JP5066832B2 - 高靭性ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。 - Google Patents
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Description
しかし、ポリオキシメチレン樹脂は一般の熱可塑性樹脂と異なり、他の熱可塑性樹脂を配合する場合、樹脂間相互の相溶性、分散性が特に悪く、両相の界面の接着も不充分で、界面での相分離を生じ、成形品とした場合に、表層剥離を生じる場合もあり、かかる他樹脂の配合手段による改質は極めて困難である。
また、ポリオキシメチレン樹脂に特定の多相インターポリマー、エステル化合物、及びポリアルキレングリコール配合することにより、柔軟性、靭性、耐衝撃性及び成形性を改善する方法(例えば特許文献12参照)が開示されているが、更なる引張破断伸びで示される靭性の向上と共に、金型汚染が少なく効率的で、安定した品質を有するオキシメチレン樹脂組成物を安価に製造する方法が求められていた。
コモノマーである環状ホルマールおよび/またはエーテルとしては、例えば、1,3−ジオキソラン、2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−プロピル−1,3−ジオキソラン、2−ブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−フェニル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−エチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2,4−トリメチル−1,3−ジオキソラン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−ブチルオキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−フェノキシメチル−1,3−ジオキソラン、4−クロルメチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキカビシクロ[3,4,0]ノナン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド、オキシタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、およびオキセパン等が挙げられる。これらの中でも1,3−ジオキソランが特に好ましい。
また、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能エポキシ化合物や、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物を架橋・分岐剤として0.001〜5重量部添加しても良い。
前記触媒の使用量は、トリオキサン1モルに対して、通常1×10−7〜1×10−3モルであり、好ましくは1×10−7〜1×10−4モルである。触媒の使用量がこれより多いと熱安定性が低下し、少ないと重合収率が低下する。
一般に、これら分子量調整剤は目標とする分子量に応じて、モノマーに対して0〜1.0重量部の範囲で添加量が調整される。
これら分子量調節剤は、通常、トリオキサンとコモノマーの混合原料液に供給される。添加位置に特に制限はないが、カチオン活性触媒を該混合原料液に供給する前に供給するのが好ましい。
重合時間には、重合収率又は熱安定性の面からコモノマーの割合によって好ましい下限が存在し、コモノマーの割合が増加するに伴い重合時間も長くする必要がある。例えば、トリオキサン100モルに対して1,3−ジオキソランを11〜20モル共重合させる場合には、5〜120分、好ましくは6〜60分が適当である。
失活剤として用いられる有機アミン系化合物としては、一級、二級、三級の脂肪族アミンや芳香族アミン、ヘテロ環アミン等が使用でき、具体的には、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−ブチルアミン、ジ―n―ブチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、メラミン、メチロールメラミン等が挙げられる。
これら例示される触媒失活剤の中でも3価の有機リン化合物および3級アミンが好ましい。3価の有機リン化合物の中で、特に好ましい化合物は熱的に安定でかつ熱による成形品の着色弊害を及ぼさないトリフェニルホスフィンである。3級アミンの中で、特に好ましい化合物はトリエチルアミンおよびN,N−ジメチルブチルアミンである。
失活剤は完全に触媒を失活させる量入れる必要は無く、後述の有機アミン添加加熱保持時に粗ポリアセタール共重合体の分子量低下が製品の許容範囲に抑えられるようにすればよい。失活剤の使用量は、使用触媒のモル数に対して、通常0.01〜500倍、好ましくは0.05〜100倍である。
