JPWO2005123805A1 - 芳香族ポリカーボネートを製造するための重合装置 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートを製造するための重合装置 Download PDF

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Abstract

芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから、溶融エステル交換法によって、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、1時間あたり1トン以上の工業的規模で、長期間安定的に製造できるガイド接触流下式重合装置であって、該装置は、重合反応ゾーン及び排出口を有するケーシングを含み、重合反応ゾーンにおいて該ケーシングは、上部周囲側壁によって規定される上部と、該排出口に向かって傾斜し且つ該上部周囲側壁から連続的に下方に延びる下部周囲壁によって規定されるテーパー型下部とで構成され、該重合反応ゾーンはガイドを有し、該ガイド接触流下式重合装置が下記の特性: 該ケーシングの該上部の水平断面の開口部面積Aは0.7〜200m2; 該開口部面積Aの、該排出口の断面の最小開口部面積B(m2)に対する比が、20〜1,000; 該ケーシングの上部周囲側壁と該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面との間の角度C(°)が、該ケーシングの垂直方向の断面において、120〜165°; 該ガイドの長さ及び外部総表面積はそれぞれ150〜3,000cm、2〜5,000m2の範囲にある、を有することを特徴とする重合装置。上記ガイド接触流下式重合装置が複数基からなる重合設備。

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネートを製造するためのガイド接触流下式重合装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを、ガイドの表面に沿って流下せしめ、その流下中に該溶融プレポリマーの重合を行わせて、1時間当り1トン以上の工業的規模の生産量で製造するための特定の構造を有するガイド接触流下式重合装置に関する。
本発明の重合装置は、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、1時間当たり1トン以上の生産量で、長期間(たとえば5,000時間もの長期間)、分子量のバラツキなどなく安定的に製造できる。したがって、本発明の重合装置は、芳香族ポリカーボネートの工業的製造に極めて有利に用いられる。
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)とホスゲンとの界面重縮合法(所謂「ホスゲン法」)が工業化されている。
しかしながら、この界面重縮合法においては、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、健康や環境に問題ありとされている塩化メチレンを重合溶媒としてポリカーボネートあたり10倍以上もの大量使用しなければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウム及び、塩化メチレンなどの塩素含有化合物により装置が腐食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリウム、塩化メチレンなどの塩素系残留不純物の分離が困難なこと、塩化メチレンや未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物(たとえばビスフェノールA)などを含む大量のプロセス廃水の処理が必要なこと等、多くの問題がある。
一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法としては、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物(たとえばビスフェノールA)とジアリールカーボネート(たとえばジフェニルカーボネート)とを溶融状態でエステル交換し、生成する芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)を抜き出しながら重合する溶融法が以前から知られている。溶融法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、次のような問題がある。上記エステル交換反応は平衡反応であってしかもその平衡定数が小さいので、生成する芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)を溶融物の表面から効率的に抜き出さない限り重合が進行しない。しかも、重合がある程度進行するとポリマーの粘度が急上昇し、生成する芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)などを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、実質的に重合度を上げることができなくなるという芳香族ポリカーボネートそのものに基づく本質的な問題があった。すなわち、芳香族ポリカーボネートを製造するための溶融重縮合の場合、ポリアミドやポリエステルなど他の縮合系ポリマーを製造するための溶融重縮合の場合と異なり、低分子量状態、例えば重合度(n)が15〜20程度であっても、その溶融粘度が極端に高くなり、通常の攪拌では表面更新が非常に困難になり、ポリマー表面からの芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)の抜出しが実質的にできなくなり、製品として必要な重合度(n=30〜65程度)のポリマーを製造することができない。このことは、当業界ではよく知られていることである。
従来、芳香族ポリカーボネートを溶融法で製造するための重合器としては、種々の重合器が知られている。例えば、実験室規模の小スケールでは、攪拌機を備えた竪型の攪拌槽型重合器を用いる方法が知られている。この竪型の撹拌槽型重合器は、小スケールの場合、容積効率が高く、シンプルであり、効率的に重合を進めることができるが、工業的規模では、実質的に攪拌が不可能になり、上述したように重合の進行と共に生成する芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)を効率的に系外に抜き出す事が困難となり、その結果、必要な重合度のポリマーが製造できないという深刻な問題を有している。
さらに、大スケールの竪型の撹拌槽型重合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな状態となる。このため、重合度を高めるために真空度を高めていっても、撹拌槽の下部は液深があるために、上部の空間部よりも液深に相当する高い圧力で重合される事になり、芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)は効率的に抜き出すことが困難になってしまう。従って、大スケールの竪型の撹拌槽型重合器は、重合度の低いプレポリマーを製造する場合のみにしか使用することができない。必要な重合度を達成するためには、このプレポリマーからさらに重縮合反応を進行させるための重合器が必須である。
この問題を解決するために、高粘度状態のポリマーから芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)を効率的に抜き出すための種々の工夫がなされている。これらの工夫の大部分は、機械的攪拌の改良に関するものであり、例えば、ベント部を有するスクリュー型重合器を用いる方法(日本国特公昭50−19600号公報(英国特許第1007302号に対応))、噛合型2軸押出機を用いる方法(日本国特公昭52−36159号公報)、また、薄膜蒸発型反応器、例えばスクリュー蒸発器や遠心薄膜蒸発器等を用いる方法(日本国特公昭53−5718号公報(米国特許第3,888,826号に対応))、さらに、遠心薄膜型蒸発装置と横型2軸撹拌式重合器を組み合わせて用いる方法(日本国特開平02−153923号公報)が知られている。
しかし、上記の方法は、いずれも機械的攪拌を行うことを技術の根幹としているため、自ずと限界があり、上記の問題を解決するには至っていない。すなわち、超高溶融粘度に対応できる機械的攪拌そのものに限界があるため、芳香族ポリカーボネートの超高溶融粘度にかかわる種々の問題を解決することができないままである。上記の方法の問題点について具体的に説明する。
上記の方法では、温度を上げその溶融粘度を少しでも下げることにより問題を解決していこうとしている。すなわち、300℃近くの高温、高真空下で溶融プレポリマーを機械的攪拌で表面更新を図りながら重合を行うのがこれらの方法であるが、この温度でもなおその溶融粘度が非常に高いため、その表面更新の程度を高くすることができない。
従ってこれらの方法では製造できるポリカーボネートの重合度に制限があり、高分子量グレードの製品を製造することは困難である。さらに、上記の方法では300℃近くの高温で反応させるため、得られるポリマーの着色や物性低下が起こり易いことに加え、攪拌装置の真空シール部からの空気や異物の漏れこみなどによるポリマーの着色や物性低下も起こり易い。したがって、上記の方法で高品質のポリカーボネートを長期間安定的に製造するためには、なお多くの解決すべき多くの課題がある。
さらに、これらの機械的攪拌方式の重合器は、高温・高真空下の超高粘度の芳香族ポリカーボネートおよびそのプレポリマーを攪拌しなければならないことから、工業的規模の生産量を確保できる設備は非常に高価なものになるし、強力なモーターと多量の電気エネルギーも必要である。
本発明者らは、機械的攪拌を行わないで、溶融プレポリマーをワイヤーなどのガイドに沿わせて自重で落下させながら重合させるガイド接触流下式重合装置を用いる方法を開発することによってこれらの課題を完全に解決できることを見出し、先に出願した。(例えば、日本国特開平08−225641号公報、日本国特開平08−225643号公報、日本国特開平08−325373号公報、国際公開第97/22650号、日本国特開平10−81741号、日本国特開平10−298279号公報、国際公開第99/36457号、及び国際公開第99/64492号)。
しかしながら、これらの方法には、芳香族ポリカーボネートを1時間あたり1トン以上生産できるような工業的規模の装置に関する具体的な開示や示唆はなされていなかった。また上記の出願特許に開示されている比較的小スケールの重合装置を用いた場合であっても、長時間、芳香族ポリカーボネートの製造を行うと、分子量が必要以上に高められたポリマーの小さい塊(通常1mm以下の大きさを有し、他の部分との屈折率が少し異なるために目視にて確認できる)がまれに極少量混在してくる可能性があることがわかった。従って、非常に高い品質の芳香族ポリカーボネートを1時間あたり1トン以上の工業的規模の生産量で数千時間以上、例えば5,000時間以上もの長時間、安定的に製造できる具体的な重合装置の提案が要望されていた。
発明が解決しようとする課題は、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させて得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、1時間当り1トン以上の工業的規模の生産量で、分子量のバラツキが少なく、長期間安定的に製造できる具体的な重合装置を提供することである。
