JPWO2006109780A1 - ポリオキシメチレン共重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしその要求される品質の中で重要な課題として、成形時にポリオキシメチレン共重合体が成形機内で熱分解し、ホルムアルデヒドガスが発生することが挙げられ、シックハウス症候群等、人体への悪影響が指摘されている。厚生労働省はこのシックハウス症候群対策として、室内ホルムアルデヒド濃度指針値を0.08ppmと規定しており、最終製品からのホルムアルデヒド発生量が限りなく低減されたポリオキシメチレン共重合体が要求されている。ホルムアルデヒドガス量を低減させるポリオキシメチレン共重合体の製造方法は現在までにも種々提案されている。例えば、不純物の低減されたモノマーを重合し、さらに重合直後急冷することにより触媒を失活せしめ副反応を抑制する方法(特許文献1)、押出機に直接水等を添加し末端安定化をおこなう方法(特許文献2)、立体障害性フェノールが添加されたモノマーを重合し、さらに重合後のポリオキシメチレン共重合体を最適粒子径に制御し触媒失活を行い、加えて水を添加し溶融下で減圧脱揮して末端安定化をおこなう方法(特許文献3)などが例示される。
重合収率が高く、特に重合収率95%以上のポリオキシメチレン共重合体は生産的かつ経済的に有利ではあるが、重合時に熱的不安定構造が多数生成してしまうため、熱安定性に乏しく成形機内でのホルムアルデヒド発生量が多い。重合収率を下げて成形機内のホルムアルデヒド発生を抑制することは可能ではあるが、重合収率を下げると生産性を損なうばかりでなくモノマーの回収コストが発生し、経済的に不利になってしまう。このような熱的不安定構造が多いポリオキシメチレン共重合体は、上に例示されるような熱安定化方法を実施しても、熱的安定性を十分改善することはできないのが現状である。
また、添加剤によりポリオキシメチレン共重合体の分解を抑制する方法に関しては、酸化防止剤として立体障害性フェノール化合物または立体障害性アミン化合物が、その他の熱安定剤としてポリアミド、尿素誘導体、アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物を添加する方法等が一般的に知られているが、ポリオキシメチレン共重合体自体の熱安定性が悪い場合は、必ずしも分解安定性に満足する結果は得られず、また多量の添加剤の添加は経済的に不利になる。
ペレット及び成形品からのホルムアルデヒド発生を抑制する方法に関しては、ホルムアルデヒドとの反応性を有する種々の化合物を添加する方法が知られている。例えば、ホルムアルデヒドとの反応性が高く、ホルムアルデヒドを固定化させる効果的な化合物としてヒドラジド化合物が挙げられる(特許文献4)。しかし、ここに記載があるのは一般的なヒドラジド化合物とホルムアルデヒドとの反応性にのみ着目したものであり、ホルムアルデヒド発生の低減されたポリオキシメチレン共重合体を効率的に得るための手段については言及がない。
ホルムアルデヒド捕捉剤としてヒドラジド化合物を用いる他の例としては、ヒドラジド等の窒素含有化合物のホウ酸塩を配合する方法(特許文献5)、ホルムアルデヒドの吸着剤として新規な化合物である1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ヒドラジドを用いる方法(特許文献6)、ヒドラジドと尿素またはその誘導体を特定比率で配合する方法(特許文献7)等が挙げられる。しかしながら、これらはホルムアルデヒド発生量の抑制が不十分である、あるいは成形品物性を低下させる等の問題がある。
本発明者らは、先に特定量のヒドラジド化合物とアミン置換トリアジン化合物とを含むポリアセタール樹脂組成物がペレット及び成形品から発生するホルムアルデヒド量を抑制できることを見いだした(特許文献8)。しかしながら、複数の押出工程数を要することから、よりホルムアルデヒド発生量の低いポリオキシエチレン共重合体をより少ない押出工程数で経済的に製造する方法が求められている。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)に示すポリオキシメチレン共重合体の製造方法に関する。
(1)粗ポリオキシメチレン共重合体を、その融点以上で溶融混練し、発生する分解ホルムアルデヒドガスを減圧脱揮した後に、その溶融状態を保ったまま、ヒドラジド化合物(A)を含むホルムアルデヒド捕捉剤を混合して直ちにペレット化する工程を含むポリオキシメチレン共重合体の連続製造方法であって、該ホルムアルデヒド捕捉剤として、(A)の融点もしくは分解温度のうち、低い側の温度(Ta)よりも低い温度の融点を示す希釈剤(B)に、(B)の融点以上かつ(Ta)未満の温度範囲で、(A)をスラリー分散させた分散液を用いることを特徴とするポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
