本発明は、回転している円盤状の情報担体(以下、「光ディスク」と称する。)に記録されたデータを読み出す光ディスク装置に関する。より具体的には、本発明は、多層ディスクの隣接する記録層に跨って書き込まれたデータを連続的に読み出す際、移動先の記録層のデータ未記録領域を回避して光ビームの焦点を確実に記録層に移動させる光ディスク装置に関する。
DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクからデータを読み出し、またはデータを書き込む光ディスク装置が開発され広範囲に普及してきている。近年は種々の情報が電子化され光ディスクに記録されるため、光ディスク装置には高い動作信頼性や使い勝手等の向上が求められている。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。
再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピット列による情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え可能な光ディスクにデータを記録する場合は、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
なお、ピットの深さ、トラックの深さ、および記録材料膜の厚さは、光ディスク基材の厚さに比べて小さい。このため、光ディスクにおいてデータが記録されている部分は、2次元的な面を構成しており、情報の「記録面」と称される場合がある。本明細書では、このような記録面が深さ方向にも物理的な大きさを有していることを考慮し、「記録面」の語句を用いる代わりに「記録層」の語句を用いることとする。光ディスクは、このような記録層を少なくとも1つ有している。1つの記録層が、現実には、相変化材料層や反射層などの複数の層を含んでいてもよい。
記録可能な光ディスクにデータを書き込むとき、または、書き込まれたデータを読み出すとき、光ビームが記録層における目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点の位置が常に記録層上に位置するように対物レンズの位置を記録層の法線方向(以下、「基板の深さ方向」と称する。)に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームの焦点が所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光ディスクの半径方向(以下、「ディスク半径方向」と称する。)に制御することである。
従来から、複数の記録層を有する再生専用型の光ディスクの開発が進んでおり、普及が進んでいる。また、大容量のデータを記録したいという要求から、複数の記録層を有する記録可能型の光ディスクが提案されつつある。複数の記録層を有する光ディスクは「多層ディスク」と称される。
複数の記録層に書き込まれているデータを順次読み出すためには、光ビームの焦点を、一方の記録層から他方の記録層へ移動させる動作(いわゆるフォーカスジャンプ動作)が必要となる。フォーカスジャンプは、フォーカス制御およびトラッキング制御によって実現される。
たとえば特許文献1は、フォーカスジャンプ動作を行う光ディスク装置を開示している。この光ディスク装置は、ターゲットアドレス位置が現在のアドレス位置より内周の場合は、ターゲットアドレス位置に相当する同一記録層の半径位置までシークしてフォーカスジャンプし、ターゲットアドレス位置に到達する。一方、ターゲットアドレス位置が現在のアドレス位置よりも外周の場合は、まず現在のアドレス位置でフォーカスジャンプしてからターゲットアドレス位置にシークする。
多層ディスクに対して確実にデータを書き込み、およびデータを読み出すためには、種々の影響を考慮する必要がある。
多層ディスクでは、各記録層の反射率をほぼ一定にするため、光ビームが照射される側の記録層の透過率を高くとらなくてはならない。結果として、一定にすべき反射率は低くなり、各層の反射率がこの低い反射率にほぼ同一となるように光ディスクが製作されることになる。よって各種信号の信号レベルは低下しS/N比が劣化する。
一方で、記録層内の領域のうち、データが書き込まれていない未記録領域とデータが書き込まれている記録済領域との間では、ディスクの特性によって反射率が異なる。ディスクの特性としては、データを記録することによって反射率が下がる特性(たとえばDVD−RAM)と、記録によって反射率が上がる2種類の特性が考えられる。この反射率の変化は2倍以上に到達するほど大きいことが一般的で、記録済領域と未記録領域の境界周辺では、各種信号がこの反射率の変化の影響を受けることになり、特に精密なサーボが求められる場合、この変化の影響は大きな外乱となる可能性がある。
再生専用の装置(プレーヤ)は、光ディスクのピット列から反射された光に基づいて位相差トラッキングエラー信号(位相差TE信号)を生成し、この位相差TE信号によりトラッキング制御を行う。再生専用型の光ディスクには必ずピットの形態でデータが格納されるため、光ディスクのトラック上であれば、どの領域からでも位相差TE信号を生成でき、トラッキング制御を実行することが可能である。また、データにはアドレス情報が付加されているため、確実に光ピックアップの位置決めを行うことができる。
このようなプレーヤに未記録領域の存在する記録可能型光ディスクが挿入されると、トラッキング制御ができなくなることがある。未記録領域には再生専用の光ディスクにおけるピット列に対応したマーク列が存在していないため、光ビームの焦点が未記録領域に入ると、位相差TE信号を生成できず、トラッキング制御を正確に実行できなくなるからである。
一方、記録可能型光ディスクに対応している装置(レコーダ)は光ディスクの未記録領域に対してデータを書き込む必要があるため、マーク列の存在を前提としないプッシュプル法によるトラッキング制御を行っている。プッシュプル法によるトラッキング制御を行うには、光ディスクに設けられているグルーブからプッシュプルトラッキングエラー信号を生成する必要がある。
特開2000−251271号公報
特許文献1に記載されている光ディスク装置のように、現在のアドレス位置から目標アドレス位置を最短距離で結ぶアクセス方法を採用すると、光ビームの焦点が移動先の記録層における未記録領域を通過する場合がある。最短距離のアクセスを行うため、フォーカスジャンプ先が記録済領域であることが保証されていないからである。このような場合、記録済領域と未記録領域との間の反射率の変化によってサーボ状態が不安定となることは避けられない。
また、光ディスクに起因してサーボ制御が外れてしまうという問題も発生する。たとえばレコーダによって映像や音声の連続したデータが記録可能型2層DVDの2つの記録層を跨いで書き込まれたとする。このDVDでは、光ビームが照射される側からみて最も浅いL0層で内周から外周に向けてデータが書き込まれ、その後、奥側のL1層で外周から内周に向けて折り返して書き込みが継続される。その光ディスクが従来のプレーヤに装填されると、プレーヤはその光ディスクが再生専用型であると認識し、光ピックアップを制御して記録済領域へアクセスしようとする。
ところが、フォーカスジャンプ先のL1層の外周近傍の位置は未記録領域になっており、2層ディスクの貼り合わせ精度やクランプ精度が低い場合、または、偏心の誤差が大きい場合には、フォーカスジャンプ先が未記録領域になりサーボ制御を失敗するおそれがある。さらに、フォーカスジャンプによって光ビームの焦点が未記録領域内にとどまらずにディスク外に飛び出し、やはりサーボ制御が外れてしまう。これでは、L0層からL1層への連続した再生(シームレス再生)ができず、映像、音声が中断してしまう。
上述した種々の問題は、記録装置によって記録された、次世代青色レーザを用いた2層、3層、4層等の多層大容量ディスク上の情報を再生するための専用の再生装置においても同様に存在する。
上述の問題は、記録可能型光ディスクをプレーヤに挿入したときに最も顕著である。プレーヤは、未記録領域のトラックに対してトラッキングが可能な、プッシュプル法によるトラッキング制御を行わないからである。
なお、そのようなディスクにファイナライズ処理を行えば、未記録領域は記録済領域に変更されるため、位相差TE信号を得ることが可能となる。よって、プレーヤで記録可能型光ディスクを安定して再生するためには、ファイナライズ処理が不可欠であった。
しかし、常にファイナライズ処理を行わなければならないとすると、その処理に要する時間や未記録領域を無駄に消費することになり妥当ではない。特に、ブルーレイ・ディスクのような次世代光ディスクの容量は非常に大きいため、ファイナライズ処理に数十分を要し、数ギガバイトの容量が無駄になるおそれもある。したがって、ファイナライズ処理を要求することは適切ではない。
さらに、ファイナライズ処理を行ったとしても、貼り合わせ精度に起因するリードアウトへのフォーカスジャンプを防ぐことは依然としてできない。
図1の(a)〜(c)は、多層ディスクの製造工程を示す。まず(a)に示すように、それぞれ1つの記録層を有する基板101−1および101−2が用意され、接着剤によって貼り合わされる。すると、(b)に示すような記録層L0およびL1(以下、「L0層」および「L1層」と記述する)を有する多層ディスク101が得られる。
貼り合わせの精度が低い場合には、図1の(c)に示すように、L0層およびL1層の端部のずれ、すなわち貼り合わせずれKが大きくなる。貼り合わせずれKは、たとえば50μmである。
光ディスク装置が、このような光ディスクの特定の目標位置(トラック)にアクセスするためにフォーカスジャンプしたとき、貼り合わせずれKが大きい場合には光ビームの焦点が未記録領域に入ることがある。たとえば図2(a)は、貼り合わせずれKが存在する光ディスク101のL0層上に光ビームが存在する状態を示す。図2(b)は、フォーカスジャンプによって光ビームの焦点がL1層のリードアウト内に入った状態を示す。
フォーカスジャンプ後の不安定な状態で、未記録領域に依存した信号レベルの影響や境界周辺の反射光の変化の影響を受けると、サーボ状態がさらに不安定になるという問題がある。また、ディスクを高速回転させるために機構的に確実にクランプする必要もあるが、クランプ精度が低い場合やディスクが偏心している場合にも同様の問題を生じうる。
更に、記録型の光ディスクに対してデータを書き込み、データを読み出すためには、記録・再生要求が発生してから記録・再生動作を開始するまでの応答時間が高速であることが求められる。記録済領域と未記録領域では光ビームの焦点制御に関する調整を個別に行わなければならないため、光の焦点が記録済領域のみを通過するようなアクセス方法が採用できることが好ましい。
本発明の目的は、複数の記録層にわたって書き込まれたデータを連続的に読み出す際に、データが書き込まれていない未記録領域に光ビームの焦点が突入することを防ぐことにある。また、本発明の他の目的は、未記録領域に光ビームの焦点が突入した場合においても、途切れなく安定してデータを読み出せるように光ビームの焦点位置を制御することにある。
本発明による光ディスク装置は、第1記録層および第2記録層を含む複数の記録層を有する光ディスクからデータを読み出すことが可能である。前記光ディスク装置は、前記光ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構に装填された光ディスクに対して集束された光を照射し、前記光ディスクから反射された光に基づいて再生信号を生成する光ピックアップと、前記駆動機構および前記光ピックアップの動作を制御して、前記光の焦点を移動させる制御部とを備えている。前記第1記録層および前記第2記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合において、前記制御部は、前記第1記録層上のデータを読み出している間は前記光の焦点を第1の半径方向に移動させ、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に所定量ずらした第2記録層上の位置に移動させる。
前記制御部は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1記録層上で前記第2の半径方向に前記所定量移動させ、その後前記第2記録層上に移動させてもよい。
前記制御部は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第2の半径方向に移動させながら、前記第1記録層から前記第2記録層に移動させてもよい。
前記制御部は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1記録層から前記第2記録層上に移動させ、その後前記第2の半径方向に前記所定量移動させてもよい。
前記光ディスク装置は、前記光ディスクから反射された光に基づいて、前記光の焦点が、現在データが格納されている記録済領域に存在するか、データが格納されていない未記録領域に存在するかを判別する判別部をさらに備えていてもよく、前記制御部は、前記光の焦点を前記第1記録層から前記第2記録層上に移動させた後、前記判別部によって、前記光の焦点が現在未記録領域に存在すると判別されたときに、前記光の焦点を前記第2の半径方向に前記所定量移動させてもよい。
前記光ディスク装置は、前記光ディスクから反射された光に基づいて、前記第1記録層および前記第2記録層の各トラックのアドレスを検出するアドレス検出部をさらに備えていてもよく、前記制御部は、前記光の焦点を前記第1記録層から前記第2記録層上に移動させた後、前記アドレス検出部がアドレスを検出できないときに、前記光の焦点を前記第2の半径方向に前記所定量移動させてもよい。
前記第1記録層および前記第2記録層の各トラックは、互いに逆スパイラルの関係にあってもよい。
前記光ディスク装置は、連続する論理セクタ番号が割り当てられた前記第1記録層の記録済領域および前記第2記録層の記録済領域に格納された前記データを読み出してもよい。
前記光ディスク装置は、記録装置によって書き込まれた前記データを読み出す、再生専用の装置であってもよい。
本発明による制御回路は、光ディスク装置に実装される。前記光ディスク装置は、光ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構に装填された光ディスクに対して集束された光を照射し、前記光ディスクから反射された光に基づいて再生信号を生成する光ピックアップとを備え、かつ、第1記録層および第2記録層を含む複数の記録層を有する光ディスクからデータを読み出すことが可能である。
前記第1記録層および第2記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合において、前記制御回路は、前記駆動機構および前記光ピックアップの動作を制御して、前記第1記録層上のデータの読み出している間は前記光の焦点を第1の半径方向に移動させ、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に所定量ずらした第2記録層上の位置に移動させてもよい。
前記制御回路は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1記録層上で前記第2の半径方向に前記所定量移動させ、その後前記第2記録層上に移動させてもよい。
前記制御回路は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第2の半径方向に移動させながら、前記第1記録層から前記第2記録層に移動させてもよい。
本発明の光ディスク装置は、多層ディスクの隣接する第1記録層から第2記録層に跨って書き込まれたデータを連続的に読み出すとき、第1記録層において光ビームが移動してきた半径方向とは反対の半径方向に光ビームの焦点を移動させる。その移動は、第2記録層への移動前または第2記録層への移動と同時に行われる。隣接する記録層ではトラックスパイラルが逆であるため、上述の移動動作によれば、貼り合わせずれなどに起因する未記録部領域への焦点の突入を防止できる。
また、焦点がデータの未記録領域に存在すると判断したときは、第1記録層において光ビームが移動してきた半径方向とは逆方向に焦点を移動させて、サーボ制御可能な状態に速やかに復帰させる。これにより、安定なシームレスな再生が可能になる。
(a)〜(c)は、多層ディスクの製造工程を示す図である。
(a)は貼り合わせずれKが存在する光ディスク101のL0層上に光ビームが存在する状態を示す図であり、(b)はフォーカスジャンプによって光ビームの焦点がL1層のリードアウト内に入った状態を示す図である。
(a)はDVD規格による2層光ディスク102の一例を示す図であり、(b)はBD規格による3層光ディスク102の例を示す図である。
(a)〜(c)は、オポジットトラックパスと呼ばれる2層DVDのトラック、再生方向およびセクタ番号を示す図である。
(a)〜(c)は、光ディスク102に対する種々のデータの書き込み方法を示す図である。
(a)は、L0層およびL1層の記録済領域の拡大図であり、(b)は実施形態1による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の例を示す図であり、(c)は実施形態1による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の他の例を示す図であり、(d)は焦点の半径方向の移動量Dと貼り合わせずれのずれ量Kとの関係を示す図である。
実施形態1による光ビームスポット移動制御部104を備えた光ディスク装置100を示す図である。