本発明者らは、上記の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、1時間当たり1トン以上の生産量で、長期間(たとえば5,000時間もの長期間)、分子量のバラツキなどなく安定的に製造できる重合装置および重合設備を開発するために、鋭意検討を重ねた。具体的には、本発明者らは、先に提案した溶融プレポリマーをワイヤーなどのガイドに沿わせて落下させながら重合させるガイド接触流下式重合装置を改良することを検討した。その結果、意外にも、特定の構造を有するガイド接触流下式重合装置が、驚くべきことに、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、1時間当り1トン以上の工業的規模の生産量で、長期間(たとえば5,000時間もの長期間)、分子量のバラツキなどなく非常に安定的に製造するのに非常に有効であることを見出した。この知見に基づき、本発明を完成するに到った。
したがって、本発明の1つの目的は、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させて得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから、着色がなく機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを、1時間当たり1トン以上の工業的規模の生産量で、長期間、分子量のバラツキもなく安定的に製造できる重合装置を提供することである。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、添付の図面を参照しながら述べる次の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
本発明の重合装置は、ホスゲン法による芳香族ポリカーボネートの製造プロセスに存在する種々の問題(例えば、毒性の高いホスゲンを大量に使うこと、発ガン性が懸念される塩化メチレンなどを溶媒として大量に使うこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウムおよび、塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難であること等)を解決することができるだけでなく、これまでの溶融エステル交換法プロセスに存在している問題(例えば、重合の進行と共にポリマーの粘度が上昇し、生成するフェノールなどを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重合度を上げにくくなるという本質的な問題)を解決することができ、且つ着色がなく機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを、高い重合速度で、1時間当り1トン以上の工業的規模で、長期間、分子量のバラツキなどなく安定的に製造することができるものである。従って、本発明の重合装置は、芳香族ポリカーボネートの工業的製造設備として極めて優れた効果を有している。
図1は本発明のガイド接触流下式重合装置の好ましい1例の概略図である。 図2は本発明のガイド接触流下式重合装置の好ましい1例であって、ケーシングの上部周囲側壁により規定される上部が円筒形で、ケーシングの下部周囲壁により規定されるテーパー型下部が逆円錐型である重合装置の概略図である。該重合装置のケーシングの円筒形の上部の内径D及び長さL、排出口の内径d及びガイドの長さhの測定方法を示している。
符号の説明
1 溶融プレポリマー供給口
2 分配板
3 溶融プレポリマー供給ゾーン
4 ガイド
5 重合反応ゾーン
6 真空ベント口
7 芳香族ポリカーボネート排出口
8 芳香族ポリカーボネート排出ポンプ
9 所望により使用される不活性ガス供給口
10 重合反応ゾーンのケーシングの上部
11 重合反応ゾーンのケーシングのテーパー型下部
12 芳香族ポリカーボネートの抜き出し口
本発明は、
1.芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから芳香族ポリカーボネートを1時間当たり1トン以上の量で製造するためのガイド接触流下式重合装置であって、該ガイド接触流下式重合装置は、
芳香族ポリカーボネート溶融プレポリマー供給口、該供給口の次に位置し該供給口と連通する芳香族ポリカーボネート溶融プレポリマー供給ゾーン、該溶融プレポリマー供給ゾーンの次に位置し該溶融プレポリマー供給ゾーンと連通する重合反応ゾーン、及び該重合反応ゾーンの次に位置し該重合反応ゾーンと連通する芳香族ポリカーボネート排出口を有するケーシング、
該ケーシングの該重合反応ゾーンに関連して設けられた真空装置、並びに
該ケーシングの該排出口に関連して設けられた排出装置
を包含し、
該重合反応ゾーンは、空間部と、その中に固定され且つ下方に延びるガイドを有し、
該重合反応ゾーンは、該溶融プレポリマー供給ゾーンと複数の孔を有する分配板によって仕切られており、該分配板の該複数の孔を介して該溶融プレポリマー供給ゾーンが該重合反応ゾーンに連通しているものであって、
芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを該重合反応ゾーンに供給すると、該溶融プレポリマーは該重合反応ゾーン中の該ガイドの表面に接触しながら流下し、その流下中に該溶融プレポリマーの重合が行われ、それにより芳香族ポリカーボネートが製造されるようになっており、
該ガイド接触流下式重合装置の該重合反応ゾーンにおいて、該ケーシングは上部周囲側壁によって規定される上部と、該排出口に向かって傾斜し且つ該上部周囲側壁から連続的に下方に延びる下部周囲壁によって規定されるテーパー型下部とで構成され、該テーパー型下部の底部に該排出口があり、それにより、該ガイドから落下する製造された芳香族ポリカーボネートが該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面に接触すると該下部周囲壁の内側表面に沿って該排出口に流下するようになっており、
該ガイド接触流下式重合装置が下記の特性(1)〜(5):
(1) 該ケーシングの上部の水平断面の開口部面積A(m2)は、下記式:
0.7≦ A ≦ 200
を満足する、
(2) 該ガイド接触流下式重合装置は下記式:
20 ≦ A/B ≦ 1,000
(式中、Aは特性(1)において定義した通りであり、Bは該排出口の断面の最小開口部面積(m2)を表す。)
を満足する、
(3) 該ケーシングの上部周囲側壁と該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面との間の角度C(°)が、該ケーシングの垂直方向の断面において、下記式:
120≦ C ≦ 165
を満足する、
(4) 該ガイドの長さh(cm)は下記式:
150≦ h ≦ 3,000
を満足する、及び
(5) 該ガイドの外部総表面積S1(m2)は下記式:
2≦ S1 ≦ 5,000
を満足する
を有することを特徴とする重合装置
を提供するものである。
さらに、本発明は
2.該ケーシングの上部が円筒形であり、該ケーシングのテーパー型下部が逆円錐形であり、該排出口が円筒形であって、該ケーシングの上部の内径D(cm)及び長さL(cm)、該排出口の内径d(cm)、及び該ガイドの長さh(cm)が下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の重合装置、
100 ≦ D ≦ 1,000
5 ≦ D/d ≦ 50
0.5 ≦ L/D ≦ 30
h−20 ≦ L ≦ h+300
3.該ガイドが円柱形であり、該ガイドの直径が(r)(cm)が下記式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の重合装置、
0.1≦ r ≦ 1
4.該ガイドが下方に伸びる複数の円柱形のサブガイドからなり、該複数の円柱形のサブガイドの半径(r)(cm)が各々独立に下記式:
0.1≦ r ≦ 1
を満足し、該複数の円柱形のサブガイドが、これらと交叉する少なくとも1つの支持材で保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の重合装置、
5.該ガイドが少なくとも1つの網の形状、またはジャングルジム様三次元構造体の形状であって、ただし、該ガイドが複数の網の形状である場合には、これら複数の網は実質的に平行に保持されて配列されていることを特徴とする請求項4に記載の重合装置、
6.該ケーシングが真空ベント口を有し、これを介して該真空装置が該重合反応ゾーンと連通しており、該ケーシング、該分配板、該ガイド、該真空ベント口及び該排出口を構成する材質がステンレススチールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の重合装置、
7.該ガイド接触流下式重合装置に該特性(1)〜(5)を有する少なくとも1基の更なるガイド接触流下式重合装置が連結しており、ただし、複数基の更なるガイド接触流下式重合装置を用いる場合にはこれら複数基の更なるガイド接触流下式重合装置は直列に連結されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合装置、
8.該ガイド接触流下式重合装置に1基の更なるガイド接触流下式重合装置が連結しており、該ガイド接触流下式重合装置のガイドの外部総表面積S1(m2)と、該更なるガイド接触流下式重合装置のガイドの外部総表面積S2(m2)とが、下記式を満足することを特徴とする請求項7に記載の重合装置、
1 ≦ S1/S2 ≦ 20
9.該ガイド接触流下式重合装置に供給する前の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーに、不活性ガスを吸収させるための不活性ガス吸収装置が設置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合装置、
10.該ガイド接触流下式重合装置及び該更なるガイド接触流下式重合装置のそれぞれに、該重合装置に供給する前の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーに、不活性ガスを吸収させるための不活性ガス吸収装置が設置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の重合装置、
を提供することにある。
以下、本発明を具体的に説明する。
ガイド接触流下式重合方式においても、高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを1時間あたり1トン以上の工業的規模の生産量で長期間安定的に製造可能にするためには、種々の条件を満足させる重合装置とすることが必要であり、本発明はこれらの条件を見出したものである。(なお、本発明においては、分子量のバラツキがないとは、数平均分子量で200以下のバラツキの場合を意味している。)より具体的には、ガイド接触流下式重合装置が後述する特性(1)〜(5)を有する必要がある。
まず、特性(1)として、図1に示されるような、重合反応ゾーン5の上部を構成するケーシング10の水平面(a−a‘面)における断面の開口部面積A(m2)が、下記式を満足するものであることが必要である。
0.7 ≦ A ≦ 200
