JPWO2006043334A1 - 放熱用シリコーン組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(A)下記一般式(1)で示されるパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル、(B)シリコーンオイル及び(C)放熱用フィラーを含む放熱用シリコーン組成物である。式中、R1;炭素数1〜12の飽和炭化水素基、R2;水素または炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R3;アリール基、Rf;炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、R4;R1、R2、R3、Rf、OH基より選ばれる基、l、mは少なくとも平均して1以上の数で、且つl+m+nは2以上の数である。

Description

本発明は放熱用シリコーン組成物である。
電気、電子部品の多くは、使用中に熱を生じ、その電気、電子部品を適切に駆動させるためには、その電気、電子部品より熱を効率よく除く必要がある。特にコンピューターなどに搭載されている、CPU(Central Processing Unit)は、その能力を充分に駆動させるため、各種の放熱方法により、発生する熱を放出する必要がある。近年、CPUの能力の向上により、その発熱量は増大し、除熱、放熱をさせるための手段が必要とされる。
この電気、電子部品の除熱の手段として各種の方法が提案されている。半導体チップから発生する熱を外に放出するため、ヒートシンクなどの放熱部材が用いられる。そして、通常、半導体チップを内蔵した半導体パッケージとヒートシンクなどとの間には接触熱抵抗を低減させるため熱伝導性に優れた放熱材料を使用している。この種の材料としては、グリースやコンパウンドが使用されている。
従来より、この種の放熱グリース、コンパウンドとしては、ジメチルシリコーンオイルを基油とし、これに酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの無機化合物を配合したものが知られている。
しかしながら、このような放熱用グリース、コンパウンドは、作業性に優れ、高い放熱効果を示す特徴を有するものの、ジメチルシリコーンオイルが、高温条件下における長期使用時に染み出し、パッケージの汚れ等に影響する問題がある。
そこで、基油のポリシロキサン側鎖に各種の基を導入することにより、浸潤性を改良することが試みられ、メチルフェニルシリコーンオイルやアルキル変性シリコーンオイルなどが開発されている。
しかしながら、メチルフェニルシリコーンオイルは、あまり効果がなく、一方、側鎖にデシル基やドデシル基のようないわゆる長鎖アルキル基を導入したアルキル変性シリコーンオイルを単独で使用したものは、浸潤性は改善されるものの、放熱性がジメチルシリコーンオイルを用いたものに比べ低くなり、また、耐熱性に不具合を生じる問題がある。
上述したようにジメチルシリコーンオイルに金属酸化物を配合したグリースは、熱安定性や放熱性に優れるものの被塗布物に対する浸潤性が高いという問題がある。一方、アルキル変性オイル単独で使用したものは、浸潤性は改善されるものの放熱性が低く、高い温度による安定性に不具合を生じるという問題がある。
本発明は上記のような従来技術の課題に対処してなされたもので、被塗布物に対する浸潤性が低く、且つ、熱安定性や放熱性に優れた放熱用シリコーン組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アルキル変性シリコーンオイルに、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを配合することにより、放熱性を高めることができ、被塗布物に対する浸潤性が低く、かつ、熱安定性や放熱性に優れた放熱グリースが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(A)下記一般式(1)で示されるパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル、(B)シリコーンオイル及び(C)放熱用フィラーを含む放熱用シリコーン組成物である。
Figure 2006043334
式中、R;炭素数1〜12の飽和炭化水素基、R;水素または炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R;アリール基、R;炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、R;R、R、R、R、OH基より選ばれる基、l、mは少なくとも平均して1以上の数で、且つl+m+nは2以上の数である。
本発明は、上記シリコーン組成物の放熱材料としての用途または上記シリコーン組成物を放熱を必要とする個所に適用することを含む放熱する方法も提供する。
発明の詳細な説明
以下に本発明の放熱用シリコーン組成物の備える各成分について説明する。
(A)成分のパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル
本発明の特徴である上記一般式(1)で示されるパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルについて説明する。