(2)前記減圧脱揮を、横型セルフクリーニング型2軸混練機を用い、15〜60分の範囲で脱揮する請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
(3)ヒドラジド化合物(A)が、ジヒドラジド化合物である請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
(4)前記ジヒドラジド化合物が、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジドおよび2,6−ナフタレンジカルボヒドラジドからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
(5)希釈剤(B)が、ポリエチレングリコールである請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
(6)希釈剤(B)が、水酸基価から求めた分子量として1,000〜50,000のポリエチレングリコールである請求項5に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。(7)前記分散液中のヒドラジド化合物の濃度が、5〜70wt%である請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
環状ホルマール類としては、例えば、1,3−ジオキソラン、2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−プロピル−1,3−ジオキソラン、2−ブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−フェニル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−エチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジオキソラン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−ブチルオキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−フェノキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−クロルメチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキカビシクロ[3,4,0]ノナン等が挙げられる。環状エーテル類としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン等が挙げられる。これらの中でも1,3−ジオキソランが特に好ましい。
コモノマーの添加量は、トリオキサン全量に対して、0.5〜40.0mol%が好ましく、より好ましくは1.1〜20.0mol%である。コモノマーの使用量がこれより多い場合は重合収率が低下し、少ない場合は熱安定性が低下することがある。
また、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ系化合物及び/又は多官能グリシジルエーテル系化合物を架橋・分岐剤としてトリオキサンに対して、0.001〜0.2重量%添加しても良い。
前記触媒の使用量は、トリオキサン1モルに対して、通常1×10-7〜1×10-3モルであり、好ましくは1×10-7〜1×10-4モルである。触媒の使用量がこれより多いと熱安定性が低下し、少ないと重合収率が低下する。
一般に、これら分子量調整剤は目標とする分子量に応じて、トリオキサンに対して0〜1×104ppmの範囲で添加量が調整される。
これら分子量調節剤は、通常、トリオキサンとコモノマーの混合原料液に供給される。添加位置に特に制限はないが、カチオン活性触媒を該混合原料液に供給する前に供給するのが好ましい。
本発明の実施において重合時間は、3分〜120分の重合時間が選ばれ、特に5分〜60分とするのが好ましい。重合時間がこれより短いと重合収率又は熱安定性が低下し、長いと生産性が悪くなる。
触媒失活剤の導入時期は重合収率で決定され、重合収率が95%以上、好ましくは97%以上に達した時点で触媒を失活し、重合を停止することが経済性ならびに生産性の観点から好ましい。
重合収率の測定は、粗ポリオキシメチレン共重合体20gを20mlのアセトンに30分浸した後、濾過し、アセトンで3回洗浄した後、60℃で恒量となるまで真空乾燥を施し未反応モノマー等を取り除く。しかる後、精秤した重量を粗ポリオキシメチレン共重合体の重量で除して、重合収率が算出される。
