JPWO2006104002A1 - 磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

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Abstract

MRAMは、第1配線と第2配線とメモリセルとを備える。第1配線は第1方向Sへ伸びている。第2配線は第2方向へ伸びている。メモリセルは、反強磁性的に結合した複数の磁性層を積層したフリー磁性層を含み、第1配線と第2配線とが交叉する点に設けられる。フリー磁性層の磁化容易軸方向が、第1方向及び第2方向とは異なる。書込み方法は、(a)メモリセル52に蓄えられた第1情報を読み出すステップと、(b)メモリセル52へ書き込む第2情報と第1情報とを比較するステップと、(c)第1情報と第2情報とが異なる場合、第1配線に流す第1書込み電流IWLの向き±Tと、第2配線へ流す第2書込み電流の向きとを、第2情報に基づいて変更するステップとを具備する。こうして、ディスターブを抑制しつつ書込みの動作領域を拡大することができるMRAMを提供する。

Description

本発明は、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)に関し、特に、積層フェリ構造を有する磁気ランダムアクセスメモリに関する。
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、高集積・高速動作の観点から有望な不揮発性メモリである。MRAMでは、AMR(Anisotropic MagnetoResistance)効果、GMR(Giant MagnetoResistance)効果、及びTMR(Tunnel MagnetoResistance)効果のような磁気抵抗効果を示す磁気抵抗素子が利用される。
米国特許US5,640,343号には、一般的なMRAMが開示されている。このMRAMでは、書込み動作時に半選択セルに対する誤書込み(書込みディスターブ)が発生しないように、書込み電流の値を所定の書込みマージン内に収める。ただし、MRAMの各メモリセルの有する磁気抵抗素子では、特性にバラツキが存在する。磁気抵抗素子の特性のバラツキが大きくなるにつれ、書込みマージンは小さくなる。その結果、書込みディスターブの可能性が高くなる。
このような誤書込みを抑制するための技術として人工的反強磁性自由層構造(SAF:synthetic antiferromagnetic layer material)が提案されている。例えば、米国特許US6,545,906号には、SAF構造を有するMRAMが開示されている。SAF構造を有するMRAMでは、互いに反強磁性的に結合したN層(Nは2以上の整数)の磁性膜が用いられる。米国特許US6,545,906号では、N=2とN=3の場合が示されている。
図1及び図2は、従来技術におけるMRAMの磁気抵抗素子のSAF構造を示す概念図である。この磁気抵抗素子101は、下部電極層111、反強磁性層112、固定磁性層(ピン層)113、バリア層114、自由磁性層(フリー層)115及び上部電極層116を含んでいる。自由磁性層115は、薄い非磁性膜123を介して反強磁性的に結合した第1磁性膜121と第2磁性膜122とを含んでいる(N=2)。この反強磁性結合により、図1及び図2中の矢印で示されているように、第1磁性膜121及び第2磁性膜122の自発磁化の向きは、安定状態において反平行となる。自由磁性層(フリー層)115中の第1磁性膜121及び第2磁性膜122の自発磁化の向きは反転可能である。一方の自発磁化が反転した場合、反平行状態を保つように、他方の自発磁化も反転する。
自由磁性層115中の第1磁性膜121は、バリア層114を介して固定磁性層113上に積層されている。図1は、第1磁性膜121の自発磁化の向きと固定磁性層113の自発磁化の向きが「反平行」である「第1状態」を示し、図2は、第1磁性膜121の自発磁化の向きと固定磁性層113の自発磁化の向きが「平行」である「第2状態」を示している。磁気抵抗効果により、第1状態における磁気抵抗素子101の抵抗値(R+ΔR)は、第2状態における抵抗値(R)よりも大きくなる。SAF構造を用いたMRAMは、この磁気抵抗素子101をメモリセルとして用い、抵抗値の変化を利用することによってデータを不揮発的に記憶する。例えば、図1に示される第1状態は、データ「1」に対応付けられ、図2に示される第2状態は、データ「0」に対応付けられる。
図3は、SAF構造のMRAMにおける自発磁化の向きを示す平面図である。書込みワード線153及びビット線155は、互いに直交するS方向及びT方向に沿ってそれぞれ形成されている。書込みワード線153には書込み電流IWLが、ビット線155には書込み電流IBLがそれぞれ流れる。メモリセル(磁気抵抗素子101)は、書込みワード線153とビット線155に挟まれて配置されている。ここで、磁気抵抗素子101の自由磁性層115における「磁化容易軸方向」をX方向とし、「磁化困難軸方向」をY方向とする。SAF構造のMRAMでは、磁化容易軸方向(X方向)がS方向あるいはT方向と45度の角をなすように、メモリセルが配置される。安定状態において、第1磁性膜121の自発磁化(太矢印)と第2磁性膜122の自発磁化(細矢印)とは、互いに反平行であり、且つ、磁化容易軸方向に向いている。
米国特許US6,545,906号のSAF構造を用いたMRAMは、「ダイレクト書込み方式」と「トグル書込み方式」という二つの方式で書込みが行われる。
「トグル書込み方式」は、第1磁性膜121と第2磁性膜122とでそれらの自発磁化Ms、膜厚t、及び一軸異方性磁界Hkがほぼ等しい場合に用いられる。すなわち、第1磁性膜121の自発磁化Msと膜厚tとの積Ms×tと第2磁性膜122の自発磁化Msと膜厚tとの積Ms×tとが以下の関係にある。
Figure 2006104002
図4Aと図4Bは、トグル書込み方式のMRAMにおける書込み動作を示すタイミングチャートである。まず、時刻t1で、書込みワード線153に書込み電流IWLが供給され、時刻T2で、ビット線155に書込み電流IBLが供給される。続いて、時刻T3で、書込み電流IWLの供給が停止し、時刻T4で、書込み電流IBLの供給が停止する。このような電流制御を行うことによって、第1磁性膜121及び第2磁性膜122における自発磁化の向きが反転する。つまり、トグル書込み方式によれば、自由磁性層115の磁化状態は、書込み動作の度に、「第1状態」と「第2状態」の間でトグルスイッチのように変化する。
以上のようにトグル書込み方式のMRAMにおいては、書込み動作の度に状態が変化するため、データの書込みの前に、対象メモリセルに格納されているデータ(格納データ)の読み出しが行われる。格納データと書込みデータが異なっている場合にのみ、書込み動作が実行される。
図5は、トグル書込み方式のMRAMにおける閾値特性を示す図である。図5において、縦軸、横軸は、それぞれ書込み電流IWL、IBLを示す。データが書き込まれる「選択セル」に対応する書込みワード線153及びビット線155には、図中の「toggle」と示された領域(トグル動作領域)に対応する書込み電流IWL、IBLが供給される。これにより、その選択セルにおいてトグル動作が行われる。ここで、このトグル動作領域はX切片、Y切片を持たない。よって、書込みワード線153及びビット線155のいずれか一方が選択セルと共通である「半選択セル」には、いずれかの書込み電流による磁界しか印加されない。従って、その半選択セルにおいてトグル動作は起こらない。このように、トグル書込み方式のMRAMによれば、米国特許US5,640,343号に示される一般的なMRAMと比較して、誤書込みが大幅に低減される。また、書込み電流の値を厳密に制御する必要がないので、書込みマージンは飛躍的に向上する。
トグル書込み方式のMRAMの動作領域は、次のように規定される。図6は、トグル書込み方式のMRAMの閾値特性を詳細に示すグラフである。縦軸、横軸は、それぞれ書込み電流IWL、IBLによって生成されるワード線垂直磁界HWL、ビット線垂直磁界HBLを示す。図7は、トグル書込み方式のMRAMにおける自由磁性層115の磁気抵抗特性を示すグラフである。横軸は磁化容易軸(X)方向の磁界Hを示し、縦軸は抵抗値を示す。
トグル動作に必要な最小の磁界であって、磁化容易軸(X)方向の磁界が、「フロップ磁界(Spin Flop Field)HSf」と定義される。すなわち、フロップ磁界HSfの大きさは、図6において原点から点aまでの距離で定義される。自由磁性層115が2層の等価な磁性膜から構成される場合、フロップ磁界HSfは、「一軸異方性磁界H」と「反強磁性結合磁界H」を用いて、次の式で表される。
Figure 2006104002

また、書込み動作時の磁界がある値よりも大きくなった場合、自由磁性層115に含まれる各磁性膜の自発磁化は完全に同じ方向を向いてしまう。この時、動作が不安定になってしまう。不安定にならない限界の磁界は、図6において曲線cで示されている。その限界の磁界であって、磁化容易軸(X)方向の磁界が、「飽和磁界(Saturation Field)HSat」と定義される。すなわち、飽和磁界HSatの大きさは、図6において原点から曲線cまでの距離で定義される。
このように、トグル動作領域の上限及び下限は、それぞれフロップ磁界HSf及び飽和磁界HSatで規定される。書込み動作時に印加される磁化容易軸方向の磁界Hは、図7に示されるように、フロップ磁界HSfから飽和磁界HSatまでの範囲に入る必要がある。トグル書込み方式のMRAMにおいて、このトグル動作領域を更に拡大することができる技術が望まれている。
また、トグル書込み方式のMRAMにおいて、消費電力を低減することができる技術が望まれている。それは、トグル書込み方式のMRAMによる書込み電流は、一般的なMRAMによる書込み電流よりも大きくなる傾向があるからである。一例として、図1に示された2層の磁性膜から構成された自由磁性層115に対するフロップ磁界HSfと、第2磁性膜122及び磁性膜123のない単層の自由磁性層115に対する書込み磁界との比較を行う。両自由磁性層において、一軸異方性磁界Hは同じと仮定する。単層の自由磁性層115に対する書込み磁界は、約Hである。一方、反強磁性結合磁界HIがH=4Hで与えられる時、上記式により、フロップ磁界HSfは次式で与えられる。
Figure 2006104002
このように、トグル書込み方式のMRAMは、一般的な単層の自由磁性層を有するMRAMと比較して、約ルート5倍の書込み磁界、すなわち書込み電流が必要となる。従って、トグル書込み方式のMRAMにおいて、書込み電流を低減することができる技術が望まれている。そのためには、フロップ磁界HSfが小さいことが望ましい。たたし、熱擾乱により自由磁性層115の自発磁化の向きが乱れることに対する耐性(熱擾乱耐性)を確保するために、一軸異方性磁界Hをむやみに小さくすることはできない。
一方「ダイレクト書込み方式」は、第1磁性膜121と第2磁性膜122とでそれらの自発磁化Ms、膜厚t、一軸異方性磁界Hが異なる場合に用いられる。ここでは話を単純化するために、第1磁性膜121の自発磁化と膜厚との積Ms×tと、第2磁性膜122の自発磁化と膜厚との積Ms×tとが以下の関係にあるとする。
Figure 2006104002
図8Aと8Bと、図9Aから9Eは、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける「1」書込み動作を示す図である。図8Aと8Bは、書込み電流IWL及び書込み電流IBLのタイミングチャートである。図9Aから9Eは、タイミングチャートの各時刻における第1磁性膜121及び第2磁性膜122の自発磁化の向きを示す。ここで、「1」書込みとは、メモリセル(磁気抵抗素子101)へ「1」を書き込むことである。具体的には、第1磁性膜121の自発磁化を−X方向に向かせることを示す。「0」書込みとは、メモリセル(磁気抵抗素子101)へ「0」を書き込むことである。具体的には、第1磁性膜121の自発磁化を+X方向に向かせることを示す。
