WO2024038649A1 - 汎用かつら - Google Patents

Abstract

本発明は、女性用のかつらとしても使用可能であって、かつ、従来に比べて皮膚から剥がれにくい汎用かつらを提供する。 ベース部と、複数の毛髪繊維部と、粘着部を有し、ベース部は、第１主面と、第２主面を有し、ベース部は、複数の貫通孔を有する網状部と、貫通孔を塞ぐ閉塞部を有し、閉塞部は、網状部の第１主面側の面よりも第２主面側に位置しており、毛髪繊維部は、第２主面側で中間部が網状部と係合し、端部側がベース部の第１主面からそれぞれ張り出しており、ベース部は、複数の毛髪繊維部が設けられた毛髪繊維領域と、複数の毛髪繊維部が設けられていない非毛髪繊維領域を有し、閉塞部は、毛髪繊維領域と非毛髪繊維領域に跨って設けられており、粘着部は、ベース部の第２主面側に設けられ、９０％以上の部分がベース部の厚み方向において閉塞部と重なっている構成とする。

Description

汎用かつら

　本発明は、汎用かつらに関する。

　従来から、男性用のかつらとして、髪から露出した頭皮に直接接着し、植毛する使い捨て用かつらが開発されている（例えば、特許文献１）。
　特許文献１の使い捨て用かつらは、ネット状のベースの植設穴に人毛や人工毛等の毛を１本ずつＶ型植毛することでベースに毛を取り付けている。

特開２００１－８９９２１号公報

　ところで、近年、女性においてもヘアアレンジの用途で、かつらを使用する場合がある。
　しかしながら、このような用途で使用される女性用のかつらは、男性用のかつらとは異なり、髪によって頭皮が露出しないため、特許文献１の使い捨てかつらのように全面に接着層が形成されていると、頭皮に直接取り付けることができない問題がある。

　そこで、本発明者は、特許文献１の使い捨てかつらを参考にし、女性用のかつらとしても使用できるようにするべく検討し、ベース部（網状部）の装着時において使用者の額に対応する部分に粘着部を設けることで、頭皮が露出しない女性であっても簡単に取り付けることが可能となると考えた。また本発明者は、特許文献１の使い捨てかつらの接着層の代わりに粘着部を用いるので、額への着脱も容易になると考えた。
　この考えのもと、ベース部（網状部）の使用者の額に対応する部分のみに粘着部を設けた汎用かつらを試作したところ、使用者の額への接着が容易になったものの、網状部に多数の開口があるため粘着部と網状部の間の接着面積が小さく、櫛等で髪が引っ張られると網状部が粘着部から簡単に剥がれてしまう問題が生じていた。

　そこで、本発明は、女性用のかつらとしても使用可能であって、かつ、粘着部がベース部から剥がれにくい汎用かつらを提供することを目的とする。

　本発明者は、上記した課題を解決するべく、粘着部を設ける部分において網状部の開口を透明樹脂で埋めて閉塞し、透明樹脂を網状部と粘着部の間に介在させて粘着部の下地とする構造を考えた。こうすることで、粘着部が網状部から剥がれにくくでき、透明樹脂も透明であるから目立たないと考えた。
　しかしながら、実際に試作し、透明樹脂で網状部の開口を埋めて網状部を透明樹脂と面一にすると、接着面積を確保でき、網状部から粘着部が外れにくくなったものの、光が当たったときに、透明樹脂の表面が平滑であるため、光が反射して透明樹脂が光沢をもち目立ってしまうという新たな問題が生じていた。

