に手間がかかり煩雑となる。
本発明は、このような事情を鑑みて創作されたものであり、かつらベースの前額部の生え際に人工皮膚を設けることによって装着者のヘアラインとかつらとの見分けが付かないようにし、且つ、装着者の頭部にフィットするかつらを提供することを第1の目的としている。本発明の第2の目的は、上記かつらの製造方法を提供することにある。
上記第1の目的を達成するため、本発明は、かつらベースとかつらベースに植設した毛髪とを備えたかつらにおいて、かつらベースは、前縁がかつら装着者の前額部に位置する人工皮膚で成るフロント部と、フロント部と接合していてかつら装着者の頭部形状に類似する型を有するキャップ部材で成るリア部とから構成され、フロント部が、上記人工皮膚と、この人工皮膚の裏面に剥離不能に接着して毛髪の針足部を固定し且つ頭皮には繰り返し接着及び剥離可能に加圧接着される機能を持った接着層と、を有することを特徴としている。
本発明のかつらは、前記接着層の繰り返し接着及び剥離機能(本発明では再剥離機能と称する。)が、接着層のゲル化反応終了後において発現される。この接着層は、ウレタンゲルからなることが望ましい。ウレタンゲルは、主剤及び硬化剤からなる2液混合型のウレタン樹脂系感圧型接着剤から成り、主剤はウレタン樹脂を主成分とするポリオール、硬化剤はポリイソシアネートを主成分とすることができる。人工皮膚の表面は、好ましくは、人工皮膚に艶消し剤を混合し、さらに、人工皮膚の表面に微細な凹凸部を形成することにより艶消し処理されている。この艶消し剤は無機物粒子であり、微細な凹凸部は細メッシュによる転写で形成することができる。人工皮膚の前縁は好ましくは波形に形成され、その厚さは、例えば0.08mm〜0.12mmである。
上記第2の目的を達成するために、本発明に係るかつらの製造方法は、頭部形状を模した雄型に熱可塑性エラストマーを塗布し乾燥させてフロント部となるべき人工皮膚を作製すると共に、ネット部材に装着者の頭部の形状に類似した型を付けて人工皮膚に連接したリア部となるべきネット型を作製する第1工程と、人工皮膚の上側又は下側にネット型を重ね合わせ、人工皮膚の後縁となるべき部分とこれと接合させるネット型の前縁となるべき部分とを縫着又は接着して接合部を形成する第2工程と、フロント部となるべき人工皮膚及びリア部となるべきネット型並びに接合部に毛髪を植設する第3工程と、毛髪を植設したフロント部となるべき人工皮膚の裏面に接着層を形成する第4工程と、フロント部に位置するネット部材とリア部に位置する人工皮膚部分とをそれぞれ切除する第5工程と、を含むことを特徴としている。
上記第3の毛髪植設工程と、第4の接着層形成工程と、第5の不要部分切除工程とは、各々の作業工程の順序を自由に変更することができる。例えば、不要部分を切除した後、毛髪を植設するか又は接着層を形成してもよいし、或いは、接着層を形成した後、不要部分を切除するか又は毛髪を植設するようにしてもよい。
本発明において、極薄人工皮膚の裏面に接着層を形成する工程は、主剤と硬化剤と有機溶剤とを含む溶液を混合攪拌して常温で所定の時間放置して反応を進行させて、溶液を極薄人工皮膚裏面に塗布し常温より高い所定温度で加熱して極薄人工皮膚裏面に接着し、所定時間の加熱後に常温まで冷却して形成すれば好ましい。この接着層は、極薄人工皮膚側の裏面に貫通して植設された毛髪の針足部を固着する毛髪固定機能と、頭部への再剥離機能の2つの機能が共に付与されている。
本発明におけるかつら用接着剤は、極薄人工皮膚裏面に剥離不能に接着された接着層を備え、接着層の一面は、極薄人工皮膚裏面に塗布した接着剤溶液のゲル化反応中にこの人工皮膚の裏面に化学反応により接着されて極薄人工皮膚裏面に貫通して植設される毛髪の針足部を固定する毛髪固定機能を有し、他面は、頭部に加圧接着されて頭部への再剥離機能を有する。ここで、頭部への再剥離機能は、接着層のゲル化反応終了後において発現される。
本発明に係るかつら及びかつらの製造方法によれば、かつらベースのフロント部において、装着者の前額部のヘアラインに相当する位置に前縁が位置する人工皮膚と、このフロント部の後方に位置するリア部において、装着者の頭部に類似したネット型に成形されたキャップ部材とを連接して組み合わせることで一枚のかつらベースとしている。このため、かつらベースが装着者の頭部によくフィットし、しかも前額部の生え際に迷彩効果が高い極薄人工皮膚を繰り返し貼り付け及び剥離することができるかつらを提供することができる。
かつら装着者の前額部の生え際に設ける極薄人工皮膚の表面側に艶消し処理を施し、さらに極薄人工皮膚の前縁を波形状とすることにより、かつらの露顕が一層防止されることができる。また、かつらベースに毛髪を植設した後、この人工皮膚の裏面全面か又は少なくとも前縁を含む端部領域の一部に頭部に極薄人工皮膚部分を接着させるための接着剤を塗布することによって、前額部の生え際において迷彩効果をさらに高めることができるかつらを提供することができる。
上記接着層は、一方側が人工皮膚の裏面に貫通して植設された毛髪の針足部を固着する毛髪固定機能を付与されると共に、接着層の頭皮に貼着する側の面が頭皮への再剥離機能を付与されている。接着剤が毛髪固定機能と頭皮への再剥離機能を兼ね備えた一層のみの構成であるので、かつらの厚さを薄くでき軽量になる。
本発明の実施形態に係るかつらを示す平面図である。 本発明の実施形態に係るかつらの裏面を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るフロント部の人工皮膚の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係るフロント部の人工皮膚の他の構成を模式的に示す断面図である。 図4の平面図である。 極薄人工皮膚の前縁の形状処理の模式図である。 図6で示した波形形状と比較を行うための模式図である。 図6で示した波形形状と比較を行うための模式図である。 図6で示した波形形状と比較を行うための模式図である。 図6で示した波形形状と比較を行うための模式図である。 図6で示した波形形状と比較を行うための模式図である。 図6で示した波形形状と比較を行うための模式図である。 かつらフロント部の前縁に設ける切り込みの形状について、かつら外縁部の所定の位置にて異なる形状の波形を設けた状態を示す模式図である。 フロント部と、側部や後頭部等のリア部の前縁において、切り込みを設けた模式図である。 