本発明の触媒失活剤としては、三価の有機リン化合物、有機アミン系化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物などが使用できる。
触媒失活剤として用いられる有機アミン系化合物としては、一級、二級、三級の脂肪族アミンや芳香族アミン、ヘテロ環アミン、ヒンダードアミン類等が使用でき、具体的には、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ブチルジメチルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、メラミン、メチロールメラミン等が挙げられる。
三価の有機リン化合物としては、トリフェニルホスフィン、エチルテトラメチレンホスフィン、n−ブチルジメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、エチルペンタメチレンホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルエチル−n−ペンチルホスフィン、ジエチルブチルホスフィン、トリ−n―ブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチル−n−ペンチルフェニルホスフィン、メチルベンジルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、エチル−n−ヘキシルフェニルホスフィン、ベンジル−n−ブチル−n−プロピルホスフィン、エチルジシクロヘキシルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、エチルベンジルフェニルホスフィン、ジベンジルエチルホスフィン、n−ブチルジフェニルホスフィン、n―プロピルベンジルフェニルホスフィン、n−ブチルベンジルフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルルホスフィン、ジベンジル−n−ブチルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジベンジルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジプロピル亜ホスフィン酸エチル、ブチルエチル亜ホスフィン酸エチル、メチルフェニル亜ホスフィン酸エチル、エチルフェニル亜ホスフィン酸エチル、ジブチル亜ホスフィン酸エチル、ジフェニル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸エチル、ジフェニル亜ホスフィン酸フェニル、ジベンジル亜ホスフィン酸フェニル、エチル亜ホスホン酸ジメチル、エチル亜ホスホン酸ジエチル、エチル亜ホスホン酸ジフェニル、プロピル亜ホスホン酸ジエチル、ブチル亜ホスホン酸ジエチル、フェニル亜ホスホン酸ジエチル、フェニル亜ホスホン酸ジメチル、ベンジル亜ホスホン酸ジエチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリ−n―プロピル、亜リン酸トリ−イソプロピル、亜リン酸トリ−n−ブチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリシクロヘキシル、亜リン酸トリベンジル、亜リン酸トリトリル、亜リン酸β−ナフチル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸トリノニルフェニル、トリチオ亜リン酸トリステアリルなどが挙げられるが、中でもトリフェニルホスフィンが好ましい。
これら例示される触媒失活剤の中でも熱的に安定な3価の有機リン化合物および3級アミンが好ましい。三価の有機リン化合物の中で特に好ましい化合物は熱的に安定でかつ熱による成形品の着色弊害を及ぼさないトリフェニルホスフィンである。触媒失活剤として3級アミンを選択した場合、問題となるのは、後述の粗ポリオキシメチレン共重合体の融点以上で20分以上減圧脱揮する際に未反応の3級アミンが残ってしまうことにある。未反応の3級アミンが製品に残った場合、成形時にアミンの酸化により成形品が着色してしまう弊害が出てくる。従って3級アミンとして好ましい化合物は、減圧脱揮する際に未反応アミンがポリオキシメチレン共重合体から除去可能な、沸点が減圧脱揮温度より100℃程度低い化合物であり、具体的にはトリエチルアミン(沸点89℃)およびN,N−ブチルジメチルアミン(沸点93℃)が例示される。
触媒失活剤を溶液、懸濁液の形態で使用する場合、使用される溶剤は特に限定されるものではない。例えば水、アルコール類、原料モノマー、環状ホルマール/エーテル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等の脂肪族または芳香族の各種有機溶媒あるいは混合溶媒が使用可能である。