失活剤を溶液、懸濁液の形態で使用する場合、使用される溶剤は特に限定されるものではない。例えば、水、アルコール類、原料モノマー、コモノマー、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等の脂肪族または芳香族の各種有機溶媒が挙げられる。これらは、混合して使用することも可能である。
押出機(A)には、ニーディング部は総長さとして2D1〜10D1設置される必要があり、この範囲よりニーディング部が短いと粗ポリアセタール共重合体の溶融が不十分となり、あるいは粗ポリアセタール共重合体に予め安定剤と混合させている場合は粗ポリアセタール共重合体と安定剤との混合が不十分になり安定剤を過剰に入れなければ目的とする効果が得られず、またこの範囲よりニーディング部が長いとニーディング部の過剰なせん断応力によりポリアセタール共重合体が分解してしまい着色あるいは粘度(あるいは分子量)低下による不安定構造が新たに形成されてしまう等の弊害が生ずる。ニーディング部以外のスクリューには過剰なせん断応力が発生しないフライト部(スクリュー状のセグメント)を設置することが望ましい。
ニーディング部はスクリュー長さ方向に対し、2D1〜10D1の長さ連続して設置される必要はなく、ニーディング部とニーディング部の間にフライト部を導入する構成として、ニーディング部を2ゾーンあるいは2ゾーン以上に分割して押出機(A)のスクリューに設置することもできる。
押出機(A)で粗ポリアセタール共重合体を溶融させる際に、失活処理した粗ポリアセタール共重合体に予め公知の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤等を一括あるいは分割して添加しておくことができる。
熱安定剤としては、メラミン、メチロ−ルメラミン、ベンゾグアナミン、シアノグアニジン、N,N−ジアリールメラミン等のアミン置換トリアジン類、ポリアミド類、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、ウレタン類等およびナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムの無機酸塩、水酸化物、有機酸塩等が例示される。
その他の添加剤の例として、着色剤、核剤、蛍光増白剤、又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の脂肪酸エステル系又はシリコン系化合物等の離型剤、ポリエチレングリコール、グリセリンのような帯電防止剤、高級脂肪酸塩、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系化合物のような紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系のような光安定剤が例示される。
減圧脱揮の時間は15〜60分とすることが好ましい。減圧脱揮の時間が15分より短いと粗ポリアセタールが溶融時に発生させるホルムアルデヒドガスを十分に脱揮することができない。またせん断応力が押出機に比べはるかに弱い2軸の表面更新型横型反応機内でも滞留時間が60分を超えるとポリアセタール共重合体が黄変あるいは主鎖分解による熱安定性低下してしまう結果となり好ましくない。減圧脱揮時に窒素ガス等の不活性ガスあるいは脱揮減圧条件で気化するアルコールや水等を減圧処理設備に導入し外部からの空気の混入を避けることや、あるいは減圧度を制御することも好適である。
またニーディング部はスクリュー長さ方向に対し、L/D=1.0〜0.5あるいは2.0〜10.0の長さで連続して設置される必要はなく、ニーディング部とニーディング部の間にフライト部を導入する構成として、ニーディング部を3ゾーンあるいは4ゾーン以上に分割して押出機(B)のスクリューに設置することもできる。
ニーディング部以外のスクリューには過剰なせん断応力がかかりにくいフライト部を設置することが好ましい。
トリオキサン100重量部に対して、1,3−ジオキソラン13重量部、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートをベンゼン溶液(0.62mol/Kg−ベンゼン)として全モノマー1molに対して0.040mmol、及び分子量調整剤としてメチラールをベンゼン溶液(25重量%)として、全モノマーに対して700ppm連続添加し、温度を65℃に設定したジャケットを有するセルフクリーニング型パドルを持つ二軸のニーダー中で、重合機の滞在時間が15分になる様に連続的に重合を行った。
生成した重合物に対して、トリフェニルホスフィンをベンゼン溶液(25重量%)として、添加した三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート1molに対して2molとなる様に添加し、触媒を失活後、粉砕して粗ポリアセタール共重合体を得た。MI値は7.5あった。
