JP2003066230A - 光学補償シート、偏光板、楕円偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板、楕円偏光板および液晶表示装置

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JP2003066230A
JP2003066230A JP2001252499A JP2001252499A JP2003066230A JP 2003066230 A JP2003066230 A JP 2003066230A JP 2001252499 A JP2001252499 A JP 2001252499A JP 2001252499 A JP2001252499 A JP 2001252499A JP 2003066230 A JP2003066230 A JP 2003066230A
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JP
Japan
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film
liquid crystal
optical compensation
compensation sheet
polarizing
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JP2001252499A
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English (en)
Inventor
Narikazu Hashimoto
斉和 橋本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視野角特性、色斑の改良された光学補償
シートを提供する。さらに、セルロースアセテートフイ
ルムによって光学的に補償された液晶表示装置を提供す
る。 【解決手段】 面内のレターデーション値(Re)が2
0乃至70nmであり、厚み方向のレターデーション値
(Rth)が70乃至400nmであり、遅相軸角度と延
伸方向のなす角(軸ズレ)のレンジが5°以下であり、
樋状カールが30m-1以下であるポリマーフイルムを光
学補償シートに用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置用の
光学補償シートおよびそれを用いた偏光板と液晶表示装
置とに関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテートフイルムは、その
強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いら
れている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な
写真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテ
ートフイルムは、液晶表示装置にも用いられている。セ
ルロースアセテートフイルムには、他のポリマーフイル
ムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション
値が低い)との特徴がある。従って、光学的等方性が要
求される用途、例えば偏光板には、透明保護膜としてセ
ルロースアセテートフイルムを用いることが普通であ
る。液晶表示装置の光学補償シート(位相差フイルム)
には、逆に光学的異方性(高いレターデーション値)が
要求される。従って、光学補償シートとしては、ポリカ
ーボネートフイルムやポリスルホンフイルムのようなレ
ターデーション値が高い合成ポリマーフイルムを用いる
ことが普通である。
【0003】以上のように光学材料の技術分野では、ポ
リマーフイルムに光学的異方性(高いレターデーション
値)が要求される場合には合成ポリマーフイルムを使用
し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求さ
れる場合にはセルロースアセテートフイルムを使用する
ことが一般的な原則であった。欧州特許0911656
A2号明細書には、従来の一般的な原則を覆して、光学
的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデ
ーション値を有するセルロースアセテートフイルムが開
示されている。しかし、この発明を実施したところ、
0.7mを越えるような広幅で実施したところ、端部を
偏光板に使用したところ視野角が狭くなり改善が求めら
れていた。さらにこれに下塗層を塗設し、光学異方性層
を塗設したところ、両端と端部で色斑が発現し、改善が
望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、色斑
の発現が抑制された光学補償シートを提供することであ
る。別の本発明の目的は、視野角特性が改善された液晶
表示装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(7)、(11)の光学補償シート、下記
(8)の偏光板、下記(12)、(13)の楕円偏光
板、および下記(9)、(10)、(14)の液晶表示
装置により達成された。 (1)面内レターデーション値が20乃至70nmであ
り、厚み方向のレターデーション値が70乃至400n
mであり、遅相軸角度と延伸方向のなす軸ズレ角のレン
ジが5°以下であり、そして、樋状カールが30m-1
下であるポリマーフイルムからなる光学補償シート。
【0006】(2)ポリマーフイルムが、延伸処理され
ている(1)に記載の光学補償シート。 (3)ポリマーフイルムが、3乃至40%の延伸倍率で
幅方向に延伸されている(2)に記載の光学補償シー
ト。 (4)ポリマーフイルムが、延伸後に、長手方向に0.
