JPWO2005068277A1 - ステアリングシャフト用ダストカバー - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハンドル操作時の異音の発生を防止する。【解決手段】 ステアリング用ダストカバー1は、ステアリングシャフト20が貫通する低摩擦材製のブッシュ2と、ステアリングシャフト20の軸方向に複数設けられ、ブッシュ2とパネル19との間に配置されてこの間をシールするゴム製のベローズ3と、ステアリングシャフト20の外周と接触する環状のシールリップ4とを有している。【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンルームと車室とを仕切るパネルに設けられたコラムホールを貫通するステアリングシャフトとパネルとの間の隙間(コラムホール)を塞ぐステアリングシャフト用ダストカバーに関する。さらに詳述すると、本発明は、ステアリングシャフトの傾動に追従するためのベローズを備えたステアリングシャフト用ダストカバーに関する。
自動車のステアリングシャフトは、車室とエンジンルームとの間を仕切るパネルに設けられた開口に該パネルを貫くように配置されている。該パネルの開口の縁とステアリングシャフトとの間には、雨水、粉塵、外気、騒音等の車室内への侵入を防ぐために、ステアリングシャフト用ダストカバーが設けられている。ステアリングシャフトは、ハンドルの高さ調整のために、或いは自動車走行中の振動等により、パネルに設けられた開口に対して相対的に移動してしまうこと、例えば傾いたり偏倚することが避けられないため、ステアリングシャフト用ダストカバーにはベローズが備えられている。ベローズは変形し易い柔らかいゴム材で形成されており、このベローズが変形することでステアリングシャフトの傾動に追従するようにしている。
従来のステアリングシャフト用ダストカバーとして、特許文献1に開示されたものがある。このステアリングシャフト用ダストカバー100は、図17に示すように、ステアリングシャフトが貫通すると共にこのステアリングシャフトに接触する軸シール部101と、この軸シール部101に内周端が連結され外周端がパネル固定部材103に接着されている二つのベローズ部102,102とを有し、軸シール部101と二つのベローズ部102,102とはゴム材を用いて金型で一体成形されている。この技術では、二つのベローズ部102,102を備えることで遮音性を高めると共に、これら二つのベローズ部102,102とステアリングシャフトが貫通する軸シール部101とを一体成形することにより、車体への組み込み作業を容易に行なえるようにしている。
特開2001−324018
しかしながら、特許文献1の技術では、ステアリングシャフトが回転摺動する軸シール部101が、ベローズ部102と同じゴム材で構成されているため、ステアリングシャフトと軸シール部101との間の摩擦抵抗が大きく、ハンドル操作によるステアリングシャフトの回転時にステアリングシャフトと軸シール部101とが擦れて、異音が発生してしまう問題を有している。
そこで本発明は、ハンドル操作時の異音の発生を防止し、ステアリングシャフトの軸回転に対する良好な摺動性と、ステアリングシャフトの傾動に対する柔軟な追従性と、雨水、粉塵、外気、騒音等の車室内への侵入を防ぐ高いシール性とを兼ね備えたステアリングシャフト用ダストカバーを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
かかる目的を達成するため、本発明は、エンジンルームと車室とを仕切るパネルに設けられたコラムホールを貫通するステアリングシャフトとパネルとの間のコラムホールを塞ぐステアリングシャフト用ダストカバーにおいて、ステアリングシャフトが貫通する低摩擦材製のブッシュと、ステアリングシャフトの軸方向に複数のべローズを備えかつブッシュとパネルとの間に配置されてこの間をシールするゴム製のダストシール本体と、ブッシュの少なくともエンジンルーム側に配置されてステアリングシャフトの外周面と接触する環状のシールリップとを有するようにしている。
したがって、ステアリングシャフトの軸回転に対しては低摩擦材製ブッシュにより良好な摺動性を実現でき、ステアリングシャフトの傾動に対してはゴム製ベローズにより柔軟な追従性を実現できる。さらに、ステアリングシャフトの軸方向に設けられた複数のベローズおよびシールリップにより、高い遮音性および雨水、粉塵、外気等の車室内への侵入を防ぐ高い密封性を実現できる。加えて、ステアリングシャフトには、摺動性の良い低摩擦材製のブッシュと、接触面積が小さいシールリップしか接触しないので、ステアリングシャフトの回転時に異音が発生してしまうことを防止できる。
ここで、ダストシール本体は、あらかじめ複数のベローズが各外周側の端部を連続させて一体成形されたものでも、また、複数のベローズがそれぞれ別体に形成され、互いの外周側の端部をコラムホールの縁に嵌め合わせると共に内周側の端部をブッシュに嵌め合わせることで一体化されるものでも良い。また、ダストシール本体は、複数のベローズの内側の環状の端部がブッシュに嵌合されているため、その締め付け力だけでもブッシュに固定されるが、複数のベローズの内周側の端部を包囲する取付部材を設けてさらに周りから締め付けることが好ましい。これにより、ベローズの内周端はブッシュに嵌合された状態において更に取付部材によりブッシュとの間で締め付けられ、ベローズがブッシュに確実に止め付けられる。しかも、取付部材による締め付け力はブッシュが受け止め、ステアリングシャフトのブッシュに対する円滑な回転を妨げることがない。
