JPWO2005028410A1 - ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法 - Google Patents

ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法 Download PDF

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Abstract

本発明は、金属触媒の存在下、一般式(1): 式中、Rは、シアノ基、カルボキシル基又はエステル基を表し、R1及びR2は、それぞれ、置換基を有していても良い、反応に関与しない基を表す、なお、R1及びR2は、互いに結合して環を形成していても良い、で示される酢酸化合物を脱炭酸反応させることを特徴とする、一般式(2): 式中、R、R1及びR2は、前記と同義である、で示される、ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法を開示する。

Description

本発明は、酢酸化合物からニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物を製造する方法に関する。本発明は、また、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸又はビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと2−置換酢酸エステルとからから4−置換テトラヒドロピランを製造する方法に関する。本発明は、更に、4−シアノテトラヒドロピランから4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩を製造する方法に関する。ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物、4−置換テトラヒドロピラン(4−シアノテトラヒドロピラン、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸)及び4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
従来、酢酸化合物からニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物を製造する方法としては、例えば、シアノ酢酸を160℃以上に加熱してアセトニトリルを得る方法(例えば、Chem.Ber.,,1382(1874)参照)やマロン酸をp−アゾキシアニソール中で141℃に加熱して酢酸を得る方法(例えば、J.Indian Chem.Soc.,58,868(1981)参照)が知られている。しかしながら、上記いずれの方法においても高い反応温度が必要である上に、収率が低い又は収率の記載がない等、ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の工業的な製法としては満足するものではなかった。
また、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸から、又はビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと2−置換酢酸エステルとから4−置換テトラヒドロピランを製造する方法としては、例えば、ビス(2−クロロエチル)エーテルとシアノ酢酸エチルとを反応させて4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸エチルとした後、これを加水分解して4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を得、次いで、これを180〜200℃に加熱して4−シアノテトラヒドロピランを総合取得収率12.2%で製造する方法が知られている(例えば、J.Chem.Soc.,1930,2525参照)。また、ビス(2−クロロエチル)エーテルとマロン酸ジエチルとを反応させてテトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジエチルとした後、これを加水分解してテトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸を得、次いで、これを180℃に加熱してテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を総合取得収率31.8%で製造する方法が知られている(例えば、Helv.Chim.Acta.,80,1528(1997)参照)。しかしながら、上記いずれの方法においても高い反応温度が必要である上に、収率が低く、4−置換テトラヒドロピランの工業的な製法としては満足するものではなかった。
更に、4−シアノテトラヒドロピランから4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩を製造する方法としては、例えば、ラネーニッケルの存在下、無水エタノール中にて、4−シアノテトラヒドロピランと水素とを反応させる方法が知られている(例えば、国際公開第94/05639号公報参照)。しかしながら、この方法では、目的物である4−アミノメチルテトラヒドロピランの収率が低く、多量の副生成物(ビス(4−テトラヒドロピラニルメチル)アミン)が出来る等、4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の工業的な製法としては満足出来るものではなかった。
本発明の課題は、上記問題点を解決し、温和な条件下、簡便な方法によって、酢酸化合物、特に4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸又はビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと2−置換酢酸エステルとからニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物、特に4−置換テトラヒドロピランを高収率で製造出来る、工業的に好適なニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法を提供することである。
本発明の別の課題は、上記問題点を解決し、4−シアノテトラヒドロピランから4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩を高収率で製造出来る、工業的に好適な4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法を提供することである。
本発明の第1の実施態様は、金属触媒の存在下、一般式(1):
Figure 2005028410
式中、Rは、シアノ基、カルボキシル基又はエステル基を表し、R及びRは、それぞれ、置換基を有していても良い、反応に関与しない基を表す、なお、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い、
で示される酢酸化合物を脱炭酸反応させることを特徴とする、一般式(2):
Figure 2005028410
式中、R、R及びRは、前記と同義である、
で示される、ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法に関する。
本発明の第2の実施態様は、金属触媒の存在下、一般式(3):
Figure 2005028410
式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を脱炭酸反応させることを特徴とする、一般式(4):
Figure 2005028410
式中、Rは、前記と同義である、
で示される、4−置換テトラヒドロピランの製法に関する。
本発明の第3の実施態様は、(A)塩基の存在下、一般式(5):
Figure 2005028410
式中、Xは、ハロゲン原子を表す、
で示されるビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと一般式(6):
Figure 2005028410
式中、Rは、炭化水素基を表し、Rは、前記と同義である
で示される2−置換酢酸エステルとを有機溶媒中で反応させて、一般式(7):
Figure 2005028410
式中、R及びRは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと一般式(3):
Figure 2005028410
