JP6769360B2 - 蛍光体集積粒子複合体を用いた多段階蛍光染色方法および蛍光体集積粒子複合体 - Google Patents
蛍光体集積粒子複合体を用いた多段階蛍光染色方法および蛍光体集積粒子複合体 Download PDFInfo
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Description
すなわち、本発明は以下のような多段階蛍光染色方法を提供する。
検体に含まれる標的物質と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)〜(3)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体と標的物質とを解離させる処理を含む、解離工程
(3)工程(2)の後、
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光色素集積粒子複合体と、
前記検体に含まれる、標的物質と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程
該1次抗体と検体に含まれる標的物質との結合体と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)、(2)および(3’)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる処理を含む、解離工程
(3’)工程(2)の後、
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
該1次抗体と前記検体に含まれる標的物質との結合体と
を反応させる処理を含む、蛍光染色工程
本発明の多段階蛍光染色方法における第1の態様では、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体および標的物質に特異的に結合する1次抗体を結合させた蛍光体集積粒子複合体と、検体に含まれる標的物質とを反応させる処理を含む最初の蛍光染色工程を行った後、下記(1)〜(3)を含む工程を少なくとも1回行う。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物(標的物質に結合した蛍光体集積粒子複合体)の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる処理を含む、解離工程
(3)工程(2)の後、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、前記検体に含まれる、標的物質とを反応させる、蛍光染色工程
(3’)工程(2)の後、蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体および標的物質に特異的に結合する1次抗体に対する2次抗体を結合させた蛍光体集積粒子複合体と、前記検体に含まれる標的物質に結合させた1次抗体とを反応させる、蛍光染色工程
なお、前記工程のセットには、さらに、洗浄工程など他の工程が含まれていてもよい。
前記蛍光染色工程における蛍光染色としては、特に限定されないが、蛍光免疫染色であることが好ましい。蛍光免疫染色は、検体、好ましくは組織切片等に含まれる標的物質、好ましくはタンパク質と、蛍光体集積粒子複合体をPBS等の希釈液に分散させた染色液とを接触させることにより、蛍光体集積粒子複合体を直接的または間接的に標的物質に結合させて行なうことが好ましい。希釈液の選択と希釈倍率については、標的物質と蛍光体集積粒子複合体とのアフィニティーに応じて最適化することができる。
前記観察工程は、蛍光染色工程を行った後、必要に応じて洗浄液を添加し、未反応の蛍光体集積粒子複合体を除去してから、染色した検体に対し、蛍光顕微鏡を用いて、広視野の顕微鏡画像を取得する工程であることが好ましい。ここで画像に含まれる蛍光の輝点は蛍光染色工程で得られた標的物質と蛍光体集積粒子複合体との反応物を示す。観察の際には、蛍光体集積粒子複合体に含まれる蛍光体の吸収極大波長、蛍光波長に対応した励起光源および蛍光検出用光学フィルターを選択すればよい。観察工程においては、取得した顕微鏡画像から蛍光の輝点の数または発光輝度を計測することが好ましい。観察工程において輝点数および発光輝度を計測する場合には、市販の画像解析ソフト、例えば、ジーオングストローム社製の全輝点自動計測ソフトG−Countを用いて行うことができる。なお、顕微鏡を使用した画像解析自体は周知であり、例えば、国際公開第2015/159776号に開示された手法を用いることができる。顕微鏡画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。顕微鏡画像から計測された輝点数、および/または発光輝度に基づいて、目的とする標的物質の細胞あたりの発現量、組織あたりの発現量、発現している位置等を評価することができる。