また、本発明において取付部材は、ブッシュに嵌合されている複数のベローズの内側の環状の端部を包囲して締め付ける円筒部ないし環状部を有するものであれば足り、その材質、形状には特に制限されるものではないが、ベローズを押さえる開口端の縁が外側カーリングされていること、あるいは曲面の先端縁を有するテーパ形状とされていることがベローズの損傷を回避する上で好ましい。そして、この取付部材のブッシュに対する固定構造は、様々な方式によることができるが、例えばブッシュと複数のベローズの内周側端部に嵌合された状態でブッシュの端のかしめによってブッシュに固定することが構造を簡単にする上で好ましい。また、ブッシュの端部に、取付部材が嵌め込まれる際に径方向に弾性変形してこの取付部材の通過を許容すると共に取付部材が当該ブッシュに嵌め込まれた後は取付部材の端部に先端が引っかかってブッシュに嵌め込まれた取付部材の抜け止めとして機能するフックを備え、取付部材をスナップロック式で固定することが好ましい。この固定方式によると、取付部材をブッシュに嵌め込み、押し込むだけの操作で取付が完了する。
また、本発明におけるダストシール本体のベローズは、ステアリングシャフトの傾きや偏倚を許容する変形が可能な弛みないしは構造であれば足り、特定の形状、構造に限られるものではないが、内周側の端部と外周側の端部との間に、ブッシュの軸に対して互いに逆向きに傾斜する2つの傾斜部とそれらを連続的に繋げる曲面からなる1つの頂部を備え、エンジンルーム側あるいは車室側のいずれかに向かって突出する環状の突出部を少なくとも1つ有するものであることが好ましい。
そして、このベローズにおいて、突出部がエンジンルーム側へ突出し、かつ最も車室側に位置するベローズの頂部の曲率が、他のベローズの頂部の曲率よりも大きいものであることがより好ましい。この場合、ステアリングシャフトの傾動に伴う変形量が最も大きい最も車室側寄りに位置するベローズの長さを傾斜角を変えることなく他のベローズよりも長くすることができ、また同ベローズの頂部を屈曲し易くするため、最も車室側に位置するベローズの径方向への変形を一層容易にしてステアリングシャフトの動きに対するベローズの追従が容易となる。
さらに、このベローズにおいて、突出部はその頂部がベローズの内周側の端部寄り又は外周側の端部寄りに形成されるものであることが好ましい。この場合、ベローズを長くすることができるとともにステアリングシャフトの傾動時に屈曲する突出部上の箇所が頂部近傍に定まり、ステアリングシャフトの傾動時にベローズが座屈したりベローズに皺が発生してしまうことを防止できる。
また、本発明において、複数のベローズの内周側の端部付近の、最も車室側に位置するベローズの傾斜部の一部を、外力が作用しない初期状態で他のベローズの一部と接触させていることが好ましい。この場合、最も車室側に位置するベローズがステアリングシャフトの径方向に縮む場合と伸びる場合とで、変形時の基点が変化し、常に一定箇所に応力が集中することを避けて応力集中箇所の分散を図ることができる。
また、本発明のステアリングシャフト用ダストカバーにおいては、ブッシュの内周面に潤滑剤保持用の溝が形成されていることが好ましく、さらにはブッシュの車室側の端部にもステアリングシャフトの外周面と接触する環状のシールリップを配置してブッシュの内周面に潤滑剤を保持させることが好ましい。
さらに、本発明において、シール本体の少なくともコラムホールの内周面と接触する面は、摩擦係数を低下させる粗い面とされているものであることが好ましい。また、シール本体の複数のべローズの少なくともベローズ同士が接触し得る部分あるいは同じベローズ間で接触する部分も接触面積を低減させる粗い面とされていることが好ましい。
本発明のステアリングシャフト用ダストカバーによれば、ハンドル操作時の異音の発生を防止し、ステアリングシャフトの軸回転に対する良好な摺動性と、ステアリングシャフトの傾動に対する柔軟な追従性と、雨水、粉塵、外気、騒音等の車室内への侵入を防ぐ高いシール性とを両立できる。
また、本発明において、複数のベローズの内周側の端部を包囲する取付部材を設けてさらに周りから締め付ける場合には、ブッシュに対するステアリングシャフトの摺動性を悪化させることなく、ベローズをブッシュに確実に固定することができる。
本発明のステアリングシャフト用ダストカバーの実施の一形態を示し、図2のI−I線に沿う断面図である。 上記ステアリングシャフト用ダストカバーの平面図である。 上記ステアリングシャフト用ダストカバーをパネルに取り付けた状態を示す断面図である。 図1に示したステアリングシャフト用ダストカバーにおけるブッシュの形状を示す断面図である。 図1に示したステアリングシャフト用ダストカバーにおける取付部材の形状を示す断面図である。 本発明のステアリングシャフト用ダストカバーの他の実施形態の一例を示す中央縦断面図である。 図6のステアリングシャフト用ダストカバーの平面図である。 図6のステアリングシャフト用ダストカバーの底面図である。 本発明のステアリングシャフト用ダストカバーのさらに他の実施形態の一例を示す図で、図10中のIX−IX線に沿う縦断面図で表したものである。 本発明のさらに他の実施形態におけるステアリングシャフト用ダストカバーを車室の側からみて表した図である。 図9のステアリングシャフト用ダストカバーの側面図を中心線より半分で示す。 図9に示したステアリングシャフト用ダストカバーにおけるブッシュの形状を示す断面図である。 図12に示したブッシュを車室側からみた図である。 図12中のスナップ部を拡大して示す図である。 図9に示したステアリングシャフト用ダストカバーにおけるリップおよびスナップリングの形状を示す断面図である。 図15に示したリップおよびスナップリングを車室側からみた図である。 従来のステアリングシャフト用ダストカバーを示す中央縦断面図である。