頭部形状の石膏型の上にネットを張り、固定用針具を用いて固定する状態を示した側面図である。 石膏型上にある艶消し極薄人工皮膚の上にネットを重ね合わせ、固定用針具で固定した状態を示す模式図である。 艶消し極薄人工皮膚とネットとを一体化する処理を説明するための図である。 艶消し極薄人工皮膚とネットとを一体化する処理を説明するための図である。 艶消し極薄人工皮膚とネットとを一体化する処理を説明するための図である。 艶消し極薄人工皮膚とネットとを一体化する処理を説明するための図である。 かつらフロント部において艶消し極薄人工皮膚を設ける部分にあたるネットを切除したことを示す模式図である。 図21の側面図であり、かつらフロント部において艶消し極薄人工皮膚を設ける部分にあたるネットを、切除した状態を示す模式図である。 艶消し極薄人工皮膚とネットとを一体化する他の処理を説明するための図である。 かつらフロント部において艶消し極薄人工皮膚を設ける部分にあたるネットを切除した状態を示す模式図である。 図24の側面図であり、かつらフロント部において艶消し極薄人工皮膚を設ける部分にあたるネットを、切除した状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る人工皮膚のその他の構成を模式的に示す断面図である。 作製したかつらを側面から見た模式図である。 作製したかつらを裏面から見た模式図である。 艶消し極薄人工皮膚がネットの上に重なるように一体化して作製したかつらを側面から見た模式図である。
符号の説明
1 かつら
1a,1b かつらベース
10 極薄人工皮膚
11 極薄人工皮膚材
12 毛髪
12A 針足部
15 艶消し極薄人工皮膚材
15B 凹部
15C 凸部
15D 凹凸部
16 艶消し剤
20 ネット
30 接着層
40 剥離シート
50 毛止め用ウレタン溶液
51,51a,51b,51a′,51b′ 頂点
52 谷間
61 石膏型
62 固定用金具
73 接合部
74,75,76 マスキングテープ
D 分髪部
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1(A)及び図1(B)は本発明の実施形態に係るかつら1を示す平面図であり、かつら1のかつらベース1a,1bは、かつら装着者の前額部に対応したフロント部とこのフロント部から頭頂部及び後頭部へと続くリア部の2つのパートで構成されており、フロント部には、極薄人工皮膚10が配置され、リア部にはネット型20が配置されていて、これらは接合部73で互いに結合されて一体化されている。
図1(A)のかつらベース1aは、毛髪植設の際、分け目を入れるヘアスタイルに適合するように、使用者の前額部に対応する領域の他にさらに分髪部Dに対応した位置にも極薄人工皮膚10が設けられている。一方、図1(B)のかつらベース1bは、ヘアスタイルを所謂オールバックにすることを想定し、使用者の前額部に対応する領域だけに極薄人工皮膚10を備えている。
本発明の実施形態に係る極薄人工皮膚10は、かつら装着者の前額部に密着するものであり、かつら装着者の前額部の形状に沿うように、例えば横方向に彎曲して形成されている。また、ネット型20も、かつら装着者の頭部の形状に沿うように凸状の湾曲型が付けられて形成されている。人工皮膚10の前縁は、かつら装着者の前額の上部に本来存在するべきヘアラインに相当する位置に位置合わせされて密着される。人工皮膚10の裏面には全面に又は少なくとも前縁を含む端部領域の一部に、後述するように、この人工皮膚10には剥離不能に接着して毛髪の針足部を固定するが、頭皮には繰り返して接着及び剥離し得るように加圧接着される接着層30(図2参照)が設けられている。リア部のネット型20は例えばポリアミドやポリエステルなどの合成樹脂の繊維で緻密な格子状に形成されるか、又は自毛を引き出せるよう大きな網目に形成されていて、表面が浅い皿状に膨出したキャップ部材として構成される。フロント部とリア部とは、フロント部の人工皮膚10の後縁とリア部のネット型20の前縁とをライン状に重ね合わさせて接着又は縫着した接合部73により一体化され、全体として、装着者の頭部形状にできるだけ類似する型を有するように形成されている。
図2(A)は、図1(B)のかつらベース1bの裏面を示す図であり、フロント部の極薄人工皮膚10の前縁に沿って、単一層でなるかつら用接着層(以下、適宜、接着層と呼ぶ)30が所定の幅でライン状に塗布されている。尤も、図2(B)に示すように、極薄人工皮膚10の前縁の輪郭に沿って、所定の間隔を置いて散点状に複数の接着層30を塗布してもよい。或いは、接着層30は、極薄人工皮膚10の裏面全体に塗布されていてもよい。なお、図1及び図2において、かつらベース1a,1bにはその表面側に多数の毛髪が植設されているが、植設した毛髪の図示は省略している。
図3は、本発明の実施形態に係る極薄人工皮膚10の構成を模式的に示す断面図である。かつらベースのフロント部を構成する極薄人工皮膚10は、かつら装着者の前額部に本来存在するべきヘアラインに相当する位置に配置される前縁と頭部後方に所定幅で広がったほぼ弧状の輪郭を呈しており、極薄人工皮膚材11と、該極薄人工皮膚材11に植設される毛髪12と、接着層30とから構成されている。
本発明の実施形態に係る極薄人工皮膚材11は、例えばウレタン樹脂のような軟質合成樹脂を用いて極薄に形成されており、例えば、厚さが0.08mm〜0.12mmに設定されている。図1(A)及び図1(B)のかつらベース1a,1bにおいては、詳細は後述するが、フロント部の前縁が波形状に形成されている。
極薄人工皮膚材11へ植設される毛髪12は、人毛又は人工毛からなる。図3に示すように、毛髪12は極薄人工皮膚材11の表面側から裏面に貫通して植設され、再び極薄人工皮膚材11の表面側に引き抜くことにより、V字状又はU字状に植設されている。この極薄人工皮膚材11の裏面に貫通し、裏面側に露出する毛髪部を針足部12Aと呼ぶことにする。なお、このような植設方法を、通常、V植えと称している。
次に、本発明の実施形態において、極薄人工皮膚材11に塗布される接着層30について説明する。この接着層30は単一層で成る。単一層で成るかつら用接着層30は、一面側が極薄人工皮膚10の裏面には剥離不能に接着され、一方、他面側はかつら装着者の頭部に再剥離可能に加圧接着され得る特質を持った新規な構造を有している。この接着層30の一面側は極薄人工皮膚材11の裏面に貫通して植設される毛髪の針足部12Aを固定する毛髪固定機能を有して剥離不能に人工皮膚材11接着されている。上記接着層30は人工皮膚材11の裏面全面に形成されてもよく、或いは、人工皮膚材11の裏面において前縁を含む端部領域の一部分にライン状に又は散点状に形成されてもよい。
