JPWO2006049289A1 - 標的物質の検出方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、被験試料に含まれる複数種類の標的物質を識別して検出する方法であって、支持体に固定された標的物質及び/又は固定されていない標的物質と、当該標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された結合物質とを接触させて当該標的物質と当該結合物質との複合体を形成させる工程、及び前記複合体を形成した結合物質中の標識を検出する工程を含む、標的物質の検出方法を提供する。

Description

本発明は、標的物質とそれに特異的に結合し得る物質との反応(例えば抗原抗体反応)を用いた標的物質の検出方法に関する。詳しくは、被験試料に含まれる複数種類の標的物質を識別して検出する方法に関する。
モノクローナル抗体作製技術の確立により、特定の抗原に対して特異的に反応し得る抗体の入手が可能となり、抗原抗体反応の特異性を利用した抗原検出のアッセイ系の開発・改良が、研究・臨床等のいずれの分野においても不可欠なものとなっている。このようなアッセイ系では、一般に、抗原に反応させる抗体に特定の標識を施しておき、反応後に当該標識を検出することで抗原の検出に代えるというものである。また、検出感度をより高めるため、標識の種類や検出方法等の研究もこれまで種々頻繁に行われており、例えば、アビジン・ビオチンシステム、蛍光色素、ラジオアイソトープを使用する方法のほか、より検出感度を高めた方法として、Immuno−PCR法(例えば「T.Sano et al.,Science,vol.258,120−122(1992)」参照。)、Double Determinant Immuno−PCR法(例えば「今井浩三、鈴木朝子、日野田裕治,Immuno−PCRを用いた微量抗原検出法,蛋白質 核酸 酵素,羊土社,1996年,Vol.41,No.5,p.614−617」参照。)、オリゴヌクレオチドとDNAデンドリマを使用しウエスタンブロット法を用いて検出する方法(例えば「特表2001−503517号公報」参照。)などが挙げられる。
しかしながら、上記検出方法はいずれも、被験試料に含まれる複数種類の標的物質(抗原)のうち、特定の1種のみが検出対象となる方法であり、特定の2種以上の標的物質を一度に識別し検出できる方法はこれまで無かった。そのため、これら2種以上の標的物質をすべて検出しようとする場合は、その種類ごとに別々の検出系で行わなければならず、検出に要する時間や手間といった検出効率の点で問題があった。現実的に見ても、近年では、被験試料から多種多様な標的物質(バイオマーカー、原因物質、病原体など)の検出を要請されるケースが非常に多くなってきている。例えば、臨床検査の分野においては、癌の診断や抗癌剤の薬効評価、脳卒中や心筋梗塞の診断、及び感染症における病原体の特定等のケースがあり、食品や環境の分野においては、残留農薬や細菌による食品汚染物質の特定、及びダイオキシンやポリ塩化ビフェニル(PCB)等の環境汚染物質の特定等のケースがある。このため、一度の検査処理でそれらを同時に検出できる方法が切望されている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、被験試料に含まれる複数種類の標的物質を一度に識別して検出することができる、標的物質の検出方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、被験試料に含まれる複数種類の標的物質のうち、検出しようとする2種以上の標的物質のそれぞれに特異的に結合し得る物質(結合物質)を用意し、各々の結合物質は標的物質の種類に対応して識別することができるように標識処理しておき、標的物質と結合物質との特異的結合反応により両物質の複合体を形成するようにすれば、その後の検出段階において各々の複合体に固有の標識を同時かつ明確に区別して検出すること(いわゆる同時多項目検出)ができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)被験試料に含まれる複数種類の標的物質を識別して検出する方法であって、
(i)支持体に固定された標的物質及び/又は固定されていない標的物質と、当該標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された結合物質とを接触させて当該標的物質と当該結合物質との複合体を形成させる工程(以下、標的物質−結合物質複合体の形成工程)、及び
(ii)前記複合体を形成した結合物質中の標識を検出する工程(以下、標識検出工程)
を含む、前記方法。
本発明の方法において、前記結合物質中の標識部分は、少なくともアダプター部分を介して当該結合物質に固定されたものであってもよい。当該アダプター部分としては、例えば、プロテインG、プロテインA、プロテインL、及びプロテインAとプロテインGとの融合タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
本発明の方法において、前記結合物質としては、例えば、標識物質としてのオリゴヌクレオチド鎖との複合体(オリゴヌクレオチド複合体)を形成するものを挙げることができる。また前記標識処理としては、例えば、上記オリゴヌクレオチド鎖に施される下記(i)〜(ix)の処理を挙げることができる。
(i)制限酵素による切断部位を設ける処理
(ii)PCRで増幅可能な領域を設ける処理
(iii)放射性同位体元素を含有させる処理
(iv)蛍光色素を結合させる処理
(v)酵素を結合させる処理
(vi)光照射による切断部位を設ける処理
(vii)活性酸素による切断部位を設ける処理
(viii)標識処理デンドリマを結合させる処理
(ix)塩基の種類において少なくとも1塩基の違いを設ける処理
さらに、前記標識を検出する工程としては、例えば、上記PCRにより増幅された産物を電気泳動により検出する工程を挙げることができる。
本発明の方法において、前記結合物質としては、例えば、標識物質としてのオリゴペプチド鎖との複合体(オリゴペプチド複合体)を形成するものを挙げることができる。また前記標識処理としては、例えば、上記オリゴペプチド鎖に施される下記(i)〜(vii)の処理を挙げることができる。
(i)タンパク質分解酵素による切断部位を設ける処理
(ii)放射性同位体元素を含有させる処理
(iii)蛍光色素を結合させる処理
(iv)酵素を結合させる処理
(v)光照射による切断部位を設ける処理
(vi)活性酸素による切断部位を設ける処理
(vii)標識処理デンドリマを結合させる処理
本発明の方法において、前記標的物質としては、例えば抗原が挙げられ、上記結合物質としては、例えば抗体が挙げられる。
(2)標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の結合物質を含む、標的物質の識別検出用キット。
図1は、制限酵素反応を利用して抗原を識別検出する一実施例を示す模式フロー図である。
図2は、Immuno−PCR法を利用して抗原を識別検出する一実施例を示す模式フロー図である。
図3Aは、フリーラジカルを利用して抗原を識別検出する一実施例を示す概略図である。
図3Bは、オリゴペプチド核酸鎖が複合化された抗体を用いて抗原を識別検出する一実施例を示す概略図である。
図4は、実施例1において複合抗体の検定を行ったときのアガロースゲル電気泳動後のバンドを示す写真である。
図5は、実施例1において複合抗体を用いた識別検出を行ったときのアガロースゲル電気泳動後のバンドを示す写真である。
図6は、実施例2におけるコスモアイSV1210での測定結果を示すチャートである。なお、チャートにおけるピーク上の数字は、ピーク面積(オリゴヌクレオチド濃度)を示す値である。
図7は、アダプター部分を介してオリゴペプチド核酸鎖が複合化された抗体を用いて、抗原を識別検出する一実施例を示す概略図である。
図8は、実施例3においてDNAシークエンサーABI−3100によりGeneScan解析を行った結果を示すチャートである。
図9は、参考例1におけるELISA法での検出結果を示す図である。(a)は各ウェルでの発色の様子を示す写真であり、(b)はELISAリーダーでの測定結果を示すグラフである。
図10は、参考例1における本発明の検出方法での検出結果(DNAシークエンサーABI−3100によるGeneScan解析の結果)を示すチャートである。
図11は、図10と同様に、参考例1における本発明の検出方法での検出結果(DNAシークエンサーABI−3100によるGeneScan解析の結果)を示すチャートである。
図12は、参考例2における本発明の検出方法での検出結果(DNAシークエンサーABI−3100によるGeneScan解析の結果)を示すチャートである。
図13は、図12に示す検出結果のプロット、及びタンパク量(抗原量)と検出値(シグナル値)との相関を示すグラフである。
符号の説明
1:抗原、2:ウェルプレート、3:標識処理抗体、4:標識処理抗体、
5:ヌクレオチド鎖、6:ヌクレオチド鎖、7:制限酵素サイト、
8:制限酵素サイト、9:抗原−抗体複合体、10:抗原−抗体複合体、
11:ヌクレオチド断片、12:ヌクレオチド断片、13:標識処理抗体、
14:標識処理抗体、15:ヌクレオチド鎖、16:ヌクレオチド鎖、
17:抗原−抗体複合体、18:抗原−抗体複合体、19:Fプライマー、
20:Rプライマー、21:ヌクレオチド断片(PCR産物)、
22:ヌクレオチド断片(PCR産物)
以下、本発明の検出方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献、並びに公開公報、特許公報及びその他の特許文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
1.本発明の概要
本発明の検出方法は、前述の通り、標的物質−結合物質複合体の形成工程と、標識検出工程とを含む方法であるが、まず以下の4つの実施形態により本発明の方法全体の概要を例示し、続いて各工程ごとに詳しく説明する。なお、以下の(1)〜(4)の例示は、いずれも、標的物質及び結合物質の一例として抗原及び抗体を用いて説明したものであるが、標的物質及び結合物質が抗原及び抗体以外の場合についても同様の説明を適用することができる。
(1)第1の実施形態は、図1の模式フロー図に示すように、まず、支持体となるウェルプレート2に、標的物質として複数種類(図1では4種類)の抗原1を固定し(図1(a))、これら抗原1に対する結合物質として、オリゴヌクレオチド複合抗体(標識処理抗体)3,4を添加する(図1(b))。抗体3は、オリゴヌクレオチド鎖5と複合体を形成するものであり、抗体4は、オリゴヌクレオチド鎖6と複合体を形成するものである。抗体3,4は、いずれも、それぞれのオリゴヌクレオチド鎖5,6中に共通の制限酵素サイト7,8(例えば、EcoRI等)を有する。オリゴヌクレオチド鎖5,6の長さ(ヌクレオチド配列)は、それぞれ、制限酵素サイト7,8より末端部分の長さが互いに異なるように設計(又は選択)されている。図1では、抗体3の方がオリゴヌクレオチド鎖の長さが短い。
次いで、抗原抗体反応により、抗体3,4をそれぞれ特定の抗原に結合させ、抗原−抗体複合体9,10を形成させる(図1(c))。当該複合体を形成しなかった抗原は、洗浄により除去する(図1(d))。
その後、制限酵素サイト7,8を切断する制限酵素を添加して反応させ、抗原−抗体複合体9,10を形成する抗体3,4中のオリゴヌクレオチド鎖5,6のそれぞれから、長さの異なるヌクレオチド断片11,12を得る(図1(e))。得られた断片の長さを、アガロースゲル等を用いた電気泳動法により識別検出する(図1(f))。
図1(f)では、ヌクレオチド断片11,12に対応する長さの異なる2種のバンドが検出されている。これにより、4種の抗原を含む被験試料中には、検出対象となる2種の抗原が含まれていたことが確認できる。