　そこで、本発明の一つの様相は、ベース部と、複数の毛髪繊維部と、粘着部を有し、前記ベース部は、第１主面と、第２主面を有し、前記ベース部は、複数の貫通孔を有する網状部と、前記貫通孔を塞ぐ閉塞部を有し、前記閉塞部は、前記網状部の前記第１主面側の面よりも前記第２主面側に位置しており、前記毛髪繊維部は、前記第２主面側で中間部が前記網状部と係合し、端部側が前記ベース部の前記第１主面からそれぞれ張り出しており、前記ベース部は、前記複数の毛髪繊維部が設けられた毛髪繊維領域と、前記複数の毛髪繊維部が設けられていない非毛髪繊維領域を有し、前記閉塞部は、前記毛髪繊維領域と前記非毛髪繊維領域に跨って設けられており、前記粘着部は、前記ベース部の前記第２主面側に設けられ、９０％以上の部分が前記ベース部の厚み方向において前記閉塞部と重なっている、汎用かつらである。

　本様相によれば、毛髪繊維部の中間部が網状部と係合しているので、ベース部から毛髪繊維部が抜けにくい。
　本様相によれば、閉塞部が網状部の第１主面側の面よりも第２主面側に位置しているので、閉塞部の第１主面側と網状部の第１主面側との間に段差が生じ、第１主面側から光が当たっても、閉塞部が目立ちにくい。
　本様相によれば、閉塞部が毛髪繊維領域と非毛髪繊維領域に跨って設けられているので、閉塞部に重なるように粘着部を設けやすく、閉塞部によって毛髪繊維領域と非毛髪繊維領域の境界部分が目立ちにくい。
　本様相によれば、粘着部の９０％以上の部分が閉塞部と重なっているため、閉塞部が直接又は間接的に下地として機能し、粘着部の面積を確保することができる。その結果、粘着部がベース部から剥がれにくく、使用者の皮膚からも剥がれにくい。

　好ましい様相は、前記粘着部は、前記毛髪繊維領域の縁に沿って延びている。

　より好ましい様相は、前記粘着部は、前記非毛髪繊維領域に設けられている。

　好ましい様相は、前記非毛髪繊維領域の一部を切断して使用されるものであり、前記非毛髪繊維領域は、前記閉塞部によって前記貫通孔が閉塞されていない開放領域があり、前記開放領域の幅は、１ｃｍ以上である。

　好ましい様相は、前記閉塞部は、前記第２主面側から前記網状部を覆っており、前記閉塞部は、前記貫通孔に進入した進入部を有する。

　より好ましい様相は、前記進入部の進入長さは、前記網状部の厚みの５％以上７０％以下である。

　ところで、女性用の汎用かつらは、頭部に取り付けた後に、櫛等で所望のヘアスタイル形状にアレンジすることがあり、男性用の汎用かつらに比べて毛の長さも長いことが多いので、ヘアアレンジする際に、男性用の汎用かつらに比べて、毛が引っ張られやすく、ベース部から毛が抜けやすいという問題がある。

　そこで、好ましい様相は、前記毛髪繊維部は、前記網状部に結ばれて結び目が形成されており、前記結び目の一部は、前記網状部の前記第１主面側を覆っている。

　好ましい様相は、前記ベース部は、弾性を有する。

　より好ましい様相は、前記ベース部は、前記閉塞部が含まれるように幅１ｃｍ長さ２ｃｍの小片を切り取り、当該小片の長さ方向の両端を長さ方向に３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で引っ張ったときに１ｃｍ伸ばすのに必要な荷重が８Ｎ以下である。