4乃至5%膨張するように熱処理されている(2)に記
載の光学補償シート。
【0007】(5)ポリマーフイルムが、59.0乃至
61.5%の酢化度を有するセルロースアセテートから
なる(1)に記載の光学補償シート。 (6)ポリマーフイルムが、少なくとも二つの芳香族環
を有する芳香族化合物を1乃至10質量%含む(1)に
記載の光学補償シート。 (7)芳香族化合物が、少なくとも一つの1,3,5−
トリアジン環を有する(6)に記載の光学補償シート。
【0008】(8)偏光膜およびその両側に配置された
二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜
の一方が(1)に記載の光学補償シートであり、さらに
該光学補償シートの遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸
のなす角度の絶対値が3°以下になるように配置されて
いることを特徴とする偏光板。
【0009】(9)液晶セルおよびその両側に配置され
た二枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置
であって、液晶セルと偏光膜との間に配置される二枚の
透明保護膜の一方が、(1)に記載の光学補償シートで
あり、さらに該光学補償シートの遅相軸の平均方向と偏
光膜の透過軸のなす角度の絶対値が3°以下になるよう
に配置されていることを特徴とする液晶表示装置。 (10)液晶セルが、VAモード、TNモードまたはn
−ASMモードの液晶セルである(9)に記載の液晶表
示装置。
【0010】(11)面内レターデーション値が20乃
至70nmであり、厚み方向のレターデーション値が7
0乃至400nmであり、遅相軸角度と延伸方向のなす
角(軸ズレ)のレンジが5°以下であり、そして、樋状
カールが30m-1以下であるポリマーフイルムの上に、
円盤状化合物を含む光学異方性層が設けられている光学
補償シート。
【0011】(12)偏光膜およびその両側に配置され
た2枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護
膜の一方が(11)に記載の光学補償シートであること
を特徴とする楕円偏光板。 (13)偏光膜およびその両側に配置された3枚以上の
透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一枚
が(11)に記載の光学補償シートであり、別の一枚が
(1)に記載の光学補償シートであることを特徴とする
楕円偏光板。
【0012】(14)ベンド配向モードの液晶セルおよ
び液晶セルの両側に配置された一対の楕円偏光板からな
る液晶表示装置であって、楕円偏光板の少なくとも一方
が(12)または(13)に記載の楕円偏光板であるこ
とを特徴とする液晶表示装置。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者の研究の結果、前記の視
野角の悪化は、延伸中のボーイング現象(軸ズレ)に起
因し、延伸中のボーイング現象、延伸方法を改善して視
野角の悪化を解消できることが判明した。さらに色斑
は、鹸化処理後の乾燥ゾーン、下塗層、光学異方性層を
塗設する際に通す乾燥ゾーン中で発現する樋状カール
(長手方向に沿って樋のような形に発生するカール)に
起因し、これを用い液晶パネルに張り付ける際、発現し
た樋状カールを伸ばすためにフイルム内部に不均一な応
力が発生し、これが光弾性の差に起因する色斑を発生す
ることが判明した。さらに、樋状カールは、その発現機
構を解析した結果、下記のプロセスで発現することが判
明した。 延伸工程でフイルム内部に残存する応力が、塗布乾燥
時の熱で解放され収縮する。 フイルム内部には表裏で可塑剤、レターデーション上
昇剤等の低分子化合物の量に差があり、表裏で弾性率が
異なる。これに収縮応力が作用すると、弾性率の低い面
が収縮し易い。 収縮量の大きな面を内側に、小さな方を外側にカール
することで、表裏の収縮量の差をバランスさせようとす
る結果(カールの外周の方が内周より長いため)、樋状
のカールが発生する。
【0014】以上の問題を解決するため、本発明に用い
るポリマーフイルムは、乾燥工程に対応する100℃で
2分熱処理した後の樋状カール(幅方向のカール)が、
30m-1以下、より好ましくは25m-1、さらに好まし
くは20m-1以下である。ここで云うカールの値はカー
ルの曲率半径(mを単位として測定)の逆数で示したも
のであり、これが大きいものほど強いカールであること
を示す。カールが強い場合、ポリマーフイルムは樋状で
はなく、丸まってしまう場合もある。
【0015】[フイルムのレターデーション]フイルム
の面内レターデーション値(Re)および厚み方向のレ
ターデーション値(Rth)は、それぞれ、下記式(I)
および(II)で定義される。 (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d 式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内
の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であ
る。式(I)および(II)において、nyは、フイルム
面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率
である。式(II)において、nzは、フイルムの厚み方
向の屈折率である。式(I)および(II)において、d
は、単位をnmとするフイルムの厚さである。
【0016】本発明ではフイルムのReレターデーショ
ン値を20乃至70nmに、そしてRthのレターデーシ
ョン値が70乃至400nmに調節する。液晶表示装置
に二枚の光学的異方性フイルムを使用する場合、フイル
ムのRthレターデーション値は70乃至200nmであ
ることが好ましい。より好ましくは80乃至180n
m、さらに好ましくは90乃至160nmである。Re
は20乃至50nmであり、より好ましくは20乃至4
0nmである。液晶表示装置に一枚の光学的異方性フイ
ルムを使用する場合、フイルムのRthレターデーション
