JPWO2005097844A1 - ポリマー粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
コールドスプリングハーバー糖鎖生物学,丸善,2003年 Nature(2003, 421, 219-220) Current Opinion inStructural Biology (2003, 13, 637-645)
具体的には、
(A1)糖鎖を捕捉する担体に用いるポリマー粒子であって、ポリマー粒子の表面に糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を有することを特徴とするポリマー粒子、
(A2)糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基がオキシルアミノ基,ヒドラジド基,及びセミチオカルバジド基から選ばれる少なくとも一つである(A1)記載のポリマー粒子、
(A3)糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基がオキシルアミノ基である(A1)記載のポリマー粒子、
(A4)ポリマー粒子が糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を有するモノマー又は該モノマーの誘導体を重合したポリマーから構成されるものである(A1)〜(A3)いずれか記載のポリマー粒子、
(A5)糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を有するモノマーが下記一般式(1)で表されるモノマー又は該モノマーの誘導体を含むものである(A4)記載のポリマー粒子、
(A6)ポリマーが糖鎖のアルデヒド基と反応しないモノマーとの共重合体である(A4)又は(A5)記載のポリマー粒子、
(A7)糖鎖のアルデヒド基と反応しないモノマーが架橋剤として多官能性モノマーを含むものである(A5)記載のポリマー粒子、
(A8)重合が懸濁重合法によるものである(A4)〜(A7)いずれか記載のポリマー粒子、
(A9)重合が乳化重合法によるものである(A4)〜(A7)いずれか記載のポリマー粒子、
(A10)ポリマー粒子の形状が球状の粒子である(A1)〜(A9)いずれか記載のポリマー粒子、
(A11)粒子の平均粒径が0.05〜200μmである(A10)記載のポリマー粒子、
(A12)(A1)〜(A11)いずれか記載のポリマー粒子を用いて糖鎖を捕捉する工程、及び糖鎖を分離する工程を有することを特徴とする糖鎖の精製方法、
である。
(B1)基板上の少なくとも一部に糖鎖を固定化してなる糖鎖チップであって、基板上にはあらかじめ糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基が導入してあり、該官能基を介して糖鎖が固定化されていることを特徴とする糖鎖チップ、
(B2)官能基がオキシルアミノ基,ヒドラジド基,及びセミチオカルバジド基から選ばれる少なくとも一つである(B1)記載の糖鎖チップ、
(B3)官能基がオキシルアミノ基である(B1)記載の糖鎖チップ、
(B4)基板上への官能基の導入が、該官能基を有する物質の基板表面へのコーティングによるものである(B1)〜(B3)いずれか記載の糖鎖チップ、
(B5)官能基を有する物質の基板表面へのコーティングが、ラングミュア−ブロジェット法による基板表面での分子膜形成である(B4)記載の糖鎖チップ、
(B6)官能基を有する物質がポリマーである(4)又は(5)記載の糖鎖チップ、
(B7)ポリマーが下記一般式(1)で表されるモノマー単位を含むものである(B6)記載の糖鎖チップ、
(B8)基板上への官能基の導入が、あらかじめ基板上に導入された別種の官能基を介してなる(B1)〜(B3)いずれか記載の糖鎖チップ、
(B9)基板上への官能基の導入が,あらかじめ基板上に導入されたアミノ基と、オキシルアミノ基およびカルボキシル基の両方を有する物質との反応による(B8)記載の糖鎖チップ、
(B10)オキシルアミノ基およびカルボキシル基の両方を有する物質が下記(2)で表されるものである(B9)記載の糖鎖チップ、
(B11)基板がプラスチック製である(B1)〜(B10)いずれか記載の糖鎖チップ、
(B12)糖鎖のアルデヒド基が、糖鎖の還元末端に由来するものである(B1)〜(B11)いずれか記載の糖鎖チップ、
(B13)糖鎖のアルデヒド基が、糖鎖を過ヨウ素酸酸化、またはガラクトースオキシダーゼ処理に代表される酵素処理によって導入されたものである(B1)〜(B11)いずれか記載の糖鎖チップ、
(B14)(B1)〜(B13)いずれか記載の糖鎖チップ上に試料溶液を展開し、該試料溶液に含まれる物質と基板上に固定化された糖鎖との相互作用を定量化する糖鎖チップの使用方法、
(B15)試料溶液に含まれる物質が、血液,血清,細胞破砕物,タンパク質,核酸,酵素,レクチン,ペプチド,ペプチド核酸,抗体,糖鎖,糖タンパク質,糖脂質,およびそれらの誘導体から選ばれるすくなくとも一つである(B14)記載の糖鎖チップの使用方法、