光ディスク装置100の概略的な機能ブロックの構成を示す図である。
図7および図8に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す図である。
光ピックアップ122のハードウェア構成を模式的に示す図である。
一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第1の手順を示すフローチャートである。
フォーカスジャンプ処理(図11のS104)の手順を示すフローチャートである。
一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第2の手順を示すフローチャートである。
実施形態1による光ディスクプレーヤ500のハードウェア構成の例を示す図である。
(a)は従来のプレーヤに設けられたバッファのバッファ容量を決定する条件を示す図であり、(b)は本実施形態によるバッファ377のバッファ容量を決定する条件を示す図である。
実施形態1による光ディスクレコーダ600のハードウェア構成の例を示す図である。
実施形態2にかかる光ディスク装置200の概略的な機能ブロックの構成を示す図である。
図17に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す図である。
一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の手順を示すフローチャートである。
未記録検出部301のハードウェア構成の例を示す図である。
符号の説明
100 光ディスク装置
102 情報担体(光ディスク)
104、202 光ビームスポット移動制御部
110 集束部
112 内外周移動部
114 垂直移動部
116 フォーカス検出部
118 フォーカス制御部
120,402,502 情報面移動制御部
まず、図3から図5を参照しながら光ディスクの物理構造および論理構造を説明する。その後、光ディスク装置の実施形態を説明する。
なお、本発明が最も顕著な効果を生じる光ディスクおよび光ディスク装置の組み合わせは、光ディスクが記録可能型であり、光ディスク装置が再生機能のみを有する光ディスクプレーヤの場合である。ただし、後述のように光ディスク装置が記録機能を有する場合であっても効果を得ることはできる。
まず、光ディスクとは、少なくとも光ビームによってデータを読み出すことが可能な記録媒体である。本明細書においては、光ディスクは再生専用型ではなく、記録可能型であるとする。光ディスクは、たとえばDVD−RAM,DVD−RW,DVD−R,+RW,+Rを、2または3以上に多層化したディスクであってもよいし、青色光等を使用する高密度の多層ディスクであってもよい。
図3(a)は、DVD規格による2層光ディスク102の一例を示す。光ディスク102は、L0層を有する基板150−1と、L1層を有する基板150−2とが貼り合わされて製造されている。光ディスク102の各L0層およびL1層には、一方の面から光ビームを照射することによってアクセスできる。光ビームが照射される側からみて浅い記録層をL0層とし、奥がL1層である。光ディスク102は、1.2mmの厚さを有する。L0層およびL1層はその中心である0.6mm付近に略40μm〜70μmの間隔で構成される。
さらに図3(b)は、BD規格による3層光ディスク102の例を示す。光ディスク102は、基板150と、L0層、L1層およびL2層とを備える。光ディスク102の各L0層、L1層およびL2層には、一方の面から光ビームを照射することによってアクセスできる。光ディスク102は、1.2mmの厚さを有し、基板150は、1.1mmの厚さを有する。L0層、L1層およびL2層は、25μm間隔で配置される。L0層は保護膜152の表面から100μmの位置に配置される。L1層は保護膜152の表面から75μmの位置に配置される。L2層は保護膜152の表面から50μmの位置に配置される。
図4(a)〜(c)は、オポジットトラックパスと呼ばれる2層DVDのトラック、再生方向およびセクタ番号を示す。図4(a)はL0層およびL1層の各々に設けられているスパイラル状の溝パターン2−1および2−2を示す。図4(b)は各記録層に対しユーザデータの書き込みおよび/または読み出しを行うときの光の走査方向を示す。図4(c)は各記録層に対応して割り当てられたセクタ番号の変化を示す。
光ディスクを時計回りに回転させると、L0層では、光の走査はトラック2−1に沿って内周から外周へ進み、L1層では外周から内周へと進む。図4(b)に示す再生の例では、L0層のユーザデータ領域5の最内周から最外周までのユーザデータが再生され、その後、L1層のユーザデータ領域5の最外周から最内周までのユーザデータが再生される。なお、L0層およびL1層のユーザデータ領域5を基準として、内周側にはテスト領域4が設けられており、外周側にはリードアウト7が設けられている。
図4(c)に示すように、各層の物理セクタ番号PSNおよび論理セクタ番号LSNは、再生方向に進むにしたがって順に増加するように割り当てられる。但し、L1層のスパイラル方向はL0層のスパイラル方向とは逆であるため、セクタ番号と半径方向の位置との関係は変わる。L0層のユーザデータ領域5では、論理セクタ番号LSNは最内周で0であり、外周へ進むにつれて1ずつ増加する。
L1層のユーザデータ領域5では、最外周のセクタの論理セクタ番号LSNはL0層の最大論理セクタ番号に1を加えた値となり、内周へ進むにつれて1ずつ増加する。なお、L0層およびL1層のユーザデータ領域5へのデータの書き込み方によって、論理セクタ番号LSNと半径方向の位置との関係は変わる。論理セクタ番号は、記録層が変わった場合でも連続である。
図3(a)および図4(a)に示すように、2層DVDでは光ビームが照射される側の面からみて手前の記録層がL0層、奥の記録層がL1層と呼ばれている。一方、図3(b)に示すように、多層BDでは光ビームが照射される側の面からみて最も奥の記録層から順にL0層、L1層・・・と呼ばれている。DVDおよびBDのいずれの場合も、L0層では内周から外周、L1層では外周から内周に向かって、焦点が移動してデータが読み出される。
図5(a)〜(c)は、光ディスク102に対する種々のデータの書き込み方法を示す。
図5(a)は、L0層の全ユーザデータ領域51aおよびL1層の一部のユーザデータ領域52aにデータが書き込まれている状態を模式的に示す。書き込まれたデータは1つのボリューム(情報単位)を形成している。一方、L1層のユーザデータ領域53aは未記録領域である。
図示された状態は、たとえば図4(b)に示す状態と同じである。この光ディスクにはシングルスパイラルのグルーブ構造が設けられている。図中の矢印で示すように、L0層のトラックに対しては内周から外周への連続記録が可能であり、L1層のトラックに対しては外周から内周への連続記録が可能である。
論理セクタ番号LSNはL0層の最内周位置50aから順に割り当てられている。L0層のユーザデータ領域51aの終端の論理セクタ番号LSNと、L1層のユーザデータ領域52aの始端の論理セクタ番号LSNは連続している。
図5(b)は、一部のユーザデータ領域51bおよび52bにデータが書き込まれている状態を模式的に示す。L0層およびL1層には概ね同じデータ量のデータが格納されており、全体で1つのボリューム(情報単位)を形成している。
光ディスクの構造や、各記録層についての連続記録が可能な方向は図5(a)と同じである。図5(b)では、データの書き込み先が、L0層のユーザデータ領域の途中でL1層のユーザデータ領域に切り替わっている。このとき、ユーザデータ領域51bの終端位置50bの論理セクタ番号LSNと、ユーザデータ領域52bの始端位置50bの論理セクタ番号LSNとが連続している。
図5(c)は、光ディスクの各L0層〜L2層の一部のユーザデータ領域にデータが書き込まれている状態を模式的に示す。L0層〜L2層には概ね同じデータ量のデータが格納されており、全体で1つのボリューム(情報単位)を形成している。
この光ディスクにもシングルスパイラルのグルーブ構造が設けられている。図中の矢印で示すように、L0層のトラックに対しては内周から外周への連続記録が可能であり、L1層のトラックに対しては外周から内周への連続記録が可能であり、L2層のトラックに対しては内周から外周への連続記録が可能である。
図5(a)〜(c)の例では、隣接するL0層とL1層、L1層とL2層には、それぞれ反対方向のトラックスパイラルが設けられている。
記録済み領域について、L0層の終端位置の論理セクタ番号LSNとL1層の始端位置の論理セクタ番号LSNとは連続している。また、L1層の終端位置の論理セクタ番号LSNとL2層の始端位置の論理セクタ番号LSNとは連続している。
上述の図5(a)〜(c)のいずれの方法でデータが書き込まれていたとしても、L0層の記録済領域の終端位置から光ビームの焦点を基板の深さ方向に移動しただけでは、L1層の記録済領域の始端、すなわち記録済領域と未記録領域との境界に入り、サーボ制御が外れるおそれが高くなる。さらに、L1層の再生方向とは逆の方向にずれてしまうと焦点は未記録領域に入り、やはりサーボ制御が外れるおそれが高くなる。
さらに、図5(a)に示す書き込み方法が採用されている場合には、光ディスクの貼り合わせずれの影響を大きく受ける。
そこで、以下では図5(a)に示す記録方法が採用されている場合を挙げて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
まず図6を参照しながら、本実施形態による光ディスク装置の焦点移動制御動作の概要を説明する。その後、光ディスク装置の構成および動作を詳細に説明する。
図6(a)は、L0層およびL1層の記録済領域の拡大図である。記録済領域は光ディスクの最外周部分に含まれている。
本実施形態にかかる光ディスク装置の特徴のひとつは、フォーカスジャンプの際に、ジャンプ先記録層の未記録領域が存在する半径方向とは逆の半径方向に光ピックアップを強制的に駆動することにある。これにより、光ビームの焦点が未記録領域に突入することを防止できる。具体的には以下の通りである。
図6(b)は、本実施形態による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の例を示す。光ディスク装置は、L0層のデータの読み出しが完了するまでは、光ピックアップの位置を制御して光ビームの焦点を外周に向かう半径方向に移動させる。終端位置Pに到達してL0層のデータの読み出しが完了した後は、光ビームの焦点を位置Q、S、Tの順に移動させる。
より具体的には、位置Pから、同じL0層上の位置Qまで反対方向(内周方向)に移動量Dだけ強制的にずらし、その後フォーカスジャンプを行う。この結果、焦点はL1層の位置Sに到達する。L1層の位置SはL1層の記録済領域である。したがって、その位置では反射率は概ね一定であり大きな変動はないため、安定したトラッキング制御およびフォーカス制御が可能である。L1層でのサーボ制御が開始されると、光ディスク装置は焦点を外周方向のL1層の始端位置Tまで移動させる。そして、その位置から続きのデータを読み出す。
位置PからQまで強制的にずらした方向は、貼り合わせずれ等に起因する未記録領域が存在しない半径方向、すなわちL1層のトラックスパイラルに沿った半径方向である。
図6(c)は、本実施形態による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の他の例を示す。光ディスク装置は、L0層のデータの読み出しが完了するまでは、光ピックアップの位置を制御して光ビームの焦点を外周に向かう半径方向に移動させる。
終端位置Pに到達してL0層のデータの読み出しが完了した後は、光ビームの焦点を位置P、S、Tの順に移動させている。位置Pから位置Sまでの焦点の移動は、内周方向への移動(移動量D)と基板の深さ方向への移動が同時に行われることによって実現される。斜め方向にフォーカスジャンプが行われているといえる。その後は上述のように、位置Sにおいてサーボ制御が開始されると、焦点が位置SからTまで移動される。
図6(d)は、焦点の半径方向の移動量Dと、貼り合わせずれのずれ量Kとの関係を示す。想定されるずれ量Kを50μmとすると、焦点の半径方向の移動量Dは約300μmに設定される。この移動量Dは想定されるディスクの偏心量よりも大きく設定されている。その偏心量はBDで約±37.5μm、DVDで約±50μm程度である。なお、「偏心量」とは一般にはディスクが1回転する間のずれの最大幅をいうが、本実施形態においては、少なくともフォーカスジャンプ期間中(後述の図15によれば50ms)において偏心によってずれる幅を考慮すればよい。
移動量Dは想定されるずれ量Kよりも十分大きく設定されているため、光ディスク102に貼り合わせずれが存在したとしても、L1層の記録済領域に確実に焦点を移動できる。この結果、フォーカス制御、トラッキング制御等のサーボ制御を確実に行うことができ、フォーカスジャンプに失敗することがなくなり、L0層からL1層にわたって格納されたデータを連続して読み出すことが可能である。なお、図6の(d)では(c)に対応する例を挙げたが、移動量Dは(b)の例でも同じ値にしてもよい。
なお、図6の(b)〜(c)の例では、位置Pのデータを読み終えた後、光の焦点が位置Tに到達するまでは続きのデータを読み出すことができないが、その一方で映像等の再生は継続しなければならない。したがって、データを一時的に蓄積するバッファを設け、位置Pから位置Tまでの期間、再生を途切れなく行うためのデータを蓄積しておく必要がある。バッファを設けることは一般的であり、その容量は種々の再生条件に基づいて決定されるが、本発明にかかる焦点移動制御方法によればバッファに必要な容量を大幅に低減できる。その詳細は図15を参照しながら後述する。
次に、図7〜図10を参照しながら、上述の処理を実現する光ディスク装置100の構成を説明する。まず光ディスク装置100の機能的構成を説明し、その後、光ディスク装置100のハードウェア構成を説明する。
図7は、本実施形態による光ビームスポット移動制御部104を備えた光ディスク装置100を示す。図7には、光ディスク102も示されているが、光ディスク102は光ディスク装置100から取り外し可能であり、光ディスク装置100の構成要素ではない。
光ビームスポット移動制御部104(以下「スポット移動制御部104」と記述する。)は、光ディスク102にアクセスする光ディスク装置100の後述する他の構成要素の動作を制御して、光ディスク102の記録層上に集束される光ビームの焦点を移動させる。なお、光ビームの「スポット」は、光ビームが記録層に照射されることによって記録層上に形成された光ビームの断面として認識される。しかし本明細書においては、光ビームの「スポット」は光ビームの焦点と同じ意味である。
スポット移動制御部104は、目的の記録層、すなわち、焦点の移動先の記録層における所望のトラックを検索する制御を行う。またスポット移動制御部104は、フォーカスジャンプを行うか否かを判定する。さらに、スポット移動制御部104は、内周方向への移動か外周方向への移動かを判定し、移動方向に応じた手順で光ビームスポットの移動制御を行う。後に詳述するこれらの動作により、光ディスク装置100は光ディスク102の未記録領域を回避して目標位置へアクセスするべく光学ヘッドを制御することができ、フォーカスジャンプを伴う層間のアクセス性能を向上させることができる。
一方の記録層から他方の目的の記録層にフォーカスジャンプを行う場合には、スポット移動制御部104は以下のように焦点の動きを制御する。すなわち、現在の位置を基準として光ディスク102の外周方向に光ビームの焦点を移動させるときは、スポット移動制御部104は焦点を目的の記録層に移動させたあと、外周方向に移動させる。一方、現在の位置を基準として光ディスク102の内周方向に光ビームの焦点を移動させるときは、スポット移動制御部104は焦点を内周方向に移動させたあと、目的の記録層に移動させる。
図8は、光ディスク装置100の概略的な機能ブロックの構成を示す。光ディスク装置100は、集束部110と、内外周移動部112と、垂直移動部114と、フォーカス検出部116と、フォーカス制御部118と、情報面移動制御部120と、スポット移動制御部104とを備える。
集束部110は、光ディスク102の記録層に光ビームを集束する。集束部110は、たとえば光学レンズ(対物レンズ)であり、NA0.6以上の光学レンズであってもよいし、NA0.85以上の光学レンズであってもよい。
垂直移動部114は、記録層と実質的に垂直な方向に集束部110を移動させる。垂直移動部114は、たとえばアクチュエータである。
フォーカス検出部116は、記録層上の光ビームの集束状態に対応した信号を生成する。フォーカス検出部116は、たとえば光ビームの焦点と光ディスク102との垂直方向に関する誤差信号(フォーカスエラー信号)を生成する。
フォーカス制御部118は、フォーカス検出部116の信号に応じて垂直移動部114を駆動し、記録層上の光ビームの集束状態が略一定となるように制御する。また、フォーカス制御部118は、たとえばフォーカスジャンプが行われる前にフォーカス制御をオフにし、フォーカスジャンプ後にフォーカス制御をオンにする。
情報面移動制御部120は、ある記録層上に集束された光ビームの焦点を目的の記録層に移動させる制御を行う。情報面移動制御部120は、たとえば垂直移動部114を駆動し、フォーカスジャンプを制御する。
内外周移動部112は、光ディスク102の内周方向または外周方向に光ビームの焦点を移動させる。たとえば、内外周移動部112は、光ディスク102の内周方向または外周方向に集束部110を移送することによって、光ディスク102の記録層上に形成されたトラックを横切る方向に光ビームの焦点を移動させる。