式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物を得る環化反応工程、
(B)次いで、前記の混合物を加水分解して、一般式(3):
Figure 2005028410
式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を得る加水分解工程、
(C)更に、金属触媒の存在下、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を脱炭酸反応させて、一般式(4):
Figure 2005028410
式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピランを得る脱炭酸工程
を含んでなることを特徴とする、4−置換テトラヒドロピランを製造する方法に関する。
本発明の第4の実施態様は、ラネーニッケルの存在下、アンモニアを含む溶媒中にて、前記式(4)においてRがシアノ基である式(8):
Figure 2005028410
で示される4−シアノテトラヒドロピランと水素とを反応させることを特徴とする、式(9):
Figure 2005028410
で示される4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法に関する。
本発明の第1及び第2の実施態様における脱炭酸反応において使用する酢酸化合物又は4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸は、前記の一般式(1)又は(3)で示される。その一般式(1)又は(3)において、Rは、シアノ基、カルボキシル基又はエステル基を表す。エステル基としては、カルボキシル基とエステルを形成する基であれば特に限定されないが、例えば、カルボキシアルキルエステル基、カルボキシアラルキルエステル基、カルボキシアリールエステル基、カルボキシシクロアルキルエステル基等が挙げられる。カルボキシアルキルエステル基としては、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が結合したものが挙げられ、具体的には、カルボキシメチルエステル基、カルボキシエチルエステル基、カルボキシn−プロピルエステル基、カルボキシイソプロピルエステル基、カルボキシn−ブチルエステル基、カルボキシシイソブチルエステル基、カルボキシ−t−ブチルエステル基等が挙げられる。カルボキシアラルキルエステル基としては、炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基がアリール基に結合したものが挙げられ、具体的には、カルボキシベンジルエステル基、カルボキシフェネチルエステル基、カルボキシフェニルプロピルエステル基等が挙げられる。カルボキシアリールエステル基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が結合したものが挙げられ、具体的には、カルボキシフェニルエステル基、カルボキシトリルエステル基、カルボキシキシリルエステル基、カルボキシメシチルエステル基、カルボキシナフチルエステル基等が挙げられる。カルボキシシクロアルキルエステル基としては、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基が結合したものが挙げられ、具体的には、カルボキシシクロプロピルエステル基、カルボキシシクロブチルエステル基、カルボキシシクロペンチルエステル基、カルボキシシクロヘキシルエステル基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、カルボキシアルキルエステル基、更に好ましくは、カルボキシメチルエステル基又はカルボキシエチルエステル基が挙げられる。
又、一般式(1)におけるR及びRは、それぞれ、置換基を有していても良い、反応に関与しない基を示すが、具体的には、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基又はアミノ基を表す。なお、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い。環を形成した化合物の具体例としては、本発明の第2の実施態様における、R及びRが酸素原子を介して環を形成した前記式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸が特に好ましい化合物として例示される。
前記アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記シクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が挙げられ、より具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基に結合したアリール基が挙げられ、より具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記アリール基としては、例えば、炭素原子数6〜20のアリール基が挙げられ、より具体的には、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記アルコキシル基としては、例えば、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、より具体的には、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記アルキルチオ基としては、例えば、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐アルキルチオ基が挙げられ、より具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、アルキルチオ基又はアミノ基は、置換基を有していても良い。その置換基としては、炭素原子を介して出来る置換基、酸素原子を介して出来る置換基、窒素原子を介して出来る置換基、硫黄原子を介して出来る置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記炭素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜10のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基;ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の炭素原子数6〜20のアリール基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等の炭素原子数1〜10のアシル基(アセタール化されていても良い);メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等の炭素原子数7〜20のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等の炭素原子数1〜10のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記酸素原子を介して出来る置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、ペンチルオキシル基、ヘキシルオキシル基、ヘプチルオキシル基、ベンジルオキシル基、ピペリジルオキシル基、ピラニルオキシル基等の炭素原子数1〜10のアルコキシル基;フェノキシル基、トルイルオキシル基、ナフチルオキシル基等の炭素原子数6〜20のアリールオキシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記窒素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記硫黄原子を介して出来る置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメトキシル基、チオエトキシル基、チオプロポキシル基等の炭素原子数1〜6のチオアルコキシル基;チオフェノキシル基、チオトルイルオキシル基、チオナフチルオキシル基等の炭素原子数6〜20のチオアリールオキシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
本発明の第1の実施態様における式(1)で示される酢酸化合物の具体例としては、例えば、シアノ酢酸、マロン酸、2−メチルシアノ酢酸、2,2−ジメチルシアノ酢酸、マロン酸モノメチルエステル、2−メチルマロン酸、2,2−ジメチルマロン酸等が挙げられる。