図8Aと8Bと、図9Aから9Eは、「0」が書き込まれた状態(「0」状態)の磁気抵抗素子101に、「1」書込みを行い、「1」が書き込まれた状態(「1」状態)にする例を示す。初期状態において、第1磁性膜121の自発磁化は+X方向、第2磁性膜122の自発磁化は−X方向へ向いているとする。まず、時刻T1で、書込みワード線153に書込み電流+IWLが供給され、時刻T2で、ビット線155に書込み電流+IBLが供給される。続いて、時刻T3で、書込み電流+IWLの供給が停止し、時刻T4で、書込み電流+IBLの供給が停止する。このような電流制御を行うことによって、第1磁性膜121と第2磁性膜122における自発磁化の向きが反転する。そして、第1磁性膜121の自発磁化は−X方向へ向き、「1」書込み状態となる。なお、同じ書込みシーケンスをおこなっても、初期状態が「1」状態ならば、「0」状態に変化すること無く、「1」状態は保持される。
図10Aと10Bと、図11A乃至11Eは、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける「0」書込み動作を示す図である。図10Aと10Bは、書込み電流IWL及び書込み電流IBLのタイミングチャートである。図11A乃至11Eは、タイミングチャートの各時刻における第1磁性膜121及び第2磁性膜122の自発磁化の向きを示す。この図では、「1」状態の磁気抵抗素子101に、「0」書込みを行い、「0」状態にする例を示す。初期状態において、第1磁性膜121の自発磁化は−X方向、第2磁性膜122の自発磁化は+X方向を向いているとする。まず、時刻T1で、書込みワード線153に書込み電流−IWLが供給され、時刻T2で、ビット線155に書込み電流−IBLが供給される。続いて、時刻T3で、書込み電流−IWLの供給が停止し、時刻T4で、書込み電流−IBLの供給が停止する。このような電流制御を行うことによって、第1磁性膜121と第2磁性膜122における自発磁化の向きが反転する。そして、第1磁性膜121の自発磁化は+X方向へ向き、「0」状態となる。同じ書込みシーケンスをおこなっても、初期状態が「0」状態ならば、「1」状態に変化することなく、「0」状態は保持される。
以上のように、ダイレクト書込み方式のMRAMにおいては、書込み動作により、書込み状態が決定される。そのため、データの書込みの前に、対象メモリセルの格納データの読み出しが不要であり、書き込むべきメモリセルをすべて書き込めばよい。
図12は、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける閾値特性を示すグラフ図である。図12において、縦軸、横軸は、それぞれ書込み電流IWL、IBLを示す。データが書き込まれる「選択セル」に対応する書込みワード線153及びビット線155には、図中の「direct」と示された領域(ダイレクト領域)に対応する書込み電流IWL、IBLが供給される。これにより、その選択セルにおいてダイレクト書込み動作が行われる。ここで、図12に示されるように、このダイレクト領域はX切片、Y切片を持たない。よって、書込みワード線153及びビット線155のいずれか一方が選択セルと共通である「半選択セル」には、いずれかの書込み電流による磁界しか印加されない。従って、その半選択セルにおいてダイレクト書込み動作は起こらない。このように、ダイレクト書込み方式のMRAMによれば、一般的なMRAMと比較して、誤書込みが大幅に低減される。また、トグル書込み方式に比べ、少ないワード電流、ビット電流で書込みが可能である。
ダイレクト書込み方式のMRAMの動作領域は、次のように規定される。図13は、ダイレクト書込み方式のMRAMの閾値特性を詳細に示すグラフ図である。図13において、縦軸、横軸は、それぞれ書込み電流IWL、IBLによって生成されるワード線垂直磁界HWL、ビット線垂直磁界HBLを示す。図14は、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける自由磁性層115の自発磁化特性を示すグラフである。横軸は磁化容易軸(X)方向の磁界Hを示し、縦軸はX方向での自由磁性層115の合成自発磁化の値を示す。
ダイレクト動作に必要な最小の磁界であって、磁化容易軸(X)方向の磁界が、「ダイレクト書込み磁界Hdir」と定義される。すなわち、ダイレクト書込み磁界Hdirの大きさは、図13において原点から点bまでの距離で定義される。第1磁性膜121の自発磁化と膜厚との積Ms×tと、第2磁性膜122の自発磁化と膜厚の積Ms×tとが異なる場合、ダイレクト書込み磁界Hdirはフロップ磁界HSfよりも小さい。曲線a、曲線cについては、図6及び図7と同様である。
このように、ダイレクト書込み動作領域の上限及び下限は、それぞれダイレクト書込み磁界Hdir及びフロップ磁界HSfで規定される。書込み動作時に印加される磁化容易軸方向の磁界Hは、図14に示されるように、ダイレクト書込み磁界Hdirからフロップ磁界HSfまでの範囲に入る必要がある。ダイレクト書込み磁界Hdirはフロップ磁界HSfよりも小さい。つまりダイレクト書込み方式では、トグル書込み方式に比べ、少ない書込み電流で書込みが行え、低消費電力化が可能である。一方、図からも明らかなように、ダイレクト書込み方式のMRAMでは、書込み動作領域が狭く、この動作領域を更に拡大することができる技術が望まれている。
尚、トグル書込み方式ではない一般的なMRAMの技術として、以下が知られている。
特開2002−151758号公報には、強磁性トンネル磁気抵抗素子が開示されている。この強磁性トンネル磁気抵抗素子のフリー層において、強磁性層と中間層が少なくとも5層以上積層されている。中間層を介して隣接する2層の強磁性層の磁化は、反強磁性的に配列されている。
特開2003−298023号公報に開示された磁気メモリは、2つの磁気抵抗素子と、それらの間に介在した共通配線を備える。第1の磁気抵抗素子は、第1のピン層と第1のフリー層を有する。第1のピン層は、非磁性層を介して積層された偶数層の強磁性層を含む。第1のフリー層は、単層の強磁性層、あるいは非磁性層を介して積層された複数の強磁性層を含む。第2の磁気抵抗素子は、第2のピン層と第2のフリー層を有する。第2のピン層は、単層の強磁性層、あるいは非磁性層を介して積層された3層以上の強磁性層を含む。第2のフリー層は、単層の強磁性層、あるいは非磁性層を介して積層された複数の強磁性層を含む。
特開2003−331574号公報には、MRAMの書込み方法が開示されている。この書込み方法は、(1)容易軸及び困難軸を有する磁気抵抗効果素子に、困難軸に平行な第1磁界を作用させるステップと、(2)その後、第1磁界より弱く困難軸に平行な第2磁界と、容易軸に平行な第3磁界とを、同時に磁気抵抗効果素子に作用させるステップとを有する。
特開2004−87870号公報に開示された磁気抵抗効果素子によれば、ピン層が、フリー層に静磁界を印加するための磁界印加部材としての機能を有している。その静磁界を印加するために、ピン層からの漏洩磁界の強さが、所定の値以上になるように設定されている。
特開平5−266651号公報には、磁性薄膜メモリ素子が開示されている。この磁性薄膜メモリ素子は、磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記憶する。この磁性薄膜は、積層構造を有している。具体的には、この磁性薄膜において、保磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bが、非磁性層cを介して、a/c/b/c/a/c/b/c・・・というように積層されている。
本発明の目的は、ディスターブを抑制することができるSAF構造を用いたMRAMであって、書込みの動作領域を拡大することができるMRAMを提供することにある。
本発明の他の目的は、ディスターブを抑制することができるSAF構造のMRAMであって、書込み電流を低減することができるMRAMを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、ディスターブを抑制することができるSAF構造のMRAMであって、製造歩留まりを向上することが可能なMRAMを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法は、以下のとおりである。
ここで、磁気ランダムアクセスメモリは、複数の第1配線と、複数の第2配線と、複数のメモリセルとを備えている。複数の第1配線は、第1方向へ伸びている。複数の第2配線は、第1方向と略垂直な第2方向へ伸びている。複数のメモリセルは、非磁性層を介して反強磁性的に結合した複数の磁性層を積層したフリー磁性層を含み、複数の第1配線と複数の第2配線とが交叉する点の各々に対応して設けられている。フリー磁性層の磁化容易軸の方向が、第1方向及び第2方向とは異なっている。書込み方法は、(a)複数のメモリセルから選択された選択セルにおいて蓄えられた第1情報を読み出すステップと、(b)選択セルへ書き込むべき第2情報と第1情報とを比較するステップと、(c)複数の第1配線のうちの選択セルに対応する選択第1配線に、第2情報に基づく向きで、第1書込み電流を流し、複数の第2配線のうちの選択セルに対応する選択第2配線に、第2情報に基づく向きで、第2書込み電流を流すステップとを具備する。本発明のMRAMでは、フリー磁性層における各磁性層同士の自発磁化や膜厚の関係に関わらず、トグル書込み領域及びダイレクト書き込み領域のいずれかにおいて書込みを行うことができる。すなわち、動作領域を拡大することができる。加えて、ダイレクト書込み領域を用いれば書込み電流を小さくすることができる。すなわち、電力消費量を低減できる。また、書込み電流を小さくできるので、書込み電流に関わるトランジスタの面積を小さくすることができる。すなわち、MRAMのチップ面積を相対的に小さくする、又はメモリセルの領域を相対的に広くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、(c)ステップは、(c1)第2情報が第1特定情報の場合、選択第1配線の第1向きへ第1書込み電流を流し、次に、選択第2配線の第2向きに第2書込み電流を流し、続いて、第1書込み電流を停止し、その後、第2書込み電流を停止するステップと、(c2)第2情報が第1特定情報とは異なる第2特定情報の場合、選択第1配線の第1向きとは逆の第3向きに第1書込み電流を流し、次に、選択第2配線の第2向きとは逆の第4向きに第2書込み電流を流し、続いて、第1書込み電流を停止し、その後、第2書込み電流を停止するステップとを備える。本発明では、事前の情報の読出し、及び、書込み電流の向きの制御を組み合わせることで、誤書込みを発生させること無く、トグル書込み領域とダイレクト書き込み領域とを併せた広い動作領域で書込みを実行することが可能となる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の自発磁化M及び膜厚tと、第2磁性膜の自発磁化M及び膜厚tとは、M×t≠M×t、を満足する。本発明では、自発磁化と膜厚との積の値を磁性膜同士で等しく合わせる必要がないので、磁性膜の製造マージンを広く取ることができる。すなわち、MRAMの製造歩留まりを高くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の自発磁化Mと、第2磁性膜の自発磁化Mとは、以下の関係