本発明に係るかつらベースのフロント部は、上記のように、極薄人工皮膚材11と、極薄人工皮膚材11用の単一の層でなる接着層30と、の2層構造で構成されている。
接着層30についてさらに具体的に説明する。この接着層30の一面側は、極薄人工皮膚材11裏面に塗布した接着剤溶液のゲル化反応により、極薄人工皮膚材11裏面に化学的結合により接着している。従って、毛髪12の針足部12Aは、接着層30が極薄人工皮膚材11へ接着されるときに極薄人工皮膚材11と接着層30との間に挟まれて、同時に極薄人工皮膚材11裏面に固定される。
一方、接着層30の頭部に当接する面は、頭部へ繰り返し貼着及び剥離可能に、すなわち再剥離可能に加圧接着され得るようになっている。この接着層30の頭部への再剥離機能は、上記接着剤のゲル化反応後において発現される。このため、ゲル化反応終了後の接着層30は頭部に対しては、常温で、短時間、わずかな力を加えるだけで接着できる。即ち、加圧接着できる感圧型接着層(所謂粘着層)の性質を有している。さらに、ゲル化反応終了後の接着層30は、微量の水や有機溶剤などでその表面を拭うことにより、頭皮への繰り返し貼着ができる。この繰り返し貼着ができることを、本発明において再剥離機能或いは単に剥離機能と称している。なお、図3に示すように、接着層30の頭皮への接着面には、装着者が手で容易に剥がすことができる塩化ビニルシートなどの剥離シート40を設けておけば好ましい。
次に、本発明のかつら用接着層30の材料について説明する。
接着層30の形成に用いられるかつら用接着剤としては、大別すると、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム系が挙げられる。
ウレタン樹脂系のかつら用接着剤は、後述するように、毛髪12の針足部12Aを極薄人工皮膚材11に固定する接着性が良好であり、且つ、接着層30と極薄人工皮膚材11との間を剥離不能に強接着できる性質を有している。また頭部に貼着する場合の再剥離性能が良好であり、低皮膚刺激性である。このため、ウレタン樹脂系のかつら用接着剤は、本発明の接着層30を形成するかつら用接着剤として好適に使用することができる。
一方、アクリル樹脂系の接着剤は、粘着性は優れるが、再剥離性能が弱く皮膚刺激性も強いことがある。ゴム系は、初期の粘着性は優れているが、時間の経過と共に再剥離性能が著しく低下する問題がある。
さらに上記かつら用接着層30をアクリル樹脂系及びゴム系の接着剤により形成すると、樹脂自体の硬さから、頭皮に貼着したときに皮膚の動きに追従できず頭部との密着性が低下して剥離しやすいこと、毛髪12の針足部12Aをかつらベース1a,1bに固定する接着性が弱いこと、接着層30とかつらベース1a,1bとの間の接着性が弱く剥離も容易に起こることから、使用に適さない。
次に、ウレタン樹脂系のかつら用接着剤を用いて接着層30を形成する場合について、さらに詳しく説明する。
ウレタン樹脂系のかつら用接着剤としては、主剤及び硬化剤からなる2液混合型の接着剤を好適に使用することができる。主剤はウレタン樹脂を主成分とするポリオール、硬化剤はポリイソシアネートを主成分とすることができる。これら2液を混合してゲル化反応させ、ゲル化反応終了後にゲルとなるものが好適である。このゲル化は加熱により促進できる。これにより、ゲル化の過程において、硬化剤中に含まれているイソシアネートの作用により表面張力などの物理的な結合力だけでなく化学的な結合力が加わる。このため、極薄人工皮膚材11と接着層30との間の接着力と、極薄人工皮膚材11とそれに植設した毛髪12の針足部12Aとの固着力が著しく向上して、従来の接着剤による毛止め工程と同程度の固着力が得られる。なお、固着力とは、本発明の接着層30において、極薄人工皮膚材11とそれに植設した毛髪12の針足部12Aへの接着力と定義し、通常の熱賦活型接着剤による接着力とは、区別するために用いる。
さらに、2液混合型ウレタン樹脂系のかつら用接着剤は、反応後にゲル状構造の接着層、即ち、粘着層となるので、前額部の極薄人工皮膚10の装着時に頭部の動きに追従するという優れた反応を示し、頭皮との密着性が低下せずに、十分なかつら粘着力が発現する。
次に、植設した毛髪12の針足部12aの極薄人工皮膚材11への固着力を付与する方法について説明する。この方法は、2液混合型ウレタン樹脂系のモノマーからなる接着剤を混合し、この2液中に艶消しかつらベース1a,1bの材質の有機溶剤を少量添加した接着剤を極薄人工皮膚材11に塗布し、乾燥することにより実施できる。このような有機溶剤としては、極薄人工皮膚材11の材料がウレタンエラストマーの場合には、ジメチルホルムアミド(DMF)やメチルエチルケトン(MEK)などを使用できる。
接着層30の毛髪12の針足部12Aの固着力及び頭部への粘着力の大きさは、2液混合型ウレタン樹脂系のかつら用接着剤の主剤及び硬化剤の混合割合の調整と、塗工粘度の調整と、2液混合した後に毛髪12を植設した極薄人工皮膚材11に塗布するまでの静置時間の調整などにより、調節できる。
本発明の実施形態に係る極薄人工皮膚10の変形例について図4及び図5を参照して説明する。かつらベースのフロント部において、極薄人工皮膚10Aは、艶消し極薄人工皮膚材15とその裏面に設けた単一の層でなる接着層30との2層構造でなり、単一層でなる接着層30が艶消し極薄人工皮膚材15裏面の前縁所定幅または前縁を含む端部領域の一部分に剥離不能に接着され、毛髪12の針足部12Aの固着機能と頭部への再剥離機能とを有している。
図4及び図5に示すように、極薄人工皮膚10Aが上記図1、図2に示す極薄人工皮膚10と異なるのは、極薄人工皮膚材15の表面に、艶消しのための微細な凹凸部15Dが形成され、且つ、艶消し剤16が添加されていることである。この微細な凹凸部15Dは、凹部15Bと凸部15Cとからなる。図示の場合、艶消し剤16は表面側から所定の領域15Aまで添加されているが、艶消し剤16はかつらベース中の任意の領域に添加すればよい。他の構成は上述の極薄人工皮膚10と同じである。
