JPWO2007043385A1 - 位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

長尺の位相差フィルムであり、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸方向の弾性率εsと、フィルム面内の進相軸方向(εsと直交する方向)の弾性率εfとが、下記式(1)の関係を満たし、589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nm、厚み方向の位相差値Rtが70〜300nm、Rt/Roが2〜5であることを特徴とする位相差フィルム。式(1) 1.26≦εs/εf≦2.60

Description

本発明は位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置に関し、より詳しくは偏光板の光漏れを抑え、液晶表示装置の正面コントラストを向上させた位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置に関する。
従来、位相差板は偏光板に貼合するタイプ、PVAと直接接着するタイプ(偏光板保護フィルムを兼ねた構造)などがあるが、部材数を減らすこと、あるいは部材のコストダウンなどの要求から、偏光板保護フィルムが位相差板の機能を有するタイプが主流になりつつある(例えば、特許文献1参照。)。これらのフィルムは位相差機能を付与するために延伸処理を行うが、偏光板の寸法変化を抑えるために延伸方向と直交する方向の弾性率をなるべく高く保つことが必要であると考えられてきた。
そのためには延伸時にポリマー主鎖が一方向に並びすぎないように、延伸方向と直交する方向にもある程度の配向を残した状態にする必要があった。位相差フィルムの中で、フィルム延伸方向と偏光膜の吸収軸の方向とが略直交している種類がある。従来このフィルムは、偏光板に貼合、もしくは偏光板保護フィルムとして使用する際に、偏光板の吸収軸方向の収縮を抑えるために、延伸方向と直交する方向の弾性率をなるべく高くする必要があると考えられてきた。しかしながら、一般的な偏光板保護フィルムや位相差板などの弾性率の範囲、例えば膜厚80μmで5000MPa以下の場合、これ以上弾性率を大きくしても偏光板の収縮にはあまり寄与することはなく、むしろ延伸時にフィルムに歪みが残ってしまう原因となり、結果的に無理に弾性率を上げることで、本来の目的とは逆の結果が得られてしまうこともある。
最近液晶テレビにおいて、正面コントラストを従来よりも高くすることが要求されており、偏光板の偏光度向上だけでなく、位相差フィルムの透明性、透湿性、位相差値の制御、表面フィルムの防眩処理の低減など様々な要求・提案がなされている(例えば、特許文献2、3、4参照。)。
正面コントラストは正面の白表示の光量と黒表示の光量との比であり、白の光量を上昇させる、もしくは黒の光量を減少させることで上昇する。位相差フィルムに関しては前記内容の他にも、例えばフィルムのヘイズを抑えることで黒表示の光漏れを抑える方法が考えられている(例えば、特許文献5参照。)。
しかしながら、前記開示された技術によっても必ずしもコントラストが上がるわけではなく、むしろコントラストが下がってしまう現象が起こることがある。
又、セルロースエステルフィルムの機械方向と機械方向に垂直な方向との弾性率を所定の範囲にすることが開示され、この範囲において厚み方向のリターデーションと面内のリターデーションの値が調整されたセルロースエステルフィルム提供できるとされている。しかしながら、弾性率の比を制御することによって、正面コントラストが改善されることはなんら示唆されていなかった(例えば、特許文献6参照。)。
特開2003−270442号公報 特開2005−55601号公報 特開2005−17435号公報 特開2003−222713号公報 特開平7−294736号公報 特開2001−100039号公報
本発明の目的は、偏光板の光漏れを抑え、液晶表示装置の正面コントラストを向上させた位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の態様の一つは、長尺の位相差フィルムであり、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸方向の弾性率εsと、フィルム面内の進相軸方向(εsと直交する方向)の弾性率εfとが、下記式(1)の関係を満たし、589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nm、厚み方向の位相差値Rtが70〜300nm、Rt/Roが2〜5であることを特徴とする位相差フィルムにある。
式(1) 1.26≦εs/εf≦2.60
延伸工程での延伸角度を説明する図である。 本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。 本発明の方法に用いられるテンター延伸装置(10a)の一例を模式的に示すものである。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1. 長尺の位相差フィルムであり、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸方向の弾性率εsと、フィルム面内の進相軸方向(εsと直交する方向)の弾性率εfとが、下記式(1)の関係を満たし、589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nm、厚み方向の位相差値Rtが70〜300nm、Rt/Roが2〜5であることを特徴とする位相差フィルム。
式(1) 1.26≦εs/εf≦2.60
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
2. 前記弾性率εs、εfが式(2)、(3)の関係を満たすことを特徴とする前記1に記載の位相差フィルム。
式(2) 700≦εs−εf≦2450
式(3) 100≦(εs+εf)×d≦500但し、ε:[MPa],d:[mm]
3. 主成分がセルロースエステルであり、該セルロースエステルがセルロースアセテートもしくはセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1または2に記載の位相差フィルム。
4. リタデーション制御剤を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
5. 主成分がシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする前記1または2に記載の位相差フィルム。
6. 主成分がポリカーボネ−ト系ポリマーであることを特徴とする前記1または2に記載の位相差フィルム。
7. 主成分がポリビニルアセタール系ポリマーであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
8. 支持体上に光学異方性層を設けた位相差フィルムであり、該位相差フィルムが光軸を有することを特徴とする前記1または2に記載の位相差フィルム。
9. 偏光子の少なくとも一方の面に、偏光子の透過軸に対して、前記1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルムの遅相軸が直交もしくは平行となるように配置されたことを特徴とする偏光板。
10. 請求の前記9に記載の偏光板を用いたことを特徴とする垂直配向型液晶表示装置。
本発明により、偏光板の光漏れを抑え、液晶表示装置の正面コントラストを向上させた位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置を提供することが出来る。
本発明で言うコントラストとは、特に断りのない限り正面コントラストのことを言う。
本発明の目的はこの正面コントラストを向上させることである。正面コントラストとは、表示装置全体の正面コントラストのことであり、一部の箇所の局所的なコントラストのことではない。例えば、四隅のコントラスト低下、あるいは額縁状に発生する光漏れによるコントラスト低下、という現象もあるが、これらは局所的に発生するものであり、本発明で、向上させる対象となる正面コントラストとは意味が異なる。
本発明で言う正面コントラストとは、表示面全体におけるコントラストのことであり、例えばある特定条件(たとえば湿熱やドライの耐久試験など)で局所的にコントラストが悪化する、といった動的な現象を改善する場合とは全くメカニズムが異なっており、本発明の内容とは一致しない。
本発明で言う正面コントラストの向上は、光漏れの原因を抑えることで達成できるものであり、例えば上記の動的なもの、あるいは局所的に発生するものは、光弾性係数起因でのコントラスト低下を抑えるものであることが多く、本発明とはメカニズムなどが全く異なるものである。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の位相差フィルムは、長尺の位相差フィルムであり、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸方向の弾性率εsと、フィルム面内の進相軸方向(εsと直交する方向)の弾性率εfとが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
式(1) 1.26≦εs/εf≦2.60
本発明者らは上記課題に関し鋭意検討した結果、黒表示時の画面全体の光漏れを抑え正面コントラストを向上させるためには、位相差フィルムの延伸方向と、それに直交する方向の弾性率に積極的に異方性を持たせることが大きな効果を奏するという驚くべき事実を見出し本発明を成すに至った次第である。
これは、延伸方向に、フィルムを構成するポリマーをすみやかに配向させることでポリマー自身や添加剤の微結晶の発生(あるいは結晶化)やミクロボイドの発生、ポリマーと添加剤とのミクロ相分離などを抑えることが出来、それによって不要な光漏れを抑えられるものと考えられる。
本発明に係る位相差フィルムを作製するには、後述する位相差フィルムの製造において、以下の製造条件で行うことが好ましいがこれらに限定されるものではない。
フィルムを流延支持体より剥離してから延伸を行うまでに、延伸方向と略直交する方向の伸びを出来るだけ抑えること、あるいは収縮させることが効果的である。具体的には剥離及び搬送張力を下げること、剥離直後のフィルムを20℃以下の冷風を当てて硬くし、剥離張力をカットした状態で積極的な乾燥を行うこと、フィルムを延伸する過程で、該フィルムの温度がガラス転移点−30〜−1℃の範囲であることが効果的である。
また、延伸後の乾燥、もしくは熱処理過程で該フィルムのガラス転移点−5℃以下、100℃以上で10分以上60分以下の熱処理を行うこと、雰囲気置換率12回/時間以上で乾燥を行うことが効果的である。更に、延伸時にフィルムにかかる力が、延伸部分で1mあたり1.96×103N未満とすることが効果的である。
〔弾性率εs、εfの測定〕
アッベ屈折率計(1T)によりフィルム試料の平均屈折率を測定し、遅相軸方向、遅相軸と直交する方向の弾性率εs、εfを測定する。例えば、TD方向(幅手方向)に延伸した位相差フィルムの場合、通常は遅相軸がTD方向、遅相軸と直交する方向がMD方向(長手方向)となる。その場合は、測定は各試料のMD方向及びTD方向の弾性率測定を、JIS K 7127に準じて行えばよい。
遅相軸がTD方向、遅相軸と直交する方向がMD方向にある場合、各試料を23±2℃、50±5%RHの環境下で、24時間放置した後、各試料のMD方向及びTD方向が、それぞれ長手となるように幅10mm×長さ200mmの短冊状に断裁し、次いで、ミニベア社製のTGー2KN型引っ張り試験器を用いて、チャッキング圧0.25MPa、標線間距離100±10mmで、上記短冊状試料をセットし、引っ張り速度100±10mm/minの速度で引っ張る。
そして、得られた引張応力−歪み曲線より、弾性率算出開始点を10N、終了点を30Nとし、その間に引いた接線を外挿し、MD方向及びTD方向の弾性率を求めることが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る位相差フィルムは、製造が容易であること、偏光膜との接着性がよいこと、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられ、中でもポリマーフィルムであることが好ましい。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば前記ポリマーフィルムに特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系ポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、ポリビニルアセタールフィルムまたはガラス板等を挙げることが出来る。中でも、セルロースエステル系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系フィルムが好ましく、本発明においては、特にセルロースエステル系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリビニルアセタール系フィルムが、製造上、コスト面、透明性、接着性等の観点から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
また、本発明の位相差フィルムは、特開2000−190385号公報、特開2004−4474号公報、特開2005−195811号公報等に記載の上記フィルム上にポリマー層としてポリアミドまたはポリイミド等の光学異方性層を設けたポリマーフィルムであることも好ましい。
〔セルロースエステルフィルム〕
本発明に係る位相差フィルムの主成分として好ましいセルロースエステルは、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
特にアセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、XとYが下記の範囲にあるセルロースの混合脂肪酸エステルを有する透明フィルム基材が好ましく用いられる。
式(I) 2.0≦X+Y≦2.6
式(II) 0.1≦Y≦1.2
更に2.4≦X+Y≦2.6、1.4≦X≦2.3セルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。中でも2.4≦X+Y≦2.6、1.7≦X≦2.3、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。また、セルロースの6位の置換度は0.75以上が好ましく、0.75〜0.95が更に好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステルは公知の方法で合成することが出来る。
本発明に係る位相差フィルムとして、セルロースエステルを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることが出来る。
アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することが出来る。また、本発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、前述のようにセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。尚、プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
セルロースエステルの数平均分子量は、40000〜200000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ、溶液流延法の場合は適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、50000〜150000である。また、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.4〜4.5の範囲であることが好ましい。
これらセルロースエステルは、一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造されることが好ましい。
これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解出来、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセト酢酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、蟻酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることが出来るが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、アセト酢酸メチル等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させる時に、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド或いは酢酸メチルが好ましく用いられる。
上記有機溶媒の他に、0.1質量%〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。これらは上記記載のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることが出来る。
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよいことからエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70質量%〜95質量%に対してエタノール5質量%〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることも出来る。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
本発明に係る位相差フィルムにセルロースエステルフィルムを用いる場合、柔軟性、透湿性、寸法安定性の観点から、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。用いられる可塑剤としては特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたりフィルムからブリードアウト或いは揮発しないように、セルロース誘導体と水素結合等によって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
本発明に用いられる可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤、非リン酸エステル系可塑剤が好ましく用いられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
非リン酸エステル系可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等を好ましく用いることができるが、特に本発明の効果を得る上で、好ましくは多価アルコール系可塑剤、ポリエステル系可塑剤及び多価カルボン酸系可塑剤を使用することが好ましい。