図9は、図7および図8に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す。光ディスク装置100は、ディスクモータ140と、光ピックアップ122と、プリアンプ126と、フォーカスアクチュエータ駆動回路136と、移送台124と、移送台駆動回路134と、フォーカスエラー生成器128と、フォーカス制御部130と、マイクロコンピュータ132とを備える。
ディスクモータ140は、光ディスク102を所定の回転数(回転速度)で回転させる。
マイクロコンピュータ132は、フォーカス制御部130を内蔵しており、フォーカスアクチュエータ駆動回路136および移送台駆動回路134を制御する。
フォーカス制御部130は、後述するフォーカスエラー生成器128からのフォーカスエラー信号に対して位相補償,ゲイン補償等のフィルタ演算を行い、制御信号を出力する。
移送台駆動回路134は、駆動信号を出力して移送台124を駆動する。移送台124は、光ディスク102の半径方向に光ピックアップ122を移動させる。
光ピックアップ122は、光ビームを出力し、光ディスク102の記録層上に光ビームスポットを形成する。また、光ピックアップ122は、光ディスク102からの反射光を受け、反射光に応じた信号を出力する。
プリアンプ126は、光ピックアップ122の後述する受光部144からの電流信号を電圧信号に変換する。
フォーカスエラー生成器128は、プリアンプ126からの信号を受けて、光ビームの焦点と光ディスク102との垂直方向に関する誤差、すなわちフォーカスのずれを示すフォーカスエラー信号(FE信号)を出力する。FE信号は、光ビームが光ディスク102の記録層上で所定の集束状態になるように制御するために用いられる。換言すれば、FE信号は光ビームの焦点が記録層上に位置するように制御するために用いられる。
FE信号をどのような方法によって生成するかは特に限定されない。たとえば非点収差法、ナイフエッジ法、SSD(スポット・サイズド・ディテクション)法が知られており、これらのいずれを用いてもよい。フォーカスエラー生成器128の回路構成は検出法に応じて適宜変更すればよい。
フォーカスアクチュエータ駆動回路136は、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130からの制御信号にしたがって、光ピックアップ122内に設けられた後述のフォーカスアクチュエータ143を駆動する。
図10は、光ピックアップ122のハードウェア構成を模式的に示す。光ピックアップ122は、光源146と、光学レンズ(対物レンズ)142と、受光部144と、フォーカスアクチュエータ143とを備える。
光源146は光ビームを出力する。光源146は、たとえば半導体レーザである。光ビームの波長は、読み出されるデータが格納された光ディスク102の種類に応じて決定される。たとえば光ディスク102が追記型の2層DVDであれば、波長680nm以下の光ビームを出力する。また、光ディスク102が追記型の2層ブルーレイ・ディスクであれば、波長410nm以下の光ビームを出力する。
光学レンズ142は、光源146から出力された光ビームを集束し、焦点を形成する。また、光学レンズ142は、光ディスク102からの反射光を通過させる。受光部144は、光学レンズ142を通過した光ディスク102からの反射光を受け、その光信号を電気信号(電流信号)に変換する。受光部144は、たとえば4つに分割されている。フォーカスアクチュエータ143は、光学レンズ142を、光ディスク102の記録層に対して略垂直な方向(以下単に「垂直方向」と記述する。)に移動させる。フォーカスアクチュエータ143が光学レンズ142を移動させることにより、光ビームの焦点を光ディスク102の記録層上に位置させることができる。
図9および図10に示すハードウェア構成は、図7および図8に示す機能ブロックの構成と以下のように対応する。すなわち、光学レンズ142は、図8の集束部110に対応する。受光部144、プリアンプ126およびフォーカスエラー生成器128は、図8のフォーカス検出部116に対応する。フォーカスアクチュエータ駆動回路136およびフォーカスアクチュエータ143は、図8の垂直移動部114に対応する。マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、図8のスポット移動制御部104、情報面移動制御部120およびフォーカス制御部118に対応する。
次に図11から図13を参照しながら、光ディスク装置100の動作を説明する。まず、図6(b)に示す経路で焦点を移動させる手順を説明する。
複数の記録層に跨って格納された映像または音声の一連のデータを連続して読み出す場合を想定すると、読み出しの途中で一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う必要がある。図11は、一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第1の手順を示すフローチャートである。
スポット移動制御部104は、まず、層間移動後の情報の記録されている方向が内周方向か外周方向かを判定する(S100)。
たとえば図5(b)に示す2層ディスクからデータを読み出すとする。L0層のユーザデータ領域51bのデータの読み出しが完了すると、スポット移動制御部104は、現在のL0層の位置50bと、目的の記録層L1おける所望のトラックとが同じ半径位置にあると判定する。
目的の記録層L1での再生方向は、これまでとは反対の内周方向である。スポット移動制御部104は内外周移動部112に指示を出して、焦点を所定位置まで内周方向に強制的に移動するように制御する(S102)。移動量Dはたとえば300μmである。たとえば移送台駆動回路134が移送台124に対して、内周方向に300μm移動させるための駆動電圧を印加することによって実現される。
その後、スポット移動制御部104は情報面移動制御部120に指示を出して、目的の記録層L1に対しフォーカスジャンプ動作を実行させる(S104)。ここでいうフォーカスジャンプ動作には、焦点をL1層上に移動させた後、さらに距離Dだけ外周方向に強制的に移動させる動作も含まれる。その理由は、焦点は上述のステップS102によって内周方向に距離Dだけ移動しているため、その位置を外周方向に戻さなければならないからである。
その結果、焦点がL1層の位置50bの所望のトラックに位置し、その位置50bからデータの読み出しが可能となる(S108)。
次に、図5(c)に示す3層ディスクからデータを読み出す例に即して、光ディスク装置100の動作を説明する。L0層およびL1層のデータの読み出しが完了したとする。なお、L0層からL1層へのフォーカスジャンプは、上述した図5(b)の例とまったく同じであるため、その説明は省略する。
L1層のユーザデータ領域50aまでのデータの読み出しが完了すると、スポット移動制御部104は、現在のL1層の位置50aと、目的の記録層L2おける所望のトラックとが同じ半径位置にあると判定する。
目的の記録層L2での再生方向は、これまでとは反対の外周方向である。スポット移動制御部104は内外周移動部112に指示を出して、焦点を所定位置まで外周方向に強制的に移動するように制御する(S106)。移動量Dはたとえば300μmである。
その後、スポット移動制御部104は情報面移動制御部120に指示を出して、目的の記録層L2に対しフォーカスジャンプ動作を実行させる(S104)。先の説明と同様、ここでいうフォーカスジャンプ動作にも、焦点をL2層上に移動させた後、さらに距離Dだけ内周方向に強制的に移動させる動作が含まれる。その結果、焦点がL2層の位置50aの所望のトラック上に位置に配置され、その位置からデータの読み出しが可能となる(S108)。L2層からデータの読み出しを連続して行い、通常ユーザが中断しないかぎり、トラックスパイラルに沿ってコンテンツ終了地点までデータの読み出しを継続する。
次に、フォーカスジャンプ処理(S104)の詳細を説明する。図12は、フォーカスジャンプ処理(S104)の手順を示すフローチャートである。
フォーカスジャンプ処理において、まず、マイクロコンピュータ132は、トラッキング制御をオフにする(S112)。また、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、フォーカス制御のための駆動信号をホールドする(S114)。
次に、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、加速パルス信号および減速パルス信号を生成し、フォーカスアクチュエータ駆動回路136を介してフォーカスアクチュエータ143に印加する(S116)。加速パルス信号は、光学レンズ142の垂直方向への移動速度を増加させるパルス信号であり、減速パルス信号は光学レンズ142の垂直方向への移動速度を減少させるパルス信号である。加速パルス信号および減速パルス信号の印加により、焦点が目的の記録層上に位置する。
FE信号が目的の記録層に対してフォーカス制御可能であることを示すレベルに到達したとき、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、フォーカス制御用の駆動信号のホールドをオフにし、フォーカス制御を動作状態に変更する(S118)。
次に、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、トラックずれ信号(TE信号)やRF信号等の信号に基づいて、焦点が記録層上に位置していること、すなわち焦点が記録層に追従していることを確認する(S120)。
次に、マイクロコンピュータ132はトラバースモータ(不図示)に駆動信号を出力して、光ヘッドが載置された移送台124を駆動させる。これにより、焦点が内周方向あるいは外周方向へ移動する。移送台124をいずれの方向に駆動させるかは、図11においてステップS102が実行されたか、ステップS106が実行されたかに応じて異なる。ステップS102が実行された場合には、焦点が外周方向へ移動するように移送台124も外周方向へ移動される。ステップS106が実行された場合には、焦点が内周方向へ移動するように移送台124も内周方向へ移動される。
その後、マイクロコンピュータ132は、トラッキング制御を動作状態にし、次に指定された所定のトラック・セクタ番地を検索し、目的のトラックに到達する(S122)。
次に、図6(c)に示す経路で焦点を移動させる手順を説明する。図13は、一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第2の手順を示すフローチャートである。図11と同じステップについては同一の符号を付し、その説明は省略する。
図11に示した光ビームスポット移動制御に代えて、スポット移動制御部104は、フォーカスジャンプを行うと同時に焦点をディスク内周あるいは外周への移動制御を行う(S130)。つまり斜めフォーカスジャンプのステップS130は、図11のステップS100、S102、S106およびS104の各々を含んでいる。この移動制御も、連続して再生してきたL0から、次の他のL1層に光ビームスポットを移動させてシームレス再生をする場合に行われる。
次に、図14および図15を参照しながら、より具体的な実施形態およびその実施形態による本発明の顕著な効果を説明する。
図14は、本実施形態による光ディスクプレーヤ500のハードウェア構成の例を示す。
プレーヤ500は、BD−Rなどの光ディスク102からデータを読み出すことが可能であるが、光ディスク102にデータを書き込むことはできない再生専用の機器である。
プレーヤ500は、光ディスクに照射された光ビームの反射光を光検出器の複数の受光領域で検出し、所定の反射光の位相差のみを利用してトラッキングエラー制御を行う。プレーヤ500は光ディスク102上のピット等の存在を前提として動作するため、ピットに起因する反射光の位相差を利用して動作するよう構成されている。
プレーヤ500は、ディスクモータ140と、光ピックアップ510と、光ディスクコントローラ(ODC)520と、駆動部530とを備えている。光ピックアップ510は図9の光ピックアップ122に対応する。ODC520は、図9のプリアンプ126と、フォーカスエラー生成器128と、フォーカス制御部130と、マイクロコンピュータ132とに対応する。なお、ODC520のプロセッサ311はマイクロコンピュータ132に対応している。また駆動部530は、図9のフォーカスアクチュエータ駆動回路136を含んでいる。また駆動部530は、図示されていない移送台駆動回路134も備えている。光ピックアップ510は移送台(図示せず)に載置されており、その移送台は図9の移送台124に対応する。
まず、データを読み出すために必要な、サーボ制御のための構成を説明する。
ディスクモータ140によって所定速度で回転している光ディスク102の情報面上において所望のトラックを光ビームの焦点が追従するためには、光ディスク102で反射された光ビームに基づいて、トラッキングずれおよびフォーカスずれを示すTE信号およびFE信号を検出する必要がある。
光ディスク102で反射された光ビームは、対物レンズ203で平行な光ビームに変換された後、偏向ビームスプリッタ206に入射する。このときの光ビームは、その偏光方向が光ディスク102に入射するときの光ビームの偏光方向から90°回転したものになるため、偏向ビームスプリッタ206を透過し、そのまま集光レンズ207を経て光検出器208に入射することになる。
光検出器208は、集光レンズ207を通過してきた光を受け、その光を電気信号(電流信号)に変換する。図示されている光検出器208は、受光面上で4分割された領域A、B、C、Dを有しており、領域A〜Dの各々が、受けた光に応じた電気信号を出力する。
プリアンプ126a、126b、126c、126dは、光検出器208から出力された電流信号を電圧信号に変換する。加算回路344,346は、プリアンプ126a、126b、126c、126dから出力された電圧信号を、光検出器208の対角位置ごとに加算する。加算回路344は、領域Aの出力と領域Dの出力とを合計した大きさに相当する信号A+Dを出力し、加算回路346は、領域Bの出力と領域Cの出力とを合計した大きさに相当する信号B+Cを出力する。加算の仕方を変更することにより、他の信号を生成することも可能である。
コンパレータ352,354は、それぞれ、加算回路344,346からの信号を2値化する。位相比較器356は、コンパレータ352,354からの信号の位相比較を行う。差動増幅器360は、位相比較器356からの信号を入力して位相差TE信号を出力する。この位相差TE信号は、光ビームが光ディスク102のトラック上を正しく走査するように制御するために用いられる。
ゲイン切換回路366は、位相差TE信号を所定の振幅に調整する。AD(アナログ・ディジタル)変換器370は、ゲイン切換回路366から出力された位相差TE信号をデジタル信号に変換する。
差動増幅器358は、加算回路344,346からの信号を入力してFE信号を出力する。FE信号は、光ビームが光ディスク102の情報面上で所定の集束状態になるように制御するための信号である。FE信号の検出法は特に限定されず、非点収差法を用いたものでもよいし、ナイフエッジ法を用いたものであってもよいし、SSD(スポット・サイズド・ディテクション)法を用いたものであってもよい。検出法に応じて回路構成を適宜変更することになる。ゲイン切換回路364は、FE信号を所定の振幅に調整する。AD変換器368は、ゲイン切換回路364から出力されるFE信号をデジタル信号に変換する。
加算回路313は、加算回路344,346からの信号を加算して全光量和信号(A+B+C+D)を生成し、LPF123に送る。LPF123で高周波成分が除去されたRF加算信号は、整形回路324に送られる。
整形回路324は、全光量和信号の振幅レベルと、整形設定部362から予め設定された基準レベルとを比較し、2値化整形を行う。整形回路324は、たとえば、全光量和信号の振幅レベルが基準レベルよりも低下したときは「High」、全光量和信号の振幅レベルが基準レベル以上のときは「Low」となるように二値化する。全光量和信号の振幅レベルは、光ビームが指紋や傷を横切るときに低下するため、基準レベルを適切な大きさに設定しておけば指紋や傷を検知することができる。
上述した回路により生成されたFE信号、TE信号および二値化整形された信号は、プロセッサ311に入力される。プロセッサ311は、フォーカス制御部118、トラッキング制御部119、HOLDフィルタ320、ディフェクト検出部326、スイッチ328および整形設定部362を備えている。
プロセッサ311から出力されるフォーカス制御のための制御信号FEPWMおよびトラッキング制御のための制御信号TEPWMは、それぞれ、駆動部530の駆動回路136および駆動回路138に送られる。
駆動回路136は、制御信号FEPWMに応じてフォーカスアクチュエータ143を駆動する。フォーカスアクチュエータ143は、対物レンズ203を光ディスク102の情報面と略垂直な方向に移動させる。駆動回路138は、制御信号TEPWMに応じてトラッキングアクチュエータ202を駆動する。トラッキングアクチュエータ202は、対物レンズ203を光ディスク102の情報面と略平行な方向に移動させる。