かつらベース1a,1bを軽量化するために厚さを薄くする場合には、艶消し効果と頭部に貼着したときの皮膚の動きへの追従性とを考慮して、艶消し剤16を艶消し極薄人工皮膚材15の表面側にできるだけ浅く添加するのが好ましい。一例として、艶消し極薄人工皮膚材15の厚さを0.08mm〜0.12mm程度にする場合には、艶消し剤16を艶消し極薄人工皮膚材15の表面側から0.03〜0.035mm程度の深さまで添加することが好ましい。0.03mmよりも浅いと艶消し効果が十分でなく、0.035mmよりも厚いと艶消しされた極薄人工皮膚材15が硬化し、頭皮の動きに追従し難くなり好ましくない。
艶消し剤16は各種の無機物粒子が使用できる。この無機物粒子の材料としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ゼオライト、硝子の何れかを用いることができる。特に、粒子径が1〜10μmの粉末状のシリカが好適である。粉末状のシリカは、塗布する適宜な有機溶剤中に溶解させた熱可塑性エラストマー重量に対して5〜25%が望ましい。艶消し剤16として例えば粉末状のシリカを用いれば、被着者の頭皮の色が透けて見えるので、艶消し極薄人工皮膚材15と頭部の境目が視認され難くなり、かつら装着時の自然さが向上する。
微細な凹凸部15Dは、後述するように、ネット状の織物などの細メッシュを用いた転写により形成することができる。この転写により、艶消し極薄人工皮膚材15には微細な凹凸が形成される。この凹凸が皮膚を擬似した模様を呈する。
艶消し極薄人工皮膚材15の厚さは0.08〜0.12mm程度が好ましい。艶消し極薄人工皮膚材15の厚さが0.08mmよりも薄い場合は、艶消し極薄人工皮膚材15の形態安定性が弱くなってしまうため、装着中の艶消し極薄人工皮膚材15が装着者の頭部形状に合わなくなってしまう。また艶消し極薄人工皮膚材15の厚さが0.12mmよりも厚い場合は、かつら装着時に頭皮とかつらベースの境目の位置に段差が生じ、厚みによってかつらベースの断面が目立ち、かつら装着が視認され易く、さらに装着時に頭皮の動きにかつらベースが追随できなくなってしまう。
本発明の艶消し極薄人工皮膚材15によれば、艶消し剤16及び微細な凹凸部15Dによる乱反射により、複合された艶消し効果が発揮される。そして、粉末状のシリカは透明であり、装着者の頭部の色が透けて見えるので、前額部の極薄人工皮膚10Aと頭部の境目が視認され難くなり、かつら装着時の自然さが向上する。
無機物の添加のみでは艶消し極薄人工皮膚材15が硬くなったり、所望の光沢が得られても、添加した無機物の作用により、艶消しされたかつらベース1a,1bの色合いが大きく変化して、装着者の頭部の色に近似させることが困難であったが、本発明の構造にすることによってこのような欠点が解決される。
上記変形例によれば、頭皮の動きに追従し易く、且つ、艶消し効果の極めて高い艶消し極薄人工皮膚材15を用いることにより、再剥離性を有する前額部の艶消し極薄人工皮膚10Aを実現できる。
次に、かつら前額部の前縁に形成する波形形状について説明する。
フロント部に設けた艶消し極薄人工皮膚材15について、さらに迷彩効果を高めるため、フロント部の前縁の少なくとも一部分に、図1(A)及び図1(B)に示すように、波形状の切り込みを入れる。
この前縁の波形形状は、艶消し極薄人工皮膚材15を切除することにより形成される。切除の際に、艶消し極薄人工皮膚材15の前縁の加工を行う。図6は、本発明の実施形態に係る艶消し極薄人工皮膚材15の前縁に実施する形状加工の模式図である。図中の波形形状について、長手方向に対して凸型部分の頂上を頂点51、両側の山の間にある谷の底部分を谷間52と表記する。
ここで、図7〜図12は図6で示した波形形状との比較を行うための模式図である。まず、切り込みを波形とする理由は、フロント部前縁の形状を図7,図8のような三角形や四角形等の多角型にすると、頭部にかつらを装着した場合に艶消し極薄人工皮膚材15の前縁の突出部分53がめくれて、かつらの露見につながる可能性がある。このため、切り込みの形状は先端部に丸みを帯びている波形が適している。
波形形状の寸法は、図6における頂点51から谷間52までの長手方向に対する垂直方向の長さ、即ち、深さAが1.0mm〜3.0mmとすることが好ましい。深さAが図9に示すように3.0mmよりも大きいと、かつら装着の際に頂点51を含んだ突片にめくれが生じて露見につながる可能性がある。深さAが図10に示すように1.0mmよりも小さいと、前縁を直線状に処理したものと比べて波形の前縁との差がほとんど無く、十分な迷彩効果を持たせることができない。
図6における頂点51aからそれに隣接する頂点51bまでの長手方向の長さBは7.0mm〜30.0mmに設定するのが望ましい。長手方向の波形の長さBが30.0mmよりも大きいと、図11に示すように、波形状の切り込みを入れずに直線状として処理したものと変わりが無く、迷彩効果を持たせることができない。長手方向の波形の長さBが7.0mmよりも小さいと、前縁の形状は図12に示すように鋸刃状になって頂点51を含む山型部分が突出する形状となるため、装着時にめくれが生じる可能性がある。
ここで、人工皮膚の前縁に形成する波形の形状は全て同一でなくてもよく、特定の部分において深さやピッチが異なっていてもよい。例えば、図13はフロント部の境界線C1からC2までの範囲において頂点51aからそれに隣接する頂点51bまでの長手方向の長さB1と、該範囲以外の艶消し極薄人工皮膚材15の頂点51a′から頂点51b′までの長手方向の長さB2とを、異なる長さとしたものである。フロント部の前縁に設ける切り込みの寸法が上記の範囲内であると、フロント部の前縁の所定の位置にて異なる形状の波形を形成することができる。
波形状の切り込みを入れる部分は、実施例ではフロント部の生え際に設けた極薄人工皮膚材11,15の前縁に形成しているが、側部や後頭部等のフロント部以外の外縁部にも切り込みを入れて迷彩効果を持たせることが可能である。例えば、図14に示すかつらベースのネット20において、サイド部や後頭部側に波形を形成した場合にも同様の迷彩効果を持たせることができる。
次に、本発明の実施形態に係るかつらの製造方法について説明する。
最初に、極薄人工皮膚材11の製造方法について説明する。