(2)第2の実施形態は、図2の模式フロー図に示すように、まず、支持体となるウェルプレート2に、標的物質として複数種類(図2では4種類)の抗原1を固定し(図2(a))、これら抗原1に対する結合物質として、オリゴヌクレオチド複合抗体(標識処理抗体)13,14を添加する(図2(b))。抗体13は、オリゴヌクレオチド鎖15と複合体を形成するものであり、抗体14は、オリゴヌクレオチド鎖16と複合体を形成するものである。抗体13,14は、いずれも、そのオリゴヌクレオチド鎖15,16中に、共通のPCRプライマー(Fプライマー19、Rプライマー20)が結合し得る配列を有する。オリゴヌクレオチド鎖15,16の長さ(ヌクレオチド配列)は、それぞれ、PCR(Immuno−PCR)により増幅される配列(PCR産物)の長さが互いに異なるように設計(又は選択)されている。具体的には、図2(e)(f)に示すように、抗体13中のオリゴヌクレオチド鎖15からはαβ間の配列が増幅され、抗体14中のオリゴヌクレオチド鎖16からはγδ間の配列が増幅されることになり、αβ間の配列の方が短い。
次いで、抗原抗体反応により、抗体13,14をそれぞれ特定の抗原に結合させ、抗原−抗体複合体17,18を形成させる(図2(c))。当該複合体を形成しなかった抗原は、洗浄により除去する(図2(d))。
その後、PCRプライマー(Fプライマー19、Rプライマー20)を用いてPCR(Immuno−PCR)を行い(図2(e))、抗原−抗体複合体17,18を形成する抗体13,14中のオリゴヌクレオチド鎖15,16のそれぞれから、PCR産物として、長さの異なるヌクレオチド断片21(αβ間を増幅した断片)及び22(γδ間を増幅した断片)を得る(図2(f))。得られた断片の長さを、アガロースゲル等を用いた電気泳動法により識別検出する(図2(g))。
図2(g)では、ヌクレオチド断片21,22に対応する長さの異なる2種のバンドが検出されている。これにより、4種の抗原を含む被験試料中には、検出対象となる2種の抗原が含まれていたことが確認できる。
(3)第3の実施形態は、図3Aの模式図(上)に示すように、特定の抗原に対し、当該抗原中の異なるエピトープをそれぞれ認識する抗体(抗体のセット)を準備する。具体的には、一方の抗体には、HRPやNitric oxide synthaseや光増感剤等でスーパーオキシドやその他のフリーラジカルを産生し得る酵素又は化学物質を複合化させておく。他方の抗体には、スーパーオキシドやその他のフリーラジカルで開裂可能なクロスリンカー(例えばN−hydroxysuccinimide−4−azidobenzoate(HSAB))を介してオリゴヌクレオチド鎖等を複合化させておく。ここで、他方の抗体中のオリゴヌクレオチド鎖等は、当該抗体が認識する抗原の種類に応じて異なる長さとなるように設計しておく。
まず、支持体(ウェルプレート等)に固定された及び/又は固定されていない複数種類の抗原(標的物質)に、準備しておいた抗体(結合物質)を添加する。
次いで、抗原抗体反応により、抗体をそれぞれ特定の抗原に結合させ、抗原抗体複合体を形成させる。当該複合体を形成しなかった抗原あるいは抗体は、検出目的に応じて、洗浄により除去するか、あるいは未洗浄のままにしておく。
次に、スーパーオキシドやその他のフリーラジカルを生成する試薬を添加する。その後、各抗原に対応した長さの異なるオリゴヌクレオチド鎖含有断片が得られる。得られた断片の長さを、アガロースゲルを用いた電気泳動法やマイクロチップ等により識別検出する。
また、この第3の実施形態を利用すれば、図3Aの模式図(下)に示すように、複合体の形成反応を確認することもできる。当該形成反応としては、例えば、細胞膜受容体の二量体化、及び細胞内タンパク結合等が挙げられる。これにより、癌等の診断や発症機序の解明に現在又は将来必要と考えられる技術を提供できる。
なお、第3の実施形態では、検出環境は液相及び固相の別を問わない。
(4)第4の実施形態は、図3Bの模式図に示すように、まず、支持体(ウェルプレート等)に固定された及び/又は固定されていない複数種類の抗原(標的物質)に、結合物質としての抗体(標識処理抗体)を添加する。当該抗体は、オリゴペプチド鎖部分とオリゴヌクレオチド鎖部分とを連結したハイブリッド鎖が複合化された抗体である。オリゴペプチド鎖部分は、特定のタンパク質分解酵素により切断される部位を有するように設計し、オリゴヌクレオチド鎖部分は、上記抗体が認識する抗原の種類に応じて異なる長さとなるように設計しておく。次いで、抗原抗体反応により、標識処理抗体をそれぞれ特定の抗原に結合させ、抗原抗体複合体を形成させる。当該複合体を形成しなかった抗原あるいは標識抗体は、検出目的に応じて、洗浄により除去するか、あるいは未洗浄のままにしておく。
次に、形成した抗原抗体複合体を特異的に認識する抗体又は補体(C1等)であって上記特定のタンパク質分解酵素が複合化されたものを添加する。当該抗体又は補体が、抗原抗体複合体に結合すると、上記タンパク質分解酵素が、近在する抗原抗体複合体中のオリゴペプチド鎖部分を切断する。その結果、各抗原の種類に対応した長さの異なるオリゴヌクレオチド鎖含有断片が得られる。得られた断片の長さを、アガロースゲルを用いた電気泳動法やマイクロチップ等により識別検出する。
この第4の実施形態を利用すれば、公知のサンドウィッチ法とは異なり、目的の抗原に対する1種類のエピトープを認識する抗体で抗原を検出することができる。
なお、第4の実施形態では、検出環境は液相及び固相の別を問わない。
2.標的物質−結合物質複合体の形成工程
本発明の検出方法は、支持体に固定された複数種類の標的物質、及び/又は支持体に固定されていない複数種類の標的物質と、当該標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された結合物質とを接触させて、当該標的物質と当該結合物質との複合体を形成させる工程を含む方法である。なお、上記「結合物質」とは、特定の標的物質と特異的に結合し得る物質を意味し、抗原(標的物質)に対する抗体などが例示できる。
(1)支持体
本発明において用い得る支持体としては、抗原等の標的物質を固定することができ、当該標的物質に、抗体等の結合物質(溶液)を接触させることができるものであればよく、限定はされない。このような支持体としては、通常、不溶性の材質及び形状等のものが用いられる。例えば、抗原抗体反応によるアッセイ系に用い得る支持体が好ましく、具体的には、マルチプラスチックウェルプレート、プラスチックビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、プラスチックチューブ、ナイロン膜、ニトロセルロース膜などが挙げられる。
(2)標的物質
本発明の方法において検出対象とする標的物質は、被験試料(詳しくは同一の被験試料)に含まれる複数種類の標的物質である。当該標的物質の個々の種類は限定されない。このような標的物質としては、例えば、各種タンパク質(抗体タンパク質も含む)、ペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチド等)、多糖類、糖脂質、各種核酸(DNAやRNA)、及びその他低分子の化学合成物や生体成分等が挙げられ、なかでも、抗原となり得るもの(すなわち、抗体タンパク質が存在し得るもの又は作製可能なもの)が好ましい。なお、別の実施形態として、単一種類の標的物質を検出対象とし、標識処理された結合物質を複数種類用いて、標的物質がどの結合物質に対して特異的であるかを特定する(すなわち標的物質の種類を特定する)アッセイ系とすることもできる。
上記被験試料としては、例えば、生体成分(組織や血液)、食肉や野菜等の食品類、土壌や河川水、燃焼廃棄物等を挙げることができるが、限定はされない。
上記被験試料に含まれる標的物質の種類数は、複数(少なくとも2種類)であればよく限定はされないが、本発明の方法によれば、例えば、10種類以上であっても特定の標的物質を明確に識別検出することができ、また50種類以上であってもよいし、さらには100種類以上であってもよい。
上記被験試料中の標的物質の濃度は、限定はされないが、本発明の方法によれば、例えば、被験試料1μLあたり標的物質がngオーダー以下の濃度であっても、特定の標的物質を明確に識別検出することができ、またpgオーダー以下であってもよいし、さらにはfgオーダー以下であってもよい。特に、識別処理された結合物質として、下記(i)〜(iv)の結合物質(後に詳述する)等を用いる場合は、より低い標的物質濃度であっても高い感度で識別検出することができ、中でも(ii)又は(iii)の結合物質を用いる場合が好ましい。
(i)PCRで増幅可能な領域を有するオリゴヌクレオチド鎖との複合体を形成している結合物質
(ii)蛍光色素を結合させたオリゴヌクレオチド鎖又はオリゴペプチド鎖との複合体を形成している結合物質
(iii)放射性同位体元素を含有させるか又は放射性物質を結合させたオリゴヌクレオチド鎖又はオリゴペプチド鎖との複合体を形成している結合物質
(iv)標識処理デンドリマを結合させたオリゴヌクレオチド鎖又はオリゴペプチド鎖との複合体を形成している結合物質
本発明の方法においては、標的物質を支持体に固定しておいた上で標識処理された結合物質(溶液)と接触させ、これにより標的物質と結合物質との特異的結合反応を行うようにしてもよいし、標的物質を支持体等へ固定せずに当該反応を行うようにしてもよいし、又はこれらを組み合わせて行うようにしてもよく、限定はされない。
標的物質を支持体へ固定する方法としては、例えば、支持体表面に直接標的物質を固定する方法、標的物質に特異的に結合する抗体を予め支持体表面に結合させて固定しておき、その後、当該固定された抗体に標的物質を結合させることで、間接的に固定する方法等が挙げられるが、限定はされない。後者の間接的な固定方法の場合、標的物質となり得る多種多様な物質のうち検出対象となり得る物質を予め選抜しておくことができるので、検出感度や検出精度を高めることができる。なお、後者の固定方法において、後に用いる標識処理された結合物質も抗体である場合は、支持体に直接固定する抗体としては、通常、後に用いる抗体とは標的物質(抗原)に対して認識するエピトープが異なるものを用いる。
標的物質を支持体へ固定する場合は、標識処理された結合物質(溶液)と接触させる前に、常法に従い、ブロッキングを行うことが好ましい。上記直接固定の場合は当該固定後に、上記間接固定の場合は支持体への抗体固定の後かつ標的物質結合の前に、ブロッキングを行うことが望ましい。
(3)結合物質
本発明の方法では、結合物質として、標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された結合物質を複数種類用いる。標識処理は、特定の標的物質に対応する特異的な結合物質ごとに1種類の標識処理が施されるようにし、後の検出段階において標識の数及びその種類の特定を行うことで、検出された標的物質の数及びその種類の特定を行うようにする。しかしこれには限定はされず、例えば、複数種の結合物質に同一の標識処理を施し、複数種の標的物質を包括的に検出することもできる。
本発明の方法で用い得る結合物質としては、例えば、特定の抗原物質に対して特異的に結合し得る抗体(抗体タンパク質)のほか、特定の標的遺伝子又は核酸分子に対してハイブリダイズし得る一本鎖核酸(DNA、RNA(mRNA等)、合成核酸)、特定の標的タンパク質等に対して特異的に結合し得る各種タンパク質(抗体を除く)、特定の糖脂質に対して特異的に結合し得るタンパク質(レクチン等)、及び特定の抗体に対して特異的に結合し得る抗原物質などが挙げられ、なかでも、抗体が好ましい。
結合物質が抗体である場合は、一般には、特定の単一種類の抗原(標的物質)ごとに特異性を有するモノクローナル抗体を用いるようにすることが好ましいが、限定はされない。例えば、特定の複数種の抗原に共通した特異性を有するモノクローナル抗体なども用いることができる。このような抗体を用いるアッセイ系によれば、複数種の抗原を単一の抗体によって包括的に検出することができる。
なお本発明の方法において、「支持体に固定された標的物質と標識処理された結合物質とを接触させる」とは、一般には、当該標的物質と当該標識処理され結合物質とを直接接触させて結合させることを意味する。しかし、本発明ではこれに限定はされず、より広義的に、支持体に固定された標的物質に、まず当該標的物質に特異性を有する1次的な結合物質(1次抗体など)を結合させ、次いで、この1次結合物質に対して特異性を有する結合物質として、前記の標識処理された結合物質を接触させることで、結果として前記標的物質と当該標識処理された結合物質とを間接的に結合させることも含む。この間接的な結合においては、上記1次結合物質には、さらに2次結合物質、3次結合物質、・・・n次結合物質を結合させてもよく、その場合、標識処理された結合物質としてはn次結合物質と特異的に結合し得るものを用いればよい。なお、上記nは、1〜11であり、好ましくは1又は2である。