値は150乃至400nmであることが好ましい。より
好ましくは160乃至350nm、さらに好ましくは1
70乃至300nmである。Reは30乃至70nmで
あり、より好ましくは30乃至60nmである。さらに
Re、Rthのレンジが0%以上10%以下であることが
好ましく、より好ましくは0%以上8%以下、さらに好
ましくは0%以上5%以下である。なお、これらのフイ
ルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.0002
5乃至0.00088であることが好ましい。また、こ
れらのフイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)
/2−nz}は、0.00088乃至0.005である
ことが好ましい。
【0017】[フイルムの遅相軸角度]フイルム面内にお
ける遅相軸の角度(軸ズレ)は、延伸方向を基準線(0
°)とし、遅相軸と基準線のなす角度で定義する。ここ
で、ロール形態のフイルムを幅方向に延伸する時は幅方
向を基準線とし、長手方向に延伸する時は長手方向を基
準線とする。遅相軸角度(軸ズレ)の平均値は3°以下
であることが好ましく、2°以下であることがさらに好
ましく、1°以下であることが最も好ましい。遅相軸角
度の平均値の方向を遅相軸の平均方向と定義する。ま
た、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジは5゜以下であること
が好ましく、3゜以下であることがにさら好ましく、2
゜以下であることが最も好ましい。レンジとは、幅方向
全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値
の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平
均の差をとったものである。
【0018】このような物性を有する光学補償シート
は、下記特徴を有する延伸法によって実施される。 3乃至40%、より好ましくは7乃至38%、さらに
好ましくは15乃至35%の延伸倍率で幅方向に延伸す
る。これに引き続き、長手方向に0.4%以上5%以
下、より好ましくは0.7%以上4%以、さらに好まし
くは1%以上3.5%以下膨張させながら熱処理する。 延伸中に表裏に温度差を付与する。流延時に基板(バ
ンドあるいはドラム)に接触していた面の温度を、その
反対面より2℃以上20℃以下、より好ましくは3℃以
上15℃以下、より好ましくは4℃以上12℃以下高く
する。
【0019】これは、以下の機構により、軸ズレを小さ
くすると同時に樋状カールも小さくする効果を有してい
る。 幅方向に延伸する際、一般に両端をチャックで把持
し、これを広げることで達成されるが、この際中央部は
把持された両端部より延伸が進行し易く、延伸に伴うネ
ックインが進行し易い。この結果、このネックインを反
映した半月状のボーイングが発生し、これに沿って配向
軸が並ぶため、両端の配向軸が傾いた軸ズレ現象が発生
する。 ネックインは、そこだけ延伸が進み、薄くなった分を
補うため幅方向が細くなる現象であるため、これを防止
するためには、このネックインしたところにフイルムを
供給することで解消できる。これには延伸の後に長手
(MD)方向にフイルムを供給すれば良く、これにはM
D方向に膨張するようにしてやれば良い。 上記のようなMD方向の供給がないと、延伸に対応す
るだけフイルムが不足しネックインを引き起こし、これ
に伴い内部応力が蓄積される。これが樋状カールの原因
となる。従って、上記MD方向の供給を実施すること
で、この内部応力を減少させ、樋状カールを小さくする
ことができる。 さらに、樋状カールの原因の一つである、低分子化合
物の偏在を解消できる。即ち流延時に基板面側は溶剤の
揮発が遅れるため、ここに低分子化合物が残留し高濃度
化し易い。これを表裏で均等になるように、これの多い
基板面側の温度を高くし、反対側への拡散を促すことが
できる。これにより樋状カールを軽減できる。このよう
な光学補償シートは以下のように達成でき、詳細を手順
に沿って説明する。
【0020】[ポリマーフイルム]液晶セルに組み込ん
だ時にバックライト光源からの熱を逃がすために、本発
明では光学学補償シートに熱伝導率が高いポリマーフイ
ルムを使用することが好ましい。熱伝導率が高いポリマ
ーとしては、セルロースアセテート(0.22W/m・
℃)、低密度ポリエチレン(0.34W/m・℃)、A
BS(0.36W/m・℃)、ポリカーボネート(0.
19W/m・℃)が好ましい。環状オレフィンポリマー
である、ZEONEX(0.20W/m・℃、日本ゼオ
ン(株)製)、ZEONOR(0.20W/m・℃、日
本ゼオン(株)製)、ARTON(0.20W/m・
℃、JSR(株)製)も好ましい。これらの中で、より
好ましいのがセルロースエステルフイルムであり、さら
に好ましいのがセルロースアセテートフイルムである。
この中でも、酢化度が59.0乃至61.5%であるセ
ルロースアセテートが好ましい。酢化度とは、セルロー
ス単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、
ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等
の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従
う。セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)
は、250以上であることが好ましく、290以上であ
ることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセル
ロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、M
nは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好まし
い。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.
