JP5211041B2 - プロテインgとアビジン類との融合タンパク質 - Google Patents

プロテインgとアビジン類との融合タンパク質 Download PDF

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Description

本発明は、プロテインGとアビジン類との融合タンパク質に関する。詳しくは、プロテインGが有するIgG抗体のFc領域に対する結合活性と、ビオチンに対する結合活性とを合わせ持つ組換えタンパク質に関する。
抗体は、軟骨魚類よりも高等な生物が持つ生体防御因子の一つであり、イムノグロブリン(Ig)と呼ばれる場合もある。抗体は、体内に侵入した異分子と結合して不活化するほか、凝集作用によってマクロファージなどによる貪食を促す、補体を活性化して標的タンパクを分解するなどの様々な機能を有している。
抗体の大きな特徴の一つに「特定の抗原とのみ結合する」という基質特異性がある。生体内に進入する分子を攻撃して体を守る機能を担う抗体の基質特異性は非常に高く、また基質(=抗原物質)との結合力も強い。
実験動物への免疫によって所望の物質と結合する抗体を作り出し、精製することが比較的容易に可能となったため、抗体を物質の捜索や検出に用いる方法、例えば免疫染色法、ウェスタンブロッティング法、ELISA法などが次々と考案され、研究に用いられた。また、その後開発されたモノクローナル抗体の作製法により、さらに高度な検出法が考案され、研究のみならず臨床検査や病気の治療にも用いられるようになった。
通常、抗体を用いた標的抗原の検出法は、抗体に特定の物質を標識して行われる。標識物質としては、蛍光物質や放射性物質のように抗体の存在を直接又は間接的に確認することを可能にする物質や、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素のように、抗原抗体反応後に添加した基質の分解に伴う発色又は発光を検出することで、標的抗原に結合した抗体の存在を確認することを可能にする物質が選択される。また、標識物質としてオリゴ核酸鎖(DNAなど)を用い、より一層高感度に検出する方法も開発されている(特許文献1)。
ここで、抗体への標識化方法としては様々なものが知られている。例えば、抗体に含まれるアゾ基(-N2)を用いたジアゾカップリング法や、抗体に含まれるチオール基(-SH)と、標識物質が有するマレイミド基とをカップリング法で結合させる方法などが広く用いられている。これらの方法は、いずれも安価で操作も簡便であるなどの長所がある。しかしながら、標識化に際し加水分解反応を伴うため、抗体分子が損傷したり、標識物質が抗体の反応基(抗原結合領域)中のアゾ基やチオール基と結合してしまい抗原抗体反応が阻害又は抑制されたりする場合がある。また、抗体の構造や、標識物質との結合時の条件(温度、pH、空気圧など)によって、標識化の効率が低下する場合もある。
ところで、タンパク質や化学物質同士を結合させる方法は、これまでに多数開発されている。抗体に標識物質を結合する上でよく用いられる方法として、ビオチンとアビジンとの結合を用いた方法がある。ビオチンとアビジンとの結合は、抗原抗体反応に比べて100万倍以上の結合力を持ち、またその結合は実質的に不可逆的なものであるため、物質同士を結びつけるアンカーとして非常に有用である。
また、一部の細菌及びウイルスにおいては、抗体のFc領域(末端部)などに高い特異性を持って結合するタンパク質が合成されることが知られている。このようなタンパク質としては、例えばプロテインAやプロテインGがよく知られており、これらは抗体をプラスチック基質や他の物質に結合させる際に用いられている。特にプロテインGは、ヒト、マウス及びラット等の各種動物由来のIgG抗体に対して親和性が高く、結合可能な条件も非常に広いという特性を有する。そのため、抗体を用いた抗原検出法をデザインする場合において、抗体の標識化や、支持体への抗体の固定化のために用いられることが多い。
現在、ビオチンとアビジンとの結合、及びプロテインGと抗体との結合は、いずれも汎用されており、抗体抗原反応の検出に利用されている。しかしながら、抗体にアビジンやビオチンを結合しておくためには、結局のところ、前述したカップリング法等の化学結合法を用いる必要がある(生じる問題についても前述と同様)。またアビジンは、通常、多量体として存在するため、互いの分子同士で非特異結合を生じるという問題がある。一方、プロテインGは、分子構造内にアルブミンとの結合サイトも有しているため、例えば血液中の各種成分と結合してバックグラウンドの原因となることが知られている。
米国特許第5,665,539号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、標的抗原の検出法に用いる標識化抗体(抗体に標識物質を固定した抗体)を作製するにあたり、カップリング法等の化学結合法を用いる必要がなく、かつ非特異結合を十分に抑制することが可能な、アンカー物質を提供することにある。
さらに、本発明は、上記アンカー物質を用いて作製した標識化抗体、当該抗体を使用した標的抗原の検出方法、及び、当該抗体を含む標的抗原検出用キット等を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、前記アンカー物質として、プロテインGとアビジン類との融合タンパク質を作製し、この融合タンパク質を抗体の標識化に用いれば、上記課題を容易に解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) プロテインG又はその一部からなるタンパク質と、アビジン類又はその一部からなるタンパク質とを含んでなる融合タンパク質。
本発明の融合タンパク質は、前記アビジン類が、例えば、アビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンであるものが挙げられる。
本発明の融合タンパク質は、プロテインGの一部からなるタンパク質が、例えば、IgG抗体のFc領域との結合活性を有するタンパク質であるものが挙げられ、具体的には、以下の(a)又は(b)のタンパク質であるものが挙げられる。
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性を有するタンパク質
本発明の融合タンパク質は、アビジン類の一部からなるタンパク質が、例えば、ビオチンとの結合活性を有するタンパク質であるものが挙げられ、具体的には、以下の(a)又は(b)のタンパク質であるものが挙げられる。
(a)配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号8に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつビオチンとの結合活性を有するタンパク質
(2) 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号10に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号10に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質
(3) 前記(1)又は(2)記載のタンパク質をコードする遺伝子。
(4) 以下の(a)又は(b)のDNAと、以下の(c)又は(d)のDNAとを含む遺伝子。
(a)配列番号5に示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号5に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA
(d)配列番号7に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつビオチンとの結合活性を有するタンパク質をコードするDNA
(5) 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
(a)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号9に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質をコードするDNA
(6) 前記(3)〜(5)のいずれかに記載の遺伝子を含む組換えベクター。
(7) 前記(6)記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(8) 前記(7)記載の形質転換体を培養する工程と、得られる培養物からIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質を採取する工程とを含む、当該タンパク質の製造方法。
(9) IgG抗体、前記(1)又は(2)記載の融合タンパク質、及びビオチン化標識物質を含んでなる、標識化抗体。
本発明の標識化抗体において、ビオチン化される標識物質としては、例えばオリゴ核酸鎖が挙げられる。
(10) IgG抗体と前記(1)又は(2)記載の融合タンパク質とを含んでなる、抗体−融合タンパク質結合体。
(11) 前記(1)又は(2)記載の融合タンパク質とビオチン化標識物質とを含んでなる、融合タンパク質−標識物質結合体。
本発明の融合タンパク質−標識物質結合体において、ビオチン化される標識物質としては、例えばオリゴ核酸鎖が挙げられる。
(12) 前記(1)又は(2)記載の融合タンパク質、前記(10)記載の結合体、及び前記(11)記載の結合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、抗体標識用キット。
本発明の抗体標識用キットとしては、例えば、さらにIgG抗体及び/又はビオチン化標識物質を含むものが挙げられる。ここで、ビオチン化される標識物質としては、例えばオリゴ核酸鎖が挙げられる。
(13) 被験試料に含まれる標的抗原を検出する方法であって、標的抗原と前記(9)記載の標識化抗体とを接触させて抗原−抗体複合体を形成させる工程、及び当該複合体中の標識を検出する工程を含む、前記方法。
本発明の標的抗原検出方法としては、例えば、標的抗原が複数種類であり、かつ、標識化抗体として当該標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体を用いる方法が挙げられる。ここで、標的抗原としては、例えばC型肝炎ウイルス抗原が挙げられる。
(14) 前記(9)記載の標識化抗体を含む、標的抗原検出用キット。
本発明の標的抗原検出用キットは、前記標識化抗体が、例えば、標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体であるものが挙げられる。ここで、標的抗原としては、例えばC型肝炎ウイルス抗原が挙げられる。
(15) 前記(10)記載の結合体及びビオチン化標識物質、又は、前記(11)記載の結合体及びIgG抗体を含む、標的抗原検出用キット。
本発明の標的抗原検出用キットにおいて、標的抗原としては、例えばC型肝炎ウイルス抗原が挙げられる。また、当該キットにおいて、ビオチン化される標識物質としては、例えばオリゴ核酸鎖が挙げられる。
(16) 表面がビオチン化された支持体、前記(1)又は(2)記載の融合タンパク質、及びIgG抗体を含んでなる、抗体固定化支持体。
(17) 被験試料中の標的抗原を回収する方法であって、被験試料と前記(16)記載の支持体とを接触させる工程、及び当該接触後の前記支持体を回収する工程を含む、前記方法。
(18) 前記(16)記載の支持体を含む、抗原回収用キット。
(19) 前記(1)又は(2)記載の融合タンパク質と、表面がビオチン化された支持体とを含んでなる、融合タンパク質固定化支持体。
(20) 被験試料中のIgG抗体を回収する方法であって、被験試料と前記(19)記載の支持体とを接触させる工程、及び当該接触後の前記支持体を回収する工程を含む、前記方法。
(21) 前記(19)記載の支持体を含む、抗体回収用キット。
〈 関連文献とのクロスリファレンス 〉
なお、本出願は、2007年4月23日出願の日本国出願番号特願2007−112779の優先権の利益を主張し、これを引用することにより本明細書に含める。
(a)本発明の融合タンパク質の合成スキーム及び構成を示す概略図、(b)本発明の融合タンパク質を用いた標識化抗体の作製スキームの該略図である。符号1は、プロテインG中、IgG抗体Fc領域に対する結合部位を含む部分を示し、符号2は、ストレプトアビジン中、ビオチンに対する結合部位を含む部分を示す。 本発明の融合タンパク質の合成スキームを示す概略図である。 本発明の融合タンパク質の構成成分として用いるプロテインGの一部のアミノ酸配列及び塩基配列の情報を示す図である。図中の2つの矢印で挟まれた領域が、上記プロテインGの一部に相当する。 本発明の融合タンパク質の構成成分として用いるストレプトアビジンの一部のアミノ酸配列及び塩基配列の情報を示す図である。2つの矢印で挟まれた領域が、上記ストレプトアビジンの一部に相当する。 実施例におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。 実施例におけるhEGF抗原の検出結果を示すグラフである。 実施例におけるhEGF抗原の検出結果を示すグラフである。 実施例におけるhEGF抗原の検出結果を示すグラフである。 実施例におけるHCV抗原の検出結果を示すグラフである。 実施例におけるHCV抗原の検出結果を示すグラフである。 比較例におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。 比較例におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。 比較例におけるIL-15抗原の検出結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.本発明の概要
本発明者は、図1(a)の概略図に示すように、プロテインGの一部からなるタンパク質と、ストレプトアビジンの一部からなるタンパク質とを連結した融合タンパク質を作製した。図1(a)は、本発明の融合タンパク質の一態様の構成を示す概略図であり、該融合タンパク質が、プロテインGの一部1(すなわちIgG抗体のFc領域に対する結合部位を含む部分)と、ストレプトアビジンの一部2(すなわちビオチンに対する結合部位を含む部分)とを構成成分として含むものであることを示している。
また図2では、本発明の融合タンパク質の合成スキームを概略的に示している。具体的には、まず、Bo AkerstromらによるプロテインGのIgG抗体Fc領域に対する結合部位の研究結果(J. Biol. Chem., vol.262, p.13388-13391, 1987)、及び、Weberによるストレプトアビジンの結晶構造解析を用いたビオチンとの結合領域の解析結果(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.86, p.2190-2194, 1989)に基づいて、公知のデータベースから、プロテインG及びストレプトアビジンの各タンパク質をコードする塩基配列情報を取得する。次いで、取得した塩基配列情報から、各タンパク質の基質(IgG抗体Fc領域、ビオチン)結合部位を含む部分をコードする塩基配列領域を選択し、公知の遺伝子クローニング法により当該塩基配列を有するcDNA断片の調製及び単離を行った。その後、当該cDNA断片を鋳型としたPCR等によりクローニングを行って単離した各cDNA断片を、必要により互いに接合(ライゲーション)させた後、融合タンパク質が得られるように発現ベクターのマルチクローニングサイトに挿入した。このようにして得られた組換え発現ベクターを大腸菌に導入して形質転換体を作製し、形質転換体を培養してタンパク質発現を行い、産生された融合タンパク質を回収し精製した。
本発明の融合タンパク質を用いれば、抗体(IgG抗体)と、ビオチン化した標識物質(オリゴDNA、HRP酵素等)とを、容易に効率よく結合させることが可能となる。すなわち、従来のカップリング法などを利用することなく、例えば、適当な溶液に抗体とビオチン化した標識物質とを混合添加し、その後、本発明の融合タンパク質を添加するだけで、極めて効率よく所望の標識化抗体を作製することができる。