Aが0.7m2よりも小さいと、目的とする生産量を達成できないし、設備費を低下させつつこの生産量を達成するためには、Aは200m2以下にすることが必要である。
さらに、ガイド接触流下式重合装置の特性(2)として、該A(m2)と、芳香族ポリカーボネート排出口7の断面の最小開口部面積B(m2)との比が、下記式を満足することも必要である。
20 ≦ A/B ≦ 1000
なお、排出口7は、テーパー型下部の底部と芳香族ポリカーボネート排出装置(通常は、ギアポンプ等の高粘度物質が排出できる装置)とを接続するものであり、その断面形状はどのようなものであってもよいが、通常、円形、楕円形、長円形の断面形状をもつ配管状のものが好ましい。排出口7は、該テーパー型下部の底部と該排出装置との間において、これらの断面形状が組み合わさったものでもよいし、その断面積が一定でなくてもよい。また、排出口7は、該テーパー型下部の底部と該排出装置との間において、直線状であってもよいし、部分的に曲線部を有するものであっても良い。なお、排出口7は2箇所以上あってもよい。
製造された芳香族ポリカーボネートまたは重合度の高められた芳香族ポリカーボネートプレポリマーの品質を低下させることなく溶融粘度の高いこれらの溶融物を排出するためには、A/Bは上記式(20 ≦ A/B ≦ 1,000)を満足していなければならない。
さらに、ガイド接触流下式重合装置の特性(3)として、ケーシングの該上部の上部周囲側壁と該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面との間の角度C(°)が、該ケーシングの垂直方向の断面において、下記式を満足することも必要である。
120 ≦ C ≦ 165
上記角度Cは、一般的には、できるだけ90°に近い方がケーシング材料の使用量が少ないので、設備費を少なくするという観点から、角度Cはできるだけ90°に近い方がよいと考えられている。しかし、本発明においては、ガイドの下端から落下してくる芳香族ポリカーボネートまたは重合度の高められた芳香族ポリカーボネートプレポリマーの品質を低下させることなく溶融粘度の高いこれらの溶融物を排出口7に移動させるためには、角度Cは120〜165°の範囲になければならない。
また、本発明で用いる重合装置は、複数の異なる角度(C)を有していても良い。たとえば、重合反応ゾーンにおけるケーシングの該上部の水平断面が楕円形の場合や、ケーシングの該テーパー型下部が非対称形である場合に、このようなことが生ずる。このような場合、どの場所で測定した角度(C)であっても上記の範囲(120〜165°)にあることが必要である。
さらに、ガイド接触流下式重合装置の特性(4)として、該ガイドの長さh(cm)は、下記式を満足することも必要である。
150 ≦ h ≦ 3000
hが150cmより短い場合、溶融プレポリマーの重合度を高めることはできるが、その程度が十分ではなく、また、重合度のバラツキが数平均分子量で約200以上大きくなり、好ましくない。hが3000cmより長い場合、ガイドの上部と下部での溶融プレポリマーの溶融粘度の違いが大きくなりすぎるため、重合度のバラツキが数平均分子量で約300以上(場合によっては、約500以上)大きくなり、得られる芳香族ポリカーボネートの物性にバラツキがでるので好ましくない。なお、本発明において重合度のバラツキが大きいとは、例えば数平均分子量で表して、約200以上の差があるバラツキの場合を意味している。
ガイドの個数については、後述する外部総表面積S1が2〜5,000m2の範囲にあれば特に限定はない(即ち、例えば、外部総表面積S1が2,000m2のガイドを1本用いても、複数のガイドを用いて外部総表面積S1の合計が2,000m2になるようにしてもよい。外部総表面積が大きいガイドを少数用いる場合、長さhの分配板や金網状のものを水平断面が渦巻状になるように配列したものなどが使用できる)。ガイドが複数個ある場合には、各々のガイドに対し、その長さが150〜3,000cmの範囲にあることが必要である。ガイドが複数個ある場合、ガイドの長さは同一でなくともよいが、分子量のバラツキを小さくするためにはできるだけ近い長さにすることが好ましい。
ガイドの数は、ガイドの形状によって、通常1個から数百万個まで可能である。該分配板の孔に対応して、ガイドが設置される場合には、目的とする重合度や生産量に依存するが、ガイドの数は、通常100〜1,000,000個であり、好ましくは200〜500,000個である。
さらに、ガイド接触流下式重合装置の特性(5)として、該ガイドの外部総表面積S1(m2)が下記式を満足する必要がある。
2 ≦ S1 ≦ 5000
ガイドの外部総表面積S1とは、溶融プレポリマーが接触して流下するガイドの表面全体(以下、単に外部表面と称す)の面積を意味する。例えばパイプ状のガイドを用いて、その開口部に蓋をするなどしてパイプ状ガイドの外側の表面に沿ってのみ溶融プレポリマーを接触流下させる場合、外部総表面積S1は、パイプ状ガイドの外側の表面積であり、溶融プレポリマーを流下させないパイプ内側の面の表面積は含めない。ガイドが複数個ある場合には、外部総表面積S1はすべてのガイドの外部表面の面積の総和を意味する。
外部総表面積S1が2m2よりも小さいときは、目的とする生産量を達成できない。また、外部総表面積S1が5,000m2より大きいときは、設備費が過大となるのみならず、得られる芳香族ポリカーボネートの物性にバラツキが生じやすくなる。
上記特性(1)〜(5)を同時に有するガイド接触流下式重合装置は、驚くべきことに、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、1時間あたり1トン以上の工業的規模の生産量でしかも、数千時間以上、たとえば5,000時間以上の長期間、分子量のバラツキなどなく安定的に製造することができることが見出された。これらの条件を同時に満足していない場合には、目的とする生産量が得られない、分子量のバラツキが数平均分子量で表して約200以上の差があるバラツキがでる、安定製造が1,000時間もできない、着色がしやすくなるなどの不都合が起こる。
本発明の重合装置が、このような優れた効果を有する工業的規模(即ち、1時間当たり1トン以上)での芳香族ポリカーボネートの製造を可能とする理由は明らかではないが、上述の種々の理由に加えて、それらの条件が組み合わさった時にもたらされる複合効果が現れたためであると推定される。例えば、上記特性(4)および(5)を満足する高表面積のガイドは、比較的低温度で供給される大量の溶融プレポリマーの効率的な内部攪拌と表面更新に有効であって、目的とする分子量を有する大量の高品質の芳香族ポリカーボネートを製造するのに役立つとともに、上記特性(3)および(2)を満足するテーパー型下部の下部周囲壁と排出口は、ガイドから落下してくる大量の高品質の生成芳香族ポリカーボネートが排出口から排出されるまでの時間を短縮することに役立ち、長期滞留による着色や変性が起こらなくなるためであろうと推定される。
なお、このような工業的規模での重合装置の性能は、大規模な製造設備を用いる長時間運転によって初めて確立できるものであるが、その際の製造設備費は考慮すべき重要な因子であることは、論を待たない。本発明の重合装置は、従来の機械的攪拌方式の重合装置を用いる製造設備に比べて、工業的製造設備として設備費が低いことも、本発明の利点の1つである。
本発明のガイド接触流下式重合装置における形状及び寸法・角度等に要求される範囲は、上記のとおりであるが、好ましい範囲は次の通りである。
該ケーシングの該上部の水平断面の開口部断面積A(m2)のより好ましい範囲は、 0.8 ≦ A ≦ 180 であり、さらに好ましくは、 1 ≦ A ≦ 150 である。
また、該A(m2)と、該排出口の断面の最小開口部面積B(m2)との比のより好ましい範囲は、25 ≦ A/B ≦ 900 であり、さらに好ましくは、30 ≦ A/B ≦ 800 である。
また、該ケーシングの上部周囲側壁と該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面との間の角度C(°)のより好ましい範囲は、 125 ≦ C ≦ 160 であり、さらに好ましくは、 135 ≦ C ≦ 155 である。なお、複数のガイド接触流下式重合装置を用いて順に重合度を上げていく場合には、それぞれに対応する角度を、C1、C2、C3、・・・とすれば、 C1≦ C2 ≦ C3 ≦・・・とすることが好ましい。
また、ガイドの長さh(cm)は、原料プレポリマーの重合度、重合温度、圧力、その重合装置で製造すべき芳香族ポリカーボネートまたはプレポリマーの重合度、生産量等の要因の違いによって異なるが、より好ましい範囲は、200 ≦ h ≦ 2800 であり(ただし、複数のガイドがある場合には、すべてのガイドについて、その長さがこの範囲にある)、さらに好ましくは、 250 ≦ h ≦ 2500 である(ただし、複数のガイドがある場合には、すべてのガイドについて、その長さがこの範囲にある)。
また、必要なガイド全体の外部総表面積S1(m2)も、上記と同様の要因の違いによって異なるが、そのより好ましい範囲は、 4 ≦ S1 ≦ 4500 であり、さらに好ましくは、 9≦ S1 ≦ 4000 である。
本発明の重合装置において、重合反応ゾーンは、通常減圧下で操作されるため、重合反応ゾーンのケーシングは、それに耐えるものである限りどのようなものでもよい。該ケーシングの上部周囲側壁により規定される上部の水平断面の開口部の形状は、多角形、楕円形、円形等、どのような形状であってもよい。好ましくは円形または、それに近い形状である。また、このケーシング上部の水平断面の開口部は、上部から下部にわたって形状や断面積が異なるものであってもよいし、同じものであってもよい。重合装置の製作上の観点からは、同じものが好ましい。
従って、本発明の重合装置の重合反応ゾーンにおけるケーシングの上部周囲側壁により規定される上部は、円筒形であることが好ましい。この場合、該ケーシングのテーパー型下部は逆円錐形であることが好ましく、その最下部に円筒形の芳香族ポリカーボネート排出口が設けられることが好ましい。
本発明のガイド接触流下式重合装置において、重合反応ゾーンにおける該ケーシングの該上部が円筒形であり、該ケーシングのテーパー型下部が逆円錐形であり、該排出口が円筒形である場合、該ケーシングの該上部の内径D(cm)、長さL(cm)、該排出口の内径d(cm)及び該ガイドの長さh(cm)が下記式を満足していることが好ましい。
100 ≦ D ≦ 1000
5 ≦ D/d ≦ 50
0.5 ≦ L/D ≦ 30
h −20 ≦ L ≦ h + 300
(ただし、複数のガイドがある場合には、すべてのガイドについて、その長さが上記式を満足する。)
本発明の重合装置において、D(cm)のより好ましい範囲は、 150 ≦ D ≦ 900 であり、さらに好ましくは、 200 ≦ D ≦ 800 である。
また、D/d のより好ましい範囲は、6 ≦ D/d ≦ 45 であり、さらに好ましくは、7 ≦ D/d ≦ 40 である。
また、L/Dのより好ましい範囲は、0.6 ≦ L/D ≦ 25 であり、さらに好ましくは、 0.7 ≦ L/D ≦ 20 である。
また、L(cm)のより好ましい範囲は、 h − 10 ≦ L ≦ h +250 (ただし、複数のガイドがある場合には、すべてのガイドについて、その長さがこの式を満足する)であり、さらに好ましくは、 h ≦ L ≦ h + 200 (ただし、複数のガイドがある場合には、すべてのガイドについて、その長さがこの式を満足する)である。なお、D、d、L、hがこれらの関係を同時に満足しない場合は、本発明の課題を達成することが困難になる。