本発明の方法に用いる結合物質は、標識物質としての各種核酸鎖及びペプチド鎖等と複合体を形成しているものが好ましい。結合物質が抗体の場合は、当該複合体は「複合抗体」と称する。上記核酸鎖及びペプチド鎖等としては、例えば、オリゴヌクレオチド鎖(DNA鎖、RNA鎖)、オリゴペプチド鎖、及びオリゴペプチド核酸鎖などが好ましく挙げられ、これらは天然物であっても合成物であってもよい。なかでも、オリゴヌクレオチド鎖との複合体を形成している結合物質(オリゴヌクレオチド複合体)は、塩基配列やオリゴヌクレオチド鎖長による識別化、蛍光色素の結合や放射性同位体元素の含有等による識別化、あるいはPCR増幅断片長による識別化など、より一層有用性・実用性の高い識別化が可能となる等の効果が得られるためより好ましく、合成されたオリゴヌクレオチド鎖との複合体を形成している結合物質がさらに好ましい。
上記各種核酸鎖やペプチド鎖等の長さは、特に限定はされない。
例えば、オリゴヌクレオチド鎖(DNA鎖、RNA鎖)の場合は、例えば、100〜5,000merであることが好ましく、より好ましくは100〜1,000mer、さらに好ましくは100〜500merである。オリゴヌクレオチド鎖の長さが上記範囲を満たす場合、結合物質との複合化が容易となり、複合化後の状態を安定化させるとともに、検出感度の向上や検出時間の短縮が図り得る等の効果が得られる。
オリゴペプチド鎖の場合は、例えば、10〜1,000アミノ酸残基であることが好ましく、より好ましくは10〜500アミノ酸残基、さらに好ましくは10〜100アミノ酸残基である。オリゴペプチド鎖の長さが上記範囲を満たす場合、結合物質との複合化が容易となり、複合化後の状態を安定化させるとともに、オリゴペプチド鎖への標識処理が容易となる等の効果が得られる。
オリゴペプチド核酸鎖の場合は、例えば、10〜100アミノ酸残基のオリゴペプチド鎖に100〜5,000merの核酸鎖(DNA鎖、RNA鎖)が連結したものが好ましく、より好ましくは核酸鎖部分が100〜1,000merであるもの、さらに好ましくは核酸鎖部分が100〜500merであるものである。オリゴペプチド核酸鎖の長さが上記範囲を満たす場合、結合物質との複合化が容易となり、複合化後の状態を安定化させるとともに、検出感度の向上や検出時間の短縮が図り得る等の効果が得られる。
上記オリゴヌクレオチド複合体は、例えば、標識部分としてのオリゴヌクレオチド鎖(DNA鎖、RNA鎖)の一端を、結合物質に共有結合させること等によって得られる。同様に、上記オリゴペプチド複合体及びオリゴペプチド核酸複合体は、例えば、標識部分としてのオリゴペプチド鎖又はオリゴペプチド核酸鎖の一端を、結合物質に共有結合させること等によって得られる。これら複合体の調製においては、オリゴヌクレオチド鎖、オリゴペプチド鎖及びオリゴペプチド核酸鎖は、例えば、1個又は2個以上のチオール基やアミノ基(置換基)又はビオチン(若しくはアビジン)等が化学的又は酵素的処理(好ましくは化学的処理)によって導入されていてもよい。これにより、結合物質との複合化が容易となり、複合化後の状態が一層安定化し、得られる複合体の収率を向上させるとともに、ひいては検出感度や検出効果を高める等の効果が得られる。
上記オリゴヌクレオチド複合体の調製方法としては、例えば、(i)5’末端にアミノ基やチオール基を付加したオリゴヌクレオチド鎖を2価の架橋剤を用いて結合物質に固定する方法(E.Hendrickson et al.,Nucl.Acids Res.,Vol23(3),p522−529(1995))、及び(ii)予め結合物質及びオリゴヌクレオチド鎖をいずれもビオチン化しておき、当該結合物質とオリゴヌクレオチド鎖とを混合すると共にアビジンを添加することで、アビジンを介してオリゴヌクレオチド鎖を結合物質に固定する方法等が挙げられる。
上記オリゴペプチド複合体及びオリゴペプチド核酸複合体の調製方法としては、例えば、(i)アミノ基やチオール基を有するオリゴペプチド鎖又はオリゴペプチド核酸鎖(以下、オリゴペプチド鎖等)、(ii)アミノ基やチオール基を付加したオリゴペプチド鎖等を、2価の架橋剤を用いて結合物質に固定する方法、及び(iii)予め結合物質及びオリゴペプチド鎖等をいずれもビオチン化しておき、当該結合物質とオリゴペプチド鎖等とを混合すると共にアビジンを添加することで、アビジンを介してオリゴペプチド鎖等を結合物質に固定する方法等が挙げられる。
また本発明においては、標識部分となるオリゴヌクレオチド鎖、オリゴペプチド鎖又はオリゴペプチド核酸を、少なくともアダプター部分を介して結合物質と複合化させることにより、上述した各種複合体を得ることもできる(図7(1)参照)。アダプター部分を介した固定により、当該複合体の構造安定性を一層高めることができ、得られる複合体の収率をより向上させるとともに、ひいては検出感度や検出効果を高める等の効果が得られる。上記アダプター部分としては、例えば、プロテインG、プロテインA、プロテインL、及びプロテインAとプロテインGとの融合タンパク質等の各種タンパク質が挙げられ、これらは、特に結合物質が抗体分子である場合に、当該抗体と容易にかつ安定して結合することができるため好ましい。
アダプター部分を含む複合体の調製方法としては、限定はされないが、(i)まず、アダプター部分に標識部分となるオリゴヌクレオチド鎖等を結合させ、(ii)次いで、アダプター部分を結合物質に固定する方法が好ましい。
具体的には、上記(i)においては、アダプター部分をアビジン修飾し、標識部分となるオリゴヌクレオチド鎖等をビオチン化して、両者を混合することにより、オリゴペプチド鎖等をアダプター部分に結合させる。あるいは、予めアダプター部分及びオリゴペプチド鎖等をいずれもビオチン化しておき、当該アダプター部分とオリゴペプチド鎖等とを混合すると共にアビジンを添加することで、アビジンを介してオリゴペプチド鎖等をアダプター部分に結合させることもできる。なお、前者の手法の場合、アダプター部分のアビジン修飾は、まずリンカー化合物をアダプター部分と結合反応させた後、当該化合物にアビジンを結合させてもよい。ここで使用されるアダプター部分がプロテインA、G又はL等の場合は、リンカー化合物として、例えば「Sulfosuccinimidyl 4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate(Sulfo−SMCC)」等を好ましく用いることができる。
次に、上記(ii)においては、アダプター部分と結合物質とが結合反応性を有する場合は、上記(i)で得られたアダプター部分/標識部分結合体と結合物質とを混合することで、オリゴヌクレオチド複合体等の各種複合体を得ることができる。また、アダプター部分と結合物質とが、もともと結合反応性を有しない場合は、例えば、両者をビオチン化しておきアビジン存在下で混合するなど、上記(i)において採用し得る手法と同様の手法を用いて各種複合体を得ることができる。
以下の(3−1)及び(3−2)に、オリゴヌクレオチド複合体等及びオリゴペプチド複合体における標識処理について具体的に例示する。なお、これら例示はいずれも、標的物質及び結合物質の一例として抗原及び抗体を用いて説明したものであるが、標的物質及び結合物質が抗原及び抗体以外の場合についても同様の説明を適用することができる。
(3−1)オリゴヌクレオチド複合抗体における標識処理
オリゴヌクレオチド複合抗体の場合、標識処理は、オリゴヌクレオチド鎖そのものになされていてもよいし(例えば、下記(A1)〜(A3),(A6),(A7),(A9)の処理等)、オリゴヌクレオチド鎖を介してなされていてもよく(例えば、下記(A4),(A5),(A8)の処理等)、限定はされない。
オリゴヌクレオチド鎖に対してなされる上記標識処理としては、具体的には、下記(A1)〜(A9)から選ばれる少なくとも1つの処理が好ましく挙げられる。なかでも、(A1)、(A2)及び(A9)の処理が、標識処理が容易であり、検出感度が高い等の点でより好ましい。
(A1)制限酵素による切断部位を設ける処理(図1参照)
(A2)PCRで増幅可能な領域を設ける処理(図2参照)
(A3)放射性同位体元素を含有させる処理
(A4)蛍光色素を結合させる処理
(A5)酵素を結合させる処理
(A6)光照射による切断部位を設ける処理
(A7)活性酸素による切断部位を設ける処理(図3A参照)
(A8)標識処理デンドリマを結合させる処理
(A9)塩基の種類において少なくとも1塩基の違いを設ける処理
なお、オリゴペプチド核酸複合抗体の場合も、その核酸(オリゴヌクレオチド)部分に対して、上記オリゴヌクレオチド複合抗体の場合と同様の標識処理を施すことができる。各標識処理の実際についても、後述する具体的説明を、適宜同様に適用できる。
上記(A1)の処理の場合は、例えば、図1に示すように他の抗体の標識とは該切断後に得られるオリゴヌクレオチド断片の長さが異なるようにするか、他の抗体の標識からは該切断後にオリゴヌクレオチド断片が得られないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
切断後の断片の長さが異なるようにすることは、具体的には、抗体に結合させるオリゴヌクレオチド鎖の長さは抗体間で実質的に同じであるが、制限酵素による切断部位の位置が互いに異なるように合成しておくか、又は、抗体に結合させるオリゴヌクレオチド鎖の長さ自体を抗体間で互いに異なるように合成しておくこと等により実施できる。切断後の断片の長さの相違差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、10mer以上であることが好ましく、より好ましくは50mer以上、さらに好ましくは100mer以上である。
上記(A2)の処理の場合は、例えば、図2に示すように、他の抗体の標識とは該PCR産物として得られる断片の長さが異なるようにするか、他の抗体の標識からは該PCR産物が得られないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
PCR産物として得られる断片の長さが異なるようにすることは、具体的には、同一のプライマーを用いた場合であっても、プライマーの結合位置が異なり、PCRで増幅可能な領域の幅(長さ)が各抗体間で異なるように合成しておくこと等により実施できる。PCR産物の断片の長さの相違差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、5mer以上であることが好ましく、より好ましくは10mer以上、さらに好ましくは50mer以上である。
上記(A3)の処理の場合は、例えば、他の抗体の標識とは放射線種が異なるようにするか、他の抗体の標識においては放射線を放射しないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
放射性同位体元素を含有させる処理方法としては、例えば、オリゴヌクレオチド鎖を合成する際に放射性同位体元素を含有する核酸を使用したり、放射性同位体元素を含む修飾基(32PO35SO)やH125I等でオリゴヌクレオチド鎖を直接標識する方法等が挙げられる。
具体的には、放射性同位体元素としては、32P、H、14C、35S、59F、125I等を用いることができ、なかでも、識別検出の感度を高める点では、β線を放出する放射性同位体元素(例えばHや14C等)とγ線を放出する放射性同位体元素(例えば125I等)との組み合わせで用いることが好ましい。
上記(A4)の処理の場合は、例えば、他の抗体の標識とは該蛍光色素の極大吸収波長が異なるようにするか、他の抗体の標識においては該蛍光色素を結合させないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
蛍光色素を結合させる処理方法としては、例えば、オリゴヌクレオチド鎖の官能基を蛍光色素で直接標識する方法等が挙げられる。
具体的には、蛍光色素としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)、ルシフェラーゼ、GFP(蛍光強度が異なるEGFP等も含む)及びその誘導体(蛍光波長や励起波長が異なるYFPやBFP等)等を用いることができ、なかでも、識別検出の感度を高める点では、FITCとRITCの組み合わせや、GFPとその誘導体の組み合わせで用いることが好ましい。