(B16)相互作用の定量化が,蛍光によるシグナルの検出によるものである(B14)又は(B15)記載の糖鎖チップの使用方法、
(B17)(B1)〜(B13)いずれか記載の糖鎖チップ上に細胞を播種し、糖鎖と細胞との相互作用を利用して該細胞の分化,増殖,接着,変異から選ばれる少なくとも一つの挙動を制御する糖鎖チップの使用方法、
である。
(支持体)
本発明の実施形態の支持体は、糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を担持してなるものである。
糖鎖は生体内物質のなかで唯一、アルデヒド基をもつ物質である。すなわち、糖鎖は水溶液などの状態で環状のヘミアセタール型と、非環状型のアルデヒド型とが平衡で存在する。タンパク質や核酸,脂質など糖鎖以外の生体内物質にはアルデヒド基が含まれていない。このことから、アルデヒド基と特異的に反応して安定な結合を形成する官能基を利用すれば、糖鎖のみを選択的に捕捉または固定化することが可能である。
前記支持体を粒子状に構成して、ポリマー粒子として使用することができる。このポリマー粒子は、糖鎖を捕捉する担体として好適に用いることができる。
糖鎖を捕捉するための担体(以下,捕捉担体と略)に用いるポリマー粒子は、少なくとも表面の一部に糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を有した固体あるいはゲル粒子であることが好ましい。このように、ポリマー粒子を固体粒子あるいはゲル粒子とすることで、ポリマー粒子に糖鎖を捕捉させたのち、遠心分離やろ過などの手段によって、この糖鎖を捕捉したポリマー粒子を容易に回収することができる。また、ポリマー粒子をカラムに充填して用いてもよく、このような用途は、特に連続操作化を実現するという観点から重要となる。
前述のような本実施形態の支持体の用途において好適に用いられるポリマー粒子は、量産が可能である。
こうして得られるポリマー粒子を用いて、糖鎖を捕捉する工程、及び糖鎖を分離する工程を行って、糖鎖を精製することができる。以下、この糖鎖の精製方法として、血清,組織片,細胞などの生体試料からグリコペプチダーゼなどの酵素的方法,あるいはヒドラジン分解などの化学的方法を用いて切り出しておいた糖鎖を含有する生体試料を、ポリマー粒子と接触させることによって糖鎖のみを選択的に回収する方法について説明する。
糖鎖を捕捉する工程では、ポリマー粒子に含まれる糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基と、糖鎖のアルデヒド基とを結合させて、生体試料の中の糖鎖のみをポリマー粒子に担持させる。
糖鎖捕捉の際に、ポリマー粒子の表面には糖鎖以外の莢雑物が非特異的に吸着しているため、糖鎖回収の前にこれらを洗浄除去する工程を設けることが好ましい。このときの洗浄液としては、水,緩衝液,界面活性剤を含む水溶液または緩衝液,有機溶剤などを適宜組み合わせて用いることができる。特に好ましい形態は,界面活性剤を含む水溶液または緩衝液で十分に洗浄したのち、有機溶剤で洗浄し、最後に水で洗浄する方法である。これらの洗浄により、非特異的吸着物は実質的に全てポリマー粒子から除去される。なお、カラムを用いて糖鎖を捕捉させた場合には、このカラムにこれら溶液を通過させることで洗浄することができる。
前記支持体を基板の一部分として構成して、この基板を用いて糖鎖チップとして使用することができる。この糖鎖チップでは、支持体に該当する部分に含まれる糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基の少なくとも一部が糖鎖と結合することで、基板上で糖鎖が固定化されている。
本実施形態において糖鎖チップとは、糖鎖,糖鎖誘導体,糖鎖含有物質など(以下,特記しない限り「糖鎖」と表記する)を固相基板上に共有結合的に固定化したデバイスをいう。
糖鎖チップ用基板は,量産性および表面処理の多様性の観点から、プラスチック製であることが好ましい。測定手段に蛍光を用いる場合には,プラスチックは低蛍光性のものが好ましく、たとえば飽和環状ポリオレフィンなどを好適に用いることができる。
上記官能基を有する物質としてはポリマーが好ましい。該ポリマーは、前述のポリマー粒子のように、糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を有するモノマーを重合することによって作製することができる。モノマーは、分子内にビニル基を含むビニル系モノマーであることが好ましく,たとえばメタクリル酸誘導体,アクリル酸誘導体,スチレン誘導体,プロピレン誘導体,アクリルアミド誘導体などを好ましく用いることができ、メタクリル酸誘導体がより好ましい。さらに、このモノマー分子内では、糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基、好ましくはオキシルアミノ基が側鎖として含まれることが好ましい。また、オキシルアミノ基はt−ブトキシカルボニル(BOC)基や9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基などの保護基で保護されていてもよい。さらに、モノマー分子内では、オキシルアミノ基とビニル基との間にスペーサー分子鎖が存在しても良い。特に、酸素原子などのヘテロ原子を含むスペーサー分子鎖が存在すると、オキシルアミノ基の周囲が親水性環境となり、このようなモノマーを重合して得られるポリマーはオキシルアミノ基周辺において糖鎖との親和性が向上するため特に好ましい。このような化合物としては、上記式(1)で示されるものが挙げられる。