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、このような範囲にすることで、半選択セルの誤書込みを発生させることなく、トグル書込み領域単独及びダイレクト書き込み領域単独の場合と比較して書込み領域を広くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の膜厚tと、第2磁性膜の膜厚tとは、以下の関係
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、このような範囲にすることで、半選択セルの誤書込みを発生させることなく、トグル書込み領域単独及びダイレクト書き込み領域単独の場合と比較して書込み領域を広くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の一軸異方性定数KU1と、第2磁性膜の一軸異方性定数KU2とは、以下の関係式
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、このような範囲にすることで、半選択セルの誤書込みを発生させることなく、トグル書込み領域単独及びダイレクト書き込み領域単独の場合と比較して書込み領域を広くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の自発磁化Ms2p−1及び膜厚t2p−1と、2p層目の磁性層の自発磁化Ms2p及び膜厚t2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、自発磁化と膜厚との積の値を磁性膜同士で等しく合わせる必要がないので、磁性膜の製造マージンを広く取ることができる。すなわち、MRAMの製造歩留まりを高くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の膜厚t2p−1と、2p層目の磁性層の膜厚t2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、このような範囲にすることで、半選択セルの誤書込みを発生させることなく、トグル書込み領域単独及びダイレクト書き込み領域単独の場合と比較して書込み領域を広くすることができる。 上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の自発磁化Ms2p−1と、2p層目の磁性層の自発磁化Ms2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、このような範囲にすることで、半選択セルの誤書込みを発生させることなく、トグル書込み領域単独及びダイレクト書き込み領域単独の場合と比較して書込み領域を広くすることができる。
上記の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の一軸異方性定数KU2p−1と、2p層目の磁性層の一軸異方性定数KU2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。本発明では、このような範囲にすることで、半選択セルの誤書込みを発生させることなく、トグル書込み領域単独及びダイレクト書き込み領域単独の場合と比較して書込み領域を広くすることができる。
上記課題を解決するために本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、複数の第1配線と、複数の第2配線と、複数のメモリセルと、読出し判定部と、電流制御部とを具備する。複数の第1配線は、第1方向へ伸びている。複数の第2配線は、第1方向と略垂直な第2方向へ伸びている。複数のメモリセルは、非磁性層を介して反強磁性的に結合した複数の磁性層を積層したフリー磁性層を含み、複数の第1配線と複数の第2配線とが交叉する点の各々に対応して設けられ、フリー磁性層の磁化容易軸の方向が第1方向及び第2方向とは異なっている。読出し判定部は、複数の第1配線から選択された選択第1配線と複数の第2配線から選択された選択第2配線とにより複数のメモリセルうちから選択された選択セルへ第2情報を書き込むとき、選択セルに蓄えられた第1情報と第2情報とを比較する。電流制御部は、第1情報と第2情報とが異なるとき、選択第1配線へ流す第1書込み電流の向きと、選択第2配線へ流す第2書込み電流の向きとを、第2情報に基づいて制御する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、電流制御部は、第2情報が第1特定情報の場合、選択第1配線の第1向きへ第1書込み電流を流し、次に、選択第2配線の第2向きに第2書込み電流を流し、続いて、第1書込み電流を停止し、その後、第2書込み電流を停止する。第2情報が第1特定情報とは異なる第2特定情報の場合、選択第1配線の第1向きとは逆の第3向きに第1書込み電流を流し、次に、選択第2配線の第2向きとは逆の第4向きに第2書込み電流を流し、続いて、第1書込み電流を停止し、その後、第2書込み電流を停止する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層の磁化容易軸の方向は、第1方向及び第2方向と略45°の角度をなす。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、電流制御部は、第1電流方向制御部と、第2電流方向制御部とを備える。第1電流方向制御部は、第2情報が第1特定情報の場合、選択第1配線の第1向きへ第1書込み電流を流し、選択第2配線の第2向きに第2書込み電流を流すように第1書込み電流及び第2書込み電流を出力する。第2電流方向制御部は、第2情報が第1特定情報とは異なる第2特定情報の場合、選択第1配線の第1向きとは逆の第3向きに第1書込み電流を流し、選択第2配線の第2向きとは逆の第4向きに第2書込み電流を流すように第1書込み電流及び第2書込み電流を出力する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、電流制御部は、第1電流源と、第2電流源と、書込み制御部とを更に備える。第1電流源は、第1電流方向制御部及び第2電流方向制御部の一方へ第1書込み電流を供給する。第2電流源は、第1電流方向制御部及び第2電流方向制御部の一方へ第2書込み電流を供給する。書込み制御部は、第1電流源及び第2電流源の電流供給のタイミングを制御する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、書込み制御部は、第1電流源及び第2電流源のオン/オフでタイミングを制御する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、第1Xセレクタと、第2Xセレクタと、第1Yセレクタ)と、第2Yセレクタとを更に具備する。第1Xセレクタは、複数の第1配線の一端が接続され、選択第1配線を選択する。第2Xセレクタは、複数の第1配線の他端が接続され、選択第1配線を選択する。第1Yセレクタは、複数の第2配線の一端が接続され、選択第2配線を選択する。第2Yセレクタは、複数の第2配線の他端が接続され、選択第2配線を選択する。第2情報が第1特定情報の場合、第1電流源は、第1電流方向制御部へ第1書込み電流を出力する。第2電流源は、第1電流方向制御部へ第2書込み電流を出力する。第1電流方向制御部は、第1Xセレクタへ第1書込み電流を出力し、第1Yセレクタへ第2書込み電流を出力する。第2情報が第2特定情報の場合、第1電流源は、第2電流方向制御部へ第1書込み電流を出力する。第2電流源は、第2電流方向制御部へ第2書込み電流を出力する。第2電流方向制御部は、第2Xセレクタへ第1書込み電流を出力し、第2Yセレクタへ第2書込み電流を出力する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層であり、第1磁性膜の自発磁化M及び膜厚tと、第2磁性膜の自発磁化M及び膜厚tとは、M×t≠M×t、を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の自発磁化Mと、第2磁性膜の自発磁化Mとは、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の膜厚tと、第2磁性膜の膜厚tとは、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、第1磁性膜の一軸異方性定数KU1と、第2磁性膜の一軸異方性定数KU2とは、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の自発磁化Ms2p−1及び膜厚t2p−1と、2p層目の磁性層の自発磁化Ms2p及び膜厚t2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、以下の式
Figure 2006104002
を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の膜厚t2p−1と、2p層目の磁性層の膜厚t2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、
Figure 2006104002
を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の自発磁化Ms2p−1と、2p層目の磁性層の自発磁化Ms2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、
Figure 2006104002
を満足する。
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の磁性層の一軸異方性定数KU2p−1と、2p層目の磁性層の一軸異方性定数KU2pとは、(2n+1)層のときq=n+1とし、2n層のときq=nとすれば、
Figure 2006104002
を満足する。
