JPWO2007043268A1 - 折り畳み可能な座席昇降式車椅子 - Google Patents

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Abstract

折り畳み可能な座席昇降式車椅子100は、機枠5に対して利用者が着座可能に配置される座席部20と、前記座席部20を折り畳み可能に保持する座席保持部30と、前記座席保持部30を介して前記座席部20を昇降させる昇降ユニット40と、前記機枠5の前後方向に相対して設けられ、前記機枠5を左右方向に折り畳み可能な一対のX字形リンク25と、を具備している。そして、この折り畳み可能な座席昇降式車椅子100は、前記座席昇降式車椅子100を折り畳む際に、前記座席部20の両端部とX字形リンク25の上端部の回動軌跡が所定の間隔を有してほぼ一致するように構成されている。かかる構成によって、折り畳み可能な座席昇降式車椅子100は、スムースな折り畳みが可能となっている。

Description

本発明は、昇降可能な座席部を具備した折り畳み可能な座席昇降式車椅子に関する。
車椅子に乗り降りする際の利用者の負担を軽減するために、座部を昇降させる装置を備えた折り畳み可能な座席昇降式車椅子が提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
この種の車椅子は、左右のサイドフレームを前後に相対して設けられた折畳用X字形リンク装置で連結し、座部を昇降用リンク装置で座部左右のサイドフレームに連結し、前後のX字形リンクにおける各交差部の枢ピン間に支持部材を掛け渡し、座部と支持部材との間に座部を昇降させる伸縮装置を介装することにより構成される。また、前後の折畳用X字形リンク装置を利用することにより、ヒンジ及びX字形リンクの交差部を支点として座部の左右端部及びX字形リンクの端部が左右方向内側に回動し、車椅子を左右方向で折り畳むことができる。
実用新案登録第3068541号明細書 特開2002−126008号公報
ところが、従来の車椅子は、当該車椅子を折り畳む時に、座部の左右端部とX字形リンクの上端部の回動軌跡が異なっており、設計上は、車椅子を折り畳むことが出来ない構造になっている。そして、従来の車椅子は、座部や伸縮装置の各連結に間隔を設けることによって敢えてガタツキを発生させ、そのガタツキでもって車椅子が折り畳めないという設計上の問題点を解決している。よって、従来の車椅子は、当該ガタツキの影響によって、走行中あるいは座面を昇降中に連結部材同士が当接し合って衝撃音を発生するという不具合を有するとともに、折り畳み動作を行う場合に当該車椅子をスムースに折り畳むことが困難となっている。
また、従来の車椅子では、リンク装置の一方が伸縮装置のロッド上端部に取り付けられた基板の上端部に対して設置されるとともに、リンク装置の他方が座部の端部に取り付けられており、これによってリンク装置は左右方向に回動自在となるように構成されている。つまり、従来の車椅子は、リンク装置と座部との間隔が必然的に狭くなってしまうという構造を有している。そのため、利用者の重量によっては、利用者が座面に着座した際に臀部が座面を通じてウイングに直接当たるので、長く座っていると臀部が痛くなる虞がある。
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、スムースに折り畳み可能な座席昇降式車椅子を提供することにある。
本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子は、機枠に対して利用者が着座可能に配置される座席部と、前記座席部を折り畳み可能に保持する座席保持部と、前記座席保持部を介して前記座席部を昇降させる昇降ユニットと、前記機枠の前後方向に相対して設けられ、前記機枠を左右方向に折り畳み可能な一対のX字形リンクと、を具備する折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、前記座席保持部は、一端が前記昇降ユニットの上部に軸により支持され、他端が前記座席部の左右端部にそれぞれ取り付けられ、前記軸を支点として左右方向に回動自在に保持された左右一対のウイングを備え、前記軸と前記X字形リンクの交差部とが、上下左右方向においてほぼ一致するように配置され、前記座席昇降式車椅子の折畳み動作において、前記ウイングの一端を支点として他端が左右方向に回動するとともに、前記X字形リンクの交差部を支点としてその端部が左右方向に回動して前記座席昇降式車椅子が折り畳まれることを特徴とする。
また、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、前記ウイングは、前記昇降ユニットの少なくとも前後どちらか一方に配置されていることとすることができる。