データを読み出すときには、ODC520からの信号に基づいて駆動部530が光ピックアップを駆動する。ある記録層から他の記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合には、光の焦点は、図6の(b)または(c)に示す経路で移動する。なお、光ディスク102が複数の記録層を有するBDである場合には、焦点が記録層間を移動する際に球面収差が調整される。球面収差の調整は、光ピックアップ510内の球面収差補正レンズおよびその駆動機構(いずれも図示せず)を利用して実現される。具体的にはODC520からの指示を受けた駆動部530が駆動信号を出力すると、球面収差補正レンズの駆動機構はその駆動信号に基づいて球面収差補正レンズを駆動する。その結果、移動先の記録層において球面収差が十分小さくなるように球面収差が調整される。
整形回路324から出力された信号は、プロセッサ311のディフェクト検出部326に入力される。ディフェクト検出部326は、たとえば信号が「High」を示すときは、指紋等に起因してサーボ制御が失敗しないように、スイッチ128をHOLDフィルタ320側に切り替えてトラッキングエラー信号をホールドする。一方、ディフェクト検出部326は、信号が「Low」を示すときは、スイッチ128をトラッキング制御部119側に切り替えて、トラッキングエラー信号をトラッキング制御部119に入力する。
次に、データを読み出すための構成を説明する。
加算回路372は、光検出器208の領域A,B,C,Dの出力を加算して、全光量和信号(A+B+C+D)を生成する。全光量和信号(A+B+C+D)はODC520のHPF373に入力される。なお、加算回路372を省略し、加算回路313の出力をHPF373に入力してもよい。
HPF373で低周波成分が除去された加算信号は、イコライザ部374を介して2値化部375で2値化され、ECC/復調回路376でPLL、エラー訂正、復調などの処理が行われ、バッファ377に一時的に蓄積される。バッファ377の容量は、種々の再生条件を考慮して決定されている。
バッファ377内のデータは映像等の再生タイミングに応じて読み出され、再生データとしてホストコンピュータ(不図示)へ出力される。これにより、映像等が再生される。
従来の光ディスクプレーヤにおいても、読み出されたデータを一時的に蓄積するバッファは設けられており、やはり種々の再生条件を考慮して決定されている。
しかし、プレーヤ500に実装されるバッファ377のバッファ容量は、従来のプレーヤのバッファ容量の約3分の1でよい。その理由を、図15を参照しながら説明する。
図15(a)は従来のプレーヤに設けられたバッファのバッファ容量を決定する条件を示し、(b)は本実施形態によるバッファ377のバッファ容量を決定する条件を示す。いずれも2層BD−Rのフォーカスジャンプの開始から、焦点が次のデータ格納位置に到達するまでに要する時間を示している。この時間を考慮することにより、データの読み出しができない期間(すなわちフォーカスジャンプの開始から次に読み出すべきデータの格納位置まで焦点を移動させ終わるまでの期間)に出力すべきデータのデータ量を、再生レートとの関係で決定することができる。
図15(a)に示すように、従来のプレーヤでは、計1000msの読み出し不可能期間を想定しなければならない。その内訳は、球面収差の切り替えに200ms、フォーカスジャンプ動作に50ms、図2(b)に示すフォーカスジャンプの失敗(エラー)の検出に50ms、フォーカスジャンプの失敗に伴う目的の記録層に対するフォーカス制御の再試行およびフォーカス制御可能な状態に遷移するまでに600ms、トラッキング制御をオンにし、目的のトラックまでのシークが完了するまでに100msである。
仮に映像および音声の再生レートが24Mbpsとすると、1000msの読み出し不可能期間中、再生を継続するためには、24Mビット(すなわち3Mバイト)のデータを蓄積しておかなければならない。よってバッファ容量は3Mバイト以上必要になる。
一方、図15(b)に示すように、本実施形態によるプレーヤ500では、計400msの読み出し不可能期間を想定すればよい。その内訳は、球面収差の切り替えに200ms、フォーカスジャンプ動作に50ms、エラー検出に50ms、トラッキング制御をオンにし、目的のトラックまでのシークが完了するまでに100msである。
したがって、再生レートが24Mbpsとすると、再生を継続するためには、9.6Mビット(すなわち1.2Mバイト)のデータを蓄積しておかなければならない。よって、バッファ容量は1.2Mバイト以上必要である。この値は、先の例の約3分の1であり、大幅に削減されているといえる。
図6(d)に示すように、プレーヤ500はフォーカスジャンプ時に焦点が未記録領域に突入してサーボ制御が失われることはないため、従来のプレーヤのような、フォーカスジャンプの失敗に伴うフォーカス制御のやり直しのための時間600msを考慮する必要はない。よって、その時間に対応するデータ量を確保する必要がなくなり、必要なバッファ容量が削減されている。
上述のバッファ容量を低減できる利点は、記録機能を有するレコーダであっても得られる。レコーダは位相差法によるトラッキング制御に加えてプッシュプル法によるトラッキング制御が可能であるため、本来安定したトラッキング制御が可能である。しかし、位相差法によるトラッキング制御時に本発明の焦点移動制御を行うと、制御がさらに安定し精度を向上できる。
たとえば図16は、本実施形態による光ディスクレコーダ600のハードウェア構成の例を示す。
レコーダ600は、BD−Rなどの光ディスク102にデータを書き込むことが可能であり、そのような光ディスク102からデータを読み出すことも可能である。位相差TE信号を利用してデータを読み出すときは、レコーダ600は、ODC620からの信号に基づいて駆動部530が光ピックアップ610および内部の構成要素を駆動する。ある記録層から他の記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合には、光の焦点は、図6の(b)または(c)に示す経路で移動する。
レコーダ600は、ディスクモータ140と、光ピックアップ610と、光ディスクコントローラ(ODC)620と、駆動部630とを備えている。各構成要素は、プレーヤ500の同名の構成要素に対応している。
光ピックアップ610、ODC620および駆動部630がそれぞれ有する構成要素のうち、プレーヤ500に共通するものには同じ参照符号を付し、その説明は省略する。なお、ODC620にはバッファ377が含まれており、先のプレーヤ500と同様の低減された容量を有していればよい。
ODC620のプッシュプルTE信号を生成する処理を説明する。加算器408は光検出器208の領域BとDの和信号を出力し、加算器414は光検出器208の領域AとCの和信号を出力する。差動増幅器410は、加算器408、414からの出力を受け取り、その差を表すプッシュプルTE信号を出力する。ゲイン切換回路416は、プッシュプルTE信号を所定の振幅(ゲイン)に調整する。AD変換器420は、ゲイン切換回路416からの信号をディジタル信号に変換してDSP412に出力する。DSP412は、図14に示すプロセッサ311と同じ構成を有している。
上述の本実施形態による光ディスク装置100、および、光ディスク装置100をさらに具体化したプレーヤ500およびレコーダ600によれば、少なくとも2つの記録層にわたって格納された映像、音声などのデータを連続して読み出す場合において、光ビームの焦点を他の記録層に移動させる前に、あるいは移動させると同時に、焦点を内周あるいは外周方向に所定距離だけ強制的に移動させる。これにより、未記録領域への突入を防止して、層間に跨ってもシームレスな再生を実現することができる。
(実施形態2)
本実施形態による光ディスク装置は、フォーカスジャンプ前後における反射率の変化やアドレスリードエラーの発生を利用して、焦点が未記録領域に突入したか否かを積極的に検出する。そして未記録領域に突入した場合には、速やかに未記録領域が存在する半径方向とは逆方向に光ピックアップを移動して、記録済領域まで復帰させる。この動作により、より安定したフォーカスジャンプを実現できる。
たとえば実施形態1の説明に関連して参照した図5(a)においてL1層の記録済領域52aの半径方向の幅が半径方向の強制的な移動量Dよりも小さい場合や、記録層間の貼り合わせ誤差が想定されていた以上に大きかった場合には、実施形態1の光ディスク装置であっても焦点が未記録領域に突入するおそれがある。しかし、以下に説明する本実施形態による光ディスク装置であれば、そのような焦点が未記録領域に突入しても早急に焦点の位置を修正できる。この動作は、たとえば約50ms以内に完了する。これは、従来の機器がフォーカス制御を再試行する時間(図15(a)に示す600ms)よりもはるかに早い。
図17は、本実施形態にかかる光ディスク装置200の概略的な機能ブロックの構成を示す。光ディスク装置200は、集束部110と、内外周移動部112と、垂直移動部114と、フォーカス検出部116と、フォーカス制御部118と、情報面移動制御部120と、光ビームスポット移動制御部202と、回転部204と、未記録検出部301とを備える。実施形態1の光ディスク装置100と同じ構成については、図8と同じ符号を付し、その説明は省略する。なお回転部204はディスクモータ140の機能に対応する。
光ビームスポット移動制御部202(以下「スポット移動制御部202」と記述する)は、実施形態1のスポット移動制御部104と同様の構成を有し、同様の動作を行う。さらに光ビームスポット移動制御部202は、未記録検出部301からの未記録検出信号の状態に応じた処理を行う。
図18は、図17に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す。光ディスク装置200は、ディスクモータ140と、光ピックアップ122と、プリアンプ126と、フォーカスアクチュエータ駆動回路136と、移送台124と、移送台駆動回路134と、フォーカスエラー生成器128と、フォーカス制御部130と、マイクロコンピュータ210と、未記録検出部301とを備える。実施形態1の光ディスク装置100と同じ構成要素には図9と同じ符号を付し、その説明は省略する。
マイクロコンピュータ210は、実施形態1のマイクロコンピュータ132と同様の構成を有しており、同様の動作を行うが、追加の未記録検出部301の信号を検出し、移送台駆動回路134を介し、移送台124を制御する部分が異なる。未記録検出部301の構成は図20を参照しながら後述する。
次に、図19を参照しながら本実施形態による光ディスク装置200の動作を説明する。図19は、一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の手順を示すフローチャートである。図11に示すステップと同じステップには同じ参照符号を付し、その説明は省略する。
図19に示す焦点の移動制御は、何れかの記録層から他の記録層に光ビームスポットを移動させる場合であって光ディスクの内周方向または外側方向に光ビームスポットを移動させるときに行われる。
この光ビームスポット移動制御において、スポット移動制御部202は、フォーカスジャンプ(S104)を行ったあと、未記録検出部301でフォーカスジャンプした位置が記録済領域か未記録領域か検出する(S200)。フォーカスジャンプした位置が記録済領域の場合はトラッキング制御を動作させ、所定のアドレスを検索して所定の位置からデータを読み出す(S108)。これにより連続的なデータの読み出しが実現される。
逆にフォーカスジャンプした位置が未記録領域の場合は、マイクロコンピュータ210は移送台駆動回路134へ指令を出し、強制的に内周(あるいは外周)へ移送台124を駆動し(S100,S102,S106)、未記録検出部301によって記録済領域であることを確認する。未記録領域の場合はこの処理を繰り返す。記録済領域内に復帰した場合は、トラッキング制御を動作させ、所定のアドレスを検索して所定の位置からデータを読み出す(S108)。これにより連続的なデータの読み出しが実現される。
次に、図20を参照しながら、未記録検出部301のハードウェア構成を説明する。図20は、未記録検出部301のハードウェア構成の例を示す。未記録検出部301は、加算器302と、コンパレータ303とを備えている。
加算器302はプリアンプ126から光量信号を受け取り、その和信号ASを出力する。プリアンプ126とは、たとえば図14に示す光ピックアップ510のプリアンプ126a、126b、126c、126dに相当する。コンパレータ303は、光量和信号ASのレベルを基準レベルと比較し、光量和信号ASのレベルが基準レベルより大きい場合には「1」を出力し、小さい場合には「0」を出力する。
基準レベルは、マイクロコンピュータ210によって設定される。記録済領域の反射率と未記録領域の反射率とは異なっているため、基準レベルは、記録済領域の反射率と未記録領域の反射率の間の値(たとえば平均値)に設定される。
属性が”HIGH to LOW”の光ディスク、すなわち未記録領域の反射率の方が記録済領域の反射率よりも高い光ディスクからデータを読み出しているときにおいて、コンパレータ303の出力が「1」であれば、マイクロコンピュータ210は、焦点が未記録領域に突入したと判定する。
一方、属性が”LOW to HIGH”の光ディスク、すなわち未記録領域の反射率の方が記録済領域の反射率よりも低い光ディスクからデータを読み出しているときにおいて、コンパレータ303の出力が「0」であれば、マイクロコンピュータ210は、焦点が未記録領域に突入したと判定する。
未記録領域の反射率と記録済領域の反射率との差異を利用して、検出した反射率に基づいて焦点がいずれの領域に存在するかを判定してもよい。未記録領域であると判定したときは、焦点を常に内周あるいは外周の方向に距離D以下、たとえばD/2だけ強制的に移動させてもよい。移動方向は、貼り合わせずれ等に起因する未記録領域が存在する半径方向である。換言すると、移動方向はフォーカスジャンプ後の記録層のトラックスパイラルに沿った方向とは反対の方向である。
上述の例は、焦点が未記録領域に存在するか否かを、反射率の相違を利用して判定していた。しかし、光ディスクのアドレスの読み取りの可否に基づいて判定することもできる。
このときマイクロコンピュータ210は、各記録層のトラックのアドレスを検出するアドレス検出部として機能する。
フォーカスジャンプ後、マイクロコンピュータ210は速やかにトラッキング制御を動作させてトラックのアドレスの読み取りを試みる。アドレスを読み取ることができたときは、マイクロコンピュータ210は、その位置は記録済領域であると判定する。
アドレスを読み取ることができなければ、所定の回数(たとえば3回)リトライする。そして、規定回数リトライしてもアドレスを読み取ることができなかったときは、マイクロコンピュータ210はアドレスリードエラーを発し、焦点は未記録領域に突入したと判定する。そしてエラーリカバリ処理として強制的に内周(あるいは外周)へ光ヘッドを移動させる。移動方向や移動量は、上述の反射率を利用した例と同じである。
上述の動作は、実施形態1において説明したプレーヤ500およびレコーダ600のプロセッサによっても実現される。
本実施形態による光ディスク装置200によれば、少なくとも2つの記録層にわたって格納された映像、音声などのデータを連続して読み出す場合において、光ビームの焦点を他の記録層に移動させた後、その位置が未記録領域であることを検出することができる。未記録領域であれば、光ビームの焦点を内周方向あるいは外周方向の記録済領域に向けて強制的に移動させる。未記録領域へ突入しても速やかに復帰させることが可能となり、層間に跨ったデータを確実に読み出すことができるため、映像、音声等のコンテンツの再生をシームレスに実現できる。
なお、本実施形態においては、焦点が未記録領域に突入したと判定されると焦点を内周方向あるいは外周方向の記録済領域に向けて所定距離だけ強制的に移動するとした。移動量は、内周あるいは外周へ移動量D以下の量、たとえばD/2でよい。
図11〜13、図19に示す焦点移動制御の手順は、コンピュータプログラムの処理手順としても実現され得る。このコンピュータプログラムは、光ディスク装置のメモリ(図示せず)に格納されてマイクロコンピュータによって実行される。マイクロコンピュータに代えて、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)を用いてもよい。コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録して市場に流通させ、または、インターネット等の電気通信回線を通じて伝送される。そのようなコンピュータプログラムを実行すると、従来の光ディスク装置であっても、本発明による光ディスク装置と同等の機能を有する焦点移動制御を実現できる。
本発明による光ディスク装置は、多層ディスクに記録された連続した情報の再生において、特定層から他の層に跨って連続的にデータを読み出すとき、元の記録層において光ビームが移動してきた半径方向とは逆の半径方向に光ビームスポットの移動させることで未記録領域への突入を防止する。仮に未記録領域に突入したとしても速やかにかつ確実にサーボ制御が可能な状態に復帰させることができる。よって、映像、音声等のコンテンツのシームレスな再生を実現できる。
本発明による光ディスク装置は、ファイナライズ処理が行われていない光ディスクであっても確実にその記録済領域に焦点を移動させることができる。ユーザは記録容量が大きい光ディスク(たとえばBD)に長時間を費やしてファイナライズ処理を行う必要はなくなる。さらに本発明による光ディスク装置は、従来の光ディスク装置のように再試行を何度も繰り返し、その結果タイムアウトで読み出し失敗と判定することもない。
仮に未記録領域に焦点を移動させてしまったとしても、特に実施形態2に示す光ディスク装置は速やかにかつ確実に焦点を記録済領域に移動させることができる。データの再生が不能に陥ることがなく、光ディスク上のコンテンツを確実に視聴できるため、非常に信頼性が高く、ユーザが安心して利用できる光ディスク装置を提供できる。