従って、従来公知の標識物質、例えばHRP酵素及びALP酵素などの化学性物質や放射性物質並びにオリゴ核酸鎖などを、IgG抗体に結合させて標識化する場合に、従来より格段に容易かつ効率よく標識化を行うことができる。
また、上述した融合タンパク質は、プロテインGを用いた場合に問題となるアルブミン等との非特異結合を生じる部位、及び、アビジン類タンパク質(ストレプトアビジン等)を用いた場合に問題となる当該タンパク質同士の非特異結合を生じる部位を含まない形で作製することができる。そのため、野生種のプロテインG及びアビジン類タンパク質を用いて標識化抗体を作製した場合に比べて、標的抗原検出時の非特異結合を格段に抑制し、バックグラウンドを大きく低下させることができる。その結果、検出感度が飛躍的に向上する。
一方、本発明の融合タンパク質を用いれば、表面にビオチンを固相化したプレートやビーズに所望のIgG抗体を容易に結合させ固定化することができ、さらには、血液等の被験サンプル中のIgG抗体を効率よく捕捉し回収することができるため、極めて有用である。
以上の通り、本発明の融合タンパク質は、標的抗原や抗体の検出及び回収など、各種用途において極めて有用な態様で用いることができ、実用性の高いものである。
2.融合タンパク質
(1) 融合タンパク質
本発明の融合タンパク質は、プロテインG又はその一部からなるタンパク質と、アビジン類又はその一部からなるタンパク質とを含んでなる融合タンパク質である。
ここで、「融合タンパク質」とは、一方のタンパク質のアミノ酸配列と、他方のタンパク質のアミノ酸配列とが、互いに直接連結してなるか又はスペーサーとなる任意のアミノ酸配列を介して間接的に連結してなる1つの(一連の)アミノ酸配列からなるタンパク質を意味し、通常、両方のタンパク質の性質(例えば結合活性など)を合わせ持つものである。また、本発明でいう「融合タンパク質」は、上記の直接又は間接的に連結したアミノ酸配列のみからなるタンパク質であってもよいし、あるいは、当該アミノ酸配列を一部に含むアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよく、限定はされない。後者のタンパク質としては、例えば、前者のタンパク質を構成するアミノ酸配列の両端又はいずれか一端に、他の任意のアミノ酸配列が連結したアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。他の任意のアミノ酸配列の長さは、特に限定はされないが、例えば、1〜300残基であることが好ましく、より好ましくは1〜200アミノ酸残基であり、さらに好ましくは1〜100アミノ酸残基である。以下、本明細書において、「融合タンパク質」とは、上述した前者のタンパク質及び後者のタンパク質のいずれをも含む意味である。
また、「その一部からなるタンパク質」とは、所定のタンパク質(プロテインG及びアビジン類)を構成するアミノ酸配列中の一部の領域内のアミノ酸配列からなるタンパク質のことを意味する。
なお、本発明の融合タンパク質が、前記スペーサーとなるアミノ酸配列を介してなるものである場合、スペーサーとなるアミノ酸配列の長さは、特に限定はされないが、例えば、1〜100残基であることが好ましく、より好ましくは2〜50アミノ酸残基であり、さらに好ましくは2〜20アミノ酸残基であり、特に好ましくは2〜10アミノ酸残基であり、最も好ましくは2〜5アミノ酸残基である。スペーサー長が上記範囲のときは、融合タンパク質の構成要素となる各タンパク質の立体構造が互いに障害とならず、いずれのタンパク質の性質も十分に発揮され得る。また、スペーサーに用いるアミノ酸残基としては、例えば、セリン、ヒスチジンなどが好ましく、中でもヒスチジンがより好ましい。これらのアミノ酸残基をスペーサーに用いた場合は、融合タンパク質の構成要素となる各タンパク質の立体構造に与える影響が低減され、いずれのタンパク質の性質も十分に発揮され得る。
本発明の融合タンパク質は、プロテインGとアビジン類とを含む融合タンパク質、特にプロテインGとアビジン類との融合タンパク質であってもよいし、プロテインGとアビジン類の一部からなるタンパク質とを含む融合タンパク質、特にプロテインGとアビジン類の一部からなるタンパク質との融合タンパク質であってもよいし、プロテインGの一部からなるタンパク質とアビジン類とを含む融合タンパク質、特にプロテインGの一部からなるタンパク質とアビジン類との融合タンパク質であってもよいし、プロテインGの一部からなるタンパク質とアビジン類の一部からなるタンパク質とを含む融合タンパク質、特にプロテインGの一部からなるタンパク質とアビジン類の一部からなるタンパク質との融合タンパク質であってもよく、特に限定はされないが、例えば、プロテインGの一部からなるタンパク質とアビジン類の一部からなるタンパク質との融合タンパク質が好ましい。ここで、本発明でいう「アビジン類」とは、一般にビオチンタンパク質との特異的結合能を有するアビジンタンパク質全般を意味し、例えば、アビジン、ストレプトアビジン及びニュートラアビジンが好ましく挙げられ、中でも、ストレプトアビジン及びニュートラアビジンが特に好ましい。
本発明の融合タンパク質としては、例えば、プロテインGの一部からなるタンパク質と、アビジン類又はその一部からなるタンパク質とを含む融合タンパク質、特にプロテインGの一部からなるタンパク質と、アビジン類又はその一部からなるタンパク質からなる融合タンパク質であって、当該プロテインGの一部からなるタンパク質が、IgG抗体のFc領域との結合活性を有するタンパク質であることを特徴とするものが好ましく挙げられる。プロテインG中の当該結合活性を有する部分を抽出したタンパク質は、プロテインGが本質的に有する各種成分(アルブミン等)との非特異的結合を、格段に低減することができるため、IgG抗体との結合能に特化した融合タンパク質とすることができる。そのため、当該融合タンパク質を用いて作製した標識化抗体を標的抗原の検出方法において用いた場合(後述)、検出時のバックグラウンドを大きく低減することができ、検出感度を飛躍的に向上させることができる。
ここで、プロテインGの一部からなるタンパク質としては、具体的には、以下の(a)又は(b)のタンパク質が好ましく挙げられる。
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質、特に配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含むか、特に配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性を有するタンパク質
なお、野生型プロテインGのアミノ酸配列(配列番号2)及び当該アミノ配列をコードする塩基配列(配列番号1)の情報は、公的データベースに登録されており、例えば、Swiss-Prot(http://tw.expasy.org/uniprot/ からアクセス可能)には「entry name:SPG1-STRSG、accession number:P06654」として登録されており、GenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ からアクセス可能)には「accession number:M13825」として公表されている。上記(a)及び(b)で言う「配列番号6に示されるアミノ酸配列」は、野生型プロテインGのアミノ酸配列(配列番号2)中の、第228番目〜第268番目のアミノ酸配列領域からなるアミノ酸配列(計41アミノ酸残基)に相当する。また、野生型プロテインGのアミノ酸配列において、配列番号6に示されるアミノ酸配列が、IgG抗体のFc領域との結合領域を含む部分に相当するアミノ酸配列であることは、“Stephern R. et al., J. Bacteriology, vol. 167, p. 870-880 (1986)”を参照することにより理解することができる。
ここで、上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」は、例えば、1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列であることが好ましい。
なお、上記「欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質」は、IgG抗体のFc領域との結合活性を安定して発揮し得るタンパク質であることが重要である。そのため、IgG抗体のFc領域との結合性(基質結合性)に重要と考えられるアミノ酸残基などは、野生型プロテインGのアミノ酸配列から変異(欠失、置換又は付加)されていないことが好ましい。
本発明において、IgG抗体のFc領域との結合活性の有無及び程度は、例えば精製した融合タンパク質をイムノプレート等に固相化した後、ヤギ等の精製IgG抗体を添加してインキュベートした後、HRP標識した抗ヤギIgG抗体等を感作し、固相化したタンパクと結合した抗体量を、公知の各種検出方法を用いて検出することにより測定することができる(以下同様)。
また、本発明の融合タンパク質としては、例えば、アビジン類の一部からなるタンパク質と、プロテインG又はその一部からなるタンパク質とを含む融合タンパク質、特にアビジン類の一部からなるタンパク質と、プロテインG又はその一部からなるタンパク質との融合タンパク質であって、当該アビジン類の一部からなるタンパク質が、ビオチンとの結合活性を有するタンパク質であることを特徴とするものが好ましく挙げられる。アビジン類中の当該結合活性を有する部分を抽出したタンパク質は、アビジン類が本質的に有する自己凝集活性(アビジン類分子同士が互いに結合する活性)に起因する非特異的結合を、格段に低減することができるため、ビオチンとの結合能に特化した融合タンパク質とすることができる。そのため、当該融合タンパク質を用いて作製した標識化抗体を標的抗原の検出方法において用いた場合(後述)、検出時のバックグラウンドを大きく低減することができ、検出感度を飛躍的に向上させることができる。
ここで、アビジン類の一部からなるタンパク質としては、具体的には、以下の(a)又は(b)のタンパク質が好ましく挙げられる。
(a)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質、特に配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号8に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含むか、特に配列番号8に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつビオチンとの結合活性を有するタンパク質
なお、野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列(配列番号4)及び当該アミノ配列をコードする塩基配列(配列番号3)の情報は、公的データベースに登録されており、例えば、Swiss-Prot(http://tw.expasy.org/uniprot/ からアクセス可能)には「entry name:SAV STRAV、accession number:P22629」として登録されており、GenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ からアクセス可能)には「accession number:X03591」として公表されている。上記(a)及び(b)で言う「配列番号8に示されるアミノ酸配列」は、野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列(配列番号4)中の、第39番目〜第183番目のアミノ酸配列領域からなるアミノ酸配列(計145アミノ酸残基)に相当する。また、野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列において、配列番号8に示されるアミノ酸配列が、ビオチンとの結合領域を含む部分に相当するアミノ酸配列であることは、“Carlos E. et al., Nucleic Acids Res., vol. 14, p. 1871-1882 (1986)”を参照することにより理解することができる。
なお、アビジン類は通常ホモ4量体を形成しており、1つのサブユニットにつき1つのビオチン結合ドメインを有するため、タンパク全体で4つのビオチン結合ドメインを有していることになるが、本発明で用いるビオチン結合ドメインは、1つのサブユニットがあるのが好ましく、そのためには、4量体を形成せずビオチン結合ドメインを1つだけ有するようなアビジン類の一部を使用するのが好ましい。これまで単量体となるアビジン類変異体は活発に研究されてきたが、成功していないことが多かった(Qureshi, M. H., and Wong, S. L. (2002). Protein Expr Purif 25, 409-415.; Laitinen, O. H. et al., (2003). J Biol Chem 278, 4010-4014.)。しかし、本発明においては、実施例に示すように、ストレプトアビジンの39〜183番目のアミノ酸配列を有するペプチドを使用することにより、ビオチンとの結合活性を失わない変異体を作製することができた。
ここで、上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」としては、例えば、1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列であることが好ましい。
なお、上記「欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質」は、ビオチンとの結合活性を安定して発揮し得るタンパク質であることが重要である。そのため、ビオチンとの結合性(基質結合性)に重要と考えられるアミノ酸残基などは、野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列から変異(欠失、置換又は付加)されていないことが好ましい。
本発明において、ビオチンとの結合活性の有無及び程度は、例えば、融合タンパク質をイムノプレート等に固相化した後、ビオチン標識したHRPを一定濃度の水溶液として添加して洗浄し、次いで発色基質を添加することで、融合タンパク質に結合したビオチンの量を、公知の各種検出方法を用いて検出することにより測定することができる(以下同様)。
本発明の融合タンパク質としては、より具体的には、以下の(a)又は(b)のタンパク質が好ましく挙げられる。
(a)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質、特に配列番号10に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号10に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含むか、特に配列番号10に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質
上記「配列番号10に示されるアミノ酸配列」は、前述した配列番号6に示されるアミノ酸配列と、配列番号8に示されるアミノ酸配列とをそれぞれ構成成分として一部に含む一連のアミノ酸配列である。なお、配列番号10に示されるアミノ酸配列中、第29番目〜第69番目のアミノ酸配列領域がプロテインGの一部からなるタンパク質を構成するアミノ酸配列(配列番号6)であり、第76番目〜第220番目のアミノ酸配列領域がアビジン類(具体的にはストレプトアビジン)の一部からなるタンパク質を構成するアミノ酸配列(配列番号8)であり、さらに第70番目〜第75番目のアミノ酸配列領域がスペーサー部分(オリゴペプチド)を構成するアミノ酸配列であって、配列番号6に示されるアミノ酸配列のC末端と、配列番号8に示されるアミノ酸配列のN末端とを連結しているアミノ酸配列である。また、配列番号10に示されるアミノ酸配列中、第1番目〜第28番目、及び第221番目〜第301番目のアミノ酸配列領域が、前述した他のアミノ酸配列に当たる部分である。