基板表面に第1の官能基を導入しておき、これを介して糖鎖と結合し得る第2の官能基を導入する方法である。第1の官能基としては、アミノ基,カルボキシル基,水酸基などが挙げられる。第1の官能基の導入方法としては、プラズマ照射,第1の官能基含有アルコキシシランによるコーティング、第1の官能基含有モノマーの表面グラフト重合などを適宜用いることができる。
基板上への糖鎖の固定化は、糖鎖を溶解させて含む溶液を基板表面と接触させることにより実現される。好ましい形態の一つは、糖鎖を含む溶液を基板表面に整列的に点着(スポット)する方法である。スポットには点着用のピンを用いたスポッティング方式(たとえば,日立ソフトウェアエンジニアリング(株)製「SPBIO」シリーズ)、インクジェット方式(たとえば、Perkin-Elmer社製「Piezorray」)などを適宜利用することができる。糖鎖を溶解するための液体は、水,緩衝液,あるいはその他の溶媒であってもよく、糖鎖以外の添加物を含んでいてもよい。添加物としてはたとえば、界面活性剤、高分子化合物、各種の塩などを挙げることができる。界面活性剤の添加は、糖鎖溶液と基板表面との濡れ性をコントロールする際に有用な方法である。糖鎖溶液のpHは、糖鎖のアルデヒド基と基板表面の官能基との反応に最適な範囲の値に調整することが好ましい。いずれの方法においても、固定化する糖鎖は1種類あるいは複数種類であってもよい。
本実施形態の糖鎖チップの好ましい使用方法の一つとして、糖鎖チップ上に試料溶液を展開し、該試料溶液に含まれる物質とチップ上の糖鎖との相互作用を定量化する方法が挙げられる。この方法は、従来のDNAチップやプロテインチップと同様の使用形態である。
(オキシルアミン含有モノマーの合成)
5gの無水メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)と25gの2,2'−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)を200mlのクロロホルム中で16時間反応させた。反応の進行は薄層クロマトグラフィ(TLC)で確認した。反応終了後、シリカゲルクロマトグラフィによる通常の方法で精製を行ったのち、溶媒を留去した。
Bruker社製 'UltraFlex')で生成物の確認を行った。合成したモノマーの構造式を下記式に示す。
(ポリマー粒子の合成)
実験例A1にて合成したモノマー1gをクロロホルム1mlに溶解し、還流冷却管を取り付けた反応容器内に投入した。反応容器内に30mlの純水および0.05gのポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製,重合度約1500)を投入し、反応容器を65℃の恒温槽内に設置した。反応容器内の溶液を攪拌しながら、30分間窒素パージを行った。0.05gの2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)を微量のクロロホルムに溶解したものを反応容器内に注入し、重合反応を開始した。16時間反応後、反応容器を冷水に浸漬し、重合反応を停止した。反応容器内に生成した沈殿を遠心分離で回収し、沈殿をメタノールおよび純水で各5回洗浄した。
(モデル糖鎖を用いた糖鎖捕捉率測定)
N−アセチルラクトサミン(Sigma社製)1mgを100μlの純水に溶解した。この溶液に、実験例A2にて作製したポリマー粒子10mg分散させた。塩酸緩衝液で溶液のpHを2に調整し、振とうしながら40℃で16時間反応させた。反応後、遠心分離でポリマー粒子を沈殿させ、上清を取り除いた。回収したポリマー粒子を、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液、50%メタノール、純水でそれぞれ5回ずつ洗浄した。洗浄後、ポリマー粒子を10%トリフルオロ酢酸中に分散させ、室温で3時間振とうすることで糖鎖を遊離させた。遠心分離によりポリマー粒子を沈殿させ、上清を回収した。回収した上清を凍結乾燥し、糖鎖サンプルとした。
(糖タンパク質からの糖鎖精製)
マウス由来の免疫グロブリンG(IgG)50mgをプロテアーゼ処理したのち、定法に従って、N−グリコペプチダーゼFを用いてN結合型糖鎖を切り出した。この溶液に10mgの実験例A2にて作製したポリマー粒子を分散させ、pHを2に調整したのち、振とうしながら40℃で16時間反応させた。反応後、遠心分離でポリマー粒子を沈殿させ、上清を取り除いた。回収したポリマー粒子を、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液、50%メタノール、純水でそれぞれ5回ずつ洗浄した。洗浄後、ポリマー粒子を10%トリフルオロ酢酸中に分散させ、室温で3時間振とうすることで糖鎖を遊離させた。遠心分離によりポリマー粒子を沈殿させ、上清を回収した。回収した上清を凍結乾燥し、糖鎖サンプルとした。