本発明は、回転している円盤状の情報担体(以下、「光ディスク」と称する。)に記録されたデータを読み出す光ディスク装置に関する。より具体的には、本発明は、多層ディスクの隣接する記録層に跨って書き込まれたデータを連続的に読み出す際、移動先の記録層のデータ未記録領域を回避して光ビームの焦点を確実に記録層に移動させる光ディスク装置に関する。
DVD(Digital Versatile Disc )等の光ディスクからデータを読み出し、またはデータを書き込む光ディスク装置が開発され広範囲に普及してきている。近年は種々の情報が電子化され光ディスクに記録されるため、光ディスク装置には高い動作信頼性や使い勝手等の向上が求められている。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。
再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピット列による情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え可能な光ディスクにデータを記録する場合は、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
なお、ピットの深さ、トラックの深さ、および記録材料膜の厚さは、光ディスク基材の厚さに比べて小さい。このため、光ディスクにおいてデータが記録されている部分は、2次元的な面を構成しており、情報の「記録面」と称される場合がある。本明細書では、このような記録面が深さ方向にも物理的な大きさを有していることを考慮し、「記録面」の語句を用いる代わりに「記録層」の語句を用いることとする。光ディスクは、このような記録層を少なくとも1つ有している。1つの記録層が、現実には、相変化材料層や反射層などの複数の層を含んでいてもよい。
記録可能な光ディスクにデータを書き込むとき、または、書き込まれたデータを読み出すとき、光ビームが記録層における目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点の位置が常に記録層上に位置するように対物レンズの位置を記録層の法線方向(以下、「基板の深さ方向」と称する。)に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームの焦点が所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光ディスクの半径方向(以下、「ディスク半径方向」と称する。)に制御することである。
従来から、複数の記録層を有する再生専用型の光ディスクの開発が進んでおり、普及が進んでいる。また、大容量のデータを記録したいという要求から、複数の記録層を有する記録可能型の光ディスクが提案されつつある。複数の記録層を有する光ディスクは「多層ディスク」と称される。
複数の記録層に書き込まれているデータを順次読み出すためには、光ビームの焦点を、一方の記録層から他方の記録層へ移動させる動作(いわゆるフォーカスジャンプ動作)が必要となる。フォーカスジャンプは、フォーカス制御およびトラッキング制御によって実現される。
たとえば特許文献1は、フォーカスジャンプ動作を行う光ディスク装置を開示している。この光ディスク装置は、ターゲットアドレス位置が現在のアドレス位置より内周の場合は、ターゲットアドレス位置に相当する同一記録層の半径位置までシークしてフォーカスジャンプし、ターゲットアドレス位置に到達する。一方、ターゲットアドレス位置が現在のアドレス位置よりも外周の場合は、まず現在のアドレス位置でフォーカスジャンプしてからターゲットアドレス位置にシークする。
多層ディスクに対して確実にデータを書き込み、およびデータを読み出すためには、種々の影響を考慮する必要がある。
多層ディスクでは、各記録層の反射率をほぼ一定にするため、光ビームが照射される側の記録層の透過率を高くとらなくてはならない。結果として、一定にすべき反射率は低くなり、各層の反射率がこの低い反射率にほぼ同一となるように光ディスクが製作されることになる。よって各種信号の信号レベルは低下しS/N比が劣化する。
一方で、記録層内の領域のうち、データが書き込まれていない未記録領域とデータが書き込まれている記録済領域との間では、ディスクの特性によって反射率が異なる。ディスクの特性としては、データを記録することによって反射率が下がる特性(たとえばDVD−RAM)と、記録によって反射率が上がる2種類の特性が考えられる。この反射率の変化は2倍以上に到達するほど大きいことが一般的で、記録済領域と未記録領域の境界周辺では、各種信号がこの反射率の変化の影響を受けることになり、特に精密なサーボが求められる場合、この変化の影響は大きな外乱となる可能性がある。
再生専用の装置(プレーヤ)は、光ディスクのピット列から反射された光に基づいて位相差トラッキングエラー信号(位相差TE信号)を生成し、この位相差TE信号によりトラッキング制御を行う。再生専用型の光ディスクには必ずピットの形態でデータが格納されるため、光ディスクのトラック上であれば、どの領域からでも位相差TE信号を生成でき、トラッキング制御を実行することが可能である。また、データにはアドレス情報が付加されているため、確実に光ピックアップの位置決めを行うことができる。
このようなプレーヤに未記録領域の存在する記録可能型光ディスクが挿入されると、トラッキング制御ができなくなることがある。未記録領域には再生専用の光ディスクにおけるピット列に対応したマーク列が存在していないため、光ビームの焦点が未記録領域に入ると、位相差TE信号を生成できず、トラッキング制御を正確に実行できなくなるからである。
一方、記録可能型光ディスクに対応している装置(レコーダ)は光ディスクの未記録領域に対してデータを書き込む必要があるため、マーク列の存在を前提としないプッシュプル法によるトラッキング制御を行っている。プッシュプル法によるトラッキング制御を行うには、光ディスクに設けられているグルーブからプッシュプルトラッキングエラー信号を生成する必要がある。
特開2000−251271号公報
特許文献1に記載されている光ディスク装置のように、現在のアドレス位置から目標アドレス位置を最短距離で結ぶアクセス方法を採用すると、光ビームの焦点が移動先の記録層における未記録領域を通過する場合がある。最短距離のアクセスを行うため、フォーカスジャンプ先が記録済領域であることが保証されていないからである。このような場合、記録済領域と未記録領域との間の反射率の変化によってサーボ状態が不安定となることは避けられない。
また、光ディスクに起因してサーボ制御が外れてしまうという問題も発生する。たとえばレコーダによって映像や音声の連続したデータが記録可能型2層DVDの2つの記録層を跨いで書き込まれたとする。このDVDでは、光ビームが照射される側からみて最も浅いL0層で内周から外周に向けてデータが書き込まれ、その後、奥側のL1層で外周から内周に向けて折り返して書き込みが継続される。その光ディスクが従来のプレーヤに装填されると、プレーヤはその光ディスクが再生専用型であると認識し、光ピックアップを制御して記録済領域へアクセスしようとする。
ところが、フォーカスジャンプ先のL1層の外周近傍の位置は未記録領域になっており、2層ディスクの貼り合わせ精度やクランプ精度が低い場合、または、偏心の誤差が大きい場合には、フォーカスジャンプ先が未記録領域になりサーボ制御を失敗するおそれがある。さらに、フォーカスジャンプによって光ビームの焦点が未記録領域内にとどまらずにディスク外に飛び出し、やはりサーボ制御が外れてしまう。これでは、L0層からL1層への連続した再生(シームレス再生)ができず、映像、音声が中断してしまう。
上述した種々の問題は、記録装置によって記録された、次世代青色レーザを用いた2層、3層、4層等の多層大容量ディスク上の情報を再生するための専用の再生装置においても同様に存在する。
上述の問題は、記録可能型光ディスクをプレーヤに挿入したときに最も顕著である。プレーヤは、未記録領域のトラックに対してトラッキングが可能な、プッシュプル法によるトラッキング制御を行わないからである。
なお、そのようなディスクにファイナライズ処理を行えば、未記録領域は記録済領域に変更されるため、位相差TE信号を得ることが可能となる。よって、プレーヤで記録可能型光ディスクを安定して再生するためには、ファイナライズ処理が不可欠であった。
しかし、常にファイナライズ処理を行わなければならないとすると、その処理に要する時間や未記録領域を無駄に消費することになり妥当ではない。特に、ブルーレイ・ディスクのような次世代光ディスクの容量は非常に大きいため、ファイナライズ処理に数十分を要し、数ギガバイトの容量が無駄になるおそれもある。したがって、ファイナライズ処理を要求することは適切ではない。
さらに、ファイナライズ処理を行ったとしても、貼り合わせ精度に起因するリードアウトへのフォーカスジャンプを防ぐことは依然としてできない。
図1の(a)〜(c)は、多層ディスクの製造工程を示す。まず(a)に示すように、それぞれ1つの記録層を有する基板101−1および101−2が用意され、接着剤によって貼り合わされる。すると、(b)に示すような記録層L0およびL1(以下、「L0層」および「L1層」と記述する)を有する多層ディスク101が得られる。
貼り合わせの精度が低い場合には、図1の(c)に示すように、L0層およびL1層の端部のずれ、すなわち貼り合わせずれKが大きくなる。貼り合わせずれKは、たとえば50μmである。
光ディスク装置が、このような光ディスクの特定の目標位置(トラック)にアクセスするためにフォーカスジャンプしたとき、貼り合わせずれKが大きい場合には光ビームの焦点が未記録領域に入ることがある。たとえば図2(a)は、貼り合わせずれKが存在する光ディスク101のL0層上に光ビームが存在する状態を示す。図2(b)は、フォーカスジャンプによって光ビームの焦点がL1層のリードアウト内に入った状態を示す。
フォーカスジャンプ後の不安定な状態で、未記録領域に依存した信号レベルの影響や境界周辺の反射光の変化の影響を受けると、サーボ状態がさらに不安定になるという問題がある。また、ディスクを高速回転させるために機構的に確実にクランプする必要もあるが、クランプ精度が低い場合やディスクが偏心している場合にも同様の問題を生じうる。
更に、記録型の光ディスクに対してデータを書き込み、データを読み出すためには、記録・再生要求が発生してから記録・再生動作を開始するまでの応答時間が高速であることが求められる。記録済領域と未記録領域では光ビームの焦点制御に関する調整を個別に行わなければならないため、光の焦点が記録済領域のみを通過するようなアクセス方法が採用できることが好ましい。
本発明の目的は、複数の記録層にわたって書き込まれたデータを連続的に読み出す際に、データが書き込まれていない未記録領域に光ビームの焦点が突入することを防ぐことにある。また、本発明の他の目的は、未記録領域に光ビームの焦点が突入した場合においても、途切れなく安定してデータを読み出せるように光ビームの焦点位置を制御することにある。
本発明による光ディスク装置は、第1記録層および第2記録層を含む複数の記録層を有する光ディスクからデータを読み出すことが可能である。前記光ディスク装置は、前記光ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構に装填された光ディスクに対して集束された光を照射し、前記光ディスクから反射された光に基づいて再生信号を生成する光ピックアップと、前記駆動機構および前記光ピックアップの動作を制御して、前記光の焦点を移動させる制御部とを備えている。前記第1記録層および前記第2記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合において、前記制御部は、前記第1記録層上のデータを読み出している間は前記光の焦点を第1の半径方向に移動させ、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に所定量ずらした第2記録層上の位置に移動させる。
前記制御部は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1記録層上で前記第2の半径方向に前記所定量移動させ、その後前記第2記録層上に移動させてもよい。
前記制御部は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第2の半径方向に移動させながら、前記第1記録層から前記第2記録層に移動させてもよい。
前記制御部は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1記録層から前記第2記録層上に移動させ、その後前記第2の半径方向に前記所定量移動させてもよい。
前記光ディスク装置は、前記光ディスクから反射された光に基づいて、前記光の焦点が、現在データが格納されている記録済領域に存在するか、データが格納されていない未記録領域に存在するかを判別する判別部をさらに備えていてもよく、前記制御部は、前記光の焦点を前記第1記録層から前記第2記録層上に移動させた後、前記判別部によって、前記光の焦点が現在未記録領域に存在すると判別されたときに、前記光の焦点を前記第2の半径方向に前記所定量移動させてもよい。
前記光ディスク装置は、前記光ディスクから反射された光に基づいて、前記第1記録層および前記第2記録層の各トラックのアドレスを検出するアドレス検出部をさらに備えていてもよく、前記制御部は、前記光の焦点を前記第1記録層から前記第2記録層上に移動させた後、前記アドレス検出部がアドレスを検出できないときに、前記光の焦点を前記第2の半径方向に前記所定量移動させてもよい。
前記第1記録層および前記第2記録層の各トラックは、互いに逆スパイラルの関係にあってもよい。
前記光ディスク装置は、連続する論理セクタ番号が割り当てられた前記第1記録層の記録済領域および前記第2記録層の記録済領域に格納された前記データを読み出してもよい。
前記光ディスク装置は、記録装置によって書き込まれた前記データを読み出す、再生専用の装置であってもよい。
本発明による制御回路は、光ディスク装置に実装される。前記光ディスク装置は、光ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構に装填された光ディスクに対して集束された光を照射し、前記光ディスクから反射された光に基づいて再生信号を生成する光ピックアップとを備え、かつ、第1記録層および第2記録層を含む複数の記録層を有する光ディスクからデータを読み出すことが可能である。
前記第1記録層および第2記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合において、前記制御回路は、前記駆動機構および前記光ピックアップの動作を制御して、前記第1記録層上のデータの読み出している間は前記光の焦点を第1の半径方向に移動させ、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1の半径方向とは反対の第2の半径方向に所定量ずらした第2記録層上の位置に移動させてもよい。
前記制御回路は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第1記録層上で前記第2の半径方向に前記所定量移動させ、その後前記第2記録層上に移動させてもよい。
前記制御回路は、前記第2記録層上のデータを読み出す前に、前記光の焦点を前記第2の半径方向に移動させながら、前記第1記録層から前記第2記録層に移動させてもよい。
本発明の光ディスク装置は、多層ディスクの隣接する第1記録層から第2記録層に跨って書き込まれたデータを連続的に読み出すとき、第1記録層において光ビームが移動してきた半径方向とは反対の半径方向に光ビームの焦点を移動させる。その移動は、第2記録層への移動前または第2記録層への移動と同時に行われる。隣接する記録層ではトラックスパイラルが逆であるため、上述の移動動作によれば、貼り合わせずれなどに起因する未記録部領域への焦点の突入を防止できる。
また、焦点がデータの未記録領域に存在すると判断したときは、第1記録層において光ビームが移動してきた半径方向とは逆方向に焦点を移動させて、サーボ制御可能な状態に速やかに復帰させる。これにより、安定なシームレスな再生が可能になる。
まず、図3から図5を参照しながら光ディスクの物理構造および論理構造を説明する。その後、光ディスク装置の実施形態を説明する。
なお、本発明が最も顕著な効果を生じる光ディスクおよび光ディスク装置の組み合わせは、光ディスクが記録可能型であり、光ディスク装置が再生機能のみを有する光ディスクプレーヤの場合である。ただし、後述のように光ディスク装置が記録機能を有する場合であっても効果を得ることはできる。
まず、光ディスクとは、少なくとも光ビームによってデータを読み出すことが可能な記録媒体である。本明細書においては、光ディスクは再生専用型ではなく、記録可能型であるとする。光ディスクは、たとえばDVD−RAM,DVD−RW,DVD−R,+RW,+Rを、2または3以上に多層化したディスクであってもよいし、青色光等を使用する高密度の多層ディスクであってもよい。
図3(a)は、DVD規格による2層光ディスク102の一例を示す。光ディスク102は、L0層を有する基板150−1と、L1層を有する基板150−2とが貼り合わされて製造されている。光ディスク102の各L0層およびL1層には、一方の面から光ビームを照射することによってアクセスできる。光ビームが照射される側からみて浅い記録層をL0層とし、奥がL1層である。光ディスク102は、1.2mmの厚さを有する。L0層およびL1層はその中心である0.6mm付近に略40μm〜70μmの間隔で構成される。