　より好ましい様相は、前記閉塞部は、シリコン樹脂で構成されている。

　好ましい様相は、前記閉塞部は、透明である。

　ここでいう「透明」とは、物体が可視光線の大部分の光又は一部の光を透過して物体の向かう側が見通せる状態をいう。

　好ましい様相は、前記粘着部は、感圧接着剤で構成されている。

　好ましい様相は、前記粘着部は、粘着力が低下した場合に水洗いすることで粘着力が回復する粘着力回復性を有する。

　好ましい様相は、前記毛髪繊維部は、芯材と、前記芯材の表面の少なくとも一部を覆う潤滑層を備える。

　より好ましい様相は、前記芯材は、ポリエステル繊維で構成されている。

　本発明によれば、女性用のかつらとしても使用可能であって、かつ、粘着部がベース部から剥がれにくい。

本発明の第１実施形態の汎用かつらを取り付ける前の状況を示す説明図であり、（ａ）は汎用かつらと使用者の位置関係を示す正面図であり、（ｂ）は汎用かつらと使用者の位置関係を示す側面図である。 図１の汎用かつらを模式的に示した断面斜視図であり、理解を容易にするために詳細な編み込みについては図示を省略している。 図１の汎用かつらの断面図である。 図１の汎用かつらのベース部の説明図であり、（ａ）は使用者の頭部に取り付けた状態のベース部の側面図であり、（ｂ）はベース部に毛髪繊維部及び蓑毛部を部分的に取り付けた状態を表す側面図である。 図１の汎用かつらを使用者の頭部に取り付けた状態を示す一部破断側面図である。 図５の使用者の頭部に取り付けた汎用かつらから網状部を切り離す際の正面図である。

　以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。

　本発明の第１実施形態の汎用かつら１は、図１のように、主に女性の使用者１００の頭部１０１を覆うように取り付ける女性用かつらである。
　汎用かつら１は、図２～図５のように、ベース部２と、毛髪繊維部３と、粘着部５と、保護フィルム部６と、蓑毛部７と、図示しない取付部を備えている。

（ベース部２）
　ベース部２は、図４のように、植毛用ベース部１２と、蓑毛用ベース部１３を備えている。
　植毛用ベース部１２は、主に頭頂部や顔回りに使用される部位である。
　植毛用ベース部１２は、図２のように、第１主面１５と第２主面１６を持ち、面状に広がりを持ったシート状の部位であり、部分的に毛髪繊維部３が結ばれて植設された被植毛部である。
　第１主面１５は、図５のように、使用者１００の頭部１０１に装着したときに、頭部１０１を基準として、外側にあって使用者１００の頭部１０１とは反対側の主面であり、第２主面１６は、内側にあって使用者１００の頭部１０１側の主面である。

　植毛用ベース部１２は、弾性を有し、面方向に伸縮可能な部位であり、図２，図３のように、主に網状部１０と、閉塞部１１を有している。
　植毛用ベース部１２は、頭部１０１への取り付けやすさの観点から、閉塞部１１が含まれるように幅１ｃｍ長さ２ｃｍの小片を切り取り、当該小片の長さ方向の両端を長さ方向に３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で引っ張ったときに１ｃｍ伸ばすのに必要な荷重が１５Ｎ以下であることが好ましく、１０Ｎ以下であることがより好ましく、８Ｎ以下であることが特に好ましい。
　植毛用ベース部１２は、形状を維持する観点から、前記小片の長さ方向の両端を長さ方向に３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で引っ張ったときに１ｃｍ伸ばすのに必要な荷重が６Ｎ以上であることが好ましい。

　網状部１０は、図２，図３のように、面状に広がりをもった網状部位であり、閉塞部１１に比べて剛性を有するものである。
　網状部１０は、透明性を有する透明樹脂であって、弾性をもち伸縮可能な伸縮樹脂の繊維で構成されている。
　網状部１０は、弾性及び伸縮性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ナイロン樹脂とポリウレタン樹脂の複合樹脂などが使用できる。
　また、網状部１０は、上記のように繊維の物性によって伸縮性を付与することだけでなく、繊維の編み込み方によって伸縮性を付与してもよい。
　本実施形態の網状部１０は、複数本の樹脂繊維が編み込まれて構成されており、編み込みによっても伸縮性を有している。すなわち、網状部１０は、伸縮性のある材質で構成されており、さらに編み込みにより構造としても伸縮性を有する。

　網状部１０は、図２，図３のように、複数の貫通孔２０を備えている。
　貫通孔２０は、網状部１０を厚み方向に貫通し、毛髪繊維部３を挿通可能な挿通孔である。
　貫通孔２０の開口形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形状や楕円形状であってもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形状であってもよい。
　本実施形態の貫通孔２０の開口形状は、六角形状となっており、網状部１０は貫通孔２０の開口を構成する各辺方向に伸縮可能となっている。