ここで、上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」としては、例えば、1個〜10個程度、好ましくは1個〜5個程度のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列であることが好ましい。
なお、上記「欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質」は、IgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性をいずれも安定して発揮し得るタンパク質であることが重要である。そのため、IgG抗体のFc領域との結合性(基質結合性)に重要と考えられるアミノ酸残基、及び、ビオチンとの結合性(基質結合性)に重要と考えられるアミノ酸残基などは、野生型プロテインG又は野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列から変異(欠失、置換又は付加)されていないことが好ましい。
(2) 組換え遺伝子
本発明の遺伝子は、上述した本発明の種々の融合タンパク質をコードする遺伝子を全て含むものである。中でも、配列番号6に示されるアミノ酸配列(プロテインGの一部からなるタンパク質)と、配列番号8に示されるアミノ酸配列(ストレプドアビジンの一部からなるタンパク質)との融合タンパク質をコードする遺伝子が好ましい。このような遺伝子としては、例えば、以下の(a)又は(b)のDNAと、以下の(c)又は(d)のDNAとを含む遺伝子が好ましく挙げられる。なお、当該遺伝子は、上記DNAの他に遺伝子発現に必要な公知の塩基配列(転写プロモーター、SD配列、Kozak配列、ターミネーター等)をも含むものであってもよく、限定はされない。
(a)配列番号5に示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号5に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA
(d)配列番号7に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつビオチンとの結合活性を有するタンパク質をコードするDNA
ここで、プロテインG又はその一部からなるタンパク質をコードする遺伝子DNA(例えば前記(a)のDNA等)、及びアビジン類又はその一部からなるタンパク質をコードする遺伝子DNA(例えば前記(c)のDNA等)は、それぞれ、前述した野生型プロテインGをコードする塩基配列(配列番号1)及び野生型ストレプトアビジンをコードする塩基配列(配列番号3)の塩基配列情報に基づいて、各種クローニング法及び/又は化学合成法(DNA合成装置を用いる方法)等の公知の調製又は合成方法により得ることができる。
なお、配列番号5に示される塩基配列は、配列番号1に示される塩基配列のうちの第1259番目〜第1381番目の領域に相当する塩基配列(123塩基対)であり、配列番号7に示される塩基配列は、配列番号3に示される塩基配列のうちの第164番目〜第598番目の領域に相当する塩基配列(435塩基対)である。
本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子としては、より具体的には、以下の(a')又は(b')のDNAを含む遺伝子が好ましく挙げられる。なお、当該遺伝子は、上記DNAの他に遺伝子発現に必要な公知の塩基配列(転写プロモーター、SD配列、Kozak配列、ターミネーター等)をも含むものであってもよく、限定はされない。
(a')配列番号9に示される塩基配列からなるDNA
(b')配列番号9に示される塩基配列からなるDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質をコードするDNA
上記「配列番号9に示される塩基配列」は、前述した配列番号5に示される塩基配列と、配列番号7に示される塩基配列とをそれぞれ構成成分として一部に含む一連の塩基配列である。なお、配列番号9に示される塩基配列中、第85番目〜第207番目の塩基配列領域がプロテインGの一部からなるタンパク質をコードする塩基配列(配列番号5)であり、第226番目〜第660番目の塩基配列領域がアビジン類(具体的にはストレプトアビジン)の一部からなるタンパク質をコードする塩基配列(配列番号7)であり、さらに第208番目〜第225番目の塩基配列領域がスペーサー部分(オリゴペプチド)をコードする塩基配列であって、配列番号5に示される塩基配列の3'末端と、配列番号7に示される塩基配列の5'末端とを連結している塩基配列である。また、配列番号9に示される塩基配列中、第1番目〜第84番目、及び第661番目〜第903番目の塩基配列領域が、前述した他のアミノ酸配列をコードする塩基配列に当たる部分である。
前記(b)、(d)及び(b')のDNAは、それぞれ、前記(a)、(c)及び(a')のDNA若しくはそれらと相補的な塩基配列からなるDNA、又はこれらを断片化したものをプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、及びサザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法を実施し、cDNAライブラリーやゲノムライブラリーから得ることができる。ライブラリーは、公知の方法で作製されたものを利用してもよいし、市販のcDNAライブラリーやゲノムライブラリーを利用してもよく、限定はされない。ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等を適宜参照することができる。
ハイブリダイゼーション法の実施において「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄時の条件であって、バッファの塩濃度が15〜330mM、温度が25〜70℃、好ましくは塩濃度が15〜150mM、温度が55〜65℃の条件を意味する。具体的には、例えば100mMで60℃等の条件を挙げることができる。さらに、このような塩濃度や温度等の条件に加えて、プローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件も考慮し、前記(b)、(d)及び(b')のDNAを得るための条件を適宜設定することができる。
前記(b)、(d)及び(b')のDNAに関し、ハイブリダイズするDNAとしては、それぞれ、前記(a)、(c)及び(a')のDNAの塩基配列に対して少なくとも40%以上の相同性を有する塩基配列であることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。
前記(b)、(d)及び(b')のDNAは、それぞれ、例えば前記(a)、(c)及び(a')のDNAと比較したときに塩基配列は完全同一ではないが翻訳後のアミノ酸配列は完全同一となるような塩基配列からなるDNA、すなわち前記(a)、(c)及び(a')のDNAにサイレント変異が導入されたDNAであることが、特に好ましい。このようなサイレント変異が導入されたDNAに代表される変異置換型のDNAは、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997) 等に記載の部位特異的変位誘発法に準じて調製することができる。具体的には、Kunkel法や Gapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キットを用いて調製することができ、当該キットとしては、例えば、QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等:タカラバイオ社製)等が好ましく挙げられる。また、所望のサイレント変異やミスセンス変異が導入されるように設計したPCRプライマーを用い、野生型プロテインGや野生型ストレプトアビジンをコードするDNAをテンプレートとして、適当な条件下でPCRを行うことにより調製することもできる。PCRに用いるDNAポリメラーゼは、正確性の高いDNAポリメラーゼであることが好ましく、例えば、Pwo DNA(ポリメラーゼロシュ・ダイアグノスティックス)、Pfu DNAポリメラーゼ(プロメガ)、プラチナPfx DNAポリメラーゼ(インビトロジェン)、KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡)、KOD-plus-ポリメラーゼ(東洋紡)等が好ましい。PCRの反応条件は、用いるDNAポリメラーゼの最適温度、合成するDNAの長さや種類等により適宜設定すればよいが、例えば、サイクル条件であれば「90〜98℃で5〜30秒(熱変性・解離)→50〜65℃で5〜30秒(アニーリング)→65〜80℃で30〜1200秒(合成・伸長)」を1サイクルとして合計20〜200サイクル行う条件が好ましい。
本発明の遺伝子は、翻訳後の個々のアミノ酸に対応するコドンは、特に限定はされないので、転写後、ヒト等の哺乳類において一般的に用いられているコドン(好ましくは使用頻度の高いコドン)を示すDNAを含むものであってもよいし、また、大腸菌や酵母等の微生物や、植物等において一般的に用いられているコドン(好ましくは使用頻度の高いコドン)を示すDNAを含むものであってもよい。
(3) 組換えベクター
本発明の融合タンパク質を発現させるためには、まず、上述した本発明の遺伝子が適当な発現ベクターに挿入された状態の組換えベクターを構築することが必要である。
具体的には、プロテインG又はその一部を含むタンパク質をコードする遺伝子と、アビジン類又はその一部を含むタンパク質をコードする遺伝子との2種の遺伝子をそれぞれ作製し、両遺伝子を適当な発現ベクターに挿入した組換えベクターを構築する。あるいは、当該2種の遺伝子DNAを用いて予め作製しておいた、本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子又はその一部(上記2種の遺伝子を含む)を、適当な発現ベクターに挿入した組換えベクターを構築する。
発現ベクターの種類は、特に限定はされず、例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、レトロウイルスベクター、人工染色体DNAなど、挿入した遺伝子を保持し得るものであれば、使用する宿主細胞に適したベクターを適宜選択して使用することができるが、前記2種の遺伝子を挿入する場合の発現ベクターとしては、一般に融合タンパク質遺伝子を作製することができるものとして公知の発現ベクターを使用することが好ましい。このような発現ベクターとしては、例えば、pCR2.1(Invitrogen社)、pCR II(Invitrogen社)等が好ましく挙げられる。
発現ベクターに挿入する遺伝子は、必要に応じ、予め、上流に転写プロモーター、SD配列(宿主が原核細胞の場合)及びKozak配列(宿主が真核細胞の場合)が連結されていてもよいし、下流にターミネーターが連結されていてもよく、その他、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル及び選択マーカー等が連結されていてよい。なお、上記転写プロモーター等の遺伝子発現に必要な各要素は、挿入する遺伝子に初めから含めておいてもよいし、発現ベクターに含まれている場合はそれを利用してもよい。
発現ベクターに遺伝子を挿入する方法は、例えば、制限酵素を用いる方法や、制限酵素を用いない方法(例えばTAクローニング法)、あるいはトポイソメラーゼを用いる方法など、公知の遺伝子組換え技術を利用した各種方法が採用できる。
(4) 形質転換体
上記組換えベクターを適当な宿主に導入して形質転換体を得、これを培養することにより、本発明の融合タンパク質を発現させることができる。なお、本発明で言う「形質転換体」とは宿主に外来遺伝子が導入されたものを意味し、例えば、宿主にプラスミドDNA等を導入すること(形質転換)で外来遺伝子が導入されたもの、並びに、宿主に各種ウイルス及びファージを感染させること(形質導入)で外来遺伝子が導入されたものを、いずれも含む意味である。
宿主としては、組換えベクターが導入された後、本発明の融合タンパク質を発現し得るものであれば、特に限定はされないが、例えば、細菌及び酵母のほか、ヒトやマウス等の各種動物細胞、及び各種植物細胞等の公知の宿主が挙げられる。
細菌を宿主とする場合、例えば、大腸菌(DH5α等)、枯草菌等が用いられる。
酵母を宿主とする場合は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等が用いられる。
動物細胞を宿主とする場合は、例えば、ヒト繊維芽細胞、CHO細胞、サル細胞COS-7、Vero、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等が用いられる。また、Sf9細胞、Sf21細胞等の昆虫細胞を用いることもできる。
植物細胞を宿主とする場合は、例えば、タバコBY-2細胞等が用いられる。
形質転換体を得る方法は、限定はされず、宿主と発現ベクターとの種類の組み合わせを考慮し、適宜選択することができるが、例えば、電気穿孔法、リポフェクション法、ヒートショック法、PEG法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、並びに、DNAウイルスやRNAウイルス等の各種ウイルスを感染させる方法などが好ましく挙げられる。
得られる形質転換体においては、組換えベクターに含まれる遺伝子のコドン型は、実際に用いた宿主のコドン型と一致していてもよいし異なっていてもよく、限定はされない。
(5) 融合タンパク質の製法
本発明の融合タンパク質は、前述した形質転換体を培養する工程と、得られる培養物からIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質を採取する工程とを含む方法により製造することができる。
ここで、「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。目的の融合タンパク質は、上記培養物中に蓄積される。
形質転換体の培養に用いる培地は、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、当該培養を効率的に行うことができる培地であれば、公知の各種天然培地及び合成培地のいずれを用いてもよい。例えば、宿主が大腸菌等の場合は、LB培地及びTB培地等の汎用の培地を用いることができる。
培養中は、形質転換体に含まれる組換えベクターの脱落及び目的の融合タンパク質をコードする遺伝子の脱落を防ぐために、選択圧をかけた状態で培養してもよい。すなわち、選択マーカーが薬剤耐性遺伝子である場合には、相当する薬剤を培地に添加することができ、選択マーカーが栄養要求性相補遺伝子である場合には、相当する栄養因子を培地から除くことができる。例えば、G418耐性遺伝子を含むベクターで形質導入したヒト線維芽細胞を培養する場合、培養中、必要に応じてG418(G418硫酸塩)を添加してもよい。
誘導性のプロモーターを有する発現ベクターにより形質転換した形質転換体等を培養する場合は、必要に応じ、好適なインデューサーを培地に添加してもよい。
形質転換体の培養条件は、目的の融合タンパク質の生産性及び宿主の生育が妨げられない条件であれば特に限定はされず、通常、10℃〜40℃(好ましくは20℃〜37℃)で、5〜100時間培養を行う。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行うことができる。培養方法としては、固体培養、静置培養、振盪培養、通気攪拌培養などが挙げられる。