さらに図3(b)は、BD規格による3層光ディスク102の例を示す。光ディスク102は、基板150と、L0層、L1層およびL2層とを備える。光ディスク102の各L0層、L1層およびL2層には、一方の面から光ビームを照射することによってアクセスできる。光ディスク102は、1.2mmの厚さを有し、基板150は、1.1mmの厚さを有する。L0層、L1層およびL2層は、25μm間隔で配置される。L0層は保護膜152の表面から100μmの位置に配置される。L1層は保護膜152の表面から75μmの位置に配置される。L2層は保護膜152の表面から50μmの位置に配置される。
図4(a)〜(c)は、オポジットトラックパスと呼ばれる2層DVDのトラック、再生方向およびセクタ番号を示す。図4(a)はL0層およびL1層の各々に設けられているスパイラル状の溝パターン2−1および2−2を示す。図4(b)は各記録層に対しユーザデータの書き込みおよび/または読み出しを行うときの光の走査方向を示す。図4(c)は各記録層に対応して割り当てられたセクタ番号の変化を示す。
光ディスクを時計回りに回転させると、L0層では、光の走査はトラック2−1に沿って内周から外周へ進み、L1層では外周から内周へと進む。図4(b)に示す再生の例では、L0層のユーザデータ領域5の最内周から最外周までのユーザデータが再生され、その後、L1層のユーザデータ領域5の最外周から最内周までのユーザデータが再生される。なお、L0層およびL1層のユーザデータ領域5を基準として、内周側にはテスト領域4が設けられており、外周側にはリードアウト7が設けられている。
図4(c)に示すように、各層の物理セクタ番号PSNおよび論理セクタ番号LSNは、再生方向に進むにしたがって順に増加するように割り当てられる。但し、L1層のスパイラル方向はL0層のスパイラル方向とは逆であるため、セクタ番号と半径方向の位置との関係は変わる。L0層のユーザデータ領域5では、論理セクタ番号LSNは最内周で0であり、外周へ進むにつれて1ずつ増加する。
L1層のユーザデータ領域5では、最外周のセクタの論理セクタ番号LSNはL0層の最大論理セクタ番号に1を加えた値となり、内周へ進むにつれて1ずつ増加する。なお、L0層およびL1層のユーザデータ領域5へのデータの書き込み方によって、論理セクタ番号LSNと半径方向の位置との関係は変わる。論理セクタ番号は、記録層が変わった場合でも連続である。
図3(a)および図4(a)に示すように、2層DVDでは光ビームが照射される側の面からみて手前の記録層がL0層、奥の記録層がL1層と呼ばれている。一方、図3(b)に示すように、多層BDでは光ビームが照射される側の面からみて最も奥の記録層から順にL0層、L1層・・・と呼ばれている。DVDおよびBDのいずれの場合も、L0層では内周から外周、L1層では外周から内周に向かって、焦点が移動してデータが読み出される。
図5(a)〜(c)は、光ディスク102に対する種々のデータの書き込み方法を示す。
図5(a)は、L0層の全ユーザデータ領域51aおよびL1層の一部のユーザデータ領域52aにデータが書き込まれている状態を模式的に示す。書き込まれたデータは1つのボリューム(情報単位)を形成している。一方、L1層のユーザデータ領域53aは未記録領域である。
図示された状態は、たとえば図4(b)に示す状態と同じである。この光ディスクにはシングルスパイラルのグルーブ構造が設けられている。図中の矢印で示すように、L0層のトラックに対しては内周から外周への連続記録が可能であり、L1層のトラックに対しては外周から内周への連続記録が可能である。
論理セクタ番号LSNはL0層の最内周位置50aから順に割り当てられている。L0層のユーザデータ領域51aの終端の論理セクタ番号LSNと、L1層のユーザデータ領域52aの始端の論理セクタ番号LSNは連続している。
図5(b)は、一部のユーザデータ領域51bおよび52bにデータが書き込まれている状態を模式的に示す。L0層およびL1層には概ね同じデータ量のデータが格納されており、全体で1つのボリューム(情報単位)を形成している。
光ディスクの構造や、各記録層についての連続記録が可能な方向は図5(a)と同じである。図5(b)では、データの書き込み先が、L0層のユーザデータ領域の途中でL1層のユーザデータ領域に切り替わっている。このとき、ユーザデータ領域51bの終端位置50bの論理セクタ番号LSNと、ユーザデータ領域52bの始端位置50bの論理セクタ番号LSNとが連続している。
図5(c)は、光ディスクの各L0層〜L2層の一部のユーザデータ領域にデータが書き込まれている状態を模式的に示す。L0層〜L2層には概ね同じデータ量のデータが格納されており、全体で1つのボリューム(情報単位)を形成している。
この光ディスクにもシングルスパイラルのグルーブ構造が設けられている。図中の矢印で示すように、L0層のトラックに対しては内周から外周への連続記録が可能であり、L1層のトラックに対しては外周から内周への連続記録が可能であり、L2層のトラックに対しては内周から外周への連続記録が可能である。
図5(a)〜(c)の例では、隣接するL0層とL1層、L1層とL2層には、それぞれ反対方向のトラックスパイラルが設けられている。
記録済み領域について、L0層の終端位置の論理セクタ番号LSNとL1層の始端位置の論理セクタ番号LSNとは連続している。また、L1層の終端位置の論理セクタ番号LSNとL2層の始端位置の論理セクタ番号LSNとは連続している。
上述の図5(a)〜(c)のいずれの方法でデータが書き込まれていたとしても、L0層の記録済領域の終端位置から光ビームの焦点を基板の深さ方向に移動しただけでは、L1層の記録済領域の始端、すなわち記録済領域と未記録領域との境界に入り、サーボ制御が外れるおそれが高くなる。さらに、L1層の再生方向とは逆の方向にずれてしまうと焦点は未記録領域に入り、やはりサーボ制御が外れるおそれが高くなる。
さらに、図5(a)に示す書き込み方法が採用されている場合には、光ディスクの貼り合わせずれの影響を大きく受ける。
そこで、以下では図5(a)に示す記録方法が採用されている場合を挙げて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
まず図6を参照しながら、本実施形態による光ディスク装置の焦点移動制御動作の概要を説明する。その後、光ディスク装置の構成および動作を詳細に説明する。
図6(a)は、L0層およびL1層の記録済領域の拡大図である。記録済領域は光ディスクの最外周部分に含まれている。
本実施形態にかかる光ディスク装置の特徴のひとつは、フォーカスジャンプの際に、ジャンプ先記録層の未記録領域が存在する半径方向とは逆の半径方向に光ピックアップを強制的に駆動することにある。これにより、光ビームの焦点が未記録領域に突入することを防止できる。具体的には以下の通りである。
図6(b)は、本実施形態による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の例を示す。光ディスク装置は、L0層のデータの読み出しが完了するまでは、光ピックアップの位置を制御して光ビームの焦点を外周に向かう半径方向に移動させる。終端位置Pに到達してL0層のデータの読み出しが完了した後は、光ビームの焦点を位置Q、S、Tの順に移動させる。
より具体的には、位置Pから、同じL0層上の位置Qまで反対方向(内周方向)に移動量Dだけ強制的にずらし、その後フォーカスジャンプを行う。この結果、焦点はL1層の位置Sに到達する。L1層の位置SはL1層の記録済領域である。したがって、その位置では反射率は概ね一定であり大きな変動はないため、安定したトラッキング制御およびフォーカス制御が可能である。L1層でのサーボ制御が開始されると、光ディスク装置は焦点を外周方向のL1層の始端位置Tまで移動させる。そして、その位置から続きのデータを読み出す。
位置PからQまで強制的にずらした方向は、貼り合わせずれ等に起因する未記録領域が存在しない半径方向、すなわちL1層のトラックスパイラルに沿った半径方向である。
図6(c)は、本実施形態による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の他の例を示す。光ディスク装置は、L0層のデータの読み出しが完了するまでは、光ピックアップの位置を制御して光ビームの焦点を外周に向かう半径方向に移動させる。
終端位置Pに到達してL0層のデータの読み出しが完了した後は、光ビームの焦点を位置P、S、Tの順に移動させている。位置Pから位置Sまでの焦点の移動は、内周方向への移動(移動量D)と基板の深さ方向への移動が同時に行われることによって実現される。斜め方向にフォーカスジャンプが行われているといえる。その後は上述のように、位置Sにおいてサーボ制御が開始されると、焦点が位置SからTまで移動される。
図6(d)は、焦点の半径方向の移動量Dと、貼り合わせずれのずれ量Kとの関係を示す。想定されるずれ量Kを50μmとすると、焦点の半径方向の移動量Dは約300μmに設定される。この移動量Dは想定されるディスクの偏心量よりも大きく設定されている。その偏心量はBDで約±37.5μm、DVDで約±50μm程度である。なお、「偏心量」とは一般にはディスクが1回転する間のずれの最大幅をいうが、本実施形態においては、少なくともフォーカスジャンプ期間中(後述の図15によれば50ms)において偏心によってずれる幅を考慮すればよい。
移動量Dは想定されるずれ量Kよりも十分大きく設定されているため、光ディスク102に貼り合わせずれが存在したとしても、L1層の記録済領域に確実に焦点を移動できる。この結果、フォーカス制御、トラッキング制御等のサーボ制御を確実に行うことができ、フォーカスジャンプに失敗することがなくなり、L0層からL1層にわたって格納されたデータを連続して読み出すことが可能である。なお、図6の(d)では(c)に対応する例を挙げたが、移動量Dは(b)の例でも同じ値にしてもよい。
なお、図6の(b)〜(c)の例では、位置Pのデータを読み終えた後、光の焦点が位置Tに到達するまでは続きのデータを読み出すことができないが、その一方で映像等の再生は継続しなければならない。したがって、データを一時的に蓄積するバッファを設け、位置Pから位置Tまでの期間、再生を途切れなく行うためのデータを蓄積しておく必要がある。バッファを設けることは一般的であり、その容量は種々の再生条件に基づいて決定されるが、本発明にかかる焦点移動制御方法によればバッファに必要な容量を大幅に低減できる。その詳細は図15を参照しながら後述する。
次に、図7〜図10を参照しながら、上述の処理を実現する光ディスク装置100の構成を説明する。まず光ディスク装置100の機能的構成を説明し、その後、光ディスク装置100のハードウェア構成を説明する。
図7は、本実施形態による光ビームスポット移動制御部104を備えた光ディスク装置100を示す。図7には、光ディスク102も示されているが、光ディスク102は光ディスク装置100から取り外し可能であり、光ディスク装置100の構成要素ではない。
光ビームスポット移動制御部104(以下「スポット移動制御部104」と記述する。)は、光ディスク102にアクセスする光ディスク装置100の後述する他の構成要素の動作を制御して、光ディスク102の記録層上に集束される光ビームの焦点を移動させる。なお、光ビームの「スポット」は、光ビームが記録層に照射されることによって記録層上に形成された光ビームの断面として認識される。しかし本明細書においては、光ビームの「スポット」は光ビームの焦点と同じ意味である。
スポット移動制御部104は、目的の記録層、すなわち、焦点の移動先の記録層における所望のトラックを検索する制御を行う。またスポット移動制御部104は、フォーカスジャンプを行うか否かを判定する。さらに、スポット移動制御部104は、内周方向への移動か外周方向への移動かを判定し、移動方向に応じた手順で光ビームスポットの移動制御を行う。後に詳述するこれらの動作により、光ディスク装置100は光ディスク102の未記録領域を回避して目標位置へアクセスするべく光学ヘッドを制御することができ、フォーカスジャンプを伴う層間のアクセス性能を向上させることができる。
一方の記録層から他方の目的の記録層にフォーカスジャンプを行う場合には、スポット移動制御部104は以下のように焦点の動きを制御する。すなわち、現在の位置を基準として光ディスク102の外周方向に光ビームの焦点を移動させるときは、スポット移動制御部104は焦点を目的の記録層に移動させたあと、外周方向に移動させる。一方、現在の位置を基準として光ディスク102の内周方向に光ビームの焦点を移動させるときは、スポット移動制御部104は焦点を内周方向に移動させたあと、目的の記録層に移動させる。
図8は、光ディスク装置100の概略的な機能ブロックの構成を示す。光ディスク装置100は、集束部110と、内外周移動部112と、垂直移動部114と、フォーカス検出部116と、フォーカス制御部118と、情報面移動制御部120と、スポット移動制御部104とを備える。
集束部110は、光ディスク102の記録層に光ビームを集束する。集束部110は、たとえば光学レンズ(対物レンズ)であり、NA0.6以上の光学レンズであってもよいし、NA0.85以上の光学レンズであってもよい。
垂直移動部114は、記録層と実質的に垂直な方向に集束部110を移動させる。垂直移動部114は、たとえばアクチュエータである。
フォーカス検出部116は、記録層上の光ビームの集束状態に対応した信号を生成する。フォーカス検出部116は、たとえば光ビームの焦点と光ディスク102との垂直方向に関する誤差信号(フォーカスエラー信号)を生成する。
フォーカス制御部118は、フォーカス検出部116の信号に応じて垂直移動部114を駆動し、記録層上の光ビームの集束状態が略一定となるように制御する。また、フォーカス制御部118は、たとえばフォーカスジャンプが行われる前にフォーカス制御をオフにし、フォーカスジャンプ後にフォーカス制御をオンにする。
情報面移動制御部120は、ある記録層上に集束された光ビームの焦点を目的の記録層に移動させる制御を行う。情報面移動制御部120は、たとえば垂直移動部114を駆動し、フォーカスジャンプを制御する。
内外周移動部112は、光ディスク102の内周方向または外周方向に光ビームの焦点を移動させる。たとえば、内外周移動部112は、光ディスク102の内周方向または外周方向に集束部110を移送することによって、光ディスク102の記録層上に形成されたトラックを横切る方向に光ビームの焦点を移動させる。
図9は、図7および図8に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す。光ディスク装置100は、ディスクモータ140と、光ピックアップ122と、プリアンプ126と、フォーカスアクチュエータ駆動回路136と、移送台124と、移送台駆動回路134と、フォーカスエラー生成器128と、フォーカス制御部130と、マイクロコンピュータ132とを備える。
ディスクモータ140は、光ディスク102を所定の回転数(回転速度)で回転させる。
マイクロコンピュータ132は、フォーカス制御部130を内蔵しており、フォーカスアクチュエータ駆動回路136および移送台駆動回路134を制御する。
フォーカス制御部130は、後述するフォーカスエラー生成器128からのフォーカスエラー信号に対して位相補償,ゲイン補償等のフィルタ演算を行い、制御信号を出力する。
移送台駆動回路134は、駆動信号を出力して移送台124を駆動する。移送台124は、光ディスク102の半径方向に光ピックアップ122を移動させる。
光ピックアップ122は、光ビームを出力し、光ディスク102の記録層上に光ビームスポットを形成する。また、光ピックアップ122は、光ディスク102からの反射光を受け、反射光に応じた信号を出力する。
プリアンプ126は、光ピックアップ122の後述する受光部144からの電流信号を電圧信号に変換する。
フォーカスエラー生成器128は、プリアンプ126からの信号を受けて、光ビームの焦点と光ディスク102との垂直方向に関する誤差、すなわちフォーカスのずれを示すフォーカスエラー信号(FE信号)を出力する。FE信号は、光ビームが光ディスク102の記録層上で所定の集束状態になるように制御するために用いられる。換言すれば、FE信号は光ビームの焦点が記録層上に位置するように制御するために用いられる。
FE信号をどのような方法によって生成するかは特に限定されない。たとえば非点収差法、ナイフエッジ法、SSD(スポット・サイズド・ディテクション)法が知られており、これらのいずれを用いてもよい。フォーカスエラー生成器128の回路構成は検出法に応じて適宜変更すればよい。
フォーカスアクチュエータ駆動回路136は、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130からの制御信号にしたがって、光ピックアップ122内に設けられた後述のフォーカスアクチュエータ143を駆動する。
図10は、光ピックアップ122のハードウェア構成を模式的に示す。光ピックアップ122は、光源146と、光学レンズ(対物レンズ)142と、受光部144と、フォーカスアクチュエータ143とを備える。
光源146は光ビームを出力する。光源146は、たとえば半導体レーザである。光ビームの波長は、読み出されるデータが格納された光ディスク102の種類に応じて決定される。たとえば光ディスク102が追記型の2層DVDであれば、波長680nm以下の光ビームを出力する。また、光ディスク102が追記型の2層ブルーレイ・ディスクであれば、波長410nm以下の光ビームを出力する。