解離工程では、蛍光染色工程で得られた蛍光体集積粒子複合体が結合した検体と解離液とを接触させることより、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる工程であることが好ましい。この際に、任意で用いてもよい、核染色剤のように抗原抗体反応以外の様式で結合している蛍光物質は、解離剤の影響を実質的に受けずに結合を維持したままであることが好ましい。
前記標的物質は、検体に含まれる少なくとも1種の生体物質であることが好ましく、タンパク質であることが特に好ましく、さらに主に病理診断においてタンパク質の定量ないし検出のために行われる免疫染色の対象であるタンパク質(抗原)であることが最も好ましい。前記検体として腫瘍組織を用いる場合、前記標的物質は腫瘍組織に発現するタンパク質であることが好ましく、特にがん細胞または免疫細胞に発現するタンパク質であることが好ましい。例えば、PD−L1(Programmed cell death1 ligand 1)、CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球抗原−4)、CD8、CD30、CD48、CD59、ki67などのがんに係る病理診断においてバイオマーカーとして利用することができるタンパク質; EGFR(HER1)(Epidermal Growth Factor Receptor:上皮増殖因子受容体)、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor:ヒト上皮増殖因子受容体)、HER3、HER4、VEGFR(Vasular Endothelial Growth Factor Receptor:血管内皮細胞増殖因子受容体)、IGFR(Insulin−like Growth Factor Receptor:インスリン様増殖因子受容体)、HGFR(Hepatocyte Growth Factor Receptor:肝細胞増殖因子受容体)などの増殖因子の受容体(レセプター);T細胞表面上にある重要な抑制性の免疫チェックポイント分子であって前記PD−L1の受容体であるPD−1(Programmed cell death 1)などの免疫系の受容体であるタンパク質等が挙げられる。
標的物質を標識する蛍光標識体である蛍光体集積粒子複合体は、蛍光体集積粒子の表面に、少なくとも1種の可逆結合性タンパク質を結合させた粒子(可逆結合性タンパク質結合蛍光体集積粒子)に、少なくとも1種の非反応性抗体と、少なくとも1種の標的物質に直接的または間接的に結合する少なくとも1種の抗体(以下、「反応性抗体」と称することもある。)とを反応させることで、蛍光体集積粒子の表面に可逆結合性タンパク質を介してそれぞれの抗体を結合させたものである。
蛍光体集積粒子の表面に結合した抗体(例;抗HER抗体)は、タンパク質であるため、BCA法等を原理としたタンパク質定量キット(例;「バイオ・ラッドプロテインアッセイ」(バイオ・ラッド(Bio−Rad)社製))を用いて、夾雑タンパク質を除く精製処理(ゲル濾過、遠心処理等)を行った後の蛍光体集積粒子複合体の分散液(染色液)中のタンパク質の定量を行うことで、蛍光体集積粒子の表面に結合した抗体および可逆結合性タンパク質の全重量(mg)を定量することができる。従って、あらかじめ定量しておいた蛍光体集積粒子の表面に結合した可逆結合性タンパク質の重量を除けば染色液に含まれる蛍光体集積粒子の表面に結合した抗体の全重量を計測することができる。なお、反応性抗体と非反応性抗体の重量をそれぞれ求めたい場合は、例えば、可逆結合性タンパク質を結合させた蛍光体集積粒子、該粒子にさらに反応性抗体を結合させた粒子、さらに非反応性抗体を結合させた粒子、のそれぞれのタンパク質の量を定量した上で計算することによって求めることができる。
1次抗体は、標的物質、好ましくは抗原にユニークなエピトープを認識して特異的に結合する抗体であり、ポリクローナル抗体であってもよいが、定量の安定性の観点から、モノクローナル抗体が好ましい。2種類以上のモノクローナル抗体を混合して使用する場合、抗体ごとに異なるエピトープについて特異的に結合するモノクローナル抗体の組合せが好ましい。
2次抗体は、標的物質に固定された1次抗体における、標的物質と反応していない部分(例:Fc、F(ab)、またはF(ab'))を特異的に認識し、その1次抗体の一部または全部に結合する抗体であって、標的物質には結合しないものを指す。本明細書において「2次抗体」は、蛍光体集積粒子に結合された状態のものを意味する場合もあるし、または、将来的に結合される抗体を意味する場合もある。
非反応性抗体は、1次抗体、2次抗体、標的物質、および検体中に含まれる他の生体物質のいずれに対しても特異的に結合しない抗体であることが好ましく、蛍光体集積粒子に結合された状態であるか、または、将来的に結合される抗体を意味する。