上記(A5)の処理の場合は、例えば、発色用基質と結合することで蛍光色素を生成させる酵素を用い、他の抗体の標識とは該酵素の種類を変え、蛍光色素の極大吸収波長が異なるようにするか、他の抗体の標識には該酵素を結合させないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
酵素を結合させる処理方法としては、例えば、サリチルヒドロキサミン化した酵素を、タンパク質架橋剤を介して、オリゴヌクレオチド鎖に結合させる方法等が挙げられる。
具体的には、上記酵素としては、アルカリホスファターゼ、各種ペルオキシダーゼ(ホースラディッシュ(西洋わさび)ペルオキシダーゼ)、ベータガラクトシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ等を用いることができ、なかでも、識別検出の感度を高める点では、発色法において増感剤であるDABとTMBとを組み合わせて用いることが好ましい。
上記(A6)の処理の場合は、例えば、他の抗体の標識とは切断可能な光の波長が異なるようにするか、他の抗体の標識と切断可能な光の波長が同じであっても切断後の断片の長さが異なるようにするなど異なる識別処理を施しておくようにするか、他の抗体の標識では光照射により切断しないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
具体的には、オリゴヌクレオチド鎖に、所定の波長光の照射で開裂(切断)可能なクロスリンカー(2価の架橋剤等)を付加した上で、このリンカーを介して、オリゴヌクレオチド鎖と抗体とを結合させるようにする。光照射で開裂可能なクロスリンカーとしては、例えば、オキシムエステル誘導体やカルバモイルオキシイミノ誘導体等を用いることができる。他の抗体の標識とは切断可能な光の波長が異なるようにする場合は、他の抗体におけるクロスリンカーとは開裂可能な波長が異なるクロスリンカーを用いるようにすること等で実施できる。この場合、クロスリンカーとしては、オキシムエステル誘導体とカルバモイルオキシイミノ誘導体との組み合わせで用いることが、良好な検出感度が得られる等の点で好ましい。また、他の抗体の標識と切断後の断片の長さが異なるようにする場合は、クロスリンカーを介して結合させるオリゴヌクレオチド鎖の長さが異なるようにしておくこと等で実施できる。切断後の断片の長さの相違差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、10mer以上であることが好ましく、より好ましくは50mer以上、さらに好ましくは100mer以上である。そのほか、他の抗体の標識と切断後の断片に異なる標識処理を施しておく場合としては、クロスリンカーを介して結合させるオリゴヌクレオチド鎖に、上記(A3)〜(A5)及び下記(A8)の処理を施しておくこと等で実施できる。
上記(A7)の処理の場合は、例えば、他の抗体の標識とは切断後の断片の長さが異なるようにするなど異なる標識処理を施しておくようにするか、他の抗体の標識では活性酸素により切断しないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
具体的には、オリゴヌクレオチド鎖に、活性酸素との接触により開裂(切断)可能なクロスリンカー(2価の架橋剤等)を付加した上で、このリンカーを介して、オリゴヌクレオチド鎖と抗体とを結合させるようにする。活性酸素との接触により開裂可能なクロスリンカーとしては、例えば、N−hydroxysucciniimide−4−azidobenzoate等のアジド系のクロスリンカーや、S−ニトロソアミン誘導体あるいはN−ニトロソアミン誘導体等を用いることができる。
他の抗体の標識と切断後の断片の長さが異なるようにする場合は、クロスリンカーを介して結合させるオリゴヌクレオチド鎖の長さが異なるようにしておくこと等で実施できる。切断後の断片の長さの相違差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、10mer以上であることが好ましく、より好ましくは50mer以上、さらに好ましくは100mer以上である。そのほか、他の抗体の標識と切断後の断片に異なる標識処理を施しておく場合としては、クロスリンカーを介して結合させるオリゴヌクレオチド鎖に、上記(A3)〜(A5)及び下記(A8)の処理を施しておくこと等で実施できる。
上記(A8)の処理の場合は、例えば、オリゴヌクレオチドデンドリマ(DNAデンドリマ、RNAデンドリマ)等の各種デンドリマに、前述のように放射性同位体元素を含有させる、放射性物質を結合させる、蛍光色素を結合させる、又は酵素を結合させる等の標識処理を、1種又は2種以上施したデンドリマを用いる。そして、他の抗体の標識とはその種類や程度等が異なるようにするか、他の抗体の標識にはこのような標識処理デンドリマを結合させないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
デンドリマとは、それを構成する物質(例えば、オリゴヌクレオチドやDNA等)からなる樹木状多分岐高分子であり、中心(コア)から規則正しい枝分かれ骨格構造が3次元的に広がっているものをいう。デンドリマは、その枝分かれ部分どうしの間が決まった化学結合の繰り返し構造になっている。一般に、その繰り返し数は「世代」で表現され、世代が大きいほど大きく且つ球状に近い構造となる。
本発明においては、上記標識処理デンドリマと同様に、標識処理デンドロンも用いることができる。デンドロンとは、デンドリマと同様に樹木状多分岐高分子であるが、中心(フォーカルポイント)から一方向へのみ広がっている(伸びている)ものをいう。
デンドリマの合成方法としては、限定はされないが、コアから外側に向かって合成を進めるダイバージェント法、末端官能基から内側に向かって合成を進めるコンバージェント法、及び、これらを組み合わせた方法等が挙げられ、デンドロンにおいても同様の方法が挙げられる。デンドリマやデンドロンの合成経路は極めて秩序立っているため、前述したような標識処理物質等を、それら(デンドリマやデンドロン)の内外部を問わず、3次元的に所望の位置に導入することができる。
標識処理デンドリマを結合させる処理方法としては、例えば、抗体に結合しているオリゴヌクレオチド鎖に相補的に結合し得る配列領域(アーム)を、デンドリマの末端(最外層)に設けておき、所定の条件下でハイブリダイゼーションして結合させる方法や、抗体に結合しているオリゴヌクレオチド鎖の未結合末端にアミノ基やチオール基を付加しておき、2価の架橋剤を用いてデンドリマの末端と結合させる方法等が挙げられる。また、標識処理デンドロンを結合させる処理方法についても同様である。
上記(A9)の処理の場合は、まず、各々の複合抗体に固定されているオリゴヌクレオチド鎖がそれぞれ同等の長さ(上記(A1)や(A2)の処理では違いが認識できない程度の長さ)であっても、塩基の種類が異なる箇所を1ヶ所以上設けておく。そして、この種類が異なる塩基を含むPCR増幅断片を、DNAシークエンサー(例えば、Applied Biosystems社製、製品名:ABI−3100)による解析や、ABI PRISM 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)等を用いたReal Time PCRによる解析等の1塩基の違いを認識できる解析手段を用いて、識別検出することができる。なお、各オリゴヌクレオチド鎖には、PCRによる増幅の前に鋳型となる所定の断片を遊離しておくため、制限酵素サイト(好ましくは同一の制限酵素による切断部位)を設けておくこともできる。当該処理の場合、標識のバリエーションは、「〔塩基の種類(A,T,G,C等)〕×〔塩基の長さ(塩基数)〕」で算出される組合せまで可能であり、この処理は同時多項目検出に特に好適な処理と言える。上記バリエーションは、公知の各種変異導入法を用いたり、核酸合成の段階で塩基配列の設定に違いを設けることにより容易に設計できる。
(3−2)オリゴペプチド複合抗体における標識処理
オリゴペプチド複合抗体の場合、標識処理は、オリゴペプチド鎖そのものになされていてもよいし(例えば、下記(B1),(B2),(B5),(B6)の処理等)、オリゴペプチド鎖を介してなされていてもよく(例えば、下記(B3),(B4),(B7)の処理等)、限定はされない。
オリゴペプチド鎖に対してなされる上記標識処理としては、具体的には、下記(B1)〜(B7)から選ばれる少なくとも1つの処理が好ましく挙げられる。なかでも、(B1)の処理が、標識処理が容易であり、検出感度が高い等の点でより好ましい。
(B1)タンパク質分解酵素による切断部位を設ける処理
(B2)放射性同位体元素を含有させる処理
(B3)蛍光色素を結合させる処理
(B4)酵素を結合させる処理
(B5)光照射による切断部位を設ける処理
(B6)活性酸素による切断部位を設ける処理(図3A参照)
(B7)標識処理デンドリマを結合させる処理
なお、オリゴペプチド核酸複合抗体の場合も、そのオリゴペプチド部分に対して、上記オリゴペプチド複合抗体の場合と同様の標識処理を施すことができる。各標識処理の実際についても、後述する具体的説明を、適宜同様に適用できる。
上記(B1)の処理の場合は、例えば、他の抗体の標識とは該切断後に得られるオリゴペプチド断片の長さが異なるようにするか、他の抗体の標識からは該切断後にオリゴペプチド断片が得られないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
具体的には、切断後の断片の長さが異なるようにするには、抗体に結合させるオリゴペプチド鎖の長さは抗体間で実質的に同じであるが、制限酵素による切断部位の位置が互いに異なるように合成しておくか、又は、抗体に結合させるオリゴヌクレオチド鎖の長さ自体を抗体間で互いに異なるように合成しておくこと等により実施できる。切断後の断片の長さの相違差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、5アミノ酸残基以上であることが好ましく、より好ましくは10アミノ酸残基以上、さらに好ましくは20アミノ酸残基以上である。
上記(B2)の処理の場合は、例えば、前記(A3)の場合と同様にして、識別検出することができる。
放射性同位体元素を含有させる処理方法としては、例えば、オリゴペプチド鎖を合成する際に放射性同位体元素を含有する核酸を使用したり、放射性同位体元素を含む修飾基(32PO35SO)やH125I等でオリゴペプチド鎖を直接標識する方法等が挙げられる。
放射性同位体元素の具体的例示、及びその好ましい組み合わせについても、前記(A3)の場合と同様であることが好ましい。
上記(B3)の処理の場合は、例えば、前記(A4)の場合と同様にして、識別検出することができる。
蛍光色素を結合させる処理方法としては、例えば、オリゴペプチド鎖の官能基を蛍光色素で直接標識する方法等が挙げられる。
蛍光色素の具体的例示、及びその好ましい組み合わせについても、前記(A4)の場合と同様であることが好ましい。
上記(B4)の処理の場合は、例えば、前記(A5)の場合と同様にして、識別検出することができる。
酵素を結合させる処理方法としては、例えば、サリチルヒドロキサミン化した酵素を、タンパク質架橋剤を介して、オリゴペプチド鎖に結合させる方法等が挙げられる。
上記酵素の具体的例示、及び増感剤の好ましい組み合わせについても、前記(A5)の場合と同様であることが好ましい。
上記(B5)の処理の場合は、例えば、前記(A6)の場合と同様にして、識別検出することができる。
具体的には、オリゴペプチド鎖に、所定の波長光の照射で開裂(切断)可能なクロスリンカー(2価の架橋剤等)を付加した上で、このリンカーを介して、オリゴペプチド鎖と抗体とを結合させるようにする。光照射で開裂可能なクロスリンカーとしては、例えば、前記(A6)の場合と同様のものを用いることができる。他の抗体の標識とは切断可能な光の波長が異なるようにする場合は、クロスリンカーの組み合わせも含め、前記(A6)の場合と同様に実施できる。また、他の抗体の標識と切断後の断片の長さが異なるようにする場合も、前記(A6)の場合と同様に実施できる。切断後の断片の長さの相違差は、限定はされず、適宜設定できる。そのほか、他の抗体の標識と切断後の断片に異なる標識処理を施しておく場合としては、クロスリンカーを介して結合させるオリゴペプチド鎖に、上記(B2)〜(B4)及び下記(B7)の処理を施しておくこと等で実施できる。