符号の説明
1 ステアリングシャフト用ダストカバー
2 ブッシュ
3a,3b ベローズ
4 シールリップ
5 取付部材
8a,8b 突出部
9a,9b 傾斜部
10a,10b 頂部
11 丸みを有する溝
12 ブッシュの内周面に形成された溝
17 車室
18 エンジンルーム
19 パネル
20 ステアリングシャフト
23 ホールカバー
24 コラムホール
25 シールリップ
26 フック
27 爪部
30 ダストシール本体
31 べローズ外周端の取付部
31c ベローズ外周端の外周面
32 べローズ内終端の固定部
33 べローズの密着の虞のある箇所
c 接触部
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1から図5に本発明のステアリングシャフト用ダストカバーの実施の一形態を示す。このステアリングシャフト用ダストカバー1は、図3に示すように、車室17とエンジンルーム18との間を仕切るパネル19に設けられたコラムホール24に取り付けられて、コラムホール24を貫通するステアリングシャフト20とパネル19との間の隙間(コラムホール24)を塞ぐものである。そしてこのステアリングシャフト用ダストカバー1は、ステアリングシャフト20が貫通する低摩擦材製のブッシュ2と、ステアリングシャフト20の軸方向に複数のベローズ3a,3bを有するゴム製のダストシール本体30と、ブッシュ2の少なくともエンジンルーム側に配置されてステアリングシャフト20の外周面と接触する環状のシールリップ4とで少なくとも構成されている。尚、本実施形態においては、コラムホール24はパネル19から起立されたホールカバー23によって形成されている。
ダストシール本体30は、ステアリングシャフト20の軸方向に複数のベローズ、例えば車室17側寄りの第1ベローズ3aと、エンジンルーム18側寄りの第2ベローズ3bとを有する。ここで、ダストシール本体30を構成するゴム材は、ステアリングシャフト20の傾動に良好に追従するべく高い柔軟性を有するものの利用が好ましく、例えば本実施形態ではエチレンプロピレンゴムを用いている。また、例えば本実施形態のシールリップ4には、摺動部分の密封に良好な物性を有するNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)を用いている。但し、上記に挙げた材料は好適な例示であって、他の材料を用いても良いのは勿論である。尚、本実施形態では第1と第2の2つのベローズ3a,3bを設けた例について主に説明するが、場合によっては3つ以上のベローズを設けるようにしても良い。
本実施形態のダストシール本体30は、例えば金型を用いて一体成形され、第1,第2ベローズ3a,3bの各外周端が連続した形状となっている。この連続した外周端の部分が、車室17とエンジンルーム18間を仕切るパネル19にコラムホール24を形成するホールカバー23に嵌め込まれる取付部31となっている。この取付部31は、ホールカバー23の内周面に当接する筒状部31aと、該取付孔の周縁に当接するフランジ部31bとで構成され、取付部31の内部には鍔6aを有する筒状の金属製補強部材6が埋設されている。第1,第2ベローズ3a,3bを一体化させることによりステアリングシャフト用ダストカバー1の組立作業及びホールカバー23への取付作業を簡単に行なえる。また、第1,第2ベローズ3a,3bは外周端の取付部31で一体化されているので、これらのベローズ3a,3bの内周端側に別部材であるブッシュ2を配置することが容易となるのでステアリングシャフト用ダストカバーの組立作業が容易になり、さらにステアリングシャフト用ダストカバー1のパネルへの取付作業を簡単に行なえる。尚、補強部材6は金属製に限られない。
第1,第2ベローズ3a,3bの各内周側の端は、それぞれブッシュ2の外周面に嵌まる環状の固定部32a,32bとなっている。そして、各固定部32a,32bと取付部31との間には、エンジンルーム18側に向かって突出した突出部8a,8bがそれぞれ形成されている。各突出部8a,8bは、ステアリングシャフト20の軸に対して互いに逆向きに傾斜する傾斜部9a,9bをそれぞれ有し、エンジンルーム18側に向かって盛り上がり且つ環状に連続した山形を成しており、当該山の頂上が形成する環状に連なる頂部10a,10bをそれぞれ1つ有している。これらの突出部8a,8bは、屈曲、展開あるいは撓み等の変形をすることで、ハンドルの高さ調整時等のステアリングシャフト20の傾動を許容し、また自動車走行中等のステアリングシャフト20の振動を吸収する。図3の矢印Aは、ステアリングシャフト20の傾動方向を表している。尚、本実施形態の突出部8a,8bは、エンジンルーム18側すなわちエンジンルームに向かって突出した形状であるが、場合によっては車室17側に向かって突出した形状としても良い。また、本実施形態の突出部8a,8bは、1つの頂部10a,10bを有する形状であるが、場合によっては複数の頂部10a,10bを有する形状としても良い。