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n(ただし、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものをあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。中でも、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を用いるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に、安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
本発明に係る多価アルコールエステルの含有量は、セルロースエステルフィルム中に1〜15質量%含有することが好ましく、特に3〜10質量%含有することが好ましい。
(ポリエステル系可塑剤)
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を好ましく用いることができる。好ましいポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤が好ましい。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(2)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いられるポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、本発明に用いられる芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
本発明に用いられる芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
以下、本発明に好ましい芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で100〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
以下に、本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
本発明に有用な多価カルボン酸系可塑剤は2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
本発明に用いられる多価カルボン酸は次の一般式(3)で表される。
一般式(3) R5(COOH)m(OH)n(但し、R5は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸等を好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上等の点で好ましい。
本発明に用いられる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール等の芳香族アルコールまたはその誘導体等も好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸を用いてエステル化してもよい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることがさらに好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いられる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。
本発明に用いられる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。可塑剤の使用量は、セルロース誘導体に対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、20質量%を越えるとフィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、1〜20質量%が好ましい。6〜16質量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
本発明の位相差フィルムには、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば下記の紫外線吸収剤を具体例として挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特開2001−187825に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、長尺フィルムの面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、特開平6−148430号に記載の一般式(1)または一般式(2)、特開2002−47357の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)あるいは特開2002−169020の段落番号[0027]〜[0055]記載の紫外線吸収性共重合ポリマーも好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
本発明の位相差フィルムには酸化防止剤を用いることが出来る。高湿高温の状態に液晶画像表示装置等がおかれた場合には、偏光板保護フィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えば、偏光板保護フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により偏光板保護フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記偏光板保護フィルムに含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
また、本発明に係る位相差フィルムには滑り性を付与するため、微粒子を用いることが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムに添加される微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成して位相差フィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、更に好ましくは0.2〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることが出来る。
本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、粒子径を測定しその平均値をもって、1次平均粒子径とした。
微粒子の見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることが出来る。また例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することが出来る。
上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出したものである。
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
《調製方法A》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて攪拌する。
《調製方法B》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルローストリアセテートを加え、攪拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて攪拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
《調製方法C》
溶剤に少量のセルローストリアセテートを加え、攪拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01質量部〜5.0質量部が好ましく、0.05質量部〜1.0質量部が更に好ましく、0.1質量部〜0.5質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方が、凝集物が少なくなる。
分散機は通常の分散機が使用出来る。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
上記のような高圧分散装置には、Microfluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)或いはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えば、イズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
また、微粒子を含むドープを流延支持体に直接接するように流延することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。
また、流延後に剥離して乾燥されロール状に巻き取られた後、ハードコート層や反射防止層等の機能性薄膜が設けられる。加工若しくは出荷されるまでの間、汚れや静電気によるゴミ付着等から製品を保護するために通常、包装加工がなされる。この包装材料については、上記目的が果たせれば特に限定されないが、フィルムからの残留溶媒の揮発を妨げないものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、紙、各種不織布等が挙げられる。繊維がメッシュクロス状になったものは、より好ましく用いられる。
本発明の位相差フィルムはリターデーション制御剤を含有してリターデーションの調整を行うことが好ましい。
(棒状化合物)
本発明の位相差フィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物をリターデーション制御剤として含有することが好ましい。
リターデーション制御剤の機能の観点では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有することがさらに好ましい。棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。棒状化合物は、液晶性を示すことが好ましい。棒状化合物は、加熱により液晶性を示す(サーモトロピック液晶性を有する)ことがさらに好ましい。液晶相は、ネマチィク相またはスメクティック相が好ましい。
棒状化合物としては、下記一般式(4)で表されるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物が好ましい。
一般式(4) Ar1−L1−Ar2
式(4)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N′−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
式(4)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、二価の飽和ヘテロ環基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8であることがさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることがさらに好ましく、2〜4であることがさらにまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。二価の飽和ヘテロ環基は、3員〜9員のヘテロ環を有することが好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子またはゲルマニウム原子が好ましい。飽和ヘテロ環の例には、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、1,3−チアゾリジン環、1,3−オキサゾリジン環、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環及び1,3,2−ジオキサボロランが含まれる。特に好ましい二価の飽和ヘテロ環基は、ピペラジン−1,4−ジイレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイレン及び1,3,2−ジオキサボロラン−2,5−ジイレンである。
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
L−7:−O−CO−二価の飽和ヘテロ環基−CO−O−
L−8:−CO−O−二価の飽和ヘテロ環基−O−CO−
一般式(4)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。棒状化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(5) Ar1−L2−X−L3−Ar2
式(5)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、式(4)のAr1及びAr2と同様である。
式(5)において、L2及びL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることがさらにまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。L2及びL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
式(5)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。以下に、式(4)で表される化合物の具体例を示す。
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。但し、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、L或いはラセミ体のいずれでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229頁(1979年)、同89巻、93頁(1982年)、同145巻、111頁(1987年)、同170巻、43頁(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349頁(1991年)、同118巻、5346頁(1996年)、同92巻、1582頁(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420頁(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437頁(1992年)を挙げることができる。
本発明の位相差フィルムには、特開2005−179638号公報段落番号[0020]〜[0116]の化合物も好ましく用いることが出来る。具体的には、以下の化合物である。
[安息香酸フェニルエステル化合物]
本発明に用いられる一般式(6)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(6)中、R0、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表し、置換基は後述の置換基Tが適用できる。
1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。好ましくはR1、R3または5のうちの1つが電子供与性基であり、R3が電子供与性基であることがより好ましい。
電子供与性基とはHammetのσp値が0以下のものを表し、Chem.Rev.,91,165(1991).記載のHammetのσp値が0以下のものが好ましく適用でき、より好ましくは−0.85〜0のものが用いられる。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。
電子供与性基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4である。)である。
1として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、水酸基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、最も好ましくはメトキシ基である。
2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
3として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。最も好ましくはn−プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基である。
4として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
5として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
6、R7、R9およびR10として好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
0は水素原子または置換基を表し、R0として好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子である。
一般式(6)のうちより好ましくは下記一般式(7)である。
次に、一般式(7)で表される化合物に関して詳細に説明する。
(式中R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。)
8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子を表し、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が更に置換してもよい。
8として好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、更に好ましくは、炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基であり、特に好ましくは、フェニルエチニル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、n−プロポキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(7)のうちより好ましくは下記一般式(7−A)である。
一般式(7−A)中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ一般式(7)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(7−A)中、R11は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R11で表されるアルキル基は直鎖でも分岐があってもよく、また更に置換基を有してもよいが、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6アルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。)である。
一般式(7)のうちより好ましくは下記一般式(7−B)である。