7であることが好ましく、1.3乃至1.65であるこ
とがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最
も好ましい。
【0021】[レターデーション上昇剤]セルロースア
セテートフイルムのレターデーションを調整するため、
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレタ
ーデーション上昇剤として使用する。少なくとも二つの
芳香族環を有する芳香族化合物は、該少なくとも二つの
芳香族環が分子構造的に同一平面を形成する化合物が好
ましく、棒状化合物でもよい。芳香族化合物は、セルロ
ースアセテート100質量部に対して、0.01乃至2
0質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロー
スアセテート100質量部に対して、0.05乃至15
質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至1
0質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種
類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
【0022】芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化
水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化
水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であること
が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘ
テロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環ま
たは7員環であることが好ましく、5員環または6員環
であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般
に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒
素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子
が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン
環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソ
オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イ
ミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾー
ル環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジ
ン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含
まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チ
オフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール
環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピ
リミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン
環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジ
ン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一
つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ま
しい。このようなレターデーション上昇剤としては特開
2000−111014号、同2000−275434
号、同2000−284124号、同2001−133
23号、WO00/65384号等に記載されている。
【0023】[セルロースアセテートフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイ
ルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法
では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液
(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、
炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃
至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルお
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選
ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンお
よびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテ
ル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O
−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上
有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を
有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶
媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有す
る化合物の規定範囲内であればよい。
【0024】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0025】一般的な方法でセルロースアセテート溶液
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器
に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以
上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪
拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好まし
くは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃
至110℃である。
【0026】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0027】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質
量%含まれるように調整することが好ましい。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。
【0028】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間
で割った値である。
【0029】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始して
から最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値で
ある。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0030】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒
により異なる。
【0031】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバ
ンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成す
る。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%とな
るように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたは
バンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法
については、米国特許2336310号、同23676
03号、同2492078号、同2492977号、同
2492978号、同2607704号、同27390
69号、同2739070号、英国特許640731
号、同736892号の各明細書、特公昭45−455