培養後、目的の融合タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合は、菌体又は細胞を破砕することにより当該タンパク質を採取することができる。菌体又は細胞の破砕方法としては、フレンチプレス又はホモジナイザーによる高圧処理、超音波処理、ガラスビーズ等による磨砕処理、リゾチーム、セルラーゼ又はペクチナーゼ等を用いる酵素処理、凍結融解処理、低張液処理、ファージによる溶菌誘導処理等を利用することができる。破砕後、必要に応じて菌体又は細胞の破砕残渣(細胞抽出液不溶性画分を含む)を除くことができる。残渣を除去する方法としては、例えば、遠心分離やろ過などが挙げられ、必要に応じて、凝集剤やろ過助剤等を使用して残渣除去効率を上げることもできる。残渣を除去した後に得られた上清は、細胞抽出液可溶性画分であり、粗精製したタンパク質溶液とすることができる。
また、目的の融合タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合は、菌体や細胞そのものを遠心分離、膜分離等で回収して、未破砕のまま使用することも可能である。
一方、目的の融合タンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離やろ過等により菌体又は細胞を除去する。その後、必要に応じて硫安沈澱による抽出等により、培養物中から目的の融合タンパク質を採取することができる。
以上のように目的の融合タンパク質を採取した後、さらに必要に応じて、透析、各種クロマトグラフィー(ゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等)を用いて単離精製することもできる。アフィニティクロマトグラフィーを用いる場合は、IgG抗体を固相化したセルロース・ビーズ等を用いてアフィニティカラム精製を行うことが好ましい。
形質転換体等を培養して得られた融合タンパク質の生産収率は、例えば、培養液当たり、菌体湿重量又は乾燥重量当たり、粗酵素液タンパク質当たりなどの単位で、SDS-PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)等により確認することができる。
また、目的の融合タンパク質の製造は、形質転換体の培養によるタンパク質合成系のほか、生細胞を全く使用しない無細胞タンパク質合成系を用いて行うこともできる。
無細胞タンパク質合成系とは、細胞抽出液を用いて試験管等の人工容器内で目的タンパク質を合成する系である。また、使用し得る無細胞タンパク質合成系としては、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系も含まれる。この場合、使用する細胞抽出液の由来は、前述の宿主細胞であることが好ましい。細胞抽出液としては、例えば真核細胞由来又は原核細胞由来の抽出液、より具体的には、CHO細胞、ウサギ網状赤血球、マウスL-細胞、HeLa細胞、小麦胚芽、出芽酵母、大腸菌などの抽出液を使用することができる。なお、これらの細胞抽出液は、濃縮又は希釈して用いてもよいし、そのままでもよく、限定はされない。細胞抽出液は、例えば限外濾過、透析、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿等によって得ることができる。
このような無細胞タンパク質合成は、市販のキットを用いて行うこともできる。例えば、試薬キットPROTEIOSTM(東洋紡)、TNTTM System(プロメガ)、合成装置のPG-MateTM(東洋紡)、RTS(ロシュ・ダイアグノスティクス)等が挙げられる。
無細胞タンパク質合成によって産生された目的の融合タンパク質は、前述したように、クロマトグラフィー等の手段を適宜選択して精製することができる。
3.標識化抗体
(1) 標識化抗体
本発明の標識化抗体は、IgG抗体、本発明の融合タンパク質(前記2.参照)、及びビオチン化標識物質を含んでなるものであり、具体的には、本発明の融合タンパク質を介して、IgG抗体にビオチン化標識物質が結合された(固定化された)ものである。
IgG抗体としては、その由来は限定されず、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ラビット、ウサギ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、ヒツジ、ウシ及びウマ等の哺乳類動物由来のIgG抗体が挙げられ、中でも、ヒト、マウス、ラット、ラビット及びウサギ由来のIgG抗体が好ましい。
IgG抗体は、所望の標的抗原に対して特異的結合能を有するものを用いることができる。標的抗原としては、例えば、ウイルス抗原及び/又は微生物抗原が挙げられる。ここで、抗原となるウイルス及び微生物の種類は、特に限定はされないが、例えば、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、大腸菌、破傷風菌、黄色ブドウ球菌及びクラミジア等が挙げられ、中でも、C型肝炎ウイルスが好ましい。
IgG抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよく、限定はされないが、モノクローナル抗体であることが好ましい。
ビオチン化標識物質は、特異的抗体を用いた抗原検出方法において抗体の検出標識に使用され得る各種物質であって、ビオチン化されたもの(ビオチンと結合させたもの)であればよく、特に限定はされない。ビオチン化標識物質としては、例えば、ビオチン化されたオリゴ核酸鎖(オリゴヌクレオチド鎖等)、並びにビオチン化された各種化学物質(HRPやALP等の酵素、蛍光物質、及び放射性物質等)などが挙げられ、中でもビオチン化されたオリゴ核酸鎖が好ましい。なお、標識物質のビオチン化の方法は、限定はされず、公知の化学的又は酵素的処理(好ましくは化学的処理)によりビオチンを導入する方法を採用することができる。
標識物質として用いる上記オリゴ核酸鎖としては、検出標識としての機能を持たせるため、例えば、下記(A)〜(I)から選ばれる少なくとも1つの処理が施されたものが好ましい。
(A) 核酸増幅法で増幅可能な領域を設ける処理
(B) 制限酵素による切断部位を設ける処理
(C) 放射性同位体元素を含有させる処理
(D) 蛍光色素を結合させる処理
(E) 酵素を結合させる処理
(F) 光照射による切断部位を設ける処理
(G) 活性酸素による切断部位を設ける処理
(H) 標識処理デンドリマを結合させる処理
(I) 塩基の種類において少なくとも1塩基の違いを設ける処理
これらの中でも、(A)、(B)及び(I)の処理は、標識処理が容易であり検出感度が高くなる等の点で好ましく、より好ましくは(A)及び(B)の処理である。
また、(A)の処理と、(B)、(F)又は(G)の処理とを組み合わせた標識処理も好ましく、具体的には、オリゴ核酸鎖を(B)、(F)又は(G)の処理により切断し、得られた断片を鋳型として(A)の処理により増幅することができるようにした標識処理等が挙げられる。このような標識処理をした場合は、抗原−抗体複合体から検出標識となる断片を分離及び単離して鋳型とすることができ、より効率的な増幅反応を行うことができるため、より一層検出感度を向上させることができる。
上記(A)の処理を施したオリゴ核酸鎖とは、核酸増幅法に用いるプライマーとの結合領域を有するオリゴ核酸鎖である。核酸増幅法は、例えば、サーマルサイクラー等により複数種の温度制御条件下で反応を行う核酸増幅法(例えばPCR法)や、恒温条件下で反応可能な核酸増幅法(例えばLAMP法、ICAN法)のいずれであってもよく、限定はされない。また、核酸増幅法による増幅領域は、オリゴ核酸鎖の一部であってもよいし全部であってもよい。
ここで、PCR法用プライマーと結合する領域とは、フォワードプライマー(Fプライマー)及びリバースプライマー(Rプライマー)から構成されるプライマーセットを設計する基となる2領域を含む領域であり、かつ、このプライマーセットを用いて増幅され得る領域を意味し、具体的な核酸配列は特に限定はされない。なお、PCR法としては、検出及び定量の容易性からリアルタイムPCR法が好ましいが、特にTaqMan法の場合は、前記オリゴ核酸鎖として、TaqManプローブとの結合領域も有するものを用いる。
LAMP法用プライマーと結合する領域とは、FIP、BIP、F3プライマー、B3プライマー(必要に応じてLoop Primer F及び/またはLoop Primer B)から構成されるプライマーセットを設計する基となる6領域を含む領域であり、かつ、このプライマーセットを用いて増幅され得る領域を意味し、具体的な核酸配列は限定されない。
ICAN法用プライマーと結合する領域とは、2つのキメラプライマー(F及びRプライマー)から構成されるプライマーセットを設計する基となる2領域を含む領域であり、かつ、このプライマーセットを用いて増幅され得る領域を意味し、具体的な核酸配列は限定されない。
本発明において、標識物質として用い得るオリゴ核酸鎖としては、一本鎖若しくは二本鎖のオリゴヌクレオチド鎖(例えばオリゴDNA鎖及びオリゴRNA鎖(特にオリゴDNA鎖))、オリゴペプチド核酸鎖(オリゴPNA鎖とも言う)、又はこれらの混合鎖が好ましく挙げられ、中でもオリゴヌクレオチド鎖がより好ましい。また、本発明でいうオリゴ核酸鎖は、その一部にオリゴペプチド鎖を含むものも包含し得る。なお、オリゴ核酸鎖は、天然物であっても合成物であってもよいが、通常は、合成物であることが好ましい。
標識として用いるオリゴ核酸鎖の鎖長は、特に限定はされないが、例えば、100〜5,000merであることが好ましく、より好ましくは100〜1,000mer、さらに好ましくは100〜500merである。オリゴ核酸鎖の鎖長が上記範囲を満たす場合、検出感度の向上や検出時間の短縮を図ることができる。
本発明の標識化抗体の作製方法は、前述したIgG抗体、本発明の融合タンパク質(前記2.参照)、及びビオチン化標識物質を適宜混合して互いに結合させればよく、限定はされないが、例えば、まず本発明の融合タンパク質とビオチン化標識物質とを結合させ、該結合体に対してIgG抗体を添加して結合させる手順による方法が好ましい。なお、必要に応じ、各種クロマトグラフィー(ゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等)を用いて当該標識化抗体を精製単離することができる。
(2) 抗体−融合タンパク質結合体
本発明は、IgG抗体と本発明の融合タンパク質(前記2.参照)とを含んでなる、抗体−融合タンパク質結合体を包含するものである。なお、IgG抗体の詳細については前述した通りである。
本発明の抗体−融合タンパク質結合体の作製方法は、IgG抗体と本発明の融合タンパク質とを適宜混合して互いに結合させればよく、限定はされない。なお、必要に応じ、前述した各種クロマトグラフィーを用いて当該結合体を精製単離することができる。
本発明の抗体−融合タンパク質結合体は、種々のIgG抗体にそれぞれ所望のビオチン化標識物質を結合させたい場合、あるいはビオチン化した支持体(プレート、ビーズ等)に所望のIgG抗体を結合させたい場合などに、有効利用することができる。
(3) 融合タンパク質−標識物質結合体
本発明においては、本発明の融合タンパク質(前記2.参照)とビオチン化標識物質とを含んでなる、融合タンパク質−標識物質結合体を包含するものである。なお、ビオチン化標識物質の詳細については前述した通りである。
本発明の融合タンパク質−標識物質結合体の作製方法は、本発明の融合タンパク質とビオチン化標識物質とを適宜混合して互いに結合させればよく、限定はされない。なお、必要に応じ、前述した各種クロマトグラフィーを用いて当該結合体を精製単離することができる。
本発明の融合タンパク質−標識物質結合体は、種々のIgG抗体にそれぞれ所望のビオチン化標識物質を結合させたい場合などに有効利用することができる。
(4) 抗体標識用キット
本発明の抗体標識用キットは、本発明の融合タンパク質(前記2.参照)、本発明の抗体−融合タンパク質結合体(前記3.(2)参照)、及び本発明の融合タンパク質−標識物質結合体(前記3.(3)参照)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである。当該キットは、前述した本発明の標識化抗体の作製に利用することができ、極めて有用性が高いものである。
本発明の抗体標識用キットは、上記列挙した構成成分以外に、他の構成成分を含んでいてもよい。他の構成成分としては、例えば、IgG抗体及びビオチン化標識物質のいずれか又は両方が好ましく挙げられる。なお、IgG抗体及びビオチン化標識物質の詳細については前述した通りである。さらに、他の構成成分としては、例えば、各種バッファ、滅菌水、各種反応容器(エッペンドルフチューブ等)、ブロッキング剤(Bovine Serum Albumin (BSA), Skim milk, Goat血清等の血清成分)、アジ化ナトリウム等の防腐剤、及び実験操作マニュアル(説明書)等が挙げられる。
4.標的抗原の検出
(1) 標的抗原の検出方法
本発明の標的抗原の検出方法は、被験試料に含まれる標的抗原を検出する方法であって、標的抗原と本発明の標識化抗体(前記3.(1)参照)とを接触させて抗原−抗体複合体を形成させる工程(抗原−抗体複合体形成工程)、及び抗原−抗体複合体中の標識を検出する工程(標識検出工程)を含む方法である。
本発明の検出方法の好ましい一態様としては、例えば、被験試料に含まれる標的抗原が複数種類であり、かつ、本発明の標識化抗体として当該標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体を用いる方法が挙げられる。すなわち、当該方法は、被験試料に含まれる標的抗原を識別検出する方法であり、当該識別検出は同時に(同一の反応系内で)行うことが好ましい。
なお、本発明の検出方法は、上述した各工程以外の他の工程を含んでいてもよい。他の工程は、公知の手段及び方法を用いて実施することができる。
(1-1) 抗原−抗体複合体の形成工程
(i) 支持体
本発明の検出方法においては、標的抗原は、支持体に固定された状態であってもよいし、支持体に固定されていない状態であってもよく、限定はされない。
本発明において用い得る支持体としては、標的抗原を固定することができ、当該抗原に抗体(抗体溶液)を接触させることができるものであればよく、通常、不溶性の材質及び形状等のものが用いられる。例えば、抗原抗体反応によるアッセイ系に用い得る支持体が好ましく、具体的には、マルチプラスチックウェルプレート、プラスチックビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、プラスチックチューブ、ナイロン膜、ニトロセルロース膜などが挙げられる。
また、支持体としては、後述するように、標的抗原に特異的に結合し得る抗体が支持体表面に固定化されたものを用いることができる。このような支持体を用いれば、抗体を介して標的抗原を固定することができる。支持体表面への抗体の固定化は、公知の種々の方法を用いて行うことができるが、前述した本発明の融合タンパク質(前記2.参照)を利用して効率的に固定化する方法が好ましく挙げられる。具体的には、表面をビオチン化しておいた支持体に、本発明の抗体−融合タンパク質結合体(前記3.(2)参照)を接触させて、アビジン−ビオチン結合反応と同様の反応によって抗体を固定化する方法、あるいは、表面をビオチン化した後に本発明の融合タンパク質を接触させて当該融合タンパク質を結合させた支持体に、所望のIgG抗体を接触させて抗体を固定化する方法などが挙げられる。
(ii) 標的抗原
検出対象とする標的抗原の種類は、特に限定はされないが、例えば、前述したウイルス及び/又は微生物(例えばC型肝炎ウイルス)、各種タンパク質(抗体タンパク質も含む)、ペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチド等)、多糖類、糖脂質、各種核酸(DNAやRNA)、及びその他低分子の化学合成物や生体成分等が挙げられる。また、本発明の一実施形態として、単一種類の標的抗原を検出対象とし、複数種類の標識化抗体を用いて、標的抗原がどの標識化抗体に対してより特異的に結合するかを特定するアッセイ系も挙げられる。