非反応性抗体を産生する動物(免疫動物)の種類は特に限定されず、従来と同様、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどから選択すればよい。
蛍光体集積粒子は、有機物または無機物でできた母体となる粒子の内部または表面に複数の蛍光体(たとえば蛍光色素)を固定して集積した構造を有するナノサイズの粒子であることが好ましい。本発明で用いる蛍光体集積粒子は、適切な蛍光体および母体を形成する原料を選択した上で、公知の方法により作製することができる。この場合、母体(たとえば樹脂)と蛍光体は、互いに反対の電荷を有する置換基ないし部位を有しており、静電的相互作用が働くことが好適である。
蛍光体集積粒子に内包される蛍光体は特に限定されないが、例えば公知の様々な有機蛍光色素や半導体ナノ粒子(量子ドット等と称されることもある)を用いることが好適であり、適切なカットフィルターを用いることで蛍光をうまく測定できるよう、適切な励起光波長および蛍光波長を有する蛍光体を選択して用いればよい。また、「蛍光」は広義的な意味を持ち、励起のための電磁波の照射を止めても発光が持続する発光寿命の長い燐光と、発光寿命が短い狭義の蛍光とを包含する。
蛍光体としての使用可能な有機蛍光色素の例としては、特に限定されず、たとえば、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、クマリン系色素分子、NBD(登録商標)系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red(登録商標)系色素分子、シアニン系色素分子、ペリレン系色素分子、オキサジン系色素分子等、有機蛍光色素として知られている物質を挙げることができる。
蛍光体として使用可能な半導体ナノ粒子は特に限定されるものではなく、例えば、II−VI族化合物、III−V族化合物、またはIV族元素を成分として含有する半導体ナノ粒子(それぞれ、「II−VI族半導体ナノ粒子」、「III−V族半導体ナノ粒子」、「IV族半導体ナノ粒子」ともいう。)、例えば具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられる。
蛍光体集積粒子の平均粒子径は、40nm以上300nm以下であることが好ましい。母体となる粒子の平均粒子径が40nmを下回ると、蛍光体集積粒子に起因して蛍光観察で観察されるべき輝点が全く観察されないか、または観察されにくい場合がある。逆に、母体となる粒子の平均粒子径が300nmを上回ると、蛍光観察において観察される輝点が多くなりすぎる等、輝点同士が分離されずに正確に輝点をカウントすることが困難となる場合がある。
蛍光体集積粒子の製造方法は特に限定されない。粒子原料であるモノマーに色素分子を結合させて粒子を合成する方法、粒子に蛍光体を吸着させて導入する方法等、粒子への色素の導入に公知のいかなる方法を用いても構わない。
前記可逆結合性タンパク質は、抗体に特異的かつ可逆的に結合するタンパク質であることが好ましく、蛍光体集積粒子の表面に任意の方法で結合させることができるタンパク質であることが好ましい。可逆結合性タンパク質としては、例えばIgGのFc領域に特異的に結合するプロテインA、プロテインG、IgGのκ軽鎖に特異的に結合するプロテインL、またはこれらの誘導体を用いることができる。
解離工程では、標的物質と蛍光体集積粒子複合体とを解離させる処理のための試薬である解離剤(その水溶液である解離液)を用いることが好ましい。解離液として用いる水溶液は、蛍光染色方法を実施する前にあらかじめ調製しておけばよい。
本明細書において「検体」とは、組織から採取される病変部や、採取された細胞を培養した培養細胞などであって、一般的には、免疫染色法によりタンパク質の発現量を評価する場合などで慣用されているような標本スライドの形態をとる。前記検体としては、組織切片であることが好ましい。
標本スライドは、例えば、被験者(ヒト、イヌ、ネコ等)の組織について一般的な病理組織診断において診断対象となる標本スライドを作製する際に用いる方法で作製することができる。具体的には、例えば、採取した被験者の組織等を、ホルマリン等を用いて固定し、アルコールで脱水処理した後、キシレン処理を行い、高温のパラフィン中に浸すことでパラフィン包埋された組織試料を3〜4μmの切片(組織切片)にしたものをスライドガラス上に載置して乾燥することで作製することができる。標本スライドは蛍光染色を行う前に、病理標本を染色する際の常法に従って前処理を行なう。前処理を行なう手法については特に限定されないが、具体的には、以下のような手順に従っておこなうことができる。
<1.脱パラフィン処理工程>