重合後、ポリアセタール共重合体100重量部に、安定剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)0.3重量部、メラミン0.05重量部、水酸化マグネシウム0.025重量部をヘンシェルミキサーを用いて予備混合を行った。予備混合をおこなった粗ポリアセタール共重合体を自動定量フィード機能の付いたホッパーより、フィード口から10.5〜14.0D1の位置に長さ3D1のニーディング部が設置され、14.0〜17.5D1、24.5〜28.0D1の位置にベントが設置され、24.5〜28.0D1のベント前方下部にシールリング(0.5D)を導入した同方向回転型2軸押出機(内径69mm, L/D31.5)に60kg/時間で導入し、粗ポリアセタール共重合体をベント部で20kPaの減圧として220℃で溶融させ、連続的に2軸の表面更新型横型混練機に導入した。
上記同方向回転型2軸押出機から溶融状態で導入されたポリアセタール共重合体を2軸の表面更新型横型反応機(実効内容積60L:全内容積から攪拌翼が占める体積を除いた体積)での滞在時間が25分となるように液面調整をおこない、20kPaの減圧下220℃で減圧脱揮をおこないながら、連続的にギアポンプで抜き出した。
連続的にギアポンプで抜き出したサンプルを溶融状態のまま、フィード口から7.0〜10.5D2の位置に3D2のニーディング部が設置され、10.5〜14.0D2の位置にベントの設置された同方向回転型2軸押出機(内径58.0mm, L/D17.5)に導入した。同時に、添加剤としてポリエチレングリコール(三洋化成社製、商品;PEG20000)3重量部を、サイドフィーダーで3.5〜7.0D2の位置から供給した。内部樹脂温度220℃で20kPaの減圧下で脱揮しながらポリアセタール共重合体を水中下で冷却してペレット化した。得られたペレットは、120℃、12時間熱風乾燥機で乾燥して最終サンプルとした。
粗ポリアセタール共重合体重合例1及び2、押出機(A)処理例、2軸の表面更新型横型反応機脱揮減圧例および押出機(B)処理例に従ってポリアセタール樹脂組成物のペレットを得た。サンプル調製条件ならびに物性値を表に示す。
実施例と同手法で、2軸の表面更新型横型混練機内滞在時間及び樹脂温度、押出機(A)の樹脂温度、押出機(B)でのニーディング長さに関する条件ならびに物性値を表に示す。
粗ポリアセタール共重合体重合例1と押出機(A)処理例及び2軸の表面更新型横型反応機脱揮減圧例に従ってポリアセタール樹脂組成物のペレットを得た。ポリエチレングリコール(三洋化成社製、商品;PEG20000)は粗ポリアセタール重合体と安定剤と共に押出機(A)で添加した。サンプル調製条件ならびに物性値を表に示す。
(a) 引張試験:ASTM D−638に準じて引張破断伸びを測定した。
(b) ヤケ:実施例または比較例で得られた樹脂組成物25kg中にヤケを含んだペレットの個数を評価した。
(c) 黄変色:実施例または比較例で得られた樹脂組成物を、東芝機械(株)製IS90B成形機を用い、成形温度240℃、金型温度80℃で成形した × の成形プレートの黄変色を観察し、以下の6段階の基準で評価した。
(d) 金型汚染性:実施例または比較例で得られた樹脂組成物を、住友重機械工業(株)製ミニマットM8/7A成形機を用い、しずく型金型を用いて、成形温度230℃、金型温度35℃で500ショット連続成形し、終了後、金型の付着物(モールドデポジット)の状態を観察し、以下の6段階の基準で評価した。
(e)溶融指数(MI値):重合により得られた粗ポリアセタール重合体100重量部に対し、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバガイギー社製、商品名イルガノックス245)0.3重量部、メラミン0.1重量部、水酸化マグネシウム0.05重量部を各々添加し、均一にブレンドした後、ラボプラストミルを用いて安定化し、ASTM−D1238(190℃、2.16kg荷重下)に従って測定を行った。
Claims (2)
- 触媒失活させたポリアセタール共重合体を押出機(A)で溶融させ、溶融状態のまま2軸の表面更新型横型混練機に連続的に導入し、内部樹脂温度が190〜240℃で且つ1.01×102〜1.33×10−2kPaで15〜60分減圧脱揮を行った後、該2軸の表面更新型横型混練機から排出されたポリアセタール樹脂組成物を、押出機(B)の内径D2に対して2〜5D2の長さのニーディング部が設置された押出機(B)で、数平均分子量1万以上100万以下のポリエチレングリコールとの混練及び減圧脱揮を行うことを特徴とする高靭性ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
- 押出機(B)内の温度が190〜240℃であることを特徴とする請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
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