第1工程として、予め用意したかつら装着者の頭部形状の雄型(例えば、石膏型等)又は予め作られた典型的な頭部形状の幾つかのパターンの中から使用者の頭部形状に最も類似する雄型を用いて、この雄型に、軟質合成樹脂からなるペレット状の熱可塑性エラストマーを有機溶剤に溶解した溶液(以下、熱可塑性エラストマー溶液と呼ぶ)を塗布する。そして、雄型を乾燥して成形することで恰も頭部に近似した極薄人工皮膚材11が得られる。熱可塑性エラストマーは各種適用可能であるが、例えば、ウレタンエラストマーが好ましい。必要に応じて防黴剤などを添加してもよい。このようにして極薄人工皮膚材11を製造することができる。
次に、極薄人工皮膚材11に施す艶消し処理について説明する。
第2工程として、第1工程で成形した極薄人工皮膚材11に以下の工程により艶消しを行い、かつら表面に自然な艶消し光沢を付与する。
具体的には、極薄人工皮膚材11の作製で使用した熱可塑性エラストマー溶液に艶消し剤16となる無機物粒子を添加した溶液を用意する。この溶液を極薄人工皮膚材11の表面に塗布して乾燥させる。極薄人工皮膚材11の厚さが0.08〜0.12mm程度の場合には、この溶液を塗布及び乾燥させたときの艶消し剤16を含む領域15Aの深さを、0.03〜0.035mm程度にするのが好ましい。そのためには、塗布する熱可塑性エラストマーの粘度を調整すればよい。無機物粒子は各種適用可能であるが、粒子径1〜10μmの粉末状のシリカが好ましく、その添加量は、塗布する溶液中に溶解させた熱可塑性エラストマー重量に対して5〜25%が望ましい。必要に応じて、艶消し剤16と共に、紫外線吸収剤や黄変防止のための酸化剤などを添加してもよい。
第3工程として、第2工程で表面上に艶消し剤16が添加された極薄人工皮膚材11に細メッシュ状のネットを被せて、極薄人工皮膚材質の溶媒を塗布し、乾燥した後に細メッシュ状のネットを取り除き、極薄人工皮膚材11表面に細メッシュにより微細な凹凸部15Dを形成する。この工程で使用される細メッシュ状ネットは、上記極薄人工皮膚材11に塗布する溶媒に溶解しない材料であれば何れでもよい。例えばかつらベース1a,1bをウレタン樹脂で形成した場合には、ナイロンを用いることができる。また、細メッシュ状のネットは、0.03〜0.1mmの糸径で編まれ、30〜100メッシュ(本/インチ)程度のサイズが好ましい。
上記第2及び第3工程により、第1工程で成形した極薄人工皮膚材11に艶消し処理を施し、自然な艶消し光沢が付与された艶消し極薄人工皮膚材15(図4参照)を形成することができる。これにより、艶消し極薄人工皮膚材15には、無機物粒子を添加した艶消し剤添加領域15A及び微細な凹凸部15Dの形成による複合された艶消し処理が施される。
第4工程として、合成樹脂製のネットを用意し、このネットに装着者の頭部の形状に合わせた型を付けてネット型20を得る。詳細は後述するが、合成樹脂製の扁平なネット20に対して、装着者の頭部形状に合わせた型を用いて樹脂加工により成形する。
なお、ネット型20の成形工程を第1工程とし、第2工程以下で人工皮膚材を成形する作業を行なってもよいことは勿論である。
第5工程として、作製した艶消し極薄人工皮膚材15の上に、予め装着者の頭部形状に合わせたネット型20を重ね合わせ、所定位置に所定幅で縫着又は接着して極薄人工皮膚材15とネット型20とを接合部73にて連接して一体化し、かつらベース1a、1bを作製する。作製したかつらベースの形状とサイズは、全体として、装着者の頭部形状にできるだけ類似するように形成されるとフィット感に優れて好ましい。
第6工程として、艶消し極薄人工皮膚材15と合成樹脂製のネット型20に毛髪12となる人毛または人工毛を、それぞれ所定の方法により植設する。
第7工程では、毛髪12を植設した艶消し極薄人工皮膚材15の裏面に接着層30を形成する。接着層30は、艶消し極薄人工皮膚材15の裏面にある毛髪12の針足部12Aを艶消し極薄人工皮膚材15に固定する機能と、頭部に貼着する機能を兼ね備えた接着剤を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。この接着剤の塗布方法としては、スプレー法や刷毛を用いた方法が使用できる。
ここで、かつら用接着層30の具体的な形成工程について説明する。
最初に、毛髪12を植設したかつらベース1a又は1bを裏返してかつら装着者の頭部形状雄型に固定する。この頭部形状雄型は、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂から形成される。次に、かつら用接着剤モノマーと有機溶剤を混合攪拌する。このかつら用接着剤モノマーとしては、イソシアネートを主成分とした物とポリオールを主成分とした物の2種類を用いることができる。必要に応じて、艶消し極薄人工皮膚材15の溶剤を加えても良い。
この溶液を常温で所定時間静置して反応を進めて、かつら用接着剤溶液とする。ここで、所定時間静置は、混合攪拌した上記溶液中の分子同士の架橋反応をある程度進ませるために行う。次に、上記の所定時間静置した接着剤溶液を、艶消し極薄人工皮膚材15の裏面にハケで所望の厚みになるよう塗布し、常温以上の加熱温度で所定時間乾燥させ、乾燥後、室温まで冷却することにより、接着層30を形成することができる。所望の厚さの接着層30を得るために、上記接着剤溶液の塗布及び加熱による乾燥を繰り返してもよい。
なお、艶消し極薄人工皮膚材15と接着層30との間の接着力と、艶消し極薄人工皮膚材15とそれに植設した毛髪12の針足部12Aとの間の接着力は、常温以上の加熱速度で所定時間乾燥させるゲル化の過程において発現する。
上記第7工程により、本発明のかつら用接着層30を形成し、フロント部の極薄人工皮膚15を作製することができる。さらに、かつら用接着層30には、かつらを装着する前の保護のために剥離用シート40を設けてもよい。
第8工程として、極薄人工皮膚材15とネット20の不要なはみ出し部分を切除する。この切除の際に、艶消し極薄人工皮膚材15の前縁の波形形状加工を行う。上記工程を経てかつら1が完成する。
ここで、上記かつらベースに対して毛髪を植設する第6工程、人工皮膚の裏面に接着層30を形成する第7工程、並びに人工皮膚及びネット型の不要なはみ出し部分を切除する第8工程は、この順序で作業を遂行する必要はなく、何れの工程を先行して行なってもよいことは明らかである。例えば、第8の切除工程を第5の接合部形成工程の次に行なってもよい。或いは、植毛工程又は接着層形成工程を最後に行なうこともできる。