4号、同49−5614号、特開昭60−176834
号、同60−203430号、同62−115035号
の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以
下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好まし
い。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取
り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高
温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以
上の方法は、特公平5−17844号公報に記載があ
る。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を
短縮することが可能である。この方法を実施するために
は、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてド
ープがゲル化することが必要である。
【0032】セルロースアセテートフイルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
質量%であることが好ましく、1乃至20質量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが
最も好ましい。
【0033】セルロースアセテートフイルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。
【0034】[セルロースアセテートフイルムの延伸] 延伸前の残留溶剤濃度 延伸開始前の残留溶剤濃度が、3質量%以上50質量%
以下(ポリマー、残留溶剤の和に対する残留溶剤の比
率)、より好ましくは5質量%以上40質量%、さらに
好ましくは7質量%以上35質量%であることが好まし
い。このような残留溶剤は、延伸中の内部応力を緩和
(クリープ)し、樋状カールを抑制する効果を有する。
【0035】延伸前の熱処理(前熱処理) 延伸に先だって50℃以上150℃以下、より好ましく
は60℃以上140℃以下、さらに好ましくは70℃以
上130℃以下で、5秒以上3分以下、より好ましくは
10秒以上2分以下、さらに好ましくは15秒以上90
秒以下熱処理(前熱処理)するのが好ましい。
【0036】横延伸 前熱処理に引き続き、TD(幅)方向に延伸する。延伸
にはテンターを用いてフイルム両端を把持して行なうの
が好ましい。好ましい延伸倍率は3乃至40%、より好
ましくは7乃至38%、さらに好ましくは15乃至35
%である。延伸は5〜300%/分、より好ましくは1
0〜200%/分、さらに好ましくは15〜150%/
分で実施するのが好ましい。本発明は、このような低速
で延伸することを特徴としている。通常のポリマーフイ
ルム(例えば、ポリエステル)は500%/分以上の高
速で延伸するのが一般的である。延伸は、80℃以上1
60℃以下、より好ましくは90℃以上150℃以下、
さらに好ましくは100℃以上145℃以下で行なうの
が好ましい。このとき、フイルムの表裏に温度差を付与
する。流延時に基板(バンドあるいはドラム)に接触し
ていた面の温度を、その反対面より2℃以上20℃以
下、より好ましくは3℃以上15℃以下、より好ましく
は4℃以上12℃以下高くする。このような温度差は、
上下に熱風を吹き出すダクトを設け、それぞれの温度を
変えることでも、またIRヒーター等の放射熱源を上下
に設置し、上下で出力を変えることでも達成できる。さ
らにこれらを組み合わせても良い。
【0037】熱処理 延伸に引き続き、長手方向に0.4%以上5%以下、よ
り好ましくは0.7%以上4%以、さらに好ましくは1
%以上3.5%以下膨張させながら熱処理する。このよ
うな熱処理は、以下のように達成される。即ち延伸直後
に熱処理ゾーンを設け、そこで熱膨張させることと、こ
れをさらに助長させるべく長手方向、幅方向に弛緩させ
ることで達成される。より具体的には、以下のように達
成できる。
【0038】イ)熱処理を、100℃以上150℃以
下、より好ましくは110℃以上145℃以下、さらに
好ましくは115以上140℃以下で実施する。延伸温
度より低いと、その温度分だけ(熱膨張係数×温度差)
収縮し(可逆的収縮)、本発明の膨張を達成できない。
一方、上記温度範囲を越えると、熱収縮(不可逆的収
縮)し本発明の膨張を達成できない。一般的な延伸製膜
法では、延伸後200℃以上の温度で熱固定するのが一
般的であるが、本発明ではこのような高温の熱処理を行
わないことが特徴である。この熱処理は、5秒以上3分
以下、より好ましくは10秒以上2分以下、さらに好ま
しくは15秒以上90秒以下実施するのが好ましい。
【0039】ロ)延伸後の巻取り速度を、テンターレー
ル速度の90%以上99%以下、より好ましくは93%
以上99%以下、さらに好ましくは95以上99%以下
で巻き取る。通常の製膜ではテンター速度と同調させて
等速もしくはテンター速度より速い速度でえ張力を掛け
て巻き取るが、本発明では巻取り速度を遅くすることで
MD方向に少し弛ませる。この結果MD方向の膨張させ
ることができる。
【0040】ハ)熱処理の間にテンターを幅方向に1〜
10%、より好ましくは2〜9%、さらに好ましくは2
%以上8%以下縮め、弛緩させるのが好ましい。これは
TD方向の弛緩であるが、フイルム内の残留応力を減少
させる効果があるため、結果としてMD方向に膨張する
ことを助長する効果がある。
【0041】このような長手方向(MD)の熱膨張は、
以下のように測定される。 a)テンターから出てきたフイルムの長手方向のTMA
(thermal mechanicalanalysis)測定し、室温での寸法
(L1)と、延伸の次のゾーンの温度での寸法(L2)
の差(D(%)=100×(L2−L1))とする。 b)未延伸フイルムを同様にTMA測定し、同様に室温
での寸法と、延伸の次のゾーンの温度での寸法の差D0
(%)を求める。なお、未延伸フイルムとは、延伸時と
同じ温度、速度で前熱処理、横延伸、熱処理ゾーンを通
すが、延伸を行わないものを指す。 c)Δ(%)=D−D0を、MDの熱膨張とする。即
ち、熱処理ゾーンを通過してきたフイルムにTMA中で
再度昇温することで、熱処理ゾーン中での寸法変化を再
現させている。さらにブランクとして、未延伸フイルム
の寸法変化を同様に測定し、両者の差を熱処理中の熱膨
張とすることができる。
【0042】このようにして得られたセルロースアセテ
ートフイルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ま
しくは0.7〜2.5m、さらに好ましくは0.9〜2
mである。厚さは40乃至150μmであることが好ま
しく、より好ましくは55乃至140μmであることが
好ましく、さらに好ましくは70乃至130μmであ
る。長さは1ロールあたり300〜6000mで巻き取
るのが好ましく、より好ましくは500〜5000mで
あり、さらに好ましくは1000〜4000mである。
巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するの
が好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5
m〜30mm、高さは5〜500μmであり、より好ま
しくは10〜200μmである。これは片押しであって
も両押しであっても良い。
【0043】[セルロースアセテートフイルムの表面処
理]セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施す
ことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処
理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理
または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−
333433号明細書に記載のように、下塗り層を設け
ることも好ましく利用される。これらの表面処理により
表面エネルギーは55mN/m以上であることが好まし
く、60mN/m以上75mN/m以下であることが更
に好ましい。これらの処理のうち接着性の観点から、酸
処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテー
トに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナ
トリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は
0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.5N
乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶
液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ましく、40℃乃
至70℃がさらに好ましい。このような鹸化は、浸漬
法(フイルムを酸あるいはアルカリ溶液に浸漬する)あ
るいは塗布法(フイルム表面に酸あるいはアルカリ液
を塗布する)いずれで行っても良い。この後浸漬法、あ
るいは塗布法で中和、水洗するのが好ましい。
【0044】[偏光板]偏光板は、偏光膜およびその両
側に配置された少なくとも二枚の透明保護膜からなる。
一方の保護膜として、上記のポリマーフイルムからなる
光学補償シートを用いることができる。他方の保護膜と
しては、通常のセルロースアセテートフイルムを用いる
ことができる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染
料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨ
ウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニル
アルコール系フイルムを用いて製造する。本発明に従う
光学補償シートの遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸の
なす角度(絶対値)は、3°以下になるように配置する
ことが好ましく、2°以下になるように配置することが
さらに好ましく、1°以下になるように配置することが
最も好ましい。
【0045】[円盤状化合物を含む光学異方性層]前記
のポリマーフイルムの上に、円盤状化合物を含む光学異
方性層を設けてもよい。円盤状化合物を含む光学異方性
層の光学特性は、前記(I)で定義されるReレターデ
ーション値に加えて、下記式(III)で定義されるRthレ
ターデーション値および円盤状化合物の平均傾斜角βで
表される。 (III)Rth=[(n2+n3)/2−n1]×d 式中、n1は、光学異方性層を屈折率楕円体で近似した
場合の屈折率主値の最小値であり;n2およびn3は、
光学異方性層のその他の屈折率主値であり;そして、d
は光学異方性層の厚さである。光学異方性層のReレタ
ーデーション値は、10乃至100nmであることが好
ましい。光学異方性層のRthレターデーション値は、4
0乃至200nmであることが好ましい。また、円盤状
化合物の平均傾斜角β(屈折率の主値の最小値の方向と
フイルム法線との角度)が、20乃至50゜であること
が好ましい。
【0046】前記のポリマーフイルムの上に円盤状化合
物を含む光学異方性層を設けた光学補償シートから偏光
板(楕円偏光板)を構成する場合、通常の偏光板の透明
保護膜の一方を光学補償シートに置き換えれば良い。偏
光膜およびその両側に配置された3枚以上の透明保護膜
からなる楕円偏光板の場合、透明保護膜の一枚として前
記のポリマーフイルムの上に円盤状化合物を含む光学異
方性層を設けた光学補償シートを使用し、別の一枚とし
て前記のポリマーフイルムからなる光学補償シートを使
用することもできる。
【0047】[液晶表示装置]上記のポリマーフイルム
からなる光学補償シート、または上記のポリマーフイル
ムを用いた偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表
示装置に有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液
晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からな
る。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持して
いる。光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との
間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光
板との間に二枚配置する。偏光板では、液晶セルと偏光
膜との間に配置される透明保護膜として、上記のポリマ
ーフイルムを用いる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光
膜との間の)透明保護膜のみ上記のポリマーフイルムを
用いるか、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光膜
との間の)二枚の透明保護膜に、上記のポリマーフイル
ムを用いる。
【0048】液晶セルは、VAモード、TNモードまた
はn−ASMモードであることが好ましい。VAモード
の液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質
的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に
配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義
のVAモードの液晶セル(特開平2−176625およ
び特公平7−69536号公報記載)に加えて、(2)
視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した
液晶セルが含まれる。具体的には、MVA(SID9
7、Digest of tech. Papers(予稿集)28(199
7)845、SID99、Digest of tech. Papers(予
稿集)30(1999)206及び特開平11−258
605号公報記載)、SURVAIVAL(月刊ディス
プレイ、第6巻、第3号(1999)14記載)、PV
A(Asia Display98、Proc.of the 18th
Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)38
3記載)、Para-A(LCD/PDP Intern
ational‘99で発表)、DDVA(SID9
8、Digest of tech. Papers(予稿集)29(199
8)838記載)、EOC(SID98、Digest of te
ch. Papers(予稿集)29(1998)319記載)、
PSHA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿
集)29(1998)1081記載)、RFFMH(A
sia Display98、Proc.of the 18th Inter.
Display res. Conf.(予稿集)(1998)375記
載)、HMD(SID98、Digest of tech. Papers
(予稿集)29(1998)702記載)が含まれる。
その他に(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的
に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配
向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(IW
D’98、Proc.of the 5th Inter. Display Worksho
p.(予稿集)(1998)143記載))も含まれる。T
Nモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分
子が実質的に水平配向し、さらに60乃至120゜にね
じれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーT
FT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数
の文献に記載がある。
【0049】[ベンド配向モード液晶セル]円盤状化合
物を含む光学異方性層の光学特性は、前記(I)で定義
されるReレターデーション値に加えて、下記式(III)で
定義されるRthレターデーション値および円盤状化合物
の平均傾斜角βで表される。 (III)Rth=[(n2+n3)/2−n1]×d 式中、n1は、光学異方性層を屈折率楕円体で近似した
場合の屈折率主値の最小値であり;n2およびn3は、
光学異方性層のその他の屈折率主値であり;そして、d
は光学異方性層の厚さである。光学異方性層のReレタ
ーデーション値は、10乃至100nmであることが好
ましい。光学異方性層のRthレターデーション値は、4
0乃至200nmであることが好ましい。また、円盤状
化合物の平均傾斜角β(屈折率の主値の最小値の方向と
フイルム法線との角度)が、20乃至50゜であること
が好ましい。
【0050】ベンド配向モードの液晶セルおよび液晶セ
ルの両側に配置された一対の楕円偏光板からなる液晶表
示装置においては、楕円偏光板の少なくとも一方に、偏
光膜およびその両側に配置された2枚の透明保護膜から
なり、透明保護膜の一方が前記のポリマーフイルムの上
に円盤状化合物を含む光学異方性層を設けた光学補償シ
ートからなる楕円偏光板を用いることが好ましい。ま
た、楕円偏光板の少なくとも一方に、偏光膜およびその
両側に配置された3枚以上の透明保護膜からなり、透明
保護膜の一枚が前記のポリマーフイルムの上に円盤状化