本発明の重合装置が、速い重合速度で、着色が無く機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、工業的規模で長期間、分子量のバラツキがなく安定的に製造できる正確な理由は明らかではない。しかし、速い重合速度で、しかも高分子量化が可能である理由としては、以下のことが考えられる。
本発明のガイド接触流下式重合装置においては、原料の溶融プレポリマーは供給口1から、供給ゾーン3および分配板2を経由して、ガイド4に導かれ、ガイドに沿って流下しながら重合度が上昇していく。この場合、溶融プレポリマーはガイドに沿って流下しながら効果的な内部攪拌と表面更新が行われ、フェノール等の抜出しが効果的に行われるため、速い速度で重合が進行する。重合の進行とともにその溶融粘度が高くなってくるために、ガイドに対する粘着力が増大し、ガイドに粘着する溶融物の量はガイドの下部に行くに従って増えてくる。このことは、溶融プレポリマーのガイド上での滞留時間、すなわち重合反応時間が増えることを意味している。しかも、ガイドに支えられながら自重で流下している溶融プレポリマーは、重量当りの表面積が非常に広く、その表面更新が効率的に行われているので、これまでの機械的攪拌式重合器ではどうしても不可能であった、溶融プレポリマーの高分子量化が容易に達成できるのである。これが本発明の重合装置の持つ利点の1つである。
また、分子量のバラツキの少ない芳香族ポリカーボネートが得られる理由については、以下のように説明できる。本発明の重合装置における重合では、ガイドに粘着する溶融物の量は、ガイドの下部に行くにしたがって増えてくるが、プレポリマーはガイドに対してその溶融粘度に見合った粘着保持力しかないので、複数のガイドの同じ高さにおいては、ほぼ同じ溶融粘度をもつほぼ同じ量の溶融物が、それぞれのガイドに支えられていることになる。一方、ガイドには上方の溶融プレポリマー供給ゾーン溶融物が連続的に供給されているので、ほぼ同じ溶融粘度をもつ重合度の高められた溶融物が、ガイドの下端からケーシングのテーパー型下部に連続的に落下して行くことになる。すなわち、ケーシングのテーパー型下部の底部には、ガイドを流下しながら生成したほぼ同じ重合度の芳香族ポリカーボネートが溜まってくることになり、分子量のバラツキのない芳香族ポリカーボネートが連続的に製造できることになる。このことは本発明の重合装置の持つ他の利点の1つである。
ケーシングのテーパー型下部の底部に溜まった芳香族ポリカーボネートは、排出口を経て、排出装置(通常は、高粘性物質の送液が可能なギヤポンプ。図1においては排出ポンプ8)よって連続的に抜き出され、通常は押出し機を経て連続的にペレット化される。
本発明のガイド接触流下式重合装置を構成する分配板は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、分配板の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれる。分配板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。
分配板の孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2であり、好ましくは0.05〜10cm2であり、特に好ましくは0.1〜5cm2の範囲である。孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは25〜100mmである。
分配板の孔は、分配板を貫通させた孔であっても、分配板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。
また、本発明のガイド接触流下式重合装置を構成するガイドとは、水平方向断面の外周の平均長さに対して該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10〜1,000,000の範囲であり、好ましくは50〜100,000の範囲である。
ガイドの水平方向の断面の形状は、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、辺の数が5以上の多角形状、星形状などの形状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向に同一でもよいし異なっていてもよい。また、ガイドは中空状のものでもよい。
ガイドは、針金状のものや細い棒状のものや内側に溶融プレポリマーが入らないようにした細いパイプ状のもの等の単一なものでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものでもよい。また、網状のものや、パンチングプレート状のものであっても良い。さらに、ガイドはその水平断面が渦巻き型になっているのであってもよい。
ガイドの表面は平滑であっても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有するものでもよい。
好ましいガイドは、針金状や細い棒状等の円柱状のもの、前記の細いパイプ状のもの、網状のもの、パンチングプレート状のものである。
工業的規模(生産量、長期安定製造等)での高品質の芳香族ポリカーボネートの製造を可能とする本発明のガイド接触流下式重合装置において、特に好ましいのは、該ガイドが下方に伸びる複数の円柱形のサブガイドからなり、該複数の円柱形のサブガイドの半径(r)(cm)が各々独立に下記式:
0.1≦ r ≦ 1
を満足し、該複数の円柱形のサブガイドが、これらと交叉する少なくとも1つの支持材で保持されている場合である。このような場合、該ガイドが少なくとも1つの網の形状、またはジャングルジム様三次元構造体の形状であって、ただし、該ガイドが複数の網の形状である場合には、これら複数の網は実質的に平行に保持されて配列されていることがさらに好ましい。上記のガイドにおいて、保持用の支持材は複数用い、これら複数の支持材を適当な間隔(たとえば1cm〜200cm)で配列することが好ましい。
支持材は各サブガイド間の間隔をほぼ同じに保つために役立つだけでなく、全体として平面状や曲面状になるガイド、あるいは三次元的になるガイドの強度の強化に役立っている。これらの支持材はガイドと同じ素材であってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明において、1つのガイドが外径r(cm)の円柱状または内側に溶融プレポリマーがはいらないようにした円形断面をもつパイプ状のもの(以下、これらを総称して円柱状ガイドという)である場合、rが下記式を満足していることが好ましい。
0.1 ≦ r ≦ 1
本発明におけるガイドは、溶融プレポリマーを流下させながら、重合反応を進めるものであるが、溶融プレポリマーをある時間保持する機能も有している。この保持時間は、重合反応時間に関連するものであり、重合の進行とともにその溶融粘度が上昇していくために、その保持時間および保持量は増加していくことは前記のとおりである。ガイドが溶融プレポリマーを保持する量は、同じ溶融粘度であってもプレポリマーが接触しているガイドの外部表面積に依存する。したがって、その量は、円柱状ガイドの場合、それらの外径によって異なってくる。
また、本発明の重合装置に設置されたガイドは、ガイド自身の重量に加え、保持している溶融プレポリマーの重量をも支えるだけの強度が必要である。このような意味において、ガイドの太さは重要であり、円柱状ガイドの場合、その直径rが上記の範囲(0.1〜1cmの範囲)にあることが好ましい。
rが0.1より小さいと、強度的な面で長時間の安定運転ができにくくなってくるし、rが1よりも大きいと、ガイド自身が非常に重くなり、たとえばそれらを重合装置に保持するために分配板の厚みを非常に厚くしなければならないなどの不都合があるだけでなく、溶融プレポリマーを保持する量が多くなりすぎる部分が増え、分子量のバラツキが大きくなるなどの不都合が起こってくる。このような意味で、より好ましいrの範囲は、 0.15 ≦ r ≦ 0.8 であり、さらに好ましいのは、 0.2 ≦ r ≦ 0.6 である。
このようなガイドの好ましい材質は、ステンレススチール、カーボンスチール、ハステロイ、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム及びその他の合金等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。特に好ましいのはステンレススチールである。また、ガイドの表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。
ガイドと分配板との位置関係及びガイドと分配板の孔との位置関係については、溶融プレポリマーのガイド接触流下が可能である限り特に限定されない。ガイドと分配板は互いに接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
ガイドを分配板の孔に対応させて設置するのが好ましいが、これに限定されない。なぜならば、分配板から落下する溶融プレポリマーが適当な位置でガイドに接触するように設計されていてもいいからである。
ガイドを分配板の孔に対応させて設置する好ましい具体例としては、(1)ガイドの上端を重合装置の上部内壁面または、供給ゾーンの適当な位置に固定して、ガイドが分配板の孔を貫通した状態でガイドを設ける方法、(2)ガイドの上端を分配板の孔の上端の周縁部に固定して、ガイドが分配板の孔を貫通した状態でガイドを設ける方法、(3)ガイドの上端を分配板の下側面に固定する方法、(4)分配板の孔の一部に溶接固定する方法、が挙げられる。
この分配板を通じて溶融プレポリマーをガイドに沿わせて流下させる方法としては、液ヘッドまたは自重で流下させる方法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、分配板から溶融プレポリマーを押し出す等の方法が挙げられる。好ましいのは、供給ポンプを用いて加圧下、所定量の原料溶融プレポリマーを重合装置の供給ゾーンに供給し、分配板を経てガイドに導かれた溶融プレポリマーが自重でガイドに沿って流下していく方式である。
本発明のガイド接触流下式重合装置を用いて、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる溶融プレポリマーを重合させて芳香族ポリカーボネートを製造する場合の、重合反応の温度は、通常80〜350℃の範囲で実施される。本発明の重合装置は機械的攪拌がなく、攪拌機のシール部もないので空気等の漏れこみが非常に少ないため、反応温度を従来の機械的攪拌式重合器の場合より高くすることも可能であるが、300℃を越える高温にする必要もない。
本発明の重合装置では、プレポリマーが自重で流下する間にプレポリマーの内部での自然攪拌を伴う効率的な表面更新が行われているので、比較的低温で重合反応を進行させることができる。したがって、好ましい反応温度は、100〜290℃であり、さらに好ましいのは、150〜270℃である。従来の機械的攪拌式重合器の場合よりも低温で十分に重合を進めることができるのが、本発明の重合装置の利点であり、このことも、着色や物性低下のない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造することができる1つの理由である。