本発明の実施形態に係るかつら1は、単一層でなる接着層30を使用することを特徴としている。このため、従来の2層構造の接着層をもったかつらにおける毛髪の針足部の固着機能を有する第1の接着層と、頭部への貼着機能を有する第2の接着層の機能を、単一層でなる接着層30により実現することができる。これにより、フロント部が、極薄人工皮膚材11,15及び単一層でなる接着層30の簡単な構造で構成できる。
単一層でなる接着層30の厚さは、毛髪12の針足部12Aを固着できる程度でよく、例えば植設する毛髪12の太さが0.08〜0.09mmであれば0.05mm程度で済むので、フロント部を軽量化することができる。
頭部側に貼着する側の接着層30は再剥離性を有し、接着層30を水や有機溶剤で洗うだけで粘着力が回復して繰り返し使用ができる。このため、低コストなかつら1を実現することができる。
本発明の実施形態に係るかつらの製造方法の実施例を説明する。
第1工程として、予め用意したかつら装着者の頭部形状の石膏型に、ウレタンエラストマーをDMF及びMEKに溶解させ、防黴剤を添加した溶液を塗布し、加熱温度60℃で1時間乾燥を行った。さらに、その石膏型の上に、上記ウレタンエラストマー溶液よりも濃度を下げたウレタンエラストマーの溶液を塗布し、加熱温度60℃で30分乾燥を行い、厚さ0.07mm程度の極薄人工皮膚材11を作製した。
第2工程として、ウレタンエラストマーをDMF及びMEKに溶解させ、防黴剤を添加した溶液に、さらに、艶消し剤6となる粉状シリカ(平均粒径3.1μm〜4.1μm)と、紫外線吸収剤と、酸化防止剤とを添加して、艶消し用溶液を作製した。シリカの重量は、ウレタンエラストマー重量に対して、約8%であった。この艶消し用溶液を極薄人工皮膚材11に塗布し、加熱温度60℃で、2〜4時間程度乾燥させた。
第3工程として、上記第2工程で表面に艶消し剤16が添加された側の極薄人工皮膚材11に、細メッシュ状のネットとして市販のナイロン製のストッキング用ネットを被せて、極薄人工皮膚材11の溶剤であるMEK及びDMFを所定の割合で混合したものを塗布し、100℃で4時間乾燥させた。乾燥した後にストッキング用ネットを取り除き、極薄人工皮膚材11の表面に微細な凹凸部21Dを形成した。ストッキング用のネットの糸径は0.05mmであり、メッシュは、50メッシュ(本/インチ)程度であった。
このようにして、ウレタン樹脂からなる極薄人工皮膚材11の表面に、艶消し剤16を含む領域15Aと凹凸部15Dとを形成し、艶消し極薄人工皮膚材15を製造した。艶消し極薄人工皮膚材15の厚さは、艶消し剤16を含む領域15Aにおいて0.03〜0.035mm程度増加して、全体の艶消し極薄人工皮膚材15の厚みが0.09〜0.11mm程度の厚さとなった。
第4工程として、ネット型20に成形する前のネット部材を装着者の頭部形状に成形するために、頭部形状の石膏型61の上にネット部材を張り樹脂加工を行う。図15は、頭部形状の石膏型61の上にネット部材を張り、固定用針具62を用いて固定した状態の側面図である。
樹脂加工は、図15のように用意したかつら装着者の頭部形状の石膏型61にナイロン製からなるネット部材を張って固定した後、そのネット部材の上から熱硬化性ウレタン樹脂溶液を塗布し、加熱温度100℃で8時間乾燥させて成形し、ネット型20を得た。
次に、石膏型61からネット型20を剥がして超音波加工を行った。超音波加工とは、ネット型20を構成する糸が交差する部分を超音波と加圧によって溶着し、交差する部分を固定する処理である。超音波加工を行った際、成形したネット型20の形が崩れてしまうと後述する第5工程に支障が生じる。そこで、石膏型61の上に超音波加工を行ったネット型20を前額部、後頭部、左右側頭部の位置に合わせて張って固定し、熱硬化性ウレタン樹脂溶液をその上から塗布し、加熱温度100℃で4時間乾燥させて成形を行った。
本実施例ではネット部材としてナイロン製ネットを用いたので、熱硬化性ウレタン樹脂溶液による樹脂加工後に超音波加工及び再成形処理工程を行ったが、これはナイロンの吸水性が高いために寸法安定性が悪く、また頭部形状に成形した形状が崩れ易いので、それを防止するためである。ナイロン製以外のネットの場合は、吸水性が高く寸法安定性が良好なので、熱硬化性ウレタン樹脂溶液による樹脂加工だけでもよい。
なお、成形に用いたネット部材の糸径は220Dであり、メッシュは25メッシュ程度(本/インチ)であった。成形に用いるネット部材は頭部形状の型を付けることができる素材であればよく、糸径やメッシュの数値は適宜変更可能である。
第5工程として、前記第1〜第3工程で作製した艶消し極薄人工皮膚材15を下に、第4工程で作製した成形済みのネット型20を上にして重ね合わせる。図16は、前記第1〜第3工程で作製した石膏型61にセットした艶消し極薄人工皮膚材15の上から、前記第4工程で作製したネット型20を重ねた状態を示す側面図である。そして、重ね合わせた艶消し極薄人工皮膚材15とネット型20を所定の位置に所定の幅で接着し、一体化する。
ここで、艶消し極薄人工皮膚材15とネット型20を一体化する処理について説明する。
先ず、図17に示すように、艶消し極薄人工皮膚材15の接合部73となる境界線に沿ってそのフロント側に幅3mmのマスキングテープ74を貼る。次に、図16及び図18に示すように、艶消し極薄人工皮膚材15の上にネット型20を重ねて所定の位置に合わせる。そして、図19に示すように、マスキングテープ75,76をネット型20の上に接合部73の境界線に沿って接合部73を挟むように貼る。図20は図19のA−A′線断面図である。マスキングテープ74を前頭部側の境界線に沿って予め貼る理由は、艶消し極薄人工皮膚材15に一体化溶剤が付着して、艶消し極薄人工皮膚材15の美観を損ねてしまうのを防止するためである。
艶消し極薄人工皮膚材15とネット型20とを一体化させるために、ウレタンエラストマーをDMF及びMEKに溶解させ、防黴剤を添加して作製した一体化用溶剤を、接合部73に塗布し、加熱温度60℃で30分間乾燥させた。次に、ウレタンエラストマーをDMF及びMEKに溶解させ、防黴剤を添加した溶液に、さらに、艶消し剤16となる粉状シリカ(平均粒径3.1μm〜4.1μm)と、紫外線吸収剤と、酸化防止剤を添加した艶消し用溶液を、一体化溶剤を塗布した位置に塗布し、加熱温度60℃で2時間乾燥させた。シリカの重量は、ウレタンエラストマー重量に対して、約21%であった。一体化後、図21、図22のように、艶消し極薄人工皮膚材15に位置する不要なネット部材20a(図19参照)を切除する。