合物を含む光学異方性層を設けた光学補償シートからな
り、別の一枚が前記のポリマーフイルムからなる光学補
償シートからなる楕円偏光板を用いることも好ましい。
【0051】以下本発明で用いた測定方法について述べ
る。 1)樋状カール 延伸後のベースを、四辺を固定せず100℃2分間熱処
理する。これをANSI/ASC PH1.29−19
85に従ってカール板を用い幅方向のカールを測定し、
カール値(mを単位として表した曲率半径の逆数)で示
した。 2)MD方向の膨張 a)前熱処理、横延伸、熱処理を終え、テンターから出
てきたフイルムの長手方向のTMAを下記条件で測定す
る 昇温:室温→200℃まで3℃/分、 張力:0.04N サンプルサイズ:3mm幅(TD)×チャック間2
5.4mm(MD) 室温での寸法(L1)と、延伸の次のゾーンの温度での
寸法(L2)の差(D(%)=100×(L2−L
1))とする。 b)未延伸フイルムを同様にTMA測定し、同様に室温
での寸法と、延伸の次のゾーンの温度での寸法の差D0
(%)を求める。なお、未延伸フイルムとは、延伸時と
同じ温度、速度で前熱処理、横延伸、熱処理ゾーンを通
すが、延伸を行わないものを指す。 c)Δ(%)=D−D0をMDの熱膨張とする。 3)Re、Rth 光学補償シートについて、エリプソメーター(M−15
0、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにお
けるReレターデーション値およびRthレターデーショ
ン値を測定した。また、幅方向に沿って等間隔に10点
測定し、Re、Rthそれぞれの最大値と最小値の差を
各々の平均値で割り、%で表示したものをRe、Rth
のレンジとした。 4)軸ズレ また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計
測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅
にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求
めた。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方
向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対
値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の
平均の差をとったものである。
【0052】
【実施例】[実施例1] 1.フイルムの製膜 (1)ドープの調液 イ)母液の調製:下記の組成物をミキシングタンクに投
入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロ
ースアセテート溶液を調製した。なお全アセチルセルロ
ース中の再溶解アセチルセルロースの含率は30質量%
とした。
【0053】 ──────────────────────────────────── セルロースアセテート溶液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部 メタノール(第2溶媒) 54質量部 1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部 ────────────────────────────────────
【0054】ロ)追添ドープの調製:上記母液ドープに
下記のレターデーション上昇剤を添加した追添ドープを
調製した。 ハ)混合ドープの作製:母液ドープ95%と、追添ドー
プ5%を混合して最終ドープとし、これを流延に供下し
た。なお、最終ドープのレターデーション上昇剤の濃度
が表1の値となるよう、追添ドープのレターデーション
上昇剤の濃度を調整した。
【0055】
【化1】
【0056】(2)製膜・延伸 上記ドープを濾過後、バンド上に流延した。この時の雰
囲気温度は80℃で行った。この後残留溶剤が表1の値
となったところでバンドから剥取った。これを表1に記
載の条件でテンター延伸した。いずれの水準も、巻取り
前にチャックで把持していた端部をトリミングし、両端
にナーリングを付与した後、3000m長巻き取った。 (3)鹸化 上記方法で作製したセルロースアセテートフイルムを表
2に記載のように下記の方法のいずれかで鹸化処理し
た。 浸漬型鹸化法 セルロースアセテートフイルムを、1.5規定水酸化ナ
トリウム水溶液(55℃)に2分間浸漬してから、室温
の水洗浴槽中で洗浄し、0.1規定の硫酸(30℃)で
中和し、再度、室温水洗浴槽中で洗浄し、さらに100
℃の温風で乾燥した。 塗布型鹸化法 60℃に加熱したセルロースアセテートフイルム上に、
1.5規定KOH−イソプロピルアルコール/プロピレ
ングリコール混合溶液(体積比85:15)を25ml
/m2 塗布し、5秒後に流水で10秒洗浄し、25℃の
空気を吹き付けることでフイルム表面を乾燥させた。
【0057】2.偏光板の作製 延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着
させて偏光膜を作製した。これを表1に記載の全ての延
伸フイルムに対し、ケン化処理した面にポリビニルアル
コール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付けた。
このフイルムベースの延伸軸(遅相軸)と偏光軸が平行
になる様に貼り付けた。遅相軸の平均方向と偏光膜の透
過軸のなす角度は0.5°であった。
【0058】3.液晶表示装置の作製 垂直配向(VA)型液晶セル 垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1
530S、富士通(株)製)に設けられている一対の偏
光板および一対の光学補償シートを剥がし、代わりに上
記方法で作製した偏光板を、偏光膜が液晶セルの反対側
となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバック
ライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透
過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の
透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とし
た。なお、ここで使用した偏光板は、延伸フイルムの中
央からサンプリングしたものと端部からサンプリングし
たものとを組み合わせて使用した。作製した液晶表示装
置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELD
IM社製)を用いて上下左右でコントラスト比10:1
が得られる最小の視野角を求め、結果を第2表に示す。
併せて色斑も評価した。これは上記方法で作製した液晶
セルを全面白表示とし、肉眼で観察される虹色となる部
分の面積を、全画面の面積で割った値で示した。
【0059】TN型液晶セル TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(6E−A3、
シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥
がし、代わりに上記方法で作製した偏光板を、上記垂
直配向型液晶セルとどうように張り付けた。観察者側の
偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸と
は直交であり、Oモードとなるように配置した。上記方
法と同様にして視野角と色斑を求め、結果を表1に示し
た。
【0060】
【表1】
【0061】[実施例2] 4.光学異方性層の形成 配向膜層の形成 上記の方法で延伸、鹸化処理まで終了したフイルム上
に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコータ
ーで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、
さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロ
ースアセテートフイルムの延伸方向(遅相軸とほぼ一
致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実
施した。
【0062】 ──────────────────────────────────── 配向膜塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部 水 360質量部 メタノール 120質量部 グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部 ────────────────────────────────────
【0063】
【化2】
【0064】光学異方性層の形成 上記配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物41.