光学レンズ142は、光源146から出力された光ビームを集束し、焦点を形成する。また、光学レンズ142は、光ディスク102からの反射光を通過させる。受光部144は、光学レンズ142を通過した光ディスク102からの反射光を受け、その光信号を電気信号(電流信号)に変換する。受光部144は、たとえば4つに分割されている。フォーカスアクチュエータ143は、光学レンズ142を、光ディスク102の記録層に対して略垂直な方向(以下単に「垂直方向」と記述する。)に移動させる。フォーカスアクチュエータ143が光学レンズ142を移動させることにより、光ビームの焦点を光ディスク102の記録層上に位置させることができる。
図9および図10に示すハードウェア構成は、図7および図8に示す機能ブロックの構成と以下のように対応する。すなわち、光学レンズ142は、図8の集束部110に対応する。受光部144、プリアンプ126およびフォーカスエラー生成器128は、図8のフォーカス検出部116に対応する。フォーカスアクチュエータ駆動回路136およびフォーカスアクチュエータ143は、図8の垂直移動部114に対応する。マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、図8のスポット移動制御部104、情報面移動制御部120およびフォーカス制御部118に対応する。
次に図11から図13を参照しながら、光ディスク装置100の動作を説明する。まず、図6(b)に示す経路で焦点を移動させる手順を説明する。
複数の記録層に跨って格納された映像または音声の一連のデータを連続して読み出す場合を想定すると、読み出しの途中で一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う必要がある。図11は、一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第1の手順を示すフローチャートである。
スポット移動制御部104は、まず、層間移動後の情報の記録されている方向が内周方向か外周方向かを判定する(S100)。
たとえば図5(b)に示す2層ディスクからデータを読み出すとする。L0層のユーザデータ領域51bのデータの読み出しが完了すると、スポット移動制御部104は、現在のL0層の位置50bと、目的の記録層L1おける所望のトラックとが同じ半径位置にあると判定する。
目的の記録層L1での再生方向は、これまでとは反対の内周方向である。スポット移動制御部104は内外周移動部112に指示を出して、焦点を所定位置まで内周方向に強制的に移動するように制御する(S102)。移動量Dはたとえば300μmである。たとえば移送台駆動回路134が移送台124に対して、内周方向に300μm移動させるための駆動電圧を印加することによって実現される。
その後、スポット移動制御部104は情報面移動制御部120に指示を出して、目的の記録層L1に対しフォーカスジャンプ動作を実行させる(S104)。ここでいうフォーカスジャンプ動作には、焦点をL1層上に移動させた後、さらに距離Dだけ外周方向に強制的に移動させる動作も含まれる。その理由は、焦点は上述のステップS102によって内周方向に距離Dだけ移動しているため、その位置を外周方向に戻さなければならないからである。
その結果、焦点がL1層の位置50bの所望のトラックに位置し、その位置50bからデータの読み出しが可能となる(S108)。
次に、図5(c)に示す3層ディスクからデータを読み出す例に即して、光ディスク装置100の動作を説明する。L0層およびL1層のデータの読み出しが完了したとする。なお、L0層からL1層へのフォーカスジャンプは、上述した図5(b)の例とまったく同じであるため、その説明は省略する。
L1層のユーザデータ領域50aまでのデータの読み出しが完了すると、スポット移動制御部104は、現在のL1層の位置50aと、目的の記録層L2おける所望のトラックとが同じ半径位置にあると判定する。
目的の記録層L2での再生方向は、これまでとは反対の外周方向である。スポット移動制御部104は内外周移動部112に指示を出して、焦点を所定位置まで外周方向に強制的に移動するように制御する(S106)。移動量Dはたとえば300μmである。
その後、スポット移動制御部104は情報面移動制御部120に指示を出して、目的の記録層L2に対しフォーカスジャンプ動作を実行させる(S104)。先の説明と同様、ここでいうフォーカスジャンプ動作にも、焦点をL2層上に移動させた後、さらに距離Dだけ内周方向に強制的に移動させる動作が含まれる。その結果、焦点がL2層の位置50aの所望のトラック上に位置に配置され、その位置からデータの読み出しが可能となる(S108)。L2層からデータの読み出しを連続して行い、通常ユーザが中断しないかぎり、トラックスパイラルに沿ってコンテンツ終了地点までデータの読み出しを継続する。
次に、フォーカスジャンプ処理(S104)の詳細を説明する。図12は、フォーカスジャンプ処理(S104)の手順を示すフローチャートである。
フォーカスジャンプ処理において、まず、マイクロコンピュータ132は、トラッキング制御をオフにする(S112)。また、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、フォーカス制御のための駆動信号をホールドする(S114)。
次に、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、加速パルス信号および減速パルス信号を生成し、フォーカスアクチュエータ駆動回路136を介してフォーカスアクチュエータ143に印加する(S116)。加速パルス信号は、光学レンズ142の垂直方向への移動速度を増加させるパルス信号であり、減速パルス信号は光学レンズ142の垂直方向への移動速度を減少させるパルス信号である。加速パルス信号および減速パルス信号の印加により、焦点が目的の記録層上に位置する。
FE信号が目的の記録層に対してフォーカス制御可能であることを示すレベルに到達したとき、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、フォーカス制御用の駆動信号のホールドをオフにし、フォーカス制御を動作状態に変更する(S118)。
次に、マイクロコンピュータ132およびフォーカス制御部130は、トラックずれ信号(TE信号)やRF信号等の信号に基づいて、焦点が記録層上に位置していること、すなわち焦点が記録層に追従していることを確認する(S120)。
次に、マイクロコンピュータ132はトラバースモータ(不図示)に駆動信号を出力して、光ヘッドが載置された移送台124を駆動させる。これにより、焦点が内周方向あるいは外周方向へ移動する。移送台124をいずれの方向に駆動させるかは、図11においてステップS102が実行されたか、ステップS106が実行されたかに応じて異なる。ステップS102が実行された場合には、焦点が外周方向へ移動するように移送台124も外周方向へ移動される。ステップS106が実行された場合には、焦点が内周方向へ移動するように移送台124も内周方向へ移動される。
その後、マイクロコンピュータ132は、トラッキング制御を動作状態にし、次に指定された所定のトラック・セクタ番地を検索し、目的のトラックに到達する(S122)。
次に、図6(c)に示す経路で焦点を移動させる手順を説明する。図13は、一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第2の手順を示すフローチャートである。図11と同じステップについては同一の符号を付し、その説明は省略する。
図11に示した光ビームスポット移動制御に代えて、スポット移動制御部104は、フォーカスジャンプを行うと同時に焦点をディスク内周あるいは外周への移動制御を行う(S130)。つまり斜めフォーカスジャンプのステップS130は、図11のステップS100、S102、S106およびS104の各々を含んでいる。この移動制御も、連続して再生してきたL0から、次の他のL1層に光ビームスポットを移動させてシームレス再生をする場合に行われる。
次に、図14および図15を参照しながら、より具体的な実施形態およびその実施形態による本発明の顕著な効果を説明する。
図14は、本実施形態による光ディスクプレーヤ500のハードウェア構成の例を示す。
プレーヤ500は、BD−Rなどの光ディスク102からデータを読み出すことが可能であるが、光ディスク102にデータを書き込むことはできない再生専用の機器である。
プレーヤ500は、光ディスクに照射された光ビームの反射光を光検出器の複数の受光領域で検出し、所定の反射光の位相差のみを利用してトラッキングエラー制御を行う。プレーヤ500は光ディスク102上のピット等の存在を前提として動作するため、ピットに起因する反射光の位相差を利用して動作するよう構成されている。
プレーヤ500は、ディスクモータ140と、光ピックアップ510と、光ディスクコントローラ(ODC)520と、駆動部530とを備えている。光ピックアップ510は図9の光ピックアップ122に対応する。ODC520は、図9のプリアンプ126と、フォーカスエラー生成器128と、フォーカス制御部130と、マイクロコンピュータ132とに対応する。なお、ODC520のプロセッサ311はマイクロコンピュータ132に対応している。また駆動部530は、図9のフォーカスアクチュエータ駆動回路136を含んでいる。また駆動部530は、図示されていない移送台駆動回路134も備えている。光ピックアップ510は移送台(図示せず)に載置されており、その移送台は図9の移送台124に対応する。
まず、データを読み出すために必要な、サーボ制御のための構成を説明する。
ディスクモータ140によって所定速度で回転している光ディスク102の情報面上において所望のトラックを光ビームの焦点が追従するためには、光ディスク102で反射された光ビームに基づいて、トラッキングずれおよびフォーカスずれを示すTE信号およびFE信号を検出する必要がある。
光ディスク102で反射された光ビームは、対物レンズ203で平行な光ビームに変換された後、偏向ビームスプリッタ206に入射する。このときの光ビームは、その偏光方向が光ディスク102に入射するときの光ビームの偏光方向から90°回転したものになるため、偏向ビームスプリッタ206を透過し、そのまま集光レンズ207を経て光検出器208に入射することになる。
光検出器208は、集光レンズ207を通過してきた光を受け、その光を電気信号(電流信号)に変換する。図示されている光検出器208は、受光面上で4分割された領域A、B、C、Dを有しており、領域A〜Dの各々が、受けた光に応じた電気信号を出力する。
プリアンプ126a、126b、126c、126dは、光検出器208から出力された電流信号を電圧信号に変換する。加算回路344,346は、プリアンプ126a、126b、126c、126dから出力された電圧信号を、光検出器208の対角位置ごとに加算する。加算回路344は、領域Aの出力と領域Dの出力とを合計した大きさに相当する信号A+Dを出力し、加算回路346は、領域Bの出力と領域Cの出力とを合計した大きさに相当する信号B+Cを出力する。加算の仕方を変更することにより、他の信号を生成することも可能である。
コンパレータ352,354は、それぞれ、加算回路344,346からの信号を2値化する。位相比較器356は、コンパレータ352,354からの信号の位相比較を行う。差動増幅器360は、位相比較器356からの信号を入力して位相差TE信号を出力する。この位相差TE信号は、光ビームが光ディスク102のトラック上を正しく走査するように制御するために用いられる。
ゲイン切換回路366は、位相差TE信号を所定の振幅に調整する。AD(アナログ・ディジタル)変換器370は、ゲイン切換回路366から出力された位相差TE信号をデジタル信号に変換する。
差動増幅器358は、加算回路344,346からの信号を入力してFE信号を出力する。FE信号は、光ビームが光ディスク102の情報面上で所定の集束状態になるように制御するための信号である。FE信号の検出法は特に限定されず、非点収差法を用いたものでもよいし、ナイフエッジ法を用いたものであってもよいし、SSD(スポット・サイズド・ディテクション)法を用いたものであってもよい。検出法に応じて回路構成を適宜変更することになる。ゲイン切換回路364は、FE信号を所定の振幅に調整する。AD変換器368は、ゲイン切換回路364から出力されるFE信号をデジタル信号に変換する。
加算回路313は、加算回路344,346からの信号を加算して全光量和信号(A+B+C+D)を生成し、LPF123に送る。LPF123で高周波成分が除去されたRF加算信号は、整形回路324に送られる。
整形回路324は、全光量和信号の振幅レベルと、整形設定部362から予め設定された基準レベルとを比較し、2値化整形を行う。整形回路324は、たとえば、全光量和信号の振幅レベルが基準レベルよりも低下したときは「High」、全光量和信号の振幅レベルが基準レベル以上のときは「Low」となるように二値化する。全光量和信号の振幅レベルは、光ビームが指紋や傷を横切るときに低下するため、基準レベルを適切な大きさに設定しておけば指紋や傷を検知することができる。
上述した回路により生成されたFE信号、TE信号および二値化整形された信号は、プロセッサ311に入力される。プロセッサ311は、フォーカス制御部118、トラッキング制御部119、HOLDフィルタ320、ディフェクト検出部326、スイッチ328および整形設定部362を備えている。
プロセッサ311から出力されるフォーカス制御のための制御信号FEPWMおよびトラッキング制御のための制御信号TEPWMは、それぞれ、駆動部530の駆動回路136および駆動回路138に送られる。
駆動回路136は、制御信号FEPWMに応じてフォーカスアクチュエータ143を駆動する。フォーカスアクチュエータ143は、対物レンズ203を光ディスク102の情報面と略垂直な方向に移動させる。駆動回路138は、制御信号TEPWMに応じてトラッキングアクチュエータ202を駆動する。トラッキングアクチュエータ202は、対物レンズ203を光ディスク102の情報面と略平行な方向に移動させる。
データを読み出すときには、ODC520からの信号に基づいて駆動部530が光ピックアップを駆動する。ある記録層から他の記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合には、光の焦点は、図6の(b)または(c)に示す経路で移動する。なお、光ディスク102が複数の記録層を有するBDである場合には、焦点が記録層間を移動する際に球面収差が調整される。球面収差の調整は、光ピックアップ510内の球面収差補正レンズおよびその駆動機構(いずれも図示せず)を利用して実現される。具体的にはODC520からの指示を受けた駆動部530が駆動信号を出力すると、球面収差補正レンズの駆動機構はその駆動信号に基づいて球面収差補正レンズを駆動する。その結果、移動先の記録層において球面収差が十分小さくなるように球面収差が調整される。
整形回路324から出力された信号は、プロセッサ311のディフェクト検出部326に入力される。ディフェクト検出部326は、たとえば信号が「High」を示すときは、指紋等に起因してサーボ制御が失敗しないように、スイッチ128をHOLDフィルタ320側に切り替えてトラッキングエラー信号をホールドする。一方、ディフェクト検出部326は、信号が「Low」を示すときは、スイッチ128をトラッキング制御部119側に切り替えて、トラッキングエラー信号をトラッキング制御部119に入力する。
次に、データを読み出すための構成を説明する。
加算回路372は、光検出器208の領域A,B,C,Dの出力を加算して、全光量和信号(A+B+C+D)を生成する。全光量和信号(A+B+C+D)はODC520のHPF373に入力される。なお、加算回路372を省略し、加算回路313の出力をHPF373に入力してもよい。
HPF373で低周波成分が除去された加算信号は、イコライザ部374を介して2値化部375で2値化され、ECC/復調回路376でPLL、エラー訂正、復調などの処理が行われ、バッファ377に一時的に蓄積される。バッファ377の容量は、種々の再生条件を考慮して決定されている。
バッファ377内のデータは映像等の再生タイミングに応じて読み出され、再生データとしてホストコンピュータ(不図示)へ出力される。これにより、映像等が再生される。
従来の光ディスクプレーヤにおいても、読み出されたデータを一時的に蓄積するバッファは設けられており、やはり種々の再生条件を考慮して決定されている。
しかし、プレーヤ500に実装されるバッファ377のバッファ容量は、従来のプレーヤのバッファ容量の約3分の1でよい。その理由を、図15を参照しながら説明する。
図15(a)は従来のプレーヤに設けられたバッファのバッファ容量を決定する条件を示し、(b)は本実施形態によるバッファ377のバッファ容量を決定する条件を示す。いずれも2層BD−Rのフォーカスジャンプの開始から、焦点が次のデータ格納位置に到達するまでに要する時間を示している。この時間を考慮することにより、データの読み出しができない期間(すなわちフォーカスジャンプの開始から次に読み出すべきデータの格納位置まで焦点を移動させ終わるまでの期間)に出力すべきデータのデータ量を、再生レートとの関係で決定することができる。