本発明の第2の実施態様における式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の具体例としては、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノメチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノエチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノn−プロピルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノイソプロピルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノn−ブチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノイソブチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノtert−ブチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノシクロプロピルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノベンジルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸モノフェニルエステル等が挙げられる。
本発明の脱炭酸反応において使用する金属触媒とは、銅、鉄、ニッケル、亜鉛からなる群より選ばれる少なくともひとつの金属触媒であり、具体的には、例えば、銅粉、酸化銅(I)、酸化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)等の銅触媒;還元鉄、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)等の鉄触媒;酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトネート、ラネーニッケル等のニッケル触媒;亜鉛粉、塩化亜鉛、臭化亜鉛等の亜鉛触媒が挙げられるが、好ましくは銅粉、酸化銅(I)、還元鉄、ニッケル(II)アセチルアセトネート、亜鉛粉、更に好ましくは銅粉、酸化銅(I)、特に好ましくは酸化銅(I)が使用される。なお、これらの金属触媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記金属触媒の使用量は、酢酸化合物又は4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸1モルに対して、金属原子換算で、好ましくは0.001〜10モル、更に好ましくは0.001〜1.0モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルである。
本発明の脱炭酸反応は溶媒中で行うのが好ましい。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;ジブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の二級アミン類;トリエチルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン類;ピリジン、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;キノリン、イソキノリン、メチルキノリン等のキノリン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類が挙げられるが、好ましくは三級アミン類、ピリジン類、アミド類、スルホキシド類、或いはそれらと芳香族炭化水素類又は酢酸エステル類との混合溶媒、更に好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、或いはそれらとトルエン、酢酸エチル又は酢酸ブチルとの混合溶媒が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、酢酸化合物又は4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸1gに対して、好ましくは0.1〜100ml、更に好ましくは0.5〜50ml、特に好ましくは1〜10mlである。
本発明の脱炭酸反応は、例えば、酢酸化合物、金属触媒及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは80〜130℃であり、反応圧力は特に制限されない。
なお、最終生成物である一般式(2)で示されるニトリル化合物若しくはカルボン酸化合物又は一般式(4)で示される4−置換テトラヒドロピランは、例えば、反応終了後、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
本発明の第1の実施態様において得られる式(2)で示されるニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、酢酸メチル、酢酸、プロピオン酸、2−メチルプロピオン酸等が挙げられる。
本発明の第2の実施態様において得られる式(4)で示される4−置換テトラヒドロピランの具体例としては、4−シアノテトラヒドロピラン、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エチル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸n−プロピル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸イソプロピル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸n−ブチル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸イソブチル、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸tert−ブチル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸シクロプロピル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸ベンジル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸フェニル等が挙げられる。
次に、本発明の第3の実施態様である4−置換テトラヒドロピランの製法について説明する。
(A)環化反応工程
本発明の環化反応工程は、塩基の存在下、ビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと2−置換酢酸エステルとを有機溶媒中で反応させて、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物を得る工程である。
本発明の環化反応工程において使用するビス(2−ハロゲノエチル)エーテルは、前記の一般式(5)で示される。その一般式(5)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子である。
本発明の環化工程において使用される一般式(5)で示されるビス(2−ハロゲノエチル)エーテルの具体例としては、ビス(2−フルオロエチル)エーテル、ビス(2−クロロエチル)エーテル、ビス(2−ブロモエチル)エーテル、ビス(2−ヨードエチル)エーテル等が挙げられる。
本発明の環化反応工程において使用する2−置換酢酸エステルは、前記の一般式(6)で示される。その一般式(6)において、Rは、前記した基を表わし、Rは、炭化水素基を示す。前記の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜10のシクロアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアリール基に炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基が結合したアラルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜20のアリール基が挙げられるが、好ましくはアルキル基、更に好ましくはメチル基又はエチル基である。なお、これらの基は、各種異性体も含む。