本発明ガイド接触流下式重合装置を用いて、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる溶融プレポリマーを重合させて芳香族ポリカーボネートを製造する場合、重合反応の進行にともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物(たとえばフェノール)が生成してくるが、これを反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。
従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを重合装置に導入して、生成してくる芳香族モノヒドロキシ化合物をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。あるいはこれらを併用した方法も好ましく用いられる。
不活性ガスを重合装置に導入する場合も、重合装置に大量の不活性ガスを導入する必要はなく、内部を不活性ガス雰囲気に保持する程度でもよい。
本発明のガイド接触流下式重合装置を用いて、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる溶融プレポリマーを重合させて芳香族ポリカーボネートを製造する場合、重合ゾーン内の好ましい反応圧力は、製造する芳香族ポリカーボネートの種類や分子量、重合温度等によっても異なるが、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートからの溶融プレポリマーから芳香族ポリカーボネートを製造する場合、数平均分子量が5,000以下の範囲では、400〜3,000Pa範囲が好ましく、数平均分子量が5,000〜10,000の場合は、50〜500Paの範囲が好ましい。数平均分子量が10,000以上の場合は、300Pa以下が好ましく、特に20〜250Paの範囲が好ましく用いられる。
本発明のガイド接触流下式重合装置を用いて、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる溶融プレポリマーを重合させて芳香族ポリカーボネートを製造する場合、ガイド接触流下式重合装置1基だけで、目的とする重合度を有する芳香族ポリカーボネートを製造することも可能である。さらに、原料とする溶融プレポリマーの重合度や芳香族ポリカーボネートの生産量などに応じて、2基以上の複数のガイド接触流下式重合装置を連結した重合設備とすることも好ましい。この場合、2基以上の複数のガイド接触流下式重合装置を直列に連結した重合設備とすることによって、それぞれの重合装置で順に重合度をあげていく方式も好ましい。2基以上の重合装置を連結した重合設備では、それぞれの重合装置において、製造すべきプレポリマーまたは芳香族ポリカーボネートの重合度に適したガイドや反応条件を別々に採用することができるので、特に好ましい。
例えば、ガイド接触流下式第1重合装置、ガイド接触流下式第2重合装置、ガイド接触流下式第3重合装置、ガイド接触流下式第4重合装置・・・・を用い、この順に重合度を上げていく方式の場合、それぞれの重合装置がもつガイド全体の外部総表面積をS1、S2、S3、S4・・・・とすれば、S1≧S2≧S3≧S4≧・・・・とすることができる。また、重合温度も、それぞれの重合装置において同じ温度でもよいし、順に上げていくことも可能である。重合圧力も、それぞれの重合装置で、順に下げていくことも可能である。
このような意味において、例えば、ガイド接触流下式第1重合装置、ガイド接触流下式第2重合装置の2基の重合装置を用いてこの順に重合度を上げていく場合、該第1重合装置のガイドの外部総表面積S1(m2)と該第2重合装置のガイドの外部総表面積S2(m2)とが下記式を満足するようなガイドを用いることが好ましい。
1 ≦ S1/S2 ≦ 20
S1/S2が1よりも小さいと、分子量のバラツキが大きくなり長期間安定製造が困難になる、所定の生産量が得にくい、などの不都合が起こり、S1/S2が20よりも大きいと、第2重合装置でのガイドを流下する溶融プレポリマーの流量が多くなり、その結果、溶融プレポリマーの滞留時間が少なくなり必要とする分子量の芳香族ポリカーボネートが得られにくくなる、などの不都合が生じてくる。このような意味でさらに好ましい範囲は、1.5≦ S1/S2 ≦ 15 である。
本発明において、ガイド接触流下式重合装置に供給する前の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーに、不活性ガスを吸収させるための不活性ガス吸収装置が設置されていることが好ましい。また、本発明のガイド接触流下式重合装置を複数基連結して用いる場合、それぞれの重合装置に対し、該重合装置に供給する前の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーに、不活性ガスを吸収させるための不活性ガス吸収装置が設置されていることが好ましい。不活性ガス吸収装置の設置により、本発明の効果をさらに高めることができる。
以下、ガイド接触流下式重合装置1基と不活性ガス吸収装置1基とを用いる場合について説明する。溶融プレポリマーは、重合装置に供給する前に、不活性ガス吸収装置に導入される。不活性ガス吸収装置において、溶融プレポリマーを不活性ガスで処理することによって、溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させ、それにより、溶融プレポリマーに、該溶融プレポリマー1kg当り、0.0001〜1Nリットル(但し、Nリットルは標準温度・圧条件下で測定した容積である)の特定量の不活性ガスを吸収させ、次いで、この特定量の不活性ガスを吸収させた溶融プレポリマーを、重合装置に供給し、重合させる。
本発明において、溶融プレポリマーを不活性ガスで処理するとは、溶融プレポリマーを、該溶融プレポリマーが重合しがたい条件下で不活性ガスを吸収させることを意味する。
溶融プレポリマーに吸収させる不活性ガス量は、溶融プレポリマー1kg当り、0.0001〜1Nリットルであるが、好ましくは0.001〜0.8Nリットルの範囲であり、更に好ましくは0.005〜0.6Nリットルの範囲である。吸収された不活性ガスの量が該溶融プレポリマー1kgに対して0.0001Nリットルより少ない場合は、不活性ガス吸収プレポリマーを用いることによって達成される重合速度上昇効果、及び、不活性ガス吸収プレポリマーを用いることによって達成される、芳香族ポリカーボネートの安定製造の効果が小さくなる。また、本発明においては吸収される不活性ガスの量を該溶融プレポリマー1kgに対して1Nリットルより多くする必要はない。この特定量の不活性ガスを吸収させた溶融プレポリマーを本発明の重合装置で重合させると、本発明の効果がさらに高められる。
該溶融ポリマーに吸収される不活性ガスの量は、通常、供給した不活性ガスの量を直接測定する事によって容易に測定することができる。吸収装置に不活性ガスを流通させながら溶融プレポリマーに吸収させる場合は、供給した不活性ガス量と排出された不活性ガス量の差から、吸収させた不活性ガスの量を求めることができる。また、それは所定の圧力の不活性ガスを仕込んだ吸収装置に溶融プレポリマーを所定量供給し、溶融プレポリマーに不活性ガスが吸収されることによって生ずる吸収装置の圧力の低下量から測定することも可能である。更に、それは所定量の溶融プレポリマーを吸収装置にバッチ的に供給した後に不活性ガス吸収量を測定するバッチ方式でも可能であるし、また溶融プレポリマーを吸収装置に連続的に供給し、連続的に抜き出しながら不活性ガス吸収量を測定する連続方式でも、可能である。
本発明においては、不活性ガス吸収装置を用いて所定の圧力下、および該溶融プレポリマーが重合し難い条件下で、溶融プレポリマーを不活性ガスで処理することによって、不活性ガスを吸収させる。溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させることとは、溶融プレポリマー中に不活性ガスを分散および/又は溶解させることを意味している。分散とは、溶融プレポリマー中に不活性ガスが気泡状で混合され、気液混相となっているような状態を意味し、溶解とは溶融プレポリマーに不活性ガスが混じり合い、均一な液相を形成しているような状態を意味する。不活性ガスは単に分散されるだけでなく、溶融プレポリマー中に溶解されることが特に好ましい。不活性ガスを溶融プレポリマー中に効率よく溶解させるためには、気液界面積を大きくして接触効率をよくすることや、不活性ガスの加圧下で実施することが好ましい。
本発明で用いる不活性ガス吸収装置としては、これらの不活性ガスを該溶融プレポリマーに吸収させることができる装置であれば特に型式に制限はなく、例えば、化学装置設計・操作シリーズNo.2、改訂ガス吸収49〜54頁(昭和56年3月15日、化学工業社発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段型吸収装置、スプレー塔式吸収装置、流動充填塔型吸収装置、液膜十字流吸収式吸収装置、高速旋回流方式吸収装置、機械力利用方式吸収装置等の公知の装置や、不活性ガス雰囲気下で該溶融プレポリマーをガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置等が挙げられる。重合装置に溶融プレポリマーを供給する配管中に直接不活性ガスを供給して吸収させる装置でも構わない。スプレー塔式吸収装置や、ガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置を用いることは特に好ましい方法である。
本発明で用いられる不活性ガス吸収装置としては、重合装置として使用されるガイド接触流下式重合装置と同じ形式の装置が特に好ましい。不活性ガス吸収装置は、重合をほとんど進行させない条件で運転されるため、重合装置とは機能的に全く異なるものであるが、この形式の装置の優れた特徴は、ガイドを流下中の溶融物の、重量あたりの表面積が非常に大きいことと、溶融物の表面更新と内部攪拌が非常に良好であることが相まって、短時間に非常に効率的な不活性ガス吸収を可能としていることである。重合装置とは異なり、不活性ガス吸収装置では、ガイドの上部と下部での溶融プレポリマーの粘度の変化がほとんどないので、単位時間当りの溶融プレポリマーの処理能力は大きい。従って、同じ形式であっても、不活性ガス吸収装置は重合装置よりも一般的に小さくすることができる。
不活性ガス吸収前後の溶融プレポリマーの数平均分子量を各々M1、M2とした時、不活性ガス吸収前後における分子量変化(M2−M1)が、実質的に2,000以下であることが好ましく、より好ましくは、1,000以下であり、さらにより好ましくは、500以下である。
溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させる温度は、溶融状態であれば特に制限はないが、通常150〜350℃、好ましくは180〜300℃、特に好ましくは、230〜270℃の範囲である。
本発明において、溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させる圧力Pg(Pa)は、該溶融プレポリマーを製造する為に用いられた圧力以上であることが好ましい。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを製造する際に用いられた反応圧力と同じかまたはそれより高い圧力条件下で不活性ガスを吸収させることが好ましい。