図15(a)に示すように、従来のプレーヤでは、計1000msの読み出し不可能期間を想定しなければならない。その内訳は、球面収差の切り替えに200ms、フォーカスジャンプ動作に50ms、図2(b)に示すフォーカスジャンプの失敗(エラー)の検出に50ms、フォーカスジャンプの失敗に伴う目的の記録層に対するフォーカス制御の再試行およびフォーカス制御可能な状態に遷移するまでに600ms、トラッキング制御をオンにし、目的のトラックまでのシークが完了するまでに100msである。
仮に映像および音声の再生レートが24Mbpsとすると、1000msの読み出し不可能期間中、再生を継続するためには、24Mビット(すなわち3Mバイト)のデータを蓄積しておかなければならない。よってバッファ容量は3Mバイト以上必要になる。
一方、図15(b)に示すように、本実施形態によるプレーヤ500では、計400msの読み出し不可能期間を想定すればよい。その内訳は、球面収差の切り替えに200ms、フォーカスジャンプ動作に50ms、エラー検出に50ms、トラッキング制御をオンにし、目的のトラックまでのシークが完了するまでに100msである。
したがって、再生レートが24Mbpsとすると、再生を継続するためには、9.6Mビット(すなわち1.2Mバイト)のデータを蓄積しておかなければならない。よって、バッファ容量は1.2Mバイト以上必要である。この値は、先の例の約3分の1であり、大幅に削減されているといえる。
図6(d)に示すように、プレーヤ500はフォーカスジャンプ時に焦点が未記録領域に突入してサーボ制御が失われることはないため、従来のプレーヤのような、フォーカスジャンプの失敗に伴うフォーカス制御のやり直しのための時間600msを考慮する必要はない。よって、その時間に対応するデータ量を確保する必要がなくなり、必要なバッファ容量が削減されている。
上述のバッファ容量を低減できる利点は、記録機能を有するレコーダであっても得られる。レコーダは位相差法によるトラッキング制御に加えてプッシュプル法によるトラッキング制御が可能であるため、本来安定したトラッキング制御が可能である。しかし、位相差法によるトラッキング制御時に本発明の焦点移動制御を行うと、制御がさらに安定し精度を向上できる。
たとえば図16は、本実施形態による光ディスクレコーダ600のハードウェア構成の例を示す。
レコーダ600は、BD−Rなどの光ディスク102にデータを書き込むことが可能であり、そのような光ディスク102からデータを読み出すことも可能である。位相差TE信号を利用してデータを読み出すときは、レコーダ600は、ODC620からの信号に基づいて駆動部530が光ピックアップ610および内部の構成要素を駆動する。ある記録層から他の記録層にわたって格納されたデータを連続して読み出す場合には、光の焦点は、図6の(b)または(c)に示す経路で移動する。
レコーダ600は、ディスクモータ140と、光ピックアップ610と、光ディスクコントローラ(ODC)620と、駆動部630とを備えている。各構成要素は、プレーヤ500の同名の構成要素に対応している。
光ピックアップ610、ODC620および駆動部630がそれぞれ有する構成要素のうち、プレーヤ500に共通するものには同じ参照符号を付し、その説明は省略する。なお、ODC620にはバッファ377が含まれており、先のプレーヤ500と同様の低減された容量を有していればよい。
ODC620のプッシュプルTE信号を生成する処理を説明する。加算器408は光検出器208の領域BとDの和信号を出力し、加算器414は光検出器208の領域AとCの和信号を出力する。差動増幅器410は、加算器408、414からの出力を受け取り、その差を表すプッシュプルTE信号を出力する。ゲイン切換回路416は、プッシュプルTE信号を所定の振幅(ゲイン)に調整する。AD変換器420は、ゲイン切換回路416からの信号をディジタル信号に変換してDSP412に出力する。DSP412は、図14に示すプロセッサ311と同じ構成を有している。
上述の本実施形態による光ディスク装置100、および、光ディスク装置100をさらに具体化したプレーヤ500およびレコーダ600によれば、少なくとも2つの記録層にわたって格納された映像、音声などのデータを連続して読み出す場合において、光ビームの焦点を他の記録層に移動させる前に、あるいは移動させると同時に、焦点を内周あるいは外周方向に所定距離だけ強制的に移動させる。これにより、未記録領域への突入を防止して、層間に跨ってもシームレスな再生を実現することができる。
(実施形態2)
本実施形態による光ディスク装置は、フォーカスジャンプ前後における反射率の変化やアドレスリードエラーの発生を利用して、焦点が未記録領域に突入したか否かを積極的に検出する。そして未記録領域に突入した場合には、速やかに未記録領域が存在する半径方向とは逆方向に光ピックアップを移動して、記録済領域まで復帰させる。この動作により、より安定したフォーカスジャンプを実現できる。
たとえば実施形態1の説明に関連して参照した図5(a)においてL1層の記録済領域52aの半径方向の幅が半径方向の強制的な移動量Dよりも小さい場合や、記録層間の貼り合わせ誤差が想定されていた以上に大きかった場合には、実施形態1の光ディスク装置であっても焦点が未記録領域に突入するおそれがある。しかし、以下に説明する本実施形態による光ディスク装置であれば、そのような焦点が未記録領域に突入しても早急に焦点の位置を修正できる。この動作は、たとえば約50ms以内に完了する。これは、従来の機器がフォーカス制御を再試行する時間(図15(a)に示す600ms)よりもはるかに早い。
図17は、本実施形態にかかる光ディスク装置200の概略的な機能ブロックの構成を示す。光ディスク装置200は、集束部110と、内外周移動部112と、垂直移動部114と、フォーカス検出部116と、フォーカス制御部118と、情報面移動制御部120と、光ビームスポット移動制御部202と、回転部204と、未記録検出部301とを備える。実施形態1の光ディスク装置100と同じ構成については、図8と同じ符号を付し、その説明は省略する。なお回転部204はディスクモータ140の機能に対応する。
光ビームスポット移動制御部202(以下「スポット移動制御部202」と記述する)は、実施形態1のスポット移動制御部104と同様の構成を有し、同様の動作を行う。さらに光ビームスポット移動制御部202は、未記録検出部301からの未記録検出信号の状態に応じた処理を行う。
図18は、図17に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す。光ディスク装置200は、ディスクモータ140と、光ピックアップ122と、プリアンプ126と、フォーカスアクチュエータ駆動回路136と、移送台124と、移送台駆動回路134と、フォーカスエラー生成器128と、フォーカス制御部130と、マイクロコンピュータ210と、未記録検出部301とを備える。実施形態1の光ディスク装置100と同じ構成要素には図9と同じ符号を付し、その説明は省略する。
マイクロコンピュータ210は、実施形態1のマイクロコンピュータ132と同様の構成を有しており、同様の動作を行うが、追加の未記録検出部301の信号を検出し、移送台駆動回路134を介し、移送台124を制御する部分が異なる。未記録検出部301の構成は図20を参照しながら後述する。
次に、図19を参照しながら本実施形態による光ディスク装置200の動作を説明する。図19は、一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の手順を示すフローチャートである。図11に示すステップと同じステップには同じ参照符号を付し、その説明は省略する。
図19に示す焦点の移動制御は、何れかの記録層から他の記録層に光ビームスポットを移動させる場合であって光ディスクの内周方向または外側方向に光ビームスポットを移動させるときに行われる。
この光ビームスポット移動制御において、スポット移動制御部202は、フォーカスジャンプ(S104)を行ったあと、未記録検出部301でフォーカスジャンプした位置が記録済領域か未記録領域か検出する(S200)。フォーカスジャンプした位置が記録済領域の場合はトラッキング制御を動作させ、所定のアドレスを検索して所定の位置からデータを読み出す(S108)。これにより連続的なデータの読み出しが実現される。
逆にフォーカスジャンプした位置が未記録領域の場合は、マイクロコンピュータ210は移送台駆動回路134へ指令を出し、強制的に内周(あるいは外周)へ移送台124を駆動し(S100,S102,S106)、未記録検出部301によって記録済領域であることを確認する。未記録領域の場合はこの処理を繰り返す。記録済領域内に復帰した場合は、トラッキング制御を動作させ、所定のアドレスを検索して所定の位置からデータを読み出す(S108)。これにより連続的なデータの読み出しが実現される。
次に、図20を参照しながら、未記録検出部301のハードウェア構成を説明する。図20は、未記録検出部301のハードウェア構成の例を示す。未記録検出部301は、加算器302と、コンパレータ303とを備えている。
加算器302はプリアンプ126から光量信号を受け取り、その和信号ASを出力する。プリアンプ126とは、たとえば図14に示す光ピックアップ510のプリアンプ126a、126b、126c、126dに相当する。コンパレータ303は、光量和信号ASのレベルを基準レベルと比較し、光量和信号ASのレベルが基準レベルより大きい場合には「1」を出力し、小さい場合には「0」を出力する。
基準レベルは、マイクロコンピュータ210によって設定される。記録済領域の反射率と未記録領域の反射率とは異なっているため、基準レベルは、記録済領域の反射率と未記録領域の反射率の間の値(たとえば平均値)に設定される。
属性が“HIGH to LOW”の光ディスク、すなわち未記録領域の反射率の方が記録済領域の反射率よりも高い光ディスクからデータを読み出しているときにおいて、コンパレータ303の出力が「1」であれば、マイクロコンピュータ210は、焦点が未記録領域に突入したと判定する。
一方、属性が“LOW to HIGH”の光ディスク、すなわち未記録領域の反射率の方が記録済領域の反射率よりも低い光ディスクからデータを読み出しているときにおいて、コンパレータ303の出力が「0」であれば、マイクロコンピュータ210は、焦点が未記録領域に突入したと判定する。
未記録領域の反射率と記録済領域の反射率との差異を利用して、検出した反射率に基づいて焦点がいずれの領域に存在するかを判定してもよい。未記録領域であると判定したときは、焦点を常に内周あるいは外周の方向に距離D以下、たとえばD/2だけ強制的に移動させてもよい。移動方向は、貼り合わせずれ等に起因する未記録領域が存在する半径方向である。換言すると、移動方向はフォーカスジャンプ後の記録層のトラックスパイラルに沿った方向とは反対の方向である。
上述の例は、焦点が未記録領域に存在するか否かを、反射率の相違を利用して判定していた。しかし、光ディスクのアドレスの読み取りの可否に基づいて判定することもできる。
このときマイクロコンピュータ210は、各記録層のトラックのアドレスを検出するアドレス検出部として機能する。
フォーカスジャンプ後、マイクロコンピュータ210は速やかにトラッキング制御を動作させてトラックのアドレスの読み取りを試みる。アドレスを読み取ることができたときは、マイクロコンピュータ210は、その位置は記録済領域であると判定する。
アドレスを読み取ることができなければ、所定の回数(たとえば3回)リトライする。そして、規定回数リトライしてもアドレスを読み取ることができなかったときは、マイクロコンピュータ210はアドレスリードエラーを発し、焦点は未記録領域に突入したと判定する。そしてエラーリカバリ処理として強制的に内周(あるいは外周)へ光ヘッドを移動させる。移動方向や移動量は、上述の反射率を利用した例と同じである。
上述の動作は、実施形態1において説明したプレーヤ500およびレコーダ600のプロセッサによっても実現される。
本実施形態による光ディスク装置200によれば、少なくとも2つの記録層にわたって格納された映像、音声などのデータを連続して読み出す場合において、光ビームの焦点を他の記録層に移動させた後、その位置が未記録領域であることを検出することができる。未記録領域であれば、光ビームの焦点を内周方向あるいは外周方向の記録済領域に向けて強制的に移動させる。未記録領域へ突入しても速やかに復帰させることが可能となり、層間に跨ったデータを確実に読み出すことができるため、映像、音声等のコンテンツの再生をシームレスに実現できる。
なお、本実施形態においては、焦点が未記録領域に突入したと判定されると焦点を内周方向あるいは外周方向の記録済領域に向けて所定距離だけ強制的に移動するとした。移動量は、内周あるいは外周へ移動量D以下の量、たとえばD/2でよい。
図11〜13、図19に示す焦点移動制御の手順は、コンピュータプログラムの処理手順としても実現され得る。このコンピュータプログラムは、光ディスク装置のメモリ(図示せず)に格納されてマイクロコンピュータによって実行される。マイクロコンピュータに代えて、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)を用いてもよい。コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録して市場に流通させ、または、インターネット等の電気通信回線を通じて伝送される。そのようなコンピュータプログラムを実行すると、従来の光ディスク装置であっても、本発明による光ディスク装置と同等の機能を有する焦点移動制御を実現できる。
本発明による光ディスク装置は、多層ディスクに記録された連続した情報の再生において、特定層から他の層に跨って連続的にデータを読み出すとき、元の記録層において光ビームが移動してきた半径方向とは逆の半径方向に光ビームスポットの移動させることで未記録領域への突入を防止する。仮に未記録領域に突入したとしても速やかにかつ確実にサーボ制御が可能な状態に復帰させることができる。よって、映像、音声等のコンテンツのシームレスな再生を実現できる。
本発明による光ディスク装置は、ファイナライズ処理が行われていない光ディスクであっても確実にその記録済領域に焦点を移動させることができる。ユーザは記録容量が大きい光ディスク(たとえばBD)に長時間を費やしてファイナライズ処理を行う必要はなくなる。さらに本発明による光ディスク装置は、従来の光ディスク装置のように再試行を何度も繰り返し、その結果タイムアウトで読み出し失敗と判定することもない。
仮に未記録領域に焦点を移動させてしまったとしても、特に実施形態2に示す光ディスク装置は速やかにかつ確実に焦点を記録済領域に移動させることができる。データの再生が不能に陥ることがなく、光ディスク上のコンテンツを確実に視聴できるため、非常に信頼性が高く、ユーザが安心して利用できる光ディスク装置を提供できる。
(a)〜(c)は、多層ディスクの製造工程を示す図である。
(a)は貼り合わせずれKが存在する光ディスク101のL0層上に光ビームが存在する状態を示す図であり、(b)はフォーカスジャンプによって光ビームの焦点がL1層のリードアウト内に入った状態を示す図である。
(a)はDVD規格による2層光ディスク102の一例を示す図であり、(b)はBD規格による3層光ディスク102の例を示す図である。
(a)〜(c)は、オポジットトラックパスと呼ばれる2層DVDのトラック、再生方向およびセクタ番号を示す図である。
(a)〜(c)は、光ディスク102に対する種々のデータの書き込み方法を示す図である。
(a)は、L0層およびL1層の記録済領域の拡大図であり、(b)は実施形態1による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の例を示す図であり、(c)は実施形態1による光ピックアップの移動に伴う光ビームの焦点の移動経路の他の例を示す図であり、(d)は焦点の半径方向の移動量Dと貼り合わせずれのずれ量Kとの関係を示す図である。
実施形態1による光ビームスポット移動制御部104を備えた光ディスク装置100を示す図である。
光ディスク装置100の概略的な機能ブロックの構成を示す図である。
図7および図8に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す図である。
光ピックアップ122のハードウェア構成を模式的に示す図である。
一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第1の手順を示すフローチャートである。
フォーカスジャンプ処理(図11のS104)の手順を示すフローチャートである。
一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の第2の手順を示すフローチャートである。
実施形態1による光ディスクプレーヤ500のハードウェア構成の例を示す図である。
(a)は従来のプレーヤに設けられたバッファのバッファ容量を決定する条件を示す図であり、(b)は本実施形態によるバッファ377のバッファ容量を決定する条件を示す図である。
実施形態1による光ディスクレコーダ600のハードウェア構成の例を示す図である。
実施形態2にかかる光ディスク装置200の概略的な機能ブロックの構成を示す図である。
図17に示す光ディスク装置100のハードウェア構成の例を示す図である。
一方の記録層から他方の記録層にフォーカスジャンプを行う際の焦点の移動制御の手順を示すフローチャートである。
未記録検出部301のハードウェア構成の例を示す図である。
符号の説明
100 光ディスク装置
102 情報担体(光ディスク)
104、202 光ビームスポット移動制御部
110 集束部
112 内外周移動部
114 垂直移動部
116 フォーカス検出部
118 フォーカス制御部
120,402,502 情報面移動制御部