本発明の環化工程において使用される一般式(6)で示される2−置換酢酸エステルの具体例としては、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸n−プロピル、シアノ酢酸イソプロピル、シアノ酢酸n−ブチル、シアノ酢酸イソブチル、シアノ酢酸tert−ブチル、シアノ酢酸シクロプロピル、シアノ酢酸シクロブチル、シアノ酢酸シクロペンチル、シアノ酢酸シクロヘキシル、シアノ酢酸ベンジル、シアノ酢酸フェニルマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジ−n−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジイソブチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、マロン酸ジシクロプロピル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジフェニル等が挙げられる。
前記2−置換酢酸エステルの使用量は、ビス(2−ハロゲノエチル)エーテル1モルに対して、好ましくは1.0〜20モル、更に好ましくは2.0〜4.0モルである。
本発明の環化反応工程において使用する塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属水素化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩が使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、ビス(2−ハロゲノエチル)エーテル1モルに対して、好ましくは1.0〜10.0モル、更に好ましくは2.0〜5.0モルである。
本発明の環化反応工程において使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられるが、好ましくはアミド類、スルホキシド類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、ビス(2−ハロゲノエチル)エーテル1gに対して、好ましくは1〜50g、更に好ましくは2〜20gである。
本発明の環化反応工程は、例えば、ビス(2−ハロゲノエチル)エーテル、2−置換酢酸エステル、塩基及び有機溶媒を混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは20〜150℃、更に好ましくは50〜130℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本発明の環化反応工程によって、一般式(7)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと一般式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物を含んだ溶液が得られるが、本発明においては、通常、該溶液をそのまま又は濃縮した後に次の工程を行う。しかし、場合によっては、生成した4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸とを、例えば、濾過、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、一旦単離・精製した後に、次の工程を行っても良い。
本発明の環化反応工程によって得られる一般式(7)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルの具体例としては、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸エチル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸n−プロピル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸イソプロピル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸n−ブチル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸イソブチル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸tert−ブチル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸シクロプロピル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸ベンジル、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸フェニル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジメチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジエチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジn−プロピルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジイソプロピルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジn−ブチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジイソブチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジtert−ブチルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジシクロプロピルエステル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジベンジル、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸ジフェニル等が挙げられる。また、一般式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の具体例としては、前記したものが挙げられる。
(B)加水分解工程
本発明の加水分解工程は、一般式(7)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと一般式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物を加水分解して、一般式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を得る工程である。
本発明の加水分解工程は、一般的にカルボン酸エステルを加水分解出来る方法ならば特に限定はされないが、酸又は塩基の存在下、水、水溶性溶媒又は水と水溶性溶媒との混合溶媒中で行うのが好ましい。
本発明の加水分解工程で使用する酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クロロ硫酸、硝酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸類が挙げられるが、好ましくは鉱酸類、有機スルホン酸類、更に好ましくは鉱酸類が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記酸の使用量は、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物1モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、更に好ましくは2.0〜5.0モルである。
本発明の加水分解工程で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシドが挙げられるが、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、更に好ましくはアルカリ金属水酸化物が使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物1モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、更に好ましくは2.0〜5.0モルである。