(式中、R2、R4、R5、R6、R7、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。R8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子を表す。R11は炭素数1〜12のアルキル基を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(7−B)中、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は一般式(7−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(7−B)中、R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、更に好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
一般式(7−B)のうち好ましくは下記一般式(8)または(7−C)である。
(式中、R2、R4、R5、R11およびR12は一般式(7−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Xは炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基を表す。)
一般式(8)中、Xは炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基を表し、好ましくは、フェニルエチニル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基であり、より好ましくは、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
以下一般式(7−C)に関して説明する。
一般式(7−C)中、R2、R4およびR5は一般式(7−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様だが、いずれか1つは−OR13で表される基であり(R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)、好ましくはR4、R5が−OR13で表される基であり、より好ましくはR4が−OR13で表される基である。R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は一般式(7−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
13は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
一般式(7−C)のうち更に好ましくは一般式(7−D)である。
(式中、R2、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は一般式(7−C)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
14は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
一般式(7−D)のうち好ましくは下記一般式(7−E)である。
(式中、R8、R11、R12およびR14は一般式(7−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R20は水素原子または置換基を表す。)
20は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。またR20は直接連結したベンゼン環のどの位置に置換してもよいが、R20が複数存在することはない。R20として好ましくは水素原子または置換基のすべての原子数から水素を除いた構成原子数が4以下の置換基であり、より好ましくは水素原子または置換基のすべての原子数から水素を除いた構成原子数が3以下の置換基であり、更に好ましくは水素原子または置換基のすべての原子数から水素を除いた構成原子数が2以下の置換基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子、ホルミル基、シアノ基であり、特に好ましくは水素原子である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(6)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
本発明一般式(6)で表される化合物は置換安息香酸とフェノール誘導体の一般的なエステル反応によって合成でき、エステル結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体を脱水縮合する方法などがあげられる。
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法が好ましい。
反応溶媒として炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
以下に本発明の化合物の合成法に関して具体的に記載するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
[合成例1:例示化合物A−1の合成]
3,4,5−トリメトキシ安息香酸24.6g(0.116モル)、トルエン100ml、N−N−ジメチルホルムアミド1mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.2g(0.127モル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.1g(0.127モル)をアセトニトリル50mlに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、60℃で3時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物に、アセトニトリル100mlを加え、再結晶操作を行った。アセトニトリル溶液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.0g(収率11%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.50(br,9H),7.37(d,2H),7.45(s,2H),7.77(s,2H)、マススペクトル:m/z 314(M+H)+、得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
[合成例2:例示化合物A−2の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸106.1g(0.5モル)、トルエン340ml、ジメチルホルムアミド1mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル65.4g(0.55モル)をゆっくりと滴下し、2時間65〜70℃で加熱した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール71.5g(0.6モル)をアセトニトリル150mlに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(1L)、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸マグネシウムで水分を除去した後、約500mlの溶媒を減圧留去し、メタノール1Lを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を125.4g(収率80%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.91(s,3H),3.93(s,3H),3.98(s,3H),6.59(s,1H),7.35(d,2H),7.58(s,1H),7.74(d,2H)、マススペクトル:m/z 314(M+H)+、得られた化合物の融点は116℃であった。
[合成例3:例示化合物A−3の合成]
2,3,4−トリメトキシ安息香酸10.1g(47.5ミリモル)、トルエン40ml、ジメチルホルムアミド0.5mlを80℃に加熱した後、塩化チオニル6.22g(52.3ミリモル)をゆっくりと滴下し、80℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール6.2g(52.3ミリモル)をアセトニトリル20mlに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で2時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール50mlを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を11.9g(収率80%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
1H−NMR(CDCl3):δ3.50(br,9H),7.37(d,2H),7.45(s,2H),7.77(s,2H)、マススペクトル:m/z 314(M+H)+、得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
[合成例4:例示化合物A−4の合成]
2,4,6−トリメトキシ安息香酸25.0g(118ミリモル)、トルエン100ml、ジメチルホルムアミド1mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル15.4g(129ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール15.4g(129ミリモル)をアセトニトリル50mlに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、80〜85℃で4.5時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、メタノール500ml、アセトニトリル100mlを加え、再結晶操作を行った。析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を10.0g(収率27%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルで行った。マススペクトル:m/z 314(M+H)+、得られた化合物の融点は172〜173℃であった。
[合成例5:例示化合物A−5の合成]
2,3−ジメトキシ安息香酸15.0g(82.3ミリモル)、トルエン60ml、ジメチルホルムアミド0.5mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル10.7(90.5ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール10.8g(90.5ミリモル)をアセトニトリル30mlに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、イソプロピルアルコール90mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を12.3g(収率53%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルで行った。マススペクトル:m/z 284(M+H)+、得られた化合物の融点は104℃であった。
[合成例6:例示化合物A−6の合成]
合成例5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,4−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトルで行った。マススペクトル:m/z 284(M+H)+、得られた化合物の融点は134〜136℃であった。
[合成例7:例示化合物A−7の合成]
2,5−ジメトキシ安息香酸25.0g(137ミリモル)、トルエン100ml、ジメチルホルムアミド1.0mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル18.0(151ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−シアノフェノール18.0g(151ミリモル)をアセトニトリル50mlに溶解させた液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、70〜80℃で7.5時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、飽和食塩水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(9/1、V/V))で精製操作を行い、白色の結晶として目的化合物を18.8g(収率48%)得た。また化合物の同定はマススペクトルで行った。マススペクトル:m/z 284(M+H)+、得られた化合物の融点は79〜80℃であった。
[合成例8:例示化合物A−8の合成]
合成例5における2,3−ジメトキシ安息香酸を2,6−ジメトキシ安息香酸に変更する以外は同様の方法で合成した。また化合物の同定はマススペクトルで行った。マススペクトル:m/z 284(M+H)+、得られた化合物の融点は130〜131℃であった。
[合成例9:例示化合物A−11の合成]
合成例2における4−シアノフェノール71.5gを4−クロロフェノール76.9gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.90(s,3H),3.94(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),7.15(d,2H),7.37(d,2H),7.56(s,1H)、マススペクトル:m/z 323(M+H)+、得られた化合物の融点は127〜129℃であった。
[合成例10:例示化合物A−12の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸45.0g(212ミリモル)、トルエン180ml、ジメチルホルムアミド1.8mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル27.8g(233ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−ヒドロキシ安息香酸メチル35.4g(233ミリモル)をジメチルホルムアミド27mlに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール270mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を64.5g(収率88%)得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.95(m,9H),3.99(s,3H),6.57(s,1H),7.28(d,2H),7.57(s,1H)8.11(d,2H)、マススペクトル:m/z 347(M+H)+、得られた化合物の融点は121〜123℃であった。
[合成例11:例示化合物A−13の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸20.0g(94.3ミリモル)、トルエン100ml、ジメチルホルムアミド1mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル12.3g(104ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール17.7g(104ミリモル)をトルエン150mlに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール250mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.2g(収率62%)得た。また化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.93(s,3H),3.96(s,3H),3.99(s,3H),6.59(s,1H),7.26−7.75(m,10H)、マススペクトル:m/z 365(M+H)+、得られた化合物の融点は131〜132℃であった。
[合成例12:例示化合物A−14の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸12.9g(61ミリモル)、トルエン50ml、ジメチルホルムアミド0.6mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル8.0g(67ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フェノキシフェノール17.7g(104ミリモル)をアセトニトリル25mlに溶解させた液をゆっくりと添加し、80℃で3時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、メタノール100mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を21.6g(収率93%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。マススペクトル:m/z 381(M+H)+、得られた化合物の融点は91〜92℃であった。
[合成例13:例示化合物A−15の合成]
合成例2における4−シアノフェノール71.5gをフェノール56.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定は1H−NMRおよびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.91(s,3H),3.93(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),7.19−7.27(m,3H),7.42(m,2H),7.58(s,1H)、マススペクトル:m/z 289(M+H)+、得られた化合物の融点は105〜108℃であった。
[合成例14:例示化合物A−16の合成]
合成例2における4−シアノフェノール71.5gを4−メトキシフェノール74.4gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得ることができる。なお、化合物の同定は1H−NMRおよびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.84(s,3H),3.92(s,3H),3.93(s,3H),3.99(s,3H),6.58(s,1H),6.92(d,2H),7.12(d,2H),7.42(m,2H),7.58(s,1H)、マススペクトル:m/z 319(M+H)+、得られた化合物の融点は102〜103℃であった。
[合成例15:例示化合物A−17の合成]
合成例2における4−シアノフェノール71.5gを4−エチルフェノール73.3gに変更する以外は同様の方法で目的化合物を得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。マススペクトル:m/z 317(M+H)+、得られた化合物の融点は70〜71℃であった。