被験試料は、例えば、生体成分(組織や血液)、食肉や野菜等の食品類、土壌や河川水、燃焼廃棄物等を挙げることができるが、限定はされない。
被験試料に含まれる標的抗原が複数種類の場合、その種類数は、特に限定はされないが、本発明の方法によれば、例えば、10種類以上であっても特定の標的抗原を明確に識別検出することができ、また50種類以上であってもよいし、さらには100種類以上であってもよい。
被験試料中の標的抗原の濃度は、限定はされないが、本発明の方法によれば、例えば、被験試料1μLあたり標的抗原がngオーダー以下の濃度であっても、特定の標的抗原を明確に識別検出することができ、またpgオーダー以下であってもよいし、さらにはfgオーダー以下であってもよい。特に、本発明の標識化抗体として、核酸増幅法により増幅可能なオリゴ核酸鎖で標識したIgG抗体を用いた場合は、より低い標的抗原濃度であっても高い感度で識別検出することができる。
本発明の検出方法においては、標的抗原を支持体に固定しておいた上で本発明の標識化抗体(溶液)と接触させ、これにより標的抗原と標識化抗体との抗原抗体反応を行うことができ、標的抗原を支持体等へ固定せずに当該反応を行ってもよい。さらに、これらを組み合わせて行うようにしてもよい。
標的抗原を支持体へ固定する方法としては、例えば、支持体表面に直接的に標的抗原を固定する方法、及び、標的抗原に特異的に結合する抗体を予め支持体表面に固定化した後、この固定化抗体に標的抗原を結合させることで支持体表面に間接的に標的抗原を固定する方法が挙げられるが、限定はされない。後者の間接的な固定方法の場合、被験試料中の多種多様な物質のうち標的抗原となり得るものを予め選抜するができるため、検出感度や検出精度を高めることができる。なお、支持体に固定する抗体は、通常、後で添加する抗体(標識化抗体等)とは標的抗原に対して認識するエピトープが異なるものを用いる。
標的抗原を支持体へ固定した場合は、その後抗体(標識化抗体等)を添加する前に、常法に従い、ブロッキングを行うことが好ましい。
(iii) 標識化抗体
本発明の検出方法においては、前述した本発明の標識化抗体(前記3.(1)参照)を用いる。ここで、検出対象とする標的抗原が複数種類である場合は、本発明の標識化抗体としては、当該抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された標識化抗体を複数種類用いる。標識化抗体における標識処理は、個々の標的抗原を特異的に認識し得るIgG抗体ごとに単一の(1種類の)標識処理が施されるようにし、後の検出工程において標識の数及びその種類の特定を行うことで、検出された標的抗原の数及びその種類の特定を行うようにする。しかしこの態様には限定されず、例えば、単一の標識処理を施した複数種類の標識化抗体(つまり抗体部分が複数種類)を用いて、複数種類の標的抗原を1種類の検出標識で包括的に検出することもできる。複数種類の標識化抗体を用いる場合、各抗体はモノクローナル抗体であることが好ましいが、限定はされない。
なお、本発明の検出方法において、「支持体に固定された標的抗原と標識化抗体とを接触させる」とは、標的抗原と標識化抗体とを直接接触させて結合させる意味には限定はされず、支持体に固定された標的抗原を特異的に認識する1次抗体を結合させ、次いでこの1次抗体(又は1次抗体中の標識物質)を特異的に認識する本発明の標識化抗体を接触させることで、標的抗原と標識化抗体とを間接的に結合させる意味も含む。この間接的な結合の場合は、1次抗体には、さらに2次抗体、3次抗体、・・・n次抗体を結合させてもよく、その場合、本発明の標識化抗体としてはn次抗体と特異的に結合し得るものを用いればよい。なお、上記nの範囲は1〜11であることが好ましく、より好ましくは1又は2である。
本発明の標識化抗体として、標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体を使用する場合について、上記識別検出を可能とするための標識物質の標識処理の具体的態様を以下に説明する。以下では、オリゴ核酸鎖を標識物質とし、前記3.(1)で説明した(A)若しくは(B)又はこれらを組み合わせた標識処理が施された標識化抗体を使用する場合を例に挙げて説明する。これらの標識処理が施された場合のほか、他の標識処理が施された場合についても、公知技術(例えば、WO2006/049289等)を参照することにより理解することができる。
前記(A)の標識処理の場合は、例えば、他の抗体のオリゴ核酸鎖とは増幅断片の長さが異なるようにするか、他の抗体のオリゴ核酸鎖からは増幅断片が得られないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
増幅断片の長さが異なるようにすることは、具体的には、同一のプライマーを用いた場合であっても、プライマーの結合位置が異なり、増幅可能な領域の幅(長さ)がオリゴ核酸鎖同士で異なるように合成しておくこと等により実施できる。増幅断片の長さの差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、5mer以上であることが好ましく、より好ましくは10mer以上、さらに好ましくは50mer以上である。
前記(B)の標識処理の場合は、例えば、他の抗体のオリゴ核酸鎖とは制限酵素処理後に得られる断片の長さが異なるようにするか、他の抗体のオリゴ核酸鎖からは制限酵素処理後に断片が得られないようにするか、あるいは、これらを組み合わせて行うこと等により、識別検出することができる。
制限酵素処理後に得られる断片の長さが異なるようにすることは、具体的には、抗体に結合させるオリゴ核酸鎖の長さは標識化抗体同士で実質的に同じであるが、制限酵素による切断位置が互いに異なるように合成しておくか、又は、抗体に結合させるオリゴ核酸鎖の長さ自体をオリゴ核酸鎖同士で異なるように合成しておくこと等により実施できる。制限酵素処理後の断片の長さの差は、限定はされないが、良好な感度で識別検出できる点で、10mer以上であることが好ましく、より好ましくは50mer以上、さらに好ましくは100mer以上である。
前記(A)と(B)を組み合わせた標識処理の場合は、具体的には、前記(A)の標識処理において、オリゴ核酸鎖中の核酸増幅可能な領域よりも抗体側に、制限酵素切断部位を設けておく以外は、前記(A)の標識処理と実質的に同様である。増幅可能な領域を含む断片(テンプレート)を標識化抗体から分離した後に核酸増幅法を行うことにより、増幅効率を向上させることができ、検出感度を一層高めることができる。
(iv) 抗原抗体反応
支持体に固定(コーティング)した標的抗原に、本発明の標識化抗体(溶液)を接触させる場合は、通常、予め公知のブロッキング液でブロッキング処理を施し、PBS等の公知の洗浄液でよく洗浄しておく。その後、標識化抗体を含む溶液を適量添加し、室温で30〜60分間攪拌しながら、標的抗原と標識化抗体との結合反応を行い、抗原−抗体複合体を形成させ、再度よく洗浄することが好ましい。
一方、支持体等に固定していない標的抗原に、本発明の標識化抗体(溶液)を接触させる場合は、通常、標的抗原を含む被験試料に対して適当な前処理を行い、標的抗原以外の不純物を除去あるいは少なくしておくことが好ましい。
(1-2) 標識検出工程
形成した抗原−抗体複合体中の標識物質の検出は、使用した標識化抗体中の標識物質の種類により異なる。以下では、オリゴ核酸鎖を標識物質とし、前記3.(1)で説明した(A)若しくは(B)又はこれらを組み合わせた標識処理が施された標識化抗体を使用する場合を例に挙げて標識物質の検出方法を説明する。これらの標識処理が施された場合のほか、他の標識処理が施された場合の標識物質の検出方法についても、公知技術(例えば、WO2006/049289等)を参照することにより理解することができる。
前記(A)の標識処理の場合は、例えば、常法に従い、設計した所定のプライマー等を添加し、PCR(例えば約5〜30サイクル)等の核酸増幅法により特定の領域を増幅した断片を得る。得られた増幅断片は、濁度測定や目視により容易に検出することができるほか、アガロースゲル等を用いた各種電気泳動法により検出することができ、増幅断片の長さを比較すれば複数種類の標識物質を識別検出することができる。また、蛍光標識したプライマーを用いた場合は、得られた増幅断片をDNAシークエンサー(例えばApplied Biosystems社製、製品名:ABI-3100)を用いたGeneScanソフトウェアで解析することにより検出することができ、ピーク位置及びその高さを同定し比較すれば複数種類の標識物質を識別検出することができる。さらに、蛍光標識したプライマー、及びプローブ(TaqManプローブ等)を用いた場合は、得られた増幅断片をリアルタイムPCR法により検出することもできる(例えば、ストラタジーン社製、製品名:MX-3005pリアルタイムPCR装置 ; Applied Biosystems社製、製品名:StepOneTM Real-Time PCR System、7300 Real-Time PCR System等)。
前記(B)の標識処理の場合は、例えば、常法に従い、所定の制限酵素溶液を添加して、オリゴ核酸鎖を切断する。得られた断片は、アガロースゲル等を用いた各種電気泳動法により検出することができ、増幅断片の長さを比較すれば複数種類の標識物質を識別検出することができる。当該検出において、抗原の量が少なかった場合など、制限酵素処理後の断片濃度が低いときは、必要に応じ、当該処理後の反応液をスピンカラム等で遠心沈降して濃縮することが好ましい。
前記(A)と(B)を組み合わせた標識処理の場合は、例えば、制限酵素処理後の遊離断片をテンプレートとして、設計した所定のプライマー等を添加し、PCR(例えば約5〜30サイクル)等の核酸増幅法により特定の領域を増幅した断片を得る。得られた増幅断片の検出方法については、(A)の標識処理の場合と同様である。
本発明においては、標識検出工程で得られた結果を指標とすることにより、被験試料中の標的抗原量(例えばC型肝炎ウイルス量等)を定量することもできる。当該定量は、上記の各種検出方法と併用される公知の定量手法から適宜選択して行うことができる。具体的な定量方法としては、例えば、デンシトメーターによる電気泳動後のバンド濃度の測定、吸光光度計や分光光度計による増幅産物の濁度測定(モニタリング)、分光蛍光光度計による蛍光強度測定(モニタリング)等による測定結果を指標とし、予め作成しておいたコントロールの測定結果(検量線など)と比較換算することにより定量する方法が好ましく挙げられる。
(2) 標的抗原検出用キット
本発明の標的抗原検出用キットは、本発明の標識化抗体(前記3.(1)参照)を含むものである。ここで、当該キットが、複数種類の標的抗原の識別検出を目的とするキットの場合は、上記標識化抗体は、標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体であることが好ましい。
また、本発明は、本発明の抗体−融合タンパク質結合体(前記3.(2)参照)及びビオチン化標識物質、又は、本発明の融合タンパク質−標識物質結合体(前記3.(3)参照)及びIgG抗体を含む、標的抗原検出用キットを包含するものである。
本発明の標的抗原検出用キットは、前述した本発明の標的抗原の検出方法に利用することができ、極めて有用性が高いものである。
本発明の標的抗原検出用キットは、上記構成成分以外に、他の構成成分を含んでいてもよい。他の構成成分としては、例えば、HRP又はALP標識一次抗体、制限酵素、DNAポリメラーゼ、PCRプライマー、dNTP、各種バッファ、滅菌水、エッペンドルフチューブ、フェノールクロロホルム、クロロホルム、エタノール、核酸共沈剤、各種ゲル(粉末)、フリーラジカル産生遊離試薬(HRP及びFe錯体等)、ブロッキング剤としてBovine Serum Albumin (BSA), Skim milk, Goat血清等の血清成分、及び各種detergent、DNAインターカレーター等の蛍光試薬、光反応物質、各種プレート(抗体固定化プレートを含む)、各種ビーズ(抗体固定化ビーズを含む)、アジ化ナトリウム等の防腐剤、並びに実験操作マニュアル(説明書)等のほか、必要に応じ、各種電気泳動装置やPCR等実験機器等も挙げられる。
5.抗原又は抗体の回収
(1) 抗体固定化支持体
本発明の抗体固定化支持体は、表面がビオチン化された支持体、本発明の融合タンパク質(前記2.参照)、及びIgG抗体を含んでなる支持体である。本発明の抗体固定化支持体は、具体的には、ビオチン化された支持体表面に、本発明の融合タンパク質を介してIgG抗体が結合してなる支持体である。
本発明の抗体固定化支持体は、例えば、サンドイッチ法を用いた抗原検出方法に用いる支持体として使用することができる。また、被験試料中の標的抗原の捕捉及び回収に用いることができる。従って、本発明は、被験試料中の標的抗原と上記抗体固定化支持体とを接触させる工程、及び当該接触後の前記支持体を回収する工程を含む、標的抗原の回収方法を包含するものである。
また本発明は、上記抗体固定化支持体を含む抗原回収用キットを包含するものである。当該キットには、被験試料からの抗原回収に必要な公知の各種構成成分を含めることができる。
(2) 融合タンパク質固定化支持体
本発明の融合タンパク質固定化支持体は、本発明の融合タンパク質(前記2.参照)と、表面がビオチン化された支持体とを含んでなる支持体である。本発明の融合タンパク質固定化支持体は、具体的には、ビオチン化された支持体表面に本発明の融合タンパク質が結合してなる支持体である。
本発明の融合タンパク質固定化支持体は、被験試料中の標的抗体の捕捉及び回収に用いることができる。従って、本発明は、被験試料中の標的抗体と上記融合タンパク質固定化支持体とを接触させる工程、及び当該接触後の前記支持体を回収する工程を含む、標的抗体の回収方法を包含するものである。
また本発明は、上記融合タンパク質固定化支持体を含む抗体回収用キットを包含するものである。当該キットには、被験試料からの抗体回収に必要な公知の各種構成成分を含めることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
==融合タンパク質の合成==
以下の手順により、プロテインGの一部からなるタンパク質(IgG抗体Fc領域との結合領域を含むタンパク質)と、ストレプトアビジンの一部からなるタンパク質(ビオチンとの結合領域を含むタンパク質)とを構成成分として含む融合タンパク質を合成した(図2参照)。
1.下記の通り、公的データベースであるSwiss-Prot(http://tw.expasy.org/uniprot/ からアクセス可能)及びGenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ からアクセス可能)等から、野生型のプロテインG及びストレプトアビジンについての塩基配列情報及びアミノ酸配列情報を取得した。
なお、プロテインGの塩基配列情報は配列番号1に、アミノ酸配列は配列番号2に示した。また、ストレプトアビジンの塩基配列情報は配列番号3に、アミノ酸配列は配列番号4に示した。
<プロテインG>
・Swiss-Prot:
「entry name:SPG1-STRSG」,「accession number:P06654」
・GenBank:
「accession number:M13825」
<ストレプトアビジン>
・Swiss-Prot:
「entry name:SAV STRAV」,「accession number:P22629」
・GenBank:
「accession number:X03591」
2.プロテインG及びストレプトアビジンのアミノ酸配列情報を基に、プロテインG中のIgG抗体Fc領域との結合に必要なアミノ酸配列領域、及びストレプトアビジン中のビオチンとの結合に必要なアミノ酸配列領域を選択し、これらの領域を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を特定した(図3及び図4中の矢印で挟まれた領域を参照)。
<プロテインG>
IgG抗体Fc領域との結合領域を含む部分:
配列番号2に示されるアミノ酸配列のうちの第228番目〜第268番目のアミノ酸配列領域(配列番号6;41アミノ酸残基)