鶏卵由来の卵白アルブミン50mgを用いて、実験例A4と同様の方法で糖鎖サンプルを精製し、MALDI-TOF-MSにより分析した。測定結果を図2に示す。糖鎖に由来する分子量ピークが明確に現れており、本発明のポリマー粒子を用いて、糖タンパク質の糖鎖が精製・回収できることが示された。
マウスの皮膚から真皮組織を採取し、アセトンで脱脂後、細片化した。実験例A4と同様の方法で糖鎖サンプルを精製し、MALDI-TOF-MSにより分析した。測定結果を図3に示す。糖鎖に由来する分子量ピークが明確に現れており、本発明のポリマー粒子を用いて、生体試料から糖鎖が精製・回収できることが示された。
(ポリマー粒子の合成)
メタクリル酸メチルモノマー1gをクロロホルム1mlと混合し、還流冷却管を取り付けた反応容器内に投入した。反応容器内に30mlの純水、0.05gのポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製、重合度約1500)を投入し、反応容器を65℃の恒温槽内に設置した。反応容器内の溶液を攪拌しながら、30分間窒素パージを行った。0.05gの2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)を微量のクロロホルムに溶解したものを反応容器内に注入し、重合反応を開始した。16時間反応後、反応容器を冷水に浸漬し、重合反応を停止した。反応容器内に生成した沈殿を遠心分離で回収し、沈殿をメタノールおよび純水で各5回洗浄して、ポリマー粒子を作製した。
N−アセチルラクトサミン(Sigma社製)1mgを100μlの純水に溶解した。この溶液に上記の方法で作製したポリマー粒子を10mg分散させた。塩酸緩衝液で溶液のpHを2に調整し、振とうしながら40℃で16時間反応させた。反応後、遠心分離でポリマー粒子を沈殿させ、上清を取り除いた。回収したポリマー粒子を、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液、50%メタノール、純水でそれぞれ5回ずつ洗浄した。洗浄後、ポリマー粒子を10%トリフルオロ酢酸中に分散させ、室温で3時間振とうした。遠心分離によりポリマー粒子を沈殿させ、上清を回収した。回収した上清を凍結乾燥し、実験例A3の結果に対する比較サンプルとした。
(ポリマー溶液の作製)
実験例A1にて合成したモノマー1gおよびメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)3gを、還流冷却管を取り付けた反応容器内に投入した。反応容器内に30mlのクロロホルムを投入し、反応容器を65℃の恒温槽内に設置した。反応容器内の溶液を攪拌しながら、30分間窒素パージを行った。0.05gの2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)を反応容器内に投入し、重合反応を開始した。16時間反応後、反応容器を冷水に浸漬して重合反応を停止し、ポリマー溶液を得た。
(基板の作製)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を射出成形法で成形し、厚さ1mmの平板状の基板を作製した。酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面を親水化処理した。
上記の基板を、実験例B1で得られたポリマー溶液に浸漬し、30分間静置した。浸漬後、基板を静かに引き上げ、25℃で1時間乾燥した。引き続き、10%の酢酸を含む1M塩酸に基板を3時間浸漬することにより、BOC基を脱離させた。基板を純水で洗浄し、風乾した。
マンノトリオース(Dextra Laboratories社製)を10mg/ml、1mg/ml、及び0.1mg/mlの各濃度で酢酸緩衝液(pH4,100mM)に溶解した。この溶液1μlを、上記で作製した基板表面にスポットした。スポット後の基板を保湿したチャンバー内に入れ、室温で1時間静置した。トリス−塩酸緩衝液(pH7.4,10mM)に3重量%のウシ血清アルブミン(和光純薬工業(株)製)を溶解した。この溶液に静置後の基板を室温で1時間浸漬することにより、基板表面をブロッキングした。ブロッキング後、基板を純水で洗浄し風乾した。
ローダミン標識化コンカナバリンA(フナコシ(株)製)をリン酸緩衝液(PBS,pH7.4,100mM)で20μg/mlの濃度で溶解した。この溶液20μlを、ブロッキング後の基板上に滴下し、カバーガラスをかぶせ、室温で1時間静置した。静置後、基板からカバーガラスを外し、基板を洗浄液(0.05重量%のTWEEN−20をPBSに溶解したもの)で3回洗浄した。基板をさらに純水で洗浄し、風乾した。