図1は、従来技術におけるMRAMの磁気抵抗素子のSAF構造を示す概念図である。 図2は、従来技術におけるMRAMの磁気抵抗素子のSAF構造を示す概念図である。 図3は、SAF構造のMRAMにおける自発磁化の向きを示す平面図である。 図4Aと図4Bは、トグル書込み方式のMRAMにおける書込み動作を示すタイミングチャートである。 図5は、トグル書込み方式のMRAMにおける閾値特性を示すグラフである。 図6は、トグル書込み方式のMRAMの閾値特性を詳細に示すグラフである。 図7は、トグル書込み方式のMRAMにおける自由磁性層115の磁気抵抗特性を示すグラフである。 図8Aと図8Bは、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける「1」書込み動作を示すタイミングチャートである。 図9Aから9Eは、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける「1」書込み動作を示す図である。 図10Aと10Bは、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける「0」書込み動作時におけるタイミングチャートである。 図11Aから11Eは、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける「0」書込み動作を示す図である。 図12は、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける閾値特性を示すグラフである。 図13は、ダイレクト書込み方式のMRAMの閾値特性を詳細に示すグラフである。 図14は、ダイレクト書込み方式のMRAMにおける自由磁性層115の自発磁化特性を示すグラフである。 図15は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の実施例の構成を示すブロック図である。 図16は、本発明のMRAMの実施例における磁気抵抗素子に関わる構成を示す平面図である。 図17は、本発明のMRAMの実施例における磁気抵抗素子の構造を示す断面図である。 図18は、各書込み方式の特徴を示す表である。 図19は、トグル書込み方式及びダイレクト書込み方式での書込み可能領域を示すグラフである。 図20は、本発明による書込み方式での書込み可能領域を示すグラフである。 図21は、本発明のMRAMの実施例における書込み方法を示すフローチャートである。 図22は、本計算に用いたSAF構造のレイアウトを示す図である。磁気抵抗素子1の断面図を示している。 図23は、構造Aを有する磁気抵抗素子を示す断面図である。 図24は、構造Aを有する磁気抵抗素子の臨界磁界曲線を示すグラフである。 図25は、図22のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。 図26は、図22のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。 図27は、構造Bを有する磁気抵抗素子を示す断面図である。 図28は、構造Bを有する磁気抵抗素子の臨界磁界曲線を示すグラフである。 図29は、図26のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。 図30は、図26のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。 図31は、構造Cを有する磁気抵抗素子を示す概念図である。 図32は、構造Cを有する磁気抵抗素子の臨界磁界曲線を示すグラフである。 図33は、図30のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。 図34は、図30のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。 図35は、本発明のMRAMの実施例における磁気抵抗素子の他の構造を示す断面図である。
本発明の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)について、添付図面を参照して説明する。本発明のMRAMは、SAF構造を有する磁気抵抗素子を含み、新規な書込み方式を用いるMRAMである。
まず、本発明の実施例による磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の構成について説明する。図15は、本発明の実施例による磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の構成を示すブロック図である。MRAM40は、第1Xセレクタ41、第2Xセレクタ42、第1Yセレクタ43、第2Yセレクタ44、第1書込み電流源45、第2書込み電流源46、センスアンプ47、読出し判定回路48、参照電圧発生回路49、書込みコントローラ50、メモリアレイ51、第1電流方向制御回路58、第2電流方向制御回路59を具備する。
メモリアレイ51は、複数のメモリセル52、複数の書込みワード線53、複数の読出しワード線54、複数のビット線55を備える。複数の書込みワード線53は、S方向へ延びるように形成されている。一端を第1Xセレクタ41に、他端を第2Xセレクタ42に接続されている。複数の読出しワード線54は、S方向へ延びるように形成されている。一端を第1Yセレクタ43、他端を第2Yセレクタ44に接続されている。一本の書込みワード線53と一本の読出しワード線54とは組になっている。複数のビット線55は、T方向に延びるように形成されている。一端を第1Yセレクタ43に、他端を第2Yセレクタに接続されている。なお、ここでは、ビット線55は、書き込み動作及び読み出し動作に共通であるが、書き込みビット線と書き込みワード線とに分けていても良い。S方向とT方向とは、図に示すように互いに直交する。複数のメモリセル52の各々は、磁気抵抗素子1(後述)を含み、複数の書込みワード線53と複数のビット線55との交叉する点の各々に対応して設けられている。
第1Xセレクタ41は、書込み動作時に、Xアドレスの入力に基づいて、複数の書込みワード線53のうちから選択書込みワード線53sを選択する。読出し動作時に、Xアドレスの入力に基づいて、複数の読出しワード線54のうちから選択読出しワード線54sを選択する。第2Xセレクタ42は、書込み動作時に、Xアドレスの入力に基づいて、複数の書込みワード線53のうちから選択書込みワード線53sを選択する。第1Xセレクタ41及び第2Xセレクタ42に選択された選択書込みワード線53sには、書込み電流±IWLが流れる。
第1Yセレクタ43は、書込み動作時及び読出し動作時に、Yアドレスの入力に基づいて、複数のビット線55のうちから選択ビット線55sを選択する。第2Yセレクタ44は、書込み動作時に、Yアドレスの入力に基づいて、複数のビット線55のうちから選択ビット線55sを選択する。第1Yセレクタ43及び第2Yセレクタ44に選択された選択ビット線55sには、書込み電流±IBLが流れる。
各セレクタにより、書込み動作時に、選択書込みワード線53sと選択ビット線55sとの交叉する点に対応するメモリセル52が、書込みを行う選択セル52sとして選択される。同様に、各セレクタにより、読出し動作時に、選択読出しワード線54sと選択ビット線55sとの交叉する点に対応するメモリセル52が、読出しを行う選択セル52sとして選択される。
第1書込み電流源45は、書込み動作時に、電流出力信号TOG1に基づいて、第1電流方向制御回路58及び第2電流方向制御回路59へ書込み電流IWLを出力する。電流出力信号TOG1でON/OFFされるようにしても良い。第2書込み電流源46は、書込み動作時に、電流出力信号TOG2に基づいて、第1電流方向制御回路58及び第2電流方向制御回路59へ書込み電流IBLを出力する。電流出力信号TOG2でON/OFFされるようにしても良い。
第1電流方向制御回路58は、書込み動作時に、書込み制御信号Aに基づいて、書込み電流+IWL(+S方向)を流すとき、第1書込み電流源45からの書込み電流IWLを第1Xセレクタ41へ出力する。これにより、選択書込みワード線53sに+S方向の書込み電流+IWLが流れる。このとき、第2電流方向制御回路59は、第2Xセレクタ42を介して書込み電流+IWLを終端する。また、第1電流方向制御回路58は、書込み動作時に、書込み制御信号Aに基づいて、書込み電流+IBL(+T方向)を流すとき、第2書込み電流源46からの書込み電流IBLを第1Yセレクタ43へ出力する。これにより、選択ビット線55sに+T方向の書込み電流+IBLが流れる。このとき、第2電流方向制御回路59は、第2Yセレクタ44を介して書込み電流+IBLを終端する。
第2電流方向制御回路59は、書込み動作時に、書込み制御信号Aに基づいて、書込み電流−IWL(−S方向)を流すとき、第1書込み電流源45からの書込み電流IWLを第2Xセレクタ42へ出力する。これにより、選択書込みワード線53sに−S方向の書込み電流−IWLが流れる。このとき、第1電流方向制御回路58は、第1Xセレクタ41を介して書込み電流−IWLを終端する。また、第2電流方向制御回路59は、書込み動作時に、書込み制御信号Aに基づいて、書込み電流−IBL(−T方向)を流すとき、第2書込み電流源46からの書込み電流IBLを第2Yセレクタ44へ出力する。これにより、選択ビット線55sに−T方向の書込み電流−IBLが流れる。このとき、第1電流方向制御回路58は、第1Yセレクタ43を介して書込み電流−IBLを終端する。
参照電圧発生回路49は、読出し動作時に、センスアンプ47へ参照電圧を出力する。センスアンプ47は、読出し動作時に、選択セル52sの磁気抵抗素子の状態を反映して選択ビット線55sに流れる電流を変換した電圧と参照電圧とを比較し、選択セル52sに書き込まれているデータDout(「1」又は「0」)を出力する。
読出し判定回路48は、選択セル52sに書き込まれているデータDoutと書き込むべきデータDin(「1」又は「0」)とを比較する。比較結果に基づいて、書込み指示信号Bを出力する。書込み指示信号Bは、データDoutとデータDinとが一致しなければ書込みを行うことを示す信号であり、両者が一致した場合は書込みを行わないことを示す信号である。なお、本図における上記以外の読出しに関わる回路は省略している。
書込みコントローラ50は、書込み動作時に、アドレス信号とデータDinを供給される。そして、まず、アドレス信号に基づいて、Xアドレス信号を第1Xセレクタ41へ、Yアドレスを第1Yセレクタ43へ出力し、アドレス信号の示すメモリセル52(選択セル52s)からデータDoutを読み出す動作を行う。そして、読出し判定回路48からの書込み指示信号Bが書込みを行わないことを示す信号であれば、そこで書込み動作を終了する。書込みを行うことを示す信号であれば、データDinの値が「1」か「0」かに基づいて、第1電流方向制御回路58及び第2電流方向制御回路59のいずれか一方へ書込み電流を流すことを示す書込み制御信号Aを、他方へ書込み電流を終端することを示す書込み制御信号Aをそれぞれ出力する。そのとき、所定の第1タイミングで第1書込み電流源45へ電流出力信号TOG1を出力する。同様に、所定の第2タイミングで第2書込み電流源46へ電流出力信号TOG2を出力する。
このMRAM40は、ダイレクト書込み動作を実現するために、選択ビット線55s及び選択書込みワード線53sの書込み電流の方向を、第1電流方向制御回路58及び第2電流方向制御回路59を用いて、データDinに応じて両方とも変更している。一方、トグル書込み動作を実現するために、所定の第1タイミングで出力される電流出力信号TOG1と所定の第2タイミングで出力される電流出力信号TOG2とにより、第1書込み電流源45及び第2書込み電流源46の出力のタイミングを調整している。
図16は、本発明のMRAMの実施例における磁気抵抗素子に関わる構成を示す平面図である。メモリセル52の磁気抵抗素子1は、書込みワード線53とビット線55とに挟まれて配置されている。ここで、磁気抵抗素子1の自由磁性層15(後述)における「磁化容易軸方向」をX方向とし、「磁化困難軸方向」をY方向とする。書込みワード線53には書込み電流IWL(図の例では+IWL)が、ビット線55には書込み電流IBL(図の例では+IBL)がそれぞれ流れる。SAF構造のMRAMでは、磁化容易軸方向(X方向)がS方向あるいはT方向と45度の角をなすように、磁気抵抗素子1が配置される。安定状態において、第1磁性膜21−1の自発磁化(太矢印)と第2磁性膜21−2の自発磁化(細矢印)とは、互いに反平行であり、且つ、磁化容易軸方向に向いている。
「1」書込みの書込み動作時には、書込みワード線53には書込み電流+IWLが供給される。この書込み電流+IWLにより、−T方向の書込み磁界−HWLが生成される。また、ビット線55には書込み電流+IBLが供給される。この書込み電流+IBLにより、−S方向の書込み磁界−HBLが生成される。
一方「0」書込みの書込み動作時には、書込みワード線53には書込み電流−IWLが供給される。この書込み電流−IWLにより、+T方向の書込み磁界+HWLが生成される。また、ビット線55には書込み電流−IBLが供給される。この書込み電流−IBLにより、+S方向の書込み磁界+HBLが生成される。