上記一般式(1)において、官能基の内、R、R、Rは同種の官能基であることが好ましく、更にはメチル基であることが好ましい。また、Rはフェニル基、Rは炭素数のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。l、m、nの数については、lは0.5〜20個、mは0.5〜10個、nは0.5〜10個であることが好ましい。
(B)成分のシリコーンオイル
(B)成分のシリコーンオイルは、本発明の放熱用シリコーン組成物のベースとなるものである。一般式(2)で示され、25℃における粘度が10〜100,000cStであるシリコーンオイルである。
Figure 2006043334
一般式(2)において、R11は、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、アリル基およびフェニル基から選ばれる少なくとも1種であるが、合成の容易なことからメチル基であることが好ましい。R12は、炭素数6〜20のアルキル基またはアラルキル基であり、好ましくは、炭素数8〜14のアルキル基またはアラルキル基である。炭素数6〜20のアルキル基またはアラルキル基の具体例としては、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどのアルキル基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルなどのアラルキル基などが挙げられる。本発明においては、特に浸潤性の観点からデシル基、ドデシル基であることが好ましい。
(C)放熱用フィラー
放熱用フィラーは、アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等から選ばれる。被塗布物表面の損傷を出来るだけ抑制するため、放熱用フィラーの粒径は、100μm以下が好ましい。より好ましくは、40μm以下である事が好ましい。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本願の請求項記載発明の放熱用シリコーン組成物において、(B)成分のシリコーンオイル100重量部に対して、(A)成分のパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル0.5〜50重量部を添加することを特徴とするものである。
(B)成分のシリコーンオイル100重量部に対して、(A)成分のパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルは、好ましくは0.5から10重量部である。
(A)パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルが、(B)成分のシリコーンオイル100重量部に対して0.5重量部以下であると、放熱性、熱的安定性に関して効果を発揮しなく、50重量部以上であるとハンドリングに支障があり好ましくない。
また、前記(B)成分は一般式(2)のR11がメチル基で、R12が炭素数4〜14のアルキル基またはアラルキル基であることを特徴とするものである。R12の炭素数が4以下であると浸潤性が高くなり好ましくなく、14以上であると、室温において固形物となりハンドリングに支障をきたし好ましくない。
上記、放熱用シリコーン組成物において、(B)成分に(A)成分を配合することにより、被塗布物に対する浸潤性が少ないという(B)成分の特徴を保持しつつ、放熱性を向上させ、かつ高温領域下における安定が保持できるものと考えられる。すなわち、単に放熱性を向上させるためには、熱伝導性の良好な無機化合物の充填量を増やせばよいが、あまりに多量に充填すると均一に分散させることが困難となりグリースとしての性状が損なわれるため、充填量に限度がある。(B)成分に(A)成分を用いることにより、このような無機化合物および放熱性フィラーを安定的に充填でき、放熱性を向上させかつ、耐熱性、高温安定性を保持することができる。したがって、本発明によれば、被塗布物に対する浸潤性が少ないうえ、熱安定性や放熱性に優れた放熱用シリコーン組成物を得ることが可能となる。
本発明に用いる前記(C)成分の放熱用フィラーは、アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等から選ばれる無機化合物である。グリースとしての性状を維持しつつ、高熱伝導性を得るためには、(C)成分は、アルミニウム、及び、酸化亜鉛を必須成分とし、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素等から選ばれるフィラーを少なくとも1種含有する3成分以上の混合物が好ましい。より好ましくは、前記(C)成分は、アルミニウム、窒化アルミニウム、及び、酸化亜鉛を必須成分とし、酸化アルミニウム、窒化ホウ素等から選ばれるフィラーを少なくとも1種含有する4成分以上の混合物が好ましい。