配列番号1に示される塩基配列のうちの第1259番目〜第1381番目の塩基配列領域(配列番号5;123塩基対)
<ストレプトアビジン>
ビオチンとの結合領域を含む部分:
配列番号4に示されるアミノ酸配列のうちの第39番目〜第183番目のアミノ酸配列領域(配列番号8;145アミノ酸残基)
配列番号3に示される塩基配列のうちの第164番目〜第598番目の塩基配列領域(配列番号7;435塩基対)
3.プロテインG及びストレプトアビジンの各々の塩基配列情報を基に、所望の塩基配列領域をクローニングした。
具体的には、まず、前記2.で特定したプロテインG及びストレプトアビジンの各々に関する塩基配列情報を基に、リン酸基部位無保護法によるDNAの化学合成法によって、当該塩基配列と同一の塩基配列を有する相補的な二本鎖DNAを合成した。この際、必要により、断片的に合成された個々の二本鎖DNAをT4リガーゼで接合した。
その後、合成した各二本鎖DNAをそれぞれ鋳型とし、下記のフォワードプライマー(Fプライマー)及びリバースプライマー(Rプライマー)を設計して、以下の反応液組成及び反応条件でPCRを行うことにより、各二本鎖DNAを増幅した。なお、PCRにより得られるDNA断片が両端に制限酵素認識部位を有するように、各プライマーを設計した(小文字部分の塩基配列を参照)。
<プロテインGの塩基配列用プライマー>
Fプライマー: 5'- catatg C ACTTACAAATTAATCCTTAA -3' (配列番号11)
Rプライマー: 5'- gaattc ggatcc TTCACCGTCAACACCGTTG -3' (配列番号12)
<ストレプトアビジンの塩基配列用プライマー>
Fプライマー: 5'-gaattc aagctt GCCGGCATCACCGGCACCTG-3' (配列番号13)
Rプライマー: 5'-ctgcag CTGCTGAACGGCGTCGAGCG-3' (配列番号14)
各PCRは、下記の反応液組成、及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(1μg/μl): 1μL
TaqDNAポリメラーゼ: 0.5unit
Fプライマー(10μM): 5μL
Rプライマー(10μM): 5μL
dNTP(0.2mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量 (約72μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で30秒間の熱変性・解離 → 55℃で30秒間のアニーリング → 72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計35サイクル。
PCR後の増幅断片が、目的の塩基配列を有するものであるかどうかについては、まずPCRによって得られたDNA断片をアガロースゲル電気泳動法によって分離し、その鎖長を確認することで行った。次いで、鎖長が正しいと判断されたものにつき、個別に、公知の方法でシークエンス解析を行い、塩基配列が正確か否か(すなわち前記2.で特定した各塩基配列を含むか否か)を確認した。
4. 2種のDNA断片の接合
前記3.においてクローニングした2種のDNA断片について、遺伝子組換え技術の常法により、RcoRIを用いて制限酵素処理を施し、処理後のDNA断片を、公知の方法により回収及び精製した。次いで、精製後の2種のDNA断片を、T4 DNAリガーゼにより接合した(互いのRcoRIサイトでライゲーション)。接合後のDNA断片を鋳型とし、前記配列番号11及び配列番号14で示される塩基配列を用いて、前記3.と同様の反応液組成及び反応条件で、PCRを行った。
5.発現ベクターへの挿入
前記4.のPCRにより得られたDNA断片を、発現ベクターである大腸菌タンパク合成プラスミド(pCR2.1:Invitrogen社)のマルチクローニングサイトへ挿入し、本発明の融合タンパク質をコードする塩基配列(配列番号9)を有する組換えベクターが構築されるようにして、クローニング・セレクションを行った。なお、配列番号9に示される塩基配列は、前記4.のPCRにより得られたDNA断片を一部に含む塩基配列であり、当該塩基配列によりコードされる本発明の融合タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号10に示される通りである。
すなわち、pCR2.1ベクターに付属のTA-Cloning試薬を用いたTAクローニング法の常法に従い、前記4.のPCRにより得られたDNA断片をインサートとしてpCR2.1ベクターに導入した。具体的には、前記4.のPCR後の反応液を、そのままで(又は蒸留水にて10倍希釈して)、TA-Cloning試薬 2μlに対し0.5μlの割合で混合後、室温にて5分間インキュベートすることにより、目的の組換えベクターを構築した。なお、得られた組換えベクターは、上記インキュベート後、下記6.の形質転換に供した。
6.組換えベクターを大腸菌に導入(形質転換体の作製)
上記5.で構築した組換えベクターをDH5α種の大腸菌に導入して、形質転換体を作製した。
具体的には、まず、あらかじめ氷上で溶解したコンピテントセル50μlに対し、前記4.のインキュベート後の溶液を2μl混合し、氷上で30分間インキュベートした後、42℃で1分間のヒートショックを加え、再び氷上で30分間インキュベートした。
形質転換した大腸菌液50μlにアンピシリンを含まないTB培地を200μl加え、37℃下で1時間200rpmにて予備培養を行った後、アンピシリン(50μg/ml)を含むTB培地を等量(200μl)加え、この培養液を、アンピシリン(50μg/ml)とX-galとを含むLBプレートに1枚あたり100μlを塗布した。その後、37℃下で1晩静置培養し、出現したコロニーのうち白色のもののみを選択して、アンピシリン(50μg/ml)を含むTB培地2ml中で震盪培養した。
震盪培養により増殖した大腸菌を回収後、アルカリプレップ法の常法に基づいて大腸菌に含まれるプラスミドDNAを精製及び濃縮した。
もともとpCR2.1ベクターは配列内にT7プロモーターなどの配列を持っているので、同配列の相補鎖を用いてシークエンス解析を行い、インサートの塩基配列を確認した。
7.融合タンパク質の産生(形質転換体の培養)
上記6.のシークエンス解析でインサートの塩基配列が正しいと判定されたプラスミドDNAを保有する形質転換体を、アンピシリン(50μg/ml)とIPTG(1mM)とを含むTB培地500mlにて、37℃、200rpmで一晩震盪培養した。
浸透培養後の菌液を遠心分離処理(9,000rpm,15分間)し、上清を捨て、増殖した菌体(形質転換体)を回収した。回収した菌体は、-80℃にて1時間以上凍結保存した。
8.産生した融合タンパク質の回収及び精製
上記7.にて凍結保存した菌体を常法に従い可溶化した。すなわち、上記7.の浸透培養後の菌液500ml分から回収した菌体に、可溶化バッファ(50mM Tris-HCl(pH7.5), 500mM NaCl, 20mM imidazole, 2M urea, 0.5% TritonX-100)50mlを加えて、ポリトロン型ホモジナイザーでホモジナイズした。次いで、可溶化後の菌液を超遠心機にて、4℃、40,000Gで2時間遠心した後、上清を回収した。上清にはプロテインG-アビジン融合タンパク質が溶解しているため、回収した上清200mlあたり、IgG抗体を固相化したセルロース・ビーズ(Pierce社製、製品名:AminoLink Plus Coupling Gel)を50μlずつ添加し、4℃、10rpmにて2時間混合吸着した。次いで、セルロース・ビーズを回収し、洗浄用バッファで3回洗浄したのち、回収したビーズを洗浄液ごとフィルターカラムに移し、再び洗浄バッファで洗浄した。その後、グリシンバッファによりセルロース・ビーズに結合している融合タンパク質を溶出及び精製して回収した。
精製後のタンパク質が目的の融合タンパク質であることを、SDS-PAGEにより確認した。その結果を図5に示した。
==オリゴヌクレオチド標識化抗体の作製==
まず、以下の手順により、所定のオリゴヌクレオチドで標識処理した抗EGF抗体を作製した。
1.オリゴヌクレオチド鎖の調製
Pin1をインサートしたpcDNA3.1(Invitrogen社製)を鋳型DNAとし、下記のプライマー(5-MUSTagBio、3-MUSTag515)を使用してPCRを行うことにより、5'末端がビオチン化された550merのオリゴヌクレオチド鎖を調製した。ここで、5-MUSTagBioは、5'末端にビオチンが結合したものであり、5'プライマー(Fプライマー)として使用した。また、3-MUSTag515は、3'プライマー(Rプライマー)として使用した。
一方、対照として、5-MUSTagBioの代わりに5-MUSTagSSを使用した以外は、上記と同様にPCRを行って、5'末端にジスルフィド基(SS基)が導入された550merのオリゴヌクレオチド鎖を調製した。ここで、5-MUSTagSSは、5-MUSTagBioにおいて、5'末端にビオチンの代わりにジスルフィド基(SS基)を結合させた以外は同様のものであり(すなわち塩基配列は同じ)、5'プライマー(Fプライマー)として使用した。
<5'プライマー>
5-MUSTagBio:
5'-Biotin-CGGAATTCGCGGACGAGGAGAAGCTGCCGCCCGGCTGG-3' (配列番号15)
5-MUSTagSS:
5'-SS-CGGAATTCGCGGACGAGGAGAAGCTGCCGCCCGGCTGG-3' (配列番号15)
<3'プライマー>
3-MUSTag515:
5'-AGCTTGACGGGGAAAGCCGG-3'(配列番号16)
上記PCRは、下記の反応液組成、及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(100μg/μl): 1μL
TaqDNAポリメラーゼ: 2.5unit
5'プライマー(20μM): 2μL
3'プライマー(20μM): 2μL
dNTP(2.5mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量 (約77μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で60秒間の熱変性・解離 → 55℃で60秒間のアニーリング → 72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計35サイクル。
上記各PCR後の増幅産物は、PCR後に遠心して得られた上清をMinElute PCR Purification spin column(キアゲン社製)にてフィルター精製することにより単一なオリゴヌクレオチド断片に精製した。
2.オリゴヌクレオチド標識化抗体の作製
(1) 本発明のオリゴヌクレオチド標識化抗体
(1-1) ビオチン化オリゴヌクレオチド鎖と、融合タンパク質との結合
前記1.で得られたビオチン化オリゴヌクレオチド鎖と、実施例で得られた融合タンパク質とを、それぞれ等モルずつ添加混合し、室温で30分インキュベートした。これにより、ビオチン化オリゴヌクレオチド鎖と、融合タンパク質とが、いわゆるビオチン−アビジン結合してなるオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体(約66kDa)を作製した。
(1-2) オリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体と、IgG抗体との結合
上記(1-1)で得られたオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体と、抗hEGF抗体(IgG抗体;約150kDa)とを、それぞれ等モル(100pmol)ずつ添加混合した。具体的には、1 mg/mlの上記結合体溶液6.6μlと、500 mg/mlの抗hEGF抗体溶液30μlとを混合した。ここで、抗hEGF抗体としては、Anti-hEGF(R&D:Cat#AF236, Lot#AQZ015101)を用いた。その後、室温で30分インキュベートした。これにより、上記結合体と抗hEGF抗体とが結合してなるオリゴヌクレオチド標識化抗体を作製した。
(1-3) 標識化抗体の精製
上記(1-2)で得られたオリゴヌクレオチド標識化抗体を含む混合物を、0.45μmフィルターでろ過した。液体クロマトグラフィー(Phamasia SMART Systemを用いたゲルろ過法)によるフラクション分けを行い、オリゴヌクレオチド標識化抗体のみを精製し回収した。回収したオリゴヌクレオチド標識化抗体溶液は、2μg/mLの濃度に調整し、4℃下に保存した。
(2) 対照オリゴヌクレオチド標識化抗体
(2-1) 融合タンパク質のアミノ化
プロテインG(Fr.9:2.36mg/ml)と、Traut試薬(2mg/ml)とを、以下の組成で混合し、室温で2時間静置することにより、プロテインGをアミノ化した。

Traut試薬 (2mg/ml) 10 mol
プロテインG (Fr.9:2.36mg/ml) 1 mol
(2-2) オリゴヌクレオチド鎖の脱保護
前記1.で得られたSS基導入オリゴヌクレオチド鎖を20mM Tris-HCl(pH7.4)に溶解させ、10uMのオリゴヌクレオチド溶液を調製した。次いで、当該オリゴヌクレオチド溶液と1M DTT溶液とを、下記の割合で混合し、室温で30分静置した。これにより、オリゴヌクレオチド鎖のSS基を還元してSH基とした、脱保護化オリゴヌクレオチド鎖を調製した。

10uM オリゴヌクレオチド溶液 45μl
1M DTT 5μl
合計 50μl

その後、上記混合後の溶液をSephadexG-50(500μl)ゲルカラムに通し、不要な試薬を除去して、フロースルーの吸光度を測定した。
(2-3) アダプター作製
上記(2-1)で得られたアミノ化プロテインGと、上記(2-2)で得られた脱保護化オリゴヌクレオチド鎖とを、下記の割合で混合し、室温で1時間静置した。これにより、プロテインGとオリゴヌクレオチド鎖とが結合してなるアダプターを作製した。得れらたアダプター1μl中には、プロテインGが28ng、オリゴヌクレオチド鎖が427ng存在することとなる。

アミノ化プロテインG 0.82μl (ProteinG量:1.4μg)
脱保護化オリゴヌクレオチド鎖 50.0μl (DNA量:21.7μg)
合計 50.82μl
(2-4) アダプターとIgG抗体との結合
上記(2-3)で得られたアダプター(オリゴヌクレオチド鎖が結合したプロテインG)と、抗hEGF抗体(IgG抗体;150kDa)とを、それぞれ等モル(1mol)ずつ添加混合した。なお、抗hEGF抗体 1molは、IgG量換算で4.3μgであった。次いで、室温で1時間、軽く振とうさせながら、インキュベートした。その後、遊離抗hEGF抗体を除去するため、上記混合溶液中にプロテインG固相化ビーズ(BioLabs社製、製品名:Protein G magnetic beads;1ml)50μlを添加混合して、磁気による分離を行った。分離後の上清は、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体溶液であるため、該上清を回収し、2μg/mLの濃度に調整して、4℃下に保存した。
==標識化抗体を用いたhEGF抗原の検出==
実施例で得られた、本発明のオリゴヌクレオチド標識化抗体と、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体との性能(抗原検出能)を比較した。
1.hEGF抗原の標準希釈系列(被験サンプル)の作製
hEGFリコンビナント抗原標準液(hEGF濃度:3600 fmol/L = 72 pg/mL)及び標準希釈液を使用して、hEGFリコンビナント抗原溶液の希釈系列を作製した。ここで、hEGFリコンビナント抗原標準液としては、hEGFリコンビナント抗原(R&D社製、製品名:Cat#236-EG)をPBSで溶解したものを使用し、標準希釈液としては、1% BSA-PBSを使用した。