　閉塞部１１は、網状部１０を横断するように延びた長尺状の部位である。
　閉塞部１１は、図２，図３のように、網状部１０の貫通孔２０を閉塞し、粘着部５の下地となる下地部である。
　閉塞部１１は、弾性をもち伸縮可能な伸縮樹脂で構成されている。
　閉塞部１１は、弾性及び伸縮性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、シリコン樹脂などが使用できる。
　閉塞部１１は、図３のように、第２主面１６側から網状部１０を覆っており、網状部１０の貫通孔２０に進入した進入部２５を備えている。すなわち、閉塞部１１は、貫通孔２０の第２主面１６側を閉塞して貫通孔２０とともに有底穴を構成し、進入部２５が有底穴の底部を構成している。
　進入部２５の進入長さ（進入深さ）は、網状部１０の厚みの１００％未満であり、５％以上７０％以下であることが好ましい。

　蓑毛用ベース部１３は、図４，図５のように、伸縮性を有した伸縮部材で構成されたネット状の部位であり、主に側頭部から後頭部にされる部位である。
　蓑毛用ベース部１３を構成する伸縮部材としては、伸縮性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン糸、ポリエチレン糸、及びナイロン糸、これらの混合糸などの糸素材やゴム素材などが使用できる。
　蓑毛用ベース部１３は、縫い糸等によって蓑毛部７を縫い付けて固定可能となっている。

（毛髪繊維部３）
　毛髪繊維部３は、人毛を模した人工毛髪繊維で構成される長尺状の繊維である。
　毛髪繊維部３は、図２のように、芯材３０と、潤滑層３１を有し、芯材３０の表面の少なくとも一部に潤滑層３１が被覆した合成繊維で構成されている。
　芯材３０は、毛髪繊維部３の骨格をなす部位であり、例えば、ポリエステル繊維などの難燃繊維が使用できる。
　潤滑層３１は、例えば、シリコン油剤などの潤滑剤が使用できる。

（粘着部５）
　粘着部５は、図５のように、ベース部２の植毛用ベース部１２を使用者１００の額１０２に接着する接着層である。
　粘着部５は、面状に広がりをもった板状シートであり、両面に粘着性を有した粘着シートである。
　粘着部５は、第２主面１６側の面を使用者１００の皮膚（額１０２）に面接触させて接着可能となっている。
　ここでいう「額」とは、頭部１０１と眉毛（又は目）の間の部分をいう。

　粘着部５は、感圧接着剤で構成されており、常温で圧力が加わると接着性が発生するものであり、接着対象（使用者１００の皮膚）に対して再剥離可能となっている。
　粘着部５は、感圧接着剤であれば、特に限定されるものではなく、例えば、２液混合型シリコン樹脂感圧接着剤が使用できる。
　本実施形態の粘着部５は、２液混合型シリコン樹脂感圧接着剤を使用しており、２液が混合して付加重合して固化するものである。

　粘着部５は、弾性をもち伸縮可能な伸縮樹脂で構成されている。
　粘着部５は、幅１ｃｍ長さ２ｃｍの小片を切り取り、当該小片の両端を長さ方向に３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で引っ張ったときに１ｃｍ伸ばすのに必要な荷重が８Ｎ以上であることが好ましい。
　粘着部５は、粘着力が低下した場合に、水洗いすることで粘着力が回復する粘着力回復性を備えている。具体的には、粘着部５は、粘着力が１０％以上低下した場合に水洗い前の粘着力よりも水洗い後の粘着力が大きくなる性質を有する。

（保護フィルム部６）
　保護フィルム部６は、粘着部５に着脱可能な剥離用フィルムであり、粘着部５に取り付けることで、粘着部５を外気に晒されたり、埃が付着したりすることから保護するフィルムである。
　保護フィルム部６は、例えば、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）製のフィルムなどが使用できる。