前記水溶性溶媒又は水と水溶性溶媒との混合溶媒とは、例えば、好ましくはアルコール又は水とアルコールとの混合溶媒が使用される。
前記水の使用量は、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物1gに対して、好ましくは0.01〜20g、更に好ましくは0.1〜10gである。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられるが、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが使用される。なお、これらのアルコールは、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、水を含んでいても構わない。
前記アルコールの使用量は、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物1gに対して、好ましくは0.01〜20g、更に好ましくは0.1〜10gである。
本発明の加水分解工程は、例えば、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物、酸又は塩基、及び水溶性溶媒を混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−30〜80℃、更に好ましくは−10〜40℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本発明の加水分解工程によって、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸が得られるが、本発明においては、例えば、反応終了後、濾過、濃縮、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、一旦単離・精製した後に、次の工程を行っても良いが、単離・精製を行わずに、そのまま又は次の工程で使用する溶媒に切り換えた後に、次の工程に使用しても構わない。
(C)脱炭酸工程
本発明の加水分解工程は、金属触媒の存在下、一般式(3)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を脱炭酸反応させて、一般式(4)で示される4−置換テトラヒドロピランを得る工程であり、前記第1及び第2の実施態様における脱炭酸工程と同様の方法で行われる。一般式(4)で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の具体例としては、前記したものが挙げられる。
次に、本発明の第4の実施態様における式(9)で示される4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法について説明する。4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法は、前記式(4)においてRがシアノ基である、式(8)で示される4−シアノテトラヒドロピランの水素による還元反応である。
本発明の還元反応に使用するラネーニッケルとは、ニッケルとアルミニウムとを主成分とする合金であり、ニッケルの含有量が、好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは40〜80重量%のものが使用される。通常は、展開したラネーニッケルが使用されるが、種々の方法によって、前処理されたラネーニッケルや、安定化されたラネーニッケルも使用出来る。更に、ラネーニッケル中に、コバルト、鉄、鉛、クロム、チタン、モリブデン、バナジウム、マンガン、スズ、タングステン等のような金属が含まれているものも使用することが出来る。
前記ラネーニッケルの使用量は、ニッケル原子換算で、4−シアノテトラヒドロピラン1gに対して、好ましくは0.01〜1.0g、更に好ましくは0.05〜0.5gである。
本発明の反応において使用するアンモニアを含む溶媒中のアンモニアの濃度は、好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは1〜35質量%である。
本発明の反応において使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、好ましくは水、アルコール類、更に好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性等により適宜調節するが、4−シアノテトラヒドロピラン1gに対して、好ましくは0.1〜100ml、更に好ましくは1.0〜10mlである。
本発明の反応において使用する水素の量は、4−シアノテトラヒドロピラン1モルに対して、好ましくは0.1〜20モル、更に好ましくは0.2〜10モルである。
本発明の反応は、例えば、4−シアノテトラヒドロピラン、ラネーニッケル及びアンモニアを含む溶媒を混合し、攪拌しながら水素と反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは5〜120℃、特に好ましくは5〜80℃であり、反応圧力は、好ましくは0.1〜10MPa、更に好ましくは0.1〜1MPaである。なお、反応終了後に、4−アミノメチルテトラヒドロピランに適当な酸を反応させて、4−アミノメチルテトラヒドロピランの酸塩とすることも出来る。本発明において使用される酸塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、フタル酸、イソフタル酸、安息香酸等の有機酸の塩等が挙げられる。
なお、最終生成物である式(9)で示される4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩は、例えば、反応終了後、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。又、反応終了後、トリエチルアミン、テトラエチレンペンタミン、テトラエチレンヘキサミン等のアミン類を使用して反応液の後処理をするのが望ましい。これらアミン類の使用により、例えば、4−アミノメチルテトラヒドロピランの蒸留中にラネーニッケルが凝集して釜内の液が固化するのを防ぐことが出来る、副生する4−アミノメチルテトラヒドロピランの炭酸塩から二酸化炭素を除去して遊離の4−アミノメチルテトラヒドロピランとすることが出来る、又、4−アミノメチルテトラヒドロピラン中にアンモニアが混入するのを防ぐことが出来る等の効果がある。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(アセトニトリルの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、酸化銅(I)200mg(1.40mmol)、ジメチルスルホキシド25ml及び純度95%のシアノ酢酸5.0g(55.8mmol)を加え、窒素雰囲気下、攪拌させながら110〜120℃で30分間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、アセトニトリルが2.17g生成していた(反応収率:95.0%)。
実施例2
(アセトニトリルの合成)
実施例1において、溶媒をN,N−ジメチルホルムアミドに変えたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、アセトニトリルが2.25g生成していた(反応収率:98.3%)。
実施例3
(アセトニトリルの合成)
実施例2において、酸化銅(I)を亜鉛粉91mg(1.40mmol)に、反応時間を3時間に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、アセトニトリルが2.13g生成していた(反応収率:93.1%)。
実施例4
(アセトニトリルの合成)
実施例2において、酸化銅(I)を塩化鉄(III)226mg(1.40mmol)に、反応時間を5時間に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、アセトニトリルが2.12g生成していた(反応収率:92.7%)。
実施例5
(アセトニトリルの合成)
実施例2において、酸化銅(I)をラネーニッケル125mg(シアノ酢酸1gに対して0.025g使用)に、反応時間を3時間に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、アセトニトリルが2.06g生成していた(反応収率:89.8%)。
実施例6