上記(B6)の処理の場合は、例えば、上記(A7)の場合と同様にして、識別検出することができる。
具体的には、オリゴペプチド鎖に、活性酸素との接触により開裂(切断)可能なクロスリンカー(2価の架橋剤等)を付加した上で、このリンカーを介して、オリゴペプチド鎖と抗体とを結合させるようにする。活性酸素との接触により開裂可能なクロスリンカーとしては、例えば、前記(A7)の場合と同様のものを用いることができる。他の抗体の標識と切断後の断片の長さが異なるようにする場合は、前記(A7)の場合と同様に実施できる。切断後の断片の長さの相違差は、限定はされず、適宜設定できる。そのほか、他の抗体の標識と切断後の断片に異なる標識処理を施しておく場合としては、クロスリンカーを介して結合させるオリゴペプチド鎖に、上記(B2)〜(B4)及び下記(B7)の処理を施しておくこと等で実施できる。
上記(B7)の処理の場合は、例えば、前記(A8)の場合と同様にして、識別検出することができる。また、標識処理デンドリマと同様に、標識処理デンドロンも用い得る点も同様である。
標識処理デンドリマを結合させる処理方法としては、例えば、抗体に結合しているオリゴペプチド鎖に相補的に結合し得る配列領域(アーム)を、デンドリマの末端(最外層)に設けておき、所定の条件下でハイブリダイゼーションして結合させる方法、及び、抗体に結合しているオリゴペプチド鎖の未結合末端にアミノ基やチオール基を付加しておき、2価の架橋剤を用いてデンドリマの末端と結合させる方法等が挙げられる。また、標識処理デンドロンを結合させる処理方法についても同様である。
(4)抗原抗体反応
前述したように、支持体に固定(コーティング)した標的物質に、標識処理された結合物質(溶液)を接触させるに際しては、一般には、予め公知のブロッキング液でブロッキング処理を施し、PBS等の公知の洗浄液でよく洗浄しておく。その後、標識処理された結合物質を複数種含む溶液を適量添加し、室温で30〜60分間攪拌しながら、標的物質と結合物質との結合反応を行い両物質の複合体を形成させ、再度よく洗浄することが好ましい。
また、支持体等に固定していない標的物質に、標識処理された結合物質(溶液)を接触させるに際しては、一般には、標的物質を含む被験試料に対して適当な前処理を行い、標的物質以外の不純物を除去あるいは少なくしておくことが好ましい。
3.標識検出工程
本発明の検出方法は、標的物質−結合物質複合体を形成した結合物質中の標識を検出する工程を含む方法である。検出方法としては、具体的には、前述した結合物質の標識処理の種類(前記(A1)〜(A9)、(B1)〜(B7)等の標識処理)により異なるため、その種類ごとに以下に説明する。
(1)制限酵素による切断部位を設ける処理((A1)の処理)の場合
オリゴヌクレオチド複合体(DNA複合体又はRNA複合体)を用いた場合、常法に従い、所定の制限酵素溶液を添加して、オリゴヌクレオチド鎖を切断する。得られた断片の長さは、アガロースゲル等を用いた電気泳動法により識別して検出することができる。また、図7(3)〜(5)に示すように、上記制限処理後の遊離断片を、蛍光標識した所定のプライマーを用いてPCRにより増幅し、得られた増幅断片について、DNAシークエンサー(例えば、Applied Biosystems社製、製品名:ABI−3100)を用いたGeneScanソフトウェアでの解析によりピーク位置及びその高さを同定することで、制限酵素処理後の遊離断片の長さを識別して検出することもできる。
上記検出において、抗原の量が少なかった場合など、制限酵素処理後の断片濃度が低いときは、必要に応じ、当該処理後の反応液をスピンカラム等で遠心沈降して濃縮することが好ましい。
なお、オリゴペプチド核酸複合体を用いた場合も、その核酸鎖(オリゴヌクレオチド鎖)部分に対して、上記同様の検出方法が採用できる。
(2)PCRで増幅可能な領域を設ける処理((A2)の処理)の場合
オリゴヌクレオチド複合体(DNA複合体又はRNA複合体)を用いた場合、常法に従い、設計した所定のプライマー等を添加し、PCRにより(約5〜30サイクル)特定の断片を増幅したPCR産物を得る。得られた増幅断片の長さは、アガロースゲル等を用いた電気泳動法により識別して検出することができる。また、上記所定のプライマーとして蛍光標識したプライマーを用い、得られた増幅断片について、DNAシークエンサー(例えば、Applied Biosystems社製、製品名:ABI−3100)を用いたGeneScanソフトウェアでの解析によりピーク位置及びその高さを同定することで、増幅断片の長さを識別して検出することもできる。
なお、オリゴペプチド核酸複合体を用いた場合も、その核酸鎖(オリゴヌクレオチド鎖)部分に対して、上記同様の検出方法が採用できる。
(3)タンパク質分解酵素による切断部位を設ける処理((B1)の処理)の場合
オリゴヌペプチド複合体を用いた場合、常法に従い、所定のタンパク質分解酵素溶液を添加して、オリゴペプチド鎖を切断した後、SDS−PAGE等の電気泳動法により断片の長さを識別して検出する。標的物質の量が少なかった場合など、酵素処理後の断片濃度が低いときは、必要に応じ、当該処理後の反応液をスピンカラム等で遠心沈降して濃縮することが好ましい。
なお、オリゴペプチド核酸複合体を用いた場合も、そのオリゴペプチド鎖部分に対して、上記同様の検出方法が採用できる。
(4)蛍光色素を結合させる処理((A3)及び(B2)の処理)の場合
公知の蛍光光度計や蛍光顕微鏡等により、所定の蛍光波長を識別して検出する。
なお、本発明においては、半導体レーザー及び高感度フォトダイオード等を備えた測定モジュールデバイス(例えば、日立製作所社製、製品名:コスモアイ;Applied Biosystems社製、製品名:ABI−3100)を用いることもできる。当該デバイスは、微量のDNA若しくはRNA、又はペプチド等を短時間で分離・同定し、定量できることを特徴とするものである。当該デバイスを用いることにより、従来実現されていなかった、高速(短時間)かつ高感度で、しかも同時多項目の検出条件の識別検出をすることができる。具体的には、測定時間を120分以内(好ましくは60分以内、より好ましくは30分以内)とし、検出感度を100〜100,000fg/mL(好ましくは100〜10,000fg/mL、より好ましくは100〜1,000fg/mL)とし、検出可能標識数(1チップ当たり)を5種類以上(好ましくは10種類以上、より好ましくは50種類以上)とすることができる。
(5)酵素を結合させる処理((A4)及び(B3)の処理)の場合
公知のELISA法の常法に従い、発色用基質を添加して蛍光色素を生成させた後、蛍光色素の結合処理をした場合と同様の方法により、識別検出することができる。
(6)放射性同位体元素を含有させる処理((A5)及び(B4)の処理)の場合
公知の放射線量測定装置や公知のウエスタンブロット法の常法に従い、所定の放射線種を識別検出することができる。
(7)光照射による切断部位を設ける処理((A6)及び(B5)の処理)の場合
所定の波長光の照射を行い、オリゴヌクレオチド鎖やオリゴペプチド鎖等を切断(詳しくは、結合物質から分離)する。その後、得られた断片の長さを、例えば、アガロースゲル等を用いた電気泳動法やSDS−PAGE等の電気泳動法により識別して検出する。標的物質の量が少なかった場合など、光照射処理後の断片濃度が低いときは、必要に応じ、当該処理後の反応液をスピンカラム等で遠心沈降して濃縮することが好ましい。また、上記切断後の断片は、上記(4)〜(6)の場合と同様にして識別検出することもできる。
(8)活性酸素による切断部位を設ける処理((A7)及び(B6)の処理)の場合
まず、HRP(西洋わさびペルオキシダーゼ)及びFe錯体等の、フリーラジカルを産生遊離させる試薬を添加することにより、活性酸素を生じさせる。この活性酸素が、オリゴヌクレオチド鎖やオリゴペプチド鎖等を切断する(詳しくは、結合物質から分離)。その後、得られた断片の長さを、例えば、アガロースゲル等を用いた電気泳動法やSDS−PAGE等の電気泳動法により識別して検出する。標的物質の量が少なかった場合など、切断処理後の断片濃度が低いときは、必要に応じ、当該処理後の反応液をスピンカラム等で遠心沈降して濃縮することが好ましい。また、当該切断後、上記(4)〜(6)の場合と同様にして識別検出することができる。
(9)標識処理デンドリマを結合させる処理((A8)及び(B7)の処理)の場合
検出方法は、デンドリマに施された標識処理の種類により異なるが、具体的には、上述した各標識処理の場合の方法と同様の方法により識別検出できる。標識処理デンドロンを用いた場合についても同様である。
(10)少なくとも1塩基の違いを設ける処理((A9)の処理)の場合
オリゴヌクレオチド複合体(DNA複合体やRNA複合体)を用いた場合、まず、常法に従い、所定の制限酵素溶液を添加してオリゴヌクレオチド鎖を切断する。または、制限酵素処理により得られた遊離断片を鋳型として、所定のプライマーを用いたPCR(約5〜30サイクル)により特定の断片を増幅したPCR産物を得る。あるいは、上記制限酵素処理は行わずに、オリゴヌクレオチド複合体中のオリゴヌクレオチド鎖を直接鋳型として、所定のプライマーを用いたPCRにより上記と同様にPCR産物を得る。その後、前述したDNAシークエンサーによる解析やReal Time PCRによる解析等の1塩基の違いを認識できる解析手段により、PCR後の増幅断片の塩基配列の違いに基づいて識別検出することができる。
なお、オリゴペプチド核酸複合体を用いた場合も、その核酸鎖(オリゴヌクレオチド鎖)部分に対して、上記同様の検出方法が採用できる。
(11)なお、上記(1)〜(10)の場合の標識検出工程では、適宜、公知の処理手段を組み合わせて行うことができる。当該処理手段としては、例えば、ウエスタンブロット法の常法に従い、スキャナーを用いて同定・定量する手段、及び、目的とする抗原を含む細胞や化合物等をフローサイトメトリーやセルソーターあるいは適当な支持体を用いて検出し分離・回収する手段等が挙げられる。
4.その他の工程
本発明の方法は、前述した各種工程以外に、さらに他の工程を含んでいてもよく、限定はされない。これら他の工程は、公知の手段・方法を用いて実施することができる。
5.識別検出用キット
本発明の標的物質の識別検出用キットは、構成成分として、標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の結合物質を含むキットである。当該結合物質の詳細については、上記本発明の検出方法における説明(具体的には前記「2.(3)」に記載の説明)が同様に適用できる。
本発明のキットは、上記本発明の検出方法を行うために有効に用いることができ非常に有用性が高いものである。
本発明のキットは、上記構成成分以外に他の構成成分を含んでいてもよい。他の構成成分としては、例えば、制限酵素、DNAポリメラーゼ、PCRプライマー、dNTP、各種バッファ、滅菌水、エッペンドルフチューブ、フェノールクロロホルム、クロロホルム、エタノール、核酸共沈剤、各種ゲル(粉末)、フリーラジカル産生遊離試薬(HRP及びFe錯体等)、ブロッキング剤としてBovine Serum Albumin(BSA),Skim milk,Goat血清等の血清成分、及び各種detergent、DNAインターカレーター等の蛍光試薬、光反応物質、各種プレート、アジ化ナトリウム等の防腐剤、並びに実験操作マニュアル(説明書)等のほか、必要に応じ、各種電気泳動装置やPCR等実験機器等も挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<PCRによる識別検出>
1.複合抗体の調製及び検定
(1)オリゴヌクレオチド鎖の調製
101merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、3’末端にビオチンが結合した配列番号1のプライマー(5−MUSTagRIBio)を使用し、3’プライマーとして、5’末端にFAMが結合した配列番号2のプライマー(3−MUSTag101FAM)を使用して、PCRにより行った。
203merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、3’末端にビオチンが結合した配列番号1のプライマー(5−MUSTagRIBio)を使用し、3’プライマーとして、5’末端にFAMが結合した配列番号3のプライマー(3−MUSTag203FAM)を使用して、PCRにより行った。
5−MUSTagRIBio:
Biotin−CGGAATTCGCGGACGAGGAGAAGCTGCCGCCCGGCTGG(配列番号1)
3−MUSTag101FAM:
FAM−GCTGGCGTTAGTGATGTGGTTGAA(配列番号2)
3−MUSTag203FAM:
FAM−CTGGCTGTGCTTCACCAG(配列番号3)
上記各PCRは、Pin1をインサートしたpcDNA3.1(In vitro社製)を鋳型DNAとし、ポリメラーゼとしてTaq polymeraseを使用して、下記の反応液組成及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(100μg/μL): 1μL
Taq polymerase: 2.5unit
5’プライマー(20μM): 2μL
3’プライマー(20μM): 2μL
dNTP(2.5mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量(約77μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で1分間の熱変性・解離→55℃で1分間のアニーリング→72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計30サイクル。
上記各PCR後の増幅産物は、PCR後に遠心して得られた上清を、MinElute PCR Purification spin column(キアゲン社製)又はMiniprepカラム(Invitrogen社製)にてフィルター精製することにより、単一なオリゴヌクレオチドに精製した。
(2)ビオチン化抗体の調製
常法により、下記の2種のモノクローナル抗体を作製した。
12CA5(抗HAモノクローナル抗体)
9E10(抗Mycモノクローナル抗体)
次に、12CA5と9E10とを、それぞれ、抗体とSulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce社製)とのモル比が1:20となるように混合し、室温で30分間反応させた。各反応液を5mLの脱塩カラムに通し、目的の抗体画分を回収して、2種のビオチン化抗体を得た。
(3)オリゴヌクレオチド複合抗体の調製
ビオチン化12CA5には101merのオリゴヌクレオチドを、ビオチン化9E10には203merのオリゴヌクレオチドを、それぞれ、1:1のモル比で混合した。次いで、それぞれにおいて、NeutrAvidin(PIERCE Biotechnology社製)を、ビオチン化抗体に対し1:1のモル比で添加し、室温で15分間反応させた。これら反応液を、それぞれ、5mLの脱塩カラムに通し、目的の画分を回収して、2種のオリゴヌクレオチド複合抗体を得た。
(4)抗原特異性及び識別検出能の検定
得られた2種の複合抗体について、抗原特異性(抗原抗体反応性)及び標識ごとの識別検出能を有することの確認を、以下のようにして行った。
まず、抗原としてHA及びMycの合成ペプチドを用意し、ELISA法の常法に従って、これら合成ペプチドをそれぞれコーティングした96穴プラスチックウェルプレートを用意した。次いで、5%ミルクin PBST溶液で一晩ブロッキングを行い、PBSでよく洗浄した後、各プレートのウェルに、先に調製した2種のオリゴヌクレオチド複合抗体を含む溶液を適量添加し、室温で1時間シェイキングしながら反応させた。
反応後、各プレートをPBSで3回洗浄ずつ洗浄し、次いで、EcoRI緩衝溶液で調製したEcoRI酵素溶液をウェルに添加して、37℃で2時間反応させ、オリゴヌクレオチド複合抗体におけるオリゴヌクレオチド鎖を切断した。
その後、必要に応じスピンカラムで濃縮して回収した後、1%アガロースゲル電気泳動を行った。電気泳動後に検出されたバンドを図4に示した。
その結果、HAコーティングプレートから回収されたオリゴヌクレオチド断片は約100merであり、Mycコーティングプレートから回収されたオリゴヌクレオチド断片は約200merであることが確認された。
よって、12CA5と101merのオリゴヌクレオチドとの複合抗体が、HAとのみ特異的に反応し、9E10と203merのオリゴヌクレオチドとの複合抗体が、Mycとのみ特異的に反応したことを、制限酵素処理後のオリゴヌクレオチド断片の長さの相違により識別検出できることが確認された。
2.複合抗体を用いた識別検出
調製した2種の複合抗体を用いて、「抗原抗体反応」及び「標識ごとの識別検出」を以下のようにして行った。
抗原−抗体反応サンドウィッチ法の常法に従い、支持体としての粒径1μmの磁性ビーズ(BioLabs社製)に、9E10(抗Mycモノクローナル抗体)又は12CA5(抗HAモノクローナル抗体)を結合した抗体結合ビーズを準備した。抗原としては独自に作製したHA−GST−Mycの合成ペプチド(抗原溶液)を用いた。まず、3本のマイクロチューブ内で、9E10結合ビーズと12CA5結合ビーズとを、量比(粒子数比)で、それぞれ3:1、1:1、1:3となるように混合し、これらに抗原溶液を添加して、室温で30分間インキュベーションした。これらをPBSTで3回よく洗浄し、それぞれに、2種のオリゴヌクレオチド複合抗体を含む溶液を適量添加し、室温で30分間シェイキングしながら反応させた。その後、さらにPBSTで3回よく洗浄し、遠心して得られた残渣に、配列番号1のプライマー(5−MUSTagRIBio)及び2のプライマー(3−MUSTag101FAM)並びに配列番号1のプライマー(5−MUSTagRIBio)及び3のプライマー(3−MUSTag203FAM)を添加して(すなわち、配列番号1、2及び3のプライマーを添加して)、下記の反応液組成及び反応条件でPCRを行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(遠心後の残渣): 各チューブの残渣量
Taq polymerase: 2.5unit
5’プライマー
5−MUSTagRIBio(20μM): 4μL
3’プライマー
3−MUSTag101FAM(20μM): 2μL
3−MUSTag203FAM(20μM): 2μL
dNTP(2.5mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量(約70μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「94℃で30秒の熱変性・解離→60℃で30秒のアニーリング→72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計5サイクル。
PCR後に遠心して得られた上清について、1%アガロースゲル電気泳動を行った。電気泳動後に検出されたバンドを図5に示した。
その結果、いずれの量比のサンプルにおいても、約100bp及び約200bpの断片のバンドが認められたことから、同一反応槽内においてオリゴヌクレオチド標識ごとに識別検出できることが確認できた。また、抗体結合ビーズの量比に対応した量の断片量が認められ、量比依存性(定量性)のある識別検出ができることも確認できた。
<微量流体分析装置を使用した識別検出>
1.複合抗体の調製
(1)オリゴヌクレオチド鎖の調製
300merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、3’末端にビオチンが結合した配列番号4のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、5’末端にFAMが結合した配列番号5のプライマー(3−MUSTag1140FAM)を使用して、PCRにより行った。
500merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、3’末端にビオチンが結合した配列番号4のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、5’末端にFAMが結合した配列番号6のプライマー(3−MUSTag1340FAM)を使用して、PCRにより行った。
5−pcDNA3Bio840:
Biotin−CTTACTGGCTTATCGAAA(配列番号4)
3−MUSTag1140FAM:
FAM−CATTTTATTAGGAAAGGA(配列番号5)
3−MUSTag1340FAM:
FAM−CGCGCTTAATGCGCCGCT(配列番号6)
上記各PCRは、pcDNA3.1(In vitro社製)を鋳型DNAとし、ポリメラーゼとしてTaq polymeraseを使用して、下記の反応液組成及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(100μg/μL): 1μL
Taq polymerase: 2.5unit
5’プライマー(20μM): 2μL
3’プライマー(20μM): 2μL
dNTP(2.5mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量(約77μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で1分間の熱変性・解離→55℃で1分間のアニーリング→72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計30サイクル。
上記各PCR後の増幅産物は、PCR後に遠心して得られた上清を、MinElute PCR Purification spin column(キアゲン社)にてフィルター精製することにより、単一なオリゴヌクレオチドに精製した。
(2)ビオチン化抗体の調製
実施例1の「1.の(2)」と同様にして、ビオチン化12CA5及びビオチン化9E10を調製した。
(3)オリゴヌクレオチド複合抗体の調製
ビオチン化12CA5には300merのオリゴヌクレオチドを、ビオチン化9E10には500merのオリゴヌクレオチドを、それぞれ、1:1のモル比で混合した。次いで、それぞれにおいて、NeutrAvidin(PIERCE Biotechnology社製)を、ビオチン化抗体に対し1:1のモル比で添加し、室温で15分間反応させた。これら反応液を、それぞれ、5mLの脱塩カラムに通し、目的の画分を回収して、2種のオリゴヌクレオチド複合抗体を得た。各オリゴヌクレオチド複合抗体はゲル濾過カラム(PC12:Pharmacia社製)を用いて分画し、280nmおよび210nmの同時検出系にてオリゴヌクレオチド複合抗体のみを得た。
2.複合抗体を用いた識別検出
調製した2種の複合抗体を用いて、「抗原抗体反応」及び「標識ごとの識別検出」を以下のようにして行った。
抗原−抗体反応サンドウィッチ法の常法に従い、支持体として粒径1μmの磁性ビーズ(BioLabs社製)を用い12CA5あるいは9E10を結合した抗体結合ビーズを準備した。抗原としてHA−GST−Mycの合成ペプチドを用いた。まず、12CA5あるいは9E10がそれぞれ結合している抗体結合ビーズとそれぞれ1、0.1、0.01pmol/μLのHA−GST−Mycの合成ペプチドをマイクロチューブ内で混合し、室温で30分間インキュベーションした。これをPBSTで3回よく洗浄し、2種(EcoRI処理によりそれぞれ300mer及び500merのオリゴヌクレオチドが遊離する)のオリゴヌクレオチド複合抗体を含む溶液を適量添加し、室温で30分間シェイキングしながら反応させた。その後、適量のEcoRI溶液をそれぞれのマイクロチューブに添加して、37℃で15分間反応させ、オリゴヌクレオチド複合抗体におけるオリゴヌクレオチド鎖を切断し、遠心して得られた上清を、コスモアイSV1210(日立製作所社製)で分析した。
その結果、EcoRI処理により得られる、300mer及び500merのオリゴヌクレオチド断片の存在を示すピークが、それぞれ、抗原濃度依存的に認められた(図6参照)。
また、市販の核酸分析装置を用いた場合も、300mer及び500merのオリゴヌクレオチド断片の存在を、それぞれ、抗原濃度依存的(定量的)に検出できることが認められた。