（蓑毛部７）
　蓑毛部７は、人毛を模した複数の人工毛髪繊維が並設され、人工毛髪繊維の端部近傍が接続部で接続された帯状の繊維群である。
　蓑毛部７は、人工毛髪繊維の端部近傍が接続部によって固定され、接続部から遠位側の端部（先端部）が自由端となっている。

　続いて、汎用かつら１の各部位の位置関係について説明する。

　汎用かつら１は、図４のように、植毛用ベース部１２に毛髪繊維部３が部分的に植設され、縫い糸によって蓑毛用ベース部１３に蓑毛部７が縫い付けられている。
　汎用かつら１は、図２，図３のように、植毛用ベース部１２の第２主面１６上に粘着部５及び保護フィルム部６が積層されている。

　植毛用ベース部１２は、図２，図３のように、毛髪繊維領域５０と、非毛髪繊維領域５１が形成されている。
　毛髪繊維領域５０は、植毛用ベース部１２に毛髪繊維部３が設けられた領域である。
　毛髪繊維領域５０は、植毛用ベース部１２の大部分を占めており、植毛用ベース部１２の面積の８０％以上を占めていることが好ましく、９０％以上を占めていることがより好ましい。
　非毛髪繊維領域５１は、植毛用ベース部１２に毛髪繊維部３が設けられていない領域である。
　非毛髪繊維領域５１は、毛髪繊維領域５０以外の残部であり、植毛用ベース部１２の面積の２０％以下を占めていることが好ましく、１０％以下を占めていることがより好ましい。

　植毛用ベース部１２は、図２，図３のように、網状部１０の中間部分において複数の貫通孔２０が第２主面１６側から閉塞部１１によって閉塞されている。
　植毛用ベース部１２は、閉塞領域６０と、開放領域６１ａ，６１ｂを備えている。
　閉塞領域６０は、閉塞部１１によって貫通孔２０が閉塞された領域であり、網状部１０と閉塞部１１が重畳した重畳領域である。
　閉塞領域６０は、毛髪繊維領域５０と非毛髪繊維領域５１に跨って設けられており、毛髪繊維領域５０の縁に沿って延びている。
　開放領域６１ａ，６１ｂは、閉塞部１１によって貫通孔２０が閉塞されておらず貫通孔２０が開放された非閉塞領域である。
　開放領域６１ａ，６１ｂは、植毛用ベース部１２が網状部１０のみで構成された領域であり、閉塞領域６０によって区画されている。
　頭部側開放領域６１ａは、毛髪繊維領域５０に属する領域であり、装着時に使用者１００の頭部１０１と重なる領域である。
　額側開放領域６１ｂは、非毛髪繊維領域５１に属する領域であり、装着時に使用者１００の額１０２と重なる領域である。
　額側開放領域６１ｂの基端部（閉塞領域６０側の端部）から先端部（閉塞領域６０とは反対側の端部）までの長さ（額側開放領域６１ｂの幅）は、１ｃｍ以上であることが好ましく、５ｃｍ以上であることが好ましい。

　毛髪繊維部３は、図２，図３のように、植毛用ベース部１２の第２主面１６側で中間部が網状部１０と係合し、端部側が植毛用ベース部１２の第１主面１５からそれぞれ張り出している。
　具体的には、毛髪繊維部３は、植毛用ベース部１２の第１主面１５から網状部１０の貫通孔２０を通過し、網状部１０の第２主面１６側で植毛用ベース部１２の網状部１０に係合し、さらに網状部１０の別の貫通孔２０を通過して第１主面１５に張り出している。
　本実施形態では、毛髪繊維部３は、貫通孔２０を閉塞する閉塞部１１の進入部２５を貫通して閉塞部１１の第２主面１６側まで至っている。また、毛髪繊維部３は、網状部１０の第２主面１６側において網状部１０との間に閉塞部１１が位置している。
　毛髪繊維部３は、中間部が植毛用ベース部１２によって支持されて両端部が自由端となっている。