ここで、ステアリングシャフト20が図3の矢印A方向に傾く際には、この傾きの動きの回転中心に近い第2ベローズ3bよりも、当該傾動の回転中心から遠い第1ベローズ3aの方が変形量が大きい。そこで本実施形態では、最も車室17側に位置する第1ベローズ3aの頂部10aの曲率を、第2ベローズ3bの頂部10bの曲率よりも大きいものとしている。換言すれば、頂部10aの曲率半径を頂部10bの曲率半径よりも小さくしている。このように構成することで、双方のべローズ3a,3bの傾斜部9aの角度を変えることなく、第1ベローズ3aにおける傾斜部9aの長さを第2ベローズ3bの傾斜部9aよりも長くすることができ、また第1ベローズ3aの頂部10aが屈曲し易くなるため、第1ベローズ3aを第2ベローズ3bよりもステアリングシャフト20の径方向に大きく変形可能として変形し易くできる。これにより、ステアリングシャフト20の傾きや偏倚などに対するダストシール本体30の追従性を向上することができる。
また、本実施形態では、各突出部8a,8bの頂部10a,10bを固定部32a,32bと取付部31との中間位置よりも固定部32a,32b寄りにオフセットさせて形成している。このように構成することで、第1,第2ベローズ3a,3bの展開長を長くすることができるとともにステアリングシャフト20の傾動時に屈曲する突出部8a,8b上の箇所が頂部10a,10b近傍に定まり、ステアリングシャフト20の傾動時にダストシール本体30が座屈したりダストシール本体30に皺が発生してしまうことを防ぐことができる。ダストシール本体30の座屈や皺の発生を防止することで、ダストシール本体30の耐久性を向上できる。尚、突出部8a,8bの頂部10a,10bのオフセットは、固定部32a,32bと取付部31との中間位置よりも取付部31寄りとしても良い。この場合も、同様の効果が得られる。
さらに本実施形態では、最も車室17側に位置する第1ベローズ3aの傾斜部9aの一部が、ステアリングシャフト用ダストカバー1に対して外力が作用しない初期状態で、第2ベローズ3bの一部と接触するようにしている。この接触部分を図1中の符号Cで示す。このように構成することで、第1ベローズ3aがステアリングシャフト20の径方向に縮む場合と伸びる場合とで、変形時の基点、すなわち第1ベローズ3aの突出部8aにおける固定部32a側の屈曲箇所が変化し、常に一定箇所に応力が集中することを避けることができる。特に、第2ベローズ3bと比較して変形量の大きい第1ベローズ3aの応力集中箇所の分散を図ることで、ダストシール本体30の全体としての耐久性を向上することができる。
また、ダストシール本体30の第1ベローズ3aと取付部31との連結箇所の内部の隅部には、角ができないように円形の溝11が環状に形成され、応力集中が起き難い構造とされている。本実施形態のダストシール本体30の場合、第1,第2ベローズ3a,3bを取付部31で連結して補強部材6と共に一体成形するようにしていることから、型抜きの際に、第1ベローズ3aを捲り上げて型から取り出すようにしている。この型抜きの際に、第1ベローズ3aと取付部31との連結箇所の応力集中を回避でき、型抜き時にダストシール本体30が損傷してしまうことを回避できる。第2ベローズ3bと取付部31との連結箇所の隅部も、同様に角がない円形の隅部とされ、応力集中が起き難い構造とされている。
ブッシュ2は、図1と図4に示すように、ステアリングシャフト20が貫通する孔径を有する筒状に形成されており、ステアリングシャフト20が摺接する内周面には主に潤滑剤としてのグリースを保持するための溝12が少なくとも1本設けられている。溝12は、グリースを保持する機能を発揮するものであればどのような形状でも本数でも実施可能であり、直線状、螺旋状、環状のいずれでも可能であるが、ブッシュ2の成型時の型抜きの問題を考慮すれば、ステアリングシャフト20の軸方向に延びる直線の溝12であることが好ましい。尚、溝12の本数も特に限られるものではないが、好ましくは複数、より好ましくは円周方向に均等間隔で複数設けることである。この溝12に潤滑剤としてのグリースが保持されることにより、ブッシュ2に対してステアリングシャフト20をより長期に且つより円滑に回転摺動させることができる。図3の矢印Bは、ステアリングシャフト20の回転方向を表している。
ここで、ブッシュ2を構成する低摩擦材は、摺動性が良好すなわち低い摩擦係数であり、且つステアリングシャフト20の回転や傾動によって或いは取付部材5の締め付け力によって容易に変形することのない程度の剛性を備える硬質低摩擦材を用いることが好ましく、例えば本実施形態ではポリアミド樹脂を用いているが、ポリテトラフルオロエチレン樹脂やアルミ等の金属材料を用いても良い。また、ポリアセタールや含油樹脂を用いてもよい。
ブッシュ2の外周面には、第1,2ベローズ3の各固定部32a,32bが嵌め込まれる嵌合部22と、ダストシール本体30の抜け止めのための段部14とが形成されている。本実施形態の場合、段部14はブッシュ2の一方の端部例えばエンジンルーム18側の端部に形成されたフランジによって形成されている。また、ブッシュ2のフランジ14が形成されている端部とは反対側の端部、即ち車室17側の端部には取付部材5が固定される。尚、嵌合部22の外周面には環状の凸部13が複数形成されていると共に、第1,第2ベローズ3a,3bの各固定部32a,32bの内周には当該凸部13が嵌る環状の溝が形成されており、凸部13を固定部32a,32bの溝に嵌合させることで、ブッシュ2と第1,第2ベローズ3a,3bとの間のシール性を高めるとともに、第1,第2ベローズ3a,3bがブッシュ2に対してずれたり抜け出てしまうことを防止するようにしている。エンジンルーム18側に配置される第2ベローズ3bには、ブッシュ2に形成されたフランジ14と引っかかる段部15が形成されている。従って、第1,第2ベローズ3a,3bの固定部32a,32bは、取付部材5とフランジ14との間に挟まれて固定され、取付部材5により車室17側へのダストシール本体30の抜けが防止されると共に、フランジ14によりエンジンルーム18側へのダストシール本体30の抜けが防止される。