本発明に係る他の折り畳み可能な座席昇降式車椅子は、機枠に対して利用者が着座可能に配置される座席部と、前記座席部を折り畳み可能に保持する座席保持部と、前記座席保持部を介して前記座席部を昇降させる昇降ユニットと、前記機枠の前後方向に相対して設けられ、前記機枠を左右方向に折り畳み可能な一対のX字形リンクと、を具備する折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、前記座席保持部は、前記昇降ユニットの上部左右に設けられた回動軸にヒンジ連結されて、前記回動軸を支点として左右方向に回動自在に保持された左右一対のウイングを備え、前記ウイングは、前記回動軸にヒンジ連結される内側の支持部材と、座席部の端部と接続される外側の支持部材と、前記内側及び外側の支持部材間に配置され、前記外側の支持部材を上下方向に回動可能な関節部と、前記外側の支持部材の回動範囲を規制する回動規制部材と、を具備し、前記座席昇降式車椅子の折畳み動作において、前記関節部を介してウイングが曲折しつつ前記回動軸を支点として前記座席部の端部が左右方向に回動するとともに、前記X字形リンクの交差部を支点としてその端部が左右方向に回動して前記座席昇降式車椅子が折り畳まれることを特徴とする。
また、本発明に係る他の折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、前記回動規制部材は、前記内側の支持部材の上部及び下部に対をなして設置されており、前記内側の支持部材の上部に設置される回動規制部材が、前記外側の支持部材の内側方向への回動範囲を規制し、前記内側の支持部材の下部に設置される回動規制部材が、前記座席昇降式車椅子が折り畳まれずに使用状態にあるときに、外側の支持部材と接触することによって前記外側の支持部材の安定した固定保持を実現するように構成されていることとすることができる。
上記本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、前記座席部は、前記機枠に対し枢軸を介して取り付けられ、前記昇降ユニットの伸縮動作により前記座席部が前記枢軸を支点として回動するように構成することができる。
また、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子は、前記座席部と機枠に対して回動可能に軸支されている短アームと、前記座席部と機枠に対して回動可能に軸支されている長アームと、を備えて構成されるリンク機構を備えていることとすることができる。
さらに、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子では、前記昇降ユニットの駆動部が前記車椅子の左右どちらか一方の側に配置されており、当該駆動部を駆動するバッテリが当該駆動部と異なる側に配置されていることとすることができる。
本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子によれば、車椅子を折り畳む際において、X字形リンクの上端部と座席部の端部の回動軌跡が、所定の間隔を有して一致しているため、関連する部材に余計な負荷がかかることなく、スムースに車椅子を折り畳むことが可能である。
また、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子によれば、例えば、従来のX字形リンクを備えた車椅子の当該X字形リンクの幅に対応させて昇降ユニットを組み入れることができる。
さらに、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子によれば、車椅子を折り畳む際において、X字形リンクの上端部と座席部の端部の回動軌跡が異なっても、関節部にて関連する部材にかかる余計な負荷が吸収できるので、スムースに車椅子を折り畳むことが可能となっている。
またさらに、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子によれば、昇降ユニットの伸縮動作により、座席部が前傾姿勢になるので、利用者が車椅子から降車し易くなり、利用者の負担を軽減できる。
さらにまた、本発明に係る折り畳み可能な座席昇降式車椅子によれば、昇降ユニットの伸縮動作により、座席部が前方にせり出しつつ前傾姿勢になるので、利用者を車椅子から降車させる際に介護者は利用者を車椅子から降車させ易くなり、介護者の負担を軽減できる。一方、利用者は車椅子から降車し易くなり、利用者の負担を軽減できる。
また、本発明によれば、容易に車椅子の重量バランスを安定させることができる。