　また、毛髪繊維部３は、中間部が網状部１０に結ばれて結び目５５が形成されており、結び目５５の一部が網状部１０の第１主面１５側を覆っている。すなわち、網状部１０の第１主面１５側は、結び目５５によって部分的に隠されている。
　毛髪繊維部３の結び方は、特に限定されるものではなく、例えば、Single flat knotsやDouble flat knots、Single split knots、Double split knotsなどの結び方が使用できる。

　粘着部５は、植毛用ベース部１２の厚み方向において閉塞部１１と重なる位置にあり、閉塞部１１の第２主面１６側の面上に積層されている。
　具体的には、粘着部５は、９０％以上の部分が閉塞部１１と重なっており、９５％以上の部分が閉塞部１１と重なっていることが好ましく、全体が閉塞部１１と重なっていることがより好ましい。
　粘着部５は、非毛髪繊維領域５１に配されており、毛髪繊維領域５０から外れた位置にある。
　粘着部５は、閉塞部１１の延び方向と同一方向に延びている。すなわち、毛髪繊維領域５０の縁に沿って延びている。

　続いて、汎用かつら１を使用者１００の頭部１０１に取り付ける際の推奨される手順について説明する。

　使用者１００の頭部１０１に汎用かつら１を被せ、図示しない取付部によって後頭部側を固定する。また別途工程にて、図５のように、保護フィルム部６を粘着部５から剥がし、使用者１００の額１０２であって、髪の生え際に沿って粘着部５を圧着し、汎用かつら１を固定する。

　このとき、ベース部２の植毛用ベース部１２は使用者１００の額１０２と頭皮の境界部分に跨っており、使用者１００の髪の生え際がベース部２の植毛用ベース部１２によって隠される。本実施形態では、使用者１００の髪の生え際が閉塞部１１によって隠される。

　そして、必要に応じて、図６のように額側開放領域６１ｂの一部を閉塞領域６０の縁に沿って鋏等の切断手段で切り離し、汎用かつら１の使用者１００の頭部１０１への取り付けが完了する。