キシレンまたはその他の脱パラフィン剤を入れた容器に標本スライドを浸漬させ、パラフィンを除去する。このときの温度は特に限定されないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。次いで、エタノールを入れた容器に該切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。次いで、水を入れた容器に該切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
本発明の多段階蛍光染色方法における蛍光染色として蛍光免疫染色を行なう場合は、公知の方法にならい、標的物質であるタンパク質(抗原)の賦活化処理を行う。例えば、以下の賦活液を用いて前記標本スライドを50〜130℃で、5分以上30分以下でインキュベートする処理を行う。賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の標本スライドを浸漬させ、例えば、室温条件下で3分以上30分以下インキュベートする洗浄を行う。ここで、浸漬途中でPBSを交換してもよい。
前記の各処理の後など必要であれば前処理の各ステップで、標本スライドを固定するため、例えば以下のような手順の処理を行う。まず、標本スライドをホルマリン溶液に一定時間浸漬する。次いで、洗浄緩衝液に浸漬して洗浄し、この操作を2回繰り返す。その後、標本スライドを風乾等により乾燥させる。
蛍光色素として赤色蛍光色素であるTexas Red(Sulforhodamine 101)14.4mgを水22mLに加えて溶解させた。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.65g加えた。
以上の処理により赤色蛍光色素であるTexas Red集積メラミン粒子(励起波長590nm、発光波長620nm)を作製した。
製造例2と同様の方法で、Texas Redに代えて緑色蛍光色素であるPyrromethene 556を使用することで、Pyrromethene 556色素集積メラミン粒子(励起波長490nm、発光波長520nm)(励起波長590nm、発光波長620nm)を作製した。
製造例1、2で作成した蛍光体集積粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシランLS−3150(信越化学工業社製)2μLを加えて8時間、撹拌しながら室温で反応させて表面アミノ化処理を行った。次いで、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)を用いて上記表面アミノ化処理を行なった粒子を3nMに調整し、この溶液に最終濃度10mMとなるようにNHS−PEG−マレイミド試薬(SM(PEG)12(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、succinimidyl-[(N-maleimidopropionamido)-dodecaethyleneglycol]ester))を用いてマレイミド基を導入することで、マレイミド基が結合したマレイミド基修飾蛍光体集積粒子分散液を得た。
1μMに調製したプロテインA修飾蛍光体集積粒子溶液6μlを、1次抗体溶液(BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて、抗HER2ウサギモノクローナル抗体「4B5」(ベンタナ社製)を0.05nMの濃度に希釈)1.5μlおよび非反応性抗体溶液(抗マウスIgG抗体(clone: LO−MG1−13)を、BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて6μg/mLに希釈)1.5μlと混合し、室温で1時間反応させ、Texas Red集積メラミン粒子複合体およびPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体をそれぞれ得た。
1μMに調製したプロテインA修飾蛍光体集積粒子溶液6μlを、2次抗体溶液(抗ウサギIgG抗体(clone: LO−RG−1)を、BSAを1%(w/w)含有するPBSを用いて6μg/mLに希釈)1.5μlと混合し、室温で1時間反応させることで、Texas Red集積2次抗体付メラミン粒子およびPyrromethene 556集積2次抗体修飾メラミン粒子複合体をそれぞれ得た。
《多段階蛍光免疫染色》
前記で調製した蛍光体集積粒子複合体を用いて、多段階免疫染色を以下のように行った。
乳がん組織アレイスライド(コスモバイオ社製「CB−A712のシリーズ」)を、常法に従って脱パラフィン化して水に置換する洗浄を行った。
洗浄した組織アレイスライドを10mMクエン酸緩衝液中(pH6.0)中で121℃、15分間オートクレーブ処理することで、抗原の賦活化処理を行った。賦活化処理後の組織アレイスライドをPBSにより洗浄し、洗浄した組織アレイスライドに対してBSAを1%含有するPBSを用いて1時間ブロッキング処理を行った。