図1Aは、座席昇降式車椅子の構成を示す図であり、座席降下時の構造を示している。 図1Bは、座席昇降式車椅子の構成を示す図であり、座席上昇時の構造を示している。 図2Aは、図1A及び図1Bに示す車椅子の折り畳み動作を示す図であり、特に、折り畳み動作前の背面図を示している。 図2Bは、図1A及び図1Bに示す車椅子の折り畳み動作を示す図であり、特に、折り畳み動作後の背面図を示している。 図3は、他の実施例を示す座席保持部の拡大図である。 図4は、他の実施例を示す座席部近傍の拡大図である。 図5は、他の実施例を示す座席部近傍の拡大図である。 図6Aは、他の実施例に係る車椅子の折り畳み動作を示す図であり、特に、折り畳み動作前の背面図を示している。 図6Bは、他の実施例に係る車椅子の折り畳み動作を示す図であり、特に、折り畳み動作後の背面図を示している。
符号の説明
1,2 サイドフレーム、3 キャスタ、4 車輪、5 機枠、6 前部支柱、7 後部支柱、7a 上部材、7b 下部材、8 上部連結部材、9 下部連結部材、10 肘掛けアーム、10a 肘掛け、12 フットレスト、13 連結部、14 介助用グリップ、15 背もたれ、15a シート、18 座面支持バー、19 支持部材、20 座席部、21 座面シートバー、22 シート部材、24 枢軸、25 X字形リンク装置、26,27 X字形リンク、30,30a 座席保持部、31 連結ピン、32,65 ウイング、40 昇降ユニット、41 枢ピン、42 保持部材、43 伸縮装置、43a ロッド、45 基体、46 連結ピン、47 レバー、48 ガイド溝、49 支持部材、50 ブレーキ装置、51 ブレーキレバー、52 アーム、52a 圧着部、53 短アーム、54 長アーム、55 リンク機構部、62 回動軸、65 ウイング、66 関節部、67 内側の支持部材、68 外側の支持部材、69,69a 回動規制部材、100,100a 車椅子。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態の車椅子100は、機枠5に対し枢軸24を介して取り付けられる座席部20と、利用者が着座可能に前記座席部20を保持し、且つ前記座席部20を折り畳み可能な座席保持部30と、前記座席保持部30を介し前記枢軸24を支点として前記座席部20の後部を上下方向に回動しつつ昇降させる昇降ユニット40と、前記機枠5の前後方向に相対して設けられ、前記機枠5を左右方向に折り畳み可能な一対のX字形リンク26,27と、を具備している。本実施形態の車椅子100は、折り畳み時において、X字形リンク26,27がその交差部を支点としてそれぞれ内側に回動するとともに、座席部20の左右端部がそれぞれ上昇しつつ内側に回動するようになっている。そして、当該車椅子100は左右方向(幅方向)に折り畳まれるようになっている。その際、本実施形態の車椅子100は、折り畳み時におけるX字形リンク26,27の上端部の回動軌跡と、座席部20の両側端部の回動軌跡とが所定の間隔を保った状態で一致するようになっている。これにより、本実施形態の車椅子100は、折り畳み動作において関連する部材同士に余計な負荷をかけることがなくなり、折り畳み動作をスムースに行うことができる。
図1A乃至図2Bに示すように、本実施形態の車椅子100は、左右一対のサイドフレーム1,2からなる機枠5を有し、各サイドフレーム1,2の外側には、前後それぞれにキャスタ3及び車輪4が取り付けられている。
各サイドフレーム1,2は、前方及び後方に略垂直方向に延びて配置されている前部支柱6及び後部支柱7と、前記前部支柱6及び後部支柱7を前後方向に連結する上部連結部材8及び下部連結部材9と、前記後部支柱7の上部から上部連結部材8の前方上部に曲折して連結される肘掛けアーム10と、を備えて構成されている。肘掛けアーム10には肘掛け10aが取り付けられ、前部支柱6の下端部にはフットレスト12が取り付けられている。後部支柱7は、上部材7aと下部材7bとが連結部13を介して連結されており、その連結部13において前記上部材7aが図1A及び図1B中の矢印で示すように後方に折り曲げられるようになっている。また、上部材7aの上端部は曲折して形成されており、その端部には介助者が把持するための介助用グリップ14が取り付けられている。左右のサイドフレーム1,2の後部支柱7上部には、シート15aが掛け渡されて配置され、当該シート15aは背もたれ15として機能する。また、図2Aに示すように、上部連結部材8の内側に沿って座席部20の左右両端部を下方から支持する座面支持バー18が配置されている。当該座面支持バー18は、上部連結部材8に取り付けられている支持部材19により下方から支持されている。
また、図1A及び図1Bに示すように、本実施形態の車椅子100は、車輪4の回転を制動するためのブレーキ装置50が備えられている。ブレーキ装置50は、特に、車椅子100の駐車用に使用され、例えば、車輪4前方の右側のサイドフレーム2側方に図示しないネジなどの固定具によって取り付けられている。