書込みワード線53とビット線55の交点には、メモリセル4の磁気抵抗素子1が設けられている。磁気抵抗素子1は、書込みワード線53とビット線55に挟まれるように配置されている。上記書込み磁界±HWL、±HBLは、この磁気抵抗素子1に作用する。磁気抵抗素子1に含まれる自由磁性層(フリー層)15の磁化容易軸方向はX方向と定義され、その磁化困難軸方向はY方向と定義される。図16に示されるように、X方向は、S方向及びT方向に対して略45度の角をなす。つまり、磁化容易軸と書込みワード線53及びビット線55とのなす角が略45度になるように、磁気抵抗素子1は配置されている。
図17は、本発明のMRAMの実施例における磁気抵抗素子の構造を示す断面図である。この磁気抵抗素子1は、下部電極層11、反強磁性層12、固定磁性層(ピン層)13、バリア層14、自由磁性層(フリー層)15及び上部電極層16を含んでいる。固定磁性層13と自由磁性層15とは、いずれも、自発磁化を有する強磁性層を含んでいる。固定磁性層13の自発磁化の向き(orientation)は所定の方向に固定されている。一方、自由磁性層15の自発磁化の向きは反転可能である。バリア層14は、絶縁膜あるいは金属膜を含む非磁性層であり、固定磁性層13と自由磁性層15とに挟まれている。バリア層14は、例えば、トンネル絶縁膜である。この時、固定磁性層13、バリア層14、及び自由磁性層15によって、磁気トンネル接合(MTJ; Magnetic Tunnel Junction)が形成される。
自由磁性層15は互いに反強磁性結合した2層の磁性膜21−1、21−2を含んでいる。つまり、自由磁性層15は、2層の磁性膜より構成され、それらは互いに反強磁性結合している。2層の磁性膜の間には、反強磁性結合を実現するための非磁性膜(反強磁性結合膜)23が形成されている。ここで第1磁性膜20−1の自発磁化Msと膜厚tとの積Ms×tと第2磁性膜20−2の自発磁化Msと膜厚tとの積Ms×tとが以下の式(1)の関係を有する。
Figure 2006104002
磁性膜21(21−1、21−2)の材料として、Ni、Fe、Co、Mn及びこれらのうちの少なくとも一つを含む化合物から構成されるグループのうちから選択される材料が例示される。磁性膜20の膜厚として、1.5nm〜10nmが例示される。非磁性層23の材料として、Ru、Os、Re、Ti、Cr、Rh、Cu、Pt、Pd及びこれらのうちの少なくとも一つを含む化合物から構成されるグループから選択される材料が例示される。非磁性膜30の膜厚として、0.4nm〜3nmが例示される。
この磁気抵抗素子1は、2つの安定状態を有する。「第1の状態」では、図17中の矢印で示されるように、バリア層14に隣接する磁性膜20−1における自発磁化の向きは、固定磁性層13における自発磁化の向きに対して“反平行”である。一方、「第2の状態」では、磁性膜20−1における自発磁化の向きは、固定磁性層13における自発磁化の向きに対して“平行”である。磁気抵抗効果により、第1状態における磁気抵抗素子1の抵抗値(R+ΔR)は、第2状態における抵抗値(R)よりも大きくなる。MRAM40は、この抵抗値の変化を利用することによってデータを不揮発的に記憶する。例えば、図17に示される第1状態はデータ「1」に対応付けられ、第2状態はデータ「0」に対応付けられる。
あるメモリセル52に格納されたデータの読み出しは、この磁気抵抗素子1の抵抗値の大きさを検出することによって行われる。具体的には、下部電極11と上部電極16の間に所定の電圧を印加し、磁気抵抗素子10を流れる電流の大きさを検出することによって、抵抗値の大きさが検出される。検出さえた抵抗値の大きさによって、対象メモリセル4に格納されているデータが判定される。またデータの書込みは、自由磁性層15に含まれる磁性膜20−1、20−2における自発磁化の向きを反転させることによって行われる。SAF構造における書込み方式として、(1)トグル書込み方式、(2)ダイレクト書込み方式、(3)本発明の書込み方式がある。
図18は、各書込み方式の特徴を示す表である。この図に示すように、(1)トグル書込み方式(toggle)では、書込み前の読出しが有り、読み出したデータと書き込むデータとが異なる場合に書き込みを行う。書込み電流は、+IWLと+IBL(又は、−IWLと−IBL)である。(2)ダイレクト書込み方式では、書込み前の読出しが無く、全ての場合において書き込みを行う。書込み電流は、「1」書込みの場合に+IWLと+IBL、「0」書込みの場合に−IWLと−IBLである。(3)本発明の書込み方式では、書込み前の読出しが有り、読み出したデータと書き込むデータとが異なる場合に書き込みを行う。書込み電流は、「1」書込みの場合に+IWLと+IBL、「0」書込みの場合に−IWLと−IBLである。
図19は、トグル書込み方式及びダイレクト書込み方式での書込み可能領域を示す図である。トグル書込み方式では、フロップ磁界HSfに対応する電流値から飽和磁界HSatに対応する電流値まで書込みが可能である。従って、ダイレクト書込み方式に比べて、書込み可能領域(図中、「toggle」)が広い、つまり、動作マージンが広い。一方、ダイレクト書込み方式に比べて、書込み電流(IWL、IBL)の最小値が大きい、つまり、書込み電流の最小値が大きい。また、トグル書込み方式では、式(1)を条件としている。この条件では、図13又は図14のダイレクト書込み磁界Hdirとフロップ磁界HSfとが一致し、ダイレクト書込み領域が無くなる。
ダイレクト書込み方式では、ダイレクト書込み磁界Hdirに対応する書込み電流(IWL、IBL)からフロップ磁界HSfに対応する書込み電流(IWL、IBL)まで書込みが可能である。しかし、トグル書込み方式に比べて、書込み可能領域(図中、「direct」)が狭い、つまり動作マージンが狭い。一方、トグル書込み方式に比べて、書込み電流(IWL、IBL)の最小値が小さい、つまり、書込み電流値の最小値が小さく、低消費電力化が可能であることがわかる。
図20には、本発明による書込み方式での書込み可能領域を示す。本発明による書込み方式では、ダイレクト書込み磁界Hdirに対応する書込み電流(IWL、IBL)から飽和磁界HSatに対応する書込み電流(IWL、IBL)まで書込みが可能であり、書込み可能領域(図中、「direct」+「toggle」)がトグル書込み方式(「toggle」)より広いことがわかる。つまり動作マージンが広いことがわかる。さらに本発明による書込み方式では書込み電流(IWL、IBL)の最小値が小さい、つまり、書込み電流値の最小値が小さく、低消費電力化が可能であることがわかる。
次に、書込み動作について説明する。
図21は、本発明の実施例によるMRAMにおける書込み方法を示すフローチャートである。
(1)ステップS01
書込みコントローラ50は、アドレス信号とデータDinを供給される。アドレス信号は、データを書き込むメモリセル52(選択セル52s)のアドレスを示し、Xアドレス及びYアドレスを含む。データDinは、選択セル52sに書き込むべきデータ(「1」又は「0」)を示す。そして、そのアドレス信号に基づいて、Xアドレス信号を第1Xセレクタ41へ、Yアドレスを第1Yセレクタ43へ出力する。第1Xセレクタ41は、Xアドレス信号に基づいて、選択読出しワード線54sを選択する。第1Yセレクタ43は、Yアドレス信号に基づいて、選択ビット線55sを選択する。それにより、選択セル52sが選択される。読出し用の電源回路(図示されず)は、選択ビット線55s及び選択読出しワード線54sに所定の電圧を印加する。選択読出しワード線54s−選択セル52s−選択ビット線55sに、選択セル52sの磁気抵抗素子の状態を反映した電流が流れる。センスアンプ47は、その電流を電圧に変換した電位と、参照電圧発生回路49の参照電圧とに基づいて、選択セル52sに書き込まれているデータDout(「1」又は「0」)を出力する。
(2)ステップS02
読出し判定回路48は、書込みコントローラ50から書き込むべきデータDin(「1」又は「0」)を受け取る。読出し判定回路48は、読み出したデータDoutと書き込むデータDinとが一致するか否かを判定する。
一致する場合(ステップS02:Y)、読出し判定回路48は、書込みを行わないことを示す書込み指示信号Bを出力する。書込みコントローラ50は、その書込み指示信号Bに基づいて、書込み動作を終了する。一致しない場合(ステップS02:N)、読出し判定回路48は、書込みを行うことを示す書込み指示信号Bを出力する。
(3)ステップS03
書込みコントローラ50は、書込み指示信号Bに基づいて、データDinが「1」の場合にステップS04の動作を、データDinが「0」の場合にステップS05の動作をそれぞれ実行する。
(4)データDinが「1」の場合
書込みコントローラ50は、第1電流方向制御回路58へ書込み電流を流すことを示す書込み制御信号Aを、第2電流方向制御回路59へ書込み電流を終端することを示す書込み制御信号Aをそれぞれ出力する。
また、書込みコントローラ50は、Xアドレス信号を第1Xセレクタ41及び第2Xセレクタ42へ、Yアドレスを第1Yセレクタ43及び第2Yセレクタ44へ出力する。第1Xセレクタ41及び第2Xセレクタ42は、Xアドレス信号に基づいて、選択書込みワード線53sを選択する。第1Yセレクタ43及び第2Yセレクタ44は、Yアドレス信号に基づいて、選択ビット線55sを選択する。それにより、選択セル52sが選択される。
その後、書込みコントローラ50は、所定の第1タイミングで第1書込み電流源45へ電流出力信号TOG1を出力する。同様に、所定の第2タイミングで第2書込み電流源46へ電流出力信号TOG2を出力する。これらのタイミングは、書込み電流IWL、IBLが図8Aと8Bのタイムチャートとなるタイミングである。
これら制御により、第1書込み電流源45−第1電流方向制御回路58−第1Xセレクタ41−選択書込みワード線53s−第2Xセレクタ42のように書込み電流+IWLが供給される。この書込み電流+IWLにより、−T方向の書込み磁界−HWLが生成される。同時に、第2書込み電流源46−第1電流方向制御回路58−第1Yセレクタ43−選択ビット線55s−第2Yセレクタ44のように書込み電流+IBLが供給される。この書込み電流+IBLにより、−S方向の書込み磁界−HBLが生成される。すなわち、時刻T1で選択書込みワード線53sに書込み電流+IWLが供給され、時刻T2で選択ビット線55sに書込み電流+IBLが供給される。続いて、時刻T3で書込み電流+IWLの供給が停止し、時刻T4で書込み電流+IBLの供給が停止する。ここで時刻T1<時刻T2<時刻T3<時刻T4である。このような電流制御を行うことによって、第1磁性膜20−1と第2磁性膜20−2における自発磁化の向きが反転する。
以上の動作により、「1」書込みの書込み動作が完了する。
(5)データDinが「0」の場合
書込みコントローラ50は、第2電流方向制御回路59へ書込み電流を流すことを示す書込み制御信号Aを、第1電流方向制御回路58へ書込み電流を終端することを示す書込み制御信号Aをそれぞれ出力する。
また、書込みコントローラ50は、Xアドレス信号を第1Xセレクタ41及び第2Xセレクタ42へ、Yアドレスを第1Yセレクタ43及び第2Yセレクタ44へ出力する。第1Xセレクタ41及び第2Xセレクタ42は、Xアドレス信号に基づいて、選択書込みワード線53sを選択する。第1Yセレクタ43及び第2Yセレクタ44は、Yアドレス信号に基づいて、選択ビット線55sを選択する。それにより、選択セル52sが選択される。その後、書込みコントローラ50は、所定の第1タイミングで第1書込み電流源45へ電流出力信号TOG1を出力する。同様に、所定の第2タイミングで第2書込み電流源46へ電流出力信号TOG2を出力する。これらのタイミングは、書込み電流IWL、IBLが図9のタイムチャートとなるタイミングである。