<PCRによる識別検出>
1.アダプターを用いた複合抗体の調製
以下の手順により、抗体分子に、アダプター部分となる「プロテインG」を介して、オリゴヌクレオチド鎖を結合させた複合抗体を調製した。
(1)オリゴヌクレオチド鎖の調製
100merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、5’末端にビオチンが結合した配列番号7のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、配列番号8のプライマー(3−pGEX+MUST100)を使用して、PCRにより行った。
200merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、5’末端にビオチンが結合した配列番号7のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、配列番号9のプライマー(3−pGEX+MUST200)を使用して、PCRにより行った。
300merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、5’末端にビオチンが結合した配列番号7のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、配列番号10のプライマー(3−pGEX+MUST300)を使用して、PCRにより行った。
400merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、5’末端にビオチンが結合した配列番号7のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、配列番号11のプライマー(pGEX+MUST400)を使用して、PCRにより行った。
500merのオリゴヌクレオチドの調製は、5’プライマーとして、5’末端にビオチンが結合した配列番号7のプライマー(5−pcDNA3Bio840)を使用し、3’プライマーとして、配列番号12のプライマー(3−pGEX+MUST500)を使用して、PCRにより行った。
5−pcDNA3Bio840:
Biotin−CTTACTGGCTTATCGAAA(配列番号7)
3−pGEX+MUST100:
GGCAAGCCACGTTTGGTG CAGTCGAGGC TGATCAGCGA(配列番号8)
3−pGEX+MUST200:
GGCAAGCCACGTTTGGTG TCCTCATTTT ATTAGGAAAG(配列番号9)
3−pGEX+MUST300:
GGCAAGCCACGTTTGGTG AGCATGCCTG CTATTGTCTT(配列番号10)
3−pGEX+MUST400:
GGCAAGCCACGTTTGGTG CCCGCCGCGC TTAATGCGCC(配列番号11)
3−pGEX+MUST500:
GGCAAGCCACGTTTGGTG AAAGCCGGCG AACGTGGCGA(配列番号12)
上記各PCRは、pGEX(Pharmacia社製)を鋳型DNAとし、ポリメラーゼとしてTaq polymeraseを使用して、下記の反応液組成及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(100μg/μL): 1μL
Taq polymerase: 2.5unit
5’プライマー(20μM): 2μL
3’プライマー(20μM): 2μL
dNTP(2.5mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量(約77μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で1分間の熱変性・解離→55℃で1分間のアニーリング→72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計30サイクル。
上記各PCR後の増幅産物は、PCR後に遠心して得られた上清を、MinElute PCR Purification spin column(キアゲン社製)にてフィルター精製することにより、単一なオリゴヌクレオチドに精製した。
(2)プロテインG/アビジン結合体の調製
(i)Maleimide活性化プロテインGの調製
5mgのプロテインGを、500μLの50mM sodium phosphate(pH7.4)に溶解した。次いで、50μL DMSOに化学修飾剤(chemical linker)としてのSulfosuccinimidyl 4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate(以下「Sulfo−SMCC」(PIERCE 50mg,# 22322,Molecular Weight:436.37,Spacer Arm Length:11.6Å;下記構造式(I)参照))を1mg溶解し、これを上記プロテインGの溶液に添加した。
上記添加後の溶液を、室温で60分間ゆっくりと攪拌して、プロテインGとSulfo−SMCCとを反応させ結合させた。なお、当該結合は、Sulfo−SMCCのSulfo−NHSエステル基とプロテインGとの結合である。
Figure 2006049289
反応後に残った余分なSulfo−SMCCを取り除くために、結合バッファーで平衡化した脱塩カラムを用いて、反応液を500μLずつの分画に分けた。各々の分画における溶出タンパク質(Maleimide活性化プロテインG)の濃度を測定し、ピークの画分を採取した。
5kDa pore size filter tubeを用いて、遠心によりMaleimide活性化プロテインGを濃縮し、溶液の最終容量を500μLに調整した。
(ii)アビジンとの結合
バッファー(100mM Na Phosphate(pH7.6),5mM EDTA)に、EZ−Link Maleimide Activated NeutroAvidin(PIERCE 5mg,#31007,60kDa)を溶解させた。この溶液に、Maleimide活性化プロテインG溶液を添加した。当該添加は、プロテインGとアビジンとのモル比(プロテインG:アビジン)が1:3程度となるよう、以下の量比に調整して行った。
プロテインG(22kDa):アビジン(60kDa)=1mg:1mg
混合後の溶液を、4℃で4時間以上(〜一晩)ゆっくりと攪拌しながら反応させた。
反応後の溶液を、ゲル濾過カラム(FPLC gel filtration(PC12 column))にかけ、プロテインG/アビジン結合体のうち、プロテインGの1分子に対してアビジンが2又は3分子結合している結合体に相当する分子量の画分を採取した。
(3)複合抗体の調製
(i)プロテインG/アビジン結合体とオリゴヌクレオチド鎖との結合
バッファー(50mM Tris(pH8.0),1mM EDTA,0.1M NaCl,0.5% gelatin,0.1% Tween20)中に、上記(1)で精製して得られた各オリゴヌクレオチド鎖(ビオチン化オリゴ)と、上記(2)で得られたプロテインG/アビジン結合体とを、それぞれモル比(ビオチン化オリゴ:プロテインG/アビジン結合体)が1:2程度となるように混合した。混合溶液を、室温で30分間以上攪拌しながら反応(ビオチン−アビジン結合反応)させ、オリゴヌクレオチド/プロテインG結合体を得た。
(ii)抗体の調製
常法により、下記の5種のモノクローナル抗体を作製した。
抗Int6抗体(抗Mouse IgGモノクローナル抗体)
抗HIF1α抗体(抗Rabbit IgGモノクローナル抗体)
12CA5(抗HAモノクローナル抗体)
9E10(抗Mycモノクローナル抗体)
抗β−galactosidase抗体(抗β−galactosidaseモノクローナル抗体)
(iii)抗体とアダプター部分との結合
バッファー(50mM Tris(pH8.0),1mM EDTA,0.1M NaCl,0.5% gelatin,0.1% Tween20)中に、オリゴヌクレオチド/プロテインG結合体と、各種モノクローナル抗体とを、それぞれ1:1のモル比となるように混合し、攪拌しながら室温で1時間あるいは4℃で12時間反応させた。具体的には、抗Int6抗体(抗Mouse IgGモノクローナル抗体)は100merのオリゴヌクレオチドが結合した上記結合体と混合し、抗HIF1α抗体(抗Rabbit IgGモノクローナル抗体)は200merのオリゴヌクレオチドが結合した上記結合体と混合し、12CA5は300merのオリゴヌクレオチドが結合した上記結合体と混合し、9E10は400merのオリゴヌクレオチドが結合した上記結合体と混合し、抗β−galactosidase抗体(抗β−galactosidaseモノクローナル抗体)は500merのオリゴヌクレオチドが結合した上記結合体と混合して、反応させた。各反応液を、それぞれ、5mLの脱塩カラムに通し、目的の画分を回収して、5種のオリゴヌクレオチド複合抗体を
2.複合抗体を用いた識別検出
調製した5種の複合抗体を用いて、「抗原抗体反応」及び「標識ごとの識別検出」を以下のようにして行った。
ELISA法の常法に従い、ELISAプレートのウェルに、5種の抗原(Mouse IgG、Rabbit IgG、HA、Myc及びβ−galactosidase(各50ng))を固着させた。ブロッキングは、5% Skim milk 100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)をウェルに添加し、室温で30分間静置して行った。当該ウェルに、5種のオリゴヌクレオチド複合抗体を含む溶液を20μL添加し、室温で30分間シェイキングしながら反応させた。反応後、0.1%NP40,100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で5回よく洗浄し、次いで、100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で1回洗浄したのち、適量のEcoRI溶液(10unit/20μL)をウェルに添加して、37℃で30分間反応させ、抗原と結合した複合抗体のオリゴヌクレオチド鎖を遊離させた。この遊離オリゴヌクレオチドを含む上清を回収した。
その後、この上清に(すなわち、遊離オリゴヌクレオチドを鋳型として)、配列番号13のプライマー(5−Forw−3)、及びFAM色素にて蛍光標識した配列番号14のプライマー(3−pGEX−FAM)を添加して、下記の反応液組成及び反応条件でPCRを行った。
5−Forw−3: TGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATA(配列番号13)
3−pGEX−FAM: FAM−GGCAAGCCACGTTTGGTG (配列番号14)
《反応液組成》
EcoRI処理後の上清: 5μL
Taq polymerase: 2.5unit
5’プライマー
5−Forw−3(20mM): 2μL
3’プライマー
3−pGEX−FAM(20mM): 2μL
dNTP(2.5mM): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量(約73μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で5分間の熱変性・解離→55℃で30秒間のアニーリング→72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計15サイクル。その後、10μlのホルムアミドに反応液を1μl溶解し、95℃で5分間の熱変性。
PCR後の反応液を遠心し、得られた上清について、DNAシークエンサーABI−3100(Applied Biosystems社製)を用いてGeneScanソフトウェアによる解析を行い、各ピーク位置及びその高さの同定を行った。
その結果、各抗原(Mouse IgG、Rabbit IgG、HA、Myc及びβ−galactosidase)に特異的に結合し得る複合抗体が有するオリゴヌクレオチド断片、すなわちオリゴ長が100mer、200mer、300mer、400mer及び500merのオリゴヌクレオチド断片の存在を示すピークが確認された(図8参照)。
〔参考例1〕
<本発明の検出法と従来のELISA法との検出感度の比較>