(酢酸の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、酸化銅(I)170mg(1.19mmol)、ジメチルスルホキシド25ml及び純度99%のマロン酸5.0g(47.6mmol)を加え、窒素雰囲気下、攪拌させながら110〜120℃で1.5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、酢酸が2.86g生成していた(反応収率:100%)。
実施例7
(酢酸の合成)
実施例6において、溶媒をN,N−ジメチルホルムアミドに変えたこと以外は、実施例6と同様に反応を行った。その結果、酢酸が2.86g生成していた(反応収率:100%)。
実施例8(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積2Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、酸化銅(I)4.6g(31.9mmol)及びピリジン200gを加え、攪拌しながら100℃まで昇温させた。次いで、純度99%の4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸200g(1.28mol)をピリジン400gに溶解させた液を、反応液の温度を100〜110℃に保ちながらゆるやかに滴下して、100〜110℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、攪拌しながら、水500ml、濃塩酸650ml(7.80mol)及びトルエン500mlを順次加えた。水層と有機層(トルエン層)を分離し、水層をトルエン500mlで3回抽出した後、該有機層とトルエン抽出液を合わせて減圧下で濃縮した。得られた濃縮液を減圧蒸留(100〜120℃、2.0〜2.7kPa)して、無色液体として、純度99%(ガスクロマトグラフィーによる面積百分率)の4−シアノテトラヒドロピラン133.5gを得た(単離収率:93%)。
4−シアノテトラヒドロピランの物性値は以下の通りであった。
CI−MS(m/e);112(M+1)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.63〜1.74(2H,m)、1.80〜1.89(2H,m)、3.04〜3.11(1H,m)、3.43〜3.50(2H,m)、3.67〜3.75(2H,m)
実施例9(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積30mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、純度98%の4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸2.0g(12.76mmol)、酸化銅(I)46mg(0.319mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド6.0mlを加え、攪拌しながら110〜120℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却してガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、4−シアノテトラヒドロピランが1.41g生成していた(反応収率:100%)。
実施例10〜38(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
実施例9において、触媒、溶媒、反応時間を変えたこと以外は、実施例9と同様に反応を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005028410
実施例39(テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、純度100%のテトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸1.0g(5.74mmol)、酸化銅(I)21mg(0.14mmol)及びピリジン3.0mlを加え、攪拌しながら110〜120℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、水5ml、濃塩酸5ml(60mmol)及び酢酸エチル10mlを順次加えた。水層と有機層(酢酸エチル層)を分離し、水層を酢酸エチル10mlで3回抽出した後、有機層と酢酸エチル抽出液を合わせて減圧下で濃縮し、白色結晶として、純度100%(示差屈折率による分析値)のテトラヒドロピラン−4−カルボン酸534mgを得た(単離収率:72%)。
テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の物性値は以下の通りであった。
融点;83〜84℃
CI−MS(m/e);131(M+1)
H−NMR(DMSO−d,δ(ppm));1.45〜1.60(2H,m)、1.68〜1.76(2H,m)、2.40〜2.52(1H,m)、3.28〜3.37(2H,m)、3.77〜3.83(2H,m)、12.19(1H,brs)
実施例40(テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸1.0g(5.74mmol)、還元鉄32mg(0.57mmol)及びピリジン3.0mlを加え、攪拌しながら110〜120℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、水5ml、濃塩酸5ml(60mmol)及び酢酸エチル10mlを順次加えた。水層と有機層(酢酸エチル層)を分離し、水層を酢酸エチル10mlで3回抽出した後、有機層と酢酸エチル抽出液を合わせて減圧下で濃縮し、白色結晶として、純度100%(示差屈折率による分析値)のテトラヒドロピラン−4−カルボン酸548mgを得た(単離収率:73%)。
実施例41(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積10Lのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、N,N−ジメチルホルムアミド4.72L及びナトリウムメトキシド1486g(27.5mol)を加え、内温を0℃まで冷却した後、攪拌しながら純度99%のシアノ酢酸メチル2753g(27.5mol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて3時間攪拌させて、シアノ酢酸メチルのナトリウム塩を含む溶液を合成した。
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた内容積20Lのガラス製フラスコに、純度99%のビス(2−クロロエチル)エーテル1589g(11.0mol)を加え、液温を64℃まで昇温させた後、前記シアノ酢酸メチルのナトリウム塩を含む溶液をゆるやかに滴下した。滴下終了後、窒素雰囲気下、80℃で9時間環化反応させた。
反応終了後、反応液を0℃まで冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液1760g(22.0mol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて1時間加水分解反応させた。反応終了後、反応液を0℃まで冷却し、35%塩酸2.21L(26.5mol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて30分間攪拌させた。
次いで、反応液にトルエン4.72Lを加えた後、50℃、減圧下(4.67kPa)にて共沸脱水させた。その後、反応液中に残存するトルエン量を4.72Lした後に50℃まで加熱して濾過した。濾物はトルエン3.15Lで洗浄し、得られた濾液と合わせ、4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を含む有機溶液を得た。
攪拌装置、Dean−Stark装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積20Lのガラス製フラスコに、前記の4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を含む有機溶液、トルエン1.57L及び酸化銅(I)39.5g(275mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、低沸点化合物を留去しながら、115℃で1.5時間脱炭酸反応を行った。
