JPWO2007029448A1 - 活性光線硬化型インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の活性光線硬化型インクジェットインク(以下、活性光線硬化型インクあるいは単にインクともいう)とは、該インクに活性光線を照射したときに、照射された光によって、インク組成物が重合反応を開始し、硬化するインクをいう。ここで、活性光線とは、波長180〜500nmの紫外線乃至可視光線をいい、その光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
カチオン重合性の活性光線硬化型インクにおいては、重合性基由来の極性基が存在するため、顔料と分散剤との吸着が難しいことは知られているが、本発明者が検討を進めた結果、顔料と分散剤の吸着を妨げる因子として、顔料表面処理(酸性処理、塩基性処理)や光開始剤の後処理、及び重合性化合物合成の際の層分離触媒などで用いられる4級アンモニウム塩のインク中の含有量(残存量)が大きいことが影響していることを新たに見出し、その含有量を5〜500ppmの範囲に制御することが重要であることが判明した。前記特許文献4には、積極的に4級アンモニウム塩をインク中に含有せしめる技術が紹介されているが、この系では保存による重合性化合物の暗反応を抑制することはできるが、安定した分散特性は全く達成できない。5ppm未満は硬化が不十分であり、500ppmを超えると、保存後に顔料凝集が発生し、出射不良を引き起こす。好ましくは、5〜300ppmである。
本発明のインクに含有される重合性化合物とは、活性光線による重合開始剤の反応生成物を契機として重合し得る化合物である。本発明に係る重合性化合物としては、本発明に係る光開始剤、即ち、カチオン重合開始剤から、活性光線による光分解によって、発生する活性種の反応を契機として、重合反応が開始し得る広範囲の化合物を使用できる。
本発明に適用可能なエポキシ化合物としては、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号等に開示されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−プロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
本発明のインクに適用可能な光開始剤としては、例えば、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知のオニウム塩が好ましく用いられる。例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。その含有量としてはインクの全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、光開始剤自身も4級アンモニウム塩と同様、顔料と分散剤の吸着を妨げる原因となり、保存後に顔料凝集が発生し出射不良を引き起こすことがある。また本発明の開始剤としては、前述の複数回水洗処理、カラム吸着処理を行った光開始剤を用いることがより好ましく、オニウム塩の中でも、スルホニウム塩が保存安定性の観点でより好ましく用いられる。
本発明に係る光開始剤としては、オニウム塩のなかでも、特に、スルホニウム塩が好ましく用いられる。これらの内で、特に、トリアリールスルホニウム塩が、保存安定性が良好であり、かつ、重合性化合物への溶解性が良好であるため、その添加量を容易に増やすことができ、重合性化合物の残留を抑えることができるため好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクには、各種公知の有機顔料を含有することができる。特に、本発明のインクに含有される少なくとも1種の有機顔料は、酸性処理、塩基性処理などの表面処理された有機顔料を含有することが好ましい。
1)活性光線硬化型マゼンタインク用には、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Violet 19、
2)活性光線硬化型イエロータインク用には、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 180、
3)活性光線硬化型シアンインクには、C.I Pigment Blue−15:3、C.I Pigment Blue−15:4、
から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、これらの表面処理された有機顔料を複数回水洗処理、カラム吸着処理、などの精製処理を更に加えることによって、インク中の4級アンモニウム塩の含有量を5〜500ppmに制御することが必要である。
上記顔料の分散を行う際に、本発明においては高分子分散剤を用いる。高分子分散剤としては、酸価と塩基価を両方を有し、かつ、酸価が塩基価より大きいものを用いることがより安定な分散特性を得られる点で好ましく、例えば、味の素ファインテクノ社のPBシリーズ、川研ファインケミカルのヒノアクトシリーズ等が挙げられる。これらの高分子分散剤は、顔料100質量部に対し、1〜60質量部添加することが好ましい。更に好ましくは顔料100質量部に対し、35〜60質量部添加することが好ましい。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクジェットインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
本発明の実施例に用いるエポキシ化合物e−1〜e−4は、下記のように合成した。
本発明の実施例には、下記の表面処理済み顔料を用いた。顔料表面の酸価・塩基価は下記の通りである。顔料1:Pigment Blue 15:4(山陽色素社製Cyanine Blue 4044、塩基価8.0mg/g、酸価0.0mg/g)顔料2:Pigment Blue 15:4(大日精化社製、塩基価7.8mg/g、酸価1.9mg/g)顔料3:Pigment Red 122(大日精化社製CFR321、塩基価6.1mg/g、酸価4.1mg/g)顔料4:Pigment Violet19(大日精化社製CFR338−3、塩基価5.8mg/g、酸価4.0mg/g)顔料5:Pigment Yellow 151(ランクセス社製E4GN−GT、塩基価9.1mg/g、酸価6.4mg/g)顔料6:Pigment Yellow 180(大日精化社製CFY313−2、塩基価4.9mg/g、酸価3.0mg/g)