本発明における触媒失活処理では、処理に供されるポリオキシメチレン共重合体が微細な粉粒体であることが好ましく、重合反応機は塊状重合物を充分粉砕する機能を有するものが好ましい。また、重合後のポリオキシメチレン共重合体に対して触媒失活剤を加えた後、別の粉砕機を用いて粉砕させてもよい。もしくは、粉砕機を用いて粉砕した後に触媒失活剤を加えてもよく、触媒失活剤の存在下で粉砕と攪拌を同時に行ってもよい。触媒失活処理した粗ポリオキシメチレン共重合体が微細な粉粒体でない場合は、樹脂中に含まれる触媒が十分に失活されず、従って残存した活性を有する触媒によって徐々に解重合が進行し分子量低下を生じる。触媒失活が不完全で分子量低下が生じてしまう場合には、予め分子量低下を考慮し、分子量調整剤量を調整することによって、粗ポリオキシメチレン共重合体の分子量が高くなるようにし、最終製品の分子量を調節する方法がとられる。
減圧脱揮は9.33×10〜1.33×10-3kPaの圧力下(圧力は絶対圧を示す。以下同様)において溶融混練しながらおこなわれる。減圧度は、6.67×10〜1.33×10-3kPaの範囲が好ましく、2.67×10〜1.33×10-3kPaの範囲がより好ましく、1.33×10〜1.33×10-3kPaの範囲が最も好ましい。
減圧脱揮の時間は15〜60分であり、好ましくは20〜40分である。これより短いと成形時のホルムアルデヒドガス発生抑制に十分な効果は得られず、逆にこれより長いとポリマーの主鎖分解による熱安定性低下や粘度の低下、黄変などを招く結果となり好ましくない。減圧脱揮時に窒素ガス等の不活性ガスあるいは減圧脱揮条件で気化するアルコールや水等を減圧処理設備に導入し外部からの空気の混入を避けることや、あるいは減圧度を制御することも好適である。
減圧脱揮処理時の温度は粗ポリオキシメチレン共重合体の融点以上の温度であれば制限はないが、190〜240℃が好ましい。温度が低いと未溶融ポリオキシメチレン共重合体が残り、熱的に不安定な構造の分解・除去が不十分になる場合があり、また温度が高いと、黄変あるいは熱によるポリマーの主鎖分解による熱安定性低下を招く結果となり好ましくない。
減圧脱揮処理は、単軸または2軸以上のベント付押出機と減圧脱揮処理機が直列に連結され、ベント付押出機で触媒失活処理を施した粗ポリオキシメチレン共重合体を溶融させ、減圧脱揮処理機に導入し所定時間減圧脱揮する連続生産型の装置構成でおこなわれるのが好ましい。
減圧脱揮処理機は縦型あるいは横型の高粘度タイプの重合機を用いることができる。縦型重合機の場合、攪拌翼に特に限定はないが、溶融ポリオキシメチレン共重合体が均一に混合できる高粘度攪拌翼が好ましく、リボン翼、格子翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼およびこれらの改良翼等が例示される。横型重合機としては、好ましくは単軸あるいは2軸以上の攪拌翼の設置された表面更新性に優れたセルフクリーニング型の横型重合機であり、日立製作所(株)製メガネ翼、格子翼型リアクター、三菱重工業(株)製SCR、NSCR型反応機、(株)栗本鉄鋼所製KRCニーダー、SCプロセッサー、住友重機械工業(株)製BIVOLAK等が例示される。
また減圧脱揮処理終了までに添加されなかった添加剤、あるいは分割して添加された添加剤の残りを減圧脱揮処理後に添加することもできる。減圧脱揮処理後に添加剤を添加する装置は、単軸または2軸以上のベント付押出機を使用することができる。
使用できる酸化防止剤としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル〕プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロピオン酸1,6−ヘキサンジイルエステル等の立体障害性フェノール類が挙げられる。これら立体障害性フェノール類の添加量は、ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、0.01〜5.0重量部が好ましく、0.01〜2.0重量部がより好ましい。
これらアミン置換トリアジン類の添加量は、ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、好ましくは0.01〜1.0重量部であり、過剰添加は続いて添加するヒドラジド化合物とホルムアルデヒドとの反応性を阻害するので好ましくない。