反応終了後、室温まで冷却し、反応液を濾過し、濾物をトルエン1.57Lで洗浄した。又、濾液に水1.57L及び35%塩酸64mlを加えて反応液のpHを1.8にした後、水層を分液し、トルエン3.15Lで抽出した。前記の濾液と抽出液を合わせて、60℃、減圧下(10.67kPa)にて濃縮した。濃縮物に酢酸エチル2650mlを加え、飽和塩化ナトリウム水溶液660mlで洗浄した後、有機層を濃縮した。濃縮液を減圧蒸留(120℃、1.33kPa)し、純度99%(ガスクロマトグラフィーによる面積百分率)の4−シアノテトラヒドロピラン529.3gを得た(単離収率:42.9%)。
実施例42(テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積200mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、N,N−ジメチルホルムアミド115.6ml及びナトリウムメトキシド13.51g(0.25mol)を加え、内温を5℃まで冷却した後、攪拌しながらマロン酸ジメチル33.02g(0.25mol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて3時間攪拌させて、マロン酸ジメチルのナトリウム塩を含む溶液を合成した。
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた内容積200mlのガラス製フラスコに、純度99%のビス(2−クロロエチル)エーテル14.45g(0.10mol)を加え、液温を80℃まで昇温させた後、前記マロン酸ジメチルのナトリウム塩を含む溶液をゆるやかに滴下した。滴下終了後、窒素雰囲気下、85℃で20時間環化反応させた。
反応終了後、反応液を濾過し、濾物をN,N−ジメチルホルムアミド30mlで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、液温を5℃まで冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液36.0g(0.45mol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、水52mlを加え、室温にて3時間加水分解反応させた。反応終了後、反応液を5℃まで冷却し、35%塩酸44ml(0.45mol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて30分間攪拌させた後、反応液を減圧下で濃縮した。濃縮液に酢酸エチル200ml及び水100mlを加えた後に分液し、次いで、得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液20mlで洗浄した後に減圧下で濃縮した。得られた濃縮物にメチルイソブチルケトン30mlを加えて濾過し、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸の結晶を得た。
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、前記のテトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸、ピリジン17.6ml及び酸化銅(I)123.1mg(0.86mmol)を加え、窒素雰囲気下、110〜120℃で1時間脱炭酸反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、水30ml、濃塩酸30ml(360mmol)及び酢酸エチル60mlを順次加えた後、水層と有機層を分液した。水層を酢酸エチル60mlで3回抽出した後、抽出液と有機層を合わせて減圧下で濃縮し、白色結晶として、純度100%(示差屈折率による分析値)のテトラヒドロピラン−4−カルボン酸3.15を得た(単離収率:24.2%)。
実施例43(4−アミノメチルテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び圧力ゲージを備えた内容積200mlのステンレス製オートクレーブに、4−シアノテトラヒドロピラン10.0g(90.0mmol)、22質量%アンモニアメタノール溶液50.0g及び展開ラネーニッケル(日揮化学製;スポンジニッケルN154D)2.0g(ニッケル原子として17.0mmol)を加え、水素雰囲気(0.51〜0.61MPa)にて、攪拌しながら45〜55℃で17時間反応させた。反応終了後、不溶物を濾過し、濾物をメタノール30mlで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮した後、濃縮物を減圧蒸留(73〜74℃、2.67kPa)し、無色液体として、4−アミノメチルテトラヒドロピラン7.94gを得た(単離収率;76.6%)。
4−アミノメチルテトラヒドロピランの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(DMSO−d,δ(ppm));1.02〜1.16(2H,m)、1.10〜1.50(2H,brs)、1.34〜1.45(1H,m)、1.56〜1.61(2H,m)、2.39(2H,d,J=6.3Hz)、3.20〜3.29(2H,m)、3.81〜3.86(2H,m)
CI−MS(m/e);116(M+1)、99
実施例44(4−アミノメチルテトラヒドロピラン塩酸塩の合成)
攪拌装置、温度計及び圧力ゲージを備えた内容積25Lのステンレス製オートクレーブに、65.9質量%4−シアノテトラヒドロピラントルエン溶液1685.8g(4−シアノテトラヒドロピランを15.2mol含む)、5.86質量%アンモニアメタノール溶液8.8kg、展開ラネーニッケル(日揮化学製;スポンジニッケルN154D)337.2g(ニッケル原子として2.86mmol)及びメタノール2.1Lを加え、水素雰囲気(0.51〜0.61MPa)にて、攪拌しながら50〜60℃で7時間反応させた。反応終了後、不溶物を濾過し、濾物をメタノール2.0Lで洗浄した後、濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮した。
攪拌装置及び温度計を備えた内容積3Lのガラス製反応容器に、該濃縮液及びテトラエチレンペンタミン833mlを加え、105〜115℃にて2時間攪拌した。攪拌終了後、該溶液を減圧蒸留(70〜80℃、1.73〜4.67kPa)して、4−アミノメチルテトラヒドロピランを含む留出液1430.2gを得た。
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積20Lのガラス製反応容器に、n−ブタノール8.3L及び37質量%塩酸1232ml(15.0mol)を加え、食塩氷浴中、液温を0℃付近に保ちながら該流出液をゆるやかに滴下し、滴下終了後、室温で30分間攪拌させた。得られた溶液を減圧下で濃縮した後、n−ブタノール5.0Lを加えて濃縮するという操作を2回繰り返した。次いで、食塩氷浴中、濃縮物を50分間攪拌すると固体が析出したので濾過した。濾物をトルエン1.7Lで洗浄した後、減圧下、60℃で乾燥させ、白色結晶として、4−アミノメチルテトラヒドロピラン塩酸塩1692.9gを得た(単離収率:73.6%)。
4−アミノメチルテトラヒドロピラン塩酸塩の物性値は以下の通りであった。
融点;190〜193℃
H−NMR(DMSO−d,δ(ppm));1.13〜1.26(2H,m)、1.63〜1.68(2H,m)、1.78〜1.92(1H,m)、2.67(2H,d,J=7.1Hz)、3.22〜3.30(2H,m)、3.82〜3.87(2H,m)、8.21(3H,brs)
CI−MS(m/e);116(M+1−HCl)、99
実施例45(4−アミノメチルテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び圧力ゲージを備えた内容積200mlのステンレス製オートクレーブに、4−シアノテトラヒドロピラン10.0g(90.0mmol)、22質量%アンモニアメタノール溶液100ml及び展開ラネーニッケル(日揮化学製;スポンジニッケルN154D)2.0g(ニッケル原子として17.0mmol)を加え、水素雰囲気(0.51〜0.61MPa)にて、攪拌しながら50〜60℃で5時間反応させた。反応終了後、不溶物を濾過した後、濾物をメタノール30mlで洗浄し、濾液と洗浄液を合わせた。この溶液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、4−アミノメチルテトラヒドロピランが8.84g生成していた(反応収率:85.3%)。なお、副生成物であるビス(4−テトラヒドロピラニルメチル)アミンは生成していなかった。