これら制御により、第1書込み電流源45−第2電流方向制御回路59−第2Xセレクタ42−選択書込みワード線53s−第1Xセレクタ41のように書込み電流−IWLが供給される。この書込み電流−IWLにより、+T方向の書込み磁界+HWLが生成される。同時に、第2書込み電流源46−第2電流方向制御回路59−第2Yセレクタ44−選択ビット線55s−第1Yセレクタ43のように書込み電流−IBLが供給される。この書込み電流−IBLにより、+S方向の書込み磁界+HBLが生成される。すなわち、時刻T1で選択書込みワード線53sに書込み電流−IWLが供給され、時刻T2で選択ビット線55sに書込み電流−IBLが供給される。続いて、時刻T3で書込み電流−IWLの供給が停止し、時刻T4で書込み電流−IBLの供給が停止する。ここで時刻T1<時刻T2<時刻T3<時刻T4である。このような電流制御を行うことによって、第1磁性膜20−1と第2磁性膜20−2における自発磁化の向きが反転する。
以上の動作により、「0」書込みの書込み動作が完了する。
本発明による書込み方式での「1」書込み動作及び「0」書込み動作において、書込み電流がトグル書込み領域にあるとすると、上記の操作でメモリ状態が初期状態から変化するため書込みが可能である。書込み電流がダイレクト書込み領域にある場合、基本動作はダイレクト書込み動作と同様であるため書込みが可能である。すなわち、図20に示したように、本発明による書込み方式は、動作マージンが広くなり動作の安定性を向上させることができる。また、動作領域がトグル書込み領域に限らないので、書込み電流の最小値を小さくでき、消費電力を低くすることが可能となる。
更に、書込み電流の値を小さくできるので、書込み電流に関わるトランジスタの面積を小さくできる。それにより、MRAMの半導体チップ内のメモリセルの面積を相対的に広くすることができる。又は、MRAMの半導体チップの大きさを小さくすることができる。
更に、式(12)に示すように第1磁性膜20−1のMs×tと第2磁性膜20−2のMs×tとを等しくする必要がない。従って、トグル書込み方式のMRAMに比較して、製造マージンが広くなり、製造歩留まりを向上することが可能となる。すなわち、本発明の書込み方式では、高動作マージン、低消費電力化、高製造歩留まりが可能となる。
本願発明者らは、このような書込み方式によってMRAM40の動作領域が拡大することを発見し、実証した。更に、本願発明者らは、このような書込み方式によってMRAM40の書込み電流が低減されることを発見し、実証した。以下、その根拠となるデータを詳細に説明する。
一般的な二層の自由磁性層(第1磁性膜21−1、第2磁性膜21−2)を有するSAF構造を考える。各自由磁性層(第1磁性膜21−1、第2磁性膜21−2)の自発磁化は、面内での印加磁界に対してどのように振舞うかについて、Stoner−Wohlfarthモデルを適用して調べる。ここで、以下のように仮定する。第1磁性膜21−1及び第2磁性膜21−2は、それぞれ膜厚t、t、自発磁化M、M、一軸異方性定数KU1、KU2を有している。二層の磁化容易軸は、お互いに平行である。
このとき、単位領域あたりのエネルギー密度Wは以下の式(2)のように表される。
Figure 2006104002
図22は、本計算に用いたSAF構造のレイアウトを示す図である。磁気抵抗素子1の断面図を示している。ここでθ、θは、それぞれ第1磁性膜21−1、第2磁性膜21−2の自発磁化M、Mと磁化容易軸方向(図中、X方向)とのなす角度を示す。Hx、Hyは、印加磁界の容易軸方向成分、困難軸方向(図中、Y方向)を示す。Jは、第1磁性膜21−1と第2磁性膜21−2との間の反強磁性結合エネルギーをそれぞれ示す。Wを2KU1で規格化することにより、以下の関係が得られる。
Figure 2006104002
ここで、
Figure 2006104002
(4)
上記式(2)から系の安定条件、
Figure 2006104002
そして、
Figure 2006104002
より、臨界磁界曲線を求めることができる。以下では、本書込み方式を実際の系に適用した場合について考察する。
(第1例)
図23は、構造Aを有する磁気抵抗素子を示す断面図である。この磁気抵抗素子は、基板上に順に積層されたシード層17、反強磁性層12、固定磁性層13、バリア層14、自由磁性層15、及びキャップ層18を備えている。シード層17は、20nmの膜厚を有するTa膜である。反強磁性層12は、20nmの膜厚を有するPtMn膜である。固定磁性層13は、2.5nmの膜厚を有するCoFe膜、0.88nmの膜厚を有するRu膜と2.5nmの膜厚を有するCoFe膜から構成されている。バリア層14は、1nmの膜厚を有するAl膜が酸化された膜である。自由磁性層15は、交互に積層された2層の磁性膜と1層の非磁性膜とを有する。第1磁性膜21−1は、4nmの膜厚を有するNiFe膜と0.5nmの膜厚を有するCoFe膜とから構成されている。非磁性膜(反強磁性結合膜)23は、2.1nmの膜厚を有するRu膜である。第2磁性膜21−2は、2.8nmの膜厚を有するNiFe膜と0.35nmの膜厚を有するCoFe膜とから構成されている。キャップ層18は、0.7nmの膜厚を有する酸化されたAl膜と100nmの膜厚を有するTa膜から構成されている。この構造Aは、第1磁性膜21−1及び第2磁性膜21−2において、自発磁化及び一軸異方性定数が同じである。一方、第1磁性膜21−1の膜厚tと第2磁性膜21−2の膜厚tとの間に、
=0.7×t (7)
の関係がある。
図24は、構造Aを有する磁気抵抗素子の臨界磁界曲線を示すグラフである。この実験値は、式(3)においてm=k=1、t=0.7、hj=2でのシミュレーション結果と対応した。図中、曲線HSatは、図13における曲線cに対応し、飽和磁界HSatを示す。曲線Hdirは、図13における曲線bに対応し、ダイレクト書込み磁界Hdirを示す。書き込みワード線53及びビット線55の各々により発生した磁界は、それぞれT方向及びS方向に平行とする。
ダイレクト書込み磁界Hdirは、図に示されるようにS切片、T切片を持たない。すなわち、書込みワード線53とビット線55のいずれか一方が選択セルと共通である「半選択セル」には、いずれかの書込み電流による磁界しか印加されない。従って、その半選択セルにおいては書込み動作は起こらない。このように、SAF構造のMRAMで膜厚差を付けた第1例の場合、従来の単層自由磁性層MRAMと比較して、誤書込みが大幅に低減される。
本シミュレーションより、0.9<t≦1では、ダイレクト書込み領域がほとんど形成されず、ほとんどがトグル書き込み領域であった。すなわち、書込み領域の増加はほとんど無かった。一方、0<t<0.5では、ダイレクト書込み磁界HdirがS切片、T切片を持ち、誤書込みの発生する恐れが生じた。すなわち、0.5≦t≦0.9の範囲が好ましい。ここで、tbrを以下の式(8)ように定義すれば、t=t/tであるから、tbrの値の範囲は以下のようになる。
Figure 2006104002
図25及び図26は、図24のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大した図である。図25は従来の書込み方法による動作領域を示し、図26は本書込み方式による動作領域を示している。曲線HSatは飽和磁界HSatを示す。曲線HSfは、フロップ磁界HSfを示す。曲線Hdirは、ダイレクト書込み磁界Hdirを示す。実験例1の実験パラメータでは、磁化容易軸方向の規格化された磁界の値は、それぞれhdir=1.9、hSf=2.9、hSat=3.9となった。ただし、hdir、hSf、hSatは、式(3)で規格化された値であり、hdir=Hdir/H、hSf=HSf/H、hSat=HSat/Hである。
図25において、曲線HSatと曲線HSfと曲線Hdirとで囲まれた領域がダイレクト書込み領域である。曲線HSatと曲線HSfとで囲まれた領域がトグル書込み領域を示す。図24において、曲線HSatと曲線Hdirとで囲まれた領域が本書込み領域である。
本書込み領域では、ダイレクト書込み領域、トグル書込み領域の両領域で書込み可能である。そのため、動作領域としては、ダイレクト書込み領域とトグル書込み領域を足したものとなる。すなわち、動作領域は、ダイレクト書込み領域単独、及び、トグル書込み領域単独よりも広い。また、トグル書込みでは規格化された最低書込み磁界がhSf=2.9であるのに対し、本書込み方式では規格化された最低書込み磁界はhdir=1.9程度となる。すなわち、本書込み方式はトグル書込み方式と比べ、約65%の書込み電流値で書込みを行うことができる。
以上のように本書込み方式を採用することにより、動作領域を拡大することができ、また書込み電流値を低減することができる。
(第2例)
図27は、構造Bを有する磁気抵抗素子を示す断面図である。この磁気抵抗素子は、基板上に順に積層されたシード層17、反強磁性層12、固定磁性層13、バリア層14、自由磁性層15、及びキャップ層18を備えている。シード層17は、20nmの膜厚を有するTa膜である。反強磁性層12は、20nmの膜厚を有するPtMn膜である。固定磁性層13は、2.5nmの膜厚を有するCoFe膜、0.88nmの膜厚を有するRu膜と2.5nmの膜厚を有するCoFe膜から構成されている。バリア層14は、1nmの膜厚を有するAl膜が酸化された膜である。自由磁性層15は、交互に積層された2層の磁性膜と1層の非磁性膜とを有する。第1磁性膜21−1は、2nmの膜厚を有するCo75Fe25膜と2.5nmの膜厚を有するCoFeB膜とから構成されている。非磁性膜(反強磁性結合膜)23は、1.8nmの膜厚を有するRu膜である。第2磁性膜21−2は、4.5nmの膜厚を有するCoFeB膜から構成されている。キャップ層18は、0.7nmの膜厚を有する酸化されたAl膜と100nmの膜厚を有するTa膜から構成されている。この構造Bは、第1磁性膜21−1と第2磁性膜21−2において、膜厚、一軸異方性定数が同じである。一方、第1磁性膜21−1の合成自発磁化Mと第2磁性膜21−2の自発磁化Mとの間に、
=0.6×M
の関係がある。
図28は、構造Bを有する磁気抵抗素子の臨界磁界曲線を示すグラフである。この実験値は、式(3)においてk=t=1、m=0.6、h=3でのシミュレーション結果と対応した。図中、曲線HSat、曲線Hdirについては、図24の場合と同様である。書き込みワード線53及びビット線55の各々により発生した磁界は、それぞれT方向及びS方向に平行とする。
この場合にも、ダイレクト書込み磁界Hdirは、図に示されるようにS切片、T切片を持たない。すなわち、書込みワード線53とビット線55のいずれか一方が選択セルと共通である「半選択セル」には、いずれかの書込み電流による磁界しか印加されない。従って、その半選択セルにおいては書込み動作は起こらない。このように、SAF構造のMRAMで自発磁化の差を付けた実施例2の場合、従来の単層自由磁性層MRAMと比較して、誤書込みが大幅に低減される。
本シミュレーションより、0.9<m≦1では、ダイレクト書込み領域がほとんど形成されず、ほとんどがトグル書き込み領域であった。すなわち、書込み領域の増加はほとんど無かった。一方、0<m<0.5では、ダイレクト書込み磁界HdirがS切片、T切片を持ち、誤書込みの発生する恐れが生じた。すなわち、0.5≦m≦0.9の範囲が好ましい。ここで、Mbrを以下の式(9)ように定義すれば、m=M/Mであるから、Mbrの値の範囲は以下のようになる。
Figure 2006104002