また、Pg(Pa)は、次に続く、重合装置における重合反応の圧力Pp(Pa)よりも高い圧力であるが、M1(上記に定義した通り)に対して、下記式
Pg > 4 × 1012× M1 -2.6871
の関係を満足することが好ましい。Pg(Pa)が、上記式の関係を満足しない場合には、不活性ガス吸収プレポリマーを用いることによって達成される重合速度上昇効果、及び、不活性ガス吸収プレポリマーを用いることによって達成される、芳香族ポリカーボネートの安定製造の効果が小さくなる。
不活性ガスを吸収させる時の圧力が常圧もしくは加圧であることは、不活性ガスの溶融プレポリマーへの吸収速度を高め、結果的に吸収装置を小さくできる点で特に好ましい。不活性ガス吸収時の圧力の上限に特に制限はないが、通常、2×107Pa以下、好ましくは1×107Pa以下、更に好ましくは5×106Pa以下の圧力下で不活性ガス吸収を行わせる。
不活性ガス吸収装置で溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させる方法としては、不活性ガス吸収装置に供給した不活性ガスの大部分を溶融プレポリマー中に吸収させる方法でも良いし、供給した不活性ガスの一部を溶融プレポリマー中に吸収させる方法でも良い。前者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置や、ガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置を用い、溶融プレポリマー中に吸収された不活性ガスとほぼ等量の不活性ガスを供給して吸収装置の圧力をほぼ一定に保ちながら吸収させる方法や、溶融プレポリマーを重合器に供給する配管中に直接不活性ガスを供給する吸収装置を用いる方法等が挙げられる。また後者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置や、溶融プレポリマーをガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置を不活性ガス吸収装置として用い、吸収装置内に溶融プレポリマー中に吸収される以上の不活性ガスを流通させ、過剰の不活性ガスを不活性ガス吸収装置から排出させる方法等が挙げられる。不活性ガスの使用量をより少なくする点で、前者の方法が特に好ましい。
また、不活性ガス吸収は、吸収装置に溶融プレポリマーを連続的に供給して不活性ガスを吸収させ、不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーを連続的に抜き出す連続法、吸収装置に溶融プレポリマーをバッチ的に仕込んで不活性ガスを吸収させるバッチ法のいずれも可能である。
本発明でいう不活性ガスとは、該溶融プレポリマーと化学反応を起こさず、かつ重合条件下で安定なガスの総称であり、不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や、プレポリマーが溶融状態を保つ温度においてガス状である有機化合物、炭素数1〜8の低級炭化水素ガス等が挙げられ、特に好ましいのは窒素である。
本発明の重合装置または上記の重合設備においては、1時間当り1トン以上の芳香族ポリカーボネートが製造されるのであるが、重合反応によって副生した芳香族ヒドロキシ化合物は系外に排出されるので、1時間当り1トンよりも多量の原料の溶融プレポリマーが、重合装置または重合設備に供給される必要がある。
従って、供給される溶融プレポリマーの量は、その重合度および製造すべき芳香族ポリカーボネートの重合度によって変化するが、通常、芳香族ポリカーボネートの生産量1トン/hr当り、10〜500kg/hr多い、1.01〜1.5トン/hrの範囲である。
本発明の重合装置または上記の重合設備を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する場合において使用される、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次式で示される化合物である。
HO−Ar−OH
(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
2価の芳香族基Arは、好ましくは例えば、次式で示されるものである。
−Ar1−Y−Ar2
(式中、Ar1及びAr2は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)
2価の芳香族基Ar1、Ar2において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香族基Ar1、Ar2は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記式で示される有機基である。
Figure 2005123805
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5およびR6は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記式で示されるものが挙げられる。
Figure 2005123805
(式中、R7、R8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合にはR8はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるものであっても良い。
−Ar1−Z−Ar2
(式中、Ar1及びAr2は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−SO−、−COO−、−CON(R1)−などの2価の基を表す。ただし、R1は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記式に示されるものが挙げられる。
Figure 2005123805
(式中、R7、R8、mおよびnは、前述の通りである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明の重合装置または上記重合設備を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する場合において使用される、芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。また、分岐構造を導入するための3価の芳香族トリヒドロキシ化合物を併用してもよい。本発明で用いられるビスフェノールAとして特に好ましいのは、塩素の含有量が1ppb以下のポリカーボネート用高純度品である。
本発明の重合装置または上記重合設備を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する場合において使用される、ジアリールカーボネートは、下記式で表される。
Figure 2005123805
(式中、Ar3、Ar4はそれぞれ炭素数5から20の1価の芳香族基を表す。)
Ar3及びAr4は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3、Ar4において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3、Ar4は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。1価の芳香族基Ar3及びAr4の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3及びAr4としては、それぞれ例えば、下記式に示されるものなどが挙げられる。
Figure 2005123805
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記式で示される置換又は非置換のジフェニルカーボネート類をあげることができる。
Figure 2005123805
(式中、R9及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジアリールカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の重合装置を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する原料となるジフェニルカーボネートとして特に好ましいのは、エチレンオキシドとCO2を反応させて製造・精製されたエチレンカーボネートを、メタノールと反応させて製造・精製されたジメチルカーボネートと精製フェノールとを反応蒸留法によって製造され、精製されたものであり、アルカリ金属/アルカリ土類金属および塩素を含まない超高純度品である。
本発明の重合装置または上記の重合設備を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する場合において使用される溶融プレポリマーは、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから製造されるが、その使用割合(仕込み比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
本発明でいう、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから製造された溶融状態のプレポリマー(溶融プレポリマー)とは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから製造される、目的とする重合度を有する芳香族ポリカーボネートより重合度の低い重合途中の溶融物を意味しており、もちろんオリゴマーであっても良い。本発明の重合装置または上記重合設備で重合できる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーの平均重合度は、いくらであってもよいし、またその化学構造によっても異なるが、通常約2〜2,000である。重合原料として用いられるこのような溶融プレポリマーは、公知のいかなる方法によって得られたものでよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する反応は触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はない。
触媒の例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1234)NB(R1234)または(R1234)PB(R1234)で表されるアンモニウムボレート類またはホスホニウムボレート類(R1、R2、R3、R4は前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10-10〜1質量%、好ましくは10-9〜10-1質量%、さらに好ましくは10-8〜10-2質量%の範囲である。
溶融エステル交換法の場合、使用した重合触媒は、製品の芳香族ポリカーボネート中に残存しているが、これらの重合触媒は通常ポリマー物性に悪影響を及ぼすものが多い。従って、触媒の使用量はできるだけ、下げることが好ましい。本発明の重合装置または上記重合設備は、重合を効率的に行えるので触媒の使用量を少なくできる。このことも高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できる本発明の重合装置または上記重合設備の利点の1つである。