比較例1(4−アミノメチルテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び圧力ゲージを備えた内容積200mlのステンレス製オートクレーブに、4−シアノテトラヒドロピラン10.0g(90.0mmol)、メタノール100ml及び展開ラネーニッケル(日揮化学製;スポンジニッケルN154D)2.0g(ニッケル原子として17.0mmol)を加え、水素雰囲気(0.51〜0.61MPa)にて、攪拌しながら50〜60℃で5時間反応させた。反応終了後、不溶物を濾過した後、濾物をメタノール30mlで洗浄し、濾液と洗浄液を合わせた。この溶液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、4−アミノメチルテトラヒドロピランが7.19g生成していた(反応収率:52.7%)。なお、副生成物であるビス(4−テトラヒドロピラニルメチル)アミンが4.28g生成していた。
本発明により、温和な条件下、簡便な方法によって、酢酸化合物又は4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸からニトリル化合物若しくはカルボン酸化合物又は4−置換テトラヒドロピランを高収率で製造出来る、工業的に好適なニトリル化合物若しくはカルボン酸化合物又は4−置換テトラヒドロピランの製法を提供出来る。
また、本発明により、温和な条件下、簡便な方法によって、ビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと2−置換酢酸エステルとから、4−置換テトラヒドロピランを高収率で製造出来る、工業的に好適な4−置換テトラヒドロピランを製造する方法を提供することが出来る。
本発明により得られるニトリル化合物若しくはカルボン酸化合物又は4−置換テトラヒドロピランは、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
更に、本発明により、4−シアノテトラヒドロピランから4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩を高収率で製造出来る、工業的に好適な4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法を提供することが出来る。
本発明により得られる4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。

Claims (14)

  1. 金属触媒の存在下、一般式(1):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、シアノ基、カルボキシル基又はエステル基を表し、R及びRは、それぞれ、置換基を有していても良い、反応に関与しない基を表す、なお、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い、
    で示される酢酸化合物を脱炭酸反応させることを特徴とする、一般式(2):
    Figure 2005028410
    式中、R、R及びRは、前記と同義である、
    で示される、ニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法。
  2. 金属触媒が、銅、鉄、ニッケル、亜鉛からなる群より選ばれる少なくともひとつの金属を含む触媒である請求の範囲第1項記載のニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法。
  3. 脱炭酸反応を溶媒中で行う請求の範囲第1項記載のニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法。
  4. 溶媒が、三級アミン類、ピリジン類、アミド類、スルホキシド類、或いはそれらと芳香族炭化水素類又は酢酸エステル類との混合溶媒である請求の範囲第3項記載のニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法。
  5. 脱炭酸反応温度が50〜150℃である請求の範囲第1項記載のニトリル化合物、カルボン酸化合物又はカルボン酸エステル化合物の製法。
  6. 金属触媒の存在下、一般式(3):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、シアノ基、カルボキシル基又はエステル基を表す、
    で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を脱炭酸反応させることを特徴とする、一般式(4):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、前記と同義である、
    で示される、4−置換テトラヒドロピランの製法。
  7. 金属触媒が、銅、鉄、ニッケル、亜鉛からなる群より選ばれる少なくともひとつの金属を含む触媒である請求の範囲第6項記載の4−置換テトラヒドロピランの製法。
  8. 脱炭酸反応を溶媒中で行う請求の範囲第7項記載の4−置換テトラヒドロピランの製法。
  9. 溶媒が、三級アミン類、ピリジン類、アミド類、スルホキシド類、或いはそれらと芳香族炭化水素類又は酢酸エステル類との混合溶媒である請求の範囲第8項記載の4−置換テトラヒドロピランの製法。
  10. 脱炭酸反応温度が50〜150℃である請求の範囲第6項記載の4−置換テトラヒドロピランの製法。
  11. (A)塩基の存在下、一般式(5):
    Figure 2005028410
    式中、Xは、ハロゲン原子を表す、
    で示されるビス(2−ハロゲノエチル)エーテルと一般式(6):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、シアノ基、カルボキシル基又はエステル基を表し、Rは、炭化水素基を表す、
    で示される2−置換酢酸エステルとを有機溶媒中で反応させて、一般式(7):
    Figure 2005028410
    式中、R及びRは、前記と同義である、
    で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルと一般式(3):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、前記と同義である、
    で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸との混合物を得る環化反応工程、
    (B)次いで、前記の混合物を加水分解して、一般式(3):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、前記と同義である、
    で示される4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を得る加水分解工程、
    (C)更に、金属触媒の存在下、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を脱炭酸反応させて、一般式(4):
    Figure 2005028410
    式中、Rは、前記と同義である、
    で示される4−置換テトラヒドロピランを得る脱炭酸工程
    を含んでなることを特徴とする、4−置換テトラヒドロピランを製造する方法。
  12. ラネーニッケルの存在下、アンモニアを含む溶媒中にて、次式(8):
    Figure 2005028410
    で示される4−シアノテトラヒドロピランと水素とを反応させることを特徴とする、式(9):
    Figure 2005028410
    で示される4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法。
  13. 溶媒がアルコール類である請求の範囲第12項記載の4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法。
  14. 反応終了後、アミン類を使用して反応液の後処理をする請求の範囲第12項記載の4−アミノメチルテトラヒドロピラン及びその酸塩の製法。
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