(3−1)1次反応
BSAを1%含有するPBSを用いて、ベンタナ社製「抗HER2ウサギモノクロナール抗体(4B5)」を0.05nMに調製し、該抗体(1次抗体)の溶液を前述のブロッキング処理した組織アレイスライドに対して4℃で1晩反応させた。
1次反応を行った組織アレイスライドをPBSで洗浄した後、製造例3で調製したTexasRed集積メラミン粒子複合体を1%BSA含有PBSで0.1nMに希釈した染色液に浸漬し、室温で30分反応させた。
2次反応後のTexasRed集積メラミン粒子複合体付組織アレイスライドに対して所定の励起光を照射して、蛍光を発光させた。その状態の組織アレイスライドを蛍光顕微鏡(オリンパス社製「BX−53」)、顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製「DP73」)により観察および撮像を行った。前記蛍光の波長(nm)の範囲については、光学フィルターを通すことで612〜644nmに設定した。顕微鏡観察、画像取得時の励起波長の条件は、580nmの励起では視野中心部付近の照射エネルギーが900W/cm2となるようにした。画像取得時の露光時間は、画像の輝度が飽和しないように任意に設定(例えば4000μ秒に設定)して撮像した。
次に、第1観察工程後のTexasRed集積メラミン粒子複合体付組織アレイスライドを解離バッファー(pH2.8、IgG elution buffer(Thermo社製)およびSDSを含有)で5分間洗浄し、同様の洗浄をさらに2回行うことで蛍光体集積粒子複合体を組織アレイスライドから解離させた。
(6−1)1次反応
(3−1)と同様に、BSAを1%含有するPBSを用いて、抗ヒトki67ウサギ抗体(clone SP6;Abcam社製)を0.05nMに調製し、該抗体(1次抗体)の溶液を前述の解離工程後の組織アレイスライドに対して4℃で1晩反応させた。
(3−2)と同様に、製造例3で調製したPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体を1%BSA含有PBSで0.1nMに希釈した染色液に浸漬し、室温で30分間反応させた。
励起波長を500〜550nmに設定する以外は(4)と同様にして観察を行った。
第1および第2染色工程において、製造例3で調製したTexas Red集積メラミン粒子複合体の代わりに、製造例5で調製したTexas Red集積2次抗体修飾メラミン粒子複合体を用い、製造例3で調製したPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体の代わりに、製造例5で調製したPyrromethene 556集積2次抗体付メラミン粒子を用いた以外は実施例1と同様の方法で蛍光免疫染色を行った。
比較例においては、解離処理を行った後にも組織アレイスライド上に残存しているTexas Red集積2次抗体修飾メラミン粒子複合体が確認された。表1に示されているように比較例において2回目の染色結果である緑輝点数が多いのは、残存している赤色の蛍光が漏れこみ、緑色蛍光の輝点と誤って計測されてしまうからだと考えられる。
さらに、製造例3で得られた2種類の粒子に代えて、製造例4で得られたTexas Red集積メラミン粒子複合体およびPyrromethene 556集積メラミン粒子複合体を用い、第1染色工程・第2染色工程ともに1次反応を行なわない以外は同様の手法を用いて染色・観察を実施した。その結果、同様に、解離処理を行った後において組織アレイスライド上にTexas Red集積メラミン粒子複合体が残存していないことが確認された。
第1染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトPDL1ウサギ抗体(SP142、spring bioscience社製)を用い、第2染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトCD8ウサギ抗体(SP16、spring bioscience社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で蛍光免疫染色を行った。
第1染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトPDL1マウス抗体(9E5、Isotype IgG1, GeneTex社製)を、第2染色工程の1次反応において、1次抗体として抗ヒトCD8マウス抗体(C8/144B、Isotype IgG1, LifeSpan Bio社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で蛍光免疫染色を行った。