上記工程を経た基板の表面を、マイクロアレイ用スキャナー'ScanArray LITE' (Packard Biochip Technologies社製)を用いて測定した。測定条件は、レーザー強度90%、PMT感度60%、励起/検出波長はローダミンチャンネルとした。基板表面の蛍光強度を画像化したものを図4に示す。図中、上段の3スポットはスポット時のマンノトリオース濃度10mg/ml、中段の3スポットは1mg/ml、下段の3スポットは0.1mg/mlをそれぞれ示す。
(基板の作製)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を射出成形法で成形し、厚さ1mmの平板状の基板を作製した。酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面を親水化処理した。
工程1:3−アミノプロピルトリメトキシシランを2重量%の濃度で純水に溶解した。この溶液に上記の基板を浸漬した。浸漬は25℃で1時間行った。浸漬後、基板を純水で洗浄し、乾燥した。これを45℃に保った真空乾燥機を用いて真空乾燥した。
工程2:BOC−アミノオキシ酢酸を2重量%の濃度でメタノールに溶解した。さらにBOC−アミノオキシ酢酸に対して1.5等量の水溶性カルボジイミド(和光純薬工業(株)製)を投入した。この溶液に、工程1の基板を浸漬した。浸漬は25℃で12時間行った。浸漬後、基板をメタノールで洗浄し、乾燥した。引き続き、10%の酢酸を含む1M塩酸に基板を3時間浸漬することにより、BOC基を脱離させた。基板を純水で洗浄し、風乾した。
実験例B2と同様の方法で基板上にマンノトリオースを固定化させる処理をした。
(レクチンの反応)
実験例B2と同様の方法でローダミン標識化コンカナバリンAを反応させた。
(測定)
実験例B2と同様の方法で基板表面の蛍光強度を測定した。基板表面の蛍光強度を画像化したものを図5に示す。図中、上段の3スポットはスポット時のマンノトリオース濃度10mg/ml、中段の3スポットは1mg/ml、下段の3スポットは0.1mg/mlをそれぞれ示す。
(基板の作製)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を射出成形法で成形し、厚さ1mmの平板状の基板を作製した。酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面を親水化処理した。実験例B2で行ったようなオキシルアミノ基導入処理は行わなかった。
実験例B2と同様の方法で基板上にマンノトリオースを固定化させる処理をした。
(レクチンの反応)
実験例B2と同様の方法でローダミン標識化コンカナバリンAを反応させた。
(測定)
実験例B2と同様の方法で基板表面の蛍光強度を測定した。基板表面の蛍光強度を画像化したものを図6に示す。
Claims (30)
- 糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基を担持してなる支持体。
- 請求項1に記載の支持体において、
前記官能基が、オキシルアミノ基,ヒドラジド基,及びセミチオカルバジド基から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする支持体。 - 請求項2に記載の支持体において、
前記官能基が、オキシルアミノ基であることを特徴とする支持体。 - 請求項1〜3のいずれか一つに記載の支持体から構成され、糖鎖を捕捉する担体に用いるポリマー粒子。
- 請求項4に記載のポリマー粒子において、
前記官能基を有するモノマー又は該モノマーの誘導体を重合したポリマーから構成されることを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項5に記載のポリマー粒子において、
前記官能基を有するモノマーが下記一般式(1)で表されるモノマー又は該モノマーの誘導体を含むことを特徴とするポリマー粒子。
- 請求項5又は6に記載のポリマー粒子において、
前記ポリマーが、前記官能基を有するモノマー又はその誘導体と、糖鎖のアルデヒド基と反応しないモノマーとの共重合体であることを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項7に記載のポリマー粒子において、
前記糖鎖のアルデヒド基と反応しないモノマーが架橋剤として多官能性モノマーを含むことを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項5〜8のいずれか一つに記載のポリマー粒子において、
前記ポリマーが、懸濁重合法により得られることを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項5〜8のいずれか一つに記載のポリマー粒子において、
前記ポリマーが、乳化重合法により得られることを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項4〜10のいずれか一つに記載のポリマー粒子において、