艶消し極薄人工皮膚材15とネット型20との接合部73は、縫着によって形成することもできる。先ず、図16及び図23に示すように、艶消し極薄人工皮膚材15の上にネット型20を重ねて所定の位置に合わせる。次に、図23に示した接合部73′に沿ってナイロンフィラメント糸によって手縫いによる仮縫いを行い、石膏型61から艶消し極薄人工皮膚材15とネット型20とを剥がす。
仮縫いを行った接合部73′に沿って、ナイロンフィラメント糸を用いてミシンによる本縫いを行う。本縫い後、最初に仮縫いを行った部分に残っているナイロンフィラメント糸を抜いて取り除く。
ここで、ナイロンフィラメント糸の糸径は50dxのものを使用した。ミシンによる本縫いを行うためのナイロンフィラメント糸は、接合部の露見を防ぐため、ネット型20の色に合わせて露見しない色を選択し、且つ、艶が発生しないものを用いるのが望ましい。仮縫いに使用するナイロンフィラメント糸はミシンによる縫製後に取り除く工程があるため、艶消し極薄人工皮膚材15及びネット型20との見分けがつくような色が付いているものを用いることが好ましい。一体化後、図24及び図25のように、艶消し極薄人工皮膚材15に位置する不要なネット部分20a(図23参照)を切除する。
第6工程として、かつら装着者の頭部形状雄型に第1〜第5工程によって作製したかつらベースを固定し、艶消し極薄人工皮膚材15並びにネット型20にナイロン製の人工毛髪12の1本又は数本をまとめて折り返して、艶消し極薄人工皮膚材15にはV植えで植設し、ネット型20にはネットを構成する糸と毛髪12を結びつけて植設した。V植えとは、図3に示すように毛髪12を極薄人工皮膚材11の表面側から裏面に貫通して植設し、再び極薄人工皮膚材11の表面側に引き抜くことにより、V字状またはU字状に植設するものである。ネット型20及び接合部73に毛髪を植設する方法は、紐などの結び方で公知のひばり結び、巻き結びを行う。
第7工程として、毛髪12を植設した艶消し極薄人工皮膚材15の裏面に接着層30を形成する。具体的には、毛髪を植設したかつらベース1a又は1bを裏返してかつら装着者の頭部形状雄型にセットする。
図2(A)、図2(B)に示すような人工皮膚の前縁の所定幅α或いは前縁の一部βに接着層30を形成する場合、接着層30を形成しない部分に植設した毛髪の針足部12Aを艶消し極薄人工皮膚材15の裏面に固定するための毛止め用ウレタン溶液を所定回数塗布し、加熱温度60℃で所定時間乾燥した。その後、人工皮膚の前縁の所定幅α又は前縁の一部βに接着層30を形成する。接着層30を形成する幅は、1.0cm以上であればよい。このような場合の極薄人工皮膚10Bの断面は図26に示すようになる。毛髪12の針足部12Aがウレタン溶液50により艶消し極薄人工皮膚材15に固定され、このウレタン溶液50の上に接着層30が塗布されている。
艶消し極薄人工皮膚材15裏面の全面に接着層30を形成する場合は、図3及び図4に示すように、毛止め用ウレタン溶液50を塗布せずに接着層30を形成する。毛止め用ウレタン溶液50を塗布しない理由は、接着層30が毛髪の針足部12Aの固着機能を有しており、接着層30を形成することにより艶消し極薄人工皮膚材15裏面の全面に植設した毛髪の針足部12Aが全て固着されるからである。
接着層30を形成するための接着剤は、主剤と硬化剤とからなる2液混合型ウレタン樹脂系接着剤モノマーと、艶消し極薄人工皮膚材15の溶剤であるDMFと、を混合したものを用いた。主剤としてはウレタン樹脂を主成分とするポリオール、硬化剤としては、ポリイソシアネートを主成分とした。上記2液混合型ウレタン樹脂系接着剤の主剤と硬化剤と溶剤であるDMFとを混合撹拌した。この溶液を、室温で約1〜2時間静置し反応を進めた。静置後の溶液の粘度は、2000〜3000cps程度が適当であった。この接着剤の溶液を、艶消しかつらベース1a、1bの裏面にハケ塗りし、80℃で10〜15時間乾燥させ、乾燥後室温まで冷却した。このようにして、約0.05〜0.2mmの接着層30を形成した。
第8工程として、ネット型20の不要な部分を切除する。また、かつらの輪郭を形成する外縁部72に沿って艶消し極薄人工皮膚材15のはみ出し部分を切除する。切除の際に、艶消し極薄人工皮膚材15の前縁の形状処理を行う。形状の寸法について、図6のように頂点51からそれに隣接する谷間52までの長手方向に対する垂直方向の長さAは2.0mm程度、頂点51aからそれに隣接する他の頂点51bまでの長手方向の長さBは10.0mm程度となる波形状とした。
図27及び図28は、前記工程を経て作製したかつら1の模式図である。図27は、作製したかつら1を側面から見た模式図で、図28は作製したかつら1を裏面から見た模式図である。D方向がかつらの前頭部方向で、フロント部には艶消し極薄人工皮膚材15が設けられ、リア部にはネット型20が設けられており、接合部73で艶消し極薄人工皮膚材15とネット型20とが接合されている。また、人工皮膚材15の前縁には接着層30が形成され、波形の形状処理がなされている。
本実施例では、艶消し極薄人工皮膚材15の上にネット型20を重ね合わせて一体化しているため、接合部73では図27のように、ネット型20が艶消し極薄人工皮膚材15の上に重なるように一体化されているが、図29のように、艶消し極薄人工皮膚材15が上になり、ネット型20が下となるように一体化して作製することも可能である。
上記実施例におけるかつら10の接着層30に対する、かつらベース1a,1b及び毛髪12の針足部12Aの固着強度を調べた。かつらベース1a,1bと接着層30との接着力は、180gf/mm2 程度あった。毛髪12の針足部12Aと、接着層30との固着力は、10gf/mm2 程度であった。
また、かつらベース1a,1bと接着層30との接着力を、人の手による引き剥がしによる方法で調べたところ、かつらベース1a,1bから接着層30は容易には剥がれず、剥離不能に接着されていることが分かった。さらに、かつらベース1a,1bと毛髪12の針足部12Aとの固着力を、毛髪12の人手による引き抜きによる方法で調べた。毛髪12の針足部12Aのかつらベース1a,1bへの接着は、かつらベース1a,1b及び接着層30との接着力よりは弱いが、毛髪12をブラッシングしても抜け落ちることは無く充分な固着力を有することが分かった。