ブレーキ装置50は、利用者が操作するブレーキレバー51、リンク機構(図示しない)を介して接続されるアーム52と、そのアーム52の回動によって車輪4を押圧する圧着部52aと、を備えている。ブレーキレバーは傾倒可能に立設して取り付けられており、圧着部52aは、このブレーキレバー51の傾倒動作にともなって、車輪4の外周面を押圧して車輪4の回転をロックするようになっている。なお、ブレーキレバー51をほぼ垂直に立たせる(ブレーキレバー51を傾倒した状態から元の位置に戻す)ことにより、圧着部52aが車輪4から回避し、ロックが解除されるようになっている。
また、左右のサイドフレーム1,2は、座席部20下方において前後の折畳用X字形リンク装置25を介して連結され、図2Bに示すように、左右方向(幅方向)に折り畳み可能になっている。
図2Aに示すように、前後の折畳用X字形リンク装置25はそれぞれX字形リンク26,27を備えている。各X字形リンク26,27の下端部は、それぞれサイドフレーム1,2の下部連結部材9に回動自在に取り付けられており、前後のX字形リンク26,27の上端部は、座面支持バー18に回動自在に取り付けられている。
また、図2Aに示すように、X字形リンク26,27を左右方向に開くと、左右の座面支持バー18がそれぞれ左右のサイドフレーム1,2の上部連結部材8に沿って停止し、着座可能な状態に保持される。さらに、図2Bに示すように、X字形リンク26,27を左右方向に閉じると、左右の座面支持バー18が上方に持ち上げられ、両サイドフレーム1,2が左右方向に閉じ合わされる。
座席部20は、左右両側に配置される座面シートバー21と、左右の座面シートバー21間に掛け渡される柔軟なシート部材22とを備えており、当該座面シートバー21は前記座面支持バー18の上部に配置される。また、図1A及び図1Bに示すように、前記座面シートバー21は、前方で、前記サイドフレーム1,2に対して枢軸24を介して軸支されている。
また、座席部20の下方には、利用者が着座可能に当該座席部20を保持し、且つ座席部20を左右方向に折り畳み可能な座席保持部30と、当該座席保持部30を介して座席部20を上下に昇降する昇降ユニット40と、を備えている。
図1A乃至図2Bに示すように、座席保持部30は、一端同士が軸として機能する連結ピン31で連結された二本のウイング32が左右対称に略V字状に枢着されており、その他端は座面シートバー21に取り付けられている。そして、この二本のウイング32は、連結ピン31を支点として左右方向に回動可能になっている。
一方、昇降ユニット40は、X字形リンク26,27における各交差部の枢ピン41間に掛け渡されて取り付けられている保持部材42と、当該保持部材42の底板にピン結合され、前後方向に揺動可能に保持される伸縮装置43と、を備えて構成されている。伸縮装置43は、具体的には電動アクチュエータであり、ロッド43aと、このロッド43aを保持する図示しないシリンダ部と、ロッド43aを伸縮させるモータ等の駆動部と、を備えて構成されている。そして、伸縮装置43は、駆動部の動作によって、ロッド43aがシリンダ部内を往復運動することで、伸縮装置43の全長が伸縮する。伸縮装置43のロッド43aには、ロッド43a上部を覆う基体45がピン結合によって取り付けられている。
また、本実施形態で使用する電動アクチュエータは、図1A及び図2Aに示すように、駆動部が電動アクチュエータ本体の下端部左側に配置されており、電動アクチュエータ本体の全長Lが約230mmでロッド43aが伸縮するストロークが約100〜120mmと従来の電動アクチュエータと比較して電動アクチュエータ本体の全長Lが短く小型である。このように小型の電動アクチュエータを車椅子の座席部昇降用に用いることにより、地面から座席部20までの高さが40cmクラスの低床用の車椅子にも適用することが可能となる。
また、図1A及び図1Bに示すように、当該基体45の前後には、連結ピン31によって二本のウイング32が取り付けられている。当該ウイング32は少なくとも基体45の前方又は後方のいずれか一方に設けられていればよい。例えば、基体45の前方にウイング32が取り付けられており、前後に配置されるX字形リンク装置25の幅が狭いような場合には、伸縮装置43のロッド43aの上昇にともなって、当該ロッド43aがウイング32と干渉することが考えられるが、このような場合には、図3に示すように、基体45の後方にのみウイング32を取り付けることによって解決できる。強度を確保するためのウイング32の構成(例えば、太さや材質)については、適宜最適なものを適用すればよい。