また、ブッシュ2のエンジンルーム18側の端部には、シールリップ4が設けられている。例えば本実施形態では、シールリップ4とブッシュ2をインサート成形することにより、別部材であるブッシュ2とシールリップ4とを一体化している。シールリップ4はステアリングシャフト20の外周と連続的に接触してシールするリップ部4aを有している。シールリップ4は、エンジンルーム18からの雨水や粉塵などの侵入を防ぐと共にエンジンルーム18側への潤滑グリースの流出を防ぐ。
上述のブッシュ2とパネル23との間の隙間(コラムホール)を塞ぐダストシール本体30は、各第1,第2ベローズ3a,3bの内側の環状の端部即ち固定部32a,32bがブッシュ2に嵌合されているため、その締め付け力だけでもブッシュ2に固定されるが、取付部材5でさらに周りから締め付けることでより確実に固定される。そこで、本実施形態のステアリングシャフト用ダストカバー1は、複数のベローズ3の内周側端部の固定部32a,32bを締め付けてブッシュ2に対して押し付け固定する取付部材5を用いるようにしている。この場合、ベローズ3の内周端の固定部32a,32bはブッシュ2と取付部材5に挟まれてブッシュ2に止め付けられる。取付部材5が各内周端の固定部32a,32bに与える締め付け力はブッシュ2が受け止めるので、ステアリングシャフト20の円滑な回転を妨げることがない。すなわち、ブッシュ2に対するステアリングシャフト20の摺動性を悪化させることなく、ベローズ3をブッシュ2に確実に固定することができる。
取付部材5は、例えば金属製で図5に示すような浅いカップ状に形成されており、円形の開口5aを有する円板部5bとこの円板部5bと一体化された筒部5cとで構成されている。円板部5bはその開口5aの縁がブッシュ2に固定されると共に、第1ベローズ3aの固定部32aの車室17側の端面と当接して、車室17側へのダストシール本体30の抜けを防ぐ。筒部5cは、第1,第2ベローズ3a,3bの固定部32a,32bをブッシュ2に対して押圧し、第1,第2ベローズ3a,3bをブッシュ2に止め付ける。
ここで、筒部5cの端部5dは外側カーリングによって円形断面の縁に巻かれており、取付部材5の第1ベローズ3aと接触する縁に角ができないようにしている。これにより、第1ベローズ3aが変形する際に取付部材5の縁と接触しても第1ベローズ3aの損傷を回避できる。上記に説明した形状の取付部材5は、例えば絞り加工により製造できる。
本実施形態のステアリングシャフト用ダストカバー1は、シールリップ4と一体化されたブッシュ2と、第1,第2ベローズ3a,3bが一体化されたダストシール本体30と、取付部材5とを用いて、例えば次のようにして組み立てられる。先ず、ブッシュ2の嵌合部22に、第2ベローズ3bの固定部32bをフランジ14に段部15が突き当たるまで挿入して嵌め合わせ、次に、ブッシュ2の嵌合部22および第2ベローズ3bの固定部32bに、第1ベローズ3aの固定部32aを嵌め合わせる。この際、第1ベローズ3aの傾斜部9aの一部即ち固定部32a付近の傾斜部9aが第2ベローズ3bの一部即ち固定部32bの斜面部分cと接触する。次に、取付部材5をブッシュ2に嵌め込み、円板部5bの開口5aにブッシュ2の嵌合部22を貫通させると共に、筒部5cで第1,第2ベローズ3a,3bの固定部32a,32bを覆うように圧入し、筒部5cで第1,第2ベローズ3a,3bの固定部32a,32bをブッシュ2に対して締め付ける状態とする。その状態で、取付部材5の開口5aから飛び出たブッシュ2の嵌合部22の端部を合成樹脂製ブッシュの場合には加熱により塑性変形させて、また軽金属製ブッシュの場合にはかしめて、取付部材5をブッシュ2に固定する。以上により、ステアリングシャフト用ダストカバー1が組み立てられる。
組み立てられたステアリングシャフト用ダストカバー1の取付部31は、図3に示すようにホールカバー23に嵌め込まれる。図3中の符号21は、ステアリングシャフト用ダストカバー1をホールカバー23に固定するバンドである。尚、例えば取付部31のフランジ部31bにおけるホールカバー23と対向する面には環状の凸部16が形成されており、この凸部16がホールカバー23の取付孔の周縁に形成された環状の溝に嵌ることで、ホールカバー23とダストシール本体30との間のシール性を高めるとともに、ステアリングシャフト用ダストカバー1がホールカバー23に対してずれてしまうことを防止するようにしている。