本発明の組成物には、上記した成分以外に、目的に応じて各種の添加剤、例えば、一般にシリコーンゴム等の配合に使用されている公知のもの、フュームドシリカ、湿式シリカ、焼成シリカ等の補強性シリカや、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン等の金属酸化物及びその複合物、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、カーボン等の無機充填剤を添加することができ、また目的とする特性を損なわない限り顔料、耐熱剤、難燃剤、可塑剤、増粘剤、粘着性付与剤等を添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
本発明のパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを配合することにより、起泡の発生自体が少なくなり、脱泡する手間が少なくなるばかりではなく、起泡しても破泡しやすくなり、脱泡、消泡効果に極めて良好な効果を示す。
本発明においては、放熱用シリコーン組成物の調製手法自体は、従来公知の方法を採用することができる。
本発明によれば、アルキル変性シリコーンオイルに、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを適当量配合することにより、放熱性を高めることができ、被塗布物に対する浸潤性が低く、かつ、熱安定性や放熱性に優れた放熱グリースが得られる。また、本発明のパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを配合することにより、起泡の発生自体が少なくなり、脱泡する手間が少なくなるばかりではなく、起泡しても破泡しやすくなり、脱泡、消泡効果に極めて良好な効果を示す。更に、放熱性フィラー組成を規定する事により、グリースとしての性状を維持しつつ、放熱性をより向上させ、かつ、耐熱性、高温安定性を有する放熱用シリコーン組成物を得ることが出来る。
実施例及び比較例から分かるように、本発明の放熱用シリコーン組成物は、アルキル変性シリコーンオイルに、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを適当量配合することにより、放熱性を高めることができるという特徴を有している。また、得られた放熱用シリコーン組成物は、高い放熱性を有すると共に、高温にさらされた場合でも離油度、蒸発量が良好という特徴を有している。
以下、実施例と比較例を示すが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
放熱用シリコーン組成物の調整及び試験項目
以下に示す実施例の表にあるとおり、原料を秤取り、撹拌装置及び脱泡装置付き加熱釜(プラネタリーミキサー)を用いて、加熱脱泡混練りして均質化した。得られた放熱用シリコーン組成物について、グリースとしてのちょう度、離油度、蒸発量の特性を、JIS−K−2220に準じてそれぞれ測定した。但し、離油度の試験条件を150℃で24時間とし、蒸発量の条件を99℃で22時間とした。また、熱伝導率は、測定原理に熱線プローブ法を採用した迅速熱伝導率計QTM−500(京都電子工業株式会社製)のを用いて測定した。
尚、実施例に用いたアルキル変性シリコーンオイル(A−1)、及び、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル(F−1、F−2)の詳細は、表1および表2の通りである。
表3及び表4には、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルの有無による特性差違の確認を目的として、表中の各成分で、実施例と全く同様にしてグリースを調整した。また、実施例と全く同様に、ちょう度、離油度、蒸発量、及び、熱伝導率を測定した。
結果は、表3及び表4から明らかなように、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを含有することにより、放熱性を高めることができ、被塗布物に対する浸潤性が低く、かつ、熱安定性や放熱性に優れた放熱グリースが得られることが分かる。但し、アルキル変性シリコーンオイルを用いず、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルのみを用いた場合、ちょう度の硬化、即ち、ハンドリングの悪化が顕著になる。
表5には、放熱用フィラーとしてアルミニウムと酸化亜鉛を混合して用いた場合における特性差違の確認を目的として、表中の各成分で、実施例と全く同様にしてグリースを調整した。また、実施例と全く同様に、ちょう度、離油度、蒸発量、及び、熱伝導率を測定した。
放熱用フィラーとして、アルミニウムと酸化亜鉛の混合物を用いた場合においても、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを含有することにより、放熱性を高めることができ、被塗布物に対する浸潤性が低く、かつ、熱安定性や放熱性に優れた放熱グリースが得られることが分かる。
また、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルの添加量は、アルキル変成シリコーンオイル100重量部に対して、0.5〜50重量部が望ましいことが分かる。パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルが、アルキル変性シリコーンオイル100重量部に対して0.5重量部以下であると、放熱性、熱的安定性に関して効果を発揮しなく、50重量部以上であるとハンドリングに支障があり好ましくない。