そして、図2Bに示すように、ウイング32の回動動作にともなってシート部材22は展開した状態から略V字状に折り畳まれるようになっている。また、図1Aに示すように、伸縮装置43が縮状態にあると座席部20が上部連結部材8と略同じ高さの位置へと降下し、図1Bに示すように、伸縮装置43が伸状態にあると座席部20の後方が略肘掛け10aに達する程度の高さの位置へと上昇し、前記座席部20が前方にやや傾斜する。
図1A乃至図2Bに示すように、連結ピン31は、X字形リンク26,27の交差部と、高さ(上下)方向及び左右方向で一致するように取り付けられている。その結果、車椅子100の折り畳み動作において、座面支持バー18と座面シートバー21の回動軌跡が所定の間隔を有して一致するようになっている。これにより、車椅子100の折り畳み動作において、関連する部材同士に余計な負荷をかけることなくスムースに当該車椅子を折り畳むことが可能となっている。なお、連結ピン31及びX字形リンク26,27の交差部は、完全一致が望ましいが、許容できる範囲であれば多少の誤差があっても問題ない。
また、図2Aに示すように、後側のX字形リンク26,27には、先端同士が連結ピン46で連結された二本のレバー47が左右対称に枢着され、連結ピン46が係合するガイド溝48が保持部材42の上下方向に伸びるように形成される。
二本のレバー47は同じ長さに形成され、後側のX字形リンク装置25と保持部材42との間に配置される。そして、二本のレバー47の一端同士が連結ピン46で回動可能に連結され、おのおのの他端が後側のX字形リンク26,27にピン結合され、左右対称に配置される。連結ピン46は保持部材42の内部に突出し、ガイド溝48に図示しない突出部がスライド可能に嵌まり込む。また、X字形リンク26,27の上方には、当該X字形リンク26,27の上方から略水平方向に延びる支持部材49がサイドフレーム1,2のそれぞれに回動可能に取り付けられている。
これにより、車椅子100が折り畳まれX字形リンク26,27が縦向きに閉じ合わされる際に、連結ピン46がガイド溝48の上端部から下端部に向かって摺動しながら下降するので、保持部材42及び伸縮装置43は左右のいずれへも傾斜することなく垂直に立った状態に保持される。
また、車椅子100には、図示しないが、背もたれ15の左側に昇降ユニット40の駆動部を駆動するバッテリが配置されている。これは、本実施形態の車椅子100の駆動部(符号なし)が下方右側に配置されているからである。なお、駆動部が左側に配置されている場合には、バッテリは背もたれ15の右側に配置される。このように、車椅子100は、昇降ユニットの駆動部の配置位置(左右どちらか一方)に対してバッテリが当該駆動部と異なる側に配置されるようになっている。このようにすれば、特に、重量のある駆動部とバッテリを互いに異なる左右の位置に配置することにより、車椅子100の重量バランスを安定させることが可能となる。
また、車椅子100は、図4に示すように、座面シートバー21と座面支持バー18に対して前後において回動可能に接続される略L字状の短アーム53及び長アーム54とを備えてなる昇降用のリンク機構部55を備えるようにしても構わない。短アーム53は、一端が座面シートバー21の中央左右端部に回動可能に軸支されて取り付けられ、他端が座面支持バー18の前方左右端部に回動可能に軸支されて取り付けられている。一方、長アーム54は、一端が座面シートバー21の後方左右端部に回動可能に軸支されて取り付けられ、他端が座面支持バー18の中央左右端部に回動可能に軸支されて取り付けられている。このようにすれば、伸縮装置43の伸縮により、短アーム53と長アーム54がそれぞれ座面支持バー18の軸を支点として回動し、図4中二点鎖線で示すように、座席部20が前方へせり出しつつ、当該座席部20の後部を上昇させ、座席部20を前傾姿勢にすることができる。よって、利用者が車椅子から降車する場合において、当該利用者を車椅子100の前方へ移動することができるので、利用者が車椅子100から降車する際に介護者は当該利用者を車椅子100から降車させるのが容易になり、当該介護者の負担を軽減できる。また、利用者が自ら車椅子100から降車する場合においては、座席部20が前方へせり出しているので、降車しやすくなり、利用者の負担を軽減できる。
また、車椅子100は、図5に示すように、伸縮装置43の上端部を基体45に固定するとともに下端部を保持部材42に固定し、当該伸縮装置43の伸縮により、座面シートバー21を水平状態に維持したまま上下に昇降するようにしても構わない。この時、座面シートバー21は、基体45の前後方向に設けられているウイング32により支持される。
このような場合には、座面シートバー21の前方が強度不足となることを考慮し、図示しないが、当該座面シートバー21の前方を伸縮自在に支持する支持部材を取り付け、当該伸縮装置43の伸縮にともなって支持部材が伸縮するようにして座面シートバー21を支持するようにしても構わない。また、座面シートバー21に対するウイング32の取付位置を座面シートバー21の中央近傍に変更するようにしても構わない。