　このとき、粘着部５が額１０２上に残るように額側開放領域６１ｂが切断されており、粘着部５がベース部２の植毛用ベース部１２によって隠されている。
　また、非毛髪繊維領域５１に属する額側開放領域６１ｂが切断手段の切断代として機能し、切断手段によって切りやすくなっている。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、毛髪繊維部３の中間部が網状部１０と係合しているので、植毛用ベース部１２から毛髪繊維部３が抜けにくい。
　本実施形態の汎用かつら１によれば、閉塞部１１が網状部１０の第１主面１５側の面よりも第２主面１６側に位置しているので、第１主面１５側から光が当たっても、閉塞部１１が目立ちにくい。
　本実施形態の汎用かつら１によれば、閉塞部１１が毛髪繊維領域５０と非毛髪繊維領域５１に跨って設けられているので、閉塞部１１に重なるように粘着部５を設けやすく、閉塞部１１によって毛髪繊維領域５０と非毛髪繊維領域５１の境界部分が目立ちにくい。
　本実施形態の汎用かつら１によれば、粘着部５の９０％以上の部分が閉塞部１１と重なっているため、閉塞部１１が直接又は間接的に下地として機能し、粘着部５の面積を確保することができる。その結果、粘着部５が植毛用ベース部１２から剥がれにくく、使用者１００の皮膚（額１０２）からも剥がれにくい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、粘着部５が毛髪繊維領域５０の縁に沿って延びているので、粘着部５を額１０２に接着しやすく、毛髪繊維領域５０と非毛髪繊維領域５１との境界が目立ちにくい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、粘着部５が非毛髪繊維領域５１に設けられているので、粘着部５に毛髪繊維部３が付着しにくく、額１０２に接着するときに、毛髪繊維部３が額１０２との間に挟まりにくい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、額側開放領域６１ｂの幅が１ｃｍ以上であるので、鋏等の切断手段によって生え際の形状に沿って切りやすい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、閉塞部１１は、第２主面１６側から網状部１０を覆っており、進入部２５が貫通孔２０に進入しているので、アンカー効果が働き、閉塞部１１が網状部１０から剥がれにくい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、進入部２５の進入長さが網状部１０の厚みの５％以上７０％以下であるので、より閉塞部１１が網状部１０から剥がれにくく、第１主面１５側から閉塞部１１が見えにくい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、毛髪繊維部３が網状部１０に結ばれているため、櫛等で解いても、毛髪繊維部３が網状部１０から抜けにくい。
　本実施形態の汎用かつら１によれば、毛髪繊維部３の網状部１０への結び目５５の一部が網状部１０の第１主面１５側を覆っているので、結び目５５によって網状部１０が隠されて網状部１０を見えにくくでき、毛量も多く見えるようにできる。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、植毛用ベース部１２が弾性を有するので、使用者１００の頭部１０１に取り付ける際に、使用者１００の頭部１０１の形状に植毛用ベース部１２がフィットしやすく、表情の変化に追随しやすい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、閉塞部１１が含まれるように幅１ｃｍ長さ２ｃｍの小片を切り取り、当該小片の長さ方向の両端を長さ方向に３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で引っ張ったときに１ｃｍ伸ばすのに必要な荷重が８Ｎ以下である。そのため、使用者１００の頭部１０１に取り付ける際に、頭部１０１の形状によりフィットしやすく、取り付けやすい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、閉塞部１１が透明であるため、閉塞部１１が目立ちにくい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、閉塞部１１は、シリコン樹脂で構成されているので、柔らかくでき、頭部１０１にフィットしやすい。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、粘着部５が感圧接着剤で構成されているので、糊等を塗らずとも、頭部１０１に取り付けることができる。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、粘着部５が粘着力回復性を有するので、粘着部５を水洗いするだけで、再度、頭部１０１に接着できる。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、毛髪繊維部３は、表面に潤滑層３１を備えるので、手触りや櫛通りが良好となる。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、芯材３０がポリエステル繊維によって構成されているので、耐熱温度が比較的高く、ヘアアイロン等の熱処理によってヘアアレンジが可能である。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、粘着部５が繰り返し粘着可能な再剥離性を有しているため、取付位置の調整が容易である。

　本実施形態の汎用かつら１によれば、貫通孔２０が開放された頭部側開放領域６１ａを有するため、頭部側開放領域６１ａでは閉塞部１１による空気の通過の妨げが発生せず、従来に比べて通気性が良好となる。

　上記した実施形態では、粘着部５の幅は、閉塞部１１の幅に対して狭いものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。粘着部５の幅は、閉塞部１１の幅と同じ幅であってもよい。

　上記した実施形態では、粘着部５は、非毛髪繊維領域５１に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。粘着部５は、毛髪繊維領域５０に設けられていてもよいし、毛髪繊維領域５０と非毛髪繊維領域５１に跨るように設けられていてもよい。

　上記した実施形態では、閉塞部１１に進入部２５を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。閉塞部１１に進入部２５を設けなくてもよい。

　上記した実施形態では、毛髪繊維部３は芯材３０の表面に潤滑層３１が積層されたものを使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。毛髪繊維部３は芯材３０のみで構成されていてもよい。
　また、芯材３０としてポリエステル繊維などの難燃繊維を使用していたが、本発明はこれに限定されるものではない。芯材３０として人毛や他の種類の合成繊維製の人工毛を使用してもよい。

　上記した実施形態では、額側開放領域６１ｂを形成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。額側開放領域６１ｂを形成しなくてもよい。

　上記した実施形態では、閉塞領域６０は、毛髪繊維領域５０と非毛髪繊維領域５１に跨って設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。閉塞領域６０は、毛髪繊維領域５０のみに設けられていてもよいし、非毛髪繊維領域５１のみに設けられていてもよい。

　上記した実施形態では、蓑毛用ベース部１３は、ネット状の部位であったが、本発明はこれに限定されるものではない。蓑毛用ベース部１３は、キャップ状の部位であってもよい。