ヒドラジド化合物としては、脂肪族或いは芳香族の何れのヒドラジド化合物でも使用することができ、単独で用いても或いは2種以上混合して用いても良い。脂肪族ヒドラジド化合物としては、プロピオン酸ヒドラジド、チオカルボヒドラジド等のモノヒドラジド化合物、またジヒドラジド化合物として、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカンジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリエチレンとしてはHDPE、LDPE及びそれらの重合変性物や、エチレンとアクリル酸エステル、ビニルアセテート等の共重合物などが挙げられる。
これらの中でも融点が約60℃と低い、ポリエチレングリコールが好ましい。また、ヒドラジド化合物を分散させた後の分散液の粘度を考慮して分子量を選定し、良好なフィード性を得ることが好ましい。よって、水酸基価から求めた分子量として1,000〜50,000であり、より好ましくは1,000〜20,000、更に好ましくは6,000〜20,000のポリエチレングリコールが特に好ましい。分散液中のヒドラジド化合物の濃度は、通常5〜70wt%であり、10〜40wt%が好ましい。これよりも濃度が低いと、結果的にポリオキシメチレン中の希釈剤濃度が高くなり強度低下など物性への影響が無視できず、これよりも濃度が高いと分散液の溶融ポリオキシメチレン共重合体への添加が困難となる。
2gのサンプルを試験管に入れ、窒素置換後10Torr減圧下で222℃、2時間加熱した場合の重量減少率を示す。このM値は、その値が低いほど熱安定性が高いことを示す。サンプルが粗オキシメチレン共重合体の場合には、10−2Torr減圧下で60℃、24時間乾燥した後、60メッシュの篩を通過した粗ポリオキシメチレン共重合体粉末2gに安定剤(トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)4.0wt%を加え、よく混合してから同様に処理した。
(2)成形品のホルムアルデヒド発生量
日精樹脂工業社製PS−40E5ASE成形機を用いて、シリンダー温度215℃で成形した100mm×40mm×厚さ2mmの平板を試験片として、成形翌日にドイツ自動車工業組合規格VDA275(自動車室内部品−改訂フラスコ法によるホルムアルデヒド放出量の定量)に記載された方法に準拠して、以下の手順で測定した。
(i)ポリエチレン容器中に蒸留水50mlを入れ、試験片をつるした状態で蓋を閉め密閉状態で60℃、3時間保持。
(ii)その後、室温で60分間放置後、試験片取出し。
(iii)ポリエチレン容器内の蒸留水中に吸収されたホルムアルデヒド濃度を、UVスペクトロメーターを用いてアセチルアセトン比色法で測定。
(3)黄変
得られたペレットを、目視により、黄色く着色しているかを判定した。
(4)金型汚染性
住友重機械工業(株)製ミニマットM8/7A成形機を用い、しずく型金型を用いて、成形温度230℃、金型温度35℃で500ショット連続成形し、終了後、金型の付着物(モールドデポジット)の状態を観察し、金型汚染が少ないものから金型汚染が多いものを順に、6段階(1、2、3、4、5、6)の基準で評価した。
温度を65℃に設定したジャケットを有するセルフクリーニング型パドルを有する二軸の連続重合機に、トリオキサン100重量部と1,3−ジオキソラン4重量部を、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートをベンゼン溶液(6.2mol/kg−ベンゼン)としてトリオキサン1molに対して0.05mmolおよび分子量調節剤としてメチラールをベンゼン溶液(25wt%)としてトリオキサンに対して500ppmとなるように連続添加し、滞在時間が15分となる様に連続的に重合を行った。
生成した重合物に対して、トリフェニルホスフィンをベンゼン溶液(25wt%)として、使用した三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート1molに対して2molとなる様に添加し、触媒を失活後、粉砕して粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。重合体の収率は98%であった。また、メルトインデックス(MI)は、10.5g/10minであった。
得られた粗ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)0.3重量部、メラミン0.05重量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合を行った。