図29及び図30は、図28のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。図29は従来の書込み方法による動作領域を示し、図30は本書込み方式による動作領域を示している。曲線HSat、曲線HSf、曲線Hdirについては、図25及び図26と同様である。実験例2の実験パラメータでは、磁化容易軸方向の規格化された磁界の値は、それぞれhdir=2.2、hSf=5.0、hSat=6.55となった。
図29において、曲線HSatと曲線HSfと曲線Hdirとで囲まれた領域がダイレクト書込み領域である。曲線HSatと曲線HSfとで囲まれた領域がトグル書込み領域を示す。図30において、曲線HSatと曲線Hdirとで囲まれた領域が本書込み領域である。
本書込み領域では、ダイレクト書込み領域、トグル書込み領域の両領域で書込み可能である。そのため、動作領域としては、ダイレクト書込み領域とトグル書込み領域を足したものとなる。すなわち、動作領域は、ダイレクト書込み領域単独、及び、トグル書込み領域単独よりも広い。また、トグル書込みでは規格化された最低書込み磁界がhSf=5.0であるのに対し、本書込み方式では規格化された最低書込み磁界はhdir=2.2程度となる。すなわち、本書込み方式はトグル書込み方式と比べ、約44%の書込み電流値で書込みを行うことができる。
以上のように本書込み方式を採用することにより、動作領域を拡大することができ、また書込み電流値を低減することができる。
(第3例)
図31は、構造Cを有する磁気抵抗素子を示す概念図である。この磁気抵抗素子は、基板上に順に積層されたシード層17、反強磁性層12、固定磁性層13、バリア層14、自由磁性層15、及びキャップ層18を備えている。シード層17は、20nmの膜厚を有するTa膜である。反強磁性層12は、20nmの膜厚を有するPtMn膜である。固定磁性層13は、2.5nmの膜厚を有するCoFe膜、0.88nmの膜厚を有するRu膜と2.5nmの膜厚を有するCoFe膜から構成されている。バリア層14は、1nmの膜厚を有するAl膜が酸化された膜である。自由磁性層15は、交互に積層された2層の磁性膜と1層の非磁性膜を有する。第1磁性膜21−1は、3.1nmの膜厚を有するCoFeB膜と1.4nmの膜厚を有するCoFe膜とから構成されている。非磁性膜(反強磁性結合膜)23は、2.1nmの膜厚を有するRu膜である。第2磁性膜21−2は、4nmの膜厚を有するNiFe膜と0.5nmの膜厚を有するCoFe膜とから構成されている。キャップ層18は、0.7nmの膜厚を有する酸化されたAl膜と100nmの膜厚を有するTa膜から構成されている。この構造Cは、第1磁性膜21−1と第2磁性膜21−2において、膜厚、自発磁化の値が同じである。一方、第1磁性膜21−1の一軸異方性定数KU1と第2磁性膜21−2の一軸異方性定数KU2との間に、
U2=0.4×KU1 (10)
の関係がある。
図32は、構造Cを有する磁気抵抗素子の臨界磁界曲線を示すグラフである。この実験値は、式(3)においてm=t=1、k=0.4、h=2でのシミュレーション結果と対応した。図中、曲線HSat、曲線Hdirについては、図24の場合と同様である。書き込みワード線53及びビット線55の各々により発生した磁界は、それぞれT方向及びS方向に平行とする。
この場合にも、ダイレクト書込み磁界Hdirは、図に示されるようにS切片、T切片を持たない。すなわち、書込みワード線53とビット線55のいずれか一方が選択セルと共通である「半選択セル」には、いずれかの書込み電流による磁界しか印加されない。従って、その半選択セルにおいては書込み動作は起こらない。このように、SAF構造のMRAMで自発磁化の差を付けた実施例2の場合、従来の単層自由磁性層MRAMと比較して、誤書込みが大幅に低減される。
本シミュレーションより、0.9<k≦1では、ダイレクト書込み領域がほとんど形成されず、ほとんどがトグル書き込み領域であった。すなわち、書込み領域の増加はほとんど無かった。一方、0<k<0.1では、書込みを行えない領域が増加し、実効的な書込み領域の増加はほとんど無かった。すなわち、0.1≦k≦0.9の範囲が好ましい。ここで、KUbrを以下の式(11)ように定義すれば、k=KU2/KU1であるから、KUbrの値の範囲は以下のようになる。
Figure 2006104002
図33及び図34は、図30のダイレクト書込み磁界Hdirの領域を拡大したグラフである。図32は従来の書込み方法による動作領域を示し、図33は本書込み方式による動作領域を示している。曲線HSat、曲線HSf、曲線Hdirについては、図25及び図26と同様である。実験例3の実験パラメータでは、磁化容易軸方向の規格化された磁界の値は、それぞれhdir=1.5、hSf=2.0、hSat=3.3となった。
図33において、曲線HSatと曲線HSfと曲線Hdirとで囲まれた領域がダイレクト書込み領域である。曲線HSatと曲線HSfとで囲まれた領域がトグル書込み領域を示す。図32において、曲線HSatと曲線Hdirとで囲まれた領域が本書込み領域である。
本書込み領域では、ダイレクト書込み領域、トグル書込み領域の両領域で書込み可能である。そのため、動作領域としては、ダイレクト書込み領域とトグル書込み領域を足したものとなる。すなわち、動作領域は、ダイレクト書込み領域単独、及び、トグル書込み領域単独よりも広い。また、トグル書込みでは規格化された最低書込み磁界がhSf=2.0であるのに対し、本書込み方式では規格化された最低書込み磁界はhdir=1.5程度となる。すなわち、本書込み方式はトグル書込み方式と比べ、約75%の書込み電流値で書込みを行うことができる。
以上のように本書込み方式を採用することにより、動作領域を拡大することができ、また書込み電流値を低減することができる。
以上のように、本発明のMRAMは、書込み方式がメモリセルの読出しと書込みにより構成される。この方式を用いることにより、動作領域が拡大する。また、書込み電流が削減され、消費電力が低減される。加えて、MRAM内のメモリセルの面積を相対的に広くすること、又は、MRAMの大きさを小さくすることができる。更に、自発磁化や膜厚の製造マージンが広がり、MRAMの製造歩留まりを向上することができる。
なお、図24、図28及び図32において、ダイレクト書込み磁界Hdirの曲線は、誤書込み防止のためにS切片及びT切片を有しないようにしている。しかし、ワード線垂直磁界HWL及びビット線垂直磁界HBLよりもS切片及びT切片が大きければ、S切片及びT切片を有していてもよい。ワード線垂直磁界HWL及びビット線垂直磁界HBLのいずれか一方が印加される半選択セルに対して、誤書込みが生じないからである。
上記説明では、自由磁性層15は非磁性層を介して互いに反強磁性結合した2層の磁性膜21−1、21−2を含んでいる。ただし、自由磁性層15が含む磁性膜は、2n層(n:1以上の整数)であれば良い。すなわち、自由磁性層15において、互いに隣接する2層の磁性膜が非磁性層を介して互いに反強磁性結合している場合についても成立する。図35は、本発明のMRAMの実施例における磁気抵抗素子の他の構造を示す断面図である。この磁気抵抗素子1は、下部電極層11、反強磁性層12、固定磁性層13、バリア層14、自由磁性層15及び上部電極層16を含んでいる。自由磁性層15は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び(2n)層のいずれか一方の磁性層を含んでいる。図では(2n)層の場合を示している。
(2n+1)層の場合、奇数番目の(2p−1)層(p=1〜n+1:整数)の磁性膜21−(2p−1)、偶数番目の(2p)層(p=1〜n:整数)の磁性膜21−(2p)、及び各磁性層の間に設けられた非磁性膜23−(2p−1)、(2p)(p=1〜n:整数)とを含む。
一方、(2n)層の場合、奇数番目の(2p−1)層(p=1〜n:整数)の磁性膜21−(2p−1)、偶数番目の(2p)層(p=1〜n:整数)の磁性膜21−(2p)、及び磁性層と交互に設けられた(2n)層の非磁性膜23−(2p−1)、(2p)(p=1〜(n−1):整数)とを含む。この場合、以下の式(1)、(9)、(8)、(11)は、以下の式(12)、(13)、(14)、(15)のようになる。ただし、Ms2p−1、Ms2pは、それぞれ(2p−1)層目、2p層目の磁性層の自発磁化を示す。t2p−1、t2pは、それぞれ(2p−1)層目、2p層目の磁性層の膜厚を示す。KU2p−1、KU2pは、それぞれ(2p−1)層目、2p層目の磁性層の一軸異方性定数を示す。qは整数で、(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとする。
Figure 2006104002
Figure 2006104002
Figure 2006104002
Figure 2006104002
また、ここでは、自由磁性層15における磁性膜の層数が偶数の場合について説明しているが、奇数の場合でも上記各式は成立し、上記実施例と同様の効果を得ることができる。この場合のMRAMも、自由磁性層の磁性膜が2層の場合と同様の効果を得ることができる。
本発明により、SAF構造のMRAMでの書込み動作領域が拡大する。本発明により、SAF構造のMRAMでの書込み電流が低減される。本発明により、SAF構造のMRAMの製造歩留まりが向上する。

Claims (25)

  1. 磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法であって、
    ここで、前記磁気ランダムアクセスメモリは、
    第1方向へ伸びる複数の第1配線と、
    前記第1方向と略垂直な第2方向へ伸びる複数の第2配線と、
    非磁性層を介して反強磁性的に結合した複数の磁性層を積層したフリー磁性層を含み、
    前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とが交叉する点の各々に対応して設けられた複数のメモリセルと
    を備え、
    前記フリー磁性層の磁化容易軸の方向が、前記第1方向及び前記第2方向とは異なり、
    (a)前記複数のメモリセルから選択された選択セルにおいて蓄えられた第1情報を読み出すステップと、
    (b)前記選択セルへ書き込むべき第2情報と前記第1情報とを比較するステップと、
    (c)前記第1情報と前記第2情報とが異なる場合、
    前記複数の第1配線のうちの前記選択セルに対応する選択第1配線に、前記第2情報に基づく向きで、第1書込み電流を流し、
    前記複数の第2配線のうちの前記選択セルに対応する選択第2配線に、前記第2情報に基づく向きで、第2書込み電流を流すステップと
    を具備する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  2. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記(c)ステップは、
    (c1)前記第2情報が第1特定情報の場合、前記選択第1配線の第1向きへ第1書込み電流を流し、次に、前記選択第2配線の第2向きに第2書込み電流を流し、続いて、前記第1書込み電流を停止し、その後、前記第2書込み電流を停止するステップと、
    (c2)前記第2情報が前記第1特定情報とは異なる第2特定情報の場合、前記選択第1配線の前記第1向きとは逆の第3向きに前記第1込み電流を流し、次に、前記選択第2配線の前記第2向きとは逆の第4向きに前記第2書込み電流を流し、続いて、前記第1書込み電流を停止し、その後、前記第2書込み電流を停止するステップと
    を備える