01質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプ
ロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学
(株)製)4.06質量部、セルロースアセテートブチ
レート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル
社製)0.90質量部、セルロースアセテートブチレー
ト(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)
0.23質量部、光重合開始剤(イルガキュアー90
7、チバガイギー社製)1.35質量部、増感剤(カヤ
キュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45質量部
を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布
液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを、130
℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させ
た。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用い
て、250mJ/cm2 のUV光を照射し円盤状化合物
を重合させた。その後、室温まで放冷した。このように
して、光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製し
た。作製した光学補償シートについて、光学特性を測定
した。結果は表2に示す。
【0065】
【化3】
【0066】楕円偏光板の作製 上記光学異方性層の反対面に、延伸したポリビニルアル
コールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し
た。上記方法で作製した延伸フイルムに、ポリビニルア
ルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片側に貼り付け
た。延伸フイルムの遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸
のなす角度は0.3°になるように張り付けた。このよ
うにして楕円偏光板を作製した。
【0067】ベンド配向液晶セルの作製 ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜
として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた
二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向
かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。セルギ
ャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1
132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを
作製した。作製したベンド配向セルを挟むように、上記
楕円偏光板を二枚貼り付けた。楕円偏光板の光学異方性
層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれ
に対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行とな
るように配置した。作製した液晶表示装置について、白
表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、測定機(EZ
−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて上下左
右でコントラスト比10:1が得られる最小の視野角を
求め、結果を表2に示す。併せて、色斑を測定した。結
果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】本発明により、視野角特性、色斑の改良
された光学補償シートを提供することができた。さら
に、光学的に補償された液晶表示装置を提供することが
できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA04 BA06 BA27 BA42 BB03 BB19 BB33 BB43 BC03 BC14 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 FC07 HA07 HA18 KA02 LA19 4F071 AA09 AC11 AC12 AF35Y AG28 AH16 BB07 BC01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面内レターデーション値が20乃至70
    nmであり、厚み方向のレターデーション値が70乃至
    400nmであり、遅相軸角度と延伸方向のなす軸ズレ
    角のレンジが5°以下であり、そして、樋状カールが3
    0m-1以下であるポリマーフイルムからなる光学補償シ
    ート。
  2. 【請求項2】 ポリマーフイルムが、延伸処理されてい
    る請求項1に記載の光学補償シート。
  3. 【請求項3】 ポリマーフイルムが、3乃至40%の延
    伸倍率で幅方向に延伸されている請求項2に記載の光学
    補償シート。
  4. 【請求項4】 ポリマーフイルムが、延伸後に、長手方
    向に0.4乃至5%膨張するように熱処理されている請
    求項2に記載の光学補償シート。
  5. 【請求項5】 ポリマーフイルムが、59.0乃至6
    1.5%の酢化度を有するセルロースアセテートからな
    る請求項1に記載の光学補償シート。
  6. 【請求項6】 ポリマーフイルムが、少なくとも二つの
    芳香族環を有する芳香族化合物を1乃至10質量%含む
    請求項1に記載の光学補償シート。
  7. 【請求項7】 芳香族化合物が、少なくとも一つの1,
    3,5−トリアジン環を有する請求項6に記載の光学補
    償シート。
  8. 【請求項8】 偏光膜およびその両側に配置された二枚
    の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一
    方が請求項1に記載の光学補償シートであり、さらに該
    光学補償シートの遅相軸の平均方向と偏光膜の透過軸の
    なす角度の絶対値が3°以下になるように配置されてい
    ることを特徴とする偏光板。
  9. 【請求項9】 液晶セルおよびその両側に配置された二
    枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両側に
    配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置であ
    って、液晶セルと偏光膜との間に配置される二枚の透明
    保護膜の一方が、請求項1に記載の光学補償シートであ
    り、さらに該光学補償シートの遅相軸の平均方向と偏光
    膜の透過軸のなす角度の絶対値が3°以下になるように
    配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 液晶セルが、VAモード、TNモード
    またはn−ASMモードの液晶セルである請求項9に記
    載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】 面内レターデーション値が20乃至7
    0nmであり、厚み方向のレターデーション値が70乃
    至400nmであり、遅相軸角度と延伸方向のなす角
    (軸ズレ)のレンジが5°以下であり、そして、樋状カ
    ールが30m-1以下であるポリマーフイルムの上に、円
    盤状化合物を含む光学異方性層が設けられている光学補
    償シート。
  12. 【請求項12】 偏光膜およびその両側に配置された2
    枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の
    一方が請求項11に記載の光学補償シートであることを
    特徴とする楕円偏光板。
  13. 【請求項13】 偏光膜およびその両側に配置された3
    枚以上の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護
    膜の一枚が請求項11に記載の光学補償シートであり、
    別の一枚が請求項1に記載の光学補償シートであること
    を特徴とする楕円偏光板。
  14. 【請求項14】 ベンド配向モードの液晶セルおよび液
    晶セルの両側に配置された一対の楕円偏光板からなる液
    晶表示装置であって、楕円偏光板の少なくとも一方が請
    求項12または13に記載の楕円偏光板であることを特
    徴とする液晶表示装置。
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