予備混合をおこなったポリオキシメチレン共重合体を自動定量フィード機能の付いたホッパーよりベント付同方向回転型二軸押出機に導入し、ポリオキシメチレン共重合体を溶融させ、横型セルフクリーニング型の二軸混練機に機内での滞在時間が25分となるように連続的に供給し、20kPaの減圧下200℃で減圧脱揮を行った。その後、80℃で溶融状態としたポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製、PEG6000P;分子量6,000)中にドデカン二酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業(株)製、融点:185℃、分解温度:252℃)を30wt%の濃度になるようにスラリー化させ、ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対して、ドデカン二酸ジヒドラジドが0.08重量部の割合となるようにギアポンプで、横型セルフクリーニング型の二軸混練機からペレタイザーに流入する溶融ポリオキシメチレン共重合体に添加し、ペレット化してサンプルを調製した。結果を表1に示す。
溶融したポリオキシメチレン共重合体を、横型セルフクリーニング型の二軸混練機に機内での滞在時間が10分となるように連続的に供給した以外は、実施例1と同じ処理を行った。結果を表1に示す。
ドデカン二酸ジヒドラジドの粉末を単独で、粗ポリオキシメチレン共重合体に対して他の添加剤と一緒に添加して予備混合し、その後のドデカン二酸ジヒドラジドのポリエチレングリコール分散液の添加は行わないこと以外は、実施例1と同じ処理を行った。結果を表1に示す。
実施例1の予備混合をおこなったポリオキシメチレン共重合体を自動定量フィード機能の付いたホッパーより、ベント付同方向回転型二軸押出機に導入し、ポリオキシメチレン共重合体を溶融させ後、横型セルフクリーニング型の二軸混練機の機内に導入する前に、ドデカン二酸ジヒドラジドの粉末を単独で添加し、その後のドデカン二酸ジヒドラジドのポリエチレングリコール分散液の添加は行わないこと以外は、実施例1と同じ処理を行った。結果を表1に示す。
実施例1の予備混合をおこなったポリオキシメチレン共重合体を自動定量フィード機能の付いたホッパーよりベント付同方向回転型二軸押出機に導入し、ポリオキシメチレン共重合体を溶融させた後、横型セルフクリーニング型の二軸混練機に機内に導入する前に、実施例1のドデカン二酸ジヒドラジドのポリエチレングリコール分散液を添加し、その後のドデカン二酸ジヒドラジドのポリエチレングリコール分散液の添加は行わないこと以外は、実施例1と同じ処理を行った。結果を表1に示す。
ドデカン二酸ジヒドラジドをポリエチレングリコール分散液としてではなく、ドデカン二酸ジヒドラジドをその融点以上の200℃に加熱して溶融させ、希釈剤を用いずギアポンプで、横型セルフクリーニング型の二軸混練機からペレタイザーに流入する溶融ポリオキシメチレン共重合体に添加した以外は、実施例1と同じ処理を行った。結果を表1に示す。
ドデカン二酸ジヒドラジドを添加しない以外は、実施例1と同じ処理を行った。
Claims (7)
- 粗ポリオキシメチレン共重合体を、その融点以上で溶融混練し、発生する分解ホルムアルデヒドガスを減圧脱揮した後に、その溶融状態を保ったまま、ヒドラジド化合物(A)を含むホルムアルデヒド捕捉剤を混合して直ちにペレット化する工程を含むポリオキシメチレン共重合体の連続製造方法であって、該ホルムアルデヒド捕捉剤として、(A)の融点もしくは分解温度のうち、低い側の温度(Ta)よりも低い温度の融点を示す希釈剤(B)に、(B)の融点以上かつ(Ta)未満の温度範囲で、(A)をスラリー分散させた分散液を用いることを特徴とするポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- 前記減圧脱揮を、横型セルフクリーニング型2軸混練機を用い、15〜60分の範囲で脱揮する請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- ヒドラジド化合物(A)が、ジヒドラジド化合物である請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- 前記ジヒドラジド化合物が、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジドおよび2,6−ナフタレンジカルボヒドラジドからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- 希釈剤(B)が、ポリエチレングリコールである請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- 希釈剤(B)が、水酸基価から求めた分子量として1,000〜50,000のポリエチレングリコールである請求項5に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
- 前記分散液中のヒドラジド化合物の濃度が、5〜70wt%である請求項1に記載のポリオキシメチレン共重合体の製造方法。
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