[合成例16:例示化合物A−24の合成]
4−エトキシ安息香酸27.3g(164ミリモル)、トルエン108ml、ジメチルホルムアミド1mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.5g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−エトキシフェノール25.0g(181ミリモル)をアセトニトリル50mlに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を30.6g(収率65%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ1.48−1.59(m,6H),4.05(q,2H),4.10(q,2H),6.89−7.00(m,4H),7.10(d,2H),8.12(d,2H)、マススペクトル:m/z 287(M+H)+、得られた化合物の融点は113〜114℃であった。
[合成例17:例示化合物A−25の合成]
4−エトキシ安息香酸24.7g(149ミリモル)、トルエン100ml、ジメチルホルムアミド1mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル19.5g(164ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−プロポキシフェノール25.0g(165ミリモル)をアセトニトリル50mlに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で4時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、得られた固体にメタノール100mlを加え再結晶操作を行い、得られた結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を33.9g(収率76%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ1.04(t,3H),1.45(t,3H),1.82(q,2H),3.93(q,2H),4.04(q,2H),6.89−7.00(m,4H),7.10(d,2H),8.12(d,2H)、マススペクトル:m/z 301(M+H)+、得られた化合物の融点は107℃であった。
[合成例18:例示化合物A−27の合成]
合成例16(A−24の合成)における4−エトキシ安息香酸27.3gを4−プロポキシ安息香酸29.5gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。マススペクトル:m/z 301(M+H)+、得られた化合物の融点は88〜89℃であった。
[合成例19:例示化合物A−28の合成]
合成例17(A−25の合成)における4−エトキシ安息香酸24.7gを4−プロポキシ安息香酸26.8gに変更する以外は同様の方法で合成した。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。マススペクトル:m/z 315(M+H)+、得られた化合物の融点は92℃であった。
[合成例20:例示化合物A−40の合成]
2,4−ジメトキシ安息香酸20.0g(109ミリモル)、トルエン80ml、ジメチルホルムアミド0.8mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル14.4g(121ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−フェニルフェノール20.5g(121ミリモル)をジメチルホルムアミド50mlに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール100mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を31.7g(収率86%)得た。なお、化合物の同定はマススペクトルにより行った。マススペクトル:m/z 335(M+H)+、得られた化合物の融点は161〜162℃であった。
[合成例21:例示化合物A−42の合成]
2,4−ジメトキシ安息香酸30.0g(165ミリモル)、トルエン120ml、ジメチルホルムアミド1.2mlを60℃に加熱した後、塩化チオニル21.6g(181ミリモル)をゆっくりと滴下し、60℃で2時間加熱攪拌した。その後、あらかじめ4−ヒドロキシ安息香酸メチル27.6g(181ミリモル)をジメチルホルムアミド40mlに溶解させた溶液をゆっくり添加し、80℃で6時間加熱攪拌した後、反応液を室温まで冷却した後、メタノール140mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を24.4g(収率47%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。マススペクトル:m/z 317(M+H)+、得られた化合物の融点は122〜123℃であった。
[合成例22:例示化合物A−51の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸4−ヨードフェニル20.7g(50ミリモル)、エチニルベンゼン5.61g(55ミルモル)、トリエチルアミン27.8ml(200ミルモル)、テトラヒドロフラン40mlを窒素雰囲気下、室温で攪拌し、塩化第一銅
114mg(0.6ミリモル)、トリフェニルホスフィン655mg(2.5ミリモル)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド351mg(0.5ミリモル)を添加し、60℃で6時間加熱攪拌した。その後反応液を室温まで冷却し、水400mlを添加した。得られた結晶を濾過し、メタノール160mlで再結晶操作を行い、黄白色の結晶として目的化合物を17.2g(収率89%)得た。
なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(s,3H),3.95(s,3H)4.00(s,3H)6.58(s,1H),7.22(m,2H),7.32(m,3H),7.53−7.62(m,5H)、マススペクトル:m/z 389(M+H)+、得られた化合物の融点は129〜130℃であった。
[合成例23:例示化合物A−52の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸42.4g(0.2モル)、4−ヒドロキシベンスアルデヒド26.8g(0.22モル)、トルエン170ml、N,N−ジメチルホルムアミド1.7mlを80℃に加熱した後、塩化チオニル26.0g(0.22モル)をゆっくりと滴下し、80℃で6時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル、水、飽和食塩水で分液操作を行い、得られた有機相を硫酸ナトリウムで水分を除去した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物に、イソプロピルアルコール240mlを加え、再結晶操作を行った。溶液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を40.8g(収率65%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(s,3H),3.95(s,3H)4.00(s,3H),6.58(s,1H),7.34(d,2H),7.59(s,1H),8.17(d,2H)、マススペクトル:m/z 317(M+H)+、得られた化合物の融点は103〜105℃であった。
[合成例24:例示化合物A−53の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸4−ホルミルフェニル40g(126ミリモル)、アセトニトリル400ml中にリン酸二水素ナトリウム3.93g(25.2ミリモル)を水5mlに溶解させた液を滴下した後、35%過酸化水素水18.3gを20分間で滴下した後、和光純薬製純度80%亜塩素酸ナトリウム14.1g(126ミリモル)を水43mlに溶解させた液を20分間で滴下した後、4.5時間室温で攪拌した。その後、水100mlを添加し10℃まで冷却した。得られた結晶をろ別し、メタノール500mlで再結晶操作を行い、白色の結晶として目的化合物を25.4g(収率60%)得た。
なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルにより行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(s,3H),3.95(s,3H)4.00(s,3H),6.59(s,1H),7.40(d,2H),7.57(s,1H),7.96(d,2H),10.0(s,1H)、マススペクトル:m/z 333(M+H)+、得られた化合物の融点は188〜189℃であった。
[合成例25:例示化合物A−54の合成]
2,4,5−トリメトキシ安息香酸5.00g(23.5ミリモル)、安息香酸(4−ヒドロキシ)アニリド5.52g(23.5ミリモル)、アセトニトリル50ml、N,N−ジメチルホルムアミド1.0mlを70℃に加熱した後、塩化チオニル3.4g(28.5ミルモル)をゆっくりと滴下し、70℃で3時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、メタノール50mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を8.1g(収率84%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)およびマススペクトルで行った。1H−NMR(CDCl3)δ3.92(s,3H),3.95(s,3H)4.00(s,3H),6.60(s,1H),7.12−8.10(m,10H)、マススペクトル:m/z 408(M+H)+、得られた化合物の融点は189〜190℃であった。
[合成例26:例示化合物A−56の合成]
2−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ安息香酸8.50g(42.8ミリモル)、4−シアノフェノール5.62g(42.8ミルモル)トルエン45ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.5mlを70℃に加熱した後、塩化チオニル5.6g(47.1ミルモル)をゆっくりと滴下し、80℃で3時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、メタノール50mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を5.8g(収率45%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)で行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(s,3H),3.97(s,3H),6.67(s,1H),7.38(m,3H), 7.77(d,2H),10.28(s,1H)、マススペクトル:m/z 333(M+H)+、得られた化合物の融点は145〜146℃であった。
[合成例27:例示化合物A−57の合成]
2−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシ安息香酸8.50g(42.8ミリモル)、4−ヒドロキシ安息香酸メチル7.17g(42.8ミルモル)トルエン45ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.5mlを70℃に加熱した後、塩化チオニル6.1g(51.2ミルモル)をゆっくりと滴下し、80℃で3時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、メタノール50mlを加え、析出した結晶をろ過回収し、白色の結晶として目的化合物を6.9g(収率49%)得た。なお、化合物の同定は1H−NMR(400MHz)で行った。
1H−NMR(CDCl3)δ3.92(s,3H),3.97(s,6H),6.55(s,1H),7.31(d,2H), 7.41(s,1H), 8.16(d,2H),10.41(s,1H)、マススペクトル:m/z 333(M+H)+、得られた化合物の融点は128℃であった。
[合成例28:例示化合物A−58の合成]
合成例2と同様の方法でシアノフェノールの代わりにバニリン酸を用いることにより合成した。得られた化合物の融点は201〜203℃であった。
[合成例29:例示化合物A−62の合成]
合成例10と同様の方法で2,4,5−トリメトキシ安息香酸の代わりに4−エトキシ−2−メトキシ安息香酸を用いることにより合成した。得られた化合物の融点は88〜89℃であった。
[合成例30:例示化合物A−63の合成]
合成例10と同様の方法で2,4,5−トリメトキシ安息香酸の代わりに4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸を用いることにより合成した。得られた化合物の融点は108〜113℃であった。
[合成例31:例示化合物A−65の合成]
合成例2と同様の方法で2,4−ジメトキシ安息香酸の代わりに4−ヒドロキシ−2−メトキシ安息香酸を用いることにより合成した。得られた化合物の融点は142〜144℃であった。
本発明一般式(6)、(7)、(7−A)〜(7−E)、(8)で表されるいずれかの化合物は少なくとも1種をセルロースに対して0.1〜20質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜16質量%、更に好ましくは1〜12質量%、特に好ましくは2〜8質量%である。最も好ましくは3〜7質量%である。
また、リターデーション制御剤として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることができる。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
一般式(9)において、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。一般式(9)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
メラミン化合物では、一般式(9)において、X1、X2及びX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−及び−NR6−であるか、或いは、X1、X2及びX3が単結合であり、かつ、R1、R2及びR3が窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2及び−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2及びR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5及びR6は、水素原子であることが特に好ましい。
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8であることがさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)またはアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
上記アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルまたは4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
1、X2またはX3が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
複素環中のヘテロ原子は、N、SまたはO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジルまたは4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(10)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(4)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−11:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−12:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−15:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−16:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−17:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−18:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−19:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−20:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−21:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−22:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−23:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−24:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−25:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−26:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−27:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−28:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−29:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−30:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−31:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−32:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−33:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−34:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−35:