接着層30の頭皮への粘着性と再剥離性も良好であった。接着層30を水で拭うことにより再度貼着することができ、しかも、このような着脱を連続して数十回以上行うことができ、接着層30の再剥離性が確認できた。従って、本かつらは、連続装着することなく、毎日或いは必要により適宜に着脱することができるので、衛生的であると共に、実用上極めて有利である。
次に、本発明によるかつら1を被試験者に装着させて外観観察を行ったところ、接着層30の周囲からの光の反射は観察されなかった。さらに、かつら1を装着しない別の被試験者に観察させても、艶消しされた接着層30を用いたことにより、かつら1を装着していることは分からず、見栄えがよいことが判明した。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は実施形態にのみ限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更等が可能である。
例えば、単一の層でなる接着層30として、ウレタンゲルについて説明したが、かつらベース1a,1bとかつらベースに植設される毛髪12の針足部12Aとの固着力と、頭皮部への再剥離性を備えていれば、その製造に用いるかつら用接着剤は適宜に選定することができる。また、艶消し剤はシリカに限らずその他の艶消し剤でもよい。上記実施形態で説明した具体的数値等は、必要に応じて適宜変更可能である。
本実施例では前額部分の外縁部の生え際以外に合成樹脂製のネットを設けたかつらベースについて説明したが、ネットの代わりに頭部形状の型を付けることができるような特性を持つ合成樹脂製の人工皮膚をキャップ部材として使用してもよい。

Claims (19)

  1. かつらベースとこのかつらベースに植設した毛髪とを備えたかつらにおいて、
    上記かつらベースは、人工皮膚で成りその前縁をかつら装着者の前額部に配置するフロント部と、上記フロント部と接合していてかつら装着者の頭部形状に類似する型を有するキャップ部材で成るリア部とから構成され、
    上記フロント部が、人工皮膚材と、この人工皮膚材の裏面に剥離不能に接着して毛髪の針足部を固定し且つ頭皮には繰り返し接着及び剥離可能に加圧接着される機能を持った接着層と、を有することを特徴とするかつら。
  2. 前記接着層の繰り返し接着及び剥離機能が、該接着層のゲル化反応終了後において発現されることを特徴とする、請求項1に記載のかつら。
  3. 前記接着層が、ウレタンゲルからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のかつら。
  4. 前記ウレタンゲルが、主剤及び硬化剤からなる2液混合型のウレタン樹脂系感圧型接着剤から成り、上記主剤はウレタン樹脂を主成分とするポリオール、上記硬化剤はポリイソシアネートを主成分とすることを特徴とする、請求項3に記載のかつら。
  5. 前記人工皮膚の表面が艶消し処理されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のかつら。
  6. 前記艶消しされた表面が、前記人工皮膚に艶消し剤を混合し、さらに、前記人工皮膚の表面に微細な凹凸部を形成することで構成されることを特徴とする、請求項5に記載のかつら。
  7. 前記艶消し剤が、無機物粒子であることを特徴とする、請求項6に記載のかつら。
  8. 前記微細な凹凸部が、細メッシュによる転写で形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のかつら。
  9. 前記人工皮膚の前縁が波形に形成されていることを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載のかつら。
  10. 前記人工皮膚の厚さが、0.08mm〜0.12mmであることを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載のかつら。
  11. 頭部形状を模した雄型に熱可塑性エラストマーを塗布し乾燥させてフロント部となるべき人工皮膚を作製すると共に、ネット部材に装着者の頭部の形状に類似した型を付けて人工皮膚に連接したリア部となるべきネット型を作製する第1工程と、
    上記人工皮膚の上側又は下側に上記ネット型を重ね合わせ、上記人工皮膚の後縁となるべき部分と該部分と接合させる上記ネット型の前縁となるべき部分とを縫着又は接着して接合部を形成する第2工程と、
    上記フロント部となるべき人工皮膚及び上記リア部となるべきネット型並びに上記接合部に毛髪を植設する第3工程と、
    上記フロント部となるべき人工皮膚の裏面に接着層を形成する第4工程と、
    上記フロント部に位置する不要なネット部材とリア部に位置する不要な人工皮膚とをそれぞれ切除する第5工程と、を含むことを特徴とする、かつらの製造方法。
  12. 前記第3の毛髪植設工程と、第4の接着層形成工程と、第5の不要部分切除工程とは、各々の作業工程の順序を自由に変更し得ることを特徴とする、請求項11に記載のかつらの製造方法。
  13. 前記第4工程は、主剤と硬化剤と有機溶剤とを含む溶液を混合攪拌して常温で所定の時間放置して反応を進行させて、上記溶液を前記人工皮膚の裏面に塗布し加熱して上記人工皮膚の裏面に接着し、加熱後に常温まで冷却して、前記人工皮膚の裏面に前記接着層を形成することを特徴とする、請求項11又は12に記載のかつらの製造方法。
  14. 前記人工皮膚の表面に艶消し処理を施すことを特徴とする、請求項11〜13の何れかに記載のかつらの製造方法。
  15. 前記艶消し処理が、前記人工皮膚に艶消し剤を混合し、さらに、前記人工皮膚の表面に微細な凹凸部を形成することで行なわれることを特徴とする、請求項14に記載のかつらの製造方法。
  16. 前記艶消し剤が、無機物粒子であることを特徴とする、請求項15に記載のかつらの製造方法。
  17. 前記微細な凹凸部が、細メッシュによる転写で形成されることを特徴とする、請求項15に記載のかつらの製造方法。
  18. 前記人工皮膚の前縁を波形に形成することを特徴とする、請求項11〜17の何れかに記載のかつらの製造方法。
  19. 前記人工皮膚の厚さが、0.08mm〜0.12mmであることを特徴とする、請求項11〜18の何れかに記載のかつらの製造方法。
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