蛍光体集積粒子複合体の調製において、プロテインAに対する結合能がそれぞれ等しい非反応性抗体と2次抗体とを用いた実施例3は、プロテインAに対する非反応性抗体の結合能が2次抗体に比較して弱いものを用いた実施例2、4に比べ、第2染色・観察工程における輝点(緑輝点)数が少ない。これは実施例3では第1染色工程後の解離工程において、非反応性抗体および2次抗体が同時に切断されることで、サンプル上に多くの抗体が洗浄しきれずに遊離した状態で残留し、次の染色工程における反応を妨げているからではないかと推測される。一方、非反応性抗体が2次抗体に比較して強く結合している実施例2および4では、蛍光体集積粒子複合体に結合している抗体の大多数を占める非反応性抗体が、遊離せずに蛍光体集積粒子複合体ごと洗浄されることで、サンプルから十分に除去されたからではないかと考えられる。
20・・・可逆結合性タンパク質
30・・・1次抗体
40・・・2次抗体
50・・・非反応性抗体
60・・・リンカー
Claims (10)
- 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異
的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
検体に含まれる標的物質と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)〜(3)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体と標的物質とを解離させる処理を含む、解離工程
(3)工程(2)の後、
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体とを結合させた蛍光色素集積粒子複合体と、
前記検体に含まれる、標的物質と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程 - 蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体と、
該1次抗体と検体に含まれる標的物質との結合体と
を反応させる処理を含む蛍光染色工程を行った後、下記(1)、(2)および(3’)を含む工程を少なくとも1回行う、多段階蛍光染色方法。
(1)蛍光染色工程で得られた反応物の蛍光画像を撮像し、輝点を計測する観察工程
(2)工程(1)を行った後、蛍光染色工程で得られた反応物における、蛍光体集積粒子複合体を標的物質から解離させる処理を含む、解離工程
(3’)工程(2)の後、
蛍光体集積粒子に、可逆結合性タンパク質を介して、非反応性抗体と、標的物質に特異的に結合する1次抗体に特異的に結合する2次抗体とを結合させた蛍光体集積粒子複合体
と、
該1次抗体と前記検体に含まれる標的物質との結合体と
を反応させる処理を含む、蛍光染色工程 - 前記蛍光体集積粒子複合体における、前記非反応性抗体と前記1次抗体とのモル比(非反応性抗体/1次抗体)が90/10〜50/50である、請求項1に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記蛍光体集積粒子複合体における、前記非反応性抗体と前記2次抗体とのモル比(非反応性抗体/2次抗体)が90/10〜50/50である、請求項2に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記蛍光体集積粒子複合体において、前記可逆結合性タンパク質に対する前記非反応性抗体の結合定数が、前記可逆結合性タンパク質に対する前記1次抗体の結合定数の、1〜5倍である、請求項1または3に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記蛍光体集積粒子複合体において、前記可逆結合性タンパク質に対する前記非反応性抗体の結合定数が、前記可逆結合性タンパク質に対する前記2次抗体の結合定数の、1〜5倍である、請求項2または4に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記可逆結合性タンパク質がプロテインAである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記標的物質が腫瘍組織に発現するタンパク質である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記標的物質が、HER2、PD-L1、CTLA4、CD8、CD30、CD48、CD59およびki67からなる群から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
- 前記検体が組織切片である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多段階蛍光染色方法。
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