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  3. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の自発磁化M及び膜厚tと、前記第2磁性膜の自発磁化M及び膜厚tとは、M×t≠M×t、を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  4. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の自発磁化Mと、第2磁性膜の自発磁化Mとは、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  5. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の膜厚tと、第2磁性膜の膜厚tとは、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  6. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の一軸異方性定数KU1と、前記第2磁性膜の一軸異方性定数KU2とは、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  7. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の自発磁化Ms2p−1及び膜厚t2p−1と、2p層目の前記磁性層の自発磁化Ms2p及び膜厚t2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  8. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の膜厚t2p−1と、2p層目の前記磁性層の膜厚t2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  9. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の自発磁化Ms2p−1と、2p層目の前記磁性層の自発磁化Ms2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  10. 請求の範囲1に記載の磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法において、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の一軸異方性定数KU2p−1と、2p層目の前記磁性層の一軸異方性定数KU2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリの書込み方法。
  11. 第1方向へ伸びる複数の第1配線と、
    第1方向と略垂直な第2方向へ伸びる複数の第2配線と、
    非磁性層を介して反強磁性的に結合した複数の磁性層を積層したフリー磁性層を含み、
    前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とが交叉する点の各々に対応して設けられ、前記フリー磁性層の磁化容易軸の方向が前記第1方向及び前記第2方向とは異なる複数のメモリセルと、
    前記複数の第1配線から選択された選択第1配線と前記複数の第2配線から選択された選択第2配線とにより前記複数のメモリセルうちから選択された選択セルへ第2情報を書き込むとき、前記選択セルに蓄えられた第1情報と前記第2情報とを比較する読出し判定部と、
    前記第1情報と前記第2情報とが異なるとき、前記選択第1配線へ流す第1書込み電流の向きと、前記選択第2配線へ流す第2書込み電流の向きとを、前記第2情報に基づいて制御する電流制御部と
    を具備する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  12. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記電流制御部は、
    前記第2情報が第1特定情報の場合、前記選択第1配線の第1向きへ第1書込み電流を流し、次に、前記選択第2配線の第2向きに第2書込み電流を流し、続いて、前記第1書込み電流を停止し、その後、前記第2書込み電流を停止し、
    前記第2情報が前記第1特定情報とは異なる第2特定情報の場合、前記選択第1配線の前記第1向きとは逆の第3向きに前記第1書込み電流を流し、次に、前記選択第2配線の前記第2向きとは逆の第4向きに前記第2書込み電流を流し、続いて、前記第1書込み電流を停止し、その後、前記第2書込み電流を停止する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  13. 請求の範囲11又は12に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層の磁化容易軸の方向は、前記第1方向及び前記第2方向と略45°の角度をなす
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  14. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記電流制御部は、
    前記第2情報が第1特定情報の場合、前記選択第1配線の第1向きへ第1書込み電流を流し、前記選択第2配線の第2向きに第2書込み電流を流すように前記第1書込み電流及び前記第2書込み電流を出力する第1電流方向制御部と、
    前記第2情報が前記第1特定情報とは異なる第2特定情報の場合、前記選択第1配線の前記第1向きとは逆の第3向きに前記第1書込み電流を流し、前記選択第2配線の前記第2向きとは逆の第4向きに前記第2書込み電流を流すように前記第1書込み電流及び前記第2書込み電流を出力する第2電流方向制御部と
    を備える
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  15. 請求の範囲14に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記電流制御部は、
    前記第1電流方向制御部及び前記第2電流方向制御部の一方へ前記第1書込み電流を供給する第1電流源と、
    前記第1電流方向制御部及び前記第2電流方向制御部の一方へ前記第2書込み電流を供給する第2電流源と、
    前記第1電流源及び前記第2電流源の電流供給のタイミングを制御する書込み制御部と
    を更に備える
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  16. 請求の範囲15に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記書込み制御部は、前記第1電流源及び前記第2電流源のオン/オフで前記タイミングを制御する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  17. 請求の範囲15に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記複数の第1配線の一端が接続され、前記選択第1配線を選択する第1Xセレクタと、
    前記複数の第1配線の他端が接続され、前記選択第1配線を選択する第2Xセレクタと、
    前記複数の第2配線の一端が接続され、前記選択第2配線を選択する第1Yセレクタと、
    前記複数の第2配線の他端が接続され、前記選択第2配線を選択する第2Yセレクタと、
    を更に具備し、
    前記第2情報が前記第1特定情報の場合、
    前記第1電流源は、前記第1電流方向制御部へ前記第1書込み電流を出力し、
    前記第2電流源は、前記第1電流方向制御部へ前記第2書込み電流を出力し、
    前記第1電流方向制御部は、前記第1Xセレクタへ前記第1書込み電流を出力し、前記第1Yセレクタへ前記第2書込み電流を出力し、
    前記第2情報が前記第2特定情報の場合、
    前記第1電流源は、前記第2電流方向制御部へ前記第1書込み電流を出力し、
    前記第2電流源は、前記第2電流方向制御部へ前記第2書込み電流を出力し、
    前記第2電流方向制御部は、前記第2Xセレクタへ前記第1書込み電流を出力し、前記第2Yセレクタへ前記第2書込み電流を出力する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  18. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層であり、前記第1磁性膜の自発磁化M及び膜厚tと、前記第2磁性膜の自発磁化M及び膜厚tとは、M×t≠M×tを満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  19. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の自発磁化Mと、第2磁性膜の自発磁化Mとは、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  20. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の膜厚tと、第2磁性膜の膜厚tとは、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  21. 請求の範囲11のいずれか一項に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、第1磁性膜及び第2磁性膜の2層を有し、前記第1磁性膜の一軸異方性定数KU1と、前記第2磁性膜の一軸異方性定数KU2とは、
    Figure 2006104002
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  22. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の自発磁化Ms2p−1及び膜厚t2p−1と、2p層目の前記磁性層の自発磁化Ms2p及び膜厚t2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  23. 請求の範囲11に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の膜厚t2p−1と、2p層目の前記磁性層の膜厚t2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  24. 請求の範囲11又は21に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の自発磁化Ms2p−1と、2p層目の前記磁性層の自発磁化Ms2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
  25. 請求の範囲11のいずれか一項に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記フリー磁性層は、(2n+1)層(n:1以上の整数)及び2n層のいずれか一方の磁性層を含み、(2p−1)層目の前記磁性層の一軸異方性定数KU2p−1と、2p層目の前記磁性層の一軸異方性定数KU2pとは、前記(2n+1)層のときq=n+1とし、前記2n層のときq=nとすれば、
    Figure 2006104002
    を満足する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
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