本発明のガイド接触流下式重合装置や配管の材質に特に制限はなく、通常ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、これらの材質の表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。好ましいのは、ステンレススチールやニッケル、グラスライニング等であるが、特に好ましいのはステンレススチールである。なお、溶融プレポリマー、または芳香族ポリカーボネートの排出ポンプ8は通常、定量的に高粘度物質を排出できるギアポンプ類が用いられるのが好ましいが、これらのギアの材質はステンレススチールであってもよいし、他の特殊な金属であってもよい。
本発明の重合装置で製造される芳香族ポリカーボネートは、下記式で示される繰り返し単位を有する。
Figure 2005123805
(Arは前述と同じである。)
特に好ましいのは、全繰り返し単位中、下記式で示される繰り返し単位が85モル%以上含まれる芳香族ポリカーボネートである。
Figure 2005123805
また、本発明の重合装置で製造される芳香族ポリカーボネートの末端基は、通常ヒドロキシ基または、下記式で示されるアリールカーボネート基からなっている。
Figure 2005123805
(Ar5は、前述のAr3、Ar4と同じである。)
ヒドロキシ基とアリールカーボネート基の比率に特に制限はないが、通常95:5〜5:95の範囲であり、好ましくは90:10〜10:90の範囲であり、さらに好ましくは80:20〜20:80の範囲である。特に好ましいのは、末端基中のフェニルカーボネート基の占める割合が85モル%以上の芳香族ポリカーボネートである。
本発明の重合装置で製造される芳香族ポリカーボネートは、複数の芳香族ポリカーボネート主鎖を包含してなり、該複数の芳香族ポリカーボネート主鎖が全体として、エステル結合及びエーテル結合からなる群より選ばれる1種の異種結合を介して少なくとも1つの側鎖と結合して、部分的に分岐したものであってもよい。
該異種結合の量は、複数の芳香族ポリカーボネート主鎖中のカーボネート結合に対して、通常0.005〜2モル%であり、好ましくは、0.01〜1モル%、であり、さらに好ましいのは、0.05〜0.5モル%である。
このような量の異種結合は、他のポリマー物性を悪化させることなく、溶融成形時の流れ特性を向上させるので、精密成形に適しているし、比較的低温でも成形でき、性能の優れた成形物を製造することができる。成形サイクルを短縮することもでき成形時の省エネルギーにも貢献できる。
本発明の重合装置で製造される芳香族ポリカーボネート中には、不純物は殆ど含まれないが、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属をそれらの金属元素として、0.001〜1ppm含有する芳香族ポリカーボネートを製造することができる。好ましくは、この含有量が0.005〜0.5ppm、より好ましくは、0.01〜0.1ppmである。
このような金属元素が1ppm以下、好ましくは、0.5ppm以下、より好ましくは、0.1ppmである場合、製品芳香族ポリカーボネートの物性に影響を与えないので、本発明の重合装置を用いて製造される芳香族ポリカーボネートは高品質である。
本発明の重合装置を用いて製造される芳香族ポリカーボネートの中で特に好ましいのは、ハロゲンを実質的に含まない高純度の芳香族ジヒドロキシ化合物とハロゲンを実質的に含まない高純度のジアリールカーボネートを用いることにより製造されたものであって、ハロゲン含有量が通常、10ppb以下である。本発明の重合装置をもちいることによって、ハロゲン含有量が5ppb以下のものも製造できるし、さらに好ましくはハロゲン含有量が1ppb以下の芳香族ポリカーボネートを製造することができるので、非常に高品質の製品が得られることになる。
本発明の重合装置または上記重合設備を用いることによって分子量のバラツキのない芳香族ポリカーボネートを長時間安定的に製造できることは、実施例によってあきらかである。
なお、本発明の重合装置は、上記の条件を満たし、且つそれに相応した機械的強度を有するものであれば、どのようなものでもよいし、芳香族ポリカーボネートの連続製造運転に必要な他のいかなる機能を有する装置・設備を付加したものであってもよい。また、上記の重合設備は、本発明の重合装置を複数結合したものであれば、どのようなものであってもよいし、重合以外の他のいかなる機能を有する装置・設備を付加したものであってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
なお、実施例において行った測定の方法は下記の通りである。
(1) 数平均分子量(Mn)
テトラヒドロフランを搬送溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用いて得た下式による換算分子量較正曲線を用いて数平均分子量(Mn)を求めた。
PC=0.3591MPS 1.0388
(式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量を示す。)
(2)カラー
射出成形機を用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ3.2mmの試験片を連続成形した。得られた試験片の色調はCIELAB法(Commission Internationale de l‘Eclairage 1976 Lab Diagram)により測定し、黄色度をb*値で示した。
(3)引張伸度
射出成形機を用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290℃、金型温度90℃で射出成形した。得られた厚み3.2mmの試験片の引張伸度(%)は、ASTM D638に準じて測定された。
(4)異種結合の量
エステル結合及びエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の異種結合(以下、単に「異種結合」と称する)の量は、国際公開第97/32916号明細書記載の方法で測定された。
(5)アルカリ金属/アルカリ土類金属の含有量はICP法により測定された。
(6)ハロゲン原子の含有量
ハロゲン原子の含有量はイオンクロマト法で測定された。
図2に示すようなガイド接触流下式重合装置を提供した。この重合装置の材質は、芳香族ポリカーボネート排出ポンプ8を除き、すべてステンレススチールである。排出ポンプ8はギアポンプである。この重合装置において、重合反応ゾーン5のケーシングを構成する上部は円筒形であり、ケーシングを構成するテーパー型下部は逆円錐であって、L=1,000cm、h=900cm、D=500cm、d=40cm、C=155°、分配板の孔の直径=約0.4cm、S1=250m2、である。A=19.625m2、B=0.1256m2、A/B=156、D/d=12.5、L/D=2、r=0.3cmである。
供給ゾーン3においては、供給口1から供給された溶融ポリマーが分配板2により各ガイド4に均一に分配されるように配慮されている。重合装置下部には不活性ガス供給口9が備えられており、上部には真空ベント口6が備えられている。重合装置の外側はジャケット、または熱媒用加熱管が設置されており、熱媒で所定の温度に保持できるようにしてある。
上記の重合装置を用いて芳香族ポリカーボネートが製造された。ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)とから製造された260℃に保たれた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量Mnは4,000)が、供給ポンプによって供給口1より供給ゾーン3に連続的に供給された。重合装置内の分配板2を通して重合反応ゾーン5に連続的に供給された、溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら重合反応が進められた。重合反応ゾーン5は真空ベント口6を通して80Paに保持されている。ガイド4の下部から重合装置のケーシングのテーパー型下部11に落下した生成芳香族ポリカーボネートは、該底部での量がほぼ一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から5.5トン/hrの流量で連続的に抜き出された。
運転を開始してから50時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは10,500であり、良好なカラー(b*値3.2)であった。また、引張伸度は98%であった。
運転開始から、60時間後、100時間後、500時間後、1,000時間後、2,000時間後、3,000時間後、4,000時間後、5,000時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、10,500、10,550、10,500、10,550、10,500、10,500、10,550、10,500であり、安定であった。尚、これらの芳香族ポリカーボネートをフィルム状に成形したところ、分子量が必要以上に高められたポリマー塊(通常1mm以下の大きさを有し、他の部分との屈折率が少し異なるために目視にて確認できる)は存在しなかった。
このようにして製造された芳香族ポリカーボネートにおけるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の含有量は、これらの金属元素に換算して、0.04〜0.05ppmであり、ハロゲン原子(塩素原子)の含有量は1ppb未満であった。また、異種結合の含有量は0.12〜0.15モル%であった。
図2に示すような不活性ガス吸収装置2基(第1不活性ガス吸収装置、第2不活性ガス吸収装置)とガイド接触流下式重合装置2基(第1重合装置、第2重合装置)を、第1不活性ガス吸収装置、第1重合装置、第2不活性ガス吸収装置、第2重合装置の順に直列に配置した重合設備を提供した。これらの不活性ガス吸収装置および重合装置の材質は、溶融プレポリマー排出ポンプ8および芳香族ポリカーボネート排出ポンプ8を除き、すべてステンレススチールである。
第1不活性ガス吸収装置については、不活性ガス吸収ゾーンにおいてケーシングの上部は円筒形であり、ケーシングを構成するテーパー型下部は逆円錐であって、L=500cm、h=400cm、D=200cm、d=20cm、C=150°、r=0.3cm、S1=60m2、分配板の孔の直径=約0.2cm、である。また、第2不活性ガス吸収装置は、分配板の孔の直径が約0.6cmである以外は第1不活性ガス吸収装置とほぼ同じ形状である。
ガイド接触流下式第1重合装置において、重合反応ゾーン5において該ケーシング上部は円筒形であり、ケーシングのテーパー型下部は逆円錐であって、L=950cm、h=850cm、D=400cm、d=20cm、C=150°、r=0.35cm、S1=750m2、分配板の孔の直径=約0.2cm、である。(A=13.6m2、B=0.0314m2、A/B=433)。また、ガイド接触流下式第2重合装置は実施例1で用いたものと同じものである。(S1/S2=750/250=3)