次いで、座席保持部の他の実施形態について、図6A及び図6Bを用いて説明する。なお、図6A及び図6Bにおいては、図1A及び図1Bで示した車椅子と同一部分については同一符号を用い、説明を省略するものとする。
本実施形態の座席保持部30aは、一端が基体45の左右に設けられた回動軸62に取り付けられたヒンジを介して連結されており、他端が座面シートバー21に回動可能に取り付けられているウイング65を備えている。このウイング65は、回動軸62にヒンジ連結される内側の支持部材67と、座面シートバー21と接続される外側の支持部材68と、この支持部材67,68間に配置され、外側の支持部材68を上下方向に回動可能な関節部66と、を備えて構成されており、当該関節部66によって、外側の支持部材68が内側の支持部材67に対して曲折するようになっている。そして、車椅子100aが折り畳まれる際には、当該回動軸62を支点として座面シートバー21が左右方向内側に回動するようになっている。
また、関節部66の上部及び下部には、外側の支持部材68の回動範囲を規制するとともに、外側の支持部材68を支えることによって外側の支持部材68の安定した固定保持を実現するための一対の回動規制部材69,69aが左右それぞれに取り付けられている。関節部66の上部に設置される回動規制部材69は、一端が内側の支持部材67の上部に取り付けられ、他端が少なくとも関節部66を超えて外側に延びて配置されるように取り付けられている。この回動規制部材69の他端側の下側によって、外側の支持部材68の内側方向への回動範囲が規制できるようになっている。
一方、関節部66の下部に設置される回動規制部材69aは、一端が内側の支持部材67の下部に取り付けられ、他端が少なくとも関節部66を超えて外側に延びて配置されるように取り付けられている。また、回動規制部材69aは、図6Aで示すように車椅子100aが折り畳まれずに使用状態にあるときに、外側の支持部材68と接触するように構成されており、車椅子100aの使用時における外側の支持部材68の安定した固定保持を実現している。なお、回動規制部材69aについては、他端側の上側にテーパ面が形成されており、このテーパ面によって外側の支持部材68の安定した固定保持ができるようになっている。
ちなみに、一対の回動規制部材69,69aは、いずれも溶接固定によって内側の支持部材67に対して確実な固定がなされており、ウイング65の安定した動作を補助している。
このように構成された車椅子100aは、折り畳み動作において、前記関節部66を介してウイング65が曲折しつつ前記回動軸62を支点として座席部20の端部が左右方向に回動するとともに、前記X字形リンク26,27の交差部を支点としてその端部が左右方向に回動して折り畳まれるようになっている。
このようにすれば、折り畳み時における、座面シートバー21と座面支持バー18の回動軌跡が異なる場合であっても、当該関節部66が、車椅子100aを折り畳む動作によって発生する部材同士のねじりやこじれなどの負荷を吸収するため、車椅子100aの折り畳みをスムースに行うことが可能となっている。
次に、図1A乃至図2Bに示す車椅子の作用について説明する。
− 車椅子への乗降について −
図1A乃至図2Bに示すように、伸縮装置43を縮めて座席部20を下降させると、座面シートバー21が座面支持バー18の上に載ることにより座席部20が着座位置に保持される。
また、伸縮装置43を伸ばして座席保持部30を介して座席部20を上昇させると、枢軸24を支点として座席部20の後部が上昇し、座席部20が前傾姿勢になる。
このように座席部20を前傾姿勢にできるため、利用者は車椅子から容易に乗降することが可能になる。
− 車椅子の折り畳み動作について −
車椅子を折り畳む際は、座席部を少し浮き上がらせた後、図2Bに示すように、左右のサイドフレーム1,2を内側に閉じ合わせる。これにより、X字形リンク26,27の端部が交差部を支点として内側に折り畳まれ、座面支持バー18が上昇する。この座面支持バー18の上昇にともなって座面シートバー21が上昇しつつ、連結ピン31を支点としてウイング32が内側に折り畳まれる。
その際、座面支持バー18と座面シートバー21の回動軌跡は、所定の間隔を有して一致しているため、折り畳み時において、関連する部材同士に余計な負荷がかかることなく、スムースに車椅子を折り畳むことが可能となっている。
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、たとえば、図1A及び図1Bの車椅子が、図4に示すリンク機構を備えるようにしても構わない。また、上記各実施形態では、レバー及びガイド溝が後側のX字形リンクに取り付けられているが、前側であっても構わない。