具体的には、下記表に示す通り、まず抗原標準液 (72 pg/mL) 80mLに標準希釈液208mLを加えて3.6倍希釈し、20 pg/mLの抗原標準液を調製した。次いで、この20 pg/mLの抗原標準液を標準希釈液で5倍希釈して4 pg/mLの抗原標準液を調製し、その後、同様に5倍希釈の作業を4回繰り返して、0.0064 pg/mL(6.4 fg/mL)の抗原標準液の希釈系列を作製した。また、抗原標準液を含まない標準希釈液のみを、Negative Control(NC)として使用した。
2.hEGF抗原の感作
まず、hEGFに対する一次抗体が固相化されたイムノプレートの各ウェルに、前記1.で作製した各希釈系列の抗原標準液を、それぞれ30μL/wel添加した。上記イムノプレートとしては、イムノモジュールプレート(nunc社製、製品名:CN-468667、8連)に対して常法により抗hEGFモノクローナル抗体(R&D社製、製品名:Cat#MAB636)を固相化したプレートを用いた。
混合後のプレートにプレートシールを貼り、プレートミキサーで攪拌しながら室温下 (20〜30℃)で60分間攪拌し、hEGFリコンビナント抗原と一次抗体との反応を行った。反応終了後、アスピレーターで各ウェル内の液を除去した。
その後、各ウェルに、洗浄液(0.05% Tween20-Tris-HCl(pH7.4)及び0.5M NaCl)を400μL/well 添加し、20秒静置した後、アスピレーターで洗浄液を除去した。同様の洗浄操作をさらに2回繰り返した(計3回洗浄)。
3.標識化抗体の感作
実施例で得られた各オリゴヌクレオチド標識化抗体の溶液(原液)50μLに、標識化抗体希釈液(1% BSA-PBS)12.5 mLを添加して、約250倍希釈した。
上記2.の洗浄後の各ウェルに、希釈後のオリゴヌクレオチド標識化抗体の溶液を50μL/well添加した。添加後、室温下 (20〜30℃)で60分間放置し、一次抗体に結合したhEGF抗原と、各オリゴヌクレオチド標識化抗体との反応を行った。反応終了後は、アスピレーターで各ウェル内の液を除去した。
その後、各ウェルに、洗浄液(0.05% Tween20-Tris-HCl(pH7.4)及び0.5M NaCl)を400μL/well 添加し、20秒静置した後、アスピレーターで洗浄液を除去した。同様の洗浄操作をさらに2回繰り返した(計3回洗浄)。
4.増幅工程(オリゴヌクレオチド鎖の増幅)
(1) EcoRI処理
上記3.の洗浄後の各ウェルに、EcoRI酵素溶液(和光純薬工業社製)を添加して、オリゴヌクレオチド標識化抗体におけるオリゴヌクレオチド鎖を切断した。
具体的には、まずEcoRI酵素溶液を下記の容量比で調製した(EcoRI制限酵素付属のプロトコルに準拠)。

EcoRI (20unit/μL): 0.4
10×Buffer: 4
滅菌水: 35.6
合計: 40

次いで、各ウェルに、調製したEcoRI酵素溶液を30μL/well添加した。添加後のプレートを37℃に静置して30分間反応させた。反応後、各ウェル内の液を回収して遠心し、上清(EcoRI処理後のオリゴヌクレオチド断片を含む)を得た。
(2) リアルタイムPCR
各ウェルに由来する遠心後の上清を、それぞれ鋳型DNA溶液とし、下記のプライマー(5-MUSTag-Forw3、3-MUSTag-GEX)及びTaqManプローブ(#1-FAM)を使用してリアルタイムPCRを行った。5-MUSTag-Forw3は、5'プライマーとして使用し、3-MUSTag-GEXは、3'プライマーとして使用した。
<5'プライマー>
5-MUSTag-Forw3:
5'-TGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATA-3' (配列番号17)
<3'プライマー>
3-MUSTag-GEX:
5'-GGCAAGCCACGTTTGGTG-3' (配列番号18)
<TaqManプローブ>
#1-FAM:
5'-[FAM]- CCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTT -[BHQ]-3' (配列番号19)
上記リアルタイムPCRは、MX-3005pリアルタイムPCR装置(ストラタジーン社製)を使用し、下記の反応液組成、及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(遠心後の上清): 3μL
2×Buffer: 10μL
(TaqMan Universal PCR master mix;Applied Biosystems社)
5'プライマー
5- MUSTag-Forw3 (20μM): 0.4μL
3'プライマー
3-MUSTag-GEX (20μM): 0.4μL
TaqManプローブ
#1-FAM (2.5μM): 1μL
Reference Dye (Rox II): 0.4μL
滅菌水: 適量 (約4.8μL)
合計: 20μL
《反応条件》
初めに95℃で10分間の熱変性、次いで「98℃で15秒間の熱変性・解離 → 60℃で60秒間のアニーリング・合成・伸長(いわゆる2ステップ法)」を1サイクルとするサイクル条件で、計40サイクル。
6.検出工程(増幅産物の検出)
リアルタイムPCRによるDNA鎖の合成反応に伴い変動する蛍光量を、反応開始後1分毎に測定することにより、hEGFリコンビナント抗原の各希釈系列のウェルごとに、増幅断片の検出の可否、及び増幅量の変化を観察した。
7.結果
上記6の検出結果を、図6〜図8に示す。具体的には、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体を用いて検出を行った結果を図6、本発明のオリゴヌクレオチド標識化抗体を用いて検出を行った結果を図7に示した。また、本発明のオリゴヌクレオチド標識化抗体に用いた抗hEGF抗体(IgG抗体)と同じ抗体を常法に従ってHRP標識して得られた標識化抗体を用い、通常のELISA法で検出した結果を図8に示した。
対照オリゴヌクレオチド標識化抗体を用いた場合は、抗原濃度に依存的な検出結果は認められず、いずれの抗原濃度においてもΔct値が15〜16となる検出結果しか得られなかった。リアルタイムPCRにおいて、Δct値は、「PCRにより増幅されたオリゴヌクレオチド断片の量が一定値を超えたときのPCRサイクル数」を示す値である。すなわち、この値が小さいほど、反応系に含まれるオリゴヌクレオチド断片の量が多いことを意味する。しかし、図7からもわかるように、抗原量が少ないか又は抗原が含まれないものは、Δct値が30を超える結果が得られた(オリゴヌクレオチド断片の希釈系列を作製してリアルタイム解析を行っても同様の結果が得られた(データは示さず))。この結果は、抗原プレート上に非常に多くのオリゴヌクレオチド鎖が存在していることを意味する。すなわち、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体を用いた場合は、プレート表面に対して、当該標識化抗体の多量の非特異的吸着が生じたと言え、これは当該標識化抗体に用いたプロテインGの非特異的吸着性に起因するものと考えられる。そのため、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体を用いた場合は、バックグラウンドが大きくなり、特異的に抗原物質の検出を行うことができなかった。
一方、本発明のオリゴヌクレオチド標識化抗体を用いて検出を行った場合は、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体を用いた場合のようなバックグラウンドはなく、非常に良好な結果が得られた。また、本発明の標識化抗体を用いた場合は、ELISAによる検出(検出限界:8pg/mL(図8))と同じ抗体を使用したにも関わらず、その検出限界は6.4fg/mLであり、ELISAに比べて1,250倍もの感度向上が認められた。また、対照オリゴヌクレオチド標識化抗体を用いた場合に比べて、「混合操作のみで標識化物質を抗体に結合できる」、「操作手順が少ない」、「反応時間が短い」等の長所が認められた。
==標識化抗体を用いたHCV抗原の検出==
1.HCV抗原の標準希釈系列(被験サンプル)の作製
C型肝炎ウイルスの定量検出用キットである「オーソHCV抗原ELISAテスト」(オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社製)を入手し、当該キットに付属のHCVリコンビナント抗原標準液 (HCV濃度:3600 fmol/L = 72 pg/mL) と標準希釈液とを使用して、HCVリコンビナント抗原溶液の希釈系列を作製した。
具体的には、下記表に示す通り、まず抗原標準液 (72 pg/mL) 80mLに標準希釈液208mLを加えて3.6倍希釈し、20 pg/mLの抗原標準液を調製した。次いで、この20 pg/mLの抗原標準液を標準希釈液で5倍希釈して4 pg/mLの抗原標準液を調製し、その後、同様に5倍希釈の作業を4回繰り返して、0.0064 pg/mL(6.4 fg/mL)の抗原標準液の希釈系列を作製した。
2.HCV患者血清
C型肝炎ウイルスに感染していることが明白である患者の凍結血清を3検体用意した。
使用に際し、夾雑物を除く目的で各サンプルを15,000rpm 15分 (4℃)で遠心分離した後、上清のみを用いた。
これらのサンプルはすべて含まれるHCVウイルスのコピー数が明らかであったので、下記表の通り、HCV定量検出用キット(前記「オーソHCV抗原ELISAテスト」)に付属の標準希釈液を用いて20万ウイルス/mLに調整後、5倍希釈操作を繰り返した。
3.一次反応工程(HCV抗原の感作)
まず、HCVに対する一次抗体が固相化されたマルチウェルプレート(前記キットに付属)の各ウェルに、反応液(前記キットに付属)を100μL/well添加した。次いで、反応液を添加した各ウェルに、前記1.で作製した各希釈系列の抗原標準液ならびに前記2.で調整した患者血清を、それぞれ100μL/well添加した。添加後、各ウェル内でピペッティングし、反応液と抗原標準液とを均一に混合した。
混合後のプレートを、室温下 (20〜30℃)、プレートミキサーで60分間攪拌し、HCVリコンビナント抗原と一次抗体との反応を行った。反応終了後は、アスピレーターで各ウェル内の液を除去した。
その後、各ウェルに、洗浄液(前記キットに付属;MilliQで10倍希釈したものを使用)を400μL/well 添加し、20秒静置した後、アスピレーターで洗浄液を除去した。同様の洗浄操作をさらに5回繰り返した(計6回)。
4.二次反応工程(HCV二次抗体の感作)
HCVに対するHRP標識二次抗体溶液(前記キットに付属)50μLに、抗体希釈液(前記キットに付属)5 mLを添加して、約100倍希釈した。
前記2.の洗浄後の各ウェルに、希釈後の二次抗体溶液を200μL/well添加した。添加後、室温下 (20〜30℃)で30分間放置し、HCVリコンビナント抗原と二次抗体との反応を行った。反応終了後は、アスピレーターで各ウェル内の液を除去した。
その後、各ウェルについて、前記2.と同様の洗浄操作を、同回数(計6回)行った。
5.結合工程(オリゴヌクレオチド標識化抗体の感作)
(1) オリゴヌクレオチド標識化抗体の作製
まず、以下の手順により、所定のオリゴヌクレオチドで標識処理した抗HRP抗体を作製した。
(1-1) オリゴヌクレオチド鎖の調製
Pin1をインサートしたpcDNA3.1(Invitrogen社製)を鋳型DNAとし、下記のプライマー(5-MUSTagBio、3-MUSTag515)を使用してPCRを行うことにより、5'末端がビオチン化された550merのオリゴヌクレオチド鎖を調製した。ここで5-MUSTagBioは、5'末端にビオチンが結合したものであり、5'プライマー(Fプライマー)として使用した。また、3-MUSTag515は、3'プライマー(Rプライマー)として使用した。
<5'プライマー>
5-MUSTagBio:
5'-Biotin-CGGAATTCGCGGACGAGGAGAAGCTGCCGCCCGGCTGG-3' (配列番号15)
<3'プライマー>
3-MUSTag515:
5'-AGCTTGACGGGGAAAGCCGG-3' (配列番号16)
上記PCRは、下記の反応液組成、及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(100μg/μl): 1μL
TaqDNAポリメラーゼ: 2.5unit
5'プライマー(20μM): 2μL
3'プライマー(20μM): 2μL
dNTP(2.5mM each): 8μL
10×Buffer: 10μL
滅菌水: 適量 (約77μL)
合計: 100μL
《反応条件》
「95℃で60秒間の熱変性・解離 → 55℃で60秒間のアニーリング → 72℃で30秒間の合成・伸長」を1サイクルとするサイクル条件で、計35サイクル。
上記各PCR後の増幅産物は、PCR後に遠心して得られた上清をMinElute PCR Purification spin column(キアゲン社製)にてフィルター精製することにより、単一なビオチン化オリゴヌクレオチド断片に精製した。
(1-2) オリゴヌクレオチド標識化抗体の作製
(1-2-1) ビオチン化オリゴヌクレオチド鎖と、融合タンパク質との結合
上記(1-1)で得られたビオチン化オリゴヌクレオチド鎖と、実施例で得られた融合タンパク質とを、それぞれ等モルずつ添加混合し、室温で30分インキュベートした。これにより、ビオチン化オリゴヌクレオチド鎖と、融合タンパク質とが、いわゆるビオチン−アビジン結合してなるオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体(約66kDa)を作製した。
(1-2-2) オリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体と、IgG抗体との結合
上記(1-2-1)で得られたオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体と、抗HRP抗体(IgG抗体)とを、それぞれ等モル(100pmol)ずつ添加混合した。具体的には、1 mg/mlの上記結合体溶液6.6μlと、500 mg/mlの抗HRP抗体溶液30μlとを混合した。ここで、抗HRP抗体としては、Anti-HRP, Goat-Poly(Gentex.Inc. cat#. GTX72888)を用いた。その後、室温で30分インキュベートした。これにより、上記結合体と抗HRP抗体とが結合してなるオリゴヌクレオチド標識化抗体を作製した。
(1-2-3) 標識化抗体の精製
上記(1-2-2)で得られたオリゴヌクレオチド標識化抗体を含む混合物を、0.45μmフィルターでろ過した。液体クロマトグラフィー(Phamasia SMART Systemを用いたゲルろ過法)によるフラクション分けを行い、オリゴヌクレオチド標識化抗体のみを精製し回収した。回収したオリゴヌクレオチド標識化抗体溶液は、2μg/mLの濃度に調整し、4℃下に保存した。
(2) オリゴヌクレオチド標識化抗体の感作
上記(1-2)で得られたオリゴヌクレオチド標識化抗体の溶液(原液)4μLに、PBS1mLを添加して、約250倍希釈した。
前記3.の洗浄後の各ウェルに、希釈後のオリゴヌクレオチド標識化抗体溶液を50μL/well添加した。添加後、室温下 (20〜30℃)で60分間放置し、二次抗体に標識されたHRPと、上記(1)で得たオリゴヌクレオチド標識化抗体との反応を行った。反応終了後は、アスピレーターで各ウェル内の液を除去した。
その後、各ウェルに、PBSを400μL/well 添加し、20秒静置した後、アスピレーターで洗浄液を除去した。同様の洗浄操作をさらに2回繰り返した(計3回)。
5.増幅工程(オリゴヌクレオチド鎖の増幅)
(1) EcoRI処理
上記4.の洗浄後の各ウェルに、EcoRI酵素溶液を添加して、オリゴヌクレオチド標識化抗体におけるオリゴヌクレオチド鎖を切断した。
具体的には、まずEcoRI酵素溶液を下記の容量比で調製した。

EcoRI (20unit/μL): 0.4
10×Buffer: 4
滅菌水: 35.6