上記の重合設備を用いて、芳香族ポリカーボネートを以下のように製造した。ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.06)とから製造され265℃に保たれた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量M1は2,500)が、供給ポンプによって第1不活性ガス吸収装置の供給口1より供給ゾーン3に連続的に供給された。第1不活性ガス吸収装置の分配板2を通して不活性ガス吸収ゾーン5に連続的に供給された、該溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら不活性ガスの吸収が行われた。第1不活性ガス吸収装置の不活性ガス吸収ゾーンは不活性ガス供給口9から窒素ガスを供給して180,000Paに保持されている。ガイド4の下部から第1不活性ガス吸収装置のケーシングのテーパー型下部11に落下した溶融プレポリマー(該溶融プレポリマー1kgあたり窒素を0.04Nリットル含む)は、該底部での量がほぼ一定となるように排出ポンプ8によって連続的に抜出され、そのまま第1重合装置の供給口1を経て供給ゾーン3に連続的に供給された。第1重合装置の重合反応ゾーンは真空ベント口6を通して600Paの圧力に保持されている。ガイド4の下部から第1重合装置のケーシングのテーパー型下部11に落下した重合度の高められた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量Mnは5,300)は、該底部での量がほぼ一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から一定の流量で連続的に抜き出され、次いで第2不活性ガス吸収装置の供給ゾーン3に連続的に供給された。
第2不活性ガス吸収装置の分配板2を通して不活性ガス吸収ゾーン5に連続的に供給された、該溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら不活性ガスの吸収が行われた。第2不活性ガス吸収装置の不活性ガス吸収ゾーンは不活性ガス供給口9から窒素ガスを供給して200,000Paに保持されている。ガイド4の下部から第2不活性ガス吸収装置ケーシングのテーパー型下部11に落下した溶融プレポリマー(該溶融プレポリマー1kgあたり窒素を0.05Nリットル含む)は、該底部での量がほぼ一定となるように排出ポンプ8によって一定量で連続的に排出され、そのまま第2重合装置の供給口1を経て供給ゾーン3に連続的に供給された。第2重合装置内の分配板2を通して重合反応ゾーン5に連続的に供給された、該溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら重合反応が進められた。第2重合装置の重合反応ゾーンは真空ベント口6を通して70Paの圧力に保持されている。ガイド4の下部から第2重合装置のケーシングのテーパー型下部11に落下した生成芳香族ポリカーボネートは、該底部での量がほぼ一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から7トン/hrの流量で連続的に抜き出された。
運転を開始してから50時間後に第2重合装置の抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは11,510であり、良好なカラー(b*値3.2)であった。また、引張伸度は99%であった。
運転開始から、60時間後、100時間後、500時間後、1,000時間後、2,000時間後、3,000時間後、4,000時間後、5,000時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは、それぞれ、11,530、11,530、11,500、11,500、11,510、11,500、11,520、11,510であり、安定であった。尚、これらの芳香族ポリカーボネートをフィルム状に成形したところ、分子量が必要以上に高められたポリマー塊(通常1mm以下の大きさを有し、他の部分との屈折率が少し異なるために目視にて確認できる)は存在しなかった。
このようにして製造された芳香族ポリカーボネートにおけるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の含有量は、これらの金属元素に換算して、0.03〜0.05ppmであり、ハロゲン原子(塩素原子)の含有量は1ppb未満であった。また、異種結合の含有量は0.11〜0.16モル%であった。
本発明の重合装置は、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから、着色がなく機械的物性に優れた高品質・高性能の芳香族ポリカーボネートを、高い重合速度で、1時間当り1トン以上の工業的規模の生産量で製造することができるものであり、しかも、数1,000時間以上、たとえば5,000時間もの長期間、分子量のバラツキなどなく安定的に製造できるものであり、産業上の利用可能性は非常に高い。

Claims (10)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーから芳香族ポリカーボネートを1時間当たり1トン以上の量で製造するためのガイド接触流下式重合装置であって、該ガイド接触流下式重合装置は、
    芳香族ポリカーボネート溶融プレポリマー供給口、該供給口の次に位置し該供給口と連通する芳香族ポリカーボネート溶融プレポリマー供給ゾーン、該溶融プレポリマー供給ゾーンの次に位置し該溶融プレポリマー供給ゾーンと連通する重合反応ゾーン、及び該重合反応ゾーンの次に位置し該重合反応ゾーンと連通する芳香族ポリカーボネート排出口を有するケーシング、
    該ケーシングの該重合反応ゾーンに関連して設けられた真空装置、並びに
    該ケーシングの該排出口に関連して設けられた排出装置
    を包含し、
    該重合反応ゾーンは、空間部と、その中に固定され且つ下方に延びるガイドを有し、
    該重合反応ゾーンは、該溶融プレポリマー供給ゾーンと複数の孔を有する分配板によって仕切られており、該分配板の該複数の孔を介して該溶融プレポリマー供給ゾーンが該重合反応ゾーンに連通しているものであって、
    芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを該重合反応ゾーンに供給すると、該溶融プレポリマーは該重合反応ゾーン中の該ガイドの表面に接触しながら流下し、その流下中に該溶融プレポリマーの重合が行われ、それにより芳香族ポリカーボネートが製造されるようになっており、
    該ガイド接触流下式重合装置の該重合反応ゾーンにおいて、該ケーシングは上部周囲側壁によって規定される上部と、該排出口に向かって傾斜し且つ該上部周囲側壁から連続的に下方に延びる下部周囲壁によって規定されるテーパー型下部とで構成され、該テーパー型下部の底部に該排出口があり、それにより、該ガイドから落下する製造された芳香族ポリカーボネートが該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面に接触すると該下部周囲壁の内側表面に沿って該排出口に流下するようになっており、
    該ガイド接触流下式重合装置が下記の特性(1)〜(5):
    (1) 該ケーシングの上部の水平断面の開口部面積A(m2)は、下記式:
    0.7≦ A ≦ 200
    を満足する、
    (2) 該ガイド接触流下式重合装置は下記式:
    20 ≦ A/B ≦ 1,000
    (式中、Aは特性(1)において定義した通りであり、Bは該排出口の断面の最小開口部面積(m2)を表す。)
    を満足する、
    (3) 該ケーシングの上部周囲側壁と該テーパー型下部の下部周囲壁の内側表面との間の角度C(°)が、該ケーシングの垂直方向の断面において、下記式:
    120≦ C ≦ 165
    を満足する、
    (4) 該ガイドの長さh(cm)は下記式:
    150≦ h ≦ 3,000
    を満足する、及び
    (5) 該ガイドの外部総表面積S1(m2)は下記式:
    2≦ S1 ≦ 5,000
    を満足する
    を有することを特徴とする重合装置。
  2. 該ケーシングの上部が円筒形であり、該ケーシングのテーパー型下部が逆円錐形であり、該排出口が円筒形であって、該ケーシングの上部の内径D(cm)及び長さL(cm)、該排出口の内径d(cm)、及び該ガイドの長さh(cm)が下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の重合装置。
    100 ≦ D ≦ 1,000
    5 ≦ D/d ≦ 50
    0.5 ≦ L/D ≦ 30
    h−20 ≦ L ≦ h+300
  3. 該ガイドが円柱形であり、該ガイドの直径が(r)(cm)が下記式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の重合装置。
    0.1≦ r ≦ 1
  4. 該ガイドが下方に伸びる複数の円柱形のサブガイドからなり、該複数の円柱形のサブガイドの半径(r)(cm)が各々独立に下記式:
    0.1≦ r ≦ 1
    を満足し、該複数の円柱形のサブガイドが、これらと交叉する少なくとも1つの支持材で保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の重合装置。
  5. 該ガイドが少なくとも1つの網の形状、またはジャングルジム様三次元構造体の形状であって、ただし、該ガイドが複数の網の形状である場合には、これら複数の網は実質的に平行に保持されて配列されていることを特徴とする請求項4に記載の重合装置。
  6. 該ケーシングが真空ベント口を有し、これを介して該真空装置が該重合反応ゾーンと連通しており、該ケーシング、該分配板、該ガイド、該真空ベント口及び該排出口を構成する材質がステンレススチールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の重合装置。
  7. 該ガイド接触流下式重合装置に該特性(1)〜(5)を有する少なくとも1基の更なるガイド接触流下式重合装置が連結しており、ただし、複数基の更なるガイド接触流下式重合装置を用いる場合にはこれら複数基の更なるガイド接触流下式重合装置は直列に連結されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合装置。
  8. 該ガイド接触流下式重合装置に1基の更なるガイド接触流下式重合装置が連結しており、該ガイド接触流下式重合装置のガイドの外部総表面積S1(m2)と、該更なるガイド接触流下式重合装置のガイドの外部総表面積S2(m2)とが、下記式を満足することを特徴とする請求項7に記載の重合装置。
    1 ≦ S1/S2 ≦ 20
  9. 該ガイド接触流下式重合装置に供給する前の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーに、不活性ガスを吸収させるための不活性ガス吸収装置が設置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合装置。
  10. 該ガイド接触流下式重合装置及び該更なるガイド接触流下式重合装置のそれぞれに、該重合装置に供給する前の芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーに、不活性ガスを吸収させるための不活性ガス吸収装置が設置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の重合装置。
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