このステアリングシャフト用ダストカバー1によれば、ブッシュ2に低摩擦材を用い、ベローズ3にゴム材を用いているので、図3中の矢印Bで示すステアリングシャフト20の軸回転に対する良好な摺動性と、図3中の矢印Aで示すステアリングシャフト20の傾動に対する柔軟な追従性とを両立させることができる。さらに、ステアリングシャフト20の軸方向に並設された2つのベローズ3a,3bおよびシールリップ4により、高い遮音性および雨水、粉塵、外気等の車室17内への侵入を防ぐ高い密封性を実現できる。加えて、ステアリングシャフト用ダストカバー1におけるステアリングシャフト20への接触は、摺動性の良い低摩擦材製のブッシュ2と、接触面積が小さく且つ摺動性の良いNBR製のシールリップ4により行なわれるので、ステアリングシャフト20の回転時に異音が発生してしまうことがない。さらに、ダストシール本体30をステアリングシャフト用ダストカバー1に止め付ける嵌合力が強くとも、当該嵌合力をブッシュ2が受けるため、当該嵌合力によりステアリングシャフト20の回転摺動性を悪化させることを防止できる。また、ダストシール本体30とシールリップ4は別部材なのでそれぞれの機能に合わせて最適の材料を選択することができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、車室17内の省スペース化やデザイン上の要求等に応じて、図6から図8に示すように、取付パネル23に対してブッシュ2が当初から斜めに配置されるステアリングシャフト用ダストカバー1としても良い。尚、図6から図8において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付している。図6から図8に示す例では、第1ベローズ3aと第2ベローズ3bとはそれぞれ別体に形成され、第1ベローズ3aと第2ベローズ3bの互いの外周側の端部を嵌め合わせることで一体に組み合わさるようになっている。例えば第1,第2ベローズ3a,3bの外周端は例えば長円形を成しており、補強部材6を介在させて互いに嵌め合わされる。第2ベローズ3bの外周端はパネル19に形成されたコラムホールの内周面に当接する長円形の筒状部31aを有し、第1ベローズ3aの外周端はパネル19に形成されたコラムホールの周縁に当接する長円形のフランジ部31bを有している。第2ベローズ3bの筒状部31aには補強部材6が嵌め込まれ、当該補強部材6の鍔6aは第1ベローズ3aのフランジ部31bに嵌め合わされる。これにより、第1ベローズ3aと第2ベローズ3bとの各外周端が一体に組み合わさり、これら一体となった外周端がパネル19に嵌め込まれる取付部31となる。そして、第1,第2ベローズ3a,3bの各外周端から内周側に延びる部分で突出部8a,8bがパネル19に対して斜めに支持され、これによりブッシュ2が第1,第2ベローズ3a,3bの固定部32a,32bによりパネル19に対して斜めに支持されて、ステアリングシャフト20がパネル19に対して当初から斜めとなるようにブッシュ2に支持される。複数のベローズ3a,3bを上記例のように別体とする場合、ダストシール本体30を型で成形する場合に型抜きが容易となる利点がある。
また、例えば上述の実施形態では、第1,2ベローズ3a,3bが嵌め込まれたブッシュ2に取付部材5を圧入してから、ブッシュ2を加熱により塑性変形させて取付部材5をブッシュ2に固定したが、必ずしもこの例には限らず、例えば第1,2ベローズ3a,3bが嵌め込まれたブッシュ2に加熱した取付部材5を嵌め込んで、冷えた取付部材5が熱収縮することによって、取付部材5が第1,2ベローズ3a,3bをブッシュ2に締め付けた状態でブッシュ2に固定されるものとしても良い。もしくは、第1,2ベローズ3a,3bが嵌め込まれたブッシュ2に取付部材5を嵌め込み、この状態で取付部材5を塑性変形させることによって、取付部材5が第1,2ベローズ3a,3bをブッシュ2に対して押圧した状態でブッシュ2に固定されるものとしても良い。また、場合によってはダストシール本体30とシールリップ4とを一体に形成しても良い。
さらに、図9〜図16に他の実施形態を示す。尚、前述の実施形態と同じ構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態のステアリングシャフト用ダストカバーでは、図9に示すように、ブッシュ2の車室17側の端部にもステアリングシャフト20の外周面と接触する環状のシールリップ25が配置され、エンジンルーム18側の端部に配置されたシールリップ4と相まって、ブッシュ2の溝12に充填されたグリースを両側から密封する構造としている。これによって、ステアリングシャフト20とブッシュ2との間に充填されるグリースの流出を防いで、グリース不足に因るスティックスリップの発生を十分に防止することが可能となる。すなわち、ブッシュ2のエンジンルーム18側に配置されたシールリップ4だけでもブッシュ2の内周面に保持されているグリースが抜け出て潤滑不足となるような事態を防止し得るが、これに加え、車室17側にもリップ25を設けることによって両リップ4,25間にてグリースを保持してブッシュ2内に密封することが確実に実現できる。このシールリップ25は、シールリップ4と同様に、例えば摺動性、シール性に優れるゴム材あるいはエラストマーの使用が好ましく、特定の材料に限定されるものではないが例えばNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)の使用が好適である。シールリップ25は、ブッシュ2あるいは取付部材5若しくはシール本体のいずれかに取り付けられてブッシュ2のエンジンルーム18側の端部付近に配置される。本実施形態のシールリップ25は、取付部材5と一体成型されており、取付部材5をブッシュ2に装着するのと同時にブッシュ2のエンジンルーム18側に配置することができるように設けられている。