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−36:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−37:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−38:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−39:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−40:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−41:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−42:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−43:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−44:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−45:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−46:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−47:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−48:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−49:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−50:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−51:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−52:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−53:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−54:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−55:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−56:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−57:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−58:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−59:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−60:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−61:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−62:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−63:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−64:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−65:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−66:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−67:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−68:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−69:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−70:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−71:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−72:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−73:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−74:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−75:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−76:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−77:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−78:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−79:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−80:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−81:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−82:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−83:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−84:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−85:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−86:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−87:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−88:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−89:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
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MP−193:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
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MP−196:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−197:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−200:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
これらの添加剤は光学フィルムに対して0.2〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有することが好ましい。
(本発明の位相差フィルムの製造方法)
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について詳細に説明する。
本発明の位相差フィルムは、長尺フィルムの幅手方向にフィルム面内の遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸の弾性率εsと、前記遅相軸と直交する方向(εsと直交する方向)の弾性率εfとが、下記式(1)の関係を満たすことが特徴である。
式(1) 1.26≦εs/εf≦2.60
更に、本発明の位相差フィルムは前記弾性率εs、εfが下記式(2)、(3)の関係を満たすことが好ましい。
式(2) 700≦εs−εf≦2450
式(3) 100≦(εs+εf)×d≦500
但し、εsおよびεfの単位はMPaである。また、dはフィルムの膜厚を表すが、式(3)においては単位はmmである。
式(1)の値が1.26未満では、樹脂中の非常に小さな領域でポリマー分子の配向乱れが起き、消偏性が発生すると推測されるため、本発明の正面コントラスト向上効果が不十分となる。また、この値が2.60を超えると、樹脂中にミクロボイドや微結晶化が起こりやすくなり、フィルム面内の遅相軸の弾性率と、前記遅相軸と直交する方向の弾性率のバランスが崩れ破断故障などが発生し易くなる。その為フィルム面内の遅相軸の弾性率と、前記遅相軸と直交する方向の弾性率のバランスをとる為に、両者の弾性率の関係及び弾性率の差は、式(2)及び式(3)の範囲を満たすことが好ましい。さらにこの範囲は正面コントラストが著しく向上するため、特に好ましい。
これは、延伸方向に、フィルムを構成するポリマーをすみやかに配向させることでポリマー自身や添加剤の微結晶の発生(あるいは結晶化)やミクロボイドの発生、ポリマーと添加剤とのミクロ相分離などを抑えることが出来、それによって不要な光漏れを抑えられるものと考えられる。
更に本発明者らは、本発明の目的である正面コントラストを高くするためには、偏光膜と液晶セルの間に配置されるフィルムを構成するポリマーの歪みをなるべく少なくすることが重要である事を見出した。前述の通り、延伸フィルムにおいては、フィルムを構成するポリマーをすみやかに配向させて光漏れを発生させる原因を出来るだけ除いてやることが必要であるが、同様の理由で正面コントラストの観点ではフィルムの膜厚も重要であり、本発明の位相差フィルムは膜厚が100μm以下であることが好ましい。フィルムの膜厚が厚くなると、前述の光漏れを発生させる要素が膜厚分だけ増加するばかりでなく、特に100μmを越えると膜厚の増加によって光漏れしやすくなる傾向が見られる。更に好ましい膜厚は80μm以下である。
また、本発明の位相差フィルムは、フィルムに力をかけることで(具体的には延伸、収縮、ズリなど)位相差を発現させるが、延伸による歪みが小さい方が良いことは前述の通りである。このことから、延伸による歪みを緩和するような耐久試験(特に湿熱耐久試験で、例えば80℃90%RHや85℃85%RHなど)での寸法変化率が小さい方が良いのは言うまでも無い(伸び・縮みともに)。
前述の要素を満たした上で、本発明の位相差フィルムは式(3)の要件を満たすことが好ましい。フィルムが歪みを持つような製造方法を用いると、前述の光漏れを発生させる原因を作ることになる。
フィルムが歪みを持っている場合、それを解消する方向に、例えば収縮や伸びなどという形状の変化となるため、フィルムの有する歪みは適切な条件における寸法変化量と膜厚と弾性率の積で表すことが出来る。歪みに関わる寸法変化の条件はフィルムの組成によって異なるが、23℃55%RHにおける弾性率(遅相軸方向の弾性率及び遅相軸と直交する方向の弾性率との和)と膜厚との積が前述の範囲に入っていることが、偏光板保護フィルムとしての条件を満たし、且つフィルムの歪みが小さく、コントラストを向上させることに繋がる条件である。
式(3)の値が100より小さいと偏光板保護フィルムとして偏光膜の収縮を抑える性能が不足してしまい、500より大きくなると位相差フィルム自身の歪み量が大きく、結果的にコントラストが低下してしまう。バランスも考慮すると、好ましくは200以上400以下である。
本発明の位相差フィルムの製造は、セルロースエステル及び前記可塑剤などの添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸する工程、更に乾燥する工程、得られたフィルムを更に熱処理する工程、冷却後巻き取る工程により行われる。本発明の位相差フィルムは固形分中に好ましくはセルロースエステルを70〜95質量%含有するものである。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
本発明のドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることが出来る。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることが出来る。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。また、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量が0.5質量%以下となるまで乾燥される。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
前記金属支持体から剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってウェブは縦方向に延伸する為、本発明においては流延支持体からウェブを剥離する際は剥離及び搬送張力を出来るだけ下げた状態で行うことが好ましい。具体的には、例えば50〜170N/m以下にすることが効果的である。その際、20℃以下の冷風を当て、ウェブを急速に固定化することが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムを作製する為の延伸工程(テンター工程ともいう)の一例を、図2を用いて説明する。
図2において、工程Aでは、図示されていないウェブ搬送工程D0から搬送されてきたウェブを把持する工程であり、次の工程Bにおいて、図1に示すような延伸角度でウェブが幅手方向(ウェブの進行方向と直交する方向)に延伸され、工程Cにおいては、延伸が終了し、ウェブを把持したまま搬送する工程である。
流延支持体からウェブを剥離した後から工程B開始前及び/または工程Cの直後に、ウェブ幅方向の端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。特に、A工程開始直前にウェブ端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。幅手方向に同一の延伸を行った際、特に工程B開始前にウェブ端部を切除した場合とウェブ端部を切除しない条件とを比較すると、前者がより光学遅相軸の分布(配向角分布ともいう)を改良する効果が得られる。
これは、残留溶媒量の比較的多い剥離から幅手延伸工程Bまでの間での長手方向の意図しない延伸を抑制した効果であると考えられる。
テンター工程において、配向角分布を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
金属支持体より剥離したウェブを乾燥させながら搬送し、更にウェブの両端をピン或いはクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが本発明の効果を得るために特に好ましく、これによって所定の位相差を付与することが出来る。この時幅方向のみに延伸してもよいし、同時2軸延伸することも好ましい。好ましい延伸倍率は1.05〜2倍が好ましく、好ましくは1.15〜1.5倍である。同時2軸延伸の際に縦方向に収縮させてもよく、0.8〜0.99、好ましくは0.9〜0.99となるように収縮させてもよい。好ましくは、横方向延伸及び縦方向の延伸若しくは収縮により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることが出来る。
また、本発明における「延伸方向」とは、延伸操作を行う場合の直接的に延伸応力を加える方向という意味で使用する場合が通常であるが、多段階に二軸延伸される場合に、最終的に延伸倍率の大きくなった方(即ち、通常遅相軸となる方向)の意味で使用されることもある。
ウェブを幅手方向に延伸する場合には、ウェブの幅手方向で配向角分布が悪くなることはよく知られている。RtとRoの値を一定比率とし、かつ、配向角分布を良好な状態で幅手延伸を行うため、工程A、B、Cで好ましいウェブ温度の相対関係が存在する。工程A、B、C終点でのウェブ温度をそれぞれTa℃、Tb℃、Tc℃とすると、Ta≦Tb−10であることが好ましい。また、Tc≦Tbであることが好ましい。Ta≦Tb−10かつ、Tc≦Tbであることが更に好ましい。
工程Bでのウェブ昇温速度は、配向角分布を良好にするために、0.5〜10℃/秒の範囲が好ましい。
工程Bでの延伸時間は、短時間である方が好ましい。但し、ウェブの均一性の観点から、最低限必要な延伸時間の範囲が規定される。具体的には1〜10秒の範囲であることが好ましく、4〜10秒がより好ましい。また、工程B、工程Cの温度は該フィルムの温度がガラス転移点−30〜−1℃の範囲であることが効果的であり、好ましくは100〜160℃である。
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×103J/m2hrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×103J/m2hrの範囲であり、41.9〜126×103J/m2hrの範囲が最も好ましい。
上記工程Bでの幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
上記工程Bにおいて最初の10cmにおける応力を制御することは本発明の効果を得る上で好ましく、100〜200N/mmの範囲で制御することが好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、ウェブの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。上記温度分布を少なくすることにより、ウェブの幅手での温度分布も小さくなることが期待出来る。
工程Cに於いて、幅方向に緩和することが好ましい。具体的には、前工程の延伸後の最終的なウェブ幅に対して95〜99.5%の範囲になるようにウェブ幅を調整することが好ましい。
また、本発明ではポリマーの配向を精度よく行う為に、テンターの左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いることも好ましい。
テンター延伸装置でウェブの左右両端を把持している部分の長さを左右独立に制御して、ウエブの把持長を左右で異なるものとする手段としては、具体的には、例えば図3に示すようなものがある。図3は、本発明で用いられるポリマーフィルムを製造するにあたって、好ましく使用されるテンター延伸装置(10a)の一例を模式的に示したものである。同図において、テンター延伸装置(10a)の左右把持手段(クリップ)(2a)(2b)の把持開始位置を左右で変える、すなわちクリップクローザー(3a)(3b)の設置位置を左右で変えて、把持開始位置を左右で変えることにより、フィルム(F)の左右把持長を変化させ、これによってテンター(10a)内で樹脂フィルム(F)をねじるような力が発生し、テンター(10a)以外の搬送による位置ずれを矯正することができ、剥離からテンターまでの搬送距離を長くしてもウェブの蛇行やツレ、皺の発生を効果的に防止することができる。