〈顔料の塩基価の測定〉
顔料に0.01モル/L過塩素酸メチルブチルケトン溶液を加え、超音波分散を行った。その後、遠心分離により上澄み液を0.01モル/Lカリウムメトキシド−メチルイソブチルケトン/メタノール(4:1)溶液で電位差滴定を行い、顔料による過塩素酸減少量をKOHmg/g換算したものをアミン価とした。電位差滴定は平沼産業株式会社製自動滴定装置COM−1500を用いて測定した。
顔料に0.01モル/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メチルブチルケトン溶液を加え、超音波分散を行った。その後、遠心分離により上澄み液を0.01モル/L過塩素酸メチルイソブチルケトン溶液で電位差滴定を行い、顔料による0.01モル/Lテトラブチルアンモニウムヒドロキシド減少量をKOHmg/g換算したものを酸価とした。電位差滴定は平沼産業株式会社製自動滴定装置COM−1500を用いて測定した。
(分散剤の塩基価の測定)
分散剤をメチルイソブチルケトンに溶解し、0.01モル/Lの過塩素酸メチルイソブチルケトン溶液で電位差滴定を行い、KOHmg/g換算したものを塩基価とした。電位差滴定は平沼産業株式会社製自動滴定装置COM−1500を用いて測定した。
分散剤をメチルイソブチルケトンに溶解し、0.01Nカリウムメトキシド−メチルイソブチルケトン/メタノール(4:1)溶液で電位差滴定を行い、KOHmg/g換算したものを酸価とした。電位差滴定は平沼産業株式会社製自動滴定装置COM−1500を用いて測定した。
(分散液Aの調製)
以下の組成で顔料を分散した。
OXT221(東亜合成社製オキセタン化合物) 72部
室温まで冷却した後、これに前記各顔料それぞれ20部を加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去し、分散液Aとした。
以下の組成で顔料を分散した。
脂環式エポキシ化合物(e−4)カラム処理済み品 72部
室温まで冷却した後これに前記顔料それぞれ20部を加えて、直径0.3mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去し、分散液Bとした。
表1〜12に記載の組成で、下記のようにしてインク1〜12を調製した。使用する顔料及びエポキシの水洗及びカラム吸着処理の有無も合わせて各表に記した。調製した各インクは、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行った。濾過後、インク組成中の4級アンモニウム塩の定量を、ガスクロマトグラフィーにて行った。その結果も合わせて下記の各表に示す。
上記の調製した各インクを、ポリエチレン容器に充填率90%で充填、密閉した後、インクを充填した各容器を、25℃と60℃で2週間保存した後、下記評価を行った。
25℃と60℃で保存したインクの平均粒径を測定した。
○:25℃保存品と60℃保存品の平均粒径差が、10%未満である
△:25℃保存品と60℃保存品の平均粒径差が、10%以上、20%未満である
×:25℃保存品と60℃保存品の平均粒径差が、20%以上である
〔吐出安定性の評価〕
25℃と60℃で保存した各インクを、256ノズルのザール(Xaar)社製のインクジェットプリンタの記録ヘッドから4plサイズの液滴を速度6m/sになるように記録ヘッドを駆動させて、30分間全ノズルから連続して吐出させ、各記録ヘッドのノズルからの射出状態を目視観察し、下記の基準に従って吐出安定性の評価を行った。
○:30分連続出射しても、ノズル欠が発生しない
△:30分連続出射でノズル欠の発生はないが、わずかにサテライトが発生する
×:30分連続出射で、数カ所以上のノズルでノズル欠が発生する
上記の評価の結果を、表13に示す。なお、上記の評価に関する説明及び表13において、評価ランクである○は実用性能として良好なレベル、△はぎりぎり実用上許容範囲なレベル、及び、×は実用上許容範囲外のレベル、にあることを意味する。
Claims (7)
- 少なくとも有機顔料、高分子分散剤、光開始剤及びカチオン重合性化合物を含有する活性光線硬化型インクジェットインクにおいて、4級アンモニウム塩を含有し、該4級アンモニウム塩の含有量が5ppm以上、500ppm以下であることを特徴とする活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記カチオン重合性化合物が、エポキシ化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記光開始剤がオニウム塩であって、かつ該オニウム塩の含有量が5質量%以下であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記有機顔料が、表面処理されたC.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 202及びC.I.Pigment Violet 19から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記有機顔料が、表面処理されたC.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151及びC.I.Pigment Yellow 180から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記有機顔料が、表面処理されたC.I Pigment Blue−15:3またはC.I Pigment Blue−15:4であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
- 前記高分子分散剤が酸価と塩基価とを有し、かつ該酸価が該塩基価より大きいことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
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