また、本実施形態における取付部材5は合成樹脂例えばポリアミド樹脂によって成形されている。図9並びに図15に示すように、取付部材5は、ベローズ部3a,3bの内径側端部を保持する大径筒部5aとブッシュ2に直接嵌合する小径筒部5bとを有する段付きリング形状であって、さらに大径部5aの先端開口縁5cが角となってベローズ3に当接しないように曲面の先端縁を有するテーパ形状とされている。このような形状の取付部材5をブッシュ2に装着した場合、大径筒部5aにおいてブッシュ2との間で第1及び第2のベローズ3a,3bの各固定部32a,32bを一部重ねた状態で締め付けて保持することとなる(図9参照)。これにより、各ベローズ3a,3bの内周端32a,32bはブッシュ2に嵌合された状態において更に取付部材5によりブッシュ2との間で締め付けられるのでベローズ3a,3bがブッシュ2に確実に止め付けられる。しかも、取付部材5による締め付け力はブッシュ2が受け止めるので、ステアリングシャフト20の円滑な回転を妨げることがない。ここで、本実施形態の取付部材5にはリップ25が一体的に設けられている。具体的には、図15及び図16に示すように、予め射出成形されたポリアミド樹脂製取付部材5をリップ25を嵌合する面例えば小径筒部5bの外周面に接着剤を塗布した状態でリップ25の型内に収容し、取付部材5をコア材としてリップ25を加硫成型することによって、取付部材5とを一体成形するようにしている。
また、本実施形態のステアリングシャフト用ダストカバーでは、図9、図12、図14に示すように、取付部材5をブッシュ2に装着する構造として、取付部材5が所定の位置に押し込まれると固定するスナップロック式を採用している。即ち、ブッシュ2の車室17側の端部に径方向に弾性変形するフック26を備えることにより、リング状の取付部材5を嵌め込む際にフック26の先端が径方向内側へ撓み、取付部材5が通過した後にはフック先端が元の位置に復帰して取付部材5の後端にフック26の先端が引っかかってブッシュ2に嵌め込まれた取付部材5の抜け止めとして機能させるようにしている。フック26の先端には、取付部材5の装入時に取付部材5の小径筒部5bの内周面の前端縁と接する斜面27aと、装入後の取付部材5の小径筒部5bの後端面と当接する垂直面27bとを有する爪部27が設けられている。フック26は少なくとも1カ所あれば取付部材5の抜け落ちを防ぐことはできるが、好ましくは複数、より好ましくは90°おきに4箇所設けることである。この装着方式によると、取付部材5を押し込む際に、取付部材5の小径筒部5bの内周面の前端縁が爪部27の斜面27aに当接することによって受ける径方向内側への力で爪部27を含むフック26が径方向内側に全体的に撓んで取付部材5の挿入を許容し、さらに取付部材5が押し込まれて爪部27を完全に乗り越えたとき(所定の嵌合位置に達したとき)、フック26が弾性復帰して取付部材5の小径筒部5bの後端面に爪部27が引っ掛かり、取付部材5が抜け出ないように固定する(図9、図10参照)。ブッシュ2に取付部材5を押し込むだけでフック26の爪部27が自動的に当該取付部材5の縁に引っ掛かり、取付部材5を固定することによって装着作業が完了するために簡便となり組立工数ないし工程の削減が可能となる。尚、このスナップロック式の取付部材5の固定方法は、上述の樹脂製取付部材に限られず、先の実施形態のように金属板をプレス絞り加工で円筒状としたものでも実施可能である。
さらに、ゴム製ダストシール本体30の取付部31のホールカバー23の内周面に嵌合する面(図3参照)、つまり筒状部31aの外周面31cには、接触面積を低減させて摩擦係数を低下させる粗い面とすることが組み込み性を向上させる上で好ましい。すなわち、シール性や固定力の維持を図るためにパネル19のコラムホール24の内径よりもステアリングシャフト用ダストカバー1の外径(取付部31の外径)の方を大きくして締まり嵌めとする場合がある。こうした場合、ゴム製ダストシール本体30の取付部31の表面が滑り難く、ステアリングシャフト用ダストカバー1をパネル19に組み込むのが難しくなることから、その分だけ作業性が劣ることが想定されるが、このようにステアリングシャフト用ダストカバー1のホールカバー23に対する嵌合部(筒状部31aの外周面31c)に微細な凹凸を設けて摩擦係数を低減させる(換言すれば接触面積を減少させる)粗い面としておけば、その分だけ組み込み易くなる。しかも、このように組み込み易くしても締め代自体に変化はないためシール性や固定力に影響を及ぼすことはない。このような微細な凹凸は、例えばシール成形金型に化学薬品の作用によって表面を腐食させるエッジング処理(化学的処理)や、物理的に対象物の表面に砂やガラスビーズなどを吹きつけるホーニング処理(物理的処理)、エンボッシング等により設けることができる。このような微細な凹凸あるいは浅い凹凸の面は、梨地仕上げやしぼ付け等として良く知られている。なお、この表面の凹凸は、ステアリングシャフト用ダストカバーのゴム製のシール本体の取付部の組み込み時の作業性を向上させ得る程度に、摩擦係数を低減させること、換言すれば接触面積を減少させるものであれば良く、その凹凸形状あるいは凹凸の大きさも深さは特に限定されるものではない。
また、ダストシール本体30の複数のベローズ3a,3bの少なくともベローズ同士が接触し得る部分あるいは同じベローズ間で接触する部分には、これらの間での密着を防止するため、微細な凹凸あるいは浅い凹凸を設けておくことが好ましい。図1あるいは図9に示すような、傾斜部9a,9bおよび頂部10a,10bを備えた突出部8a,8bを有する複数のベローズ3a,3bを備えるステアリングシャフト用ダストカバー1においては、例えばステアリングシャフト20を傾動させるといった使用時において、2枚のベローズ3a,3bどうしが互いに密着してしまったり、あるいは同じベローズ3aあるいは3bの内面の内径側傾斜部と外径側傾斜部とが密着してしまう可能性があり、このような場合には密着部分が離れる際に異音が発生するおそれがある。そこで、少なくとも密着の虞のある箇所33に上述の微細な凹凸を設けることにより互いの接触面積を小さくできる粗い面としておくことで、互いの密着を防止し、異音を生じさせないことができる。このような凹凸は、前述の筒状部31aの外周面に施されるのと同様に、例えばシール成形金型に化学薬品の作用によって表面を腐食させるエッジング処理(化学的処理)や、物理的に対象物の表面に砂やガラスビーズなどを吹きつけるホーニング処理(物理的処理)等により細かな梨地やしぼ付け等の凹凸模様を形成することによって設けることができる。