合計: 40

各ウェルに、調製したEcoRI酵素溶液を40μL/well添加した。添加後のプレートを37℃に静置して30分間反応させた。
反応後、各ウェル内の液を回収して遠心し、上清(EcoRI処理後のオリゴヌクレオチド断片を含む)を得た。
(2) リアルタイムPCR
各ウェルに由来する遠心後の上清を、それぞれ鋳型DNA溶液とし、下記のプライマー(5-MUSTag-Forw3、3-MUSTag-GEX)及びTaqManプローブ(#1-FAM)を使用してリアルタイムPCRを行った。5-MUSTag-Forw3は、5'プライマーとして使用し、3-MUSTag-GEXは、3'プライマーとして使用した。
<5'プライマー>
5-MUSTag-Forw3:
5'-TGCATCTAGAGGGCCCTATTCTATA-3' (配列番号17)
<3'プライマー>
3-MUSTag-GEX:
5'-GGCAAGCCACGTTTGGTG-3' (配列番号18)
<TaqManプローブ>
#1-FAM:
5'-[FAM]- CCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTT -[BHQ]-3' (配列番号19)
上記リアルタイムPCRは、MX-3005pリアルタイムPCR装置(ストラタジーン社製)を使用し、下記の反応液組成、及び反応条件で行った。
《反応液組成》
鋳型DNA(遠心後の上清): 3μL
2×Buffer: 10μL
(TaqMan Universal PCR master mix;Applied Biosystems社)
5'プライマー
5- MUSTag-Forw3 (20μM): 0.4μL
3'プライマー
3-MUSTag-GEX (20μM): 0.4μL
TaqManプローブ
#1-FAM (2.5μM): 1μL
Reference Dye (Rox II): 0.4μL
滅菌水: 適量 (約4.8μL)
合計: 20μL
《反応条件》
初めに95℃で10分間の熱変性、次いで「98℃で15秒間の熱変性・解離 → 60℃で60秒間のアニーリング・合成・伸長(いわゆる2ステップ法)」を1サイクルとするサイクル条件で、計40サイクル。
6.検出工程(増幅産物の検出)
リアルタイムPCRによるDNA鎖の合成反応に伴い変動する蛍光量を、反応開始後1分毎に測定することにより、HCVリコンビナント抗原の各希釈系列のウェルごとに、増幅断片の検出の可否、及び増幅量の変化を観察した。
7.結果
上述したように、本発明の検出方法により、HCVリコンビナント抗原の希釈系列(72 pg/ml〜0.9 fg/ml)を被験サンプルとして当該抗原の検出を試みた結果、抗原濃度0.02 pg/ml(20 fg/ml)までの抗原を検出することが可能であった(図9参照)。
一方、3名のC型肝炎患者サンプルにおいては、いずれの患者からも8000 copy/mLの感度でHCV抗原の検出が可能であった(図10参照)。通常、ELISA法では50 fmol/mLすなわち2〜3万copyの検出が限界であるとされており、本発明の検出方法を用いることで、より一層高感度に血中ウイルスを検出が可能であることが示された。
比較例
<多量体を形成しうるストレプトアビジンとの融合タンパク質を用いた場合>
プロテインGの一部からなるタンパク質(IgG抗体Fc領域との結合領域を含むタンパク質)と、多量体を形成しうるストレプトアビジンの一部からなるタンパク質とを構成成分として含む融合タンパク質を合成し、その合成効率を検討すると同時に、当該融合タンパク質でオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体を作成し、本発明にかかる融合タンパク質と比較した。
1.多量体を形成しうるストレプトアビジンとの融合タンパク質の合成
まず、実施例と同様の方法で、多量体を形成しうるストレプトアビジンの一部を有する融合タンパク質を合成した。
ストレプトアビジンの一部の配列はアミノ酸 16番目〜133番目とし、米国特許5328985号公報に従って、このアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列を有するDNA鎖(米国特許5328985号公報;Proc. Natl. Acad. Sci., 87:142(1990);J. Biol. Chem., 265:3369 (1990))を合成した。このDNA鎖を、実施例で用いた、融合タンパク質を産生する組換えベクターにおけるアビジン由来のタンパク質をコードする領域と、XbaI及びBamHIを用いて置換して、多量体を形成しうるストレプトアビジンの一部からなるタンパク質を含む融合タンパク質を発現するコントロール組換えベクターを作製した。そして、実施例と同様の条件で融合タンパク質を発現させた。結果を図11に示す。なお、図中A,Bとあるのは、組換えベクターを有する異なる大腸菌クローンである。またNCでは、実施例で用いた組み換えベクターからアビジン由来のタンパク質をコードする領域を制限酵素で切断した時に、blunt-endにした後セルフライゲーションして作成したネガティブ・コントロールのベクターであって、プロテインGの一部のみを発現し、融合タンパク質は発現しないベクターを用いた。
その結果、比較例の融合タンパク質は、細胞を可溶化した上清にはほとんど現れず、細胞沈渣に多量に含まれていた。これは比較例の融合タンパク質を大腸菌による発現システムで発現させようとしたとき、合成されたタンパクが菌内で封入体を作り、実施例に記載の穏やかな可溶化法では溶出できないことを示す。
そこで、米国特許5328985号に示されるように、培養液から得られた細胞沈渣を7Mグアニジン塩酸で37℃ 1時間の可溶化処理を行った後、150 mM NaCl - 50 mM Tris-HCl(pH 7.5) - 0.05% Tween 20バッファを数回交換しながら24時間の透析によるrefoldingを行った。透析したタンパク質溶液を回収後、Niビーズによる回収法によって合成タンパクを回収し、電気泳動法で確認した。結果を図12に示す。
その結果、実施例による可溶化処理(レーン1)に比べ、7Mグアニジン塩酸による可溶化処理によって、細胞沈渣に融合タンパクがほとんど検出できなくなった(レーン2)。また、グアニジン塩酸を用いて可溶化した上清(レーン4)からNi-ビーズを用いた精製法により融合タンパクを回収・精製し泳動した結果、実施例の可溶化方法で得られた上清(レーン3)から得られるより、遙かに大量の合成タンパクが得られた。
以上の結果は、選択されたストレプトアビジンの部位が実施例(本発明)と比較例(米国特許5328985号公報)とで異なっており、実施例では、単量体を形成しうるストレプトアビジンの部位を用いたのに対し、比較例では多量体を形成しうるストレプトアビジンの部位を用いたためであると考えられる。
2.比較例の融合タンパク質を用いたオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体の作成
実施例と同様にして、比較例の融合タンパク質及び抗ヒトIL-15抗体を用いてオリゴヌクレオチド標識化抗体を作成した。そして、実施例と同様にして、段階希釈したヒトIL-15抗原に対し、IL-15抗原の検出を行った。結果を図13に示す。
RT-PCR法により得られた結果を基に、縦軸にct値、横軸に抗原濃度(log10 / 単位 pg/mL)をプロットした(図13A)。なお、図13A中、実線は各グラフにおける最小二乗法でのR2>0.95となる漸近線、すなわち測定限界を示す。また、図13Aのグラフをネガティブ・コントロールの値で標準化し、グラフ化した(図13B)。なお、得られた結果を元に最小二乗法にて検出限界を算出し、グラフ内にて矢印で示した。
図13で明らかなように、検出限界、定量限界ともに、比較例の融合タンパク質より、本発明の融合タンパク質を用いたほうが、より低濃度での検出が可能であり、より高感度なオリゴヌクレオチド標識化抗体が作成できた。
以上の結果は、比較例の融合タンパク質が、グアニジン塩酸による過激な処理によって変性した後、refoldingしたものであるため、穏やかな可溶化処理によって回収可能な本発明の融合タンパク質より、IgG結合能、あるいはビオチン結合能が劣るためであると考えられる。
3.結論
このように、本発明にかかる融合タンパク質は、単量体を形成しうるストレプトアビジンの部位を用いることによって、グアニジン塩酸法などの激しい可溶化方法を用いることなく、穏やかな可溶化処理によって多量に回収可能であり、しかも、得られた融合タンパクで合成されたオリゴヌクレオチド鎖−融合タンパク質結合体の性能が改善されているという点で、多量体を形成しうるストレプトアビジンの部位を用いた融合タンパク質に比べてはるかに優れた機能を有する。
本発明によれば、標的抗原の検出法に用いる標識化抗体を作製するにあたり、カップリング法等の化学結合法を用いる必要がなく、かつ非特異結合を十分に抑制することが可能なアンカー物質として、プロテインGとアビジン類との融合タンパク質を提供することができる。また、本発明によれば、当該融合タンパク質を用いて作製した標識化抗体、当該抗体を使用した標的抗原の検出方法、及び、当該抗体を含む標的抗原検出用キット等を提供することができる。
本発明の融合タンパク質は、抗体の抗原認識能を損なうことなく、標的抗原検出時のバックグラウンドを効果的に低減し得る標識化抗体を作製することができる点で、極めて有用なものである。また、そのような標識化抗体を使用した標的抗原の検出方法は、従来と同様の方法で標識化した抗体を使用した場合と比較しても格段に高い検出感度が得られる点で、例えば、極めて微量段階での検出が疾患の予防、診断及び治療等に大きな影響を与える医療分野(例えばC型肝炎ウイルスの検出)において、特に有用なものである。

Claims (29)

  1. プロテインG又はIgG抗体のFc領域との結合活性を有する、プロテインGの一部のアミノ酸配列と、アビジン類の一部である、以下の(a)又は(b)のアミノ酸配列とを含んでなる融合タンパク質。
    (a)配列番号8に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号8に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつビオチンとの結合活性を有するアミノ酸配列
  2. アビジン類が、アビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンである、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. プロテインGの一部のアミノ酸配列が、以下の(a)又は(b)のアミノ酸配列である、請求項1記載の融合タンパク質。
    (a)配列番号6に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号6に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつIgG抗体のFc領域との結合活性を有するアミノ酸配列
  4. 以下の(a)又は(b)のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (a)配列番号10に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号10に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するアミノ酸配列
  5. 請求項1又は記載のタンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子。
  6. 以下の(a)又は(b)の塩基配列と、以下の(c)又は(d)の塩基配列とを含む遺伝子。
    (a)配列番号5に示される塩基配列
    (b)配列番号5に示される塩基配列に対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
    (c)配列番号7に示される塩基配列
    (d)配列番号7に示される塩基配列に対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であり、かつビオチンとの結合活性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
  7. 以下の(a)又は(b)の塩基配列を含む遺伝子。
    (a)配列番号9に示される塩基配列
    (b)配列番号9に示される塩基配列に対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAの塩基配列であり、かつIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
  8. 請求項5−7のいずれか1項に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  9. 請求項記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  10. 請求項記載の形質転換体を培養する工程と、得られる培養物からIgG抗体のFc領域との結合活性及びビオチンとの結合活性を有するタンパク質を採取する工程とを含む、当該タンパク質の製造方法。
  11. IgG抗体、請求項1又は記載の融合タンパク質、及びビオチン化標識物質を含んでなる、標識化抗体。
  12. 標識物質がオリゴ核酸鎖である、請求項11記載の標識化抗体。
  13. IgG抗体と請求項1又は記載の融合タンパク質とを含んでなる、抗体−融合タンパク質結合体。
  14. 請求項1又は記載の融合タンパク質とビオチン化標識物質とを含んでなる、融合タンパク質−標識物質結合体。
  15. 請求項1又は記載の融合タンパク質、請求項13記載の結合体、及び請求項14記載の結合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、抗体標識用キット。
  16. さらにIgG抗体及び/又はビオチン化標識物質を含む、請求項15記載のキット。
  17. 被験試料に含まれる標的抗原を検出する方法であって、標的抗原と請求項11記載の標識化抗体とを接触させて抗原−抗体複合体を形成させる工程、及び当該複合体中の標識を検出する工程を含む、前記方法。
  18. 標的抗原が複数種類であり、かつ、標識化抗体として当該標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体を用いる、請求項17記載の方法。
  19. 標的抗原がC型肝炎ウイルス抗原である、請求項17記載の方法。
  20. 請求項11記載の標識化抗体を含む、標的抗原検出用キット。
  21. 前記標識化抗体は、標的抗原の種類に対応して識別し得るように標識処理された複数種類の標識化抗体である、請求項20記載のキット。
  22. 請求項13記載の結合体及びビオチン化標識物質、又は、請求項14記載の結合体及びIgG抗体を含む、標的抗原検出用キット。
  23. 標的抗原がC型肝炎ウイルス抗原である、請求項20又は22記載のキット。
  24. 表面がビオチン化された支持体、請求項1又は記載の融合タンパク質、及びIgG抗体を含んでなる、抗体固定化支持体。
  25. 被験試料中の標的抗原を回収する方法であって、被験試料と請求項24記載の支持体とを接触させる工程、及び当該接触後の前記支持体を回収する工程を含む、前記方法。
  26. 請求項24記載の支持体を含む、抗原回収用キット。
  27. 請求項1又は記載の融合タンパク質と、表面がビオチン化された支持体とを含んでなる、融合タンパク質固定化支持体。
  28. 被験試料中のIgG抗体を回収する方法であって、被験試料と請求項27記載の支持体とを接触させる工程、及び当該接触後の前記支持体を回収する工程を含む、前記方法。
  29. 請求項27記載の支持体を含む、抗体回収用キット。
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