1.ELISA法に用いる1次抗体の調製
常法に従い、マウス抗HA抗体及びマウス抗Myc抗体を調製した。
2.本発明の検出法に用いるオリゴヌクレオチド複合抗体の調製
実施例3の「1.」と同様の方法により、「200merのオリゴヌクレオチド鎖を有する12CA5複合抗体」(以下、複合抗体A)を調製した。
具体的には、実施例3で使用した5種のオリゴヌクレオチド複合抗体のうち「100merのオリゴヌクレオチド鎖を有する複合抗体」の調製方法において、100merのオリゴヌクレオチド鎖を有するオリゴヌクレオチド/プロテインG結合体と抗Int6抗体(抗マウスIgGモノクローナル抗体)とを反応させる代わりに、200merのオリゴヌクレオチド鎖を有するオリゴヌクレオチド/プロテインG結合体と抗Int6抗体とを反応させた以外は、実施例3の「1.」と同様にして、前記複合抗体Aを調製した。
3.抗原の固定
抗原としてはHA−GST−Mycの合成ペプチドを用いた。ELISA法の常法に従い、ELISAプレートの各ウェルに、当該抗原を下記表に示す量で固着させた。ブロッキングは、5% Skim milk,100mM Na Phosphate,150mMNaCl(pH7.4)をウェルに添加し、室温で30分間静置して行った。
Figure 2006049289
4.ELISAによる検出
前記3.のブロッキング後、0.1%NP40,Phosphate Buffer Saline(pH7.4)で3回よく洗浄した。
1次抗体として、前記1.で調製したマウス抗HA抗体をプレートの01列及び02列の各ウェルに、マウス抗Myc抗体をプレートの03列及び04列の各ウェルに、それぞれ添加した。
0.1%NP40,Phosphate Buffer Saline(pH7.4)で3回よく洗浄し、HRP標識山羊抗マウスIgGを添加した。
0.1%NP40,Phosphate Buffer Saline(pH7.4)で3回よく洗浄し、基質を加えて静置した。その後、1%SDSで発色を停止した。
発色後のプレート(図9(a))の各ウェルについて、ELISA−Reader(415nm)を用いて測定した結果を図9(b)に示す。この結果から、ELISA法での最大感度は抗原量4ng(Dの01列のウェル)であることが確認された。
5.本発明の検出法による検出
前記3.のブロッキング後、0.1%NP40,100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で3回よく洗浄した。
1次抗体として、前記1.で調製したマウス抗HA抗体をプレートの01列及び02列の各ウェルに、マウス抗Myc抗体をプレートの03列及び04列の各ウェルに、それぞれ添加した。
0.1%NP40,Phosphate Buffer Saline(pH7.4)で3回よく洗浄した後、前記2.で調製した複合抗体Aを含む溶液を、プレートの01列及び02列の各ウェルに20μLずつ添加して、室温で30分間シェイキングしながら反応させた。
反応後、0.1%NP40,100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で3回よく洗浄し、次いで、100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で1回洗浄した後、適量のEcoRI溶液(10unit/20μL)をウェルに添加して、37℃で30分間反応させ、抗原と結合した複合抗体Aのオリゴヌクレオチド鎖を遊離させた。この遊離オリゴヌクレオチドを含む上清を回収した。
その後、この上清に(すなわち、遊離オリゴヌクレオチドを鋳型として)、配列番号13のプライマー(5−Forw−3)、及びFAM色素にて蛍光標識した配列番号14のプライマー(3−pGEX−FAM)を添加して、実施例3の「2.」と同様の反応液組成及び反応条件(但しサイクル数は20)でPCRを行った。
5−Forw−3: TGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATA(配列番号13)
3−pGEX−FAM: FAM−GGCAAGCCACGTTTGGTG (配列番号14)
PCR後の反応液を遠心し、得られた上清について、DNAシークエンサーABI−3100(Applied Biosystems社製)を用いてGeneScanソフトウェアによる解析を行い、ピークの検出(ピーク位置及びその高さの同定)を行った。
その結果、図10及び図11に示すように、本発明の検出法であれば、少なくとも256fg(Bの02列のウェル)の抗原量まで有効に検出できることが分かった。つまり、本発明の検出法(PCR:20サイクル)は、最大感度4ngであったELISA法に比べ、検出感度が約15,000倍高いことが確認された。
〔参考例2〕
<本発明の検出法における定量性>
1.オリゴヌクレオチド複合抗体の調製
実施例3の「1.」と同様の方法により、「100merのオリゴヌクレオチド鎖を有する9E10複合抗体」(以下、複合抗体B)を調製した。
具体的には、実施例3で使用した5種のオリゴヌクレオチド複合抗体のうち「400merのオリゴヌクレオチド鎖を有する複合抗体」の調製方法において、400merのオリゴヌクレオチド鎖を有するオリゴヌクレオチド/プロテインG結合体と9E10(抗Mycモノクローナル抗体)とを反応させる代わりに、100merのオリゴヌクレオチド鎖を有するオリゴヌクレオチド/プロテインG結合体と9E10とを反応させた以外は、実施例3の「1.」と同様にして、前記複合抗体Bを調製した。
2.抗原の固定
ELISA法の常法に従い、ELISAプレートの各ウェルに、抗原としてのMycペプチドをそれぞれ異なる量で固着させた。具体的には、各ウェルに、50ng、12.5ng、3.1ng、780pg、190pg、48.8pg、12.2pg及び3pgのMycをそれぞれ固着させた。さらに各ウェルには、Myc以外の抗原(下記表を参照)も併せて固着させた。
Figure 2006049289
ブロッキングは、5% Skim milk,100mM Na Phosphate,150mMNaCl(pH7.4)を各ウェルに添加し、室温で30分間静置して行った。
3.本発明の検出法による検出
ブロッキング後、0.1%NP40,100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で3回よく洗浄した。
前記1.で調製した複合抗体Bを含む溶液を、各ウェルに20μLずつ添加して、室温で30分間シェイキングしながら反応させた。
反応後、0.1%NP40,100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で3回よく洗浄し、次いで、100mM Na Phosphate 150mMNaCl(pH7.4)で1回洗浄した後、適量のEcoRI溶液(10unit/20μL)を各ウェルに添加して、37℃で30分間反応させ、抗原と結合した複合抗体Bのオリゴヌクレオチド鎖を遊離させた。この遊離オリゴヌクレオチドを含む上清を回収した。
その後、この上清に(すなわち、遊離オリゴヌクレオチドを鋳型として)、配列番号13のプライマー(5−Forw−3)、及びFAM色素にて蛍光標識した配列番号14のプライマー(3−pGEX−FAM)を添加して、実施例3の「2.」と同様の反応液組成及び反応条件(但しサイクル数は20)でPCRを行った。
5−Forw−3: TGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATA(配列番号13)
3−pGEX−FAM: FAM−GGCAAGCCACGTTTGGTG (配列番号14)
PCR後の反応液を遠心し、得られた上清について、DNAシークエンサーABI−3100(Applied Biosystems社製)を用いてGeneScanソフトウェアによる解析を行い、ピークの検出(ピーク位置及びその高さの同定)を行った。その結果を図12に示す。
得られた検出結果について、横軸を使用したタンパク量(抗原量:Mycの量)、縦軸をシグナル値として、各値をプロットした(図13)。なお、シグナル値が検出限界を超えたものについてはプロットしていない。その結果、各値は有意に相関しており、本発明の検出法によれば、抗原の種類数に関わらず、特定の抗原について定量的に検出できることが確認された。
本発明によれば、被験試料に含まれる複数種類の標的物質を一度に識別して検出することができる、標的物質の検出方法を提供することができる。本発明の方法は、特に、癌の診断(早期発見による治癒率の向上)や抗癌剤の薬効評価、脳卒中や心筋梗塞の診断(早期診断による後遺症の低減)、及び感染症における病原体の特定等といったヒト臨床検査の分野や、家畜やペットの感染症、その他の疾患の診断、さらには残留農薬や細菌による食品汚染物質の特定、及びダイオキシンやPCB等の環境汚染物質の特定等といった食品や環境の分野において、検査又は診断効率や評価効率等を飛躍的に高めることができ、極めて有用である。
配列番号1:プライマー
配列番号2:プライマー
配列番号3:プライマー
配列番号4:プライマー
配列番号5:プライマー
配列番号6:プライマー
配列番号7:プライマー
配列番号8:プライマー
配列番号9:プライマー
配列番号10:プライマー
配列番号11:プライマー
配列番号12:プライマー
配列番号13:プライマー
配列番号14:プライマー

Claims (10)

  1. 被験試料に含まれる複数種類の標的物質を識別して検出する方法であって、支持体に固定された標的物質及び/又は固定されていない標的物質と、当該標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された結合物質とを接触させて当該標的物質と当該結合物質との複合体を形成させる工程、及び前記複合体を形成した結合物質中の標識を検出する工程を含む、前記方法。
  2. 前記結合物質中の標識部分が、少なくともアダプター部分を介して当該結合物質に固定されたものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アダプター部分が、プロテインG、プロテインA、プロテインL、及びプロテインAとプロテインGとの融合タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記結合物質は、オリゴヌクレオチド鎖との複合体を形成するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記標識処理が、前記オリゴヌクレオチド鎖に、制限酵素による切断部位を設ける処理、PCRで増幅可能な領域を設ける処理、放射性同位体元素を含有させる処理、蛍光色素を結合させる処理、酵素を結合させる処理、光照射による切断部位を設ける処理、活性酸素による切断部位を設ける処理、標識処理デンドリマを結合させる処理、及び塩基の種類において少なくとも1塩基の違いを設ける処理からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記標識を検出する工程が、前記PCRにより増幅された産物を電気泳動により検出する工程である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記結合物質は、オリゴペプチド鎖との複合体を形成するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記標識処理が、前記オリゴペプチド鎖に、タンパク質分解酵素による切断部位を設ける処理、放射性同位体元素を含有させる処理、蛍光色素を結合させる処理、酵素を結合させる処理、光照射による切断部位を設ける処理、活性酸素による切断部位を設ける処理、及び標識処理デンドリマを結合させる処理からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記標的物質が抗原であり、前記結合物質が抗体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 標的物質の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の結合物質を含む、標的物質の識別検出用キット。
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