なお、図示のテンター延伸装置(10a)は模式的に記載されているが、通常は、無端チェンよりなる左右一対の回転駆動装置(輪状のチェーン)(1a)(1b)の1列状態に具備された多数のクリップ(2a)(2b)のうち、フィルム(F)の左右両端部を把持して引っ張るチェーン往路側直線移行部のクリップ(2a)(2b)がフィルム(F)の幅手方向に漸次離れるように、左右のチェーン(1a)(1b)の軌道が設置されており、フィルム(F)の幅手方向の延伸が行なわれるようになされている。図3中、4aは左側クリップオープナー、4bは右側クリップオープナーを表す。
また、本発明では皺、つれ、歪み等をさらに精度よく矯正するために、長尺フィルムの蛇行を防止する装置を付加することが好ましく、特開平6−8663号に記載のエッジポジションコントローラー(EPCと称することもある)や、センターポジションコントローラー(CPCと称することもある)等の蛇行修正装置が使用されることが好ましい。これらの装置は、フィルム耳端をエアーサーボセンサーや光センサーにて検知して、その情報に基づいて搬送方向を制御し、フィルムの耳端や幅方向の中央が一定の搬送位置となるようにするもので、そのアクチュエーターとして、具体的には1〜2本のガイドロールや駆動付きフラットエキスパンダーロールをライン方向に対して、左右(または上下)にふることで蛇行修正したり、フィルムの左右に小型の2本1組のピンチロールを設置(フィルムの表と裏に1本ずつ設置されていて、それがフィルムの両側にある)し、これにてフィルムを挟み引っ張り蛇行修正したりしている(クロスガイダー方式)。これらの装置の蛇行修正の原理は、フィルムが走行中に、例えば左にいこうとする時は前者の方式ではロールをフィルムが右にいくように傾ける方法をとり、後者の方法では右側の1組のピンチロールがニップされて、右に引っ張るというものである。これら蛇行防止装置をフィルム剥離点からテンター延伸装置の間に少なくとも1台設置することが好ましい。
テンター工程で処理した後、更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。
工程D1でのウェブ搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D1での温度などに影響を受けるが、120〜200N/mが好ましく、140〜200N/mが更に好ましい。140〜160N/mが最も好ましい。
工程D1での搬送方向へウェブの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことが出来るが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点ー5℃以下、100℃以上で10分以上60分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は100〜200℃、さらに好ましくは110〜160℃で乾燥が行われる。さらに好ましくは、105〜155℃、雰囲気置換率12回/時間以上、好ましくは12〜45回/時間の雰囲気下で搬送しながら熱処理することが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、本発明に係る弾性率の関係を得る上で、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.350nmであることが好ましく、特に0.250〜0.310nmであることが好ましい。
ここでいう自由体積は、セルロース樹脂分子鎖に占有されていない空隙部分を表している。これは、陽電子消滅寿命法を用いて測定することができる。具体的には、陽電子を試料に入射してから消滅するまでの時間を測定し、その消滅寿命から原子空孔や自由体積の大きさ、数濃度等に関する情報を非破壊的に観察することにより求めることができる。
〈陽電子消滅寿命法による自由体積半径の測定〉
下記測定条件にて陽電子消滅寿命と相対強度を測定した。
(測定条件)
陽電子線源:22NaCl(強度1.85MBq)
ガンマ線検出器:プラスチック製シンチレーター+光電子増倍管
装置時間分解能:290ps
測定温度:23℃
総カウント数:100万カウント
試料サイズ:20mm×15mmにカットした切片を20枚重ねて約2mmの厚みにした。試料は測定前に24時間真空乾燥を行った。
照射面積:約10mmφ
1チャンネルあたりの時間:23.3ps/ch
上記の測定条件に従って、陽電子消滅寿命測定を実施し、非線形最小二乗法により3成分解析して、消滅寿命の小さいものから、τ1、τ2、τ3とし、それに応じた強度をI1,I2,I3(I1+I2+I3=100%)とした。最も寿命の長い平均消滅寿命τ3から、下記式を用いて自由体積半径R3(nm)を求めた。τ3が空孔での陽電子消滅に対応し、τ3が大きいほど空孔サイズが大きいと考えられている。
τ3=(1/2)〔1−{R3/(R3+0.166)}+(1/2π)sin{2πR3/(R3+0.166)}〕−1
ここで、0.166(nm)は空孔の壁から浸出している電子層の厚さに相当する。
以上の測定を2回繰り返し、その平均値を求めた。
陽電子消滅寿命法は、例えばMATERIAL STAGE vol.4,No.5 2004 p21−25、東レリサーチセンター THE TRC NEWS No.80(Jul.2002)pp20−22、「ぶんせき,1988,pp.11−20」に「陽電子消滅法による高分子の自由体積の評価」が掲載されており、これらを参考にすることができる。
本発明に係る位相差フィルムの自由体積半径は、0.250〜0.310nmであることが好ましく、さらに好ましい範囲は、0.270〜0.305nmである。
該位相差フィルムの自由体積半径を好ましい範囲にする方法は特に限定はされないが、下記の方法によってこれらを制御することができる。
陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムは、少なくともセルロース誘導体と可塑剤を含有するドープを流延してウェブを作製し、溶媒を含んだ状態で延伸した後、残留溶媒量が0.3%未満となるまで乾燥させてセルロース樹脂フィルムを得て、これをさらに、105〜155℃で、雰囲気置換率12回/時間以上、好ましくは12〜45回/時間の雰囲気下で搬送しながら処理することによって、好ましい自由体積半径である偏光板保護フィルムを得ることができる。
雰囲気置換率は、熱処理室の雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり熱処理室の雰囲気をFresh−airで置換する回数である。Fresh−airは熱処理室に送風される風のうち、循環再利用している風ではなく、揮発した溶媒若しくは可塑剤等を含まない、若しくはそれらが除去された新鮮な風のことを意味している。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
更に、本発明の位相差フィルムを作製するためには、乾燥後の熱処理工程にてフィルムに0.5kPa以上10kPa以下の圧力を厚さ方向に付与することが好ましく、例えばニップロールにより圧力を均一に加えることが好ましい。厚さ方向に圧力を付与する際は充分に乾燥が終了していることが好ましく、その際に0.5kPa以上10kPa以下の圧力をフィルム両面から加えることにより、位相差フィルムの自由体積や全自由体積パラメータを制御することが出来る。具体的には平行な二本のニップロールでフィルムに圧力をかける方法である。またカレンダーロールのような方法によってもよい。加圧する際の温度は105〜155℃であることが好ましい。
所定の熱処理の後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスロールを押し当てることにより形成することが出来る。エンボスロールには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることが出来る。
本発明の位相差フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。
また、共流延法によって多層構成とした位相差フィルムも好ましく用いることが出来る。位相差フィルムが多層構成の場合でも可塑剤を含有する層を有しており、それがコア層、スキン層、若しくはその両方であってもよい。
本発明に係る位相差フィルムの表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.001〜1μmであることが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムフィルムの面内方向における下記式で定義される589nmにおける面内位相差値Roは30〜100nmであり、50〜100nmであることがより好ましい。また、厚み方向の位相差値Rtは70〜300nmであり、100〜250nmであることがより好ましい。特にRt/Roが2〜5の範囲にあることが好ましい。
Ro、Rt或いは位相差フィルムの幅手方向と遅相軸とのなす角θ0(°)は自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、セルロースエステルフィルムの589nmにおける複屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求め、下記式に従ってRo、Rtを算出した。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
本発明に係る位相差フィルムは、その膜厚が10〜200μmの範囲であることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、20〜50μmであることが特に好ましい。一般に位相差フィルムの膜厚は厚い方が位相差を大きくし易いが、本発明では偏光板保護フィルムに位相差機能を持たせ、更に薄膜の位相差フィルムを用いることで、偏光板全体の膜厚を低減し偏光板作製における乾燥、経時保存の影響を低減することが可能となる。
透湿性は、JIS Z 0208(25℃、90%RH)に準じて測定した値として、200g/m2・24時間以下であることが好ましく、更に好ましくは、10〜180g/m2・24時間以下であり、特に好ましくは、160g/m2・24時間以下である。特には、膜厚20μm〜60μmで透湿性が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の長尺の位相差フィルムは、具体的には、100m〜10000m程度の長さのものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、本発明の位相差フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
〔シクロオレフィンポリマーフィルム〕
本発明に好ましく用いられるシクロオレフィンポリマーフィルムについて説明する。
本発明に用いられるシクロオレフィンポリマーは脂環式構造を含有する重合体樹脂からなるものである。
好ましいシクロオレフィンポリマーは、環状オレフィンを重合又は共重合した樹脂である。環状オレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状オレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好適である。
好ましいシクロオレフィンポリマーは、環状オレフィン以外の単量体を付加共重合したものであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレンまたはα−オレフィン−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
環状オレフィンは、付加重合反応或いはメタセシス開環重合反応によって得られる。重合は触媒の存在下で行われる。付加重合用触媒として、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。開環重合用触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触媒;或いは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜490N/cm2の重合圧力で重合させる。
本発明に用いられるシクロオレフィンポリマーは、環状オレフィンを重合又は共重合させた後、水素添加反応させて、分子中の不飽和結合を飽和結合に変えたものであることが好ましい。水素添加反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。水素化触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウムの如き遷移金属化合物/アルキル金属化合物の組み合わせからなる均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均一系金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/けい藻土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/けい藻土、パラジウム/アルミナの如き金属触媒を担体に担持してなる不均一系固体担持触媒などが挙げられる。
或いは、シクロオレフィンポリマーとして、下記のノルボルネン系ポリマーも挙げられる。ノルボルネン系ポリマーは、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有していることが好ましく、その具体例としては、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報、特開平5−39403号公報、特開平5−43663号公報、特開平5−43834号公報、特開平5−70655号公報、特開平5−279554号公報、特開平6−206985号公報、特開平7−62028号公報、特開平8−176411号公報、特開平9−241484号公報等に記載されたものが好ましく利用できるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(I)〜(IV)のいずれかで表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
前記構造式(I)〜(IV)中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。
また、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(V)または(VI)で表される化合物の少なくとも1種と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体も好ましい。
前記構造式中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。
ここで、上記A、B、C及びDは特に限定されないが、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、又は、少なくとも2価の連結基を介して有機基が連結されてもよく、これらは同じであっても異なっていてもよい。又、AまたはBとCまたはDは単環または多環構造を形成してもよい。ここで、上記少なくとも2価の連結基とは、酸素原子、イオウ原子、窒素原子に代表されるヘテロ原子を含み、例えばエーテル、エステル、カルボニル、ウレタン、アミド、チオエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、上記連結基を介し、上記有機基は更に置換されてもよい。
また、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1、4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、質量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
合成したポリマーの分子鎖中に残留する不飽和結合を水素添加反応により飽和させる場合には、耐光劣化や耐候劣化性などの観点から、水素添加率を90%以上、好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上とする。
このほか、本発明で用いられるシクロオレフィンポリマーとしては、特開平5−2108号公報段落番号[0014]〜[0019]記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂、特開2001−277430号公報段落番号[0015]〜[0031]記載の熱可塑性ノルボルネン系ポリマー、特開2003−14901号公報段落番号[0008]〜[0045]記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂、特開2003−139950号公報段落番号[0014]〜[0028]記載のノルボルネン系樹脂組成物、特開2003−161832号公報段落番号[0029]〜[0037]記載のノルボルネン系樹脂、特開2003−195268号公報段落番号[0027]〜[0036]記載のノルボルネン系樹脂、特開2003−211589号公報段落番号[0009]〜[0023]脂環式構造含有重合体樹脂、特開2003−211588号公報段落番号[0008]〜[0024]記載のノルボルネン系重合体樹脂若しくはビニル脂環式炭化水素重合体樹脂などが挙げられる。
具体的には、日本ゼオン(株)製ゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製アートン、三井化学(株)製アペル(APL8008T、APL6509T、APL6013T、APL5014DP、APL6015T)などが好ましく用いられる。
本発明で使用されるシクロオレフィンポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、5000〜500000、好ましくは8000〜200000、より好ましくは10000〜100000の範囲であるときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
また、シクロオレフィンポリマー100質量部に対して、低揮発性の酸化防止剤を0.01〜5質量部の割合で配合すると、成形加工時のポリマーの分解や着色を効果的に防止することが出来る。
酸化防止剤としては、20℃における蒸気圧が10-5Pa以下、特に好ましくは10-8Pa以下の酸化防止剤が望ましい。蒸気圧が10-5Paより高い酸化防止剤は、押出成形する場合に発泡したり、また、高温にさらされたときに成形品の表面から酸化防止剤が揮散するという問題が起こる。
本発明で使用できる酸化防止剤としては、例えば、次のようなものを挙げることが出来、これらのうちの一種または数種を組み合わせて用いてもよい。