粒子形状が球状であることを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項11に記載のポリマー粒子において、
粒子の平均粒径が0.05〜200μmであることを特徴とするポリマー粒子。 - 請求項4〜12いずれか記載のポリマー粒子を用いて糖鎖を捕捉する工程、及び糖鎖を分離する工程を有することを特徴とする糖鎖の精製方法。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の支持体を含む糖鎖チップであって、
前記支持体が基板の少なくとも一部を構成し、当該支持体の官能基の少なくとも一部が糖鎖と結合することで、当該基板上で糖鎖が固定化されていることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項14に記載の糖鎖チップにおいて、
前記基板表面へ前記官能基を有する物質をコーティングして、前記基板の表面に当該官能基を有する支持体が構成されることにより、当該基板に当該官能基が導入されることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項15に記載の糖鎖チップにおいて、
前記官能基を有する物質の基板表面へのコーティングが、ラングミュア−ブロジェット法による基板表面での分子膜形成であることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項15又は16に記載の糖鎖チップにおいて、
前記官能基を有する物質がポリマーであることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項17に記載の糖鎖チップにおいて、
前記ポリマーが下記一般式(1)で表されるモノマー単位を含むことを特徴とする糖鎖チップ。
- 請求項14に記載の糖鎖チップにおいて、
前記基板上への前記官能基の導入が、あらかじめ当該基板上に導入された別種の官能基を介してなることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項19に記載の糖鎖チップにおいて、
前記基板上への前記官能基の導入が、あらかじめ当該基板上に導入された第1の官能基と、当該第1の官能基と反応し得る官能基およびオキシルアミノ基の両方を有する物質との反応によることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項20に記載の糖鎖チップにおいて、
前記基板上への前記官能基の導入が、あらかじめ当該基板上に導入されたアミノ基と、オキシルアミノ基およびカルボキシル基の両方を有する物質との反応によることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項20に記載の糖鎖チップにおいて、
前記オキシルアミノ基およびカルボキシル基の両方を有する物質が下記(2)で表されることを特徴とする糖鎖チップ。
- 請求項14〜22のいずれか一つに記載の糖鎖チップにおいて、
前記基板がプラスチック製であることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項14〜23のいずれか一つに記載の糖鎖チップにおいて、
前記官能基と結合する糖鎖のアルデヒド基が、還元末端に由来することを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項14〜23のいずれか一つに記載の糖鎖チップにおいて、
前記官能基と結合する糖鎖のアルデヒド基が、当該糖鎖を過ヨウ素酸酸化、または所定の酵素処理によって導入されたことを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項25に記載の糖鎖チップにおいて、
前記酵素処理は、ガラクトースオキシダーゼ処理であることを特徴とする糖鎖チップ。 - 請求項14〜26のいずれか一つに記載の糖鎖チップ上に試料溶液を展開し、該試料溶液に含まれる物質と基板上に固定化された糖鎖との相互作用を定量化することを特徴とする糖鎖チップの使用方法。
- 請求項27に記載の糖鎖チップの使用方法において、
前記試料溶液に含まれる物質が、血液,血清,組織破砕物および抽出物,細胞破砕物および抽出物,タンパク質,核酸,酵素,レクチン,ペプチド,ペプチド核酸,抗体,糖鎖,糖タンパク質,糖脂質,およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする糖鎖チップの使用方法。 - 請求項27又は28に記載の糖鎖チップの使用方法において、
前記相互作用の定量化がが、蛍光によるシグナルの検出によることを特徴とする糖鎖チップの使用方法。 - 請求項14〜26のいずれか一つに記載の糖鎖チップ上に細胞を播種し、糖鎖と細胞との相互作用を利用して該細胞の分化,増殖,接着,及び変異から選ばれる少なくとも一つの挙動を制御することを特徴とする糖鎖チップの使用方法。
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