　上記した実施形態では、汎用かつら１は、女性用かつらであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、男性用かつらであってもよい。

　上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。

　　１　汎用かつら
　　２　ベース部
　　３　毛髪繊維部
　　５　粘着部
　１０　網状部
　１１　閉塞部
　１２　植毛用ベース部
　１５　第１主面
　１６　第２主面
　２０　貫通孔
　２５　進入部
　３０　芯材
　３１　潤滑層
　５０　毛髪繊維領域
　５１　非毛髪繊維領域
　５５　結び目
　６１ｂ　額側開放領域

Claims (15)

1. 　ベース部と、複数の毛髪繊維部と、粘着部を有し、
   　前記ベース部は、第１主面と、第２主面を有し、
   　前記ベース部は、複数の貫通孔を有する網状部と、前記貫通孔を塞ぐ閉塞部を有し、
   　前記閉塞部は、前記網状部の前記第１主面側の面よりも前記第２主面側に位置しており、
   　前記毛髪繊維部は、前記第２主面側で中間部が前記網状部と係合し、端部側が前記ベース部の前記第１主面からそれぞれ張り出しており、
   　前記ベース部は、前記複数の毛髪繊維部が設けられた毛髪繊維領域と、前記複数の毛髪繊維部が設けられていない非毛髪繊維領域を有し、
   　前記閉塞部は、前記毛髪繊維領域と前記非毛髪繊維領域に跨って設けられており、
   　前記粘着部は、前記ベース部の前記第２主面側に設けられ、９０％以上の部分が前記ベース部の厚み方向において前記閉塞部と重なっている、汎用かつら。
2. 　前記粘着部は、前記毛髪繊維領域の縁に沿って延びている、請求項１に記載の汎用かつら。
3. 　前記粘着部は、前記非毛髪繊維領域に設けられている、請求項１に記載の汎用かつら。
4. 　前記非毛髪繊維領域の一部を切断して使用されるものであり、
   　前記非毛髪繊維領域は、前記閉塞部によって前記貫通孔が閉塞されていない開放領域があり、
   　前記開放領域の幅は、１ｃｍ以上である、請求項１に記載の汎用かつら。
5. 　前記閉塞部は、前記第２主面側から前記網状部を覆っており、
   　前記閉塞部は、前記貫通孔に進入した進入部を有する、請求項１に記載の汎用かつら。
6. 　前記進入部の進入長さは、前記網状部の厚みの５％以上７０％以下である、請求項５に記載の汎用かつら。
7. 　前記毛髪繊維部は、前記網状部に結ばれて結び目が形成されており、
   　前記結び目の一部は、前記網状部の前記第１主面側を覆っている、請求項１～６のいずれか１項に記載の汎用かつら。
8. 　前記ベース部は、弾性を有する、請求項１～６のいずれか１項に記載の汎用かつら。
9. 　前記ベース部は、前記閉塞部が含まれるように幅１ｃｍ長さ２ｃｍの小片を切り取り、当該小片の長さ方向の両端を長さ方向に３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で引っ張ったときに１ｃｍ伸ばすのに必要な荷重が８Ｎ以下である、請求項８に記載の汎用かつら。
10. 　前記閉塞部は、シリコン樹脂で構成されている、請求項９に記載の汎用かつら。
11. 　前記閉塞部は、透明である、請求項１～６のいずれか１項に記載の汎用かつら。
12. 　前記粘着部は、感圧接着剤で構成されている、請求項１～６のいずれか１項に記載の汎用かつら。
13. 　前記粘着部は、粘着力が低下した場合に水洗いすることで粘着力が回復する粘着力回復性を有する、請求項１～６のいずれか１項に記載の汎用かつら。
14. 　前記毛髪繊維部は、芯材と、前記芯材の表面の少なくとも一部を覆う潤滑層を備える、請求項１～６のいずれか１項に記載の汎用かつら。
15. 　前記芯材は、ポリエステル繊維で構成されている、請求項１４に記載の汎用かつら。

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