更に、グリースとしての性状を維持しつつ、高熱伝導性を得るためには、アルミニウム、及び、酸化亜鉛を必須成分とした組成が好ましいことが分かる。尚、この2成分系の放熱用フィラーを用いた場合、酸化亜鉛の含有量をアルミニウムの含有量より多くすることで、特にハンドリングが良好になる。
表6には、放熱用フィラーとしてアルミニウム、窒化アルミニウム、及び、酸化亜鉛を混合して用いた場合における特性差違の確認を目的として、表中の各成分で、実施例と全く同様にしてグリースを調整した。また、実施例と全く同様に、ちょう度、離油度、蒸発量、及び、熱伝導率を測定した。
放熱用フィラーとして、アルミニウム、窒化アルミニウム、及び、酸化亜鉛の混合物を用いた場合においても、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルを含有することにより、放熱性を高めることができ、被塗布物に対する浸潤性が低く、かつ、熱安定性や放熱性に優れた放熱用シリコーン組成物が得られることが分かる。
また、グリースとしてのハンドリング面から、パーフルオロアルキル基含有シリコーンオイルの添加量は、アルキル変成シリコーンオイル100重量部に対して、0.5〜50重量部以下が望ましく、特に、0.5〜1重量部が望ましいことが分かる。
更に、グリースとしての性状を維持しつつ、高熱伝導性を得るためには、3成分系の放熱用フィラーを用いた場合、それぞれの重量部を、アルミニウム>酸化亜鉛>窒化アルミニウムの順で多くすることにより、特にハンドリングが良好になる。
表7には、種々の金属フィラーを用いた場合における性状の確認を目的として、表中の成分で実施例と全く同様にしてグリースを調整した。また、実施例と全く同様に、ちょう度、離油度、蒸発量、及び、熱伝導率を測定した。
表7より、放熱用フィラーとして、アルミニウム、及び、酸化亜鉛を必須成分とし、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素等から選ばれるフィラーを組み合わせることにより、更に高い熱伝導性を有する放熱用シリコーン組成物が得られることが分かる。
Figure 2006043334
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Claims (8)

  1. (A)下記一般式(1)で示されるパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル、(B)シリコーンオイル及び(C)放熱用フィラーを含む放熱用シリコーン組成物。
    Figure 2006043334
    式中、R;炭素数1〜12の飽和炭化水素基、R;水素または炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R;アリール基、R;炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、R;R、R、R、R、OH基より選ばれる基、l、mは少なくとも平均して1以上の数で、且つl+m+nは2以上の数である。
  2. 前記(B)成分が、下記一般式(2)で示され、25℃における粘度が10〜100,000cStのシリコーンオイルである請求項1記載の放熱用シリコーン組成物。
    Figure 2006043334
    式中、R11はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、アリル基およびフェニル基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基、R12は炭素数6〜20のアルキル基またはアラルキル基を表し、pは3〜100の整数を表す。
  3. 前記(B)成分のシリコーンオイル100重量部に対して、前記(A)成分のパーフルオロアルキル基含有シリコーンオイル0.5〜50重量部を含む請求項1または2記載の放熱用シリコーン組成物。
  4. 前記(C)成分はアルミニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等から選ばれる放熱用フィラーを少なくとも1種である請求項1ないし3のいずれかに記載の放熱用シリコーン組成物。
  5. 前記(C)成分はアルミニウム及び酸化亜鉛を必須成分として含む請求項1ないし3のいずれかに記載の放熱用シリコーン組成物。
  6. 前記(C)成分はアルミニウム及び酸化亜鉛を必須成分として含み、さらに窒化アルミニウム、酸化アルミニウム及び窒化ホウ素等から選ばれるフィラーを少なくとも1種含む請求項1ないし3のいずれかに記載の放熱用シリコーン組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のシリコーン組成物の放熱材料としての用途。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載のシリコーン組成物を放熱を必要とする個所に適用することを含む放熱する方法。
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