ヒンタードフェノール系:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−メトキシ−p−ジメチル−フェノール、2,4−ジ−t−アミルフェノール、t−ブチル−m−クレゾール、4−t−ブチルフェノール、スチレン化フェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、4,4′−ビスフェノール、4,4′−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−α−メチルシクロヘキシルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルナフトール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−メタ−クレゾール)、2,2′−チオ−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジ−o−クレゾールスルフィド、2,2′−チオ−ビス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(2,3−ジ−sec−アミルフェノール)、1,1′−チオ−ビス−(2−ナフトール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6,−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシジフェニル)プロピオネート〕等。
アミノフェノール類:ノルマルブチル−p−アミノフェノール、ノルマルブチロイル−p−アミノフェノール、ノルマルペラゴノイル−p−アミノフェノール、ノルマルラウロイル−p−アミノフェノール、ノルマルステアロイル−p−アミノフェノール、2、6−ジ−t−ブチル−α−ジメチル、アミノ−p−クレゾール等。
ハイドロキノン系:ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ハイドロキノンメチルエーテル、ハイドロキノンモノベンジルエーテル等。
ホスファイト系トリホスファイト、トリス(3,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンフォスファイト、2−エチルヘキシルオクチルフォスファイト等。
その他:2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、ジカテコールボレート−ジ−o−トリルグアニジン塩、ニッケル−ジメチルジチオカーバメイト、ニッケル−ペンタメチレンンジチオカルバネート、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール亜鉛塩等。
シクロオレフィンポリマーフィルムは、必要に応じて、プラスチックフィルムに一般的に配合することが出来る添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤としては、熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、及び充填剤などが挙げられ、その含有量は本発明の目的を損ねない範囲で選択することが出来る。
シクロオレフィンポリマーフィルムの成形方法は格別な限定はなく、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることが出来る。加熱溶融成形法は、更に詳細に、押し出し成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押し出し成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押し出し成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜設定される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、フィルムにヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるボイドやシルバーストリークが発生したり、フィルムが黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。フィルムの厚みは、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmの範囲である。厚みが薄過ぎる場合は、積層時の取り扱いが困難となり、厚過ぎる場合は、積層後の乾燥時間が長くなって生産性が低下する。
シクロオレフィンポリマーフィルムは、その表面の濡れ張力が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、更に好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が上記範囲にあると、フィルムと偏光膜との接着強度が向上する。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、オゾンの吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他公知の表面処理を施すことが出来る。
延伸前のシートは厚さが50〜500μm程度の厚さが必要であり、厚さムラは小さいほど好ましく、全面において±8%以内、好ましくは±6%以内、より好ましくは±4%以内である。
上記シクロオレフィンポリマーフィルムを本発明の位相差フィルムにするには、前述したセルロースエステルフィルムと同様な製造法により得ることが出来、シートを少なくとも一軸方向に延伸することにより得られる。尚、実質的な一軸延伸、例えば、分子の配向に影響のない範囲で延伸した後、分子を配向させるべく一軸方向に延伸する二軸延伸であってもよい。延伸するには前記テンター装置等を用いることが好ましい。
延伸倍率は1.1〜10倍、好ましくは1.3〜8倍であり、この範囲で所望のリターデーションとなるようにすればよい。延伸倍率が低過ぎるとリターデーションの絶対値が上がらずに所定の値とならず、高過ぎると破断することもある。
延伸は、通常、シートを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+40℃の温度範囲で行われる。延伸温度が低過ぎると破断し、高過ぎると分子配向しないため、所望の位相差フィルムが得られない。
この様にして得たフィルムは、延伸により分子が配向されて、所望の大きさのリターデーションを持たせることが出来る。本発明において589nmにおける面内位相差値Roは30〜100nmであり、40〜70nmであることがより好ましい。また、厚み方向の位相差値Rtは70〜300nmであり、100〜250nmであることがより好ましい。
リターデーションは、延伸前のシートのリターデーションと延伸倍率、延伸温度、延伸配向フィルムの厚さにより制御することが出来る。延伸前のシートが一定の厚さの場合、延伸倍率が大きいフィルムほどリターデーションの絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望のリターデーションの延伸配向フィルムを得ることが出来る。
リターデーションのバラツキは小さいほど好ましく、本発明のシクロオレフィンポリマーフィルムは、波長589nmのリターデーションのバラツキが通常±50nm以内、好ましくは±30nm以下、より好ましくは±20nm以下の小さなものである。
リターデーションの面内でのバラツキや厚さムラは、それらの小さな延伸前のシートを用いるほか、延伸時にシートに応力が均等にかかるようにすることにより、小さくすることが出来る。そのためには、均一な温度分布下、好ましくは±5℃以内、更に好ましくは±2℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内に温度を制御した環境で延伸することが望ましい。
〔ポリカーボネート系フィルム〕
ポリカーボネート系フィルムを作成するのに用いられるポリカーボネート系樹脂としては種々があり、化学的性質及び物性の点から芳香族ポリカーボネートが好ましく、特にビスフェノールA系ポリカーボネートが好ましい。その中でも更に好ましくはビスフェノールAにベンゼン環、シクロヘキサン環、叉は脂肪族炭化水素基などを導入したビスフェノールA誘導体を用いたものが挙げられるが、特に中央炭素に対して非対称にこれらの基が導入された誘導体を用いて得られた、単位分子内の異方性を減少させた構造のポリカーボネートが好ましい。例えばビスフェノールAの中央炭素の2個のメチル基をベンゼン環に置き換えたもの、ビスフェノールAのそれぞれのベンゼン環の一の水素をメチル基やフェニル基などで中央炭素に対し非対称に置換したものを用いて得られるポリカーボネートが好ましい。
具体的には、4,4′−ジヒドロキシジフェニルアルカンまたはこれらのハロゲン置換体からホスゲン法またはエステル交換法によって得られるものであり、例えば4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルブタン等をあげることができる。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂よりなる位相差フィルムはポリスチレン系樹脂あるいはメチルメタクリレート系樹脂あるいはセルロースアセテート系樹脂等の透明樹脂と混合して使用しても良いし、またセルロースアセテート系フィルムの少なくとも一方の面にポリカーボネート樹脂を積層してもよい。本発明において使用できるポリカーボネート系フィルムの作成方法は特に限定されるものではない。すなわち押出法によるフィルム、溶媒キャスト法によるフィルム、カレンダー法によるフィルムなどのいずれを使用してもよい。本発明においては1軸延伸あるいは2軸延伸のどちらかを使用し、セルロースエステルフィルムの好ましい製造法と同様な製造法により、本発明の弾性率εsと弾性率εfの式(1)の関係を満たし、かつ面内及び厚み方向の位相差値の範囲を満たすポリカーボネート系フィルムが得られる。
本発明において使用されるポリカーボネート系フィルムはガラス転移点(Tg)が110℃以上であって、吸水率(23℃水中、24時間の条件で測定した値)が0.3%以下のものを使用するのがよい。より好ましくはTgが120℃以上であって、吸水率が0.2%以下のものを使用するのがよい。
(偏光板)
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の位相差フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には該フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UE、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UX−RHA−N、以上コニカミノルタオプト(株)製、フジタック TD80UF、T80UZ、T40UZ、反射防止フィルム(富士フイルムCVクリアビューUA)富士写真フイルム(株)製)等が好ましく用いられる。本発明の位相差フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが0〜20nmで、Rtが−50〜50nmの光学的に等方性の偏光板保護フィルムであることが好ましい。また該偏光板保護フィルムには8〜20μmの厚さのハードコート層もしくはアンチグレア層を有することも好ましく、例えば、特開2003−114333号公報、特開2004−203009号公報、2004−354699号公報,2004−354828号公報等記載のハードコート層もしくはアンチグレア層を有する偏光板保護フィルムが好ましく用いられる。更に、該ハードコート層もしくはアンチグレア層に反射防止層、防汚層等が積層されていることが好ましい。
或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明の偏光板と組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する液晶表示装置を得ることが出来る。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
又、エチレン変性ポリビニルアルコールも偏光膜として好ましく用いられる。偏光膜の膜厚は5〜30μm、特に10〜25μmであることが好ましい。
(表示装置)
本発明の位相差フィルムを用いた偏光板で構成された液晶表示装置は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させるために用いる。特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置に使用することが本発明の効果をより発揮できる。
マルチドメイン化は、画像表示の対称性の向上にも適しており、種々の方式が報告されている「置田、山内:液晶,6(3),303(2002)」。該液晶表示セルは、「山田、山原:液晶,7(2),184(2003)」にも示されているが、これらに限定されない。
本発明の偏光板は垂直配向モードに代表されるMVA(Multi−domein Vertical Alignment)モード、特に4分割されたMVAモード、電極配置によってマルチドメイン化された公知のPVA(Patterned Vertical Alignment)モード、電極配置とカイラル能を融合したCPA(Continuous Pinwheel Alignment)モードに効果的に用いることができる。また、OCB(Optical Compensated Bend)モードへの適合においても光学的に二軸性を有するフィルムの提案が開示されており「T.Miyashita,T.Uchida:J.SID,3(1),29(1995)」、本発明の偏光板によって表示品質において、本発明の効果を発現することもできる。本発明の偏光板を用いることによって本発明の効果が発現できれば、液晶モード、偏光板の配置は限定されるものではない。本発明の位相差フィルムは中でも、垂直配向モード液晶表示装置に好ましく用いられ、特にMVA(Multi−domein Vertical Alignment)モードの液晶表示装置に好ましく用いられる。
表示セルの表示品質は、人の観察において左右対称であることが好ましい。従って、表示セルが液晶表示セルである場合、実質的に観察側の対称性を優先してドメインをマルチ化することができる。ドメインの分割は、公知の方法を採用することができ、2分割法、より好ましくは4分割法によって、公知の液晶モードの性質を考慮して決定できる。
液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置しても応用されつつあり、本発明における表示品質は、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の位相差フィルムを用いた偏光板を液晶セルの一方の面のみに配置するか、もしくは両面に配置するものである。このとき偏光板に含まれる本発明の位相差フィルムが液晶セル側となるように用いることで表示品質の向上に寄与できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔フィルムの遅相軸の角度測定〕
王子計測機器製KOBRA21ADHにて測定した。搬送方向の角度が正確にわかるように資料を切り出し、正確にサンプルホルダに載せて測定を行った。測定方法はRo、Rtの測定と同じように行った。
〔弾性率εs、εfの測定〕
アッベ屈折率計(1T)によりフィルム試料の平均屈折率を測定し、遅相軸方向、遅相軸と直交する方向の弾性率εs、εfを測定する。例えば、TD方向(幅手方向)に延伸した位相差フィルムの場合、通常は遅相軸がTD方向、遅相軸と直交する方向がMD方向(長手方向)となる。その場合は、測定は各試料のMD方向及びTD方向の弾性率測定を、JIS K 7127に準じて行えばよい。
遅相軸がTD方向、遅相軸と直交する方向がMD方向にある場合、各試料を23±2℃、50±5%RHの環境下で、24時間放置した後、各試料のMD方向及びTD方向が、それぞれ長手となるように幅10mm×長さ200mmの短冊状に断裁し、次いで、ミニベア社製のTGー2KN型引っ張り試験器を用いて、チャッキング圧0.25MPa、標線間距離100±10mmで、上記短冊状試料をセットし、引っ張り速度100±10mm/minの速度で引っ張る。
そして、得られた引張応力−歪み曲線より、弾性率算出開始点を10N、終了点を30Nとし、その間に引いた接線を外挿し、MD方向及びTD方向の弾性率を求める。
〔位相差値Ro、Rtの測定〕
アッベ屈折率計(1T)と分光光源を用いてフィルム試料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が589nmにおいてフィルムのリターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を下記式に入力し、面内位相差値Ro、厚み方向の位相差値Rtを求める。遅相軸の方向も同時に測定する。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
《位相差フィルムの作製》
(位相差フィルム101の作製)
セルロースエステルについては、表1に示す置換度及び置換基の種類を変化させたものを用いた。
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製)) 11質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルAを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルA 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、剥離張力130N/m、残留溶媒量100質量%、冷風温度20℃の条件で剥離を行い、更に剥離部分の張力をカットする部分(ロール)とその次の搬送張力をかける部分(ロール)との速度差をつけた状態で搬送を行った。
次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、図2のB工程開始より10cmの位置までの応力を170N/mm、温度140℃、延伸倍率を20%の条件で延伸行い、延伸後、その幅を維持したまま130℃で20分間熱処理を行い幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.4m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚80μmの位相差フィルム101を作製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 390質量部
エタノール 80質量部
セルロースエステルA 100質量部
可塑剤:トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
可塑剤:エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
紫外線吸収剤:チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
1質量部
紫外線吸収剤:チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
1質量部
(位相差フィルム102〜125、136、139〜141の作製)
ドープ液の組成(セルロースエステル)、膜厚、剥離張力、剥離時残留溶媒量、冷風の条件、B工程開始より10cmの位置までの応力、温度、延伸倍率を表2〜表4に記載のように変更した以外は、上記と同様にして位相差フィルム102〜125、136、139〜141を作製した。
尚、位相差フィルム121は上記2種の可塑剤の替わりに、リターデーション制御剤として1,3,5−トリアジン環を有する化合物として下記化合物Dを5質量部添加した。
また、位相差フィルム122は上記2種の可塑剤の替わりに、リターデーション制御剤として棒状化合物である例示化合物A−18を5質量部添加した。