Claims (17)

  1. エンジンルームと車室とを仕切るパネルに設けられたコラムホールを貫通するステアリングシャフトと前記パネルとの間の前記コラムホールを塞ぐステアリング用ダストカバーにおいて、前記ステアリングシャフトが貫通する低摩擦材製のブッシュと、前記ステアリングシャフトの軸方向に複数のべローズを備えかつ前記ブッシュと前記パネルとの間に配置されてこの間をシールするゴム製のダストシール本体と、前記ブッシュの少なくともエンジンルーム側に配置されて前記ステアリングシャフトの外周面と接触する環状のシールリップとを有することを特徴とするステアリング用ダストカバー。
  2. 前記ダストシール本体は前記複数のベローズが各外周側の端部を連続させて一体成形されたものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  3. 前記ダストシール本体は前記複数のベローズがそれぞれ別体に形成され、互いの外周側の端部を前記コラムホールの縁に嵌め合わせると共に内周側の端部を前記ブッシュに嵌め合わせることで一体化されるものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  4. 前記複数のベローズの内周側の端部を包囲して前記ブッシュとの間で前記内周側端部を締め付けて前記複数のベローズを前記ブッシュに固定する取付部材をさらに有することを特徴とする請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  5. 前記取付部材は前記ブッシュと前記複数のベローズの内周側端部に嵌合された状態で前記ブッシュの端のかしめによって前記ブッシュに固定されているものである請求項4記載のステアリング用ダストカバー。
  6. 前記ブッシュの端部に、前記取付部材が嵌め込まれる際に径方向に弾性変形してこの取付部材の通過を許容すると共に前記取付部材が当該ブッシュに嵌め込まれた後は当該取付部材の端部に先端が引っかかって前記ブッシュに嵌め込まれた前記取付部材の抜け止めとして機能するフックを備え、前記取付部材をスナップロック式で固定するものである請求項4記載のステアリング用ダストカバー。
  7. 前記取付部材の前記べローズを押さえる縁が外側カーリングされていることを特徴とする請求項4記載のステアリング用ダストカバー。
  8. 前記ベローズは、内周側の端部と外周側の端部との間に、前記ブッシュの軸に対して互いに逆向きに傾斜する2つの傾斜部とそれらを連続的に繋げる曲面からなる1つの頂部を備え、前記エンジンルーム側あるいは車室側のいずれかに向かって突出する環状の突出部を少なくとも1つ有するものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  9. 前記複数のベローズの内周側の端部付近の、最も車室側に位置するベローズの傾斜部の一部が、外力が作用しない初期状態で他のベローズの一部と接触しているものである請求項8記載のステアリング用ダストカバー。
  10. 前記突出部が前記エンジンルーム側へ突出し、かつ最も車室側に位置する前記ベローズの前記頂部の曲率が、他のベローズの頂部の曲率よりも大きいものである請求項8記載のステアリング用ダストカバー。
  11. 前記突出部はその頂部が前記ベローズの内周側の端部寄り又は外周側の端部寄りに形成されるものである請求項8記載のステアリング用ダストカバー。
  12. 最もエンジンルーム側または車室側に位置するベローズの外周側の端部に、丸みを有する溝が形成されていることを特徴とする請求項8記載のステアリング用ダストカバー。
  13. 前記ブッシュの内周面には粘性潤滑剤保持用の溝が形成されているものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  14. 前記ブッシュの外周面には、前記ベローズの抜け止め用の段部が形成されているものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  15. 前記ブッシュの車室側の端部にも前記ステアリングシャフトの外周面と接触する環状のシールリップを配置したものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  16. 前記シール本体の少なくとも前記コラムホールの内周面と接触する面は、摩擦係数を低下させる粗い面とされているものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
  17. 前記シール本体の前記複数のべローズの少なくともベローズ同士が接触し得る部分あるいは同じベローズ間で接触する部分には接触面積を低減させる粗い面とされているものである請求項1記載のステアリング用ダストカバー。
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