Claims (7)

  1. 機枠に対して利用者が着座可能に配置される座席部と、
    前記座席部を折り畳み可能に保持する座席保持部と、
    前記座席保持部を介して前記座席部を昇降させる昇降ユニットと、
    前記機枠の前後方向に相対して設けられ、前記機枠を左右方向に折り畳み可能な一対のX字形リンクと、
    を具備する折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記座席保持部は、
    一端が前記昇降ユニットの上部に軸により支持され、他端が前記座席部の左右端部にそれぞれ取り付けられ、前記軸を支点として左右方向に回動自在に保持された左右一対のウイングを備え、
    前記軸と前記X字形リンクの交差部とが、上下左右方向においてほぼ一致するように配置され、
    前記座席昇降式車椅子の折畳み動作において、前記ウイングの一端を支点として他端が左右方向に回動するとともに、前記X字形リンクの交差部を支点としてその端部が左右方向に回動して前記座席昇降式車椅子が折り畳まれることを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
  2. 請求項1に記載の折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記ウイングは、前記昇降ユニットの少なくとも前後いずれか一方に配置されていることを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
  3. 機枠に対して利用者が着座可能に配置される座席部と、
    前記座席部を折り畳み可能に保持する座席保持部と、
    前記座席保持部を介して前記座席部を昇降させる昇降ユニットと、
    前記機枠の前後方向に相対して設けられ、前記機枠を左右方向に折り畳み可能な一対のX字形リンクと、
    を具備する折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記座席保持部は、
    前記昇降ユニットの上部左右に設けられる回動軸にヒンジ連結されて、前記回動軸を支点として左右方向に回動自在に保持された左右一対のウイングを備え、
    前記ウイングは、
    前記回動軸にヒンジ連結される内側の支持部材と、前記座席部の端部と接続される外側の支持部材と、前記内側及び外側の支持部材間に配置され、前記外側の支持部材を上下方向に回動可能な関節部と、前記外側の支持部材の回動範囲を規制する回動規制部材と、を具備し、
    前記座席昇降式車椅子の折畳み動作において、前記関節部を介して前記ウイングが曲折しつつ前記回動軸を支点として前記座席部の端部が左右方向に回動するとともに、前記X字形リンクの交差部を支点としてその端部が左右方向に回動して前記座席昇降式車椅子が折り畳まれることを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
  4. 請求項3に記載の折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記回動規制部材は、前記内側の支持部材の上部及び下部に対をなして設置されており、
    前記内側の支持部材の上部に設置される回動規制部材が、前記外側の支持部材の内側方向への回動範囲を規制し、
    前記内側の支持部材の下部に設置される回動規制部材が、前記座席昇降式車椅子が折り畳まれずに使用状態にあるときに、外側の支持部材と接触することによって前記外側の支持部材の安定した固定保持を実現するように構成されていることを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記座席部は、前記機枠に対し枢軸を介して取り付けられ、前記昇降ユニットの伸縮動作により前記座席部が前記枢軸を支点として回動することを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記座席部と機枠に対して回動可能に軸支されている短アームと、前記座席部と機枠に対して回動可能に軸支されている長アームと、を備えて構成されるリンク機構を備えていることを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の折り畳み可能な座席昇降式車椅子において、
    前記昇降ユニットの駆動部が前記車椅子の左右どちらか一方の側に配置されており、
    当該駆動部を駆動するバッテリが当該駆動部と異なる側に配置されていることを特徴とする折り畳み可能な座席昇降式車椅子。
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