(シクロオレフィン系ポリマーフィルム126〜128の作製)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン1.2部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140部、及び8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、更に水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャルティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100部あたり0.1部)。次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する単軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して長さ2500m、厚さ60μmの環状オレフィン樹脂フィルムを製造した。押出成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。このフィルムについては位相差フィルム101と同様にして、剥離張力105N/m、残留溶媒量10質量%、冷風温度23℃の条件で剥離を行い、テンターでウェブ両端部を把持し、図2のB工程開始より10cmの位置までの応力を135N/mm、温度160℃、延伸倍率を24%の条件で延伸行い、得られた環状オレフィン樹脂フィルムは両耳をスリットし、幅1.4mに加工し、膜厚50μmの位相差フィルム126を得た。また、巻き取る際にプロテクトフィルムとしてポリエステルフィルムを一緒に巻き取った。
同様にして表3記載の条件で、膜厚60、80μmの位相差フィルム127、128を作製した。
(ポリカーボネート系フィルム129〜131の作製)
〈ドープ組成物〉
ポリカーボネート樹脂
(粘度平均分子量4万、ビスフェノールA型) 100質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール 1.0質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹拌しながら完全に溶解して、ドープ組成物を得た。
次にこのドープ組成物を濾過し、冷却して33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。次にステンレスバンド上から剥離する際に、位相差フィルム101と同様にして剥離張力120N/m、残留溶媒量45質量%、冷風温度23℃の条件で剥離を行い、テンターでウェブ両端部を把持し、図2のB工程開始より10cmの位置までの応力を140N/mm、温度125℃、延伸倍率を21%の条件で延伸行い、延伸処理を行い、幅1.4m、膜厚50μmの位相差フィルム129を得た。
同様にして表3記載の条件で、膜厚65、70μmの位相差フィルム130、131を作製した。
(支持体上にポリマー層を設けた位相差フィルム132〜134の作製)
次いで、位相差フィルム101で用いた主ドープ液100質量部に微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、剥離張力130N/m、残留溶媒量100質量%、冷風温度20℃の条件で剥離を行い、作製したセルロースエステルフィルムを支持体として用い、マイクログラビアコーターにより下記ポリマー層を塗布・乾燥した後、位相差フィルム101と同様にしてテンターにて支持体ごと幅手方向に延伸処理を行った。その際に図2のB工程開始より10cmの位置までの応力を170N/mm、温度145℃、延伸倍率を15%の条件で行い、幅1.4m、膜厚60μmの位相差フィルム129を作製した。
同様にして表3記載の条件で、膜厚70、80μmの位相差フィルム130、131を作製した。
〈ポリマー層〉
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン無水物と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルから合成された重量平均分子量5.9万のポリイミドの15質量%シクロヘキサノン溶液を、上記セルロースエステルフィルム上に、マイクログラビアコーターにて塗布・乾燥し、膜厚6μmのポリマー層を形成した。
(ポリビニルアセタールフィルム)
PVA(ケン化度:98%、重合度:1800、日本合成化学工業(株)製、NH−18)19.07g(0.43molユニット)を80℃でジメチルスルホキシド362.3gに溶解させた。溶解後40℃に冷却し、これに2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド11.55g(77.9mmol)及び1,1−ジエトキシエタン16.37g(138.5mmol)を滴下し、(2,4,6−トリメチルベンズアルデヒドおよび1,1−ジエトキシエタンの総量:PVAの水酸基当量に対して0.5当量)、溶解させた。さらにp−トルエンスルホン酸1水和物6.75g(35.5mmol)を加え、40℃で4時間攪拌して反応溶液を得た。水とメタノールとの混合溶液(水:エタノール(容量比)=1:2)3000mlに炭酸水素ナトリウム11.28g(106.5mmol)を溶解させた溶液中に、前記反応溶液を攪拌しながら投入し、白色ポリマーを析出させた。この白色ポリマーを濾過して集め、テトラヒドロフラン600gに溶解させ、ジエチルエーテル3000mlにて再沈殿をおこなった。この際沈殿で析出したポリマーを濾過して集め、50℃で15時間真空乾燥し、ポリマー25.0gを得た。このポリマーの重合度は1800、Tgは115℃であった。
上記で得られたポリマーをN,N−ジメチルスルホキシドに溶解させ、キャスト法にて製膜した。このフィルムを乾燥させ、130℃で、搬送方向と直交方向に25%延伸処理を行い、位相差フィルム135を得た。
(液晶塗布フィルム)
位相差フィルム123上に0.1μmのゼラチン層を設け、その上から0.2μmの膜厚となるように溶液1を塗布、乾燥後、ラビング処理を行い、フィルムを作成した。
溶液1
MP203(クラレ製) 1質量%
水 98質量%
メタノール 1質量%
続いてBASF製PARIOCOLOR LC242を200質量部、MEK(メチルエチルケトン)を800部の溶液を作り、これを塗布、75℃で乾燥し、次いで50℃で35秒熱処理し、高圧水銀灯で、365nmでのエネルギー量が400mJ/mで硬化し、液晶塗布フィルム137を作成した。
(比較例の位相差フィルム138、142〜144の作製)
比較例の位相差フィルム142、144は、位相差フィルム101のドープを用いて、同様にベルト流延装置により流延し、剥離時の張力60N/m、残留溶媒15質量%の状態で、冷風45℃の風を当てて剥離し、表4の条件で延伸処理を行った。
比較例138、143は、位相差フィルム111のドープを用いて、同様にベルト流延装置により流延し、表4に記載の条件で剥離、延伸を行った。
《評価》
作製した位相差フィルム101〜144について、位相差値Ro、Rtの測定、弾性率εs、εfの測定を行い、(εs/εf)値、(εs−εf)値、((εs+εf)×d)値を求め表5に記載した。(但し、ε:[MPa],d:[mm])
次いで、作製した位相差フィルム101〜144を用いて下記の要領で偏光板を作製し、以下の評価を実施した。
《偏光板の作製》
次いで、各位相差フィルム101〜144を用いて偏光板を作製した。
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記位相差フィルム101〜144、裏面側のセルロースエステルフィルムとして、反射防止フィルムKC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光膜と貼合する側を鹸化した位相差フィルム101〜125、129〜137、および裏面側のセルロースエステルフィルムを得た。尚、位相差フィルム126〜131はケン化処理工程の代わりにプラズマ処理を行い親水化した。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて、更に反射防止層が外側になるように積層し、配置した。
工程4:工程3で積層した位相差フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルム試料を圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと位相差フィルム101〜144とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、101〜144を作製した。
《液晶表示装置の作製》
市販の液晶TV(シャープ製 アクオス32AD5)の偏光板を剥離し、上記作製した偏光板101〜144をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、位相差フィルムの面が液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置101〜144を各々作製した。
《評価》
(正面コントラスト評価)
23℃55%RHの環境で、この液晶TVのバックライトを点灯して30分そのまま放置してから測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶TVで白表示と黒表示の正面輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。値が高い程コントラストに優れている。
以上の評価結果を5および表6に示す。
表5および表6より本発明の位相差フィルムは、正面コントラストが700以上であり、610より低い比較例の位相差フィルムに対して正面コントラスト比が向上していることが明白である。
実施例2
下記の加熱処理を実施した以外は実施例1の位相差フィルム101と同様にして、位相差フィルム201を作製した。
〈加熱処理〉
テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で105℃の乾燥風にて乾燥させ、残留溶媒量0.3質量%まで乾燥させてフィルムを得た後、さらに得られたフィルムを110℃及び雰囲気置換率25回/時間とした雰囲気内で20分間熱処理する際に多段に設けたニップロールでフィルムの厚み方向に10kPaの圧力で加圧処理を加えた後、室温まで冷却して巻き取り、位相差フィルム201を作製した。
加熱処理温度、雰囲気置換率、加圧処理の有無等を表7に記載した条件となるように変更し、自由体積半径を制御した以外は同様にして、位相差フィルム202〜205を作製した。
上記加熱熱処理工程の雰囲気置換率は、熱処理室の雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり雰囲気をFresh−airで置換される回数である。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
〈陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径の測定〉
各位相差フィルムの自由体積半径を前記陽電子消滅寿命法により測定した。
《評価》
作製した位相差フィルム201〜205について、実施例1の正面コントラスト評価を実施した。
以上の評価結果を表7に示す。
作製した位相差フィルム201〜205は、上記加熱、加圧処理により自由体積半径を本発明の好ましい範囲(0.250〜0.310nm)に調整することによって、さらに正面コントラストが向上することが分かった。
実施例3
実施例1で用いたテンター延伸装置を図3で示したウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンター延伸装置に変更した以外は同様にして位相差フィルムを作製し、実施例1と同様にして液晶表示装置の正面コントラストを評価したところ、本発明の位相差フィルムは、実施例1の本発明の位相差フィルムに対して正面コントラストが同等〜同等以上に向上することが分かった。
本発明により、偏光板の光漏れを抑え、液晶表示装置の正面コントラストを向上させた位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置を提供することが出来る。
【0003】
[0011]
[図1]延伸工程での延伸角度を説明する図である。
[図2]本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。
[図3]本発明の方法に用いられるテンター延伸装置(10a)の一例を模式的に示すものである。
発明を実施するための最良の形態
[0012]
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1. 長尺の位相差フィルムであり、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸方向の弾比率εと、フィルム面内の進相軸方向(εと直交する方向)の弾性率εとが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
[0013]
式(1) 1.26≦ε/ε≦2.60
2. 589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nm、厚み方向の位相差値Rtが70〜300nm、Rt/Roが2〜5であることを特徴とする前記1に記載の位相差フィルム。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
3. 前記弾性率ε、εが式(2)、(3)の関係を満たすことを特徴とする前記1または2に記載の位相差フィルム。
[0014]
式(2) 700≦ε−ε≦2450
式(3) 100≦(ε+ε)×d≦500但し、ε:[MPa],d:[mm]
4. 主成分がセルロースエステルであり、該セルロースエステルがセルロースアセテートもしくはセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
5. リタデーション制御剤を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
【0004】
6. 主成分がシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
7. 主成分がポリカーボネート系ポリマーであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
8. 主成分がポリビニルアセタール系ポリマーであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
9. 支持体上に光学異方性層を設けた位相差フィルムであり、該位相差フィルムが光軸を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
10. 偏光子の少なくとも一方の面に、偏光子の透過軸に対して、前記1〜9のいずれか1項に記載の位相差フィルムの遅相軸が直交もしくは平行となるように配置されたことを特徴とする偏光板。
11. 前記10に記載の偏光板を用いたことを特徴とする垂直配向型液晶表示装置。
[0015]
本発明により、偏光板の光漏れを抑え、液晶表示装置の正面コントラストを向上させた位相差フィルム、偏光板及び垂直配向型液晶表示装置を提供することが出来る。
[0016]
本発明で言うコントラストとは、特に断りのない限り正面コントラストのことを言う。
[0017]
本発明の目的はこの正面コントラストを向上させることである。正面コントラストとは、表示装置全体の正面コントラストのことであり、一部の箇所の局所的なコントラストのことではない。例えば、四隅のコントラスト低下、あるいは額縁状に発生する光漏れによるコントラスト低下、という現象もあるが、これらは局所的に発生するものであり、本発明で、向上させる対象となる正面コントラストとは意味が異なる。
[0018]
本発明で言う正面コントラストとは、表示面全体におけるコントラストのことであり、例えばある特定条件(たとえば湿熱やドライの耐久試験など)で局所的にコントラストが悪化する、といった動的な現象を改善する場合とは全くメカニズムが異なっており、本発明の内容とは一致しない。
[0019]
本発明で言う正面コントラストの向上は、光漏れの原因を抑えることで達成できるものであり、例えば上記の動的なもの、あるいは局所的に発生するものは、光弾性係数起因でのコントラスト低下を抑えるものであることが多く、本発明とはメカニズムなどが全く異なるものである。

Claims (10)

  1. 長尺の位相差フィルムであり、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、フィルム面内の遅相軸方向の弾性率εsと、フィルム面内の進相軸方向(εsと直交する方向)の弾性率εfとが、下記式(1)の関係を満たし、589nmにおける面内位相差値Roが30〜100nm、厚み方向の位相差値Rtが70〜300nm、Rt/Roが2〜5であることを特徴とする位相差フィルム。
    式(1) 1.26≦εs/εf≦2.60
    Ro=(nx−ny)×d
    Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
  2. 前記弾性率εs、εfが式(2)、(3)の関係を満たすことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の位相差フィルム。
    式(2) 700≦εs−εf≦2450
    式(3) 100≦(εs+εf)×d≦500但し、ε:[MPa],d:[mm]
  3. 主成分がセルロースエステルであり、該セルロースエステルがセルロースアセテートもしくはセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求の範囲第1または2項に記載の位相差フィルム。
  4. リタデーション制御剤を有することを特徴とする請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 主成分がシクロオレフィン系ポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1または2項に記載の位相差フィルム。
  6. 主成分がポリカーボネ−ト系ポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1または2項に記載の位相差フィルム。
  7. 主成分がポリビニルアセタール系ポリマーであることを特徴とする請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  8. 支持体上に光学異方性層を設けた位相差フィルムであり、該位相差フィルムが光軸を有することを特徴とする請求の範囲第1または2項に記載の位相差フィルム。
  9. 偏光子の少なくとも一方の面に、偏光子の透過軸に対して、請求の範囲第1〜8項のいずれか1項に記載の位相差フィルムの遅相軸が直交もしくは平行となるように配置されたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求の範囲第9項に記載の偏光板を用いたことを特徴とする垂直配向型液晶表示装置。
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